JP6285252B2 - 位相差フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、位相差フィルムに関する。
1/2波長板や1/4波長板などの位相差フィルムは有機ELディスプレイや液晶表示装置において、反射防止膜など多くの用途で使われている(例えば、特許文献1参照)。従来の位相差フィルムの複屈折率の絶対値は波長に対して単調減少するが、表示特性に優れる位相差フィルムには、光の波長が大きくなるほど位相差の絶対値が大きくなる波長分散性が求められる。本明細書では、このような性質を当業者に慣用されている呼び名に従い、また、一般的な高分子からなる光学部材が示す波長分散性とは逆であることに基づき、「逆波長分散性」と呼ぶ。
現在の位相差フィルムとしては、例えば、位相差が大きい複屈折性フィルムと位相差が小さい複屈折性フィルムとを積層することで逆波長分散性を発揮する位相差フィルムが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えば、特許文献3には、特殊ポリカーボネート配向フィルムを用いて単層で逆波長分散性を示す位相差フィルムが開示されている。これは正の屈折率異方性を有する高分子と負の屈折率異方性を有する高分子を共重合させることによって逆波長分散性を達成している。
特開2007−273275号公報 特開平5−27118号公報 特許第3325560号明細書
しかしながら、積層フィルムを用い、幅広い波長領域において必要な位相差特性を達成するには、二枚以上のポリマーフィルムを厳密に調整しながら積層する必要がある。また、特殊なポリマーを用いた位相差フィルムにおいては、広波長帯域で均一に位相差特性を発現することが難しい。また、ポリカーボネート配向フィルムを用いた場合、光弾性係数が高く応力による複屈折が大きく、位相差フィルムとして使用する場合に光抜けが起きるという問題がある。
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、単層であっても十分な耐熱性及び機械特性を有するだけでなく、十分に低い光弾性係数を有し、さらに優れた逆波長分散性をも有する位相差フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メタクリル系単量体単位と、マレイミド系単量体単位と、芳香族ビニル系単量体単位とを特定比率で含む共重合体を用いることで、良好な逆波長分散性を示す光学フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次のとおりである。
[1]
下記式(1)で表されるメタクリル系単量体単位(A)10〜55質量%と、下記式(2)で表されるマレイミド系単量体単位(B)40〜85質量%と、下記式(3)で表される芳香族ビニル系単量体単位(C)5〜29質量%と、を含有する共重合体を含み、
波長450nm、550nmで測定したレターデーション値Re(450)及びRe(550)が、下記関係式を満たす、位相差フィルム。
Re(450)/Re(550)<0.9
(式中、R1はメチル基を示す。R2は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、または下記A群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示す。
A群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。)
(式中、R3は、炭素数6〜14のアルキル基、炭素数6〜14の環状アルキル基、炭素数6〜14のアリール基、または下記B群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示し、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
B群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜14のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。)
(式中R6及びR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基又は直線状若しくは分岐状の炭素数が1〜6のアルキル基を示す。nは、0〜5の整数を示す。)
[2]
前記マレイミド系単量体(B)が、N−シクロヘキシルマレイミド及び/又はN−フェニルマレイミドを含む、[1]に記載の位相差フィルム。
[3]
前記芳香族ビニル系単量体単位(C)が、イソプロペニルベンゼン及び/又はスチレンを含む、[1]に記載の位相差フィルム。
[4]
光弾性係数の絶対値が55×10-12Pa-1以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の位相差フィルム。
本発明によれば、単層であっても十分な耐熱性及び機械特性を有するだけでなく、十分に低い光弾性係数を有し、さらに優れた逆波長分散性をも有する位相差フィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明はその要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、本明細書において、「単量体単位」又は「単位」とは、所定の単量体に対応する、共重合体を構成する単位をいう。
本実施形態の位相差フィルムは、下記式(1)で表されるメタクリル系単量体に由来する単位(A)10〜55質量%と、下記式(2)で表されるマレイミド系単量体に由来する単位(B)40〜85質量%と、下記式(3)で表される芳香族ビニル系単量体に由来する単位(C)5〜29質量%と、を含有する共重合体を含み、波長450nm、550nmで測定したレターデーション値Re(450)及びRe(550)が、下記関係式を満たす。
Re(450)/Re(550)<0.9
(式中、R1はメチル基を示す。R2は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、または下記A群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示す。
A群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。)
(式中、R3は、炭素数6〜14のアルキル基、炭素数6〜14の環状アルキル基、炭素数6〜14のアリール基、または下記B群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示し、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
B群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜14のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。)
(式中R6及びR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基又は直線状若しくは分岐状の炭素数が1〜6のアルキル基を示す。nは、0〜5の整数を示す。)
本実施形態の位相差フィルムは、上記のように構成されているため、単層であっても十分な耐熱性及び機械特性を有するだけでなく、十分に低い光弾性係数を有し、さらに優れた逆波長分散性をも有するものとすることができる。すなわち、本実施形態の位相差フィルムは、単層フィルムで逆波長分散性を示し、耐熱性が高い位相差フィルムが提供でき、有機ELディスプレイ等の反射防止膜として利用できる。より詳細には、本実施形態の位相差フィルムにおいては、特定比率でメタクリル系単量体単位、マレイミド系単量体単位、芳香族ビニル系単量体単位の三成分を含むように構成されているため、単層であっても高分子延伸配向フィルムとして好適に用いることができ、測定波長が長くなるほど位相差が大きくなる傾向を有し、広い波長領域で高い位相差特性を発現することができる。なお、本実施形態の効果を達成できる範囲で、共重合可能な他の単量体単位を共重合させることもできる。
<メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、他のビニル単量体>
上述したメタクリル酸エステル単量体に共重合可能な他のビニル単量体としては、下記一般式(4)で表されるアクリル酸エステル単量体が挙げられる。
(一般式(4)中、R8は水素原子を示し、R9は炭素数が1〜18のアルキル基を示す。)
前記一般式(4)で表されるアクリル酸エステル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等が挙げられ、特に、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸メチルが入手しやすくより好ましい。
また、前記メタクリル酸エステル単量体に共重合可能な、前記一般式(4)のアクリル酸エステル単量体以外の他のビニル単量体としては、以下の例に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸やメタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、桂皮酸等の不飽和基含有二価カルボン酸及びそれらのアルキルエステルが挙げられる。
以下に各単量体単位(単量体成分ともいう)について詳細に記載する。
<メタクリル酸エステル単量体単位(A)>
本実施形態における共重合体は、上記式(1)で表されるメタクリル酸エステル単量体単位(A)(以下、(A)成分、(A)と記載する場合がある。)を含む。
上記式(1)中、R1はメチル基を示す。R2は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、または下記A群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示す。
A群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び、炭素数1〜12のアルキル基。
上記式(1)に示すメタクリル酸エステル単量体の具体例としては、特に限定されるものではないが、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸(2−エチルヘキシル)、メタクリル酸(t−ブチルシクロヘキシル)、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)等が挙げられ、入手しやすさ等の観点からメタクリル酸エチルが好ましい。前記メタクリル酸エステル単量体単位は、一種類のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
メタクリル酸エステル単量体単位は、光学特性、機械強度の観点から、本実施形態の位相差フィルム用の共重合体中に10〜55質量%含まれ、好ましくは11〜50質量%、さらに好ましくは12〜40質量%含まれている。
<マレイミド系単量体単位(B)>
本実施形態における共重合体は、上記式(2)で表されるマレイミド系単量体単位(B)(以下、(B)成分、(B)と記載する場合がある。)を含む。
上記式(2)中のR3は、炭素数6〜14のアルキル基、炭素数6〜14の環状アルキル基、炭素数6〜14のアリール基、または下記B群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基からなる群より選択されるいずれかを表す。
B群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜14のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。)
マレイミド系単量体単位(B)の具体例としては、特に限定されるものではないが、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミド等が挙げられる。好ましくは、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(o−クロロフェニル)マレイミド、N−(m−クロロフェニル)マレイミド、N−(p−クロロフェニル)マレイミドが挙げられ、入手しやすさ、耐熱性付与の観点から、より好ましくは、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミドが挙げられ、さらに好ましくは、N−フェニルマレイミドである。すなわち、本実施形態においては、マレイミド系単量体(B)が、N−シクロヘキシルマレイミド及び/又はN−フェニルマレイミドを含むことが特に好ましい。上述したマレイミド系単量体単位(B)は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
マレイミド系単量体単位(B)は、良好な位相差付与及び耐熱性の観点から、位相差フィルム用の共重合体中に40〜85質量%含まれ、好ましくは45〜80質量%、さらに好ましくは50〜75質量%含まれている。
<芳香族ビニル系単量体単位(C)>
本実施形態における共重合体は、上記式(1)で表される芳香族ビニル系単量体単位(C)(以下、(C)成分、(C)と記載する場合がある。)を含む。
上記一般式(3)中、R6及びR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基又は直線状若しくは分岐状の炭素数が1〜6のアルキル基を示す。nは、0〜5の整数を示す。なお、本実施形態における(C)成分は、負の屈折率異方性を持つ単量体単位ということもできる。
芳香族ビニル系単量体単位(C)は、良好な位相差特性及び表面硬度の観点から、5〜29質量%、好ましくは10〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%含まれている。
前記芳香族ビニル系単量体の具体例としては、特に限定されるものではないが、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,4−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1,1−ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンゼン(α−メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等が挙げられる。これらは、本実施形態における共重合体に要求される特性に応じて適宜選択することができる。上記の中でも、スチレン、イソプロペニルベンゼンが好ましく、流動性付与や、重合転化率の向上による未反応モノマー類の低減などの観点から、スチレンがより好ましい。すなわち、本実施形態においては、芳香族ビニル系単量体単位(C)が、イソプロペニルベンゼン及び/又はスチレンを含むことが特に好ましい。上述した芳香族ビニル系単量体(C)は一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔位相差の逆波長分散特性〕
本明細書における位相差(レターデーション)とは、位相差測定における位相差値のことを指し、光がフィルムを透過した時にフィルムの配向方向とそれに垂直な方向の光の進行速度の差に基づく位相の差をいう。一般に位相差は光の波長の増加とともにその絶対値が小さくなる。これを順波長分散性と呼ぶ。1/2波長板や1/4波長板には、波長の増加とともに位相差の絶対値が大きくなる、逆波長分散性が求められる。
本実施形態の位相差フィルムにおける逆波長分散性は、具体的には次のとおり評価することができる。すなわち、波長450nm、550nmで測定したレターデーション値、Re(450)、Re(550)が、上記関係式「Re(450)/Re(550)<0.95」を満たす。好ましくは波長800nmで測定したレターデーション値を用いて「1.1<Re(800)/Re(550)<1.7」を満たし、より好ましくは「Re(450)/Re(550)<0.9」を満たし、さらに好ましくは「1.1<Re(800)/Re(550)<1.6」を満たす。なお、上記レターデーション値は後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
〔光弾性係数〕
本実施形態の位相差フィルムの光弾性係数の絶対値は、好ましくは55×10-12Pa-1以下であり、より好ましくは45×10-12Pa-1以下であり、さらに好ましくは35×10-12Pa-1以下である。絶対値が55×10-12Pa-1以下である場合、応力による複屈折を十分に低減でき、位相差フィルムとして使用する場合の光抜けをより効果的に防止できる傾向にある。なお、上記光弾性係数は後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
〔共重合体の分子量〕
本実施形態の位相差フィルム用の共重合体は、重量平均分子量が6万〜40万であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲の共重合体は、機械的強度、耐溶剤性及び流動性により優れる傾向にある。同様の観点から、好ましくは6万〜35万であり、さらに好ましくは7万〜30万である。
なお、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量:Mw/Mn)は、流動性と機械強度、耐溶剤性のバランスを考慮すると、1.5以上5以下であることが好ましい。より好ましくは1.7以上4.5以下であり、さらに好ましくは、1.8以上4.0である。
本実施形態の位相差フィルム用の共重合体の重量平均分子量、数平均分子量及びピーク分子量については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
〔共重合体の製造方法〕
以下、本実施形態における共重合体の製造方法について説明するが、以下に示す方法に限定されるものではない。
共重合体は、メタクリル酸エステル単量体(A)、マレイミド系単量体(B)、及び、芳香族ビニル単量体(C)を用い、以下に限定されないが、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等により製造できる。好ましくは塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法が用いられる。
本実施形態のメタクリル樹脂の製造において、重合温度は40℃から90℃、好ましくは50℃から80℃で実施される。重合温度が90℃以上になると、単一組成の樹脂を得ることが困難となり、好ましくない。
本実施形態における共重合体を製造する各種重合方法、すなわち、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法等における重合工程においては、製造する重合体の重合度を調整する目的で、重合開始剤を用いてもよい。
重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合、以下に限定されないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル等のアゾ系の一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの重合開始剤は、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが一般的であり、重合を行う温度と開始剤の半減期を考慮して適宜選ぶことができる。
本実施形態における共重合体の製造工程においては、本実施形態の目的を損なわない範囲で、製造する重合体の分子量を制御することができる。上記制御の方法としては、以下に限定されないが、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアルデヒド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤、ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体などのイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができ、さらにそれらの添加量を調節することで分子量を調節することが可能である。これらは要求される分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して0.001質量部〜3質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては、以下に限定されないが、例えば、重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法、重合途中で反応を強制的に止める方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、一種の方法だけを単独で用いてもよいし、二種類以上の方法を併用してもよい。
本実施形態における共重合体のガラス転移温度は、樹脂組成で任意に制御できるが、産業上の応用性の観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは140℃以上が実用上、好ましい。なお、上記ガラス転移温度は後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本実施形態の位相差フィルムは高分子鎖が実質的に配向していない未配向フィルムを延伸することにより製造することができる。延伸方法としては、特に限定されず、縦、横延伸のいずれの一軸延伸でもよく、また幅自由一軸延伸、幅固定一軸延伸のいずれでもよい。二軸延伸は逐次二軸、同時二軸延伸法のいずれでもよい。より詳細には、以下に限定されないが、例えば、工業的には、ロール延伸またはテンター延伸による一軸延伸法、ロール延伸とテンター延伸の組み合わせによる逐次2次延伸法、テンター延伸による同時2軸延伸法、チューブラー延伸による2軸延伸法等によって延伸フィルムを製造することができる。
延伸倍率は、少なくともどちらか一方に、好ましくは0.1%以上300%以下であり、より好ましくは1%以上200%以下であり、更に好ましくは2%以上150%以下である。延伸倍率を上記範囲に設計する場合、複屈折、強度の観点でより好ましい延伸成形体(フィルム)が得られる傾向にある。
延伸倍率は、得られたフィルムをガラス転移温度よりも20℃以上高い温度で収縮させ以下の関係式から決定できる。また、ガラス転移温度はDSC法や粘弾性法により求めることができる。
延伸倍率(%)=〔(収縮前の長さ/収縮後の長さ)−1〕×100
[その他の添加剤]
本実施形態における共重合体には、その他の添加剤を添加してもよい。上記添加剤としては、以下に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/又はリン系酸化防止剤等の酸化防止剤等が挙げられ、好ましくはヒンダードフェノール系酸化防止剤である。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体例としては、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
また、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として市販のフェノール系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のフェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体例としては、イルガノックス1010(Irganox 1010:ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1076(Irganox 1076:オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス1330(Irganox 1330:3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3114(Irganox 3114:1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガノックス3125(Irganox 3125、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。この中でも、特にイルガノックス1010、イルガノックス1076、スミライザーGS等を用いるのが好ましい。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
また、リン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体例としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
さらに、リン系酸化防止剤として市販のリン系酸化防止剤を使用してもよく、このような市販のリン系酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体例としては、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、旭電化製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、旭電化製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、旭電化製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
(紫外線吸収剤)
本実施形態における共重合体には、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。特に、光学用途に用いる場合には、紫外線吸収効果を有していることが好ましく、例えば、液晶ディスプレイ周辺の位相差フィルムとして用いる場合は、紫外線吸収効果を付与することが特に好ましいといえる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、具体例としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンズオキサジノン系化合物等が挙げられる。この中でも、好ましくはベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物である。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
紫外線吸収剤は、成形加工性に優れる傾向にあるため、20℃における蒸気圧(P)が、好ましくは1.0×10-4Pa以下であり、より好ましくは1.0×10-6Pa以下であり、さらに好ましくは1.0×10-8Pa以下である。なお、本明細書において、「成形加工性に優れる」とは、例えば、フィルム成形時に、低分子化合物のロールへの付着が少ないこと等を示す。例えば、低分子化合物がロールへ付着すると、光学材料用成形体表面へロールを介して低分子化合物が付着しうるため、低分子化合物のロールへの付着を低減することは、光学材料用成形体の外観、光学特性をより良好なものとする観点から好ましいといえる。ここで、本明細書における「低分子化合物」とは、例えば、紫外線吸収剤由来の熱分解物や揮発分のことを言う。
紫外線吸収剤は、成形加工性に優れる傾向にあるため、融点(Tm)が、好ましくは80℃以上であり、より好ましくは130℃以上であり、さらに好ましくは160℃以上である。
紫外線吸収剤は、成形加工性に優れる傾向にあるため、23℃から260℃まで20℃/minの速度で昇温した場合の紫外線吸収剤の重量減少率が、好ましくは50%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
本実施形態の位相差フィルムは、分光光度計を用いて測定した380nmにおける分光透過率が5%以下、且つ400nmにおける分光透過率が65%以上であることが好ましい。紫外領域である380nmの分光透過率が低いほど偏光子や液晶素子の劣化を防ぎ、可視領域である400nm分光透過率が高いほど色再現性に優れる傾向にあるため、光学フィルムとして好ましく用いることができる。
本実施形態における共重合体には、本実施形態の効果を損なわない範囲で、他の重合体を混合することができる。このような重合体としては、特に限定されないが、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、並びにポリアセタール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
また、本実施形態における共重合体には、各種目的に応じてさらに任意の添加剤を配合することができる。上記添加剤の種類は、樹脂の配合に一般的に用いられるものであれば特に限定されない。具体的には、ゴム質重合体;ブタジエン系ABSゴム、アクリル系、ポリオレフィン系、シリコーン系、フッ素ゴム等の多層構造を有するゴム粒子、二酸化珪素等の無機充填剤;酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた各成分は以下のものである。
〔共重合体の分子量測定〕
各例で得られた共重合体の重量平均分子量、分子量分布を下記の装置及び条件で測定した。
測定装置:東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC)を用いた。
カラム:TSKguardcolumn SuperH−H 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKgel SuperH2500 1本を順に直列接続して使用した。すなわち、本カラムでは、高分子量成分が早く溶出し、低分子量成分は溶出する時間が遅くなるように構成した。
検出器:RI(示差屈折)検出器を用いた。
検出感度:3.0mV/minとした。
カラム温度:40℃とした。
サンプル:0.02gのメタクリル系樹脂のテトラヒドロフラン20mL溶液を用いた。
注入量:10μLとした。
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/minとした。
内部標準:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
検量線用標準サンプル:単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymer Laboratories製;PMMA Calibration Kit M−M−10)を用いた。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準資料10 850
上記の条件で、メタクリル系樹脂の溶出時間に対する、RI検出強度を測定した。GPC溶出曲線におけるエリア面積と、7次近似式の検量線を基にメタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
〔共重合体のガラス転移温度測定〕
重合により得られた各例の共重合体のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン(株)製 Diamond DSC)を用いて、窒素ガス雰囲気下、α−アルミナをリファレンスとし、JIS−K−7121に準拠して、試料約10mgを常温から250℃まで昇温速度20℃/minで昇温して得られたDSC曲線から中点法で算出した。
〔プレスフィルムの成型〕
各例で得られた位相差フィルムを、真空圧縮成型機((株)神藤金属工業所製 SFV−30型)を用いて、大気圧下、260℃で25分間予熱後、真空下(約10kPa)、260℃、約10MPaで5分間圧縮して、プレスフィルムを成型した。
〔延伸フィルムの成型〕
各例で得られた位相差フィルムを、インストロン社製5t引張試験機を用いて、延伸温度(Tg+20)℃、延伸速度500mm/分で一軸フリー延伸して延伸フィルムを作成した。延伸倍率は、100%で延伸した。
〔位相差の逆波長分散性測定〕
位相差測定装置(KOBRA−WR、王子測定機器(株)製)を用いて、波長400nmから800nmまでの範囲で、23℃における上記延伸フィルムの位相差を測定した。ここで、面内位相差(Re)は下記式により定義される値を採用した。
Re=(nx−ny)×d
(式中、nx、ny:面内の主屈折率、d:厚み)
得られた位相差はフィルムの厚さ100μmに換算して評価した。Re(450nm)/Re(550nm)を求めることで、位相差の逆波長分散性を評価した。
〔光弾性係数〕
Polymer Engineering and Science 1999, 39, 2349−2357に記載のある複屈折測定装置を用いた。具体的には、レーザー光の経路に上記延伸フィルムの引っ張り装置(井本製作所製)を配置し、23℃で延伸応力をかけながらその複屈折を、大塚電子(株)製RETS−100を用いて回転検光子法により波長400nm〜800nmの範囲について測定した。伸張時の歪速度は50%/分(チャック間:50mm、チャック移動速度:5mm/分)、試験片幅は6mmで測定を行った。複屈折の絶対値(|Δn|)と延伸応力σRの関係から、最小二乗近似によりその直線の傾きを求め、光弾性係数(CR)を計算した。計算には伸張応力が2.5MPa≦σR≦10MPaの間のデータを用いた。
CR=|Δn|/σR
|Δn|=|nx−ny|
(CR:光弾性係数、σR:伸張応力、|Δn|:複屈折の絶対値、nx:伸張方向の屈折率、ny:伸張方向に垂直な屈折率)
〔耐折強度の測定(靭性の評価)〕
上記のプレス成形で得られた各種プレスフィルムを180°折り曲げて、耐折強度の試験を行った。以下の○〜×を判定基準とした。
○;2回以上の180°折り曲げで割れなかった。
△;1回の180°折り曲げで割れなかった。2回以上の折り曲げで割れた。
×;1回の180°折り曲げで割れた。
〔表面鉛筆硬度〕
上記のプレス成形で得られた各種プレスフィルムを対象として、JIS−K5600規格に準拠して測定を行い、表面鉛筆硬度の指標とした。
[実施例1]
実施例1の位相差フィルムに含まれる共重合体の製造は塊状重合法によって行った。すなわち、試験管中にメタクリル酸エチル(表1中では単に「MMA」と表記)6g、N−フェニルマレイミド(表1中では単に「PMI」と表記)10g、スチレン(表1中では単に「St」と表記)4gを投入し、開始剤としてラウロイルパーオキサイド0.02g、連鎖移動剤としてn−オクチルメルカプタン0.02gを加えて、60℃で約3時間放置して重合を行った。重合したサンプルを50mlテトラヒドロフランに溶解し、2Lメタノール中で再沈殿操作を行った。この工程を2回繰り返し、残モノマーを除去した。
これにより得られた樹脂をプレス成形して、約200μmの未延伸フィルムを得た。そして、未延伸フィルムを幅が50mmになるように切り出し、引張試験機を用いて一軸延伸(チャック間:50mm、チャック移動温度:500mm/分)を行い、一軸延伸フィルムを得た。この配向フィルムについて、上記評価を行った。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜6、比較例1〜4]
表1に記載の組成において、実施例1と同様の方法でフィルムを作成し、上記評価を行った。その結果を表1に示す。なお、実施例5,6においては、B成分としてN−シクロヘキシルマレイミド(表1中では単に「CyMI」と表記)を表1に示す配合で使用した。
実施例1〜6については、十分な耐熱性を有し位相差は優れた逆波長分散性を示した。また、光弾性係数、耐熱性、表面硬度のバランスも良好であった。比較例1〜4は、位相差は順波長分散性を示し、耐熱性や光弾性係数、表面硬度のバランスも好ましくなかった。
本発明の位相差フィルムは、有機ELディスプレイなどにおいて反射防止膜として使われる1/2波長板や1/4波長板として、産業上利用可能性がある。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表されるメタクリル系単量体単位(A)10〜40質量%と、下記式(2)で表されるマレイミド系単量体単位(B)40〜85質量%と、下記式(3)で表される芳香族ビニル系単量体単位(C)5〜29質量%と、を含有する共重合体を含み、
    波長450nm、550nmで測定したレターデーション値Re(450)及びRe(550)が、下記関係式を満たす、位相差フィルム。
    Re(450)/Re(550)<0.9
    (式中、R 2は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜14のアリールアルキル基、または下記A群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示す。
    A群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基及び炭素数1〜12のアルキル基。)
    (式中、R3は、炭素数6〜14のアルキル基、炭素数6〜14のシクロアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、または下記B群から選ばれる少なくとも1種の置換基を有する炭素数6〜14のアリール基を示し、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基を示す。
    B群:ハロゲン基、ヒドロキシル基、ニトロ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜14のアルキル基及び炭素数7〜14のアリールアルキル基。)
    (式中R6及びR7は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシ基、ニトロ基又は直線状若しくは分岐状の炭素数が1〜6のアルキル基を示す。nは、0〜5の整数を示す。)
  2. 前記マレイミド系単量体(B)が、N−シクロヘキシルマレイミド及び/又はN−フェニルマレイミドを含む、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記芳香族ビニル系単量体単位(C)が、イソプロペニルベンゼン及び/又はスチレンを含む、請求項1に記載の位相差フィルム。
  4. 光弾性係数の絶対値が55×10-12Pa-1以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差フィルム。
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