JP6276097B2 - 測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、移動端末から受信した通信信号の到来時間に基づいて、当該移動端末の位置を推定する技術に関する。
従来、いわゆるスマートフォン等の携帯通信端末と、車両に搭載された車両制御装置との間で無線通信を行うことで、ドアの施解錠やエンジン始動を行う電子キーシステムが提案されている。この種の電子キーシステムでは、スマートフォン等の携帯通信端末に普及しているBluetoothやBluetooth Low Energy(Bluetoothは登録商標)等の近距離無線通信を用いて、携帯通信端末と車両との間で通信を行うものがある。
また、携帯通信端末が車両に対して所定距離まで接近したことを条件にドアの施解錠を許可するといった具合に、携帯通信端末と車両との位置関係に基づいて制御を行うサービスが検討されている。この種のサービスでは、車両と携帯通信端末との位置関係を特定するために、TOA(Time Of Arrival)や、TDOA(Time Difference Arrival)等に基づく位置特定方法が利用される。TOAやTDOAに基づく位置特定方法は、被測定対象から受信した通信信号の到来時間を測定することにより、被測定対象との相対位置を特定する技術である。
また、無線通信信号を用いた位置推定方法として、非特許文献1に記載の技術が知られている。非特許文献1には、被非測定系である送信機から送信された通信信号を、測定系である受信機側の4つのアンテナでそれぞれ受信したときのアンテナ間遅延時間を測定し、受信機に対する送信機の相対位置を推定する技術が記載されている。
非特許文献1に記載のシステムでは、受信機は、送信された通信信号を複数の(例えば、4つ)アンテナで受信し、各アンテナの復調回路でそれぞれベースバンド信号に復調した上で、各アンテナ間の遅延時間差を得る。
森谷潤一郎、長谷川孝明、田中祐一、清水聡「2.4GHz帯無線信号を用いた逆GPS方式位置特定システム」、電子情報通信学会論文誌A、vol.J19-A、No.1、pp.130−138 (2008)
非特許文献1に記載のシステムでは、各アンテナの受信回路ごとに受信した通信信号を復調する復調回路が介在する。このような構成であると、復調回路の環境や経時による特性変化に起因して、各アンテナの受信回路ごとに伝搬遅延時間のばらつきが生じるおそれがある。そのため、各アンテナで受信した通信信号が復調回路を経て時間測定部に到達するまでの遅延時間が不均等になり、アンテナ間遅延時間を測定するにあたって、誤差が生じてしまう。
本発明は上記問題を鑑みてなされたものである。本発明の目的は、各アンテナの受信回路ごとの伝搬遅延時間のばらつきの影響を排除し、位置推定の精度を向上させるための技術を提供することである。
本発明の測定システムは、無線通信手段と、複数のアンテナと、遅延手段と、測定パルス生成手段と、基準パルス発生手段と、測定手段とを備える。無線通信手段は、移動通信端末との間で所定の近距離無線通信を行う。複数のアンテナは、それぞれ既知の位置に配置され、無線通信手段による通信において移動通信端末から送信された通信信号を受信する。遅延手段は、複数のアンテナで受信された各通信信号を所定の遅延時間ずつ順次遅延させて伝搬させる。測定パルス生成手段は、遅延手段により遅延された各アンテナの通信信号を順次復調して、各アンテナに対応する時間測定用のパルス列を生成する。基準パルス発生手段は、移動通信端末から通信信号を受信するタイミングに合わせて、遅延手段が与える遅延時間に対応する所定の時間間隔で各アンテナに対応する基準パルス列を発生する。測定手段は、測定パルス生成手段により生成された各アンテナに対応するパルス列と、基準パルス発生手段により発生された各アンテナに対応する基準パルスとの時間差に基づいて、各アンテナが受信した通信信号の到来時間を測定する。
本発明によれば、複数のアンテナで受信された各通信信号を順次遅延させる仕組みを適用したことで、複数のアンテナに対して復調回路(測定パルス生成手段)を1つに共通化している。このように、温度や経時による特性変化の影響を受けやすい回路部分を共通化したことで、各アンテナで受信した通信信号が測定手段に到達するまでの時間遅れが均等になる。したがって、電波の到来時間差を測定するにあたって、回路部分での伝搬時間のばらつきに起因する誤差を排除でき、測位の精度を向上できる。
第1実施形態の電子キーシステムの全体構成を表すブロック図。 アンテナの配置状況を表す説明図。 第1実施形態の変形例を表す説明図。 第2実施形態の電子キーシステムの全体構成を表すブロック図。 第3実施形態の電子キーシステムの全体構成を表すブロック図。 第4実施形態の電子キーシステムの全体構成を表すブロック図。 遅延誤差測定処理(第4実施形態)の手順を表すフローチャート。 測位処理(第4実施形態)の手順を表すフローチャート。 第5実施形態の電子キーシステムの全体構成を表すブロック図。 第6実施形態の電子キーシステムの全体構成を表すブロック図。 遅延誤差測定処理(第6実施形態)の手順を表すフローチャート。 測位処理(第6実施形態)の手順を表すフローチャート。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく様々な態様にて実施することが可能である。
[第1実施形態]
(電子キーシステム1aの構成の説明)
第1実施形態の電子キーシステム1aの構成について、図1を参照しながら説明する。電子キーシステム1aは、車両に搭載される車両制御装置であり、車載ECU2a及び車載ECU2a内の各部に接続されるアンテナV0〜V4等を備える。この電子キーシステム1aは、車両のユーザが携帯する携帯端末4との間でBluetooth Low Energyによる近距離無線通信を行う。なお、Bluetooth Low Energyを略して記載するための用語として、「BLE」との表記を用いる。
車載ECU2aは、マイクロコンピュータ等を中心に構成された電子制御装置である。この車載ECU2aは、通信モジュール20を介して携帯端末4と間で通信を行うことにより、各種の車両制御を行う。車載ECU2aは、通信モジュール20、測定パルス生成器10、メイン制御部30、測定基準パルス発生器31、遅延器D1〜D3等を備える。
通信モジュール20は、BLEの通信規格に準拠した無線通信を行う送受信機である。この通信モジュール20はアンテナV0と接続されており、このアンテナV0を介して通信電波の送受信を行う。通信モジュール20は、RF部21及び制御部22を備える。RF部21は、外部に送信するデジタル情報を変調したり、外部から受信した無線周波数信号を復調してベースバンド信号に変換する機能を有する高周波回路である。なお、BLE通信においては、GFSK(Gaussian Frequency Shift Keying)と呼ばれる連続位相周波数偏移変調方式を用いて、送信する信号の変調が行われる。制御部22は、周知のマイクロプロセッサ等で構成され、RF部21の制御や各種信号処理を行う。制御部22は、メイン制御部30の情報処理部33と通信可能に接続されており、情報処理部33からの制御に基づいて、携帯端末4との間の通信を行う。
4つのアンテナV1〜V4は、測位時の受信用に用いられる受信用のアンテナである。これらのアンテナV1〜V4は、図2に例示されるとおり、例えば、車両の前部左側、前部右側、後部左側、後部右側といった具合に、車両を基準とする位置座標が既知の位置に設置されている。各アンテナV1〜V4は、携帯端末4から発信される電波をそれぞれ受信する。携帯端末4から発信される電波は、携帯端末4と各アンテナV1〜V4との距離差に応じて異なる時刻(図2においてt1,t2,t3.t4と表記)に各アンテナV1〜V4に到来する。
図1の説明に戻る。測定パルス生成器10は、各アンテナV1〜V4により受信された携帯端末4からの通信信号を復調し、電波の到来時間を測定するためのパルス列である測定パルスを生成する。この測定パルス生成器10は、受信した高周波信号を中間周波数信号に変換するフロントエンド(非図示)や、中間周波数信号をBLEの変調方式に対応した復調方式で復調し、ベースバンド信号のビット列を表すパルス波形を生成する復調回路(非図示)等を備える。測定パルス生成器10により生成された測定パルスは、メイン制御部30の時間測定部32に出力される。
各アンテナV1〜V4により受信された通信信号が測定パルス生成器10に入力される伝送経路には、3つの遅延器D1〜D3が設けられている。これらの遅延器D1〜D3は、入力された信号の波形を変えないまま、予め設定された遅延時間分遅らせて伝搬させる機能を有する電子回路である。
各遅延器D1〜D3には、同じ長さの遅延時間Tが設定されている。この遅延時間Tは、携帯端末4から受信する1パケット分の通信信号の時間長より長い時間とする。なお、BLE通信では、1パケットの時間長が80〜374マイクロ秒の範囲内と規定されている。なお、ビット・レートは1Mbpsである。そこで、携帯端末4から受信する通信信号のビット長を予め取り決めておき、その取り決めに応じて遅延時間Tを80+α〜374+αマイクロ秒(αは余裕時間)の範囲で適切な長さに設定しておくものとする。
各アンテナV1〜V4のうち、アンテナV1が受信した信号S1は、何れの遅延器も通らずに測定パルス生成器10に入力されるようになっている(遅延なし)。一方、アンテナV2が受信した信号S2は、遅延器D1を通ることで時間T遅れて測定パルス生成器10に入力されるようになっている。また、アンテナV3が受信した信号S3は、遅延器D2及び遅延器D1を順に通ることで、時間2T遅れて測定パルス生成器10に入力されるようになっている。また、アンテナV4が受信した信号S4は、遅延器D3、遅延器D2及び遅延器D1を順に通ることで、時間3T遅れて測定パルス生成器10に入力されるようになっている。
このように、各アンテナV1〜V4において受信された各通信信号は、各遅延器D1〜D3により遅延時間Tずつ段階的に遅延されて伝搬することで、互いに重なることなく測定パルス生成器10に順次入力される。測定パルス生成器10は、順次入力される信号S1〜S4を復調して、各信号S1〜S4に対応する測定パルス(図1において「END」と表記する)を順次出力する。
メイン制御部30は、マイクロコンピュータを中心に構成された電子制御装置である。メイン制御部30は、通信モジュール20を介して携帯端末4と間で通信を行うことにより、各種の車両制御を行う。メイン制御部30は、時間測定部32及び情報処理部33を備える。
時間測定部32には、測定パルス生成器10から出力される測定パルスと、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルスとが入力される。測定基準パルス発生器31は、情報処理部33からの制御によって、携帯端末4からの通信信号を受信するタイミングに合わせて測定基準パルスを発生する(図1において「START」と表記する)。この測定基準パルスは、各アンテナV1〜V4で受信した電波の到来時間を測定するための、測定開始タイミングの基準となる信号であり、遅延器D1〜D3の遅延時間Tと同じ長さの周期Tで連続的に発生する4つのパルス波形からなる。
時間測定部32は、測定パルス生成器10から順次出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差を計算することにより、各アンテナV1〜V4で受信した電波の到来時間を測定する。具体的には、図1に例示されるとおり、各信号S1〜S4に対応する測定パルスそれぞれについて、各測定パルスに対応する基準パルスのエッジと、測定パルス内の特定のビットのエッジとの時間差を計算することで、到来時間Δt1〜Δt4を測定する。
情報処理部33は、接続処理、時間測定処理、測位処理、認証処理等の各種処理を実行する。接続処理は、通信モジュール20を用いて携帯端末4との間で、アドバタイジング・イベントと呼ばれる所定の通信処理を経て、BLEの通信接続を確立する処理である。時間測定処理は、通信モジュール20から通信信号を送信するタイミングに同期して、測定基準パルス発生器31に測定基準パルスを発生させ、時間測定部32において携帯端末4からの電波の到来時間を測定する処理である。
測位処理は、時間測定処理において測定された各アンテナV1〜V4における電波の到来時間に基づいて、携帯端末4の位置を特定する処理である。本実施形態では、TDOA方式による位置特定方法を利用することを想定している。すなわち、情報処理部33は、4つのアンテナV1〜V4における電波の到来時間について互いの時間差(到来時間差)を計算し、各アンテナV1〜V4間の到来時間差の軌跡である双曲面の交点を求めることにより、電波の発信元である携帯端末4の位置を特定する。
認証処理は、通信接続が確立した携帯端末4に対して、車両を操作する電子キーとして用いることができるかどうかを認証する処理である。具体的には、情報処理部33は、通信モジュール20を介して携帯端末4から認証用のIDコードを受信する。そして、受信したIDコードと、メイン制御部30に予め登録されているIDコードと照合し、両者が一致することで認証を成立させる。
また、メイン制御部30は、車両に設けられたタッチセンサ34に接続されている。情報処理部33は、タッチセンサ34による検知結果を取得することにより、ユーザによるドアの施解錠の意思を認知できるようになっている。タッチセンサ34は、車両のドアの外側のハンドルに設けられた接触検知用のセンサやスイッチにより構成され、人が車両のドアのハンドルに触れる所作を検知する。また、メイン制御部30は、エンジンスイッチ35に接続されている。情報処理部33は、エンジンスイッチ35の操作入力を取得することにより、ユーザによるエンジン始動の意思を認知できるようになっている。エンジンスイッチ35は、車両の運転席付近のインストルメントパネル等に設けられたボタンスイッチ等により構成され、エンジンを始動するための操作指示を受付ける。
また、メイン制御部30は、車内通信ネットワークの通信路であるバス100に接続されている。これにより、情報処理部33は、バス100を介してボデーECU36と通信し、車両に設けられた各種アクチュエータ37を制御できるようになっている。ボデーECU36は、電気式ドアロックや照明、電源供給システム等の内装品を制御する電子制御装置である。ボデーECU36には、車両の内装品の駆動源である各種アクチュエータ37が接続されている。また、メイン制御部30は、エンジン始動に関わる各種ECU(図示なし)に接続されている。情報処理部33は、認証処理によって携帯端末4の認証が成立すると、前記測位処理によって把握した携帯端末4と自車両との位置関係に応じて、ウェルカムライトの点灯や、ドアの施解錠、エンジン始動の許可等といった各種車両制御を実行する。
携帯端末4は、電子キーシステム1aが搭載された車両のドアの施解錠やエンジンの始動を行うための電子キーとして用いられる電子機器であり、いわゆるスマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話等により具現化される。携帯端末4は、通信モジュール41及び制御部42を備える。
通信モジュール41は、電子キーシステム1aの通信モジュール20との間でBLEの通信規格に準拠した通信方式の近距離無線通信を行う通信装置である。制御部42は、図示しないCPU、ROM、RAM等を中心に構成された情報処理装置であり、携帯端末4の各種動作を制御する。制御部42には、携帯端末4を電子キーとして機能させるための情報として、認証用のIDコードが登録されている。制御部42は、通信モジュール41を介して、電子キーシステム1aの通信モジュール20との間でBLEの通信接続を確立し、通信モジュール20に認証用のIDコードを送信する。
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、各遅延器D1〜D3に設定されている遅延時間Tを、携帯端末4から受信する1パケット分の通信信号の時間長より長い時間とした事例について説明した。このようにすることで、各アンテナV1〜V4で受信された信号S1〜S4は、互いに重なることなく測定パルス生成器10に順次入力され、測定パルスに復調される。これとは別に、遅延器D1〜D3に設定される遅延時間を、携帯端末4から受信する1パケット分の通信信号の時間長より短い時間とすることも可能である。
この場合、1パケット分の測定パルスのうち、時間差の計算に用いる特定のビット(以下、測定対象ビットと表記する)の部分が、前後の信号の測定パルスと互いに重ならない範囲の遅延時間T´に設定することを条件とする。例えば、1パケット分の測定パルスのうち、中心の10bitを測定対象ビットとして使用し、前後に3bit分の余裕時間を持たせるならば、遅延時間T´は、1パケット分の時間長の1/2に8bit分の時間長(8マイクロ秒)を加えた時間以上とすればよい。
この場合、図3に例示されるとおり、測定パルス生成器10から出力される各信号S1〜S4の測定パルス(図3において「END」と表記する)は、測定対象ビットを除く前後の一部分が互いに重なった状態になっている。一方、測定基準パルス発生器31は、遅延器D1〜D3の遅延時間´と同じ長さの周期T´で測定基準パルスを発生する(図3において「START」と表記する)。そして、時間測定部32は、各信号S1〜S4の測定パルスそれぞれについて、各測定パルスに対応する基準パルスのエッジと、測定対象ビットのエッジとの時間差を計算することで、到来時間Δt1〜Δt4を測定する。
このように、各遅延器D1〜D3に設定される遅延時間T´を1パケット分の通信信号の時間長より短い時間にすることで、各信号S1〜S4の到来時間差の測定に要する時間を短縮することができる。これにより、測位の応答性を向上させることができる。
[第2実施形態]
(電子キーシステム1bの構成の説明)
第2実施形態の電子キーシステム1bの構成について、図4を参照しながら説明する。なお、図4では、第1実施形態の電子キーシステム1a(図1参照)と同等の構成については同一の符号を付し、詳細な説明については省略する。ここでは、主に第1実施形態の電子キーシステム1aの構成との差異について説明する。第2実施形態では、車載ECU2b内において、各遅延器D1´〜D3´の配置が、第1実施形態における遅延器D1〜D3の配置と異なる。
図4に例示されるとおり、各遅延器D1´〜D3´にはアンテナV2〜V4がそれぞれ単独で接続されている。遅延器D1´には、遅延時間Tが設定されている。この遅延時間Tは、携帯端末4から受信する1パケット分の通信信号の時間長より長い時間とする。また、遅延器D2´には、遅延器D1´の2倍の遅延時間2Tが設定されている。また、遅延器D3´には、遅延器D1´の3倍の遅延時間3Tが設定されている。
各アンテナV1〜V4のうち、アンテナV1が受信した信号S1は、何れの遅延器も通らずに測定パルス生成器10に入力されるようになっている(遅延なし)。一方、アンテナV2が受信した信号S2は、遅延器D1´を通ることで時間T遅れて測定パルス生成器10に入力されるようになっている。また、アンテナV3が受信した信号S3は、遅延器D´を通ることで、時間2T遅れて測定パルス生成器10に入力されるようになっている。また、アンテナV4が受信した信号S4は、遅延器D3´を通ることで、時間3T遅れて測定パルス生成器10に入力されるようになっている。
このように、各アンテナV1〜V4において受信された各通信信号は、各遅延器D1´〜D3´により遅延時間Tずつ段階的に遅延されて伝搬することで、互いに重なることなく測定パルス生成器10に順次入力される。測定パルス生成器10は、順次入力される信号S1〜S4を復調して、各信号S1〜S4に対応する測定パルス(図4において「END」と表記する)を順次出力する。
測定基準パルス発生器31は、情報処理部33からの制御によって、携帯端末4からの通信信号を受信するタイミングに合わせて測定基準パルスを発生する(図4において「START」と表記する)。この測定基準パルスは、各アンテナV1〜V4で受信した電波の到来時間を測定するための、測定開始タイミングの基準となる信号であり、各信号S1〜S4にそれぞれ対応する4つのパルス波形からなる。このうち、遅延器D1´〜D3´により遅延して伝搬する信号S2〜S4に対応するパルス波形は、信号S1に対応する1番目のパルス波形からそれぞれ遅延時間T後、遅延時間2T後、遅延時間3T後に発生するように調整される。
時間測定部32は、測定パルス生成器10から順次出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差を測定することにより、各アンテナV1〜V4で受信した電波の到来時間を測定する。具体的には、図4に例示されるとおり、各信号S1〜S4に対応する測定パルスそれぞれについて、各測定パルスに対応する基準パルスのエッジと、測定パルス内の特定のビットのエッジとの時間差を計算することで、到来時間Δt1〜Δt4を測定する。
[第3実施形態]
(電子キーシステム1cの構成の説明)
第3実施形態の電子キーシステム1cの構成について、図5を参照しながら説明する。なお、図5では、第1実施形態の電子キーシステム1a(図1参照)と同等の構成については同一の符号を付し、詳細な説明については省略する。ここでは、主に第1実施形態の電子キーシステム1aの構成との差異について説明する。第3実施形態では、車載ECU2c内において、通信モジュール20と測定パルス生成器10とが、1つのモジュールであるBLE通信機3として構成されている点において、第1実施形態と相違する。
また、4つのアンテナV1〜V4のうち、アンテナV1が、通信モジュール20のための送受信用のアンテナと、測定パルス生成器10のための受信用のアンテナとして兼用される。このため、第3実施形態の電子キーシステム1cでは、第1実施形態にあるアンテナV0が省かれ、低コストとなる。また、通信モジュール20から出力される送信用の電波が、アンテナV1以外のアンテナから放射されることを防ぐため、各アンテナV2〜V3の信号伝搬経路には、逆流防止用の整流器51がそれぞれ設けられている。
なお、第2実施形態の電子キーシステム1b(図4参照)において、通信モジュール20及び測定パルス生成器10を、第3実施形態におけるBLE通信機3に置換する構成であってもよい。この場合、第3実施形態の電子キーシステム1cと同様に、アンテナV1を通信モジュール20のための送受信用のアンテナと、測定パルス生成器10のための受信用のアンテナとして兼用し、アンテナV0を省くことができる。
[第4実施形態]
(電子キーシステム1dの構成の説明)
第4実施形態の電子キーシステム1dの構成について、図6を参照しながら説明する。なお、図6では、第1実施形態の電子キーシステム1a(図1参照)と同等の構成については同一の符号を付し、詳細な説明については省略する。ここでは、主に第1実施形態の電子キーシステム1aの構成との差異について説明する。第4実施形態では、各遅延器D1〜D3間の遅延時間のばらつきに起因する、電波の到来時間の測定誤差を補正する仕組みを車載ECU2d内に備える点において、第1実施形態と相違する。
車載ECU2dは、校正基準信号発生器52及び変調器53を備える。校正基準信号発生器52は、情報処理部33からの制御により、携帯端末4から受信する通信信号のパケットを模擬した校正基準信号のデジタル情報を発生する。変調器53は、校正基準信号のデジタル情報を、BLE通信で用いられるGFSK変調方式を用いて、BLE通信で電波の送信に利用されるチャンネルに対応する無線周波数信号に変調する。
変調器53により変調された校正基準信号は、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路ごとに分岐して出力される。これにより、各アンテナV1〜V4が、同じ通信信号を時間差なしで受信した状況を模擬的に作り出すことができるようになっている。各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路ごとに分岐された校正基準信号を、信号C1〜C4と表記する。
各通信C1〜C4は、各遅延器D1〜D3を通って遅延時間Tずつ段階的に遅延されて伝搬することで、互いに重なることなく測定パルス生成器10に順次入力される。測定パルス生成器10は、順次入力される信号C1〜C4を復調して、各信号C1〜C4に対応する測定パルス(図6において「END」と表記する)を順次出力する。
一方、測定基準パルス発生器31は、情報処理部33からの制御によって、校正基準信号が出力されるタイミングに合わせて測定基準パルスを発生する(図6において「START」と表記する)。この測定基準パルスは、携帯端末4から受信した通信信号の到来時間を測定するときと同様に、測定開始タイミングの基準となる信号であり、各信号C1〜C4にそれぞれ対応する4つのパルス波形からなる。
時間測定部32は、測定パルス生成器10から順次出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差に基づいて、各信号C1〜C4の到来時間を測定する。具体的には、図6に例示されるとおり、各信号C1〜C4に対応する測定パルスそれぞれについて、各測定パルスに対応する基準パルスのエッジと、測定パルス内の特定のビットのエッジとの時間差を計算することで、到来時間Δt1〜Δt4を測定する。
なお、信号C1〜C4は、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に同時に入力されるものであるため、本来、到来時間Δt1〜Δt4は同一の値になる(到来時間差がない)のが理想的である。しかしながら、環境や経時に起因する特性変化によって、各遅延器D1〜D3の遅延時間が一定でなくなることで、到来時間Δt1〜Δt4の値にばらつきが生じる可能性がある。よって、その状態のままでは、各アンテナV1〜V4における電波の到来時間差に基づく測位結果に誤差が生じる。
そこで、校正基準信号を用いて測定した到来時間を誤差データとして記憶しておき、その誤差データを用いて、携帯端末4から受信した通信信号の到来時間を補正することで、測位結果の誤差を縮小できる。以下、その具体的な手順について説明する。
(遅延誤差測定処理の説明)
メイン制御部30の情報処理部33が実行する遅延誤差測定処理(第4実施形態)の手順について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、例えば、車両が駐車しているときに定期的に実行される。
S100では、情報処理部33は、変調器53が変調する搬送波の周波数を設定する。具体的には、BLE通信で利用される周波数帯のチャンネルの中から、誤差データの測定が済んでいないチャンネルを1つ選択する。S102では、情報処理部33は、校正基準信号発生器52を制御して校正基準信号のデジタル情報を発生させる。校正基準信号発生器52により出力された校正基準信号のデジタル情報は、変調器53においてS100で設定された周波数を用いて変調される。変調された校正基準信号は、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に入力される。
S104では、情報処理部33は、校正基準信号を発生させるタイミングに合わせて、測定基準パルス発生器31を制御して、校正基準信号の到来時間を測定するための測定基準パルス(4パルス)を発生させる。S106では、時間測定部32が、測定パルス生成器10から出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差に基づいて、各アンテナV1〜V4に対応する校正基準信号(信号C1〜C4)の到来時間を測定する。
次のS108は、情報処理部33は、各信号C1〜C4について互いの到来時間の差を計算し、計算した到来時間差を当該校正基準信号の変調に用いた周波数と対応付けて、誤差データとしてメモリに保存する。
S110では、情報処理部33は、誤差データの測定を終了するか否かを判定する。ここでは、BLE通信で利用される周波数帯の全てのチャンネルについて、誤差データの測定が完了したことを条件に肯定判定をする。S110で否定判定をした場合(S110:NO)、情報処理部33はS100に戻る。一方、S110で肯定判定をした場合(S110:YES)、情報処理部33は本処理を終了する。情報処理部33は、上述の遅延誤差測定処理を定期的に実施することで、チャンネルごとの誤差データを最新の状態に更新する。
(測位処理の説明)
メイン制御部30の情報処理部33が実行する測位処理(第4実施形態)の手順について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、所定の制御タイミングで実行される。
S200では、情報処理部33は、無線通信実行指令を通信モジュール20に送信することで携帯端末4との無線通信を開始する。S202では、通信モジュール20が、情報処理部33から受信した無線通信実行指令に基づく通信信号を携帯端末4に送信する。S204では、情報処理部33は、S202で送信された通信信号に応じて携帯端末4から返信される応答信号を待ち受ける。
S206では、情報処理部33は、測定基準パルス発生器31を制御して、各アンテナに対応する測定基準パルス(4パルス)を発生させる。S208では、各アンテナV0〜V4を介して、通信モジュール20及び測定パルス生成器10が、携帯端末4から送信された応答信号をそれぞれ受信する。
S210では、時間測定部32が、測定パルス生成器10から出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差に基づいて、各アンテナV1〜V4に対応する電波の到来時間(Δt1〜Δt4)を測定する。S212では、情報処理部33は、時間測定部32において測定された各到来時間Δt1〜Δt4について、互いの到来時間差を計算する。このとき、情報処理部33は、携帯端末4から受信した応答信号に用いられたチャンネルと同じ周波数に対応付けられてメモリに保存されている誤差データを用いて、到来時間差の誤差を補正する。
S214では、情報処理部33は、S212で計算した到来時間差(誤差データに基づく補正あり)を用いて、携帯端末4の位置を計算する。S214の後、情報処理部33は本処理を終了する。
(第4実施形態の変形例)
車載ECU2d(図6参照)において、校正基準信号発生器52及び変調器53から校正基準信号を供給する構成に代えて、通信モジュール20から校正基準信号を供給する構成であってもよい。具体的には、通信モジュール20から出力される送信信号を、アンテナV0に至る信号伝搬経路から切替スイッチ等を介してバイパスして、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に直接供給する回路構成を設けることが考えられる。このようにすることで、通信モジュール20から出力される送信信号を用いて、測定誤差を補正するための誤差データを取得することができる。
[第5実施形態]
(電子キーシステム1eの構成の説明)
第5実施形態の電子キーシステム1eの構成について、図9を参照しながら説明する。なお、図9では、第1実施形態の電子キーシステム1a(図1参照)と同等の構成については同一の符号を付し、詳細な説明については省略する。ここでは、主に第1実施形態の電子キーシステム1aの構成との差異について説明する。第5実施形態では、電子キーシステム1aの遅延器D1〜D3に代えて、各アンテナV1〜V4の信号伝搬回路ごとに、減衰器AT1〜AT4を備える点において、第1実施形態と相違する。
減衰器AT1〜AT4は、各アンテナV1〜V4経由で入力される1パケット分の受信信号を、所定の時間幅ごとに分割した区間ごとに部分的に減衰させ、時間測定の対象となる一部区間の信号のみ伝搬させる機能を有する。減衰器AT1〜AT4は、情報処理部33と通信可能に接続されており、減衰パターンは情報処理部33により制御される。
図9の凡例に例示されるとおり、各減衰器AT1〜AT4の減衰パターンは、1パケット分の受信信号を等間隔に4つに分割した区間t1〜t4ごとに定義される。減衰器AT1は、区間t2,t3,t4の信号を減衰させ、区間t1の信号のみを伝搬させる(減衰信号S1と表記する)。減衰器AT2は、区間t1,t3,t4の信号を減衰させ、区間t2の信号のみを伝搬させる(減衰信号S2と表記する)。減衰器AT3は、区間t1,t2,t4の信号を減衰させ、区間t3の信号のみを伝搬させる(減衰信号S3と表記する)。減衰器AT4は、区間t1,t2,t3の信号を減衰させ、区間t4の信号のみを伝搬させる(減衰信号S4と表記する)。
上述のような減衰パターンが定義されることにより、各減衰信号S1〜S4を合成した波形は、各減衰信号S1〜S4における測定対象の区間が互いに重なることなく、一定時間ずつ順次遅延して配列することになる。各減衰信号S1〜S4の合成波は、測定パルス生成器10に入力される。測定パルス生成器10は、入力された各減衰信号S1〜S4の合成波を復調して、各減衰信号S1〜S4に対応する測定パルス(図9において「END」と表記する)を出力する。
一方、測定基準パルス発生器31は、情報処理部33からの制御によって、携帯端末4からの通信信号を受信するタイミングに合わせて測定基準パルスを発生する(図9において「START」と表記する)。この測定基準パルスは、各減衰器AT1〜AT4の減衰パターンにおいて1パケット分の受信信号を等間隔に4つに分割した区間t1〜t4と同じ間隔で連続的に発生する4つのパルス波形からなる。
時間測定部32は、測定パルス生成器10から出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差を計算することにより、各アンテナV1〜V4で受信した電波の到来時間を測定する。具体的には、図9に例示されるとおり、各減衰信号S1〜S4に対応する測定パルスそれぞれについて、各測定パルスに対応する基準パルスのエッジと、測定パルス内の特定のビットのエッジとの時間差を計算することで、到来時間Δt1〜Δt4を測定する。
第1〜4実施形態の構成では、各アンテナV1〜V4に対応する到来時間を測定するのに4パケット分の時間を要するのに対し、第5実施形態の構成では、各アンテナV1〜V4に対応する到来時間を1パケット分の時間長で測定でき、応答性がよいという点で有利である。
[第6実施形態]
(電子キーシステム1fの構成の説明)
第6実施形態の電子キーシステム1fの構成について、図10を参照しながら説明する。なお、図10では、第5実施形態の電子キーシステム1e(図9参照)と同等の構成については同一の符号を付し、詳細な説明については省略する。ここでは、主に第5実施形態の電子キーシステム1eの構成との差異について説明する。第6実施形態では、各減衰器AT1〜AT4内の伝搬時間のばらつきに起因する、電波の到来時間の測定誤差を補正する仕組みを車載ECU2f内に備える点において、第5実施形態と相違する。
車載ECU2fは、校正基準信号発生器56及び変調器57を備える。校正基準信号発生器56は、情報処理部33からの制御により、携帯端末4から受信する通信信号のパケットを模擬した校正基準信号のデジタル情報を発生する。変調器57は、校正基準信号のデジタル情報を、BLE通信で用いられるGFSK変調方式を用いて、BLE通信で電波の送信に利用されるチャンネルに対応する無線周波数信号に変調する。
変調器57により変調された校正基準信号は、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路ごとに分岐して出力される。これにより、各アンテナV1〜V4が、同じ通信信号を時間差なしで受信した状況を模擬的に作り出すことができるようになっている。各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に出力された校正基準信号は、各減衰器AT1〜AT4によって、それぞれ異なる減衰パターン(図9の凡例参照)に基づいて部分的に減衰されて出力される。各減衰器AT1〜AT4により減衰された校正基準信号を、減衰信号C1〜C4と表記する。
各減衰信号C1〜C4を合成した波形は、各各減衰信号C1〜C4における測定対象の区間が互いに重なることなく、一定時間ずつ順次遅延して配列する。各減衰信号C1〜C4の合成波は、測定パルス生成器10に入力される。測定パルス生成器10は、入力された合成波を復調して、各減衰信号C1〜C4に対応する測定パルス(図10において「END」と表記する)を出力する。
一方、測定基準パルス発生器31は、情報処理部33からの制御によって、校正基準信号が出力されるタイミングに合わせて測定基準パルスを発生する(図10において「START」と表記する)。この測定基準パルスは、携帯端末4から受信した通信信号の到来時間を測定するときと同様に、測定開始タイミングの基準となる信号であり、各減衰信号C1〜C4にそれぞれ対応する4つのパルス波形からなる。
時間測定部32は、測定パルス生成器10から出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差に基づいて、各減衰信号C1〜C4の到来時間を測定する。具体的には、図10に例示されるとおり、各減衰信号C1〜C4に対応する測定パルスそれぞれについて、各測定パルスに対応する基準パルスのエッジと、測定パルス内の特定のビットのエッジとの時間差を計算することで、到来時間Δt1〜Δt4を測定する。
なお、校正基準信号は、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に同時に入力されるものであるため、本来、到来時間Δt1〜Δt4は同一の値になる(到来時間差がない)のが理想的である。しかしながら、環境や経時に起因する特性変化によって、各減衰器AT1〜AT4の伝搬時間が一定でなくなることで、到来時間Δt1〜Δt4の値にばらつきが生じる可能性がある。よって、その状態のままでは、各アンテナV1〜V4における電波の到来時間差に基づく測位結果に誤差が生じる。
そこで、校正基準信号を用いて測定した到来時間を誤差データとして記憶しておき、その誤差データを用いて、携帯端末4から受信した通信信号の到来時間を補正することで、測位結果の誤差を縮小できる。以下、その具体的な手順について説明する。
(遅延誤差測定処理の説明)
メイン制御部30の情報処理部33が実行する遅延誤差測定処理(第6実施形態)の手順について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、例えば、車両が駐車しているときに定期的に実行される。
S300では、情報処理部33は、変調器57が変調する搬送波の周波数を設定する。具体的には、BLE通信で利用される周波数帯のチャンネルの中から、誤差データの測定が済んでいないチャンネルを1つ選択する。S302では、情報処理部33は、校正基準信号発生器56を制御して校正基準信号のデジタル情報を発生させる。校正基準信号発生器56により出力された校正基準信号のデジタル情報は、変調器57においてS300で設定された周波数を用いて変調される。変調された校正基準信号は、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に入力される。
S304では、情報処理部33は、校正基準信号を発生させるタイミングに合わせて、測定基準パルス発生器31を制御して、校正基準信号の到来時間を測定するための測定基準パルス(4パルス)を発生させる。S306では、情報処理部33は、各減衰器AT1〜AT4について、校正基準信号に対する減衰パターンを制御する。S308では、時間測定部32が、測定パルス生成器10から出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差に基づいて、各アンテナV1〜V4に対応する校正基準信号(減衰信号C1〜C4)の到来時間を測定する。
次のS310は、情報処理部33は、各減衰信号C1〜C4について互いの到来時間の差を計算し、計算した到来時間差を当該校正基準信号の変調に用いた周波数と対応付けて、誤差データとしてメモリに保存する。
S312では、情報処理部33は、誤差データの測定を終了するか否かを判定する。ここでは、BLE通信で利用される周波数帯の全てのチャンネルについて、誤差データの測定が完了したことを条件に肯定判定をする。S312で否定判定をした場合(S312:NO)、情報処理部33はS300に戻る。一方、S312で肯定判定をした場合(S312:YES)、情報処理部33は本処理を終了する。情報処理部33は、上述の遅延誤差測定処理を定期的に実施することで、チャンネルごとの誤差データを最新の状態に更新する。
(測位処理の説明)
メイン制御部30の情報処理部33が実行する測位処理(第6実施形態)の手順について、図12のフローチャートを参照しながら説明する。この処理は、所定の制御タイミングで実行される。
S400では、情報処理部33は、無線通信実行指令を通信モジュール20に送信することで携帯端末4との無線通信を開始する。S402では、通信モジュール20が、情報処理部33から受信した無線通信実行指令に基づく通信信号を携帯端末4に送信する。S404では、情報処理部33は、S402で送信された通信信号に応じて携帯端末4から返信される応答信号を待ち受ける。
S406では、情報処理部33は、測定基準パルス発生器31を制御して、各アンテナに対応する測定基準パルス(4パルス)を発生させる。S408では、各アンテナV0〜V4を介して、通信モジュール20及び測定パルス生成器10が、携帯端末4から送信された応答信号をそれぞれ受信する。S410では、情報処理部33は、各減衰器AT1〜AT4について、携帯端末4から受信する応答信号に対する減衰パターンを制御する。
S412では、時間測定部32が、測定パルス生成器10から出力される測定パルス(END)と、測定基準パルス発生器31から出力される測定基準パルス(START)との時間差に基づいて、各アンテナV1〜V4に対応する電波の到来時間(Δt1〜Δt4)を測定する。S414では、情報処理部33は、時間測定部32において測定された各到来時間Δt1〜Δt4について、互いの到来時間差を計算する。このとき、情報処理部33は、携帯端末4から受信した応答信号に用いられたチャンネルと同じ周波数に対応付けられてメモリに保存されている誤差データを用いて、到来時間差の誤差を補正する。
S416では、情報処理部33は、S414で計算した到来時間差(誤差データに基づく補正あり)を用いて、携帯端末4の位置を計算する。S416の後、情報処理部33は本処理を終了する。
(第6実施形態の変形例)
車載ECU2f(図10参照)において、校正基準信号発生器56及び変調器57から校正基準信号を供給する構成に代えて、通信モジュール20から校正基準信号を供給する構成であってもよい。具体的には、通信モジュール20から出力される送信信号を、アンテナV0に至る信号伝搬経路から切替スイッチ等を介してバイパスして、各アンテナV1〜V4の信号伝搬経路に直接供給する回路構成を設けることが考えられる。このようにすることで、通信モジュール20から出力される送信信号を用いて、測定誤差を補正するための誤差データを取得することができる。
[効果]
上述の各実施形態の電子キーシステムによれば、以下の効果を奏する。
複数のアンテナV1〜V4でそれぞれ受信された通信信号を、遅延器(第1〜4実施形態)や減衰器(第5〜6実施形態)を用いて順次遅延させて伝搬させる仕組みを適用したことで、測定パルス生成器10の共通化を実現できる。このように、温度や経時による特性変化の影響を受けやすい回路部分を1つに共通化したことで、各アンテナV1〜V4で受信した通信信号が時間測定部32に到達するまでの時間遅れが均等になる。したがって、電波の到来時間差を測定するにあたって、回路部分での伝搬時間のばらつきに起因する誤差を排除でき、測位の精度を向上できる。
さらに、第4,6実施形態のように、携帯端末4から受信する通信信号を模擬した校正基準信号に基づいて測定した誤差データを用いて、電波の到来時間の測定誤差を補正することができる。このような仕組みを備えることで、遅延器や減衰器の特性のばらつきに起因する測定誤差を低減できる。また、誤差データの測定を定期的に行うことで、車両の周辺環境の変化に応じて最適な誤差データを取得できる。
また、BluetoothやBLE等、通信に用いる周波数のチャンネルが変わるシステムでは、周波数ごとに遅延器や減衰器の特性が変わる可能性がある。そこで、複数の周波数について、個々の周波数ごとに誤差データを測定しておくことで、受信した通信信号の周波数に適した誤差データを用いて電波の到来時間を精度よく補正できる。
1a〜1f…電子キーシステム、2a〜2f…車載ECU、10…測定パルス生成器10、20…通信モジュール、21…RF部、22…制御部、30…メイン制御部、31…測定基準パルス発生器、32…時間測定部、33…情報処理部、34…タッチセンサ、35…エンジンスイッチ、36…ボデーECU、37…各種アクチュエータ、4…携帯端末、41…通信モジュール、42…制御部、51…整流器、52,56…校正基準信号発生器、53,57…変調器、100…バス、V0〜V4…アンテナ、D1〜D3,D1´〜D3´…遅延器、AT1〜AT4…減衰器。

Claims (8)

  1. 移動通信端末との間で所定の近距離無線通信を行う無線通信手段と、
    それぞれ既知の位置に配置され、前記無線通信手段による通信において前記移動通信端末から送信された通信信号を受信する複数のアンテナ(V1〜V4)と、
    前記複数のアンテナで受信された各通信信号の全体を所定の遅延時間ずつ順次遅延させて伝搬させる遅延手段(D1〜D3)と、
    前記遅延手段により遅延された各アンテナの通信信号を順次復調して、各アンテナに対応する時間測定用のパルス列を生成する測定パルス生成手段(10)と、
    前記移動通信端末から通信信号を受信するタイミングに合わせて、前記遅延手段が与える前記遅延時間に対応する所定の時間間隔で各アンテナに対応する基準パルス列を発生する基準パルス発生手段(31)と、
    前記測定パルス生成手段により生成された各アンテナに対応するパルス列と、前記基準パルス発生手段により発生された各アンテナに対応する基準パルスとの時間差に基づいて、各アンテナが受信した通信信号の到来時間を測定する測定手段(32)とを備え
    前記所定の遅延時間は、前記通信信号の1パケット分の時間長よりも短く、かつ、1パケット分の前記時間測定用のパルス列のうち、前記基準パルスとの時間差の計算に用いる特定のビットである測定対象ビットの部分が、前後の前記時間測定用のパルス列と時間的に重ならない時間長に設定されていること、
    を特徴とする測定システム。
  2. 移動通信端末との間で所定の近距離無線通信を行う無線通信手段と、
    それぞれ既知の位置に配置され、前記無線通信手段による通信において前記移動通信端末から送信された通信信号を受信する複数のアンテナ(V1〜V4)と、
    前記複数のアンテナで受信された各通信信号を、その通信信号の全体のうち各アンテナごとに所定の遅延時間分ずつ順次ずらして設定された一部の測定区間以外の部分を減衰させた減衰信号として伝搬させる遅延手段(AT1〜AT4)と、
    前記遅延手段により伝搬された各アンテナの減衰信号を合成した合成波信号を復調して、各アンテナに対応する時間測定用のパルス列を生成する測定パルス生成手段(10)と、
    前記移動通信端末から通信信号を受信するタイミングに合わせて、前記遅延手段が与える前記遅延時間に対応する所定の時間間隔で各アンテナに対応する基準パルス列を発生する基準パルス発生手段(31)と、
    前記測定パルス生成手段により生成された各アンテナに対応するパルス列と、前記基準パルス発生手段により発生された各アンテナに対応する基準パルスとの時間差に基づいて、各アンテナが受信した通信信号の到来時間を測定する測定手段(32)と、
    を備えることを特徴とする測定システム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の測定システムにおいて、
    前記無線通信手段と前記測定パルス生成手段とが、一体となったモジュールとして構成されており、
    前記無線通信手段が前記近距離無線通信を行う際に送信する送信信号が、前記複数のアンテナのうちの1つから送出されること、
    を特徴とする測定システム。
  4. 請求項3に記載の測定システムにおいて、
    前記複数のアンテナのうち、前記無線通信手段による送信に用いられるアンテナ以外のアンテナからの信号伝搬経路において、外部から受信する通信信号を入力する方向のみに信号が伝搬する方向性回路を備えること、
    を特徴とする測定システム。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の測定システムにおいて、
    前記移動通信端末から受信する通信信号を模擬した校正用の信号を、各アンテナにおいて受信される通信信号が前記遅延手段に入る前の信号伝搬経路にそれぞれ同時に供給する校正信号供給手段(52,53,56,57)を備え、
    前記測定パルス生成手段は、前記校正信号供給手段により供給された各アンテナに対応する校正用の信号が前記遅延手段において順次遅延された各信号を順次復調して、各アンテナに対応する校正用のパルス列を生成し、
    前記基準パルス発生手段は、前記校正信号供給手段から校正用の信号が供給されるタイミングに合わせて、前記遅延手段が与える前記遅延時間に対応する所定の時間間隔で各アンテナに対応する基準パルス列を発生し、
    前記測定手段は、前記測定パルス生成手段により生成された各アンテナに対応する校正用のパルス列と、前記基準パルス発生手段により発生された各アンテナに対応する基準パルスとの時間差に基づいて、各アンテナに対応する校正時間を測定し、
    前記測定手段により測定された校正時間を記憶手段に保存する保存手段(S108,S310)と、
    前記測定手段において測定された各アンテナにおける通信信号の到来時間を、前記記憶手段に記憶されている各アンテナに対応する校正時間に基づいて補正する補正手段(S214,S416)と、
    を備えることを特徴とする測定システム。
  6. 請求項5に記載の測定システムにおいて、
    前記校正信号供給手段は、前記無線通信手段から出力される送信信号を前記校正用の信号として取得し、各アンテナの信号伝搬経路にそれぞれ供給すること、
    を特徴とする測定システム。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の測定システムにおいて、
    前記無線通信手段は、通信に用いる周波数が変化する方式の近距離無線通信を行うものであり、
    前記無線通信手段による通信に用いられる周波数ごとに、各周波数に対応する校正用の信号に基づいて前記測定手段が測定した校正時間を前記記憶手段に記憶し、
    前記補正手段は、前記測定手段において測定された各アンテナにおける通信信号の到来時間を、受信した通信信号の周波数に対応する校正時間に基づいて補正すること、
    を特徴とする測定システム。
  8. 請求項ないし請求項の何れか1項に記載の測定システムにおいて、
    前記校正時間の測定を定期的に実施し、前記記憶手段に記憶されている校正時間を更新すること、
    を特徴とする測定システム。
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