JP6285136B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

本明細書に開示の技術は、被検眼を検査する眼科装置に関する。特に、被検眼の対象部位(例えば、前房深度、水晶体等)の眼軸方向の長さ(寸法)を測定する眼科装置に関する。
被検眼の対象部位(例えば、前房深度、水晶体等)の眼軸方向の長さ(寸法)を測定するための眼科装置が開発されている。この種の眼科装置は、光源からの光を被検眼の内部に照射すると共にその反射光を導く測定光学系と、光源からの光を参照面に照射すると共にその反射光を導く参照光学系を備えている。そして、測定光学系により導かれた反射光と参照光学系により導かれた反射光とを合成した干渉光から、被検眼内部の対象部位の前面の位置と後面の位置を特定する。対象部位の前面及び後面の位置が特定されると、それらの位置から対象部位の眼軸方向(奥行き方向)の寸法を算出する。特許文献1,2には、この種の眼科装置の従来例が開示されている。
特開2007−37984号公報 特開2007−313208号公報
前房深度や水晶体の厚みといった対象部位の眼軸方向の寸法を測定するためには、対象部位の前面(表面側の面)から反射される光と、対象部位の後面(内部側の面)から反射される光の両者を受光しなければならない。しかしながら、従来の眼科装置では、対象部位の前面と後面の両者から十分な強度を有する反射光を受光することが難しく、対象部位の眼軸方向の寸法を算出できない場合があった。例えば、対象部位の前面から反射される光の強度が十分にあり、対象部位の前面の位置を特定できる場合でも、対象部位の後面から反射される光の強度が十分でなく、対象部位の後面の位置を特定できない場合がある。あるいは、対象部位の後面から反射される光の強度が十分であっても、対象部位の前面から反射される光の強度が十分でない場合があった。このような場合には、対象部位の眼軸方向の寸法を算出することができない。本明細書の目的は、被検眼の対象部位の眼軸方向の寸法を安定(高確率)して測定することができる眼科装置を提供することである。
本明細書に開示する眼科装置は、光源と、光源からの光を被検眼の内部に照射すると共にその反射光を導く測定光学系と、光源からの光を分岐して参照光を生成する参照光学系と、測定光学系により導かれた反射光と参照光学系により生成された参照光とが合成された干渉光を受光する受光素子と、受光素子で受光される干渉光から、被検眼の対象部位の眼軸方向の寸法を算出する演算装置と、を有している。測定光学系は、被検眼に照射される光の被検眼への入射位置を変更する入射位置変更手段と、照射される光の入射位置が被検眼の予め設定された設定領域内を走査するように入射位置変更手段を駆動する駆動手段と、を有している。設定領域は、被検眼を正面視した場合に、被検眼の角膜頂点から半径方向に伸びる直線を周方向に予め設定された角度範囲で移動させたときに、前記直線が通過する領域とされている。
この眼科装置では、駆動手段で入射位置変更手段を駆動することによって、被検眼に照射される光の入射位置が変化し、被検眼に照射される光が設定領域内で走査される。本願発明者等が鋭意検討したところ、被検眼内部の各面から反射される光の強度が大きくなるときの光の入射位置は、被検眼の角膜頂点に対して所定の位置関係を有する領域内となる確率が高いことが判明した。具体的には、被検眼を正面視したときに、被検眼の角膜頂点に対して周方向の所定の角度範囲となる領域に光が入射したときに、その反射光の強度が大きくなる確率が高いことが判明した。この眼科装置では、被検眼を正面視したときに、被検眼の角膜頂点に対して周方向の所定の角度範囲となる領域を設定領域とし、その設定領域内で光を走査する。このため、被検眼内部の各面から十分な強度を有する反射光を高確率で得ることができ、被検眼内部の各面の位置を安定して特定することができる。
本実施例に係る眼科装置の光学系の概略構成図である。 本実施例に係る眼科装置の制御系のブロック図である。 0点調整機構の機能を説明するための図である。 光源からの光を走査する設定領域と、設定領域内に設定される走査線を説明するための図である。 測定光学系の光路長を所定の光路長範囲で走査したときに得られる干渉信号波形を処理する手順を説明するための図である。 本実施例に係る眼科装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。 水晶体前面(右眼,左眼)からの反射光の強度が最大となる入射位置を実験により求めたときの実験結果を示す図。 水晶体後面(右眼,左眼)からの反射光の強度が最大となる入射位置を実験により求めたときの実験結果を示す図。
(特徴1) 本明細書に開示する眼科装置においては、演算装置は、被検眼に照射される光が設定領域内を走査されたときに受光される干渉光から、対象部位の前面の位置を特定すると共に対象部位の後面の位置を特定し、それら特定した位置から対象部位の眼軸方向の寸法を算出してもよい。このような構成によると、設定領域内で光を走査することで得られる干渉光を用いるため、対象部位の前面及び後面の位置を安定して特定することができ、対象部位の眼軸方向の寸法を安定して算出することができる。
(特徴2) 本明細書に開示する眼科装置においては、対象部位の前面の位置を特定する干渉光が得られるときの入射位置と、対象部位の後面を特定する干渉光が得られるときの入射位置とが相違してもよい。このような構成によると、被検眼の異なる入射位置に光が入射したときに得られる反射光から、対象部位の各面の位置を特定する。このため、対象部位の各面の位置を特定するために用いる反射光の強度を十分なものとすることができ、安定して対象部位の各面の位置を特定することができる。
(特徴3) 本明細書に開示する眼科装置においては、演算装置は、被検眼に照射される光が設定領域内を走査されるときに、対象部位の前面から反射される反射光の強度が最大となる第1入射位置を特定すると共に、対象部位の後面から反射される反射光の強度が最大となる第2入射位置を特定してもよい。この場合、駆動手段は、第1入射位置及び第2入射位置を通過するように設定された走査線上を被検眼に照射される光が走査するように入射位置変更手段をさらに駆動し、演算装置は、第1入射位置及び第2入射位置を通過するように設定された走査線上を光が走査するときの干渉光から、対象部位の眼軸方向の寸法を算出してもよい。
このような構成によると、まず、被検眼に照射される光を設定領域内で走査し、第1入射位置と第2入射位置を特定する。次いで、被検眼に照射される光を第1入射位置及び第2入射位置を通る走査線上で走査する。したがって、この走査線を光が走査する際には、対象部位の前面から十分な強度の反射光を受光でき、また、対象部位の後面からも十分な強度の反射光を受光できる。すなわち、被検眼に照射される光を1走査線上で走査するだけで、対象部位の眼軸方向の厚みを算出することができる。被検眼に照射される光を1走査線上で走査するのに要する時間は短いため、対象部位の前面を特定するときの被検眼の状態と、対象部位の後面を特定するときの被検眼の状態とは略同一の状態となる。このため、対象部位の眼軸方向の寸法を精度よく算出することができる。
(特徴4) 本明細書に開示する眼科装置においては、被検眼を正面視したときに、第1入射位置と第2入射位置の一方は、被検眼の角膜頂点を通る垂直線に対して一方の側に位置する一方、第1入射位置と第2入射位置の他方は、前記垂直線に対して他方の側に位置してもよい。
(特徴5) 本明細書に開示する眼科装置においては、走査線は、被検眼の角膜頂点を含んでおり、角膜頂点と第1入射位置とを結ぶ第1区間と、角膜頂点と第2入射位置とを結ぶ第2区間を有していてもよい。このような構成によると、被検眼に照射される光を、第1入射位置から角膜頂点を介して第2入射位置に走査することができる。このため、1つの走査線に沿って光を走査するだけで、角膜頂点の位置と、対象部位の前面の位置と、対象部位の後面の位置を同時に取得することができる。したがって、これらの眼軸方向の寸法を精度よく取得することができる。例えば、対象部位が水晶体である場合、上記の走査線を設定することで、水晶体の厚み(水晶体の前面から後面までの寸法)と、前房深度(例えば、角膜表面又は角膜後面から水晶体の前面までの寸法)を同時に取得することができる。すなわち、第1区間を走査することで、角膜表面/角膜後面と水晶体前面の位置が取得でき、第2区間を走査することで、角膜表面/角膜後面と水晶体後面の位置が取得できる。したがって、水晶体の厚みと前房深度を同時に取得することができる。
(特徴6) 本明細書に開示する眼科装置においては、角度範囲は、被検眼を正面視したときに、被検眼の角膜頂点から上方に伸びる垂直線を基準線とし、その基準線に対して時計回りの方向を(+)とする一方で反時計回りの方向を(−)とすると、+20°〜+85°の範囲と−20°〜−85°の範囲であってもよい。後述するように、角度範囲を上記の範囲とすると、被検眼の水晶体の後面と前面の位置を安定して(高確率で)特定することができる。角度範囲が適切に限定されるため、短時間で水晶体の眼軸方向の長さを測定することができる。
(特徴7) 本明細書に開示する眼科装置においては、対象部位は、角膜前面又は角膜後面から水晶体前面までの前房深度、及び/又は、水晶体前面から水晶体後面までの水晶体厚みとしてもよい。水晶体の法線方向が被検眼の視軸からずれているため、測定時に水晶体に対して斜めに光が入射して、水晶体の前面及び後面からの反射光の強度が低くなり易い。このため、本明細書に記載の眼科装置を用いることで、このような部位の測定を好適に行うことができる。
(特徴8) 本明細書に開示する眼科装置においては、入射位置変更手段は、被検眼に照射する光の光軸上に配置されたレンズとしてもよい。この場合、駆動手段は、そのレンズを前記光軸に対して直交する平面内で移動させてもよい。光軸上に配置されたレンズを用いることで、被検眼に照射される光の2次元的走査を安価に行うことができる。入射位置変更手段として用いるレンズとしては、例えば、ビームエキスパンダーを構成する複数のレンズの一つとすることができる。
図1に示すように、本実施例の眼科装置は、被検眼100を検査するための測定部10を有している。測定部10は、被検眼100から反射される反射光と参照光とを干渉させる干渉光学系14と、被検眼100の前眼部を観察する観察光学系50と、被検眼100に対して測定部10を所定の位置関係にアライメントするためのアライメント光学系(図示省略)を有している。
干渉光学系14は、光源12と、光源12からの光を被検眼の内部に照射すると共にその反射光を導く測定光学系と、光源12からの光を参照面に照射すると共にその反射光を導く参照光学系と、測定光学系により導かれた反射光と参照光学系により導かれた参照光とを合成した干渉光を受光する受光素子26によって構成されている。
光源12は、波長掃引型(波長走査型)の光源であり、出射される光の波長が所定の周期で変化する。本実施例では、光源12から出射される光の波長を変化させながら、被検眼Eからの反射光と参照光とを干渉させ、その干渉光を測定する。そして、測定した干渉光(干渉信号)をフーリエ変換することで、被検眼Eの内部の各部位(例えば、水晶体、網膜等)の位置を特定することができる。なお、光源12は、1μm帯域の波長(例えば、950nm〜1100nm程度)の光が出射される光源とされている。
測定光学系は、ビームスプリッタ24と、ミラー28と、0点調整機構30と、ミラー34と、ビームエキスパンダー40と、ミラー46と、ホットミラー48によって構成されている。光源12から出射された光は、ビームスプリッタ24、ミラー28、0点調整機構30、ミラー34、ビームエキスパンダー40、ミラー46、及びホットミラー48を介して被検眼100に照射される。被検眼100からの反射光は、ホットミラー48、ミラー46、ビームエキスパンダー40、ミラー34、0点調整機構30、ミラー28、及びビームスプリッタ24を介して受光素子26に導かれる。0点調整機構30とビームエキスパンダー40については、後で詳述する。
参照光学系は、ビームスプリッタ24と参照ミラー22によって構成されている。光源12から出射された光の一部は、ビームスプリッタ24で反射され、参照ミラー22に照射され、参照ミラー22によって反射される。参照ミラー22で反射された光は、ビームスプリッタ24を介して受光素子26に導かれる。参照ミラー22とビームスプリッタ24と受光素子26は、干渉計20内に配置され、その位置が固定されている。このため、本実施例の眼科装置では、参照光学系の参照光路長は一定で変化しない。
受光素子26は、参照光学系により導かれた光と測定光学系により導かれた光とを合成した干渉光を検出する。受光素子26としては、例えば、フォトダイオードを用いることができる。
観察光学系50は、被検眼100にホットミラー48を介して観察光を照射すると共に、被検眼100から反射される反射光(すなわち、照射された観察光の反射光)を撮影する。ここで、ホットミラー48は、干渉光学系の光源12からの光を反射する一方で、観察光学系の光源からの光を透過する。このため、本実施例の眼科装置では、干渉光学系による測定と、観察光学系50による前眼部の観察を同時に行うことができる。なお、観察光学系50には、公知の眼科装置に用いられているものを用いることができるため、その詳細な構成については説明を省略する。
ここで、測定光学系に設けられる0点調整機構30とビームエキスパンダー40について説明する。0点調整機構30は、コーナキューブ32と、コーナキューブ32をミラー28,34に対して進退動させる第2駆動装置56(図2に図示)を備えている。第2駆動装置56がコーナキューブ32を図1の矢印Aの方向に駆動することで、光源12から被検眼100までの光路長(すなわち、測定光学系の物体光路長)が変化する。図3に示すように、光源12から被検眼100の検出面(図3では角膜表面)までの物体光路長(詳細には、光源12〜検出面+検出面〜受光素子26)と、光源12から参照ミラー22までの参照光路長(詳細には、光源12〜参照ミラー22+参照ミラー22〜受光素子26)とに光路差Δzが存在する場合、光路差Δzが大きくなるほど、検出面から反射される反射光と参照光とを合成した干渉光の強度は弱くなる。逆に、光路差Δzが小さいほど、干渉光の強度は強くなる。このため、本実施例では、0点調整機構30により物体光路長を変化させることで、参照光路長と物体光路長とが一致する位置(いわゆる、0点)を角膜102の表面から網膜106の表面まで変化させることができる。
ビームエキスパンダー40は、光源12側に配置される凸レンズ42と、被検眼100側に配置される凸レンズ44と、凸レンズ44に対して凸レンズ42を光軸方向(z軸方向)に進退動させると共に、凸レンズ44を光軸に対して直交する平面(xy平面)内で移動させる第3駆動装置58を備えている。凸レンズ42と凸レンズ44は、光軸上に配置され、入射する平行光の焦点の位置を変化させる。すなわち、第3駆動装置58が凸レンズ42を図1の矢印Bの方向に駆動することで、被検眼100に照射される光の焦点の位置が被検眼100の深さ方向に変化する。具体的には、凸レンズ44から照射される光が平行光となるように凸レンズ42と凸レンズ44との間隔を調整した状態から、凸レンズ42を凸レンズ44から離れる方向に移動させると、凸レンズ44から照射される光は収束光となり、凸レンズ42を凸レンズ44に近づく方向に移動させると、凸レンズ44から照射される光は発散光となる。これによって、被検眼100に照射される光の焦点の位置を被検眼100の角膜102の表面や網膜106の表面に一致させることで、これらの面から反射される光の強度を強くでき、これらの面の位置を精度よく検出することができる。
また、凸レンズ44は、凸レンズ42に対して光軸に対して直交する平面(xy平面)内で2次元的に移動可能となっている。すなわち、第3駆動装置58は、凸レンズ42に対して凸レンズ44を、光軸に対して直交する平面(xy平面)内で2次元的に駆動する。これによって、光源12からの光の被検眼100への入射位置が、被検眼100に対して2次元的に変化する。具体的には、被検眼100を正面視した図4において、入射位置はこの平面(xy平面)内を2次元的に変化する。例えば、凸レンズ44を凸レンズ42に対してy方向に移動させると、入射位置もy方向に変化する。また、凸レンズ44を凸レンズ42に対してx方向に移動させると、入射位置もx方向に変化する。したがって、凸レンズ44を凸レンズ42に対してx方向及び/又はy方向に移動させることで、入射位置がxy平面内で変化する。
なお、本実施例のビームエキスパンダー40では、凸レンズ42を光軸方向に移動させることで光の焦点の位置を調整し、凸レンズ44を光軸に対して直交する平面内で移動させることで光の入射位置を調整したが、このような構成には限られない。例えば、凸レンズ42に代えて凸レンズ44を光軸方向に移動させることで、光の焦点の位置を変更するようにしてもよい。また、凸レンズ44に代えて凸レンズ42を光軸に対して直交する平面内で移動させることで、光の入射位置を調整するようにしてもよい。あるいは、凸レンズ42と凸レンズ44の一方を他方に対して、光軸方向及び光軸と直交する平面内で移動させることで、光の焦点の位置及び光の入射位置の両者を調整するようにしてもよい。また、本実施例では、2つの凸レンズ42,44でビームエキスパンダー40を構成したが、3以上のレンズによってビームエキスパンダーを構成してもよい。例えば、凸レンズ42を複数のレンズによって構成してもよい。
図4に示すように本実施例では、第3駆動装置58が凸レンズ44を駆動することで、被検眼100に照射される光の入射位置を設定領域108a,108b内で走査する。設定領域108aは、被検眼100の角膜頂点110から上方に伸びる垂線(図中のy軸)を基準線とすると、この基準線に対して周方向(時計回りの方向)にθ1〜θ2の角度範囲となる扇形の領域である。一方、設定領域108bは、基準線(y軸)に対して周方向(反時計回りの方向)にθ3〜θ4の角度範囲となる扇形の領域である。上記の説明から明らかなように、設定領域108a,108bは、被検眼100を正面視したときに、被検眼100の角膜頂点110から半径方向に伸びる直線を周方向に角度範囲θ1〜θ2又はθ3〜θ4で移動させたときに、前記直線が通過する領域ということができる。なお、設定路領域108a,108bの半径方向の寸法(すなわち、上記の直線の長さ)は、角膜頂点から所定の長さ(例えば、1〜3mm程度)とすることができる。
後述する実験結果(図7,8参照)に示されるように、被検眼100が右眼であるときは、水晶体104の前面から反射される光の強度は、入射位置が領域108aにあるときに最も強くなり、水晶体104の後面から反射される光の強度は、入射位置が領域108bにあるときに最も強くなる。一方、被検眼100が左眼であるときは、水晶体104の後面から反射される光の強度は、入射位置が領域108aにあるときに最も強くなり、水晶体104の前面から反射される光の強度は、入射位置が領域108bにあるときに最も強くなる。したがって、被検眼100に照射される光の入射位置を設定領域108a,108b内で走査することで、水晶体104の前面と後面からの反射光の強度が最も強くなるときの光の入射位置を効率的に特定することができる。なお、本実施例では、θ1は+20°とされ、θ2は+85°とされ、θ3は−20°とされ、θ4は−85°とされている。ここで、(+)は時計回りの方向を表し、(−)は反時計回りの方向を表している。
また、本実施例では、上述した設定領域108a,108bの全体をカバーするように、設定領域108a,108b内に複数の走査線112が設定される(図4の(b)では1本の走査線112のみを図示している)。図4の(b)に示すように、走査線112は、角膜頂点110から設定領域108b内を伸びる直線部分と、角膜頂点から設定領域108a内を伸びる直線部分により構成されている。このように走査線112を角膜頂点110を通る直線とすることで、設定領域108a,108bの全体に漏れなく光を走査することができる。
なお、アライメント光学系は、公知の眼科装置に用いられているものを用いることができ、また、被検眼100の角膜頂点110の位置を検出する検出装置60(図2に図示)を備えている。本実施例では、角膜頂点検出装置60が被検眼100の角膜頂点110を検出し、その検出結果に基づいて測定部10(詳細には、測定部10のうち干渉計20を除いた部分の光学系)の位置が調整される。これによって、測定部10が被検眼100の角膜頂点110に対して所定の位置に位置決めされる。測定部10の位置を調整するための機構として、本実施例の眼科装置は、被検眼100に対して測定部10の位置を調整するための位置調整機構16(図2に図示)と、その位置調整機構16を駆動する第1駆動装置54(図2に図示)を備えている。なお、アライメント光学系及び角膜頂点検出装置60は、公知の構成を採ることができるため、その詳細な説明は省略する。
次に、本実施例の眼科装置の制御系の構成を説明する。図2に示すように、眼科装置は演算装置64によって制御される。演算装置64は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイクロプロセッサ)によって構成されている。演算装置64には、光源12と、第1〜第3駆動装置54〜58と、モニタ62と、観察光学系50が接続されている。演算装置64は、光源12のオン/オフを制御し、第1〜第3駆動装置54〜58を制御することで各機構16,30,40を駆動し、また、観察光学系50を制御して観察光学系50で撮像される前眼部像をモニタ62に表示する。また、演算装置64には、受光素子26が接続され、受光素子26で検出される干渉光の強度に応じた干渉信号が入力する。演算装置64は、受光素子26からの干渉信号をフーリエ変換することによって、被検眼100の各部位(角膜102の前後面、水晶体104の前後面、網膜106の表面)の位置を特定し、被検眼100の眼軸方向の寸法(例えば、前房深度、水晶体厚み等)を算出する。また、演算装置64には、角膜頂点検出装置60が接続され、角膜頂点検出装置60からの信号が入力する。演算装置64は、角膜頂点検出装置60からの信号に基づいて、第1駆動装置54により位置調整機構16を駆動する。なお、演算装置64による被検眼100の各部位の位置を特定する処理の詳細については後述する。
次に、本実施例の眼科装置を用いて水晶体104の厚み(水晶体104の前面から後面までの寸法)及び前房深度(角膜102の表面又は後面から水晶体104の前面までの寸法)を測定する際の手順を説明する。図6に示すように、まず、検査者が図示しないスイッチ(測定開始を入力するスイッチ)を操作すると、演算装置64は、角膜頂点検出装置60で検出した角膜102の頂点の位置に基づいて、測定部10の位置合わせを行う(S10)。すなわち、演算装置64は、角膜頂点検出装置60からの信号を処理することによって、被検眼100の角膜102の頂点の位置を特定する。そして、演算装置64は、被検眼100の角膜102の頂点が測定光学系の光軸上に位置するように、第1駆動装置54により位置調整機構16を駆動して測定部14を位置決めする。これによって、被検眼100に対する測定部10のxy方向(縦横方向)の位置とz方向(進退動する方向)の位置が調整される。測定部14が位置決めされると、観察光学系50で撮像される前眼部像の中心に角膜102の頂点が位置する。また、演算装置64は、第2,第3駆動装置56,58を駆動して、0点調整機構30及びビームエキスパンダー40を調整する。これによって、光源12から被検眼100に照射される光の焦点の位置が被検眼100の所定の位置(例えば、水晶体104の前面)となり、また、物体光路長と参照光路長が一致する0点の位置が被検眼100の所定の位置(例えば、水晶体104の前面)となる。なお、ステップS10では、ビームエキスパンダー40の凸レンズ44は光軸方向にのみ駆動される。
次に、演算装置64は、被検眼100に対して光を照射する領域(すなわち、図4に示す設定領域108a,108b)を設定し、かつ、その設定領域内に走査線(すなわち、図4に示す走査線112)を設定する(S12)。すなわち、本実施例の眼科装置では、測定対象部位に応じた設定領域108a,108b(θ1〜θ2,θ3〜θ4)が、演算装置64のメモリに記憶されている。したがって、演算装置64は、測定対象部位に応じて、メモリから設定領域108a,108bを読み出す。次いで、演算装置64は、設定領域108a,108b内の全域に光が照射されるように、設定領域108a,108b内に複数の走査線112を設定する。すなわち、光源12からの光が全ての走査線112上を走査することで、設定領域108a,108bの全域に光源からの光が照射されるようにする。これによって、設定領域108a,108bの全域の断層情報が取得されることとなる。
設定領域108a,108b及び走査線112の設定が終わると、演算装置64は、設定した複数の走査線112の中から1つの走査線を選択する(S14)。次いで、演算装置64は、光源12から照射される光の周波数を変化させながら、光源12からの光の被検眼100への入射位置が走査線上を移動するように、第3駆動装置58によりビームエキスパンダー40を駆動する(S16)。この際、演算装置64は、受光素子26から入力する干渉信号を処理することで、ステップS14で選択された走査線の位置の2次元断層情報を取得することができる。すなわち、既に説明したように、光源12から照射される光の周波数を変化させると、測定光と参照光とが干渉して干渉波を生じる位置が被検眼100の深さ方向に変化する。このため、受光素子26から出力される干渉信号は、図5に示すように、信号強度が時間によって変化する信号となり、この信号には被検眼100の各部(角膜102の前面及び後面、水晶体104の前面及び後面、網膜106の表面)から反射された各反射光と参照光とを合成した干渉波による信号となる。そこで、演算装置64は、受光素子26から入力する信号をフーリエ変換することで、その信号から被検眼100の各部(角膜102の前面及び後面、水晶体104の前面及び後面、網膜106の表面)から反射された反射光による干渉信号成分を分離する。これにより、演算装置64は、被検眼100の各部の位置を特定することができる。また、上記の処理を行うと同時に、光源12からの光は走査線112上をスキャンされる。すなわち、演算装置64は、第3駆動装置58によりビームエキスパンダー40を駆動(詳細には、凸レンズ44を光軸に直交する平面内で駆動)し、光の入射位置が走査線上を移動するようにする。これによって、演算装置64は、走査線112の位置に対応した2次元の断層情報を取得することができる。なお、既に説明したように、被検眼100の各部から反射される反射光の強度は、光の入射位置によって変化する。したがって、走査線112上をスキャンすることで得られる2次元断層情報は、入射位置によって被検眼100の各部からの反射光の強度が異なり、被検眼100の各部の位置を特定できない場合も生じ得る。
次に、演算装置64は、上述したステップS16の測定を、ステップS12で設定した全ての走査線112について実施したか否かを判断する(S18)。全ての走査線についてステップS16の測定を実施していない場合(ステップS18でNO)は、ステップS14に戻って、ステップS14からの処理が繰り返される。これによって、ステップS12で設定された全ての走査線112について、各走査線112に対応する位置の2次元断層情報が取得される。
全ての走査線についてステップS16の測定を実施している場合(ステップS18でYES)は、演算装置64は、各走査線について得られた2次元断層情報から、被検眼100の水晶体104の前面の位置から反射される反射光の強度が最も大きくなるときの光の入射位置(以下、第1位置という)と、被検眼100の水晶体104の後面の位置から反射される反射光の強度が最も大きくなるときの光の入射位置(以下、第2位置という)を特定する(S20)。上述したように、被検眼100の各部位から反射される反射光は、被検眼100への光の入射位置によって変化する。このため、ある入射位置に光を照射したときに得られる干渉信号をフーリエ変換して、その位置における被検眼100の各部(角膜102の前面及び後面、水晶体104の前面及び後面、網膜106の表面)から反射された反射光による干渉信号成分を分離すると、各干渉信号成分の強度は、対応する面から反射された反射光の強度に応じて相違することとなる。したがって、演算装置64は、水晶体104の前面の位置に対応する干渉信号成分が、どの入射位置で最大となったかを判断する。そして、干渉信号成分が最大となる入射位置を「第1入射位置」とする。同様に、演算装置64は、水晶体104の後面の位置に対応する干渉信号成分が、どの入射位置で最大となったかを判断する。そして、干渉信号成分が最大となる入射位置を「第2入射位置」とする。
次に、演算装置64は、ステップS20で特定された「第1入射位置」と角膜頂点とを結ぶ直線と、ステップS20で特定された「第2入射位置」と角膜頂点とを結ぶ直線とを結んで、新たな走査線を設定する(S22)。例えば、図4(b)に示すように、設定領域108b内で第1入射位置114が特定され、設定領域108a内で第2入射位置116が特定された場合を考える。この場合、第1入射位置114と角膜頂点110を結ぶ直線と、第2入射位置116と角膜頂点110とを結ぶ直線とで構成される走査線112aを、新たな走査線として設定する。
新たな走査線112aが設定されると、演算装置64は、光源12から照射される光の周波数を変化させながら、光源12からの光の被検眼100への入射位置が走査線112a上を移動するように、第3駆動装置58によりビームエキスパンダー40を駆動する(S24)。なお、走査線112aには、水晶体104の前面からの反射光の強度が最も大きくなる「第1入射位置」と、水晶体104の後面からの反射光の強度が最も大きくなる「第2入射位置」が含まれている。また、光源12からの光が角膜102の頂点に入射されるときは、角膜102の表面及び後面からの反射光の強度が最も強くなる。このため、ステップS24で得られる干渉信号には、角膜102の表面及び後面の位置を特定するために十分な強度を有する干渉信号成分と、水晶体104の前面の位置を特定するために十分な強度を有する干渉信号成分と、水晶体104の後面の位置を特定するために十分な強度を有する干渉信号成分が含まれている。また、これらの干渉信号成分が1走査線をスキャンする間に取得される。すなわち、極めて短い時間で干渉信号が取得される。したがって、被検眼100が略一定の状態で、これらの干渉信号成分を得ることができる。
ステップS24で干渉信号を取得すると、演算装置64は、その干渉信号から水晶体104の前面の位置を特定し、また、水晶体104の後面の位置を特定し、さらに、角膜102の前面又は後面の位置を特定する(S26)。上述したように、ステップS24で得られた干渉信号には、水晶体104の前面の位置を特定するために十分な強度を有する干渉信号成分と、水晶体104の後面の位置を特定するために十分な強度を有する干渉信号成分と、角膜102の前面及び後面の位置を特定するために十分な強度を有する干渉信号成分が含まれている。また、ステップS24の干渉信号を得る時間は極めて短いため、被検眼100の状態は略一定に保たれる。したがって、演算装置64は、水晶体104の前面の位置と、水晶体104の後面の位置と、角膜102の前面及び後面の位置を精度よく特定することができる。これらの位置が特定されると、演算装置64は、被検眼100の水晶体104の厚み(水晶体104の前面から後面までの寸法)及び前房深度(角膜102の表面又は後面から水晶体104の前面の位置までの寸法)を算出する(S28)。算出された値は、モニタ62に表示される。上述したように、水晶体104の前面及び後面の位置と、角膜102の前面及び後面の位置が精度よく特定されるため、水晶体104の厚み及び前房深度も精度よく算出することができる。
ここで、複数人に対して被検眼の全域を光の入射位置が走査するように測定を行い、水晶体の前面の位置から反射される反射光の強度が最も大きくなるときの光の入射位置と、水晶体の後面の位置から反射される反射光の強度が最も大きくなるときの光の入射位置を実験した結果について説明する。図7に示すように、右眼の水晶体の前面については、反射光の強度が最大となる光の入射位置は、一部の例外を除き、角膜頂点から上方に伸びる基準線に対して時計回りの方向に20°〜85°の範囲となった。一方、左眼の水晶体の前面については、反射光の強度が最大となる光の入射位置は、一部の例外を除き、基準線に対して反時計回りの方向に20°〜85°の範囲となった。また、図8に示すように、右眼の水晶体の後面については、反射光の強度が最大となる光の入射位置は、一部の例外を除き、基準線に対して反時計回りの方向に20°〜85°の範囲となった。一方、左眼の水晶体の後面については、反射光の強度が最大となる光の入射位置は、一部の例外を除き、基準線に対して時計回りの方向に20°〜85°の範囲となった。したがって、図4に示すように設定領域108a,108bを設定することで、水晶体の前面からの反射光が最大となる位置と、水晶体の後面からの反射光が最大となる位置を効率的に特定することができる。
上述の説明から明らかように、本実施例に係る眼科装置では、被検眼100に照射される光の入射位置を変化させ、被検眼100の対象部位(例えば、水晶体104)の前後面から反射される光の強度が最大となる入射位置を特定する。そして、その特定した入射位置を通過するように走査線を設定し、その走査線に対して測定を行うことで、対象部位の眼軸方向の寸法を算出する。したがって、安定して被検眼の対象部位の眼軸方向の寸法を算出することができる。また、反射光の強度が最大となる入射位置を探索するときは、これらの入射位置が存在する確率の高い設定領域内を探索するため、最大となる入射位置を効率よく探索することができる。
また、本実施例に係る眼科装置は、ビームエキスパンダー40の凸レンズ44を利用して、被検眼100に照射される光の入射位置を移動させる。このため、小型な凸レンズ44を駆動することで、被検眼100に照射される光を高速でスキャンすることができる。また、ビームエキスパンダー40を用いるため、ガルバノミラー等で光をスキャンする場合と比較して、光をスキャンするための機構を安価に製造することができる。
また、本実施例の眼科装置では、ビームエキスパンダー40に焦点調整機能と入射位置調整機能の両者が具備されている。このため、ビームエキスパンダー40にレンズを駆動(移動)させる機能を集約することができる。その結果、部品点数の削減、及び、製造コストの削減を図ることができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述した実施例では、水晶体の厚みと前房深度を算出する例であったが、それ以外の部位の眼軸方向の寸法を算出してもよい。また、上述した実施例のように、水晶体の厚みと前房深度の両者を測定する必要は必ずしもなく、水晶体の厚みのみを測定してもよいし、前房深度のみを測定してもよい。例えば、水晶体の厚みのみを測定する場合は、第1入射位置(水晶体の前面からの反射光が最大となる位置)と、第2入射位置(水晶体の後面からの反射光が最大となる位置)とを結ぶ走査線を設定し、この走査線上を直線的に光を走査してもよい。あるいは、前房深度のみを測定する場合は、第1入射位置と角膜頂点とを結ぶ走査線を設定し、この走査線上を直線的に光を走査してもよい。このような構成とすることで、より短時間で所望の測定を行うことができる。
上述した実施例では、ビームエキスパンダー40を2つの凸レンズ42,44で構成したが、このような構成に限られず、種々の構成(例えば、凹レンズと凸レンズの組合せ、凸レンズと凹レンズの組合せ等)を採用することができる。すなわち、凸レンズと凹レンズの組合せ等のように異なる構成を用いても、本実施例と同様の機能(すなわち、焦点位置の調整、入射位置の調整)を果たすことできる。
また、上述した実施例では、ビームエキスパンダー40を利用して光の入射位置を変化させたが、これ以外の構成を採ることができる。例えば、光路上に配置されたレンズを利用し、そのレンズを光路(光軸)に対して直交する面内で2次元的に駆動してもよい。
なお、上述した実施例においては、設定領域108a,108b内で光を走査することで、所望の部位の眼軸方向の寸法を算出するが、設定領域108a,108b内で光を走査するだけでは、所望の部位の眼軸方向の寸法が算出できない場合は、設定領域108a,108b以外の領域をさらに新設定領域(例えば、+85°〜+135°,−85°〜−135°(+は時計回り、−は反時計回り))を設定し、新設定領域において測定を行ってもよい。このような構成によると、最初の測定を行う設定領域を狭く設定できるため、大多数の人に対して効率的(短時間)で測定対象部位の厚み等を測定することができる。
また、上述した実施例は、フーリエドメイン方式の干渉計を利用した例であったが、タイムドーメイン方式の干渉計を利用してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
10・・測定部
12・・光源
14・・干渉光学系
20・・干渉計
22・・参照ミラー
24・・ビームスプリッタ
26・・受光素子
28,34・・ミラー
30・・0点調整機構
32・・コーナキューブ
40・・ビームエキスパンダー
42・・凹レンズ
44・・凸レンズ
48・・ホットミラー
50・・観察光学系
54・・第1駆動装置
56・・第2駆動装置
58・・第3駆動装置
62・・モニタ
64・・演算装置

Claims (10)

  1. 光源と、
    光源からの光を被検眼の内部に照射すると共にその反射光を導く測定光学系と、
    光源からの光を分岐して参照光を生成する参照光学系と、
    測定光学系により導かれた反射光と参照光学系により生成された参照光とが合成された干渉光を受光する受光素子と、
    受光素子で受光される干渉光から、被検眼の対象部位の眼軸方向の寸法を算出する演算装置と、を有しており、
    測定光学系は、
    被検眼に照射される光の被検眼への入射位置を変更する入射位置変更手段と、
    照射される光の入射位置が被検眼の予め設定された設定領域内を走査するように入射位置変更手段を駆動する駆動手段と、を有しており、
    前記設定領域は、被検眼を正面視した場合に、被検眼の角膜頂点から半径方向に伸びる直線を周方向に予め設定された角度範囲で移動させたときに、前記直線が通過する領域とされており、
    前記演算装置は、被検眼に照射される光が前記設定領域内を走査されたときに受光される干渉光から、対象部位の前面の位置を特定すると共に対象部位の後面の位置を特定し、それら特定した位置から対象部位の眼軸方向の寸法を算出し、
    対象部位の前面の位置を特定する干渉光が得られるときの入射位置と、対象部位の後面を特定する干渉光が得られるときの入射位置とが相違する、眼科装置。
  2. 演算装置は、被検眼に照射される光が前記設定領域内を走査されるときに、対象部位の前面から反射される反射光の強度が最大となる第1入射位置を特定すると共に、対象部位の後面から反射される反射光の強度が最大となる第2入射位置を特定し、
    駆動手段は、第1入射位置及び第2入射位置を通過するように設定された走査線上を被検眼に照射される光が走査するように入射位置変更手段をさらに駆動し、
    演算装置は、第1入射位置及び第2入射位置を通過するように設定された走査線上を光が走査するときの干渉光から、対象部位の眼軸方向の寸法を算出する、請求項1に記載の眼科装置。
  3. 被検眼を正面視したときに、第1入射位置と第2入射位置の一方は、被検眼の角膜頂点を通る垂直線に対して一方の側に位置する一方、第1入射位置と第2入射位置の他方は、前記垂直線に対して他方の側に位置する、請求項2に記載の眼科装置。
  4. 前記走査線は、被検眼の角膜頂点を含んでおり、角膜頂点と第1入射位置とを結ぶ第1区間と、角膜頂点と第2入射位置とを結ぶ第2区間を有している、請求項2又は3に記載の眼科装置。
  5. 前記角度範囲は、被検眼を正面視したときに、被検眼の角膜頂点から上方に伸びる垂直線を基準線とし、その基準線に対して時計回りの方向を(+)とする一方で反時計回りの方向を(−)とすると、+20°〜+85°の範囲と−20°〜−85°の範囲である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の眼科装置。
  6. 対象部位は、角膜前面又は角膜後面から水晶体前面までの前房深度、及び/又は、水晶体前面から水晶体後面までの水晶体厚みである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の眼科装置。
  7. 入射位置変更手段は、被検眼に照射する光の光軸上に配置されたレンズであり、
    駆動手段は、前記レンズを前記光軸に対して直交する平面内で移動させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の眼科装置。
  8. 入射角変更手段は、被検眼に照射する光の光軸上に配置されたビームエキスパンダーを構成する複数のレンズの一つである、請求項7に記載の眼科装置。
  9. 光源と、
    光源からの光を被検眼の内部に照射すると共にその反射光を導く測定光学系と、
    光源からの光を分岐して参照光を生成する参照光学系と、
    測定光学系により導かれた反射光と参照光学系により生成された参照光とが合成された干渉光を受光する受光素子と、
    受光素子で受光される干渉光から、被検眼の対象部位の眼軸方向の寸法を算出する演算装置と、を有しており、
    測定光学系は、
    被検眼に照射される光の被検眼への入射位置を変更する入射位置変更手段と、
    照射される光の入射位置が被検眼の予め設定された設定領域内を走査するように入射位置変更手段を駆動する駆動手段と、を有しており、
    前記設定領域は、被検眼を正面視した場合に、被検眼の角膜頂点から半径方向に伸びる直線を周方向に予め設定された角度範囲で移動させたときに、前記直線が通過する領域とされており、
    演算装置は、被検眼に照射される光が前記設定領域内を走査されるときに、対象部位の前面から反射される反射光の強度が最大となる第1入射位置を特定すると共に、対象部位の後面から反射される反射光の強度が最大となる第2入射位置を特定し、
    駆動手段は、第1入射位置及び第2入射位置を通過するように設定された走査線上を被検眼に照射される光が走査するように入射位置変更手段をさらに駆動し、
    演算装置は、第1入射位置及び第2入射位置を通過するように設定された走査線上を光が走査するときの干渉光から、対象部位の眼軸方向の寸法を算出する、眼科装置。
  10. 光源と、
    光源からの光を被検眼の内部に照射すると共にその反射光を導く測定光学系と、
    光源からの光を分岐して参照光を生成する参照光学系と、
    測定光学系により導かれた反射光と参照光学系により生成された参照光とが合成された干渉光を受光する受光素子と、
    受光素子で受光される干渉光から、被検眼の対象部位の眼軸方向の寸法を算出する演算装置と、を有しており、
    測定光学系は、
    被検眼に照射される光の被検眼への入射位置を変更する入射位置変更手段と、
    照射される光の入射位置が被検眼の予め設定された設定領域内を走査するように入射位置変更手段を駆動する駆動手段と、を有しており、
    前記設定領域は、被検眼を正面視した場合に、被検眼の角膜頂点から半径方向に伸びる直線を周方向に予め設定された角度範囲で移動させたときに、前記直線が通過する領域とされており、
    入射位置変更手段は、被検眼に照射する光の光軸上に配置されたレンズであり、
    駆動手段は、前記レンズを前記光軸に対して直交する平面内で移動させ、
    入射角変更手段は、被検眼に照射する光の光軸上に配置されたビームエキスパンダーを構成する複数のレンズの一つである、眼科装置。
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