(1)光学式座標測定装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る光学式座標測定装置の構成を示すブロック図である。図2は、図1の光学式座標測定装置300の測定ヘッドの構成を示す斜視図である。図3は、図2の測定ヘッド100のプローブの構成を示す斜視図である。以下、本実施の形態に係る光学式座標測定装置300について、図1〜図3を参照しながら説明する。図1に示すように、光学式座標測定装置300は、測定ヘッド100および処理装置200を備える。測定ヘッド100は、保持部110、載置台120、主撮像部130、プローブ140、副撮像部150、表示部160、操作部170および制御基板180を含む。
図2に示すように、測定ヘッド100の保持部110は、設置部111およびスタンド部112を含む。設置部111は、水平な平板形状を有し、設置面に設置される。スタンド部112は、設置部111の一方の端部から上方に延びるように設けられる。
設置部111の他方の端部に載置台120が設けられる。載置台120は、例えば光学定盤である。載置台120上には、測定対象物Sが載置される。本例においては、載置台120は略正方形状を有する。載置台120には、互いに直交する2方向に等間隔で並ぶように複数のねじ穴が形成されている。これにより、クランプ部材および固定ねじにより測定対象物Sを載置台120に固定することができる。載置台120は磁性を有していてもよい。この場合、マグネットベース等の磁石を用いた固定部材により測定対象物Sを載置台120に固定することができる。また、載置台120の上面が粘着性を有してもよい。この場合も、測定対象物Sを載置台120に容易に固定することができる。
スタンド部112の上部に主撮像部130が設けられる。主撮像部130は、スタンド部112の上部に着脱自在に設けられてもよく、スタンド部112に一体的に設けられてもよい。主撮像部130は、撮像素子131(後述する図4)および複数のレンズ132(後述する図4)を含む。本実施の形態においては、撮像素子131は赤外線を検出可能なCMOS(相補性金属酸化膜半導体)イメージセンサである。主撮像部130は、予め定められた撮像領域V(後述する図5)から放出される赤外線を検出可能に斜め下方を向くように配置される。
撮像領域V(図5)は、設置部111の載置台120およびその周辺を含む一定の領域である。本実施の形態においては、図1の載置台120および載置台120から図1のプローブ140の全長の寸法分だけ突出した領域が撮像領域Vとして定義されている。なお、プローブ140の全長は、例えば150mm程度である。主撮像部130の各画素からは、検出量に対応するアナログの電気信号(以下、受光信号と呼ぶ)が制御基板180に出力される。
図3に示すように、プローブ140は、筐体部141、把持部142、複数の発光部143、スタイラス144、電源基板145および接続端子146を含む。把持部142は、第1の方向D1に延び、筐体部141は第1の方向D1と交差する第2の方向D2に延びる。使用者は、把持部142を把持してプローブ140を操作する。
以下、特に言及しない場合には、プローブ140の上下および前後は、使用者が把持部142を垂直に保持した状態(第1の方向D1が上下方向を向く状態)でのプローブ140の上下および前後を指す。
筐体部141は把持部142の上端部に設けられる。筐体部141の前部分が把持部142の前方に突出し、筐体部141の後部分が把持部142の後方に突出するように、把持部142は筐体部141の下面の中央部から下方に延びる。ここで、第1の方向D1と第2の方向D2とがなす角度を把持部142と筐体部141の前部分とがなす角度φと定義する。本実施の形態では、角度φは鋭角であり、0°よりも大きく90°よりも小さい。
把持部142が垂直に保持された状態において、筐体部141の前端は筐体部141の後端よりも下方に位置し、筐体部141の上面が後端から前端にかけて斜め下方に傾斜する。この場合、使用者は、筐体部141の上面を容易に斜め上方に向けることができる。
本実施の形態では、筐体部141の上面は、前部上面141a、中央部上面141bおよび後部上面141cからなる。前部上面141a、中央部上面141bおよび後部上面141cは、それぞれ第2の方向D2に平行である。また、前部上面141a、中央部上面141bおよび後部上面141cは、第1および第2の方向D1,D2を含む平面に垂直である。前部上面141aおよび後部上面141cは同一の平面上にあり、中央部上面141bは前部上面141aおよび後部上面141cよりも高い平面上にある。
筐体部141の内部には、複数の発光部143を保持するガラス製の保持部材が収容される。筐体部141には、内部の複数の発光部143を露出させるための複数の開口141hが形成される。
図3の例においては、筐体部141内に7個の発光部143が設けられる。筐体部141の前端に3個の発光部143が配置され、中央に2個の発光部143が配置され、後端に2個の発光部143が配置される。筐体部141の前部上面141a、中央部上面141bおよび後部上面141cには、前端の3個の発光部143を露出させるための開口141h、中央の2個の発光部143を露出させるための開口141hおよび後端の2個の発光部143を露出させるための開口141hが形成される。
本例においては、筐体部141の前端の3個の発光部143および後端の2個の発光部143は、同一の平面上に位置するように配置されている。また、中央の2個の発光部143は、他の発光部143が位置する平面よりも高い平面上に位置するように配置されている。
前端の3個の発光部143は前部上面141aから上方に露出するように配置される。中央の2個の発光部143は中央部上面141bから上方に露出するように配置される。後端の2個の発光部143は後部上面141cから上方に露出するように配置される。
各発光部143は、複数のLED(発光ダイオード)を含む。本例においては、各LEDは赤外LEDであり、各発光部143は定期的に波長860nmの赤外線を放出する。複数の発光部143から放出された赤外線は、筐体部141の複数の開口141hを通って図2の主撮像部130により撮像される。
図2の主撮像部130は、載置台120の斜め上方に位置する。上記のように、使用者は、筐体部141の上面を容易に斜め上方に向けることができる。そのため、主撮像部130は、載置台120上の測定対象物Sの形状測定時に、プローブ140の複数の発光部143から放出される赤外線を効率よく撮像することができる。
図3に示すように、スタイラス144は、測定対象物Sに接触可能な接触部144aを有する棒状の部材である。本実施の形態においては、スタイラス144の先端に球状の接触部144aが設けられる。筐体部141の前端面および下面には、スタイラス144を取り付けるための図示しない取付部が形成されている。使用者は、測定対象物Sの形状に応じて、スタイラス144の取り付け位置を筐体部141の前端面と前端の下面との間で任意に変更することができる。図3の例では、スタイラス144は、筐体部141の前端面に取り付けられている。
電源基板145は、複数の発光部143に電力を供給する。電源基板145は、把持部142の内部に収納される。接続端子146は、把持部142の下部に配置される。複数の発光部143の動作は、接続端子146に接続されたケーブルを通して図1の制御基板180により制御される。
副撮像部150は、例えばCCD(電荷結合素子)カメラである。副撮像部150の解像度は、主撮像部130の解像度よりも低くてもよい。副撮像部150は、プローブ140のスタイラス144の接触部144aとの位置関係が既知となる位置に配置される。本実施の形態においては、副撮像部150は、プローブ140の筐体部141の前端の端面に配置される。副撮像部150の各画素から受光信号が接続端子146に接続されたケーブルを通して制御基板180に出力される。
図2に示すように、表示部160は、保持部110のスタンド部112に支持され、かつ表示部160の表示画面が斜め上方を向くように設置部111上に設けられる。これにより、使用者は、最小限の視線の移動で測定対象物Sおよび表示部160を選択的に視認することができ、または測定対象物Sおよび表示部160を同時に視認することができる。
表示部160は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。表示部160には、制御基板180による制御に基づいて、処理装置200により生成された画像、光学式座標測定装置300の操作手順画面、または測定の結果等が表示される。
操作部170は、例えば複数の操作ボタンを有する。操作部170は、測定を行う測定対象物Sの部分を指定するとき等に使用者により操作される。操作部170は、プローブ140に一体的に設けられてもよい。例えば、図3の把持部142に1または複数の操作ボタンが操作部170として設けられてもよい。この場合、使用者が一方の手で把持部142を把持しつつ操作部170を操作することができる。
制御基板180は、保持部110の設置部111内に設けられる。制御基板180は、主撮像部130、プローブ140、副撮像部150、表示部160および操作部170に接続される。処理装置200は、制御基板180を介して主撮像部130、プローブ140、副撮像部150、表示部160および操作部170の動作を制御する。
制御基板180には、図示しないA/D変換器(アナログ/デジタル変換器)およびFIFO(First In First Out)メモリが実装される。主撮像部130および副撮像部150から出力される受光信号は、制御基板180のA/D変換器により一定のサンプリング周期でサンプリングされるとともにデジタル信号に変換される。A/D変換器から出力されるデジタル信号は、FIFOメモリに順次蓄積される。FIFOメモリに蓄積されたデジタル信号は画素データとして順次処理装置200に転送される。
本実施の形態においては、図3の複数の発光部143の発光のタイミングと図2の主撮像部130の検出のタイミングとが同期される。複数の発光部143の発光期間に蓄積された画素データが、次の発光部143の消光期間に制御基板180から処理装置200に転送される。
図1に示すように、処理装置200は、記憶部210、制御部220および操作部230を含む。記憶部210は、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)およびハードディスクを含む。記憶部210には、システムプログラムが記憶される。また、記憶部210は、種々のデータの処理および測定ヘッド100から与えられる画素データ等の種々のデータを保存するために用いられる。
制御部220は、CPU(中央演算処理装置)を含む。本実施の形態においては、記憶部210および制御部220は、パーソナルコンピュータにより実現される。制御部220は、測定ヘッド100から与えられる画素データに基づいて画像データを生成する。画像データは複数の画素データの集合である。制御部220は、生成された画像データに基づいて、プローブ140のスタイラス144の接触部144aの位置を算出する。
操作部230は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。ポインティングデバイスは、マウスまたはジョイスティック等を含む。操作部230は、使用者により操作される。
(2)主撮像部の構成
図4は、主撮像部130の構成について説明するための図である。図4(a)は、主撮像部130の模式的断面図であり、図4(b)は、主撮像部130の外観斜視図である。
図4(a)に示すように、主撮像部130は、素子保持部130a、レンズ保持部130b、撮像素子131および複数のレンズ132を備える。素子保持部130aおよびレンズ保持部130bは例えばチタンからなる。素子保持部130aおよびレンズ保持部130bは、一体成形により共通の部材として設けられてもよく、または別体として設けられてもよい。
素子保持部130aの一面に矩形の断面を有する凹部133が形成される。凹部133に撮像素子131が嵌合される。撮像素子131の位置ずれを防止するため、ねじまたはばね等の固定部材を用いて凹部133内で撮像素子131が固定されてもよい。凹部133の底面から素子保持部130aの上記一面に平行な他面にかけて貫通孔134が形成される。
図4(a)および図4(b)に示すように、レンズ保持部130bは、円筒形状を有する。レンズ保持部130bの一端部が素子保持部130aの上記他面に固定される。レンズ保持部130bには種々の大きさを有する複数のレンズ132が保持される。複数のレンズ132は、素子保持部130aの貫通孔134と重なり、かつ互いに光軸が一致するように配置される。レンズ保持部130bの他端部から複数のレンズ132を通して撮像素子131に光が入射する。
(3)主撮像部による検出
上記のように、主撮像部130は、プローブ140の複数の発光部143から放出される赤外線を検出する。図5は、主撮像部130と複数の発光部143との関係について説明するための模式図である。図5においては、理解を容易にするため、いわゆるピンホールカメラモデルを用いて説明する。図5には、主撮像部130の複数のレンズ132のうち1つのレンズ132のみが示され、そのレンズ132の主点132aを通るように撮像素子131に光が導かれる。
図5に示すように、主撮像部130は、一定の画角(視野角)θを有する。主撮像部130の画角θの範囲内に、撮像領域Vが含まれる。撮像領域V内に複数の発光部143がそれぞれ位置する場合、それらの発光部143から放出される赤外線が、レンズ132の主点132aを通って撮像素子131に入射する。
この場合、撮像素子131の受光位置Pに基づいて、レンズ132の主点132aから各発光部143へ向かう方向が特定される。図5の例では、一点鎖線で示すように、各受光位置Pおよびレンズ132の主点132aを通る各直線上に各発光部143が位置する。また、複数の発光部143の相対的な位置関係は、例えば図1の記憶部210に予め記憶される。
レンズ132の主点132aから各発光部143へ向かう方向および複数の発光部143の位置関係に基づいて、各発光部143の中心の位置が一義的に定まる。また、本実施の形態では、原点と互いに直交するx軸、y軸およびz軸とがそれぞれ定義され、撮像領域V内の絶対位置が3次元座標で表される。図1の制御部220は、撮像素子131の受光位置P、および予め記憶された複数の発光部143の位置関係に基づいて、各発光部143の中心の座標を算出する。
算出された各発光部143の中心の座標に基づいて、プローブ140の接触部144a(図3)と測定対象物Sとの接触位置の座標が図1の制御部220により算出される。
例えば、各発光部143の中心と接触部144a(図3)の中心との位置関係が、図1の記憶部210に予め記憶される。算出された各発光部143の中心の座標、および予め記憶された各発光部143の中心と接触部144aの中心との位置関係に基づいて、接触部144aの中心の座標が特定される。
また、各発光部143の中心の座標に基づいて、プローブ140の位置および姿勢が特定される。これにより、スタイラス144の位置が特定される。また、プローブ140の位置および姿勢、あるいはスタイラス144とプローブ140との位置関係等に基づいて、接触部144aの中心と接触位置、すなわち測定位置との相対的な位置関係が推定される。推定された位置関係に基づいて、接触部144aの中心の座標から接触部144aと測定対象物Sとの接触位置(測定位置)の座標が算出される。
なお、測定対象物Sから接触部144aに加わる力の方向を検出するセンサがプローブ140に設けられもよい。その場合、センサの検出結果に基づいて、接触部144aと測定対象物Sとの接触位置の座標を算出することができる。
撮像素子131と複数のレンズ132との位置関係、複数の発光部143の位置関係、および複数の発光部143と接触部144aとの位置関係等に個体差があると、算出される座標にばらつきが生じる。そこで、光学式座標測定装置300による測定を行う前に、個体差によるばらつきを防止するためのキャリブレーション(校正)が行われることが好ましい。
(4)基本的な測定例
光学式座標測定装置300による測定対象物Sの寸法の基本的な測定例について説明する。図6は、図2の表示部160に表示される画像の一例を示す図である。図7は、測定対象物Sの一例を示す図である。
図6には、撮像領域Vを仮想的に表す画像(以下、撮像領域仮想画像と呼ぶ)VIが示される。上記のように、撮像領域Vには、原点、x軸、y軸およびz軸がそれぞれ定義される。本例では、載置台120の上面に平行でかつ互いに直交するようにx軸およびy軸が設定され、載置台120の上面に対して垂直にz軸が設定される。また、載置台120の中心が原点Oに設定される。図6の撮像領域仮想画像VIには、原点O、x軸、y軸およびz軸が含まれるとともに、載置台120の外周を表す線(図6の点線)が含まれる。
図7の測定対象物Sは、直方体形状を有する。本例では、測定対象物Sの一側面Saと、その反対側の側面Sbとの間の距離が測定される。測定対象物Sの側面Sa,Sbは、それぞれx軸に対して垂直である。
図8〜図12は、図7の測定対象物Sにおける具体的な測定例について説明するための図である。図8(a)および図10(a)は、載置台120、主撮像部130、プローブ140および測定対象物Sの位置関係を示す正面図であり、図8(b)および図10(b)は、プローブ140および測定対象物Sの外観斜視図である。図9、図11および図12には、表示部160に表示される撮像領域仮想画像VIの例が示される。
図8(a)および図8(b)に示すように、プローブ140の複数の発光部143が撮像領域V内に位置するように、スタイラス144の接触部144aが測定対象物Sの側面Saに接触される。その状態で、図1の操作部170が操作されることにより、図8(b)に示すように、測定対象物Sと接触部144aとの接触位置が測定位置M1aとして設定(測定)される。この場合、測定位置M1aの座標が算出される。
同様にして、測定対象物Sの側面Sa上の3つの位置が測定位置M2a,M3a,M4aとして設定(測定)され、測定位置M2a,M3a,M4aの座標が算出される。続いて、図1の操作部170または操作部230が操作されることにより、測定位置M1a〜M4aを通る平面が、測定対象物Sの側面Saに対応する測定平面ML1として設定され、測定平面ML1の位置が算出される。この場合、図9に示すように、撮像領域仮想画像VI上に、設定された測定平面ML1が重畳される。
続いて、図10(a)および図10(b)に示すように、プローブ140の複数の発光部143が撮像領域V内に位置するように、スタイラス144の接触部144aが測定対象物Sの側面Sbに接触される。その状態で、図1の操作部170が操作されることにより、図10(b)に示すように、測定対象物Sと接触部144aとの接触位置が測定位置M1bとして設定(測定)される。この場合、測定位置M1bの座標が算出される。
同様にして、測定対象物Sの側面Sb上の3つの位置が測定位置M2b,M3b,M4bとして設定(測定)され、測定位置M2b,M3b,M4bの座標が算出される。続いて、図1の操作部170または操作部230が操作されることにより、測定位置M1b〜M4bを通る平面が、測定対象物Sの側面Sbに対応する測定平面ML2として設定され、測定平面ML2の位置が算出される。この場合、図11に示すように、撮像領域仮想画像VI上に、測定平面ML1に加えて、設定された測定平面ML2が重畳される。
続いて、図1の操作部170または操作部230が操作されることにより、図1の制御部220において、設定された測定平面ML1,ML2の間の距離が算出され、図12に示すように、算出結果が撮像領域仮想画像VI上に表示される。なお、算出結果は、撮像領域仮想画像VIと別個に表示部160に表示されてもよい。また、2つの測定平面ML1,ML2間の距離の算出方法等は、使用者により適宜設定可能であってもよい。
本例では、4つの測定位置に基づいて1つの測定平面が設定されるが、最少で3つの測定位置に基づいて、1つの測定平面を設定することができる。一方、4つ以上の測定位置を設定することにより、測定対象物Sに対応する測定平面をより正確に設定することができる。また、4つ以上の測定位置に基づいて、測定対象物Sの面の平面度を求めることもできる。
また、本例では、測定対象物Sの測定すべき部分を特定するために、スタイラス144の接触部144aが接触された4つの位置(測定位置)を通る矩形状の測定対象部分(測定平面)が設定される。これに限らず、測定対象物Sの測定すべき部分の形状に応じて複数の測定位置を通る他の幾何学形状を有する測定平面が設定されてもよい。また、測定対象物Sの測定すべき部分を特定するために、平面に限らず複数の測定位置を通る円筒または球等が設定されてもよい。この場合、設定された円筒の断面の径または球の半径等を求めることができる。
(5)副撮像部を用いた機能
図3の副撮像部150によって測定対象物Sを撮像することにより、副撮像部150から出力される受光信号に基づいて測定対象物Sを示す画像データが図1の制御部220により生成される。生成された画像データに基づいて測定対象物Sの画像を表示部160に表示させることができる。以下、副撮像部150により得られる画像データを撮像画像データと呼び、撮像画像データに基づく画像を撮像画像と呼ぶ。
複数の発光部143と副撮像部150との位置関係、および副撮像部150の特性(画角およびディストーション等)は、例えば図1の記憶部210に撮像情報として予め記憶される。そのため、複数の発光部143が撮像領域V内にある場合、副撮像部150により撮像される領域が図1の制御部220により認識される。すなわち、主撮像部130により得られる複数の発光部143の位置の算出結果と複数の発光部143に対する副撮像部150の位置関係とに基づいて、撮像画像に対応する3次元空間が制御部220により認識される。
上記のように、測定位置および測定対象部分(上記の例では測定平面)の情報(以下、位置図形情報と呼ぶ)は、3次元空間で設定される。本実施の形態では、これらの位置図形情報を撮像画像と対応付け、撮像画像上の適切な位置(例えば、位置図形情報が示す座標位置を撮像画像に対応する3次元空間上で表した場合の撮像画像上の位置)に位置図形情報を表示することができる。
図13は、撮像画像上に位置図形情報が表示された例を示す図である。図13の例では、測定対象物Sの側面Sbが副撮像部150により撮像される。その撮像画像SI上に、測定位置M1b〜M4bを表す複数の球体の画像P1b,P2b,P3b,P4bが表示されるとともに、測定平面ML2を表す図形PL2が表示される。さらに、撮像画像SI上に、3次元空間において定義された原点O、x軸、y軸およびz軸を示す画像が表示される。
このように、実際に測定対象物Sが撮像されることによって得られる撮像画像SI上の適切な位置に位置図形情報が表示されることにより、使用者が位置図形情報を視覚的に把握しやすくなる。また、一の測定対象物Sに対する測定を行った後に、他の測定対象物Sに対して同様の測定を行う場合、使用者は、位置図形情報が重畳された撮像画像SIを参照することにより、他の測定対象物Sに対する測定を容易に行うことが可能となる。
複数の発光部143と副撮像部150との位置関係が設計された位置関係からずれていると、撮像領域Vに定義される3次元空間と撮像画像SIに対応する3次元空間との間にずれが生じる。この場合、位置図形情報を撮像画像SI上の適切な位置に表示させることができない。そこで、光学式座標測定装置300による測定を行う前に、撮像領域Vに定義される3次元空間と撮像画像SIに対応する3次元空間との間のずれを防止するためのキャリブレーション(校正)が行われることが好ましい。
(6)撮像画像を用いた測定例
(6−1)設定モードおよび測定モード
以下の説明では、光学式座標測定装置300の使用者のうち測定対象物Sの測定作業を管理する使用者を測定管理者と呼び、測定管理者の管理の下で測定対象物Sの測定作業を行う使用者を測定作業者と呼ぶ。
光学式座標測定装置300は、測定管理者用の設定モードおよび測定作業者用の測定モードの2種類のモードで使用することができる。設定モードでは、測定管理者が一の測定対象物Sを測定することにより、測定対象物Sの測定条件および測定手順に関する情報が設定情報として生成される。生成された設定情報は図1の記憶部210に保存される。一方、測定モードでは、測定作業者が、図1の表示部160を視認することにより、図1の記憶部210に保存された設定情報に従って他の測定対象物Sの測定を行うことができる。
本実施の形態において、測定対象物Sの測定条件には、測定項目および対象部分形状が含まれる。測定項目は、測定対象物Sに対して何を測定すべきかを示すものであり、距離、角度、面積および体積等の種々の物理量が含まれる。なお、測定項目は、それらの種々の物理量の算出方法を含んでもよい。対象部分形状は、測定対象物Sにおいて測定すべき部分の形状を示す幾何学形状の種類である。幾何学形状の種類には、点、直線、平面、円、円筒および球等が含まれる。
(6−2)設定モード
図14は、光学式座標測定装置300の表示部160に表示される初期画面SC1の一例を示す図である。図14に示すように、光学式座標測定装置300の初期画面SC1には、測定ボタン601および設定ボタン602が表示される。
測定管理者が設定ボタン602を操作することにより、光学式座標測定装置300が設定モードで動作する。設定モードにおいて、測定管理者が図7の測定対象物Sの2つの側面Sa,Sb間の距離を測定することにより設定情報が生成される例を説明する。
図15〜図24は、設定モードでの光学式座標測定装置300の一使用例を説明するための図である。測定管理者は、まず図15に示すように測定対象物Sを予め定められた位置および姿勢で載置台120上に載置する。上記のように、撮像領域Vには、原点、x軸、y軸およびz軸がそれぞれ定義される。本例では、測定対象物Sの下面の中心が3次元座標の原点に重なりかつ測定対象物Sの側面Sa,Sbがそれぞれx軸に対して垂直となるように、測定対象物Sが載置台120の上面に載置される。
図14の設定ボタン602が操作されることにより、図16に示すように、表示部160に測定条件設定画面SC2が表示される。測定条件設定画面SC2は、第1の画像表示欄611、測定項目選択欄612および対象部分形状選択欄613を含む。
第1の画像表示欄611に撮像領域仮想画像VIが表示される。本例の撮像領域仮想画像VIには、x軸、y軸およびz軸が含まれるとともに、図15の載置台120の外周を表す線(図16の点線)が含まれる。
測定項目選択欄612には、複数種類の物理量をそれぞれ示す複数のボタンが表示される。図16の例では、測定項目選択欄612に距離ボタン612aおよび角度ボタン612bが表示される。測定管理者は、図1の操作部230を操作して測定項目選択欄612内のいずれかのボタンを選択することにより、測定項目を指定することができる。
対象部分形状選択欄613には、複数種類の幾何学形状をそれぞれ示す複数のボタンが表示される。図16の例では、対象部分形状選択欄613に平面ボタン613a、直線ボタン613b、点ボタン613cおよび円ボタン613dが表示される。測定管理者は、図1の操作部230を操作して対象部分形状選択欄613内のいずれかのボタンを選択することにより、対象部分形状を指定することができる。
測定管理者は、測定対象物Sの2つの側面Sa,Sb間の距離を測定するために、測定項目選択欄612の距離ボタン612aを選択するとともに対象部分形状選択欄613の平面ボタン613aを選択する。それにより、測定対象物Sの測定条件として、2つの平面間の距離を測定することが設定される。本例では、測定条件で設定されるべき2つの平面をそれぞれ「平面1」および「平面2」と呼ぶ。
測定対象物Sの測定条件が設定されると、図17に示すように、表示部160に測定手順設定画面SC3が表示される。測定手順設定画面SC3は、第1の画像表示欄611、対象部分表示欄621および測定点座標表示欄622を含む。
第1の画像表示欄611には、図16の撮像領域仮想画像VIが継続して表示される。対象部分表示欄621には、設定されるべき2つの平面のうちの一方を示す文字列(本例では、「平面1」)が表示される。また、対象部分表示欄621には、撮像ボタン621aが表示される。測定点座標表示欄622には、プローブ140による測定位置の算出結果(座標)が表示される。なお、図17の例では、プローブ140の操作が行われていないので、測定点座標表示欄622に測定位置の算出結果が表示されていない。
図17の撮像ボタン621aは、「平面1」に対応する撮像画像を得るために用いられる。測定管理者は、撮像ボタン621aを操作することにより副撮像部150により測定対象物Sを撮像する。このとき、測定管理者は、図18に示すように、「平面1」に対応する平面(本例では、測定対象物Sの側面Sa)が撮像されるようにプローブ140の位置および姿勢を調整する。
なお、図2の操作部170に副撮像部150による撮像を指令する撮像ボタンが設けられてもよい。この場合、測定管理者は、表示部160に表示される撮像ボタン621aを操作する代わりに操作部170の撮像ボタンを操作してもよい。
副撮像部150による撮像が行われることにより、図19に示すように、撮像により得られる画像が「平面1」に対応する撮像画像SIとして第1の画像表示欄611に表示される。図19の撮像画像SIは、測定対象物Sの側面Saを示す画像を含むとともに、3次元空間において定義されたx軸、y軸およびz軸を示す画像を含む。なお、図19では、撮像画像SIにおいて測定対象物Sを示す部分に符号Sを付し、測定対象物Sの側面Saに対応する部分に符号Saを付している。
その後、測定管理者は、図8の例と同様に、「平面1」を特定するために測定対象物Sの側面Sa上の4つの位置を測定位置M1a,M2a,M3a,M4a(図8(b)参照)として順次設定する。
複数の測定位置M1a,M2a,M3a,M4aの設定時には、測定位置が設定されるごとに、設定された測定位置を示す画像が撮像画像SIに重畳表示される。図20に、測定位置M1a,M2aが設定された時の表示部160の表示状態が示される。図20の例では、測定位置M1a,M2aが設定されることにより、測定位置M1a,M2aを表す球体の画像P1a,P2aが撮像画像SI上に表示される。より具体的には、算出された測定位置M1a,M2aの座標位置を撮像画像SIに対応する3次元空間上で表した場合の撮像画像SI上の位置に画像P1a,P2aが表示される。
また、複数の測定位置M1a,M2a,M3a,M4aの設定時には、接触部144aの位置を示す画像PPが撮像画像SI上に表示される。より具体的には、制御部220により算出される接触部144aの座標位置を撮像画像SIに対応する3次元空間上で表した場合の撮像画像SI上の位置に画像PPが表示される。本例では、接触部144aの位置を示す画像PPとしてプローブ140の模式図が用いられる。それにより、測定管理者は測定対象物Sに対する接触部144aの位置関係を容易かつ正確に認識することができる。
複数の測定位置M1a〜M4aの設定が完了することにより、複数の測定位置M1a〜M4aを通りかつ測定条件において指定された形状を有する測定対象物Sの測定対象部分が「平面1」を特定する測定平面ML1として設定され、測定平面ML1の位置が算出される。
この場合、図21に示すように、測定平面ML1の位置および形状を示す図形PL1が複数の測定位置M1a,M2a,M3a,M4aを示す画像P1a,P2a,P3a,P4aとともに撮像画像SI上に表示される。測定平面ML1の設定時には、測定点座標表示欄622に確定ボタン622aが表示される。
測定平面ML1の設定後、測定管理者は確定ボタン622aを操作する。この場合、図22に示すように、第1の画像表示欄611に撮像領域仮想画像VIが表示される。このとき、撮像領域仮想画像VI上には、既に設定された測定平面ML1を示す図形PL1が表示される。
対象部分表示欄621には、設定されるべき2つの平面のうちの他方を示す文字列(本例では、「平面2」)が表示される。図17の例と同様に、対象部分表示欄621には、撮像ボタン621aが表示される。
図22の撮像ボタン621aは、「平面2」に対応する撮像画像を得るために用いられる。測定管理者は、撮像ボタン621aを操作することにより副撮像部150により測定対象物Sを撮像する。このとき、測定管理者は、「平面2」に対応する平面(本例では、測定対象物Sの側面Sb)が撮像されるようにプローブ140の位置および姿勢を調整する。
副撮像部150による撮像が行われることにより、撮像により得られる画像が「平面2」に対応する撮像画像SIとして第1の画像表示欄611に表示される。その後、測定管理者は、図10の例と同様に、「平面2」を特定するために測定対象物Sの側面Sb上の4つの位置を測定位置M1b,M2b,M3b,M4b(図10(b)参照)として順次設定する。これらの設定時には、図20の例と同様に、設定された測定位置を表す球体の画像および接触部144aの位置を示す画像が撮像画像SI上に表示される。
複数の測定位置M1b〜M4bの設定が完了することにより、複数の測定位置M1b〜M4bを通りかつ測定条件において指定された形状を有する測定対象物Sの測定対象部分が「平面2」を特定する測定平面ML2として設定され、測定平面ML2の位置が算出される。
この場合、図23に示すように、測定平面ML2の位置および形状を示す図形PL2が複数の測定位置M1b,M2b,M3b,M4bを示す画像P1b,P2b,P3b,P4bとともに撮像画像SI上に表示される。測定平面ML2の設定時には、測定点座標表示欄622に確定ボタン622bが表示される。
測定平面ML2の設定後、測定管理者は確定ボタン622bを操作する。それにより、図24に示すように、第1の画像表示欄611に撮像領域仮想画像VIが表示される。このとき、撮像領域仮想画像VI上には、設定された測定平面ML1,ML2を示す図形PL1,PL2が表示される。さらに、設定された測定平面ML1,ML2の間の距離が算出され、算出された距離、すなわち「平面1」と「平面2」との間の距離が、測定結果として撮像領域仮想画像VIに重畳表示される。
また、図24に示すように、表示部160の画面上では、図23の対象部分表示欄621および測定点座標表示欄622に代えて測定結果表示欄623が表示される。測定結果表示欄623には、「平面1」および「平面2」間の距離が測定結果として表示されるとともに、設定保存ボタン623aが表示される。
最後に、測定管理者は図24の設定保存ボタン623aを操作する。それにより、設定された測定条件、「平面1」および「平面2」にそれぞれ対応する撮像画像SIの撮像画像データおよび位置図形情報を含む設定情報が図1の記憶部210に記憶される。なお、本例の位置図形情報には、複数の測定位置M1a〜M4a,M1b〜M4bの設定順序、複数の測定位置M1a〜M4a,M1b〜M4bの位置および2つの測定平面ML1,ML2の位置および形状を示す情報が含まれる。その後、表示部160の画面上には、図14の初期画面SC1が表示される。
(6−3)測定モード
測定作業者が図14の測定ボタン601を操作することにより、光学式座標測定装置300が測定モードで動作する。測定モードでは、測定作業者が測定対象物Sの測定を行う。測定作業者は、図15の例と同様に、新たな測定対象物Sを予め定められた位置および姿勢で載置台120上に載置する。
図25〜図29は、測定モードでの光学式座標測定装置300の一使用例を説明するための図である。測定モードの動作が開始されることにより、図1の記憶部210に記憶された設定情報が図1の制御部220により読み込まれる。本例では、上記の設定モードで設定された設定情報が読み込まれるものとする。
この場合、図25に示すように、表示部160に実測定画面SC4が表示される。実測定画面SC4には、第1の画像表示欄611、測定開始ボタン624aおよび第2の画像表示欄625が表示される。
図25の第1の画像表示欄611に撮像領域仮想画像VIが表示される。その撮像領域仮想画像VI上には、x軸、y軸およびz軸、設定モードで設定された測定平面ML1,ML2を示す図形PL1,PL2および測定平面ML1,ML2間の距離を示す矢印が表示される。
それにより、測定作業者は、第1の画像表示欄611を視認することにより、測定平面ML1,ML2により特定される「平面1」および「平面2」間の距離を測定すべきことを認識することができる。さらに、その撮像領域仮想画像VI上には、プローブ140の接触部144aの位置を示す画像PPが表示される。このとき、第2の画像表示欄625には画像が表示されない。
次に、測定作業者は、図25の測定開始ボタン624aを操作する。この場合、図26に示すように、第1の画像表示欄611においては、最初に設定されるべき「平面1」の測定平面ML1を示す図形PL1がハイライト表示される。
また、図26に示すように、第2の画像表示欄625には、「平面1」に対応する撮像画像SIが表示される。このとき、撮像画像SI上には、図21の例と同様に、x軸、y軸およびz軸とともに、設定モードで設定された測定平面ML1を示す図形PL1が表示される。測定作業者は、撮像画像SI上の図形PL1を視認することにより、測定対象物Sにおけるどの部分を測定すべきかを認識することができる。
また、撮像画像SI上には、図21の例と同様に、設定モードで設定された測定位置M1a,M2a,M3a,M4aを示す画像P1a,P2a,P3a,P4aが表示される。測定作業者は、撮像画像SI上の画像P1a,P2a,P3a,P4aを視認することにより、測定対象物Sにおけるどの部分に測定位置を設定すればよいのかを容易かつ正確に認識することができる。
読み込まれた設定情報には、上記のように、測定管理者による複数の測定位置M1a,M2a,M3a,M4aの測定手順も含まれる。そのため、撮像画像SIにおいては、測定作業が進むごとに、測定作業者により現在設定されるべき測定位置を示す画像が他の測定位置を示す画像とは異なる表示形態で表示される。
表示形態としては、画像の色または形等が挙げられる。本例では、現在設定されるべき測定位置M1aを示す画像P1aが、他の測定位置M2a,M3a,M4aを示す画像P2a,P3a,P4aの色(白色)とは異なる色(黒色)で表示される。それにより、測定作業者は、現在設定すべき測定位置を容易に認識することができる。
また、撮像画像SI上には、プローブ140の接触部144aの位置を示す画像iaが表示されるとともに、接触部144aと現在設定されるべき測定位置とを結ぶ直線を示す画像ibが表示される。それにより、測定作業者は、測定対象物Sに対して接触部144aをどのような方向に移動させればよいかを容易に認識することができる。
さらに、撮像画像SIには、プローブ140の接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離を示すインジケータicが表示される。測定作業者は、インジケータicを視認することにより、接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離を正確に認識することができる。それにより、使用者は接触部144aを測定対象物Sの測定位置に容易かつ正確に接触させることができる。
本例のインジケータicは、現在設定されるべき測定位置から接触部144aまでの距離を棒グラフで表す。これに限らず、インジケータicは、接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離を数値で表してもよい。
これらより、測定作業者は、図26の第2の画像表示欄625に表示される撮像画像SIを視認しつつ「平面1」を特定する測定平面ML1を容易かつ正確に設定することができる。
測定モード中の第1の画像表示欄611においては、図26に示すように、接触部144aの現在の位置を示す画像PPとともに、現在設定されるべき測定位置に接触部144aを接触させるためのプローブ140の理想的な位置および姿勢を示す画像PPxが表示されてもよい。
図26の例では、画像PPxとしてプローブ140の模式図が用いられる。この場合、測定作業者は、画像PPxを視認することにより、現在設定すべき測定位置を容易に認識することができる。また、測定作業者は、現在設定すべき測定位置を正確に設定するための理想的なプローブ140の姿勢を容易に認識することができる。
ここで、第1の画像表示欄611においては、例えば図26および図27に示すように、画像PPが常に黒色で表示され、画像PPxが黒色と白色(または黄色)とで交互に点滅表示されてもよい。この場合、測定作業者は、画像PP,PPxのそれぞれの表示形態を視認することにより、画像PP,PPxを容易に識別することができる。
測定作業者が測定平面ML1の設定を完了すると、図28に示すように、第1の画像表示欄611内の測定平面ML1を示す図形PL1が通常表示に切り替わり、次に設定されるべき「平面2」の測定平面ML2を示す図形PL2がハイライト表示される。
また、第2の画像表示欄625には、「平面2」に対応する撮像画像SIが表示される。このとき、撮像画像SI上には、図23の例と同様に、x軸、y軸およびz軸とともに、設定モードで設定された測定平面ML2を示す図形PL2が表示される。また、撮像画像SI上には、設定モードで設定された測定位置M1b,M2b,M3b,M4bを示す画像P1b,P2b,P3b,P4bが表示される。さらに、撮像画像SIには、図26の例と同様に、プローブ140の接触部144aの位置を示す画像ia、接触部144aと現在設定されるべき測定位置とを結ぶ直線を示す画像ib、および接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離を示すインジケータicが重畳表示される。
これらより、測定作業者は、図28の第2の画像表示欄625に表示される撮像画像SIおよび第1の画像表示欄611に表示される画像PPxを視認しつつ「平面2」の測定平面ML2を容易かつ正確に設定することができる。
測定平面ML1,ML2の設定が完了すると、図29に示すように、第1の画像表示欄611内の測定平面ML2を示す図形PL2が通常表示に切り替わる。また、「平面1」および「平面2」間の距離が算出され、算出された測定結果が撮像領域仮想画像VIに重畳表示される。
さらに、図29に示すように、表示部160の画面上では、図28の第2の画像表示欄625に代えて測定結果表示欄626が表示される。測定結果表示欄626には、「平面1」および「平面2」間の距離が測定結果として表示される。このとき、測定結果は図1の記憶部210に記憶される。
設定モードにおいては測定管理者により測定条件として予め良否判定用の基準範囲が設定されてもよく、測定モードにおいては設定された基準範囲と測定結果とに基づいて製造部品等の良否判定が行われてもよい。この場合、測定モードにおいて測定結果が基準範囲内であるときには、図29に示すように測定結果表示欄626内に測定結果とともに良品を示す判定結果(例えば「OK」)が表示されてもよい。一方、測定結果が基準範囲外であるときには、測定結果表示欄626内に測定結果とともに不良品を示す判定結果(例えば「NG」)が表示されてもよい。
また、測定結果表示欄626には、次の測定ボタン626aおよびメインメニューボタン626bが表示される。測定作業者は、次の測定ボタン626aを操作することにより、さらに新たな測定対象物Sに対して、上記の例と同様の測定を行うことができる。
また、測定作業者は、メインメニューボタン626bを操作することにより、測定作業を終了することができる。この場合、表示部160には図14の初期画面SC1が表示される。
測定モードにおいては、撮像画像SI上に表示される複数の測定位置のうち設定が終了した測定位置を示す画像は、現在設定されるべき測定位置を示す画像および設定されていない測定位置を示す画像とは異なる表示形態で表示されてもよい。
図30は、撮像画像SI上に表示される複数の測定位置の表示形態の一例を示す図である。図30の例では、設定が終了した測定位置M1a,M2aを示す画像P1a,P2aにハッチングが施される。また、現在設定されるべき測定位置M3aを示す画像P3aが黒色で表示される。さらに、設定されていない測定位置M4aを示す画像P4aが白色で表示される。この場合、測定作業者は、接触部144aを接触させるべき測定位置を容易に認識することができる。また、測定作業者は、測定作業の進捗を容易に認識することができる。
(7)効果
光学式座標測定装置300においては、プローブ140の複数の発光部143が主撮像部130により撮像される。主撮像部130により得られる複数の発光部143の画像を示す画像データに基づいて複数の発光部143の位置がそれぞれ算出される。
設定モードにおいて、測定対象物Sが副撮像部150により撮像される。測定モードにおいて、副撮像部150により得られる測定対象物Sの画像が撮像画像SIとして表示部160に表示される。設定されるべき測定対象物S上の測定位置を示す画像が撮像画像SI上に表示される。測定位置を示す画像は、算出された複数の発光部143の位置と複数の発光部143に対する副撮像部150の位置関係とに基づいて表示される。そのため、測定対象物S上の測定位置が撮像画像SI上で正確に示される。
それにより、測定作業者は、撮像画像SI上の測定位置を示す画像を視認することにより、測定対象物Sにおける測定位置を正確に認識することができる。その結果、測定作業者は、測定対象物Sに対する正確な測定を容易に行うことが可能となる。
上記のように、本実施の形態では、測定位置を示す画像がその測定位置を含む測定平面に対応する撮像画像SI上の位置に表示される。それにより、測定作業者は、撮像画像SIを視認することにより測定対象物S上の測定位置を容易に認識することができる。
(8)他の実施の形態
(8−1)上記の実施の形態では、設定モードおよび測定モードによる測定対象物Sの測定時に、表示部160に撮像画像SIが表示される。これらの撮像画像SIは、静止画である。
これに限らず、表示部160には、副撮像部150により所定のフレームレートで得られる複数の撮像画像SIが連続してリアルタイムに表示されてもよい。また、各撮像画像SIが表示部160に表示される際には、測定位置および測定対象部分を示す画像、接触部144aと現在設定されるべき測定位置とを結ぶ直線を示す画像ib、インジケータicが各撮像画像SI上に表示されてもよい。
図31は、表示部160に撮像画像SIがリアルタイムに表示される例を示す図である。図31に示すように、本例では、測定位置の設定時に副撮像部150により所定のフレームレートで得られる撮像画像SIが表示部160の第2の画像表示欄625にリアルタイムに表示される。
この場合、測定作業者は、副撮像部150の位置および向きを変更することにより、種々の位置および種々の方向から見た測定対象物Sの外観を表示部160の画面上で確認することができる。また、測定対象物Sにおける複数の測定位置および測定対象部分を種々の方向から確認することができる。
なお、スタイラス144の接触部144aが副撮像部150の撮像範囲内に存在しない場合には、図31に示すように、接触部144aの位置を示す画像を撮像画像SI上に表示させることができない。したがって、測定作業者が接触部144aを測定位置に近づけるとその測定位置も副撮像部150の撮像範囲から外れてしまう。
そこで、接触部144aと設定すべき測定位置との間の距離が所定のしきい値よりも大きい場合に、撮像画像SIをリアルタイムに表示部160に表示させる。また、接触部144aと設定すべき測定位置との間の距離が所定のしきい値以下になると、直前に得られた撮像画像SIを表示部160に静止画として表示させ、撮像画像SIの更新を行わない。それにより、測定作業者が接触部144aを測定位置に近づけた場合でも、撮像画像SI上に接触部144aの位置を示す画像icを重畳表示することが可能になる。
(8−2)上記の実施の形態では、副撮像部150は、プローブ140のスタイラス144に隣り合うように配置される。これに限らず、副撮像部150は、複数の発光部143との位置関係が一定に保たれるのであれば、スタイラス144から離間した位置に設けられてもよい。
例えば、副撮像部150は、スタイラス144の接触部144aが撮像範囲内に位置するように筐体部141または把持部142のいずれかに取り付けられてもよい。この場合、撮像画像SIには常に接触部144aが表示される。したがって、図31の例で説明したように、表示部160に撮像画像SIがリアルタイムに表示される場合でも、測定作業者は撮像画像SIを視認することにより接触部144aの現在の位置を容易に認識することができる。
(8−3)上記の実施の形態では、主として位置図形情報が撮像画像SIに重畳表示される。これに限らず、測定モードにおいては、撮像画像SIに設定モードでの測定結果が重畳表示されてもよい。
図32は、設定モードでの測定結果が重畳された撮像画像SIの一例を示す図である。図32の例では、測定位置、測定対象部分および接触部144aの位置を示す画像に加えて、太い点線で示すように設定モードでの測定結果が撮像画像SI上に表示されている。この場合、測定作業者は、設定モードでの測定結果を視認することにより、測定結果を予測することができる。
(8−4)上記の実施の形態では、表示部160に表示する撮像画像SIを得るための撮像手段として副撮像部150のみが用いられる。これに限らず、光学式座標測定装置300は、撮像画像SIを得るための撮像手段として、副撮像部150に加えて他のカメラ装置を有してもよい。この場合、カメラ装置は、例えばCCDカメラ等の撮像部とその撮像部と一定の位置関係を有する複数の発光部143を有する必要がある。
図33は、カメラ装置を備える光学式座標測定装置300の使用例を示す図である。図33(a)に示すように、本例のカメラ装置900は、複数の発光部143とCCDカメラ190とを含み、例えば測定作業者のヘルメット等に取り付けられる。そのカメラ装置900においては、複数の発光部143とCCDカメラ190とが一定の位置関係で固定される。
さらに、カメラ装置900における複数の発光部143とCCDカメラ190との位置関係、およびCCDカメラ190の特性(画角およびディストーション等)が撮像情報として図1の記憶部210に記憶される。
それにより、カメラ装置900が撮像領域V内にある場合、CCDカメラ190により撮像される領域が図1の制御部220により認識される。したがって、CCDカメラ190により得られる画像についても、副撮像部150により得られる画像と同様に、撮像画像SIとして用いることができる。
図33(b)に、図33(a)の例で副撮像部150により得られる撮像画像SIの例が示される。また、図33(c)に、図33(a)の例でCCDカメラ190により得られる撮像画像SIの例が示される。図1の制御部220は、例えば、測定作業者による図1の操作部170または操作部230の操作に応答して、これらの撮像画像SIを表示部160に切り替えて表示してもよい。
それにより、測定作業者は、互いに異なる2つの位置から見た測定対象物Sの外観を2つの撮像画像SIにより確認することができる。また、これらの撮像画像SI上に位置図形情報および接触部144aの位置を示す画像が表示されることにより、測定作業者は、測定対象物Sにおける測定対象部分および現在設定すべき測定位置をより容易かつ正確に認識することができる。
なお、光学式座標測定装置300は、2以上のカメラ装置900を有してもよい。この場合、測定作業者は、互いに異なる3以上の位置から見た測定対象物Sの外観を3以上の撮像画像SIにより確認することができる。
(8−5)上記の実施の形態では、位置図形情報として、測定位置を示す球体の画像が撮像画像SI上の3次元空間の対応する位置に重畳表示される。また、測定対象部分を示す平面の画像が撮像画像SI上の3次元空間の対応する位置に重畳表示される。
これに限らず、測定モードにおいては、測定位置を示す球体の画像が撮像画像SI上に表示される代わりに、プローブ140の接触部144aの位置から現在設定されるべき測定位置に向かう方向を示す画像が、測定位置を示す画像として撮像画像SI上に表示されてもよい。
図34は、プローブ140の接触部144aが向かうべき方向を示す画像が撮像画像SI上に表示された例を示す図である。図34の例では、接触部144aの位置を示す画像iaと、その接触部144aから現在設定されるべき測定位置に向かう方向を示す矢印の画像idとが撮像画像SIに重畳表示されている。この場合、測定作業者は、画像idを視認することにより、現在設定されるべき測定位置を設定するために測定対象物Sに対してプローブ140の接触部144aをどの方向に移動させればよいのかを容易かつ正確に認識することができる。
なお、本例の画像idを撮像画像SI上に表示する場合には、接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離に応じて矢印の長さを変更してもよい。例えば、接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離が大きい場合には、矢印の長さを長くする。また、接触部144aから現在設定されるべき測定位置までの距離が小さい場合には、矢印の長さを短くする。それにより、測定作業者は、画像idを視認することによりプローブ140を移動させるべき方向および距離を容易に認識することができる。
(8−6)上記の副撮像部150はバーコード読取機能を有してもよい。この場合、例えば測定対象物Sに所定の情報を示すバーコードを付す。それにより、測定管理者または測定作業者は、測定対象物Sの測定とともに測定対象物Sに付されたバーコードを副撮像部150により容易に読み取ることができる。なお、副撮像部150は、バーコード読取機能に限らずQR(Quick Response)コード読取機能を有してもよい。また、副撮像部150は、OCR(Optical Character Reader)等の機能を有してもよい。
(8−7)上記の実施の形態では、プローブ140により設定された測定位置および測定対象部分を示す画像が撮像画像SIに重畳表示される。これに限らず、光学式座標測定装置300において定義された3次元座標により表される図形の3次元CAD(Computer-Aided Design)データが存在する場合には、そのCADデータに基づく画像が撮像画像SI上に表示されてもよい。この場合、設定モードで測定対象物Sを測定する代わりに、位置図形情報をCADデータで作製することも可能となる。また、このようなCADデータを用いることにより、設定モードにおいて基準線等の仮想線を撮像画像SI上に表示させることも可能になる。
(8−8)上記の実施の形態では、プローブ140と制御基板180とがケーブルを介して接続される。これに限らず、プローブ140と制御基板180とが無線により通信可能に構成されてもよい。この場合、プローブ140の複数の発光部143の動作が制御基板180からの無線通信により制御される。また、副撮像部150から出力される受光信号が無線通信により制御基板180に送信される。それにより、プローブ140の操作性が向上する。
(8−9)上記の実施の形態では、位置図形情報が撮像画像SI上に表示される。これに限らず、撮像画像SI上には位置図形情報が表示されなくてもよい。例えば、測定対象物Sにおける測定対象から外れた部分が副撮像部150により撮像されてもよい。この場合、測定管理者は、撮像領域Vの外側にプローブ140を配置した状態で副撮像部150により測定対象物Sを撮像し、その撮像画像を表示部160に表示させることができる。
(9)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態においては、測定対象物Sが測定対象物の例であり、接触部144aが接触部の例であり、複数の発光部143が複数のマーカの例であり、プローブ140がプローブの例であり、保持部110のスタンド部112の上端部の位置が予め定められた撮像位置の例である。
また、主撮像部130が第1の撮像部の例であり、副撮像部150が第2の撮像部の例であり、制御部220が算出部および制御部の例であり、撮像画像SIが撮像画像の例であり、表示部160が表示部の例であり、撮像画像SI上に表示される画像P1a,P2a,P3a,P4a,P1b,P2b,P3b,P4b,idが第1の指標の例である。
また、光学式座標測定装置300が光学式座標測定装置の例であり、撮像画像SI上に表示される画像iaが第2の指標の例であり、撮像画像SI上に表示される画像icが第3の指標の例であり、操作部230が操作部の例であり、測定平面ML1により示される「平面1」および測定平面ML2により示される「平面2」が測定対象物Sの測定対象部分の例である。
さらに、対象部分形状が測定対象物のうち測定すべき部分の形状の例であり、撮像画像SI上に表示される図形PL1,PL2が測定対象部分の位置および形状を示す図形の例である。
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。