JP6270317B2 - 耐雷ファスナのシーラント層成形用治具、耐雷ファスナのシーラント層成形方法、耐雷ファスナ、航空機の翼、耐雷ファスナの成形方法および航空機の翼の製造方法 - Google Patents

耐雷ファスナのシーラント層成形用治具、耐雷ファスナのシーラント層成形方法、耐雷ファスナ、航空機の翼、耐雷ファスナの成形方法および航空機の翼の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、航空機の機体、特に、翼に用いられる耐雷ファスナのシーラント層成形用治具に関する。
航空機の機体を構成する翼は一般に中空構造となっており、翼表面を形成する翼パネルは、翼内部にある構造部材にファスナ部材によって固定されている。
このとき、ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、翼パネルおよび翼内部の構造部材の双方に形成された貫通孔に翼の外部側から挿入し、その先端部を翼の内部側からカラー,ナットなどの締結金具で固定することで、翼パネルと構造部材とを締結する。
また、この他にも翼内部や胴体部で、翼パネル以外の構造部材や装備品の固定用の部材もファスナ部材によって締結・固定されている。
ところで、航空機においては、ファスナ部材に耐雷性を付与することにより被雷対策を万全に期す必要がある。
すなわち、航空機に被雷が発生して主翼等の翼パネルや構造部材に大電流が流れると、ファスナ本体および締結金具からなるファスナ部材によって締結された締結部に、大電流の一部、場合によっては全部が流れる。その電流値が各締結部における通過許容電流の限界値を超えると、電気的アーク(あるいはサーマルスパーク)と呼ばれる放電が発生する(以下、本明細書中ではこれをアークと称する)。これは、締結部を通過する電流により締結部を構成する主として導電部材からなる部材の締結界面に急激な温度上昇が生じて部材が局部的に溶融し、近傍の大気中に放電が発生する現象で、多くの場合、溶融部分からホット・パーティクルと言われる高温の溶融物の飛散が発生する。
一般に、翼の内部空間は燃料タンクを兼ねているため、被雷した際の燃料タンクの防爆対策を施す必要がある。前述のアークやホット・パーティクルがある一定エネルギーを超えると、燃料タンク内の燃料蒸気の着火源となる可能性がある。そのため被雷時において、(1)締結部におけるアークの発生を抑えること、および(2)アークを封止すること、の2重の冗長な対策によって、アーク放電の発生を防止あるいは、そこから飛散するホット・パーティクルが可燃性の燃料蒸気に接触しないようにして発火を防止することが求められている。ここで、可燃性の燃料蒸気が存在する可能性のある部位とは、翼内部および胴体部の、燃料タンク内部、一般に燃料タンクの翼端側に設置されるサージタンク(ベントスクープやバーストディスクなどが設置されるタンク)内部、燃料系統装備品内部等である。締結部におけるアークの発生防止のためには、ファスナ部材と構造部材との電気導電性を高めるため、ボンディングを行う。大電流であれば面ボンディング、中領域の電流値であればファスナボンディング(ファスナに導電性ファスナを用いる)、小電流であれば単に金属のファスナを用いればよい。
一方、アークの封止方法としては、ファスナ部材の必要な部位を覆うように、絶縁性材料からなるキャップを取り付け、さらに、キャップの内部にシーラント剤を充填し、ファスナ部材とキャップとの隙間を塞ぐ構成が提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、キャップを装着するには、装着するためのファスナ部分が必要となるため、ファスナ本体の長さを延長する必要がある。しかし、航空機には、極めて多数のファスナ部材が設けられるため、航空機の重量が重くなり、燃費が悪くなってしまう。
また、周囲が狭い狭隘部にファスナ部材が取り付けられている場合、キャップを装着するスペースがないこともある。
特開2010−254287号公報
そこで従来から、キャップを取り付けることなく、ファスナ部材に絶縁性のシーラント層を被せ、耐雷性を保持する方法も適用されている。しかし、作業員は目視によりシーラント層の成形作業をするため、ファスナ部材の周囲に耐雷性を確保するのに必要な厚さのシーラント層を精度よく成形するのは容易ではない。
本発明は、このような課題に基づいてなされたもので、ファスナ部材の周囲に、必要な厚さのシーラント層を迅速かつ精度よく成形することができる耐雷ファスナのシーラント成形用治具を提供することを主目的とする。
かかる目的のもと、本発明の絶縁層成形用治具は、航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するファスナの周囲にシーラント層を成形するのに用いる治具であって、未硬化のシーラント剤が充填されるキャビティを有するカップと、キャビティ内に設けられ、ファスナに係止されることで、キャビティとファスナ部材の中心軸を一致させるガイドと、を備え、カップは、ファスナ部材の軸部又は頭部の全体を覆うように構成されることを特徴とする。
本発明の治具によれば、ガイドによってファスナ部材に対してカップの位置決めができる。そうすると、ファスナの周囲に必要な厚さを有するシーラント層を迅速かつ精度よく成形させることができる。
本発明のシーラント成形用治具のガイドには、棒状のガイドピンを用いることができる。
棒状のガイドピンを設けることによって、シーラント剤が充填されるキャビティとファスナ部材との中心軸を一致させることができる。
本発明のシーラント層成形用治具のガイドには、放射状に配置される複数枚のフィンを用いることもできる。
複数のフィンを設けることによって、シーラント剤が充填されるキャビティとファスナ部材との中心軸を一致させることができる。
本発明のシーラント層成形用治具のガイドは、カップに対して固定にしてもよいし、着脱自在にしてもよい。
本発明のシーラント層成形用治具は、カップまたはガイドに取手が形成されることが好ましい。
取手を形成することによって、シーラント層成形用治具の取り外しの操作性を向上させることができる。
本発明は、以上説明した治具を用いて、航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するファスナの周囲にシーラント層を成形する方法を提供する。この方法は、航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するファスナ部材の周囲に請求項1〜5のいずれか一項に記載のシーラント層成形治具を用いてシーラント層を成形する方法であって、シーラント剤をカップのキャビティに充填する工程と、シーラント剤が充填されたカップを、ガイドがファスナ部材に係止されることで、キャビティとファスナ部材の中心軸が一致するように、ファスナ部材に装着する工程と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の耐雷ファスナのシーラント層の成形方法は、シーラント剤が充填されたカップのガイドをファスナ部材に係止させて装着する工程の後に、シーラント層成形する工程を備え、このシーラント層を成形する工程の後に、カップおよびガイドによって形成された空隙を、未硬化のシーラント剤により埋める工程を備えることが好ましい。
カップにより形成された空隙を未硬化のシーラント剤で埋めることにより、スクィーズアウトが剥がれ落ちることを防止することができる。また、ガイドによって形成された空隙を埋めることにより、アークを完全に封止することができる。
さらに、本発明の耐雷ファスナのシーラント層の形成方法は、シーラント剤が充填されたカップのガイドをファスナ部材に係止させて装着する工程の前に、の必要な部位の周囲を、カップに予め充填されているシーラント剤よりも、粘度の低いシーラント剤で被覆しておくことが好ましい。
予め、粘度の低いシーラント剤で被覆しておくことにより、カップをファスナ部材に装着する際、カップに充填されたシーラント剤にボイドが発生することを抑制できる。
こうしてシーラント層が成形された耐雷ファスナは、典型的には、航空機の翼に用いられる。また、本発明は、例えば、耐雷ファスナの成形方法や航空機の翼の製造方法として表現することもできる。
本発明によれば、シーラント剤を充填したカップを、ガイドを用いて位置決めされたファスナ部材に装着することにより、必要な厚さのシーラント層をファスナ部材の周囲に迅速かつ精度よく成形させることができる。
第1実施形態における第1ステップおよび第2ステップを説明するための図である。 第1実施形態における第3ステップを説明するための図である。 第1実施形態の変形例におけるシーラント層成形の手順を説明するための図である。 第2実施形態における第1ステップおよび第2ステップを説明するための図である。 第2実施形態における第3ステップを説明するための図である 2種類のシーラント剤を用いた効果を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態における耐雷ファスナのシーラント層成形方法を説明するための図である。
第1実施形態では、ガイド治具30を使用して、ファスナ部材24の周囲に必要な厚さのシーラント層29(図2参照)を成形する。なお、本発明は、ピン状のファスナ本体25の替わりにボルトを用い、かつ、カラー26の替わりにボルトに噛合うナットを用いてファスナ部材を構成することを許容する。つまり、本発明のファスナ部材は、具体的な形態にかかわらず、一方の部材が軸部を有し、他方の部材がこの軸部に装着される締結具を含む概念を有している。
第1実施形態に係るファスナ部材24は、図1(a)に示すように、翼パネル21(第1の部材)と、補強構造材22(第2の部材)とを接続する。なお、図1(a)において、翼パネル21の外表面21b側が翼の外部を示し、補強構造材22の内表面22b側が翼の内部を示している。
ファスナ部材24は、ピン状のファスナ本体25と、翼の内側でファスナ本体25の軸部25aに装着されるカラー(締結部材)26と、ワッシャ27と、から構成される。
ファスナ本体25およびカラー26は、強度の面から一般に、チタン合金、インコネルやステンレススチール等の金属材料により形成される。ファスナ本体25は、軸部25aと、軸部25aの一端部に軸部25aより外径が大きい頭部25bと、からなる。また、軸部25aの先端面には、リセス25dが形成されている。リセス25dとは、後述するガイドロッド37の先端と係止するように設けられた窪みのことであり、例えば、六角穴付きボルトの頭部として形成し、締め付け工具を刺す穴を兼ねることができる。なお、以下の実施形態において、ファスナはボルトも含めると、呼び径が例えば5/32インチ〜9/16インチ程度の範囲を対象とし、記載する。
ワッシャ27は、所定の厚さを有した環状で、通常は金属材料を用いる。ワッシャ27に金属材料を用いる場合は、ステンレススチールやアルミニウム等が用いられる。
ファスナ本体25、カラー26、ワッシャ27などの金属部材の表面には通常、被膜を施す。例えば、アノダイズ被膜を施すと、防食性の維持と締め付け時の潤滑性が向上する。また、導電性の化成被膜を施すと、防食性が維持されるとともに、アーク発生防止や静電気除去性能向上のための導電性を向上させることができる。
ワッシャ27を絶縁材料で形成した場合、補強構造材22とワッシャ27との界面においてアーク放電が生じるのを防止する能力を高めることができる。ただし、強度は低下するため、構造設計上の配慮が必要である。ワッシャ27に絶縁材料を用いる場合は、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、ナイロン樹脂等の絶縁性を有した樹脂により形成するのが好ましい。
このファスナ本体25は、翼パネル21及び補強構造材22をそれぞれ貫通して形成された孔21a、22aに翼パネル21の外表面21b側から挿入され、後端部の頭部25bを孔21aの周囲面に突き当てた状態で、先端部を補強構造材22の内表面22bから翼の内部に向けて突出させる。
この状態で、ファスナ本体25の先端部は、カラー26よりも翼の内側に突出している。内側に突出したファスナ部材24の全周面には、アーク発生を防止するために絶縁性材料からなるシーラント層29を成形する必要がある。このシーラント層29が耐雷性を確保することができる所定厚さを有さない場合、すなわち、アーク発生防止手段の性能が不十分で、雷電流によりファスナ部材24と他の周囲の部材との接触面でアークが発生した場合、アークを封止しきれず、アーク自体あるいはアークから発生するホット・パーティクルがシーラント層29を破壊して噴き出し、可燃性の燃料蒸気と接触して着火を引き起こすおそれがある。このシーラント層29の破壊には、シーラントのバルク部分が破れたり溶融したりして破壊する場合と、シーラント層29と補強構造材22の内表面22bの密着面でシーラント層29が剥がれて、ホット・パーティクルが噴き出す場合がある。必要なシーラント層29の厚さとしては、それぞれの締結部に流れる雷電流の大きさに充分耐えるようにそれぞれ設定する必要があり、例えば0.8mm〜3.0mm程度である。また、必要な厚さは、同じファスナ部材24の周囲であっても、部位によって異なる。例えば、ファスナ部材24の外周は2.5mm必要である一方、ファスナ部材24のカラー26側のリセス25d周辺は0.8mm、あるいはそれ以下でも問題ない場合がある。
また、シーラント層29の成形の際、シーラント層29内に極力ボイドが発生しないようにしなければいけない。シーラント層29に多数ボイドが存在すると、アークの封止能力が低下し、耐雷性が損なわれるためである。また、航空機の翼には、極めて多数のファスナ部材24が設けられるため、一つ一つのファスナ部材24にかけられるシーラント層29の成形時間を短くする必要がある。
そこで、第1実施形態では、ガイド治具30を使用して、必要な所定厚さのシーラント層29を迅速かつ正確に成形する手法を提案する。この方法は、シーラント層29を除いて既に組み付けられているファスナ部材24に対して施される。
ガイド治具30は、図1(b),(c)に示すように、未硬化状態のシーラント剤28が充填されるキャビティ33を有するカップ31と、カップ31をファスナ部材24に対して位置決めするガイドピン35と、から構成される。
必要な厚さのシーラント層を成形するためには、まず、キャビティ33の外径及び深さがファスナ部材24の外径および突出した長さに対し必要な厚さを確保できる大きさでなければならない。これについての検討の詳細は後述する。また、被覆するシーラント剤28が不足しないことが前提となる。そのために、カップ31のキャビティ33を満たすようにシーラント剤28を充填することを原則とするが、後述するように、キャビティ33内のシーラント剤28を少なく調整する場合もある。
しかし、キャビティ33の外径,深さ、およびキャビティ33内に充填するシーラント剤28の量が特定されただけでは必要な厚さを得ることはできない場合がある。すなわち、キャビティ33の中心軸とファスナ部材24の中心軸が一致しない場合である。キャビティ33の中心軸が横方向にずれたり、斜めになる状態である。
そこで、キャビティ33とファスナ部材24の中心軸同士を一致させるために、ガイド治具30はガイドピン35を備えている。
カップ31は、円筒状の形態をなしている。カップ31のキャビティ33は、ファスナ部材24の中心軸に対して、線対称な回転体をなす。したがって、キャビティ33とファスナ部材24の中心軸同士を合わせると、軸方向の何れの位置においても、中心軸からキャビティ33を区画するカップ31の内壁面までの距離を周方向にわたって均等にできる。カップ31は、軸方向の一端側はキャビティ33が開口し、他端側は天井部32により閉じられている。
キャビティ33の外径及び深さは、前述のようにファスナ部材24の耐雷性確保のために必要な厚さのシーラント層29を成形することを前提に定められている。成形するシーラント層29の厚さは、シーラント層は硬化する際に厚さがその厚さの10%〜20%の分だけ収縮することと、各種の製造公差が発生することを考慮して十分な厚みとする必要がある。しかし、必要以上の厚みとすると航空機の総重量の増加につながり、燃費に影響する。そのため、カップ31のキャビティ33の外径は、以下の手順で決定する大きさとすることが好ましい。先ず、必要なシーラント層の厚さに、その厚さの10%〜20%の値を加えた厚さを求める。次に、その厚さの2倍の厚さを求める。最後に、その求めた厚さに、ファスナ部材24の外径と各種の製造公差を加えた大きさを求め、その大きさをキャビティ33の外径とする。
具体的には、必要なシーラント厚さが2.5mmとすると、その厚さの20%を加えた値の2倍の厚さ6.0mmに、製造公差1.0mmとワッシャ位置のファスナ本体位置からの最大公差とを加えた値を、キャビティ33の外径とする。また、キャビティ33の深さは、ファスナ本体25の突出した長さに、必要なシーラント層の厚さの10%〜20%の値を加えた厚さと、ファスナ本体25の突出した長さとキャビティ33の深さの公差を、加えた大きさとするのが好ましい。また、ファスナ部材24の外形に倣い、キャビティ33は、開口部分に向かうに従い拡径されている。したがって、カップ31はボトム部31aの肉厚が薄くなる。もし、ボトム部31aが厚いと、カップ31のフットプリントが大きくなるため、その分補強構造材22の内表面22bに平らな部分を広く必要としてしまう。そうすると、補強構造材22を構造設計上必要なサイズより大きくすることが必要になり、航空機の重量増につながるので、ボトム部31aの厚さはできるだけ薄い方がよい。しかし、薄すぎるとカップ31が変形しやすくなり、所望のシーラント層29の厚さを成形できない場合が発生するのに加え、後述のシーラントを充填する作業が困難になってしまう。そのため、ボトム部31aの厚さは0.5mm〜2.0mmとするのが好ましい。
カップ31はフッ素樹脂で作られている。これは後述するシーラント層29からの取り外しの際に離形性を良くするためである。
カップ31は、その天井部32に、表裏を貫通するガイド孔32aが形成されている。このガイド孔32aにガイドピン35が挿入される。ガイド孔32aは、キャビティ33の中心軸と同軸に形成されている。天井部32の厚さ、およびガイド孔32aの径の公差は、挿入されるガイドピン35が当該軸に対して傾かないことを考慮した厚さ、および、大きさとされる。具体的には、天井部32の厚さは、2.0mm〜4.0mmが好ましく、3.5mm〜4.0mmがさらに好ましい。ガイド孔32aの径は、挿入されるガイドピン35の後述するガイドロッド37の外径に対して、+0.05mm〜+0.20mmの範囲の公差とするのが好ましく、+0.10mm〜+0.15mmの範囲の公差とするのがさらに好ましい。
ガイドピン35は、カップ31に対し、取り付け、及び、取り外しを自在に行なうことができる。ガイドピン35の材質としてはPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)やフッ素樹脂がシーラント剤28の離形上好ましいが、真鍮やアルミなどの金属を用いて耐久性を向上させることもできる。
ガイドピン35は、詳しくは後述するが、カップ31の天井部32を貫通させた状態で、ファスナ部材24と同軸に配置させることで、キャビティ33とファスナ部材24の中心軸を一致させる。
ガイドピン35は、ガイドロッド37と、ガイドロッド37の後端に設けられる取手39と、を備えている。
ガイドロッド37は、ガイド孔32aに隙間なく挿入されるように外径が設定された円柱状の部材である。ガイドロッド37は、先端がファスナ部材24のリセス25dに挿入される。そうすることで、ガイドピン35はファスナ部材24と同軸に配置される。なお、挿入されるガイドロッド37の外径の最大径は、ファスナ部材24のリセス25dの内径の最小径に対し、0.05mm小さくなるように設定した。
取手39は、ガイドピン35を操作しやすいように、ガイドロッド37よりも径が大きくされている。
以上説明したガイド治具30を用いて、ファスナ部材24の周囲に必要な所定厚さのシーラント層29を成形させる手順について説明する。この手順は、第1ステップ〜第3ステップからなる。
[第1ステップ:図1(b)〜(c)]
第1ステップは、シーラント剤28をガイド治具30のキャビティ33に充填する工程である。
まず行程に先立って、シーラント剤28を充填・成形施工する部位の周辺および各種治具の清浄を行う。
シーラント剤28は、シーリングガン34から供給される。シーラント剤28は、一般に厚手のタンク内のフィレットシールやファスナシールに用いられている高粘度のポリスルフィドポリマー材料、例えば、PRC−Desoto社製 PR−1776M B−2 Class B Low Weight Fuel Tank Sealantを用いる。シーリングガン34に予め充填されているシーラント剤28は、ボイドの混入が極めて少ないものを用いることが好ましい。
図1(b)に示すように、シーラント剤28を充填するのに先立って、ガイドロッド37の先端をガイド孔32aに挿入して塞いでおく。シーラント剤28はキャビティ33の天井部32の側から順次供給し、キャビティ33を満たすまで充填する。その際、空気を巻き込むとボイドが発生するので、空気を巻き込まないように注意しながら充填する。キャビティ33を満たすまで充填することを基本とする。しかし、シーラント層29を成形するファスナ部材24の形状によってはスクィーズアウトが多量となるので、適度に減量することがある。ただし、減量しすぎるとシーラント層29の成形に必要な量に足りなくなり、ボイド発生の原因となる。そこで、適量の充填の目安とするために、予めキャビティ33の内側に目安線を付けてもよい。
シーラント剤28の充填後、ガイドピン35は先端がシーラント剤28から突出するまで押込まれる(図1(c))。
[第2ステップ:図1(d)〜(f),図2(a)]
第2ステップは、シーラント剤28が充填されたガイド治具30をファスナ部材24に中心軸を一致させて装着する工程である。
はじめに、ガイド治具30をファスナ部材24に対して概ね位置決めしたのちに、シーラント剤28から突出しているガイドロッド37の先端をファスナ部材24のリセス25dに挿入する(図1(d))。これで、キャビティ33はファスナ部材24と中心軸が一致することになる。
次いで、カップ31をファスナ部材24に向けて押し込む(図1(e))。カップ31はガイドロッド37に案内されるので、キャビティ33はファスナ部材24と中心軸が公差の範囲で一致する状態が維持される。カップ31のボトム部31aが補強構造材22に接する終端まで押し込む(図1(f))。そうすると、シーラント剤28はファスナ部材24の全周を覆う。また、このときカップ31のボトム部31aの面と補強構造材22の内表面22bが密着しているため、キャビティ33はファスナ部材24と中心軸が公差の範囲でずれていても、矯正されてずれがさらに小さくなる状態になる。そのままガイド治具30が位置ずれを起さないようにして、シーラント剤28の表面に触れても変形しない(タックフリー)状態になるまで放置する。
なお、これまでの過程で、ファスナ部材24の体積の分だけ、シーラント剤28がカップ31のボトム部31aから周囲に溢れ出し、スクィーズアウト41が形成される(図1(f))。仮にスクィーズアウト41が大きすぎる場合や、形状がいびつな場合には、形状の矯正や一部除去を行う。
図2(a)に示すように、シーラント剤28の表面に触れても変形しない状態まで硬化する時間(タックフリータイム)以上の時間が経過したら、ガイド治具30を取り外す。さらに十分に硬化するまで放置すると、ファスナ部材24の周囲には、必要な厚さを有するシーラント層29が成形されている。
ただし、ガイドロッド37に対応する領域には空隙部29aが残り、また、カップ31のボトム部31aに対応する領域には空隙部29bが残る。空隙部29aをそのまま残しておくと、アークを完全に封止できないおそれがあり、また、空隙部29bをそのまま残しておくと、スクィーズアウト41が補強構造材22から剥がれ落ちるおそれが完全に否定できない。
[第3ステップ:図2(b)〜(d)]
第3ステップは、第2ステップで形成された空隙部29a、29bを埋める処理を行う工程である。
図2(b)に示すように、空隙部29aにシーリングガン34からシーラント剤28を供給して完全に埋める。また、同様に、空隙部29bにシーラント剤28を供給することで、シーラント剤28を介してスクィーズアウト41とシーラント層29を接着する。
なお、空隙部29bについては、スクィーズアウト41を除去することとしてもよい(図2(d))。
ガイド治具30を用いる第1実施形態のシーラント層の成形方法によって得られる効果を説明する。
第1実施形態では、シーラント剤28が充填されているキャビティ33の中心軸とファスナ部材24の中心軸とを一致させる。その結果、ファスナ部材24の周囲に、耐雷性確保のために必要な厚さのシーラント層29を精度よく成形することができる。
キャビティ33とファスナ部材24の中心軸を一致させる作業は、ガイドピン35の先端をリセス25dに挿し込むという簡易なものであるから、シーラント層29の成形を迅速に行なうことができる。
また、カップ31は、キャビティ33とファスナ部材24との間隔を均等に保って押し込まれるため、カップ31に充填されたシーラント剤28はファスナ部材24の周囲に均等に、かつ、ファスナ24の軸方向と平行に押し出されながら供給される。そのため、シーラント剤28の周囲からこの中に空気を巻き込むおそれは極めて低い。したがって、最終的に得られるシーラント層29は、空気の混入が原因で形成されるボイドが抑制される。
また、カップ31の円縁部の全周面にスクィーズアウト41が形成されていれば、これは、ファスナ部材24の全周にシーラント剤28が行き渡っていることを示している。したがって、スクィーズアウト41の形成を確認することによって、ファスナ部材24の全周面にシーラント剤28が行き渡り、ボイドが形成されないことを視覚的に判断することができる。
さらに、ガイド治具30は、シーラント剤28がタックフリーになった後に取り外すため、硬化の途中でシーラント層29の形状が崩れることがなく、シーラント層29の表面に傷や異物が付きづらい。
[第1実施形態の変形例]
本変形例では、2種類のシーラント剤を使用して、ボイドの発生をさらに抑制する手段を説明する。なお、上述した第1実施形態に対する相違点を中心にして説明する。
本変形例では、シーラント剤28として、粘度の低いシーラント剤28Aと、シーラント剤28Aよりも粘度が高いシーラント剤28Bを用いる。なお、第1実施形態のシーラント剤28は、粘度の高いシーラント剤28Bに相当する。シーラント剤28Aは、一般にタンク内ブラシシールに用いられている低粘度のポリスルフィドポリマー材料、例えば、PRC−Desoto社製 PS−890A−2 Class A Fuel Tank Sealantを用いる。
[第0ステップ:図3(a)]
第0ステップは、シーラント剤を充填・成形施工する部位の周辺や各種治具の清浄を行った後、図3(a)に示すように、シーラント剤28Bを充填したガイド治具30を装着(=第1ステップ)させる前に、シーラント剤28Aをファスナ部材24の周囲に塗布する。シーラント剤28Aの塗布は、例えば、刷毛によって行なうことができる。この際、シーラント剤28Aは、ガイド治具50の外径程度の範囲に塗布する。
[第1ステップ]
本変形例の第1ステップは、第1実施形態で説明した第1ステップと同様であり、ガイド治具30をファスナ部材24に装着させる前に、ガイド治具30の内部にシーラント剤28Bを充填する。
[第2ステップ:図3(b)〜(f)]
次に、図3(b)〜(e)に示すように、ガイド治具30によって、ファスナ部材24の全周面にシーラント剤28Bを供給する。第1実施形態と同様、ガイドロッド37の先端をリセス25dに嵌合させることによって、中心軸を一致させた後、カップ31をガイドピン35に沿って、シーラント剤28Bをカップ31の円縁部から全周に溢れ出させ、スクィーズアウト41が形成されるように、補強構造材22に向かって押し込む。このようにして、シーラント剤28Bを、シーラント剤28Aが塗布されているファスナ部材24の全周面に供給する。
この際、シーラント剤28Bは、シーラント剤28Aより粘度が高いため、シーラント剤A表面をある速度を持って流動する。また、シーラント剤28Aはシーラント剤28Bより粘度が低いため、シーラント剤28Bに押し出されるようにファスナ部材24表面を流動する。
そして、カップ31のボトム部31aを補強構造材22に接触させ、シーラント剤28Aおよびシーラント剤28Bがタックフリーになるまで硬化したら、ガイド治具30を取り外す(図3(f))。取り外しの際、ガイド治具30の上端に取り外しを容易にするために施された取手40持ってゆっくりと取り外す。ガイド治具30はテフロン(登録商標)樹脂で作られているため、シーラント層29はガイド治具30からの離形性がよい。これに加え、取手40の効果により、シーラント層29を傷つけることなく、かつ、シーラント層29と補強構造材22との密着性を阻害することなく、容易に取り外すことができる。取手40の厚さは、例えば、2mm〜4mm、好ましくは3mm程度とすることで、変形したり破損したりすることなく、かつ、ガイド治具30が大きくなりすぎて作業スペースに収まらなくなることもない。
[第3ステップ:図3(g)]
第3ステップは、第1実施形態で説明した第3ステップと同様であり、シーラント剤28Bを用いて、空隙部29aおよび29bを処理する。
変形例によるボイド抑制の作用、効果を、図6を参照して説明する。
第1実施形態のようにシーラント剤28(シーラント剤28B)のみを用いた場合、ファスナ部材24(カラー26)の近傍のシーラント剤28は、ファスナ部材24(カラー26)との摩擦もあるため、流動しにくい。その結果、図6(a)に示すように、ファスナ部材24(カラー26)に対するシーラント剤28の下端部の接触角が鋭角になり、隙間Gが形成される。ガイド治具30の押込みをそのまま進めると、隙間Gが残ったままシーラント剤28がスクィーズアウトする。そうすると、隙間Gには空気が取り込まれ、ボイドを形成してしまう(図6(b))。なお、隙間Gは、シーラント剤28の粘度やシーラント層29の必要な厚さ、カップ31のキャビティ33とファスナ部材24の隙間の大きさ、さらにはファスナ24の形状により、発生しやすい場合と発生しにくい場合がある。すなわち、これらの状況により本変形例の適用が必要な場合と、必要がない場合がある。
一方、粘度の低いシーラント剤28Aを予め塗布していれば、シーラント剤28Aはファスナ部材24の近傍においても容易に流動しやすいのに加えて、シーラント剤28Bに押し出されるのでファスナ部材24(カラー26)の表面の窪みを埋める。しかも、シーラント剤28Bは、シーラント剤28Aがあたかも潤滑剤として機能することで、シーラント剤28Aの表面を滑るようにして流動することができる。そうすると、ファスナ部材24(カラー26)に対するシーラント剤28Bの下端部の接触角は鈍角に維持される(図6(c))。ガイド治具30の押込みをそのまま進めると、シーラント剤28Bはシーラント剤28Aの表面を流動し、隙間を形成しないようにスクィーズアウトする(図6(d))。したがって、シーラント剤28Aを予めファスナ部材24に塗布しておくことで、ボイドの発生を抑制することができる。
なお、シーラント剤28Aの粘度は、以上の作用、効果が得られるように適宜選択される。
[第2実施形態]
第1実施形態では、カラー26を装着させている側のファスナ部材24にシーラント層29を成形させる方法を述べた。
一方、ファスナ部材24の頭部25bが燃料と触れる部位にあり、かつ、その部位でアークが発生する恐れがある場合には、頭部25bも絶縁層(シーラント層)で覆う必要がある。
そこで、第2実施形態では、ガイド治具50を用いて、ファスナ部材24の頭部25bにシーラント層29を成形させる方法を図4、図5を参照して説明する。
第2実施形態で使用するガイド治具50は、頭部25bの周囲にシーラント層29を成形させるためのものである。
ガイド治具50は、図4(e)に示すように、一端が閉じられた円筒状のカップ51と、シーラント剤28が充填されるキャビティ52と、キャビティ52の内部に放射状に配置される複数のガイドフィン53、とから構成される。
カップ51は、フッ素樹脂からなり、上端の外周にはフランジ55が設けられている。
ガイドフィン53は、カップ51の内周から中心軸に向けて延びている。この例では、周方向に等間隔で3枚のガイドフィン53が設けられている。3枚のガイドフィン53の中心軸側の先端は、頭部25bの外径と等しい径の円周上に配置される。つまり、3枚のガイドフィン53で形成される仮想円に頭部25bを当てはめると、頭部25bは3枚のガイドフィン53により把持される。このとき、頭部25b(ファスナ部材24)と、カップ51とは、中心軸が一致する。
ガイドフィン53は、キャビティ52に対し、取り付け、及び、取り外しを自在に行うことができるようにしてもよい。なお、ガイドフィン53の枚数は、3枚以上の任意であり、4枚以上設けることもできる。ガイドフィン53の中心軸側の先端は、後述するシーラント充填作業で頭部25bとの接点にボイドを発生させないよう迅速かつ容易に作業できるようにするため、ガイドフィン53をテーパー状とし、先端の厚さを0.5mm〜2.0mm程度とし、深さ方向に徐々に厚くするのが好ましい。
次に、上記ガイド治具50を用いて、頭部25bにシーラント層29を成形する手順を説明する。
[第0ステップ]
第1実施形態の変形例(図3(a))と同様に、ガイド治具50に充填するシーラント剤28Bよりも粘度の低いシーラント剤28Aを、刷毛等により頭部25bの全周面に塗布する(図4(a)参照)。
[第1ステップ]
ガイド治具50をファスナ部材24に装着する前に、シーラント剤28Bをキャビティ52に充填する。
[第2ステップ:図4(a)〜(d)]
次に、シーラント剤28Bが充填されたガイド治具50の中心軸と、ファスナ本体25の頭部25bの中心軸が概ね一致するように位置決めをする(図4(a))。続いて、翼パネル21の外表面21bと平行に保ちながら、ガイド治具50を頭部25bに向けて押し込む(図4(b))。そうすると、ガイド治具50に設けられた3枚のガイドフィン53が、頭部25bを把持し、頭部25bの中心軸とガイド治具50の中心軸が一致する(図4(c))。
ガイド治具50を翼パネル21に突き当たるまで押込んだ後、そのままガイド治具50が位置ずれを起さないようにして、シーラント剤28A及び28Bがタックフリーになるまで放置する。
シーラント剤28がタックフリーに硬化する時間が経過した後、ガイド治具50を取り外す。そうすると、頭部25bの周囲には、必要な厚さを有するシーラント層29が成形されている。
取り外しの際は、ガイド治具50の上端に取り外しを容易にするために施されたフランジ55を持ってゆっくりと取り外す。ただし、ガイドフィン53に対応する領域には空隙部29cが残り、また、カップ51のボトム部51aに対応する領域には空隙部29bが残る(図4(d))。
[第3ステップ:図5(a)〜(d)]
そこで、第3ステップでは、以下のように空隙部29b,29cの充填処理を行う。
はじめに、ガイドフィン53に対応する領域に形成された空隙部29cにシーリングガン34からシーラント剤28Bを供給し、空隙部29cを埋める(図5(a),(c))。シーリングガン34をファスナ24の頭部25bの外周に押し当てた状態でシーラント剤28Bを供給し始め、シーラント剤28Bが出始めたら、ゆっくりとシーリングガン34を後退させることで、この空隙部29cのシーラント剤28Bにボイドが入るのを防ぐことができる。ボトム部51aに対応する領域に形成された空隙部29bにもシーラント剤28Bを供給し、空隙部29bを埋める(図5(b),(c))。供給後、シーラント剤28Bをならすことで、スクィーズアウト41とシーラント層29を接着させる(図5(d))。
第2実施形態によると、カップ51の内部に形成されたガイドフィン53が頭部25bを把持することで、シーラント剤28Bが充填されているキャビティ52の中心軸と頭部25bの中心軸とを正確に一致させることができる。その結果、頭部25bの周囲には、耐雷性確保のために必要な厚さのシーラント層が精度よく得られる。
また、キャビティ52と頭部25bの中心軸を一致させる作業は、ガイドフィン53で軸部25aを把持するという簡易なものであるから、シーラント層29の成形を迅速に行なうことができる。
また、粘度の異なるシーラント剤28A,28Bを用いることにより、第1実施形態と同様に、ボイドの発生を抑制できる。空隙部29cの部分についてはガイドフィン53の先端が頭部25bと接触するためシーラント剤28Aはガイドフィン53で他の部分より薄くなっているが、それでもシーラント剤28Aが存在することにより頭部25bの外周が滑らかになっているため、ボイドが発生を抑制できる。ただし、ガイド治具50は、シーラント剤28Aを用いない場合にも適用できることはいうまでもない。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
例えば、第1実施形態において、ガイドロッド37の先端をファスナ部材24のリセス25dに挿入しているが、ガイドロッド37の先端がファスナ本体25の先端の周囲を取り囲むようにして位置決めを行うこともできる。
また、第2実施形態は、頭部25b側にシーラント層29を成形する例を示したが、ガイドフィン53を有するガイド治具50を用いて、ファスナ本体25の側にシーラント層29を成形するのに用いることができる。
21 翼パネル(第1の部材)
22 補強構造材(第2の部材)
24 ファスナ部材
25a 軸部
25b 頭部
25d リセス
26 カラー(締結部)
28,28A,28B シーラント剤
29 シーラント層
29a,29b,29c 空隙部
30 ガイド治具
31 カップ
31a ボトム部
32a ガイド孔
33 キャビティ
39,40 取手
41 スクィーズアウト
50 ガイド治具
51a ボトム部
52 キャビティ
53 フィン
55 フランジ
G 隙間

Claims (13)

  1. 航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するとともに、ファスナ部材の周囲に絶縁性のシーラント層が成形された耐雷ファスナのシーラント層成形用治具であって、
    未硬化のシーラント剤が充填されるキャビティを有するカップと、
    前記キャビティ内に設けられ、前記耐雷ファスナの前記ファスナ部材に係止されることで、前記キャビティと前記ファスナ部材の中心軸を一致させるガイドと、
    を備え、
    前記カップは、前記ファスナ部材の軸部又は頭部の全体を覆うように構成されることを特徴とする耐雷ファスナのシーラント層成形用治具。
  2. 前記ガイドは、前記キャビティの中心軸に配置された棒状のガイドピンからなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の耐雷ファスナのシーラント層成形用治具。
  3. 前記ガイドは、前記キャビティの内部に放射状に配置される複数枚のガイドフィンからなる、
    ことを特徴とする請求項1に記載の耐雷ファスナのシーラント層成形用治具。
  4. 航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するとともに、ファスナ部材の周囲に絶縁性のシーラント層が成形された耐雷ファスナのシーラント層成形用治具であって、
    未硬化のシーラント剤が充填されるキャビティを有するカップと、
    前記キャビティ内に設けられ、前記耐雷ファスナの前記ファスナ部材に係止されることで、前記キャビティと前記ファスナ部材の中心軸を一致させるガイドと、
    を備え、
    前記ガイドは、
    前記キャビティの中心軸に配置された棒状のガイドピン、又は、前記キャビティの内部に放射状に配置される複数枚のガイドフィンからなることを特徴とする耐雷ファスナのシーラント層成形用治具。
  5. 前記ガイドは、前記カップに対して着脱自在である、
    ことを特徴とする請求項1又は請求項4に記載の耐雷ファスナのシーラント層成形用治具。
  6. 前記カップまたは前記ガイドに取手が形成されている、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐雷ファスナのシーラント層成形用治具。
  7. 航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するファスナ部材の周囲に請求項1〜6のいずれか一項に記載のシーラント層成形治具を用いてシーラント層を成形する方法であって、
    前記シーラント剤を前記カップの前記キャビティに充填する工程と、
    前記キャビティの中心軸と前記ファスナ部材の中心軸が一致するように、前記シーラント剤が充填されたカップの前記ガイドを前記ファスナ部材に係止させて装着する工程と、を備えることを特徴とする耐雷ファスナのシーラント層成形方法。
  8. 前記シーラント剤が充填されたカップの前記ガイドを前記ファスナ部材に係止させて装着する工程の後に、前記シーラント層を成形する工程を備え、
    前記シーラント層を成形する工程の後に、
    前記カップおよび前記ガイドによって形成された空隙を、
    未硬化のシーラント剤により埋める工程を備える、
    ことを特徴とする請求項7に記載の耐雷ファスナのシーラント層成形方法。
  9. 前記シーラント剤が充填されたカップの前記ガイドを前記ファスナ部材に係止させて装着する工程の前に、
    絶縁の必要な部位の周囲を、前記カップに予め充填されているシーラント剤よりも、粘度の低いシーラント剤で被覆しておく、
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の耐雷ファスナのシーラント層成形方法。
  10. 航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するとともに、ファスナ部材の周囲に絶縁性のシーラント層が形成された耐雷ファスナであって、
    前記シーラント層が請求項9に記載の方法により成形され
    前記シーラント層は、
    前記ファスナ部材の周囲に形成される第1のシーラント層と、
    前記第1のシーラント層とは異なるシーラント剤で形成され、前記第1のシーラント層を外側から覆う第2のシーラント層と、を有し、
    前記第1のシーラント層を形成するシーラント剤が、前記第2のシーラント層を形成するシーラント剤よりも未硬化時の粘度が低いことを特徴とする耐雷ファスナ。
  11. 複数の部材を貫通して締結するとともに、ファスナ部材の周囲に絶縁性のシーラント層が形成された耐雷ファスナを備える航空機の翼であって、
    前記シーラント層が請求項9に記載の方法により成形され
    前記シーラント層は、
    前記ファスナ部材の周囲に形成される第1のシーラント層と、
    前記第1のシーラント層とは異なるシーラント剤で形成され、前記第1のシーラント層を外側から覆う第2のシーラント層と、を有し、
    前記第1のシーラント層を形成するシーラント剤が、前記第2のシーラント層を形成するシーラント剤よりも未硬化時の粘度が低いことを特徴とする航空機の翼。
  12. 航空機の機体を構成する複数の部材を貫通して締結するとともに、ファスナ部材の周囲に絶縁性のシーラント層が形成された耐雷ファスナの成形方法であって、
    前記シーラント層が請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法により成形されていることを特徴とする耐雷ファスナの成形方法
  13. 複数の部材を貫通して締結するとともに、ファスナ部材の周囲に絶縁性のシーラント層が形成された耐雷ファスナを備える航空機の翼の製造方法であって、
    前記シーラント層が請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法により成形されていることを特徴とする航空機の翼の製造方法
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