JP7281784B2 - 推定方法および推定装置 - Google Patents

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本開示は、無線信号を利用することで対象空間内における生体数および生体の位置を推定する推定方法および推定装置に関する。
特許文献1、2および非特許文献1には、無線信号を利用して対象を検出する技術が開示されている。特許文献1には、受信信号の自己相関行列を求め、該自己相関行列の固有値の大きさから物標の数を求める技術が開示されている。また、特許文献2には、受信信号の相関行列を固有値分解し、閾値以上の固有値の数を数えることで物標の数を求める技術が開示されている。また、非特許文献1には圧縮センシングを用いて電波を発する対象の位置と数を推定する技術が開示されている。また、非特許文献2には圧縮センシングを用いて生体の位置を推定する技術が開示されている。
特開2009-281775号公報 特開2000-171550号公報
林和則"狭帯域信号の到来方向推定" IEICE Fundamentals Review Vol.8 No.3、2012 本間尚樹、西森健太郎、恒川佳隆"圧縮センシングを用いた生体位置推定法の評価" 2016年電子情報通信学会 総合大会
しかしながら、上記従来技術では、生体の数を推定することができない。
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、無線信号を利用して、測定対象の領域に存在する生体の数および位置の推定を高精度に行うことができる推定方法などを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本開示の一形態に係る推定装置は、M個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびN個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備える推定装置による推定方法であって、測定対象の領域に前記M個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、受信し、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を算出し、前記複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか1つを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出し、前記K個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれをベクトルに並べ替えることでK個の生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、前記K個の生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、前記相関行列をベクトルに並べ替えることで相関行列ベクトルを算出し、前記測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出し、前記ステアリングベクトルを前記相関行列ベクトルと同次元に変形することで拡張ステアリングベクトルを算出し、前記相関行列ベクトルおよび前記拡張ステアリングベクトルを用いて、前記相関行列ベクトルに含まれる生体信号強度ベクトルであって、前記複数の領域の少なくとも1つの領域の位置における生体からの信号強度に対応する生体信号強度ベクトルを未知数とする圧縮センシングを行うことで前記生体信号強度ベクトルを推定し、前記生体信号強度ベクトルを構成する複数の要素のうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数として、かつ、前記所定の閾値以上の前記要素に対応する領域の位置を生体の推定位置として推定する。
本開示に係る推定方法などによれば、無線信号を利用して、測定対象の領域に存在する生体の数および位置の推定を高精度に行うことができる。
実施の形態における推定装置の構成の一例を示すブロック図である。 図1に示す推定装置における信号波の伝達の様子を概念的に示す図である。 図1に示す相関行列ベクトル算出部の動作の一例を概念的に示す図である。 図1に示す相関行列ベクトル算出部の動作の一例を概念的に示す図である。 図1に示す推定装置の推定対象の領域を概念的に示す図である。 実施の形態における推定装置の推定処理を示すフローチャートである。
(本開示の基礎となった知見)
人物の位置や人数を知る方法として、無線信号を利用する方法が検討されている。無線信号を利用した生体の位置推定に関する従来技術について、発明者らは詳細な検討を行った。
検討の結果、特許文献1~2、非特許文献1の方法では、電波を発する機器の数を推定することができるが、生体を検出することができないため、測定対象の領域に存在する生体の数を推定することができない。なぜなら、生体数を推定するためには生体が反射した反射波を検出する必要があるが、従来の技術を用いても、生体による反射波は直接波や壁による反射と比べて極めて微弱であるため、ノイズとして埋もれてしまうためである。
また、非特許文献2の方法では、ある単一の周波数、例えば1Hzなどの特定の周波数で振動する生体のみしか検出できず、生体の振動パターンが例えば1.1Hzなどのように特定の周波数とは異なる周波数に変化すると、変化後の生体の位置を推定できないという問題があった。また、非特許文献1の方法では、生体の数を推定できないという問題があった。
発明者らは、以上の問題に対して研究を重ねた結果、受信信号を周波数毎に分解し、直接波や壁による反射に相当する0Hz成分を除外し、周波数方向の相関行列を算出して圧縮センシングを行うことにより、生体のみを区別可能かつ、生体の揺れる周波数に対してロバストな、生体数および生体の位置の推定が可能なことを見出し、本開示に至った。
本開示の一態様に係る推定方法は、M個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびN個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備える推定装置による推定方法であって、測定対象の領域に前記M個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、受信し、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を算出し、前記複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか1つを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出し、前記K個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれをベクトルに並べ替えることでK個の生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、前記K個の生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、前記相関行列をベクトルに並べ替えることで相関行列ベクトルを算出し、前記測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出し、前記ステアリングベクトルを前記相関行列ベクトルと同次元に変形することで拡張ステアリングベクトルを算出し、前記相関行列ベクトルおよび前記拡張ステアリングベクトルを用いて、前記相関行列ベクトルに含まれる生体信号強度ベクトルであって、前記複数の領域の少なくとも1つ領域の位置における生体からの信号強度に対応する生体信号強度ベクトルを未知数とする圧縮センシングを行うことで前記生体信号強度ベクトルを推定し、前記生体信号強度ベクトルを構成する複数の要素のうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数として、かつ、前記所定の閾値以上の前記要素に対応する領域の位置を生体の推定位置として推定する。
これにより、無線信号を利用して、測定対象の領域に存在する生体数および生体の位置の推定を精度よく行うことができる。より具体的には、M個の送信アンテナ素子のそれぞれとN個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の複素伝達関数から、生体の影響による変動成分を抽出し、抽出した変動成分から相関行列をする。そして、算出した相関行列と、複数の領域のそれぞれにおけるステアリングベクトルとを用いて圧縮センシングを適用することで得られた結果を用いて、生体数および生体の位置の両方を推定することができる。
また、前記抽出では、前記複素伝達関数行列の各要素の所定の周波数範囲に含まれる周波数応答の絶対値をそれぞれ算出し、前記絶対値が所定の閾値以上の周波数に対応する前記複素伝達関数行列の周波数応答を抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれかを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出してもよい。
このため、バイタル活動の影響を受けた成分に対応する生体成分複素伝達関数行列を抽出することができるため、精度よく生体数および生体の位置を推定することができる。
また、前記送信では、L個(Lは2以上の自然数)のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を前記送信アンテナ素子に出力することで、前記マルチキャリア信号を前記送信信号として前記送信アンテナ素子に送信させ、前記受信において受信された前記受信信号は、前記マルチキャリア信号が生体によって反射された反射信号を含み、前記複素伝達関数行列の算出では、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで前記所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子それぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を、前記L個のサブキャリア信号がそれぞれ対応しているL個のサブキャリアのそれぞれ毎にL個算出し、前記抽出では、前記L個の複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を前記所定の方法で抽出することで、前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出してもよい。
この構成により、送信信号にマルチキャリア信号を用いることで既存の通信装置を流用して、生体数および生体の位置を推定することが可能である。
また、推定装置において、複数のサブキャリアのそれぞれ毎に得られる複数の複素伝達関数行列を用いて、生体数および生体の位置を推定する。このため、単一のサブキャリアを用いる場合と比べて、精度よく生体数および生体の位置を推定することができる。
本開示の一態様に係る推定装置は、M個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、N個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、測定対象の領域に前記M個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、受信する受信部と、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を算出する複素伝達関数算出部と、前記複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか1つを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出する抽出部と、前記K個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれをベクトルに並べ替えることでK個の生体成分複素伝達関数ベクトルを生成する生体成分複素伝達関数ベクトル算出部と、前記K個の生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、前記相関行列をベクトルに並べ替えることで相関行列ベクトルを算出する相関行列ベクトル算出部と、前記測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、前記ステアリングベクトルを前記相関行列ベクトルと同次元に変形することで拡張ステアリングベクトルを算出する拡張ステアリングベクトル算出部と、前記相関行列ベクトルおよび前記拡張ステアリングベクトルを用いて、前記相関行列ベクトルに含まれる生体信号強度ベクトルであって、前記複数の領域の少なくとも1つの領域の位置における生体からの信号強度に対応する生体信号強度ベクトルを未知数とする圧縮センシングを行うことで前記生体信号強度ベクトルを推定する圧縮センシング部と、前記生体信号強度ベクトルを構成する複数の要素のうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数として、かつ、前記所定の閾値以上の前記要素に対応する領域の位置を生体の推定位置として推定する推定部とを備える。
これにより、無線信号を利用して、測定対象の領域に存在する生体数および生体の位置の推定を精度よく行うことができる。より具体的には、M個の送信アンテナ素子のそれぞれとN個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の複素伝達関数から、生体の影響による変動成分を抽出し、抽出した変動成分から相関行列をする。そして、算出した相関行列と、複数の領域のそれぞれにおけるステアリングベクトルとを用いて圧縮センシングを適用することで得られた結果を用いて、生体数および生体の位置の両方を推定することができる。
なお、本開示は、装置として実現するだけでなく、このような装置が備える処理手段を備える集積回路として実現したり、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、CD-ROM等の記録媒体やインターネット等の通信媒体を介して配信してもよい。
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(実施の形態)
以下では、図面を参照しながら、MIMO(Multiple Input Multiple Output)構成の送信機および受信機を用いて受信信号の相関行列を観測し、所定の方法で、測定対象の領域に存在する生体の生体数および位置を推定する方法について説明する。
[推定装置1の構成]
図1は、実施の形態における推定装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1には、図1に示す推定装置1の測定対象である生体が合わせて示されている。
実施の形態における推定装置1は、M個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信機10およびN個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信機11を用いて、測定対象の領域1010に存在する0以上の生体の生体数および位置を推定する。
実施の形態における推定装置1は、図1に示すように、送信機10と、受信機11と、複素伝達関数算出部12と、抽出部13と、生体複素伝達関数ベクトル算出部14と、相関行列算出部15と、相関行列ベクトル算出部16と、ステアリングベクトル算出部17と、拡張ステアリングベクトル算出部18と、圧縮センシング部19と、推定部20とを備える。以下、それぞれの構成要素の詳細について説明する。
[送信機10]
送信機10は、送信アンテナ部101と、送信部102とを有する。
送信アンテナ部101は、#1から#MまでのM個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する。送信アンテナ部101は、M素子のアレーアンテナを有する。送信アンテナ部101は、送信部102が生成した高周波の信号を送信する。
送信部102は、生体50の在不在、位置、及び/または人数を推定するために用いる高周波の信号を生成する。送信部102は、生成した信号である送信信号x=[x,…xを、測定対象の領域1010に送信アンテナ部101が有するM個の送信アンテナ素子を用いて送信する。ここで演算子Tは行列の転置を表す。例えば、送信部102は、CW(Continuous Wave)を生成し、生成したCWを送信波として送信アンテナ部101から送信する。例えば、送信部102は、例えば2.45GHzの正弦波信号を送信する。なお、送信部102は、CWなどの正弦波信号に限らずに、変調された信号(変調波信号)を生成し、生成した信号を送信してもよい。また、送信部102は、上記とは別の周波数の信号を生成し、生成した信号を送信してもよい。
[受信機11]
受信機11は、受信アンテナ部111と、受信部112とを有する。
受信アンテナ部111は、#1から#NまでのN個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する。受信アンテナ部111は、N素子のアレーアンテナを有する。受信アンテナ部111は、N個の受信アンテナ素子で高周波の信号を受信する。具体的には、受信アンテナ部111が有するN個の受信アンテナ素子のそれぞれは、M個の送信アンテナ素子から送信され、生体50が存在する場合には生体50によって反射された信号を含む受信信号y=[y,…yを受信する。ここでも演算子Tは行列の転置を表す。
受信部112は、N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、所定時間、観測する。所定期間は、例えば、生体50の活動(バイタル活動)に由来する周期に相当する期間であり、生体50の呼吸、心拍、体動の少なくとも1つを含む生体由来の周期(生体変動周期)に相当する。そして、受信部112は、N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間受信された高周波の信号を、例えばダウンコンバータなどを用いて、信号処理が可能な低周波の信号に変換する。受信部112は、変換した低周波の信号を、複素伝達関数算出部12に伝達する。
なお、図1では、送信機10と受信機11とは隣接して配置されているが、これに限らずに、離れた位置に配置されてもよい。
また、図1では、送信機10が用いる送信アンテナ部101と受信機11が用いる受信アンテナ部111とは、異なるものとして異なる位置に配置されているが、これに限らない。送信機10および受信機11が用いる送信アンテナ部101および受信アンテナ部111は、送信アンテナ部101および受信アンテナ部111の一方で兼用されてもよい。さらに、送信機10および受信機11は、Wi-Fi(登録商標)ルータ、無線子機などの無線機器のハードウェアと共用されてもよい。
[複素伝達関数算出部12]
複素伝達関数算出部12は、N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された受信信号のそれぞれから、N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を算出する。つまり、複素伝達関数算出部12は、受信機11において所定期間に観測されたN個の受信信号を用いて、M個の送信アンテナ素子とN個の受信アンテナ素子とを1対1で組み合わせたときに取り得る全ての組み合わせであるM×N個の組合せのそれぞれについて、当該組合せにおける送信アンテナ素子と受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数を算出することで、M×Nの複素伝達関数行列を算出する。本実施の形態では、複素伝達関数算出部12は、受信機11により伝達された低周波の信号から、M個の送信アンテナ素子とN個の受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複数の複素伝達関数を算出する。
図2は、図1に示す推定装置1における信号波の伝達の様子を概念的に示す図である。図2に示すように、送信アンテナ部101の送信アンテナ素子から送信される送信波の一部は、生体50によって反射され、受信アンテナ部111の受信アンテナ素子に到達する。ここで、受信アンテナ部111は、N個の受信アンテナ素子からなる受信アレーアンテナであり、素子間隔dのリニアアレーである。また、受信アンテナ部111の正面から見た生体50の方向をθとする。生体50と受信アンテナ部111との距離は十分に大きく、受信アンテナ部111に到来する生体由来の反射波は平面波と見なせるものとする。
そして、複素伝達関数算出部12は、N個の受信アンテナ素子を使って観測された複素受信信号ベクトルから、M個の送信アンテナ素子とN個の受信アンテナ素子との間の伝搬特性を表す複素伝達関数行列Hを算出することができる。
ここで、複素伝達関数行列Hと送信信号x、受信信号yの関係は以下の(式1)および(式2)で表される。
Figure 0007281784000001
Figure 0007281784000002
このように、複素伝達関数算出部12が算出した複素伝達関数には、送信アンテナ部101から送信された送信波の一部が生体50によって反射、散乱された信号である反射波及び/または散乱波を含む場合がある。また、複素伝達関数算出部12が算出した複素伝達関数には、送信アンテナ部101から直接波及び固定物由来の反射波など、生体50を経由しない反射波が含まれている。また、生体50によって反射または散乱された信号すなわち生体50経由の反射波及び散乱波の振幅及び位相は、生体50の呼吸、心拍などの生体活動によって常に変動する。以下では、複素伝達関数算出部12が算出した複素伝達関数には、生体50によって反射または散乱された信号である反射波または散乱波が含まれているとして説明する。
[抽出部13]
抽出部13は、複素伝達関数算出部12において算出された複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出する。例えば、抽出部13は、所定の方法として、複素伝達関数算出部12が算出した複素伝達関数行列の各要素の所定の周波数範囲に含まれる周波数応答の絶対値をそれぞれ算出し、絶対値が所定の閾値以上の周波数に対応する複素伝達関数行列の周波数応答を抽出することで、K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出してもよい。これにより、抽出部13は、生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか1つを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応するK個の生体成分複素伝達関数行列を抽出する。
具体的には、抽出部13は、複素伝達関数算出部12が算出した複素伝達関数行列を構成する複数の複素伝達関数を、それぞれ時系列で逐次記録する。そして、抽出部13は、時系列で逐次記録された各複素伝達関数の変化のうち、生体の影響による変動成分を抽出することで、M×N行列により表現される生体成分複素関数行列を抽出する。例えば、抽出部13は、複素伝達関数算出部12において算出され、時系列で逐次記録された各複素伝達関数の変化に、例えばフーリエ変換などの周波数領域への変換を行うことにより、異なる周波数毎の複素伝達関数行列を複数算出する。そして、抽出部13は、複数の複素伝達関数行列のうち、生体50の活動による生体50の振動の周波数に対応するK個の複素伝達関数行列を、K個の生体成分複素伝達関数行列として抽出する。
ここで、生体成分複素伝達関数行列を抽出する方法としてはフーリエ変換などの周波数領域への変換後に生体の振動に対応する成分のみを抽出する方法以外にも、2つの異なる時間の複素伝達関数の差分を計算する方法などを用いることができる。これらの方法を実行することにより、生体50以外の固定物を経由する複素伝達関数は除去され、生体50を経由する複素伝達関数成分のみが残る。なお、受信アンテナ素子は複数あるため、受信アンテナ素子に対応する複素伝達関数の生体50経由成分の数も複数となる。このようにして算出された生体成分複素伝達関数行列F(f)は、(式3)で表される。
Figure 0007281784000003
なお、生体成分複素伝達関数行列F(f)の各要素Fijは、複素伝達関数行列Hの各要素hijから変動成分を抽出した要素である。また、生体成分複素伝達関数行列F(f)は周波数やそれに類する差分周期の関数であり、複数の周波数毎に対応する情報を含む。
[生体複素伝達関数ベクトル算出部14]
生体複素伝達関数ベクトル算出部14は抽出部13で抽出されたK個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれをベクトルに並べ替えることでK個の生体複素伝達関数ベクトルを生成する。具体的には、生体複素伝達関数ベクトル算出部14は、それぞれがM行N列で構成されるK個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれについて、当該生体成分複素伝達関数行列の要素を並べ替えることでM×N行1列のベクトルで表される生体成分複素伝達関数ベクトルFvec(f)に変換する。この操作を演算子vecで表す。並べ方としては例えば(式4)のような方法があるが、行列を並べ替える操作であれば順序は問わない。
Figure 0007281784000004
[相関行列算出部15]
相関行列算出部15は、生体複素伝達関数ベクトル算出部14で生成されたK個の生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する。より具体的には、相関行列算出部15は、生体50による複数の変動成分から構成される生体成分複素伝達関数ベクトルの相関行列Rを(式5)に従って算出する。相関行列Rは、M×N行M×N列で構成される。
Figure 0007281784000005
ここで(式5)中のE[・]はアンサンブル平均を表し、演算子Hは複素共役転置を表す。具体的には、相関行列算出部15は、相関行列の算出においてK個の周波数成分毎の生体成分複素伝達関数ベクトルを用いて、周波数方向で平均化された相関行列Rを算出する。これにより、それぞれの周波数に含まれる情報を同時に使用したセンシングが可能となる。つまり、特定の周波数、例えば1Hzの成分が弱い場合でも周囲の周波数、例えば0.9Hzや1.1Hzの情報を用いてセンシングが可能である。なお、生体成分の大きい周波数のみを用いるために、(式5)の平均演算において、Fvec(f)の各要素の絶対値の総和または最大値が一定以上のもののみを選択してもよい。
[相関行列ベクトル算出部16]
相関行列ベクトル算出部16は、相関行列算出部15で算出された相関行列Rをベクトルに並べ替えることで相関行列ベクトルを算出する。具体的には、相関行列ベクトル算出部16は、M×N行M×N列で構成される相関行列Rの要素を並べ替えることでM×N行1列の相関行列ベクトルRvecに変換する。当該変換には、生体複素伝達関数ベクトル算出部14によるベクトル化と同様に(式4)を用いてもよい。
また、相関行列ベクトル算出部16は、計算量および記憶領域の削減のため、相関行列Rの一部の要素を用いて相関行列ベクトルRvecを算出してもよい。例えば、相関行列ベクトル算出部16は、相関行列Rのうちの、図3に示す逆L字型の領域1001の部分だけを用いて相関行列ベクトルRvecを算出してもよいし、図4に示す左下三角の領域1002の部分だけを用いて相関行列ベクトルRvecを算出してもよいし。これにより、特に特徴量が多い要素を抽出して相関行列ベクトルRvecを算出することができるため、推定結果の精度を低減させないように、効果的に計算量および記憶領域を削減することができる。
[ステアリングベクトル算出部17]
ステアリングベクトル算出部17は、推定装置1の測定対象の領域1010をNgrid個の領域1011-1~1011-Ngridに分割する。次に、ステアリングベクトル算出部17は、測定対象の領域1010が複数に区切られた領域1011-1~1011-Ngridのそれぞれに対して、当該領域内の代表点と、送信アンテナ部101の位置および受信アンテナ部111の位置のそれぞれとを結ぶ2本の直線が、基準線となす角度θti、θriをそれぞれ算出する。ここで、iは1からNgridまでの整数である。また、当該領域内の代表点とは、例えば当該領域の重心点または右上の角の点である。また、基準線とは、例えば、送信アンテナ部101の位置および受信アンテナ部111の位置を結ぶ直線である。当該領域の分割および求める角度θti、θriの関係は、図5に示される。
図5に示されるように、領域1010-iに対する角度θtiは、領域1010-i内の代表点P1と送信アンテナ部101の位置とを結ぶ直線L1が基準線L3となす角度である。領域1010-iに対する角度θriは、領域1010-i内の代表点P1と受信アンテナ部111の位置とを結ぶ直線L2が基準線L3となす角度である。領域1010-i内の代表点P1は、例えば、領域1010-iの重心である。
次に、ステアリングベクトル算出部17は、角度θti、θriのそれぞれに対して(式6)、(式7)および(式8)を用いてステアリングベクトルa(θti、θri)を算出する。
Figure 0007281784000006
Figure 0007281784000007
Figure 0007281784000008
ここで、λは送信する電波の波長、Nはアレーアンテナを構成するアンテナ素子数、jは虚数単位、eは自然対数の底、
Figure 0007281784000009
はクロネッカ積を表す。
このようにして、ステアリングベクトル算出部17は、測定対象の領域1010を複数の領域1011-1~1011-Ngridに区切った場合において、複数の領域1011-1~1011-Ngridのそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルa(θti、θri)を算出する。
[拡張ステアリングベクトル算出部18]
拡張ステアリングベクトル算出部18は、ステアリングベクトル算出部17が算出したステアリングベクトルa(θ、θ)を相関行列ベクトルと同次元に変形することで拡張ステアリングベクトルを算出する。具体的には、拡張ステアリングベクトル算出部18は、(式9)、(式10)に示す変換を行い、拡張ステアリングベクトルAの各行、Aを算出する。
Figure 0007281784000010
Figure 0007281784000011
拡張ステアリングベクトルAを用いて相関行列ベクトルRvecは、(式11)のように表せる。
Figure 0007281784000012
ここで、sは、複数の領域1011-1~1011-Ngridそれぞれを経由して受信された生体成分の大きさを示す未知数により構成される生体信号強度ベクトルである。
なお、相関行列ベクトル算出部16が生体相関行列Rのうち一部のみを選択することで相関行列ベクトルRvecを算出した場合、拡張ステアリングベクトルAの各行も同様に一部のみ選択する。
[圧縮センシング部19]
圧縮センシング部19は、相関行列ベクトルおよび拡張ステアリングベクトルを用いて、相関行列ベクトルRvecに含まれる生体信号強度ベクトルであって、複数の領域1011-1~1011-Ngridのそれぞれの位置における生体からの信号強度に対応する生体信号強度ベクトルを未知数とする圧縮センシングを行うことで生体信号強度ベクトルsを推定する。(式11)は一般的な圧縮センシングの式の形をしており、様々な圧縮センシングアルゴリズムを用いて計算することができる。例えば非特許文献1で開示されているHQR法を用いてもよいし、Fast Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm (FISTA)やIterative Shrinkage Thresholding Algorithm (ISTA)を用いてもよい。
[推定部20]
推定部20は、圧縮センシング部19が推定した未知数である生体信号強度ベクトルsから領域1011-1~1011-Ngridのうち生体が存在する領域を推定する。具体的には、推定部20は、推定された生体信号強度ベクトルsの要素s~SNgridのうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数として推定する。また、推定部20は、推定された生体信号強度ベクトルsの要素s~SNgridのうち、所定の閾値以上の成分sに対応する領域1011-iの位置を生体の推定位置として推定する。ここで、所定の閾値は、無人の領域に対応するsの要素の値と比べて十分大きければよく、例えば無人時に測定したsの要素の値の2倍などに設定してもよい。
なお、圧縮センシング部19は、相関行列ベクトルRvecおよび拡張ステアリングベクトルAの代わりに、生体成分複素伝達関数ベクトルおよびステアリングベクトルa(θ、θ)を用いて圧縮センシングを行ってもよい。この場合、圧縮センシングに用いる行列の次元を小さくすることができるため、計算量削減の効果が期待できる。
なお、送信機10の送信部102、受信機11の受信部112、複素伝達関数算出部12、抽出部13、生体複素伝達関数ベクトル算出部14、相関行列算出部15、相関行列ベクトル算出部16、ステアリングベクトル算出部17、拡張ステアリングベクトル算出部18、圧縮センシング部19および推定部20は、推定装置1が備えるメモリに格納されているプログラムを、1以上のプロセッサが実行することにより実現されてもよいし、1以上の専用回路により実現されてもよい。つまり、上記の構成要素は、ソフトウェアで実現されてもよいし、ハードウェアにより実現されてもよい。
[推定装置1の動作]
次に、以上のように構成された推定装置1の動作について、図を用いて説明する。
図6は、実施の形態における推定装置1の推定処理を示すフローチャートである。
まず、推定装置1は、測定対象の領域1010に送信信号を送信し、所定期間、受信信号を観測する(S1)。より具体的には、推定装置1は、M個の送信アンテナ素子から送信され、生体50が存在する場合には、生体50によって反射された反射信号を含む受信信号を、所定期間について観測する。
次に、推定装置1は、ステップS1で観測した受信信号から、複素伝達関数を算出する(S2)。より具体的には、推定装置1は、N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間受信された受信信号から、M個の送信アンテナ素子のそれぞれとN個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を表す複素伝達関数を複数算出する。詳細は上述した通りであるため、ここでの説明は省略する。以下も同様である。
次に、推定装置1は、ステップS2で算出した複素伝達関数から、生体の影響による変動成分を抽出することで生体情報であるK個の生体成分複素伝達関数行列を抽出する(S3)。より具体的には、推定装置1は、ステップS2において算出された複数の複素伝達関数から、生体の影響による変動成分であってN個の受信アンテナ素子のそれぞれにおける変動成分を抽出する。
次に、推定装置1は、ステップS3で抽出した生体情報であるK個の生体成分複素伝達関数行列をそれぞれベクトルの形に変形することで、K個の生体成分複素伝達関数ベクトルを算出する(S4)。
次に、推定装置1は、ステップS4で算出したK個の生体成分複素伝達関数ベクトルの相関行列を算出する(S5)。
次に、推定装置1は、ステップS5で算出した相関行列をベクトルの形に変形することで、相関行列ベクトルを算出する(S6)。
次に、推定装置1は、生体数または生体の位置を推定する対象となる測定対象の領域1010を複数の領域1011-1~1011-Ngridに分割し、各領域に対してステアリングベクトルを算出する(S7)。
次に、推定装置1は、ステップS7で算出したステアリングベクトルをステップS6で算出した相関行列ベクトルと同次元の拡張ステアリングベクトルに変形する(S8)。
次に、推定装置1は、圧縮センシングを用いてステップS6で算出した相関行列ベクトルとステップS8で算出した拡張ステアリングベクトルから、ステップS7で分割した各領域を経由した生体信号の強度である生体信号強度ベクトルを推定する(S9)。
次に、推定装置1は、ステップS9で推定した生体信号強度ベクトルから生体数および生体の位置を推定する(S10)。より具体的には、生体信号強度ベクトルの要素のうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数とし、所定の閾値以上の要素に対応する領域を生体位置として推定する。つまり、推定装置1は、測定対象の領域に存在する生体について、当該生体の数と、当該生体の位置との両方を推定することができる。
[効果等]
実施の形態の推定装置1によれば、無線信号を利用して、測定対象の領域1010に存在する生体数および生体の位置の推定を精度よく行うことができる。より具体的には、M個の送信アンテナ素子のそれぞれとN個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の複素伝達関数から、生体の影響による変動成分を抽出し、抽出した変動成分から相関行列を算出する。そして、算出した相関行列と、複数の領域のそれぞれにおけるステアリングベクトルとを用いて圧縮センシングを適用することで得られた結果を用いて、生体数および生体の位置の両方を推定することができる。
[変形例]
上記実施の形態に係る推定装置1は、送信信号として、複数のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を用いてもよい。具体的には、送信部102は、それぞれ互いに異なる周波数帯の複数のサブキャリアに対応する複数のサブキャリア信号を生成し、生成した複数のサブキャリア信号を多重化することでマルチキャリア信号を生成する。送信部102は、例えば、周波数帯の利用効率が高い、S個のサブキャリアから構成されるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を生成する。
なお、送信部102は、マルチキャリア変調により得られるマルチキャリア信号であれば各サブキャリアが直交しているOFDM信号を生成することに限らずに、単純なFDM(Frequency Division Multiplexing)信号などの他のマルチキャリア信号を生成してもよい。送信部102は、生成したマルチキャリア信号を送信アンテナ部101のM個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信する。
受信部112は、N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された受信信号であって、M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信されたマルチキャリア信号が生体50によって反射または散乱された反射信号を含む受信信号を、生体の動きの周期に相当する所定期間について観測する。
複素伝達関数算出部12は、複数のサブキャリア信号がそれぞれ対応している複数のサブキャリアのそれぞれ毎に、実施の形態と同様の処理を行うことで、サブキャリア信号毎に複数の複素伝達関数を算出する。
抽出部13は、複素伝達関数算出部12において算出された複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出する。
以降の処理は、実施の形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
このように、送信信号にOFDMなどのマルチキャリア信号を用いることで既存のマルチキャリア送受信機を流用して、生体数および生体の位置を推定することが可能である。例えば、既存の通信装置としては、OFDM受信機はすでに携帯電話やテレビジョン放送受信機、無線LAN機器などとして普及しており、無変調信号を用いる場合より低コストである。
また、推定装置1において、複数のサブキャリアのそれぞれ毎に得られる複数の複素伝達関数行列を用いて、生体数および生体の位置を推定する。このため、単一のサブキャリアを用いる場合と比べて、精度よく生体数および生体の位置を推定することができる。
また、上記実施の形態に係る推定装置1は、K個の生体成分複素伝達関数ベクトルの相関行列を算出することで、K個のデータから1つのデータに統合しているが、これに限らずに、K個の生体成分複素伝達関数ベクトルのそれぞれについて、各種処理を実行し、得られたK個の結果を統合することで、生体数および生体の位置を推定してもよい。具体的には、この場合の推定装置1では、K個の生体成分複素伝達関数ベクトルのそれぞれについて、相関行列の算出、相関行列ベクトルの算出、および、拡張ステアリングベクトルを用いた圧縮センシングを順に行うことで、K個の生体信号強度ベクトルを推定し、推定したK個の生体信号強度ベクトルの各要素における平均または中央値について、所定の閾値以上の平均値または中央値の要素の数を生体数として、かつ、所定の閾値以上の要素に対応する領域の位置を生体の位置として推定してもよい。
また、上記実施の形態における推定装置1は、さらに、抽出した変動成分から算出した相関行列と、推定した人数とを用いてMUSIC法などの高精度な到来方向推定を行ってもよい。これにより、測定対象の領域に存在する生体の方向推定または位置推定を行うことができる。すなわち、無線信号を利用して、測定対象の領域に存在する生体の位置である生体位置を推定することができる。
また、上記実施の形態における位置推定処理を逐次的に行うことで生体の人数とともに生体の位置のトラッキングを行うこともできる。これにより、無線信号を利用して、測定対象の領域に存在する生体の生体位置をリアルタイムに把握することができる。
以上、本開示の一態様に係る推定装置および推定方法について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、あるいは異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
また、本開示は、このような特徴的な構成要素を備える、推定装置として実現することができるだけでなく、推定装置に含まれる特徴的な構成要素をステップとする推定方法などとして実現することもできる。また、そのような方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムとして実現することもできる。そして、そのようなコンピュータプログラムを、CD-ROM等のコンピュータで読取可能な非一時的な記録媒体あるいはインターネット等の通信ネットワークを介して流通させることができるのは、言うまでもない。
本開示は、無線信号を利用して生体数を推定する推定方法および推定装置等に利用でき、特に、生体の有無または数や、生体の位置に応じた制御を行う家電機器、生体の侵入を検知する監視装置などに用いられる推定方法および推定装置に利用できる。
1 推定装置
10 送信機
11 受信機
12 複素伝達関数算出部
13 抽出部
14 生体複素伝達関数ベクトル算出部
15 相関行列算出部
16 相関行列ベクトル算出部
17 ステアリングベクトル算出部
18 拡張ステアリングベクトル算出部
19 圧縮センシング部
20 推定部
50 生体
101 送信アンテナ部
102 送信部
111 受信アンテナ部
112 受信部
1001、1002 領域
1010 測定対象の領域
1011-1~1011-Ngrid 領域

Claims (4)

  1. M個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子およびN個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有するアンテナ部を備える推定装置による推定方法であって、
    測定対象の領域に前記M個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信し、
    前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、受信し、
    前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を算出し、
    前記複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか1つを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出し、
    前記K個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれをベクトルに並べ替えることでK個の生体成分複素伝達関数ベクトルを生成し、
    前記K個の生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出し、
    前記相関行列をベクトルに並べ替えることで相関行列ベクトルを算出し、
    前記測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出し、
    前記ステアリングベクトルを前記相関行列ベクトルと同次元に変形することで拡張ステアリングベクトルを算出し、
    前記相関行列ベクトルおよび前記拡張ステアリングベクトルを用いて、前記相関行列ベクトルに含まれる生体信号強度ベクトルであって、前記複数の領域の少なくとも1つの領域の位置における生体からの信号強度に対応する生体信号強度ベクトルを未知数とする圧縮センシングを行うことで前記生体信号強度ベクトルを推定し、
    前記生体信号強度ベクトルを構成する複数の要素のうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数として、かつ、前記所定の閾値以上の前記要素に対応する領域の位置を生体の推定位置として推定する、
    推定方法。
  2. 前記抽出では、前記複素伝達関数行列の各要素の所定の周波数範囲に含まれる周波数応答の絶対値をそれぞれ算出し、前記絶対値が所定の閾値以上の周波数に対応する前記複素伝達関数行列の周波数応答を抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれかを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出する、
    請求項1に記載の推定方法。
  3. 前記送信では、L個(Lは2以上の自然数)のサブキャリア信号が変調されたマルチキャリア信号を前記送信アンテナ素子に出力することで、前記マルチキャリア信号を前記送信信号として前記送信アンテナ素子に送信させ、
    前記受信において受信された前記受信信号は、前記マルチキャリア信号が生体によって反射された反射信号を含み、
    前記複素伝達関数行列の算出では、前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで前記所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子それぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を、前記L個のサブキャリア信号がそれぞれ対応しているL個のサブキャリアのそれぞれ毎にL個算出し、
    前記抽出では、前記L個の複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を前記所定の方法で抽出することで、前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出する、
    請求項1または2に記載の推定方法。
  4. M個(Mは2以上の自然数)の送信アンテナ素子を有する送信アンテナ部と、
    N個(Nは2以上の自然数)の受信アンテナ素子を有する受信アンテナ部と、
    測定対象の領域に前記M個の送信アンテナ素子を用いて送信信号を送信する送信部と、
    前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれにより受信された信号であって、前記M個の送信アンテナ素子のそれぞれから送信された前記送信信号が生体によって反射された反射信号を含む受信信号を、受信する受信部と、
    前記N個の受信アンテナ素子のそれぞれで所定期間に受信された前記N個の受信信号のそれぞれから、前記N個の送信アンテナ素子のそれぞれと、前記M個の受信アンテナ素子のそれぞれとの間の伝搬特性を示す各複素伝達関数を成分とする、M×Nの複素伝達関数行列を算出する複素伝達関数算出部と、
    前記複素伝達関数行列を用いて、所定の周波数範囲に属し、かつ、それぞれが異なる周波数に対応するK個(Kは2以上の自然数)の生体成分複素伝達関数行列を所定の方法で抽出することで、前記生体の呼吸、心拍および体動の少なくともいずれか1つを含むバイタル活動の影響を受けた成分に対応する前記K個の生体成分複素伝達関数行列を抽出する抽出部と、
    前記K個の生体成分複素伝達関数行列のそれぞれをベクトルに並べ替えることでK個の生体成分複素伝達関数ベクトルを生成する生体成分複素伝達関数ベクトル算出部と、
    前記K個の生体成分複素伝達関数ベクトルの周波数方向の相関行列を算出する相関行列算出部と、
    前記相関行列をベクトルに並べ替えることで相関行列ベクトルを算出する相関行列ベクトル算出部と、
    前記測定対象の領域を複数の領域に区切った場合において、前記複数の領域のそれぞれの位置に対応する要素からなるステアリングベクトルを算出するステアリングベクトル算出部と、
    前記ステアリングベクトルを前記相関行列ベクトルと同次元に変形することで拡張ステアリングベクトルを算出する拡張ステアリングベクトル算出部と、
    前記相関行列ベクトルおよび前記拡張ステアリングベクトルを用いて、前記相関行列ベクトルに含まれる生体信号強度ベクトルであって、前記複数の領域の少なくとも1つの領域の位置における生体からの信号強度に対応する生体信号強度ベクトルを未知数とする圧縮センシングを行うことで前記生体信号強度ベクトルを推定する圧縮センシング部と、
    前記生体信号強度ベクトルを構成する複数の要素のうち、所定の閾値以上の要素の数を生体数として、かつ、前記所定の閾値以上の前記要素に対応する領域の位置を生体の推定位置として推定する推定部とを備える、
    推定装置。
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