JP6269300B2 - スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法 - Google Patents

スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6269300B2
JP6269300B2 JP2014094696A JP2014094696A JP6269300B2 JP 6269300 B2 JP6269300 B2 JP 6269300B2 JP 2014094696 A JP2014094696 A JP 2014094696A JP 2014094696 A JP2014094696 A JP 2014094696A JP 6269300 B2 JP6269300 B2 JP 6269300B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
catalyst
deoxygenation
sulfoxide
reaction
tio
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014094696A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015211932A (ja
Inventor
金田 清臣
清臣 金田
由紀夫 高木
由紀夫 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NE Chemcat Corp
Osaka University NUC
Original Assignee
NE Chemcat Corp
Osaka University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NE Chemcat Corp, Osaka University NUC filed Critical NE Chemcat Corp
Priority to JP2014094696A priority Critical patent/JP6269300B2/ja
Publication of JP2015211932A publication Critical patent/JP2015211932A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6269300B2 publication Critical patent/JP6269300B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Heterocyclic Compounds Containing Sulfur Atoms (AREA)
  • Nitrogen- Or Sulfur-Containing Heterocyclic Ring Compounds With Rings Of Six Or More Members (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、スルホキシドの脱酸素用触媒に関する。詳しくは、スルホキシド化合物が有するスルフィニル基を選択的に脱酸素することができる脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法に関する。
スルホキシド化合物は、不斉中心を持つことから有機化合物の不斉導入剤として用いられている。スルホキシド化合物は、不斉導入剤として使用された後は、脱酸素、脱硫等の過程を経て該有機化合物から除去される。このため、スルホキシド化合物の脱酸素反応は不斉有機合成において重要な反応である。従来、スルホキシド化合物の脱酸素反応は、ハロゲン(非特許文献1、非特許文献2)、カテコールボラン(非特許文献3)、又は金属試剤(非特許文献4、非特許文献5)を用い、その存在下において行われてきた。また、ReIO(PPh)又はMoOClといった金属オキソ種を触媒とし、脱酸素剤として、シラン(非特許文献6、非特許文献9)、ホスフィン(非特許文献7、非特許文献10)又はボラン(非特許文献8、非特許文献11)を用いて行われる反応系も報告されている。
これらの他にも、固体触媒を用いたスルホキシド化合物の脱酸素反応によるスルフィドの製造方法としては、担体表面に金ナノ粒子を固定化した金担持固体触媒を用いた方法も知られている(特許文献1)。
また、スルホキシド化合物の脱酸素反応として、分子状水素を脱酸素剤として採用した反応系も報告されている(非特許文献12〜15)。脱酸素剤として分子状水素を用いた反応は、脱酸素剤の環境負荷も少なく、反応後に脱酸素剤の分離が容易である。このような分子状水素を脱酸素剤に使用した固体触媒を用いたスルホキシド化合物の脱酸素反応系の開発は不斉有機合成において非常に魅力的である。
M. Madesclaire, "Reduction of sulfoxides to thioethers", Tetrahedron, 1988年, Vol.44, p.6537-6580 K. Bahrami, M. M. Khodaei, M. Khedri, "A Novel Method for the Deoxygenation of Sulfoxides with the PPh3/Br2/CuBr System", Chemistry Letters, 2007年, Vol.36, p.1324-1325 D. J. Harrison, N. C. Tam, C. M. Vogels, R. F. Langler, R. T. Baker, A. Decken, S. A. Westcott, "A gentle and efficient route for the deoxygenation of sulfoxides using catecholborane (HBcat; cat = 1,2-O2C6H4)", Tetrahedron Letters, 2004年, Vol.45, p.8493-8496 T.-H. Ho, C. M. Wong, "Ceric Ammonium Nitrate Oxidation of Polynuclear Aromatic Hydrocarbons to Quinones", Synthesis, 1973年, p.206-207 B. W. Yoo, H. M. Kim, D. Kim, "Selective and Efficient Deoxygenation of Sulfoxides with NbCl5/Indium System", Synthetic Communications, 2013年, Vol.43, p.2057-2061 A. C. Fernandes, C. C. Rom o, "A novel method for the reduction of sulfoxides and pyridine N-oxides with the system silane/MoO2Cl2", Tetrahedron 2006年, Vol.62, p.9650-9654 R. Sanz, J. Escribano, R. Aguado, M. R. Pedrosa, F. J. Arn iz, "Selective Deoxygenation of Sulfoxides to Sulfides with Phosphites Catalyzed by Dichlorodioxomolybdenum(VI)", Synthesis, 2004年, p.1629-1632 A. C. Fernandes, C. C. Rom o, "Reduction of sulfoxides with boranes catalyzed by MoO2Cl2", Tetrahedron Letters, 2007年, Vol.48, p.9176-9179 S. C. A. Sousa, A. C. Fernandes, "Highly efficient and chemoselective reduction of sulfoxides using the system silane/oxo-rhenium complexes", Tetrahedron Letters, 2009年, Vol.50, p.6872-6876 J. B. Arterburn, M. C. Perry, "Rhenium catalyzed sulfoxide reduction", Tetrahedron Letters, 1996年, Vol.37, p.7941-7944 I. Cabrita, S. C. A. Sousa, A. C. Fernandes, "Reduction of sulfoxides catalyzed by oxo-complexes", Tetrahedron Letters, 2010年, Vol.51, p.6132-6135 B. R. James, F. T. T. Ng, G. L. Rempel, "Catalytic reduction of dimethylsulfoxide by molecular hydrogen using rhodium(III) complexes", Cananadian Journal of Chemistry, 1969年, Vol.47, p.4521-4526 K. Ogura, M. Yamashita, G. Tsuchihashi, "Catalytic Deoxygenation of Sulfoxides by Molecular Hydrogen and its Application to the Homologation of Aromatic Aldehydes", Synthesis 1975年, p.385-389 P. Geneste, M. Bonnet, C. Frouin, D. Levach, "An efficient and selective deoxygenation of sulfoxides over CoO-MoO3/Al2O3 hydrodesulfurization catalyst", Journal of Catalysis, 1980年, Vol.61, p.277-278 P. M. Reis, P. J. Costa, C. C. Rom o, J. a Fernandes, M. J. Calhorda, B. Royo, "Hydrogen activation by high-valent oxo-molybdenum(VI) and -rhenium(VII) and -(V) compounds", Dalton Transactions, 2008年, p.1727-1733
特開2012−121845号公報
しかしながら、ハロゲン、カテコールボラン又は金属試剤を用いた反応や、ReIO(PPh)又はMoOClといった金属オキソ種を触媒とし、脱酸素剤にシラン、ホスフィン又はボランを用いた脱酸素反応は、反応後に多量の廃棄物を副生するため触媒効率が非常に低いといった問題があった。
また、脱酸素剤として分子状水素を用いた脱酸素反応は、高圧条件(5MPa)を必要とし(非特許文献13、非特許文献15)、触媒の活性も非常に低く(非特許文献12、非特許文献13、非特許文献15)、更には反応後の触媒と生成物の分離が困難であるという不都合もあった(非特許文献12、非特許文献15)。
一方、特許文献1に記載されたスルフィドの製造方法によれば、スルホキシド化合物を基質とし、脱酸素反応により高い転化率によりスルフィドを製造することができる。しかしながら、上記スルフィドの製造方法において採用されている脱酸素剤は、シラン化合物である。脱酸素剤としてシラン化合物が使用されることは、反応後には比較的高い沸点を有するシラン化合物の除去が必要であるという問題を有している。
本発明は、かかる技術的事情に鑑みてなされたものであって、スルホキシド化合物中のスルフィニル基を、きわめて高い転化率及び高い選択率にて脱酸素することができるスルホキシドの脱酸素用触媒を提供することを課題とする。また、本発明は、副成物が生成することなく、触媒効率にきわめて優れ、しかも反応後の触媒と生成物の分離が容易であるスルホキシドの脱酸素用触媒を提供することを課題とする。さらに、本発明は、上記脱酸素用触媒を使用し、スルホキシド化合物が有するスルフィニル基を選択的に脱酸素することができるスルフィドの製造方法を提供することを課題とする。
本件発明者等は、鋭意検討を行った結果、無機酸化物を担体とし、当該担体にルテニウムを担持させた触媒を脱酸素用触媒として採用することにより、スルホキシド化合物が有するスルフィニル基をきわめて高い選択率及び高い転化率にて脱酸素することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は、以下の技術的事項から構成される。
(1) 無機酸化物からなる担体にルテニウムを担持してなる、スルホキシド中のスルフィニル基(SO)の脱酸素用触媒であって、
前記無機酸化物がチタニアからなる、脱酸素用触媒。
(2) 前記スルホキシドが下記一般式(1)で表される、(1)に記載の脱酸素用触媒。
−SO−R (1)
(式中、R及びRは、各々独立して、それぞれ置換されていてもよい、アリール基、アルアルキル基又は炭化水素基を表すか、あるいはR及びRは、式中の硫黄原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成する。)
(3) スルホキシドからスルフィドを製造するための、(1)又は(2)のいずれか1に記載の脱酸素用触媒。
(4) 前記ルテニウムの平均粒子径が1〜20nmであり、前記無機酸化物のBET比表面積が20〜45m/gである、(1)〜(3)のいずれか1に記載の脱酸素用触媒。
(5) 溶媒中で、脱酸素剤の存在下で且つ(1)〜(4)のいずれか1に記載の脱酸素用触媒の存在下で、スルホキシド中のスルフィニル基(SO)を脱酸素することを特徴とする、スルフィドの製造方法。
(6) 前記脱酸素剤が分子状水素である、(5)に記載の製造方法。
(7) 前記脱酸素剤がアルコールである、(5)に記載の製造方法。
本発明によれば、無機酸化物からなる担体にルテニウムを担持した触媒を脱酸素用触媒として採用することにより、分子状水素、アルコール等の脱酸素剤を含む有機溶媒中に存在するスルホキシド化合物中のスルフィニル基を、きわめて高い転化率及び高い選択率にて脱酸素することができる。また、本発明によれば、耐久性にきわめて優れ、繰り返して使用した後であっても、スルホキシド化合物中のスルフィニル基をきわめて高い転化率及び高い選択率にて脱酸素することができる脱酸素用触媒が提供される。さらに、本発明によれば、脱酸素剤の存在下において、上記脱酸素用触媒を用いて、スルホキシド化合物中のスルフィニル基(SO)を脱酸素させたスルフィドの製造方法が提供される。
製造例1で得られたルテニウム(Ru)/チタニア(TiO)からなる脱酸素用触媒(1)に含まれるルテニウム(Ru)粒子径の分布図である。 製造例2で得られたルテニウム(Ru)/チタニア(TiO)からなる脱酸素用触媒(2)に含まれるルテニウム(Ru)粒子径の分布図である。 製造例7で得られたルテニウム(Ru)/ハイドロキシアパタイト(HAP)からなる脱酸素用触媒(7)に含まれるルテニウム(Ru)粒子径の分布図である。
以下、本発明の実施形態、特に様々な好適な実施形態について詳細に説明する。
<脱酸素用触媒>
本発明の脱酸素用触媒は、無機酸化物を担体とし、この無機酸化物にルテニウムが触媒成分として担持されていることを特徴とする。ルテニウムが担体に担持されている状態は特に限定されないが、ルテニウムは高分散状態で担体に担持されていることが好ましい。なお、ルテニウムの一部は担体内部に含浸された状態であっても良い。ここで「高分散状態」とは、下記に記載するような微細粒子状のルテニウムが特定範囲のBET比表面積を有する担体上に均一に分散している状態を云う。
ルテニウムが高分散状態で担体に担持されていることにより、活性種であるルテニウムの表面積が増加し、スルホキシド化合物からスルフィドへの転化率及び選択率を向上させることができる。ルテニウムが高分散状態で担体に担持されるためには、ルテニウムが微細粒子状であることを言い、そのためには担体である無機酸化物の比表面積値(BET比表面積)が高いことが望ましい。比表面積値(BET比表面積)が高い担体であれば、後述する本発明の脱酸素用触媒の製造方法が備える担持工程において、担体に微細粒子状ルテニウムを「高分散状態」に担持させることができる。以下、本発明の脱酸素用触媒を構成する担体、触媒成分等について説明する。
(担体)
本発明の脱酸素用触媒を構成する担体は、無機酸化物である。無機酸化物の物性は限定されないが、比表面積値(BET比表面積)が20〜150m/g、より好ましくは20〜100m/g、更に好ましくは20〜45m/gである。担体の比表面積値(BET比表面積)が20m/g以上であると、触媒成分であるルテニウムが担体上において、良好に分散し、脱酸素用触媒としての活性も向上するため好ましい。一方、担体の比表面積値(BET比表面積)が150m/g以下であると、触媒成分であるルテニウムが高い触媒活性を有しつつ、脱酸素反応以外の副反応も抑制され、脱酸素反応の選択性が低下することが少ないため好ましい。担体の大きさは、その平均粒子径が1〜200nm、より好ましくは5〜100nmであることが好ましい。
無機酸化物としては、触媒成分であるルテニウム(Ru)を担持することができ、かつ「高分散状態」を担保することができる無機酸化物であれば特に制限されるものではないが、チタニア(TiO)、ハイドロキシアパタイト(HAP)を挙げることができる。これらの無機酸化物の中でも、基質であるスルホキシド化合物から反応生成物であるスルフィド化合物への高い転化率と高い選択率の観点から、チタニア(TiO)、ハイドロキシアパタイト(HAP)が好ましく、特にチタニア(TiO)が好ましい。
本発明の脱酸素用触媒の担体として使用されるチタニア(TiO)の結晶構造は、特に限定されるものではない。例えば、チタニア(TiO)の結晶構造は、アナターゼ型、ルチル型及びブルッカイト型のいずれでもよいが、アナターゼ型のチタニアが好ましい。
チタニア(TiO)は、塩素法、硫酸法等、公知の方法で製造される。具体的には、脱イオン蒸留水に塩化チタン水溶液及び尿素を加え、100℃にて一定時間加熱撹拌して得られた白色ゲル状物質を吸引濾過、洗浄、乾燥、焼成することにより得られる。このようなチタニア(TiO)は、上記のような調製法によって得るほか、市販品を使用してもよい。なお、このようなチタニアは純粋な二酸化チタンの他、本発明の作用を妨げない範囲でシリカやアルミナ等の他の無機酸化物やその他の添加物が含まれていてもよい。
脱酸素用触媒の担体として使用されるハイドロキシアパタイト(HAP)は、下記一般式(2)で表される化合物である。ハイドロキシアパタイト(HAP)は、触媒成分である遷移金属に対して高い吸着性を示す。ハイドロキシアパタイト(HAP)は、イオン交換性も示す。ハイドロキシアパタイト(HAP)は、結晶性を向上させるために焼結されていてもよい。焼結されたハイドロキシアパタイト(HAP)は、結晶性が高く、担体としての使用された場合、溶解しにくいため、脱酸素反応後に分離し易いため好ましい。ハイドロキシアパタイト(HAP)の粒子形状は、特に限定されるものではなく、球状であっても、ロッド状であってもよい。なお、ハイドロキシアパタイト(HAP)は、粒子同士の凝集を防止させるために適宜処理されたものであってもよい。
Ca10−Z(HPO(PO6−Z(OH)2−Z・nHO (2)
[式(2)中、Zは0〜1の数であり、nは0〜2.5の数である。]
上記ハイドロキシアパタイト(HAP)は、蒸発乾固法、固相反応法、水熱合成法、沈殿反応法、加水分解法等、公知の方法で製造できる。例えば、燐酸水素アンモニウムの水溶液にアンモニア水を添加してpHを11に調製し、この溶液にアンモニア水でpHを予め11に調製した1.67倍モル、又は1.50倍モルの硝酸カルシウム水溶液を添加し、熟成後、生じた沈殿を濾過、洗浄、乾燥をすることにより以下のハイドロキシアパタイト(HAP)が得られる。なお、以下のハイドロキシアパタイト(HAP)は上記のような調製法によって得る他、市販品を使用してもよい。
上記式(2)におけるZ=0のハイドロキシアパタイト(HAP):
Ca10(PO(OH)・nHO、又は
Z=1のハイドロキシアパタイト(HAP):
Ca(HPO)(PO(OH)・nHOである。
(ルテニウム)
本発明の脱酸素用触媒の触媒成分として担体に担持されるルテニウムは、ルテニウム、又はルテニウムを主成分とする遷移金属である。ルテニウムは、その平均粒子径が数nm程度の微細粒子として、担体に担持されていることが好ましい。具体的には、ルテニウムの平均粒子径は、1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることがより好ましく、1〜5nmであることが更に好ましく、1〜2nmであることが最も好ましい。このような平均粒子径を有するルテニウムを触媒成分として使用した場合、基質であるスルホキシド化合物から反応生成物であるスルフィド化合物への高い転化率及び高い選択率を実現することができる。なお、本発明において「平均粒子径」とは、TEM(透過型電子顕微鏡:Transmission Electron Microscope)観察による、任意の数粒子群からなる粒子の直径の平均値のことをいう。なお、本発明の脱酸素用触媒の触媒成分として担体に担持されるルテニウムは、ルテニウムを主成分とするものであればよく、ルテニウムの他、本発明の作用を損なわない範囲で白金、パラジウム、チタン、ジルコニウム、金、銀、銅等の遷移金属を副成分として添加してもよい。
ルテニウムの担体への担持量は、担体1g当たり0.01〜1.00モルであり、好ましくは0.05〜0.5モル、より好ましくは0.1〜0.25モルである。ルテニウムの担持量が0.01モル以上であると、スルホキシド化合物から反応生成物であるスルフィドへの高い転化率及び高い選択率を実現することができるため好ましい。一方、ルテニウムの担持量が1.0モル以下であるとルテニウムの分散性が悪くなり、副反応が起こり、基質であるスルホキシドから反応生成物であるスルフィドへの転化率が低下することがないため好ましくない。
<脱酸素用触媒の製造方法>
本発明の脱酸素用触媒の製造方法は、特に限定されるものではなく、広く知られている各種の製造方法を採用することができる。脱酸素用触媒の製造方法としては、例えば、含浸法、共沈法、競争吸着法等を挙げることができる。具体的には、例えば、担体となる無機酸化物粉末を塩化ルテニウム等のルテニウム化合物の溶液に加え、必要に応じて更に尿素等の析出剤を該溶液に加えてルテニウム化合物を該無機酸化物粉末上に析出させる。その後、洗浄、乾燥、及び必要に応じて還元工程を経ることにより、本発明の脱酸素用触媒が製造される。
(ルテニウム化合物)
脱酸素用触媒の製造方法に使用されるルテニウム化合物は特に限定されないが、例えば、以下に示すような化合物が挙げられる。
RuCl、RuBrの如きハロゲン化物;KRuCl、KRuClの如きハロゲノ酸塩;KRuOの如きオキソ酸塩;RuOCl、RuOCl、RuOClの如きオキシハロゲン化物;K[RuCl(HO)]、[RuCl(HO)]Cl、K[RuOCl10]、Cs[RuOCl]の如きハロゲノ錯体;[Ru(NHO]Cl、[Ru(NHCl]Cl、[Ru(NH]Cl、[Ru(NH]Cl、[Ru(NH]Brの如きアンミン錯体;Ru(CO)、Ru(CO)12の如きカルボニル錯体;[RuO(OCOCH(HO)]OCOCH、[Ru(OCOR)]Cl(R=炭素数1〜3のアルキル基)の如きカルボキシラト錯体;K[RuCl(NO)]、[Ru(NH(NO)]Cl、[Ru(OH)(NH(NO)](NO、[Ru(NO)](NOの如きニトロシル錯体、ホスフィン錯体、アミン錯体、アセチルアセトナト錯体等が挙げられる。
チタニア(TiO)又はハイドロキシアパタイト(HAP)を担体として使用する場合には、上記のルテニウム化合物の中でハロゲン化物又はオキシハロゲン化物が好ましく用いられる。なお、ルテニウム化合物は2種以上を組み合わせて、使用してもよい。
(ルテニウム担持工程等)
ルテニウム化合物を水等の溶媒に溶解する。この溶液に必要に応じて尿素のような析出剤及び無機酸化物を加え、例えば、80〜120℃の温度で4〜8時間程加熱撹拌する。その後、得られた沈殿をろ過、洗浄し、乾燥工程及び必要に応じて還元工程を経て、ルテニウム担持無機酸化物担体として触媒化される。ここで、乾燥工程は特に限定されるものではないが、概ね100〜150℃の範囲の温度で処理されることが好ましい。温度が100℃未満であると塩素やアンモニア等が充分に除去されないことがあり、温度が150℃超えるとルテニウムの還元が進行してしまいルテニウム粒径が大きくなり過ぎることがあり、脱酸素用触媒としての触媒活性が低下することがあるため好ましくない。このように還元されたルテニウム担持触媒は、必要に応じて解砕、分級を経て、本発明の脱酸素用触媒となる。
なお、上記還元工程に用いる還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化ホウ素カリウム(KBH)等の水素化錯化合物、ヒドラジン、水素(H)、ジメチルフェニルシラン等のシラン化合物、ヒドロキシ化合物等を挙げることができる。還元剤としては水素が最も好ましいが、水素以外の還元剤の中では、水素化ホウ素カリウム(KBH)が好ましい。水素化ホウ素カリウム(KBH)を用いることによって、担体に固定化されたルテニウムの平均粒子径が小さくなる傾向があり、脱酸素用触媒としての触媒活性を向上させることができる。
<スルフィドの製造方法>
次に、本発明のスルフィドの製造方法について説明する。本発明のスルフィドの製造方法は、基質をスルホキシド化合物とし、本発明の脱酸素用触媒を用いて、スルホキシド化合物中に存在するスルホキシド中のスルフィニル基(SO)中の酸素原子を脱離させ、反応生成物としてスルフィドを製造する方法である。スルフィドの製造方法は、溶媒中で、脱酸素剤の存在下で且つ、上記脱酸素用触媒を用いて、スルホキシド中のスルフィニル基(SO)を脱酸素することを特徴としている。以下、スルフィドの製造方法に必要となる基質、脱酸素剤、反応条件等について説明する。
(脱酸素剤)
本発明のスルフィドの製造方法に使用される脱酸素剤は、特に制限されるものではないが、分子状水素、アルコール等が使用できる。水素及びアルコールは共に入手が容易であり、水素については安価で入手も容易であり、その取扱い方法についても高い安全性が確立されている。アルコールについては液体としての保存管理が可能で取り扱い性に優れる。
(分子状水素)
脱酸素剤として分子状水素を用いる場合、水素を1atm以上で使用することが好ましい。脱酸素剤として分子状水素を使用し、担体をチタニア(TiO)とした場合には、基質であるスルホキシド化合物から転化率及び選択率共に高い効率でスルフィドを製造することができる。
(アルコール)
脱酸素剤として使用されるアルコールは特に限定されないが、炭素原子数1〜8の脂肪族アルコール、炭素原子数6〜10の芳香族アルコール等が挙げられる。炭素原子数1〜8の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、n-アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等が挙げられる。炭素原子数6〜10の芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、シンナミルアルコール等が挙げられる。特に、エタノール、イソプロピルアルコール、及びベンジルアルコールが好ましい。脱酸素剤としてのアルコールの使用量は、好ましくは基質の2〜50倍モル、より好ましくは5〜20倍モルである。
(スルホキシド:基質)
本発明のスルフィドの製造方法において、基質となるスルホキシド化合物は、少なくともスルフィニル基(SO)を有している化合物であれば、特に限定されるものではないが、下記一般式(1)で表されるスルホキシドが好ましい。
−SO−R (1)
(式中、R及びRは、各々独立して、それぞれ置換されていてもよい、アリール基、アルアルキル基(アラルキル基)又は炭化水素基を表すか、あるいはR及びRは、式中の硫黄原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成する。)
上記一般式(1)中、R又はRとしての前記アリール基は、特にフェニル基が挙げられる。前記アルアルキル基としては、特にベンジル基が挙げられる。該アリール基及び該アルアルキル基は、少なくとも一つの置換基、例えばハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、アセチル基、メトキシカルボニル基又はアセトアミド基で置換されていてもよい。前記炭化水素基は、少なくとも一つの水素原子が置換基によって置換されていてもよい、好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基である。その置換基としては、前述したアリール基及び該アルアルキル基の置換基が挙げられ、好ましくはアミノ基、アルデヒド基及びカルボキシル基が挙げられる。RとRが、互いに連結して硫黄原子と共に複素環を形成する場合、該複素環は一環、二環又は三環式のいずれの複素環であってもよく、前記スルホキシド化合物中の硫黄原子以外に、1個又は2個以上のヘテロ原子、例えば窒素を含んでもよい。
本発明のスルフィドの製造方法において、基質となるスルホキシド化合物の代表的な例として、例えばジメチルスルホキシド、エチルメチルスルホキシド、メチルプロピルスルホキシド、ジプロピルスルホキシド、ジブチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、エチルフェニルスルホキシド、フェニルビニルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド、メトキシカルボニルメチル−フェニルスルホキシド、シアノメチル−フェニルスルホキシド、(2−プロピニル)−フェニルスルホキシド、(4−アセチルフェニル)−メチル−スルホキシド等が挙げられる。
(脱酸素反応)
本発明のスルフィドの製造方法において、基質であるスルホキシド化合物は脱酸素反応を経てスルフィドとなる。脱酸素反応は、後述する実施例において詳細に記すが、概ね以下のような条件の下でスルホキシド化合物が有するスルフィニル基中の酸素原子が脱酸素される。また、本発明の脱酸素用触媒は、基質であるスルホキシド化合物がスルフィニル基以外の酸素又は酸素含有基(例えば、カルボキシル基、水酸基等)を含む場合であっても、スルフィニル基のみを選択的に脱酸素することができる。
(基質に対する脱酸素用触媒の使用量)
本発明の脱酸素用触媒の使用量は、基質に対して、ルテニウム金属換算で1〜15mol%、更に3〜12mol%、特に5〜10mol%が好ましい。基質に対するルテニウムの使用量が1mol%未満であると十分な触媒活性を得られない。一方、基質に対するルテニウムの含有量が15mol%を超えても効果の向上は少ないため、経済性に不利益である。
(溶媒)
本発明の脱酸素反応は液相で行われることが好ましい。使用する溶媒としては、トルエン、1,4−ジオキサン、メシチレン、ビス(メトキシエチル)エーテル、トリフルオロエタン、n−ヘプタン等の有機溶媒、又は水が好ましい。脱酸素剤として分子状水素を使用する場合は、使用する溶媒としては1,4−ジオキサン、メシチレン、ビス(メトキシエチル)エーテル又は水が好ましい。一方、脱酸素剤としてアルコールを使用する場合は、使用する溶媒としてはトルエン、トリフルオロエタン、n−ヘプタンのような有機溶媒が好ましい。
(反応温度)
脱酸素反応における反応温度は、基質であるスルホキシド化合物の種類、反応生成物となるスルフィド化合物及び溶媒に応じて適宜選択することができる。脱酸素反応における反応温度は、スルホキシド化合物が有するスルフィニル基中の酸素原子が脱酸素することができる温度であれば、特に限定されるものではなく、例えば20〜200℃である。特に、脱酸素反応における好ましい反応温度は、100〜180℃である。
(反応雰囲気)
脱酸素反応は、アルゴンや窒素などの不活性雰囲気で行うことが好ましい。また、脱酸素剤として分子状水素を用いる場合は、1atm以上の水素雰囲気で行ってもよい。
脱酸素反応は、基質であるスルホキシド化合物が脱酸素用触媒に接触し、十分に反応することができれば、どのような装置、反応容器を用いて行ってもよい。例えば、脱酸素剤として分子状水素を用いる場合は、マイクロリアクター等を用いて連続方式を採用して行うことができる。この場合、脱酸素用触媒をマイクロリアクターのカラムに充填し、上記の溶媒に基質であるスルホキシドを溶解した溶液及び水素ガスをカラムに供給して反応を行う。また、脱酸素剤としてアルコールを用いる場合は、シュレンク管等の反応容器を用いてバッチ方式を採用して行うことができる。この場合、本発明の脱酸素用触媒、基質であるスルホキシド化合物及び溶媒を該反応容器に入れ、反応容器内を上記の不活性ガスで置換して反応を行う。
なお、本発明のスルフィドの製造方法によれば、脱酸素用触媒を用い、脱酸素剤としてシラン化合物を用いることなく、分子状酸素又はアルコールを存在させることにより、スルホキシド化合物からスルフィドを高転化率、高収率にて製造することができる。さらに、本発明のスルフィドの製造方法は、脱酸素剤としてシラン化合物を使用していないので、脱酸素反応が完了した後にスルフィドとシラン化合物を分離する必要がないという利点を有する。
本発明の脱酸素用触媒は、反応生成物であるスルフィド化合物を製造するために使用した後、改めて、基質であるスルホキシド化合物に作用させて、脱酸素用触媒として再利用することができる。再利用するにあたっては、脱酸素反応に使用した使用済み脱酸素用触媒をそのまま使用してもよいが、脱酸素反応に供した溶媒を使用して、使用済み脱酸素用触媒を洗浄して再利用することもできる。
以下、本発明の脱酸素反応に使用する脱酸素用触媒の製造例、並びに本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で広く応用可能である。
<製造例1〜7>
・TiO(1):
脱イオン蒸留水200mLに塩化チタン(和光純薬工業株式会社製,16−17wt%水溶液)20g、尿素(和光純薬工業株式会社製)15gを加え、100℃にて12時間激しくかき混ぜながら加熱撹拌した。得られた白色ゲル状物質を吸引濾過し、脱イオン蒸留水(約1L)でろ液が中性になるまで洗浄した。残った沈殿を110℃にて一晩乾燥させ、乳鉢で粉砕した後、電気炉で300℃、3時間焼成することにより黄色味がかった白色のTiO(約5.8g)を得た。このようにして得られたチタニアをX線回折(XRD:X‐ray diffraction)したところアナターゼ型であることが確認された。また、BET比表面積は32m/gであった。
・TiO(2):触媒学会参照触媒、名称:JRC−TIO−4、BET比表面積:50m/g
・TiO(3):触媒学会参照触媒、名称:JRC−TIO−1、BET比表面積:72m/g
・TiO(4):触媒学会参照触媒、名称:JRC−TIO−2、BET比表面積:18m/g
・ハイドロキシアパタイト(HAP):和光純薬工業株式会社製、商品名:「ハイドロキシアパタイト」、BET比表面積:48m/g
・シリカ:富士シリシア化学株式会社社製、商品名:CARiACT Q−3、BET比表面積:100m/g
・γ−アルミナ:触媒学会参照触媒、名称:JRC−ALO−4、BET比表面積:174m/g
(脱酸素用触媒の製造)
以下の製造例1〜7で得られた脱酸素用触媒中のルテニウム粒子の平均粒子径を測定した。平均粒子径はTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて観察することにより、一つの粒子群中の粒子の直径の平均値を平均粒子径として算出した。
(製造例1:実施例用触媒(1)(Ru/TiO)の製造)
ルテニウム塩化物(RuCl・nHO)(N.E.CHAMCAT株式会社製、Ru含有量41.87wt%)0.12g(0.5mmol)を脱イオン蒸留水100mLに加え、RuClを溶解させた。ここにTiO(1) 1gおよび尿素 1gを加え、100℃にて6時間加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過し、脱イオン蒸留水1Lで洗浄後、110℃にて一晩乾燥させた。これを水素雰囲気下、150℃にて1時間還元処理することで、Ru/TiOから成る触媒(1)を得た。
この触媒(1)のRu粒子の粒子径を測定したところ、平均粒子径は1.6nm(標準偏差σ=0.34nm)であった。Ru粒子径の分布を図1に示す。
(製造例2:実施例用触媒(2)(Ru/TiO)の製造)
製造例1において還元処理に使用した水素雰囲気の代わりに水素化ホウ素カリウム(KBH)を混合して使用した以外は、製造例1と同様にしてRu/TiOから成る触媒(2)を得た。この触媒(2)のRu粒子の粒子径を測定したところ、平均粒子径は2.0nm(標準偏差σ=0.34nm)であった。Ru粒子の粒子径の分布を図2に示す。
(製造例3:実施例用触媒(3)(Ru/TiO)の製造)
製造例1において還元処理に使用した水素雰囲気の代わりにエチレングリコールを混合して使用した以外は、製造例1と同様にしてRu/TiOから成る触媒(3)を得た。この触媒(3)のRu粒子の平均粒子径は2.7nmであった。
(製造例4:実施例用触媒(4)(Ru/TiO)の製造)
製造例1においてTiO(1)の代わりにTiO(2)を用いた以外は、製造例1と同様にして、Ru/TiOから成る触媒(4)を得た。なお、以下の製造例においては、Ru粒子の平均粒子径が1〜20nmとなるように適宜調製して、実施例用触媒を製造した。
(製造例5:実施例用触媒(5)(Ru/TiO)の製造)
製造例1においてTiO(1)の代わりにTiO(3)を用いた以外は、製造例1と同様にして、Ru/TiOから成る触媒(5)を得た。
(製造例6:実施例用触媒(6)(Ru/TiO)の製造)
製造例1においてTiO(1)の代わりにTiO(4)を用いた以外は、製造例1と同様にして、Ru/TiOから成る触媒(6)を得た。
(製造例7:実施例用触媒(7)(Ru/HAP)の製造)
塩化ルテニウム(RuCl・nHO)(N.E.CHAMCAT株式会社製、Ru含有量41.87wt%)0.12g(0.5mmol)を脱イオン蒸留水100mLに加え、RuClを溶解させた。ここにHAP 1gおよび尿素 1gを加え、100℃にて6時間加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過し、脱イオン蒸留水1Lで洗浄後、110℃にて一晩乾燥させた。これを水素雰囲気下、150℃にて1時間還元処理することでRu/HAPから成る触媒(7)を得た。なお、製造例7において製造した、
この触媒(7)中のRu粒子径を測定したところ、平均粒子径は3.0nm(標準偏差0.70nm)であった。Ru粒子の粒子径の分布を図3に示す。
<比較製造例1〜14>
(比較製造例1:比較例用触媒(C1)(Ru/SiO)の製造)
製造例1でTiO(1)の代わりに前記シリカ(BET比表面積:100m/g)を用いた以外は、製造例1と同様にして、Ru/SiOから成る触媒(C1)を得た。この触媒(C1)のRu粒子の平均粒子径は2.1nmであった。
(比較製造例2:比較例用触媒(C2)(Ru/Al)の製造)
製造例1でTiO(1)の代わりに前記γ−アルミナ(BET比表面積:174m/g)を用いた以外は、製造例1と同様にして、Ru/Alから成る触媒(C2)を得た。触媒(C2)中のRu粒子の平均粒子径は4.2nmであった。
(比較製造例3:比較例用触媒(C3)(Ru/CeO)の製造)
製造例1でTiO(1)の代わりに酸化セリア(触媒学会参照触媒、名称:JRC−CEO−3,BET比表面積:81.4m/g)を用いた以外は、製造例1と同様にして、Ru/CeOから成る触媒(C3)を得た。なお、比較製造例3においては、触媒成分粒子の平均粒子径が1〜20nmとなるように適宜調製して、比較例用触媒(C3)を製造した。
(比較製造例4:比較例用触媒(C4)(Rh/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を塩化ロジウム水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下、110℃にて1時間還元することにより、Rh/TiOから成る比較例用触媒(C4)を得た。この触媒(C4)中のRh粒子の平均粒子径は約5.2nmであった。
(比較製造例5:比較例用触媒(C5)(Pt/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を塩化白金酸カリウム水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下110℃にて1時間還元することにより、Pt/TiOから成る比較例用触媒(C5)を得た。この触媒(C5)中のPt粒子の平均粒子径は2.4nmであった。
(比較製造例6:比較例用触媒(C6)(Pd/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を塩化パラジウム酸ナトリウム水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下110℃にて1時間還元することにより、Pd/TiOから成る比較例用触媒(C6)を得た。この触媒(C6)中のPd粒子の平均粒子径は5.2nmであった。
(比較製造例7:比較例用触媒(C7)(Cu/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を銅トリフラート水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下180℃にて1時間還元することで、Cu/TiOから成る比較例用触媒(C7)を得た。なお、以下の比較製造例においては、触媒成分粒子(Cu,Ni,Ag,Rh等)の平均粒子径が1〜20nmとなるように適宜調製して、比較例用触媒を製造した。
(比較製造例8:比較例用触媒(C8)(Ni/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を塩化ニッケル水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下180℃にて1時間還元することで、Ni/TiOから成る比較例用触媒(C8)を得た。
(比較製造例9:比較例用触媒(C9)(Ag/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を硝酸銀水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下110℃にて1時間還元することで、Ag/TiOから成る比較例用触媒(C9)を得た。
(比較製造例10:比較例用触媒(C10)(Au/TiO)の製造)
TiO(1)(1.0g)を塩化金酸水溶液(5mM,100mL)に加え、尿素1.0gと共に6時間100℃にて加熱撹拌した。得られた沈殿をろ過した後、1Lのイオン交換蒸留水により洗浄したのち、110℃にて一晩乾燥後、これらを水素雰囲気下110℃にて1時間還元することで、Au/TiOから成る比較例用触媒(C10)を得た。
(比較製造例11:比較例用触媒(C11)(Rh/HAP)の製造)
比較製造例4におけるTiO(1)をHAP(1.0g)にした以外は比較製造例4と同様にして、Rh/HAPから成る比較例用触媒(C11)を得た。
(比較製造例12:比較例用触媒(C12)(Pt/HAP)の製造)
比較製造例5におけるTiO(1)をHAPにした以外は比較製造例5と同様にしてPt/HAPから成る比較例用触媒(C12)を得た。
(比較製造例13:比較例用触媒(C13)(Pd/HAP)の製造)
比較製造例6におけるTiO(1)を製造例6で使用したHAPに代えた以外は比較製造例6と同様にして、Pd/HAPから成る比較例用触媒(C13)を得た。
(比較製造例14:比較例用触媒(C14)(Au/HAP)の製造)
比較製造例10におけるTiO(1)を製造例10で使用したHAPに代えた以外は製造例7と同様にして、Au/HAPから成る比較例用触媒(C14)を得た。
<脱酸素反応によるスルフィドの製造>
調製した触媒を使用し、基質の脱酸素反応を行った。実施例1〜26及び実施例28〜40(溶媒が有機溶媒)では、基質の転化率と生成物の収率はガスクロマトグラフを用いて測定し、算出した。ガスクロマトグラフはGC−2014(SHIMADZU製)、カラム充填剤はKOCL(3m)を使用した。また、実施例27(溶媒が水)では、基質であるスルホキシドからスルフィドの転化率と反応生成物であるスルフィドの収率は、H−NMR(日本電子社製、装置名「JNM−GSX270」、重溶媒:重水(DO))を用いて測定し、算出した。
(実施例1〜26:脱酸素剤(還元剤)が分子状水素の反応)
製造例1〜7及び比較製造例1〜10で製造した脱酸素用触媒を用いて、脱酸素剤として分子状水素を使用して、基質であるスルホキシドの脱酸素反応を行った。脱酸素反応は、フローガスリアクターを使用して行った。フローガスリアクターによる反応に使用したカラムは、内径5mm、長さ20mmのステンレス製管である。触媒は、希釈剤としてのSiO(CARiACT−Q3;1.0g(BET比表面積:550m/g,細孔容積:0.3m/g))と共にメタノール(MeOH)中で混合し、減圧条件下、加熱処理して該SiOに含浸させた。この希釈処理した触媒をカラムに充填し、カラム内の温度を適宜調整して反応に使用した。脱酸素剤(還元剤)である分子状水素は、反応系に2mL/minで供給し、反応系中で常に1atmになるように調整した。
(実施例1〜7及び比較例1〜10)
製造例1〜7及び比較製造例1〜10で製造した脱酸素用触媒(1)〜(7)及び(C1)〜(C10)を用いて、下記反応条件1の条件下、基質として、ジフェニルスルホキシド(0.5mmol)を採択して、脱酸素反応を行い、スルフィドを製造した。表1に各実施例及び比較例において使用した脱酸素用触媒の種類を示した。併せて、表1に基質であるスルホキシド化合物からスルフィドへの転化率及び反応生成物であるスルフィドの収率を示した。
[反応条件1]
・反応装置:フローガスリアクター
・触媒:表1に記載
・触媒量:金属換算で0.025mmol(基質に対して5mol%)
・脱酸素剤:水素(1気圧)、2mL/min
・溶媒:1,4−ジオキサン 5ml
・反応温度:100℃
・反応時間:1時間
表1の結果から、脱酸素剤として分子状水素を使用した場合、本発明の脱酸素用触媒は、チタニア(TiO)、ハイドロキシアパタイト(HAP)を無機酸化物担体として使用した場合、99%を超える高い転化率及び99%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮していることがわかる。特に、担体として、チタニア(TiO)を使用した場合にこのような優れた効果を発揮していることがわかる。
また、本発明の脱酸素用触媒は、チタニア(TiO)、ハイドロキシアパタイト(HAP)担体のBET比表面積の範囲においてジフェニルスルフィドの脱酸素反応に有用であることがわかる。
一方、触媒成分としてルテニウム以外の金属を用いた脱酸素用触媒は、基質の転化率及び生成物の収率が10%程度と非常に低いことがわかる。
<Ru/TiO触媒(1)の耐久性評価>
(試験例1〜5)
製造例1で製造した脱酸素用触媒Ru/TiO触媒(1)の耐久性を評価した。脱酸素用触媒の耐久性は、スルホキシド化合物からスルフィドを製造するために使用した後の脱酸素用触媒を評価することにより行った。具体的には、Ru/TiO触媒(1)を用いて、反応時間を表2に示した時間とした以外は反応条件1と同様の条件のもと、基質:ジフェニルスルホキシド(0.5mmol)の脱酸素反応を行って、ジフェニルスルフィドを生成した。使用後の脱酸素用触媒を用いて、脱酸素反応を行うことにより、本発明の脱酸素用触媒の耐久性を評価した。
1:試験例1で使用済みの触媒(1)
表2中、試験例1では実施例1と同様に高い転化率、高い収率を示した。その後、試験例1で使用した脱酸素用触媒を再利用して、改めて脱酸素反応を試みたところ、スルホキシド化合物からスルフィドへの転化率及び収率共に半分以下に低下した(試験例2)。
しかしながら、フローリアクターによる反応時間を延長した。試験例1で使用した脱酸素用触媒を用いて、反応時間を4時間とすることで、試験例1と同様に高い転化率及び収率が得られることが分かった(試験例3)。
また、試験例3で使用した脱酸素用触媒について、さらに反応時間を延長して5時間としたところ、試験例1と同様に高い転化率及び高い収率が得られることが分かった(試験例4)。
更に、試験例4で使用した脱酸素用触媒について、更に反応時間を延長して8時間としたところ、この場合も試験例1と同様に高い転化率及び高い収率が得られることが分かった(試験例5)。
他の一般的な触媒同様に、本発明の脱酸素用触媒は、反応に使用することでその活性がやや低下する。しかしながら、反応時間を延長することで、反応に使用した触媒について洗浄や脱硫などの賦活処理をせずとも、長時間にわたり高いスルホキシド化合物からスルフィドへの転化率及びスルフィド収率を示し、繰り返し長時間に耐え得る優れた耐久性を有することがわかる。
<ラージスケール>
(実施例8)
製造例1で製造したRu/TiO触媒(1)を用いて、以下の反応条件2のもと、基質:ジフェニルスルホキシド(20mmol)の脱酸素反応を行った。結果を表3に示す。
[反応条件2]
・反応装置:フローガスリアクター
・触媒:Ru/TiO触媒(1)
・触媒量:金属換算で1mmol(基質に対して5mol%)
・脱酸素剤:水素(1気圧)、2mL/min
・溶媒:ビス(メトキシエチル)エーテル 50ml
・反応温度:160℃
・反応時間:20時間
表3の結果から、本発明の脱酸素用触媒は、多様な溶媒を用いた場合であっても、ジフェニルスルホキシドの脱酸素反応を行うことができる。また、本発明の脱酸素用触媒は、反応スケールが大きくなった場合でも、99%を超える高い転化率及び90%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮していることがわかる。
<Ru/TiO触媒(1)を用いた基質の多様性評価>
(実施例9〜26)
製造例1で製造したRu/TiO触媒(1)を用いて、以下の反応条件3のもと、ジフェニルスルホキシド化合物以外の基質(0.5mmol)についても脱酸素反応を行った。表4〜5に、基質、生成物、基質の転化率及び生成物の収率を示す。
[反応条件3]
・反応装置:フローガスリアクター
・触媒:Ru/TiO触媒(1)
・触媒量:金属換算で 0.025mmol(基質に対して5mol%)
・脱酸素剤:水素(1気圧)、2mL/min
・溶媒:1,4−ジオキサン 5ml
・反応温度:表4〜5に記載
・反応時間:表4〜5に記載
表4〜5の結果から、本発明の脱酸素用触媒は、スルフィニル基を有する多様なスルホキシド化合物に対しても優れた効果を発揮することがわかる。
<水溶性の基質に対し溶媒として水を使用した反応例>
(実施例27)
製造例1で製造したRu/TiO触媒(1)を用いて、反応条件4のもと、溶媒として水を使用し、水溶性の基質:メチオニンスルホキシド(0.5mmol)の脱酸素反応を行った。結果を表6に示す。
[反応条件4]
・反応装置:フローガスリアクター
・触媒:Ru/TiO触媒(1)
・触媒量:金属換算で 0.025mmol(基質に対して5mol%)
・脱酸素剤:水素(1気圧)、2mL/min
・溶媒:水 5ml
・反応温度:100℃
・反応時間:12時間
表6の結果から、本発明の脱酸素用触媒は水溶性の基質に対して溶媒として水を使用した場合であっても、99%を超える高い転化率及び95%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮することがわかる。
<脱酸素剤がアルコールの反応>
製造例7及び比較製造例11〜14で製造した脱酸素用触媒を用い、脱酸素剤としてアルコールを使用して、基質の脱酸素反応を行った。該反応は、アルゴンガスを満たしたシュレンク管を使用し、アルゴン雰囲気下で行った。
(実施例28〜34・比較例11〜14)
製造例7で製造した触媒(7)、及び比較製造例11〜14で製造した(C11)〜(C14)(担体:HAP)を用いて、下記反応条件5のもと、基質:ジフェニルスルホキシド(0.5mmol)の脱酸素反応を行った。表7に、脱酸素用触媒、溶媒、脱酸素剤の種類、基質の転化率、生成物の収率を示す。
[反応条件5]
・反応装置:シュレンク管
・触媒量:金属換算で 0.025mmol(基質に対して5mol%)
・脱酸素剤:表7に記載のアルコール 10mmol
・溶媒:表7に記載の有機溶媒 5ml
・反応温度:110℃
・反応時間:1時間
表7の結果から、触媒成分としてルテニウムを、担体としてハイドロキシアパタイト(HAP)を使用したRu/HAP触媒(7)は、多様な溶媒を採用した場合であっても、良好に脱酸素反応を進行させていることがわかる。特に、溶媒としてトルエン、トリフルオロトルエン又はn-ヘプタンを使用した場合であっても、85〜99%を超える高い転化率及び85〜99%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮していることがわかる。
これに対して、触媒成分としてルテニウム以外の遷移金属を採用した脱酸素用触媒は、Ru/HAP触媒(7)では最も優れた効果を発揮した溶媒であるトルエンを使用した場合であっても、転化率及び収率共に1%もしくはそれに満たない極めて低い活性しか得られていないことが判明した。
Ru/HAP触媒(7)は、脱酸素剤として多様なアルコールを使用した場合にも、99%を超える高い転化率及び99%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮していることがわかる。
<Ru/HAP触媒(7)の再利用評価>
(試験例6〜8)
実施例28で使用したRu/HAP触媒(7)について、溶媒であるトルエンで洗浄した後、上記反応条件5(脱酸素剤としてイソプロピルアルコール、溶媒としてトルエンを使用)と同様の条件のもと、再度同じ反応に使用して、脱酸素用触媒としての評価を行った。その評価結果を表8に示す。なお、試験例6〜8は以下の処理を施したものである。
(試験例6):再利用1回目
実施例28で使用したRu/HAP触媒(7)を1回目のトルエン洗浄の後に反応に供した。
(試験例7):再利用2回目
試験例6で使用後のRu/HAP触媒(7*)を2回目のトルエン洗浄を行い、反応に供した。
(試験例8):再利用3回目
試験例7で使用後のRu/HAP触媒(7**)を3回目のトルエン洗浄を行い、反応に供した。
7:再利用1回目の触媒(7)
7**:再利用2回目の触媒(7)
7***:再利用3回目の触媒(7)
表8の結果から、試験例6〜8のいずれの場合においても、スルホキシド化合物からスルフィドへの転化率及びスルフィドの収率共に99mol%超を維持した。この結果から、本発明の脱酸素用触媒は、触媒の再利用においても優れた効果を発揮することがわかる。
<低温活性評価>
(実施例35)
製造例7で製造した脱酸素用触媒Ru/HAP(7)を用いて、反応条件6のもと、基質:ジフェニルスルホキシド(0.5mmol)の脱酸素反応を行った。その結果を表9に示す。
[反応条件6]
・反応装置:シュレンク管
・触媒量:金属換算で 0.05mmol(基質に対して10mol%)
・脱酸素剤:エタノール 10mmol
・溶媒:トルエン 5ml
・反応温度:40℃
・反応時間:12時間
表9の結果から、本発明の脱酸素用触媒は、脱酸素反応を40℃程度の低温とした場合であっても、99%を超える高い転化率及び99%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮していることがわかる。
<Ru/HAPを使用した基質の多様性評価>
実施例36〜40
製造例7で製造したRu/HAP触媒(7)を用いて、反応条件7のもと、ジフェニルスルホキシド以外の基質(0.5mmol)についても脱酸素反応を行った。
表10に実施例36〜40で使用した基質、生成物、基質の転化率及び生成物の収率を示す。
[反応条件7]
・触媒量:金属換算で0.025mmol(基質に対して5mol%)
・脱酸素剤:プロピルアルコール 0.5mmol
・溶媒:トルエン 5ml
・反応温度:110℃
・反応時間:表10中に記載
表10の結果から、本発明の脱酸素用触媒は、多様な基質についても優れた効果を発揮することがわかる。すなわち、本発明の脱酸素用触媒は、多様なスルホキシド化合物を基質として用い、種々条件下において、99%を超える高い転化率及び99%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができるという優れた効果を発揮していることがわかる。さらに、本発明のスルフィドの製造方法は、脱酸素剤として、シラン化合物を使用することなく、分子状水素又はアルコールを存在させることによりスルホキシド化合物からスルフィドを製造することができる。
本発明の脱酸素用触媒は、スルホキシドが有するスルフィニル基に有効に作用し、
スルホキシド化合物の選択的な脱酸素反応にきわめて有効である。上記脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法は99%を超える高い転化率及び99%を超える高い収率にて、スルホキシド化合物からスルフィドを製造することができる。本発明の脱酸素用触媒は、不斉有機合成にきわめて有用であり、触媒化学工業、有機材料工業の発達に大きく貢献することができる。さらに、本発明の脱酸素用触媒は、繰り返し使用することができるのでリサイクルの観点から、大きな技術的意義を有している。

Claims (7)

  1. 無機酸化物からなる担体にルテニウムを担持してなる、スルホキシド中のスルフィニル基(SO)の脱酸素用触媒であって、
    前記無機酸化物がチタニアからなる、脱酸素用触媒。
  2. 前記スルホキシドが下記一般式(1)で表される、請求項1に記載の脱酸素用触媒。
    −SO−R (1)
    (式中、R及びRは、各々独立して、それぞれ置換されていてもよい、アリール基、アルアルキル基又は炭化水素基を表すか、あるいはR及びRは、式中の硫黄原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成する。)
  3. スルホキシドからスルフィドを製造するための、請求項1又は2に記載の脱酸素用触媒。
  4. 前記ルテニウムの平均粒子径が1〜20nmであり、前記無機酸化物のBET比表面積が20〜45m/gである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の脱酸素用触媒。
  5. 溶媒中で、脱酸素剤の存在下で且つ請求項1〜4のいずれか1項に記載の脱酸素用触媒の存在下で、スルホキシド中のスルフィニル基(SO)を脱酸素することを特徴とする、スルフィドの製造方法。
  6. 前記脱酸素剤が分子状水素である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記脱酸素剤がアルコールである、請求項5に記載の製造方法。
JP2014094696A 2014-05-01 2014-05-01 スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法 Active JP6269300B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014094696A JP6269300B2 (ja) 2014-05-01 2014-05-01 スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014094696A JP6269300B2 (ja) 2014-05-01 2014-05-01 スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015211932A JP2015211932A (ja) 2015-11-26
JP6269300B2 true JP6269300B2 (ja) 2018-01-31

Family

ID=54696566

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014094696A Active JP6269300B2 (ja) 2014-05-01 2014-05-01 スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6269300B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE2442829A1 (de) * 1974-09-06 1976-03-18 Merck Patent Gmbh Tetracyclische verbindungen und verfahren zu ihrer herstellung
HU192973B (en) * 1984-01-16 1987-08-28 Chinoin Gyogyszer Es Vegyeszet New process for reducing sulfochlorides, sulfoxides and alpha-halogenocarbonyl compounds for producing dithio-, thio- or carbonyl compounds
JP2012121845A (ja) * 2010-12-09 2012-06-28 Daicel Corp スルホキシドの脱酸素によるスルフィドの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015211932A (ja) 2015-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Rossi et al. The role and fate of capping ligands in colloidally prepared metal nanoparticle catalysts
US10766019B2 (en) Olefin metathesis reaction catalyst and preparation method therefor
JP5815842B2 (ja) 触媒
JP5261801B2 (ja) 選択的水素化のためのニッケル触媒
AU2010217259B2 (en) Process for the preparation of Fischer - Tropsch catalysts and their use
JP5128526B2 (ja) フィッシャー・トロプシュ合成用触媒及び炭化水素類の製造方法
CN109718806A (zh) 一种贵金属单原子催化剂及其制备方法和应用
Conesa et al. Comparative study of Cu, Ag and Ag-Cu catalysts over graphite in the ethanol dehydrogenation reaction: Catalytic activity, deactivation and regeneration
JP3882044B2 (ja) Fischer−Tropsch合成用触媒の調製方法
CN108495836B (zh) 正丁醛单步骤转化成2-乙基己醛
US20120302801A1 (en) Hydrogenation process
AU2018217388B2 (en) Process for producing a fischer-tropsch synthesis catalyst
JP5010547B2 (ja) 高活性触媒およびその製造方法
CN108290139A (zh) 卤代硝基芳香族化合物的催化氢化方法
JP6764407B2 (ja) 担持コバルト含有フィッシャー−トロプシュ合成触媒を調製するための方法
JP2013521221A (ja) 活性酸化ジルコニウム支持触媒を用いた、糖、糖アルコール、又はグリセロールの、価値のある化学物質への変換
CN105797719A (zh) 用于间硝基苯磺酸加氢合成间氨基苯磺酸的负载型双金属/多金属催化剂及制备方法和应用
JP5269892B2 (ja) コバルト−酸化亜鉛フィッシャー・トロプシュ触媒の調製のためのプロセス
JP2009241060A (ja) オレフィン系不飽和化合物の変換反応に用いられる不均一系触媒、及び、オレフィン系不飽和化合物の誘導体の製造方法、並びに、アルデヒド又はアミンの製造方法
JP4597024B2 (ja) シクロオレフィン製造触媒およびシクロオレフィン製造方法
JP6269300B2 (ja) スルホキシドの脱酸素用触媒、及び該脱酸素用触媒を用いたスルフィドの製造方法
JP2015093907A (ja) 炭化水素の製造方法及び分岐炭化水素の水素化用触媒
WO2023134779A1 (zh) 加氢催化剂及其制备方法和制备异己二醇和甲基异丁基甲醇的方法
KR102478028B1 (ko) 원-폿으로 합성된 전이금속-귀금속 복합산화물 탈수소화 촉매 및 이의 용도
WO2017213093A1 (ja) マグネシア系触媒担体及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170104

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20170104

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170804

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170817

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171114

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171218

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6269300

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250