JP5901263B2 - 耐雷ファスナ - Google Patents
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Description
ファスナ部材は、ピン状のファスナ本体を、翼および翼に取り付けられる部材及び翼の内部に存在する構造物同士の双方に形成された貫通孔に翼の外部側から挿入し、その先端部を翼の内部側から固定金具で固定することで、翼と部材とを締結する。
また、キャップ6は、図5(a)に示すように、接着剤9で第二の部材3に取り付けられたり、図5(b)に示すようにゴム(絶縁材料)10で外周をカバーしているため、取付現場において、接着作業、ゴム10の塗布作業が必要であり、作業の手間がかかる。航空機の翼1の内部は、言うまでもなく空間が狭く、奥まった位置において上記したような作業を行うのは作業性が非常に悪い。しかも、このようなファスナ部材4は、翼1の全体に数千〜数万箇所設けられるため、作業性の悪化はコスト上昇に直結する。
さらに、上記したような作業は、いわゆる手作業であり、作業者によって、施工品質にばらつきが出やすく、これは信頼性にも影響する。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、十分な耐雷性能を確保することのできる耐雷ファスナを提供することを目的とする。
シール部材がキャップと第二の部材との間を塞ぐことで、この部分における耐雷性能を確保できる。シール部材は、変形または変位可能とされているので、ファスナ部材の軸線に対して第二の部材の表面が傾斜したり湾曲したりしていても、キャップと第二の部材との間を確実に塞ぐ。
シール部材は、キャップと第二の部材の間を塞ぐことができるのであれば、いかなる形状としても良いが、例えば、キャップ側から第二の部材に接近するに従い径が漸次拡大する形状を有したものとすることができる。さらに、シール部材は、キャップ側から第二の部材に接近するに従い厚さが漸次小さくなる形状を有したものとすることができる。
また、キャップとファスナ部材との間隙に絶縁性のシーラント剤を充填するのも有効である。
なお、このような耐雷ファスナは、翼に限らず、航空機の機体においても適用可能である。
図1は、本実施の形態における耐雷ファスナ、キャップ、耐雷ファスナの取り付け方法を適用した航空機の機体を構成する翼の一部の断面図である。
この図1に示すように、翼20は、その外殻が、例えば炭素繊維と樹脂との複合材料であるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)や、アルミ合金等の金属材料からなる翼パネル(第一の部材)21によって形成されている。翼20の内部に設けられる、補強のための構造材や燃料タンク、各種の機器が、アルミ合金等の金属材料により形成されたスパー等の部材(第二の部材)22を介して翼パネル21に固定されている。そして、スパー等の部材22は、ファスナ部材24によって翼パネル21に取り付けられている。
ファスナ本体25およびカラー26は、強度の面から一般に金属材料により形成される。ピン状をなしたファスナ本体25は、先端部にネジ溝(係合部)25aが形成され、後端部は先端部側より拡径した拡径部25bとされている。このファスナ本体25は、翼パネル21および部材22を貫通して形成された孔21a、22aに翼20の外側から挿入され、後端部の拡径部25bを孔21aの周囲面にワッシャ27を介して突き当てた状態で、先端部を翼20の内方に突出させる。なお、このワッシャ27は必須の構成ではなく、省略することもできる。
カラー26は、筒状で、その内周面にはファスナ本体25のネジ溝25aに噛み合うネジ溝が形成されている。このカラー26は、翼20の内方に突出したファスナ本体25のネジ溝25aにねじ込まれる。これによって、翼パネル21と部材22とは、ファスナ本体25の拡径部25bとカラー26とによって挟み込まれ、部材22が翼パネル21に固定されている。
なお、この状態で、ファスナ本体25の先端部25cは、カラー26よりも翼20の内周側に突出し、さらに、ネジ溝25aの一定長をカラー26から翼20の内周側に露出させている。
このようにして、キャップ30の内周面36は、ストレート部36aから角部36c、テーパ部36b、テーパ部36bと穴32とが隣接する部分の角部36dへと、スムーズに連続する面とされている。これにより、キャップ30内にシーラント剤34を充填する際に、シーラント剤34に空気を巻き込んだり、内周面36(特に角部36c、36d等)においてシーラント剤34に空隙ができたりするのを防ぐようになっている。
シール部材50は、他端側の先端部50bに行くに従い、その外径が漸次拡大するとともに、その厚さが漸次縮小するよう形成されている。
このようなシール部材50は、ポリサルファイド等の材料から形成され、可撓性、弾力性を有している。
このとき、キャップ30内に充填されたシーラント剤34が、キャップ30の一端部30aの開口部から溢れ出てくる。キャップ30内の全域にシーラント剤34が均等に行き渡るよう、シーラント剤34がキャップ30の全周から溢れ出るのが好ましい。
ファスナ本体25に、キャップ30を押し付けていくと、キャップ30の内部には穴32が形成されているので、ファスナ部材24をキャップ30の中心に確実かつ容易に位置決めできる。これにより、キャップ30とファスナ部材24とがずれて、キャップ30とファスナ部材24との間の間隙が場所によって狭くなることもなく、ファスナ部材24がキャップ30に直接接触してしまうことも防止できる。
このとき、穴32内にシーラント剤34が充填されていると、穴32にファスナ本体25の先端部25cが挿入される。さらにキャップ30のねじ込みにともなってファスナ本体25が穴32内に侵入してくると、穴32内のシーラント剤34の行き場がなく、シーラント剤34の圧力が高まってファスナ本体25の先端部を穴32の所定の深さまで挿入できないこともある。
そこで、キャップ30の穴32の内周面には、少なくとも一箇所、穴32の中心軸方向に沿って延びる溝33を形成するのが好ましい。図3の例では、2本の溝33が穴32に形成されている。もちろん、溝33を3本以上形成することも可能である。
このように、穴32に溝33を形成しておくことで、穴32にファスナ本体25の先端部が挿入されてくると、これに伴い、穴32内の余剰のシーラント剤は、溝33を通して穴32から押し出されるようになっている。これにより、穴32内のシーラント剤34に空隙が残存するのを防ぐとともに、穴32へのファスナ本体25の挿入、つまりファスナ部材24へのキャップ30の取り付けを容易に行うことができる。
また、充填したシーラント剤34が硬化すれば、このシーラント剤34も、キャップ30のファスナ部材24への固定効果を発揮する。
このようにしてキャップ30が装着されたファスナ部材24が耐雷ファスナである。
また、キャップ30をファスナ部材24にねじ込んでしまえば、シーラント剤34の硬化を待つ必要はなく、キャップ30の取り付けを迅速に行うことができる。
これにより、絶縁性を確実に確保したうえで、作業性を向上させて製造コストを抑えるとともに、作業者によらず安定した品質で取り付けることができる。
例えば、図4に示すように、シール部材60として、先端部60aの外径r1がキャップ30の一端部30aの内径r2よりも大きく、基端部60bの外径r3がキャップの一端部30aの内径r2よりも小さく形成されたものを用いることができる。このようなシール部材60は、基端部60bから先端部60aに向けて、その外径が漸次増大する漏斗状の外形をなしている。シール部材60の外周面60cは、外方に向けて凸となる湾曲面で形成するのが好ましい。
また、シール部材60の基端部60bには開口部61が形成されている。開口部61は、その内径が、ファスナ本体25の外径よりも大きな寸法に設定されている。
さらには、ファスナ部材24のファスナ本体25の先端部に形成されたネジ溝25aにキャップ30をねじ込む構成に限らず、キャップ30をファスナ本体25の先端部に嵌め合う構成とすることも可能である。その場合、例えば、ファスナ本体25の先端部の外周面に、周方向に連続する溝または凸条を形成し、キャップ30の穴32に、ファスナ本体25の溝に係合する凸状や突起、またはファスナ本体25の凸状に係合する溝を形成し、キャップ30をファスナ本体25に嵌め合わせる構成とすることも可能である。
さらに、上記した耐雷ファスナは、上記した以外の部位の締結部にも適用できるのは言うまでもない。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
Claims (4)
- 航空機の機体を構成する第一の部材に対し、前記機体の内部側で第二の部材を締結するための、導電性材料からなるファスナ部材と、
前記機体の内部側に突出した前記ファスナ部材を覆うように取り付けられる絶縁性材料からなるキャップと、
絶縁性材料からなり、前記キャップの先端部に設けられて前記キャップと前記第二の部材との間を塞ぐシール部材と、を備え、
前記ファスナ部材は、前記機体の内部側に突出した部分に係合部が形成され、
前記キャップは、その内周面の中心部に、前記ファスナ部材の前記係合部に係合する被係合部が形成され、前記被係合部に前記ファスナ部材の前記係合部が係合した状態で、前記被係合部以外の部分において前記ファスナ部材との間に間隙を隔てた状態で取り付けられ、
前記シール部材は、前記ファスナ部材の軸線に直交した面に対する前記第二の部材の傾斜または湾曲に応じて変形または変位可能とされ、
前記シール部材は、前記キャップの先端部に装着され、前記キャップよりも柔軟で可撓性を有した材料から形成されていることを特徴とする耐雷ファスナ。 - 前記シール部材は、前記キャップ側から前記第二の部材に接近するに従い径が漸次拡大する形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の耐雷ファスナ。
- 前記シール部材は、前記キャップ側から前記第二の部材に接近するに従い厚さが漸次小さくなる形状を有していることを特徴とする請求項2に記載の耐雷ファスナ。
- 航空機の機体を構成する第一の部材に対し、前記機体の内部側で第二の部材を締結するための、導電性材料からなるファスナ部材と、
前記機体の内部側に突出した前記ファスナ部材を覆うように取り付けられる絶縁性材料からなるキャップと、
絶縁性材料からなり、前記キャップの先端部に設けられて前記キャップと前記第二の部材との間を塞ぐシール部材と、を備え、
前記ファスナ部材は、前記機体の内部側に突出した部分に係合部が形成され、
前記キャップは、その内周面の中心部に、前記ファスナ部材の前記係合部に係合する被係合部が形成され、前記被係合部に前記ファスナ部材の前記係合部が係合した状態で、前記被係合部以外の部分において前記ファスナ部材との間に間隙を隔てた状態で取り付けられ、
前記シール部材は、前記ファスナ部材の軸線に直交した面に対する前記第二の部材の傾斜または湾曲に応じて変形または変位可能とされ、
前記シール部材は、前記キャップ内に収容され、一部が前記キャップの先端部から外部に露出した漏斗状で、前記ファスナ部材の軸線に対する角度が変位可能とされていることを特徴とする耐雷ファスナ。
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