JP6268801B2 - モノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤 - Google Patents
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Description
(1) 前記化学式1で表される構造の直鎖状脂肪族ジカルボン酸から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする、モノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤。
(2) 直鎖状脂肪族ジカルボン酸の炭素数総数が4乃至22であることを特徴とする、請求項1に記載のモノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤。
(3) 前記化学式1中のRが、炭素数偶数の直鎖状アルキル基、またはアルケニル基中のC=C二重結合がトランス型のみからなる炭素数偶数の直鎖状アルケニル基であることを特徴とする、(1)に記載のモノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤。
(4) 直鎖状脂肪族ジカルボン酸が、フマル酸、コハク酸及びアジピン酸から選ばれる1種以上からなることを特徴とする、(1)に記載のモノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤。
(5)粒子径(メジアン径)が5乃至500μmであることを特徴とする、(1)に記載のモノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤。
(6) 凝固開始温度上昇剤である、(1)に記載のモノグリセリン脂肪酸エステル用固化促進剤。
(7) (1)に記載の固化促進剤、及びモノグリセリン脂肪酸エステルを含有する調製物。
(8) モノグリセリン脂肪酸エステルを加熱融解する工程、該モノグリセリン脂肪酸エステルと該固化促進剤とを該固化促進剤が完全に融解または溶解しない温度で混合する工程、及び該混合物を冷却する工程を含むことを特徴とする、(7)に記載の調製物の製造方法。
(9) (8)に記載の製造方法により得られた調製物を固体部と液体部に分別し、残存する固化促進剤を除去する工程を含むことを特徴とする、分別脂質の製造方法。
である。
本発明のモノグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリン1分子に対し、各種の脂肪酸がエステル結合したものである。結合脂肪酸は任意の鎖長のものを使用することができ、飽和脂肪酸,多価不飽和脂肪酸を含む不飽和脂肪酸、ヒドロキシル基を有する脂肪酸、分岐鎖を有する脂肪酸など、各種の脂肪酸が対象となる。モノグリセリン脂肪酸エステルは、これら脂肪酸がグリセリン1分子当たり1〜3分子エステル結合したものであり、好ましくは同2〜3分子、更に好ましくは同3分子エステル結合したものである。本発明には、グリセリン1分子に対して脂肪酸3分子が結合した、トリグリセリドが最適である。
本発明の脂質組成物用固化促進剤は、前記化学式1で表される構造の直鎖状脂肪族ジカルボン酸から選ばれる1種以上を含有する。上記直鎖状脂肪族ジカルボン酸の例として次の(a)〜(e)を挙げることができる。
(a) 前記化学式1中のRが炭素数1のメチレン基であるマロン酸。
(b) 前記化学式1中のRが炭素数2以上の直鎖状アルキル基であって、炭素数総数が偶数であるコハク酸及びアジピン酸。
(c) 前記化学式1中のRが炭素数2以上の直鎖状アルキル基であって、炭素数総数が奇数であるグルタル酸及びピメリン酸。
(d) 前記化学式1中のRが炭素数2以上の直鎖状アルケニル基であって、C=C二重結合がトランス型であるフマル酸及びtrans,trans-ムコン酸。
(e) 前記化学式1中のRが炭素数2以上の直鎖状アルケニル基であって、C=C二重結合がシス型であるマレイン酸。
これらの直鎖状脂肪族ジカルボン酸は1種以上を併用して使用することができる。
上記固化促進剤粒子は、その表面と脂質組成物を構成するモノグリセリン脂肪酸エステル分子との相互作用により効果を発現すると考えられ、微量でもその効果を得ることができるが、添加量が多いほど、また粒子径(メジアン径)が小さくなるほど総表面積が増加し、大きな効果を得ることができる。ただし、種類や形状、アスペクト比等によって、効果が大きく変わるため、期待する効果に合わせて固化促進剤の粒子径(メジアン径)、添加量を選択する必要がある。
また、同30%以下が好ましく、より好ましくは同10%以下、さらに好ましくは同5%以下である。固化促進剤の添加量が同0.02%未満であると、該固化促進剤が上記モノグリセリン脂肪酸エステルへ溶解することにより固化促進効果を得られない、あるいは冷却速度等の固化条件や後述するその他添加物の存在によっては十分な固化促進効果を得られない場合がある。
また、固化促進剤の添加量が同30%を超えると、該固化促進剤の分散性低下,該固化促進剤を含有する脂質調製物の風味、物性、テクスチャー等への悪影響,濾過効率低下に伴う分別脂質の生産性低下や該固化促進剤の回収率低下,コスト負担の増加等が懸念される。
なお、本発明における粒子径(メジアン径)とは、基本的には20℃の蒸留水に溶解度を超える量の粒子を分散させ、得られた懸濁液をレーザ回折式粒子径分布測定装置により測定したものを指すが、20℃の蒸留水100gに対して10g以上溶解する場合は、イソプロパノール等の低極性溶媒に分散させて測定した値を以て替えることとする。
本発明においては、上記固化促進剤以外にも、対象とする脂質組成物に難溶性の固形分を併用することが可能で、その一例として、アラビアガム,寒天,キサンタンガム,セルロース及びその誘導体,キチン,キトサン,各種デキストリン,でん粉及び加工でん粉,イヌリン等の多糖類、食塩,塩化カリウム,塩化カルシウム,クエン酸ナトリウム,硫酸マグネシウム等の塩類、大豆,小麦,乳,卵等に由来する動植物タンパク及びその加水分解物を挙げることができる。しかし、上記固化促進剤に対するかかる固形分の添加量が多すぎると、該固化促進剤との会合により実質的な総表面積が顕著に低下するため、同添加量を重量比で10倍以下に抑えるのが好ましく、より好ましくは等量以下、さらに好ましくは10分の1以下である。
本発明においては、上記脂質組成物に脂溶性添加剤を併用することも可能であり、例えば、レシチン,ショ糖脂肪酸エステル,ソルビタン脂肪酸エステル,固化促進の対象とする以外のグリセリン脂肪酸エステル(グリセリンが2分子以上結合した、例えば、ジグリセリン脂肪酸エステルやトリグリセリン脂肪酸エステル等)等の乳化剤,着色料,着香料,防腐剤,酸化防止剤等を、単独または複数使用しても良い。これら添加剤は任意の量で使用できるが、添加剤自身の効果により上記固化促進剤の効果を妨げる場合に限り、例えば固化促進の対象とする脂質組成物全量に対し重量換算で0.1%以下というように、極力使用量を抑える方が良い。
次に、本発明の固化促進剤の好ましい利用方法について説明する。本発明によれば、上記固化促進剤と、融解状態にある固化促進対象の脂質組成物とを、該固化促進剤が完全に融解または溶解しない温度で十分混合した後、冷却等の一般的な固化条件に付すだけで、該脂質組成物の固化速度を促進することができる。固化促進処理を行う際に、該脂質組成物が融解状態にあって、完全な融解または溶解状態にない上記固化促進剤と十分に混合されていれば、混合方法に特に制限はなく、例えば固化状態にある該脂質組成物に該固化促進剤を添加し、加熱等の操作による該脂質組成物部分の融解及び十分な混合の後、固化を行なっても良い。また、上記固化促進剤と融解状態にある上記脂質組成物とを混合する際に、該固化促進剤が完全に融解または溶解した場合でも、冷却等の固化条件の過程で該固化促進剤のみ先行して析出すれば、本発明の固化促進効果を享受できる。混合が不十分であれば、沈降,堆積,凝集等により固化促進剤自体の総表面積が実質的に減少し、十分な固化促進効果を得られない場合がある。さらに、急冷などの急激な固化条件下では、固化促進剤の影響が相対的に弱くなるため、例えば大気圧下で冷却を行う場合、冷却速度は毎分10℃以下が好ましく、より好ましくは毎分5℃以下、さらに好ましくは毎分1℃以下である。ただし、上記脂質組成物中の固化成分の濃度が高い場合は、加えて過飽和度の影響を強く受けるため、さらに緩慢な固化条件が好ましい。
上記固化促進剤を含む、本発明調製物の製造方法は、固化促進の対象となる脂質組成物を加熱融解する工程、該脂質組成物と上記固化促進剤とを混合する工程、及び該混合物(調製物)を冷却する工程を含むものであれば、いかなる製造方法でも良く、攪拌,掻取,混練,加圧,成形,あるいはテンパリング及び熟成等の工程を任意に含むことができる。
さらに上記固化促進技術は、上記調製物を固体部と液体部に分別することで分別脂質を製造する際の、生産性等の向上に利用することもできる。尚、分別脂質とは、モノグリセリン脂肪酸エステルを含む脂質組成物について、構成する個々の脂質を融点の差や溶媒への溶解性の差により分離分画(分別)したものである。適用する分別方法に特に制限はなく、ヘキサンやアセトンなどの溶剤を用いる溶剤分別法や、これらの溶剤を全く用いないドライ分別法等を任意に利用することができる。混合した固化促進剤の大半は、分別後固体部に残るが、加熱や洗浄等の操作により脂質か該固化促進剤のいずれか一方を融解または溶解させ、濾過,遠心分離,洗浄液からの析出等の方法により回収することができる。分別後液体部に残存する上記固化促進剤についても、同様の方法で回収することができ、回収した固化促進剤は、必要に応じて溶剤洗浄、高熱または高圧ブロー、続いて混合する脂質組成物含有成分による共洗い等の処理を施すことで、再利用することができる。
本発明による脂質組成物の固化促進効果は、主にDSC測定に基づいて評価することができる。DSCとは、Differential Scanning Calorimetry(示差走査熱量測定)の略称であり、測定試料と基準物質との間の熱量の差を計測することで、凝固温度や融点、ガラス転移点等を測定する熱分析の手法である。熱流束示差走査熱量測定(熱流束DSC)と入力補償示差走査熱量測定(入力補償DSC)の二種類があるが、本発明においては、試料及び基準物質で構成される試料部の温度を、一定のプログラムによって変化させながら、その試料及び基準物質の温度が等しくなるように、両者に加えた単位時間当たりの熱エネルギーの入力差を温度の関数として測定する、熱流束DSC測定を行う。DSC測定では、一定速度または一定温度で試料の冷却を行なった際の発熱ピークの立ち上がり温度(凝固開始温度)及び最初に現れる発熱ピークトップ温度から、固化促進効果の有無を判定する。なお、評価に際しては、脂質のいわゆる「メモリー効果」の影響を避けるため、脂質全体の融点より十分高い温度、好ましくは最も融点の高い脂質成分の融点より約15℃以上高い温度で10分間保持した後、冷却を行うこととする。
80℃で完全融解したトリラウリン(SIGMA-ALDRICH社製、融点46.5℃)100部に対し、各試料を表1に示した配合に従って添加し、トリラウリンの融解状態を維持したまま、凝集物が目視で確認できなくなるまでボルテックスミキサー等により十分混合した。得られた混合液を直ちにDSC測定用のアルミパンに供し、以下に示す温度条件でDSC測定による評価を行なった。
初期温度 80℃(10分間),冷却速度 1℃/分,最終温度 0℃
<固化促進評価結果について>
◎◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに7℃以上9℃未満上昇(非常に顕著な固化促進)
◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに3℃以上5℃未満上昇(顕著な固化促進)
○ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに1℃以上3℃未満上昇(固化促進)
− DSC凝固開始温度変化または高温側発熱ピークトップ温度変化が1℃未満(固化への影響少ない)
※1 トリラウリンは、SIGMA-ALDRICH社製(商品名:Glyceryl tridodecanoate≧99%、融点46.5℃)を使用
※2 マロン酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Malonic Acid、融点134℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※3 コハク酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Succinic Acid、融点187℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※4 グルタル酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Glutaric Acid、融点98℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※5 アジピン酸粉末Aは、東京化成工業社製(商品名:Adipic Acid、融点153℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※6 ピメリン酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Pimelic Acid、融点106℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※7 テトラデカン二酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Tetradecanedioic Acid、融点127℃)を使用
※8 エイコサン二酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Eicosanedioic Acid、融点127℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※9 アジピン酸二ナトリウム粉末は、東京化成工業社製(商品名:Disodium Adipate、融点情報なし)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
80℃で完全融解したトリラウリン(SIGMA-ALDRICH社製、融点46.5℃)100部に対し、各試料を表2に示した配合に従って添加し、トリラウリンの融解状態を維持したまま、凝集物が目視で確認できなくなるまでボルテックスミキサー等により十分混合した。得られた混合液を直ちにDSC測定用のアルミパンに供し、以下に示す温度条件でDSC測定による評価を行なった。
DSC測定;初期温度 80℃(10分間),冷却速度 5℃/分,最終温度 0℃
<固化促進評価結果について>
◎◎◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに9℃以上上昇(極めて顕著な固化促進)
◎◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに7℃以上9℃未満上昇(非常に顕著な固化促進)
◎○ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに5℃以上7℃未満上昇(かなり顕著な固化促進)
− DSC凝固開始温度変化または高温側発熱ピークトップ温度変化が1℃未満(固化への影響少ない)
※10 フマル酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Fumaric Acid、融点287℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※11 マレイン酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Maleic Acid、融点131℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※12 trans,trans-ムコン酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:trans,trans-Muconic Acid、融点情報なし)を使用
※13 メチルコハク酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:Methylsuccinic Acid、融点116℃)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
※14 L-アスパラギン酸粉末は、東京化成工業社製(商品名:L-Aspartic Acid、融点情報なし)を乳鉢及び乳棒を用いて粉砕したものを使用
80℃で完全融解したトリラウリン(SIGMA-ALDRICH社製、融点46.5℃)100部に対し、各試料を表3に示した配合に従って添加し、トリラウリンの融解状態を維持したまま、凝集物が目視で確認できなくなるまでボルテックスミキサー等により十分混合した。得られた混合液を直ちにDSC測定用のアルミパンに供し、以下に示す温度条件でDSC測定による評価を行なった。
DSC測定;初期温度 80℃(10分間),冷却速度 5℃/分,最終温度 0℃
<固化促進評価結果について>
◎◎◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに9℃以上上昇(極めて顕著な固化促進)
◎◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに7℃以上9℃未満上昇(非常に顕著な固化促進)
◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに3℃以上5℃未満上昇(顕著な固化促進)
※15 アジピン酸粉末Bは、旭化成ケミカルズ社製(商品名:アサピック、融点情報なし)を使用(メジアン径2回測定平均値403.8μm)
※16 アジピン酸粉末Cは、アジピン酸粉末Bをビーズミルにて粉砕後、50mesh篩(目開き300μm)で篩分したものを使用(メジアン径2回測定平均値76.7μm)
表4に示した配合に従い、各脂質の融点より約15℃以上高い、80℃または90℃で完全融解した各脂質100部に対してアジピン酸粉末1部を添加し、各脂質の融解状態を維持したまま、凝集物が目視で確認できなくなるまでボルテックスミキサー等により十分混合した。得られた混合液を直ちにDSC測定用のアルミパンに供し、以下に示す温度条件でDSC測定による評価を行なった。
実施例14、比較例5,6
初期温度 80℃(10分間)、冷却速度 1℃/分、最終温度 0℃
実施例15〜17、比較例4
初期温度 90℃(10分間)、冷却速度 1℃/分、最終温度 0℃
<固化促進評価結果について>
◎◎ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに7℃以上9℃未満上昇(非常に顕著な固化促進)
◎○ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに5℃以上7℃未満上昇(かなり顕著な固化促進)
○ DSC凝固開始温度及び高温側発熱ピークトップ温度がともに1℃以上上昇(固化促進)
− DSC凝固開始温度変化または高温側発熱ピークトップ温度変化が0.5℃未満(固化への影響少ない)
※17 トリミリスチンは、SIGMA-ALDRICH社製(商品名:Glyceryl trimirystate ≧99%、融点56〜57℃)を使用
※18 トリパルミチンは、SIGMA-ALDRICH社製(商品名:Glyceryl tripalmitate ≧99%、融点66〜67℃)を使用
※19 1,3-ジラウリンは、東京化成工業社製(商品名:α,α'-Dilaurin、融点59℃)を使用
※20 1,3-ジパルミチンは、SIGMA-ALDRICH社製(商品名:Glyceryl 1,3-dipalmitate≧99%、融点72℃)を使用
※21 テトラグリセリンヘキサベヘネートは、理研ビタミン社製(商品名:ポエムJ-46B、融点69.3℃)を使用
※22 ラウリン酸は、東京化成工業社製(商品名:Lauric Acid、融点45℃)を使用
※23 n-オクタデカンは、東京化成工業社製(商品名:Octadecane、融点28℃(凝固点))を使用
表5に示した配合に従って80℃、15分間保持して完全融解したRBDパーム油100部にアジピン酸粉末Aを1部添加、混合した混合物、及びアジピン酸粉末無添加の完全融解したRBDパーム油をそれぞれ試料とし、これらを別々の同じ形状を有する円柱状のステンレス容器に注ぎ、65℃の温浴槽に10分間保持した。これらにステンレス容器の約9割の直径を有するオープンピッチド2枚パドルを差込み、室温と同じ26℃の循環水で周囲を冷却しながら、20rpmの回転速度で緩やかに攪拌した。固化に伴う発熱により、試料温度が上昇し始めた時の温度及び時間をそれぞれT(min)及びt(min)、試料温度が最も上昇した時の温度及び時間をそれぞれT(max)及びt(max)と定義し、t(max)から60分後を脂質固化の終点とした。得られた混濁液は直ちに0.5atm減圧下で吸引濾別し、回収した固体脂側に含まれるアジピン酸粉末は、80℃で固化脂質のみを融解し、再度濾過することにより回収した。それぞれの固体脂側及び濾液側の脂質組成については、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による組成分析を行い比較した。
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