JP2017186486A - 剥離ライナー付き粘着シート - Google Patents

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【課題】試料を分析するための試験片用の粘着シートであって、試験片製造時における試薬ロスを防ぎ得る剥離ライナー付き粘着シートを提供する。【解決手段】試料を分析するための試験片の製造に用いられる剥離ライナー付き粘着シートが提供される。この剥離ライナー付き粘着シートは、粘着剤層を有する両面接着性の粘着シートと、該粘着シートの第1粘着面を覆う第1剥離ライナーと、該粘着シートの第2粘着面を覆う第2剥離ライナーと、を備える。また、前記第1剥離ライナーの背面および前記第2剥離ライナーの背面のうち一方の背面の水接触角は70°以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、試料を分析するための試験片の製造に用いられる剥離ライナー付き粘着シートに関する。
血中グルコース濃度の測定等を行う各種試料測定機器が広く用いられている。そのような機器を用いた測定は、例えば、血液試料等の試料を試験片にサンプリングし、当該試料を保持した試験片を測定機器にセットし、試験片中の試薬と当該試料との反応時の電流等を検知することによって行われる。上記測定機器に用いられる試験片を開示する先行技術文献として特許文献1が挙げられる。特許文献2は、そのような試験片に用いられる粘着シートに関する先行技術文献である。
特開2006−308458号公報 特開2015−054921号公報
上記の試験片は、例えば、基板やスペーサ、カバー(例えば親水性フィルム)等の複数の部材から構成されており、基板とカバーとを接合する目的で両面接着性の粘着シート(両面粘着シート)が好ましく用いられている。この両面粘着シートは、基板とカバーとの間でスペーサとしても機能するものであり、試料を電極に導く通路(キャピラリともいう。)を有する。また、上記両面粘着シートには、血液等の試料と反応する試薬を注入するための孔が設けられており、この両面粘着シートの一方の粘着面を基板に貼り合わせた後、粘着シートに設けられた孔に上記試薬は注入される。その後、両面粘着シートの他方の粘着面にカバーを貼り合わせて基板とカバーとを接合する等の工程を経て、試験片は製造される。
上記のような試験片の製造において、上記粘着シートに設けた孔への試薬注入の精度によっては、試薬の少なくとも一部を孔に注入できず注入不良が発生することがある。その場合、注入不良のあった試験片に対して再度試薬の注入操作を行うことにより、試験片を有効に利用することができる。しかし例えば、血中グルコース濃度測定に用いられる試薬は、通常は酵素等を含み高価であるため、再注入等も避けたいという事情がある。上記のような注入不良が発生した場合であっても、その後の操作によって、孔に注入されなかった残留試薬を所期の孔に注入することができれば、試薬ロスが回避されるので有益である。
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、試料を分析するための試験片用の粘着シートであって、試験片製造時における試薬ロスを防ぎ得る剥離ライナー付き粘着シートを提供することを目的とする。
本発明によると、試料を分析するための試験片の製造に用いられる剥離ライナー付き粘着シートが提供される。この剥離ライナー付き粘着シートは、粘着剤層を有する両面接着性の粘着シートと、該粘着シートの第1粘着面を覆う第1剥離ライナーと、該粘着シートの第2粘着面を覆う第2剥離ライナーと、を備える。また、前記第1剥離ライナーの背面および前記第2剥離ライナーの背面のうち一方の背面の水接触角は70°以上である。
上記の構成によると、両面粘着シートは、2枚の剥離ライナーによってその両粘着面がそれぞれ覆われているので、剥離ライナー付き粘着シートの状態で、剥離ライナー(例えば第2剥離ライナー)と粘着シートとを貫通する孔を容易に形成することができる。そして、試料を分析するための試験片(以下、単に「試験片」ともいう。)を製造する際に、上記両面粘着シートから、その第1粘着面を保護する第1剥離ライナーを剥がして、露出した第1粘着面を基板に貼り合わせた後、第2粘着面を保護する第2剥離ライナーの背面(外表面)側から、該背面にて開口した孔に試薬を注入することができる。そしてさらに、この試薬注入時に、試薬を孔に精度よく注入できず、第2剥離ライナーの背面に試薬の少なくとも一部が残留する注入不良が発生しても、第2剥離ライナー背面の水接触角を70°以上とすることで、未注入試薬は第2剥離ライナー背面上にロスなく留まる。この第2剥離ライナー背面上の未注入試薬を適切な方法で誘導して孔に入れることにより、試薬を無駄なく利用することができる。上記とは逆に、第2粘着面を先に被着体に貼り合わせる場合には、第1剥離ライナー背面の水接触角を70°以上とすることで、上記と同様の効果が得られる。したがって、本発明の剥離ライナー付き粘着シートを用いることにより、試験片製造時における試薬ロスを防ぐことができる。
ここに開示される技術(剥離ライナー付き粘着シート、該粘着シートを備える試験片、該試験片の製造方法を包含する。以下同じ。)の好ましい一態様では、前記粘着剤層のゲル分率は25%〜55%である。上記ゲル分率が所定値以下である粘着シートは、試薬保持性に優れる。具体的には、粘着剤層のゲル分率が所定値以下であることにより、両面粘着シート内に収容された試薬が粘着シートの粘着面から漏れ出す事象を好ましく防ぐことができる。また、上記ゲル分率が所定値以上である粘着シートは、打ち抜き加工等の加工後に糊のはみ出しがないので、加工性に優れる。さらに、上記の範囲のゲル分率を有する粘着剤層を使用することにより、耐曲げ性も改善され得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記粘着シートの粘着面(典型的には、第1粘着面および第2粘着面の両方)は、7N/20mm以上の180度剥離強度を示す。上記の剥離強度を示す粘着シートは、小サイズであっても、十分な接合強度を発揮し得るので、接着面積の制限されがちな試験片用の粘着シートとして好ましく用いられる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記粘着シートは、基材と、該基材の一方の面に設けられた第1粘着剤層と、該基材の他方の面に設けられた第2粘着剤層と、を備える基材付き両面粘着シートである。基材を有する粘着シートを用いることにより、粘着シートの加工性は向上し、形状精度の高い試験片をより容易に製造することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である。粘着剤としてアクリル系粘着剤を使用することによって、試験片用途に適した粘着特性を有する粘着シートを好ましく実現することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記粘着剤層は、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して20〜60重量部の粘着付与樹脂を含む。アクリル系粘着剤に所定量の粘着付与樹脂を配合することによって、試験片用途に適した特性(例えば粘着力や試薬保持性)を有する粘着シートを好ましく実現することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記粘着シートの厚さは50μm以下である。このような薄厚の粘着シートは、基板とカバーとの間のスペーサとして好ましく機能し得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記試験片は、生体試料測定機器に着脱自在に接続されるバイオセンサである。上記のようなバイオセンサでは、試料測定に用いる試薬が比較的高価である。そのようなバイオセンサ用の粘着シートとして、ここに開示される粘着シートを用いることにより、試薬ロス防止の利点を効果的に享受することができる。また、バイオセンサに代表される生体試料測定機器等の試料測定機器の分析精度は年々高度化しており、それに伴い、より高品質な試験片が求められる傾向がある。このような用途に、ここに開示される好ましい一態様に係る粘着シートを用いることにより、試験片の強度等(典型的には部材間の接合強度等)を向上させることができ、より高品質な試験片(典型的にはバイオセンサ)が創出され得る。
また、本明細書によると、試料を分析するための試験片の製造方法が提供され得る。この製造方法は:粘着剤層を有する両面接着性の粘着シートと、該粘着シートの第1粘着面を覆う第1剥離ライナーと、該粘着シートの第2粘着面を覆う第2剥離ライナーと、を備える剥離ライナー付き粘着シートを用意する工程と;前記剥離ライナー付き粘着シートのうち少なくとも前記第2剥離ライナーと前記粘着シートとを貫通する孔を設ける工程と;前記剥離ライナー付き粘着シートから前記第1剥離ライナーを剥がして、前記粘着シートの第1粘着面を試験片部材A(例えば基板)に貼り合わせる工程と;前記第2剥離ライナーの背面にて開口した前記孔に試薬を注入する工程と;を含む。また、上記製造方法は、典型的には、前記剥離ライナー付き粘着シートから前記第2剥離ライナーを剥がして、前記粘着シートの第2粘着面を試験片部材B(例えば被覆層)に貼り合わせる工程;をさらに含み得る。上記製造方法において、前記第2剥離ライナーの背面の水接触角は70°以上であることが好ましい。上記の製造方法によると、試薬ロスを防ぐことができる。
一実施形態に係る剥離ライナー付き粘着シート(基材付き両面粘着シート)の構成を示す模式的断面図である。 他の実施形態に係る剥離ライナー付き粘着シート(基材レス両面粘着シート)の構成を示す模式的断面図である。 一実施形態に係る試験片の構成を示す概略斜視図である。 製造中の試験片の構成を示す概略斜視図である。 液回収性評価試験の方法を説明するための模式的側面図である。 液保持性評価試験の方法を説明するための模式的側面図である。 耐曲げ性評価試験の方法を説明するための模式的断面図である。 糊はみ出し防止性評価試験の方法を説明するための模式的側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、本明細書に記載された発明の実施についての教示と出願時の技術常識とに基づいて当業者に理解され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明し、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される粘着シートや試験片のサイズや縮尺を正確に表したものではない。
この明細書において「粘着剤」とは、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料をいう。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamental and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)である。
<剥離ライナー付き粘着シートの構造例>
ここに開示される剥離ライナー付き粘着シートは、例えば、図1に示す断面構造を有する。この剥離ライナー付き粘着シート1は、両面接着性の粘着シート(両面粘着シート)11を備える。この両面粘着シート11は、基材15としてのプラスチックフィルムと、その基材15の両面にそれぞれ支持された第1粘着剤層21および第2粘着剤層22とを備える。より詳しくは、基材15の第1面15Aおよび第2面15B(いずれも非剥離性)に、第1粘着剤層21および第2粘着剤層22がそれぞれ設けられている。
また、剥離ライナー付き粘着シート1は、両面粘着シート11の第1粘着面(第1粘着剤層21の粘着面。基材15側とは反対側に位置する表面。)21Aを覆う第1剥離ライナー31と、両面粘着シート11の第2粘着面(第2粘着剤層22の粘着面。基材15側とは反対側に位置する表面。)22Aを覆う第2剥離ライナー32と、を備える。使用前(被着体への貼り付け前)の両面粘着シート11は、第1粘着剤層21の第1粘着面21Aが、該第1粘着面21A側の表面(前面)31Aが剥離面となっている第1剥離ライナー31によって保護されている。また、第2粘着剤層22の第2粘着面22Aは、該第2粘着面22A側の表面(前面)32Aが剥離面となっている第2剥離ライナー32によって保護されている。第1剥離ライナー31の背面(前面31Aとは反対側の表面)31Bは、剥離ライナー付き粘着シート1において外表面を構成している。また、第2剥離ライナー32の背面(前面32Aとは反対側の表面)32Bも、第1剥離ライナー31の背面31Bと同様に、剥離ライナー付き粘着シート1において外表面を構成している。
ここに開示される技術は、図1に示すような基材付き両面粘着シートに好ましく適用されるほか、図2に示すような基材レスの(すなわち、基材を有しない)両面粘着シート12にも適用され得る。使用前の両面粘着シート12は、例えば図2に示すように、剥離ライナー付き粘着シート2の形態であり、基材レスの粘着剤層20を有しており、その第1粘着面(粘着剤層20の一方の粘着面)20Aを覆う第1剥離ライナー31と、その第2粘着面(粘着剤層20の他方の粘着面。第1粘着面20Aとは反対側に位置する粘着面。)20Bを覆う第2剥離ライナー32と、を備える。基材レスの粘着剤層20からなる両面粘着シート12の第1粘着面20Aは、該第1粘着面20A側の表面(前面)31Aが剥離面となっている第1剥離ライナー31によって保護されている。また、両面粘着シート12の第2粘着面20Bは、該第2粘着面20B側の表面(前面)32Aが剥離面となっている第2剥離ライナー32によって保護されている。
<第1剥離ライナーおよび第2剥離ライナー>
ここに開示される技術は、第1剥離ライナーおよび第2剥離ライナー(以下、まとめて単に「剥離ライナー」ということがある。)のいずれかの背面(粘着剤層側表面(前面)とは反対側の表面)の水接触角が70°以上であることによって特徴づけられる。これにより、試験片製造時に、第1剥離ライナーまたは第2剥離ライナーの背面にて開口した孔に試薬を注入しようとして、該試薬の少なくとも一部を孔に注入できなかった場合であっても、注入されなかった試薬は、濡れひろがったり吸収されたりせず上記剥離ライナー背面上に液滴として留まる。この剥離ライナー背面上に残留した未注入試薬(液滴)を、例えば剥離ライナーを傾けたり、スポイト等の誘導手段を用いて液滴を引き動かしたりして孔に導いて入れることで、試薬ロスを防ぐことができる。このような、注入操作で注入されずに残留した試薬を回収して所期の孔に入れる操作を、新たな試薬液滴を同じ孔に注入する再注入と区別する目的で、回収注入ということがある。また、上記のように水接触角が70°以上の撥水性となるように調節された剥離ライナーの背面を、水接触角が70°未満の剥離ライナー背面(非撥水性背面)と区別する意味で、撥水性背面ということがある。上記水接触角は、剥離ライナー背面を構成する材料の選択や表面処理等によって調節することができる。剥離ライナー背面(撥水性背面)の水接触角は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
第1剥離ライナー背面および第2剥離ライナー背面のうち一方の背面(撥水性背面)の水接触角は、好ましくは90°以上(典型的には90°超)、より好ましくは100°以上、さらに好ましく120°以上(例えば130°以上)である。上記水接触角が大きすぎると、第1剥離ライナー背面上で液滴が移動しやすくなりすぎ当該背面から脱落してしまう場合があることから、上記水接触角は160°以下(例えば150°以下)程度であることが適当である。なお、第1剥離ライナー背面および第2剥離ライナー背面のうち他方の背面の水接触角は、70°未満であってもよく70°以上であってもよい。
ここに開示される第1剥離ライナー背面および第2剥離ライナー背面のうち一方の背面(撥水性背面)の表面自由エネルギーは40mJ/m未満であることが好ましい。これにより、試薬ロスを防ぎやすい。上記表面自由エネルギーは、好ましくは30mJ/m以下、より好ましくは20mJ/m以下(例えば15mJ/m以下)である。試薬回収性の観点から、上記表面自由エネルギーは、7mJ/m以上(例えば10mJ/m以上)であることが適当である。なお、第1剥離ライナー背面および第2剥離ライナー背面のうち他方の背面の表面自由エネルギーは、40mJ/m未満であってもよく40mJ/m以上であってもよい。剥離ライナー背面(撥水性背面)の表面自由エネルギーは、後述の実施例に記載の方法で求められる。
第1剥離ライナーおよび第2剥離ライナーのうち撥水性背面を有する剥離ライナーとしては、典型的には、剥離面である前面と、撥水面である背面とを有する剥離ライナーが用いられる。そのような剥離ライナーの好適例としては、剥離ライナー基材に剥離処理および撥水処理を施したものが挙げられる。上記剥離ライナーは、剥離ライナー基材の一方の表面に剥離処理を施し、他方の表面に撥水処理を施したものであり得る。典型的な一態様では、上記撥水性背面を有する剥離ライナーは、支持体となる剥離ライナー基材(剥離処理対象かつ撥水処理対象)と、該基材の一方の表面に設けられた剥離処理層と、該基材の他方の表面に設けられた撥水処理層と、を備える。
ここに開示される剥離ライナー基材の材料は特に限定されない。例えば、プラスチック類、紙類、各種繊維類等から形成された単層体(例えばプラスチックフィルム)、あるいは積層体を使用することができる。なお、この明細書において「プラスチックフィルム」とは、典型的には非多孔質のフィルムであって、いわゆる不織布や織布とは区別される概念である。
上記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリアミド(いわゆるナイロン);セルロース(いわゆるセロハン);等からなるフィルムを使用することができる。プラスチックフィルム類は、無延伸タイプであってもよく、延伸タイプ(一軸延伸タイプまたは二軸延伸タイプ)であってもよい。
上記紙基材としては、例えば、和紙、洋紙、上質紙、グラシン紙、クラフト紙、フルパック紙、クレープ紙、クレーコート紙、トップコート紙、合成紙等を使用することができる。紙基材の坪量は特に限定されず、通常は50〜100g/m程度のものを用いることが適当である。
各種繊維基材としては、各種の繊維状物質(天然繊維、半合成繊維または合成繊維のいずれでもよい。例えば、綿繊維、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等)の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。
他の素材からなる基材としては、天然ゴム、ブチルゴム等からなるゴムシート類;発泡ポリウレタン、発泡ポリクロロプレンゴム等の発泡体からなる発泡体シート類;アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;これらの複合体;等が挙げられる。
積層体としては、例えば、両面にプラスチックフィルム(例えばPE樹脂)がラミネートされた紙(例えば上質紙)が挙げられる。
上記のなかで好ましい剥離ライナー基材としては、ポリエステルフィルムが挙げられ、そのなかでもPETフィルムがより好ましい。
上記剥離ライナー基材には、必要に応じて、剥離処理層や撥水処理層を設ける表面にコロナ放電処理、プラズマ処理、下塗り剤の塗布等の各種表面改質処理やエンボス加工等の各種表面加工を施してもよい。また、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料など)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
ここに開示される剥離ライナーの撥水性背面は、シリコーン系撥水処理剤、フッ素系撥水処理剤、長鎖アルキル系撥水処理剤等の撥水処理剤を用いて形成することができる。これらの撥水処理剤としては、剥離処理剤として用いられ得るもののなかから技術常識に基づき水接触角70°以上を満足するものを選択して用いることができる。なかでも、シリコーン系撥水処理剤が好ましい。あるいは、剥離ライナー基材の材料のなかから、表面の水接触角が70°以上となる材料を技術常識に基づき選択して用いることによっても、撥水性背面を得ることができる。例えば、オレフィン系樹脂(例えば、PE、PP、エチレン−プロピレン共重合体、PE/PP混合物)、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、シリコンゴム等から形成された剥離ライナー基材を、該基材の表面に撥水処理を施すことなく剥離ライナーとして用いることも可能である。その場合、当該剥離ライナーの背面は、撥水処理なしでも撥水性背面となり得る。
好ましい一態様において使用されるシリコーン系撥水処理剤としては、特に制限されず、70°以上の水接触角を実現し得る各種のシリコーン系材料を使用することができる。例えば、塗布後に熱または電離性放射線(紫外線、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等)を付与することによって硬化する熱硬化性(典型的には熱硬化性付加型)シリコーン系撥水処理剤、電離性放射線硬化性(典型的にはUV硬化性)シリコーン系撥水処理剤等が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。経済性、塗布に要する装置の簡便さ等の観点からは、熱硬化性(典型的には熱硬化性付加型)シリコーン系撥水処理剤が好ましく使用される。また、これら撥水処理剤は、溶剤を含まない無溶剤型、有機溶剤に溶解あるいは分散した溶剤型のいずれであってもよい。また、無溶剤型撥水処理剤に、表面張力の比較的低い溶剤を適量混ぜ合わせ、付与(典型的には塗布)しやすいように粘度を調節したものを用いてもよい。さらに、上述のような熱硬化性等のシリコーン系撥水処理剤には、反応性向上のため白金系触媒等の触媒が添加され得る。撥水処理層形成時の環境衛生やVOC低減の観点からは、実質的に有機溶剤を含まず、そのままの状態で塗布可能な無溶剤型の使用が好ましい。上記のようなシリコーン系撥水処理剤は、例えば信越化学工業社等から入手可能である。
ここに開示される剥離ライナーに撥水処理層を形成する方法としては、例えば、各種コーターを用いて、剥離ライナー基材にシリコーン系撥水処理剤等の撥水処理剤を塗布乾燥して撥水処理層を形成する方法が挙げられる。上記コーターとしては、例えば、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコータ−、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター等から適宜選択することができる。乾燥条件としては特に制限されず、使用する撥水処理剤に適した乾燥条件を適宜選択することができる。通常は、温度80〜150℃程度の乾燥温度が好適である。
ここに開示される剥離ライナーが撥水処理層を有する場合、撥水処理層の厚さは特に制限されない。撥水性を十分に得る観点から、撥水処理層の厚さは、例えば凡そ0.03μm以上であることが適当であり、好ましくは凡そ0.05μm以上である。また、膜形成性やコスト等の観点から、上記厚さは、例えば5μm以下(典型的には3μm以下)程度である。
撥水処理剤の塗布量としては、用いられる剥離ライナー基材の種類、撥水処理剤の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば、固形分換算で0.01g/m以上とすることが適当であり、好ましくは0.05g/m以上、より好ましくは0.1g/m以上、さらに好ましくは0.5g/m以上であり、また、凡そ10g/m以下が適当であり、好ましくは7g/m以下、より好ましくは5g/m以下、さらに好ましくは4g/m以下である。
ここに開示される剥離ライナーの剥離面は、公知または慣用の剥離処理剤(例えば、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等の剥離処理剤)を用いて常法により形成することができる。例えば、PE樹脂がラミネートされた上質紙のPE樹脂面やポリエステル製剥離ライナー基材の表面をシリコーン系剥離処理剤で剥離処理してなる剥離面が好ましく採用され得る。また例えば、オレフィン系樹脂(例えば、PE、PP、エチレン−プロピレン共重合体、PE/PP混合物)、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン)、シリコンゴム等から形成された剥離ライナー基材を、該基材の表面に剥離処理を施すことなく剥離ライナーとして用いることも可能である。その場合、当該剥離ライナーの表面(典型的には前面)は、剥離処理なしでも剥離面となり得る。
ここに開示される剥離ライナーに剥離処理層を形成する方法としては、従来公知の方法を採用することができる。例えば、各種コーターを用いて、剥離ライナー基材に上述のような剥離処理剤(例えばシリコーン系剥離処理剤)を塗布乾燥して剥離処理層を形成することができる。上記コーターとしては、撥水処理層の形成で採用し得るコーターとして例示したものを適宜選択することができる。乾燥条件についても、特に制限されず、使用する剥離処理剤に適した乾燥条件を適宜選択することができる。
ここに開示される剥離ライナーが剥離処理層を有する場合、剥離処理層の厚さは特に制限されない。剥離性を十分に得る観点から、剥離処理層の厚さは、例えば凡そ0.03μm以上であることが適当であり、好ましくは凡そ0.05μm以上である。また、膜形成性やコスト等の観点から、上記厚さは、例えば5μm以下(典型的には3μm以下)程度である。
ここに開示される剥離ライナーの厚さは、作業性等の観点から、凡そ20μm以上とすることが適当であり、好ましくは30μm以上(例えば50μm以上、さらには60μm以上)であり、また上記厚さは、凡そ200μm以下とすることが適当であり、好ましくは160μm以下(例えば100μm以下)である。第1剥離ライナーと第2剥離ライナーの厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。第1剥離ライナー、第2剥離ライナーの順で剥離ライナーを剥がして粘着シートを使用する態様では、第1剥離ライナーの厚さを第2剥離ライナーよりも薄厚とすることが好ましい。これにより、第1剥離ライナーの剥離作業性、ひいては粘着シートの貼り付け作業性が向上する。また、第2剥離ライナーに厚さを持たせて剛性を高めることにより、第1剥離ライナー剥離後に第2剥離ライナーで粘着シートを支持しやすい。
<粘着剤層>
ここに開示される粘着剤層(基材付き両面粘着シートの場合は、第1粘着剤層および第2粘着剤層を包含する。以下同じ。)は、粘着剤の分野において公知のアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー等の各種ゴム状ポリマーの1種または2種以上をベースポリマーとして含むものであり得る。詳しくは後述するが、ここに開示される粘着剤層は、好ましくは、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含むアクリル系粘着剤層、または、ゴム系ポリマーをベースポリマーとして含むゴム系粘着剤層である。あるいは、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーとゴム系ポリマーとを併用した粘着剤層であってもよい。
(アクリル系粘着剤層)
好ましい一態様では、上記粘着剤層は、特性(典型的には粘着力や耐曲げ性、試薬保持性等)や分子設計、経時安定性等の観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとして含むアクリル系粘着剤層である。なお、この明細書において粘着剤の「ベースポリマー」とは、該粘着剤に含まれるポリマー成分の主成分(典型的には、50重量%を超えて含まれる成分)をいう。
(アクリル系ポリマー)
上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして含み、該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含み得るモノマー原料の重合物が好ましい。ここで主モノマーとは、上記モノマー原料における全モノマー成分の50重量%超を占める成分をいう。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば下記式(1)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (1)
ここで、上記式(1)中のRは水素原子またはメチル基である。また、Rは炭素原子数1〜20の鎖状アルキル基(以下、このような炭素原子数の範囲を「C1−20」と表すことがある。)である。粘着剤の貯蔵弾性率等の観点から、RがC1−14(例えばC2−10、典型的にはC4−8)の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、Rが水素原子でRがC4−8の鎖状アルキル基であるアルキルアクリレートがより好ましい。上記RがC1−20の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、n−ブチルアクリレート(BA)および2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)が挙げられる。粘着特性や加工性等の観点から、BAがより好ましい。
全モノマー成分中における主モノマーの配合割合は70重量%以上(例えば85重量%以上、典型的には90重量%以上)であることが好ましい。主モノマーの配合割合の上限は特に限定されず、99.5重量%以下(例えば95重量%以下)とすることが好ましい。
主モノマーであるアルキル(メタ)アクリレートと共重合性を有する副モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、アクリル系ポリマーの凝集力を高めたりするために役立ち得る。副モノマーとして、例えばカルボキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ケト基含有モノマー、窒素原子含有環を有するモノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、イミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等の官能基含有モノマーの1種または2種以上を使用することができる。例えば、凝集力向上の観点から、上記副モノマーとしてカルボキシ基含有モノマーおよび/または水酸基含有モノマーが共重合されたアクリル系ポリマーが好ましい。上記カルボキシ基含有モノマーの好適例としては、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)等が例示される。上記水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類や不飽和アルコール類等が挙げられる。なかでも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)がより好ましい。
上記副モノマーの量は、所望の凝集力が実現されるように適宜選択すればよく、特に限定されない。通常は、粘着力と凝集力とをバランス良く両立させる観点から、副モノマーの量は、アクリル系ポリマーの全モノマー成分中の0.5重量%以上とすることが適当であり、好ましくは1重量%以上である。また、副モノマーの量は、全モノマー成分中の30重量%以下が適当であり、好ましくは10重量%以下(例えば5重量%以下)である。アクリル系ポリマーにカルボキシ基含有モノマーが共重合されている場合、カルボキシ基含有モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーの合成に使用する全モノマー成分中、凡そ0.1重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、また凡そ15重量%以下とすることが適当であり、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。アクリル系ポリマーに水酸基含有モノマーが共重合されている場合、水酸基含有モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーの合成に使用する全モノマー成分中、凡そ0.001重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上であり、また凡そ10重量%以下とすることが適当であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。このことによって、粘着力と凝集力とがより高レベルでバランスした粘着剤が実現され得る。
ここに開示されるアクリル系ポリマーには、上記以外のモノマー(その他モノマー)が共重合されていてもよい。上記その他のモノマーは、例えば、アクリル系ポリマーのガラス転移温度の調整、粘着性能(例えば剥離性)の調整等の目的で使用することができる。例えば、粘着剤の凝集力を向上させ得るモノマーとして、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステル類、芳香族ビニル化合物等が挙げられる。上記その他モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なかでも、ビニルエステル類が好適例として挙げられる。ビニルエステル類としては、具体的には、酢酸ビニル(VAc)、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が例示される。なかでも、VAcが好ましい。上記その他モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーの合成に使用する全モノマー成分中、凡そ30重量%以下とすることが適当であり、10重量%以下とすることが好ましく、また0.01重量%以上(例えば0.1重量%以上)とすることが適当である。
上記アクリル系ポリマーの共重合組成は、該ポリマーのガラス転移温度(Tg)が−15℃以下(典型的には−70℃以上−15℃以下)となるように設計されていることが適当であり、好ましくは−25℃以下(例えば−60℃以上−25℃以下)、より好ましくは−40℃以下(例えば−60℃以上−40℃以下)である。アクリル系ポリマーのTgを上述した上限値以下とすることは、粘着力等の観点から好ましい。
アクリル系ポリマーのTgは、モノマー組成(すなわち、該ポリマーの合成に使用するモノマーの種類や使用量比)を適宜変えることにより調整することができる。ここで、アクリル系ポリマーのTgとは、該ポリマーを構成する各モノマーの単独重合体(ホモポリマー)のTgおよび該モノマーの重量分率(重量基準の共重合割合)に基づいてフォックス(Fox)の式から求められる値をいう。Foxの式とは、以下に示すように、共重合体のTgと、該共重合体を構成するモノマーのそれぞれを単独重合したホモポリマーのガラス転移温度Tgiとの関係式である。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
なお、上記Foxの式において、Tgは共重合体のガラス転移温度(単位:K)、Wiは該共重合体におけるモノマーiの重量分率(重量基準の共重合割合)、Tgiはモノマーiのホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。ホモポリマーのTgとしては、公知資料に記載の値を採用するものとする。
ここに開示される技術では、上記ホモポリマーのTgとして、具体的には以下の値を用
いるものとする。
2−エチルヘキシルアクリレート −70℃
ブチルアクリレート −55℃
酢酸ビニル 32℃
アクリル酸 106℃
メタクリル酸 228℃
2−ヒドロキシエチルアクリレート −15℃
4−ヒドロキシブチルアクリレート −40℃
上記で例示した以外のホモポリマーのTgについては、「Polymer Handbook」(第3版、John Wiley & Sons, Inc., 1989)に記載の数値を用いるものとする。上記Polymer Handbookにも記載されていない場合には、特開2007−51271号公報に記載の測定方法により得られる値を用いるものとする。
アクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく用いることができる。溶液重合を行う際のモノマー供給方法としては、全モノマー原料を一度に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等を適宜採用することができる。重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃〜170℃(典型的には40℃〜140℃)程度とすることができる。あるいは、UV等の光を照射して行う光重合(典型的には、光重合開始剤の存在下で行われる。)や、β線、γ線等の放射線を照射して行う放射線重合等の活性エネルギー線照射重合を採用してもよい。
溶液重合に用いる溶媒(重合溶媒)は、従来公知の有機溶媒から適宜選択することができる。例えば、トルエン等の芳香族化合物類(典型的には芳香族炭化水素類)や、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類等が好ましく用いられる。
重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、従来公知の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤の1種または2種以上を好ましく使用し得る。重合開始剤の他の例としては、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ベンゾイルパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;等が挙げられる。重合開始剤のさらに他の例として、過酸化物と還元剤との組み合わせによるレドックス系開始剤が挙げられる。このような重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100重量部に対して0.005〜1重量部(典型的には0.01〜1重量部)程度の範囲から選択することができる。
ここに開示されるベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。凝集力と粘着力とを高レベルでバランスさせる観点から、ベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)のMwは、好ましくは10×10以上、より好ましくは20×10以上、さらに好ましくは35×10以上である。また上記Mwは、好ましくは500×10以下、より好ましくは110×10以下(例えば75×10以下)、さらに好ましくは90×10以下(例えば65×10以下)である。ここでMwとは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により得られた標準ポリスチレン換算の値をいう。GPC装置としては、例えば機種名「HLC−8320GPC」(カラム:TSKgelGMH−H(S)、東ソー社製)を使用すればよい。後述の実施例においても同様である。
(ゴム系ポリマー)
他の好ましい一態様では、上記粘着剤層はゴム系粘着剤により構成されている。ここでゴム系粘着剤とは、ベースポリマーとして、ゴム系ポリマーを含有する粘着剤のことをいう。ゴム系ポリマーとしては、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、再生ゴム等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
好ましい一態様に係るゴム系粘着剤は、ベースポリマーとして、モノビニル置換芳香族化合物と共役ジエン化合物とのブロック共重合体を含有する。上記モノビニル置換芳香族化合物とは、ビニル基を有する官能基が芳香環に1つ結合した化合物を指す。上記芳香環の代表例として、ベンゼン環(ビニル基を有しない官能基(例えばアルキル基)で置換されたベンゼン環であり得る。)が挙げられる。上記モノビニル置換芳香族化合物の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等が挙げられる。上記共役ジエン化合物の具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。このようなブロック共重合体は、1種を単独で、または2種以上を併用してベースポリマーに用いることができる。
上記ブロック共重合体におけるAセグメント(ハードセグメント)は、上記モノビニル置換芳香族化合物(2種以上を併用し得る。)の共重合割合が70重量%以上(より好ましくは90重量%以上であり、実質的に100重量%であってもよい。)であることが好ましい。上記ブロック共重合体におけるBセグメント(ソフトセグメント)は、上記共役ジエン化合物(2種以上を併用し得る。)の共重合割合が70重量%以上(より好ましくは90重量%以上であり、実質的に100重量%であってもよい。)であることが好ましい。かかるブロック共重合体によると、より高性能な粘着シートが実現され得る。
上記ブロック共重合体は、ジブロック体、トリブロック体、放射状(radial)体、これらの混合物、等の形態であり得る。トリブロック体および放射状体においては、ポリマー鎖の末端にAセグメント(例えばスチレンブロック)が配されていることが好ましい。ポリマー鎖の末端に配されたAセグメントは、集まってドメインを形成しやすく、これにより疑似的な架橋構造が形成されて粘着剤の凝集性が向上するためである。ここに開示される技術におけるブロック共重合体としては、被着体に対する粘着力(剥離強度)や耐曲げ性の観点から、例えば、ジブロック体比率が30重量%以上(より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、典型的には65重量%以上、例えば70重量%以上)のものを好ましく用いることができる。また、継続的に加わる応力に対する耐性の観点から、ジブロック体比率が90重量%以下(より好ましくは85重量%以下、例えば80重量%以下)のものを好ましく用いることができる。例えば、ジブロック体比率が60〜85重量%のブロック共重合体の使用が好ましい。
(スチレン系ブロック共重合体)
ここに開示される技術の好ましい一態様では、上記ベースポリマーがスチレン系ブロック共重合体である。例えば、上記ベースポリマーがスチレンイソプレンブロック共重合体およびスチレンブタジエンブロック共重合体の少なくとも一方を含む態様で好ましく実施され得る。粘着剤に含まれるスチレン系ブロック共重合体のうち、スチレンイソプレンブロック共重合体の割合が70重量%以上であるか、スチレンブタジエンブロック共重合体の割合が70重量%以上であるか、あるいはスチレンイソプレンブロック共重合体とスチレンブタジエンブロック共重合体との合計割合が70重量%以上であることが好ましい。好ましい一態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば95〜100重量%)がスチレンイソプレンブロック共重合体である。他の好ましい一態様では、上記スチレン系ブロック共重合体の実質的に全部(例えば95〜100重量%)がスチレンブタジエンブロック共重合体である。このような組成によると、ここに開示される技術を適用することの効果がよりよく発揮され得る。
上記スチレン系ブロック共重合体は、ジブロック体、トリブロック体、放射状(radial)体、これらの混合物、等の形態であり得る。トリブロック体および放射状体においては、ポリマー鎖の末端にスチレンブロックが配されていることが好ましい。ポリマー鎖の末端に配されたスチレンブロックは、集まってスチレンドメインを形成しやすく、これにより疑似的な架橋構造が形成されて粘着剤の凝集性が向上するためである。ここに開示される技術において用いられるスチレン系ブロック共重合体としては、被着体に対する粘着力(剥離強度)や耐曲げ性の観点から、例えば、ジブロック体比率が30重量%以上(より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、典型的には65重量%以上)のものを好ましく用いることができる。ジブロック体比率が70重量%以上(例えば75重量%以上)のスチレン系ブロック共重合体であってもよい。また、保持力等の観点から、ジブロック体比率が90重量%以下(より好ましくは85重量%以下、例えば80重量%以下)のスチレン系ブロック共重合体を好ましく用いることができる。例えば、ジブロック体比率が60〜85重量%のスチレン系ブロック共重合体を好ましく採用し得る。
上記スチレン系ブロック共重合体のスチレン含有量は、例えば、5〜40重量%であり得る。耐曲げ性や保持力等の観点から、通常は、スチレン含有量が10重量%以上(より好ましくは10重量%よりも大、例えば12重量%以上)のスチレン系ブロック共重合体が好ましい。また、被着体に対する粘着力の観点から、スチレン含有量が35重量%以下(典型的には30重量%以下、より好ましくは25重量%以下、例えば20重量%未満)のスチレン系ブロック共重合体が好ましい。例えば、スチレン含有量が12重量%以上20重量%未満のスチレン系ブロック共重合体を好ましく採用し得る。
(粘着付与剤)
ここに開示される粘着剤層は、粘着付与剤を含む組成であり得る。粘着付与剤としては、特に制限されないが、例えば、ロジン系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、炭化水素系粘着付与樹脂、エポキシ系粘着付与樹脂、ポリアミド系粘着付与樹脂、エラストマー系粘着付与樹脂、フェノール系粘着付与樹脂、ケトン系粘着付与樹脂等の各種粘着付与樹脂を用いることができる。このような粘着付与樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
ロジン系粘着付与樹脂の具体例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の未変性ロジン(生ロジン);これらの未変性ロジンを水添化、不均化、重合等により変性した変性ロジン(水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、その他の化学的に修飾されたロジン等。以下同じ。);その他の各種ロジン誘導体;等が挙げられる。上記ロジン誘導体の例としては、未変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、ロジンのエステル化物)、変性ロジンをアルコール類によりエステル化したもの(すなわち、変性ロジンのエステル化物)等のロジンエステル類;未変性ロジンや変性ロジンを不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジン類;ロジンエステル類を不飽和脂肪酸で変性した不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類;未変性ロジン、変性ロジン、不飽和脂肪酸変性ロジン類または不飽和脂肪酸変性ロジンエステル類におけるカルボキシ基を還元処理したロジンアルコール類;未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等のロジン類(特に、ロジンエステル類)の金属塩;ロジン類(未変性ロジン、変性ロジン、各種ロジン誘導体等)にフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂;等が挙げられる。ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを採用する場合、ロジン系粘着付与樹脂を用いることが好ましい。粘着力等の粘着特性向上の観点から、上記ロジン系粘着付与樹脂のなかから、種類、特性(例えば軟化点)等の異なる2種または3種以上を併用することがより好ましい。
テルペン系粘着付与樹脂の例としては、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジペンテン重合体等のテルペン樹脂;これらのテルペン樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、水素添加変性、炭化水素変性等)した変性テルペン樹脂;等が挙げられる。上記変性テルペン樹脂の例としては、テルペン変性フェノール樹脂、スチレン変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂等が挙げられる。ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを採用する場合、テルペン系粘着付与樹脂(例えばテルペン変性フェノール樹脂)を用いることが好ましい。特に、粘着力等の粘着特性向上の観点から、上記テルペン系粘着付与樹脂(例えばテルペン変性フェノール樹脂)のなかから、種類、特性(例えば軟化点)等の異なる1種または2種以上を併用することが好ましい。
炭化水素系粘着付与樹脂の例としては、脂肪族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂、脂肪族・芳香族系石油樹脂(スチレン−オレフィン系共重合体等)、脂肪族・脂環族系石油樹脂、水素添加炭化水素樹脂、クマロン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等の各種の炭化水素系の樹脂が挙げられる。
ここに開示される技術では、上記粘着付与樹脂として、軟化点(軟化温度)が凡そ70℃以上(好ましくは凡そ100℃以上、より好ましくは凡そ110℃以上)であるものを好ましく使用し得る。上述した下限値以上の軟化点をもつ粘着付与樹脂を含む粘着剤によると、より粘着力に優れた粘着シートが実現され得る。上記で例示した粘着付与樹脂のうち、上記軟化点を有するテルペン系粘着付与樹脂(例えばテルペン変性フェノール樹脂)、ロジン系粘着付与樹脂(例えば、重合ロジンのエステル化物)等を好ましく用いることができる。粘着付与樹脂の軟化点の上限は特に制限されず、例えば凡そ200℃以下(典型的には凡そ180℃以下)とすることができる。なお、ここでいう粘着付与樹脂の軟化点は、JIS K 5902およびJIS K 2207のいずれかに規定する軟化点試験方法(環球法)によって測定された値として定義される。
粘着付与剤の使用量は特に制限されず、目的とする性能(粘着力や試薬保持性等)に応じて適宜設定することができる。例えば、固形分基準で、ベースポリマー(例えばアクリル系ポリマー)100重量部に対して、粘着付与剤を凡そ10重量部以上とすることが適当であり、好ましくは20重量部以上、より好ましくは30重量部以上であり、また凡そ100重量部以下とすることが適当であり、好ましくは80重量部以下、より好ましくは60重量部以下、さらに好ましくは50重量部以下である。
(アクリル系オリゴマー)
ここに開示される粘着剤組成物は、アクリル系オリゴマーを含んでもよい。アクリル系オリゴマーを採用することによって、粘着力と耐曲げ性とをバランスよく改善することができる。また、粘着剤組成物を活性エネルギー線照射(例えばUV照射)により硬化させる態様の場合には、アクリル系オリゴマーは、例えばロジン系やテルペン系等の粘着付与樹脂に比べて硬化阻害(例えば、未反応モノマーの重合阻害)を起こしにくいという利点を有する。なお、アクリル系オリゴマーは、その構成モノマー成分としてアクリル系モノマーを含む重合体であり、上記アクリル系ポリマーよりもMwの小さい重合体として定義される。
アクリル系オリゴマーのMwは、特に限定されず、典型的には0.1×10〜3×10程度である。粘着特性(例えば粘着力や耐曲げ性)を向上する観点から、アクリル系オリゴマーのMwは、1.5×10以下が好ましく、1×10以下がより好ましく、0.8×10以下(例えば0.6×10以下)がさらに好ましい。また粘着剤の凝集性等の観点から、上記Mwは、0.2×10以上(例えば0.3×10以上)が好ましい。アクリル系オリゴマーの分子量は、重合に際して必要に応じて連鎖移動剤を用いるなどして調節することができる。
ここに開示される粘着剤組成物がアクリル系オリゴマーを含む場合、アクリル系オリゴマーの含有量は、ベースポリマー(典型的にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して例えば0.5重量部以上とすることが適当である。アクリル系オリゴマーの効果をよりよく発揮させる観点からは、上記アクリル系オリゴマーの含有量は、1重量部以上(例えば5重量部以上、典型的には10重量部以上)とすることが好ましい。また、粘着剤組成物の硬化性やベースポリマー(典型的にはアクリル系ポリマー)との相溶性等の観点から、上記アクリル系オリゴマーの含有量は、50重量部未満(例えば30重量部未満)とすることが適当であり、20重量部未満(例えば15重量部未満)とすることが好ましい。
(架橋剤)
粘着剤層を形成するために用いられる粘着剤組成物は架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の種類は特に制限されず、従来公知の架橋剤から適宜選択して用いることができる。そのような架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属塩系架橋剤等が挙げられる。架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。糊はみ出し防止や耐曲げ性の観点から、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤が好ましく、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤がより好ましく、イソシアネート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との併用が特に好ましい。
イソシアネート系架橋剤の例としては:トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;等が挙げられる。より具体的には、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートL」、東ソー社製)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名「コロネートHL」、東ソー社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名「コロネートHX」、東ソー社製)等のイソシアネート付加物;等を例示することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ系架橋剤の例としては、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(商品名「TETRAD−X」、三菱瓦斯化学社製)、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(商品名「TETRAD−C」、三菱瓦斯化学社製)等が挙げられる。
メラミン系架橋剤の例としては、ヘキサメチロールメラミン、ブチル化メラミン樹脂(商品名「スーパーベッカミンJ−820−60N」、DIC社製)等が挙げられる。
上記粘着剤組成物に含まれる架橋剤の量は特に限定されず、粘着力と凝集力とを両立する観点等から、通常は、ベースポリマー(典型的にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して凡そ0.01重量部以上とすることが適当であり、好ましくは0.02重量部以上(例えば0.1重量部以上)である。また、ベースポリマー(典型的にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して、通常は、凡そ10重量部以下とすることが適当であり、好ましくは5重量部以下(例えば3重量部以下)である。上記粘着剤組成物が、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤を含む場合、イソシアネート系架橋剤の含有量は、ベースポリマー(典型的にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して0.1重量部以上とすることが適当であり、好ましくは0.3重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上である。また、上記イソシアネート系架橋剤の含有量は、凡そ10重量部以下とすることが適当であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは3重量部以下である。上記粘着剤組成物が、架橋剤としてエポキシ系架橋剤を含む場合、エポキシ系架橋剤の含有量は、ベースポリマー(典型的にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して0.0001重量部以上とすることが適当であり、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.01重量部以上である。また、上記エポキシ系架橋剤の含有量は、凡そ1重量部以下とすることが適当であり、好ましくは0.5重量部以下、より好ましくは0.1重量部以下である。
(その他の添加成分)
上記粘着剤組成物は、必要に応じて、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(染料、顔料)、帯電防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤等の、粘着剤組成物の分野において一般的な各種の添加剤を含有するものであり得る。このような各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
(粘着剤層の形成方法)
ここに開示される粘着剤層は、従来公知の方法によって形成することができる。例えば、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法を採用することができる。あるいは、フィルム状基材に粘着剤組成物を直接付与(典型的には塗布)して乾燥させることにより粘着剤層を形成する方法(直接法)を採用することができる。また、剥離性を有する表面(剥離面)に粘着剤組成物を付与して乾燥させることにより該表面上に粘着剤層を形成し、その粘着剤層をフィルム状基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記剥離面としては、剥離ライナーの表面を利用し得る。なお、ここに開示される粘着剤層は、典型的には連続的に形成されるが、このような形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。
ここに開示される粘着剤組成物の形態は特に限定されず、例えば、上述のような組成の粘着剤(粘着成分)を有機溶媒中に含む形態(溶剤型)の粘着剤組成物、粘着剤が水性溶媒に分散した形態(水分散型、典型的には水性エマルション型)の粘着剤組成物、ホットメルト型の粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物等であり得る。好適な粘着力や試薬保持性、耐曲げ性等の実現しやすさの観点から、溶剤型または水分散型の粘着剤組成物を好ましく採用し得る。より高い粘着性能を実現する観点から、溶剤型の粘着剤組成物が特に好ましい。かかる溶剤型粘着剤組成物は、典型的には、上述した各成分を有機溶媒中に含む溶液の形態に調製される。上記有機溶媒は、公知ないし慣用の有機溶媒から適宜選択することができる。例えば、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類(典型的には芳香族炭化水素類);酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素類;1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルカン類;メチルエチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;等から選択されるいずれか1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒を用いることができる。特に限定するものではないが、通常は、上記溶剤型粘着剤組成物を固形分(NV)20〜65重量%(例えば25〜55重量%)に調製することが適当である。NVが低すぎると製造コストが高くなりがちであり、NVが高すぎると塗工性等の取扱性が低下することがある。
粘着剤組成物の塗布は、例えば、グラビアロールコーター、ダイコーター、バーコーター等の、従来公知のコーターを用いて行うことができる。あるいは、含浸やカーテンコート法等により粘着剤組成物を塗布してもよい。また、粘着剤組成物の乾燥は、架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40〜150℃程度(好ましくは60〜130℃程度)とすることができる。粘着剤組成物を乾燥させた後、さらに、粘着剤層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、基材や粘着剤層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。
好ましい一態様では、粘着剤層のゲル分率は23%以上であり、より好ましくは25%以上である。上記ゲル分率が所定値以上である粘着シートは、打ち抜き加工等の加工後に糊のはみ出しがないので、加工性に優れる。切り出した試験片の外観も損なわない。また、糊のはみ出しがないことは、孔やキャピラリ形成等の加工が行われる試験片用粘着シートにおいて有利な特徴となり得る。試薬保持性の観点からは、上記ゲル分率は凡そ65%以下であることが適当であり、好ましくは55%以下、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは35%以下(例えば30%以下)である。粘着剤層のゲル分率が所定値以下であることにより、両面粘着シート内に収容された試薬が粘着シートの粘着面から漏れ出す事象を好ましく防ぐことができる。さらに、上記の範囲のゲル分率を有する粘着剤層を使用することにより、耐曲げ性も改善される。粘着剤層のゲル分率は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
ここに開示される粘着剤層の厚さは特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。通常は、粘着剤層の厚さは、粘着性能等の観点から凡そ1μm以上が適当であり、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、乾燥効率等の生産性や試験片サイズ等の観点から、粘着剤層の厚さは、凡そ200μm以下が適当であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下(例えば20μm以下)である。基材の両面に粘着剤層を備える両面粘着シートの場合、各粘着剤層の厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
<基材>
ここに開示される技術を基材付き両面粘着シートに適用する場合、基材としては、例えば、PEフィルム、PPフィルム、エチレン−プロピレン共重合体フィルム等のポリオレフィン系フィルム、PETフィルム等のポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等のプラスチックフィルム;ポリウレタンフォーム、PEフォーム、ポリクロロプレンフォーム等の発泡体からなる発泡体シート;各種の繊維状物質(麻、綿等の天然繊維、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、等であり得る。)の単独または混紡等による織布および不織布(和紙、上質紙等の紙類を包含する意味である。);アルミニウム箔、銅箔等の金属箔;等を適宜選択して用いることができる。基材として、カルボキシメチルセルロース(CMC)等からなる親水性ポリマーフィルムを用いてもよい。上記プラスチックフィルムとしては、無延伸フィルムおよび延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムのいずれも使用可能である。なかでも、寸法安定性、厚み精度、経済性(コスト)、打ち抜き加工等の加工性、引張強度等の観点から、プラスチックフィルムが好ましい。プラスチックフィルムのなかでは、ポリエステルフィルムが特に好ましい。基材の表面には、下塗剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
また、好ましい一態様では、基材は、白色に着色されたものであり得る。白色基材を用いることにより、汚れ等の付着物の有無の確認がしやすくなり、清潔感に優れ、衛生面においても好ましいものとなり得る。白色基材を備える粘着シートは、医療目的で用いられる試験片に好ましく採用される。白色基材はまた、試験片にサンプリングされた試料の視認がしやすいという利点を有する。試料が血液試料の場合には、試料の視認性に特に優れる。白色の程度(白色度)は、L*a*b*表色系で規定されるL*(明度)で、87以上(例えば、87〜100)が好ましく、より好ましくは90以上(例えば、90〜100)である。L*a*b*表色系で規定されるa*やb*は、それぞれ、L*の値に応じて適宜選択することができる。a*やb*としては、例えば、両方とも−10〜10(より好ましくは−5〜5、さらに好ましくは−2.5〜2.5)の範囲であることが好ましい。なお、この明細書において、L*a*b*表色系で規定されるL*、a*、b*は、色彩色差計(例えば、ミノルタ社製の色彩色差計、商品名「CR−200」)を用いて測定することにより求められる。なお、L*a*b*表色系は、国際照明委員会(CIE)が1976年に推奨した色空間であり、CIE1976(L*a*b*)表色系と称される色空間のことを意味している。また、L*a*b*表色系は、日本工業規格では、JIS Z 8729に規定されている。
基材を白色に着色する際に用いられる白色着色剤としては、例えば、酸化チタン(ルチル型二酸化チタン、アナターゼ型二酸化チタン等の二酸化チタン)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化バリウム、酸化セシウム、酸化イットリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム等)、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、亜鉛華、硫化亜鉛、タルク、クレー、カオリン、燐酸チタン、マイカ、石膏、ホワイトカーボン、珪藻土、ベントナイト、リトポン、ゼオライト、セリサイト、加水ハロイサイト等の無機系白色着色剤や、アクリル系樹脂粒子、ポリスチレン系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、アミド系樹脂粒子、ポリカーボネート系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、尿素−ホルマリン系樹脂粒子、メラミン系樹脂粒子等の有機系白色着色剤等が挙げられる。白色着色剤の使用量は特に限定されず、所望の光学特性(典型的には白色度)を付与できるように適宜調整した量にするとよい。
基材の厚さは目的に応じて適宜選択できるが、一般的には概ね1μm以上であることが適当であり、強度や加工性の観点から、好ましくは2μm以上、より好ましくは3μm以上である。また、基材の厚さは、通常は500μm以下(典型的には200μm以下)とすることが適当である。ここに開示される基材付き粘着シートを、携行可能な小サイズの試験片に用いる場合には、基材の厚さは、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下(例えば20μm以下)である。好ましい一態様では、基材付き両面粘着シートにおける基材の厚さは、15μm以下(例えば10μm以下、典型的には7μm以下)である。このような薄厚の基材を備える粘着シートは、薄厚の試験片に特に好ましく利用され得る。
<両面粘着シートの総厚>
ここに開示される技術における両面粘着シートの総厚(剥離ライナーを含まない両面粘着シートの厚さ)は特に限定されない。例えば、凡そ10μm以上の厚さを有する両面粘着シートを用いることができる。良好な粘着特性(粘着力等)を発揮する観点から、両面粘着シートの厚さは、好ましくは15μm以上(典型的には25μm以上)である。また、両面粘着シートの厚さは、通常は凡そ300μm以下(例えば200μm以下)程度である。ここに開示される両面粘着シートを、携行可能な小サイズの試験片に用いる場合には、両面粘着シートの総厚は、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下(例えば40μm以下)である。上記の総厚を有する両面粘着シートは、例えば、試験片への試料サンプリング量を規定するスペーサとして機能する両面粘着シートとして特に好適である。分析精度の向上に伴う試料サンプリング量の低減によく対応したものとなり得る。
<剥離ライナー付き両面粘着シートの特性>
ここに開示される両面粘着シートは、該両面粘着シートの第1粘着面および/または第2粘着面(好ましくは第1粘着面および第2粘着面の両方)が、4N/20mm以上の180度剥離強度(単に「粘着力」ともいう。)を示すことが好ましい。上記の粘着力を有する両面粘着シートは、接着面積の小さい試験片用粘着シートとして良好な接合強度を発揮し得る。上記粘着力は、より好ましくは6N/20mm以上、さらに好ましくは7N/20mm以上、特に好ましくは8N/20mm以上(例えば8.5N/20mm以上)である。上記180度剥離強度は、被着体としてステンレス鋼板を用い、該被着体表面に粘着シートの粘着面を2kgのローラを1往復させて圧着し、30分間放置した後、JIS Z 0237に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で測定される。より詳しくは、後述の実施例に記載の方法で測定される。
好ましい一態様では、両面粘着シートの第1粘着面のライナー剥離力(第1剥離ライナーに対する剥離強度)は1N/50mm未満(例えば0.5N/50mm以下、典型的には0.4N/50mm以下)であり得る。同様に、上記両面粘着シートの第2粘着面のライナー剥離力(第2剥離ライナーに対する剥離強度)は1N/50mm未満(例えば0.5N/50mm以下、典型的には0.4N/50mm以下)であることが好ましい。ライナー剥離力が所定値以下に制限された両面粘着シートは剥離ライナーの除去がしやすいため、貼り付け時の作業性に優れる。また、上記ライナー剥離力が小さすぎると作業性が低下する場合があることを考慮して、両面粘着シートの第1粘着面のライナー剥離力および/または第2粘着面のライナー剥離力は、凡そ0.01N/50mm以上であることが好ましい。さらに、一方の剥離ライナー除去時に他方の剥離ライナーまで除去される事象を防ぐため、第1粘着面のライナー剥離力と第2粘着面のライナー剥離力とを異ならせることが好ましい。第1剥離ライナー、第2剥離ライナーの順で剥離ライナーを剥がして粘着シートを使用する態様では、第1剥離ライナーに対する剥離強度を第2剥離ライナーに対する剥離強度よりも低く設定することが好ましい。上記ライナー剥離力は、23℃、50%RHの環境下にて、JIS Z 0237に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で測定される。より詳しくは、後述の実施例に記載の方法で測定される。
好ましい一態様に係る両面粘着シートは、後述の方法で行われる耐曲げ性評価試験において端部浮き上がり距離(高さ)が3mm未満(より好ましくは1mm未満)である。上記耐曲げ性評価試験において端部浮き上がりがないことが特に好ましい。また、好ましい一態様に係る両面粘着シートは、後述の方法で行われる糊はみ出し防止性評価試験において糊のはみ出し量が0.1mm未満(より好ましくは0.09mm以下、さらに好ましくは0.06mm以下)である。
ここに開示される粘着シートは、好ましい一態様において、粘着シートを150℃で30分間保持したとき、該シートから放散されるトルエンの量(トルエン放散量)が当該粘着剤層1g当たり20μg以下であり得る。トルエン放散量が所定値以下に抑制された粘着シートは、アウトガス量が抑制されているため、不快臭がなく快適に使用することができる。このような粘着シートは、例えば、医療用や健康増進を目的とする生体試料(例えば血液試料)分析用試験片に特に好ましく用いられる。上記トルエン放散量は粘着剤層1g当たり10μg以下であることがより好ましく、3μg以下(例えば1μg以下、典型的には0.3μg以下)であることがさらに好ましい。上記トルエン放散量としては下記の方法で測定した値を採用すればよい。
[トルエン放散量測定]
粘着シートを1cm×1cmの大きさにカットし、剥離ライナーを剥がして粘着面を露出させた後、当該粘着面をアルミホイルに貼り合わせたものを試料とする。この試料を20mLのバイアル瓶に入れて密栓した後、該バイアル瓶を150℃で30分間加熱し、加熱状態のガス1.0mLをヘッドスペースオートサンプラーによりガスクロマトグラフ(GC)測定装置に注入してトルエンの量を測定し、上記試料に含まれる粘着剤層1g当たりのトルエン放散量(μg/g)を算出する。
このとき、ガスクロマトグラフ条件は以下のとおりとする。
・キャリアガス:ヘリウム
・カラム:無極性キャピラリ―カラム
・カラム温度:昇温速度10℃/分
昇温後に維持される温度(低温)40〜300℃
・カラムヘッド圧:113kPa(40℃)
・検出器:FID(温度250℃)
なお、定量は、ガス量が既知のトルエン含有ガスを用いて検量線を作成し、その検量線に基づいて算出すればよい。具体的には、昇温開始から20分経過までに現れる各ピークの総面積をトルエン換算の検量線に基づいて重量に換算し、トルエンガスの放散量を定量すればよい。
<両面粘着シートの用途>
ここに開示される両面粘着シートは、試料を分析するための試験片(試料分析用試験片)に用いられる。この明細書において「試験片」とは、試料を分析するために用いられる物(テストストリップともいう。)として定義される。例えば、試料をサンプリング(典型的には、収集および/または保持)する機能を有する物であり得る。ここに開示される試験片は、典型的には、分析機能を有する各種試料測定機器にセットされ得る部材(測定機器とともに用いられる部材)であり、それによって試料の分析が行われる。試験片は好適には、試料を分析する機能(例えば、化学反応を利用する等して試料からの情報(例えば成分濃度)を検出可能な状態にする機能)を有するセンサであり得る。ここで、分析対象となる試料は特に限定されず、例えば、全血、血漿、血清、唾液、尿、髄液等の生体試料が挙げられる。また試料は、各種食品類や飲料水、排水、雨水等であってもよい。試料の形態は特に限定されず、常温で液状を呈する試料が好ましい。また、分析目的も特に限定されず、例えば、血液中のグルコース濃度など試料中の特定成分の濃度測定等であり得る。試料が血液試料の場合、分析対象物としては、上記グルコースのほか、アルブミンや乳酸、ビリルビン、コレステロール等の成分が挙げられる。ここに開示される技術における粘着シートは、生体試料(好ましくは血液試料)を分析するための試験片(以下、バイオセンサともいう。)に好ましく用いられる。
試験片を用いての試料分析は、例えば、試料を保持した試験片を試料測定機器にセットすることによって行われ得る。そのような試料測定機器は、例えば、医療や健康増進を目的とする携行可能な小サイズの測定機器(例えば生体試料測定機器)であり得る。ここに開示される試験片(例えば医療用試験片)は、上記のような生体試料測定機器に着脱自在に接続される構造(形状、サイズ等)を有するものであり得る。そのような試験片は、典型的には使い捨ての試験片(典型的にはストリップまたはチップともいう。)であり得る。上記試験片の使用態様の一例としては、複数の試験片が収容されたケースと上記測定機器とを携行し、適当なタイミングで試料分析を行い、使用済みの試験片を廃棄するような使用態様が挙げられる。以下、図面を参照して、ここに開示される両面粘着シートの好適な使用対象として、血中グルコース濃度測定用の試験片(バイオセンサ)と、ここに開示される剥離ライナー付き粘着シートを用いた上記試験片の製造方法について説明するが、ここに開示される技術はこれに限定されるものではない。
図3に示すように、試験片100は、基板110と、被覆層120と、基板110および被覆層120の間に配置された両面粘着シート11と、を備える。試験片100の形状は、長尺平板状と表現することができる。この実施形態では、基板110は樹脂製の基板であり、樹脂板と絶縁層との積層構造を有する。基板は、後述の電極を形成する面が絶縁性を有する材料で構成されていればよく、全体が絶縁材料からなるものであってもよい。基板を構成する材料としては、PET等のポリエステル、PEやPP等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、フッ素樹脂等の有機材料(典型的には樹脂)、ガラス等の無機材料が例示される。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
基板110の表面には、帯状の電極116が所定の間隔を有するように縞状に配置されており、これによって基板110の表面に電極パターンが形成されている。これら電極116は、分析対象物と試薬との反応によって生じる電流を検出するためのものである。電極の材質は導電性材料であればよく、例えばカーボン電極が好ましく用いられる。上記のように、基板110の表面には電極パターンが形成されているため、基板110の表面は凹凸を有している。
両面粘着シート11は、基材付き両面粘着シートの形態を有しており、基板110と被覆層120とを接合するとともに、基板110と被覆層120との間のスペーサとしても機能する。両面粘着シート11にはまた、試験片100の長手方向の一端にコ字状の切欠きが設けられている。この切欠きによって形成された空間(換言すると、上記切欠きの周囲に位置する両面粘着シート11と、その上下を覆う基板110および被覆層120とによって囲まれた空間)は、試験片100の長手方向の一端に開口(試料導入口)152を有するキャピラリ部150として機能する。このキャピラリ部150内において、開口152から導入された血液試料は保持される。なお、この実施形態ではキャピラリ部150の幅(切欠きの幅でもあり得る。)は凡そ1mm程度であり、キャピラリ部150の奥行きは凡そ5mm程度である。
被覆層120の材質は特に限定されず、基板110に用いられ得る材料として例示したもののなかから適切なものを選択して用いるとよい。あるいは、分析精度向上の観点から、CMC等の親水性ポリマーから構成された親水性フィルムを用いてもよい。
試験片100は、例えば、簡潔にいうと次のようにして試料の分析に用いられる。すなわち、分析対象である血液試料を、試験片100の一端に位置する開口152から毛管現象によってキャピラリ部150内に導入する。試験片100の内部には、キャピラリ部150に連通する箇所に試薬180が配置されている。試薬180は、この実施形態では両面粘着シート11に形成した孔160に収容されている。試薬180は、試験片100収容時には、常温(例えば25℃)で液状であり、その後の処理等によって、ゲル状、該液状物を乾燥担持した状態、または層状部材等に含まれた状態等の種々の形態で、試験片100内に配置される。この試薬180は、キャピラリ部150内に導入された血液試料中の分析対象物(典型的にはグルコース)と電気化学的に反応することで電流が発生する。この状態の試験片100を測定機器の試験片挿入口にセットし、上記反応により生じた電流値を当該機器内で測定することで血液試料中のグルコース濃度は算出される。
試験片に収容される試薬としては、分析対象物と電気化学的に反応する、あるいは発色反応等する公知または慣用のものを、分析対象物に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、上記のように血中グルコース濃度を測定する場合には、グルコースと反応する酸化還元酵素および電子メディエータを含む試薬が用いられる。試薬に含まれ得る酸化還元酵素としては、特に限定されず、分析対象物に応じて、NADHオキシダーゼ(例えばジアホラーゼ)、アルコールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、乳酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ビリルビンオキシダーゼ等が例示される。電子メディエータも特に限定されず、使用する酵素等に応じて、フェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノン、フェナジンメトサルフェート、フェロセン誘導体等を用いることができる。試薬には、水溶性高分子、充填剤等の任意の添加成分が含まれ得る。試験片注入時の試薬は、典型的には溶媒を含み、例えば、上記の酸化還元酵素、電子メディエータ等の成分を溶媒中に含む溶液の形態であり得る。試薬用の溶媒としては、特に限定されず、水(蒸留水、超純水等)を主成分(最も多く含まれる成分。典型的には50重量%を超えて含まれる成分。)とする水系溶媒や、リン酸緩衝液等の緩衝液、エタノール等のアルコール類、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等の有機溶剤等が挙げられる。
上記試薬は、試験片の製造時に、典型的には下記の方法で試験片内部に収容される。具体的には、図4に示すように、両粘着面が剥離ライナーで覆われた両面粘着シート11を用意し、一方の剥離ライナー(ここでは第1剥離ライナー)を剥がして一方の粘着面(ここでは第1粘着面)を露出させて、当該露出した粘着面(第1粘着面)を基板110に貼り合わせる。使用する剥離ライナー付き粘着シートとしては、例えば上述の図1に示す剥離ライナー付き粘着シート1が用いられる。この剥離ライナー付き粘着シート(例えば図1の剥離ライナー付き粘着シート1)には、少なくとも第2剥離ライナー32と両面粘着シート11とを貫通する孔160が予め設けられており、孔160は、第2剥離ライナー32の背面32Bにて開口している。このとき、基板110上に貼り付けられた両面粘着シート11は、その第2粘着面(上面)が第2剥離ライナー32で覆われた状態である。この状態にて、第2剥離ライナー32の背面32Bから試薬180を試験片1内部に注入する。具体的には、第2剥離ライナー32の背面32Bにて開口した孔160に試薬180を注入する。試薬180は、典型的には液体の状態で注入される。この注入操作において、試薬180を孔160に精度よく注入できず、試薬180が第2剥離ライナー32の背面32B上に付着した場合でも、第2剥離ライナー32の背面32Bの水接触角は70°以上であるので、未注入試薬は第2剥離ライナー32の背面32B上にロスなく留まる。この残留未注入試薬を、スポイト等を利用して誘導することで孔160に入れることができる。試薬180を孔160内に入れた後、両面粘着シート11から第2剥離ライナー32を剥がして、両面粘着シート11の第2粘着面に被覆層を貼り合わせることにより、図3に示すような、基板110、両面粘着シート11および被覆層120からなる積層構造を有する試験片1が得られる。なお、試験片には、被覆層(典型的には親水性フィルム)の上に、装飾層や装飾層を固定するための接着剤層(例えば粘着剤層)がさらに設けられていてもよい。
ここに開示される試験片の大きさは特に制限されず、測定機器に応じて、または必要とする試料量等によって適宜設定すればよい。例えば、長さ15〜50mm(例えば20〜40mm)程度、幅3〜15mm(例えば4〜10mm)程度、最大厚さ100〜2000μm(例えば300〜600μm)程度の試験片に対して、ここに開示される両面粘着シートは好ましく用いられる。また、キャピラリ部の容積に影響する基板と被覆層との間隔(すなわちスペーサの厚さ)は、通常は200μm以下程度であり、好ましくは120μm以下(例えば70μm以下、典型的には50μm以下)である。スペーサの厚さは、例えば上記実施形態の構成では、両面粘着シートの総厚である。
上記のような構成を有する試験片は、例えば、シート状の基板の表面に複数の電極パターンを形成し、両面粘着シートを介して被覆層を積層して積層構造を得た後、当該積層構造を、複数(例えば10以上)の試験片形状に打ち抜くことにより作製される。電極パターンはスクリーン印刷等の公知の手法を適宜採用して形成することができる。試験片への試薬の注入は、上記のように被覆層の積層の前に行うとよい。また、打ち抜き加工は、公知ないし慣用の加工機を用いて行われる。試験片に用いられる両面粘着シートには、被着体としての電極形成基板と被覆層とに良好に密着し、試料の漏出の原因となり得る剥がれ等の不具合が生じない性能(典型的には、粘着力、試薬保持性その他の性能)を有することが好ましい。例えば、試料が採取された試験片を測定機器の試験片挿入口にセットする際に、試験片が上記挿入口付近で引っ掛かって曲がった場合にも、試験片構成部材の接合状態が良好に維持される程度の耐曲げ性を有することが好ましい。さらに、試験片用の粘着シートには、上記打ち抜き加工の際や、打ち抜き加工によって一体化した複数の試験片を個々に分離(典型的にはカット)する際に、切断端面から粘着剤がはみ出さないことが望ましい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<評価方法>
[水接触角]
剥離ライナー(第2剥離ライナー)背面の水接触角を、市販の接触角測定装置を用いてJIS R 3257:1999に準拠して下記の条件で測定した。
(水接触角測定条件)
測定装置: 接触角測定器 FACE CA−X型(協和界面化学社製)
測定雰囲気:23℃、50%RH
測定液体: 蒸留水
測定時間: 着滴1500ms後
[表面自由エネルギー]
表面自由エネルギーγは、次式:γ=γ+γ+γ;により表される値である。ここで、上記式中のγ、γおよびγは、それぞれ、表面自由エネルギーの分散成分、極性成分および水素結合成分を表す。剥離ライナー(第2剥離ライナー)背面の表面自由エネルギーγは、水、ジヨードメタンおよび1−ブロモナフタレンをプローブ液として用い、各プローブ液の接触角から北崎−畑式(日本接着協会誌、Vol.8, No.3, 1972, pp.131-141)にしたがって求めた。接触角は、市販の接触角計を用いて測定される。
[180度剥離強度]
各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートから一方の剥離ライナーを剥がして、一方の粘着面を露出させ、この露出した粘着面に厚さ25μmのPETフィルムを貼り合わせた。これを幅20mm、長さ150mmのサイズにカットして評価用サンプルとした。この評価用サンプルから他方の剥離ライナーを剥がして、上記測定サンプルの他方の粘着面(測定対象粘着面)を露出させ、23℃、50%RHの環境下にて、該他方の粘着面を被着体の表面に2kgのローラを1往復させて圧着した。これを同環境下に30分間放置した後、万能引張圧縮試験機(装置名「TCM−1kNB」、ミネベア社製)を使用して、JIS Z 0237に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離強度(N/20mm幅)を測定した。被着体としてはステンレス鋼板(SUS304板)を使用した。
[ライナー剥離力]
各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを幅50mm、長さ150mmのサイズにカットして評価用サンプルとした。この評価用サンプルにつき、引張試験機(装置名「TCM−1kNB」、ミネベア社製)を用いて、23℃、RH50%の環境下、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離ライナーを両面粘着シートの粘着面から引き剥がしたときの剥離強度を測定し、その最高値を剥離強度(N/50mm幅)とした。測定は第1粘着面(第1剥離ライナーに対する剥離力)と第2粘着面(第2剥離ライナーに対する剥離力)の両面について行った。
[粘着剤層のゲル分率]
各例に係る粘着シートから約0.1g(重量W1)の粘着剤を採取し、平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜(重量W2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量W3)で縛った。この包みを酢酸エチル50mLに浸し、室温(典型的には23℃)で7日間保持して粘着剤層中のゾル成分のみを上記膜外に溶出させた後、上記包みを取り出して外表面に付着している酢酸エチルを拭き取り、該包みを130℃で1時間乾燥させ、該包みの重量(W4)を測定した。各値を以下の式に代入することにより粘着剤層のゲル分率(%)を求めた。
ゲル分率(%)=[(W4−W2−W3)/W1]×100
上記多孔質PTFE膜としては、日東電工社から入手可能な商品名「ニトフロンNTF1122」(平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)を使用した。
[液回収性]
各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを幅10mm、長さ100mmのサイズにカットし、第1剥離ライナーを剥がして、露出した第1粘着面にステンレス鋼(SUS)板を貼り付けた。このようにして得た評価用サンプルを、図5に示すようにSUS板212側が下向きとなるように評価用サンプル200を30度傾斜面に載置した。評価用サンプル200は、その長手方向が傾斜面の上下方向(傾斜方向)となるように配置した。評価用サンプル200において上方に配置された第2剥離ライナー216の背面216Bの上方側端部に純水220を一滴(3〜5μL程度)配置し、スポイトを用いて、スポイトの先に水滴を付着させながら下方(図5中、矢印方向)に50mm直線状にスライド移動させた。なお、図5中、符号214は両面粘着シートを示している。水滴を移動させやすい背面は、剥離ライナー背面上の試薬を移動させやすく試薬の回収注入がしやすい背面となることから、第2剥離ライナー216の背面216B上の水滴の全量を移動させることができた場合には「○」と評価し、全量を移動させることができなかった場合は「×」と評価した。
[液保持性]
各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを幅10mm、長さ40mmのサイズにカットし、その長手方向の一端側に直径2mmの孔を形成した。そして、両面粘着シートから第1剥離ライナーを剥がして、露出した第1粘着面に白色PET板を貼り付けた。このようにして得た評価用サンプルの孔に、第2剥離ライナー背面の開口から赤色に着色した水(着色水)を一滴(3〜5μL程度)垂らし、図6に示すように、第2剥離ライナー316側が上向きとなるように評価用サンプル300を30度傾斜面に載置した。評価用サンプル300は、その長手方向が傾斜面の上下方向(傾斜方向)となるように配置した。その状態で1日間放置した後、両面粘着シート314における孔330内での着色水320の状態を観察した。着色水320が孔330から漏れなかった場合は「○」と評価し、着色水320が孔330から漏れた場合(すなわちPET板312と両面粘着シート314との間から流れた場合)には「×」と評価した。
[耐曲げ性]
各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを幅10mm、長さ50mmのサイズにカットし、第2剥離ライナーを剥がして露出した第2粘着面に、同サイズにカットした厚さ100μmのPET板を貼り付けて(裏打ちして)評価用のPET裏打ち両面粘着シートを得た。また、厚さ1mmの樹脂板(PET板)の一方の表面に厚さ50μmの銅フィルムを貼り合わせ、幅10mm、長さ70mmのサイズにカットし、試験用被着体(Cu樹脂積層板)を得た。試験用のPET裏打ち両面粘着シートから第1剥離ライナーを剥がして第1粘着面を露出させ、23℃、RH50%の環境下、ラミネータを用いて、上記第1粘着面を試験用被着体の銅フィルム面に両者の長手方向の中心をあわせて圧着し、これを試験片とした。次いで、治具を用いて、図7に示すように、試験片400の長手方向の弦長が50mmとなるよう試験片400を円弧状に反らせた。試験片400は、裏打ちPET板412側が凸となるように反らせた。これを、同環境下に1日間保持し、上記試験片400の両面粘着シート414の端部における接着状態を観察した。両面粘着シート414が試験用被着体420の銅フィルム424表面に追従した場合は「○」と評価し、両面粘着シート414の端部が試験用被着体420から浮きあがって剥がれが認められた場合は「×」と評価した。なお図7中、符号422は、試験用被着体400の樹脂板を示す。
[糊はみ出し防止性]
各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを10mm×30mmのサイズにカットし、一方の剥離ライナーを剥がして、露出した粘着面をアクリル板に貼り付け、アクリル板側が下方となるように載置した。他方の剥離ライナーは剥がさずそのまま残し、その剥離ライナーの上にアルミニウム板を載せて、図8に示すように、下から、アクリル板512、両面粘着シート514、剥離ライナー516およびアルミニウム板520の順で積層された評価用サンプル500を得た。この評価用サンプル500に対し上方から10MPaの圧力(図8中、矢印方向)を1分間付与し、圧力を開放した直後における剥離ライナー端面からの糊(両面粘着シート514の粘着剤)のはみ出し距離の最大値(mm)を上方から顕微鏡観察により測定した。糊のはみ出し量(はみ出し距離の最大値)が0.1mm以上になると加工性が低下することから、糊のはみ出し量が0.1mm未満であった場合は「○」と評価し、上記はみ出し量が0.1mm以上であった場合は「×」と評価した。
<例1>
(粘着剤組成物(A)の調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、BA100部と、VAc5部と、AA3部と、HEA0.1部と、重合開始剤としてAIBN0.3部と、重合溶媒としてのトルエンとを仕込み、60℃で6時間溶液重合してアクリル系ポリマー(A)のトルエン溶液を得た。このアクリル系ポリマー(A)のMwは55×10であった。
上記トルエン溶液に含まれるアクリル系ポリマー(A)100部に対し、固形分基準で、粘着付与樹脂として、重合ロジンペンタエリスリトールエステル(商品名「ハリタック PCJ」、ハリマ化成社製、軟化点118〜128℃)10部と、水添ロジングリセリンエステル(商品名「ハリタック SE10」、ハリマ化成社製、軟化点75〜85℃)10部と、水添ロジンメチルエステル(商品名「フォーラリン 5020F」、イーストマンケミカル社製)5部と、テルペン変性フェノール系樹脂(商品名「スミライトレジン PR−12603N」、住友ベークライト社製)15部とを添加し、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、東ソー社製)2部およびエポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱瓦斯化学社製)0.025部を加えてアクリル系粘着剤組成物(A)を得た。
(粘着シートの作製)
第1剥離ライナーとして、片面が剥離処理されて剥離面となっている厚さ38μmのポリエステル製剥離フィルム(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)を用意した。また、第2剥離ライナーとして、一方の面(前面)がシリコーン系剥離処理剤(商品名「KS−3703T」、信越化学工業社製、熱硬化性付加型)により剥離処理されて剥離面となっており、他方の面(背面)がシリコーン系撥水処理剤(商品名「KS−847T」、信越化学工業社製、熱硬化性付加型)により撥水処理されて撥水面となっている厚さ75μmのポリエステル製剥離フィルムを用意した。
第1剥離ライナーの剥離面および第2剥離ライナーの剥離面の各々に、粘着剤組成物(A)を塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ13μmの粘着剤層を各剥離ライナー上に形成した。上記2枚の剥離ライナー上に形成された粘着剤層を、厚さ5μmのPET製基材フィルム(商品名「ルミラー」、東レ社製)の第1面および第2面にそれぞれ貼り合わせて、本例に係る基材付き両面粘着シートを作製した。この両面粘着シートは、基材と、基材の第1面に設けられた第1粘着剤層と、基材の第2面に設けられた第2粘着剤層と、を備えた両面粘着シートであり、上記第1粘着剤層の粘着面(第1粘着面)が第1剥離ライナーに保護されており、上記第2粘着剤層の粘着面(第2粘着面)が第2剥離ライナーに保護されている。
<例2>
第2剥離ライナーとして、藤森工業社製の剥離フィルム(商品名「フィルムバイナNT」)を使用して、前面側に例1と同じ剥離処理を施すことにより、剥離面(前面)と撥水面(背面)とを有する剥離フィルムを得た。その他は例1と同様にして、本例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを得た。
<例3>
第2剥離ライナーとして、東洋アルミニウム社製の撥水性材料(商品名「トーヤルロータス」)を使用して撥水面を設け、また、前面側に例1と同じ剥離処理を施すことにより、剥離面(前面)と撥水面(背面)とを有する剥離フィルムを得た。その他は例1と同様にして、本例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを得た。
<例4>
(粘着剤組成物(B)の調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのBA70部、2EHA30部、AA3部および4HBA0.05部と、重合開始剤としてのAIBN0.08部と、重合溶媒としての酢酸エチルとを仕込み、窒素気流中で65℃にて3.5時間溶液重合してアクリル系ポリマー(B)の溶液を得た。
上記アクリル系ポリマー(B)の溶液中に、アクリル系ポリマー(B)100部に対し、固形分基準で、粘着付与樹脂として重合ロジンエステル(商品名「ペンセルD125」、荒川化学工業社製、軟化点125℃)30部と、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、東ソー社製)3部とを配合し、アクリル系粘着剤組成物(B)を調製した。
(粘着シートの作製)
第1剥離ライナーとして、片面が剥離処理されて剥離面となっている厚さ38μmのポリエステル製剥離フィルム(商品名「ダイアホイルMRF」、三菱ポリエステル社製)を用意した。また、第2剥離ライナーとして、片面(前面)のみが剥離処理されて剥離面となっている厚さ75μmのポリエステル製剥離フィルムを用意した。第1剥離ライナーの剥離面および第2剥離ライナーの剥離面の各々に、粘着剤組成物(B)を塗布し、100℃で2分間乾燥させて、厚さ13μmの粘着剤層を各剥離ライナー上に形成した。その他は例1と同様にして本例に係る基材付き両面粘着シートを作製した。
<例5>
(粘着剤組成物(C)の調製)
攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、モノマー成分としてのBA95部およびAA5部と、重合開始剤としてのAIBN0.2部と、重合溶媒としてのトルエンとを仕込み、窒素気流中で60℃にて6時間溶液重合してアクリル系ポリマー(C)の溶液を得た。
上記アクリル系ポリマー(C)の溶液中に、アクリル系ポリマー(C)100部に対し、固形分基準で、アクリル系オリゴマー15部と、イソシアネート系架橋剤(商品名「コロネートL」、東ソー社製)1部と、エポキシ系架橋剤(商品名「TETRAD−C」、三菱瓦斯化学社製)0.075部とを加えてアクリル系粘着剤組成物(C)を得た。
アクリル系オリゴマーとしては、次の方法で調製したものを用いた。具体的には、撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流冷却器、滴下ロートを備えた反応容器に、シクロヘキシルメタクリレート95部、AA5部およびα−メチルスチレンダイマー(商品名「ノフマーMSD」、日油社製)10部と、重合開始剤としてのAIBN10部と、重合溶媒としてのトルエンとを仕込み、窒素気流中で1時間撹拌して重合系内の酸素を除去した後、85℃に昇温し、5時間反応させて固形分濃度50%のアクリルオリゴマーを得た。得られたアクリル系オリゴマーの重量平均分子量は4300であった。
(粘着シートの作製)
粘着剤組成物(B)に代えて粘着剤組成物(C)を使用した他は例4と同様にして本例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを得た。
上記で得た各例に係る剥離ライナー付き両面粘着シートを23℃、50%RHの環境下で1日間養生した後、各両面粘着シートについて上記の評価試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017186486
表1に示されるように、第1剥離ライナーと第2剥離ライナーとを備える剥離ライナー付き両面粘着シートにおいて、第2剥離ライナー背面の水接触角が70°以上である例1〜3の粘着シートは、液回収が可能であった。一方、第2剥離ライナー背面の水接触角が70°未満の例4,5では、液回収性が不合格であった。この結果から、第1剥離ライナーと第2剥離ライナーとを備える剥離ライナー付き両面粘着シートであって、第1剥離ライナー背面および第2剥離ライナー背面のうち一方の背面の水接触角が70°以上であるものは、試料分析用試験片の製造に用いたときに、試験片製造時における試薬ロスを防ぎ得ることがわかる。
また、粘着剤層のゲル分率が25%〜55%である例1〜3に係る粘着シートは、液保持性および糊はみ出し防止性を両立することができた。また、ゲル分率が上記範囲外の例4,5と比べて、耐曲げ性にも優れる傾向が認められた。この結果から、粘着剤層のゲル分率が25%〜55%である粘着シートは、試料分析用試験片に使用した場合に、試験片内に試薬を良好に保持し得ることがわかる。また、上記粘着シートを使用した試験片は、打ち抜き加工時等に糊のはみ出しがなく、試験片が曲げられた場合にも構成部材の接合状態を良好に維持し得ると考えられる。上記の特性を満足する粘着シートは試料分析用試験片用途に特に適している。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1,2 剥離ライナー付き粘着シート
11、12 両面粘着シート
15 基材
20 粘着剤層
20A 第1粘着面
20B 第2粘着面
21 第1粘着剤層
21A 第1粘着面
22 第2粘着剤層
22A 第2粘着面
31 第1剥離ライナー
31A 第1剥離ライナーの前面
31B 第1剥離ライナーの背面
32 第2剥離ライナー
32A 第2剥離ライナーの前面
32B 第2剥離ライナーの背面
100 試験片

Claims (8)

  1. 試料を分析するための試験片の製造に用いられる剥離ライナー付き粘着シートであって、
    粘着剤層を有する両面接着性の粘着シートと、該粘着シートの第1粘着面を覆う第1剥離ライナーと、該粘着シートの第2粘着面を覆う第2剥離ライナーと、を備えており、
    前記第1剥離ライナーの背面および前記第2剥離ライナーの背面のうち一方の背面の水接触角は70°以上である、剥離ライナー付き粘着シート。
  2. 前記粘着剤層のゲル分率は25%〜55%である、請求項1に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
  3. 前記粘着シートの粘着面は、7N/20mm以上の180度剥離強度を示す、請求項1または2に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
  4. 前記粘着シートは、基材と、該基材の一方の面に設けられた第1粘着剤層と、該基材の他方の面に設けられた第2粘着剤層と、を備える基材付き両面粘着シートである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
  5. 前記粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
  6. 前記粘着剤層は、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して20〜60重量部の粘着付与樹脂を含む、請求項5に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
  7. 前記粘着シートの厚さは50μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
  8. 前記試験片は、生体試料測定機器に着脱自在に接続されるバイオセンサである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剥離ライナー付き粘着シート。
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