JP6272482B2 - ピリジルジアミド遷移金属錯体からポリマーを製造する方法及びその使用 - Google Patents

ピリジルジアミド遷移金属錯体からポリマーを製造する方法及びその使用 Download PDF

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Description

発明者:John R. Hagadorn, L. Oscar Farng, Patrick Palafox, Jian Yang, Ian C. Stewart
優先権の主張
この発明は、2013年11月15日に出願されたUSSN 61/904,551;2014年6月13日に出願されたUSSN 62/011,947;及び2014年7月15日に出願されたEP出願14177015.6に対する優先権及びそれらの出願の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、ピリジルジアミド遷移金属錯体からポリマーを製造する方法及び該ポリマーの潤滑油添加剤、例えば粘度調整剤としての使用に関する。
発明の背景
ピリジルアミンを用いて、アルケンの重合での使用に有用な遷移金属成分である4族錯体を調製している。例えばUS 2002/0142912;US 6,900,321;及びUS 6,103,657を参照されたい。この場合、該配位子が錯体に使用され、錯体内では該配位子が遷移金属原子に二座様式で配位している。
WO 2005/095469は、2個の窒素原子(1つのアミドと1つのピリジル)及び1個の酸素原子を介して三座配位子を使用する触媒化合物を示す。
US 2004/0220050A1及びWO 2007/067965は、配位子が2個の窒素(1つのアミドと1つのピリジル)及び1個の炭素(アリールアニオン)供与体を介して三座様式で配位している錯体を開示する。
これらの錯体の活性化で重要な工程は、5員と7員の両キレート環を有する活性触媒を形成するための触媒前駆体の金属-アリール結合へのアルケンの挿入(Froese, R. D. J. et al., J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, pp. 7831-7840)である。
WO 2010/037059は、医薬品用途で使用するためのピリジン含有アミンを開示する。
US 2010/0227990 A1は、NNN又はNNP供与体セットの代わりにNNC供与体セットを有する金属中心に結合する配位子を開示する。
WO/0238628 A2は、NNN又はNNP供与体セットの代わりにNNC供与体セットを有する金属中心に結合する配位子を開示する。
Guerin, F.; McConville, D. H.; Vittal, J. J. Organometallics 1996, 15, p. 5586は、NNN供与体セットを用いるが、7員キレート環又はジヒドロインデニル基とテトラヒドロナフタレニル基のどちらかを備えない配位子ファミリー及び4族錯体を開示する。
US 7,973,116、US 8,394,902、US 2011-0224391、US 2011-0301310 A1、及び2013年4月23日に出願されたUSSN 61/815,065は、ジヒドロインデニル基又はテトラヒドロナフタレニル基のどちらかを備えないピリジルアミド遷移金属錯体を開示する。
興味のある参考文献には以下のものもある:1) Vaughan, A; Davis, D.S.; Hagadorn, J.R.in Comprehensive Polymer Science, Vol.3, Chapter 20, "Industrial catalysts for alkene polymerization"; 2) Gibson, V.C.; Spitzmesser, S.K.Chem.Rev.2003, 103, 283; 3) Britovsek, G.J.P.; Gibson, V.C.; Wass, D.F.Angew.Chem.Int.Ed.1999, 38, 428; 4) WO 2006/036748; 5) McGuire, R.et al.Coordination Chemistry Reviews, Vol 254, No.21-22, pages 2574-2583 (2010); 6) US 4,540,753; 7) US 4,804,794; 8) P.Chem.Rev.2013, 113, 3836-38-57;9) J.Am.Chem.Soc.2005, 127, 9913-9923; 10) Lub.Sci.1989, 1, 265-280; 11) Lubricant Additives, Chemistry and Applications, pages 293-327, CRC Press, 2003; 12) Chemistry and Technology of Lubricants, 3rd edition, pages 153-187, Springer, 2010; 13) US2013-0131294。
2013年11月15日に出願されたUSSN 61/904,551は、粘度調整用途に有用なポリマーを生成する、本発明者らが見い出したピリジルジアミド触媒組成物を開示する。
潤滑流体は可動面間に適用されて摩擦を減らし、それによって効率を改善し、摩耗を減らす。多くの場合、潤滑流体が機能して、可動面によって発生した熱を消散させる。
あるタイプの潤滑流体は、内燃エンジンに用いられる石油ベース潤滑油である。潤滑油は、所定温度で潤滑油が特定粘度を有するのに役立つ添加剤を含有する。一般に、潤滑油及び潤滑流体の粘度は、温度に逆に左右される。潤滑流体の温度が上昇すると、粘度は一般的に低減し、温度が下がると、粘度は一般的に上昇する。例えば、内燃エンジンでは、寒い気候中のエンジン始動を促進するために低温ではより低い粘度を有し、かつ潤滑特性が典型的に低下する高い周囲温度ではより高い粘度を有するのが望ましい。
潤滑流体及び潤滑油用の添加剤としては、レオロジー改質剤、例えば粘度指数(VI)向上剤がある。多くがエチレン-αオレフィンコポリマー由来であるVI向上成分は、潤滑油のレオロジー挙動を改変して粘度を高め、潤滑油が用いられる温度の範囲にわたってより一定した粘度を促す。高エチレン含量コポリマーは、油の粘稠化及びせん断安定性を効率的に促すと考えられる。しかしながら、高エチレン含量コポリマーは、油調合物中で凝結又は凝集する傾向があり、極端な粘度、極限では、固体調合物をもたらす。凝結は典型的に周囲条件及び制御された静止状態の冷却という準周囲条件で起こる。その他の点では有利な高エチレン含量粘度向上剤のこの有害特性は低温溶液レオロジーによって測定される。これらの高エチレン含量コポリマー調合物に対して高粘度凝結物質の形成への傾向を克服又は軽減するために種々の改善策が提案されている。
VI向上剤の構造の適切かつ慎重な操作によって、粘稠化効率(thickening efficiency)(TE)及びせん断安定性指数(shear stability index)(SSI)によって測定した場合にVI向上剤の性能を実質的に改善できると予想される。
1つの提案解決策は、潤滑油調合物に非晶質及び半結晶性エチレンベースコポリマーのブレンドを使用することである。2種の該エチレン-プロピレンコポリマーの組み合わせは、粘稠化効率、せん断安定性指数、低温粘度性能及び流動点の上昇を可能にする。例えば、参照によって開示内容をここに援用する米国特許第7,402,235号及び第5,391,617号、並びに欧州特許0 638,611を参照されたい。
しかしながら、予想外に良い高温熱酸化安定性、高温耐食性、低摩擦特性、低冷クランク粘度、及び低ゲル化特性を有しながら、まだ優れた低温溶液レオロジー特性を有するVI向上剤での使用に適したエチレン及びαオレフィンベースコモノマーから構成された新規レオロジー改質剤組成物に対する必要性が残っている。本発明は、この必要性及び他の必要性を満たす。
発明の概要
本発明は、粘度調整用途に有用なエチレンコポリマーに関し、前記コポリマーは下記:
1) 1〜2.5のMw(LS)/Mn(Dri);
2) 3,000〜300,000g/モルのMw;
3) 0.90以上のg'vis;
4) 35〜85モル%以上のエチレン含量;
5) 15〜65モル%の1種以上のC3〜C20コモノマー(例えばαオレフィン)含量;
6) 1:3〜1:20の粘稠化効率対せん断安定性指数(30サイクル)の比;
7) 65℃以下の融点(Tm);及び
8) 150以上の粘度指数
を有する。
本発明は、前記コポリマーの製造方法であって、
エチレン及び少なくとも1種のC3〜C20コモノマーを、活性化剤と、連鎖移動剤と、下記式(A)、(B)、(C)又は(D):
(式中:
Mは、3又は4族金属であり;
Q1は3原子架橋であって、その3個の原子の中央は15又は16族元素(前記15族元素はR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、好ましくはMへの配位結合を形成し、好ましくは式:-G1-G2-G3-で表され、ここでG2は15又は16族原子(前記15族元素はR30基で置換されていてよい)であり、G1及びG3はそれぞれ14、15又は16族原子(各14、15及び16族元素は1つ以上のR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、G1とG2とG3、又はG1とG2、又はG1とG3、又はG2とG3が、単環系又は多環系を形成してもよく、各R30基は、独立に、水素又はC1〜C100ヒドロカルビル基又はシリル基であり;
Q2は-NR17又は-PR17であり、ここでR17は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、シリル、及びゲルミルから選択され;
Q3は-(TT)-又は-(TTT)-であり、ここで各Tは炭素又はヘテロ原子、好ましくはC、O、S若しくはNであり、前記炭素又はヘテロ原子は無置換であってよく(例えば、水素が炭素又はヘテロ原子に結合している)或いは「-C-Q3=C-」フラグメントと一緒に5若しくは6員環式基又は該5若しくは6員環式基を含む多環式基を形成する1個以上のR30基で置換されていてよく;
R1は、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル、又はシリル基から成る群より選択され;
R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5)が結合して置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
Yは、酸素、硫黄、及び-E*(R6)(R7)-から選択され、E*は炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R6とR7、及び/又はR8とR9、及び/又はR9とR10、及び/又はR10とR11及び/又はR12とR13)が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
Lはアニオン性脱離基であり、該L基は同一又は異なっていてよく、いずれの2個のL基が結び付いて二価アニオン性脱離基を形成してもよく;
nは1又は2であり;
L'は中性ルイス塩基であり;かつ
wは0、1、2、3又は4である)
で表されるピリジルジアミド遷移金属錯体とを含んでなる触媒系と接触させる工程を含む方法にも関する。
本発明は、連鎖移動剤への添加前にエチレン、1種以上のC3〜C20コモノマー、活性化剤、及びピリジルジアミド遷移金属錯体を重合条件下で接触させる、上記方法にも関する。
詳細な説明
本明細書は遷移金属錯体について記述する。錯体という用語を用いて、補助的配位子が中心の遷移金属原子に配位している分子を記述する。配位子はかさ高く、触媒の使用中、例えば重合中にその影響を維持するように遷移金属に安定に結合している。配位子は、共有結合及び/又は電子供与配位又は中間結合によって遷移金属に配位し得る。遷移金属錯体は一般的に、多くの場合脱離基と呼ばれるアニオン基の遷移金属からの除去の結果としてカチオンを生じさせると考えられる活性化剤を用いて活性化を受けて、遷移金属錯体の重合又はオリゴマー化機能を果たす。
本明細書で使用する場合、周期表族の番号付け体系はChemical and Engineering News, 63(5), 27 (1985)に提示されているように新表示法である。
本明細書を通じて下記略語を使用する:dmeは1,2-ジメトキシエタンであり、Meはメチルであり、Phはフェニルであり、Etはエチルであり、Prはプロピルであり、iPrはイソプロピルであり、n-Prはノルマルプロピルであり、Buはブチルであり、iBuはイソブチルであり、tBuは三級ブチルであり、p-tBuはパラ-三級ブチルであり、nBuはノルマルブチルであり、TMSはトリメチルシリルであり、TIBALはトリイソブチルアルミニウムであり、TNOALはトリ(n-オクチル)アルミニウムであり、MAOはメチルアルモキサンであり、p-Meはパラ-メチルであり、Bnはベンジル(すなわち、CH2Ph)であり、THF(thfとも呼ばれる)はテトラヒドロフランであり、RTは室温であり(特に指定のない限り23℃である)、tolはトルエンであり、EtOAcは酢酸エチルであり、Cyはシクロヘキシルである。
用語「置換された」は、水素がヘテロ原子、ヘテロ原子含有基、又はヒドロカルビル基と置き換わっていることを意味する。例えば、メチル-シクロペンタジエンは、メチル基で置換されている。
用語「ヒドロカルビル基(radical)」、「ヒドロカルビル」及び「ヒドロカルビル基(group)」は、本文書全体を通じて互換的に使用される。同様に本文書では用語「基(group)」「基(radical)」及び「置換基」も互換的に使用される。本開示の目的では、「ヒドロカルビル基」は、直鎖、分岐鎖、又は環状、また環状のときは芳香族又は非芳香族であってよいC1-C100基であると定義される。
置換ヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル基の少なくとも1個の水素原子が少なくとも1つの官能基、例えばNR* 2、OR*、SeR*、TeR*、PR* 2、AsR* 2、SbR* 2、SR*、BR* 2、SiR* 3、GeR* 3、SnR* 3、PbR* 3等と置き換わっているか、或いは少なくとも1個のヘテロ原子がヒドロカルビル環に挿入されている基である。
用語「触媒系」は、錯体/活性化剤対を意味すると定義される。「触媒系」を用いて活性化前の該対を表すときは、それは活性化剤と、任意で、共活性化剤と共に、活性化されていない触媒錯体(プレ触媒)を意味する。「触媒系」を用いて活性化後の該対を表すときは、それは活性化錯体と活性化剤又は他の電荷平衡化成分を意味する。遷移金属化合物は、プレ触媒におけるように中性、或いは活性化触媒系におけるように、対イオンで荷電した種であり得る。
本明細書で使用する場合、錯体は、触媒前駆体、プレ触媒、触媒、触媒化合物、遷移金属化合物、又は遷移金属錯体と呼ばれることも多い。これらの語は互換的に使用される。活性化剤と共触媒も互換的に使用される。
捕捉剤は、典型的に不純物を捕捉することによって重合を促進するために添加される化合物である。連鎖移動剤としても作用し得る捕捉剤もある。活性化剤としても作用し得る捕捉剤もあり、共活性化剤と呼ばれることもある。活性触媒を形成するために、捕捉剤でない共活性化剤を活性化剤と併用してもよい。一部の実施形態では、共活性化剤を遷移金属化合物と予混合してアルキル化遷移金属化合物を形成することができる。捕捉剤の例としては、限定するものではないが、トリアルキルアルミニウム、メチルアルモキサン、変性メチルアルモキサン、MMAO-3A(Akzo Nobel)、ビス(ジイソブチルアルミニウム)オキシド(Akzo Nobel)、トリ(n-オクチル)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、及びジイソブチルアルミニウムヒドリドが挙げられる。
非配位性アニオン(NCA)は、触媒金属カチオンに配位しないか又は金属カチオンに配位するが、弱くのみ配位するアニオンを意味すると定義される。用語NCAは、多成分NCA含有活性化剤、例えば酸性カチオン基と非配位性アニオンとを含有するN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートを含めるとも定義される。用語NCAには、触媒と反応してアニオン基の引き抜きにより活性化種を形成できる中性ルイス酸、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を含めるとも定義される。NCAは、オレフィン性又はアセチレン性不飽和モノマー等の中性ルイス塩基がNCAを触媒中心から追い出せるように十分弱く配位する。相溶性の弱く配位する錯体を形成できるいずれの金属又は半金属を使用するか又は非配位性アニオンに含めてもよい。適切な金属としては、限定するものではないが、アルミニウム、金、及び白金が挙げられる。適切な半金属としては、限定するものではないが、ホウ素、アルミニウム、リン、及びケイ素が挙げられる。化学量論的活性化剤は中性又はイオン性のどちらかであり得る。用語イオン性活性化剤及び化学量論的イオン性活性化剤は互換的に使用可能である。同様に、用語中性化学量論的活性化剤及びルイス酸活性化剤は互換的に使用可能である。用語非配位性アニオンとしては、中性化学量論的活性化剤、イオン性化学量論的活性化剤、イオン性活性化剤、及びルイス酸活性化剤が挙げられる。
本明細書の目的では、二者択一的に「アルケン」と呼ばれる「オレフィン」は、炭素と水素を含み、少なくとも1つの二重結合を有する直鎖、分岐鎖、又は環状化合物である。この明細書及び明細書に添付の特許請求の範囲の目的では、ポリマー又はコポリマーがオレインを含むと言及されるときは、該ポリマー又はコポリマー中に存在するオレフィンはオレフィンの重合形である。例えば、コポリマーが35wt%〜55wt%の「プロピレン」含量を有すると言われるときは、コポリマー中のマー(mer)単位は重合反応においてプロピレンから誘導され、前記誘導単位は、コポリマーの質量に基づいて35wt%〜55wt%で存在すると理解される。
本明細書の目的では、「ポリマー」は、2種以上の同一又は異なる「マー」単位を有する。「ホモポリマー」は、同一のマー単位を有するポリマーである。「コポリマー」は、互いに異なる2種以上のマー単位を有するポリマーである。「ターポリマー」は、互いに異なる3種のマー単位を有するポリマーである。マー単位に関して「異なる」とは、該マー単位が互いに少なくとも1個の原子によって異なるか又は異性体的に異なることを意味する。従って、本明細書で使用する場合、コポリマーの定義には、ターポリマー等も含まれる。オリゴマーは、典型的に低分子量、例えば25,000g/モル未満、又は一実施形態では2,500g/モル未満のMn、或いは低数のマー単位、例えば75マー単位以下又は50マー単位以下を有するポリマーである。「エチレンポリマー」又は「エチレンコポリマー」は、少なくとも35モル%のエチレン誘導単位を含むポリマー又はコポリマーである。
特に指定のない限り、全ての分子量単位(例えば、Mw、Mn、Mz)はg/モルである。
特に指定のない限り、全ての融点(Tm)はDSC第2融点である。
用語「アリール」又は「アリール基」は、6炭素芳香環及びその置換異形を意味し、限定するものではないが、フェニル、2-メチル-フェニル、キシリル、4-ブロモ-キシリルが挙げられる。同様に、ヘテロアリールは、1個の環炭素原子(又は2若しくは3個の環炭素原子)がヘテロ原子、好ましくはN、O、又はSと置き換わっているアリール基を意味する。
用語「環原子」は、環式環構造の一部である原子を意味する。この定義によって、ベンジル基は6個の環原子を有し、テトラヒドロフランは5個の環原子を有する。
「環炭素原子」は、環式環構造の一部である炭素原子である。この定義によって、ベンジル基は6個の環炭素原子を有し、パラ-メチルスチレンも6個の環炭素原子を有する。
ヘテロ環式環は、環原子上の水素がヘテロ原子と置き換わっているヘテロ原子置換環とは対照的に、環構造内にヘテロ原子を有する環である。例えば、テトラヒドロフランはヘテロ環式環であり、4-N,N-ジメチルアミノ-フェニルはヘテロ原子置換環である。
本明細書で使用する場合、用語「芳香族」は、芳香族ヘテロ環式配位子と同様の特性及び構造(ほぼ平面)を有するが、定義芳香族に従わないヘテロ環式置換基である擬似芳香族ヘテロ環をも表し;同様に用語芳香族は置換芳香族をも表す。
用語「連続的」は、中断又は休止せずに作動するシステムを意味する。例えば、ポリマーを製造するための連続方法は、反応物質が1つ以上の反応器に連続的に導入されて、ポリマー生成物が連続的に回収される方法であろう。
用語「ピリジルジアミド錯体」又は「ピリジルジアミド錯体」又は「ピリジルジアミド触媒」又は「ピリジルジアミド触媒」は、US 7,973,116B2、US 2012/0071616A1、US 2011/0224391A1、及びUS 2011/0301310A1に記載されている分類の配位錯体を表し、1個の中性ルイス塩基供与体原子(例えば、ピリジン基)及び1対のアニオン性アミド又はホスフィド(すなわち、脱プロトンアミン又はホスフィン)供与体を介して金属中心に配位する二価アニオン性三座配位子を備える。これらの錯体においては、1つの5員キレート環及び1つの7員キレート環の形成を伴ってピリジルジアミド配位子が金属に配位している。ピリジルジアミド配位子のさらなる原子が、活性化時の触媒機能に影響を及ぼすことなく金属に配位することも可能であり;この例は金属中心へのさらなる結合を形成するシクロメタレート型(cyclometalated)置換アリール基ということもあり得る。
溶液重合は、ポリマーが不活性な溶媒又はモノマー若しくはそれらのブレンド等の液体重合媒体に溶解される重合方法を意味する。溶液重合は典型的に均一である。均一重合は、ポリマー生成物が重合媒体に溶解される重合である。該系はJ.Vladimir Oliveira, C. Dariva and J. C. Pinto, Ind. Eng, Chem. Res. 29, 2000, 4627.に記載されているように濁らないのが好ましい。
バルク重合は、溶媒又は希釈剤として不活性溶媒をほとんど又はまったく使用せずに、重合させるモノマー及び/又はコモノマーを溶媒又は希釈剤として使用する重合方法を意味する。ほんのわずかの不活性溶媒を触媒及び捕捉剤用の担体として用いてもよい。バルク重合系は、25wt%未満、好ましくは10wt%未満、好ましくは1wt%未満、好ましくは0wt%の不活性溶媒又は希釈剤を含有する。
PAO-10は、ExxonMobil Chemical Company, Houston, Texasから商標名SpectraSynTM 10で入手可能なポリアルファオレフィンであり、下記典型的特性を有する。
1ASTM D97;2ASTM D4052 (15.6、15.6℃);3ASTM D92;4ASTM D1209
本発明は、粘度調整用途に有用なエチレンコポリマー、好ましくはエチレンプロピレンコポリマーに関し、前記コポリマーは下記:
1) 1〜2.5(好ましくは1〜2.0、好ましくは1〜1.75、好ましくは1.05〜1.50)のMw(LS)/Mn(Dri);
2) 3,000〜300,000g/モル(好ましくは50,000〜200,000g/モル、好ましくは75,000〜125,000g/モル)のMw(LS);
3) 0.90以上(好ましくは0.95以上、好ましくは0.98以上)のg'vis;
4) 35モル%〜85モル%(好ましくは40〜80モル%、好ましくは60〜75モル%)のエチレン含量;
5) 15〜65モル%(好ましくは20〜60モル%、好ましくは25〜40モル%)のC3〜C20コモノマー(例えばαオレフィン)含量;
6) 1:3〜1:20(好ましくは1:4〜1:18、好ましくは1:5〜1:15)の粘稠化効率対せん断安定性指数(30サイクル)の比;
7) 65℃以下(好ましくは55℃以下、好ましくは45℃以下、好ましくは10℃以下)の融点(Tm);及び
8) 150以上(好ましくは170以上、好ましくは200以上、好ましくは220以上)の粘度指数
を有する。
さらに、本発明は、エチレンコポリマーであって、1wt%の該エチレンコポリマーを潤滑油に添加し、該ベースストックが10cStのKV100を有するときに、2:1以上(好ましくは2.1:1以上、好ましくは2.2:1以上、好ましくは3:1以上)の粘稠化効率対潤滑油粘度(KV100)の比を有するエチレンコポリマーにも関する。
さらに、本発明は、2以上(好ましくは2.1以上、好ましくは2.2以上、好ましくは3以上)の粘稠化効率を有するエチレンコポリマーにも関する。
さらに、本発明は、50未満(好ましくは40未満、好ましくは36)未満の、30サイクルでのせん断安定性指数を有するエチレンコポリマーにも関する。
さらに、本発明は、60未満(好ましくは50未満、好ましくは40未満、好ましくは30未満)の、90サイクルでのせん断安定性指数を有するエチレンコポリマーにも関する。
本発明の態様では、ここで有用なコポリマーは、35〜85モル%(好ましくは40〜80モル%、好ましくは60〜75モル%)のエチレンと、15〜65モル%(好ましくは20〜60モル%、好ましくは25〜40モル%)の1種以上のC3〜C20コモノマー、好ましくはC3〜C20αオレフィン、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、及びその異性体の1種以上、好ましくはプロピレンとを含むコポリマーである。
好ましいエチレンコポリマーには、少なくとも60モル%のエチレンを含み、かつ40モル%まで、好ましくは1〜39モル%、好ましくは15〜35モル%、好ましくは20〜30モル%のC3-C20コモノマー、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、及びその異性体、好ましくはプロピレンを有するコポリマーがある。
本発明の別の実施形態では、ここに記載のエチレンコポリマーは、1000cPより大きい、12,000cPより大きい、又は100,000cPより大きい、60℃での粘度を有する。他の実施形態では、エチレンコポリマーは、200,000cP未満、150,000cP未満、又は100,000cP未満の粘度を有する。粘度は流れ抵抗と定義され、純粋コポリマーの溶融粘度は、ブルックフィールドデジタル粘度計を用いて高温で測定される。
本発明の別の実施形態では、ここに記載のエチレンコポリマーは、90,000mPa・秒以下、又は80,000以下、又は70,000以下、又は60,000以下、又は50,000以下、又は40,000以下、又は30,000以下、又は20,000以下、又は10,000以下、又は8,000以下、又は5000以下、又は4000以下、又は3000以下、又は1500以下、又は250〜6000mPa・秒、又は500〜5500mPa・秒、又は500〜3000mPa・秒、又は500〜1500mPa・秒の190℃での粘度(ASTM D 3236により190℃で測定)(ブルックフィールド粘度とも呼ばれる)、並びに/或いは8000mPa・秒以下、又は7000以下、又は6000以下、又は5000以下、又は4000以下、又は3000以下、又は1500以下、又は250〜6000mPa・秒、又は500〜5500mPa・秒、又は500〜3000mPa・秒、又は500〜1500mPa・秒の160℃での粘度(ASTM D 3236により160℃で測定)をも有する。
本発明の別の実施形態では、ここに記載のエチレンコポリマーは、ASTM 2270により決定した場合に150以上、好ましくは170以上、好ましくは200以上、好ましくは220以上の粘度指数(VI)をも有する。
本発明の別の実施形態では、ここに記載のエチレンコポリマーは、ASTM 445により測定した場合に20cSt以上、好ましくは50cSt以上、好ましくは120cSt以上、好ましくは200cSt以上の100℃での動粘度(KV100)をも有する。
本発明の別の実施形態では、ここに記載のエチレンコポリマーは、ASTM 445により測定した場合に60cSt以上、好ましくは70cSt以上、好ましくは90cSt以上の40℃での動粘度(KV40)をも有する。
本発明の別の実施形態では、ここに記載のエチレンコポリマーは、2wt%で添加した場合に、ASTM 1500により測定して潤滑油(例えばPAO-10)の色を1単位(好ましくは0.5、好ましくは0単位)より多く強めない。好ましくは潤滑油(鉱物油又は合成油、例えばPAO-10)に2wt%でエチレンコポリマーが添加され、油の色は1単位より多くは色評点を高めず、好ましくは0.5単位以下の増加、さらに好ましくは全く色の変化がない。
別の実施形態では、1wt%のエチレンコポリマーを潤滑組成物に添加すると、粘度(KV100)が少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%、好ましくは少なくとも200%、好ましくは少なくとも500%上昇する。
本発明はさらに、ここに記載エチレンコポリマーの製造方法であって、エチレン及び少なくとも1種のC3〜C20コモノマーを、活性化剤と、連鎖移動剤(捕捉剤としても連鎖移動剤としても機能し得る物質、例えばトリ(n-オクチル)アルミニウムであってよい)と、下記式(A)、(B)、(C)又は(D):
(式中:
Mは、3又は4族金属であり;
Q1は3原子架橋であって、その3個の原子の中央は15又は16族元素(前記15族元素はR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、好ましくはMへの配位結合を形成し、好ましくは式:-G1-G2-G3-で表され、ここでG2は15又は16族原子(前記15族元素はR30基で置換されていてよい)であり、G1及びG3はそれぞれ14、15又は16族原子(各14、15及び16族元素は1つ以上のR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、G1とG2とG3、又はG1とG2、又はG1とG3、又はG2とG3が、単環系又は多環系を形成してもよく、各R30基は、独立に、水素又はC1〜C100ヒドロカルビル基又はシリル基であり;
Q2は-NR17、-PR17、又は酸素であり、ここでR17は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、シリル、及びゲルミルから選択され;
Q3は-(TT)-又は-(TTT)-であり、ここで各Tは炭素又はヘテロ原子、好ましくはC、O、S若しくはNであり、前記炭素又はヘテロ原子は無置換であってよく(例えば、水素が炭素又はヘテロ原子に結合している)或いは「-C-Q3=C-」フラグメントと一緒に5若しくは6員環式基又は該5若しくは6員環式基を含む多環式基を形成する1個以上のR30基で置換されていてよく;
R1は、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル、又はシリル基から成る群より選択され;
R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5)が結合して置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
Yは、酸素、硫黄、及び-E*(R6)(R7)-から選択され、E*は炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R6とR7、及び/又はR8とR9、及び/又はR9とR10、及び/又はR10とR11及び/又はR12とR13)が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
Lはアニオン性脱離基であり、該L基は同一又は異なっていてよく、いずれの2個のL基が結び付いて二価アニオン性脱離基を形成してもよく;
nは0、1、2、3、又は4であり;
L'は中性ルイス塩基であり;かつ
wは0、1、2、3又は4である)
で表されるピリジルジアミド遷移金属錯体とを含んでなる触媒系と接触させる工程を含む方法に関する。
本発明は、エチレン、1種以上のC3〜C20コモノマー、活性化剤、及びピリジルジアミド遷移金属錯体を連鎖移動剤に添加する前に重合条件下で接触させる、上記方法にも関する。本発明の実施形態では、重合を2段階で行ない、連鎖移動剤は第2段階で導入する。2段階は、直列に接続された2つの連続撹拌槽型反応器であってよく、又は2段階は、管型反応器の異なるゾーンであってよい。或いは、2段階は、撹拌反応器又はバッチ法で行なわれる重合中の早期及び後期時間であってよい。
ピリジルジアミド遷移金属錯体
ここで有用なピリジルジアミド遷移金属錯体には、下記一般式:(A)、(B)、(C)、又は(D):
(式中:
Mは3又は4族金属(好ましくは4族金属、好ましくはTi、Zr又はHf)であり;
Q1は3原子架橋であって、その3個の原子の中央は15又は16族元素(前記15族元素はR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、好ましくはMへの配位結合を形成し、好ましくは式:-G1-G2-G3-で表され、ここでG2は15又は16族原子(前記15族元素はR30基で置換されていてよい)であり、G1及びG3はそれぞれ14、15又は16族原子(各14、15及び16族元素は1つ以上のR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、G1とG2とG3、又はG1とG2、又はG1とG3、又はG2とG3が、単環系又は多環系を形成してもよく、各R30基は、独立に、C1〜C100ヒドロカルビル基又はシリル基であり;
Q2は-NR17、-PR17、又は酸素であり、ここでR17は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、シリル及びゲルミルから選択され;
Q3は-(TT)-又は-(TTT)-であり、ここで各Tは炭素又はヘテロ原子(好ましくはC、O、S、若しくはN)であり、前記炭素又はヘテロ原子は無置換であってよく或いは「-C-Q3=C-」フラグメントと一緒に5若しくは6員環式基又は該5若しくは6員環式基を含む多環式基を形成する1個以上のR30基で置換されていてよく;
R1は、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル、又はシリル基から成る群より選択され;
R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5)が結合して置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R6とR7、及び/又はR8とR9、及び/又はR9とR10、及び/又はR10とR11及び/又はR12とR13)が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素、又はゲルマニウム(好ましくは炭素又はケイ素、好ましくは炭素)であり、R12及びR13は上記定義どおりであり;
Yは、酸素、硫黄、及び-E*(R6)(R7)-から選択され、E*は炭素、ケイ素、又はゲルマニウム(好ましくは炭素又はケイ素、好ましくは炭素)であり、R6及びR7は上記定義どおりであり;
Lはアニオン性脱離基であり、該L基は同一又は異なっていてよく、いずれの2個のL基が結び付いて二価アニオン性脱離基を形成してもよく;
nは0、1、2、3、又は4(好ましくは2)であり;
L'は中性ルイス塩基であり;かつ
wは0、1、2、3又は4(好ましくは0又は1)である)
で表されるものがある。
本発明の一実施形態では、Q1は下記基の1つである。
ここで、式中下記
の記号はR2及び芳香環への接続を表し、アルキルはアルキル基、例えばC1〜C20アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルである。
本発明の一実施形態では、G1は炭素、窒素、酸素、ケイ素又は硫黄、好ましくは炭素である。
本発明の一実施形態では、G2は窒素、リン、酸素、硫黄、又はセレン、好ましくは窒素、酸素、又は硫黄である。
本発明の一実施形態では、G3は炭素、窒素、酸素、ケイ素、又は硫黄、好ましくは炭素である。
本発明の一実施形態では、Q2はNR17、PR17、又は酸素、好ましくはNR17である。
本発明の一実施形態では、Q3はCHCHCH、CHCH、CHN(アルキル)、CH-S、CHC(アルキル)CH、C(アルキル)CHC(アルキル)、CH-O、NO、好ましくはCHCHCH、CHCH、CHN(アルキル)、CHN(Me)、CH-Sであり、好ましくはアルキルはC1〜C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、又はドデシルである。
本発明の一実施形態では、R1は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、及びシリル基(好ましくはアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシリル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、置換フェニル、2,6-二置換フェニル、2,6-ジイソプロピルフェニル、2,4-6-三置換アリール、2,4,6-トリイソプロピルフェニル、及びその異性体、シクロヘキシルを含めて)から成る群より選択される。
本発明の一実施形態では、R17は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、シリル、及びゲルミル基(好ましくはアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びシリル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、シクロアルキル、シクロオクチル、シクロドデシル、フェニル、置換フェニル、2-置換フェニル、オルト-トリル、2,6-二置換フェニル、及びその異性体、シクロヘキシルを含めて)から成る群より選択される。
本発明の一実施形態では、R30は、水素、C1-100ヒドロカルビル、及びシリル基(好ましくはアルキル、アリール、及びシリル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、及びその異性体、シクロヘキシルを含めて)から成る群より選択される。
本発明の一実施形態では、R2は1〜20個の炭素を含有s、好ましくはR2は、CH2、CH(アリール)、CH(2-イソプロピルフェニル)、CH(2,6-ジメチルフェニル)、CH(2,4-6-トリメチルフェニル)、CH(アルキル)、CMe2、SiMe2、SiEt2、及びSiPh2から選択される。
本発明の一実施形態では、E及びE*は、独立に、炭素、ケイ素、又はゲルマニウム(好ましくは炭素又はケイ素、好ましくは炭素)である。本発明の好ましい実施形態では、E及びE*は両方とも炭素である。
本発明の一実施形態では、各R12、R13、R6及びR7は、水素、ヒドロカルビル、及び置換ヒドロカルビル、アルコキシ、シリル、アミノ、アリールオキシ、ハロゲン、及びホスフィノ(好ましくは水素、アルキル、アリール、アルコキシ、シリル、アミノ、アリールオキシ、ヘテロアリール、ハロゲン、及びホスフィノ)から成る群より独立に選択され、R12とR13及び/又はR6とR7が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル環を形成してもよく、該環は4、5、6、又は7個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく、或いはR12とR13及び/又はR6とR7が結合して飽和ヘテロ環式環、又は飽和置換ヘテロ環式環を形成してもよく、該環上の置換基が結合して追加の環を形成することがある。
本発明の一実施形態では、R12とR13の少なくとも1つがC1〜C100(好ましくはC6〜C40、好ましくはC7〜C30、好ましくはC8〜C20)置換若しくは無置換ヒドロカルビル基(好ましくはアリール、フェニル、置換フェニル、アルキル又はアリール置換フェニル、C2〜C30アルキル又はアリール置換フェニル、2-置換フェニル、2-イソプロピルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等)である。
本発明の一実施形態では、R6とR7の少なくとも1つがC1〜C100(好ましくはC6〜C40、好ましくはC7〜C30、好ましくはC8〜C20)置換又は無置換ヒドロカルビル基(好ましくはアリール、フェニル、置換フェニル、アルキル又はアリール置換フェニル、C2〜C30アルキル又はアリール置換フェニル、2-置換フェニル、2-イソプロピルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル等)である。
本発明の一実施形態では、R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリル(好ましくは水素、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、シリル、及びアリール)から成る群より選択され、ここで、隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5)が結合して置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、環は5、6、7、又は8個の環原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく、好ましくはR3、R4、及びR5は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、置換フェニル、及びその異性体から成る群より独立に選択される。
本発明の一実施形態では、R8、R9、R10、及びR11は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、対の位置、及び隣接するR基(R8とR9、及び/又はR9とR10、及び/又はR10とR11)が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成していてよく、該環は5、6、7、又は8個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく、好ましくはR8、R9、R10、及びR11は、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、置換フェニル、及びその異性体から成る群より独立に選択される。
好ましくは、上記R基及び後述する他のR基のいずれも30個までの炭素原子、好ましくは30個以下の炭素原子、特に2〜20個の炭素原子を含有する。
好ましくは、MはTi、Zr、又はHfであり、並びに/或いはE及び/又はE*は炭素であり、Zr又はHfベース錯体が特に好ましい。
本発明の一実施形態では、R1及びR17は、ゼロ〜5個の置換基で種々に置換されているフェニル基から独立に選択され、置換としては、F、Cl、Br、I、CF3、NO2、アルコキシ、ジアルキルアミノ、アリール、及び1〜10個の炭素を有するアルキル基が挙げられる。
本発明の一実施形態では、各Lは、ハライド、アルキル、アリール、アルコキシ、アミド、ヒドリド、フェノキシ、ヒドロキシ、シリル、アリル、アルケニル、トリフラート、アルキルスルホナート、アリールスルホナート、及びアルキニルから独立に選択される。脱離基の選択は、錯体に到達するために採用される合成経路によって決まり、重合における後の活性化方法に適した追加反応によって変更され得る。例えば、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)-ボラート又はトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等の非配位性アニオンを用いるときにはアルキルが好ましい。別の実施形態では、2つのL基が結び付いて2価アニオン性脱離基、例えばオキサラートを形成し得る。
本発明の一実施形態では、各L'は、エーテル、チオエーテル、アミン、ニトリル、イミン、ピリジン、及びホスフィンから成る群より独立に選択され、好ましくはエーテルである。
ここに記載の発明のいずれの実施形態でも、Mは好ましくは4族金属、好ましくはZr又はHfである。
ここに記載の発明のいずれの実施形態でも、E及び/又はE*は好ましくは炭素である。
好ましくは、ここに記載の発明のいずれの実施形態でも、R6とR7は同一である。
ここに記載の発明のいずれの実施形態でも、R1、R3、R4、R5、及びR17はそれぞれ30個以下の炭素原子を含有する。
ここに記載の発明のいずれの実施形態でも、Eは炭素であり、R1及びR17は、F、Cl、Br、I、CF3、NO2、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ヒドロカルビル、及び1〜10個の炭素を有する置換ヒドロカルビル基から成る群より選択される0、1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されているフェニル基から独立に選択される。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、R6とR7の少なくとも1つは1〜100(好ましくは6〜40、好ましくは7〜30)個の炭素を含有する基である。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、Mは4族金属、好ましくはZr又はHf、好ましくはHfである。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(B)で表され、Mは4族金属、好ましくはZr又はHf、好ましくはHfである。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、G2は酸素であり、G1及びG3は炭素原子であり、互いに2〜6個の追加原子によって連結されて環状構造を形成する。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(B)で表され、G2は酸素であり、かつG1及びG3は炭素原子であり、互いに2〜6個の追加原子によって連結されて環状構造を形成している。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、G2は窒素であり、かつG1及びG3は炭素原子であり、互いに2〜6個の追加原子によって連結されて環状構造を形成している。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(B)で表され、G2は窒素であり、かつG1及びG3は炭素原子であり、互いに2〜6個の追加原子によって連結されて環状構造を形成している。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、G2は硫黄であり、かつG1及びG3は炭素原子であり、互いに2〜6個の追加原子によって連結されて環状構造を形成している。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(B)で表され、G2は硫黄であり、かつG1及びG3は炭素原子であり、互いに2〜6個の追加原子によって連結されて環状構造を形成している。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(C)で表され、Q3はC(H)C(H)C(H)であり、R1は2,6-ジイソプロピルフェニルであり、R17はフェニルである。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(D)で表され、R6はHであり、R7は、1〜100(好ましくは6〜40、好ましくは7〜30)個の炭素を含有する基であり、Mは4族金属(好ましくはZr又はHf、好ましくはHf)であり、Eは炭素である。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、R1は2,6-二置換アリール基であり、該置換基はイソプロピル、3-ペンチル、又は4〜20個の炭素を含有する環式脂肪族炭化水素から選択される。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、Q1は、隣接位で置換されているピリジン、イミダゾール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジヒドロチアゾール、オキサチオラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキサゾール、又はホスフィニン基の3個の原子である。
本発明の好ましい実施形態では、ピリジルジアミド遷移金属錯体は上記式(A)で表され、R2は、7〜20個の炭素原子を含有するアリール基を有するCH(アリール)である。
ここで有用な触媒化合物としては、下記式で表されるものが挙げられる。
本発明の別の態様では、ここに記載の錯体の種々の合成方法を提供する。
ここに記載のピリジルジアミン配位子は、一般的に多工程で調製される。1つの重要な工程は、アリールボロン酸(又は酸エステル)とアミン基を両方含有する適切な「リンカー」基の調製を伴う。これらの例には、一般式:7-(ボロン酸)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-(アミン), 7-(ボロン酸エステル)-2,3-ジヒドロ-1H-1-(アミン), 7-(ボロン酸)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-(アミン), 7-(ボロン酸エステル)-1,2,34-テトラヒドロナフタレン-1-(アミン)の化合物があり、種々のボロン酸、ボロン酸エステル、及びアミンが含まれる。リンカー基は、アミン官能性を含有するアリールハライド前駆体から、1.0モル当量のn-BuLiを用いたアミン基の第1脱プロトン後にt-BuLiとのアリールハライドの金属交換反応及び引き続くホウ素含有試薬との反応によって高収率で調製可能である。このアミン含有リンカーを次に適切なピリジン含有種、例えば6-ブロモ-2-ピリジンカルボキサルデヒドとカップリングさせる。このカップリング工程は典型的に金属触媒(例えば、Pd(PPh3)4)を5モル%未満の負荷で使用する。このカップリング工程後に、アミン-リンカー-ピリジン-アルデヒドと記述できる新規誘導体を次に第2アミンと反応させて縮合反応のイミン誘導体であるアミン-リンカー-ピリジン-イミンを生成する。次にこれを適切なアリールアニオン、アルキルアニオン、又はヒドリド源との反応によってピリジルジアミン配位子に還元することができる。この反応は、アリールリチウム又はアルキルリチウム試薬を利用するときには一般的にエーテル溶媒中、-100℃〜50℃の温度で行なわれる。この反応は、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを利用するときには一般的にメタノール中で還流させながら行なわれる。
ピリジルジアミンからピリジルジアミド金属錯体の調製は、典型的なプロトノリシス及びメチル化反応を用いて達成可能である。プロトノリシス反応において、ピリジルジアミンを適切な金属反応体と反応させてピリジルジアミド金属錯体を生成する。適切な金属反応体は、ピリジルジアミンからプロトンを受け取ってから通常は生成物から離れて除去される塩基性脱離基を備えるであろう。適切な金属反応体としては、限定するものではないが、HfBn4(Bn=CH2Ph)、ZrBn4、TiBn4、ZrBn2Cl2(OEt2)、HfBn2Cl2(OEt2)2、Zr(NMe2)2Cl2(ジメトキシエタン)、Hf(NMe2)2Cl2(ジメトキシエタン)、Hf(NMe2)4、及びHf(NEt2)4が挙げられる。金属クロリド基を含有するピリジルジアミド金属錯体、例えば下記スキーム1のPDAジクロリド錯体を適切な有機金属試薬との反応によってアルキル化することができる。適切な試薬としては、有機リチウム、有機マグネシウム、及びグリニャール試薬がある。アルキル化は一般的にエーテル若しくは炭化水素溶媒又は溶媒混合物中、典型的に-100℃〜50℃の範囲の温度で行なわれる。
スキーム1
スキーム1中、R、R1、R2、R3、R4は、H、ヒドロカルビル(例えばアルキル、アリール)、置換ヒドロカルビル(例えばヘテロアリール)、及びシリル基から成る群より独立に選択され、Rnは水素、ヒドロカルビル、又は連結して多環式芳香環を形成し得る置換ヒドロカルビルを表し、nは1、2、3、又は4である。
ピリジルジアミド及び触媒として興味のある他の錯体への別の経路は、例えばBoussieら(US 6,750,345)に記載されているように、不飽和分子の金属-炭素共有結合への挿入を伴い、この共有結合基は多座配位子構造の一部である。不飽和分子は一般的に炭素-X二重結合又は三重結合を有し、Xは14族又は15族又は16族元素である。不飽和分子の例としては、アルケン、アルキン、イミン、ニトリル、ケトン、アルデヒド、アミド、ホルムアミド、二酸化炭素、イソシアナート、チオイソシアナート、及びカルボジイミドが挙げられる。ベンゾフェノン及びN,N-ジメチルホルムアミドを伴う挿入反応を示す例は以下のとおりである。
連鎖移動剤
本発明及びそれに対する特許請求の範囲の目的では、連鎖移動剤という用語は、触媒化合物からポリメリル(polymeryl)フラグメントを受け取る化合物を意味するものと定義されるが、水素は、本発明の目的では連鎖移動剤でないと定義される。ここで有用な連鎖移動剤(CTA's)としては、トリアルキル(triakyl)アルミニウム化合物及びジアルキル亜鉛化合物(アルキルは好ましくはC1〜C40アルキル基、好ましくはC2〜C20アルキル基、好ましくはC2〜C12アルキル基、好ましくはC2〜C8基、例えばメチル、エチル、プロピル(イソプロピル及びn-プロピルを含めて)、ブチル(n-ブチル、sec-ブチル、及びイソブチルを含めて)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、並びにその異性体及び類似体である)が挙げられる。本発明での使用に好ましい薬剤は、各アルキル基に1〜8個の炭素を有するトリアルキルアルミニウム化合物及びジアルキル亜鉛化合物、例えばトリエチルアルミニウム(TEAL)、トリ(i-プロピル)アルミニウム、トリ(i-ブチル)アルミニウム(TIBAL)、トリ(n-ヘキシル)アルミニウム、トリ(n-オクチル)アルミニウム(TNOAL)、ジエチル亜鉛、ジイソブチル亜鉛、及びジオクチル亜鉛である。本発明の使用に最も好ましい薬剤は、ジエチル亜鉛及びトリ(n-オクチル)アルミニウムである。
好ましい実施形態では、1種以上のトリアルキルアルミニウム化合物及び1種以上のジアルキル亜鉛化合物(アルキルは、好ましくはC1〜C40アルキル基、好ましくはC2〜C20アルキル基、好ましくはC2〜C12アルキル基、好ましくはC2〜C8基、例えばメチル、エチル、プロピル(イソプロピル及びn-プロピルを含めて)、ブチル(n-ブチル、sec-ブチル及びイソブチルを含めて)、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、並びにその異性体及び類似体である)をCTAとして使用する。好ましい組み合わせとしては、TEAL、TIBAL、及び/又はTNOALとEt2Zn、好ましくはTEALとEt2Zn、又はTIBALとEt2Zn、又はTNOALとEt2Znが挙げられる。好ましくは、トリアルキルアルミニウム及びジアルキル亜鉛化合物は、反応中に1:1以上、好ましくは2:1以上、好ましくは5:1以上、好ましくは10:1以上、好ましくは15:1以上、好ましくは1:1〜10,000:1のAl対Znのモル比で存在する。
適切なさらなる連鎖移動剤としては、トリアルキルアルミニウム又はジアルキル亜鉛化合物、好ましくはトリ(C1-C8)アルキルアルミニウム又はジ(C1-C8)アルキル亜鉛化合物を、化学量論量未満の量(ヒドロカルビル基の数に対して)の二級アミン又はヒドロキシル化合物、特にビス(トリメチルシリル)アミン、t-ブチル(ジメチル)シロキサン、2-ヒドロキシメチルピリジン、ジ(n-ペンチル)アミン、2,6-ジ(t-ブチル)フェノール、エチル(l-ナフチル)アミン、ビス(2,3,6,7-ジベンゾ-l-アザシクロヘプタンアミン)、又は2,6-ジフェニルフェノールと組み合わせることによって形成される反応生成物又は混合物が挙げられる。望ましくは、1個の金属原子当たり1つのヒドロカルビル基が残るように十分なアミン又はヒドロキシル試薬を使用する。連鎖移動剤として本発明に有用な前述の組み合わせの主反応生成物としては、n-オクチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、i-プロピルアルミニウムビス(ジメチル(t-ブチル)シロキシド)、及びn-オクチルアルミニウムジ(ピリジニル-2-メトキシド)、i-ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t-ブチル)シロキサン)、i-ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n-オクチルアルミニウムジ(ピリジン-2-メトキシド)、i-ブチルアルミニウムビス(ジ(n-ペンチル)アミド)、n-オクチルアルミニウムビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノキシド)、n-オクチルアルミニウムジ(エチル(l-ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t-ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7-ジベンゾ-l-アザシクロヘプタンアミド)、n-オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7-ジベンゾ-1-アザシクロヘプタンアミド)、n-オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t-ブチル)シロキシド)、エチル亜鉛(2,6-ジフェニルフェノキシド)、及びエチル亜鉛(t-ブトキシド)が挙げられる。
連鎖移動剤は、典型的に反応中に、5:1以上、好ましくは10:1〜2000:1、好ましくは20:1〜1000:1、好ましくは25:1〜800:1、好ましくは50:1〜700:1、好ましくは100:1〜600:1の連鎖移動剤の金属対遷移金属(ピリジルジアミド遷移金属錯体からの)のモル比で存在する。
本発明の有用な実施形態では、CTAはジアルキル亜鉛であり、アルキルはC1〜C20アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルであり、好ましくはCTAはジエチル亜鉛である。
活性化剤
錯体を合成した後に、それらを文献公知のいずれの様式でも、例えばそれらをスラリー又は気相重合で使用するために担持することによって等、活性化剤と組み合わせることによって触媒系を形成することができる。触媒系を溶液重合又はバルク重合(モノマーで)に添加するか或いは該重合で生じさせてもよい。触媒系は典型的に上記錯体及び活性化剤、例えばアルモキサン又は非配位性アニオンを含む。MAOと呼ばれるメチルアルモキサンのみならず、溶解度を高めるためにいくらかの高級(C3+、好ましくはC4+)アルキル基を含有する本明細書ではMMAOと称する変性MAOを含むアルモキサン溶液を用いて活性化を行なうことができる。特に有用なMAOは、Albemarleから、典型的にトルエン中の10wt%溶液で購入可能である。本発明で利用する触媒系は、好ましくはアルモキサン、例えばメチルアルモキサン、変性メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン等から選択される活性化剤を使用する。
アルモキサン又は変性アルモキサンを用いるとき、錯体対活性化剤のモル比は約1:3000〜10:1;或いは1:2000〜10:1;或いは1:1000〜10:1;或いは、1:500〜1:1;或いは1:300〜1:1;或いは1:200〜1:1;或いは1:100〜1:1;或いは1:50〜1:1;或いは1:10〜1:1である。活性化剤がアルモキサン(変性又は非変性)であるときは、触媒前駆体(1つの金属触媒サイト当たり)より5000倍モル過剰の活性化剤の最大量を選択する実施形態もある。好ましい最小の活性化剤対錯体比は1:1のモル比である。
EP 277 003 A1及びEP 277 004 A1に記載されているタイプのNCAと呼ばれる非配位性アニオンを用いて活性化を行なってもよい。例えば、[DMAH]+[NCA]-を用いてイオン対の形でNCAを添加してもよく、この場合、N,N-ジメチルアニリニウム(DMAH)カチオンが遷移金属錯体上の塩基性脱離基と反応して遷移金属錯体カチオンと[NCA]-を形成する。或いは、前駆体中のカチオンがトリチルであってよい。或いは、遷移金属錯体を、錯体からアニオン基を引き抜いて活性化種を形成する中性NCA前駆体、例えばB(C6F5)3と反応させてよい。有用な活性化剤としては、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(すなわち、[PhNMe2H]B(C6F5)4)及びN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロナフチル)ボラート(式中、Phはフェニルであり、Meはメチルである)が挙げられる。
さらにここで有用な好ましい活性化剤としては、US 7,247,687、段落169、50行目〜段落174、43行目、特に段落172、24行目〜段落173、53行目に記載のものが挙げられる。
本明細書に記載の発明の実施形態では、非配位性アニオン活性化剤は下記式(1)で表される。
(Z)d +(Ad-) (1)
式中、Zは(L-H)又は還元性ルイス酸であり;Lは中性ルイス塩基であり;Hは水素であり、(L-H)+はブレンステッド酸であり;Ad-は、電荷d-を有する非配位性アニオンであり;dは1〜3の整数である。
カチオン成分が(L-H)d +であるようにZが(L-H)であるときは、カチオン成分はブレンステッド酸、例えば触媒前駆体からアルキル又はアリール等の部分をプロトン化して、カチオン遷移金属種をもたらすことできるプロトン化ルイス塩基を含んでよく、或いは活性化カチオン(L-H)d +は、触媒前駆体にプロトンを供与して遷移金属カチオンをもたらすことができるブレンステッド酸である。この遷移金属カチオンとしては、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウム、及びその混合物、又はメチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N-メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p-ブロモ-N,N-ジメチルアニリン、p-ニトロ-N,N-ジメチルアニリンのアンモニウム、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、及びジフェニルホスフィンからのホスホニウム、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、及びジオキサン等のエーテルからのオキソニウム、ジエチルチオエーテル及びテトラヒドロチオフェン等のチオエーテルからのスルホニウム、並びにその混合物が挙げられる。
Zが還元性ルイス酸であるときは、それは式:(Ar3C+)で表すことができ、式中、Arはアリール又はヘテロ原子、若しくはC1〜C40ヒドロカルビルで置換されたアリールであり、還元性ルイス酸は式:(Ph3C+)で表すことができ、式中、Phはフェニル又はヘテロ原子、及び/若しくはC1〜C40ヒドロカルビルで置換されたフェニルである。一実施形態では、還元性ルイス酸はトリフェニルカルベニウムである。
アニオン成分Ad-の実施形態としては、式[Mk+Qn]d-を有するものが挙げられ、式中、kは1、2、又は3であり;nは1、2、3、4、5若しくは6、又は3、4、5若しくは6であり;n-k=d;Mは、元素周期表の13族から選択される元素、又はホウ素若しくはアルミニウムであり、Qは、独立にヒドリド、架橋又は非架橋ジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル基であり、前記Qは、1つだけ存在するときはQがハライドであり、かつ2つのQ基が環構造を形成し得るという条件で、20個までの水素原子を有する。各Qは、1〜20個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であってよく、或いは各Qはフッ素化アリール基であり、或いは各Qはペンタフルオリルアリール基である。適切なAd-成分の例としては、参照によってここに完全に援用する米国特許第5,447,895号に開示されているような二ホウ素化合物もある。
上記式1で表されるいずれのNCAの実施形態においてもアニオン成分Ad-は式[M*k*+Q* n*]d*-で表され、式中、k*は1、2、又は3であり;n*は1、2、3、4、5、若しくは6(又は1、2、3、若しくは4)であり;n*-k*=d*;M*はホウ素であり;Q*は、ヒドリド、架橋若しくは非架橋ジアルキルアミド、ハロゲン、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル基から独立に選択され、前記Q*は、1つだけ存在するときはQ*がハロゲンであるという条件で、20個までの炭素原子を有する。
本発明は、オレフィン(例えばプロピレン)を上述したとおりの触媒錯体及び下記式(2)で表されるNCA活性化剤と接触させる工程を含むオレインの重合方法にも関する。
RnM**(ArNHal)4-n (2)
式中、Rは一価アニオン性配位子であり;M**は13族金属又は半金属であり;ArNHalはハロゲン化窒素含有芳香環、多環式芳香環、或いは2つ以上の環(又は縮合環系)が互いに又は一緒に直接結合している芳香環会合体(assembly)であり;nは0、1、2、又は3である。典型的に、式2のアニオンを含んでなるNCAは、遷移金属化合物で形成されたイオン触媒錯体を本質的に妨害しない適切なカチオンをも含むか、或いはカチオンが上述したとおりのZd +である。
上記式2で表されるアニオンを含むいずれのNCAの実施形態においても、Rは、C1〜C30ヒドロカルビル基から成る群より選択される。一実施形態では、C1〜C30ヒドロカルビル基は、1種以上のC1〜C20ヒドロカルビル基、ハライド、ヒドロカルビル置換有機半金属、ジアルキルアミド、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルスルフィド、アリールスルフィド、アルキルホスフィド、アリールホスフィド、又は他のアニオン置換基;フルオリド;かさ高いアルコキシド(かさ高いとは、C4〜C20ヒドロカルビル基を意味する);--SRa、--NRa 2、及び--PRa 2(各Raは独立に、イソプロピル置換のモル体積以上のモル体積を含む一価のC4〜C20ヒドロカルビル基又はイソプロピル置換のモル体積以上のモル体積を有するC4〜C20ヒドロカルビル置換有機半金属である)で置換されていてよい。
上記式2で表されるアニオンを含むいずれのNCAの実施形態でも、NCAは、式:(Ar3C+)(式中、Arはアリール又はヘテロ原子、及び/若しくはC1〜C40ヒドロカルビルで置換されたアリールである)で表される還元性ルイス酸、或いは式:(Ph3C+)(式中、Phはフェニル又は1個以上のヘテロ原子、及び/若しくはC1〜C40ヒドロカルビルで置換されたフェニルである)を含んでなるカチオンをも含む。
上記式2で表されるアニオンを含むいずれのNCAの実施形態でも、NCAは、式(L-H)d +(式中、Lは中性ルイス塩基であり;Hは水素であり;(L-H)はブレンステッド酸であり;dは1、2、若しくは3であり、又は(L-H)d +は、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウム、及びその混合物から選択されるブレンステッド酸である)で表されるカチオンを含んでもよい。
有用な活性化剤のさらなる例としては、参照によってここに完全に援用する米国特許第7,297,653号及び第7,799,879号に開示されているものが挙げられる。
一実施形態では、本明細書で有用な活性化剤は、下記式(3)で表されるカチオン性酸化剤と、非配位性の相溶性アニオンとの塩を含む。
(OXe+)d(Ad-)e (3)
式中、OXe+は、e+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり;eは1、2又は3であり;dは1、2又は3であり;Ad-は、d-の電荷を有する非配位性アニオンである(さらに上述したように)。カチオン性酸化剤の例としては、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、Ag+、又はPb+2が挙げられる。Ad-の適切な例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラートが挙げられる。
本明細書の触媒系に有用な活性化剤としては、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、及び参照することによってここに完全に援用する米国特許第7,297,653号に開示されているタイプが挙げられる。
適切な活性化剤としては、以下のものも挙げられる:
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、[Ph3C+][B(C6F5)4 -]、[Me3NH+][B(C6F5)4 -];1-(4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム;及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロピリジン。
一実施形態では、活性化剤はトリアリールカルボニウム(例えばトリフェニルカルベニウムテトラフェニルボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート)を含む。
一実施形態では、重合に2種のNCA活性化剤を使用してもよく、第1NCA活性化剤対第2NCA活性化剤のモル比はいずれの比でもあり得る。一実施形態では、第1NCA活性化剤対第2NCA活性化剤のモル比は0.01:1〜10,000:1、又は0.1:1〜1000:1、又は1:1〜100:1である。
本発明の一実施形態では、NCA活性化剤対触媒比は1:1、又は0.1:1〜100:1、又は0.5:1〜200:1、又は1:1〜500:1又は1:1〜1000:1のモル比である。一実施形態では、NCA活性化剤対触媒比は0.5:1〜10:1、又は1:1〜5:1である。
一実施形態では、触媒化合物は、アルモキサンとNCA'sの組み合わせと併用可能である(例えば、イオン化活性化剤と組み合わせたアルモキサンの使用を論じているUS 5,153,157、US 5,453,410、EP 0 573 120 B1、WO 94/07928、及びWO 95/14044を参照されたい。すべて参照することによってここに援用する)。
本発明の好ましい実施形態では、NCA(例えばイオン性又は中性化学量論的活性化剤)を使用するときは、錯体対活性化剤のモル比は典型的に1:10〜1:1;1:10〜10:1;1:10〜2:1;1:10〜3:1;1:10〜5:1;1:2〜1.2:1;1:2〜10:1;1:2〜2:1;1:2〜3:1;1:2〜5:1;1:3〜1.2:1;1:3〜10:1;1:3〜2:1;1:3〜3:1;1:3〜5:1;1:5〜1:1;1:5〜10:1;1:5〜2:1;1:5〜3:1;1:5〜5:1;1:1〜1:1.2である。
或いは共活性化剤、例えば1、2、又は13族有機金属種(例えば、アルキルアルミニウム 化合物、例えばトリ-n-オクチルアルミニウム)を本明細書の触媒系に使用してもよい。錯体対共活性化剤のモル比は1:100〜100:1;1:75〜75:1;1:50〜50:1;1:25〜25:1;1:15〜15:1;1:10〜10:1;1:5〜5:1;1:2〜2:1;1:100〜1:1;1:75〜1:1;1:50〜1:1;1:25〜1:1;1:15〜1:1;1:10〜1:1;1:5〜1:1;1:2〜1:1;1:10〜2:1である。
重合
ここに記載の触媒系は、遷移金属触媒配位重合、例えば溶液、スラリー、気相、及び高圧重合を受けるために従来既知の不飽和モノマーを重合させる際に有用である。典型的にここに記載の1種以上の錯体、1種以上の活性化剤、エチレン及び1種以上のC3〜C20コモノマー(好ましくはプロピレン)を接触させてエチレンコポリマーを生成する。錯体を担持してもよく、そのままで単一、直列、又は並列反応器で行なわれる固定床、移動床、スラリー、溶液、又はバルク操作モードに特に有用である。
本発明では、直列又は並列の1つ以上の反応器を使用してよい。錯体、活性化剤及び連鎖移動剤を溶液又はスラリーとして、反応器に別々に送達し、反応器直前でインライン活性化するか、或いは予め活性化して活性化溶液又はスラリーとして反応器にポンピングしてよい。重合は、モノマー、コモノマー、触媒/活性化剤/共活性化剤、任意的な捕捉剤、及び任意的な調整剤を連続して単一反応器に添加する単一反応器操作で行なうか、或いは直列に接続された2つ以上の各反応器に上記成分を添加する直列反応器操作で行なう。直列の第1反応器に触媒成分を添加することができる。触媒成分を両反応器に添加することもでき、一成分を第1反応に添加し、別の成分を他の反応器に添加する。好ましい一実施形態では、反応器内でオレフィンの存在下にて錯体を活性化する。
一般的に言えば、単一の連続流撹拌槽型反応器(continuous flow stirred tank reactor)(CSTR)の使用を含め、いずれの方法を用いて本開示のポリマーを調製してもよい。他の変更、例えばポリマーのMWDを調整するために直列又は並列の2つ以上の反応器の使用も企図される。
好ましい実施形態では、バッチ反応器、半連続バッチ反応器、CSTR反応器若しくは管型反応器又は前述のいずれかの組み合わせで重合法を行なう。
特に好ましい実施形態では、重合法は連続法である。
ここで使用する重合法は典型的にエチレン及び1種以上のC3〜C20アルケンコモノマー(好ましくはプロピレン)をここに記載の錯体(及び、任意で、活性化剤)と接触させる工程を含む。本発明の目的では、アルケンはマルチアルケン(例えばジアルケン)を含めて定義され、アルケンはちょうど1つの二重結合を有する。重合は均一(溶液又はバルク重合)であってよい。本発明の実施では一般的に連鎖移動剤(例えばジエチル亜鉛又はトリ(n-オクチル)アルミニウム)を使用する。
本重合方法は、好ましくは約30℃〜約200℃、好ましくは60℃〜195℃、好ましくは75℃〜190℃の温度を含めた条件下で行なってよい。本方法は、0.05〜1500MPaの圧力で行なってよい。好ましい実施形態では、圧力は1.7MPa〜30MPaであり、別の実施形態では、特に超臨界条件下では、圧力は15MPa〜1500MPaである。
モノマー
本明細書で有用なモノマーとしては、2〜20個の炭素原子、或いは2〜12個の炭素原子を有するオレフィン(好ましくはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、及びドデセン)が挙げられ、任意でポリエン(例えばジエン)も含まれる。特に好ましいモノマーとしては、エチレン、並びにC2〜C10αオレフィンの混合物、例えばエチレン-プロピレン、エチレン-ヘキセン、エチレン-オクテン等が挙げられる。
本明細書に記載の錯体は、エチレン及び少なくとも1種の他のオレフィン性不飽和モノマー、例えばC3〜C20αオレフィン、特にC3〜C12αオレフィンの重合に特に有効である。好ましいαオレフィンコモノマーの例としては、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、オクテン-1、ノネン-1、デセン-1、ドデセン-1、4-メチルペンテン-1、3-メチルペンテン-1,3,5,5-トリメチルヘキセン-1、及び5-エチルノネン-1が挙げられる。
好ましい実施形態では、好ましくは式(A)、(B)、(C)又は(D)、好ましくは式(C)又は(D)で表されるように本明細書に記載の触媒錯体を上記いずれかの重合方法で用いてエチレンホモポリマー又はコポリマーを生成する。
捕捉剤
一部の実施形態では、本明細書に記載の錯体を使用するとき、特にそれらを担体上に固定するとき、触媒系はさらに1種以上の捕捉化合物を含んでよい。ここで、捕捉化合物という用語は、反応環境から極性不純物を除去する化合物を意味する。これらの不純物は触媒の活性及び安定性に悪影響を及ぼす。典型的に、捕捉化合物は有機金属化合物、例えば米国特許第5,153,157号、第5,241,025号及びWO-A-91/09882、WO-A-94/03506、WO-A-93/14132、及びWO 95/07941の13族有機金属化合物であろう。例示化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリ-イソブチルアルミニウム、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、トリ-n-オクチルアルミニウム、ビス(ジイソブチルアルミニウム)オキシド、変性メチルアルモキサンが挙げられる。(有用な変性メチルアルモキサンとしては共触媒タイプ3A(Akzo Chemicals, Inc.から商品名Modified Methylalumoxaneタイプ3Aで商業的に入手可能)及びUS 5,041,584に記載のものが挙げられる)。金属又は半金属中心に結合したかさ高い又はC6-C20直鎖ヒドロカルビル置換基を有する当該捕捉化合物は一般的に活性触媒との有害な相互作用を最小限にする。例として、トリエチルアルミニウムがあるが、さらに好ましくは、かさ高い化合物、例えばトリ-イソブチルアルミニウム、トリ-イソプレニルアルミニウム、及び長鎖線形アルキル置換アルミニウム化合物、例えばトリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、又はトリ-n-ドデシルアルミニウムが挙げられる。活性化剤としてアルモキサンを使用するときは、活性化に必要な活性化剤を超えるいずれの超過分も不純物を捕捉するであろうし、さらなる捕捉化合物は不要かもしれない。他の活性化剤、例えば、メチルアルモキサン、[Me2HNPh]+[B(pfp)4]-又はB(pfp)3(ペルフルオロフェニル=pfp=C6F5)を用いて捕捉量にアルモキサンを追加してもよい。
好ましい実施形態では、モノマーを有する同反応器内で2種以上の錯体をジエチル亜鉛と混ぜ合わせてよい。或いは、モノマーを有する同反応器内で1種以上の錯体を別の触媒(例えばメタロセン)及びジエチル亜鉛と混ぜ合わせてよい。
最終用途
ここで生成されたコポリマー用いて作製される物品としては、例えば、成形品(例えば容器及びボトル、例えば、家庭用容器、工業化学用容器、パーソナルケアボトル、医療用容器、燃料タンク、及び貯蔵品(storageware)、玩具、シート、パイプ、管材料)、フィルム、不織布等が挙げられる。当然のことながら、上記用途のリストは単に例示であり、限定する意図ではない。
本発明の他の実施形態では、ここで生成されたエチレンコポリマーは潤滑組成物、典型的に粘度調整剤として用いられる。
潤滑油組成物
ここで生成されたコポリマーと1種以上の基油(又はベースストック)とを含有する潤滑油組成物をも提供する。ベースストックは、水素化分解、水素化、他の精製プロセス、未精製プロセス、又は再精製プロセスのいずれの由来であろうと、潤滑粘度の天然又は合成油であるか、或いはそれらを含むことができる。ベースストックは使用済み油であるか又は使用済み油を含むことができる。天然油には、動物油、植物油、鉱物油及びその混合物がある。合成油としては、炭化水素油、ケイ素ベース油、及びリン含有酸の液体エステルが挙げられる。合成油は、フィッシャー・トロプシュ・ガス・トゥー・リキッド合成手順並びに他のガス・トゥー・リキッド油によって生成可能である。
一実施形態では、ベースストックはポリアルファオレフィン(PAO)であるか又はPAOを含む。PAOとしては、PAO-2、PAO-4、PAO-5、PAO-6、PAO-7又はPAO-8(数値は100℃での動粘度に関する、ASTM D 445)が挙げられる。好ましくは、ポリアルファオレフィンはドデセン及び/又はデセンから調製される。一般的に、潤滑粘度の油として適したポリアルファオレフィンは、PAO-20又はPAO-30油の粘度未満の粘度を有する。1つ以上の実施形態では、米国石油協会(American Petroleum Institute)(API)基油互換性指針(Base Oil Interchangeability Guidelines)の特定どおりにベースストックを定義することができる。例えば、ベースストックはAPIグループI、II、III、IV、及びVの油又はその混合物であるか又はそれらを含むことができる。
ここで有用なPAOは、Houston, TexasのExxonMobil ChemicalからSpectraSynTM及びSpectraSyn UltraTMとして商業的に入手可能であり(以前はSHF及びSuperSynTM商標名でExxonMobil Chemical Companyにより販売されていた)、その一部を下表Aに要約してある。他の有用なPAOとしては、ChevronPhillips Chemical Company(Pasadena, Texas)から入手可能な商標名SynfluidTMで、Innovene(Chicago, Illinois)から入手可能な商標名DurasynTMで、Neste Oil(Keilaniemi, Finland)から入手可能な商標名NexbaseTMで、及びChemtura Corporation(Middlebury, Connecticut)から入手可能な商標名SyntonTMで販売されているものが挙げられる。
表A. SpectraSynTMシリーズのポリアルファオレフィン
1つ以上の実施形態では、ベースストックは、クランクケース潤滑油として従来利用されている油又はそのブレンドを含むことができる。例えば、適切なベースストックは、火花点火及び圧縮点火内燃エンジン、例えば自動車及びトラックのエンジン、船舶及び鉄道のディーゼルエンジン等のためのクランクケース潤滑油を含むことができる。適切なベースストックとしては、動力伝達液、例えばオートマティックトランスミッション液、トラクター液、ユニバーサルトラクター液及び油圧油、ヘビーデューティー油圧油、パワーステアリング液等としての使用で従来利用され及び/又は採用されている当該油も挙げられる。適切なベースストックは、ギア潤滑油、工業潤滑油、ポンプ油その他の潤滑油であってもよく或いはそれらを含むことができる。
1つ以上の実施形態では、ベースストックは、石油由来の炭化水素油を含むのみならず、合成潤滑油、例えば二塩基酸のエステル;一塩基酸、ポリグリコール、二塩基酸及びアルコールのエステル化により作製される複合エステル;ポリオレフィン油等を含むこともできる。従って、記載する潤滑油組成物は、合成基油ベースストック、例えばジカルボン酸、ポリグリコール及びアルコールのアルキルエステル;ポリαオレフィン;ポリブテン;アルキルベンゼン;リン酸の有機エステル;ポリシリコーン油等に適宜組み入れることができる。
潤滑油組成物は、ベースストックと、ここで生成される1種以上のコポリマーと、任意で、流動点降下剤とを含むことができる。潤滑油組成物は、1.5超え、又は1.7超え、又は1.9超え、又は2.2超え、又は2.4超え又は2.6超えの粘稠化効率を有し得る。潤滑油組成物は、55未満、又は45未満、又は35未満、又は30未満、又は25未満、又は20未満、又は15未満のせん断安定性指数を有し得る。潤滑油組成物は、500センチストークス未満、又は450センチストークス未満、又は300センチストークス未満、又は100センチストークス未満、又は50センチストークス未満、又は20センチストークス未満、又は10センチストークス未満の-35℃での複素粘度を有し得る。ここで、用語「複素粘度」はせん断応力の強制小振幅調和振動中に測定される振動数依存性粘度関数を意味し、単位はパスカル・秒であり、動粘度と異相(out-of-phase)粘度(「複素粘度」の虚数部)の差に等しい。本発明及びそれに対する特許請求の範囲の目的では、複素粘度はAnton-Parr Low Temperature Solution Rheology(低温レオロジー)を用いて測定する。Anton-Parr Model MCR501 レオメーターで、1″コーンとプレートの装置を用いて実験を行なう。コーンは公称1度の角度と50ミクロンの間隙を有する。シリンジ・ピペットを用いて約100μlのサンプルを下部プレート上に蓄積させる。次にコーンとプレートの間の容積が溶液で完全に占有されるようにコーンをプレート上に下げる。次に温度を1.5℃/分の冷却速度で下げながら、10%の歪みを与える0.1ラジアン/秒の角振動数で複素粘度を測定し、1秒毎の値を記録する。次に0.1ラジアン/秒での粘度を温度の関数としてプロットしてゲル化の効果を観察する。
潤滑油組成物は、ASTM 1678に従って60,000cps未満の、10W-50構成で-35℃での小型回転粘度計(Mini Rotary Viscometer)(MRV)粘度を有し得る。潤滑油組成物は、所望特性のいずれの組み合わせをも有し得る。例えば、潤滑油組成物は、約1.5より高いか又は約2.6より高い粘稠化効率、55未満又は35未満又は25未満のせん断安定性指数、500cSt未満又は300cSt未満又は50cSt未満の-35℃での複素粘度、及び/又はASTM 1678に従って60,000cps未満の、10W-50構成で-35℃での小型回転粘度計(MRV)粘度を有し得る。
粘稠化効率(TE)は、油中のポリマーの粘稠化能力の尺度であり、下式:TE=2/c×ln((kv(ポリマー+油))/kv)/ln(2)と定義される。式中、cはポリマーの濃度であり、kvはASTM D445に従う100℃での動粘度である。せん断安定性指数(SSI)は、エンジン内における永続性機械的せん断低下へのポリマーの耐性の指標である。SSIは、ASTM D6278に列挙された手順に従って高せん断Boschディーゼルインジェクターにポリマー-油溶液を30サイクル通すことによって決定可能である。
潤滑油組成物は、好ましくは約0.1〜約2.5wt%、又は約0.25〜約1.5wt%、又は約0.5wt%又は約1.0wt%の、ここで生成されるポリマーを含む。一部の実施形態では、潤滑油組成物中のここで生成されるポリマーの量は、約0.5wt%、約1wt%、又は約2wt%の低量から約2.5wt%、約3wt%、約5wt%、又は約10wt%の高量に及び得る。
油添加剤
潤滑油組成物は、任意に1種以上の通常の添加剤、例えば、流動点降下剤、耐摩耗剤、抗酸化剤、他の粘度指数向上剤、分散剤、腐食防止剤、消泡剤、洗浄剤、さび止め剤、摩擦調整剤等を含むことができる。
耐食剤としても知られる腐食防止剤は、潤滑油組成物が接触した金属部分の劣化を減少させる。説明的腐食防止剤としては、リン硫化(phosphosulfurized)炭化水素及び好ましくはアルキル化フェノール又はアルキルフェノールチオエステルの存在下、かつ好ましくは二酸化炭素の存在下でリン硫化炭化水素とアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物の反応によって得られる生成物が挙げられる。リン硫化炭化水素は、テルペン等の適切な炭化水素、ポリイソブチレン等のC2〜C6オレフィンポリマーの重質石油留分を5〜30wt%のリン硫化物と1/2〜15時間、66℃〜316℃の範囲の温度で反応させることによって調製される。リン硫化炭化水素の中和は、当業者に既知の様式で達成可能である。
酸化防止剤、又は抗酸化剤は、金属表面のスラッジ及びワニス様蓄積物等の酸化生成物、及び粘度増加から明らかなように、鉱物油が使用中に劣化する傾向を減少させる。該酸化防止剤としては、C5〜C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムノニルフェナートスルフィド、バリウムオクチルフェナートスルフィド、ジオクチルフェニルアミン、フェニルαナフチルアミン、リン硫化又は硫化炭化水素等が挙げられる。本発明に有用な他の酸化防止剤又は抗酸化剤としては、例えば米国特許第5,068,047号に記載されているような油溶性銅化合物がある。
摩擦調整剤は、オートマティックトランスミッション液のように、潤滑油組成物に適正な摩擦特性を与えるのに役立つ。適切な摩擦調整剤の代表例は、脂肪酸エステル及びアミドを開示している米国特許第3,933,659号;ポリイソブテニルコハク酸無水物-アミノアルカノールのモリブデン錯体を記載している米国特許第4,176,074号;二量体化脂肪酸のグリセロールエステルを開示している米国特許第4,105,571号;アルカンホスホン酸塩を開示している米国特許第3,779,928号;ホスホナートとオレアミドの反応生成物を開示している米国特許第3,778,375号;S-カルボキシアルキレンヒドロカルビルスクシンイミド、S-カルボキシアルキレンヒドロカルビルスクシンアミド酸及びその混合物を開示している米国特許第3,852,205号;N(ヒドロキシアルキル)アルケニル-スクシンアミド酸又はスクシンイミドを開示している米国特許第3,879,306号;ジ-(低級アルキル)ホスファイト及びエポキシドの反応生成物を開示している米国特許第3,932,290号;及びリン硫化N-(ヒドロキシアルキル)アルケニルスクシンイミドのアルキレンオキシド付加体を開示している米国特許第4,028,258号で見つけられる。好ましい摩擦調整剤は、米国特許第4,344,853号に記載されているようなヒドロカルビル置換コハク酸又はコハク酸無水物とチオビス-アルカノールのコハク酸エステル、又はその金属塩である。
分散剤は、使用中の酸化の結果として生じる油不溶物を流体中に浮遊状態で維持することによってスラッジの凝集及び金属部分上の沈殿又は蓄積を防止する。適切な分散剤としては、高分子量N-置換アルケニルスクシンイミド、油溶性ポリイソブチレンコハク酸無水物とテトラエチレンペンタアミン等のエチレンアミンの反応生成物及びそのホウ酸塩が挙げられる。高分子量エステル(オレフィン置換コハク酸と一価又は多価脂肪族アルコールのエステル化から生じる)又は高分子量アルキル化フェノールからのマンニッヒ塩基(高分子量アルキル置換フェノール、アルキレンポリアミン及びホルムアルデヒド等のアルデヒドの縮合の結果生じる)も分散剤として有用である。
潤滑油流動性向上剤としても知られる流動点降下剤(「ppd」)は、流体が流れるであろう又は流動できる温度を下げる。技術上周知のいずれの適切な流動点降下剤も使用可能である。例えば、適切な流動点降下剤として、限定するものではないが、1種以上のC8〜C18ジアルキルフマラートビニルアセタートコポリマー、ポリメチルメタクリラート、アルキルメタクリラート及びワックスナフタレンが挙げられる。
いずれの1種以上の消泡剤によっても泡制御をもたらすことができる。適切な消泡剤としては、シリコーン油及びポリジメチルシロキサン等のポリシロキサンが挙げられる。
耐摩耗剤は、金属部分の摩耗を減らす。従来の耐摩耗剤の代表は亜鉛ジアルキルジチオホスファート及び亜鉛ジアリールジチオホスファートであり、これらは抗酸化剤としても役立つ。
洗浄剤及び金属さび止め剤としては、限定するものではないが、スルホン酸、アルキルフェノール、硫化アルキルフェノール、アルキルサリチラート、ナフテナート及び他の油溶性モノカルボン酸及びジカルボン酸の金属塩が挙げられる。高塩基性(換言すれば、過塩基性)金属塩、例えば高塩基性アルカリ土類金属スルホン酸塩(特にCa及びMg塩)が洗浄剤として使用されることが多い。
これらの従来の添加剤を含有する組成物は、それらの普通の付帯機能を与えるのに有効な量でベースストックとブレンドすることができる。従って、典型的な調合物は、質量による量で、VI向上剤(約0.01%〜約12%);腐食防止剤(約0.01%〜約5%);酸化防止剤(約0.01%〜約5%);分散剤(約0.01%〜約5%);消泡剤(約0.001%〜約3%);耐摩耗剤(約0.001%〜約5%);摩擦調整剤(約0.01%〜約5%);洗浄剤/さび止め剤(約0.01〜約10%);及び基油を含むことができる。
他の添加剤を使用するときは、必ずではないが、「添加剤パッケージ」と表される1種以上の他の添加剤と共にVI向上剤(濃縮量で)の濃縮溶液又は分散液を含む添加剤濃縮物を調製することが望ましく、それによって、数種の添加剤を同時にベースストックに添加して潤滑油組成物を形成することができる。潤滑油中への添加剤濃縮物の溶解は、溶媒によって、また穏やかに加熱しながら混合することによって促進可能であるが、これは必須ではない。添加剤パッケージは、添加剤パッケージを所定量の基油と混ぜ合わせると、最終調合物に所望濃度を与えるのに適した量でVI向上剤及び任意の追加添加剤を含有するように調合可能である。
ベースストック油とのブレンディング
従来のブレンディング方法は、参照によってここに援用する米国特許第4,464,493号に記載されている。この従来のプロセスは、ポリマーの分解のため及び押出機のダイ面を横断して熱油を循環させるために高温で押出機にポリマーを通し、さらに分解ポリマーを押出機から熱油中への配給時の粒径に減じる必要がある。上述したように、本発明のペレット化固体ポリマーは、VI向上剤のために直接粘度を与えるように基油と直接ブレンドすることによって添加可能であり、その結果、従来技術の複雑な多工程プロセスが必要ない。固体ポリマー組成物は、追加のせん断及び分解プロセスを必要とせずにベースストックに溶解可能である。
ポリマー組成物は、粘度調整剤濃縮物を調製するために室温で潤滑油に10パーセントまでの濃度で溶けるであろう。最終的には上述したように潤滑油用途で使用する典型的添加剤を含む追加の添加剤パッケージを含め、該濃縮物は、一般的にマルチグレード潤滑油手順によってさらに最終濃度(通常は約1%)に希釈される。この場合、濃縮物は流動可能な均一の無固体溶液であろう。
ここで生成されるコポリマーは、好ましくは約6〜約50、好ましくは10〜40、好ましくは10〜20のせん断安定性指数SSI(ASTM D6278に従って、30サイクル)を有する。
ここで生成されるコポリマーは、好ましくは約8〜約65、好ましくは10〜50、好ましくは10〜40のせん断安定性指数SSI(ASTM D6278及びD7109に従って、90サイクル)を有する。
別の実施形態では、本発明は下記に関するものである。
1. 下記:
1) 1〜2.5(好ましくは1〜2.0、好ましくは1〜1.75、好ましくは1.05〜1.50)のMw(LS)/Mn(Dri);
2) 3,000〜300,000g/モル(好ましくは50,000〜200,000g/モル、好ましくは75,000〜125,000g/モル)のMw(LS);
3) 0.90以上(好ましくは0.95以上、好ましくは0.98以上)のg'vis;
4) 35モル%〜85モル%(好ましくは40〜80モル%、好ましくは60〜75モル%)のエチレン含量;
5) 15〜65モル%(好ましくは20〜60モル%、好ましくは25〜40モル%)のC3〜C20コモノマー(例えばαオレフィン)含量;
6) 1:3〜1:20(好ましくは1:4〜1:18、好ましくは1:5〜1:15)の粘稠化効率対せん断安定性指数(30サイクル)の比;
7) 65℃以下(好ましくは55℃以下、好ましくは45℃以下、好ましくは10℃以下)の融点(Tm);及び
8) 150以上(好ましくは170以上、好ましくは200以上、好ましくは220以上)の粘度指数
を有する、粘度調整用途に有用なエチレンプロピレンコポリマー。
2. 10cStのKV100を有するベースストックのような潤滑油に1wt%のエチレンコポリマーを添加すると、エチレンコポリマーが2:1以上(好ましくは2.1:1以上、好ましくは2.2:1以上、好ましくは3:1以上)の粘稠化効率対潤滑油粘度(KV100)の比を有する、パラグラフ1のコポリマー。
3. コモノマーが、C3〜C20コモノマー、好ましくはC3〜C20αオレフィン、好ましくは1種以上のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、及びその異性体、好ましくはプロピレンから成る群より選択される、パラグラフ1又は2のコポリマー。
4. コモノマーがプロピレンである、パラグラフ1、2、又は3のコポリマー。
5. コポリマーが、ASTM 445により測定した場合に20cSt以上の100℃での動粘度を有する、パラグラフ1、2、3、又は4のコポリマー。
6. コポリマーが、潤滑油(例えばPAO-10)に2wt%で添加された場合に、ASTM 1500により測定して潤滑油の色を1単位より多く(好ましくは0.5単位、好ましくは0単位より多く)強めない、パラグラフ1、2、3、4、又は5のコポリマー。
7. 潤滑油組成物(例えばPAO-10)に1wt%のエチレンコポリマーが添加されると、粘度(KV100)が少なくとも50%、好ましくは少なくとも100%、好ましくは少なくとも200%、好ましくは少なくとも500%上昇する、パラグラフ1、2、3、4、5、又は6のコポリマー。
8. プロピレンが60〜75モル%で存在し、エチレンが25〜40wt%で存在する、パラグラフ1〜7のいずれかのコポリマー。
9. コポリマーが10cSt以上のKV100及び150以上のVIを有する、パラグラフ1〜8のいずれかのコポリマー。
10. コポリマーが2.1以上の粘稠化効率を有する、パラグラフ1〜9のいずれかのコポリマー。
11. エチレンコポリマー(特にパラグラフ1〜10のエチレンコポリマー)の調製方法であって、エチレン及び少なくとも1種のC3〜C20コモノマーを、活性化剤と、連鎖移動剤と、下記式(A)、(B)、(C)、又は(D):
(式中:
Mは、3又は4族金属であり;
Q1は3原子架橋であって、その3個の原子の中央は15又は16族元素(前記15族元素はR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、式:-G1-G2-G3-で表され、ここでG2は15又は16族原子(前記15族元素はR30基で置換されていてよい)であり、G1及びG3はそれぞれ14、15又は16族原子(各14、15及び16族元素は1つ以上のR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、G1とG2とG3、又はG1とG2、又はG1とG3、又はG2とG3が、単環系又は多環系を形成してもよく;
各R30基は、独立に、水素又はC1〜C100ヒドロカルビル基又はシリル基であり;
Q2は-NR17、-PR17であり、ここでR17は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、シリル、及びゲルミルから選択され;
Q3は-(TT)-又は-(TTT)-であり、ここで各Tは炭素又はヘテロ原子であり、前記炭素又はヘテロ原子は無置換であってよく或いは「-C-Q3=C-」フラグメントと一緒に5若しくは6員環式基又は該5若しくは6員環式基を含む多環式基を形成する1個以上のR30基で置換されていてよく;
R1は、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル、又はシリル基から成る群より選択され;
R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5)が結合して置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R6とR7、及び/又はR8とR9、及び/又はR9とR10、及び/又はR10とR11及び/又はR12とR13)が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
Yは、酸素、硫黄、及び-E*(R6)(R7)-から選択され、E*は炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
Lはアニオン性脱離基であり、該L基は同一又は異なっていてよく、いずれの2個のL基が結び付いて二価アニオン性脱離基を形成してもよく;
nは1又は2であり;
L'は中性ルイス塩基であり;かつ
wは0、1、2、3又は4である)
で表されるピリジルジアミド遷移金属錯体とを含んでなる触媒系と接触させる工程を含む方法。
12. MがTi、Zr、又はHfである、パラグラフ11の方法。
13. R2が、CH2、CH(アリール)、CH(2-イソプロピルフェニル)、CH(2,6-ジメチルフェニル)、CH(2,4-6-トリメチルフェニル)、CH(アルキル)、CMe2、SiMe2、SiEt2、及びSiPh2から選択される、パラグラフ11又は12の方法。
14. TがC、O、S、又はNである、パラグラフ11、12、又は13の方法。
15. E及びE*が炭素であり、各R6、R7、R12、及びR13がC1〜C30置換又は無置換ヒドロカルビル基である、パラグラフ11、12、13、又は14の方法。
16. E及びE*が炭素であり、各R6、R7、R12、及びR13がC6〜C30置換又は無置換アリール基である、パラグラフ11、12、13、14、又は15の方法。
17. Q2が-NR17である、パラグラフ11、12、13、14、15、又は16の方法。
18. E及びE*が炭素であり、R1及びR17が、F、Cl、Br、I、CF3、NO2、アルコキシ、ジアルキルアミノ、ヒドロカルビル、及び1〜10個の炭素を有する置換ヒドロカルビル基から成る群より選択される0、1、2、3、4、又は5個の置換基で置換されているフェニル基から独立に選択される、パラグラフ11、12、13、14、15、16、又は17の方法。
19. Q1が下記基:
(基中、下記
の記号はR2及び芳香環への接続を表し、アルキルはアルキル基である、パラグラフ11〜18のいずれかの方法。
20. 各Lが、ハライド、アルキル、アリール、アルコキシ、アミド、ヒドリド、フェノキシ、ヒドロキシ、シリル、アリル、アルケニル、トリフラート、アルキルスルホナート、アリールスルホナート、及びアルキニルから成る群より独立に選択され;かつ各L'が、エーテル、チオエーテル、アミン、ニトリル、イミン、ピリジン、及びホスフィンから成る群より独立に選択される、パラグラフ11〜19のいずれかの方法。
21. Q3がCHCHCH、CHCH、CHN(アルキル)、CH-S、CHC(アルキル)CH、C(アルキル)CHC(アルキル)、CH-O、又はNOである、パラグラフ11〜20のいずれかの方法。
22. 錯体が式(A)で表される、パラグラフ11〜21のいずれかの方法。
23. 錯体が式(B)で表される、パラグラフ11〜21のいずれかの方法。
24. 錯体が式(C)で表される、パラグラフ11〜21のいずれかの方法。
25. 錯体が式(D)で表される、パラグラフ11〜21のいずれかの方法。
26. 活性化剤がアルモキサンを含む、パラグラフ11〜25のいずれかの方法。
27. 活性化剤が非配位性アニオンを含む、パラグラフ11〜26のいずれかの方法。
28. 活性化剤が下記:
トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボラート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロフェニル)ボラート、[Ph3C+][B(C6F5)4 -]、[Me3NH+][B(C6F5)4 -]、1-(4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)ピロリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、4-(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラート)-2,3,5,6-テトラフルオロピリジン、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボラート、及びトリフェニルカルベニウムテトラキス-(2,3,4,6-テトラフルオロフェニル)ボラート
の1つ以上を含む、パラグラフ11〜27のいずれかの方法。
29. コモノマーが1種以上のC3〜C12αオレフィンを含む、パラグラフ11〜28のいずれかの方法。
30. コモノマーがプロピレンを含む、パラグラフ11〜29のいずれかの方法。
31. ピリジルジアミド遷移金属錯体が担持されている、パラグラフ11〜23のいずれかの方法。
32. 連鎖移動剤がトリ(n-オクチル)アルミニウム又はジエチル亜鉛である、パラグラフ1〜31のいずれかの方法。
実験
以下の調製は、2013年11月15日に出願されたUSSN 61/904,551に記載されている:N-[(6-ブロモピリジン-2-イル)メチル]-2,6-ジイソプロピルアニリン、7-ブロモインダン-1-オール、7-ブロモインダン-1-オン、7-ブロモ-N-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン、N-フェニル-7-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン、7-(6-(((2,6-ジイソプロピルフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-2-イル)-N-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン、8-ブロモ-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-オール、8-ブロモ-3,4-ジヒドロナフタレン-1(2H)-オン, 8-ブロモ-N-(o-トリル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-アミン、8-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-N-(o-トリル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-アミン、及び8-(6-(((2,6-ジイソプロピルフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-2-イル)-N-フェニル-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-アミン。N-((1-(6-((2,6-ジイソプロピルフェニルアミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ナフタレン-2-イル)メチル)-2,4,6-トリメチルアニリンの調製はUS 2011/0301310A1に記載されている。2,6-ジイソプロピル-N-{[6-(2-{[(2-メチルフェニル)アミノ]メチル}-1-ナフチル)ピリジン-2-イル]メチル}アニリンの調製は、2014年1月20に出願されたUSSN 14/159,029に記載されている。
錯体1の調製
トルエン(5mL)を7-(6-(((2,6-ジイソプロピルフェニル)アミノ)メチル)ピリジン-2-イル)-N-フェニル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-アミン(0.296g,0.623mmol)及びHf(NMe2)2Cl2(dme)(0.267g,0.623mmol)に加えて清澄な無色溶液を形成した。混合物をアルミニウム箔で緩く覆って95℃に3時間加熱した。混合物を次に蒸発させて固体にし、Et2O(5mL)で洗浄して0.432gの推定(ピリジルジアミド)HfCl2錯体を得た。これをCH2Cl2(5mL)に溶かして-50℃に冷却した。ジメチルマグネシウムのEt2O溶液(3.39mL,0.747mmol)を滴加し、混合物を周囲温度に戻した。30分後に揮発性物質を蒸発により除去し、残渣をCH2Cl2(10mL)で抽出して濾過した。溶液を2mLに濃縮し、ペンタン(4mL)を加えた。-10℃に一晩冷却して得た無色結晶を単離し、減圧下で乾燥させた。収量=0.41g,92%。1H NMR (CD2Cl2, 400 MHz): 8.00 (t, 1H), 6.85-7.65 (13H), 5.06 (d, 1H), 4.91 (dd, 1H), 4.50 (d, 1H), 3.68 (七重線, 1H), 3.41 (m, 1H), 2.85 (m, 1H), 2.61 (七重線, 1H), 2.03 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.30 (m, 2H), 1.14 (d, 3H), 1.06 (d, 3H), 0.96 (d, 3H), 0.68 (3, 3H), -0.48 (s, 3H), -0.84 (s, 3H)。
錯体2の調製
トルエン(8mL)をN-((1-(6-((2,6-ジイソプロピルフェニルアミノ)メチル)ピリジン-2-イル)ナフタレン-2-イル)メチル)-2,4,6-トリメチルアニリン(0.368g,0.680mmol)及びHf(NMe2)2Cl2(dme)(0.291g,0.680mmol)に加えて清澄な橙色溶液を形成した。混合物を暗所で70℃に加熱した。16時間後、白色固体が浮遊物として生じた。揮発性物質を蒸発させ、固体をCH2Cl2(10mL)に懸濁させた。固体をフリット上に集め、減圧下で乾燥させた(0.17g)。CH2Cl2溶液を蒸発させ、残渣にEt2O(10mL)を加えた。結果として生じた固体をフリット上に集め、CH2Cl2(5mL)で洗浄し、減圧下で乾燥させて0.26gのジクロリド錯体を得た。ジクロリド錯体(0.206g,0.255mmol)をCH2Cl2(20mL)と混ぜ合わせて非常に濁った溶液を形成した。40℃でEt2O中のMe2Mg(0.795mL,0.255mmol)を5分かけて滴加した。1時間の撹拌後、冷浴を除去し、混合物を周囲温度に戻した。30分後、揮発性物質を蒸発により除去し、残渣をCH2Cl2(10mL)で抽出した。濾過により得た清澄黄色溶液を蒸発させて淡黄色固体にし、ペンタン(10mL)に懸濁させ、ガラスフリット上に集め、減圧下で乾燥させた。1H NMRスペクトロスコピーは0.4当量のペンタンの存在を示した。収量:0.15g。1H NMR (500 MHz, CD2Cl2): 8.06-8.11 (m, 2H), 7.96 (d, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.67 (d, 2H), 7.46-7.57 (d, 4H), 6.82-7.10 (m, 5H), 5.05 (AB四重線, Δυ = 158 Hz, J = 26 Hz), 4.22 (AB四重線,Δυ = 296 Hz, J = 15 Hz), 3.69 (七重線, 1H), 3.03 (七重線, 1H), 2.56 (s, 3H), 2.25 (s, 3H), 1.95 (s, 3H), 1.18 (d, 6H), 1.06, (d, 3H), 0.55 (d, 3H), 0.83 (s, 3H), 1.19 (s, 3H)。
錯体3の調製
トルエン(50mL)を2,6-ジイソプロピル-N-{[6-(2-{[(2-メチルフェニル)アミノ]メチル}-1-ナフチル)ピリジン-2-イル]メチル}アニリン(2.07g,4.03mmol)及びHf(NMe2)2Cl2(dme)(dme=1,2-ジメトキシエタン)(1.73g,4.03mmol)に加えて黄色溶液を形成した。混合物を暗所で95℃に加熱した。2.5時間後、懸濁液を2〜3時間で周囲温度に冷ました。結果として生じた固体をガラスフリット上に集めてトルエン(2×5mL)で洗浄してから減圧下で乾燥させて2.4グラムの中間ジクロリド誘導体を白色固体として得た。プロトンNMRスペクトロスコピーは0.46当量のトルエンの存在を示した。このジクロリド誘導体(2.40g,2.99mmol)をCH2Cl2(100mL)と混ぜ合わせて-40℃に冷却した。Et2O中のMe2Mg溶液(15.3mL,3.59mmol)を滴加した。0.5時間後に混合物を周囲温度に戻した。次に揮発性物質を蒸発させ、残渣をCH2Cl2で抽出して濾過した。揮発性物質を除去して得た粗生成物をペンタンで洗浄した。減圧下での乾燥により白色固体として生成物を得た(2.01g,93.3%)。1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): 8.2-6.9 (アリール, 16H), 5.07 (AB 四重線, Δυ = 130 Hz, J = 20 Hz), 4.49 (br, 1H), 4.14 (br, 1H), 3.74 (七重線, 1H), 3.02 (br 七重線, 1H), 2.30 (br, 3H), 1.4-1.0 (m, 11H), 0.89 (t, 2H), 0.55 (d, 3H), -0.80 (s, 3H), -1.13 (s, 3H)。
エチレンプロピレン重合:
1Lの撹拌オートクレーブ反応器で重合を行なった。重合条件及び生じたポリマーの詳細を表1及び2に報告する。全ての溶媒、反応物質、及びガスは、3Åの分子ふるい及び酸素捕捉剤を含有する複数カラムに通すことによって精製した。プロピレン(50〜100ml)、イソヘキサン(600ml)、捕捉剤(ビス(ジイソブチルアルミニウム)オキシド、0.1mmol)、ジエチル亜鉛(0.1〜0.3mmol)及び活性化剤N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート(Hf毎に1.1モル当量)を反応器に添加して混合物を所望温度に加熱した。次に反応器をエチレンで約75psi(5.2×105Pa)に加圧した。混合物を数分撹拌した後、トルエン(5ml)中の錯体1の溶液をエチレンガスで100〜125psi(6.9〜8.6×105Pa)の圧力にて押し込んだ。重合を5分間行なった後にイソプロパノール(20ml)を注入して反応をクエンチした。次に反応器を冷却し、減圧し、開放した。生成物中の残留揮発性物質を窒素流下で除去した後、サンプルを真空オーブン内で60℃にて加熱した。
表1
表2
実施例1、3及び6を調合し、潤滑油中の粘度調整剤として試験した。グループII鉱物油ベース(ECH50TM基油)中1wt%濃度(最終ブレンド溶液の質量に基づいて)でサンプルをIrganox 1076及びIrgafos 168とブレンドした。次にASTM D 7109に準拠したせん断安定性テスターを備えたディーゼルインジェクター内で調合油を試験した。
Infineum SVTM 140(以前はShellvisTM 140として知られていた)は、Infineum UK Ltd., United Kingdomから入手可能な市販のスチレン-ジエンブロックコポリマーである。
Infineum SVTM 150(以前はShellvisTM 150として知られていた)は、Infineum UK Ltd., United Kingdomから入手可能な市販のスチレン-ジエンブロックコポリマーである。
Infineum SVTM 260(以前はShellvisTM 260として知られていた)は、Infineum UK Ltd., United Kingdomから入手可能な市販の星形スチレン-ジエンポリマーである。
Infineum SVTM 300(以前はShellvisTM 300として知られていた)は、Infineum UK Ltd., United Kingdomから入手可能な市販の星形スチレン-ジエンポリマーである。
ECH50TM 基油は、ExxonMobil Fuels, Lubricants&Specialties Marketing Companyから入手可能な市販のグループIIの水素化処理基油である。
SSI-90は、ASTM D6278及びASTM D7109によって90サイクルで決定されるように、90サイクルのディーゼルインジェクターを介したせん断粘度により決定した場合のせん断安定性指数である。
SSI-30は、ASTM D6278に従って30サイクルのディーゼルインジェクターを介したせん断粘度により決定した場合のせん断安定性指数である。
粘稠化効率はASTM D445に従って決定される。
VIは粘度指数であり、ASTM D 2270に従って決定される。
KVは、ASTM D 445により決定した場合の動粘度である(KV40は40℃で、KV100は100℃で測定される)。
表3
実施例1、3及び6は非常に良いTEを示しながら、低SSIを維持することに注目されたい。
下記試験法を使用する。
メルトインデックスはASTM D 1238(190℃、2.16kg)によって測定した。
1H NMRデータは500MHzの1H周波数の分光計を用いて120℃にて5mmプローブで収集した。45°の最大パルス幅、パルス間8秒及び信号加算平均120トランジェントを用いてデータを記録した。スペクトル信号を積分した。分光計磁石に挿入する前にサンプルを重水素化1,1,2,2,-テトラクロロエタンに1〜2wt%の濃度で溶かした。データ解析前に、残留水素含有溶媒の共鳴を5.98ppmに設定することによって、スペクトルのリファレンス補正を行なった。
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
分子量(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、及び分子量分布Mw/Mn又はMWD)は、3つのインライン検出器:示差屈折率検出器(DRI)、光散乱(LS)検出器、及び粘度計を備えた市販の高温サイズ排除クロマトグラフ(例えば、Waters Corporation又はPolymer Laboratoriesから)を用いて決定する。
ポリオレフィンについては下記手法を用いる。検出器の較正を含め、記載しない詳細については、Macromolecules 34, 6812-6820 (2001)で見つけられる。
カラムセット:3つのPolymer Laboratories PLgel 10mm Mixed-Bカラム
流速:0.5mL/分
注入体積:300μL
溶媒:4リットルのAldrich試薬グレードTCBに溶解した6gのブチル化ヒドロキシトルエンを含有する1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)
温度:135℃
135℃で維持したオーブン内に種々の移送ライン、カラム、DRI検出器及び粘度計が包含される。TCB溶媒は、0.7μmのガラスプレフィルターを通し、次に0.1μmのTeflonフィルターを通して濾過してからオンライン脱気装置で脱気した後にSECに入れる。乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望量のTCBを加えてから混合物を約2時間連続的に撹拌しながら160℃で加熱することによってポリマー溶液を調製する。全ての量は重量測定法で測定する。質量/体積単位でポリマー濃度を表すために用いるTCB密度は室温で1.463g/mL、135℃で1.324g/mLである。注入濃度は1.0〜2.0mg/mLの範囲であり、分子量が大きいサンプルほど低い濃度を使用する。一連のサンプルを流す前に、DRI検出器及びインジェクターをパージし、流速を0.5ml/分に上昇させ、DRIを8〜9時間安定化させ;サンプルを流す1時間前にLSレーザーを作動させる。
クロマトグラムの各点の濃度cは、下記方程式を用いてベースライン減算DRI信号IDRIから計算する。
c=KDRIIDRI/(dn/dc)
式中、KDRIは、DRIを較正することによって決まる定数であり、(dn/dc)は、光散乱(LS)解析について後述するのと同じである。この説明を通してパラメーターに関する単位は、濃度はg/mLで表し、分子量はg/モルで表し、固有粘度はdL/gで表すような単位である。
LS検出器はWyatt Technology High Temperature mini-DAWNである。クロマトグラムの各点の分子量Mは静的光散乱のZimmモデルを用いてLS出力を解析することによって決定する(M.B. Huglin, LIGHT SCATTERING FROM POLYMER SOLUTIONS, Academic Press, 1971):
ここで、ΔR(θ)は、散乱角θで測定された過剰のレイリー散乱強度であり、cは、DRI解析で決定されたポリマー濃度であり、A2は、第2ビリアル系数[本発明の目的では、プロピレンについてはA2=0.0006、その他はA2=0.001]、P(θ)は、単分散ランダムコイルの形状因子であり、Koは、システムの光学定数である。
式中、NAはアボガドロ数であり、(dn/dc)はシステムの屈折率増分である。TCBについては135℃及びλ=690nmで屈折率n=1.500である。本発明及びそれに対する特許請求の範囲の目的では、プロピレンポリマーについては(dn/dc)=0.104、その他は(dn/dc)=0.1である。
2つの圧力トランスデューサーを有するホイートストンブリッジ構成で配置された4つの毛細管を有する高温Viscotek Corporation粘度計を用いて比粘度を決定する。一方のトランスデューサーは検出器を横切る全圧力降下を測定し、ブリッジの両側間に位置する他方のトランスデューサーは差圧を測定する。それらの出力から、粘度計を通って流れる溶液の比粘度ηsを計算する。クロマトグラムの各点の固有粘度[η]は、下記方程式から計算する。
ηs=c[η]+0.3(c[η])2
式中、cは濃度であり、DRI出力から決定した。
分岐指数(g'vis)は、以下のようにSEC-DRI-LS-VIS法の出力を用いて計算する。サンプルの平均固有粘度[η]avgは下記式により計算する。
式中、総和は、積分限界間のクロマトグラフスライスi全てにわたる。
分岐指数g'visを以下のように定義する。
ここで、本発明及びそれに対する特許請求の範囲の目的では、エチレン、プロピレン及びブテンポリマーについてはα=0.695であり;エチレンポリマーについてはk=0.000579、プロピレンポリマーについてはk=0.000262、ブテンポリマーについてはk=0.000181である。Mvは、LS解析によって決定された分子量に基づく粘度平均分子量である。分子モーメントをLS又はDRIとして報告し、データを生成するためにどの検出器を用いたかを示す。
13 C NMR
13C NMRデータは少なくとも75MHzの13C周波数の分光計を用いて120℃で収集する。全取得時間中はゲーティングなしで方形波掃引変調を用いて連続的ブロードバンドプロトンデカップリングで90度パルス、0.1〜0.12Hzのデジタル分解能を与えるように調整した取得時間、少なくとも10秒のパルス取得遅延時間を利用する。興味のある信号を測定するのに十分な信号対雑音レベルを与えるように平均した時間でスペクトルを取得する。分光計磁石に挿入する前にサンプルを重水素化塩化メチレンに10〜15wt%の濃度で溶解させる。データ解析前に、重水素化塩化メチレン溶媒の化学シフトを54ppmに設定することによって、スペクトルのリファレンス補正を行なう。
示差走査熱量測定(DSC)
結晶化温度(Tc)及び融解温度(又は融点Tm)は、市販機器(例えば、TA Instruments 2920 DSC)で示差走査熱量測定法(DSC)を利用して測定する。典型的に、6〜10mgの成形ポリマー又は可塑化ポリマーをアルミニウムパンに密封し、室温で機器に装填する。融解データ(第1熱)は、サンプルをその融解温度より少なくとも30℃高い温度、典型的にポリエチレンでは220℃まで10℃/分の加熱速度で加熱することによって得られる。この温度で少なくとも5分間サンプルを保持してその熱履歴を破壊する。結晶化データは、サンプルを融成物から結晶化温度より少なくとも50℃低い温度、典型的にポリエチレンでは-100℃まで10℃/分の冷却速度で冷却することによって得られる。この温度で少なくとも5分間サンプルを保持し、最後に10℃/分で加熱して追加の融解データ(第2熱)を得る。吸熱融解転移(第1及び第2熱)並びに発熱結晶化転移を標準手順に従って解析する。報告した融解温度は、特に指定のない限り、第2熱からのピーク融解温度である。
複数ピークを示すポリマーについては、融解温度は、最大吸熱量測定応答(最高温度で生じるピークとは対照的)を伴う融解追跡からのピーク融解温度であると定義される。同様に、結晶化温度は、最大発熱量測定応答(最高温度で生じるピークとは対照的)を伴う結晶化追跡からのピーク結晶化温度であると定義される。
DSC曲線下面積を用いて転移熱(融解時の融解熱Hf、又は結晶化時の結晶化熱Hc)を決定し、これらを用いて結晶化度(結晶化パーセントとも呼ばれる)を計算することができる。結晶化パーセント(X%)は下記式:[曲線下面積(J/g)/H°(J/g)]*100を用いて計算される。式中、H°は、主モノマー成分のホモポリマーの完全結晶の理想融解熱である。H°のこれらの値は、John Wiley and Sons, New York 1999によって出版されたPolymer Handbook, 第4版から得られるが、H°(ポリエチレン)については290J/gの値を用い、H°(ポリブテン)については140J/gの値を用い、H°(ポリプロピレン)については207J/gの値を使用する。
本明細書に記載の全ての書類は、いずれの優先権書類及び/又は試験手順をも含め、このような援用が許容される全ての管轄権の目的で、それらが本テキストと矛盾しない限りにおいて、参照することにより本明細書に援用される。しかしながら、最初に提出した出願又は出願書類に記載のない如何なる優先権書類も本明細書に援用されないことを条件とする。前述の一般的説明及び具体的実施形態から明らかなように、本発明の形態を例示及び説明したが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく種々の変更を加えることができる。従って、本発明はそれらによって制限されることを意図していない。同様に、用語「含む(comprising)」は、オーストラリア法の目的の用語「含める(including)」と同義とみなす。同様に組成物、元素又は一群の元素が、移行句「含む」により先行される場合はいつでも、組成物、元素、又は元素群の列挙に先行する移行句「から基本的に成る」、「から成る」、「から成る群より選択される」、又は「である」を伴う同一の組成物又は元素群をも企図し、逆も同様であるものと解釈すべきである。

Claims (10)

  1. エチレンと1種以上のC3〜C20コモノマーを重合する方法であって、エチレン、1種以上のC3〜C20コモノマー、活性化剤、連鎖移動剤、及び下記式(A)、(B)、(C)、又は(D):
    (式中:
    Mは、4族金属であり;
    Q1は3原子架橋であって、その3個の原子の中央は15又は16族元素(前記15族元素はR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、式:-G1-G2-G3-で表され、ここでG2は15又は16族原子(前記15族元素はR30基で置換されていてよい)であり、G1及びG3はそれぞれ14、15又は16族原子(各14、15及び16族元素は1つ以上のR30基で置換され又は置換されていなくてよい)であり、G1とG2とG3、又はG1とG2、又はG1とG3、又はG2とG3が、単環系又は多環系を形成してもよく;
    各R30基は、独立に、水素又はC1〜C100ヒドロカルビル基又はシリル基であり;
    Q2は-NR17又は-PR17であり、ここでR17は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、シリル、及びゲルミルから選択され;
    Q3は-(TT)-又は-(TTT)-であり、ここで各Tは炭素又はヘテロ原子であり、前記炭素又はヘテロ原子は無置換であってよく或いは「-C-Q3=C-」フラグメントと一緒に5若しくは6員環式基又は該5若しくは6員環式基を含む多環式基を形成する1個以上のR30基で置換されていてよく;
    R1は、ヒドロカルビル及び置換ヒドロカルビル、又はシリル基から成る群より選択され;R3、R4、及びR5は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R3とR4及び/又はR4とR5)が結合して置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
    R2は-E(R12)(R13)-であり、Eは炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
    Yは、酸素、硫黄、及び-E*(R6)(R7)-から選択され、E*は炭素、ケイ素、又はゲルマニウムであり;
    R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、及びR13は、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシ、ハロゲン、アミノ、及びシリルから成る群より独立に選択され、ここで、隣接するR基(R6とR7、及び/又はR8とR9、及び/又はR9とR10、及び/又はR10とR11及び/又はR12とR13)が結合して飽和置換若しくは無置換ヒドロカルビル又はヘテロ環式環を形成してもよく、該環は5、6、7、又は8個の環炭素原子を有し、該環上の置換基が結合して追加の環を形成してもよく;
    Lはアニオン性脱離基であり、該L基は同一又は異なっていてよく、いずれの2個のL基が結び付いて二価アニオン性脱離基を形成してもよく;
    nは1又は2であり;
    L'は中性ルイス塩基であり;かつ
    wは0、1、2、3又は4である)
    で表されるピリジルジアミド遷移金属錯体を接触させる工程を含む方法。
  2. R2が、CH2、CH(アリール)、CH(2-イソプロピルフェニル)、CH(2,6-ジメチルフェニル)、CH(2,4-6-トリメチルフェニル)、CH(アルキル)、CMe2、SiMe2、SiEt2、及びSiPh2から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. Q3がCHCHCH、CHCH、CHN(アルキル)、CH-S、CHC(アルキル)CH、C(アルキル)CHC(アルキル)、CH-O、又はNOである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記錯体が、下記式で表される化合物である、請求項1に記載の方法。
  5. 1〜2.5のMw(LS)/Mn(Dri)を有するエチレンコポリマーを得る工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  6. 下記:
    1) 1〜2.5のMw(LS)/Mn(Dri);
    2) 3,000〜300,000g/モルのMw;
    3) 0.90以上のg'vis;
    4) 35〜85モル%以上のエチレン含量;
    5) 15〜65モル%のC3〜C20αオレフィン含量;
    6) 1:3〜1:20の粘稠化効率対せん断安定性指数の比;
    7) 65℃以下の融点(Tm);及び
    8) 150以上の粘度指数
    を有するエチレンコポリマーを得る工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記エチレン、1種以上のC3〜C20コモノマー、活性化剤、及びピリジルジアミド遷移金属錯体を前記連鎖移動剤の添加前に接触させる、請求項1に記載の方法。
  8. 下記:
    1) 1〜2.0のMw(LS)/Mn(Dri);
    2) 3,000〜300,000g/モルのMw(LS);
    3) 0.90以上のg'vis;
    4) 35モル%〜85モル%のエチレン含量;
    5) 15〜65モル%のC3〜C20コモノマー含量;
    6) 1:3〜1:20の粘稠化効率対せん断安定性指数(30サイクル)の比;
    7) 65℃以下の融点(Tm);及び
    8) 150以上の粘度指数
    を有するエチレンコポリマー。
  9. 前記コモノマーがプロピレンである、請求項8に記載のコポリマー。
  10. 1) 前記Mw(LS)/Mn(Dri)が1.051.50であり;
    2) 前記Mw(LS)が50,000〜300,000g/モルであり;
    3) 前記g'visが0.95以上であり;
    4) 前記エチレン含量が60〜75モル%であり;
    5) 前記粘稠化効率対せん断安定性指数(30サイクル)の比が1:4〜1:18であり;
    6) 前記粘度指数が170以上である、
    請求項8に記載のコポリマー。
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