JP5535956B2 - 耐雷ファスナ - Google Patents
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Description
本発明に係る耐雷ファスナは、航空機の外板と、この外板の内側に位置する構造材とを結合する耐雷ファスナであって、絶縁体層が、頭部の一端面を覆うように融着されているとともに、前記一端面に形成された係合部と機械的に噛み合っており、前記係合部の周縁部が、周方向に沿って半径方向外側に突出する凸部を有し、前記凸部の縦断面視形状が丸みを有しているとともに、前記絶縁体層が、インサート成形により形成されている。
また、本発明に係る耐雷ファスナによれば、従来の皿頭ファスナでは、皿頭周縁部が鋭いナイフ状に加工されており、着雷前の前駆フェーズにおいて、皿頭周縁部に電界が集中してストリーマが発生し、ファスナへ選択的に着雷することが通常であったが、このような耐雷ファスナによれば、頭部に形成されたファスナ側係合部の周縁部における断面視形状が、例えば、図1および図2に示すような丸みを帯びるように形成されている(例えば、0.1mm〜0.3mm程度のアール(R)を有するように加工されている)ので、着雷直前の前駆フェーズにおける電界集中を防止することができて、絶縁体層の着雷防止効果に加えて耐雷ファスナへの着雷を防止することができる。
さらに、本発明に係る耐雷ファスナによれば、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層が、インサート成形(例えば、射出成形やコンプレッションモールディング等)によって頭部のファスナ側係合部に融着により取り付けられ、図1および図2に示すように、ファスナ側係合部7の外表面と絶縁体層側係合部8の内表面とが、全体的に密着するとともに、絶縁体層5自身が有する接着力によって絶縁体層5が頭部3にしっかりと(確実に)固定されることとなるので、絶縁体層5を頭部3により確実に固定する(取り付ける)ことができて、耐雷ファスナ1の信頼性をさらに向上させることができる。
さらにまた、このような耐雷ファスナによれば、例えば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層が、インサート成形(例えば、射出成形やコンプレッションモールディング等)によって頭部のファスナ側係合部に融着により取り付けられることとなるので、大量生産が実施可能となり、製造コストの低減化を図ることができる。
また、ファスナ本体の方へ流れようとする雷撃電流が、絶縁体層により遮断される(低減させられる)ことにより、従来、構造材とカラーとの間にスパーク防止のために必要とされたDI(Dielectric Insulator:絶縁板)、およびファスナの雄ネジ部の先端部とカラーの全体を覆うように取り付けられていた(カラーからの二次的放電を防止するために取り付けられていた)絶縁ゴム製のキャップをすべてなくすことができ、機体重量を大幅に低減させることができる。
このような航空機組立品によれば、シャープエッジのために電界集中が発生して、特に着雷の頻度の高いファスナ皿頭周辺部で、着雷の前駆フェーズであるストリーマの発生を抑制することができて、耐雷ファスナへの着雷を抑制することができる。
図1および図2に示すように、本実施形態に係る耐雷ファスナ(耐雷型のファスナ)1は、円柱形状の軸部(シャンク:Shank)2、および軸部2の一端側に設けられ、軸部2から遠ざかるにつれて拡径する略円錐台形状の頭部(フラッシュ・ヘッド:Flush Head)3を有するファスナ本体4と、頭部3の一端部(図1および図2において上側に位置する頂部)を覆うように配置された絶縁体層5と、絶縁体層5の一端面(図1および図2において上側の端面)を覆うように配置された導電体層6とを主たる要素として構成されたものである。
軸部2の他端部(図1および図2において下側の端部)には、後述するカラー(ナット)の雌ネジ部と螺合する雄ネジ部2aが設けられて(形成されて)いる。
頭部3の一端部(頂部)には、絶縁体層5が係止されるファスナ側係合部(係合部)7が設けられて(形成されて)いる。このファスナ側係合部7は、軸部2と反対の側(図1および図2において上側)に位置するとともに、周方向に沿って半径方向外側に突出する(拡径する)凸部7aと、軸部2と凸部7aとを接続(連結)するとともに、周方向に沿って半径方向内側に凹む(窪む)凹部7bとを備えている。これら凸部7aおよび凹部7はそれぞれ、その断面視形状が図1および図2に示すような丸みを帯びるように形成されている(例えば、0.1mm〜0.3mm程度のアール(R)を有するように加工されている)。
なお、頭部3の一端面における直径は、例えば、6mm程度である。
また、この絶縁体層5は、射出成形によって頭部3のファスナ側係合部7に融着により取り付けられるようになっている。これにより、ファスナ側係合部7の外表面(より詳しくは、ファスナ側係合部7の頂面(平面)、凸部7aの側面(外周面)、および凹部7bの側面(外周面))と、絶縁体層側係合部8の内表面(より詳しくは、絶縁体層側係合部8の底面(図1および図2において下側に位置する平面)、凹部8aの側面(内周面)、および凸部8bの側面(内周面))とが全体にわたって密着し、絶縁体層5自身が有する接着力によって絶縁体層5が頭部3にしっかりと(確実に)固定されることとなる。
なお、絶縁体層5の板厚(頂面(図1および図2において上側に位置する平面)と底面(図1および図2において下側に位置する平面)との間の長さ)は、MIL-STD-1757A Zone1の雷撃試験電圧(約40kV)に対しても十分な絶縁耐力を有するように、例えば、0.6mm〜1.0mm程度とされていることが望ましい。
なお、導電体層6は必須の要素ではなく、要求される信頼度によって省略することができる。
外板10は、主として導電性(アルミニウムの1/100〜1/1000程度の導電性)を有する樹脂材料(例えば、CFRP(炭素繊維強化樹脂)であって、以下、「CFRP」という)12からなり、その表面(組み立て後、外側に位置する面)全体および裏面(組み立て後、内側に位置する面)全体には、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、GFRP(ガラス繊維硬化樹脂)であって、以下、「GFRP」という)13,14が積層されている。
また、CFRP12の表面側に位置するGFRP13の表面(組み立て後、外側に位置する面)には、その全体が導電性を有するメッシュ状(若しくは板状)の部材(例えば、銅であって、以下、「導電性メッシュ」という)15が積層されている。
GFRP14の裏面上に構造材11が配置された構造物の所定位置には、これら外板10および構造物11を板厚方向に貫通するとともに、耐雷ファスナ1を受け入れることができる凹所(穴)16があけられている。そして、各凹所16には、耐雷ファスナ1が収められており、構造材11の裏面から内側に突出する雄ネジ部2aには、例えば、チタンやインコネル等の合金を用いて作製されたカラー(ナット)17が締結されている。
なお、図1中の符号18は、耐雷ファスナ1と凹所16との間の隙間を埋めるシーリング材(例えば、スペック:AMS3281、メーカー:PRC−Desoto、型番:PR1776M B2のポリサルファイドポリマ)であり、符号19は、例えば、接着剤によって耐雷ファスナ1の表面(より詳しくは、導電体層6の表面)および導電性メッシュ15の表面に固定された(貼り付けられた)アルミニウムテープである。
また、このアルミニウムテープ19は必須の要素ではなく、要求される信頼度によって省略することができる。
また、本実施形態に係る耐雷ファスナ1によれば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層5が、射出成形によって頭部3のファスナ側係合部7に融着により取り付けられ、ファスナ側係合部7の外表面と絶縁体層側係合部8の内表面とが、全体的に密着するとともに、絶縁体層5自身が有する接着力によって絶縁体層5が頭部3にしっかりと(確実に)固定されることとなるので、絶縁体層5を頭部3により確実に固定する(取り付ける)ことができて、耐雷ファスナ1の信頼性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る耐雷ファスナ1によれば、凸部7aの断面視形状が図1および図2に示すような丸みを帯びるように形成されている(例えば、0.1mm〜0.3mm程度のアール(R)を有するように加工されている)ので、着雷前の電界集中を緩和し、耐雷ファスナ1への着雷を防止することができて、耐雷性能を向上させることができる。
さらにまた、本実施形態に係る耐雷ファスナ1によれば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層5が、射出成形によって頭部3のファスナ側係合部7に融着により取り付けられることとなるので、大量生産が実施可能となり、製造コストの低減化を図ることができる。
さらにまた、導電体層6とファスナ本体4との間には、絶縁体層5が配置されているので、仮に、導電体層6に雷が直撃したとしても、導電体層6からファスナ本体4へ流れようとする雷撃電流を遮断する(低減させる)ことができる。
さらにまた、本実施形態に係る耐雷ファスナ1が、例えば、図1に示すような航空機の外板10と、構造材(例えば、リブ、ストリンガ等)11とを結合するのに用いられた場合には、ファスナ本体4の方へは雷撃電流が流れない(流れ難い)ようになっているので、従来、構造材11とカラー17との間にスパーク防止のために必要とされたDI(Dielectric Insulator:絶縁板)、および雄ネジ部2aの先端部とカラー17の全体を覆うように取り付けられていた(カラー17からの二次的放電を防止するために取り付けられていた)絶縁ゴム製のキャップをすべてなくすことができ、機体重量を大幅に低減させることができる。
これにより、耐雷ファスナ1を外板10に形成された凹所16内に挿入して取り付けた際に、絶縁体層5のテーパ面が凹所16の表面(テーパ面)に押し付けられることを防止することができ、絶縁体層の損傷(割れ)を防止することができる。
本実施形態に係る耐雷ファスナ21は、前述した係合部7,8の代わりに、係合部22,23が設けられているという点で前述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
ファスナ頭部の周縁部については、その断面視形状が丸みを帯びるように形成されている(アール(R)を有するように加工されている)とさらに好ましい。
また、本実施形態に係る耐雷ファスナ21によれば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層5が、射出成形によって頭部3に融着により取り付けられ、絶縁体層5の表面と頭部3の表面とが、全体的に密着するとともに、絶縁体層5自身が有する接着力によって絶縁体層5が頭部3にしっかりと(確実に)固定されることとなるので、絶縁体層5を頭部3により確実に固定する(取り付ける)ことができて、耐雷ファスナ21の信頼性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る耐雷ファスナ21によれば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層5が、射出成形によって頭部3に融着により取り付けられることとなるので、大量生産が実施可能となり、製造コストの低減化を図ることができる。
さらにまた、導電体層6とファスナ本体4との間には、絶縁体層5が配置されているので、仮に、導電体層6に雷が直撃したとしても、導電体層6からファスナ本体4へ流れようとする雷撃電流を遮断する(低減させる)ことができる。
さらにまた、本実施形態に係る耐雷ファスナ21が、例えば、図1に示すような航空機の外板10と、構造材(例えば、リブ、ストリンガ等)11とを結合するのに用いられた場合には、ファスナ本体4の方へは雷撃電流が流れない(流れ難い)ようになっているので、従来、構造材11とカラー17との間にスパーク防止のために必要とされたDI(Dielectric Insulator:絶縁板)、および雄ネジ部2aの先端部とカラー17の全体を覆うように取り付けられていた(カラー17からの二次的放電を防止するために取り付けられていた)絶縁ゴム製のキャップをすべてなくすことができ、機体重量を大幅に低減させることができる。
本実施形態に係る耐雷ファスナ31は、前述した係合部7,8,22,23の代わりに、係合部32,33が設けられているという点で前述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
また、本実施形態に係る耐雷ファスナ31によれば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層5が、射出成形によって頭部3に融着により取り付けられ、絶縁体層5の表面と頭部3の表面とが、全体的に密着するとともに、絶縁体層5自身が有する接着力によって絶縁体層5が頭部3にしっかりと(確実に)固定されることとなるので、絶縁体層5を頭部3により確実に固定する(取り付ける)ことができて、耐雷ファスナ31の信頼性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態に係る耐雷ファスナ31によれば、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂からなる絶縁体層5が、射出成形によって頭部3に融着により取り付けられることとなるので、大量生産が実施可能となり、製造コストの低減化を図ることができる。
さらにまた、導電体層6とファスナ本体4との間には、絶縁体層5が配置されているので、仮に、導電体層6に雷が直撃したとしても、導電体層6からファスナ本体4へ流れようとする雷撃電流を遮断する(低減させる)ことができる。
さらにまた、本実施形態に係る耐雷ファスナ31が、例えば、図1に示すような航空機の外板10と、構造材(例えば、リブ、ストリンガ等)11とを結合するのに用いられた場合には、ファスナ本体4の方へは雷撃電流が流れない(流れ難い)ようになっているので、従来、構造材11とカラー17との間にスパーク防止のために必要とされたDI(Dielectric Insulator:絶縁板)、および雄ネジ部2aの先端部とカラー17の全体を覆うように取り付けられていた(カラー17からの二次的放電を防止するために取り付けられていた)絶縁ゴム製のキャップをすべてなくすことができ、機体重量を大幅に低減させることができる。
なお、図6は耐雷ファスナ1の形状をもとに説明した図であり、耐雷ファスナ21,31についても同様である。
(1)軸部2の他端部に雄ネジ部2aが形成されたファスナ本体4を準備し、頭部3に、耐雷ファスナ1の場合にはファスナ側係合部7を、耐雷ファスナ21の場合には複数個のファスナ側係合部22を、耐雷ファスナ31の場合にはファスナ側係合部32を加工する。
(2)次に、型締力30tonの縦型射出成形機(図示せず)と、取り数4個のインサート成形用金型41(図5参照)を用いて絶縁体層5を有する耐雷ファスナ1の成形を行う。絶縁体層5の材料としては熱可塑性のポリイミド(以下、「樹脂」という。)を用い、シリンダ温度は380℃に設定する。また、金型温度は、金型内に組み込んだカートリッジヒータ45(図5参照)により180℃に温調する。
(3)金型41を予め射出成形機の型盤に取り付け、金型41の蓋部材41bを開く(図6(a)参照)。頭部3に加工が施されたファスナ本体4を、金型41の本体41aに形成された耐雷ファスナを受け入れる穴部44の中に挿入する。この際、ファスナ本体4を金型温度もしくはその近傍の温度に予熱しておくと、樹脂とファスナ本体4との高い密着性ならびに樹脂の良好な流動性が得られる。
(4)金型の蓋部材41bを閉じ(図6(b)参照)、所定の型締力を加えた後、頭部3の近くに設けられた樹脂の注入点(ゲート)43aより樹脂を射出充填し、頭部3に絶縁体層5を形成させる(図6(c)参照)。注入点43aの形状はピンゲート形状とし、頭部3のほぼ真ん中に位置する。頭部3の面に垂直に樹脂の注入点43aを設ける事により、樹脂の射出充填に伴い発生する樹脂圧力によってファスナ本体4が金型41の本体41aに押し付けられる。このため、頭部3の傾斜面とこれに相対する金型41の本体41aの傾斜面との間に生じる隙間が小さくなりバリの発生を抑制できる。
(5)射出完了後、ヒケを防止するため所定時間、保持圧をかけ一定時間冷却した後、金型の蓋部材41bを開き、頭部3に絶縁体層5を有する耐雷ファスナ1を取り出す。
(6)取り出した耐雷ファスナ1は一定時間放置し冷却したあと、必要であれば成形品のゲートマークをニッパーやサンドペーパーやカッターなどを用いて後加工し仕上げる。ただし、ゲートマークの処理方法はこれらの方法に限定されるものではない。
(7)また、成形時の残留応力を除去する目的で、必要に応じて絶縁層を有する耐雷ファスナ1を、加熱炉などを用いてアニール処理を行う。
(1)大気圧プラズマを照射する場合には、原料ガスとして空気(酸素、窒素、あるいはこれらを含むガス)を用い、流量:10sccm、圧力:大気圧、図示しない直流トーチ(RFトーチ、マイクロ波トーチ、あるいは真空トーチでもよい。)を40Wに設定した条件で、20秒間処理する。
(2)頭部3の表面に投射材粒子(例えば、金属、セラミックス、ガラス等の硬質粒子を投射して、頭部3の表面を粗面化させるための前処理を行う(このような処理は一般に「ショットブラスト」とも呼ばれる)場合には、圧力400kPa、使用グリット:アルミナ、番手#60、照射時間:10sec/20個、ノズルと供試体との距離:100mm、施工後の表面粗さ(凹凸):Ra1.6μm、カバレージ:100%以上の条件で行う。
(3)頭部3の表面に陽極酸化被膜形成処理を施す。
(4)頭部3の表面を粗面化させるための他の手段として、研磨目やローレット等を用いたり、化学的なエッチングを用いたりすることもできる。
あるいは、ファスナ頭部に融着する最初の絶縁体層を、その上に成形する絶縁体と比較して密着性の良い樹脂で作り、ファスナ頭部と絶縁体層の密着性を高めることも出来る。たとえば、最初の絶縁体層を、密着性の高いエラストマーとし、その上部に絶縁耐電圧の高いポリイミドを成形することで、密着性が高く絶縁性も高い耐雷ファスナとすることができる。作製方法としては、たとえばエラストマーとポリイミドの二色成形の射出成形を用いることが出来る。エラストマーのような柔らかい絶縁体を最初の絶縁体層に用いることで、密着性が向上するだけでなく、機械的かみ合い部分の応力を緩和し、かみ合い部分の破損を抑える効果も持たせることが出来る。
なお、図7は耐雷ファスナ31の形状をもとに説明した図であり、耐雷ファスナ1,21についても同様である。
(1)航空機の外板10と構造材11とを重ね合わせた後、ドリル等の穴あけ具(機械)を用いて、所定の場所に凹所(穴)16を穿設する(図7(a)参照)。
(2)凹所16の内表面(内周面)にシーリング材18を塗布する(図7(b)参照)。
(3)耐雷ファスナ31の軸部2をシーリング材18が塗布された穴16内に差し込み(挿入し)、構造材11から内方(裏面側)に突出する雄ネジ部2aにカラー17(図1参照)を締め込んでいく(図7(c)参照)。
(4)耐雷ファスナ31の表面(より詳しくは、導電体層6の表面)、シーリング材18の表面、および導電性メッシュ15の表面にアルミニウムテープ19を貼り付ける(図7(d)参照)。
例えば、導電体層6は、本発明に係る耐雷ファスナにおいて必須の要素ではなく、省略することもできる。すなわち、絶縁体層5の表面と導電性メッシュ15の表面とが、同一平面上に位置するように(面一になるように)構成することもできる。
外板50は、主として導電性(アルミニウムの1/100〜1/1000程度の導電性)を有する樹脂材料(例えば、CFRP(炭素繊維強化樹脂)であって、以下、「CFRP」という)12からなり、その表面(組み立て後、外側に位置する面)全体には、導電性を有する部材(例えば、銅)51が積層されており、その裏面(組み立て後、内側に位置する面)全体には、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、GFRP(ガラス繊維硬化樹脂)であって、以下、「GFRP」という)14が積層されている。
また、CFRP12の表面側に位置する導電性を有する部材51の表面全体には、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、GFRP(ガラス繊維硬化樹脂))52が積層されている。
3 頭部
5 絶縁体層
7 ファスナ側係合部(係合部)
7a 凸部
7b 凹部
10 外板
11 構造材
18 シーリング材
21 耐雷ファスナ
22 ファスナ側係合部(係合部)
31 耐雷ファスナ
32 ファスナ側係合部(係合部)
34 第1の凸部
35 第2の凸部
50 外板
A 航空機組立品
Claims (11)
- 航空機の外板と、この外板の内側に位置する構造材とを結合する耐雷ファスナであって、
絶縁体層が、頭部の一端面を覆うように融着により取り付けられているとともに、前記一端面に形成された係合部と機械的に噛み合っており、
前記係合部の周縁部が、周方向に沿って半径方向外側に突出する凸部を有し、
前記凸部の縦断面視形状が丸みを有しているとともに、
前記絶縁体層が、インサート成形により形成されていることを特徴とする耐雷ファスナ。 - 前記絶縁体層が、前記係合部の周縁部を包み込むように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の耐雷ファスナ。
- 前記係合部の表面の少なくとも一部に、微細な凹凸を形成する前処理が施されていることを特徴とする請求項1または2に記載の耐雷ファスナ。
- 前記絶縁体層が、前記係合部の表面との密着性に優れた材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
- 前記絶縁体層が、前記係合部の表面を覆う第一層と、この第一層を覆う層を少なくとも1層を有しており、前記第一層が、前記係合部の表面との密着性に優れた材料からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐雷ファスナ。
- 前記絶縁体層が、複数回のインサート成形により形成されることを特徴とする請求項5に記載の耐雷ファスナ。
- 導電性を有する樹脂材料を主たる要素として構成された外板と、この外板を内側から支持する構造材と、これら外板と構造材とを結合するファスナとを具備した航空機組立品であって、
前記ファスナが、請求項1から6のいずれか一項に記載した耐雷ファスナであることを特徴とする航空機組立品。 - 前記耐雷ファスナと前記外板との間が、シーリング材で満たされていることを特徴とする請求項7に記載の航空機組立品。
- 前記外板に穿設された穴と、この穴に対向する前記絶縁体層の面との間に隙間ができるように、前記絶縁体層が形成されていることを特徴とする請求項7または8に記載の航空機組立品。
- 前記絶縁体層の頂面と前記外板の表面とが、面一になるように加工されていることを特徴とする請求項7から9のいずれか一項に記載の航空機組立品。
- 請求項1から6のいずれか一項に記載の耐雷ファスナの製造方法であって、
軸部の他端部に雄ネジ部が形成されたファスナ本体を準備し、頭部にファスナ側係合部を加工する段階と、
金型を予め射出成形機の型盤に取り付け、前記金型の蓋部材を開き、前記頭部に加工が施された前記ファスナ本体を、前記金型の本体に形成された耐雷ファスナを受け入れる穴部の中に挿入する段階と、
前記金型の蓋部材を閉じ、所定の型締力を加えた後、前記頭部の近くに設けられた樹脂の注入点より樹脂を射出充填し、前記頭部に前記絶縁体層を形成させる段階と、を備えていることを特徴とする耐雷ファスナの製造方法。
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