ところで、放射性物質収納容器は、内部に高温である放射性廃棄物を収納した状態で架台上に設置されて支持されており、この状態で所定期間貯蔵し、放射性廃棄物の温度を低下させる。即ち、放射性物質収納容器は、内部の放射性廃棄物から熱が伝達され、外側の温度が上昇することから、この放射性物質収納容器を効率的に冷却する必要がある。
本発明は上述した課題を解決するものであり、放射性物質収納容器を長期間にわたって効率良く冷却することができる放射性物質収納容器用架台及びその製造方法並びに構造物を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の放射性物質収納容器用架台は、円筒形状をなす胴部の下部にこの胴部より小径の小径部が設けられる放射性物質収納容器を縦置き支持する放射性物質収納容器用架台であって、架台本体と、前記架台本体の上面部に設けられて前記小径部が貫入可能な筒状支持部と、前記架台本体の上面部であって前記筒状支持部の内側に設けられる断熱部と、前記筒状支持部に設けられて前記小径部に接触可能な伝熱面と前記小径部に接触しない放熱面とを有する冷却部と、を備えることを特徴とするものである。
従って、放射性物質収納容器は、小径部が筒状支持部に貫入して支持され、断熱部により小径部から架台本体の下部への伝熱が抑制される一方、小径部の熱が伝熱面から筒状支持部に伝わり、放熱面から外部に放出されることで、放射性物質収納容器が冷却されることとなり、この放射性物質収納容器を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記伝熱面は、前記筒状支持部の内周面に形成され、前記放熱面は、前記筒状支持部の上面及び外周面に形成されることを特徴としている。
従って、小径部の熱が伝熱面から筒状支持部に伝わり、筒状支持部の上面や外周面に形成された放熱面から大気に放出されることとなり、放射性物質収納容器を効率良く冷却することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記放熱面は、前記筒状支持部の外周面に波形形状に形成されるフィンを有することを特徴としている。
従って、放射性物質収納容器の熱を、筒状支持部を介して波形形状に形成されたフィンから効率良く大気に放出することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記放熱面は、前記筒状支持部の外周面に板形状に設けられる複数のフィンを有することを特徴としている。
従って、放射性物質収納容器の熱を、筒状支持部を介して板形状に設けられる複数のフィンから効率良く大気に放出することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記放熱面は、前記筒状支持部の外周面に溝形状に設けられる複数のフィンを有することを特徴としている。
従って、放射性物質収納容器の熱を、筒状支持部を介して溝形状に設けられる複数のフィンから効率良く大気に放出することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記冷却部は、前記架台本体または前記筒状支持部を冷却する冷却装置を有することを特徴としている。
従って、冷却装置により架台本体または筒状支持部を冷却することで、放射性物質収納容器を効率良く冷却することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記架台本体が上下に複数重ねて配置されることを特徴としている。
従って、架台本体を上下に複数重ねて配置することで、放熱面積を拡大して放射性物質収納容器を効率良く冷却することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記架台本体は、放射性物質収納容器の径より大きい幅に設定され、各端部に設けられる脚部により床面に設置されることを特徴としている。
従って、架台本体が放射性物質収納容器より大きい幅に設定され、各端部に設けられる脚部により床面に設置されることで、放熱面積を拡大して放射性物質収納容器を効率良く冷却することができると共に、架台本体と床面との間に空間部を確保することができ、放射性物質収納容器の冷却機能を向上することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記架台本体は、前記筒状支持部の内側に上下方向に沿う貫通孔が設けられ、前記貫通孔を閉塞するように前記断熱部が設けられることを特徴としている。
従って、架台本体における筒状支持部の内側に貫通孔を設けることで、不要な箇所を空間として使用する材料の量を減少して低コスト化を可能とすることができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記貫通孔は、段付部が設けられ、前記段付部に前記断熱部を構成する熱遮蔽部材が設けられることを特徴としている。
従って、貫通孔に設けられた段付部に熱遮蔽部材を設けることで、放射性物質収納容器用架台から床面に伝わる熱を効率的に低減することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台では、前記放熱面は、前記筒状支持部の外周面に周方向に沿って形成されるフィンを有することを特徴としている。
従って、放射性物質収納容器の熱を、筒状支持部を介して周方向に沿って形成されたフィンから効率良く大気に放出することができ、フィンが周方向に沿うことから水平方向に流れる冷却流れを適正に放熱面に導くことができる。
また、本発明の放射性物質収納容器用架台の製造方法は、上述した放射性物質収納容器用架台が鋳造により形成されることを特徴とするものである。
従って、切削などの機械加工を減少して製造コストの低減を可能とすることができる。また、放射性物質収納容器用架台の表面が鋳物肌になるため、伝熱面積が増えることで放熱効率を向上することができる。
また、本発明の構造物は、放射性物質収納容器が前記放射性物質収納容器用架台に支持されたことを特徴とするものである。
従って、放射性物質収納容器を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
本発明の放射性物質収納容器用架台及びその製造方法並びに構造物によれば、架台本体の上面部であって筒状支持部の内側に断熱部を設けると共に、小径部に接触可能な伝熱面と小径部に接触しない放熱面とを有する冷却部を設けるので、断熱部により小径部から架台本体への伝熱が抑制される一方、小径部の熱が伝熱面から筒状支持部に伝わり、放熱面から外部に放出されることで、放射性物質収納容器が冷却されることとなり、この放射性物質収納容器を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る放射性物質収納容器用架台及びその製造方法並びに構造物の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
図1は、本発明の実施例1に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台を表す断面図、図2は、実施例1のキャスク用架台の平面図、図3は、実施例1のキャスク用架台によるキャスクの支持構造を表す概略図、図4は、キャスクの一部断面概略図、図5は、キャスクの水平断面図、図6は、キャスクを貯蔵するための貯蔵施設を表す概略図である。
実施例1において、図4及び図5に示すように、放射性物質収納容器としてのキャスク11は、胴部12と蓋部13とから構成されている。胴部12は、胴本体21の一方、つまり、上部に開口部22が形成され、他方、つまり、下部に底部(閉塞部)23が形成された円筒形状をなしており、内部に放射性物質(例えば、使用済燃料集合体)を収納可能に構成されている。即ち、この胴本体21は、内部にキャビティ24が設けられ、このキャビティ24は、その内面がバスケット25の外周形状に合わせた形状となっている。そして、胴本体21は、下部に底部23が溶接により結合されており、この胴本体21及び底部23は、γ線遮蔽機能を有する炭素鋼製の鍛造品となっているが、炭素鋼の代わりにステンレス鋼を用いることもできる。また、球状黒鉛鋳鉄や炭素鋼鋳鋼などの鋳造品を用いることもできる。
キャスク11の内部に設けられるバスケット25は、使用済燃料集合体(図示略)を収納するセル26を構成する複数本の角パイプから構成されている。この角パイプは、アルミニウムまたはアルミニウム合金の粉末に中性子吸収性能をもつボロンまたはボロン化合物の粉末を添加したアルミニウム複合材またはアルミニウム合金により構成されている。また、中性子吸収材としては、ボロンの他にガドリニウムを用いることができる。
胴部12は、胴本体21の外周側に所定の隙間を開けて外筒27が配設されており、胴本体21の外周面と外筒27の内周面との間に、熱伝導を行う銅製の伝熱フィン28が周方向に等間隔で複数溶接されている。そして、胴部12は、胴本体21と外筒27との空間部に、水素を多く含有する高分子材料であって中性子遮蔽機能を有するボロンまたはボロン化合物を含有したレジン(第2中性子遮蔽体)29が流動状態で図示しないパイプ等を介して注入され、固化されている。この場合、伝熱フィン28は、放熱を均一に行うために熱量の多い部分に高い密度で設けるようにするのが好ましい。
また、胴部12は、底部23の下側に複数の連結板30により所定の隙間を開けて底板37が連結されており、この底部23と底板37との空間部にレジン(中性子遮蔽体)38が設けられている。
胴部12における胴本体21の開口部22を閉塞する蓋部13は、一次蓋31と二次蓋32によって構成されている。一次蓋31は、γ線を遮蔽するステンレス鋼または炭素鋼からなる円盤形状である。また、二次蓋32も、ステンレス鋼製または炭素鋼製の円盤形状であるが、その上面にレジン(中性子遮蔽体)33が封入されている。この一次蓋31及び二次蓋32は、ステンレス鋼製または炭素鋼製のボルト34により胴本体21の上端部に取付けられている。この場合、一次蓋31及び二次蓋32と胴本体21との間に、それぞれ図示しない金属ガスケットが介装され、内部の密封性を確保している。また、蓋部13の周囲には、レジン35を封入した補助遮蔽体36が設けられている。
また、胴部12は、胴本体21の上部の2箇所、下部の2箇所にキャスク11を吊上げるためのトラニオン41が設けられている。この場合、各トラニオン41は、胴本体21の上部に周方向に等間隔で設けられると共に、胴本体21の下部に周方向に等間隔で設けられている。キャスク11は、内部に使用済燃料集合体を収納した後、貯蔵施設(または、再処理施設)まで搬送されるが、このキャスク11の搬送時に、胴部12の上端部に取付けた補助遮蔽体36を取外し、キャスク11の上端部及び下端部に図示しない緩衝体を取付ける。この緩衝体は、ステンレス鋼材によって作成されたハウジング内にレッドウッド材などの緩衝材を組み込んだ構造となっている。また、キャスク11が貯蔵施設に搬入された後は、この緩衝体を取外し、後述する架台50を用いて起立状態で保管する。
図6に示すように、貯蔵施設101は、全体がコンクリート壁によって構成され、設置床102、天井壁103、複数の側壁104を有している。そして、設置床102は、その両側に多数の吸気口105が形成された換気塔106が設けられている。この貯蔵施設101は、内部にて、設置床102に固定された各架台50上にキャスク11が配置され、水平方向に複数所定間隔をおいて整列されている。各キャスク11は、前述したように、使用済の燃料集合体を収納している。また、貯蔵施設101は、一側に搬入用ゲート108を有する搬入用ピット109が設けられており、キャスク11は、運搬車両によりこの搬入用ピット109から貯蔵施設101内に搬入される。貯蔵施設101は、上部にキャスク移送用クレーン110が移動自在に設けられており、搬入用ピット109に搬入されたキャスク11は、このキャスク移送用クレーン110により移送され、所定の位置に配置される。
このように構成されたキャスク11は、図1から図3に示すように、設置床102に固定された架台50上に支持されている。この場合、キャスク11は、胴部12の下部にこの胴部12より小径の小径部12a(底板37及びレジン38)が設けられている。実施例1の架台50は、キャスク11の胴部12及び小径部12aを支持することで、キャスク11を安定して支持することができる。そして、キャスク11がこの架台50に支持された構造物となる。
即ち、架台50は、架台本体51と筒状支持部52と断熱部53とを有している。架台本体51は、所定の高さを有した矩形形状をなし、下面に複数の脚部54が固定されており、この各脚部54が設置床102に密着されることで設置され、架台本体51と設置床102との間に空間部Aが確保されている。
また、架台本体51は、上面部に筒状支持部52が一体に設けられている。この筒状支持部52は、所定の厚さ及び高さを有した円筒形状をなし、内側にキャスク11の小径部12aが貫入可能となっている。更に、架台本体51は、上面部であって筒状支持部52の内側に凹部55が形成され、この凹部55内に断熱材が充填されて断熱部53が形成されている。
そして、架台50は、筒状支持部52と断熱部53との間に小径部12aの下面を支持可能なリング形状をなす支持下面56と、筒状支持部52の内側に設けられて小径部12aの外面を支持可能なリング形状をなす支持側面57を有している。支持下面56は、架台本体51の上面部に略水平方向に沿って形成され、断熱部53の上面と略同一面上に位置しているが、断熱部53の上面より若干上方に設けてもよい。支持側面57は、筒状支持部52の内周面に略鉛直方向に沿って形成され、支持下面56に対して略直角(90度)をなしている。
この場合、筒状支持部52の内径R1が小径部12aの外径より若干大きい径に設定されて隙間が確保されることで、小径部12aが筒状支持部52に貫入可能となっている。また、断熱部53の外径R2が筒状支持部52の内径R1より小さい径に設定されることで、筒状支持部52と断熱部53との間に所定幅Wを有するリング形状の支持下面56が形成されている。
更に、筒状支持部52は、外周側の高さH1より内周側の高さ、つまり、支持側面57の高さH2が高く設定されており、この支持側面57の高さH2は、小径部12aの高さH3より低く設定されている。そのため、胴部12の下面と筒状支持部52の上面58との間に縦方向隙間Sが確保されている。この縦方向隙間Sは、筒状支持部52の高さH1,H2や小径部12aの高さH3より小さい高さに設定されている。そして、この縦方向隙間Sは、キャスク11の熱伸び、設計誤差、製造誤差、組付誤差などを考慮して設定され、胴部12の下面が筒状支持部52の上面58に接触せずに、支持下面56が小径部12aの下面を確実に支持できるものとしている。
本実施例では、キャスク11が架台50に支持されるとき、筒状支持部52の支持側面57が小径部12aの外面に接触することから、この支持側面57が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスク11が架台50に支持されるとき、筒状支持部52の上面58が胴部12の下面と接触せずに縦方向隙間Sが確保されていることから、この上面58が本発明の放熱面として機能する。更に、筒状支持部52は、外周面59がキャスク11に接触していないことから、この外周面59も本発明の放熱面として機能する。そして、この伝熱面としての支持側面57と放熱面としての上面58及び外周面59により、本発明の冷却部が構成される。
架台50がこのような形状及び寸法に設定されていることから、キャスク11がこの架台50に支持されたとき、小径部12aが筒状支持部52の内側に貫入することとなる。このとき、キャスク11は、小径部12aの下面の外側が架台本体51の支持下面56により支持されると共に、小径部12aの外周面が筒状支持部52の支持側面57により支持される。そして、小径部12aの外周面が支持側面57に接触する一方、胴部12の下面と筒状支持部52の上面58との間に縦方向隙間Sが確保されている。そのため、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面57を介して架台50の筒状支持部52に伝わり、上面58及び外周面59を介して大気に放出される。
このように実施例1のキャスク用架台にあっては、架台本体51と、架台本体51の上面部に設けられて小径部12aが貫入可能な筒状支持部52と、架台本体51の上面部であって筒状支持部52の内側に設けられる断熱部53と、筒状支持部52に設けられて小径部12aに接触可能な伝熱面としての支持側面57と小径部12aに接触しない放熱面としての上面58とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスク11は、小径部12aが筒状支持部52に貫入して支持され、断熱部53により小径部12aから架台本体51の下部への伝熱が抑制される一方、小径部12aの熱が支持側面57から筒状支持部52に伝わり、上面58から外部に放出されることで、キャスク11が周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスク11を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
実施例1のキャスク用架台では、放熱面として筒状支持部52の上面58及び外周面59を設けている。従って、小径部12aの熱が支持側面57から筒状支持部52に伝わり、筒状支持部52の上面58及び外周面59から大気に放出されることとなり、キャスク11を効率良く冷却することができる。
なお、上述の実施例では、筒状支持部52を円筒形状としたが、この形状に限定されるものではない。図7及び図8は、実施例1のキャスク用架台の変形例を表す平面図である。
図7に示すように、架台60は、架台本体61と筒状支持部62と断熱部63とを有している。ここで、架台本体61及び断熱部63は、架台本体51及び断熱部53と同様に構成されている。筒状支持部62は、弧状をなす複数(ここでは、4個)の湾曲壁62a,62b,62c,62dが同心円状に配置されて構成されている。この場合、分割数は、4個に限るものではない。
また、図8に示すように、架台70は、架台本体71と筒状支持部72と断熱部73とを有している。ここで、架台本体71及び断熱部73は、架台本体51及び断熱部53と同様に構成されている。筒状支持部72は、円柱形状をなす複数(ここでは、16個)の支持柱72a,72b,72c,72dが同心円状に配置されて構成されている。この場合、分割数は、16個に限るものではなく、支持柱72a,72b,72c,72dの形状も円柱形状に限るものではない。
この場合、架台60,70は、架台50と同様に、小径部12aの下面を支持可能なリング形状をなす支持下面66,76と、小径部12aの外面を支持可能なリング形状をなす支持側面67,77を有している。そして、支持側面67,77が本発明の伝熱面として機能し、上面68,78及び外周面69,79が本発明の放熱面として機能する。
図9は、本発明の実施例2に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台の平面図、図10は、実施例2のキャスク用架台の斜視図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例2において、図9及び図10に示すように、架台200は、架台本体201と筒状支持部202と断熱部203とを有している。架台本体201は、下面に複数の脚部204が固定されている。また、架台本体201は、上面部に筒状支持部202が一体に設けられており、この筒状支持部202は、内側にキャスクの小径部が貫入可能となっている。更に、架台本体201は、筒状支持部202の内側に凹部205が形成され、この凹部205内に断熱材が充填されて断熱部203が形成されている。
そして、架台200は、筒状支持部202と断熱部203との間に小径部の下面を支持可能なリング形状をなす支持下面206と、筒状支持部202の内側に設けられて小径部の外面を支持可能なリング形状をなす支持側面207を有している。
本実施例では、キャスクが架台200に支持されるとき、筒状支持部202の支持側面207が小径部の外面に接触することから、この支持側面207が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスクが架台200に支持されるとき、筒状支持部202の上面208が胴部の下面と接触せずに縦方向隙間が確保されることから、この上面208が本発明の放熱面として機能する。更に、筒状支持部202は、外周面に波形形状をなすフィン209が形成されており、このフィン209により空気との接触面積が筒状支持部202と比べて増加することにより、本発明の放熱面として機能する。そして、この伝熱面としての支持側面207と放熱面としての上面208及びフィン209により、本発明の冷却部が構成される。
なお、その他の構成については、実施例1と同様である。
そのため、キャスクがこの架台200に支持されたとき、小径部が筒状支持部202の内側に貫入することとなる。このとき、キャスクは、小径部の下面が架台本体201の支持下面206により支持されると共に、小径部の外周面が筒状支持部202の支持側面207に支持される。そして、小径部の外周面が支持側面207に接触する一方、胴部の下面と筒状支持部202の上面208との間に縦方向隙間が確保されている。そのため、キャスクの熱は架台200を直線的に、設置床に伝わることを避け、小径部から支持側面207を介して架台200の筒状支持部202に伝わり、上面208及びフィン209を介して、伝達経路上のすべての部位で大気に放出される。
このように実施例2のキャスク用架台にあっては、架台本体201と筒状支持部202と断熱部203とを設けると共に、筒状支持部202に設けられて小径部に接触可能な伝熱面としての支持側面207と小径部に接触しない放熱面としての上面208及びフィン209とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスクは、小径部が筒状支持部202に貫入して支持され、断熱部203により小径部から架台本体201の下部への伝熱が抑制される一方、小径部の熱が支持側面207から筒状支持部202に伝わり、上面208及びフィン209から外部に放出されることで、キャスクが周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスクを長期間にわたって効率良く冷却することができる。
この場合、筒状支持部202の外周面に波形形状をなすフィン209を形成することで、筒状支持部202は、大気と接触する放熱面積が大きくなり、このフィン209から効率良く大気に放熱することができる。また、筒状支持部202は、外周面に波形形状をなすフィン209が一体に形成されることで、曲げ剛性が高くなり、重量物であるキャスクを確実に支持し、転倒防止能力を向上することができる。
図11は、本発明の実施例3に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台の平面図、図12は、実施例3のキャスク用架台の斜視図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例3において、図11及び図12に示すように、架台210は、架台本体211と筒状支持部212と断熱部213とを有している。架台本体211は、下面に複数の脚部214が固定されている。また、架台本体211は、上面部に筒状支持部212が一体に設けられており、この筒状支持部212は、内側にキャスクの小径部が貫入可能となっている。更に、架台本体211は、筒状支持部212の内側に凹部215が形成され、この凹部215内に断熱材が充填されて断熱部213が形成されている。
そして、架台210は、筒状支持部212と断熱部213との間に小径部の下面を支持可能なリング形状をなす支持下面216と、筒状支持部212の内側に設けられて小径部の外面を支持可能なリング形状をなす支持側面217を有している。
本実施例では、キャスクが架台210に支持されるとき、筒状支持部212の支持側面217が小径部の外面に接触することから、この支持側面217が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスクが架台210に支持されるとき、筒状支持部212の上面218が胴部の下面と接触せずに縦方向隙間が確保されることから、この上面218が本発明の放熱面として機能する。更に、筒状支持部212は、外周面に板形状をなすフィン219が形成されており、このフィン219も本発明の放熱面として機能する。この場合、板形状をなすフィン219を多数製造しておき、溶接により筒状支持部212の外周面に周方向に均等間隔で固定すればよい。そして、この伝熱面としての支持側面217と放熱面としての上面218及びフィン219により、本発明の冷却部が構成される。
なお、その他の構成については、実施例1と同様である。
そのため、キャスクがこの架台210に支持されたとき、小径部が筒状支持部212の内側に貫入することとなる。このとき、キャスクは、小径部の下面が架台本体211の支持下面216により支持されると共に、小径部の外周面が筒状支持部212の支持側面217に支持される。そして、小径部の外周面が支持側面217に接触する一方、胴部の下面と筒状支持部212の上面218との間に縦方向隙間が確保されている。そのため、キャスクの熱は、小径部から支持側面217を介して架台210の筒状支持部212に伝わり、上面218及びフィン219を介して大気に放出される。
このように実施例3のキャスク用架台にあっては、架台本体211と筒状支持部212と断熱部213とを設けると共に、筒状支持部212に設けられて小径部に接触可能な伝熱面としての支持側面217と小径部に接触しない放熱面としての上面218及びフィン219とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスクは、小径部が筒状支持部212に貫入して支持され、断熱部213により小径部から架台本体211の下部への伝熱が抑制される一方、小径部の熱が支持側面217から筒状支持部212に伝わり、上面218及びフィン219から外部に放出されることで、キャスクが周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスクを長期間にわたって効率良く冷却することができる。
この場合、筒状支持部212の外周面に板形状をなすフィン219を形成することで、筒状支持部212は、大気と接触する放熱面積が大きくなり、このフィン219から効率良く大気に放熱することができる。
図13は、本発明の実施例4に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台の斜視図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例4において、図13に示すように、架台220は、架台本体221と筒状支持部222と断熱部223とを有している。架台本体221は、下面に複数の脚部224が固定されている。また、架台本体221は、上面部に筒状支持部222が一体に設けられており、この筒状支持部222は、内側にキャスクの小径部が貫入可能となっている。更に、架台本体221は、筒状支持部222の内側に凹部225が形成され、この凹部225内に断熱材が充填されて断熱部223が形成されている。
そして、架台220は、筒状支持部222と断熱部223との間に小径部の下面を支持可能なリング形状をなす支持下面226と、筒状支持部222の内側に設けられて小径部の外面を支持可能なリング形状をなす支持側面227を有している。
本実施例では、キャスクが架台220に支持されるとき、筒状支持部222の支持側面227が小径部の外面に接触することから、この支持側面227が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスクが架台220に支持されるとき、筒状支持部222の上面228が胴部の下面と接触せずに縦方向隙間が確保されることから、この上面228が本発明の放熱面として機能する。更に、筒状支持部222は、外周面に溝形状をなすフィン229が形成されており、このフィン229も本発明の放熱面として機能する。この場合、円筒形状をなす筒状支持部222の外周面に上下方向に沿う溝を周方向に均等間隔で形成することで、フィン229を形成している。そして、この伝熱面としての支持側面227と放熱面としての上面228及びフィン229により、本発明の冷却部が構成される。
なお、その他の構成については、実施例1と同様である。
そのため、キャスクがこの架台220に支持されたとき、小径部が筒状支持部222の内側に貫入することとなる。このとき、キャスクは、小径部の下面が架台本体221の支持下面226により支持されると共に、小径部の外周面が筒状支持部222の支持側面227に支持される。そして、小径部の外周面が支持側面227に接触する一方、胴部の下面と筒状支持部222の上面228との間に縦方向隙間が確保されている。そのため、キャスクの熱は、小径部から支持側面227を介して架台220の筒状支持部222に伝わり、上面228及びフィン229を介して大気に放出される。
このように実施例4のキャスク用架台にあっては、架台本体221と筒状支持部222と断熱部223とを設けると共に、筒状支持部222に設けられて小径部に接触可能な伝熱面としての支持側面227と小径部に接触しない放熱面としての上面228及びフィン229とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスクは、小径部が筒状支持部222に貫入して支持され、断熱部223により小径部から架台本体221の下部への伝熱が抑制される一方、小径部の熱が支持側面227から筒状支持部222に伝わり、上面228及びフィン229から外部に放出されることで、キャスクが周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスクを長期間にわたって効率良く冷却することができる。
この場合、筒状支持部222の外周面に溝形状をなすフィン229を形成することで、筒状支持部222は、大気と接触する放熱面積が大きくなり、このフィン229から効率良く大気に放熱することができる。そして、筒状支持部222の外周面に溝を加工するだけでフィン229を形成することができ、加工性を向上することができると共に、加工コストを低減することができる。
図14は、本発明の実施例5に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台の斜視図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例5において、図14に示すように、架台230は、架台本体231と筒状支持部232と断熱部233とを有している。架台本体231は、下面に複数の脚部234が固定されている。また、架台本体231は、上面部に筒状支持部232が一体に設けられており、この筒状支持部232は、内側にキャスクの小径部が貫入可能となっている。更に、架台本体231は、筒状支持部232の内側に凹部235が形成され、この凹部235内に断熱材が充填されて断熱部233が形成されている。
そして、架台230は、筒状支持部232と断熱部233との間に小径部の下面を支持可能なリング形状をなす支持下面236と、筒状支持部232の内側に設けられて小径部の外面を支持可能なリング形状をなす支持側面237を有している。
本実施例では、キャスクが架台230に支持されるとき、筒状支持部232の支持側面237が小径部の外面に接触することから、この支持側面237が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスクが架台230に支持されるとき、筒状支持部232の上面238が胴部の下面と接触せずに縦方向隙間が確保されることから、この上面238が本発明の放熱面として機能する。そして、この伝熱面としての支持側面237と放熱面としての上面238により、本発明の冷却部が構成される。
また、架台230は、架台本体231(または、筒状支持部232)を冷却する冷却装置(冷却部)239が設けられている。この冷却装置239は、架台本体231の上面における四隅に配置されており、この架台本体231(または、筒状支持部232)を冷却することができる。また、冷却装置239は、架台本体231の一隅に配置してもよい。この冷却装置239としては、例えば、冷却ファン、冷却配管、ヒートパイプ、熱電素子(ペルティエ素子など)などを適用すればよい。
なお、その他の構成については、実施例1と同様である。
そのため、キャスクがこの架台230に支持されたとき、小径部が筒状支持部232の内側に貫入することとなる。このとき、キャスクは、小径部の下面が架台本体231の支持下面236により支持されると共に、小径部の外周面が筒状支持部232の支持側面237に支持される。そして、小径部の外周面が支持側面237に接触する一方、胴部の下面と筒状支持部232の上面238との間に縦方向隙間が確保されている。そのため、キャスクの熱は、小径部から支持側面237を介して架台230の筒状支持部232に伝わり、上面238から大気に放出される。また、このとき、冷却装置239を作動することで、架台本体231(または、筒状支持部232)を強制的に冷却する。
このように実施例5のキャスク用架台にあっては、架台本体231と筒状支持部232と断熱部233とを設けると共に、筒状支持部232に設けられて小径部に接触可能な伝熱面としての支持側面237と小径部に接触しない放熱面としての上面238と、架台本体231または筒状支持部232を冷却する冷却装置239を有する冷却部とを設けている。
従って、キャスクは、小径部が筒状支持部232に貫入して支持され、断熱部233により小径部から架台本体231の下部への伝熱が抑制される一方、小径部の熱が支持側面237から筒状支持部232に伝わり、上面238から外部に放出されると共に、冷却装置239により架台本体231や筒状支持部232が冷却されることで、キャスクが周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスクを長期間にわたって効率良く冷却することができる。
図15は、本発明の実施例6に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台によるキャスクの支持構造を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例6において、図15に示すように、架台240は、複数の架台本体241と筒状支持部242と断熱部243とを有している。架台本体241は、下面に複数の脚部244が固定されており、上下に複数(本実施例では、2個)重ねて配置されている。そして、上方の架台本体241は、上面部に筒状支持部242が一体に設けられており、この筒状支持部242は、内側にキャスク11の小径部12aが貫入可能となっている。また、架台本体241は、筒状支持部242の内側に凹部245が形成され、この凹部245内に断熱材が充填されて断熱部243が形成されている。
そして、架台240は、筒状支持部242と断熱部243との間に小径部の下面を支持可能なリング形状をなす支持下面246と、筒状支持部242の内側に設けられて小径部の外面を支持可能なリング形状をなす支持側面247を有している。
本実施例では、キャスク11が架台240に支持されるとき、筒状支持部242の支持側面247が小径部の外面に接触することから、この支持側面247が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスク11が架台240に支持されるとき、筒状支持部242の上面248が胴部12の下面と接触せずに縦方向隙間が確保されることから、この上面248が本発明の放熱面として機能する。そして、この伝熱面としての支持側面247と放熱面としての上面248により、本発明の冷却部が構成される。
なお、その他の構成については、実施例1と同様である。
そのため、キャスク11がこの架台240に支持されたとき、小径部12aが筒状支持部242の内側に貫入することとなる。このとき、キャスク11は、小径部12aの下面が架台本体241の支持下面246により支持されると共に、小径部12aの外周面が筒状支持部242の支持側面247に支持される。そして、小径部12aの外周面が支持側面247に接触する一方、胴部12の下面と筒状支持部242の上面248との間に縦方向隙間が確保されている。そのため、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面247を介して架台240の筒状支持部242に伝わり、上面248や外周面から大気に放出される。
また、キャスク11の小径部12aを支持する筒状支持部242は、2個の架台本体241を介して設置床102に設置されている。そのため、2個の架台本体241が放熱部として機能することとなり、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面247を介して架台240の筒状支持部242に伝わり、2個の架台本体241から大気に放出される。
このように実施例6のキャスク用架台にあっては、架台本体241と筒状支持部242と断熱部243とを設けると共に、複数の架台本体241を上下に複数重ねて配置し、筒状支持部242に設けられて小径部12aに接触可能な伝熱面としての支持側面247と小径部12aに接触しない放熱面としての上面248とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスク11は、小径部12aが筒状支持部242に貫入して支持され、断熱部243により小径部12aから架台本体241の下部への伝熱が抑制される一方、小径部12aの熱が支持側面247から筒状支持部242に伝わり、上面248から外部に放出されることで、キャスク11が周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスク11を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
また、2個の架台本体241を上下に重ね、上部の架台本体241に筒状支持部242を設けており、2個の架台本体241により放熱面積を拡大してキャスク11を効率良く冷却することができる。
図16は、本発明の実施例7に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台によるキャスクの支持構造を表す概略図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例7において、図16に示すように、架台250は、複数の架台本体251と筒状支持部252と断熱部253とを有している。架台本体251は、下面の四隅(端部)にそれぞれ脚部254が固定されており、キャスク11の径より大きい幅に設定されている。そして、架台本体251は、上面部に筒状支持部252が一体に設けられており、この筒状支持部252は、内側にキャスク11の小径部12aが貫入可能となっている。また、架台本体251は、筒状支持部252の内側に凹部255が形成され、この凹部255内に断熱材が充填されて断熱部253が形成されている。
そして、架台250は、筒状支持部252と断熱部253との間に小径部12aの下面を支持可能なリング形状をなす支持下面256と、筒状支持部252の内側に設けられて小径部12aの外面を支持可能なリング形状をなす支持側面257を有している。
本実施例では、キャスク11が架台250に支持されるとき、筒状支持部252の支持側面257が小径部12aの外面に接触することから、この支持側面257が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスク11が架台250に支持されるとき、筒状支持部252の上面258が胴部12の下面と接触せずに縦方向隙間が確保されることから、この上面258が本発明の放熱面として機能する。そして、この伝熱面としての支持側面257と放熱面としての上面258により、本発明の冷却部が構成される。
なお、その他の構成については、実施例1と同様である。
そのため、キャスク11がこの架台250に支持されたとき、小径部12aが筒状支持部252の内側に貫入することとなる。このとき、キャスク11は、小径部12aの下面が架台本体251の支持下面256により支持されると共に、小径部12aの外周面が筒状支持部252の支持側面257に支持される。そして、小径部12aの外周面が支持側面257に接触する一方、胴部12の下面と筒状支持部252の上面258との間に縦方向隙間が確保されている。そのため、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面257を介して架台250の筒状支持部252に伝わり、上面258や外周面から大気に放出される。
また、キャスク11の小径部12aを支持する筒状支持部252は、幅広の架台本体251に固定され、四隅にある4個の脚部254により設置床102に設置されている。そのため、幅広の架台本体251が放熱部として機能することとなり、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面257を介して架台250の筒状支持部252に伝わり、架台本体251から大気に放出される。
このように実施例7のキャスク用架台にあっては、架台本体251と筒状支持部252と断熱部253とを設けると共に、幅広の架台本体251を配置し、筒状支持部252に設けられて小径部12aに接触可能な伝熱面としての支持側面257と小径部12aに接触しない放熱面としての上面258とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスク11は、小径部12aが筒状支持部252に貫入して支持され、断熱部253により小径部12aから架台本体251の下部への伝熱が抑制される一方、小径部12aの熱が支持側面257から筒状支持部252に伝わり、上面258から外部に放出されることで、キャスク11が周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスク11を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
また、幅広の架台本体251は、下面の四隅に脚部254を設けて設置床102に設置し、上部に筒状支持部252を設けてキャスク11を支持しており、架台本体251により放熱面積を拡大してキャスク11を効率良く冷却することができると共に、架台本体251と設置床102との間に大きな空間部Aを確保することができ、キャスク11の冷却機能を向上することができる。
図17は、本発明の実施例8に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台を表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例8において、図17に示すように、キャスク11は、設置床102に固定された架台260上に支持されている。この架台260は、キャスク11の胴部12及び小径部12aを支持することで、キャスク11を安定して支持することができる。そして、キャスク11がこの架台260に支持された構造物となる。
即ち、架台260は、架台本体261と筒状支持部262と断熱部263とを有している。架台本体261は、所定の高さを有した矩形形状をなし、下面に複数の脚部264が固定されており、この各脚部264が設置床102に密着されることで設置され、架台本体261と設置床102との間に空間部Aが確保されている。
また、架台本体261は、上面部に筒状支持部262が一体に設けられている。この筒状支持部262は、所定の厚さ及び高さを有した円筒形状をなし、内側にキャスク11の小径部12aが貫入可能となっている。更に、架台本体261は、筒状支持部262の内側に上下方向に貫通する貫通孔265が形成されている。そして、架台260は、筒状支持部262と貫通孔265との間に小径部12aの下面を支持可能なリング形状をなす支持下面266と、筒状支持部262の内側に設けられて小径部12aの外面を支持可能なリング形状をなす支持側面267を有している。
更に、貫通孔265は、上端部に支持下面266の内側に位置して段付部265aが形成され、この段付部265aに貫通孔265を閉塞するように断熱部263を構成する熱遮蔽部材が配置されている。この場合、断熱部(熱遮蔽部材)263は、上面部が支持下面266より下方に位置しており、架台本体261にキャスク11が設置されて下面が支持下面266に支持されたとき、キャスク11と断熱部(熱遮蔽部材)263との間に隙間が確保されるようになっている。そして、この隙間を設けることで、断熱部(熱遮蔽部材)263へのキャスク11からの熱伝導を防止し、架台260の下方における温度上昇を防止することができる。
ところで、本実施例の架台260は、鋳造により形成されている。図示しない上下2つ割りの鋳型内に溶融した材料を入れて冷却した後、鋳型を取外すことで架台260を製造することができる。但し、架台260を鋳造した後、少なくとも支持下面266や脚部264を切削加工する必要がある。架台260を鋳造により形成することで、切削などの機械加工を減少して製造コストの低減を可能とすることができる。また、架台260の表面が鋳物肌になるため、伝熱面積が増えることで放熱効率を向上することができる。
本実施例では、キャスク11が架台260に支持されるとき、筒状支持部262の支持側面267が小径部12aの外面に接触することから、この支持側面267が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスク11が架台260に支持されるとき、筒状支持部262の上面268が胴部12の下面と接触せずに縦方向隙間Sが確保されていることから、この上面268が本発明の放熱面として機能する。更に、筒状支持部262は、外周面269がキャスク11に接触していないことから、この外周面269も本発明の放熱面として機能する。そして、この伝熱面としての支持側面267と放熱面としての上面268及び外周面269により、本発明の冷却部が構成される。
そのため、キャスク11がこの架台260に支持されたとき、小径部12aが筒状支持部262の内側に貫入することとなる。このとき、キャスク11は、小径部12aの下面の外側が架台本体261の支持下面266により支持されると共に、小径部12aの外周面が筒状支持部262の支持側面267により支持される。そして、小径部12aの外周面が支持側面267に接触する一方、胴部12の下面と筒状支持部262の上面268との間に縦方向隙間Sが確保されている。そのため、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面267を介して架台260の筒状支持部262に伝わり、上面268及び外周面269を介して大気に放出される。また、架台260は、中央部に断熱部(熱遮蔽部材)263が設けられていることから、キャスク11からの輻射熱を低減し、設置床102の高温化が防止される。
このように実施例8のキャスク用架台にあっては、架台本体261における筒状支持部262の内側に上下方向に沿う貫通孔265を設け、この貫通孔265を閉塞するように断熱部(熱遮蔽部材)263を設けている。
従って、架台本体261における筒状支持部262の内側に貫通孔265を設けることで、不要な箇所を空間として使用する材料の量を減少し、低コスト化を可能とすることができる。また、この貫通孔265を断熱部(熱遮蔽部材)263により閉塞することで、キャスク11から下方への輻射熱を低減し、設置床102の高温化を防止することができる。
実施例8のキャスク用架台では、貫通孔265に段付部265aを設け、この段付部265aに断熱部(熱遮蔽部材)263を配置している。従って、架台260から床面に伝わる熱を効率的に低減することができる。
また、実施例8のキャスク用架台にあっては、この架台260を鋳造により形成している。従って、切削などの機械加工を減少して製造コストの低減を可能とすることができる。
図18は、本発明の実施例9に係る放射性物質収納容器用架台としてのキャスク用架台を表す断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
実施例9において、図18に示すように、架台270は、架台本体271と筒状支持部272と断熱部273とを有している。架台本体271は、下面に複数の脚部274が固定されている。また、架台本体271は、上面部に筒状支持部272が一体に設けられており、この筒状支持部272は、内側にキャスク11の小径部12aが貫入可能となっている。更に、架台本体271は、筒状支持部272の内側に貫通孔275が形成され、この貫通孔275内における段付部275aに断熱部(熱遮蔽部材)273が配置されている。
そして、架台270は、筒状支持部272と断熱部273との間に小径部12aの下面を支持可能なリング形状をなす支持下面276と、筒状支持部272の内側に設けられて小径部の外面を支持可能なリング形状をなす支持側面277を有している。
本実施例では、キャスク11が架台270に支持されるとき、筒状支持部272の支持側面277が小径部12aの外面に接触することから、この支持側面277が本発明の伝熱面として機能する。また、キャスク11が架台270に支持されるとき、筒状支持部272の上面278が胴部12の下面と接触せずに縦方向隙間Sが確保されることから、この上面278が本発明の放熱面として機能する。更に、筒状支持部272は、外周面に周方向に沿って板形状をなすフィン279が形成されており、このフィン279も本発明の放熱面として機能する。この場合、フィン279は、リング形状をなし、上下方向に所定の隙間をあけて複数(本実施例では、3個)設けられている。但し、このフィン279は、周方向に連続したリング形状に限らず、切欠を設けたり、複数断続的に設けたりしてもよい。そして、この伝熱面としての支持側面277と放熱面としての上面278及びフィン279により、本発明の冷却部が構成される。
なお、その他の構成については、実施例8と同様である。
そのため、キャスク11がこの架台270に支持されたとき、小径部12aが筒状支持部272の内側に貫入することとなる。このとき、キャスク11は、小径部12aの下面が架台本体271の支持下面276により支持されると共に、小径部12aの外周面が筒状支持部272の支持側面277に支持される。そして、小径部12aの外周面が支持側面277に接触する一方、胴部12の下面と筒状支持部272の上面278との間に縦方向隙間Sが確保されている。そのため、キャスク11の熱は、小径部12aから支持側面277を介して架台270の筒状支持部272に伝わり、上面278及びフィン279を介して大気に放出される。
このように実施例9のキャスク用架台にあっては、架台本体271と筒状支持部272と断熱部273とを設けると共に、筒状支持部272に設けられて小径部12aに接触可能な伝熱面としての支持側面277と小径部12aに接触しない放熱面としての上面278及びフィン279とを有する冷却部とを設けている。
従って、キャスク11は、小径部12aが筒状支持部272に貫入して支持され、断熱部273により小径部12aから架台本体271の下部への伝熱が抑制される一方、小径部12aの熱が支持側面277から筒状支持部272に伝わり、上面278及びフィン279から外部に放出されることで、キャスク11が周方向で均一に冷却されることとなり、このキャスク11を長期間にわたって効率良く冷却することができる。
この場合、筒状支持部272の外周面に周方向に沿うフィン279を形成することで、筒状支持部272は、大気と接触する放熱面積が大きくなり、このフィン279から効率良く大気に放熱することができる。また、フィン279が周方向に沿うことから、水平方向に流れる冷却流れがフィン279の一部に邪魔されずに、筒状支持部272における全周のフィン279に流れやすくなり、キャスク11を効率良く冷却することができる。