本発明の粘着シートは、厚さ2.0μm未満のプラスチック基材の少なくとも片面側に粘着剤層を有する。本明細書では、「厚さ2.0μm未満のプラスチック基材」を「本発明の基材」と称する場合がある。
本発明の粘着シートは、本発明の基材の一方の面側に粘着剤層(感圧接着剤層)を有する粘着シート(片面粘着シート、片面感圧接着シート)であってもよし、本発明の基材の両方の面側に粘着剤層(感圧接着剤層)を有する粘着シート(両面粘着シート、両面感圧接着シート)であってもよい。中でも、本発明の粘着シートは、2つの部材同士を貼り合わせる点や部材の固定や仮固定に用いる点から、両面粘着シートであることが好ましい。
また、本発明の粘着シートは、使用時まで、粘着面(粘着剤層の表面)がセパレータ(剥離ライナー)や本発明の基材により保護されていてもよい。例えば、本発明の粘着シートが片面粘着シートである場合、粘着面は、セパレータにより保護されていてもよいし、また、巻回することより基材の背面(基材の粘着剤層が設けられている側の面とは反対側の面)により保護されていてもよい。一方、両面粘着シートである場合、一方の粘着面が1のセパレータにより保護され、他方の粘着面が他のセパレータにより保護されていてもよいし、また、巻回することにより、一方の粘着面が1のセパレータの一方の面により保護され、他方の粘着面が1のセパレータの他方の面により保護されていてもよい。つまり、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合は、2つの粘着面が2つのセパレータにより保護されるダブルセパレータタイプであってもよいし、2つの粘着面が1つのセパレータにより保護されるシングルセパレータタイプであってもよい。
本発明の粘着シートがセパレータで粘着面が保護された両面粘着シートである場合、その態様の一例として、本発明の基材の両面側にアクリル系粘着剤層を有し、一方のアクリル系粘着剤層Aと接するようにセパレータAが設けられ、他方のアクリル系粘着剤層Bと接するようにセパレータBが設けられ、上記セパレータAがプラスチック基材の少なくとも片面側にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有するセパレータであり、上記セパレータBがプラスチック基材の少なくとも片面側にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有するセパレータであり、上記セパレータBの上記アクリル系粘着剤層Bに対する剥離力と上記セパレータAの上記アクリル系粘着剤層Aに対する剥離力との差が0.01N/50mm以上である粘着シートが挙げられる。この粘着シートは、アクリル系粘着剤層Aの提供する粘着面がセパレータAにより保護され、アクリル系粘着剤層Bの提供する粘着面がセパレータBにより保護されるダブルセパレータタイプの両面粘着シートである。
また、本発明の粘着シートは、下記(m1)をモノマー成分全量(100重量%)に対して50.0〜99.8重量%含み、下記(m2)をモノマー成分全量(100重量%)に対して0.01〜20重量%含むモノマー混合物により形成されるアクリル系ポリマー又はゴム系ポリマーを粘着剤層全量(100重量%)に対して50重量%以上含む粘着剤層を少なくとも1層有することが好ましい。なお、モノマー混合物とは、モノマー成分のみから構成される混合物である。
(m1):下記式(1)で表される炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー
CH2=C(R1)COOR2 (1)
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
(m2):極性基含有モノマー
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルの意味であり、アクリル及びメタクリルのうち一方又は両方の意味である。
さらに、「粘着シート」には、「粘着テープ」の意味を含むものとする。すなわち、本発明の粘着シートは、テープ状の形態を有する粘着テープであってもよい。
[本発明の基材]
本発明の基材は、厚さが2.0μm未満のプラスチック基材(樹脂基材、ポリマー基材)である。なお、本発明の基材は、少なくとも1層からなる基材であり、2層以上の積層構造を有していてもよい。なお、本発明の基材は、本発明の粘着シートを被着体に使用(貼付)する際に、粘着剤層とともに被着体に貼付される部分である。
本発明の基材を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ酢酸ビニル;ポリアミド;ポリイミド;セルロース類;フッ素系樹脂;ポリエーテル;ポリエーテルアミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホンなどが挙げられる。中でも、強度、取り扱い性(ハンドリング性)、コスト、寸法安定性、投錨力のバランスの良さから、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。なお、上記材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明の基材の厚さは、2.0μm未満である限り特に限定されない。本発明の基材の厚さは、粘着シートにおいて、薄くても、加工性(特に打ち抜き加工性)及び取り扱い性を得つつ、凹凸追従性を得る点より、さらに熱抵抗性を得る点より、2.0μm未満であり、好ましくは1.5μm以下、より好ましくは1.0μm以下、さらにより好ましくは0.8μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。なお、本発明の基材の下限は、0μmより大きければよく、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上である。
本発明の基材は、延伸処理(一軸延伸又は二軸延伸)等により変形性を制御していてもよい。また、本発明の基材の表面には、必要に応じて、粘着剤層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。さらに、本発明の基材が背面で粘着面を保護する場合、剥離処理が施されていてもよい。
[粘着剤層]
本発明の粘着シートは、粘着剤層を有する。上記粘着剤層は、特に限定されないが、アクリル系粘着剤層又はゴム系粘着剤層であることが好ましい。上記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーを、粘着剤層全量(100重量%)に対して50重量%以上含む。また、上記ゴム系粘着剤層は、ベースポリマーとしてのゴム系ポリマーを、粘着剤層全量(100重量%)に対して50重量%以上含む。
上記粘着剤層は、粘着剤組成物(感圧接着剤組成物)により形成される。粘着剤組成物には、粘着剤を形成する組成物の意味を含むものとする。本明細書において、アクリル系粘着剤層を形成する粘着剤組成物を「アクリル系粘着剤組成物」と称する場合があり、ゴム系粘着剤層を形成する粘着剤組成物を「ゴム系粘着剤組成物」と称する場合がある。
上記粘着剤組成物は、いずれの形態を有している粘着剤組成物であってもよく、例えば、エマルション型、溶剤型(溶液型)、活性エネルギー線硬化型、熱溶融型(ホットメルト型)などが挙げられる。中でも、生産性の点より、溶剤型であることが好ましい。
上記溶剤型の粘着剤組成物としては、ベースポリマー(ゴム系ポリマー又はアクリル系ポリマー)を必須成分として含む粘着剤組成物が好ましく挙げられる。また、上記活性エネルギー線硬化型粘着剤組成物としては、ベースポリマー(ゴム系ポリマー又はアクリル系ポリマー)を構成するモノマー成分の混合物(モノマー混合物)又はその部分重合物を必須成分として含む粘着剤組成物が好ましく挙げられる。なお、「部分重合物」とは、上記モノマー混合物に含まれるモノマー成分のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。また、「モノマー混合物」には、モノマー成分が1種のみの場合を含むものとする。
(ゴム系粘着剤層)
上述のように、本発明の粘着シートは、粘着剤層としてゴム系粘着剤層を有することが好ましい。上記ゴム系粘着剤層はベースポリマーとしてゴム系ポリマーを含む。上記ゴム系粘着剤層におけるゴム系ポリマーの割合は、50重量%以上である限り特に限定されないが、接着信頼性の点より、60重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上である。
上記ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー等が挙げられる。なお、ゴム系ポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
さらに、上記ゴム系ポリマーとしては、スチレン系ブロック共重合体が好ましく挙げられる。上記スチレン系ブロック共重合体とは、少なくとも1つのスチレンブロックを有するポリマーを意味する。上記スチレンブロックとは、スチレンを主モノマーとするセグメントを指す。実質的にスチレンのみからなるセグメントは、ここでいうスチレンブロックの典型例である。
上記スチレン系ブロック共重合体としては、例えば、スチレンイソプレンブロック共重合体、スチレンブタジエンブロック共重合体などが挙げられる。上記スチレンイソプレンブロック共重合体は、少なくとも1つのスチレンブロックと、少なくとも1つのイソプレンブロック(イソプレンを主モノマーとするセグメント)とを有するポリマーをいう。スチレンイソプレンブロック共重合体としては、例えば、イソプレンブロック(ソフトセグメント)の両端にそれぞれスチレンブロック(ハードセグメント)を有するトリブロック構造の共重合体(トリブロック体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体));1つのイソプレンブロックと1つのスチレンブロックとからなるジブロック構造の共重合体(ジブロック体、例えばスチレン−イソプレンゴムなど)等が挙げられる。また、スチレンブタジエンブロック共重合体としては、例えば、少なくとも1つのスチレンブロックと、少なくとも1つのブタジエンブロック(ブタジエンを主モノマーとするセグメント)とを有するポリマー(例えばスチレン−ブタジエンゴムなど)等が挙げられる。また、上記スチレン系ブロック共重合体としては、他にも、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBSブロック共重合体)、スチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBSブロック共重合体)などが挙げられる。
さらにまた、上記ゴム系ポリマーとしては、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体も好ましく挙げられる。上記「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」とは、モノビニル置換芳香族化合物を主モノマー(50重量%を超える共重合成分をいう。)とするセグメント(以下、「Aセグメント」と称する場合がある。)と、共役ジエン化合物を主モノマーとするセグメント(以下、「Bセグメント」と称する場合がある。)とを、それぞれ少なくとも1つ有するポリマーをいう。一般に、Aセグメントのガラス転移温度は、Bセグメントのガラス転移温度よりも高い。上記「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」の代表的な構造としては、Bセグメント(ソフトセグメント)の両端にそれぞれAセグメント(ハードセグメント)を有するトリブロック構造の共重合体(A−B−A構造のトリブロック体)、1つのAセグメントと一つのBセグメントとからなるジブロック構造の共重合体(A−B構造のジブロック体)などが挙げられる。
上記モノビニル置換芳香族化合物とは、ビニル基を有する官能基が芳香環に1つ結合した化合物を指す。上記芳香環としては、ベンゼン環が挙げられる。なお、このベンゼン環は、ビニル基を有しない官能基(例えばアルキル基など)で置換されたベンゼン環であってもよい。上記モノビニル置換芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。上記共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
中でも、上記ゴム系ポリマーとしては、反発力に対する耐性、保持力を得る点より、上記スチレン系ブロック共重合体や上記のモノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体が好ましい。
上記スチレン系ブロック共重合体や上記のモノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体では、スチレン含有率は、特に限定されないが、反発力に対する耐性、保持力を得る点より、10〜35重量%であることが好ましく、より好ましくは15〜24重量%、さらに好ましくは16〜23重量%である。
上記スチレン含有量は、上記スチレン系ブロック共重合体や上記「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」の全体質量(全体重量)に占めるスチレン成分の質量割合(重量割合)をいう。スチレン含有量は、NMR(核磁気共鳴スペクトル法)により測定することができる。
また、上記スチレン系ブロック共重合体や上記「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」は、ジブロック体、トリブロック体、放射状(radial)体、これらの混合物等の形態であり得るが、反発力に対する耐性、保持力を得る点より、ジブロック体を含むことが好ましい。上記スチレン系ブロック共重合体や上記「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」では、ジブロック体比率は、特に限定されないが、30〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは50〜80重量%、特に好ましくは50〜70重量%である。
上記ジブロック体比率は、上記スチレン系ブロック共重合体や上記「モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体」の全体質量(全体重量)に占めるジブロック体の質量割合(重量割合)をいう。ジブロック体比率は、高速液体クロマトグラフィーによるピーク面積を対比することにより求めることができる。例えば、全量をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、東ソー(株)製GS5000H及びG4000Hの液体クロマトグラフ用カラムをそれぞれ2段づつ計4段を直列につなぎ、移動相にTHFを用いて、温度40℃、流量1ml/minの条件下で高速液体クロマトグラフィーを行う。得られたチャートからジブロック体に対応するピークの面積、全てのピークの面積を求め、全てのピークの面積に対するジブロック体のピーク面積の100分率を算出することにより求めることができる。
(アクリル系粘着剤層)
上述のように、本発明の粘着シートは、粘着剤層としてアクリル系粘着剤層を有することが好ましい。上記アクリル系粘着剤層はベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含む。上記アクリル系粘着剤層におけるアクリル系ポリマーの割合は、50重量%以上である限り特に限定されないが、接着信頼性の点より、60重量%以上であることが好ましく、より好ましくは70重量%以上である。
上記アクリル系ポリマーとしては、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤に用いられる公知のアクリル系ポリマーが挙げられる。さらには、上記アクリル系ポリマーとしては、(m1)をモノマー成分全量(100重量%)に対して50.0〜99.8重量%含み、(m2)をモノマー成分全量(100重量%)に対して0.01〜20重量%含むモノマー混合物により形成されるアクリル系ポリマーが好ましく挙げられる。なお、本明細書では、「(m1)をモノマー成分全量(100重量%)に対して50.0〜99.8重量%含み、(m2)をモノマー成分全量(100重量%)に対して0.01〜20重量%含むモノマー混合物により形成されるアクリル系ポリマー」を「アクリル系ポリマーA」と称する場合がある。
上記アクリル系ポリマーAは、ポリマーを構成するモノマー成分として、(m1)と(m2)とを少なくとも含む。
(m1)は、炭素数1〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーである。上記炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。なお、(m1)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(m1)としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが好ましく挙げられる。
上記アクリル系ポリマーAを形成するモノマー混合物のモノマー成分全量(100重量%)に対する(m1)の割合は、耐久性、接着信頼性を得る点より、50.0〜99.8重量%であり、好ましくは60.0〜99.8重量%、より好ましくは70.0〜99.8重量%、さらにより好ましくは80.0〜99.8重量%、特に好ましくは90.0〜99.8重量%である。つまり、上記アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する(m1)の割合は、50.0〜99.8重量%であり、好ましくは60.0〜99.8重量%、より好ましくは70.0〜99.8重量%、さらにより好ましくは80.0〜99.8重量%、特に好ましくは90.0〜99.8重量%である。
中でも、(m1)は、アクリル系粘着剤層が薄い場合であっても、タック及び接着信頼性を十分に得る点より、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び、炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーであることが好ましい。つまり、(m1)は、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び、炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーを組み合わせて用いられることが好ましい。
つまり、上記アクリル系粘着剤層は上記アクリル系ポリマーAを含み、上記アクリル系ポリマーAを形成するモノマー混合物が、(m1)として、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーとを含むことが好ましい。
特に、(m1)は、アクリル酸n−ブチル、及び、アクリル酸2−エチルヘキシルであることが好ましい。つまり、上記アクリル系ポリマーを形成するモノマー混合物は、(m1)として、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとを含むことが好ましい。
(m1)が、上記のように、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び、炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーである場合、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーと、炭素数6〜10のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーとの割合は、前者:後者(重量基準)で、90:10〜10:90であることが好ましく、より好ましくは80:20〜20:80である。
上記アクリル系ポリマーAを形成するモノマー混合物は、(m2)を少なくとも含む。つまり、上記アクリル系ポリマーAは、構成するモノマー成分として、(m1)と共重合可能な(m2)を少なくとも含む。なお、(m2)は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(m2)は、極性基含有モノマーであり、骨格中、つまりモノマーの構造中に、極性基と炭素炭素二重結合(エチレン性不飽和結合)を有するモノマーである。(m2)は、極性基を有するビニル系モノマーである。上記アクリル系ポリマーAは構成するモノマー成分として(m2)を含むので、適度な凝集力を得やすくなる。このため、上記アクリル系粘着剤層は、薄くても、接着信頼性、加工性、段差吸収性を得やすくなる。
(m2)としては、特に限定されないが、骨格中に窒素原子を有するビニル系モノマー、骨格中にカルボキシル基を有するビニル系モノマー、骨格中に水酸基を有するビニル系モノマーが好ましく挙げられる。本明細書では、「骨格中に窒素原子を有するビニル系モノマー」を「窒素原子含有モノマー」と称する場合があり、「骨格中にカルボキシル基を有するビニル系モノマー」を「カルボキシル基含有モノマー」と称する場合があり、「骨格中に水酸基を有するビニル系モノマー」を「水酸基含有モノマー」と称する場合がある。ただし、水酸基含有モノマーには、窒素原子含有モノマーは含まれないものとする。すなわち、本明細書において、骨格中に水酸基及び窒素原子を有するモノマーは、窒素原子含有モノマーに含まれるものとする。
つまり、(m2)は、窒素原子含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーからなる群より選択される1以上のモノマーであることが好ましい。
上記窒素原子含有モノマーとしては、N−ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド類などが好ましく挙げられる。なお、窒素原子含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記N−ビニル環状アミドとしては、例えば、下記式(2)で表されるN−ビニル環状アミドが挙げられる。
(式(2)中、R
3は2価の有機基を示す)
上記式(2)におけるR3は2価の有機基であり、好ましくは2価の飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基であり、より好ましくは2価の飽和炭化水素基(例えば、炭素数3〜5のアルキレン基など)である。
上記式(2)で表されるN−ビニル環状アミドとしては、例えば、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−3−モルホリノン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニル−1,3−オキサジン−2−オン、N−ビニル−3,5−モルホリンジオンなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。上記N−アルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−オクチルアクリルアミドなどが挙げられる。さらに、上記N−アルキル(メタ)アクリルアミドには、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのようなアミノ基を有する(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(n−ブチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(t−ブチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(1−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、上記(メタ)アクリルアミド類には、例えば、各種のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドも含まれる。上記N−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、上記N−ビニル環状アミド、上記(メタ)アクリルアミド類以外の窒素原子含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピラジン、N−ビニルモルホリン、N−ビニルピラゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾール、ビニルイソオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルイソチアゾール、ビニルピリダジン、(メタ)アクリロイルピロリドン、(メタ)アクリロイルピロリジン、(メタ)アクリロイルピペリジン、N−メチルビニルピロリドンなどの複素環含有モノマー;N−シクロヘキシルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー、N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド等のイタコンイミド系モノマー、N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド等のスクシンイミド系モノマーなどのイミド基含有モノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。
中でも、上記窒素原子含有モノマーとしては、上記式(2)で表されるN−ビニル環状アミド、(メタ)アクリルアミド類が好ましく、より好ましくはN−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドであり、さらに好ましくはN−ビニル−2−ピロリドンである。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げられる。さらに、無水マレイン酸などの酸無水物基含有モノマーも挙げられる。なお、カルボキシル基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
中でも、上記カルボキシル基含有モノマーとしては、接着力、凝集力の観点から、(メタ)アクリル酸が好ましく、より好ましくはアクリル酸である。
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルアルコール、アリルアルコールなどが挙げられる。上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシラウリル、(メタ)アクリル酸(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)などが挙げられる。なお、水酸基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
中でも、上記水酸基含有モノマーとしては、接着力、凝集力の観点から、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、より好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、さらにより好ましくはアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチルである。
さらに、上記窒素原子含有モノマー、上記カルボキシル基含有モノマー、上記水酸基含有モノマー以外の極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、塩化ビニルなどが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。上記エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどが挙げられる。上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。上記ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。上記ビニルエーテル類としては、例えば、ビニルアルキルエーテルなどが挙げられる。なお、これらの極性基含有モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
特に、(m2)は、接着力、凝集力の観点から、窒素原子含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーからなる群より選択される2以上のモノマーであることが好ましい。つまり、(m2)は、窒素原子含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーとが組み合わせて用いられたり、窒素原子含有モノマーと水酸基含有モノマーとが組み合わせて用いられたり、カルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマーとが組み合わせて用いられたり、窒素原子含有モノマーとカルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマーとが組み合わせて用いられることが好ましい。特に、(m2)は、カルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマーとが組み合わせて用いられることが好ましい。
つまり、上記アクリル系粘着剤層は上記アクリル系ポリマーAを含み、上記アクリル系ポリマーAを形成するモノマー混合物が、(m2)として、窒素原子含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、水酸基含有モノマーからなる群より選択される2以上のモノマー(特にカルボキシル基含有モノマーと水酸基含有モノマー)を含むことが好ましい。
さらに、上記アクリル系ポリマーAは、構成するモノマー成分として、つまり(m1)や(m2)と共重合可能なモノマー成分として、多官能モノマー(多官能性モノマー)を含んでいてもよい。すなわち、アクリル系ポリマーを形成するモノマー混合物は、多官能モノマーを含んでいてもよい。なお、多官能モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記多官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート)、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。中でも、上記多官能モノマーとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが好ましい。なお、上記多官能モノマーの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択される。
さらにまた、上記アクリル系ポリマーAは、構成するモノマー成分として、つまり(m1)や(m2)と共重合可能なモノマー成分として、下記のその他のモノマーを含んでいてもよい。すなわち、上記アクリル系ポリマーAを形成するモノマー混合物は、下記のその他のモノマーを含んでいてもよい。上記その他のモノマーとしては、例えば、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーなど挙げられる。上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどが挙げられる。上記芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジルなどが挙げられる。上記炭素数11〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
上記その他のモノマーの含有量は、特に限定されないが、本発明の粘着シートの特性に悪影響を及ぼさない範囲で適宜される。なお、上記その他のモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記アクリル系ポリマーAは、(m1)及び(m2)を少なくとも含むモノマー混合物により形成される。上記アクリル系ポリマーAは、上記のモノマー成分を重合することにより得られる。重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、熱や活性エネルギー線照射による重合方法(熱重合方法、活性エネルギー線重合方法)などが挙げられる。中でも、接着性のバランス、重合の容易さの観点より、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)や溶液重合方法が好ましく、より好ましくは溶液重合方法である。
上記活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好ましい。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に限定されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
上記の溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。なお、溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、重合に際しては、重合反応の種類に応じて、光重合開始剤(光開始剤)や熱重合開始剤などの重合開始剤が用いられてもよい。なお、重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などが挙げられる。
上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。上記α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
上記光重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーAを形成するアクリル系モノマー混合物に含まれるモノマー成分全量100重量部に対して、0.01〜1重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜0.5重量部である。
上記溶液重合の際に用いられる重合開始剤としては、例えばアゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。中でも、特開2002−69411号公報に開示されたアゾ系重合開始剤が好ましい。上記アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸などが挙げられる。
上記アゾ系重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、上記アクリル系ポリマーAを形成するアクリル系モノマー混合物に含まれるモノマー成分全量100重量部に対して、0.05〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。
なお、上述の説明では、主にアクリル系ポリマーAについて説明したが、アクリル系ポリマーA以外のアクリル系ポリマーについても同様に作製することができる。
本発明の粘着シートが有する粘着剤層には、添加剤が含まれていてもよい。また、上記粘着剤層は、粘着剤組成物(例えば、アクリル系粘着剤組成物やゴム系粘着剤組成物)により形成されるが、このような粘着剤組成物には、添加剤が含まれていてもよい。添加剤は、粘着剤層中でアクリル系ポリマー又はゴム系ポリマーと結合している形態で含まれていてもよい。例えば、後述の架橋剤は、粘着剤層中でアクリル系ポリマー又はゴム系ポリマーと結合している形態で含まれていてもよい。なお、添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記添加剤としては、架橋剤が好ましく挙げられる。架橋剤によれば、粘着剤層のベースポリマー(例えば、上記ゴム系ポリマー又は上記アクリル系ポリマー)を架橋し、接着性や凝集力を向上させることができる。上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤などが挙げられる。中でも、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記イソシアネート系架橋剤(多官能イソシアネート化合物)としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられる。さらに、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業株式会社製、商品名「コロネートHL」]なども挙げられる。
上記エポキシ系架橋剤(多官能エポキシ化合物)としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。さらに、商品名「テトラッドC」(三菱ガス化学株式会社製)などの市販品も挙げられる。
本発明の粘着シートの有する粘着剤層(例えば、上記ゴム系粘着剤層、上記アクリル系粘着剤層など)における架橋剤の含有量は、特に限定されないが、接着性や凝集力の観点から、アクリル系ポリマー又はゴム系ポリマー100重量部に対して、0.001〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.01〜3重量部である。
さらに、上記添加剤としては、粘着付与樹脂(粘着付与剤)が好ましく挙げられる。粘着付与樹脂(粘着付与剤)によれば、粘着剤層の粘着特性や接着信頼性をより向上させることができる。上記粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ロジン系粘着付与樹脂、石油系粘着付与樹脂などが挙げられる。なお、粘着付与樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
上記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
上記フェノール系粘着付与樹脂としては、例えば、各種フェノール類(例えば、フェノール、m−クレゾール、3,5−キシレノール、p−アルキルフェノール、レゾルシンなど)とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、アルキルフェノール系樹脂、キシレンホルムアルデヒド系樹脂など)、上記フェノール類とホルムアルデヒドとをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、上記フェノール類とホルムアルデヒドとを酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックの他、ロジン類(未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体など)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジン変性フェノール樹脂などが挙げられる。
上記ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)や、これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合などにより変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンの他、その他の化学的に修飾されたロジンなど)の他、各種のロジン誘導体などが挙げられる。なお、上記ロジン誘導体としては、例えば、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したロジンのエステル化合物や、水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなどの変性ロジンをアルコール類によりエステル化した変性ロジンのエステル化合物などのロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジンなど)、不飽和脂肪酸変性ロジン類や不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシル基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジンや、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩などが挙げられる。
上記石油系粘着付与樹脂としては、例えば、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂(脂肪族環状石油樹脂)、脂肪族・芳香族系石油樹脂、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加石油樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。具体的には、上記芳香族系石油樹脂としては、例えば、炭素数が8〜10であるビニル基含有芳香族系炭化水素(スチレン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、インデン、メチルインデンなど)が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。さらに、上記芳香族系石油樹脂としては、ビニルトルエンやインデン等の留分(いわゆる「C9石油留分」)から得られる芳香族系石油樹脂(いわゆる「C9系石油樹脂」)が好ましく挙げられる。上記脂肪族系石油樹脂としては、例えば、炭素数4〜5のオレフィンやジエン[ブテン−1、イソブチレン、ペンテン−1等のオレフィン;ブタジエン、ピペリレン(1,3−ペンタジエン)、イソプレン等のジエンなど]が1種のみ又は2種以上用いられた重合体などが挙げられる。さらに、上記脂肪族系石油樹脂としては、ブタジエン、ピペリレンやイソプレン等の留分(いわゆる「C4石油留分」や「C5石油留分」など)から得られる脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)が好ましく挙げられる。上記脂環族系石油樹脂としては、例えば、脂肪族系石油樹脂(いわゆる「C4系石油樹脂」や「C5系石油樹脂」など)を環化二量体化した後重合させた脂環式炭化水素系樹脂、環状ジエン化合物(シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン、ジペンテン、エチリデンビシクロヘプテン、ビニルシクロヘプテン、テトラヒドロインデン、ビニルシクロヘキセン、リモネンなど)の重合体又はその水素添加物、上記の芳香族系炭化水素樹脂や、下記の脂肪族・芳香族系石油樹脂の芳香環を水素添加した脂環式炭化水素系樹脂などが挙げられる。上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、スチレン−オレフィン系共重合体などが挙げられる。さらに、上記脂肪族・芳香族系石油樹脂としては、いわゆる「C5/C9共重合系石油樹脂」などが挙げられる。
さらにまた、上記粘着付与樹脂としては、住友ベークライト株式会社製、商品名「スミライトレジン PR−12603」、荒川化学工業株式会社製、商品名「ペンセルD125」などの市販品も挙げられる。
中でも、上記粘着付与樹脂としては、ロジン系粘着付与樹脂が好ましく、より好ましくはロジンエステル類、さらに好ましくは重合ロジンエステル系(ロジンのエステル化物や変性ロジンのエステル化物)である。
本発明の粘着シートの有する粘着剤層(例えば、上記ゴム系粘着剤層、上記アクリル系粘着剤層など)における粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、粘着剤層の粘着特性や接着信頼性を向上させる点より、アクリル系ポリマー又はゴム系ポリマー100重量部に対して、5〜60重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは10〜45重量部である。
さらにまた、上記添加剤としては、シランカップリング剤が好ましく挙げられる。シランカップリング剤が含まれていると、ガラスに対する接着信頼性(特に、高温高湿環境下でのガラスに対する接着信頼性)が向上し、好ましい。
上記シランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。中でも、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。また、市販品として、例えば、商品名「KBM−403」(信越化学工業株式会社製)が挙げられる。なお、シランカップリング剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の粘着シートの有する粘着剤層におけるシランカップリング剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜選択される。
さらに、上記添加剤としては、架橋促進剤、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で含まれていてもよい。
上記粘着剤層(例えば、上記ゴム系粘着剤層、上記アクリル系粘着剤層など)は粘着剤組成物(例えば、ゴム系粘着剤組成物、アクリル系粘着剤組成物など)により形成することができるが、上記粘着剤組成物は、特に限定されないが、例えば公知の調製方法により得られる。例えば、溶剤型の粘着剤組成物は、ベースポリマー(上記ゴム系ポリマーや上記アクリル系ポリマー)、溶剤、必要に応じて加えられる添加剤(例えば、上記の架橋剤や粘着付与樹脂など)を混合することにより作製される。また、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物の場合、例えば、活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物は、モノマー混合物又はその部分重合物、必要に応じて加えられる添加剤(例えば、上記の架橋剤や粘着付与樹脂など)を混合することにより作製される。
上記粘着剤組成物は、取り扱いや塗工に適した粘度を有することが好ましい。例えば、活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物は、モノマー混合物の部分重合物を含むことが好ましい。上記部分重合物の重合率は、特に限定されないが、5〜20重量%が好ましく、より好ましくは5〜15重量%である。
部分重合物の重合率は、以下のようにして求められる。
部分重合物の一部をサンプリングして、試料とする。該試料を精秤しその重量を求めて、「乾燥前の部分重合物の重量」とする。次に、試料を130℃で2時間乾燥して、乾燥後の試料を精秤しその重量を求めて、「乾燥後の部分重合物の重量」とする。そして、「乾燥前の部分重合物の重量」及び「乾燥後の部分重合物の重量」から、130℃で2時間の乾燥により減少した試料の重量を求め、「重量減少量」(揮発分、未反応モノマー重量)とする。
得られた「乾燥前の部分重合物の重量」及び「重量減少量」から、下記式より、モノマー成分の部分重合物の重合率(重量%)を求める。
モノマー成分の部分重合物の重合率(重量%)=[1−(重量減少量)/(乾燥前の部分重合物の重量)]×100
上記粘着剤層は、特に限定されないが、例えば、本発明の基材や剥離フィルム等の適当な支持体上に、上記粘着剤組成物を塗布(塗工)し、必要に応じて、加熱乾燥及び/又は硬化することにより形成される。例えば、上記アクリル系粘着剤層を活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物により形成する場合、活性エネルギー線硬化型のアクリル系粘着剤組成物を支持体上に塗布(塗工)し、活性エネルギー線を照射することにより形成される。なお、必要に応じて、活性エネルギー線照射に加えて、加熱乾燥が行われてもよい。
上記の塗布(塗工)に際には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、慣用のコーター、具体的には、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーターなどが用いられてもよい。
上記粘着剤層を上記粘着剤組成物により形成する際には、減圧手段(例えば、吸引ファンに接続された排気ダクトによってその内部の気体が吸引されるように構成されているバキュームボックスなど)を有する塗工装置を用いてもよい。このような減圧手段を有する塗工装置を用いれば、厚さが均一で薄い粘着剤層を効率よく得ることができる。
なお、上記の塗工装置によれば、厚さが均一で、薄く、ロール状粘着シート(粘着テープ)を効率よく得ることができる。例えば、総厚さが1〜30μmである両面粘着テープを効率よく得ることができる。また、このような両面粘着テープを得る際、上記の塗工装置における基材(基材シート)の引張張力は、1〜15Nとすることが好ましい。
上記粘着剤層のゲル分率は、特に限定されないが、例えば、10〜60重量%とすることができ、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。上記ゲル分率を60重量%以下とすることにより、粘着剤層の凝集力がある程度小さくなり、粘着剤層が軟らかくなるため、段差部分に粘着剤層が追従しやすくなり、段差吸収性が得やすくなる。一方、上記ゲル分率を10重量%以上とすることにより、粘着剤層が軟らかくなりすぎて、粘着シートの加工性が低下するという問題の発生を抑制でき、また、高温環境下や高温高湿環境下において、気泡や浮きの発生を抑制して、接着信頼性を向上させることができる。上記ゲル分率は、例えば、多官能モノマー及び/又は架橋剤の種類や含有量(使用量)などにより制御することができる。
上記ゲル分率(溶剤不溶分の割合)は、酢酸エチル不溶分として求めることができる。具体的には、粘着剤層を、酢酸エチル中に室温(23℃)で7日間浸漬した後の不溶分の浸漬前の試料に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。より具体的には、上記ゲル分率とは、以下の「ゲル分率の測定方法」により算出される値である。
(ゲル分率の測定方法)
粘着剤層を約1g採取し、その重量を測定し、該重量を「浸漬前の粘着剤層の重量」とする。次に、採取した粘着剤層を酢酸エチル40gに7日間浸漬した後、酢酸エチルに不溶解な成分(不溶解部分)を全て回収し、回収した全不溶解部分を130℃で2時間乾燥させて酢酸エチルを除去した後、その重量を測定して「不溶解部分の乾燥重量」(浸漬後の粘着剤層の重量)とする。そして、得られた数値を以下の式に代入して算出する。
ゲル分率(重量%)=[(不溶解部分の乾燥重量)/(浸漬前の粘着剤層の重量)]×100
上記粘着剤層の粘着力(180°引き剥がし粘着力、180°引き剥がし接着強さ)は、特に限定されないが、0.1N/20mm以上であることが好ましい。上記粘着力が0.1N/20mm以上であると、仮固定用途や固定用途に好ましく用いることができる。なお、上記粘着力は、剥離角度:180°、引張速度300mm/分の条件で、測定される。
上記粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、0.1〜30μmが好ましく、より好ましくは0.1〜10μmであり、さらに好ましくは0.25〜3μmである。
特に、上記粘着剤層は、0.25〜3μmのような薄い場合であっても、0.1N/20mm以上の粘着力を有することができる。
[他の粘着剤層]
本発明の粘着シートは、他の粘着剤層(上記粘着剤層(例えば、上記アクリル系粘着剤層、上記ゴム系粘着剤層など)以外の粘着剤層)を有していてもよい。上記他の粘着剤層としては、特に限定されないが、例えば、ウレタン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知乃至慣用の粘着剤から形成された粘着剤層が挙げられる。なお、上記粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[その他の層]
本発明の粘着シートは、本発明の基材、上記粘着剤層(例えば、上記アクリル系粘着剤層、上記ゴム系粘着剤層など)、他の粘着剤層以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
[セパレータ]
本発明の粘着シートの粘着剤層表面(粘着面)は、使用時まではセパレータ(剥離ライナー)により保護されていてもよい。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、各粘着面は、2枚のセパレータによりそれぞれ保護されていてもよいし、両面が剥離面となっているセパレータ1枚により、ロール状に巻回される形態で保護されていてもよい。セパレータは粘着剤層の保護材として用いられており、本発明の粘着シートを被着体に貼付する際に剥がされる。なお、セパレータは必ずしも設けられていなくてもよい。
上記セパレータとしては、特に限定されないが、例えば、セパレータ基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有するセパレータ、フッ素系ポリマーからなる低接着性のセパレータ、無極性ポリマーからなる低接着性のセパレータなどが挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、セパレータ基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有するセパレータを使用することが好ましい。
上記セパレータ基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルム等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されるプラスチックフィルムが挙げられる。中でも、加工性、入手性、作業性、防塵性、コスト等の観点から、ポリエステル系樹脂から形成されるプラスチックフィルムが好ましく、さらに好ましくはPETフィルムである。
上記剥離層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどの剥離処理剤が挙げられる。中でも、剥離コントロール、経時安定性の観点から、シリコーン系剥離処理剤が好ましい。なお、剥離処理剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記剥離層は単層であってもよいし、本発明の特性を損なわない範囲においては、2層以上が積層された積層構造であってもよい。
中でも、上記セパレータの好ましい具体的構成の一例としては、PETフィルムをセパレータ基材として用い、該セパレータ基材の少なくとも一方の表面に、シリコーン系剥離処理剤による剥離層が設けられた構成が挙げられる。
上記セパレータは、公知慣用の方法により製造することができる。また、本発明の上記セパレータは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
上記セパレータの厚さは、特に限定されないが、例えば、コスト面や貼り合わせ作業における粘着シートのハンドリング性等の観点より、12〜200μmが好ましく、より好ましくは25〜100μm、さらに好ましくは25〜75μmである。
また、本発明の粘着シートがダブルセパレータタイプの両面粘着シートである場合、一方の粘着面にはセパレータが設けられ、他方の粘着面にもセパレータが設けられる。このような場合、両方のセパレータは、それぞれ一方のみの表面が剥離層となっているセパレータ(特にプラスチック基材の一方の表面がシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有するセパレータ)であることが好ましい。また、セパレータは、剥離層が粘着面と接触するようにして設けられる。なお、上記セパレータの両表面のうち、粘着剤層と接する側とは反対側の表面のことを、セパレータの「背面」と称する場合がある。
さらに、本発明の粘着シートがダブルセパレータタイプの両面粘着シートである場合、2枚のセパレータ剥離力に差が設けられていることが好ましい。例えば、本発明の粘着シートがダブルセパレータタイプの両面粘着シートである場合、一方のセパレータが先に使用(貼付)される粘着面(「1面側」ともいう)に対して用いられ、他方のセパレータが後に使用(貼付)される粘着面(「2面側」ともいう)に対して用いられることが好ましい。従って、一方のセパレータはより小さな力(剥離力)で剥離が可能な「軽剥離側」のセパレータとして使用され、他方のセパレータは粘着剤層から剥離するのにより大きな力(剥離力)を要する「重剥離側」のセパレータとして使用されることが好ましい。なお、本明細書において、上記の軽剥離側のセパレータを「軽剥離セパレータ」と称する場合があり、上記の重剥離面側のセパレータを「重剥離セパレータ」と称する場合がある。
なお、本発明の粘着シートがシングルセパレータタイプの両面粘着シートである場合、一方の粘着面にセパレータが設けられ、これを巻回することによって粘着体の他方の粘着面も該セパレータによって保護される。本発明の粘着シートがシングルセパレータタイプである場合には、セパレータの表面はどちらも剥離層(剥離処理層)となっていることが好ましい。また、上記セパレータの両剥離層のうち、巻回することによって粘着面と接触する側の剥離層のことを、特に「背面剥離層」と称する場合がある。通常、セパレータの背面剥離層側の方が、両面粘着シートの「1面側」に対して用いられる。
本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、泣き分かれ現象の発生を抑制し、粘着シートを安定して使用できるようにする点より、上記セパレータの1面側(軽剥離側)における粘着剤層(例えば、上記アクリル系粘着剤層、上記ゴム系粘着剤層など)に対する剥離力(セパレータ剥離力)は0.01〜0.15N/50mmであり、上記セパレータの2面側(重剥離側)における粘着剤層(例えば、上記アクリル系粘着剤層、上記ゴム系粘着剤層など)に対する剥離力(セパレータ剥離力)は0.05〜0.25N/50mmであって、常に重剥離面側のセパレータ剥離力が軽剥離面側のセパレータ剥離力より大きいことが好ましい。
特に、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、泣き分かれ現象の発生を抑制し、粘着シートを安定して使用できるようにする点より、重剥離セパレータの粘着剤層に対する剥離力(セパレータ剥離力)と軽剥離セパレータの粘着剤層に対する剥離力(セパレータ剥離力)との差が0.01N/50mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.02N/50mm以上、さらに好ましくは0.05N/50mm以上、特に好ましくは0.06N/50mm以上である。
なお、上記セパレータ剥離力とは、180°剥離試験によって測定される、粘着剤層に対するセパレータの180°引き剥がし粘着力を意味する。なお、引張速度は300mm/分である。
上記セパレータ剥離力を制御するための因子としては、剥離処理剤の種類、剥離処理剤の塗布量、セパレータの厚さなどが挙げられる。
なお、それらが同じセパレータであった場合でも、直接塗工面と貼り合わせ面で剥離差が生じている場合も含む。同じ剥離処理を施したセパレータであっても、粘着剤をウエット状態で直接塗布した面と、乾燥後にロール等で貼り合わせた面とでは、セパレータ剥離力が異なる場合がある。それは以下のような理由による。ウエット状態でセパレータに直接塗布することにより、セパレータ表面の細かい凹凸の隙間に粘着剤が流れ込み、密着性が良くなる。一方、乾燥後の粘着剤はそのような凹凸にウエット状態ほど流れ込むことができず、密着性が良くない。これにより、同じ剥離処理を施したセパレータであっても剥離力差を生じる。セパレータ剥離力を制御するための因子としては、このような理由で生じた剥離力差を含む。
[本発明の粘着シート]
本発明の粘着シートは、本発明の基材及び粘着剤層を少なくとも有する。本発明の粘着シートは、本発明の基材の両面側に粘着剤層を有する構成の両面粘着シートであることが好ましい。さらに、本発明の粘着シートは、使用時までは、本発明の基材の両面側に粘着剤層を有する構成であり、軽剥離セパレータ及び重剥離セパレータにより粘着面が保護される、ダブルセパレータタイプの両面粘着シートであることが好ましい。
本発明の粘着シートの具体的な態様としては、例えば、厚さが2.0μm未満のプラスチック基材の少なくとも片面側に、上記アクリル系ポリマーAをベースポリマーとして含む上記アクリル系粘着剤層又は上記ゴム系粘着剤層から選択される粘着剤層を有する粘着シートが挙げられる。
さらに、本発明の粘着シートがダブルセパレータタイプの両面粘着シートである場合、その好ましい具体的な態様として、厚さが2.0μm未満のプラスチック基材の両面側に粘着剤層[例えば、上記アクリル系粘着剤層(特に上記アクリル系ポリマーAをベースポリマーとして含む上記アクリル系粘着剤層)、上記ゴム系粘着剤層など]を有し、一方の粘着剤層と接するように軽剥離セパレータが設けられ、他方の粘着剤層と接するように重剥離セパレータが設けられ、上記軽剥離セパレータがプラスチック基材の少なくとも片面側にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有するセパレータであり、上記重剥離セパレータがプラスチック基材の少なくとも片面側にシリコーン系剥離剤からなる剥離層を有するセパレータであり、上記重剥離セパレータの粘着剤層に対する剥離力(セパレータ剥離力)と上記軽剥離セパレータの粘着剤層に対する剥離力(剥離力)との差が0.01N/50mm以上である粘着シートが挙げられる。
本発明の粘着シートの厚さ(総厚さ)は、特に限定されないが、1.0μm以上30.0μm未満であることが好ましく、より好ましくは1.0μm以上10.0μm未満、さらに好ましく1.0μm以上3.0μm以下である。なお、上記の厚さに、セパレータの厚さは含まれない。
特に、本発明の粘着シートは、厚さ(総厚さが)が上記の範囲であり、薄い場合であっても、本発明の基材を有するので加工性(特に打ち抜き加工性)、取り扱い(ハンドリング性)、さらに凹凸追従性を備える。なお、凹凸追従性に優れるのは、本発明の基材の厚さが2.0μm未満であることによる。さらに、薄い場合であっても、上記粘着剤層(例えば、上記アクリル系粘着剤層、上記ゴム系粘着剤層など)を有するので、接着信頼性を備える。
本発明の粘着シートは、電気又は電子機器用であること、特に携帯用の電気又は電子機器用であることが好ましい。上記携帯電子機器としては、例えば、携帯電話、PHS、スマートフォン、タブレット(タブレット型コンピューター)、モバイルコンピューター(モバイルPC)、携帯情報端末(PDA)、電子手帳、携帯型テレビや携帯型ラジオなどの携帯型放送受信機 、携帯型ゲーム機、ポータブルオーディオプレーヤー、ポータブルDVDプレーヤー、デジタルカメラなどのカメラ、カムコーダ型のビデオカメラなどが挙げられる。
本発明の粘着シートは、例えば、電気又は電子機器の製造用途に好ましく用いられ、携帯用の電気又は電子機器の製造用途により好ましく用いられる。具体的には、本発明の粘着シートは、携帯電子機器を構成する部材やモジュール同士の貼り付けや、携帯電子機器を構成する部材やモジュールの筐体への固定などに好ましく用いられる。より具体的には、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)とタッチパネルやタッチセンサーとの貼り合わせ、カバーガラスやレンズ(特にガラスレンズ)の筐体への固定、ディスプレイパネルの筐体への固定、シート状キーボードやタッチパネルなどの入力装置の筐体への固定、情報表示部の保護パネルと筐体との貼り合わせ、筐体同士の貼り合わせ、筐体と装飾用シートとの貼り合わせ、携帯電子機器を構成する各種部材やモジュールの固定や貼り合わせなどが挙げられる。なお、本明細書において、ディスプレイパネルとは、レンズ(特にガラスレンズ)及びタッチパネルにより少なくとも構成される構造物をいう。また、本明細書におけるレンズは、光の屈折作用を示す透明体及び光の屈折作用のない透明体の両方を含む概念である。つまり、本明細書におけるレンズには、屈折作用がない単なる窓パネルも含まれる。さらに、本明細書では、電気又は電子機器を構成する部材やモジュールを、「電気又は電子機器部材」と称する場合がある。
上記のように、本発明の粘着シートは、画面ディスプレイの固定の用途に好ましく用いることができる。
さらに、本発明の粘着シートは、光学用途に好ましく用いられる。すなわち、本発明の粘着シートは、光学部材用粘着シート(光学用粘着シート)であってもよい。例えば、本発明の粘着シートは、光学部材を貼り合わせる用途(光学部材貼り合わせ用)や上記光学部材が用いられた製品(光学製品)の製造用途などに用いられることが好ましい。さらに、本発明の粘着シートは、下記に示す各種光学フィルムの固定に用いられることが好ましい。
上記光学部材とは、光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)を有する部材をいう。上記光学部材としては、光学的特性を有する部材であれば特に限定されないが、例えば、表示装置(画像表示装置)、入力装置等の機器(光学機器)を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(例えば、表面にITO層を有するプラスチックフィルム(ITOフィルム)など)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材(これらを総称して「機能性フィルム」と称する場合がある)などが挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」、「偏光シート」を含むものとする。
上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどが挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネルなどが挙げられる。
上記光学部材としては、特に限定されないが、例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマー、金属薄膜などからなる部材(例えば、シート状やフィルム状、板状の部材など)などが挙げられる。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、被着体である表示装置や入力装置の視認性を保ちながら加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
さらにまた、本発明の粘着シートは、放熱シートの固定、フェライトシートの固定、磁気シールドシートの固定などにも好ましく用いることができる。
さらに、本発明の粘着シートによる電気又は電子機器部材の貼り合わせの態様としては、特に限定されないが、例えば、(1)本発明の粘着シートを介して電気又は電子機器部材同士を貼り合わせる態様、(2)本発明の粘着シートを介して電気又は電子機器部材を電気又は電子機器部材以外の部材に貼り合わせる態様、(3)電気又は電子機器部材を含む本発明の粘着シート(例えば、下記の電気又は電子機器部材積層体)を、電気又は電子機器部材又は電気又は電子機器部材以外の部材に貼り合わせる態様などが挙げられる。
さらに、本発明の粘着シートによる光学部材の貼り合わせの態様としては、特に限定されないが、例えば、(1)本発明の粘着シートを介して光学部材同士を貼り合わせる態様、(2)本発明の粘着シートを介して光学部材を光学部材以外の部材に貼り合わせる態様、(3)光学部材を含む本発明の粘着シート(例えば、下記の光学部材積層体)を、光学部材又は光学部材以外の部材に貼り合わせる態様などが挙げられる。
[電気又は電子機器部材積層体]
本発明の電気又は電子機器部材積層体は、本発明の粘着シートと電気又は電子機器部材の積層構成を有する。つまり、本発明の電気又は電子機器部材積層体は、本発明の粘着シートを含む。また、両面粘着シートである本発明の粘着シートを含む場合、本発明の電気又は電子機器部材積層体は、光学部材表面の少なくとも一部に粘着面が設けられている粘着型電気又は電子機器部材積層体(例えば、シート状の電気又は電子機器部材積層体の少なくとも片面側に粘着面が設けられている粘着型電気又は電子機器部材積層体)でもある。
本発明の電気又は電子機器部材積層体は、本発明の粘着シートを含むので、凹凸追従性、接着信頼性を備える。このため、電子機器部材の固定や仮固定など用途に好ましく用いることができる。
[光学部材積層体]
本発明の光学部材積層体は、本発明の粘着シートと光学部材の積層構成を有する。つまり、本発明の光学部材積層体は、本発明の粘着シートを含む。また、両面粘着シートである本発明の粘着シートを含む場合、本発明の光学部材積層体は、光学部材表面の少なくとも一部に粘着面が設けられている粘着型光学部材(例えば、シート状光学部材の少なくとも片面側に粘着面が設けられている粘着型光学部材)でもある。
本発明の光学部材積層体としては、例えば、本発明の粘着シートを含む光学部材、本発明の粘着シートを含むタッチパネル、本発明の粘着シートを含む画像表示装置、本発明の粘着シートを含むガラスレンズなどが挙げられる。
本発明の光学部材積層体は、本発明の粘着シートを含むので、凹凸追従性、接着信頼性を備える。このため、光学部材の固定や仮固定など用途に好ましく用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、本実施例においては、特に断りのない限り、重量部は固形分換算した値を意味する。
(アクリル系ポリマー溶液の調製例1)
n−ブチルアクリレート(BA)70重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)30重量部、アクリル酸(AA)3重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)0.05重量部、及び重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.08重量部をトルエン溶媒中に添加した。その後、68℃で8時間溶液重合してアクリル系ポリマー溶液を得た。アクリル系ポリマーの重量平均分子量は44万であった。
なお、このようにして得られたアクリル系ポリマー溶液を、「アクリル系ポリマー溶液(A)」とした。
(アクリル系粘着剤組成物の調製例1)
アクリル系ポリマー溶液(A)に重合ロジンペンタエリスリトールエステル樹脂(商品名「ペンセルD125」、荒川化学工業株式会社製、軟化点:125℃)を溶液中のアクリル系ポリマーの100重量部に対し30重量部となるように加えて、さらに、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、日本ポリウレタン工業株式会社製)を溶液中のアクリル系ポリマーの100重量部に対し2重量部となるように加えた。このようにして、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
なお、このようにして得られたアクリル系粘着剤組成物を、「アクリル系粘着剤組成物(A)」とした。
(基材の使用例1)
基材として、厚さが0.5μmであるPETフィルムを使用した。なお、この基材を、「基材(A)」とした。
(基材の使用例2)
基材として、厚さが5μmであるPETフィルムを使用した。なお、この基材を、「基材(B)」とした。
(基材の使用例3)
基材として、厚さが12μmであるPETフィルムを使用した。なお、この基材を、「基材(C)」とした。
(セパレータの製造例1)
熱硬化性付加型シリコーン(商品名「KS−847T」、信越化学工業株式会社製)、白金系触媒(商品名「PL−50T」、信越化学工業株式会社製)を配合し、さらにトルエンを加えて固形分濃度1重量%のシリコーン系剥離処理剤(溶剤型シリコーン系剥離処理剤)を得た。このシリコーン系剥離処理剤をPETフィルムの一方の表面に塗布し、熱により硬化させて、PETフィルムの一方の表面にシリコーン系剥離層を有するセパレータ(剥離ライナー)を得た。
なお、このようにして得られたセパレータを、「セパレータ(A)」とした。セパレータ(A)は、軽剥離面側(1面側)のセパレータとして使用した。
(セパレータの製造例1)
熱硬化性付加型シリコーン(商品名「KS−3703」、信越化学工業株式会社製)、剥離コントロール剤(商品名「X−92−183」、信越化学工業株式会社製)、白金系触媒(商品名「PL−50T」、信越化学工業株式会社製)を配合し、さらにトルエンを加えて固形分濃度1重量%のシリコーン系剥離処理剤(溶剤型シリコーン系剥離処理剤)を得た。このシリコーン系剥離処理剤をPETフィルムの一方の表面に塗布し、熱により硬化させて、PETフィルムの一方の表面にシリコーン系剥離層を有するセパレータ(剥離ライナー)を得た。
なお、このようにして得られたセパレータを、「セパレータ(B)」とした。セパレータ(B)は、重剥離面側(2面側)のセパレータとして使用した。
(実施例1)
セパレータ(A)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が0.8μmとなるように塗布して塗布層を形成し、これをオーブンに投入して、100℃で3分間加熱乾燥させて、アクリル系粘着剤層(厚さ0.8μm)を有するシート1を得た。
次に、セパレータ(B)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が0.8μmとなるように塗布して塗布層を形成し、これをオーブンに投入して、100℃で3分間加熱乾燥させて、アクリル系粘着剤層(厚さ0.8μm)を有するシート2を得た。
そして、基材(A)の一方の面にシート2を貼り合わせ、次に、基材(A)の他方の面にシート1を貼り合わせて、基材の両面側に粘着剤層を有する両面粘着シートを得た。
なお、この両面粘着シートは、セパレータ(A)(1面側)/アクリル系粘着剤層(厚さ0.8μm)/基材(A)(厚さ0.5μm)/アクリル系粘着剤層(厚さ0.8μm)/セパレータ(B)(2面側)の積層構造を有する。
また、セパレータにアクリル系粘着剤組成物を塗布する際には、減圧手段を有する塗工装置を使用した。なお、この塗工装置によれば、アクリル系粘着剤組成物の厚さを均一に塗布できる点で好ましい。
(実施例2)
セパレータ(A)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が1.2μmとなるように塗布して塗布層を形成し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤層(厚さ1.2μm)を有するシート1を得た。
また、セパレータ(B)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が1.2μmとなるよう塗布して塗布層を形成し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤層(厚さ1.2μm)を有するシート2を得た。
そして、実施例1と同様にして、基材(A)の一方の面にシート2を貼り合わせ、基材(A)の他方の面にシート1を貼り合わせて、基材の両面側に粘着剤層を有する両面粘着シートを得た。
なお、この両面粘着シートは、セパレータ(A)(1面側)/アクリル系粘着剤層(厚さ1.2μm)/基材(A)(厚さ0.5μm)/アクリル系粘着剤層(厚さ1.2μm)/セパレータ(B)(2面側)の積層構造を有する。
(比較例1)
セパレータ(B)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が3.0μmとなるように塗布し、塗布層を形成した。次いで、上記塗布層上に、セパレータ(A)を設け、塗布層を被覆した。次に、ブラックライト(株式会社東芝製)にて、照度5mW/cm2の紫外線を照射し、アクリル系粘着剤層(厚さ3.0μm)を有する基材レス両面粘着シートを得た。
なお、この両面粘着シートは、セパレータ(A)(1面側)/アクリル系粘着剤層(厚さ3.0μm)/セパレータ(B)(2面側)の積層構造を有する。
(比較例2)
セパレータ(A)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が0.5μmとなるように塗布して塗布層を形成し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤層(厚さ0.5μm)を有するシート1を得た。
また、セパレータ(B)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が0.5μmとなるよう塗布して塗布層を形成し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤層(厚さ0.5μm)を有するシート2を得た。
そして、実施例1と同様にして、基材(B)の一方の面にシート1を貼り合わせ、基材(B)の他方の面にシート2を貼り合わせて、基材の両面側に粘着剤層を有する両面粘着シートを得た。
なお、この両面粘着シートは、セパレータ(A)(1面側)/アクリル系粘着剤層(厚さ0.5μm)/基材(B)(厚さ5μm)/アクリル系粘着剤層(厚さ0.5μm)/セパレータ(B)(2面側)の積層構造を有する。
(比較例3)
セパレータ(A)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が1.5μmとなるように塗布して塗布層を形成し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤層(厚さ1.5μm)を有するシート1を得た。
また、セパレータ(B)にアクリル系粘着剤組成物(A)を最終的な厚さ(形成されるアクリル系粘着剤層の厚さ)が1.5μmとなるよう塗布して塗布層を形成し、実施例1と同様にして、アクリル系粘着剤層(厚さ1.5μm)を有するシート2を得た。
そして、実施例1と同様にして、基材(C)の一方の面にシート1を貼り合わせ、基材(C)の他方の面にシート2を貼り合わせて、基材の両面側に粘着剤層を有する両面粘着シートを得た。
なお、この両面粘着シートは、セパレータ(A)(1面側)/アクリル系粘着剤層(厚さ1.5μm)/基材(C)(厚さ12μm)/アクリル系粘着剤層(厚さ1.5μm)/セパレータ(B)(2面側)の積層構造を有する。
(測定又は評価)
実施例及び比較例の両面粘着シートについて、下記の測定又は評価を行った。その結果を表1に示した。
(180°引き剥がし接着強さ(粘着力))
両面粘着シートから、長さ100mm、幅20mmのシート片を切り出した。次いで、シート片からセパレータ(A)を剥離し、露出した粘着面に、PETフィルム(商品名「ルミラー S−10」、厚さ25μm)を貼付(裏打ち)した。そして、試験片とした。
次に、試験片のセパレータ(B)を剥離し露出した粘着面により、試験片を試験板に貼り合わせ、2kgローラー、1往復の圧着条件で圧着した。その後、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間エージングした。エージング後、引張試験機(装置名「オートグラフ AG−IS」、株式会社島津製作所製)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、試験板から試験片を引きはがし、180°引き剥がし接着強さ(N/20mm)を測定した。
なお、試験板として、ステンレス板(SUS304BA板)を使用した。なお、試験板の表面は平滑である。
(凹凸追従性)
両面粘着シートのセパレータ(A)を剥離して露出した粘着面に、PETフィルム(商品名「ルミラー S−10」、厚さ25μm)を貼付(裏打ち)し、試験片とした。
次に、試験片のセパレータ(B)を剥離し、露出した粘着面により、被着体の段差を有する面に試験片を貼り合わせ、2kgローラー、1往復の圧着条件で圧着した。その後、23℃、50%RHの雰囲気下で30分間エージングした。そして、構造物Aを得た。
そして、構造物Aにおける段差付近の試験片を目視で観察し、下記基準で評価した。
評価基準
よい(〇):段差に粘着シートが追従しており、浮きが見られない。
わるい(×):段差に粘着シートが追従できず、浮きがみられる。
なお、凹凸追従性の評価に用いた被着体は、シート状であり、一方の面に段差を有する。段差の高さは、10μmである。
(打ち抜き加工性)
両面粘着シートを一方の面側より、打ち抜き機(装置名「D250」、岩崎鉄工株式会社製)を用いてシール刃により、100ショット/分の速さで打ち抜き、両面粘着シートに打ち抜き加工を施した。
そして、打ち抜いた両面粘着シートを観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準:打ち抜いた両面粘着シートを観察し、しわやよれの発生、損傷、粘着シート端部における糊はみ出し、損傷や糊はみ出し等に起因する両面粘着シート同士の意図しない接合等が生じた場合を不良(×)と評価した。一方、きれいに打ち抜かれており、上記の問題が生じない場合を良好(○)と評価した。
(セパレータ剥離力)
両面粘着シートから、長さ100mm、幅50mmのシート片を切り出し、試験片とした。この試験片を、1面側評価用試験片とした。
また、上記1面側評価用試験片からセパレータ(A)を剥がして、露出した粘着面に、PETフィルム(商品名「ルミラー S−10」、厚さ25μm)を貼付(裏打ち)した。そして、2面側評価用試験片とした。
引張試験機(装置名「オートグラフ AG−IS」、株式会社島津製作所製)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、1面側評価用試験片からセパレータ(A)を引きはがし、180°引き剥がし接着強さ(N/50mm)を測定した。そして、この180°引き剥がし接着強さを、1面側のセパレータ剥離力とした。
一方、引張試験機(装置名「オートグラフ AG−IS」、株式会社島津製作所製)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下、引張速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、2面側評価用試験片からセパレータ(B)を引きはがし、180°引き剥がし接着強さ(N/50mm)を測定した。そして、この180°引き剥がし接着強さを、2面側のセパレータ剥離力とした。
(セパレータ剥離性)
上記セパレータ剥離力試験の際に、泣き分かれ現象、粘着剤層のセパレータへの残存(のりはがれ)、粘着剤層同士の重なり、意図しない粘着剤層の移動、このような移動に伴う粘着剤層のしわやよれ、粘着シートの損傷等が生じた場合等を不良(×)と評価した。一方、粘着剤層とセパレータの界面できれいに分離しており、上記の問題が生じない場合を良好(○)と評価した。
なお、比較例1のセパレータ剥離力は、測定することができなかった。