JP6272165B2 - ダイヤフラム製造装置 - Google Patents
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Description
前者の対策案は、設備投資を伴うことなく現状設備で済む利点はあるが、労働環境的に無理が効かず、ある程度以上の増産には対応不可である。製造装置を増やす後者の対策案は、量産数を倍増させるなど、顧客のニーズに容易に対応できる点は良いが、新たな設備投資を伴うリスクがある。
なお、25は、その支持フランジ25aが上型本体22Aに当接する位置にバネ(明示せず)で下方に突出付勢される可動型部である。
従って、その状態で上型22を下降して、2枚重ねのシート材20’20’を加圧加熱成形(プレス成形)すると、図7(c)に示すように、上下のダイヤフラム20,20のうち、下側のダイヤフラム20が熱ダレによる弛みによって所定形状に成形できず、不良品が多発してしまうことが知見された。
前記フランジ壁4を形成するための基準面11と、前記頂壁2を形成すべく前記基準面11から上方に突出する凸型部10Aとを備える加熱可能な下型6、及び、前記基準面11に対応する下面7と、前記凸型部10Aの入り込みを許容する凹型部8とを備える加熱可能な上型5を有し、
加熱状態の前記上型5と加熱状態の前記下型6とを上下に相対接近移動させて、前記上型5と前記下型6との間に装填されているダイヤフラム用シート材1’の複数枚重ねの成形加工が可能に構成されているとともに、
前記上型5と前記下型6とが最も接近したときの前記下面7と前記基準面11との上下間隔dが、前記ダイヤフラム用シート材1’ の厚みにそれらの重ね数を乗じた値を超える値に設定されていることを特徴とする。
前記下型6においては、上限位置に上昇付勢維持される作用部14を有する突出付勢部6Dが前記凸型部10Aの周囲に配置されるとともに、前記作用部14の頂部14Aが上昇付勢維持される前記上限位置は、前記凸型部10Aの頂部13と同等の高さレベルに設定されていることを特徴とする。
前記突出付勢部6Dは、前記凸型部10Aの外側に周設される環状で単一のテンションリングに形成される前記作用部14と、前記テンションリング14を上昇付勢させる付勢支持部16とを有して構成されていることを特徴とする。
前記テンションリング14の前記頂部14Aは、その環状形状の内又は外に向かって高さが異なる状態に傾斜した上面14aを有していることを特徴とする。
前記テンションリング14の前記頂部14Aには、環状形状の前記テンションリング14の内外を連通させる流路26が形成されていることを特徴とする。
前記流路26は、前記環状形状の内外に貫通するように前記上面14aから下方に凹む状態で形成される溝、又は前記環状形状の内外に貫通する孔により形成されていることを特徴とする。
前記上下間隔dが、前記ダイヤフラム用シート材1’の厚みにそれらの重ね数を乗じた値に0.3〜10mmを加えた値、に設定されていることを特徴とする。
この製造装置によれば、成形型加工により成形されるフランジ壁の部分には、プレス圧力が直接は作用しない無圧状態となるため、プレス加工の終了に伴う上下型の引き離し移動に伴って、フランジ壁の上型への粘着によるへばり付きが生じないようになる。
その結果、頂壁と、撓み壁と、フランジ壁とを有して頂壁がフランジ壁に対して膨出するダイヤフラムの製造装置を、複数枚重ね状態で良好に型成形できるようにして、設備投資のリスクを抑えながら大量生産できる合理的なものとして提供することができる。
また、突出付勢部は、その頂部が凸型部の頂部と同等の高さレベルとなる上限位置に付勢維持されているから、ダイヤフラム用シート材を平らな状態でセットできながら、上下の型が離れ移動する際に、フランジ壁を下型の基準面から持ち上げ移動可能である。従って、加工後にダイヤフラムのみ持ち上げられることにより、フランジ壁の基準面への粘着防止や、型からの取り出しが容易となるなどの利点を得ることができる。
この場合、請求項6のように、テンションリングの内外を貫通する流路は、下方に凹入する状態で上面に形成される溝や、内外に貫通する孔により形成すれば好都合である。
図1にダイヤフラム1が示されている。このダイヤフラム1は、ガスメーターなどに使用されるゴム製の弾性薄膜でなり、上下方向視で長円(楕円又は角丸長方形)形状をなす頂壁2と、頂壁2の周囲に続く撓み壁3と、撓み壁3の周囲に続くフランジ壁4とを有して、全体として上下方向視の形状が角丸長方形で略鉢伏せ状のものに構成されている。
撓み壁3及びフランジ壁4は、共に上下方向視で環状をなしており、撓み壁3は、その断面が頂壁2及びフランジ壁4に対して傾斜したテーパ壁に形成されている。
上型5は、厚板状の上ベース部5Bと上型部5Aとからなり、上型部5Aは、成形加工前のダイヤフラム1、即ち、未加硫ゴム製で平らなダイヤフラム用シート材(以下、単に「シート材」と略称する)1’の押さえ面である下面7と、上方に凹入した角穴である凹型部8とを有している。凹型部8は、上型部5Aにおける縦及び横方向で中央に位置しており、垂直な縦壁8aを有している。上型5における少なくとも上型部5Aは、図示しない加熱装置により加熱可能に構成されている。
下型部6Aは、台部9と、台部9に載置固定される下型本体部10とを有し、下型本体部10は、厚板状の中間ベース部10Bと、中間ベース部10Bの前後左右中央にて盛り上がる状態の凸型部10Aとを備えている。凸型部10Aは、中間ベース部10Bの上面であって水平面である基準面11に対して傾斜するテーパ周面12と、水平面で平らな上面(頂部の一例)13とを備えている。下型6における少なくとも下型本体部10は、図示しない加熱装置により加熱可能に構成されている。
ストッパ部6Cは、突出付勢部6Dの径外側に配備されるものであって、上型部5Aの下面7に当接可能な上面17を備えており、リング状の部材、或いは複数のピンから構成することができる。
基準面11に対応する下面7と、凸型部10Aの入り込みを許容する凹型部8とを備える加熱可能な上型5とを備え、
加熱されている上型5を加熱されている下型6に向けて最も下降移動したときの基準面11と下面7との上下間隔dは、シート材1’の厚みtの2倍超え(d=2t+α)の値に設定されている。
その具体例としては、シート材1’の厚みt=0.2mm、α=0.3mmであって、d=0.2×2+0.3=0.7mmに設定されている。なお、実際の製造装置では、α=0.5mmとするのが非常に良いことも判ってきている。
本発明において、上記のαは、理論上はα>0であれば良い技術である。しかしながら、実際上は、αがあまりに小さ過ぎると、金型の平行度の誤差に含まれてしまうとともに、αがあまりに大き過ぎると、下からの熱の伝わりが悪くなり加硫できないことになるので、現実のαの値としては、0.3〜10mmとするのが好都合である。
また、頂部14Aが水平な上面である場合には、加工時にフランジ壁4が粘着してしまうおそれがあるが、傾斜した上面14aとしてあるので、ダイヤフラム用シート材1’が突出付勢部6Dの頂部(14A)へ粘着することが抑制又は防止される利点がある。
なお、図示は省略するが、製造方法においては、下型6から取り出されたダイヤフラム1は、フランジ壁4の外郭部分をカットするカット工程が行われる。
但し、この良好な製造装置を実現させるまでには、次に述べる失敗を伴う比較例の製造装置による製法を経た経緯がある。この比較例の製造装置及び製法を経験したことにより、更なる改善を行い、その結果、本発明による製造装置Aが創作されたのである。
重ねプレス工程における上型5が最下降したときは、図4(b)に示すように、下面7と基準面11との上下間隔eは、シート材1’の厚みtの丁度2倍(e=2t)に設定されていた。
上型5の下面7にへばり付いたダイヤフラム1は、容易に下面7から剥がれず、成形後のダイヤフラム1を型から取り出すのが困難であり、量産化できるものではなかった。
(1)図8(a)、(b)に示すように、テンションリング14の頂部14Aには、環状形状のテンションリング14の内外を連通させる流路26が1箇所又は複数箇所形成されている下型6でも良い。流路26の一例としては、テンションリング14の内外に貫通する凹入溝26が挙げられ、この凹入溝26は、傾斜した上面14aの基も低い箇所である外周側端縁14bよりも若干低い底面(符記省略)を持ち、環状形状の内外に貫通している。なお、凹入溝26に代えて、例えば、内外に貫通する丸孔(図示省略)でも良い。つまり、テンションリング14の頂部14Aには、上面14aにおける最も高い箇所である内周端縁14cから下方に凹んで環状形状の内外に貫通する凹入溝26、又は環状形状の内外に貫通する孔が形成されており、これら凹入溝や孔を総称して流路26と呼ぶ。
2 頂壁
3 撓み壁
4 フランジ壁
5 上型
6 下型
6D 突出付勢部
7 下面
8 凹型部
10A 凸型部
11 基準面
13 凸型部の頂部
14 作用部、テンションリング
14A 突出付勢部の頂部
14a 上面
16 付勢支持部
26 流路(溝、孔)
d 下面と基準面との上下間隔
t ダイヤフラム用シート材の厚み
Claims (7)
- 頂壁と、前記頂壁の周囲に続く撓み壁と、前記撓み壁の周囲に続くフランジ壁とを有し、前記頂壁が前記フランジ壁に対して膨出しているダイヤフラムの製造装置であって、
前記フランジ壁を形成するための基準面と、前記頂壁を形成すべく前記基準面から上方に突出する凸型部とを備える加熱可能な下型、及び、前記基準面に対応する下面と、前記凸型部の入り込みを許容する凹型部とを備える加熱可能な上型を有し、
加熱状態の前記上型と加熱状態の前記下型とを上下に相対接近移動させて、前記上型と前記下型との間に装填されているダイヤフラム用シート材の複数枚重ねの成形加工が可能に構成されているとともに、
前記上型と前記下型とが最も接近したときの前記下面と前記基準面との上下間隔が、前記ダイヤフラム用シート材の厚みにそれらの重ね数を乗じた値を超える値に設定されているダイヤフラム製造装置。 - 前記下型においては、上限位置に上昇付勢維持される作用部を有する突出付勢部が前記凸型部の周囲に配置されるとともに、前記作用部の頂部が上昇付勢維持される前記上限位置は、前記凸型部の頂部と同等の高さレベルに設定されている請求項1に記載のダイヤフラム製造装置。
- 前記突出付勢部は、前記凸型部の外側に周設される環状で単一のテンションリングに形成される前記作用部と、前記テンションリングを上昇付勢させる付勢支持部とを有して構成されている請求項2に記載のダイヤフラム製造装置。
- 前記テンションリングの前記頂部は、その環状形状の内又は外に向かって高さが異なる状態に傾斜した上面に形成されている請求項3に記載のダイヤフラム製造装置。
- 前記テンションリングの前記頂部には、環状形状の前記テンションリングの内外を連通させる流路が形成されている請求項4に記載のダイヤフラム製造装置。
- 前記流路は、前記環状形状の内外に貫通するように前記上面に下方に凹む状態で形成される溝、又は前記環状形状の内外に貫通する孔により形成されている請求項5に記載のダイヤフラム製造装置。
- 前記上下間隔が、前記ダイヤフラム用シート材の厚みにそれらの重ね数を乗じた値に0.3〜10mmを加えた値、に設定されている請求項1〜6の何れか一項に記載のダイヤフラム製造装置。
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