JP6274919B2 - 恒温槽付水晶発振器の温度制御回路 - Google Patents
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Description
恒温槽付水晶発振器(OCXO;Oven Controlled Crystal Oscillator)は、恒温槽内に水晶振動子等の発振素子と、温度制御回路等の周辺回路とを収納し、恒温槽内部の温度を一定に保持することにより、外部の温度変化の影響を抑え、出力周波数の安定化を図るものである。
図3に示すように、従来のOCXOの温度制御回路は、基本的に、サーミスタ(TH)と、オペアンプ10と、パワートランジスタTr1と、ヒータ抵抗HRと、電源電圧Vccと、安定化電源Vregとを備えている。
サーミスタTHは、温度によって抵抗値が変化する感温素子であり、発振素子の温度を検出し、温度に応じた電圧を出力する。
サーミスタTHの一端には、抵抗R1を介して安定化電源Vregが印加され、他端が接地されている。また、サーミスタTHの一端は、抵抗R4を介してオペアンプ10のマイナス(−)端子(反転入力端子)に入力されている。
ヒータ抵抗HRの一端には、電源電圧Vccが印加され、ヒータ抵抗HRの他端は、パワートランジスタTr1のエミッタに接続され、パワートランジスタTr1のコレクタは接地されている。
パワートランジスタTr1はPNP型のトランジスタであり、ベースには、R6を介してオペアンプ10の出力が印加されている。
尚、パワートランジスタTr1として、PチャネルMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等を用いてもよい。
ところで、図3に示した温度制御回路のように、パワートランジスタTr1としてPNP型のトランジスタを用いた場合、電源電圧Vccが急激に変動すると、パワートランジスタTr1のベース−エミッタ間の電圧が急激に変化し、それに伴ってヒータ抵抗に流れる電流が一時的に大きく変動して、恒温槽の温度制御が不安定になることがあった。
従来の温度制御回路における電源変動特性の例について図4を用いて説明する。図4は、従来の温度制御回路における電源変動特性例を示す特性図である。
図4に示すように、電源電圧(Vcc)が変動する場合、変化するタイミングで温度制御回路の消費電流値が急激に変動しており、急峻な立ち下りや立ち上がりが認められる。これは、一時的にオーブンの制御が崩れ、不安定になっていることを示している。
尚、恒温槽付水晶発振器の温度制御回路に関する従来技術としては、特開2001−117645号公報「温度制御回路」(東洋通信機株式会社、特許文献1)、特開2005−165630号公報「温度制御回路とそれを用いた恒温槽型圧電発振器」(東洋通信機株式会社、特許文献2)、特開2012−253660号公報「恒温槽付水晶発振器」(日本電波工業株式会社、特許文献3)、特開2012−257195号公報「恒温槽付水晶発振器の温度制御回路」(日本電波工業株式会社、特許文献4)がある。
4の抵抗との間の点が第1の抵抗と第2の抵抗との間の点に接続することを特徴としている。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器の温度制御回路は、サーミスタで検出された温度に相当する電圧と、基準電圧との差分を出力するオペアンプの出力を、PNP型パワートランジスタのベースに入力して、エミッタにヒータ抵抗を接続した温度制御回路で、電源電圧の一部をブリッジ抵抗回路を介してオペアンプの基準電圧に加算するものであり、電源電圧が変動した場合に、PNP型パワートランジスタのベース電圧をエミッタ電圧と同方向に変化させることにより、ベース−エミッタ間の電圧を一定に保持することができ、電源電圧が急激に変化しても、安定した温度制御を行って出力周波数を安定させることができるものである。
本発明の実施の形態に係る恒温槽付水晶発振器の温度制御回路について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る温度制御回路の回路図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る温度制御回路(本温度制御回路)は、図3に示した従来の温度制御回路と同様の基本的な部分として、サーミスタ(TH)と、オペアンプ10と、PNP型のパワートランジスタTr1と、ヒータ抵抗HRと、電源電圧Vccと、安定化電源Vregとを備えている。
そして、本温度制御回路の特徴として、抵抗R11,抵抗R12,抵抗R13から成るブリッジ抵抗回路11を備えている。
ブリッジ抵抗回路11は、一端が電源電圧Vccに接続される抵抗R11と、一端が接地される抵抗R12と、一端が抵抗R2及び抵抗R3の間の点に接続される抵抗R13とを備え、抵抗R11,R12,R13の他端が一点で接続された構成である。
分岐された電源電圧Vccは、抵抗R11とR12の間の点に接続された抵抗R13を介して、抵抗R2と抵抗R3との間の点に入力されている。
つまり、本温度制御回路では、基準電圧に、電源電圧Vccを加算してオペアンプの+端子に供給しているものである。
次に、本温度制御回路の電源変動特性と、本温度制御回路を用いた恒温槽付水晶発振器の周波数安定度について図2を用いて説明する。図2は、本温度制御回路の電源変動特性例を示す特性図である。
図2に示すように、本温度制御回路では、電源電圧Vccが変動しても、消費電流の変動は小さく、急峻な立ち下りや立ち上がりは発生しない。
図4に示した従来の温度制御回路の特性と比較して、大幅に改善されており、オーブンの制御が安定していることを示している。
本発明の実施の形態に係る温度制御回路によれば、オペアンプ10が、抵抗R2及びR3の間の点から出力される基準電圧と、サーミスタからの温度に応じた電圧との差分を出力し、PNP型のパワートランジスタTr1が、オペアンプ10からの出力をベースに入力し、エミッタに接続するヒータ抵抗の電流を制御する温度制御回路であって、一端が電源電圧Vccに接続し、抵抗R11とR12とが直列接続されたブリッジ抵抗回路11を備え、ブリッジ抵抗回路11の抵抗R11とR12の間の点が、抵抗R13を介して、基準電圧を供給する抵抗R2とR3の間の点に接続された構成としているので、電源電圧Vccが変動した場合に、PNP型のパワートランジスタTr1のベース電圧をエミッタ電圧と同じ方向に変化させて、ベース−エミッタ間の電圧を一定に保持することができ、電源電圧Vccが変動しても安定した温度制御を行って出力周波数を安定させることができる効果がある。
Claims (3)
- 恒温槽付水晶発振器の温度制御回路であって、
安定化電源に接続し、恒温槽内の温度を検出して検出温度に相当する電圧を出力するサーミスタと、
一端が安定化電源に接続し、他端が接地された、第1及び第2の抵抗から成る直列回路と、
前記第1の抵抗と第2の抵抗の間の点から供給される基準電圧を一方の入力端子に入力し、前記検出温度に相当する電圧を他方の入力端子に入力し、前記基準電圧と前記検出温度に相当する電圧との差分を出力するオペアンプと、
前記オペアンプからの出力をベースに入力するPNP型パワートランジスタと、
一端が電源電圧に接続し、他端が前記パワートランジスタのエミッタに接続するヒータ抵抗と、
一端が電源電圧に接続し、他端が接地され、第3の抵抗と第4の抵抗とが直列接続されたブリッジ抵抗回路とを備え、
前記第3の抵抗と前記第4の抵抗との間の点が前記第1の抵抗と第2の抵抗との間の点に接続することを特徴とする温度制御回路。 - 第3の抵抗と第4の抵抗の間の点と、第1の抵抗と第2の抵抗の間の点とが、第5の抵抗を介して接続されていることを特徴とする請求項1記載の温度制御回路。
- 一端が安定化電源に接続し、他端がサーミスタに接続する第6の抵抗と、
一端がサーミスタに接続し、他端がオペアンプの−端子に接続する第7の抵抗と、
前記オペアンプの出力端子と−端子との間に設けられた第8の抵抗と、
前記オペアンプの出力端子とパワートランジスタのベースとの間に設けられた第9の抵抗とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の温度制御回路。
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