JP6277627B2 - フォトマスクの欠陥修正方法 - Google Patents

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本発明はフォトマスクの製造工程において、欠陥修正部位の状態を欠陥修正処理と同時に確認することが可能なフォトマスクの修正技術に関し、特に黒欠陥の欠陥修正方法および欠陥修正装置に関する。
近年、半導体加工、特に、大規模集積回路の高集積化により、回路パターンの微細化が進められている。その結果、フォトマスクの製造においても、上記回路パターンの微細化に伴い、より微細かつ正確なパターンを作製する技術が求められている。
そのため、フォトマスクの製造過程において発生する欠陥、例えば本来必要なパターンの欠損もしくは欠落しているもの(白欠陥)や不要なパターンが余剰に存在しているもの(黒欠陥)等、を過不足無く修正する技術が求められている。
黒欠陥の修正方法としては、アシストガスを吹き付けながら集束イオンビーム(Focused Ion Beam、FIB)や電子ビーム(Electron Beam、EB)を照射して、黒欠陥部分をガスアシストエッチングすることにより除去する方法が主流となっている。
これらの欠陥修正装置において、欠陥修正処理の終点を見極めるには幾つかの手法が存在する。
例えば、2次電子量や2次イオン量、後方散乱電子量等からエッチングされる膜材質の変化、例えばガラス基板上に形成されているMoSi膜をエッチング処理する場合、エッチング処理されるMoSi膜からガラス表面が現れた際の信号変化を読み取り、エッチングの終了を判断する手法や、事前にエッチングされるMoSi膜のエッチングレートを算出しておき、エッチングに必要な膜厚からエッチング処理に必要となる規定時間までエッチングを行う手法等が挙げられる。
しかし、これらの手法は、エッチングチャンバー内の真空雰囲気の状態やガス流量の安定性等に大きく左右されるため、ガラス基板とエッチングされる膜とのエッチング選択比が極端に高い場合や、もしくは前記エッチング選択比が極端に低い材質に対しては、エッチングされる膜のサイドエッチングや基板のオーバーエッチング等が発生することがあり、フォトマスク修正後の修正部位の形状が著しく悪化する可能性がある。
このように、欠陥修正によって修正部位のパターンに形状変化が生じてしまうと、パターン露光を行った際に、正常なマスクパターンが転写されなくなる。
従来のエッチング処理の終点検出方法において、例えば、特許文献1には、ドライエッチングの場合、特定波長域の光を基板表面に集光照射して、その反射光を検出器で受信した後、検出信号を演算処理して終点の判定を行う技術が開示されている。
しかし、近年のフォトマスクのパターンの微細化、高精度化に伴って、フォトマスクパターンの黒欠陥について、高精度で修正することができる方法が望まれているが、フォトマスクの微細化、高精度化によって、遮光層材料が下地の基板とのエッチング選択性が極端に高いものや低いものが選択されることがあり、そのような場合には、修正のためのエッチング後に、エッチングされる膜へのサイドエッチングやガラスのオーバーエッチング等が発生し、フォトマスク修正後のパターン形状が著しく悪化するという問題を抱えている。
特開2009−212274号公報
上記のような実情に鑑み、本発明は、フォトマスクの黒欠陥の欠陥修正時におけるエッチングの終点を正確に見極めることにより、サイドエッチングやガラス基板のオーバーエッチングを最小限に抑制するため、欠陥修正処理の終点を正確に把握する欠陥修正方法と欠陥修正装置を提供することを課題とする。
本発明によるフォトマスクの欠陥修正方法は、
フォトマスクのパターン形成時に発生する、膜の除去が不完全で不要なパターンが余剰に存在する黒欠陥と称される状態を解消するための欠陥修正方法において、
フォトマスク基板の表面に残存する余剰膜である黒欠陥部分にアシストガスを吹き付けながら集束イオンビームまたは電子ビームを照射して、黒欠陥部分をガスアシストエッチングすることにより除去する際、
前記エッチングと並行して、黒欠陥部分にレーザー光を照射し、フォトマスク基板からの反射光の強度を計測し、前記反射光の強度を経過時間に対してプロットする計測工程と、
前記計測工程で得られた前記反射光強度の増減傾向から前記欠陥部のエッチング除去が完了したことを判定する判定工程を具備し、
照射するレーザー光は、波長200nm未満の真空紫外線領域のレーザー光であり、
レーザー光の照射角度は45°以下であり、かつ、黒欠陥部分の存在する領域に入射するレーザー光および前記領域から反射するレーザー光が、前記領域周囲に存在する非欠陥部の膜材質による干渉を受けない範囲の角度であり、反射光強度の増減が、黒欠陥部分のガスアシストエッチング開始から反射率が低下し続けた後、反射率が急激に上昇した後、再び反射率が低下し始める時点を欠陥修正完了時点と判定することを特徴とする。
レーザー光の照射角度の設定にあたっては、フォトマスクの欠陥部近傍に配置されることになるアシストガスノズルなどフォトマスク欠陥修正装置を構成するパーツによる遮断の影響を避けて、レーザー光源,レーザー光検出器を配置する必要もあり、本願発明における「干渉を受けない範囲の角度設定」には、パーツ配置に関わる要因も当然含まれる。
本発明によれば、修正中の欠陥部に対してレーザー光を照射し、その反射率および透過率を検出器により検出するため、リアルタイムでの終点検出が可能となる。従来の2次電子量や2次イオン量、後方散乱電子量等からエンドポイントを判定する手法だけでなく、同時に安定したレーザー光の反射率測定によるエンドポイントの判定が行なえるため、より正確にエッチング処理を終了させることが可能となり、エッチングされる膜のサイドエッチングやガラス基板のオーバーエッチングを抑制することができるという効果を奏する。
レーザー光源とその検出器を搭載した本発明の欠陥修正装置の一例を示す概 略断面図。 エッチングが終了して下地の基板が露出した状態を示す模式断面図。 45度以上の角度で入射したレーザー光の反射光の状況を説明する模式断面 図。 欠陥部がエッチングされ、下地の基板が露出するまでの状況を示す模式図であり、(1)はエッチング工程の初期段階、(2)はエッチング工程終盤に近い段階、(3)はエッチング工程が終了した段階。 欠陥部のエッチング過程の表面粗さ変化を表した模式図。(1)はエッチング工程の初期段階であり、表面粗さが大きくなりつつある状況、(2)は更に表面粗さが増大した状況、(3)はエッチング工程が終了し、下地の基板表面が露出した状態で、表面粗さが小さくなった状況、(4)は下地の基板のエッチングが進行して表面粗さが再び増大した状況、をそれぞれ示している。 エッチングの進行に伴う欠陥部のレーザー光反射率が時間の経過とともに変化する状況を示すグラフ。図中の(1)〜(4)は、図5の(1)〜(4)に対応している。 エッチングの進行に伴う欠陥部の2次電子および後方散乱電子が時間の経過とともに変化する状況を示すグラフ。図中の(1)〜(4)は、図5の(1)〜(4)に対応している。
本発明の欠陥修正装置について、図面を参照しながら説明する。図1に、例としてレーザー光源とその検出器を搭載したEB(Electron Beam、電子線)を使用した本発明の欠陥修正装置の断面図を示す。電子銃1より発射された電子線2は電磁式のコンデンサレンズ3および対物レンズ4により集束され、偏向器5によりフォトマスク6上を走査する。フォトマスク6はステージを介して真空チャンバー内に設置され、修正対象の欠陥および、回路設計パターンは上面を向いている。その際、エッチングしようとする材質に適するエッチングアシストガスをガスノズル7より噴射することで、フォトマスク6の周辺をガス雰囲気とし、対象欠陥をエッチングし修正する。修正時の電子線2の照射により発生した2次電子8および後方散乱電子9は検出器10で検出され、電気信号に変換されて、それらの検出された強度を表すIntensity Plotとして表示装置に表示されるようになっている。EBを使用した従来のマスク欠陥修正装置では、主にこれらの機構からSEM像およびIntensity Plotにより、加工中の形状を予測する。
本発明の欠陥修正装置は、従来のEBを使用した欠陥修正装置に、レーザー光源とレーザー光検出器からなるレーザー機構を備えたものである。図1における前記レーザー機構のレーザー光源11は任意波長を発生させるレーザー発振源を持つ。前記レーザー光源11は、常に電子線照射部と同様の位置にレーザー光12を照射する光軸上に設置される。
また、そのレーザー光の反射光を検出する反射レーザー光検出器13Aおよび透過光を検出する透過レーザー光検出器13Bを、それぞれサンプルを挟んで設置し、受光したレーザー光の強度を検出器10と同様に電気信号へと変換し、Intensity Plotとして表示装置に表示させる機構を備えている。
本発明のマスク欠陥修正装置のレーザー光12は、常に修正する部位のフォトマスク6の表面に対して一定の角度をもち、かつフォトマスクの上面より照射されている。例えば、図2のようにエッチングが進み、膜材質A14のエッチングが終了し、膜材質B15が表面に現れると、レーザー光の反射率が大きく変動するため、その変極点をエッチングのエンドポイントとして計測することができる。
レーザー光源11の設置箇所には角度の制限が有り、フォトマスク6に対して上から、限りなく垂直に入射させる事が望ましい。図2に、例として膜厚70nm、スペースの幅140nmの膜材質A14のパターンに対して、45度の角度を以ってレーザー光12を照射させた模式図を示す。この場合、45度という角度は最大限の角度であり、45度以上の角度で入射したレーザー光は図3のように反射光が膜材質A14の側壁に干渉するため、反射レーザー光検出器13Aで検出されない。
また、図1に示すようにマスク欠陥修正装置の構成上、電子線2は垂直入射であり、ガスノズル7はフォトマスク6の周辺に存在するため、これらのパーツを避けて反射レーザー光検出器13Aを配置する必要がある。
一般に、膜厚をD(nm)、スペースの幅をW(nm)とすると、入射角がtan-1(W/2D)(度)を超えると入射光が膜材質A14の側壁に干渉し、反射レーザー光検出器13Aで検出されないため、入射角をこの値以下にすることが必要である。
図4は、黒欠陥部のエッチング工程が進行し、(1)〜(2)にかけて膜材質A14が除去されて行き、(3)に至って膜材質Aがエッチング除去されて、膜材質B15が露出した状況を示している。その間、レーザー光12は、エッチングされる部位に照射され続けている状況も示している。
上記では反射レーザー光の場合について説明したが、本発明のフォトマスクの欠陥検査方法と欠陥修正装置は、欠陥部に照射されたレーザー光が、欠陥部を透過した場合は、図1に示したように、透過レーザー光検出器13Bをフォトマスクの下部に配置しておくことにより、反射レーザー光の場合と同様に測定することができる。
市販の走査型電子顕微鏡に、レーザー光源と反射レーザー光検出器およびエッチング用のガスを導入するためのガスノズルを設置する改造を施すことで、本発明のマスク欠陥修正装置を作製した。このマスク欠陥修正装置に、欠陥を修正するためのフォトマスクを装着した。まず走査型電子顕微鏡として作動させ、修正する対象の黒欠陥の位置を確認し、その位置に対して、入射角45度で、波長200nm未満の真空紫外線領域のレーザー光が照射され、反射レーザー光検出器にレーザー光が受光されることを確認した。その次に、エッチング用ガスとしてフッ素系ガスを導入してエッチングを開始し、エッチングをしながらレーザー照射を実施し、その反射率を計測した結果を図6に示す。なお、図5はエッチング中の表面の粗さ変化を、(1)〜(4)に段階を踏んで、模式的に図示したものである。
図5と図6の(1)〜(2)に示したように、エッチング開始から500秒経過までは膜材質C16の表面が荒れて表面の粗さが増大し、乱反射が発生して反射率が低下し続けた。その後、(3)のように膜材質D17までエッチングが到達すると、膜材質の変化により反射率が急激に上昇した。これは、膜材質D17の表面がエッチングによって荒らされる前であり、膜材質D17の表面の粗さが小さいためである。エンドポイントは(3)によって判定されるが、今回は続けて膜材質Dのエッチングを続行すると、(4)のように膜材質D17の表面が荒れて、反射率が低下することが確認された。
上記に説明したように、図6の(3)の終わりで反射率が低下し始める時点を、エッチングが終了し、修正が完了した状態であると判定することができる。このフォトマスクの欠陥修正方法と欠陥修正装置を使用して製造したフォトマスクは、正確に欠陥部のエッチング処理を終了させることが可能となり、エッチングされる膜のサイドエッチングやガラス基板のオーバーエッチングを抑制することができ、フォトマスク修正後のパターン形状が良好である。
比較として、このレーザー光によるエンドポイント検出機構を使用せずに、同様にエッチングした際の2次電子量,2次イオン量および後方散乱電子量のシグナルを図7に示す。シグナルはエッチング開始から、オーバーエッチングを含めたエッチング終点までを示しているが、その間大きな変動は見られず、エッチングのエンドポイントを読み取ることは不可能である事が分かる。
本発明の欠陥修正方法は、エッチング工程のエンドポイントが検出し難い膜種類を修正する際の判定に高い効果を奏し、EBもしくはFIBもしくは、その他各種修正装置を用いた、フォトマスクの製造工程に用いる事が期待される。
1 … 電子銃
2 … 電子線
3 … コンデンサレンズ
4 … 対物レンズ
5 … 偏向器
6 … フォトマスク
7 … ガスノズル
8 … 2次電子
9 … 後方散乱電子
10 … 検出器
11 … レーザー光源
12 … レーザー光
13A… 反射レーザー光検出器
13B… 透過レーザー光検出器
14 … 膜材質A
15 … 膜材質B
16 … 膜材質C
17 … 膜材質D

Claims (1)

  1. フォトマスクのパターン形成時に発生する、膜の除去が不完全で不要なパターンが余剰に存在する黒欠陥と称される状態を解消するための欠陥修正方法において、
    フォトマスク基板の表面に残存する余剰膜である黒欠陥部分にアシストガスを吹き付けながら集束イオンビームまたは電子ビームを照射して、黒欠陥部分をガスアシストエッチングすることにより除去する際、
    前記エッチングと並行して、黒欠陥部分にレーザー光を照射し、フォトマスク基板からの反射光の強度を計測し、前記反射光の強度を経過時間に対してプロットする計測工程と、
    前記計測工程で得られた前記反射光強度の増減傾向から前記欠陥部のエッチング除去が完了したことを判定する判定工程を具備し
    照射するレーザー光は、波長200nm未満の真空紫外線領域のレーザー光であり、
    レーザー光の照射角度は45°以下であり、かつ、黒欠陥部分の存在する領域に入射するレーザー光および前記領域から反射するレーザー光が、前記領域周囲に存在する非欠陥部の膜材質による干渉を受けない範囲の角度であり、
    反射光強度の増減が、黒欠陥部分のガスアシストエッチング開始から反射率が低下し続けた後、反射率が急激に上昇した後、再び反射率が低下し始める時点を欠陥修正完了時点と判定することを特徴とするフォトマスクの欠陥修正方法。
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