JP5896771B2 - 耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法 - Google Patents

耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5896771B2
JP5896771B2 JP2012028174A JP2012028174A JP5896771B2 JP 5896771 B2 JP5896771 B2 JP 5896771B2 JP 2012028174 A JP2012028174 A JP 2012028174A JP 2012028174 A JP2012028174 A JP 2012028174A JP 5896771 B2 JP5896771 B2 JP 5896771B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cap
fastener
jig
outer peripheral
sealant material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012028174A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013163473A (ja
Inventor
渉 西村
西村  渉
保徳 渡邊
保徳 渡邊
浅原 裕司
裕司 浅原
良次 岡部
良次 岡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Aircraft Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aircraft Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Aircraft Corp filed Critical Mitsubishi Aircraft Corp
Priority to JP2012028174A priority Critical patent/JP5896771B2/ja
Publication of JP2013163473A publication Critical patent/JP2013163473A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5896771B2 publication Critical patent/JP5896771B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Connection Of Plates (AREA)
  • Gasket Seals (AREA)

Description

本発明は、航空機の機体、特に翼に用いられる耐雷ファスナ、航空機、治具、航空機の組立方法に関する。
航空機の機体を構成する翼は一般に中空構造となっており、翼表面を形成する翼パネルは、翼内部にある構造部材にファスナ部材(留め具)によって固定されている。
このとき、ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、翼パネルおよび翼内部の構造部材の双方に形成された貫通孔に翼の外部側から挿入し、その先端部を翼の内部側から締結金具で固定することで、翼パネルと構造部材とを締結する。
また、この他にも翼内部や胴体部で、翼パネル以外の構造部材や装備品の固定用の部材もファスナ部材によって締結・固定されている。
このとき、ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、互いに固定される部材の双方に形成された貫通孔の双方を通過するように挿入し、その先端部を締結部材(カラー)で固定することで双方の部材を締結する。
なお、固定される翼パネルまたは部材は2つに限らない。
ところで、航空機においては、防爆のための被雷対策を万全に期す必要がある。航空機に被雷が発生して主翼等の翼パネルや構造部材に大電流が流れると、上記のファスナ本体および締結部材による締結部にその一部、場合によっては全部が流れる。その電流値が各締結部における通過許容電流の限界値を超えると、電気的アーク(あるいはサーマルスパーク)と呼ばれる放電が発生する(以下、本明細書中ではこれをアークと称する。)。これは、締結部を通過する電流により締結部を構成する主として導電部材からなる部材の締結界面に急激な温度上昇が生じて部材が局部的に溶融し、近傍の大気中に放電が発生する現象で、多くの場合、溶融部分からホット・パーティクルと言われる溶融物の飛散が発生する。一般に翼の内部空間は燃料タンクを兼ねているため、防爆対策を施す必要がある。したがって、被雷時において、アークの発生を抑えるかアークを封止することによって、発生したアークの放電を防止するとともに、そこから飛散するホット・パーティクルが可燃性の燃料蒸気に接触しないようにして発火を防止する必要がある。ここで、可燃性の燃料蒸気が存在する可能性のある部位とは、翼内部および胴体部の、燃料タンク内部、一般に燃料タンクの翼端側に設置されるサージタンク(ベントスクープやバーストディスクなどが設置されるタンク)内部、燃料系統装備品内部等である。
そこで、ファスナ部材の先端部およびファスナ部材に締結されたナットやカラー等の締結金具とを覆うように、絶縁性材料からなるキャップを取り付け、さらに、キャップの内部にシーラント材を充填し、ファスナ部材および締結金具とキャップとの隙間を塞ぐ構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
図6に示すように、ファスナ部材1を用いた締結作業現場においては、ファスナ部材1の先端部1aおよび締結金具2にキャップ3を装着するに際し、キャップ3の内部空間にシーラント材4を予め充填しておく。そして、シーラント材4を充填したキャップ3をファスナ部材1の先端部1aおよび締結金具2に被せる。すると、キャップ3内の余分なシーラント材4がキャップ3の開口部からあふれ出す。キャップ3の開口側の端面3aを翼パネル等の部材5の表面に押し付けた状態では、あふれ出たシーラント材4がキャップ3と翼パネル等の部材5との間に介在するとともに、キャップ3の外周側に環状に盛り上がった状態で存在し、キャップ3と翼パネル等の部材5との界面において、アークを確実に封じ込めるようになっている。
特開2010−254287号公報
キャップ3の外周側において、翼パネル等の部材5上に環状に盛り上がった状態で存在するシーラント材4は、キャップ3やキャップ3内のシーラント材4とのつながりが細いため、硬化後、ここから剥がれて脱落する可能性がある。特に、キャップ3が燃料タンク内にある場合、燃料油が当たってシーラント材4が剥がれてしまうこともある。そこで、キャップ3の装着後、その外周側のシーラント材4を、作業者が指やへら等でキャップ3側に寄せて均す(形を整える)ことも考えられるが、それでは、手間がかかるとともに、作業者の熟練度等に品質を依存することになる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、シーラント材が剥がれるのを確実に防ぐことのできる耐雷ファスナ、航空機、治具、航空機の組立方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもとになされた本発明の耐雷ファスナは、航空機の機体を構成する第一の部材に第二の部材を締結するため、第一の部材および第二の部材を貫通するとともに、第一の部材および第二の部材の少なくとも一方の側に突出する軸部を有するファスナ部材と、第一の部材に第二の部材を締結するためにファスナ部材の軸部に装着される締結部材と、第一の部材および第二の部材の少なくとも一方の側に突出したファスナ部材の軸部を覆うように取り付けられる絶縁性材料からなるキャップと、キャップの内部に充填されて、キャップとファスナ部材との間の空間を塞ぐ絶縁性材料からなるシーラント材と、キャップの先端部の外周面と当該先端部が突き当たる第一の部材または第二の部材の表面との境界部に、第一の部材または第二の部材の表面に接近するにつれてその外径が漸次大きくなる外周シーラント材と、を備える耐雷ファスナのキャップをファスナ部材の軸部を覆うように取り付けるための治具であって、キャップを収容する凹部を備え、凹部は、キャップの先端部とは反対側の頭部の外周面に沿うキャップ保持面と、キャップの先端部側で、キャップの外周面に対して外周側に拡径し、キャップの先端部の外周面との間にクリアランスを形成する拡径面と、を有することを特徴とする。
また、本発明は、このような耐雷ファスナにより第一の部材と第二の部材とが締結された部位を有することを特徴とする航空機とすることもできる。
発明の治具を用いれば、内部にシーラント材を充填しておいたキャップをファスナ部材の軸部に装着すると、キャップの内部からあふれ出てきたシーラント材を拡径面により成形することができ、これによって、拡径面とキャップの先端部の外周面との間に、前記の外周シーラント材を形成することができる。
また、治具を用いることで、キャップを作業者が指で押しつぶしてしまったりするのを防ぐことができる。
ところで、シーラント剤は、高い粘性を有している。このため、キャップを装着する終盤で、キャップの開口側の端面と翼パネル等の部材との間隙が少なくなるとこの部分からシーラント剤がキャップ外に流出しにくくなり、キャップと翼パネル等の部材との間に挟み込まれたシーラント剤の圧力が高まる。また、シーラント剤は、粘性とともに弾性を有しているため、キャップを翼パネル等の部材に押し付けても、前記の圧力と弾力とにより、押し付けたキャップが部材から離間する方向に押し戻されてしまうという問題がある。
このように、キャップが押し戻されてキャップの開口側の端面が翼パネル等の部材から離れてしまうと、ここに隙間が生じ、アークの封じ込めが行えなくなってしまう。
そこで、キャップの装着時、キャップがキャップ外に流れ込んでキャップの内圧が下がるまでの間、キャップを作業者が手で押さえている必要がある。
これに対し、治具の先端部に、第一の部材または第二の部材に当該治具を吸着させる磁石または吸引手段を設けることもできる。これにより、治具から手を離しても治具によりキャップをファスナ部材の軸部に押し付けたままとすることができ、作業効率が高まる。
本発明は、航空機の機体を構成する第一の部材および第二の部材にファスナ部材の軸部を貫通させて、第一の部材および第二の部材の少なくとも一方の側に突出させるとともに、ファスナ部材の軸部に締結部材を装着する工程と、第一の部材および第二の部材の少なくとも一方の側に突出したファスナ部材の軸部および締結部材を覆うように、予め内部にシーラント剤を充填しておいたキャップを取り付ける工程と、を有し、キャップを取り付ける工程では、上記した治具の凹部にキャップを収容した状態で、キャップをファスナ部材の軸部および締結部材に向けて押し付けつつ、キャップ内に充填されたシーラント剤を、キャップの開口部からキャップ外にあふれ出させるとともに、溢れ出たシーラント材をキャップの拡径面で成形することを特徴とする耐雷ファスナの装着方法とすることもできる。
本発明によれば、キャップの開口部側から外周側にあふれ出たシーラント材を成形することで、シーラント材が剥がれるのを確実に防ぐことが可能となる。
本実施形態において、キャップを装着するための治具を示す断面図である。 キャップを装着するための治具の他の例を示す断面図である。 キャップを装着するための治具のさらに他の例を示す断面図である。 キャップを装着するための治具のさらに他の例を示す断面図である。 キャップを装着するための治具のさらに他の例を示す断面図である。 従来の耐雷ファスナを示す断面図である。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における耐雷ファスナ、航空機、治具、航空機の組立方法を適用した航空機の機体を構成する翼の一部の断面図である。
この図1(a)に示すように、航空機の翼20は、その外殻が、例えば炭素繊維と樹脂との複合材料であるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)や、アルミ合金等の金属材料からなる翼パネル(第一の部材)21によって形成されている。翼20の内部に設けられる、補強のための構造材や燃料タンク、各種の機器が、アルミ合金等の金属材料により形成されたステー等の部材(第二の部材)22を介して翼パネル21に固定されている。そして、ステー等の部材22は、ファスナ部材24によって翼パネル21に取り付けられている。
ファスナ部材24は、ピン状のファスナ本体25と、翼20の内部側でファスナ本体25に装着されるカラー(締結部材)26と、から構成される。
ファスナ本体25およびカラー26は、強度の面から一般に金属材料により形成される。ピン状をなしたファスナ本体25は、先端部にネジ溝が形成され、後端部は先端部側より拡径した拡径部25bとされている。このファスナ本体25は、翼パネル21および部材22を貫通して形成された孔21a、22aに翼20の外側から挿入され、後端部の拡径部25bを翼パネル21の外表面に突き当てた状態で、先端部を翼20の内方に突出させる。
カラー26は、筒状で、その内周面にはファスナ本体25のネジ溝に噛み合うネジ溝が形成されている。このカラー26は、翼20の内方に突出したファスナ本体25のネジ溝にねじ込まれる。これによって、翼パネル21と部材22とは、ファスナ本体25の拡径部25bとカラー26とによって挟み込まれ、部材22が翼パネル21に固定されている。
さて、翼20の内部空間側において、ファスナ部材24には、キャップ30が装着され、キャップ30の内部に、絶縁性を有したシーラント材34が充填されている。
キャップ30は、断面円形で、一端部30a側のみが開口し、他端部30b側に向けてその内径および外径が漸次縮小する有底状または傘状の形状とされている。このキャップ30は、シーラント材34と同種の材料を用いて予め成形したものを用いることができる。これ以外にも、キャップ30は、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂)、ナイロン樹脂等の絶縁性を有した樹脂により形成することもできる。
このようなキャップ30は、キャップ30をファスナ部材24に装着したときに、ファスナ本体25およびカラー26との間に、予め定められた間隙が形成されるよう、内周面の内径が設定されている。特に、キャップ30の開口側である一端部30aにおいては、キャップ30の内周面とファスナ本体25との間に、所定寸法t以上の間隙を確保できるよう、キャップ30が形成されている。
キャップ30をファスナ部材24に装着した状態では、キャップ30の内部に、絶縁性を有したシーラント材34が充填される。このシーラント材34が、キャップ30の内周面とファスナ本体25およびカラー26との間に介在することで、キャップ30とファスナ部材24との間の絶縁性がさらに高まる。そして、キャップ30の開口側である一端部30aにおいては、キャップ30の内周面とファスナ本体25との間のシーラント材34が、所定寸法t以上の厚さを有しているので、キャップ30の内周面とファスナ本体25との界面における絶縁性能が確保される。
翼パネル21および部材22を締結するファスナ部材24に、キャップ30を装着するときには、キャップ30の内部に、未硬化のシーラント材34を充填しておく。そして、翼20の内部空間において、内方に向けて突出した各ファスナ部材24のファスナ本体25に、キャップ30を押し付ける。ここで、キャップ30内に充填されたシーラント材34は、キャップ30をファスナ本体25に押し付けたときに、キャップ30の一端部30aの開口部から溢れ出てくるような充填量とされている。
このとき、キャップ30は、図1に示すような、治具50を用いてファスナ本体25に押し付ける。
治具50は、キャップ30を収容する凹部51を有している。凹部51は、一方に開口部51aを有した有底状で、凹部51の底部側は、キャップ30の他端部30bの外周形状に沿って密着する形状を有したキャップ保持面51bとされている。凹部51の開口部51a側は、キャップ保持面51b側に対してその外径が漸次大きくなる拡径面51cが形成されている。拡径面51cは、キャップ30の軸線に沿った断面で見たときに、一定の率で拡径する直線状の断面としても良いし、キャップ30側に凸となる湾曲状の断面形状としてもよい。
キャップ30は、装着時にこの凹部51内に収容される。この状態で、他端部30bがキャップ保持面51b側に嵌り込み、開口部51a側においては、一端部30aの外周面30dと拡径面51cの間に、一端部30a側に向けて漸次拡大するクリアランスCが形成される。
図1(b)に示すように、このような治具50を用いてキャップ30をファスナ本体25に押し付けると、キャップ30内に充填されたシーラント材34は、キャップ30の一端部30aの開口部から溢れ出てくる。キャップ30の一端部30aが部材22の表面22fに突き当たった状態では、あふれ出たシーラント材34は、キャップ30の一端部30aの外周面30dと、部材22の表面22fと、拡径面51cとの間に介在する。これによって、あふれ出たシーラント材34は、キャップ30の外周面30dと、部材22の表面22fと、拡径面51cとによって成形される。
ここで、キャップ30をファスナ本体25に傾いた状態で押し付けると、シーラント材34は、キャップ30の全周から均等に溢れ出てくるわけではなく、キャップ30の周方向の一部から集中的に溢れ出てくることがある。そのような場合、溢れ出てきたシーラント材34は、治具50の拡径面51cによって、流れの方向が矯正され、最終的に、キャップ30がファスナ本体25に正対してその全周が部材22の表面22fに突き当たるときには、シーラント材34が拡径面51cの内側でキャップ30の全周に均等に回り込む。
このようにして、溢れ出たシーラント材34(以下、これを外周シーラント材60と適宜称する)は、キャップ30の一端部30aの外周側に環状に広がり、拡径面51cによって形成された、キャップ30の他端部30b側の外周面30eから部材22の表面22fへと連続する傾斜面61を有することとなる。この傾斜面61は、キャップ30の軸線に沿った断面で見たときの外郭線を、拡径面51cの形状に応じて、一定の傾きを有した直線状とすることもできるが、キャップ30側に凹となる湾曲形状とすることもできる。
そして、充填したシーラント材34が硬化すれば、キャップ30が装着されたファスナ部材24からなる耐雷ファスナが構成される。この時点で、治具50をキャップ30から取り外す。
なおここで、図2(a)に示すように、治具50の先端部には、リング状の磁石70を設けるのが好ましい。この磁石70により、部材22が磁性を有した材料の場合には、治具50が部材22の表面22fに押し付けたままの状態に保持され、作業者が治具50から手を離すことができる。これにより、シーラント材34の弾性や圧力に抗してキャップ30を押し付けるときに、キャップ30を作業者が手で押さえ続ける必要がなくなり、作業の効率化を図ることができる。
また、図2(b)に示すように、部材22が非磁性の材料の場合、治具50の先端部に磁石70を設ける一方、部材22の背面に磁性を有した材料からなるプレートやリング72を配置し、磁石70をプレートやリング72に吸着させることによって、治具50を部材22の表面22fに保持することもできる。
さらに、部材22の表面22fに押し付けた治具50の内部空間の雰囲気を吸引して負圧とする吸引手段を有し、この負圧によって治具50を部材22の表面22fに保持させるようにしても良い。
上述したような構成によれば、キャップ30から溢れ出た外周シーラント材60が、治具50によって成形され、キャップ30の他端部30b側の外周面30eから部材22の表面22fへと連続する傾斜面61を有することになるので、傾斜面61からキャップ30へと、スムーズに連続した円滑面とすることができる。このような傾斜面61を有した外周シーラント材60は引っ掛かりにくいため、例えば、キャップ30が燃料タンク内に露出している場合に燃料油が当たったり、作業者の指や工具が当たったりした場合にも、剥がれにくい。その結果、キャップ30および外周シーラント材60を有したファスナ部材24の耐久性を高め、耐雷性能、信頼性を高めることができる。
(その他の実施形態)
上記した実施形態は、本発明の一例に過ぎず、本発明の主旨の範囲内であれば、様々な変形例を許容する。以下、その変形例を例示する。なお、以下に説明する各形態においては、基本的な構成は上記実施形態に共通しているため、上記実施形態と差異のある構成のみを説明し、共通する構成についてはその説明を省略する。
図3に示すように、キャップ30は、一端部30aの外周縁部に、その外径が他端部30b側から一端部30aに向けて漸次小さくなるテーパ面30cを形成することもできる。このテーパ面30cは、部材22の表面22fに対する交差角度θが30〜60°程度となるように形成すれば良く、キャップ30をその軸線に沿った断面で視たときに、テーパ面30cは直線状であっても良いし、内方に凹んだ形状、外方に膨らんだ形状とすることもできる。
このように、キャップ30の一端部30aにテーパ面30cを形成すると、キャップ30の装着時にキャップ30からあふれ出したシーラント材34Bが、テーパ面30cと部材22の表面22fとの間に介在することになる。
これにより、テーパ面30cと部材22の表面22fとの間に介在するシーラント材34Bに、その外周側の環状の外周シーラント材60が一体化されるため、この環状の外周シーラント材60が脱落するのを防ぐことができる。
また、キャップ30を装着する終盤で、キャップ30と部材22との間に挟み込まれたシーラント材34の圧力と弾性とにより、キャップ30が部材22から離間する方向に押し戻されたとしても、テーパ面30cと部材22の表面22fとの間に介在するシーラント材34Bが十分な厚さを有している。したがって、キャップ30の一端部30aと部材22の表面22fとが離れても、シーラント材34Bが途切れにくく、また、その外周側で環状に盛り上がった外周シーラント材60を吸い込むことができ、シーラント材34はより一層途切れにくくなっている。
したがって、キャップ30が浮き上がった場合であっても、キャップ30と部材22との界面において、アークを確実に封じ込めることができ、高い信頼性を有した耐雷ファスナを構成することができる。
また、図4(a)に示すように、治具50の拡径面51cは、キャップ30の一端部30a側の外周面30dに対し、ほぼ直交する方向に延びる段部51dを介し、外周面30dから離間した位置に外周側にオフセットして設けても良い。この場合も、拡径面51cは、キャップ30の軸線に沿った断面で見たときに、図示の例のように、一定の率で拡径する直線状の断面としても良いし、上記実施形態で示したように、キャップ30側に凸となる湾曲状の断面形状としてもよい。
このような段部51dおよび拡径面51cを有した治具50によれば、上記実施形態と同様、治具50を用いてキャップ30をファスナ本体25に押し付けると、キャップ30内からあふれ出たシーラント材34が、キャップ30の外周面30dと、部材22の表面22fと、拡径面51cおよび段部51dとによって成形され、これによって、図4(b)に示すように、断面矩形状(平行四辺形状)の外周シーラント材60が形成される。
これによって、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、図4(a)に示すように、拡径面51cに、治具50の外周部に連通する貫通孔55を形成しても良い。
これによって、溢れ出てきたシーラント材34によって押し出される治具50内の雰囲気を外部に排出することができる。
加えて、治具50自体を、透明や半透明な樹脂材料等により形成するのも好ましい。これにより、治具50内において溢れ出てきたシーラント材34の状況等を目視にて確認することができる。
また、図5に示すように、キャップ30の他端部30bに、貫通孔40を形成することもできる。
このような貫通孔40を有するキャップ30では、キャップ30をファスナ本体25に押し付けると、キャップ30内に充填されたシーラント材34が、キャップ30の一端部30aの開口部から溢れ出るとともに、貫通孔40からも溢れ出てくる。
これにより、キャップ30内のシーラント材34の圧力が高まるのを抑え、キャップ30が部材22から離間する方向に押し戻されるのを防ぐことができる。
この場合も、治具50において、貫通孔40に対向する部位に、貫通孔40から溢れ出てきたシーラント材34を成形する凹部57を形成するのが好ましい。
なお、上記実施の形態では、翼パネル21と部材22とをファスナ部材24により締結する構成としたが、ファスナ部材24およびキャップ30の適用部位は、他のいかなる部位であっても良い。また、接合すべき二つの部材が、機体の外部に露出している場合、ファスナ部材24のファスナ本体25を、二つの部材の両面側に突出させ、その両面側にキャップ30を設けることも可能である。
また、キャップ30の外形形状はいかなるものであっても良い。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
20 翼
21 翼パネル(第一の部材)
21a 孔
22 部材(第二の部材)
22a 表面
24 ファスナ部材
25 ファスナ本体
26 カラー(締結部材)
30 キャップ
30a 一端部
30b 他端部
30c テーパ面
30d 外周面
34、34B シーラント材
40 貫通孔
50 治具
51 凹部
51a 開口部
51b キャップ保持面
51c 拡径面
51d 段部
55 貫通孔
57 凹部
60 外周シーラント材
61 傾斜面
70 磁石
72 リング

Claims (3)

  1. 航空機の機体を構成する第一の部材に第二の部材を締結するため、前記第一の部材および前記第二の部材を貫通するとともに、前記第一の部材および前記第二の部材の少なくとも一方の側に突出する軸部を有するファスナ部材と、
    前記第一の部材に前記第二の部材を締結するために前記ファスナ部材の前記軸部に装着される締結部材と、
    前記第一の部材および前記第二の部材の少なくとも一方の側に突出した前記ファスナ部材の前記軸部を覆うように取り付けられる絶縁性材料からなるキャップと、
    前記キャップの内部に充填されて、前記キャップと前記ファスナ部材との間の空間を塞ぐ絶縁性材料からなるシーラント材と、
    前記キャップの先端部の外周面と当該先端部が突き当たる前記第一の部材または前記第二の部材の表面との境界部に、前記第一の部材または前記第二の部材の表面に接近するにつれてその外径が漸次大きくなる外周シーラント材と、を備える耐雷ファスナの前記キャップを前記ファスナ部材の前記軸部を覆うように取り付けるための治具であって、
    前記キャップを収容する凹部を備え、
    前記凹部は、前記キャップの先端部とは反対側の頭部の外周面に沿うキャップ保持面と、
    前記キャップの先端部側で、前記キャップの前記外周面に対して外周側に拡径し、前記キャップの先端部の前記外周面との間にクリアランスを形成する拡径面と、を有することを特徴とする治具。
  2. 前記治具の先端部に、前記第一の部材または前記第二の部材に当該治具を吸着させる磁石または吸引手段が設けられていることを特徴とする請求項に記載の治具。
  3. 航空機の機体を構成する第一の部材および第二の部材にファスナ部材の軸部を貫通させて、前記第一の部材および前記第二の部材の少なくとも一方の側に突出させるとともに、前記ファスナ部材の前記軸部に締結部材を装着する工程と、
    前記第一の部材および前記第二の部材の少なくとも一方の側に突出した前記ファスナ部材の前記軸部および前記締結部材を覆うように、予め内部にシーラント剤を充填しておいたキャップを取り付ける工程と、を有し、
    前記キャップを取り付ける工程では、請求項またはに記載の前記治具の前記凹部に前記キャップを収容した状態で、前記キャップを前記ファスナ部材の軸部および前記締結部材に向けて押し付けつつ、前記キャップ内に充填された前記シーラント剤を、前記キャップの開口部から前記キャップ外にあふれ出させるとともに、溢れ出た前記シーラント材を前記キャップの前記拡径面で成形することを特徴とする航空機の組立方法。
JP2012028174A 2012-02-13 2012-02-13 耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法 Active JP5896771B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012028174A JP5896771B2 (ja) 2012-02-13 2012-02-13 耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012028174A JP5896771B2 (ja) 2012-02-13 2012-02-13 耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013163473A JP2013163473A (ja) 2013-08-22
JP5896771B2 true JP5896771B2 (ja) 2016-03-30

Family

ID=49175120

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012028174A Active JP5896771B2 (ja) 2012-02-13 2012-02-13 耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5896771B2 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4826380A (en) * 1988-01-19 1989-05-02 Ltv Aerospace & Defense Company Pre-cast sealant dome and method
US5755908A (en) * 1996-02-21 1998-05-26 Rayburn; Herbert Moldable self-adhering fastener cover and installation method
US6357101B1 (en) * 2000-03-09 2002-03-19 The Boeing Company Method for installing fasteners in a workpiece
US7438974B2 (en) * 2001-09-28 2008-10-21 Ppg Industries Ohio, Inc. Premixed and frozen seal caps

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013163473A (ja) 2013-08-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5187985B1 (ja) 耐雷ファスナ、耐雷ファスナのキャップ
JP5931458B2 (ja) 耐雷ファスナ、耐雷ファスナの装着方法
US8711541B2 (en) Lightning-protective explosion-preventive fastener
JP5610758B2 (ja) 耐雷ファスナ、キャップ、耐雷ファスナの取り付け方法、航空機
US9951804B2 (en) Spark containment cap
JP5487093B2 (ja) 耐雷ファスナ、耐雷ファスナの取付構造、航空機
US8587916B2 (en) Lightning protection fastener, aircraft assembly, and method of manufacturing aircraft assembly component
JP5713980B2 (ja) 耐雷ファスナおよび航空機
EP3546375B1 (en) Cap with sealant flow path
WO2013178985A1 (en) Injectable nut cap
JP5713789B2 (ja) ファスナ、航空機組立品、航空機組立品の製造方法、および治具
JP5901263B2 (ja) 耐雷ファスナ
US9376217B2 (en) Jig for forming sealant layer for lightning protection fastener, method for forming sealant layer for lightning protection fastener, lightning protection fastener, and wing of aircraft
JP5433366B2 (ja) 耐雷ファスナ、航空機組立品、および耐雷ファスナの締結方法
JP5896771B2 (ja) 耐雷ファスナの取付治具、航空機の組立方法
US9475587B2 (en) Jig for forming sealant layer for lightning protection fastener, method for forming sealant layer for lightning protection fastener, and wing of aircraft
JP5846587B2 (ja) 耐雷ファスナ、航空機、耐雷ファスナの取り付け方法
JP5489774B2 (ja) 耐雷ファスナ
JP5575218B2 (ja) 耐雷ファスナ、耐雷ファスナのキャップ

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20141222

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151028

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160301

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5896771

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150