JP6286908B2 - 増幅装置及び無線通信装置 - Google Patents
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Description
このため、上記無線通信システムに用いられる基地局装置の増幅装置においても、広帯域化に対応する必要があり、広帯域化に伴う部品コストの増加が懸念される。
前記歪補償部は、前記アナログのI信号及び前記アナログの他の信号をそれぞれ1ビットで表現した1ビット化信号に基づいて前記増幅器の歪補償を行う。
無線通信システムの基地局装置等に用いられる増幅装置は、一般に、デジタル信号処理によって増幅器の歪補償を行う歪補償装置を備えている。この歪補償装置は、増幅器が出力したアナログの出力信号を帰還信号として取得するため、アナログの出力信号をデジタルの信号に変換するA/D変換器を備えている。このA/D変換器は、変換する出力信号の帯域幅が大きくなれば、それに応じてよりサンプリング周波数の高いものを用いなければならず、広帯域化によってA/D変換器のコストが増加する可能性がある。
本願発明者は、この点に着目して本願発明を完成させた。
(1)本発明の一実施形態である増幅装置は、増幅器と、デジタル信号処理によって前記増幅器の入力信号に対して歪補償を行う歪補償部と、前記増幅器の出力信号を、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分と、前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分とに分離する分離部と、を備え、前記歪補償部は、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分及び前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分をそれぞれ1ビットで表現した1ビット化信号に基づいて前記増幅器の歪補償を行う。
比較結果信号は、比較値を基準としたときの出力信号の電力の大小を示している。よって、仮に、出力信号の比較結果信号と、出力信号の比較結果信号に対応する入力信号の比較結果信号とを比較すれば、比較値を基準としたときの、出力信号の電力と、入力信号の電力との間の近似の度合を把握することができる。
さらに、比較部は、基準となる比較値を所定数値範囲内で時間的に変化させるので、所定数値範囲内における、出力信号の電力と、入力信号の電力との間の近似の度合を把握することができる。
このため、歪補償部は、出力信号の比較結果信号から、入力信号の電力との間で近似の度合を把握することが可能な出力信号の電力に関する情報を得ることができる。
以上のように、分離部は、比較結果信号を、出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分として出力することができる。
この場合、比較部における比較値はパターンの周期で定まるので、比較部と歪補償部との間における比較値を同期させることが容易となる。
上記構成によれば、各保持期間において、一定の比較値とされた条件下での比較結果信号をより多く得ることができ、出力信号の電力に関する情報の精度をより高めることができる。
また、比較値を一の値から他の値に遷移させる際、設定すべき値の変化に対して実際の値の変化が遅れ、比較値に誤差が生じる場合がある。この点、上記構成によれば、比較値を一定期間の間、一定に保持する保持期間を設けるので、保持期間の内の中央の期間においては、誤差のない安定した比較値とすることができる。よって、保持期間の内の比較値に誤差が生じる期間に含まれる信号を排除し、それ以外の期間の信号を処理に用いることで、誤差を含んだ比較値を用いて得た比較結果信号を出力するのを防止できる。この結果、歪補償の精度をより高めることができる。
この場合、歪補償部は、アナログのI信号又はアナログのQ信号を1ビットで表現した1ビット化信号により、少なくとも、出力信号の位相に関する情報を得ることができる。よって、歪補償部は、入力信号からその位相に関する情報を取得すれば、出力信号と入力信号との間の位相差に関する情報を得ることができ、この位相差に関する情報に基づいて歪補償を行うことができる。
また、歪補償部は、アナログのI信号及びアナログの他の信号をそれぞれ1ビットで表現した1ビット化信号に基づいて増幅器の歪補償を行うので、アナログの出力信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換器を用いることなく、歪補償を行うことができる。この結果、広帯域の信号を処理する場合にも、コスト増加の要因となるA/D変換器を用いる必要がないので、低コスト化が可能となる。
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔1. 増幅装置の全体構成〕
図1は、実施形態に係る増幅装置を備えた無線通信装置の要部を示すブロック図である。図中、無線通信装置は、無線信号として送信される送信信号の増幅を行うための増幅装置1を備えている。なお、この増幅装置1は、受信信号の増幅に用いても良い。
歪補償部3は、デジタル信号として与えられる送信信号である信号xに対して、デジタル信号処理による歪補償処理を行う機能を有している。歪補償部3は、歪補償処理によって、補償信号uを出力する。
歪補償部3が出力する補償信号uは、DAC4に与えられることでアナログ信号に変換され、さらに、アップコンバータ5によって発振器8が生成する無線周波数のローカル信号が乗算されることにより無線周波数にアップコンバートされた後、増幅器2に与えられる。
増幅器2は、入力される補償信号uを増幅する。増幅器2の信号出力端には、アンテナ6が接続されており、増幅器2が出力する出力信号yは、無線送信信号としてアンテナ6から放射される。
カプラ7から得られる増幅器2の出力信号yは、分離部9に与えられる。
分離部9は、増幅器2が出力するアナログの出力信号yが与えられると、この出力信号yをアナログのI信号の成分(出力信号yの位相情報を含んだアナログ信号成分)と、このアナログのI信号以外のアナログの他の信号の成分としての出力側比較結果信号(出力信号yの電力情報を含んだアナログ信号成分)とに分離し、分離したアナログの両信号成分を歪補償部3に出力する。なお、出力側比較結果信号については後に説明する。
歪補償部3には、増幅器2の入力信号としての信号xと、分離部9が分離したアナログの出力I信号及び出力側比較結果信号とが与えられる。歪補償部3は、これら各信号に基づいて増幅器2の入出力特性を推定し、デジタル信号処理によって信号xに対して歪補償を行う。
分離部9は、上述のように、増幅器2が出力するアナログの出力信号yを、アナログのI信号の成分と、出力側比較結果信号とに分離する機能を有している。
分離部9は、第1ダウンコンバータ12と、第2ダウンコンバータ13と、移相器14と、電力検出部16と、比較部17とを備えている。
第1ダウンコンバータ12は、アナログの出力信号yに対してベースバンド周波数のローカル信号を乗算することで、同相成分であるI信号(出力I信号)を出力する。
第2ダウンコンバータ13は、第1ダウンコンバータ12に与えられる信号に対して位相が90度ずれたローカル信号をアナログの出力信号yに乗算することで、直交成分であるQ信号(出力Q信号)を出力する。
第2ダウンコンバータ13は、出力Q信号を電力検出部16に与えられる。
電力検出部16から、出力信号yの電力を示す情報が与えられると、比較部17は、出力信号yの電力と、出力信号yの電力と比較するためのオフセット値(比較値)とを比較し、その比較結果を示す出力側の比較結果信号を歪補償部3に出力する。
このように、分離部9は、アナログの出力I信号と、アナログの出力側比較結果信号とを歪補償部3に出力する。
出力側比較結果信号f(Py(t),t)=Py(t)−V(t) ・・・(1)
オフセット値の最小値Vminは、例えば、「0」に設定され、最大値Vmaxは、例えば、増幅器2が出力可能な最大電力値に設定される。オフセット値は、この最小値Vminから最大値Vmaxの間の数値範囲内で設定される。
オフセット値のパターンV(t)は、図2に示すように、一つの周期Cの中で、一定期間の間、オフセット値を一定に保持する保持期間Lが複数設けられ、各保持期間Lにおけるオフセット値を、上記数値範囲の中で階段状に時間の経過に従って増加させるように設定されている。これによって、各保持期間Lごとに異なるオフセット値が設定されている。
比較部17は、パターンV(t)に従ってオフセット値を設定することで、オフセット値を上記の数値範囲内で、周期的に同じパターンV(t)で変化させる。
これにより、電力に対してより細かい単位で情報を取得することができ、後の歪補償部3における演算において推定される増幅器2の入出力特性を示すモデルの推定精度を高めることができる。
図2に示すように、時間tがt1のときの出力信号y1の電力が、オフセット値V(t1)よりも大きいP(t1)であるとすると、出力側比較結果信号は、正の値となる。
また、時間tがt2のときの出力信号y2の電力が、オフセット値V(t2)よりも小さいP(t2)であるとすると、出力側比較結果信号は、負の値となる。
このように、本実施形態において、出力側比較結果信号は、その値の正負によって、オフセット値V(t)と、出力信号yの電力との比較結果を示している。つまり、出力側比較結果信号が正の値であれば、出力信号yの電力P(t)の方が、オフセット値V(t)よりも大きく、出力側比較結果信号が負の値であれば、出力信号yの電力P(t)の方が、オフセット値V(t)よりも小さいことを示している。
図1に戻って、歪補償部3は、信号xに対して前置歪補償(Predistortion)処理を行う補償処理部18と、増幅器2の入出力特性を示すモデルを推定する演算部19と、分離部9からのアナログ信号が与えられる第1及び第2信号ポート20,21と、信号xに関する処理を行う入力信号処理部22とを備えている。
第1信号ポート20は、分離部9から与えられる出力I信号を受け付ける機能を有している。
第1信号ポート20は、分離部9から与えられるアナログ信号である出力I信号をデジタル処理部11にて処理する上で適切な振幅に調整した上で受け付け、予め設定された比較値と比較することで1ビットのデジタル信号を出力する。
本実施形態では、第1信号ポート20は、出力I信号に基づいて「+1」又は「−1」を符号情報として含んでいる信号を出力する。この第1信号ポート20が出力する信号は、出力I信号を1ビットで表現した1ビット化信号である。
なお、出力I信号は、第1信号ポート20の前段でデジタル処理部11にて処理する上で適切な振幅に調整してもよい。
第2信号ポート21は、出力側比較結果信号に基づいて「+1」又は「−1」を符号情報として含んでいる信号を出力する。この第2信号ポート21が出力する信号は、出力側比較結果信号を1ビットで表現した1ビット化信号である。
出力側比較結果信号は、その値の正負によって、オフセット値V(t)と、出力信号yの電力との比較結果を示している。よって、第2信号ポート21は、出力側比較結果信号の値が正の場合に符号情報として「+1」、負の場合に符号情報として「−1」がそれぞれ対応するように信号を出力する。
このように、第2信号ポート21が出力する、出力側比較結果信号に基づく1ビットのデジタル信号には、比較部17の比較結果に関する情報が含まれている。
なお、出力側比較結果信号は、第2信号ポート21の前段でデジタル処理部11にて処理する上で適切な振幅に調整してもよい。
演算部19は、出力側1ビット化信号と、入力側1ビット化信号とに基づいて、増幅器2の入出力特性の逆特性を示す逆モデルを推定する。ただし、演算部19が推定する増幅器2のモデルは、逆モデルである必要はなく、順モデルであってもよい。
本実施形態の演算部19は、出力側1ビット化信号と、入力側1ビット化信号とに基づいて、増幅器2の逆モデルをべき級数として推定する。つまり、演算部19は、逆モデルを示す、べき級数の各次の係数を、増幅器2の歪を補償するための歪補償係数として推定する。
演算部19は、推定した前記各次の係数(歪補償係数)の推定値を補償処理部18に与える。なお、この演算部19が行う処理については、後に詳述する。
補償処理部18は、演算部19からの各次の係数の推定値が随時与えられることで、逆モデルの各次の係数を随時更新し、現状の入出力特性に応じた歪補償処理を行うことができる。
入力信号処理部22は、分離部9の第1ダウンコンバータ12、第2ダウンコンバータ13、電力検出部16、及び比較部17が有する機能と同じ機能を、デジタル処理として行う機能を有している。
よって、入力信号処理部22は、入力信号としての信号xを取得するとともに、この信号xに基づいた、入力側1ビット化信号(入力I信号の1ビット化信号、及び、入力側の比較結果信号の1ビット化信号)を出力する。
また、入力側の比較結果信号の1ビット化信号は、第2信号ポート21が出力する、出力側比較結果信号の1ビット化信号に対応する入力側の信号である。
また、入力信号処理部22は、分離部9が出力I信号及び出力Q信号を用いて出力側比較結果信号を得る際の処理と同様の処理を、信号xに基づいて実行する。
つまり、入力信号処理部22は、図2に示すパターンV(t)に従って、オフセット値を設定し、信号xの電力と、信号xとを比較することで、信号xの電力に基づいた入力側の比較結果信号を得る。
さらに、入力信号処理部22は、入力側の比較結果信号を1ビットの信号とし、演算部19に与える。
残差=[f(Py(t),t)]・[yIch(t)]
−[f(Px(t),t)]・[xIch(t)] ・・・(2)
式(2)中、[yIch(t)]は、出力I信号の1ビット化信号を示しており、「+1」又は「−1」で表される。
[f(Px(t),t)]は、入力側の比較結果信号を、1ビット化した信号(入力側の比較結果信号の1ビット化信号)を示しており、「+1」又は「−1」で表される。
また、[xIch(t)]は、入力I信号の1ビット化信号を示しており、「+1」又は「−1」で表される。
上記各次の係数を求めると、演算部19は、求めた各次の係数を推定値として補償処理部18に与える。補償処理部18は、推定された各次の係数に基づいて歪補償処理を行い、歪補償後の補償信号uを出力する。
本実施形態による増幅装置1によれば、歪補償部3が、アナログの出力I信号(出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分)及び出力側比較結果信号(出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分)をそれぞれ1ビットで表現した1ビット化信号に基づいて増幅器2の歪補償を行うので、アナログの出力信号yをデジタル信号に変換するためのA/D変換器を用いることなく、歪補償を行うことができる。この結果、広帯域の信号を処理する場合にも、コスト増加の要因となるA/D変換器を用いる必要がないので、低コスト化が可能となる。
よって、分離部9のコストがA/D変換器よりも大きい場合には、低コスト化は実現されない。
一方、本実施形態の増幅装置1が有する分離部9では、比較部17が、オフセット値を設定するためのパターンV(t)を発生させるために必要な周波数を得ることができればよい。
このため、本実施形態の増幅装置1が有する分離部9は、A/D変換器と比較して装置としてより安価に構成することが可能である。
よって、本実施形態の増幅装置1では、A/D変換器に代えて、分離部9を用いることで、低コスト化が可能となる。
歪補償部3は、出力I信号から、少なくとも出力信号yの位相に関する情報を得ることができる。
つまり、本実施形態では、歪補償部3の第1信号ポート20が、アナログの出力I信号を受け付け、「+1」又は「−1」を符号情報として含んでいる1ビットのデジタル信号(出力I信号の1ビット化信号)を出力するように構成されている。よって、出力I信号の1ビット化信号は、出力I信号の位相に関する情報を含んでいる。
よって、歪補償部3は、出力I信号から出力信号yの位相に関する情報を得ることができる。
例えば、図3中、時間t10における出力信号y10の電力が、オフセット値V(t10)よりも大きく、出力信号y10に対応する入力信号x10の電力が、オフセット値V(t10)よりも小さい場合、出力側比較結果信号の符号情報は、「+1」、入力側の比較結果信号の符号情報は、「−1」となる。
このように、出力側比較結果信号の符号情報と、入力側の比較結果信号の符号情報とが互いに異なる場合には、少なくとも、出力信号yの電力と、入力信号xの電力とは、オフセット値を挟んだ異なる値であることが判る。
このように、出力側比較結果信号の符号情報と、入力側の比較結果信号の符号情報とが互いに同じ場合には、少なくとも、出力信号yの電力と、入力信号xの電力とは、オフセット値に対して同じ大小関係にあることが判る。
このため、歪補償部3は、出力側比較結果信号から、入力信号xの電力との間で近似の度合を把握することが可能な出力信号yの電力に関する情報を得ることができる。
以上のように、歪補償部3は、アナログの出力I信号及び出力側比較結果信号から、出力信号yの位相に関する情報及び出力信号yの電力に関する情報を得ることができる。
以上のように、分離部9は、出力側比較結果信号を、出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分として出力することができる。
また、オフセット値を一の値から他の値に遷移させる際、設定すべき値の変化に対して実際の値の変化が遅れ、オフセット値に誤差が生じる場合がある。この点、本実施形態によれば、オフセット値を一定期間の間、一定に保持する保持期間Lを設けたので、保持期間Lの内の中央の期間においては、誤差のない安定したオフセット値とすることができる。よって、保持期間Lの内のオフセット値に誤差が生じる期間に含まれる信号を排除し、それ以外の期間の信号を処理に用いることで、誤差を含んだオフセット値を用いて得た比較結果信号を出力するのを防止できる。この結果、歪補償の精度をより高めることができる。
上記実施形態では、分離部9が、出力信号yを、出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分としての出力I信号と、出力信号yの電力情報を含んだアナログ信号成分としての出力側比較結果信号とに分離する場合を示したが、例えば、分離部9は、出力信号yの位相情報を含んだアナログ信号成分として、複素平面上で交差する他の信号成分を含まない信号を出力信号yから取り出せばよく、例えば、出力Q信号を用いてもよいし、出力I信号と出力Q信号とを加算した信号を符号化して用いてもよい。
この場合においても、歪補償部3は、上記の出力信号yの位相情報を含んだアナログ信号成分を1ビットで表現した1ビット化信号により、少なくとも、出力信号yの位相に関する情報を得ることができる。
また、図4(b)に示すように、パターンV(t)を正弦曲線で構成してもよい。この場合、パターンV(t)としての周期Cは、オフセット値の最小値Vminから最大値Vmaxまでを最低限カバーすることができる正弦曲線の1/4波長としてもよいし、それ以上に設定してもよい。
上記実施形態では、分離部9が、電力検出部16と比較部17を備えることで、出力信号yを、出力I信号と、出力側比較結果信号とに分離する構成を示したが、図5に示すように、分離部9が、電力検出部16と比較部17とを備えず、第1ダウンコンバータ12及び第2ダウンコンバータ13によって、出力信号yを、アナログの出力I信号と、アナログの出力Q信号とに分離し、これらアナログの出力I信号及びアナログの出力Q信号を歪補償部3に出力するように構成してもよい。
歪補償部3の入力信号処理部22は、入力側1ビット化信号として、入力I信号の1ビット化信号と、入力Q信号の1ビット化信号とを演算部19に与える。
演算部19は、出力I信号の1ビット化信号、出力Q信号の1ビット化信号、入力I信号の1ビット化信号、及び入力Q信号1ビット化信号に基づいて、増幅器2の逆モデルを推定し歪補償を行う。
本実施形態の増幅装置1は、従来の歪補償装置が有する、帰還信号として取得した増幅器の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器に代えて、分離部9を有している。
そこで、本発明者は、本実施形態の増幅装置1による歪補償精度が、従来の歪補償装置と比較して問題がないことを確認するために、本実施形態の増幅装置1による信号の入出力特性について検証し、本実施形態の増幅装置による歪補償精度を評価した。以下、その評価結果について説明する。
図6(a)において、横軸は入力信号の振幅、縦軸は出力信号の振幅を示しており、各入力信号の振幅に対して散布図として表している。また、図6(a)中、本実施形態の増幅装置によって歪補償処理を行った結果を、濃い色の点で表しており、入力信号に対して歪補償処理を行わなかった場合の結果を薄い色の点で表している。
これに対して、歪補償処理を行った場合、振幅が比較的大きい領域で現れていた飽和による歪が解消され、ほぼ全域に亘って入出力特性に現れる歪が解消されており、出力振幅は、入力振幅に対してほぼ線形に現れていることが判る。
図6(b)を見ると、歪補償処理を行った場合、歪補償処理を行わなかった場合と比較して、入力信号の振幅に対する位相差の変化がほぼ無くなっていることが判る。
図7(a)を見ると、歪補償処理を行ったとしても、振幅が比較的大きい領域で現れる飽和による歪が十分に解消されていない。
しかし、図7(b)を見ると、歪補償処理を行った場合、歪補償処理を行わなかった場合と比較して、入力信号の振幅対する位相差の変化がほぼ無くなっていることが判る。
図中、「オリジナルの信号」とは、入力信号であり、入力信号の周波数スペクトルを示している。
また、図中、「従来の歪補償処理による出力信号」とは、帰還信号として取得した増幅器の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を備えた、従来からの歪補償装置によって歪補償処理を行った場合の出力信号であり、この出力信号の周波数スペクトルを示している。
「本実施形態の歪補償処理による出力信号」とは、本実施形態の増幅装置によって歪補償を行った出力信号であり、この出力信号の周波数スペクトルを示している。
また、本実施形態の歪補償処理による出力信号のACLRは、オリジナルの信号や、従来の歪補償処理による出力信号と比較してもほぼ遜色がなく、実用上問題のない程度に抑制されていることが判る。
2 増幅器
3 歪補償部
4 D/A変換器
5 アップコンバータ
6 アンテナ
7 カプラ
8 発振器
9 分離部
10 アナログ処理部
11 デジタル処理部
12 第1ダウンコンバータ
13 第2ダウンコンバータ
14 移相器
15 発振器
16 電力検出部
17 比較部
18 補償処理部
19 演算部
20 第1信号ポート
21 第2信号ポート
22 入力信号処理部
23 遅延調整部
Claims (7)
- 増幅器と、
デジタル信号処理によって前記増幅器の入力信号に対して歪補償を行う歪補償部と、
前記増幅器の出力信号を、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分と、前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分とに分離する分離部と、
前記分離部からの出力を受け付け、予め設定された比較設定値と比較することで、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分を1ビットで表現した1ビット化信号を出力する第1信号ポートと、
前記分離部からの出力を受け付け、予め設定された比較設定値と比較することで、前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分を1ビットで表現した1ビット化信号を出力する第2信号ポートと、
を備え、
前記歪補償部は、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分を表現した1ビット化信号と、前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分を表現した1ビット化信号と、に基づいて前記増幅器の歪補償を行う増幅装置。 - 増幅器と、
デジタル信号処理によって前記増幅器の入力信号に対して歪補償を行う歪補償部と、
前記増幅器の出力信号を、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分と、前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分とに分離する分離部と、を備え、
前記歪補償部は、前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分及び前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分をそれぞれ1ビットで表現した1ビット化信号に基づいて前記増幅器の歪補償を行い、
前記分離部は、
前記出力信号の電力を検出する電力検出部と、
前記出力信号の電力と、前記出力信号と比較するための比較値とを比較した結果を示す比較結果信号を、前記出力信号の電力情報を含んだアナログ信号成分として出力する比較部と、を備え、
前記比較部は、前記比較値を所定数値範囲内で時間的に変化させる増幅装置。 - 前記比較部は、前記比較値を周期的に同じパターンで変化させる請求項2に記載の増幅装置。
- 前記比較値を周期的に変化させるためのパターンは、一つの周期の中で、一定期間の間、前記比較値を一定に保持する保持期間が複数設けられ、前記複数の保持期間ごとに異なる比較値が設定されている請求項3に記載の増幅装置。
- 前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分は、複素平面上で交差する他の信号成分を含まない信号からなる請求項2から請求項4のいずれか一項に記載の増幅装置。
- 前記出力信号の位相情報を含んだアナログ信号成分は、アナログのI信号又はQ信号である請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の増幅装置。
- 請求項1及び請求項2に記載の増幅装置を通信信号の増幅のために備えた無線通信装置。
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