JP6287224B2 - 車体パネル構造 - Google Patents

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Description

本発明は車体パネル構造に関する。
車体を構成する車体パネルには、予め定められた箇所に作業用の開口部、あるいは、塗装時の水切り用の開口部が形成されている。
このような開口部は、作業や塗装が終了したのち、ホールプラグにより閉塞され、この際、ホールプラグと開口部との間にシール材を充填することでシール性が確保される(特許文献1、2参照)。
また、フロアパネルには、メルシートが熱融着により貼り付けられることで、フロアパネルの制振性が確保されている。
そのため、ホールプラグで閉塞された開口部は、メルシートで覆われた状態となる。
ところで、ホールプラグと開口部とをシールするシール材として、未硬化時はペースト状を呈し、加熱処理することで硬化するものを用いる場合、以下のような工程でホールプラグのシールを行ない、また、メルシートの熱融着を行なっている。
すなわち、ホールプラグと開口部との間にシール材を充填したのち、第1の加熱処理を行なってシール材を硬化させる。
次に、フロアパネルにメルシートを載置したのち、第2の加熱処理を行なってメルシートをフロアパネルに熱融着する。
しかしながら、上記工程では、加熱処理を2回に分けて行なうことから作業時間を要する不利がある。
そこで、ホールプラグと開口部との間にシール材を充填したのち、フロアパネルの上面にメルシートを載置し、その後、1回の加熱処理を行なうことにより、シール材の硬化とメルシートのフロアパネルへの熱融着を同時を行なうことで、作業時間の短縮を図ることが考えられる。
実開平1−106374号公報 特開2013−155805号公報
しかしながら、未硬化のシール材には可塑剤が含まれているため、未硬化のシール材と熱処理前の未硬化のメルシートとが接触すると、可塑剤が未硬化のシール材から未硬化のメルシートの部分に移行してしまう。
可塑剤が移行したメルシートの部分は、熱処理を行っても未硬化のまま軟化した性状となってしまう。
メルシートのうち軟化した性状となった部分は粘着性を有していることから、例えば、荷物やスペアタイヤなどが接触すると、メルシートが荷物やスペアタイヤに付着するなどの不都合が生じるおそれがある。
このような事態を回避するため、メルシートをフロアパネル上に載置する際に、予め開口部よりも一回り大きな開口部をメルシートに加工しておき、メルシートとシール材とが接触しないように図る必要がある。
このような開口部をメルシートに加工すると製造コストが増加し、また、開口部によりメルシートの面積が縮小するため、制振効果を損なう不利がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、製造コストの低減を図りつつメルシートによる制振効果を確保する上で有利な車体パネル構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、車体パネルの開口部を閉塞するホールプラグと、前記ホールプラグと前記開口部との間に充填されたシール材と、前記ホールプラグ上および車体パネル上に載置されたメルシートとを備える車体パネル構造であって、前記ホールプラグは、前記開口部を閉塞する閉塞部と、前記開口部の軸方向において前記閉塞部と離間した箇所に位置し前記メルシートが載置される第1のメルシート載置部とを有し、前記車体パネルは、前記開口部の周囲に延在する外周板部を有し、前記閉塞部は、前記外周板部に載置される環板状の載置板部を有し、前記ホールプラグは、前記載置板部の外周部から前記メルシート側に突設されその先部に前記第1のメルシート載置部が設けられた起立板部を有し、前記シール材は、前記載置板部の外周部をなす前記起立板部の基部と前記外周板部との間に充填されることを特徴とする。
請求項記載の発明は、前記外周板部は、前記メルシートが載置される前記車体パネルの箇所よりも前記メルシートと反対側に変位した箇所に設けられ、
前記第1のメルシート載置部と、前記メルシートが載置される前記車体パネルの箇所とは同一面上に位置していることを特徴とする。
請求項記載の発明は、前記第1のメルシート載置部の外周部と、前記メルシートが載置される前記車体パネルの箇所との間に、前記外周部の周方向に延在する隙間が確保されていることを特徴とする。
請求項記載の発明は、前記閉塞部は、前記載置板部の内周部から前記メルシートと反対側に突設され前記開口部に収容される収容部を有し、前記収容部の中央に、前記メルシート側に突出し前記メルシートが載置される第2のメルシート載置部が設けられていることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、ホールプラグの閉塞部で車体パネルの開口部が閉塞され、閉塞部と開口部との間にシール材が充填された状態で、閉塞部と第1のメルシート載置部とが開口部の軸方向において離間している。
そのため、未硬化状態のシール材と未硬化状態のメルシートは接触することがなく、1回の加熱処理により、シール材の硬化とメルシートの車体パネルへの熱融着を同時に行なえ、作業時間の短縮を図る上で有利となり、製造コストの低減を図る上で有利となる。
また、従来のように、メルシートを車体パネル上に載置する際に、予め開口部よりも一回り大きな開口部をメルシートに加工する必要がない。
そのため、メルシートの加工を省略でき製造コストの低減を図る上で有利となり、また、メルシートに開口部を設けないため、メルシートの面積を確保でき、制振効果を確保する上で有利となる。
また、上記の効果を達成できるホールプラグを簡単な構成で得ることができる。
請求項記載の発明によれば、メルシートが車体パネルに貼り付けられた状態で、ホールプラグの箇所において凹凸が生じることを防止でき、車体パネルの美観を図る上で有利となる。
請求項記載の発明によれば、隙間からシール材充填用の充填ガンを起立板部の基部と外周板部との間に向けて簡単に挿入でき、シール材の充填作業性の向上を図る上で有利となっている。
請求項記載の発明によれば、ホールプラグの箇所でメルシートは第1のメルシート載置部に加え、第2のメルシート載置部にも載置されるため、メルシートが車体パネルに貼り付けられた状態で、ホールプラグの箇所において凹凸が生じることを防止する上で有利となる。
実施の形態に係る車体パネル構造においてホールプラグと開口部との間にシール材が充填された状態を示す断面図である。 実施の形態に係る車体パネル構造においてメルシートがフロアパネル上に載置された状態を示す断面図である。
以下、本発明の車体パネル構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本実施の形態では、車体パネルはフロアパネル10であり、フロアパネル10に開口部12が設けられ、開口部12はホールプラグ14で閉塞されている。
そして、ホールプラグ14と開口部12との間にシール材16が充填されて気密、液密に開口部12が閉塞され、ホールプラグ14上およびフロアパネル10上にメルシート18が載置されている。
なお、説明の便宜上、メルシート18が載置されるフロアパネル10の箇所を車体側メルシート載置部20と呼ぶ。
シール材16は、加熱処理前はペースト状を呈し、加熱処理することでゴム状に硬化するものであり、硬化することでシール機能を発揮すると共に接着剤としての機能も発揮する。このようなシール材16として、例えば、塩化ビニルゾルを用いたものなど従来公知の様々なシール材16が使用可能であり、可塑剤が含まれている。
また、メルシート18は、アスファルトとゴム成分とを含むものであり、加熱処理前の未硬化時は軟らかく粘着性を有しており、加熱処理することで硬化して熱融着によりフロアパネル10に貼り付けられる。
フロアパネル10は、開口部12の周囲に延在する外周板部1002を有している。
外周板部1002は、車体側メルシート載置部20よりもメルシート18と反対側に変位した箇所に設けられている。
外周板部1002と車体側メルシート載置部20とは、外周板部1002の外周からその径方向外側に至るにつれて車体側メルシート載置部20側に変位する円錐面状の傾斜板部1004で接続されている。
ホールプラグ14は、開口部12を閉塞する閉塞部1402と、開口部12の軸方向において閉塞部1402と離間した箇所に位置しメルシート18が載置される第1のメルシート載置部1404とを有している。
閉塞部1402は、外周板部1002に載置される環板状の載置板部1410と、載置板部1410の内周部からメルシート18と反対側に突設され開口部12に収容される収容部1412とを有している。
また、ホールプラグ14は、載置板部1410の外周部からメルシート18側に突設された起立板部1414を有し、第1のメルシート載置部1404は、起立板部1414の先部で起立板部1414の周方向に環板状に延在している。
第1のメルシート載置部1404は、車体側メルシート載置部20と同一面上に位置し、メルシート18は第1のメルシート載置部1404と車体側メルシート載置部20とにわたって載置されている。
そのため、図2に示すように、第1のメルシート載置部1404に載置されたメルシート18部分と、車体側メルシート載置部20に載置されたメルシート18部分とが同一面上に位置する。
したがって、メルシート18がフロアパネル10に貼り付けられた状態で、ホールプラグ14の箇所において凹凸を生じることなく平坦な形状となり、フロアの美観が図られている。
また、収容部1412の中央に、メルシート18側に突出しメルシート18が載置される第2のメルシート載置部1416が設けられている。
より詳細に説明すると、収容部1412は、載置板部1410の内周部からメルシート18と反対側に突設された筒部1420と、筒部1420の端部から半径方向内側に延在する環状板部1422と、環状板部1422の内周部から円錐面状に起立する傾斜板部1424と、傾斜板部1424の先端に設けられ車体側メルシート載置部20と同一面上に位置する円形の第2のメルシート載置部1416とを有している。
この第2のメルシート載置部1416にはメルシート18が載置されている。
そのため、ホールプラグ14の箇所でメルシート18は第1のメルシート載置部1404に加え、第2のメルシート載置部1416にも載置される。
したがって、メルシート18がフロアパネル10に貼り付けられた状態で、ホールプラグ14の箇所において凹凸を生じることなく平坦な形状を得る上で有利となり、フロアの美観を図る上でより有利となる。
開口部12内に収容部1412が収容され、外周板部1002に載置板部1410が載置された開口部12の閉塞状態で、シール材16は、載置板部1410の外周部をなす起立板部1414の基部と外周板部1002との間に充填されている。
そして、開口部12の軸方向において載置板部1410の外周部と第1のメルシート載置部1404とは離間していることから、開口部12の軸方向においてシール材16とメルシート18とは離間している。
また、この開口部12の閉塞状態で、第1のメルシート載置部1404の外周部と車体側メルシート載置部20との間に、第1のメルシート載置部1404の外周部に沿って環状に延在する隙間Sが確保されている。
次に、上述した車体パネル構造の製造工程について説明する。
まず、図1に示すように、フロアパネル10の上方から開口部12にホールプラグ14の収容部1412を収容し、環板状の載置板部1410を外周板部1002に載置することで、開口部12をホールプラグ14で閉塞する。
次に、第1のメルシート載置部1404の外周部に沿って環状に延在する隙間Sにシール材16充填用の充填ガン2の先部を挿入し、シール材16を載置板部1410の外周部をなす起立板部1414の基部と外周板部1002との間に開口部12の全周にわたって隙間なく充填する。
この場合、第1のメルシート載置部1404の外側に、環状の隙間Sが形成されているため、この隙間Sから充填ガン2を起立板部1414の基部に向けて簡単に挿入でき、シール材16の充填作業性の向上を図る上で有利となっている。
また、外周板部1002と車体側メルシート載置部20とが円錐面状の傾斜板部1004で接続されているため、傾斜板部1004が充填ガン2の案内部材として機能し、充填ガン2の隙間Sから起立板部1414の基部に向けての挿入を簡単に行なえ、シール材16の充填作業性の向上をより一層図る上で有利となっている。
次に、図2に示すように、ホールプラグ14上およびフロアパネル10上に予めフロアパネル10の形状に合わせて成形されたメルシート18を載置する。
そして、メルシート18が載置されたフロアパネル10を塗料乾燥用の乾燥装置などを用いて加熱処理する。
この加熱処理により、シール材16がゴム状に硬化すると同時に、メルシート18は、熱融着によりフロアパネル10に貼り付けられて硬化する。
本実施の形態によれば、ホールプラグ14でフロアパネル10の開口部12が閉塞され、ホールプラグ14と開口部12との間にシール材16が充填された状態で、メルシート18とシール材16とが開口部12の軸方向において離間している。
そのため、未硬化状態のシール材16と未硬化状態のメルシート18は接触することがなく、シール材16の可塑剤がメルシート18に移行することが確実に防止され、メルシート18の軟化を防止することができる。
そのため、1回の加熱処理により、シール材16の硬化とメルシート18のフロアパネル10への熱融着を同時に行なえ、作業時間の短縮を図る上で有利となり、製造コストの低減を図る上で有利となる。
また、従来のように、メルシート18をフロアパネル10上に載置する際に、予め開口部12よりも一回り大きな開口部をメルシート18に加工しておき、メルシート18とシール材16とが接触しないように図る必要がない。
そのため、メルシート18の加工を省略でき製造コストの低減を図る上で有利となり、また、メルシート18に開口部を設けないため、メルシート18の面積を確保でき、制振効果を確保する上で有利となる。
また、シール材16とメルシート18との間に第1のメルシート載置部1404が位置していることから、未硬化状態のシール材16と未硬化状態のメルシート18との接触を防止する上で有利となり、メルシート18の軟化を防止する上で有利となる。
10 フロアパネル
1002 外周板部
12 開口部
14 ホールプラグ
1402 閉塞部
1404 第1のメルシート載置部
1410 載置板部
1412 収容部
1414 起立板部
1416 第2のメルシート載置部
16 シール材
18 メルシート
S 隙間

Claims (4)

  1. 車体パネルの開口部を閉塞するホールプラグと、
    前記ホールプラグと前記開口部との間に充填されたシール材と、
    前記ホールプラグ上および車体パネル上に載置されたメルシートとを備える車体パネル構造であって、
    前記ホールプラグは、前記開口部を閉塞する閉塞部と、前記開口部の軸方向において前記閉塞部と離間した箇所に位置し前記メルシートが載置される第1のメルシート載置部とを有し
    前記車体パネルは、前記開口部の周囲に延在する外周板部を有し、
    前記閉塞部は、前記外周板部に載置される環板状の載置板部を有し、
    前記ホールプラグは、前記載置板部の外周部から前記メルシート側に突設されその先部に前記第1のメルシート載置部が設けられた起立板部を有し、
    前記シール材は、前記載置板部の外周部をなす前記起立板部の基部と前記外周板部との間に充填される、
    ことを特徴とする車体パネル構造。
  2. 前記外周板部は、前記メルシートが載置される前記車体パネルの箇所よりも前記メルシートと反対側に変位した箇所に設けられ、
    前記第1のメルシート載置部と、前記メルシートが載置される前記車体パネルの箇所とは同一面上に位置している、
    ことを特徴とする請求項記載の車体パネル構造。
  3. 前記第1のメルシート載置部の外周部と、前記メルシートが載置される前記車体パネルの箇所との間に、前記外周部の周方向に延在する隙間が確保されている、
    ことを特徴とする請求項記載の車体パネル構造。
  4. 前記閉塞部は、前記載置板部の内周部から前記メルシートと反対側に突設され前記開口部に収容される収容部を有し、
    前記収容部の中央に、前記メルシート側に突出し前記メルシートが載置される第2のメルシート載置部が設けられている、
    ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の車体パネル構造。
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