JP5489774B2 - 耐雷ファスナ - Google Patents
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Description
ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、燃料タンクと翼パネルとにそれぞれ形成された貫通孔に翼の外部側から挿入し、その先端部を翼の内部側から固定金具で固定することで、翼と部材とを締結する。
また、キャップ6は、ゴム(絶縁材料)10で外周をカバーしているため、取付現場において、接着作業、ゴム10の塗布作業が必要であり、作業の手間がかかる。航空機の翼1の内部は、言うまでもなく空間が狭く、奥まった位置において上記したような作業を行うのは作業性が非常に悪い。しかも、このようなファスナ部材4は、翼1の全体に数千〜数万箇所設けられるため、作業性の悪化はコスト上昇に直結する。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、絶縁性を確実に確保したうえで、作業性および品質安定性を向上することのできる耐雷ファスナを提供することを目的とする。
本発明は、第一の部材、第二の部材、ファスナ本体、締結部材が突き合わされる界面において、落雷時にアーク放電が生じるのを抑えるためのものである。
ファスナ本体は、その先端部が第二の貫通孔内に位置するため、ファスナ本体は第二の部材から突出しない。また、締結部材を第二の部材よりも薄くし、第二の貫通孔内でファスナ本体に装着することで、ファスナ本体も第二の部材から突出しない。このようにして、ファスナ本体および締結部材を、第一の部材、第二の部材に形成された第一の貫通孔、第二の貫通孔内に収めることができる。
さらに、第二の貫通孔をキャップで塞ぐことで、第一の部材、第二の部材、ファスナ本体、締結部材の界面でアーク放電が生じた場合にも、これを封じ込めることができる。
さらに、この観点からして、シーラントは、第二の部材と締結部材との界面および第二の部材とキャップとの界面の少なくとも一方において、他の部分よりも厚く充填するのが好ましい。
さらに、締結部材は、雌ネジ穴が形成されている側とは反対側に、有底状の凹部が形成され、キャップは、締結部材と対向する側に凸部が形成され、凹部に凸部が嵌合またはねじ込まれることで、キャップが締結部材に保持される構成とすることもできる。これにより、キャップの脱落を防ぎ、安定して耐雷性能を維持できる。
なお、キャップの凸部と凹部とは、ネジに限らず、弾性を有した係止爪やスナップリングによる係合、摩擦を利用した嵌め合いによりキャップを締結部材により保持できる。
図1は、本実施の形態における耐雷ファスナを適用した航空機の機体を構成する翼の一部の断面図である。
この図1に示すように、翼20は、その外殻が、例えば炭素繊維と樹脂との複合材料であるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)や、アルミ合金等の金属材料からなる翼パネル(第一の部材)21によって形成されている。
翼20の内部に設けられる、補強のための構造材や燃料タンク、各種の機器等の部材(第二の部材)22が、翼パネル21に固定されている。
ピン状をなしたファスナ本体25は、軸部25aの先端部にネジ溝25bが形成され、後端部は軸部25aより拡径したテーパ状の拡径部25cとされている。このファスナ本体25は、翼パネル21および部材22を貫通して形成された孔(第一の貫通孔)30、孔(第二の貫通孔)31に翼20の外側(翼パネル21側)から挿入されている。
ここで、翼パネル21に形成された孔30は、翼パネル21の外表面側が、拡径部25cに対応した角度で形成されたテーパ孔部30aとされ、部材22に対向する側が、テーパ孔部30aに連続して軸部25aが挿通されるストレート孔部30bとされている。
部材22に形成された孔31は、翼パネル21に対向する側の端部31aが、ストレート孔部30bよりも大きな内径を有し、反対側の端部31bに向けてその内径が漸次拡大するテーパ面31cが形成されている。
また、この状態で、孔30のストレート孔部30bから孔31内に突出した軸部25aの周囲には、孔31の端部31aの内側に翼パネル21の表面21aが露出している。
ここで、カラー26の一端面26aと他端面26bとを結んだ方向の厚さtは、部材22の厚さTよりも小さくなるよう形成されている。
また、カラー26の他端面26bの中央部には、有底状の穴(凹部)33が形成されている。さらに、穴33の底面には、ドライバ等の工具を掛けるためのリセス34が形成されている。
また、この状態で、カラー26のテーパ面26cが、孔31のテーパ面31cに面接触し、部材22に電気的に接続されるとともに、翼パネル21と部材22を挟み込むようにして締結している。
このようなキャップ27は、熱可塑性樹脂(例えば、耐熱性・強度を有する他、絶縁破壊電圧が高いポリエーテルイミド(PEI)、耐熱性・強度が優れている他、成形性・汎用性に優れたポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、耐熱性・強度を有する他、成形性・汎用性に優れたポリフェニルサルルファイド(PPS)、耐熱性・強度が特に優れているポリアミドイミド(PAI))や、熱硬化性樹脂(例えば、耐熱性・強度が特に優れているポリイミド(PI))等を用いて形成されている。
さらに、キャップ27の外周部と部材22との界面部分Aと、カラー26と孔31の内周面との界面部分Bには、シーラント28を他の部分よりも厚く塗布されている。このために、キャップ27には、テーパ面27bとカラー26の他端面26bと孔31の内周面との間には空間が形成され、この空間にシーラント28が充填塗布されるようになっている。
また、孔31がファスナ本体25の軸部25aの外径より大きな内径を有しており、これにより、カラー26の一端面26aが翼パネル21に面接触することで電気的に接続されるため、翼パネル21との間で良好な導電性を得ることができる。
さらに、カラー26はテーパ状であり、テーパ面26cが孔31の内周面に面接触により電気的に接続されるので、カラー26と部材22との間においても、良好な導電性が確保できる。
加えて、カラー26とキャップ27との間、およびキャップ27の外周部と部材22との間は、シーラント28により電気的な絶縁性が確保されている。
また、キャップ27は、樹脂で形成することで、量産が容易となり、製造コストを抑えるとともに、量産により肉厚を管理しやすく、キャップ27の軽量化を図ることもできる。
例えば、カラー26は、テーパ状をなしている構成としたが、これに限るものではない。図3に示すように、カラー26’を、円柱状をなした構成とすることも可能である。この場合も、孔31’がファスナ本体25の軸部25aの外径より大きな内径を有するものとし、これにより、カラー26’の一端面26aを翼パネル21に面接触させて、翼パネル21との間で良好な導電性を得ることもできる。
このとき、カラー26’には、外周側に張り出すフランジ部60を形成するのが好ましい。一方、部材22の孔31’の外周縁部には、フランジ部60が突き当たる段部61が形成されている。フランジ部60が段部61に面接触により突き当たることで、翼パネル21と部材22とを挟み込むとともに、カラー26’と部材22との間の電気的な接続も確実に行える。
Claims (10)
- 航空機の機体を構成する第一の部材に対し、前記機体の内部側で第二の部材を締結するため、前記第一の部材に形成された第一の貫通孔および前記第二の部材に形成された第二の貫通孔に前記第一の部材側から挿入され、その先端部が前記第二の貫通孔内に位置するファスナ本体と、
前記第二の部材の厚さよりも薄く、前記第二の貫通孔内で前記ファスナ本体に装着される締結部材と、
前記第二の貫通孔を塞ぐよう設けられ、絶縁材料からなるキャップと、
を備えることを特徴とする耐雷ファスナ。 - 前記キャップと前記締結部材との間に絶縁性材料からなるシーラントが充填されていることを特徴とする請求項1に記載の耐雷ファスナ。
- 前記シーラントは、前記第二の部材と前記締結部材との界面および前記第二の部材と前記キャップとの界面の少なくとも一方において、他の部分よりも厚く充填されていることを特徴とする請求項2に記載の耐雷ファスナ。
- 前記キャップは、その外径が前記第二の貫通孔よりも大きく、前記第二の部材の表面に沿うよう設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
- 前記締結部材は、前記第一の部材に対向する側に前記ファスナ本体の先端部がねじ込まれる有底状の雌ネジ穴を有していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
- 前記締結部材は、前記雌ネジ穴が形成されている側とは反対側に、有底状の凹部が形成され、
前記キャップは、前記締結部材と対向する側に凸部が形成され、
前記凹部に前記凸部が嵌合またはねじ込まれることで、前記キャップが前記締結部材に保持されていることを特徴とする請求項5に記載の耐雷ファスナ。 - 前記凹部の底部に、前記ファスナ本体と前記締結部材を締結するときに工具を掛けるためのリセスが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の耐雷ファスナ。
- 前記第二の貫通孔および前記締結部材が、前記第一の部材から離間するにしたがいその径が漸次拡大するテーパ形状とされていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
- 前記第二の貫通孔は、前記第一の部材に対向する側の径が、前記ファスナ本体の径よりも大きく、当該第二の貫通孔に収容される前記締結部材が前記第一の部材に直接突き当たることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
- 前記第一の部材、前記第二の部材、前記ファスナ本体、前記締結部材が突き合わされる界面において、落雷時にアーク放電が生じるのを抑えるためのものであることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
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