以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る充電利用による割引システムについて説明する。
本実施形態に係る充電利用による割引システムは、高速道路などの利用料金が発生する有料道路に設置されている充電設備を使用してEV車などを充電した利用者に対して、充電設備に利用状況に応じて割り引いた道路通行料金及び充電料金を請求する。充電利用による割引システムは、利用者に対して道路通行料金及び充電料金を合算した代金から充電状況に応じた割引金額を割り引いた料金を請求してもよいし、道路通行料金から充電状況に応じた割引金額を割り引いた金額を請求してもよし、充電料金から充電状況に応じた割引金額を割り引いた金額を請求してもよい。
なお、本実施形態に係る割引システムは、料金収受システムが利用料金を収受する高速道路などの有料道路でEV車(以下、単に車両とも称する)に充電する充電設備が設置される運用形態を想定して説明する。ただし、本実施形態に係る割引システムは、料金収受システムが利用料金を収受する対象、および、充電システムがEV車を充電する場所などが特定の場所に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る充電利用による割引システムの構成例を概略的に示す図である。
図1が示すように、充電利用による割引システム1は、充電システム2および料金収受システム3を有する。充電利用による割引システム1は、高速道路などの利用料金が発生する有料道路4を通行する車両5の利用者に対して充電システム2の利用状況に応じた割引サービスを提供するシステムである。充電システム2は、充電サーバ11、給電制御用アンテナ12、および非接触電力伝送装置13などにより構成される。料金収受システム3は、管理サーバ16、入口側の路側装置17、および出口側の路側装置18などにより構成される。
また、当該システムが処理対象とする車両5は、有料道路4を走行するEV車であり、充電システム2用の車両側の充電設備としての非接触電力受信装置14と、料金収受システム(ETC)用の車載器15とを有する。車両側の充電設備(非接触電力受信装置)14は、充電システム2の給電制御用アンテナ12へ充電認証情報を送信する機能、及び、非接触電力伝送装置13から電力の供給を受ける機能を有する。また、ETC用の車載器15は、当該車両5に関する情報として車種などの情報がセットアップされており、利用者が所持するETC決済用のICカード(ETCカード)が挿入された状態で利用される。非接触電力受信装置14および車載器15は、予め車両に設置されていてもよいし、後から取り付けてもよい。
充電サーバ11は、有料道路4を走行中のEV車5への給電を管理するサーバ装置である。充電サーバ11は、EV車への充電(給電)の可否を判定する認証機能、EV車への充電(給電)履歴情報を管理する機能などを有する。たとえば、充電サーバ11は、有料道路4を走行中のEV車(車両)5に対する充電を許可するか否かの認証処理を行い、認証結果に基づいて当該EV車5へ給電するか否かを決定する。充電サーバ11は、給電制御用アンテナ12と有線又は無線によって接続される。充電サーバ11は、給電制御用アンテナ12を通じて、有料道路を通過しているEV車から充電認証情報を取得する。また、充電サーバ11は、非接触電力伝送装置13と有線又は無線によって接続される。充電サーバ11は、EV車5に対して給電の可否を示す認証結果を送信する。また、充電サーバ11は、EV車5に対して実施した充電に関する情報を充電履歴情報として記憶及び管理する。充電サーバ11は、充電履歴情報を適宜料金収受システム3の管理サーバ16へ送信する。
給電制御用アンテナ12は、有料道路4を走行中のEV車5と無線通信するためのアンテナである。たとえば、給電制御用アンテナ12は、有料道路4を走行中のEV車5から無線通信によって充電のための認証情報を取得する。給電制御用アンテナ12は、EV車から取得した認証情報を充電サーバ11へ送信する。給電制御用アンテナ12は、有料道路4の路肩などの有料道路4を通過するEV車5と無線通信可能な位置に設置される。また、給電制御用アンテナ12は、有料道路4に複数個設置されてもよい。給電制御用アンテナ12は、たとえば、WiFi通信などの近距離通信を行うことができるアンテナ、当該アンテナを制御する制御基板及び充電サーバ11との通信インターフェースなどから構成される。
非接触電力伝送装置13は、有料道路4を走行中のEV車5に対して充電用の電力を非接触で供給(給電)する。非接触電力伝送装置13は、充電サーバ11による認証結果に基づいて充電が許可されたEV車5に対して選択的に電力を供給することができる。また、非接触電力伝送装置13は、充電対象としているEV車が電力供給可能なレーン(充電レーン)から外れたこと、又は、EV車のバッテリが満充電となったことを検知すると、電力の供給(給電)を終了する。たとえば、非接触電力伝送装置13は、有料道路4における充電レーンに設置された複数個の中継コイルと中継コイルに電力を供給する制御装置などから構成される。非接触電力伝送装置13を構成する中継コイルは、道路内部又は路肩などEV車に電力を供給することが可能な位置に並べて設置される。また、非接触電力伝送装置13の制御装置は、各中継コイルへの電力供給を制御する制御回路、充電サーバ11及び給電制御用アンテナ12との通信インターフェースなどを備える。
なお、充電システム2としての充電サーバ11、給電制御用アンテナ12及び非接触電力伝送装置13は、上述した構成に限定されるものではなく、有料道路4を走行する個々の車両(EV車)に対して選択的に電力を供給(給電)できる構成であれば良い。
管理サーバ16は、有料道路4を通過する車両の運転者にクレジットカード会社などを通じて道路通行料金及び充電料金などを請求するサーバである。管理サーバ16は、ETCとしての入口側の路側装置17及び出口側の路側装置18と無線又は有線によって接続される。管理サーバ16は、有料道路4へのETC利用による車両5の入場及び出場を管理している。管理サーバ16は、車両の入場場所(入口)、出場場所(出口)及び車種などから道路通行料金を決定し、車両の利用者へ道路通行料金を請求する機能などを有する。また、管理サーバ16は、充電システム2から充電履歴情報などを受信し、受信した充電履歴情報などに応じた道路通行料金及び充電料金などの割引金額を計算したり、割引金額を含む料金を利用者へ請求したりする。
入口側の路側装置17は、有料道路4の入場口に設置される。入口側の路側装置17は、有料道路4に入場しようとする車両5に搭載されたETC用の車載器15から利用者のETCカードのカードIDなどの情報を取得する。たとえば、入口側の路側装置17は、無線通信アンテナによって、有料道路4に入場しようとする車両に設置されているETC用の車載器15と通信し、ETC用の車載器15に挿入されているETCカードからカードIDを取得する。また、入口側の路側装置17は、ETC用の車載器15からETC用の車載器に設定されている車両の車種を示す情報を取得する。入口側の路側装置17は、取得したカードID、入場場所、入場日時及び車種などの情報を有料道路の利用履歴情報に含まれる入口情報として管理サーバ16へ送信する。また、入口側の路側装置17により入場が許可された車両5の車載器15は、入場場所および入場日時を示す情報を入口側の路側装置17から取得して内部メモリあるいはETCカードに記録する。
出口側の路側装置18は、有料道路4の出場口に設置される。出口側の路側装置18は、有料道路4から出場しようとする車両5に搭載されているETC用の車載器15から利用者のETCカードのカードID、車種および入場情報などの情報を取得する。たとえば、出口側の路側装置18は、無線通信アンテナによって、有料道路4から出場しようとする車両5に設置されているETC用の車載器15と通信し、ETC用の車載器15に挿入されているETCカードからカードIDを取得し、車載器15にセットされている当該車両の車種を示す情報を取得する。また、出口側の路側装置18は、取得したカードID、出場場所、出場日時及び車種などの情報を有料道路の利用履歴情報に含まれる出口情報として管理サーバ16へ送信する。なお、出口側の路側装置18は、取得した情報により算出した道路通行料金などを出場する車両に対して案内表示する表示部を備えてもよい。
次に、充電サーバ11について説明する。
図2は、充電サーバ11の構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態に係る充電サーバ11は、サーバ装置であるが、特定の装置に限定されるものではない。
図2に示すように、充電サーバ11は、CPU21、RAM22、ROM23、不揮発性メモリ24、及び、通信インターフェース(I/F)25などを備える。
CPU21は、充電サーバ11全体の動作を制御する機能を有する。CPU21は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えても良い。CPU21は、内部メモリ、ROM23あるいは不揮発性メモリ24に予め記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。たとえば、CPU21は、プログラムを実行することにより、通信インターフェース25を介して入力されるデータなどのデータを処理するデータ処理機能を有する。なお、CPU21がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであっても良い。この場合、CPU21は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
RAM22は、揮発性のメモリである。RAM22は、CPU21の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM22は、CPU21からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納している。また、RAM22は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
ROM23は、予め制御用のプログラム及び制御データなどが記憶された不揮発性のメモリである。ROM23に記憶される制御プログラム及び制御データは、予め充電サーバ11の仕様に応じて組み込まれる。ROM23は、たとえば、充電サーバ11の回路基板を制御するプログラム(例えば、BIOS)などを格納している。
不揮発性メモリ24は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。不揮発性メモリ24は、例えば、ハードディスク、SSD、EEPROM(登録商標)又はフラッシュメモリなどにより構成される。不揮発性メモリ24は、充電サーバ11の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション、及び種々のデータを格納する。
また、不揮発性メモリ24は、充電設備利用IDデータベースを記録する記憶領域24a及び充電利用履歴データベースを記録する記憶領域24bなどを有する。充電設備利用IDデータベース及び充電利用履歴データベースについては、後述する。
通信インターフェース25は、外部のシステムとのデータ通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース25は、料金収受システム3、給電制御用アンテナ12、及び非接触電力伝送装置13などと有線又は無線によってデータ通信する。なお、通信インターフェース25は、料金収受システム3、給電制御用アンテナ12、及び非接触電力伝送装置13にそれぞれ対応する個別のインターフェースを備えてもよい。
なお、充電サーバ11は、さらに、表示部、操作部及び外部インターフェースなどを備えても良く、上述した構成以外の構成要素を適宜追加しても良い。
次に、不揮発性メモリ24の記憶領域24aに格納されている充電設備利用IDデータベースについて説明する。
図3(A)は、記憶領域24aに格納されている充電設備利用IDデータベースの例を示す図である。
充電設備利用IDデータベースは、充電設備利用IDと、ETCカードID、割引開始時期及び割引終了時期とを対応付けて格納している。
充電設備利用IDは、利用者が充電設備を利用する際に、利用者が所有する個々の車両を特定するためのIDである。充電設備利用IDは、車両ごとに発行される。充電設備利用IDは、充電設備を利用する車両に設定される。充電設備利用IDは、利用者がEV車充電システムにETCカードIDを登録するとEV車充電システムによって発行される。
ETCカードIDは、ETCカードを識別するためのIDである。ETCカードは、利用者ごとに発行され、個別のETCカードIDを割り振られている。ETCカードIDは、道路通行料金又は充電料金などを精算するために使用される。なお、ETCカードを持つ利用者は、自身の所有する複数の車両について発行されている複数の充電設備利用IDを、自身の持つ1つのETCカードIDに関連づけてもよい。
割引開始及び割引終了は、対応する充電設備利用IDによって充電設備が利用された際に料金を割り引く期間の開始時期及び終了時期をそれぞれ示している。たとえば、充電設備利用ID「01234」に対応する「割引開始」は、「2012/4/1」であって、「割引終了」は、「9999/12/31」である。したがって、利用者が2012年4月1日から9999年12月31日の間に充電設備利用ID「01234」を用いて充電設備を利用した場合、利用者は、充電設備を利用したことによる道路通行料金又は充電料金の割引を受けることができる。
次に、不揮発性メモリ24の記憶領域24bに格納されている充電利用履歴データベースについて説明する。
図3(B)は、記憶領域24bに格納されている充電利用履歴データベースの例を示す図である。
充電利用履歴データベースは、充電設備利用IDと、利用区間、利用日時、利用回数、及び利用料とを対応付けて格納している。充電設備利用ID、利用区間、利用開始日時、利用回数、及び利用料は、充電利用履歴とも呼ばれる。
充電設備利用IDは、前述の通りである。利用区間は、対応する充電設備利用IDが設定されている車両(非接触電力受信装置)に充電システム2が電力を供給した区間である。利用開始日時は、対応する充電設備利用IDが設定されている車両(非接触電力受信装置)に充電システム2が電力の供給を開始した日時である。利用回数は、対応する充電設備利用IDが設定されている車両(非接触電力受信装置)にEV車充電システムが電力を供給した回数である。利用料は、利用区間、利用日時及び利用回数に応じた充電料金である。利用料は、予め利用区間、利用日時及び利用回数に応じて決定されている。
たとえば、充電設備利用ID「01234」に対応する「利用区間」は、「A→X」であって、充電利用履歴は、充電設備利用ID「01234」を設定された車両がA〜Xの区間において充電設備を利用したことを示している。また、充電設備利用ID「01234」に対応する「利用開始日時」は、「2012/7/12 10:47」であって、充電利用履歴は、充電設備利用ID「01234」を設定された車両が2012年7月12日10時47分に充電設備の利用を開始したことを示している。また、充電設備利用ID「01234」に対応する「利用回数」及び「利用料」は、それぞれ「1」及び「450」であって、充電利用履歴は、充電設備利用ID「01234」を設定された車両が1回充電設備を利用し、充電料金が450円であることを示している。
なお、充電利用履歴データベースは、さらに、対応する充電設備利用IDが設定されている車両(非接触電力受信装置)に充電システム2が電力の供給を終了した利用終了日時、及び、対応する充電設備利用IDが設定されている車両(非接触電力受信装置)に充電システム2が供給する電力量なども格納してもよい。
充電設備利用IDデータベース及び充電利用履歴データベースは、料金収受システム3へ送信され、管理サーバ16が充電利用による割引の有無を判定したり、割引金額を算出したりするのに利用される。
次に、充電システム2で利用する情報の登録(設定)について説明する。
利用者が自身の所有する車両5へ充電設備利用IDを設定するまでの動作を説明する。
図4は、利用者が充電設備利用IDの発行を受け、利用者の所有する車両5に発行された充電設備利用IDを設定するまでの動作を説明するための図である。
ここでは、利用者は、予め精算用カードIDとしてETCカードIDの発行を受けているものとする。
充電サービスを受けたい利用者は、発行済みの自身が所持するETCカードのカードIDを精算用カードIDとして充電システム2へ登録を申請する。たとえば、利用者は、インターネットなどの通信手段を用いてETCカードのカードIDを含む登録情報を充電システム2へ送信するようにしてもよいし、窓口などへ直接出向いて登録の申請を行うようにしてもよい。ここでは、充電サーバ11は、図3(A)に示すような充電設備利用IDデータベースに情報を登録するものとする。
充電システム2において、充電サーバ11は、充電サービスを受けたい利用者からの申請に応じて所持するETCカードのカードIDを含む登録情報を受け付ける。ETCカードのカードIDを含む登録情報を受け付けると、充電サーバ11は、充電設備利用IDを生成する。充電サーバ11は、たとえば、ETCカードのカードIDに一定の処理をした数値を充電設備利用IDとしてもよいし、ETCカードのカードIDとは無関係な数値を充電設備利用IDとしてもよい。なお、充電設備利用IDは、数字以外にも記号又は文字列などであってもよい。充電サーバ11が充電設備利用IDを生成する方法は、特定の構成に限定されるものではない。
充電設備利用IDを生成すると、充電サーバ11は、生成した充電設備利用IDに対応する割引期間(割引開始及び割引終了)を決定する。充電サーバ11は、たとえば、カードIDを充電システム2へ登録した時期、ETCカードの利用履歴、又は充電設備利用IDを設定する車両の種類などに応じて割引期間を決定する。充電システム2が割引期間を決定する方法は、特定の構成に限定されるものではない。
充電設備利用IDと割引期間とを決定すると、充電サーバ11は、充電設備利用ID、カードID、割引期間としての開始時期及び終了時期を対応付けて、不揮発性メモリ24における記憶領域24aの充電設備利用IDデータベースへ追加的に記録する。
各情報を充電設備利用IDデータベースへ追加的に記録すると、充電サーバ11は、生成した充電設備利用IDを含む情報を登録の申請を行った利用者に送信する。たとえば、利用者がインターネットなどの通信手段を用いて登録を申請した場合、充電設備利用IDは、インターネットなどの通信手段を通じて利用者の使用するPCなどのディスプレイなどに表示されるようにしてもよい。また、充電設備利用IDは、後日オペレータなどから郵送などによって利用者へ送られてもよい。充電サーバ11が生成した充電設備利用IDを利用者へ送信する手段は、特定の構成に限定されるものではない。
生成した充電設備利用IDを利用者へ送信すると、充電サーバ11は、インターネットなどの通信手段又は独自の通信手段などを用いて、不揮発性メモリ24における記憶領域24aの充電設備利用IDデータベースの情報(あるいは更新された情報)を料金収受システム3へ送信する。たとえば、充電サーバ11は、充電設備利用IDデータベースの情報(あるいは更新された情報)を、充電設備利用IDなどの情報が新たに更新(登録或いは書換)される度に料金収受システム3へ送信してもよいし、一定量以上の充電設備利用IDなどの情報が新たに更新(登録或いは書換)される度に送信してもよい。また、充電サーバ11は、所定の間隔(たとえば、1日)で充電設備利用IDデータベースの情報(或いは更新された情報)を料金収受システム3へ送信してもよい。また、充電サーバ11は、充電設備利用IDを利用者に送信する前に、充電設備利用IDデータベースを料金収受システム3へ送信するようにしてもよい。充電サーバ11が充電設備利用IDデータベースを料金収受システム3へ送信する時期は、特定の時期に限定されるものではない。
利用者は、充電システム2から本割引システムによる充電用として登録したETCカードのカードIDに対応する充電設備利用IDを受領すると、車両5に設置されている車両側の充電設備(非接触電力受信装置)に充電設備利用IDを設定する。車両側の充電設備(非接触電力受信装置)は、たとえば、利用者によるスイッチ入力などによって受領した充電設備利用IDが設定される。なお、利用者が車両側の充電設備へ充電設備利用IDを設定する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
次に、充電システム2による車両5へ電力供給(給電)について説明する。
図5は、充電システム2が車両5へ電力を供給(給電)する運用形態の例を説明するための図である。
ここでは、有料道路にはEV車に対して給電を行う給電設備(給電制御用アンテナ12および非接触電力伝送装置13)が設置された充電レーンが設けられ、給電を受けるEV車(充電される車両)は、当該車両5に設置されている車両側の充電設備(非接触電力受信装置)14を「ON(充電可能状態)」とした状態で、有料道路の充電レーンを走行するものとする。
車両5の非接触電力受信装置14は、充電開始要求として、設定されている充電設備利用IDを無線通信によって給電制御用アンテナ12へ送信する。ここで使用される無線通信は、給電制御用アンテナ12で使用可能な通信方式である。非接触電力受信装置14は、給電制御用アンテナ12からのリクエストに応じて充電設備利用IDを送信してもよいし、自身から充電開始要求とともに充電設備利用IDを送信してもよい。
給電制御用アンテナ12は、充電を要求する車両(利用者)を示す充電設備利用IDを車両5の非接触電力受信装置14から受信する。充電設備利用IDを受信すると、給電制御用アンテナ12は、車両5の非接触電力受信装置14から受信した充電設備利用IDを充電サーバ11へ送信する。給電制御用アンテナ12は、受信した充電設備利用IDとともに、当該充電設備利用IDを受信した場所(あるいは区間)を示す情報を充電サーバ11へ送信するようにしてもよい。
充電サーバ11は、給電制御用アンテナ12から充電設備利用IDを受信する。充電設備利用IDを受信すると、充電サーバ11は、受信した充電設備利用IDが登録されているか否かを判定する認証処理を行う。即ち、充電サーバ11は、受信した充電設備利用IDを、不揮発性メモリ24における記憶領域24aの充電設備利用IDデータベースから検索する。受信した充電設備利用IDが充電設備利用IDデータベースに存在していると判定すると、充電サーバ11は、受信した充電設備利用IDによる認証が成功したものとして当該充電設備利用IDによる充電を許可すると判定する。受信した充電設備利用IDが充電設備利用IDデータベースに存在していないと判定すると、充電サーバ11は、受信した充電設備利用IDによる認証が失敗したものとして当該充電設備利用IDによる受電を不許可と判定する。
ここでは、車両5に設定されている充電設備利用IDは、充電設備利用IDデータベースに登録されているものとする。したがって、充電サーバ11は、受信した充電設備利用IDを充電設備利用IDデータベースから検出し、当該充電設備利用IDによる充電を許可すると判定する。受信した充電設備利用IDが充電設備利用IDデータベースに登録されていると判定すると、充電サーバ11は、認証成功により充電を許可と判定した充電設備利用IDを非接触電力伝送装置13へ送信する。
非接触電力伝送装置13は、充電サーバ11から充電が許可された充電設備利用IDを受信する。充電が許可された充電設備利用IDを受信すると、非接触電力伝送装置13は、当該充電設備利用IDが設定されている非接触電力受信装置(即ち、車両5に設置されている充電設備)14へ電力を供給する。さらに、非接触電力伝送装置13は、当該車両5への電力の供給(給電)が開始されたことを示す充電開始履歴情報として、設定されている充電設備利用ID、電力の供給を開始した日時及び区間などを示す情報を充電サーバ11へ送信する。
また、充電サーバ11は、車両5に対する電力の供給(給電)が開始されたことを示す充電開始履歴情報を非接触電力伝送装置13から受信する。充電開始履歴情報を受信すると、充電サーバ11は、充電開始履歴情報に含まれる充電設備利用IDに対応づけた充電利用履歴情報を生成する。即ち、充電サーバ11は、受信した充電設備利用IDに対応づけた充電履歴情報として、利用開始場所、利用開始日時などの充電開始履歴情報を充電利用履歴データベースに登録する。
たとえば、充電サーバ11は、充電設備の利用状況を示す情報として、利用開始場所および利用開始日時を記録し、利用回数、利用終了場所、および、利用料を示す情報を充電設備利用データベースに充電履歴情報として記録する。充電履歴情報は、充電開始履歴情報、充電終了履歴情報および料金情報などの情報を含む情報である。また、充電サーバ11は、充電利用履歴を不揮発性メモリ24の記憶領域24bに格納されている充電利用履歴データベースへ追加的に記録する。
また、車両5に設置されている非接触電力受信装置14は、非接触電力伝送装置13から供給される電力を車両5に設置されているバッテリに充電する。非接触電力伝送装置13は、車両5が充電レーンから外れた場合、又は、車両5に設置されているバッテリが満充電になったことを検知した場合、車両5へ電力を供給することを終了する。車両5に対する充電を終了すると、非接触電力伝送装置13は、充電終了履歴情報として、給電を停止した車両に設定されている充電設備利用ID、供給した電力量(充電量)、及び、電力の供給を停止した日時(利用開始日時)および利用開始場所などを示す情報を充電サーバ11へ送信する。
非接触電力伝送装置13から充電終了履歴情報を受信すると、充電サーバ11は、受信した充電終了履歴情報を記憶領域24bの充電利用データベースに記憶した当該充電設備利用IDに対応する充電利用履歴として追記する。充電利用履歴情報として充電終了履歴情報を記憶した後、充電サーバ11は、インターネットなどの通信手段又は独自の通信手段などを用いて、充電利用履歴データベースの情報を料金収受システム3へ送信する。たとえば、充電サーバ11は、充電利用履歴データベースの情報(あるいは更新された情報)を、充電利用履歴が新たに記録される度に料金収受システム3へ送信してもよいし、所定の間隔(たとえば、数分)で料金収受システム3へ送信してもよい。
なお、充電料金は、充電サーバ11が計算するようにしても良いし、料金収受システムの管理サーバ16が計算するようにしても良い。たとえば、充電サーバ11が充電料金を計算する運用であれば、充電サーバ11は、充電終了履歴情報を追記する場合、充電履歴情報に含まれる充電量に応じた充電料金を計算するようにすれば良い。この場合、充電サーバ11は、充電履歴情報として、充電料金を充電利用データベースに記憶するようにしても良い。
以上の処理により、充電システム2は、有料道路4を通過する車両5へ電力を供給するとともに、充電開始履歴および充電終了履歴を含む充電履歴情報を充電利用データベースに登録する。また、充電システム2は、充電利用データベースに登録した充電履歴情報を料金収受システムへ送信する。
次に、料金収受システム3の管理サーバ16について説明する。
料金収受システム3の管理サーバ16は、有料道路4を走行する車両5の入出場情報を含む道路利用履歴情報を管理し、車両5の利用者へ道路通行料金を請求する機能を有する。また、管理サーバ16は、充電サーバ11から車両に対する充電履歴情報を取得し、充電履歴情報に応じた充電料金を利用者へ請求する機能を有する。さらに、管理サーバ16は、充電利用情報に基づいて道路通行料金或いは充電料金に対する割引金額を算出する機能を有する。たとえば、管理サーバ16は、道路通行料金及び充電料金の合計金額から充電履歴情報に応じた割引金額を減算した料金を利用者へ請求することが可能である。
図6は、管理サーバ16の構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態に係る管理サーバ16は、サーバ装置である。ただし、管理サーバ16は、特定の装置に限定されるものではなく、たとえば、複数のコンピュータで構成しても良い。図6に示すように、管理サーバ16は、CPU31、RAM32、ROM33、不揮発性メモリ34、及び、通信インターフェース(I/F)35などを備える。
CPU31は、管理サーバ16全体の動作を制御する機能を有する。CPU31は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えても良い。CPU31は、内部メモリ、ROM33あるいは不揮発性メモリ34に予め記憶したプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。たとえば、CPU31は、プログラムを実行することにより、通信インターフェース35を介して入力されるデータなどのデータを処理するデータ処理機能を有する。なお、CPU31がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであっても良い。この場合、CPU31は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
RAM32は、揮発性のメモリである。RAM32は、CPU31の処理中のデータなどを一時的に格納する。RAM32は、CPU31からの命令に基づき種々のアプリケーションプログラムを格納している。また、RAM32は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
ROM33は、予め制御用のプログラム及び制御データなどが記憶された不揮発性のメモリである。ROM23に記憶される制御プログラム及び制御データは、予め管理サーバ16の仕様に応じて組み込まれる。ROM33は、たとえば、管理サーバ16の回路基板を制御するプログラム(例えば、BIOS)などを格納している。
不揮発性メモリ34は、データの書き込み及び書き換えが可能な不揮発性のメモリである。不揮発性メモリ34は、例えば、ハードディスク、SSD、EEPROM又はフラッシュメモリなどにより構成される。不揮発性メモリ34は、管理サーバ16の運用用途に応じて制御プログラム、アプリケーション、及び種々のデータを格納する。
また、不揮発性メモリ34は、道路利用履歴データベースを記録する記憶領域34a、割引計算用マスタを記録する記憶領域34b、及び充電設備利用IDデータベースを記録する記憶領域34cなどを有する。道路利用履歴データベース、割引計算用マスタ、及び充電設備利用IDデータベースについては、後述する。
通信インターフェース35は、外部のシステムとのデータ通信を行うためのインターフェースである。通信インターフェース35は、充電サーバ11、入口側の路側装置17、及び出口側の路側装置18などと有線又は無線によってデータ通信する。なお、通信インターフェース35は、充電サーバ11、入口側の路側装置17、及び出口側の路側装置18にそれぞれ対応する個別のインターフェースを備えてもよい。
なお、管理サーバ16は、さらに、表示部、操作部及び外部インターフェースなどを備えても良く、上述した構成以外の構成要素を適宜追加しても良い。
次に、不揮発性メモリ34の記憶領域34aに格納されている道路利用履歴データベースについて説明する。
図7(A)は、道路利用履歴データベースの例を示す図である。
道路利用履歴データベースは、ETCカードのカードIDと、入口料金所、入口料金所通過日時分、出口料金所、出口料金所通過日時分及び料金とを対応付けて格納している。
ETCカードIDは、前述の通りである。
入口料金所は、対応するETCカードIDが設定されている車両が有料道路4に入場した料金所である。入場料金所通過日時分は、対応するETCカードIDが設定されている車両が入口料金所に入場した日付及び時間である。出口料金所は、対応するETCカードIDが設定されている車両が有料道路4から出場した料金所である。出口料金所通過日時分は、対応するETCカードIDが設定されている車両が出口料金所を出場した日付及び時間である。「料金」は、入口料金所、入口料金所通過日時分、出口料金所及び出口料金所通過日時分などから決定される道路通行料金である。「料金」の決定方法は、予め決められる所定の方法(たとえば、料金テーブルなどによる方法)であるが、特定の方法に限定されるものではない。
たとえば、道路利用履歴データベースは、ETCカードID「123456789012345」を設定されている車両が、入口料金所「A」から2011年7月12日10時45分に有料道路4へ入場し、出口料金所「X」から2011年7月12日10時52分に有料道路4から出場したこと、及び、その際の道路通行料金が450円であることを示している。
次に、不揮発性メモリ34の記憶領域34bに格納されている割引計算用マスタについて説明する。
図7(B)は、割引計算用マスタの例を示す図である。
割引計算用マスタは、管理サーバ16において、充電設備の利用に応じて割引金額を決定するために使用される。
割引計算用マスタは、利用区間(利用区間(開始)及び利用区間(終了))、利用時間(利用時間(開始)及び利用時間(終了))、利用回数、車種1、車種2、車種3・・・を対応づけたテーブルである。なお、割引計算用マスタが備える車種は、特定の個数に限定されるものではない。
利用区間(開始)は、車両が有料道路4上に設置されている充電設備を利用した区間の開始場所を示している。利用区間(終了)は、車両が有料道路4上に設置されている充電設備を利用した区間の終了場所を示している。利用時間(開始)は、車両が有料道路4上に設置されている充電設備を利用した時間の開始時刻である。利用時間(終了)は、車両が有料道路4上に設置されている充電設備を利用した時間の終了時刻を示している。利用回数は、対応する利用区間及び利用時間において車両が充電設備を利用した回数である。
車種1は、対応する利用区間、利用時間及び利用回数において車種1の車両が割り引かれる金額を示している。車種2及び車種3も同様である。
たとえば、車種2である車両が、A→Zの区間(即ち、利用区間(開始)が「A」で、利用区間(終了)が「Z」である利用区間)において12時01分から23時59分の間(即ち、利用開始時間又は利用終了時間が「12:01」〜「23:59」)に充電設備を利用した場合、当該車両は、充電システム2を利用する回数が「1」回目であれば750円の割引を受けることができ、充電システム2を利用する回数が「3」回目であれば700円の割引を受けることができ、充電システム2を利用する回数が「5」回目であれば650円の割引を受けることができる。
次に、不揮発性メモリ34の記憶領域34cに格納されている充電設備利用IDデータベースについて説明する。
図7(C)は、不揮発性メモリ34の記憶領域34cに格納されている充電設備利用IDデータベースの例である。管理サーバ16は、充電サーバ11から受信する充電設備利用IDデータベースの情報を受信し、受信した情報に基づいて記憶領域34cの充電設備利用IDデータベースを更新する。このため、不揮発性メモリ34の記憶領域34cに格納される充電設備利用IDデータベースは、充電サーバ11における不揮発性メモリ24の記憶領域24aに格納されている充電設備利用IDデータベースと同様な情報を格納する。
次に、料金収受システム3の動作例について説明する。
図8は、料金収受システム3の動作例を説明するための図である。
ここでは、車両5の利用者へ道路通行料金及び充電料金を請求する手順について説明する。また、車両5は、ETCカードのカードIDとして「123456789012345」を設定されているものとする。また、車両5は、充電設備利用IDとして「01234」を設定されているものとする。また、車両5は、車種2であるものとする。
管理サーバ16は、充電サーバ11から送信される充電設備利用IDデータベースを受信する。ここでは、管理サーバ16は、図7(C)に示される充電設備利用IDデータベースを受信するものとする。充電設備利用IDデータベースを受信すると、管理サーバ16は、受信した充電設備利用IDデータベースを、不揮発性メモリ34の記憶領域34cに格納する。
入口側の路側装置17が設けられている入口から車両5が入場すると、入口側の路側装置17は、車両5に備えられているETC用の車載器15と無線通信し、当該車載器15にセットされているETCカードのカードIDと当該車両5の車種を示す情報とを取得する。カードID及び車種を取得すると、入口側の路側装置17は、取得したETCカードのカードID、車種、入口料金所を示す情報、及び通過時間を示す情報を車両の入場情報として管理サーバ16へ送信する。ここでは、入口料金所は「A」であり、車種は「車種2」であり、通過時間は「2011/7/12 10:45」であるものとする。
管理サーバ16は、入口側の路側装置17から、ETCカードのカードID、車種、入口料金所を示す情報、及び通過時間を示す情報を入場情報として受信する。当該入場情報を受信すると、管理サーバ16は、受信したカードIDに対応する道路利用履歴情報を生成する。即ち、管理サーバ16は、カードIDに対応づけて、入口料金所を示す情報、入口料金所の通過日時分を対応付けた道路利用履歴情報を不揮発性メモリ34の記憶領域34aに格納されている道路利用履歴データベースに追加的に記録する。また、管理サーバ16は、不揮発性メモリ34に受信した車種を受信したETCカードのカードIDと対応づけて格納する。
ここで、車両5が有料道路4上に設置されている充電設備を利用するものとする。車両5が充電設備を利用すると、充電サーバ11は、上述した処理によって、車両5に設定されている充電設備利用IDに対応する充電利用履歴を含む充電利用履歴データベースの情報を管理サーバ16へ送信する。ここでは、充電サーバ11は、図3(B)に示される充電利用履歴データベースを管理サーバ16へ送信するものとする。管理サーバ16は、受信した充電利用履歴データベースの情報を不揮発性メモリ34に格納する。なお、管理サーバ16は、受信した充電利用履歴データベースの情報をRAM32に格納してもよい。
充電利用履歴データベースの情報を不揮発性メモリ34に格納すると、管理サーバ16は、車両5が有料道路4から出場することを待つ。
車両5が出口から出場しようとすると、当該出口に設けられている出口側の路側装置18は、車両5に備えられているETC用の車載器15と無線通信し、車載器15にセットされているETCカードのカードIDを取得する。ETCカードのカードIDを取得すると、出口側の路側装置18は、取得したカードID、出口料金所を示す情報及び通過時間を示す情報を出場情報として管理サーバ16へ送信する。ここでは、出口料金所は、「X」であって、通過時間は、「2011/7/12 10:52」であるものとする。
管理サーバ16は、出口側の路側装置18から、カードID、出口料金所及び通過時間を示す情報などの出場情報を受信する。出場情報を受信すると、管理サーバ16は、受信したカードIDに対応する道路利用履歴に受信した出場情報を追記する。即ち、管理サーバ16は、不揮発性メモリ34の記憶領域34aに格納されている道路利用履歴データベースに格納されている当該カードIDに対応する道路利用履歴に、出口料金所及び出口料金所の通過日時分を含む出場情報を追記する。道路利用履歴に出場情報を追記すると、管理サーバ16は、入口料金所、入口料金所通過日時分、出口料金所及び出口料金所通過日時分から、当該車両5の道路通行料金を決定する。車両5の道路通行料金を決定すると、管理サーバ16は、受信したカードIDに対応する道路利用履歴に、決定した道路通行料金を追記する。ここでは、決定した道路通行料金は、「450円」であるものとする。また、道路通行料金は、出口側の路側装置18が計算して利用者に案内するようにしても良い。この場合、出口側の路側装置18は、出場情報として道路通行料金を示す情報もカードIDに対応づけて管理サーバ16へ送信するようにすれば良い。
上述のような処理の結果として、たとえば、図7(A)に例示するように、道路利用履歴データベースには、車両5に対応する道路利用履歴として、入口料金所を示す情報(「A」)、入口料金所の通過日時を示す情報(「2011/7/12 10:45」)、出口料金所を示す情報(「X」)、出口料金所の通過日時を示す情報(「2011/7/12 10:52」)、および、道路利用料金(「450」)が格納される。
ETCカードのカードIDに対応する道路利用履歴に決定した道路通行料金を追記すると、管理サーバ16は、不揮発性メモリ34の記憶領域34bに記録されている割引計算用マスタを参照して割引金額を決定する。即ち、管理サーバ16は、不揮発性メモリ34に格納されている充電利用履歴データベースから当該車両5に対応する充電利用履歴を検索し、検索した充電利用履歴と割引計算用マスタとを比較することにより、割引料金を決定する。
たとえば、管理サーバ16は、車両5に設定されている充電設備利用IDに対応する充電利用履歴を、不揮発性メモリ34に格納されている充電利用履歴データベースから検索する。車両5に対応する充電利用履歴を検索すると、管理サーバ16は、検索した充電利用履歴から、利用区間、利用開始日時、利用回数を取得する。利用区間、利用開始日時、利用回数を取得すると、管理サーバ16は、取得した利用区間が割引の対象となる区間であるか判定する。即ち、管理サーバ16は、車両5が充電設備を利用した区間「A→X」が不揮発性メモリ34の記憶領域34bに記録されている割引計算用マスタで割引の対象とされているか判定する。区間「A→X」は、割引計算用マスタで割引の対象となる区間であるので、管理サーバ16は、取得した利用区間が割引の対象となる区間であると判定する。
取得した利用区間が割引の対象となる区間であると判定すると、管理サーバ16は、車両5に設定されている充電設備利用IDが割引期間内であるか判定する。即ち、管理サーバ16は、不揮発性メモリ34の記憶領域34cに記録されている充電設備利用IDデータベースから、車両5に設定されているETCカードID(123456789012345)に対応する「割引開始」及び「割引終了」を取得し、利用日(即ち、本日)が「割引開始」或いは「割引終了」によって特定される割引期間内であるか判定する。ここでは、車両5が有料道路を利用した利用日は、「2011/7/12」であるので、管理サーバ16は、利用が割引期間内に含まれると判定する。
利用が割引期間内に含まれると判定すると、管理サーバ16は、取得した利用区間、利用開始日時、利用回数、及び、不揮発性メモリ34に格納されている車両5の車種から、割引料金を決定する。即ち、管理サーバ16は、各情報と割引計算用マスタとを照合することによって、車両5に対応する割引料金を決定する。車両5に対応する利用区間、利用開始日時、利用回数及び車種が、それぞれ、「A→X」、「2012/7/12 10:47」、「1」及び「車種2」である場合、管理サーバ16は、図7(B)に示す割引計算用マスタを参照すれば、割引料金が「600円」であると決定する。
割引金額を決定すると、管理サーバ16は、道路通行料金、充電料金及び割引金額から、利用者へ請求する料金を決定する。即ち、車両5に対応する道路通行料金、充電料金、及び割引金額は、それぞれ、450円、450円、及び600円であるので、管理サーバ16は、車両5の利用所への請求金額を300円(450円+450円−600円)と決定する。
利用者へ請求する金額を決定すると、管理サーバ16は、決定した金額(請求金額)を利用者のETCカードのカードIDを通じてクレジットカード会社などへ請求する。即ち、管理サーバ16は、車両5の利用者へ300円をクレジットカード会社などを通じて請求する。
以上のように、管理サーバ16は、有料道路の利用者が有料道路上に設置されている充電設備を使用した場合に、道路通行料金及び充電料金から所定の金額を割り引いた金額を利用者へ請求することができる。
なお、道路通行料金および充電料金は、それぞれ別々に利用者に対して請求し、割引金額は、カードIDに対応づけた還元金額として利用者に対して還元するようにしても良い。また、管理サーバ16は、割り引いた道路通行料金のみを利用者へ請求し、充電サーバ11が充電料金を利用者へ請求してもよい。また、管理サーバ16は、利用者が充電設備の利用を停止した時刻に応じて割引金額を決定してもよい。また、管理サーバ16は、充電設備によって充電された電力量に応じて、割引金額を決定してもよい。
次に、充電システム2による処理の流れについて説明する。
図9は、充電サーバ11の動作例を説明するためのフローチャートである。
まず、充電サーバ11は、利用者から充電設備の利用登録の申請を受けて当該利用者に対する充電利用の登録処理を行う(ステップS11)。充電サーバ11のCPU21は、充電利用の登録処理として、利用者が申請する精算用ECTカードのカードID、カードIDに対応づけて発行した充電設備利用ID、および、割引期間などの情報を記憶領域24aの充電設備利用IDデータベースに登録する(ステップS11)。充電設備利用ID及び精算用カードID(ETCカードID)を登録すると、充電サーバ11のCPU21は、充電設備利用IDデータベースの情報を管理サーバ16へ送信する(ステップS12)。さらに、充電サーバ11は、利用登録を申請した利用者に対して発行した充電設備利用IDを通知する。なお、充電設備利用IDは、管理サーバ16から利用者へ通知するようにしても良い。
充電設備利用IDの通知を受けた利用者は、利用する車両5に取り付けた非接触電力受信装置14のセットアップを行い(ステップS13)、充電サーバ11から通知された充電設備利用IDを非接触電力受信装置14に設定する(ステップS14)。これにより、車両5の非接触電力受信装置14は、有料道路4内の充電レーンにおいて、充電設備利用IDを用いた給電制御により非接触電力伝送装置13から給電される電力での充電が可能となる。
充電システム2において、充電サーバ11のCPU21は、有料道路4の充電レーンに車両が走行中であるか否かを監視する(ステップS15)。充電レーン上を走行する車両を検知する手段は、給電制御用アンテナ12からの応答要求に対するレスポンスにより検出するようにしても良いし、道路に設置したセンサにより検出するようにしても良いし、道路監視用のカメラが撮影した画像から検出するようにしても良い。
有料道路4の充電レーンに走行中の車両を検出すると(ステップS15、YES)、充電サーバ11のCPU21は、給電制御用アンテナ12により無線通信を試みることにより、充電レーンを走行中の当該車両に「オン状態(充電可能状態)」の非接触電力受信装置が設置されているか否かを判定する(ステップS16)。
有料道路4の充電レーンに走行中の車両が存在しないと判定した場合(ステップS15、NO)、或いは、当該車両に充電可能状態の非接触電力受信装置が設置されていないと判定した場合(ステップS16、NO)、充電サーバ11のCPU21は、ステップS15へ戻る。つまり、充電レーンを走行する充電可能状態の非接触電力受信装置が設置された車両を検出する処理を行う。
充電可能状態の非接触電力受信装置が設置されている車両を検出すると(ステップS16、YES)、充電サーバ11のCPU21は、給電制御用アンテナ12を介した無線通信により当該車両5から充電設備利用IDを受信する(ステップS17)。当該車両から充電設備利用IDを受信すると、充電サーバ11のCPU21は、受信した充電設備利用IDが充電設備利用IDデータベースに登録されているか否か判定する認証処理を行う(ステップS18)。当該車両から受信した充電設備利用IDが充電設備利用IDデータベースに登録されていないと判定した場合(ステップS18、NO)、充電サーバ11のCPU21は、当該車両5に対する充電処理の動作を終了する。
また、車両から受信した充電設備利用IDが充電設備利用IDデータベースに登録されていると判定すると(ステップS18、YES)、充電サーバ11のCPU21は、非接触電力伝送装置13を通じて、当該車両5への給電を開始する(ステップS19)。当該車両への給電を開始すると、充電サーバ11のCPU21は、充電開始履歴を記憶領域24bの充電利用履歴データベースに記録する(ステップS20)。
充電開始履歴を充電利用履歴データベースに記録すると、充電サーバ11のCPU21は、当該車両5が充電レーンを走行中であることを監視する(ステップS21)。当該車両5が充電レーンを走行中である間(ステップS21、YES)、充電サーバ11のCPU21は、当該車両5への充電が完了したかも監視する(ステップS22)。
当該車両5が充電レーンを走行中で、かつ、当該車両5への充電が完了していない場合(ステップS22、NO)、充電サーバ11は、ステップS21へ戻り、充電レーンの走行状況および充電完了の監視を継続的に実施する。
また、当該車両5が充電レーンからいなくなったと判定した場合(ステップS21、NO)、あるいは、当該車両5への充電が完了したと判定した場合(ステップS22、YES)、充電サーバ11のCPU21は、当該車両5への給電を終了する(ステップS23)。
当該車両5への給電を終了すると、充電サーバ11のCPU21は、充電終了履歴を不揮発性メモリ24の記憶領域24bの充電利用履歴データベースに記録する(ステップS24)。たとえば、充電サーバ11のCPU21は、充電利用履歴データベースにおける充電開始履歴を含む充電利用履歴に充電終了履歴を追加的に記録する。充電終了履歴を充電利用履歴データベースに記録すると、充電サーバ11のCPU21は、充電利用履歴データベースの情報を料金収受システム3の管理サーバ16へ送信する(ステップS25)。
充電利用履歴データベースの情報を管理サーバ16へ送信すると、充電サーバ11のCPU21は、当該車両5に対する充電処理の動作を終了する。
次に、料金収受システム3の管理サーバ16による利用料金の精算(請求)処理について説明する。
図10は、管理サーバ16の動作例を説明するためのフローチャートである。
管理サーバ16のCPU31は、オペレータなどの入力などによって予め割引計算用マスタを不揮発性メモリ34の記憶領域34bに記録する(ステップS31)。また、管理サーバ16のCPU31は、充電サーバ11から充電設備利用IDデータベースの情報を受信し(ステップS32)、受信した充電設備利用IDデータベースの情報を不揮発性メモリ34の記憶領域34cに充電設備利用IDデータベースとして格納する。
また、管理サーバ16のCPU31は、充電サーバ11から適宜送信される充電利用履歴データベースの情報(充電利用履歴情報)を都度受信する(ステップS33)。充電利用履歴データベースの情報を受信すると、管理サーバ16のCPU31は、受信した充電利用履歴データベースの情報を不揮発性メモリ34に格納する。
一方、管理サーバ16のCPU31は、入口側の路側装置17から受信する入場情報と出口側の路側装置18から受信する出場情報とを受信し、受信した入場情報と出場情報とを統合した道路利用履歴情報として不揮発性メモリ34における記憶領域34aの道路利用履歴データベースに記憶する。
管理サーバ16のCPU31は、不揮発性メモリ34に記憶した充電履歴情報に含まれるカードIDと一致するカードIDを含む道路利用履歴情報が道路利用履歴データベースにあるか否かを判定する(ステップS34)。たとえば、充電履歴情報を充電サーバ11から受信した時点では当該車両が出口から出場していないこともありうる。このため、管理サーバ16のCPU31は、受信した充電履歴情報に含まれるカードIDと一致するカードIDを含む出場情報の道路利用履歴情報が存在しない場合(ステップS34、NO)、ステップS33へ戻り、当該車両の出場情報が確定するまで当該充電履歴情報に対する処理を待機する。
ただし、少なくとも当該車両の入場情報が道路利用履歴データベースに記憶されているものと考えられる。このため、管理サーバ16のCPU31は、受信した充電履歴情報に含まれるカードIDと一致するカードIDを含む入場情報が道路利用履歴データベースに存在しない場合、当該充電履歴情報に対するエラー処理を行うようにしても良い。
充電履歴情報に含まれるカードIDと一致するカードIDを含む道路利用履歴情報が道路利用履歴データベースにあると判定した場合(ステップS34、YES)、管理サーバ16のCPU31は、対象車両が充電設備を利用した区間(走行経路)が割引対象となる区間であるか否かを判定する(ステップS35)。対象車両が充電設備を利用した利用区間が割引対象となる区間であると判定すると(ステップS35、YES)、管理サーバ16は、充電回数又は充電量などの条件が割引条件に合致するか否かを判定する(ステップS36)。
充電回数又は充電量などが割引条件に合致すると判定すると(ステップS36、YES)、管理サーバ16のCPU31は、記憶領域34bに記憶した割引計算用マスタを参照して、対象車両の利用区間、利用時間、利用回数、充電量、及び車種などから割引金額を決定する(ステップS37)。割引金額を決定すると、管理サーバ16のCPU31は、対象車両の道路利用履歴及び充電利用履歴から、それぞれ道路通行料金及び充電料金を取得する(ステップS38)。道路通行料金及び充電料金を取得すると、管理サーバ16のCPU31は、道路通行料金及び充電料金の合計から決定した割引金額を控除した金額を対象車両の利用者へクレジットカード会社などを通じて請求する処理を行う(ステップS39)。
また、対象車両が充電設備を利用した利用区間が割引対象となる区間でないと判定した場合(ステップS35、NO)、あるいは、充電回数又は充電量などの条件が割引条件に合致しないと判定した場合(ステップS36、NO)、管理サーバ16のCPU31は、対象車両の道路利用履歴及び充電利用履歴から、それぞれ道路通行料金及び充電料金を取得する(ステップS40)。道路通行料金及び充電料金を取得すると、管理サーバ16のCPU31は、道路通行料金及び充電料金の合計金額を対象車両の利用者へクレジットカード会社などを通じて請求する処理を行う(ステップS41)。
対象車両の利用者へ料金を請求する処理が完了すると、管理サーバ16のCPU31は、料金の精算処理を終了する。なお、充電利用履歴が存在しない道路利用履歴については、管理サーバ16のCPU31は、充電利用履歴が存在しないことが確認でき次第、利用者に対する道路通行料金の請求処理を行う。
上記のように、本実施形態に係る充電利用による割引システムは、有料道路の道路利用料金、及び、有料道路に設置されている充電設備による充電料金から、有料道路及び充電設備による充電の利用状況に応じた割引金額を割り引いた金額を利用者へ請求することができる。この結果として、有料道路を利用する利用者の利便性が向上し、有料道路内での充電システムの利用促進を図ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に本件出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
道路の通行料金を収受する料金収受システムにおいて、
車両による道路の利用履歴を示す利用履歴情報を記憶する記憶手段と、
前記道路に設けた充電設備による車両に対する充電履歴を示す充電履歴情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した充電履歴情報と前記記憶手段に記憶した道路利用履歴情報とに基づいて前記充電設備を利用した車両の利用者に対する割引金額を決定する決定手段と、
を備える料金収受システム。
[C2]
前記充電履歴情報は、前記車両が前記充電設備を利用した利用区間を示す情報を含み、
前記決定手段は、前記受信手段により受信した充電履歴情報に含まる前記充電設備を利用した利用区間に基づいて割引金額を決定する、
前記C1に記載の料金収受システム。
[C3]
前記充電履歴情報は、さらに、前記車両が前記充電設備を利用した日時を示す情報を含み、
前記決定手段は、さらに、前記受信手段により受信した充電履歴情報に含まる前記充電設備を利用した日時に加味して割引金額を決定する、
前記C1又は2の何れか1項に記載の料金収受システム。
[C4]
前記充電履歴情報は、さらに、前記車両が前記充電設備を利用した利用回数を示す情報を含み、
前記決定手段は、さらに、前記受信手段により受信した充電履歴情報に含まる前記充電設備を利用した利用回数を加味して割引金額を決定する、
前記C1乃至3の何れか1項に記載の料金収受システム。
[C5]
さらに、割引条件を示す割引計算用マスタを記憶するメモリを有し、
前記決定手段は、前記割引計算用マスタに従って割引金額を決定する、
前記C1乃至4の何れか1項に記載の料金収受システム。
[C6]
前記充電履歴情報は、充電料金を含み、
さらに、前記車両の道路利用履歴情報に基づく道路通行料金と前記充電履歴情報に基づく前記充電料金との合計金額から前記割引金額を控除した金額を請求金額として算出する算出手段を有する、
前記C1乃至5の何れか1項に記載の料金収受システム。
[C7]
さらに、前記車両の道路利用履歴情報に基づく道路通行料金から前記割引金額を控除した金額を請求金額として算出する算出手段を有する、
前記C1乃至5の何れか1項に記載の料金収受システム。
[C8]
充電履歴情報を管理する充電サーバと道路の通行料金を収受する料金収受システムと有する充電利用による割引システムにおいて、
前記充電サーバは、
前記道路に設置されている充電設備から車両への充電に関する情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により充電設備から取得した情報に基づいて各車両に対する充電状況を示す充電履歴情報を記憶する第1の記憶手段と、
前記第1の記憶手段に記憶した充電履歴情報を前記料金計算装置へ送信する送信手段と、を有し、
前記料金収受システムは、
車両による道路の利用履歴を示す利用履歴情報を記憶する第2の記憶手段と、
前記充電サーバから送信された充電履歴情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した充電履歴情報と前記第2の記憶手段に記憶した道路利用履歴情報とに基づいて前記充電設備を利用した車両の利用者に対する割引金額を決定する決定手段と、有する、
充電利用による割引システム。