JP6285065B1 - 金属ナノ粒子製造方法、その製造装置 - Google Patents
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Description
また金属の種類においてはある一定以下の粒径サイズより小さなものができなかった。特に溶液中で粒子を調製する場合には安定化剤が必要になり、触媒等に用いる場合、焼成等それらを取り除くための操作が必要でありその後濾過工程と多段な工程が必要であった。
上述した方法では粒子が担体に密着し、その粒子を担体から剥がすことができない、また均一な粒子が揃った単分散のナノ粒子を得ることは困難であった。特に、溶液中で粒子を調製する場合には安定化剤が必要になり、触媒等に用いる場合、焼成等それらを取り除くための操作が必要であった。一方、アークプラズマ蒸着源を用いて気相での作成を試みたが、基板上に密着してしまい、単分散のナノ粒子を形成することは難しかった。
好適には、前記アノード電極と蒸着材料との間のアーク放電のためのコンデンサ容量は360μF以上である。
好適には、前記第2の工程は、前記容器を回転させながら、前記蒸着材料を前記有機化合物に照射する。
好適には、前記アークプラズマ蒸着源の放電電流の放電時間を調整できる機能を有する。
好適には、前記放電電流を、任意の時間で地絡させる地絡手段を有する法。
タングステンの融点は3300℃と高く、銀等に比べて蒸発させるために大きなエネルギーが必要である。しかしながら、このような大きなエネルギーにより蒸発したタングステン(W)のイオンを、有機化合物7としてポリエチレングリコールを収容した容器10に向けて放出すると、有機化合物7の温度が上がり蒸発してしまう。
そのため、本実施形態では、沸点が高い、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールを有機化合物7として用いる。
図1は本発明の実施形態に係る粒度分散が揃った金属の単分散のナノ粒子が混入された有機化合物の製造装置の模式図である。
本実施形態に係る金属ナノ粒子製造装置1は円筒状の真空チャンバ2を備えている。
被蒸着体保持部4には容器(シャーレ)10が着脱自在に取り付けられており、この容器10には常温常圧で液体の有機化合物7が充填されている。被蒸着材料保持部4の回転に連動して容器10が回転し、容器10内の有機化合物7中にナノ粒子が均一に形成される。
ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールの沸点は、ポリエチレングリコールに比べて高く、蒸発しにくい。
容器10内における有機化合物7との溶液は、チオールが7〜15重量%となるように充填されている。
7重量%未満であると、タングステンのナノ粒子が膨潤してしまう。また、15重量%を超えても、膨潤抑制効果は変わらない。
すなわち、チオールを充填しないと、タングステンのナノ粒子が50nmを超えて膨潤してしまう。本実施形態では、容器10内で有機化合物7の他にチオールを充填することで、タングステンのナノ粒子の直径は0.8〜50nmに保つことができる。
同軸型真空アーク蒸着源5では、蒸着材料11とアノード電極23との間にアーク放電が生じる。
アーク電源34は、100V、数Aの容量の直流電圧源32を有し、この直流電圧源からコンデンサユニット33(例えば、5個のコンデンサユニットの場合、1800μFに充電している。この充電時間は約1秒かかるので、本システムにおいて1800μFで放電を繰り返す場合の周期は、3Hzで行われる。
真空排気系9は、バルブ54、ターボ分子ポンプ51、バルブ52及びロータリーポンプ53がこの順序で金属製真空配管で接続されており、真空チャンバ2内を好ましくは0.1〜1Paに真空排気できるように構成されている。
また、真空チャンバ2内は、好ましくは20〜100℃に保たれている。
また、金属ナノ粒子製造装置1は、有機化合物7内に蒸着材料11の単分散の直径0.8〜50nmの銀の金属ナノ粒子を製造する。
図2は、金属ナノ粒子と直径と触媒活性の有無との関係を示す実験データである。
これは、図2に示すように、タングステンの金属ナノ粒子が、直径0.8nm未満、並びに50nmを超えると触媒活性しない。図2において、○は触媒活性あり、×は触媒活性なしを示している。
図3及び図4に示すように、蒸着エネルギが36.45J未満あるいは364.5Jを超えると、蒸着状態が不良となることが確認された。図3及び図4において、○は蒸着状態が良好であり、×は蒸着状態が不良であることを示している。
すなわち、蒸着エネルギが36.45J未満であると容器10に向けてタングステンのイオンが到達しない。また、蒸着エネルギが364.5Jを超えると、有機化合物7が蒸発してゲル状になってしまう。
これは、放電電圧が70V未満であるとプラズマが前方にドリフトせず、1000Vを超えるとカソードとアノード間で放電が発生し不都合が生じるためである。
まず、真空チャンバ2内を高真空雰囲気にしておく。次いで、アーク電源32により、アノード電極23に対して、カソード電極12に直流電圧を印加しておく。その状態でトリガ電源31を起動し、トリガ電極13にパルス電圧を印加する。
すると、蒸着材料11の表面とトリガ電極13の表面との間に絶縁碍子14の円筒状部分の厚み分の距離(約1mm)を介して印加することで絶縁碍子14の表面でトリガ放電となる沿面放電が発生する。このトリガ放電によって、蒸着材料11の表面からその構成物質が蒸発し、蒸気や、イオンや電子等が発生する。また、蒸着材料11と絶縁碍子14のつなぎ目から電子が発生する。
アーク放電は連続放電ではなく、パルス的放電であり、発生回数と間隔を調整して行われる。
かかるアーク放電によって生じたアーク電流により、アノード電極23内に磁場が形成される。その磁場は、正電荷を有する粒子に対し、アノード電極23の開口部方向に押しやる力を及ぼすので、アノード電極23に向けて放出されたタングステンイオンは、真空チャンバ2内に放出され、被蒸着材料保持部4の容器10内の有機化合物7の表面に向かって噴射される。そうすると有機化合物7中に粒度分布の狭い単分散のタングステンのナノ粒子が均一に混入し、ナノ粒子含有有機化合物を製造することができる。
すなわち、タングステンの融点は3300℃と高く、銀等に比べて蒸発させるために大きなエネルギーが必要である。しかしながら、このような大きなエネルギーにより蒸発したタングステンのイオンを、有機化合物7としてポリエチレングリコールを収容した容器10に向けて放出すると、有機化合物7の温度が上がり蒸発してしまう。
そのため、本実施形態では、モノエチレングリコールに比べて沸点が高いジエチレングリコール又はトリエチレングリコールを有機化合物7として用いる。これより、液体状態の有機化合物7にタングステンを噴射させて、タングステンナノ粒子を生成できる。
同軸型真空アーク蒸着源5のコンデンサユニット33のコンデンサ容量:1080μF,放電電圧:100Vに設定した。
この状態で10000ショット3HzでPVP溶液に向けてタングステンプラズマを有機化合物7に照射した。事前の準備で上記条件にて10000ショットで10mgのタングステンがシリコン基板上に蒸着されることは確認した。
図5において、41が有機化合物7を精製して得られたタングステンナノ粒子の特性であり、43がバルクタングステン粉末の特性である。
調製された粒子は室温において安定であり、数ヶ月たっても凝集体は確認されなかった。
本実施形態では、同軸型真空アーク蒸着源5の放電電流の放電時間を調整できる機能を有している。それ以外の機能は実施形態と同様である。
図6は、本発明の実施形態の変形例に係る粒度分散が揃った金属の単分散のナノ粒子が混入された有機化合物の製造装置101の模式図である。
トランジスタ112は、コントローラ18からの制御に基づいてオン/オフし、尖塔放電電流を、任意の時間で地絡させる。
図7はトランジスタ112による地絡動作を行わない場合の放電電流の波形を示す図、図8及び図9は地絡動作を行う場合の放電電流の波形を示す図である。
地絡手段としては、トランジスタ112の代わりに、サイリスタを用いてもよい。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
2…真空チャンバ
4…被蒸着材料保持部
5…同軸型真空アーク蒸着源
6・・・電源装置
7…有機化合物(ジエチレングリコール又はトリエチレングリコール)
10…容器
11…蒸着材料(タングステン)
12…カソード電極
13…トリガ電極
15…絶縁碍子
18…コントローラ
23…アノード電極
31…トリガ電源
32…直流電圧源
33…コンデンサユニット
Claims (7)
- 真空チャンバ内に設置された容器内で常温常圧で液体のジエチレングリコール又はトリエチレングリコールの有機化合物と、チオールとを、前記有機化合物及び前記チオールの溶液において前記チオールが7〜15重量%となるように混合して充填する第1の工程と、
アークプラズマ蒸着源において前記容器の上方に位置するタングステンの蒸着材料を蒸発させてタングステンのイオンを前記有機化合物に照射し、前記有機化合物内に前記蒸着材料の単分散の前記タングステンの金属ナノ粒子を製造する第2の工程と
を有する
金属ナノ粒子製造方法。 - 前記アークプラズマ蒸着源は、円筒状のアノード電極と当該アノード電極の内側に前記蒸着材料を電気的に接続した円柱状のカソード電極を同軸上に配置して構成されており、
前記アノード電極に印加される放電電圧は70V以上、1000V以下である
請求項1に記載の金属ナノ粒子製造方法。 - 前記アノード電極と蒸着材料との間のアーク放電のためのコンデンサ容量は360μF以上である
請求項2に記載の金属ナノ粒子製造方法。 - 前記第2の工程は、前記容器を回転させながら、前記蒸着材料を前記有機化合物に照射する
請求項1〜3のいずれかに記載の金属ナノ粒子製造方法。 - 前記アークプラズマ蒸着源の放電電流の放電時間を調整できる機能を有する
請求項1〜4のいずれかに記載の金属ナノ粒子製造方法。 - 前記放電電流を、任意の時間で地絡させる地絡手段
を有する請求項5に記載の金属ナノ粒子製造方法。 - 真空チャンバ内に設置され、常温常圧で液体のジエチレングリコール又はトリエチレングリコールの有機化合物と、チオールとを、前記有機化合物及び前記チオールの溶液において前記チオールが7〜15重量%となるように混合して充填する容器と、
前記容器の上方に位置するタングステンの蒸着材料を蒸発させて前記タングステンのイオンを前記有機化合物に照射するアークプラズマ蒸着源と
を有し、
前記有機化合物内に前記蒸着材料の単分散の前記タングステンの金属ナノ粒子を製造する
金属ナノ粒子製造装置。
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