JP6270758B2 - 内燃機関用点火装置 - Google Patents
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Description
本発明は、前述の課題を解決するために行われたもので、内燃機関にとって最大トルクが得られるタイミングで点火できるように制御可能な内燃機関用点火装置を得ることを目的としている。
以下、この発明の実施の形態1について説明する。
図1に示すように、本発明の実施の形態1による内燃機関用のバリア放電点火装置は、バリア点火プラグ1に交流電圧を供給する電源回路100と、電源回路100を制御する制御手段200とを備えており、バリア点火プラグ1は、共振用コイル10と共に共振回路2を構成している。
また、トランス3は、放電に必要な出力電圧を共振回路2のみで確保できる場合には取り除いてもよい。また、インバータ4は、直流電圧を交流電圧に変換する機能と、制御信号に従って周波数を変える機能を持つものであれば、どのような回路構成でもよく、例えばフルブリッジ構成等がある。さらに、DC/DCコンバータ5は、インバータ4で必要な電圧をバッテリ電圧から生成するものであればどのような構成でもよく、例えば昇圧チョッパ等で構成される。
この状態において、DC/DCコンバータ5は、常に動作しており、インバータ4に予め定めた一定の電圧を供給しているものとしている。
点火が行なわれると、内燃機関内を火炎が伝播し、燃料の燃焼による内燃機関の圧力上昇が発生する。時刻t3にて、圧力センサ8が燃焼による圧力上昇を検出すると、ECU7は信号S0を立ち下げる。制御回路6は、信号S0の立ち下がりと同時に信号G0をL状態で出力し、インバータ4を停止する。これにより、燃焼による圧力上昇後に、バリア点火プラグ1に余分な電力が投入されることを防ぎ、点火に寄与しない電力損失の発生を防ぐことができる。またECU7では、圧力センサ8からの燃焼による圧力上昇を検出した時刻t3を記録する。圧力センサ8は、燃焼終了後に圧力が低下すると、L状態に戻る。
例えば、前の点火周期の時刻t3が、時刻t0よりも早かった場合においては、次の点火周期では、ECU7が、前の点火周期の時刻t1に対して時間差t11だけ遅い時刻に信号S0を立ち上げることにより、次の点火周期の時間差t11は前の点火周期に比べて小さくなる。
以上のような動作が、内燃機関の点火周期毎に繰り返される。
また、エンジン始動時は、前の点火周期の時間差t11が記録されていないため、時刻t1をフィードバック制御することができず、時間差t11が大きくなってしまい、内燃機関の燃費の悪化を生じる。そこで、共振回路のQ値から共振成長に要する時間t12を算出してECU7に予め記録し、ECU7が始動時に時刻t1よりも時間t12だけ早く指令信号すなわち点火信号S0を立ち下げることにより、時間差t11を小さくし、燃費の悪化を抑制することができる。
次に、この発明の実施の形態2について説明する。
図3は、実施の形態2によるバリア放電点火装置の回路構成を示す図で、図4は、この回路構成の動作を示すタイミング図ある。この図3に示した回路構成と図1の実施の形態1との違いは、バリア点火プラグ1に印加される電圧を検出するための分圧コンデンサ回路21が、バリア点火プラグ1に対して並列接続されている点と、圧力センサ8が除去されている点である。分圧コンデンサ回路21は、第1の分圧コンデンサ22と第2の分圧コンデンサ23を直列接続したものであり、第1の分圧コンデンサ22側がバリア点火プラグ1と共振用コイル10の間に接続され、第2の分圧コンデンサ23側は基準電位に接続されている。この分圧コンデンサ回路21は、バリア点火プラグ1に印加される5kV〜40kV程度の高電圧を分圧し、第2の分圧コンデンサ23において0.1V〜100V程度の電圧として検出する。したがって、第2の分圧コンデンサ23のキャパシタンス値は、第1の分圧コンデンサ22に対して十分大きいものとし、例えば第1の分圧コンデンサ22に対して400倍以上程度のキャパシタンス値を持つものを選定する。
図3および図4の信号S1は、放電の発生を検出した際に、制御回路6からECU7に出力される放電検出信号の一例である。ここでは、信号S1の立ち上がりが放電開始タイミングを示している。
時刻t1の動作は、図2で説明した実施の形態1における動作と同様で、異なる点は、時刻t2において、制御回路6が第2の分圧コンデンサ23の電圧波形(図示せず)より、バリア点火プラグ1における放電開始を検出することである。制御回路6は、放電開始をECU7に通知するために、時刻t2にて信号S1を立ち上がりで出力する。ECU7は信号S1を受けて、放電開始タイミングである時刻t2を記録する。
内燃機関では、実施の形態1で説明した図2における時間差t11が大きいほど、燃費が低下する。この実施の形態2では、最大トルクが得られる時刻t0が、放電開始タイミングである時刻t2に近づくように、点火周期毎の信号S0の立ち上がりタイミングである時刻t1をフィードバック制御する。前記フィードバック制御により、時刻t2が検出できない場合においても時間差t11を低減できるため、燃焼タイミングのずれによる内燃機関の燃費の悪化を抑制することができる。
以上のような動作が、内燃機関の点火周期毎に繰り返される。
次に、この発明の実施の形態3について説明する。
図5は、実施の形態3によるバリア放電点火装置の回路構成を示す図であって、実施の形態2の図3との違いは、制御回路6からDC/DCコンバータ5に出力される出力電圧目標値の信号G1が追加されている点である。
信号G1は、制御回路6からDC/DCコンバータ5に出力される出力電圧目標値の一例であり、この信号の増減に応じてDC/DCコンバータ5の出力電圧が増減する。
次に、実施の形態3におけるバリア点火装置の基本動作を説明する。バリア点火装置では、DC/DCコンバータ5が制御回路6の出力電圧目標値の信号G1を参照し、バッテリ9の電圧を50V〜600Vの範囲の電圧に昇圧する。したがって、制御回路6は信号G1によってDC/DCコンバータ5の出力電圧を段階的に変更することが可能である。ここで、DC/DCコンバータ5の出力電圧はバリア点火プラグ1への印加電圧と比例するため、制御回路6はDC/DCコンバータ5の出力電圧により、放電開始タイミングである時刻t2を制御することが可能である。例えば、DC/DCコンバータ5の単位時間当たりの出力電圧変化量を大きくすれば、バリア点火プラグ1に印加される電圧の変化量も大きくなるため、時刻t1から時刻t2までの時間を短くすることができる。
また、この実施の形態3では、DC/DCコンバータ5以外の動作は、実施の形態2と等しいものとしている。
実施の形態2における図4と異なる点は、時刻t1から時刻t2までの期間中に、DC/DCコンバータ5の出力電圧を段階的に増加させ、バリア点火プラグ1に印加される電圧を段階的に増加させることである。時刻t2にて、バリア点火プラグ1に印加される電圧が放電開始電圧に達したところで、バリア点火プラグ1に放電が発生し、点火が行なわれる。このとき、バリア点火プラグ1に印加される電圧の変化量は、DC/DCコンバータ5の出力電圧増加による振幅増加と共振による電圧振幅成長が重畳された値となる。したがって、ECU7は、DC/DCコンバータ5の出力電圧を段階的に変化させる際の変化量によって、スイッチング素子駆動信号を出力した時刻t1から放電が開始する時刻t2までの時間差t31を制御することができる。
時刻t4において、実施の形態2と同様にして、インバータ4は停止する。ここで、制御回路6は、DC/DCコンバータ5の出力電圧を時刻t1の値に戻すように、G2の立ち上がりを出力する。このときDC/DCコンバータ5の出力電圧は、時刻t1の値に戻さなくてもよい。
以上の動作を点火周期毎に繰り返す。
次に、この発明の実施の形態4について説明する。
図7は、実施の形態4によるバリア放電点火装置の回路構成を示す図である。図5の実施の形態3との違いは、図1において説明した実施の形態1の圧力センサ8が追加されている点である。
信号S2は、ECU7が制御回路6に点火タイミングを伝達する点火信号の一例であり、立ち上がりが点火タイミング指令を示し、信号S2の立ち下がりがインバータ回路停止指令を示している。すなわち、点火信号は、指令信号として理解できる。
信号G0は、常にH状態で出力され、インバータ4は交流電圧を常時出力しており、バリア点火プラグ1には放電が発生しない程度の電圧が常に印加されている。インバータ4のスイッチング素子をオンオフする駆動周波数は、共振回路2の共振周波数とする。
このとき制御回路6では、バリア点火プラグ1に印加される電圧がバリア点火プラグ1の放電開始電圧を上回ることがないように、信号G1によってDC/DCコンバータ5の出力電圧目標値を設定することによって、DC/DCコンバータ5の出力をフィードバック制御する。
放電開始電圧の推定方法には、例えば前の点火周期において分圧コンデンサ回路21にて検出した値から換算する方法、または圧力と放電開始電圧の関係を予め測定して設定することにより放電開始電圧を推定する方法等がある。後者の具体的な方法は、バリア点火プラグ1の放電開始電圧と圧力の関係の情報を予め測定し、テーブルとしてECU7の内部に備えておいて、内燃機関の点火周期に応じて適当なタイミングで検出された圧力の値から、ECU7の内部に保管したテーブルに基づいて放電開始電圧を推定するものである。この方法では、内燃機関の点火周期に応じて圧力を検出したが、電源回路の駆動周波数に応じた適当なタイミングで圧力を検出してもよい。
時刻t3にて、圧力センサ8が燃料の燃焼による圧力上昇を検出した後に、制御回路6は、点火タイミング以外において、バリア点火プラグ1に印加される電圧が放電開始電圧を下回るように制御を実施する。
以上のような動作が、内燃機関の点火周期毎に繰り返される。
また、本実施の形態4における時刻t3にインバータ4を停止し、次の点火周期の時刻t5に対して共振成長に要する時間だけ前にインバータ4を動作させることにより、点火に寄与しない時間にバリア放電点火装置を動作させることによって生じる損失を低減することができる。
5 DC/DCコンバータ、6 制御回路、7 ECU、8 圧力センサ、
9 バッテリ、10 共振用コイル、21 分圧コンデンサ回路、
22 第1の分圧コンデンサ、23 第2の分圧コンデンサ、
100 電源回路、200 制御手段
Claims (9)
- 内燃機関の点火プラグに放電電圧を印加する共振回路と、前記共振回路に交流電圧を供給する電源回路と、前記内燃機関の燃焼における圧力上昇のタイミングを検出する圧力センサと、最大トルクが得られるタイミングを算出するエンジンコントロールユニットと、前記圧力センサにより検出された前記圧力上昇のタイミングおよび前記エンジンコントロールユニットにより算出された前記最大トルクが得られるタイミングに基づいて前記電源回路から前記共振回路への交流電圧の供給のタイミングを制御する制御回路とを備えたことを特徴とする内燃機関用点火装置。
- 前記点火プラグは電極が誘電体で覆われたバリア点火プラグであって、前記電源回路は前記共振回路に交流電圧を供給するインバータと、バッテリ電圧を昇圧して前記インバータに所定の放電開始電圧以上の電圧を供給するDC/DCコンバータとを備え、前記制御回路は前記エンジンコントロールユニットからの指令信号を受けて前記インバータの動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記共振回路に交流電圧を昇圧して供給するトランスを前記電源回路に備えた請求項2に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記内燃機関における燃焼による圧力上昇を検出する圧力センサを備え、前記エンジンコントロールユニットは前記圧力センサの情報に基づいて前記インバータの動作タイミングを指示する指令信号を出力することを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記エンジンコントロールユニットは、前記内燃機関の回転数と燃焼の火炎伝播時間の関係から最大トルクが得られる圧力上昇のタイミングを算出し、前記燃焼による圧力上昇のタイミングと前記内燃機関にて最大トルクを得られるタイミングが近づくように、前記指令信号を出力することを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記制御回路は、制御信号によって前記DC/DCコンバータの出力電圧を変更することにより前記バリア点火プラグにて放電開始するタイミングを制御することを特徴とする請求項2または3に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記制御回路は、点火タイミング以外において前記バリア点火プラグに印加される電圧が放電開始電圧を下回るように制御しつつ、点火タイミングにおいて前記DC/DCコンバータの出力電圧を制御して放電を開始することにより、共振電圧の共振成長時間を短縮することを特徴とする請求項6に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記制御回路は、前記インバータのスイッチング素子駆動周波数を制御することにより前記バリア点火プラグにて放電開始するタイミングを制御することを特徴とする請求項2から7のいずれか一項に記載の内燃機関用点火装置。
- 前記制御回路は、点火タイミング以外において前記バリア点火プラグに印加される電圧が放電開始電圧を下回るように制御しつつ、点火タイミングにおいて前記インバータのスイッチング素子駆動周波数を前記共振回路の共振周波数に近づけることにより、共振電圧の共振成長時間を短縮するようにしたことを特徴とする請求項2から8のいずれか一項に記載の内燃機関用点火装置。
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