JP6280467B2 - 光伝送路及び光通信システム - Google Patents
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Description
また、例えば非特許文献4には、グレーデッドインデックス型の屈折率分布を有する3モード光ファイバを用いることでDMDを低減し、伝送距離を50kmとした光伝送路及び光通信システムが開示されている。
さらに、例えば非特許文献5には、LP01、LP11(LP11aとLP11bに縮退)、LP21(LP21aとLP21bに縮退)、LP02の6つの伝搬モードを利用した光伝送路が開示されている。この光伝送路では、光ファイバのコアの屈折率分布をDMDが小さいグレーデッドインデックス型の屈折率分布とし、DMDの異なる4種類の光ファイバを相互に接続することで構成された全長59kmの光伝送路のDMDが低減されている。
その他に、例えば非特許文献6には、コアが空孔とされているフォトニックバンドギャップ光ファイバによって、前記6つの伝搬モードの伝送が可能であることが開示されている。
さらに、例えば非特許文献8には、LP01、LP11(LP11aとLP11bに縮退)、LP21(LP21aとLP21bに縮退)、LP02の6つの伝搬モードに対応し、DMDの符号の異なる2種類のマルチモード光ファイバ(ファイバAとファイバC)同士を接続することで、DMDの絶対値の最大値を低減できることが開示されている。
コア間のクロストークは、伝搬定数の異なる2種類のコアを互いに隣接するように配設することでも低減される。これは、伝搬定数の異なるコア同士で、コア間のモード結合が抑制されるためである。例えば非特許文献12には、単一モードではあるが、伝搬定数の異なる2種類のコアを、断面視において六方格子構造や正方格子構造(例えば、非特許文献12の図3等を参照)を形成するように複数配設した光ファイバが開示されている。
上記したマルチステップインデックス型あるいはグレーデッドインデックス型の屈折率分布を採用した光ファイバのコアとは異なるコアにおける光伝搬の形態として、例えば非特許文献13には、互いに強く結合した3つのコアセグメントからなるコアグループを1つの光伝送路とみなし、3つのコアグループを光ファイバに配設した光伝送路が開示されている。この光伝送路では、光が各コアグループを構成する3つのコアセグメント間で強く結合しながら、複数の伝搬モードでコアグループ内を伝搬していくが、コアグループ間では光が結合しないように設定されているので、結果として光伝送路におけるコア間のクロストークが抑制されている。
前記他方の断片のN個のコアのうち、伝搬モード間の群遅延時間差aiを有するコアに接続されるコアの単位長さあたりの伝搬モード間の群遅延時間差をbiとし、伝搬モード間の群遅延時間差ajを有するコアに接続されるコアの単位長さあたりの伝搬モード間の群遅延時間差をbjとし、前記一方の断片の長さをx1、前記他方の断片の長さをx2、前記光ファイバの全長をL=x1+x2とし、下記の(1)式及び(2)式で求められるN/2個のDiの絶対値と、N/2個のDjの絶対値のうちの最大値が最小になるようにx1が設定されていることを特徴とする。
なお、本明細書及び図面において、同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、及び厚みの寸法及び比率等は実際のものと同一とは限らない。
図1は、本発明の第一実施形態(以下、単に本実施形態という)における光伝送路1の概略図である。図2は、光伝送路1を構成する光ファイバ100を長手方向の位置P1で切断した場合の断面を示す図であって、(a)は図1に示すD1方向から見た場合の光ファイバ100の光ファイバ断片(以降、単に断片という)101の断面図であり、(b)は図1に示すD2方向から見た場合の光ファイバ100の断片102の断面図である。
図2(a)に示す6個のコア201〜206は、コア種A又はコア種Bの2種類の異なる屈折率分布を有するコアからなり、コア201,203,205はコア種Aの屈折率分布を有し、コア202,204,206はコア種Bの屈折率分布を有している。図2(b)に示す6個のコア301〜306は、コア種A又はコア種Bの2種類の異なる屈折率分布を有するコアからなり、コア301,303,305はコア種Aの屈折率分布を有し、コア302,304,306はコア種Bの屈折率分布を有している。このように、6個のコア201〜206,301〜306にはそれぞれ、コア種A又はコア種Bの2種類の屈折率分布が用いられており、断片101,102の断面構造は厳密な6回の回転対称とはいえないが、種類に関係なくコアが設けられている位置でみれば、6回の回転対称となっている。
なお、本実施形態では、断片101,102の断面視において中心に配置されているコア251,351は、いわゆる単一モードのコアである。
なお、以下の設定例では、6個のコア内を伝搬するLP01,LP11a,LP11bの3種類の伝搬モードのうち、LP11aモードとLP11bモードは縮退しているため、LP01モードとLP11モードとの間の群遅延時間の差をDMDとする。
図5は、その一例を示すものであり、図4(a),(b)に示した屈折率分布で設計され、実際に製造されたコア種A,BのDMDの変化を示すグラフであって、(a)は断片101のコア201〜206のDMDに関し、(b)は断片102のコア301〜306のDMDに関するものである。なお、断片101と断片102とは異なる母材の光ファイバで製造されており、図5(a)と図5(b)に示すように、コア201〜206,301〜306毎のDMDのばらつきが異なっている。
また、本実施形態の光伝送路1の端面に光コネクタ、あるいは入出力デバイスが接続されていてもよい。光伝送路1の両端に光コネクタや入出力デバイスが接続されれば、光伝送路1を光パッチコードとして利用することもできる。
さらに、本実施形態ではk=1としたが、kはこの条件に限定されず、1以外に設定してもよい。ただし、k=2、k=4等のようにkが偶数の場合は、同じコア種からなるコア同士が接続されるので、k=1、k=3、k=5等のようにkは奇数であることが好ましい。本実施形態では、断片101,102として異なるものを用いたが、同じ種類であれば、k=3とk=5は対称になるので、一方について考えればよい。さらに、本実施形態ではm=6としたが、mはこの条件に限定されず、6以外に設定しても良い。但し、例えばm=2とした場合は、k=1になり、m=6、k=3の場合に相当する。従って、本実施形態ではm=nとし、その他の設計条件等を検討することが好ましい。
次いで、本発明の第2実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路2について説明する。
第1実施形態では、光ファイバ100の中間点を接続点141としており、断片101の長さと、断片102の長さは略同一とされていた。本実施形態の光伝送路2は、接続点141で接続されている断片101の長さと、断片102の長さを異なるように設定したものである。詳しくは、第1実施形態で示した光ファイバ100において、6個(N=6)のコアのうち、DMDの絶対値が最大のコアについて、DMDの絶対値が最小になるように、断片101,102の長さ及び接続点141が設定されている。これにより、光伝送路2を構成する光ファイバ100におけるDMDがさらに抑制され、より長距離伝送が可能になる。
また、本実施形態では、中心波長の近傍の波長におけるDMDの絶対値が最小になるように接続点141の最適位置を設定したが、この設定はより広い波長範囲に対しても拡張できる。例えば、図7(a)の縦軸のDMDをいわゆるCバンド(波長1530nm〜1560nm)の最大値としてもよい。この場合、DMDの傾斜が最小になるようにすることで、より広い波長範囲で本発明を実施することができる。例えば、光ファイバ100のN個のコアに対し、正のDMDを有し、且つ使用する波長範囲の短波長側から長波長側に向けてDMDが正に増加するコア種Aと、負のDMDを有し、且つ使用する波長範囲の短波長側から長波長側に向けてDMDが負に増加するコア種Bとを用いることで、所望の波長あるいは波長範囲のDMDの絶対値だけでなく、その波長における伝送路長の変化に対するDMDの変化量も低減することができる。
次いで、本発明の第3実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路3について説明する。
図9は、本実施形態の光伝送路3を構成する光ファイバ100を接続点141で切断した場合の断面を示す図であって、(a)は接続点141側から見た場合の断片101の断面図であり、(b)は接続点141側から見た場合の断片102の断面図である。本実施形態ではn=6であり、mは1以外のnの約数で、2,3,6のうち何れか1つの値である。本実施形態ではmを偶数としているので、2又は6であるが、k=m/2より、何れの場合であっても、k・(360/m)°=180°となる。詳しくは、複数(7個)のコアを有する光ファイバ100において、これら複数のコアは、複数(3種類)の伝搬モード(LP01、LP11a、LP11b)を伝搬するよう設定されたN個(N=6)のコアを含み、これらのN個のコアは光ファイバ100の断面において6回(n=6)の回転対称になるように配置されている。また、N個のコアは2種類(コア種A、コア種B)の異なる屈折率分布を有するコアからなり、光ファイバ100の少なくとも1箇所の接続点141において、断片101の断面(図9(a))のコア201〜206の配置に対し、断片102の断面(図9(b))のコア301〜306の配置が軸線Aを中心として180°回転して接続されている。断片101の断面(図9(a))のコア201〜206のDMDと、コア201〜206に接続される断片102の断面(図9(b))のコア301〜306のDMDが異なり、断片101の6個のコア201〜206のうちの少なくとも1つのコアのDMDが、コア201〜206に接続される断片102のコア304、305、306、301、302、303のDMDと逆符号になるようにしている。さらに、接続点141における断片101と断片102は同一種類の光ファイバであり、断片101,102の長さは等しい。
なお、断片101,102のそれぞれの中心に配置されているコア251,351は、いわゆる単一モードのコアである。
また、本実施形態では、断片101のマーカ281は断片102のマーカ383の位置に接続され、断片101のマーカ283は断片102のマーカ381の位置に接続される。この構成は、第1実施形態と対比すると、第1実施形態において、k=3とし、且つ断片101,102を同一種類の光ファイバとした場合の構成に相当する。
図11に示すように、(1)〜(4)の何れの場合も、従来の光ファイバよりもDMDの絶対値は小さくなっており、顕著な効果が見られる。平均的には、(2)よりも(1),(3),(4)の場合の方が、よりDMDの絶対値が小さくなった。(1),(3),(4)の場合のうち、本実施形態に相当する(4)が光ファイバ100を作製しやすく、量産性に優れている。なお、ここでの統計的な検討は一例であり、使用する光ファイバ100の仕様、複数のコアの配置等により、本発明を任意の形態で実施することができる。
次いで、本発明の第4実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路4について説明する。
図12(a)に示す18個のコア201〜218は、被覆411で覆われたクラッド401に、断面視で6回(n=6)の回転対称となるように配設されている。また、18個のコア201〜218は、第1〜第3の屈折率分布の3種類の異なる屈折率分布を有するコアで構成されている。具体的には、コア201,203,205,209,213,217は第1の屈折率分布を有するコアである。コア208,210,212,214,216,218は第2の屈折率分布を有するコアである。そして、コア202,204,206,207,211,215は第3の屈折率分布を有するコアである。
図12(b)に示す18個のコア301〜318は、被覆412で覆われたクラッド402に、断面視で6回(n=6)の回転対称となるように配設されている。また、18個のコア301〜318は、コア201〜218と同様に、第1〜第3の屈折率分布の3種類の異なる屈折率分布を有するコアで構成されている。具体的には、コア301,303,305,309,313,317は第1の屈折率分布を有するコアである。コア308,310,312,314,316,318は第2の屈折率分布を有するコアである。そして、コア302,304,306,307,311,315は第3の屈折率分布を有するコアである。
なお、中心に配置されているマーカ281,381は、接続時の断片101,102の位置合わせのためのマーカであり、6回の回転対称となる形状で形成されている。また、マーカ282,382は、断片101の断面に対する断片102の断面の相対角度を確認するために設けられている。本実施形態では、断片101の断面(図12(a))の18個のコアの配置に対し、断片102の断面(図12(b))の18個のコアの配置をk・(360/m)°=60°回転させた状態で、断片101,102が接続されている。ここで、mは1以外のnの約数であり、kは1≦k<mの整数である。本実施形態では、k=1、m=6とした。
上記はk=1とした場合について18個のコアの配置構成である。図13は、k=3とした本実施形態の光ファイバ100を接続点141で切断した場合の断面を示す図であって、(a)は接続点141側から見た場合の断片101の断面図であり、(b)は接続点141側から見た場合の断片102の断面図である。断片101の断面(図13(a))の18個のコアの配置に対し、断片102の断面(図13(b))の18個のコアの配置がk・(360/m)°=180°回転した状態で、断片101,102が接続されている。
なお、本実施形態の18個のコアについては、第1実施形態と同様に、DMDの特性がn回の回転反対称になるように配置されていると見なすこともできる。このような接続点141を1箇所以上含むことで、本実施形態の光ファイバ100の18個のコアのDMDは、従来の光ファイバの複数のコアのDMDに比べて低くなる。
本実施形態では、18個のコア内を伝搬する伝搬モードは3種類であるが、LP11aモードとLP11bモードは縮退しており、LP01モードと、LP11モード間の群遅延時間の差をDMDとする。
また、本実施形態では、第1及び第3の屈折率分布として、コアの屈折率分布を光ファイバ100の径方向に段階的に変化させたマルチステップインデックス型の屈折率分布を用い、第2の屈折率分布として、コアの屈折率分布を光ファイバ100の径方向に連続的に変化させたグレーデッドインデックス型の屈折率分布を用いた。
また、図12及び図13には図示していないが、18個のコアの径方向周囲にトレンチ構造(例えば、非特許文献10を参照)を設けた。なお、18個のコアの径方向周囲には、非特許文献11に開示されているフォトニック結晶型の構造等が設けられていてもよい。
なお、第3実施形態と同様に、本実施形態の光ファイバ100は、接続点141の相対位置0.5において左右対称の構成となっており、同一長さの断片101と断片102を用いることで、結果的にN組のコア(コアの組み合わせ)のうち、DMDの絶対値が最大のコアの、DMDの絶対値が最小になった。図16は、このようなDMDを設定した本実施形態の光ファイバ100の特性を示す図であって、(a)は断片101と断片102との接続点141の相対位置に対する、18組のコアの組み合わせ毎のDMDを示すグラフであり、(b)はN組のコアのうち、DMDの絶対値が最大のコアの、DMDの絶対値が最小になる特性を持つ、同一種類で同一の長さとした断片101,102を用いた光ファイバ100の伝送路長に対するDMDの絶対値を示すグラフである。比較のため、図16(b)には、第1の屈折率分布を有するコアのみの場合、第2の屈折率分布を有するコアのみの場合、そして第3の屈折率分布を有するコアのみの場合のDMDについても図示した。図16(b)に示すように、各光ファイバ100の単位長さあたりのDMDの絶対値は、第1の屈折率分布を有するコアのみで構成された光ファイバ100では496ps/km、第2の屈折率分布を有するコアのみで構成された光ファイバ100では107ps/km、第3の屈折率分布を有するコアのみで構成された光ファイバ100では536ps/kmであったのに対し、本実施形態の光ファイバ100では76ps/kmに低減された。この結果からもわかるように、本実施形態の適用によっても、DMDが小さい光ファイバ100が実現される。
次いで、本発明の第5実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路5について説明する。
本実施形態において、図17(a)に示す12個(N=12)のコア201〜212は、被覆411で覆われたクラッド401に、断面視で6回(n=6)の回転対称となる位置に配設されている。また、前記12個のコアとは別の7個のコア251〜257も、クラッド401に、断面視で6回(n=6)の回転対称となる位置に配設されている。コア251〜257は単一モードのコアである。12個のコア201〜212はそれぞれ、複数のモードを伝搬するマルチモードのコアであり、コア種Aとコア種Bの2種類の異なる屈折率分布を有するコアから構成されている。コア201,203,205,207,209,211はコア種Aの屈折率分布を有し、コア202,204,206,208,210,212はコア種Bの屈折率分布を有している。
図17(b)に示す12個(N=12)のコア301〜312は、被覆412で覆われたクラッド402に、断面視で6回(n=6)の回転対称となる位置に配設されている。また、前記12個のコアとは別の7個のコア351〜357も、クラッド402に、断面視で6回(n=6)の回転対称となる位置に配置されている。コア351〜357は単一モードのコアである。12個のコア301〜312はそれぞれ、複数のモードを伝搬するマルチモードのコアであり、コア種Aとコア種Bの2種類の異なる屈折率分布を有するコアから構成されている。コア301,303,305,307,309,311はコア種Aの屈折率分布を有し、コア302,304,306,308,310,312はコア種Bの屈折率分布を有している。
図17(a),(b)に示すように、断片101の断面(図17(a))の12個のコア201〜212の配置に対し、断片102の断面(図17(b))の12個のコア301〜312の配置がk・(360/m)°=60°(mは1以外のnの約数、kは1≦k<mの整数)回転した状態で、断片101,102同士が接続されている。本実施形態では、k=1、m=6とした。
本設定例では、伝搬モードは3種類であるが、LP11aモードとLP11bモードは縮退しており、LP01モードと、LP11モードと間の群遅延時間の差をDMDとする。本実施形態では、コア種A及びコア種Bとして、コアの屈折率分布を連続的に変化させたグレーデッドインデックス型の屈折率分布を用いた。また、図17(a),(b)及び図18(a),(b)には図示していないが、12個のコア201〜212と、12個のコア301〜312の径方向周囲にトレンチ構造(例えば、非特許文献10を参照)を設けた。言うまでもなく、このようなトレンチ構造に替えて、フォトニック結晶型の構造等の任意の構造をN個のコアの径方向周囲に設けてもよい。
断片101と断片102は同一の母材の光ファイバとし、k=1の場合、及びk=3の場合について、DMDの絶対値が最大のコアの伝送距離長を変化させた際のDMDの絶対値が最小になるように、断片101,102の接続点141を設定した。図19(c)には、コア種Aのみの構成とした場合、コア種Bのみの構成とした場合、本実施形態でk=1とした場合、本実施形態でk=3とした場合のそれぞれの光ファイバ100の伝送距離に対するDMDの絶対値を示している。本実施形態の光ファイバ100の単位長さあたりのDMDの絶対値は、k=1の場合に接続点141の相対位置が0.493となり、14ps/kmであった。k=3の場合では、接続点の相対位置が0.5となり、17ps/kmであった。そこで、本設計例ではDMDの絶対値がより小さいk=1を採用した。即ち、複数の伝搬モードを伝搬するよう設定され、2種類以上の異なる屈折率分布を有し、断面視でn回(nは2以上の整数)の回転対称になるように配設されたN個のコアを含む光ファイバ100(図17に示す断面構造を有する断片101,102で構成される光ファイバ)では、相対位置0.493に接続点141を備え、接続点141で光ファイバを切断した場合の断片101の断面に対し、断片102の断面をk・(360/m)°回転させた後、断片101,102を再接続した。
また、本実施形態では、3種類の異なる屈折率分布を有するコアを用い、モード間群遅延時間差の絶対値が概ね等しく、逆符号になるコア種Aとコア種Bのコア同士が接続するようにし、単一モードであるその他のコア同士が接続するようにした。このような構成により、隣接コア間のクロストークとモード間群遅延時間差を低減しつつ、空間多重数を高密度化した。使用するコア種を増やすほど、コア間の独立性が増し、コア間クロストークを抑制したすいが、種類を増やすほど設計と作製が難しくなる。そこで本実施形態では、コア種A,コア種Bのマルチモードのコアと、その他の単一モードのコアの3種類とを活用することで、コア種の数を増やした場合でも、設計や作製の負担を軽減できる構成とした。
次いで、本発明の第6実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路6について説明する。
図20は、上記のnの条件をふまえた本実施形態の光伝送路6(図示略)を構成する光ファイバ100を接続点141で切断した場合の断面を示す図であって、(a)は接続点141側から見た場合の断片101の断面図であり、(b)は接続点141側から見た場合の断片102の断面図である。
本実施形態の光ファイバ100は、図20(a),(b)に示すように、複数(16個)のコアを有し、複数(3種類)の伝搬モードを伝搬するよう設定された16個(N=16)のコアを有し、これらN個のコアは、光ファイバ100の断面視で4回(n=4)の回転対称に配設され、且つ、2種類の異なる屈折率分布を有するコアから構成されているものである。そして、光ファイバの1箇所、もしくは複数箇所の接続点141において、断片101の断面の複数のコアの配置に対し、断片102の断面の複数のコアの配置がk・(360/m)°(mは1以外のnの約数、kは1≦k<mの整数)回転した状態で、断片101,102が接続されている。接続点141のうちの少なくとも1箇所においては、断片101のN個のコアのうちの少なくとも1つのコアのDMDが、これらのN個のコアに接続される断片102の複数のコアのDMDと逆符号になるように設定されている。
次いで、本発明の第7実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路7について説明する。
図21は、k=1としたとき、本実施形態の光ファイバ100を接続点141で切断した場合の断面の一例を示す図であって、(a)は接続点141側から見た場合の断片101の断面図であり、(b)は接続点141側から見た場合の断片102の断面図である。図22は、k=2としたときの光ファイバ100を接続点141で切断した場合の断面の一例を示す図であって、(a)は接続点141側から見た場合の断片101の断面図であり、(b)は接続点141側から見た場合の断片102の断面図である。
次いで、本発明の第8実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路8について説明する。
本実施形態では、光ファイバ100がそれぞれ複数のコアセグメントからなる、複数(3個)のコア(図23(a)に示すコア201,202,203、及び、図23(b)に示すコア301,302,303)を有している。また、光ファイバ100は、複数(3種類)の伝搬モードを伝搬するよう設定された3個(N=3)のコアを含み、これら3個のコアは、光ファイバ100の断面視で3回(n=3)の回転対称に配置され、且つ、3種類の異なる屈折率分布を有するコアから構成されている。そして、光ファイバ100の1箇所、もしくは複数箇所の接続点141において、断片101の断面のコアの配置に対し、断片の断面のコアの配置がk・(360/m)°(mは1以外のnの約数、kは1≦k<mの整数)回転した状態で、断片101,102が接続されている。接続点141のうちの少なくとも1箇所において、断片101のN個のコアのうちの少なくとも1つのコアのDMDが、断片102の光ファイバの、断片101の前記少なくとも1つのコアに接続されるコアのDMDと逆符号になるように設定されている。
図25は、本実施形態の光ファイバ100の変形例であり、伝送路をなすコアを6個(N=6)に増やした例を示すものであり、(a)は接続点141側から見た場合の断片101の断面図であり、(b)は接続点141側から見た場合の断片102の断面図である。光ファイバ100の断片101,102の図25(a),(b)に示すコアの配置は、第1実施形態の光ファイバ100の断片101,102の図3(a),(b)に示すコアの配置と同様である。つまり、図3(a),(b)に示す6個のコアを、3つの近接させたコアセグメントからなるコアに置き換えたものと見なすことができる。このように、伝送路をなすコアの数や形態は任意に拡張・変更することができる。また、3つのコアセグメントで1つの伝送路をなすコアとしたが、組み合わせるコアセグメントの数も任意であり、例えば1つの伝送路をなすコアを6つのコアセグメントで構成してもよい。
次いで、本発明の第9実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路9について説明する。
本実施形態の光伝送路9は、4個のコアを有する光ファイバ100からなり、これら4個のコアは、6種類の伝搬モード(LP01,LP11a,LP11b,LP21a,LP21b,LP02)を伝搬するよう設定された4個(N=4)のコアを含む。
本実施形態では、図26(a),(b)に示す4つのコアの配置において、コア種AのDMDであるDa11,Da21,Da02と、コア種Bの対応する伝搬モードのDMDであるDb11、Db21、Db02がそれぞれ異なるように設定されている。さらに、光ファイバ100のDMDを容易に抑制する点から、コア種AのDMDと、コア種Bの対応する伝搬モードのDMDの符号は互いに逆になるように設定することがより好ましい。さらにまた同観点から、コア種AのDMDと、コア種Bの対応する伝搬モードのDMDの絶対値の大きさが等しく、且つ逆符号になるようにする形態がより好ましい。
次いで、本発明の第10実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路10について説明する。
図27(a)に示すコア201,203はコア種Aのコアであり、コア202,204はコア種Bのコアであり、コア205,207はコア種Cのコアであって、コア206,208はコア種Dのコアである。図27(b)に示すコア301,303はコア種Aのコアであり、コア302,304はコア種Bのコアであり、コア305,307はコア種Cのコアであって、コア306,308はコア種Dのコアである。コア種Aとコア種Bはそれぞれ6種類の伝搬モードを伝搬し、且つ、DMDの絶対値が概ね等しく、逆符号になるよう設定されている。コア種Cとコア種Dはそれぞれ3種類の伝搬モードを伝搬し、且つ、DMDの絶対値が概ね等しく、逆符号になるよう設定されている。本実施形態では図27(a),(b)に示すコアの配置において、コア種Aとコア種B同士が接続され、コア種Cとコア種D同士が接続されるため、符号が互いに逆のDMDを有するように設定されたコア種同士の接続により接続部分でDMDが補償され、光ファイバ100のDMDが低減される。
なお、本実施形態は、異なる伝搬モードを伝搬するコアを用いた一例であり、図27(a),(b)に示した断面構造及びコアの配置に限定されるものではない。
次いで、本発明の第11実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路11について説明する。
図29(a)に示すコア203,204,206はコア種Aのコアであり、コア201,202,205,207はコア種Bのコアである。図29(b)に示すコア301,302,305,307をコア種Aのコアであり、コア303,304,306をコア種Bのコアである。このように、コア種Aとコア種BのDMDを互いに逆符号に設定することで、これらの異種のコア同士を接続したときに各伝送路のDMDが抑制される。
次いで、本発明の第12実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路12について説明する。
本実施形態では、S−1箇所の接続点141〜143において、それぞれ断片101(図示略)の断面のコアの配置に対し、断片102の断面のコアの配置がks・(360/m)°(sは1≦s≦Sの整数)回転した状態で、断片101,102が接続されているものである。断片101の断面のコアと接続される断片102の断面のコアのDMDが互いに異なるように設計されている。
次いで、本発明の第13実施形態(以下、単に本実施形態という)の光伝送路13について説明する。
図31は、本実施形態の光伝送路13を示す概略図であって、(a)は複数のコアを有する1本の光ファイバを示す図であり、(b)は所定の長さの光伝送路を示す図である。
本実施形態では、図31(a)に示すように、複数のコアを有する1本の光ファイバを接続点141で切断し、断片101の断面に対し、断片102の断面をk・(360/m)°回転させた状態で、再接続した。このような光ファイバを基本単位とし、所定の長さに応じて、基本単位同士をつなぎ合わせることで、図31(b)に示すような、所定の長さの光伝送路13とした。基本単位自体がコア間のクロストークとモード間群遅延時間差が共に抑えられているので、図31(b)に示す光伝送路13は、より好ましい形態である。このような基本単位をつなぎ合わせることで、全体の光伝送路13のコア間のクロストークとDMDが共に低減される。
次いで、本発明の光通信システムについて説明する。
図32は、本実施形態の光通信システム20を示す概略図である。光通信システム20は、図32に示すように、光送信器701と、光合分波器731と、光伝送路1〜13のうち何れか1つ以上の光伝送路を含む光伝送路721,722と、光中継器741と、光合分波器732と、光受信器711と、を備えて構成されている。このように、1対1の光通信ネットワークに本発明を適用した光伝送路1〜13を用いることで、光伝送の大容量化、コア間のクロストークの低減による高品質化、DMDの低減による長距離化が同時に実現される。
図33は、本実施形態の別の光通信システム22を示す概略図である。光通信システム22は、図33に示すように、光送信器701と、光受信器712と、光合分波器731と、光伝送路1〜13のうち何れか1つ以上の光伝送路を含む光伝送路721,722と、光中継器741と、光合分波器732と、光受信器711と、光送信器702と、を備えて構成されている。このように、多数対多数の光通信ネットワークにおいても、本発明を適用した光伝送路1〜13を用いることで、光伝送の大容量化、コア間のクロストークの低減による高品質化、DMDの低減による長距離化の課題が解決され、良好な光伝送が実現される。
なお、本実施形態の光通信システムは、本発明の光伝送路のうちの少なくとも1つを伝送路に含んでいればよい。また、上記説明では、最も簡単な例として本発明の光伝送路をポイント・ツー・ポイントの光通信システムに適用した例を示したが、ROADMノード等のより複雑な光通信システムに適用することも有用であり、適用対象は特に限定されない。
以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれている。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
20,22…光通信システム
100…光ファイバ
101,102…光ファイバ断片(断片)
141,142,143,144,145…接続点
201,202,203,204,205,206,207,208,209,210,211,212,213,214,215,216,217,218,251,252,253,254,255,256,257,301,302,303,304,305,306,307,308,309,310,311,312,313,314,315,316,317,318,351,352,353,354,355,356,357…コア
271,272,273,274,275,276,277,278,279,371,372,373,374,375,376,377,378,379…コアセグメント
401,402…クラッド
411,412…被覆
A…軸線
Claims (8)
- 複数のコアを有する光ファイバを備え、
前記複数のコアは、複数の伝搬モードを伝搬するように設定されたN個(Nは2以上の整数)のコアを含み、
前記N個のコアは前記光ファイバの断面視でn回(nは2以上の整数)の回転対称になる位置に配され、且つ、2種類以上の異なる屈折率分布を有するコアからなり、
前記光ファイバには少なくとも1箇所の接続点が設けられ、
前記接続点において、前記光ファイバの一方の断片の断面における前記N個のコアの配置は、前記光ファイバの他方の断片の断面における前記N個のコアの配置を前記光ファイバの軸線を中心として、相対的にk・(360/m)°(mは1以外のnの約数、kは1≦k<mの整数)回転させたものであり、
前記接続点のうちの少なくとも1箇所において、前記一方の断片のN個のコアのうちの少なくとも1つのコアの伝搬モード間の群遅延時間差が、前記1つのコアが接続される前記他方の断片のコアの伝搬モード間の群遅延時間差と逆符号であることを特徴とする光伝送路。 - 前記接続点は、前記光ファイバの長手方向において、前記一方の断片のN個のコアと前記他方の断片のN個のコアとの組み合わせのうち、伝搬モード間の群遅延時間差の絶対値が最大となるコアの組み合わせの伝搬モード間の群遅延時間差が極小値をとる位置に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。
- 前記Nは偶数であり、
前記N個のコアは2種類の屈折率分布を有するコアからなり、
前記一方の断片のN個のコアのうち、前記2種類の屈折率分布のうち一方の種類の屈折率分布を有するN/2個のコアの単位長さあたりの伝搬モード間の群遅延時間差をai(1≦i≦Nであって、iはN/2個の整数)とし、前記2種類の屈折率分布のうち他方の種類の屈折率分布を有するN/2個のコアの単位長さあたりの伝搬モード間の群遅延時間差をaj(1≦j≦Nであって、jはi以外の整数)とし、
前記他方の断片のN個のコアのうち、伝搬モード間の群遅延時間差aiを有するコアに接続されるコアの単位長さあたりの伝搬モード間の群遅延時間差をbiとし、伝搬モード間の群遅延時間差ajを有するコアに接続されるコアの単位長さあたりの伝搬モード間の群遅延時間差をbjとし、
前記一方の断片の長さをx1、前記他方の断片の長さをx2、前記光ファイバの全長をL=x1+x2とし、下記の(1)式及び(2)式:
- 前記mは偶数であり、
前記kはm/2であり、
前記接続点における前記一方の断片と、前記他方の断片が同一種類の光ファイバで構成され、
前記一方の断片の長さと、前記他方の断片の長さが等しいことを特徴とする請求項1に記載の光伝送路。 - 前記N個のコアは第1〜第3の屈折率分布を有する3種類のコアからなり、
前記第1の屈折率分布は正の伝搬モード間の群遅延時間差であり、前記第2の屈折率分布は平均的に零の伝搬モード間の群遅延時間差であり、前記第3の屈折率分布は負の伝搬モード間の群遅延時間差であり、
前記接続点において、前記一方の断片のN個のコアのうちの前記第1の屈折率分布を有するコアは前記他方の断片の前記第3の屈折率分布を有するコアに接続され、
前記一方の断片のN個のコアのうちの前記第2の屈折率分布を有するコアは前記他方の断片の前記第2の屈折率分布を有するコアに接続され、
前記一方の断片のN個のコアのうちの前記第3の屈折率分布を有するコアは前記他方の断片の前記第1の屈折率分布を有するコアに接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光伝送路。 - 前記N個のコアを有する光ファイバを前記接続点で切断し、前記他方の断片の断面を、前記一方の断片の断面に対し、前記軸線を中心にしてk・(360/m)°回転させ、前記一方の断片と回転させた前記他方の断片とを接続することで構成されていることを特徴とする請求項1〜5に記載の光伝送路。
- S本(Sは3以上の整数)の前記光ファイバを直列に接続して構成されている光伝送路であって、
S−1箇所の接続点のそれぞれにおいて、一方の前記光ファイバのコアの配置に対し、他方の前記光ファイバのコアの配置がks・(360/m)°(sは1≦s≦Sの整数)回転した状態で前記一方の光ファイバと前記他方の光ファイバとが接続され、
前記一方の光ファイバのコアの伝搬モード間の群遅延時間差と、該コアに接続される前記他方の光ファイバのコアの伝搬モード間の群遅延時間差とが異なることを特徴とする請求項1〜6に記載の光伝送路。 - 前記請求項1〜7に記載の光伝送路のうちの少なくとも何れか1つを伝送路に含むことを特徴とする光通信システム。
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