JP6285755B2 - 作業車の油圧制御装置 - Google Patents
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Description
また、センターバイパス回路に併設したリリーフ弁のリリーフ圧を調整可能な構成とし、粒子状物質の焼却除去に際しリリーフ弁のリリーフ圧を低下させてネガティブコントロール回路の圧力を低下させ、ネガティブコントロール圧力に応じてレギュレータを制御される斜板式油圧ポンプの傾転角を変化させて油圧ポンプのポンプ吐出量を増大させ、ディーゼルエンジンの排気温を上昇させることによってディーゼル微粒子捕集フィルターに堆積している粒子状物質を焼却除去するようにしたものが特許文献1に提案されている。
特許文献1記載の発明では、粒子状物質の焼却除去を強制的に実施するための処理操作は、ディーゼルエンジンがアイドリング状態にあり、かつ、ディーゼルエンジンの排気ガス温度が設定値よりも低い場合にのみ実施されるようになっている。
特許文献2では、更に、粒子状物質の焼却除去を強制的に実施するための処理操作を実施する条件として、前述したディーゼルエンジンの排気ガス温度の他、エンジン回転数やエンジンのブースト圧を利用する点について開示している。
また、特許文献2にはエンジン負荷の推定等のためにディーゼル微粒子捕集フィルターを挟む前段と後段に圧力センサを設置してディーゼル微粒子捕集フィルターの前後段の圧力偏差を検知する点が開示されている。
前記ディーゼルエンジンで駆動される可変容量ポンプのポンプ吐出圧力の変化に従動させて前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプの出力を設定値に保持すると共に出力選択用のパイロット圧力を受けて前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプの出力の設定値を変更するパワーシフト制御部と、前記可変容量ポンプから吐出される作動油で駆動される油圧系のセンターバイパス回路からのネガティブコントロール圧力と電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力を流量調整用のパイロット圧力の候補として選択するパイロット圧力選択手段と、前記パイロット圧力選択手段によって候補として選択された圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する作動状態と前記ネガティブコントロール圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する非作動状態の何れかに前記パイロット圧力選択手段の作動状態を切り替える第一の切替手段と、前記パイロット圧力選択手段から出力される流量調整用のパイロット圧力の上昇に応じて前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を減少させる方向で前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を調整するネガティブコントロール制御部とを備えた作業車の油圧制御装置であり、
前記目的を達成するため、特に、
前記センターバイパス回路から前記パイロット圧力選択手段に到る圧力の伝達管路上に配置されて当該管路を開閉する常開型の第二の切替手段と、
前記第二の切替手段を強制的に閉路すると共に前記第一の切替手段により前記パイロット圧力選択手段を強制的に作動状態とする燃焼再生機能始動スイッチとを設けたことを特徴とする構成を有する。
これに対し、燃焼再生機能始動スイッチが非作動の状態で、かつ、第一の切替手段によってパイロット圧力選択手段が作動状態に切り替えられている状況下にあっては、油圧系のセンターバイパス回路からのネガティブコントロール圧力と出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力が選択されてネガティブコントロール制御部に流量調整用のパイロット圧力として供給されるようになる。
そして、粒子状物質の焼却除去を強制的に実施する場合には、オペレータが燃焼再生機能始動スイッチを操作することによって、センターバイパス回路からパイロット圧力選択手段に到る圧力の伝達管路上に設けられた常開型の第二の切替手段を閉路し、センターバイパス回路からのネガティブコントロール圧力がパイロット圧力選択手段に伝達されることを回避すると共に、第一の切替手段によりパイロット圧力選択手段を強制的に作動状態とする。
センターバイパス回路からのネガティブコントロール圧力がパイロット圧力選択手段に伝達されなくなる結果、作動状態にあるパイロット圧力選択手段は、電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力を高圧側の圧力として選択し、ネガティブコントロール制御部には、電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力が流量調整用のパイロット圧力として入力されるようになる。
よって、可変容量ポンプで駆動される油圧系のコントロールバルブが中立となったような状態、つまり、油圧系のネガティブコントロール圧力が高くなった状況下であっても、ネガティブコントロール制御部に入力される流量調整用のパイロット圧力を電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力にまで引き下げることができる。
従って、燃焼再生機能始動スイッチを操作しない場合つまり油圧系のネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部に入力される場合よりも可変容量ポンプのポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプを駆動するディーゼルエンジンの負荷が増大することになるので、ディーゼルエンジンの排気温の上昇によって、ディーゼルエンジンの排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルターに堆積している粒子状物質を焼却除去することができるようになる。
このとき可変容量ポンプの作動によって消費されるエネルギー、つまり、油圧系のセンターバイパス回路の内圧と可変容量ポンプにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積が、ディーゼルエンジンに作用する負荷である。
ポンプ吐出量は、電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力によって特定されるので、電磁制御式のパイロット圧調整弁を制御することで、粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジンに作用させることができる。
前記燃焼再生機能始動スイッチの操作をオペレータが行なうのに代えて自動で切り替える構成としてもよい。
前記燃焼再生機能始動スイッチに代え、前記第三の切替手段を強制的に閉路する第二の燃焼再生機能始動スイッチを設けた構成としてもよい。
よって、可変容量ポンプで駆動される油圧系のコントロールバルブが中立となったような状態、つまり、油圧系のネガティブコントロール圧力が高くなった状況下であっても、ネガティブコントロール制御部に入力される流量調整用のパイロット圧力を大気圧相当にまで引き下げることができる。
従って、第二の燃焼再生機能始動スイッチを操作しない場合つまり油圧系のネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部に入力される場合よりも可変容量ポンプのポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプを駆動するディーゼルエンジンの負荷が増大することになるので、ディーゼルエンジンの排気温の上昇によって、ディーゼルエンジンの排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルターに堆積している粒子状物質を焼却除去することができるようになる。
このとき可変容量ポンプの作動によって消費されるエネルギー、つまり、油圧系のセンターバイパス回路の内圧と可変容量ポンプにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積が、ディーゼルエンジンに作用する負荷である。
この状況下ではネガティブコントロール制御部による可変容量ポンプのポンプ吐出量の制限が解除されることになるので、可変容量ポンプの作動によって消費されるエネルギーつまりディーゼルエンジンに作用する負荷は、その時点のパワーシフト制御部の動作状態つまり電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力で制御されるパワーシフト制御部の動作状態に応じたポンプ制御馬力線図における最大負荷となる。
従って、燃焼再生機能始動スイッチを操作しない場合つまり油圧系のネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部に入力される場合よりも可変容量ポンプのポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプを駆動するディーゼルエンジンの負荷が増大することになるので、ディーゼルエンジンの排気温の上昇によって、ディーゼルエンジンの排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルターに堆積している粒子状物質を焼却除去することができるようになる。
このとき可変容量ポンプの作動によって消費されるエネルギー、つまり、油圧系のセンターバイパス回路の内圧と可変容量ポンプにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積がディーゼルエンジンに作用する負荷であり、ポンプ吐出量は、電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力によって特定されるので、電磁制御式のパイロット圧調整弁を制御することで、粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジンに作用させることができる。
しかも、第二の切替手段を除き、手動再生を実現するための格別なハードウェアを改めて設置する必要がないので、手動再生機能を有する油圧制御装置を安価に提供することが可能である。
従って、第二の燃焼再生機能始動スイッチを操作しない場合つまり油圧系のネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部に入力される場合よりも可変容量ポンプのポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプを駆動するディーゼルエンジンの負荷が増大することになるので、ディーゼルエンジンの排気温の上昇によって、ディーゼルエンジンの排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルターに堆積している粒子状物質を焼却除去することができる。
このとき可変容量ポンプの作動によって消費されるエネルギー、つまり、油圧系のセンターバイパス回路の内圧と可変容量ポンプにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積がディーゼルエンジンに作用する負荷であり、この状況下ではネガティブコントロール制御部による可変容量ポンプのポンプ吐出量の制限が解除されることになるので、可変容量ポンプの作動によって消費されるエネルギーつまりディーゼルエンジンに作用する負荷は、その時点のパワーシフト制御部の動作状態つまり電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力で制御されるパワーシフト制御部の動作状態に応じたポンプ制御馬力線図における最大負荷となる。
しかも、第三の切替手段を除き、手動再生を実現するための格別なハードウェアを改めて設置する必要がないので、手動再生機能を有する油圧制御装置を安価に提供することが可能である。
図1は本発明を適用した一実施形態の油圧制御装置1を示した機能ブロック図である。
また、油圧制御装置1は、可変容量ポンプ3a,3bから送出される作動油によって駆動される油圧系であるコントロールバルブ群5と、パワーシフト制御部6a,6bおよびネガティブコントロール制御部7a,7bと、パワーシフト制御部6a,6bおよびネガティブコントロール制御部7a,7bの作動状態に応じて傾転盤8a,8bを操作して可変容量ポンプ3a,3bのポンプ吐出量を調整する調整手段9a,9b、ならびに、電磁制御式のパイロット圧調整弁10と、エンジン制御用のエンジンコントロールユニット17(以下、単にECU17という)を介して入力されるディーゼルエンジン2の回転数等の情報に基いてパイロット圧調整弁10を制御するコントローラ(Automatic Power Controller)11を備える。
図1では制御弁13aのスプールがニュートラル位置にある状態を示しており、この状態では、ピストン部材12aの右端部に形成された大径の受圧面を内嵌した油室14a内の作動油の出入りが禁止されるため、ピストン部材12aが定位置保持状態となって傾転盤8aの傾きが現位置に保持され、可変容量ポンプ3aのポンプ吐出量が現在の状態に維持される。
また、制御弁13aのスプールが図1中で右側にシフトした場合には、ピストン部材12aの右端部に形成された大径の受圧面を内嵌した油室14a内の作動油の出入りが許容されると共に、ピストン部材12aの左端部に形成された小径の受圧面を内嵌した油室15a内に可変容量ポンプ3aから送出される作動油が流入し、ピストン部材12aが図1中で右方にシフトし、傾転盤8aがクロックワイズ方向に揺動して可変容量ポンプ3aにおけるポンプ吐出量が増大する。
更に、制御弁13aのスプールが図1中で左側にシフトした場合には、油室14aおよび油室15aの双方に可変容量ポンプ3aから送出される作動油が流入するが、ピストン部材12aの両端部に形成された受圧面の大小関係からピストン部材12aが図1中で左方にシフトし、傾転盤8aがカウンタークロックワイズ方向に揺動して可変容量ポンプ3aにおけるポンプ吐出量が減少する。
つまり、パワーシフト制御部6aのアクチュエータを構成するピストン部材16aには併せて3つの受圧面が形成されており、その内の一つが可変容量ポンプ3aから送出される作動油の圧力を受け、また、他の一つが可変容量ポンプ3bから送出される作動油の圧力を受けて、ピストン部材16a更には制御弁13aのスプールを図1中で左方にシフトさせることでピストン部材12aを図1中で左方に移動させて傾転盤8aをカウンタークロックワイズ方向に揺動させて可変容量ポンプ3aのポンプ吐出量を制限することによってポンプ吐出圧力の増大に応じてポンプ吐出量を減少させ、可変容量ポンプ3aの出力、すなわち、ポンプ吐出圧力とポンプ吐出量の積算値を設定値の近傍に保持すると共に、ピストン部材16aにおける更に別の受圧面にパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力をオーバーライドして印加することにより、可変容量ポンプ3aの出力設定値それ自体をシフトさせる構成である。
この際、パイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力の大きさは、エンジン回転数等の情報に基いてパイロット圧調整弁10を制御するコントローラ11によって自動的に演算され、目標エンジン回転数と実エンジン回転数の偏差等に応じたパワーシフトがなされる。
ネガティブコントロール制御部7aに入力される流量調整用のパイロット圧力が上昇すればピストン部材20a更には制御弁13aのスプールが図1中で左方にシフトし、ピストン部材12aが図1中で左方に移動して傾転盤8aがカウンタークロックワイズ方向に揺動することで可変容量ポンプ3aのポンプ吐出量を減少させ、流量調整用のパイロット圧力が下がればピストン部材20a更には制御弁13aのスプールが図1中で右方にシフトし、ピストン部材12aが図1中で右方に移動して傾転盤8aがクロックワイズ方向に揺動することによって可変容量ポンプ3aのポンプ吐出量の制限が解除される。
また、図1に示されるように第二の切替手段である切替弁23aが開いた状況下において第一の切替手段である切替弁22aが非作動状態となった場合には、センターバイパス回路18aから供給される流量調整用のパイロット圧力つまりネガティブコントロール圧力との比較対象となる圧力が大気圧となるので、パイロット圧力選択手段となるシャトル弁21aは、センターバイパス回路18aから供給される流量調整用のパイロット圧力を高圧側のパイロット圧力として定常的に選択する。この状態を、パイロット圧力選択手段となるシャトル弁21aの非作動状態と規定する。
従って、シャトル弁21aは、油圧系のセンターバイパス回路18aからのネガティブコントロール圧力と電磁制御式のパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力を流量調整用のパイロット圧力の候補として選択するパイロット圧力選択手段であり、また、切替弁22aは、パイロット圧力選択手段であるシャトル弁21aを作動状態、つまり、高圧側のパイロット圧力を選択して出力する状態と、非作動状態、要するに、センターバイパス回路18aから供給されるガティブコントロール圧力を定常的に選択し続ける状態の何れかに切り替えるための第一の切替手段である。
そして、切替弁23aは、油圧系のセンターバイパス回路18aからパイロット圧力選択手段であるシャトル弁21aに到る圧力の伝達管路上に配置されて其の管路を開閉する常開型の第二の切替手段である。
なお、差圧センサ28の構成や作用に関しては特許第4944152号等でも既に公知であるが、この実施形態では差圧センサ28をディーゼル微粒子捕集フィルター24の目詰まりの程度を検知するために利用しており、その用途が従来例とは異なる。
燃焼再生機能始動スイッチ25それ自体の設置先は、作業車のキャビン内のインストルメントパネルの周辺等である。
エンジンアクセル指令値は、ディーゼルエンジン2に設けられたスロットル開度センサからの信号である。
また、第一の切替手段として機能する切替弁22a,22bおよび第二の切替手段として機能する切替弁23a,23bとパイロット圧調整弁10は、コントローラ11の出力回路33を介してCPU29によって駆動制御され、燃焼再生機能始動スイッチ25と共に作業車のキャビン内のインストルメントパネルの周辺等に設置されたディスプレイ34には、CPU29からの指令に応じて各種のアラートやアラームに関わる注意喚起が表示されるようになっている。
図4は通常のパワーシフトの一例を示した概念図であり、図4中のf0はパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力を最小とした場合、つまり、制限を行わない最大出力時のポンプ吐出圧力Pとポンプ吐出量Qの関係を表す関数、また、fmaxはパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力を最大とした場合、要するに、最大のパワーシフトを行った最小出力時のポンプ吐出圧力Pとポンプ吐出量Qの関係を表す関数である。傾転盤8aを操作するピストン部材12aは図1中の左右方向に連続的に位置を変化させることが可能であるため、可変容量ポンプ3aの出力の設定値は図4中の区間Xの範囲で任意に選択可能であるが、パワーシフトの限度はピストン部材16aの3つの受圧面の大きさやピストン部材16aおよび制御弁13aにおける原位置復帰バネの弾性力の大きさ等が複雑に関連して決まるため、従来の油圧制御装置たとえば特開2001−254681号公報等に開示されるような油圧制御装置等にあっては、パワーシフトの範囲を区間Xを越えて広げるといったことはできない。
このとき、例えば、図5における関数fi上の点fi,jにおける出力を実現するためには、理論上、ポンプ吐出圧力をPi,jとし、かつ、ポンプ吐出量をQi,jとすればよいが、このような出力状態はパワーシフト制御部6a,6bによるパワーシフトを適用した通常のパワーシフトの区間Xでは不可能である。しかし、ポンプ吐出圧力Pi,jに対応して必要とされるポンプ吐出量Qi,jは、図6に示されるネガティブコントロール制御部7a,7bを利用したポンプ吐出量制御の範囲内にあるので、ネガティブコントロール制御部7a,7bに対するパイロット圧力をRi,jとすることによって、fi,jにおける出力の実現に必要とされるポンプ吐出量Qi,jを実現することが可能である。
これと同様に、図5中の関数fi上の点fi,j=fi,0〜fi,mの全てが再現されればよいわけであるから、例えば、図7に示されるようにして、j=0〜mの全てについてポンプ吐出圧力Pi,jと該ポンプ吐出圧力Pi,jを実現するために必要とされるネガティブコントロール制御部7a,7bに対するパイロット圧力Ri,jの関係を求め、不揮発性の記憶手段として機能するROM30にファイルとして記憶させた後、圧力センサ26a,26bによってポンプ吐出圧力の総和の現在値Pを検出し、該現在値Pと略一致するポンプ吐出圧力Pi,jを図7のようなファイルから検索し、このポンプ吐出圧力Pi,jに対応するパイロット圧力Ri,jがネガティブコントロール制御部7a,7bに印加されるようにパイロット圧調整弁10に印加する電流つまりパイロット圧調整弁10から供給されるパイロット圧力を比例制御すればよいことになる。
なお、関数fiの分割数であるmの値が有限である場合、つまり、ポンプ吐出圧力Pi,jとポンプ吐出圧力Pi,j+1が不連続となる場合には、ポンプ吐出圧力の現在値Pがファイルに記憶された何れかのポンプ吐出圧力Pi,jと完全に一致するとは限らないので、通常は、ポンプ吐出圧力の現在値Pを挟む前後のポンプ吐出圧力Pi,jおよびPi,j+1と此れらに対応するパイロット圧力Ri,jおよびRi,j+1を図7のようなファイルから求めた上で、更に、比例配分の処理を行ってポンプ吐出圧力の現在値Pに厳密に対応するパイロット圧力Rを求めるようにする。
具体的には、R=Ri,j+〔(P−Pi,j)/(Pi,j+1−Pi,j)〕・(Ri,j+1−Ri,j)の演算式を利用して比例配分を実行することでパイロット圧力Rを求めるようにすればよい。
あるいは、関数fiと関数g自体を不揮発性の記憶手段としてのROM30に記憶させておき、関数fiにポンプ吐出圧力の現在値Pを代入して必要とされるポンプ吐出量Qを求め、更に、ポンプ吐出量Qを関数gに代入してパイロット圧力Rを求めるようにしても構わない。
例えば、図7に示されるようなファイルと比べてパイロット圧力Ri,jの値が大きめのファイルを図7のファイルと並列的に設け、閾値RS’<閾値RSの条件の下、RS’<Rn≦RSの状況下で図7のファイルを選択し、更に、Rn<RS’の状況下で他方のファイルを選択するようにすれば、ディーゼルエンジン2の回転数Rnに応じて2段階のパワーシフトが可能である。
図8に示される例では、ポンプ吐出圧力PがPmid以下の際にポンプ吐出量Qが定常的にQmax’となるように制限する必要があるので、図6の特性から明らかなように、図9に示されるようなファイルにおいて、Pi,jの項がPmid以下となる区間に対応するRi,0〜Ri,jの項に全てRmax’の値を記憶させることになる。
その場合は、ディスプレイ34上における目詰まり検知のアラート表示が其のまま維持されることになる。
但し、パワーシフトに関連した処理の実施に必要とされるステップS2の処理は継続して実行されるので、燃焼再生機能始動スイッチ25が実際に操作されない限り、前記と同様にして、パワーシフトに関連するステップS16〜ステップ20の処理が許容されることになる。
CPU29は、更に、出力回路33を介して第一の切替手段である切替弁22a,22bに作動指令を出力して切替弁22a,22bを作動させ、パイロット圧力選択手段であるシャトル弁21a,21bを強制的に作動状態とすることによって、パイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力とセンターバイパス回路18a,18bから供給される流量調整用のパイロット圧力との大小関係がシャトル弁22a,22bにより比較されて相対的に高圧のパイロット圧力がネガティブコントロール制御部7a,7bに供給されるようにする。
しかし、この時点では既に切替弁23a,23bの閉路によってセンターバイパス回路18a,18bからのネガティブコントロール圧力がパイロット圧力選択手段であるシャトル弁21a,21bに伝達されなくなっているので、作動状態にあるパイロット圧力選択手段すなわちシャトル弁21a,21bは、パイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力を高圧側の圧力として常時選択することになり、ネガティブコントロール制御部7a,7bには、パイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力が流量調整用のパイロット圧力として入力されることになる。
従って、可変容量ポンプ3a,3bで駆動される油圧系であるコントロールバルブ群5のコントロールバルブが中立となったような状態、つまり、センターバイパス回路18a,18bからの帰還であるネガティブコントロール圧力が高くなった状況下であっても、燃焼再生機能始動スイッチ25を操作すれば、ネガティブコントロール制御部7a,7bに入力される流量調整用のパイロット圧力を電磁制御式のパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力にまで引き下げることが可能となり、燃焼再生機能始動スイッチ25を操作しない場合つまりセンターバイパス回路18a,18bからのネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部7a,7bに入力される場合よりもネガティブコントロール制御部7a,7bにおけるピストン部材20a,20bの突出によるポンプ吐出量の制限を軽減することができる。
これにより、可変容量ポンプ3a,3bのポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプ3a,3bを駆動するディーゼルエンジン2の負荷が増大するので、ディーゼルエンジン2の排気温の上昇によってディーゼルエンジン2の排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルター28に堆積している粒子状物質を焼却除去することができるようになる。
このとき可変容量ポンプ3a,3bの作動によって消費されるエネルギー、つまり、センターバイパス回路18a,18bに作用する内圧と可変容量ポンプ3a,3bにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積がディーゼルエンジン2に作用する負荷である。
センターバイパス回路18a,18bに作用する内圧の上限はリリーフ弁27a,27bの設定で決まり、可変容量ポンプ3a,3bのポンプ吐出量は、電磁制御式のパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力によって特定されるので、パイロット圧調整弁10を制御することで、粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジン2に作用させることができる。(以上、ステップS9)
手動再生の継続時間をタイマ制御する構成に代え、オペレータによる燃焼再生機能始動スイッチ25の操作継続時間だけ切替弁23a,23b,22a,22bを作動させる構成を採用することも可能である。
目詰まりの発生と見做すべき排気圧偏差の値はエンジンアクセル指令値やエンジン回転数等によっても異なるが、ECU17は、エンジンアクセル指令値やエンジン回転数と閾値との対応関係を記憶したテーブルを参照して其の時点のエンジンアクセル指令値やエンジン回転数の値に対応する閾値を特定することにより、目詰まり発生の有無を的確に判定することができる(段落0039参照)。
既に述べた通り、ディーゼルエンジン2に作用する負荷はセンターバイパス回路18a,18bに作用する内圧と可変容量ポンプ3a,3bにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積で決まり、このうち、可変容量ポンプ3a,3bのポンプ吐出量は、電磁制御式のパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力によって自由に調整することができるので、パイロット圧調整弁10を制御するだけで、粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジン2に作用させて最適の状態で粒子状物質の焼却除去作業を実施することが可能となる。
粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジン2に作用させるために必要とされるパイロット圧調整弁10の駆動電流は実験によって容易に求められるので、この駆動電流の値をROM30に格納しておき、ステップS9の処理でROM30から適切な駆動電流の値を読み込み、その駆動電流をパイロット圧調整弁10に印加し、また、ステップS17の処理で、この駆動電流の印加を解除することになる。
図10は、切替弁23a,23bによって構成される第二の切替手段を廃し、パイロット圧力選択手段となるシャトル弁21a,21bからネガティブコントロール制御部7a,7bに到る圧力の伝達管路上に常開型の第三の切替手段、すなわち、切替弁35a,35bを設けると共に、前述の燃焼再生機能始動スイッチ25に代えて、第三の切替手段である切替弁35a,35bを強制的に閉路する第二の燃焼再生機能始動スイッチである燃焼再生機能始動スイッチ25’を設けた作業車の油圧制御装置1’の構成の概略を示した機能ブロック図である。
従って、可変容量ポンプ3a,3bで駆動される油圧系であるコントロールバルブ群5のコントロールバルブが中立となったような状態、つまり、センターバイパス回路18a,18bからの帰還であるネガティブコントロール圧力が高くなった状況下であっても、燃焼再生機能始動スイッチ25’を操作すれば、ネガティブコントロール制御部7a,7bに入力される流量調整用のパイロット圧力が大気圧相当に維持されることになり、燃焼再生機能始動スイッチ25’を操作しない場合つまりセンターバイパス回路18a,18bからのネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部7a,7bに入力される場合よりもネガティブコントロール制御部7a,7bにおけるピストン部材20a,20bの突出によるポンプ吐出量の制限が軽減される。
これにより、可変容量ポンプ3a,3bのポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプ3a,3bを駆動するディーゼルエンジン2の負荷が増大することとなり、ディーゼルエンジン2の排気温の上昇によってディーゼルエンジン2の排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルター28に堆積している粒子状物質を焼却除去することができるようになる。
このとき可変容量ポンプ3a,3bの作動によって消費されるエネルギー、つまり、センターバイパス回路18a,18bに作用する内圧と可変容量ポンプ3a,3bにおける単位時間当たりのポンプ吐出量との積が、ディーゼルエンジン2に作用する負荷である。
この状況下ではネガティブコントロール制御部7a,7bによる可変容量ポンプ3a,3bのポンプ吐出量の制限が完全に解除されることになるので、可変容量ポンプ3a,3bの作動によって消費されるエネルギーつまりディーゼルエンジン2に作用する負荷は、その時点のパワーシフト制御部6a,6bの動作状態つまりパイロット圧調整弁10から供給される出力選択用のパイロット圧力で制御されるパワーシフト制御部7a,7bの動作状態に応じたポンプ制御馬力線図における最大負荷となる。
なお、第三の切替手段である切替弁35a,35bを非作動の初期状態に戻すタイミングは、図3のステップS17に対応するタイミングである。
粒子状物質を除去するディーゼル微粒子捕集フィルター(24)をディーゼルエンジン(2)の排気経路内に有し、
前記ディーゼルエンジン(2)で駆動される可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出圧力の変化に従動させて前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプ(3a,3b)の出力を設定値に保持すると共に出力選択用のパイロット圧力を受けて前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプの出力の設定値を変更するパワーシフト制御部(6a,6b)と、前記可変容量ポンプ(3a,3b)から吐出される作動油で駆動される油圧系(5)のセンターバイパス回路(18a,18b)からのネガティブコントロール圧力と電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力を流量調整用のパイロット圧力の候補として選択するパイロット圧力選択手段(21a,21b)と、前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)によって候補として選択された圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する作動状態と前記ネガティブコントロール圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する非作動状態の何れかに前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)の作動状態を切り替える第一の切替手段(22a,22b)と、前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)から出力される流量調整用のパイロット圧力の上昇に応じて前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を減少させる方向で前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を調整するネガティブコントロール制御部(7a,7b)とを備えた作業車の油圧制御装置(1)において、
前記センターバイパス回路(18a,18b)から前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)に到る圧力の伝達管路上に配置されて当該管路を開閉する常開型の第二の切替手段(23a,23b)と、
前記第二の切替手段(23a,23b)を強制的に閉路すると共に前記第一の切替手段(22a,22b)により前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)を強制的に作動状態とする燃焼再生機能始動スイッチ(25)とを設けたことを特徴とする作業車の油圧制御装置(1)。
粒子状物質を除去するディーゼル微粒子捕集フィルター(24)をディーゼルエンジン(2)の排気経路内に有し、
前記ディーゼルエンジン(2)で駆動される可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出圧力の変化に従動させて前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプ(3a,3b)の出力を設定値に保持すると共に出力選択用のパイロット圧力を受けて前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプ(3a,3b)の出力の設定値を変更するパワーシフト制御部(6a,6b)と、前記可変容量ポンプ(3a,3b)から吐出される作動油で駆動される油圧系(5)のセンターバイパス回路(18a,18b)からのネガティブコントロール圧力と電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力を流量調整用のパイロット圧力の候補として選択するパイロット圧力選択手段(21a,21b)と、前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)によって候補として選択された圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する作動状態と前記ネガティブコントロール圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する非作動状態の何れかに前記パイロット圧力選択手段の作動状態を切り替える第一の切替手段(22a,22b)と、前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)から出力される流量調整用のパイロット圧力の上昇に応じて前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を減少させる方向で前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量を調整するネガティブコントロール制御部(7a,7b)と、前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出圧力を検出する圧力センサ(26a,26b)と、前記パワーシフト制御部(6a,6b)を利用した通常のパワーシフト制御の範囲を超えて低出力側にシフトされたポンプ吐出圧力とポンプ吐出量の関係を表す関数として、前記可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出圧力と此のポンプ吐出圧力に対応するポンプ吐出量を満たすために前記ネガティブコントロール制御部(7a,7b)が必要とする流量調整用のパイロット圧力との関係を記憶した不揮発性の記憶手段(30)と、前記ディーゼルエンジン(2)のトルク出力が減少する低回転域のエンジン回転数に基いて設定された閾値(RS)とエンジン回転数の現在値(Rn)とを比較し、エンジン回転数の現在値(Rn)が前記閾値(RS)を下回らなければ前記第一の切替手段(22a,22b)により前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)を非作動状態とする一方、エンジン回転数の現在値(Rn)が前記閾値(RS)を下回ると前記第一の切替手段(22a,22b)により前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)を作動状態とすると共に前記圧力センサ(26a,26b)で検出されたポンプ吐出圧力に基いて前記不揮発性の記憶手段(30)から流量調整用のパイロット圧力を求め、求められた流量調整用のパイロット圧力が出力されるように前記パイロット圧調整弁(10)を制御する制御手段(29)とを備えた作業車の油圧制御装置(1)において、
前記センターバイパス回路(18a,18b)から前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)に到る圧力の伝達管路上に配置されて当該管路を開閉する常開型の第二の切替手段(23a,23b)と、
前記第二の切替手段(23a,23b)を強制的に閉路すると共に前記第一の切替手段(22a,22b)により前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)を強制的に作動状態とする燃焼再生機能始動スイッチ(25)とを設けたことを特徴とする作業車の油圧制御装置(1)。
これに対し、燃焼再生機能始動スイッチ(25)が非作動の状態で、かつ、可変容量ポンプ(3a,3b)を駆動するディーゼルエンジン(2)のトルク出力が減少する低回転域のエンジン回転数に基いて設定された閾値(RS)をエンジン回転数の現在値(Rn)が下回る状況下では、第一の切替手段(22a,22b)によってパイロット圧力選択手段(21a,21b)が作動状態に切り替えられ、油圧系(5)のセンターバイパス回路(18a,18b)からのネガティブコントロール圧力と出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力が選択されてネガティブコントロール制御部(7a,7b)に流量調整用のパイロット圧力として供給されるようになる。
エンジン回転数の現在値(Rn)が閾値(RS)を下回った状況下では、パイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力が必然的に高くなり、結果として、油圧系(5)のセンターバイパス回路(18a,18b)からのネガティブコントロール圧力を上回ることとなり、パイロット圧力選択手段(21a,21b)は、出力選択用のパイロット圧力をネガティブコントロール制御部(7a,7b)に流量調整用のパイロット圧力として供給することになる。
このように、パイロット圧力選択手段(21a,21b)が作動状態となっている場合には、制御手段(29)は、出力選択用の通常のパイロット圧力に代えて、ポンプ吐出圧力を検出する圧力センサ(26a,26b)で検出された圧力に基づいて不揮発性の記憶手段(30)から流量調整用のパイロット圧力を求め、パイロット圧調整弁(10)から供給されるパイロット圧力が、不揮発性の記憶手段(30)から求められた流量調整用のパイロット圧力となるようにパイロット圧調整弁(10)を制御する。そして、このパイロット圧力がパイロット圧調整弁(10)からパイロット圧力選択手段(21a,21b)を介してネガティブコントロール制御部(7a,7b)に供給される。
不揮発性の記憶手段(30)には、所望するポンプ吐出圧力とポンプ吐出量の関係を表す関数、具体的には、パワーシフト制御部(6a,6b)を利用した通常のパワーシフト制御の範囲を超えて低出力側にシフトされたポンプ吐出圧力とポンプ吐出量の関係が、ポンプ吐出圧力と該ポンプ吐出圧力に対応するポンプ吐出量を満たすためにネガティブコントロール制御部が必要とする流量調整用のパイロット圧力の関係として記憶されているので、圧力センサ(26a,26b)で検出されたポンプ吐出圧力の現在値に対応する流量調整用のパイロット圧力を不揮発性の記憶手段(30)から求めてネガティブコントロール制御部(7a,7b)に供給することにより、パワーシフト制御部(6a,6b)のみを利用した通常のパワーシフト制御の範囲を超えたパワーシフトを実現することができる。
このため、可変容量ポンプ(3a,3b)のパワーシフトの範囲を従来に比べて低出力側つまり可変容量ポンプ(3a,3b)を駆動するディーゼルエンジン(2)のトルク出力が減少する領域に広げることが可能となる。
そして、粒子状物質の焼却除去を強制的に実施する場合には、オペレータが燃焼再生機能始動スイッチ(25)を操作することによって、センターバイパス回路(18a,18b)からパイロット圧力選択手段(21a,21b)に到る圧力の伝達管路上に設けられた常開型の第二の切替手段(23a,23b)を閉路し、センターバイパス回路(18a,18b)からのネガティブコントロール圧力がパイロット圧力選択手段(21a,21b)に伝達されることを回避すると共に、第一の切替手段(22a,22b)によってパイロット圧力選択手段(21a,21b)を強制的に作動状態とする。
センターバイパス回路(18a,18b)からのネガティブコントロール圧力がパイロット圧力選択手段(21a,21b)に伝達されなくなる結果、作動状態にあるパイロット圧力選択手段(21a,21b)は、電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力を高圧側の圧力として選択し、ネガティブコントロール制御部(7a,7b)には、電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力が流量調整用のパイロット圧力として入力されるようになる。
よって、可変容量ポンプ(3a,3b)で駆動される油圧系(5)のコントロールバルブが中立となったような状態、つまり、油圧系(5)のネガティブコントロール圧力が高くなった状況下であっても、ネガティブコントロール制御部(7a,7b)に入力される流量調整用のパイロット圧力を電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力にまで引き下げることができる。
従って、燃焼再生機能始動スイッチ(25)を操作しない場合つまり油圧系(5)のネガティブコントロール圧力がネガティブコントロール制御部(7a,7b)に入力される場合よりも可変容量ポンプ(3a,3b)のポンプ吐出量が増大し、可変容量ポンプ(3a,3b)を駆動するディーゼルエンジン(2)の負荷が増大するので、ディーゼルエンジン(2)の排気温の上昇によって、ディーゼルエンジン(2)の排気経路内に設置されたディーゼル微粒子捕集フィルター(24)に堆積している粒子状物質を焼却除去することができるようになる。
このとき可変容量ポンプ(3a,3b)の作動によって消費されるエネルギー、つまり、油圧系(5)のセンターバイパス回路(18a,18b)の内圧と可変容量ポンプ(3a,3b)における単位時間当たりのポンプ吐出量との積がディーゼルエンジン(2)に作用する負荷である。
ポンプ吐出量は、電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)から供給される出力選択用のパイロット圧力によって特定されるので、電磁制御式のパイロット圧調整弁(10)を制御することで、粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジン(2)に作用させることができる。
粒子状物質の焼却除去に適した負荷をディーゼルエンジン(2)に作用させるために必要とされるパイロット圧調整弁(10)の駆動電流は実験によって容易に求められるので、この駆動電流の値を不揮発性の記憶手段(30)に格納しておき、第二の切替手段(23a,23b)を閉路して第一の切替手段(22a,22b)でパイロット圧力選択手段(21a,21b)を強制的に作動状態とする際に、不揮発性の記憶手段(30)から適切な駆動電流の値を読み込み、その駆動電流をパイロット圧調整弁10に印加することになる。
前記第二の切替手段(23a,23b)に代え、前記パイロット圧力選択手段(21a,21b)から前記ネガティブコントロール制御部(7a,7b)に到る圧力の伝達管路上に当該管路を開閉する常開型の第三の切替手段(35a,35b)を設けると共に、
前記燃焼再生機能始動スイッチ(25)に代え、前記第三の切替手段(35a,35b)を強制的に閉路する第二の燃焼再生機能始動スイッチ(25’)を設けたことを特徴とする付記1または付記2のうち何れか一項に記載の作業車の油圧制御装置(1’)。
2 ディーゼルエンジン
3a,3b 可変容量ポンプ
4 制御用ポンプ
5 コントロールバルブ群(油圧系)
6a,6b パワーシフト制御部
7a,7b ネガティブコントロール制御部
8a,8b 傾転盤
9a,9b 調整手段
10 パイロット圧調整弁
11 コントローラ
12a,12b ピストン部材
13a,13b 制御弁
14a,14b 油室
15a,15b 油室
16a,16b ピストン部材
17 エンジンコントロールユニット(ECU)
18a,18b センターバイパス回路
19a,19b 絞り弁
20a,20b ピストン部材
21a,21b シャトル弁(パイロット圧力選択手段)
22a,22b 切替弁(第一の切替手段)
23a,23b 切替弁(第二の切替手段)
24 ディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)
25 燃焼再生機能始動スイッチ
25’ 燃焼再生機能始動スイッチ(第二の燃焼再生機能始動スイッチ)
26a,26b 圧力センサ
27a,27b リリーフ弁
28 差圧センサ
29 マイクロプロセッサ(CPU)
30 ROM
31 RAM
32 入力回路
33 出力回路
34 ディスプレイ(DSP)
35a,35b 切替弁(第三の切替手段)
Claims (2)
- 粒子状物質を除去するディーゼル微粒子捕集フィルターをディーゼルエンジンの排気経路内に有し、
前記ディーゼルエンジンで駆動される可変容量ポンプのポンプ吐出圧力の変化に従動させて前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプの出力を設定値に保持すると共に出力選択用のパイロット圧力を受けて前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を調整することで前記可変容量ポンプの出力の設定値を変更するパワーシフト制御部と、前記可変容量ポンプから吐出される作動油で駆動される油圧系のセンターバイパス回路からのネガティブコントロール圧力と電磁制御式のパイロット圧調整弁から供給される出力選択用のパイロット圧力のうち高圧側の圧力を流量調整用のパイロット圧力の候補として選択するパイロット圧力選択手段と、前記パイロット圧力選択手段によって候補として選択された圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する作動状態と前記ネガティブコントロール圧力を流量調整用のパイロット圧力として出力する非作動状態の何れかに前記パイロット圧力選択手段の作動状態を切り替える第一の切替手段と、前記パイロット圧力選択手段から出力される流量調整用のパイロット圧力の上昇に応じて前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を減少させる方向で前記可変容量ポンプのポンプ吐出量を調整するネガティブコントロール制御部とを備えた作業車の油圧制御装置において、
前記センターバイパス回路から前記パイロット圧力選択手段に到る圧力の伝達管路上に配置されて当該管路を開閉する常開型の第二の切替手段と、
前記第二の切替手段を強制的に閉路すると共に前記第一の切替手段により前記パイロット圧力選択手段を強制的に作動状態とする燃焼再生機能始動スイッチとを設けたことを特徴とする作業車の油圧制御装置。 - 前記第二の切替手段に代え、前記パイロット圧力選択手段から前記ネガティブコントロール制御部に到る圧力の伝達管路上に当該管路を開閉する常開型の第三の切替手段を設けると共に、
前記燃焼再生機能始動スイッチに代え、前記第三の切替手段を強制的に閉路する第二の燃焼再生機能始動スイッチを設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車の油圧制御装置。
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