JP6285137B2 - 計器類保護カバー - Google Patents

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂シート製の計器類保護カバーに関する。より詳しくは、ポリカーボネート樹脂が本来備える透明性、熱安定性、耐衝撃性等の特性を保持し、特に、塩素又は臭素系難燃剤を使用することなく高度な難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるシートからなる計器類保護カバーに関する。
従来から各種計器類においては、燃料計や操作ボタン等の計器類およびスイッチ等が人手や他の部材に触れることを防止するためにガラス製保護カバーによって遮蔽されてきた(特許文献1)。しかし、ガラス製の保護カバーは、搬送時や運転時等の不測の衝突によるガラス割れが発生したり、あるいは計量化やデザインの自由度の要望から樹脂への代替が望まれており、透明性、耐衝撃性及び強度のあるポリカーボネート樹脂シートがガラスの代わりに使用されてきた(特許文献2)。上記用途に用いられるポリカーボネート樹脂シートとしては、カバーの破損防止のため高強度を保つべく少なくとも1.5mm以上の厚みのものが要望されている。
他方、近年、計器類が小型化され、計器類を構成する部品の単位体積当たりの発熱量が増加する傾向があり、計器類を収納する容器に放熱孔を設け、熱を逃がす必要がある場合があるが、そのような放熱孔から空気中の塵が容器内に入り、電気的短絡を生じ、発火源となり火災を生じる虞が指摘されている。あるいは、計器類の照度を確保するためのバックライトとしてLED球を取り付ける場合があるが、この場合では、LED球配線ショートや不適切な配線処理により配線トラブルを引き起こすことも考えられ、発火源となる可能性もある。
近年では、上記のような理由もあり、ガラスの代わりに用いられてきたポリカーボネート樹脂においても万が一の火災予防・火災対策の観点から高い難燃性(薄肉難燃性)が要求されるようになっている。そして難燃性の指標としては、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼性試験)に準拠した難燃性の評価において、少なくとも、V―1等級以上が望まれているところである。
ポリカーボネート樹脂に難燃性を付与させる手法として、従来、難燃剤として塩素や臭素系化合物、あるいはリン系化合物を配合する方法が採用されている。しかし、塩素や臭素系難燃剤は、優れた難燃効果を示すものの、射出成形時に成形機スクリューや製品金型を腐食させる問題があった。また、リン系難燃材は縮合リン酸エステル系難燃剤を中心に使用されているが、耐熱性あるいは衝撃強度の極端な低下が発生するという問題があった。これら著しい物性低下や環境面への配慮から、臭素や塩素等のハロゲン系化合物およびリン系化合物を含有しない難燃剤の使用が望まれている。
上記難燃剤を使用せず難燃化する方法として、ポリカーボネート樹脂に芳香族スルホン酸金属塩を添加する方法(特許文献3)やパーフルオロアルカンスルホン酸カリウムを添加する方法(特許文献4)および分岐状ポリカーボネート樹脂に有機アルカリ金属塩を添加する方法(特許文献5)などの提案がなされてきた。これらの手法を用いることにより、UL94試験に準拠した難燃性の評価において、燃焼時間の減少効果および燃焼時における樹脂の滴下(ドリッピング)抑制効果はある程度認められるものの、製品安全上の規格を満たすには十分ではなく、より一層優れた難燃性を有する材料の開発が求められている。
一方、分岐状ポリカーボネート樹脂に重量平均分子量が400〜1500のポリオルガノシロキサンと有機スルホン酸金属塩をブレンドした樹脂組成物(特許文献6)が開示されている。しかしながら、当該分子量範囲のシロキサンを用いるとシロキサン自体の耐熱性が低下し、さらに溶融粘度が低すぎて、成形加工時にポリカーボネート樹脂の成形体表面にシロキサン化合物がブリードアウトして成形体表面の外観を損ねるなど成形性を低下させる場合があるため、難燃性のみならず優れた成形性を有する材料の開発が望まれていた。
さらに、燃焼時のドリッピングを抑制する方法として、ポリカーボネート樹脂にフッ素化ポリオレフィンを添加した樹脂組成物(特許文献7)が開示されている。このような組成物においては、燃焼時のドリッピングが抑制され難燃性は向上するものの、射出成形時にフッ素化ポリオレフィンが樹脂の流動方向に配向したり、フッ素化ポリオレフィンの凝集物が製品表面の外観不良を引き起こし、製品としての価値が著しく低下するという問題があり、従来からその改善が望まれてきた。また、フッ素化ポリオレフィンをポリカーボネート樹脂に添加すると、ポリカーボネート樹脂が本来有する優れた透明性を損なうという問題があり、特に透明性が求められる用途においては根本的な問題があった。
特開平11―183293号公報 特開2005−91074号公報 特開昭50―98546号公報 特公昭47―40445号公報 特開平7―258532号公報 特開2001―26704号公報 特公昭60―38418号公報
本発明は、上記課題を改善し、ポリカーボネート樹脂が本来有する透明性、熱安定性、耐衝撃性等の特性を保持しつつ、臭素や塩素等のハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤あるいはフッ素化ポリオレフィン使用することなく、優れた透明性と難燃性を両立できるポリカーボネート樹脂製シートからなる計器類保護カバーを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を行った結果、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるシートからなり、当該樹脂組成物として分岐状ポリカーボネート樹脂を必須成分として特定量配合し、更に有機金属塩、および特定のシリコーン化合物を併用配合したポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる樹脂シートを用いることで、計器類保護カバーに必要とされる透明性と難燃性等とを同時に満足できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるシートからなる計器類保護カバーであって、該ポリカーボネート樹脂組成物が、直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)25〜60重量%および分岐状ポリカーボネート樹脂(B)40〜75重量%からなる樹脂成分100重量部、有機金属塩(C)0.005〜0.2重量部、および主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(D)0.005〜0.5重量部を含有することを特徴とする、計器類保護カバーを提供するものである。
本発明の計器類保護カバーは、ポリカーボネート樹脂が本来備える、透明性、熱安定性、耐衝撃性等の特性を保持し、特に、優れた透明性および難燃性を同時に満足することから、安全面で優れた計器類保護カバーである。また、塩素、臭素等の難燃剤およびリン系難燃剤を使用しないことから、成形時に成形機スクリューや製品金型を腐食させることがなく、しかも、環境面においても優れている。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の計器類保護カバーとは、プラスチック成形、機械部品等の製造作業に用いられる、プラスチック成形機や工作機械における計器乃至スイッチ等の保護、視認の役割を担う産業機械向けの計器類保護カバー、または電車、飛行機、船、車両など乗り物の運転席などに配置されているスピードメーターや回転計、燃料計、距離計、水温計などの樹脂製保護カバーを意味する。
本発明にて使用される直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)から製造された直鎖状ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。しかしながら、ハロゲンで置換されていないジヒドロキシジアリール化合物を使用することが環境面から好ましい。
これらは、単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4′−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、特に制限はないが、成形加工性、強度の面より通常10000〜100000、より好ましくは15000〜40000、さらに好ましくは、17000〜28000の範囲である。
また、直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)の配合比率は後述の分岐状ポリカーボネート樹脂(B)との配合において、0〜60重量%である。((A)+(B)=100重量%とする。)直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)の配合比率が60重量%を超えると難燃性が低下するので好ましくない。
本発明に使用される分岐状ポリカーボネート樹脂(B)とは、種々のジヒドロキシジアリール化合物、分岐剤およびホスゲンとを反応させるホスゲン法、またはジヒドロキシジアリール化合物、分岐剤およびジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとを反応させるエステル交換によって得られる重合体であり、代表的なものとしては、2,2―ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、分岐剤およびホスゲンから製造された分岐状ポリカーボネート樹脂が挙げられる。
上記ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパンのようなビス(ヒドロキシアリール)アルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンのようなビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルエーテルのようなジヒドロキシジアリールエーテル類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルフィドのようなジヒドロキシジアリールスルフィド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホキシドのようなジヒドロキシジアリールスルホキシド類、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシ−3,3′−ジメチルジフェニルスルホンのようなジヒドロキシジアリールスルホン類等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上混合して使用されるが、これらの他に、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
分岐剤として使用される3価以上のフェノールとしては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)−エタンおよび2,2−ビス−〔4,4−(4,4’−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル〕−プロパンなどが挙げられる。
これら分岐剤の含有量には特に制限はないが、成形加工性の面より、分岐状ポリカーボネート樹脂あたり0.01〜5.0重量%であることが好ましい。
分岐状ポリカーボネート樹脂(B)の分子量には特に制限はないが、成形加工性の面より、メルトフローレイト(MFR)(300℃、1.2kg荷重)が1.0〜20.0g/10分であることが好ましい。
分岐状ポリカーボネート樹脂(B)は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、特開昭56―55328、特開昭58―23825、特開昭59ー45318、特開昭59−133223、特開昭59−134742、特開昭62―10071、特開昭62−15223などに記載の方法が挙げられる。
本発明にて使用される有機金属塩(C)としては、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸イミドの金属塩等があげられる。金属の種類としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属等が挙げられる。好適には、4−メチル−N−(4−メチルフェニル)スルフォニル−ベンゼンスルフォンアミドのカリウム塩、ジフェニルスルホンー−3−スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホンー3−3‘−ジスルホン酸カリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンジスルホン酸ナトリウム、パーフルオロプロパンジスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロプロパンジスルホンイミドカリウム塩、ビス(ノナフルオロブタンスルホニル)イミドカリウム等が利用できる。とりわけ、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好適に使用できる。
有機金属塩(C)の配合量は、直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)0〜60重量%および分岐状ポリカーボネート樹脂(B)40〜100重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、0.005〜0.2重量部である。0.005重量部未満では難燃性が低下するので好ましくない。また、0.2重量部を超える配合量では透明性に劣るため好ましくない。好ましくは、0.02〜0.15重量部、より好ましくは0.04〜0.10重量部である。
本発明にて使用されるシリコーン化合物(D)は、主鎖が分岐構造でかつ有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなり、下記一般式(1)にて示される。
一般式(1)
Figure 0006285137
ここで、R1、R2およびR3は主鎖の有機官能基を、Xは末端の官能基を表す。すなわち、分岐単位としてT単位(RSiO1.5)および/またはQ単位(SiO2.0)を持つことを特徴とする。これらは全体のシロキサン単位(R3〜0SiO2〜0.5)の20モル%以上含有することが望ましい。(Rは有機官能基をあらわす。)また、シリコーン化合物(D)は、含有される有機官能基のうち芳香族基が20モル%以上であることが好ましい。この含有される芳香族基としては、フェニル、ビフェニル、ナフタレンまたはこれらの誘導体であるが、フェニル基が好適に使用できる。
シリコーン化合物(D)中の有機官能基で、主鎖や分岐した側鎖に付いたもののうち芳香族基以外の有機基としては、炭素数4以下の炭化水素基が好ましく、メチル基が好適に使用できる。さらに、末端基はメチル基、フェニル基、水酸基の内から選ばれた1種またはこれらの2種から3種までの混合物であることが好ましい。
シリコーン化合物(D)の平均分子量(重量平均)は、好ましくは3000〜50000であり、更に好ましくは5000〜270000である。3000未満であるとシリコーン自体の耐熱性が低下して十分な難燃性効果が得られず、さらに溶融粘度が低すぎて成形体表面にシリコーン化合物がブリードアウトして外観を損ねる場合があり、一方、500000を越えると溶融年度が増加してポリカーボネート樹脂中の均一な分散ができず、難燃性及び成形性が低下するため好ましくない。さらに好ましくは10000〜27000である。この範囲では溶融粘度が最適となるため、一層良好な難燃性と成形性を達成することができる。
シリコーン化合物(D)の配合量は、直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)0〜60重量%および分岐状ポリカーボネート樹脂(B)40〜100重量%からなる樹脂成分100重量部あたり、0.005〜0.5重量部である。配合量が0.005重量部未満では充分な難燃効果が得られず、0.5重量部を超える配合量では透明性に劣るため好ましくない。より好ましくは0.03〜0.3重量部の範囲である。
本発明においては、とりわけ、前記有機金属塩(C)の配合量が0.04〜0.10重量部、かつシリコーン化合物(D)の配合量が0.03〜0.3重量部、(それぞれ、分岐状ポリカーボネート樹脂(B)40〜100重量%および直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)0〜60重量%からなる樹脂成分100重量部あたり)で使用することにより、透明性及び難燃性の両者が顕著に向上することから、この範囲で(C)および(D)の両成分を使用することが特に好ましい。
さらに、本発明においては、後述するように、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる厚さ3.0mmのシート試験片を用いてJIS K7361に基づき測定した曇価率(へーズ)が2%以下であることが好ましい。曇価率(ヘーズ)が2%を上回ると、産業機械の作業者の計器類への視認性を阻害し、産業機械の操作等に悪影響を及ぼす虞がある。
また、本発明においては、後述するように、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる厚さ2.0mmのシート試験片を用いてUL94試験方法(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に基づき測定した難燃性がV−1等級、およびV−0等級を有することが好ましい。難燃性が、V−1等級を下回ると、計器類保護カバーに必要な難燃性を十分に確保できないことがある。好ましくは、V−0等級である。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂組成物においては、実用上、難燃性以外に要求される性能により、公知の各種添加剤、ポリマーなどを必要に応じて添加することができる。例えば、鮮やかな色調を得るために、ベンゾオキサゾール系の蛍光増白剤およびこれらを併用して添加してもよい。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂組成物には、上記以外の公知の添加剤、例えばフェノール系またはリン系熱安定剤[2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、4,4′−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2−メチレンビス−(4−エチル−6−t−メチルフェノール)、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4′−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)等]、滑剤[パラフィンワックス、n−ブチルステアレート、合成蜜蝋、天然蜜蝋、グリセリンモノエステル、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールテトラステアレート等]、着色剤[例えば酸化チタン、カーボンブラック、染料]、充填剤[炭酸カルシウム、クレー、シリカ、ガラス繊維、ガラス球、ガラスフレーク、カーボン繊維、タルク、マイカ、各種ウィスカー類等]、流動性改良剤、展着剤[エポキシ化大豆油、流動パラフィン等]、さらには他の熱可塑性樹脂や各種耐衝撃改良剤(ポリブタジエン、ポリアクリル酸エステル、エチレン・プロピレン系ゴム等のゴムに、メタアクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル等の化合物をグラフト重合してなるゴム強化樹脂等が例示される。)を必要に応じて添加することができる。
本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂の実施の形態および順序には何ら制限はない。例えば、分岐状ポリカーボネート樹脂(B)、直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)、有機金属塩(C)、シリコーン化合物(D)を任意の配合量で計量し、タンブラー、リボブレンダー、高速ミキサー等により一括混合した後、混合物を通常の単軸押出機または2軸押出機を用いて溶融混練し、ペレット化させる方法、あるいは、個々の成分を一部または全てを別々に計量し、複数の供給装置から押出機内へ投入し、溶融混合する方法、さらには、ポリカーボネート樹脂成分(A)、(B)、有機金属塩(C)シリコーン化合物(D)を高濃度に配合し、一旦溶融混合してペレット化し、マスターバッチとした後、当該マスターバッチとポリカーボネート樹脂を所望の比率により混合することもできる。そして、これらの成分を溶融混合する際の、押出機へ投入する位置、押出温度、スクリュウ回転数、供給量など、状況に応じて任意の条件が選択され、ペレット化することができる。
本発明の計器類保護カバーは、これらペレットを用いて押出成形等することによってシートを得、そのシートから熱成形や切削加工などによってカバー形状に加工される。
本発明の計器類保護カバーに使用されるシートの製造方法としては、Tダイ押出成形法、カレンダ成形法等の従来の成形法を用いることができる。
計器類保護カバーの形状に制限はなく、カバー表面に印刷や各種表面加工が施されていても良い。
前記計器類保護カバーの厚みは、得られた計器類保護カバーの剛性や強度および難燃性の発揮等を考慮すると、1.5mm以上の厚みが好ましい、特に好ましくは2.0mm以上である。1.5mm未満では、計器類保護カバーに必要な強度が不足し、また難燃性も十分(V−1以上)発揮できなる場合がある。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら制限されるものではない。なお、部や%は特に断りのない限り重量基準に基づく。
使用した配合成分の詳細は、以下のとおりである。
直鎖状ポリカーボネート樹脂(A):(以下、PC−1と略記)
住化スタイロンポリカーボネート製カリバー200−3
(粘度平均分子量:23000)
分岐状ポリカーボネート樹脂(B):(以下、PC−2と略記)
LGポリカーボネート社製1600−3
(粘度平均分子量:24000)
有機金属塩(C):(以下、金属塩と略記)
ランクセス社製パーフルオロブタンスルホン酸カリウム
シリコーン化合物(D):(以下、シリコーンと略記)
シリコーンは、一般的な製造方法に従って製造した。すなわち、適量のジオルガノジクロロシラン、モノオルガノトリクロロシランおよびテトラクロロシラン、あるいはそれらの部分加水分解縮合物を有機溶剤中に溶解し、水を添加して加水分解して、部分的に縮合したシリコーン化合物を形成し、さらにトリオルガノクロロシランを添加して反応させることによって重合を終了させ、その後、溶媒を蒸留等で分離した。上記方法で合成したシリコーンの構造特性は、以下のとおり:
・主鎖構造のD/T/Q単位の比率:40/60/0(モル比)
・全有機官能基中のフェニル基の比率(*):60モル%
・末端基:メチル基のみ
・重量平均分子量(**):15000
*:フェニル基は、T単位を含むシリコーン中ではT単位にまず含まれ、残った場合がD単位に含まれる。D単位にフェニル基が付く場合、1個付くものが優先し、さらにフェニル基が残余する場合に2個付く。末端基を除き、有機官能基は、フェニル基以外は全てメチル基である。
**:重量平均分子量は、有効数字2桁。
(透明性評価)
表2〜表4に示す配合成分及び配合比率に基づき得られた各種樹脂組成物のペレットを125℃で4時間乾燥した後に、押出成形機(田辺プラスチック社製VS40単軸押出機)を用いて設定温度280℃にて透明性評価用シート試験片(150x90x3.0mm)を作成した。JIS K7361に基づき、作成したシート試験片の3.0mm厚み部の曇り度をヘーズメーターHM150(村上色彩技術研究所(株)製)を用い、JIS K7105に準じて曇価率の測定を行った。曇価率Hが、2.0%以下を良好とした。結果を表2〜表4に示す。
曇価率H(%) = (拡散透過率Td2/全光線透過率Tt)×100
(難燃性評価)
得られた各種樹脂組成物のペレットを125℃で4時間乾燥した後に、押出成形機(田辺プラスチック社製VS40単軸押出機)を用いて設定温度280℃にて難燃性評価用シート試験片(125x13x2.0mm)を作成した。得られたシート試験片を用いて温度23℃、湿度50%の恒温室の中で72時間放置し、アンダーライターズ・ラボラトリーズが定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に準拠した難燃性の評価を行い、V−0またはV−1を良好とした。結果を表2〜表4に示す。なお、UL94の難燃性クラスは表1のとおり。
Figure 0006285137
残炎時間とは、着火源を遠ざけた後の試験片が、有炎燃焼を続ける時間の長さであり、ドリップによる綿の着火とは、試験片の下端から約300mm下にある標識用の綿が、試験片からの滴下(ドリップ)物によって着火されるかどうかによって決定される。
Figure 0006285137
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実施例1、2、4〜9に示すように、本発明の構成要件を満足するものについては、要求性能を満たしていた。
一方、比較例1〜5に示すように、本発明の構成要件を満足しないものについては、それぞれ次のとおり欠点を有していた。
比較例1は、分岐状ポリカーボネート樹脂(PC−2)の配合比率が本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、難燃性に劣っていた。
比較例2は、シリコーンの配合量が本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、難燃性に劣っていた。
比較例3は、シリコーンの配合量が本発明の定める範囲よりも多い場合であり、透明性に劣っていた。
比較例4は、金属塩の配合量が本発明の定める範囲よりも少ない場合であり、難燃性に劣っていた。
比較例5は、金属塩の配合量が本発明の定める範囲よりも多い場合であり、透明性に劣っていた。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなるシートからなる計器類保護カバーであって、
    該ポリカーボネート樹脂組成物が、直鎖状ポリカーボネート樹脂(A)25〜60重量%および分岐状ポリカーボネート樹脂(B)40〜75重量%からなる樹脂成分100重量部、有機金属塩(C)0.005〜0.2重量部、および主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(D)0.005〜0.5重量部を含有することを特徴とする、計器類保護カバー。
  2. 前記有機金属塩(C)の配合量が0.04〜0.1重量部であり、かつ前記主鎖が分岐構造でかつ含有する有機官能基が芳香族基からなるか、または芳香族基と炭化水素基(芳香族基を除く)とからなるシリコーン化合物(D)の配合量が0.03〜0.3重量部(それぞれ、前記樹脂成分100重量部あたり)であることを特徴とする、請求項1記載の計器類保護カバー。
  3. 前記有機金属塩(C)が、芳香族スルホン酸の金属塩、パーフルオロアルカンスルホン酸の金属塩、およびパーフルオロアルカンスルホン酸イミドから選択される1種、もしくはそれ以上の化合物であることを特徴とする、請求項1記載の計器類保護カバー。
  4. 前記ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる厚さ3.0mmのシート試験片を用いてJIS K7361に基づき測定した曇価率が2%以下であることを特徴とする、請求項1記載の計器類保護カバー。
  5. 前記ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる厚さ2.0mmのシート試験片を用いてUL94試験方法(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)に基づき測定した難燃性がV−0等級を有することを特徴とする、請求項1記載の計器類保護カバー。
  6. 前記シートの厚みが1.5mm以上であることを特徴とする、請求項1記載の計器類保護カバー。
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