JP6273546B2 - 位置推定装置及び位置推定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、位置推定装置及び位置推定方法に関する。
所定の領域への人の侵入を検知するセキュリティシステムやセキュリティ装置の中には、無線信号を利用したものがある。例えば、特許文献1、2には、所定の領域に無線信号を送信し、検出対象で反射した無線信号を受信して、ドップラー効果による無線信号の変化を解析することで、所定の領域中を移動する検出対象を検知する技術の一例が開示されている。
特開2010−249712号公報 特許第4783130号
一方で、上述したセキュリティシステムやセキュリティ装置のように、無線信号を利用して検出対象を検知する技術として、特に、所定の領域中における検出対象の位置を推定することが可能な技術が求められている。
しかしながら、特許文献1、2に係る発明のように、ドップラー効果を利用して検出対象を検知する場合には、無線信号を送受信するアンテナを基準とした検出対象の存在する方向は検出できるが、検出対象の位置を検出することは困難であった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、無線信号を利用することで検出対象の位置を推定することが可能な、新規かつ改良された位置推定装置及び位置推定方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で形成される複数の伝搬路を示した第1の複素伝達関数行列を、前記複数の送信アンテナから送信され、前記複数の受信アンテナそれぞれで受信された通信信号に基づき推定する伝搬路推定部と、前記第1の複素伝達関数行列の時間応答を周波数応答に変換することで、周波数ごとの第2の複素伝達関数行列を算出する周波数応答算出部と、算出された周波数ごとの前記第2の複素伝達関数行列のうち、所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列を抽出する抽出部と、抽出された前記所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列に基づき、前記送信アンテナに対する前記複数の受信アンテナの相関値を示す受信相関行列と、前記受信アンテナに対する前記複数の送信アンテナの相関値を示す送信相関行列とを算出し、算出された前記受信相関行列と前記送信相関行列とに基づき、前記複数の伝搬路中の検出対象の位置を推定する位置推定部と、を備えることを特徴とする、位置推定装置が提供される。
前記位置推定部は、前記受信相関行列に基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、前記送信相関行列に基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、推定した前記第1の方向及び前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、前記複数の送信アンテナのうち所定の送信アンテナに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した前記受信相関行列に基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、前記複数の受信アンテナのうち所定の受信アンテナに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した前記送信相関行列に基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、推定した前記第1の方向及び前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、少なくとも2以上の送信アンテナそれぞれに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した2以上の前記受信相関行列それぞれに基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、前記複数の受信アンテナのうち所定の受信アンテナに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した前記送信相関行列に基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、前記受信相関行列ごとに推定した前記第1の方向と、推定した前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、前記複数の送信アンテナのうち所定の送信アンテナに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した前記受信相関行列に基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、少なくとも2以上の受信アンテナそれぞれに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した2以上の前記送信相関行列それぞれに基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、推定した前記第1の方向と、前記送信相関行列ごとに推定した前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、少なくとも2以上の送信アンテナそれぞれに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した2以上の前記受信相関行列それぞれに基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、少なくとも2以上の受信アンテナそれぞれに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した2以上の前記送信相関行列それぞれに基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、前記受信相関行列ごとに推定した前記第1の方向と、前記送信相関行列ごとに推定した前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、前記受信相関行列ごとに推定した前記第1の方向の平均に基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、前記送信相関行列ごとに推定した前記第2の方向の平均に基づき、前記検出対象の位置を推定してもよい。
前記位置推定部は、前記列ベクトルに対して当該列ベクトルの複素共役転置ベクトルを積算することで前記受信相関行列を算出し、前記行ベクトルの複素共役転置ベクトルに対して当該行ベクトルを積算することで前記送信相関行列を算出してもよい。
前記位置推定部は、抽出された前記第2の複素伝達関数行列の複素共役転置行列に対して当該第2の複素伝達関数行列を積算することで前記受信相関行列を算出し、抽出された前記第2の複素伝達関数行列に対して当該第2の複素伝達関数行列の複素共役転置行列を積算することで前記送信相関行列を算出してもよい。
前記位置推定部は、前記所定の周波数帯域に含まれる複数の周波数それぞれに対応する前記第2の複素伝達関数行列の平均に基づき、前記受信相関行列及び前記送信相関行列を算出してもよい。
前記位置推定部は、前記受信相関行列の固有ベクトルに基づく第1の評価関数を算出し、算出した前記第1の評価関数に基づき前記第1の方向を推定し、前記送信相関行列の固有ベクトルに基づく第2の評価関数を算出し、算出した前記第2の評価関数に基づき前記第2の方向を推定してもよい。
前記位置推定部は、前記所定の周波数帯域に含まれる1以上の周波数について、当該周波数に対応する前記第2の複素伝達関数行列に基づき、当該周波数に対応する前記受信相関行列と前記送信相関行列とを算出し、算出した前記受信相関行列ごとに前記第1の評価関数を算出し、算出した前記送信相関行列ごとに前記第2の評価関数を算出してもよい。
前記位置推定部は、前記所定の周波数帯域に含まれる複数の周波数それぞれに対応する前記第1の評価関数の平均に基づき前記第1の方向を推定し、前記複数の周波数それぞれに対応する前記第2の評価関数の平均に基づき前記第2の方向を推定してもよい。
前記複数の受信アンテナを備えてもよい。
前記複数の送信アンテナに前記通信信号を送信させる送信処理部を備えてもよい。
前記複数の送信アンテナを備えてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で形成される複数の伝搬路を示した第1の複素伝達関数行列を、前記複数の送信アンテナから送信され、前記複数の受信アンテナそれぞれで受信された通信信号に基づき推定することと、前記第1の複素伝達関数行列の時間応答を周波数応答に変換することで、周波数ごとの第2の複素伝達関数行列を算出することと、算出された周波数ごとの前記第2の複素伝達関数行列のうち、所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列を抽出することと、抽出された前記所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列に基づき、前記送信アンテナに対する前記複数の受信アンテナの相関値を示す受信相関行列と、前記受信アンテナに対する前記複数の送信アンテナの相関値を示す送信相関行列とを算出し、算出された前記受信相関行列と前記送信相関行列とに基づき、前記複数の伝搬路中の検出対象の位置を推定することと、を含むことを特徴とする、位置推定方法が提供される。
以上説明したように本発明によれば、無線信号を利用することで検出対象の位置を推定することが可能な位置推定装置及び位置推定方法を提供することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る位置推定システムの構成を示したブロック図である。 同実施形態に係る位置推定システムにおいて検出対象の位置を特定する処理の内容について説明するための図である。 同実施形態に係る位置推定システムの構成の他の一態様を示したブロック図である。 同実施形態の実施例に係る試験環境の一例について説明するための図である。 同実施形態の実施例に係る試験結果の一例である。 同実施形態の実施例に係る試験結果の一例である。 同実施形態の実施例に係る試験結果の一例である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[概要]
所定の領域への人の侵入を検知するシステムとして、特に、当該領域中における検出対象の位置を推定することが可能な技術が求められている。このように人の侵入を検知するシステムの具体的な一例として、ドップラー効果による無線信号の変化を解析することで、所定の領域中を移動する検出対象を検知するシステムが挙げられる。
しかしながら、ドップラー効果を利用して検出対象を検知するシステムは、無線信号を送受信するアンテナを基準とした検出対象の存在する方向は検出できるが、検出対象の位置を検出することは困難である。
また、ドップラー効果を利用するシステムでは、信号を送受信する伝搬路中に障害物が存在する場合に、信号が当該障害物に遮蔽されることで、障害物の裏側に位置する検出対象を検知できない場合がある。
そこで、本発明の第1の実施形態では、無線信号を利用することで検出対象の位置を推定することが可能な位置推定することが可能な位置推定システムを提案する。具体的には、本実施形態に係る位置推定システム1は、送信アレイアンテナと受信アレイアンテナとの間で形成される各伝搬路の伝達関数を推定することで、伝達関数の推定結果に基づき当該伝搬路が形成される所定の領域中に侵入した検出対象の位置を推定する。
[構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る位置推定システム1の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る位置推定システム1の構成を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る位置推定システム1は、送信装置50と、送信アレイアンテナTxと、受信アレイアンテナRxと、受信装置10とを含む。送信アレイアンテナTxは、複数の送信アンテナTx1〜Txmを含む。また、受信アレイアンテナRxは、複数の受信アンテナRx1〜Rxmを含む。即ち、位置推定システム1は、複数の送信アンテナTx1〜Txmと複数の受信アンテナRx1〜Rxmとの間で無線信号を送受信する、MIMO(Multiple−Input and Multiple−Output)方式の無線通信システムである。
また、受信装置10は、受信処理部102と、伝搬路推定部104と、記憶部106と、周波数応答算出部108と、抽出部110と、位置推定部112とを含む。なお、受信装置10が、「位置推定装置」の一例に相当する。
送信装置50は、m本(m≧2)の送信アンテナからm系統の信号を送信する装置である。例えば、送信アンテナの数が2本の場合には、送信装置50は、2系統(m=2)の信号を送信することになる。
送信装置50は、システムにおいて既知の符号パターンである信号(以降は、「パイロット信号」と呼ぶ場合がある)を含むm系統の信号を変調し、所定の無線周波数帯の信号に周波数変換した後、所定のレベルに増幅して出力する。このようにして出力されたm系統の出力信号は、各々送信アンテナTx1〜TxmによってRF(Radio Frequency)信号として送信される。なお、パイロット信号が「通信信号」の一例に相当する。
受信処理部102は、m本の受信アンテナそれぞれで受信されたm系統のRF信号をそれぞれ取得する。受信処理部102は、取得したRF信号それぞれを受信系統ごとに所定帯域でフィルタリングし、増幅及び周波数変換等を行ってベースバンド信号に変換する。受信処理部102は、変換したベースバンド信号から、パイロット信号を復調する。
受信処理部102は、受信系統ごとのベースバンド信号から復調された受信信号(即ち、パイロット信号)を、あらかじめ決められたタイミングごとに伝搬路推定部104に順次出力する。
伝搬路推定部104は、受信処理部102から受信系統ごとのベースバンド信号から復調された受信信号を所定のタイミングごとに逐次取得する。伝搬路推定部104は、取得した受信信号(パイロット信号)に基づき、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間で形成される伝搬路ごとの伝達関数を成分とする複素伝達関数行列H(t)を算出する。
例えば、m本(m≧2)の受信アンテナを用いて、送信装置50により送信されたm系統(m≧2)の信号を受信する場合には、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間にはm×mの伝送路が存在する。ここで、j番目の送信アンテナTxjから送信されi番目の受信アンテナRxiで受信される場合の伝達関数をhij(t)とすると、これを第(i,j)成分とするm行m列の行列が、複素伝達関数行列H(t)である。複素伝達関数行列H(t)は、以下に示す(式1)で表される。なお、tは、複素伝達関数行列H(t)が取得された時間、即ち、当該複素伝達関数行列H(t)の算出元となる信号が受信された時間を示している。
Figure 0006273546
なお、伝搬路推定部104は、例えば、取得した受信信号に対して相関演算を行うことで、複素伝達関数行列H(t)の各要素hij(t)を算出すればよい。
また、上記に示した複素伝達関数行列H(t)の算出方法はあくまで一例であり、複素伝達関数行列H(t)を導出できれば、その方法は限定されない。また、複素伝達関数行列H(t)が、「第1の複素伝達関数行列」の一例に相当する。
伝搬路推定部104は、時間tごとに算出した複素伝達関数行列H(t)を、記憶部106に逐次記憶させる。記憶部106は、算出された複素伝達関数行列H(t)を記憶するための記憶媒体である。記憶部106の具体的な一例としては、フラッシュメモリ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、PRAM(Phase change Random Access Memory)、及びEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリや、HDD(Hard Disk Drive)などの磁気記録媒体などが挙げられる。
周波数応答算出部108は、時間tごとに記憶部106に記憶された複素伝達関数行列H(t)を、あらかじめ決められた期間Tごとに読み出す。周波数応答算出部108は、期間Tごとに読み出した複素伝達関数行列H(t)に基づき、当該期間Tにおける複素伝達関数行列H(t)の時系列に沿った変化、即ち、時間応答を算出する。ここで、算出された複素伝達関数行列H(t)の時間応答は、期間Tにおける各要素hij(t)の時間応答により形成される。なお、期間Tの決定方法については、別途後述する。また、T=tとして設定してもよい。この場合は、周波数応答算出部108は、読み出した複素伝達関数行列H(t)を、当該複素伝達関数行列H(t)の時間応答と認識すればよい。
期間Tにおける複素伝達関数行列H(t)の時間応答を算出したら、周波数応答算出部108は、複素伝達関数行列H(t)の各要素hij(t)の時間応答を周波数応答に変換することで、周波数ごとの複素伝達関数行列F(f)を算出する。具体的な一例として、周波数応答算出部108は、複素伝達関数行列H(t)の各要素hij(t)の時間応答をフーリエ変換することで、周波数ごとに各伝搬路の周波数応答Fij(f)を算出する。そして、周波数応答算出部108は、周波数ごとに算出した各伝搬路の周波数応答Fij(f)を第(i,j)成分とする、当該周波数ごとの複素伝達関数行列F(f)を算出すればよい。複素伝達関数行列F(f)は、以下に示す(式2)で表される。
Figure 0006273546
このようにして算出された周波数ごとの複素伝達関数行列F(f)を利用することで、例えば、検出対象の侵入に伴う伝搬路の変化を、当該検出対象に固有の周波数に対応する複素伝達関数行列F(f)に基づき検出することが可能となる。
具体的な一例として、固有の周波数f1を有する対象が、送信アンテナTxjと受信アンテナRxiとの間で形成される伝搬路hij(t)に侵入したとする。この場合には、対象の侵入に伴う伝搬路hij(t)の変化が、周波数f1に対応する複素伝達関数行列F(f1)の各要素のうち、伝搬路hij(t)に対応する成分Fij(f1)の変化として表れる。
そのため、検出対象に固有の周波数が既知の場合には、当該周波数に対応する複素伝達関数行列F(f)の変化を検出することで、所定の領域(即ち、各伝搬路中)への当該検出対象の侵入を検知することが可能となる。なお、複素伝達関数行列F(f)を算出可能な周波数fの範囲は、複素伝達関数行列H(t)の時間応答を算出する期間Tに応じて決定される。そのため、期間Tは、検出対象に固有の周波数に対応する複素伝達関数行列F(f)を算出するために要する、複素伝達関数行列H(t)の時間応答を得るために必要な期間を確保可能な範囲で決定すればよい。
なお、上記に示したフーリエ変換に基づき複素伝達関数行列F(f)を算出する方法はあくまで一例であり、複素伝達関数行列H(t)の時間応答を周波数応答に変換することで複素伝達関数行列F(f)が導出できれば、その方法は限定されない。また、複素伝達関数行列F(f)が、「第2の複素伝達関数行列」の一例に相当する。
周波数応答算出部108は、期間Tごとに算出した各周波数に対応する複素伝達関数行列F(f)を抽出部110に出力する。
抽出部110は、期間Tごとに算出された各周波数に対応する複素伝達関数行列F(f)を周波数応答算出部108から取得する。抽出部110は、取得した各周波数に対応する複素伝達関数行列F(f)の中から、検出対象に固有の周波数帯域に対応する複素伝達関数行列F(f)を抽出する。なお、抽出部110が複素伝達関数行列F(f)を抽出する周波数帯域、即ち、検出対象に固有の周波数帯域は、あらかじめ、抽出部110に設定しておくとよい。
例えば、人体を検出対象とした場合には、抽出部110は、呼吸や心拍等のような人体の生体反応に固有の周波数や、人体の共振周波数が含まれる周波数帯域に対応する複素伝達関数行列F(f)を抽出すればよい。なお、人体を検出対象とする場合には、心拍数(もしくは脈拍数)や呼吸数は年齢や対象となる人体の動静等により異なる(変動する)場合がある。そのため、人体を検出対象とする場合には、年齢や人体の動静等のような周波数が変動する要因も踏まえて、抽出対象と周波数帯域を決定し、決定した当該周波数帯域を抽出部110に設定しておくとよい。
具体的な一例として、人体を検出対象とし、呼吸や心拍等のような人体の生体反応に固有の周波数に基づき当該人体を検出する場合には、0.15[Hz]〜1.6[Hz]の周波数帯域を抽出対象とすることで、良好な検出結果を得られることがわかっている。また、人体の共振周波数が8[Hz]程度であるため、例えば、0.15[Hz]〜8[Hz]の周波数帯域を抽出対象としてもよい。
なお、上記に示す例はあくまで一例であり、どの周波数帯域を抽出対象とするかは、実験等により良好な検出結果が得られる範囲を確認し、当該実験の結果に基づき決定してもよい。また、抽出対象となる周波数帯域を適宜変更することで、人体に限らず、他の動体や生体を検出対象とすることも可能であることは言うまでもない。また、前述した検出対象に固有の周波数帯域が、「所定の周波数帯域」の一例に相当する。
抽出部110は、抽出した複素伝達関数行列F(f)、即ち、検出対象に固有の周波数帯域に対応する各複素伝達関数行列F(f)を位置推定部112に出力する。
位置推定部112は、検出対象に固有の周波数帯域に対応する各複素伝達関数行列F(f)を、抽出部110から取得する。位置推定部112は、取得した各複素伝達関数行列F(f)に基づき、所定の領域中(即ち、各伝搬路中)における検出対象の位置を推定する。以下に、位置推定部112の動作の詳細について、検出対象に固有の周波数帯域に含まれる周波数fに対応する複素伝達関数行列F(f)に着目して説明する。
まず、位置推定部112は、取得した複素伝達関数行列F(f)から、受信アレイアンテナRxを構成する複数の受信アンテナRx1〜Rxmのうち、所定の受信アンテナRxiに対応する行ベクトルFrow,i(f)を抽出する。抽出された行ベクトルFrow,i(f)は、以下に示す(式3)で表される。なお、所定の受信アンテナRxi、即ち、行ベクトルFrow,i(f)を抽出する受信アンテナRxiは、受信アンテナRx1〜Rxmの中からあらかじめ決めて位置推定部112に設定しておくとよい。また、他の一例として、行ベクトルFrow,i(f)を抽出する受信アンテナRxiを、位置推定部112が、所定のロジックに基づき決定してもよい(例えば、ランダムに決定してもよい)。
Figure 0006273546
また、位置推定部112は、取得した複素伝達関数行列F(f)から、送信アレイアンテナTxを構成する複数の送信アンテナTx1〜Txmのうち、所定の送信アンテナTxjに対応する列ベクトルFcol,j(f)を抽出する。抽出された列ベクトルFcol,j(f)は、以下に示す(式4)で表される。なお、所定の送信アンテナTxj、即ち、列ベクトルFcol,j(f)を抽出する送信アンテナTxjは、送信アンテナTx1〜Txmの中からあらかじめ決めて位置推定部112に設定しておくとよい。また、他の一例として、列ベクトルFcol,j(f)を抽出する送信アンテナTxjを、位置推定部112が、所定のロジックに基づき決定してもよい(例えば、ランダムに決定してもよい)。
Figure 0006273546
位置推定部112は、下記(式5)に示すように、抽出した行ベクトルFrow,i(f)の複素共役転置ベクトルFrow,i(f)に対して、当該行ベクトルFrow,i(f)を積算することで、送信相関行列R(f)を算出する。なお、送信相関行列R(f)は、送信アレイアンテナTxを構成する複数の送信アンテナTx1〜Txmから送信された信号が所定の受信アンテナRxiにより受信された場合における、送信アンテナTx1〜Txmの相関値を示している。
Figure 0006273546
また、位置推定部112は、下記(式6)に示すように、抽出した列ベクトルFcol,j(f)に対して、当該列ベクトルFcol,j(f)の複素共役転置ベクトルFcol,j(f)を積算することで、受信相関行列R(f)を算出する。なお、受信相関行列R(f)は、所定の送信アンテナTxjから送信された信号が、受信アレイアンテナRxを構成する複数の受信アンテナRx1〜Rxmで受信された場合における、受信アンテナRx1〜Rxmの相関値を示している。
Figure 0006273546
ここで、図2を参照しながら、位置推定部112が、伝搬路中に存在する検出対象の位置を推定する方法について説明する。図2は、本実施形態に係る位置推定システム1において検出対象の位置を特定する処理の内容について説明するための図である。図2に示す例では、受信アレイアンテナRxと送信アレイアンテナTxとの間に形成される伝搬路中に、検出対象P1が存在する場合を示している。
位置推定部112は、算出した送信相関行列R(f)に基づき、送信アレイアンテナTxを構成する複数の送信アンテナTx1〜Txmそれぞれの位置の基準となる基準位置Qtを起点とした検出対象P1の方向θtを推定する。同様に、位置推定部112は、算出した受信相関行列R(f)に基づき、受信アレイアンテナRxを構成する複数の受信アンテナRx1〜Rxmそれぞれの位置の基準となる基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrを推定する。なお、基準位置Qt及びQrの規定方法と、方向θt及びθrの推定方法については、別途後述する。
位置推定部112は、図2に示すように、基準位置Qtを起点として方向θtに向けたベクトルと、基準位置Qrを起点として方向θrに向けたベクトルとが交差する位置を、検出対象P1の位置として推定する。
ここで、位置推定部112が方向θt及びθrを推定する処理の詳細について、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いた場合を例に、受信相関行列R(f)に基づき方向θrを推定する場合に着目して説明する。なお、方向θtを推定する場合には、下記に示す処理に対して、受信相関行列R(f)に替えて送信相関行列R(f)を適用すればよいため、詳細な説明は省略する。
位置推定部112は、下記(式7)に示すように、算出した受信相関行列R(f)を固有値分解することで、当該受信相関行列R(f)の固有ベクトルVcol,j(f)と、当該固有ベクトルVcol,j(f)の複素共役転置ベクトルVcol,j(f)を算出する。
Figure 0006273546
なお、式(7)における、固有ベクトルVcol,j(f)は、以下に示す(式8)で表される。
Figure 0006273546
また、式(7)において、Scol,j(f)は、受信相関行列R(f)の固有値を示しており、以下に示す(式9)で表される。
Figure 0006273546
位置推定部112は、算出した固有ベクトルVcol,j(f)及び複素共役転置ベクトルVcol,j(f)に基づき、下記(式10)に示すように、評価関数Pr_music(θ,f)を算出する。
Figure 0006273546
なお、(式10)において、a(θ)はステアリングベクトルを示しており、以下に示す(式11)で表される。
Figure 0006273546
(式11)で示したステアリングベクトルa(θ)の各要素は、基準位置からの各アンテナの位置に基づき決定される。例えば、(式10)では、受信相関行列R(f)に着目しているため、ステアリングベクトルa(θ)の各要素は、基準位置Qrを基準とした、受信アンテナRx1〜Rxmそれぞれの位置に基づき決定されることとなる。なお、(式7)〜(式10)を、送信相関行列R(f)について適用する場合には、ステアリングベクトルa(θ)の各要素は、基準位置Qtを基準とした、送信アンテナTx1〜Txmそれぞれの位置に基づき決定されることは言うまでもない。
(式11)において、λは、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間で送信される信号(搬送波)の波長を示している。また、dは、受信アレイアンテナRxを構成する複数の受信アンテナRx1〜Rxmの素子間隔を示している。この場合には、基準位置Qrは、受信アンテナRx1〜Rxmの中心となる。
また、(式10)において、L(1≦L≦mr−1)は、方向推定の対象の数(即ち、検出対象P1の数)を示している。即ち、上述した方法により、対象の方向を推定する場合には、受信アンテナの数mは、検出対象の数L+1以上に設定する必要がある。これは、送信アンテナの数mについても同様である。即ち、(式7)〜(式10)を、送信相関行列R(f)について適用する場合には、送信アンテナの数mは、検出対象の数L+1以上に設定する必要がある。
以上のようにして、受信相関行列R(f)に基づき算出された評価関数Pr_music(θ,f)は、基準位置Qrを起点として、方向θごとの電力値を示している。この評価関数Pr_music(θ,f)は、伝搬路中に周波数fを有する検出対象が存在する場合に、基準位置Qrを起点として、当該検出対象が存在する方向θにピークを示す。そのため、当該評価関数Pr_music(θ,f)に基づき、基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrを推定することが可能となる。
同様にして、位置推定部112は、(式7)〜(式11)を、送信相関行列R(f)について適用し、送信相関行列R(f)に基づく評価関数Pr_music(θ,f)を算出することで、基準位置Qtを起点とした検出対象P1の方向θtを推定する。なお、受信相関行列R(f)に基づく評価関数Pr_music(θ,f)が、「第1の評価関数」の一例に相当する。同様に、送信相関行列R(f)に基づく評価関数Pr_music(θ,f)が、「第2の評価関数」の一例に相当する。
以上のようにして、検出対象P1の方向θt及びθrを推定し、図2に示すように、推定した方向θt及びθrと、基準位置Qt及びQrとに基づき、検出対象P1の位置を推定する。
なお、上述した一連の動作、即ち、(式1)〜(式6)に基づき受信相関行列R(f)及び送信相関行列R(f)を算出し、当該相関行列に基づき推定された基準位置Qt及びQrに基づき検出対象P1の位置を推定する方法が、「位置推定方法」の一例に相当する。
また、上述した一連の動作は、送信装置50及び受信装置10のCPUにより、上述した各構成(例えば、受信処理部102、伝搬路推定部104、記憶部106、周波数応答算出部108、抽出部110、及び位置推定部112)の処理が実行されることで実現される。また、上述した各構成のうち、一部の構成の処理をCPUとは異なる処理回路に実行させてもよい。
また、上述した一連の動作は、送信装置50及び受信装置10のCPUや処理回路を機能させるためのプログラムによって構成することができる。このプログラムは、その装置にインストールされたOS(Operating System)を介して実行されるように構成してもよい。また、このプログラムは、上述した処理を実行する構成が含まれる装置が読み出し可能であれば、記憶される位置は限定されない。例えば、装置の外部から接続される記録媒体にプログラムが格納されていてもよい。この場合には、プログラムが格納された記録媒体を装置に接続することによって、その装置のCPUに当該プログラムを実行させるように構成するとよい。
なお、上記では、位置推定部112が、周波数fごとに受信相関行列R(f)及び評価関数Pr_music(θ,f)を算出することで、周波数fごとに、基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrを推定する例について説明した。
一方で、位置推定部112は、例えば、周波数fごとに算出された各受信相関行列R(f)の平均に基づき評価関数Pr_music(θ,f)を算出し、算出した評価関数Pr_music(θ,f)に基づき方向θrを推定してもよい。このように、各受信相関行列R(f)の平均に基づき評価関数Pr_music(θ,f)を算出することで、周波数fごとに評価関数Pr_music(θ,f)を算出する必要がなくなり、処理負荷を軽減することが可能となる。これは、送信相関行列R(f)に着目して方向θtを推定する場合についても同様である。
また、位置推定部112は、周波数fごとに受信相関行列R(f)及び評価関数Pr_music(θ,f)を算出し、周波数fごとに算出した各評価関数Pr_music(θ,f)の平均に基づき、方向θrを推定してもよい。また、このことは、送信相関行列R(f)に着目して方向θtを推定する場合についても同様であることは言うまでもない。
また、上記ではMUSIC法を用いて、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)の固有値展開に基づき多重信号分離を行い、方向θt及びθrを推定する例について説明したが、固有値展開に基づき多重信号分離が行えれば、その方法は限定されない。具体的な一例として、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法やRoot−MUSIC法に用いて、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)の固有値展開に基づき多重信号分離を行ってもよい。また、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)に基づく方向推定の方法として、Linear prediction法やCapon法を用いてもよい。
また、受信アレイアンテナRx、即ち、各受信アンテナRx1〜Rxmを受信装置10の一部として組み込んでもよい。同様に、送信アレイアンテナTx、即ち、各送信アンテナTx1〜Txmを送信装置50の一部として組み込んでもよい。
また、送信装置50と受信装置10とを一体的に構成してもよい。例えば、図3は、本実施形態に係る位置推定システム1の他の一例を示したブロック図であり、送信装置50と受信装置10とを一体的に構成した位置推定システム1aの構成を示している。図3に示す例では、上述した送信装置50に相当する送信処理部502と、上述した受信装置10に含まれる受信処理部102、伝搬路推定部104、記憶部106、周波数応答算出部108、抽出部110、及び位置推定部112とを、通信装置10aとして一体的に構成している。
[実施例]
次に、上述した実施形態に係る位置推定システム1に基づき、人体を検出対象として、監視対象となる所定の領域中に侵入した検出対象の位置を推定する場合の例について、実施例として以下にまとめる。
まず、図4を参照しながら、試験環境について説明する。図4は、本実施形態の実施例に係る試験環境の一例について説明するための図である。図4に示すように、本実施例では、送信アレイアンテナTx及び受信アレイアンテナRxとしてリニアアレイを適用した。また、本実施例では、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとを対向するように配置し、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間の距離を13.6[m]に設定した。また、送信アレイアンテナTxを構成する複数の送信アンテナTx1〜Txmの中心を基準位置Qtとし、受信アレイアンテナRxを構成する複数の受信アンテナRx1〜Rxmの中心を基準位置Qrとした。
上記に示す試験環境中に、検出対象(即ち、人体)P11〜P14をそれぞれ配置した。具体的には、受信アレイアンテナRxから送信アレイアンテナTxに向けて4.5[m]離れ、かつ、基準位置Qrから基準位置Qtに向けた軸から互いに異なる方向に4.5[m]離れた位置に、検出対象P11及びP12をそれぞれ配置した。このとき、検出対象P11は、基準位置Qtを起点として−26[°]の方向に位置し、基準位置Qrを起点として−45[°]の方向に位置している。また、検出対象P12は、基準位置Qtを起点として26[°]の方向に位置し、基準位置Qrを起点として45[°]の方向に位置している。
同様に、送信アレイアンテナTxから受信アレイアンテナRxに向けて4.5[m]離れ、かつ、基準位置Qtから基準位置Qrに向けた軸から互いに異なる方向に4.5[m]離れた位置に、検出対象P13及びP14を配置した。このとき、検出対象P13は、基準位置Qtを起点として−45[°]の方向に位置し、基準位置Qrを起点として−26[°]の方向に位置している。また、検出対象P14は、基準位置Qtを起点として45[°]の方向に位置し、基準位置Qrを起点として26[°]の方向に位置している。
なお、本実施例では、4つの検出対象P11〜P14の位置をそれぞれ推定するため、送信アンテナ及び受信アンテナはそれぞれ5以上設定する必要がある点は言うまでもない。また、本実施例では、人体を検出対象とするため、検出対象(人体)に固有の周波数帯域を0.15[Hz]〜1.6[Hz]に設定した。
以上のような試験環境において、本実施形態に係る位置推定システム1を利用して、基準位置Qtを起点とした検出対象P11〜P14それぞれの方向θtと、基準位置Qrを起点とした検出対象P11〜P14それぞれの方向θrとを推定した。
ここで、図5を参照する。図5は、本実施例に係る試験結果の一例であり、送信相関行列R(f)に基づき推定された、基準位置Qtを起点とした検出対象P11〜P14それぞれの方向θtの推定結果を示している。図5に示すように、試験結果D10は、推定結果D102と、実角度D104とを含む。
推定結果D102は、本実施形態に係る位置推定システム1による、基準位置Qtを起点とした検出対象P11〜P14それぞれの方向θtの推定結果を示している。また、実角度D104は、基準位置Qtを起点とした検出対象P11〜P14の実環境における方向を示している。
試験結果D10に示すように、基準位置Qtを起点とした検出対象P11の方向θtの試験結果は、実角度D104が「−26[°]」に対して、推定結果D102は「−35[°]」となった。同様に、検出対象P12の方向θtの試験結果は、実角度D104が「26[°]」に対して、推定結果D102は「22[°]」となった。また、検出対象P13の方向θtの試験結果は、実角度D104が「−45[°]」に対して、推定結果D102は「−51[°]」となった。また、検出対象P14の方向θtの試験結果は、実角度D104が「45[°]」に対して、推定結果D102は「47[°]」となった。
次に、図6を参照する。図6は、本実施例に係る試験結果の一例であり、受信相関行列R(f)に基づき推定された、基準位置Qrを起点とした検出対象P11〜P14それぞれの方向θrの推定結果を示している。図6に示すように、試験結果D20は、推定結果D202と、実角度D204とを含む。
推定結果D202は、本実施形態に係る位置推定システム1による、基準位置Qrを起点とした検出対象P11〜P14それぞれの方向θrの推定結果を示している。また、実角度D204は、基準位置Qrを起点とした検出対象P11〜P14の実環境における方向を示している。
試験結果D20に示すように、基準位置Qrを起点とした検出対象P11の方向θrの試験結果は、実角度D104が「−45[°]」に対して、推定結果D102は「−39[°]」となった。同様に、検出対象P12の方向θrの試験結果は、実角度D104が「45[°]」に対して、推定結果D102は「63[°]」となった。また、検出対象P13の方向θrの試験結果は、実角度D104が「−26[°]」に対して、推定結果D102は「−22[°]」となった。また、検出対象P14の方向θrの試験結果は、実角度D104が「26[°]」に対して、推定結果D102は「37[°]」となった。
図5及び図6に示した試験結果D10及びD20で示された、検出対象P11〜P14それぞれについて推定された方向θt及びθrに基づく、検出対象P11〜P14それぞれの位置の推定結果を図7に示す。図7は、本実施例に係る試験結果の一例であり、検出対象P11〜P14それぞれの位置の推定結果と、検出対象P11〜P14それぞれの実環境の位置とを示している。なお、図7において、位置P21〜P24は、検出対象P11〜P14の位置の推定結果をそれぞれ示している。
図7に示すように、検出対象P11〜P14それぞれの位置の推定結果P21〜P24は、実環境における各検出対象P11〜P14の位置と概ね一致していることがわかる。
なお、上記に示した実施例では、送信アレイアンテナTx及び受信アレイアンテナRxとしてリニアアレイを使用する例について説明したが、MIMOを形成できれば、必ずしも各アレイアンテナを構成するアンテナの配置は限定されない。また、上記に示した実施例では、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとを対向するように配置する例について説明したが、アレイアンテナ間で伝搬路を形成可能な配置であれば、アレイアンテナ間の位置関係は限定されない。
[まとめ]
以上のように、本実施形態に係る位置推定システム1は、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間に形成される伝送路の伝達関数で示された複素伝達関数行列H(t)の時間応答を、周波数応答に変換することで複素伝達関数行列F(f)を算出する。次いで、位置推定システム1は、算出した複素伝達関数行列F(f)から、検出対象に固有の周波数帯域に対応する複素伝達関数行列F(f)を抽出し、抽出した複素伝達関数行列F(f)から、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)を算出する。そして、位置推定システム1は、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)に基づき、基準位置Qtを起点とした検出対象の方向θtと、基準位置Qrを起点とした検出対象の方向θrを推定する。このような構成により、位置推定システム1は、無線信号を利用することで、基準位置Qt及びQrと推定した方向θt及びθrとに基づき、検出対象の位置を推定することが可能となる。
また、本実施形態に係る位置推定システム1では、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間に複数の伝搬路が形成される。そのため、送信アレイアンテナTxと受信アレイアンテナRxとの間に障害物が存在し、当該障害物により一部の送信アンテナから送信された無線信号が遮蔽される場合においても、他の伝搬路の応答に基づき検出対象の位置を推定することが可能となる。また、送信アレイアンテナTx及び受信アレイアンテナRxを構成する各アンテナを増設することで、容易に伝搬路の数を増加させることが可能なため、障害物による無線信号の遮蔽に伴う検出精度の劣化を容易に防止することが可能となる。また、本実施形態に係る位置推定システム1は、前述の通り、容易に伝搬路の数を増加させることが可能なため、検出対象P1の位置を推定するためのサンプルの数を増加させ、検出対象P1の位置推定の精度を容易に向上させることが可能となる。
また、本実施形態に係る位置推定システム1は、検出対象に固有の周波数帯域に含まれる各周波数に対応した送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)に基づき、検出対象の位置を推定する。そのため、例えば、伝搬路中に障害物が存在する場合においても、当該障害物が固有の周波数として、検出対象と同様の周波数を有しない限り、本実施形態に係る位置推定システム1は、当該障害物を検出対象と誤って検出することを防止することが可能である。
なお、上述した本実施形態に係る位置推定システム1が、所定の領域中における検出対象の位置を推定するために用いられれば、当該位置推定システム1の適用分野は特に限定されない。具体的な位置襟として、本実施形態に係る位置推定システム1を、所定の領域への人の侵入を検知するセキュリティシステムやセキュリティ装置として利用してもよい。
<2.第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係る位置推定システム1について説明する。前述した第1の実施形態に係る位置推定システム1では、所定の送信アンテナTxjについて算出した受信相関行列R(f)と、所定の受信アンテナRxiについて算出した送信相関行列R(f)とに基づき、検出対象の方向θt及びθrを推定した。第2の実施形態に係る位置推定システム1では、2以上の送信アンテナ(一部または全部の送信アンテナ)それぞれについて算出した受信相関行列R(f)と、2以上の受信アンテナ(一部または全部の受信アンテナ)それぞれについて算出した送信相関行列R(f)とに基づき、検出対象の方向θt及びθrを推定する。以下に、第2の実施形態に係る位置推定システム1について、前述した第1の実施形態に係る位置推定システム1と異なる位置推定部112の動作に着目して説明する。なお、その他の構成については、前述した第1の実施形態と同様のため詳細な説明は省略する。
位置推定部112は、検出対象に固有の周波数帯域に対応する各複素伝達関数行列F(f)を、抽出部110から取得する。この動作は、前述した第1の実施形態と同様である。
本実施形態に係る位置推定部112は、取得した複素伝達関数行列F(f)から、受信アレイアンテナRxを構成する複数の受信アンテナRx1〜Rxmのうち、所定の2以上の受信アンテナに対応する行ベクトルFrow,i(f)を抽出する。
位置推定部112は、抽出した2以上の受信アンテナに対応する行ベクトルFrow,i(f)それぞれに基づき、送信相関行列R(f)を算出する。なお、各送信相関行列R(f)の算出方法は、前述した第1の実施形態と同様である。これにより、2以上の受信アンテナそれぞれに対応する送信相関行列R(f)が算出される。
同様に、位置推定部112は、取得した複素伝達関数行列F(f)から、送信アレイアンテナTxを構成する複数の送信アンテナTx1〜Txmのうち、所定の2以上の送信アンテナに対応する列ベクトルFcol,j(f)を抽出する。
位置推定部112は、抽出した2以上の送信アンテナに対応する列ベクトルFcol,j(f)それぞれに基づき、受信相関行列R(f)を算出する。なお、各受信相関行列R(f)の算出方法は、前述した第1の実施形態と同様である。これにより、2以上の送信アンテナそれぞれに対応する受信相関行列R(f)が算出される。
2以上の受信アンテナそれぞれに対応する送信相関行列R(f)を算出したら、位置推定部112は、算出した送信相関行列R(f)ごとに、基準位置Qtを起点とした検出対象P1の方向θtを推定する。なお、方向θtの推定方法は、第1の実施形態に係る情報処理システム位置推定システム1と同様である。具体的な一例として、MUSIC法を用いて方向θtを推定する場合には、前述した(式7)〜(式11)を各送信相関行列R(f)に適用すればよい。以上のようにして、2以上の受信アンテナそれぞれに対応する送信相関行列R(f)ごとに、基準位置Qtを起点とした検出対象P1の方向θtが推定される。
そして、位置推定部112は、2以上の受信アンテナそれぞれに対応する送信相関行列R(f)ごとに推定された方向θtの平均を、基準位置Qtを起点とした検出対象P1の方向θtとする。
同様に、2以上の送信アンテナそれぞれに対応する受信相関行列R(f)を算出したら、位置推定部112は、算出した受信相関行列R(f)ごとに、基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrを推定する。なお、方向θrの推定方法は、第1の実施形態に係る位置推定システム1と同様である。以上のようにして、2以上の送信アンテナそれぞれに対応する受信相関行列R(f)ごとに、基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrが推定される。
そして、位置推定部112は、2以上の送信アンテナそれぞれに対応する受信相関行列R(f)ごとに推定された方向θrの平均を、基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrとする。
なお、以降の処理は、前述した第1の実施形態と同様である。即ち、位置推定部112は、推定した方向θt及びθrと、基準位置Qt及びQrとに基づき、検出対象P1の位置を推定する。
以上のように、本実施形態に係る位置推定システム1は、2以上の送信アンテナそれぞれについて算出した受信相関行列R(f)と、2以上の受信アンテナそれぞれについて算出した送信相関行列R(f)とに基づき、検出対象の方向θt及びθrを推定する。このような構成により、本実施形態に係る位置推定システム1は、第1の実施形態に係る位置推定システム1に比べて、より高い精度で検出対象P1の位置を推定することが可能となる。
なお、上記に示す例では、送信アレイアンテナTx及び受信アレイアンテナRxの双方について、複数のアンテナに着目して検出対象P1の方向θt及びθrを推定していたが、必ずしも双方について複数のアンテナに着目して方向θt及びθrを推定する必要はない。例えば、位置推定部112は、送信アレイアンテナTx及び受信アレイアンテナRxのうち、いずれかについてのみ、複数のアンテナに着目して検出対象P1の方向を推定してもよい。
<3.第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係る位置推定システム1について説明する。前述した第1及び第2の実施形態に係る位置推定システム1では、複素伝達関数行列F(f)から抽出された行ベクトルFrow,i(f)及び列ベクトルFcol,j(f)に基づき、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)を算出していた。即ち、第1及び第2の実施形態に係る位置推定システム1では、送信アレイアンテナTx及び受信アレイアンテナRxそれぞれを構成するアンテナのうち、所定のアンテナに着目して送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)を算出していた。これに対して、第3の実施形態に係る位置推定システム1は、行ベクトルFrow,i(f)及び列ベクトルFcol,j(f)の抽出を行わずに、複素伝達関数行列F(f)自体から送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)を算出する。以下に、第3の実施形態に係る位置推定システム1について、前述した第1及び第2の実施形態に係る位置推定システム1と異なる位置推定部112の動作に着目して説明する。なお、その他の構成については、前述した第1及び第2の実施形態と同様のため詳細な説明は省略する。
位置推定部112は、検出対象に固有の周波数帯域に対応する各複素伝達関数行列F(f)を、抽出部110から取得する。この動作は、前述した第1及び第2の実施形態と同様である。
本実施形態に係る位置推定部112は、取得した複素伝達関数行列F(f)と、当該複素伝達関数行列F(f)の複素共役転置ベクトルF(f)とを積算することで、送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)を算出する。
具体的には、位置推定部112は、下記(式12)に示すように、複素伝達関数行列F(f)の複素共役転置ベクトルF(f)に対し、当該複素伝達関数行列F(f)を積算することで、送信相関行列R(f)を算出する。
Figure 0006273546
上述した(式12)に基づき算出された送信相関行列R(f)は、全送信アンテナTx1〜Txmから送信された信号が、全受信アンテナRx1〜Rxmにより受信された場合における、送信アンテナTx1〜Txmの相関値を示している。
同様に、位置推定部112は、下記(式13)に示すように、複素伝達関数行列F(f)に対し、当該複素伝達関数行列F(f)の複素共役転置ベクトルF(f)を積算することで、受信相関行列R(f)を算出する。
Figure 0006273546
上述した(式13)に基づき算出された受信相関行列R(f)は、全送信アンテナTx1〜Txmから送信された信号が、全受信アンテナRx1〜Rxmにより受信された場合における、受信アンテナRx1〜Rxmの相関値を示している。
なお、以降の処理については、前述した第1の実施形態と同様である。即ち、位置推定部112は、算出した送信相関行列R(f)に基づき、基準位置Qtを起点とした検出対象P1の方向θtを推定する。具体的な一例として、MUSIC法を用いて方向θtを推定する場合には、前述した(式7)〜(式11)を、算出した送信相関行列R(f)に適用すればよい。同様に、位置推定部112は、算出した受信相関行列R(f)に基づき基準位置Qrを起点とした検出対象P1の方向θrを推定する。そして、位置推定部112は、基準位置Qt及びQrと、推定した方向θt及びθrとに基づき、検出対象P1の位置を推定する。
以上のように、本実施形態に係る位置推定システム1は、複素伝達関数行列F(f)自体から送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)を算出する。このようにして算出された送信相関行列R(f)及び受信相関行列R(f)は、全送信アンテナから送信された信号が、全受信アンテナにより受信された場合における、全送信アンテナ及び全受信アンテナの相関値を示している。そのため、本実施形態に係る位置推定システム1は、第1の実施形態に係る位置推定システム1に比べて、より高い精度で検出対象P1の位置を推定することが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a 位置推定システム
10、10a 受信装置
102 受信処理部
104 伝搬路推定部
106 記憶部
108 周波数応答算出部
110 抽出部
112 位置推定部
50 送信装置
502 送信処理部

Claims (17)

  1. 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で形成される複数の伝搬路を示した第1の複素伝達関数行列を、前記複数の送信アンテナから送信され、前記複数の受信アンテナそれぞれで受信された通信信号に基づき推定する伝搬路推定部と、
    前記第1の複素伝達関数行列の時間応答を周波数応答に変換することで、周波数ごとの第2の複素伝達関数行列を算出する周波数応答算出部と、
    算出された周波数ごとの前記第2の複素伝達関数行列のうち、所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列を抽出する抽出部と、
    抽出された前記所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列に基づき、抽出された前記第2の複素伝達関数行列の複素共役転置行列に対して当該第2の複素伝達関数行列を積算することで受信相関行列を算出し、抽出された前記第2の複素伝達関数行列に対して当該第2の複素伝達関数行列の複素共役転置行列を積算することで送信相関行列を算出し、算出された前記受信相関行列と前記送信相関行列とに基づき、前記複数の伝搬路中の検出対象の位置を推定する位置推定部と、
    を備えることを特徴とする、位置推定装置。
  2. 前記位置推定部は、
    前記受信相関行列に基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、
    前記送信相関行列に基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、
    前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、推定した前記第1の方向及び前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項1に記載の位置推定装置。
  3. 前記位置推定部は、
    抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、前記複数の送信アンテナのうち所定の送信アンテナに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した前記受信相関行列に基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、
    前記複数の受信アンテナのうち所定の受信アンテナに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した前記送信相関行列に基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、推定した前記第1の方向及び前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項1に記載の位置推定装置。
  4. 前記位置推定部は、
    抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、少なくとも2以上の送信アンテナそれぞれに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した2以上の前記受信相関行列それぞれに基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、
    前記複数の受信アンテナのうち所定の受信アンテナに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した前記送信相関行列に基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、
    前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、前記受信相関行列ごとに推定した前記第1の方向と、推定した前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項1に記載の位置推定装置。
  5. 前記位置推定部は、
    抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、前記複数の送信アンテナのうち所定の送信アンテナに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した前記受信相関行列に基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、
    少なくとも2以上の受信アンテナそれぞれに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した2以上の前記送信相関行列それぞれに基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、
    前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、推定した前記第1の方向と、前記送信相関行列ごとに推定した前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項1に記載の位置推定装置。
  6. 前記位置推定部は、
    抽出された前記第2の複素伝達関数行列中における、少なくとも2以上の送信アンテナそれぞれに対応する列ベクトルに基づき前記受信相関行列を算出し、算出した2以上の前記受信相関行列それぞれに基づき、前記複数の受信アンテナそれぞれの位置の基準となる第1の基準位置を起点とした前記検出対象の方向を示す第1の方向を推定し、
    少なくとも2以上の受信アンテナそれぞれに対応する行ベクトルに基づき前記送信相関行列を算出し、算出した2以上の前記送信相関行列それぞれに基づき、前記複数の送信アンテナそれぞれの位置の基準となる第2の基準位置を起点とした当該検出対象の方向を示す第2の方向を推定し、
    前記第1の基準位置及び前記第2の基準位置と、前記受信相関行列ごとに推定した前記第1の方向と、前記送信相関行列ごとに推定した前記第2の方向とに基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項1に記載の位置推定装置。
  7. 前記位置推定部は、前記受信相関行列ごとに推定した前記第1の方向の平均に基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項4または6に記載の位置推定装置。
  8. 前記位置推定部は、前記送信相関行列ごとに推定した前記第2の方向の平均に基づき、前記検出対象の位置を推定することを特徴とする、請求項5または6に記載の位置推定装置。
  9. 前記位置推定部は、前記列ベクトルの複素共役転置ベクトルに対して当該列ベクトルを積算することで前記受信相関行列を算出し、前記行ベクトルに対して当該行ベクトルの複素共役転置ベクトルを積算することで前記送信相関行列を算出することを特徴とする、請求項3〜8のいずれか一項に記載の位置推定装置。
  10. 前記位置推定部は、前記所定の周波数帯域に含まれる複数の周波数それぞれに対応する前記第2の複素伝達関数行列の平均に基づき、前記受信相関行列及び前記送信相関行列を算出することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の位置推定装置。
  11. 前記位置推定部は、前記受信相関行列の固有ベクトルに基づく第1の評価関数を算出し、算出した前記第1の評価関数に基づき前記第1の方向を推定し、前記送信相関行列の固有ベクトルに基づく第2の評価関数を算出し、算出した前記第2の評価関数に基づき前記第2の方向を推定することを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載の位置推定装置。
  12. 前記位置推定部は、前記所定の周波数帯域に含まれる1以上の周波数について、当該周波数に対応する前記第2の複素伝達関数行列に基づき、当該周波数に対応する前記受信相関行列と前記送信相関行列とを算出し、
    算出した前記受信相関行列ごとに前記第1の評価関数を算出し、
    算出した前記送信相関行列ごとに前記第2の評価関数を算出することを特徴とする、請求項11に記載の位置推定装置。
  13. 前記位置推定部は、前記所定の周波数帯域に含まれる複数の周波数それぞれに対応する前記第1の評価関数の平均に基づき前記第1の方向を推定し、前記複数の周波数それぞれに対応する前記第2の評価関数の平均に基づき前記第2の方向を推定することを特徴とする、請求項12に記載の位置推定装置。
  14. 前記複数の受信アンテナを備えることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の位置推定装置。
  15. 前記複数の送信アンテナに前記通信信号を送信させる送信処理部を備えることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載の位置推定装置。
  16. 前記複数の送信アンテナを備えることを特徴とする、請求項15に記載の位置推定装置。
  17. 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間で形成される複数の伝搬路を示した第1の複素伝達関数行列を、前記複数の送信アンテナから送信され、前記複数の受信アンテナそれぞれで受信された通信信号に基づき推定することと、
    前記第1の複素伝達関数行列の時間応答を周波数応答に変換することで、周波数ごとの第2の複素伝達関数行列を算出することと、
    算出された周波数ごとの前記第2の複素伝達関数行列のうち、所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列を抽出することと、
    抽出された前記所定の周波数帯域に含まれる周波数に対応した前記第2の複素伝達関数行列に基づき、抽出された前記第2の複素伝達関数行列の複素共役転置行列に対して当該第2の複素伝達関数行列を積算することで受信相関行列を算出し、抽出された前記第2の複素伝達関数行列に対して当該第2の複素伝達関数行列の複素共役転置行列を積算することで送信相関行列を算出し、算出された前記受信相関行列と前記送信相関行列とに基づき、前記複数の伝搬路中の検出対象の位置を推定することと、
    を含むことを特徴とする、位置推定方法。
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