JP6268785B2 - 熱線遮蔽フィルム - Google Patents

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本発明は、熱線遮蔽フィルムに関するものである。
従来から、ビル、住宅等の建築物や電車、乗用車等の交通機関の省エネルギー対策の一つとして、赤外線遮蔽性能を有した透明材料の開発が進められている。例えば、窓から降り注ぐ太陽光線のうちの可視光線は透過するが、赤外線は遮蔽し、一方、室内の熱を外部へ逃がさないための断熱機能を有したガラス板やフィルムなどが開発されている。
赤外線を遮蔽する機能を有したフィルムは、通常は、窓板のガラス板等に密着させて使用される。このようなフィルムには、可視光線はできるだけ透過し、赤外線は遮蔽・反射させるといった性能が求められる。さらに、フィルムを透過した光が、有彩色に着色していると、演色性の結果として、室内の物品の外観色に影響を及ぼすことになるため、好ましくない。
そこで、熱線遮蔽フィルムを透過した光の着色を抑制して、無彩色に近いものにするための開発が進められている。例えば、特許文献1には、色度の変化が少ない熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液が開示されている。また、特許文献2には、赤外線の吸収波長帯域が異なり、互いに補色となる色を呈する第1の金属酸化物と第2の金属酸化物を使用して、着色を抑制した熱線遮蔽フィルムが開示されている。
特開2009−46609号公報 特開2011−212849号公報
しかしながら、特許文献1の熱線・紫外線遮蔽膜形成用塗布液は、特定の化学構造を有した硬化性紫外線吸収剤と複合タングステン酸化物とを組み合わせて使用した場合に、着色が少なくなることを見出したものであり、汎用性の高いものではなかった。また、特許文献2の熱線遮蔽フィルムでは、2種類の互いに補色となる色を呈する金属酸化物の組み合わせは限られており、実施例に記載された金属酸化物の組み合わせは、補色の関係にあるわけでもなく、実用性の高いものではなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、可視光線の透過性能と近赤外線の遮蔽性能に優れ、有彩色の着色が少ない熱線遮蔽フィルムを提供することを課題とする。
室外からの可視光線を透過しつつ、近赤外線を遮蔽するためには、近赤外線を吸収する金属化合物を使用する必要がある。しかし、このような金属化合物は、有彩色であるものが多く、そのまま使用すると、透過光は有彩色に着色されたものとなり、演色性を引き起こして、商品性に劣ったものとなる。そこで、金属化合物が有する有彩色を無彩色にするための方法について検討を加えた。種々の着色顔料を添加することを検討したところ、金属化合物と着色顔料の色彩間で補色の関係を有するものを添加するだけでは、必ずしも無彩色にできるわけではないことが判明した。つまり、金属化合物の色と着色顔料の色とでは、必ずしも加成性が成立するわけではないことを見出した。そのため、金属化合物の種類や添加量に応じて、適切な着色顔料の種類と添加量を個々に選択して、可能性を吟味していくことが必要となる。さらに、近赤外線を吸収する金属化合物に必要最少量の着色顔料を添加する方法では、可視光線の透過率を大きく低下させることなく無彩色にすることが可能であることも見出した。
本発明は、このような検討を踏まえて、完成するに至ったものである。すなわち、本発明は以下のような構成を有するものである。
(1)熱線遮蔽フィルムは、窓板に設置することによって、熱線を遮蔽するフィルムであって、透明樹脂からなる基材フィルムと、基材フィルムの少なくとも片面に設けられた赤外線吸収層とを有する。赤外線吸収層は、近赤外線を吸収する金属化合物を含有する。熱線遮蔽フィルムは、着色顔料を含有し、前記金属化合物が、セシウム含有酸化タングステンおよび六ホウ化ランタンから選ばれるいずれか1種以上であり、前記着色顔料が、キナクリドン系顔料、ジクロロキナクリドン系顔料、ジメチルキナクリドン系顔料およびジケトピロロピロール系顔料から選ばれるいずれかであり、可視光線透過率が65%以上であり、遮蔽係数が0.8以下であり、L表色系の色度図において彩度Cが3以内である。
(2)前記可視光線透過率は70%以上であることが好ましい。
)窓板に密着させるための粘着層を有することが好ましい。
)導電性高分子を含有する導電層を有することが好ましい。
)前記導電性高分子が、ポリチオフェンを含有することが好ましい。
本発明の熱線遮蔽フィルムは、可視光線の透過性能と近赤外線の遮蔽性能に優れ、有彩色の着色が少ないものである。
本実施形態の熱線遮蔽フィルムの構成を示す断面図である。図1(a)は第1実施形態の構成を示している。図1(b)は第2実施形態の構成を示している。 本実施形態の熱線遮蔽フィルムの実施例、比較例、参考例の色相を示す色度図である。図2(a)は、近赤外線を吸収する金属化合物として、セシウム含有酸化タングステンを含有するものである。図2(b)は、近赤外線を吸収する金属化合物として、六ホウ化ランタンを含有するものである。
以下に、本発明の実施形態について、具体的な実施形態例を挙げつつ説明する。但し、本発明の実施形態は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の熱線遮蔽フィルムは、窓板に設置することによって、熱線を遮蔽するフィルムであって、透明樹脂からなる基材フィルムと、前記基材フィルムの少なくとも片面に設けられた赤外線吸収層とを有している。前記赤外線吸収層が近赤外線を吸収する金属化合物を含有し、前記熱線を遮蔽するフィルムが着色顔料を含有している。そして、前記熱線遮蔽フィルムは、可視光線透過率が65%以上であり、遮蔽係数が0.8以下であり、L表色系の色度図において彩度Cが3以内であることを特徴としている。
本実施形態において、赤外線吸収層は、室外から照射される太陽光のうち、可視光線は透過させ、近赤外線は吸収または反射によって遮蔽する機能を有する層である。
図1は、本実施形態の熱線遮蔽フィルムの構成を示す断面図である。図1(a)は第1実施形態の構成を示している。図1(b)は第2実施形態の構成を示している。図1(a)の層構成を「構成1」と称する。図1(b)の層構成を「構成2」と称する。
以下、第1実施形態と第2実施形態について説明する。但し、多くの説明内容は、第1実施形態と第2実施形態とで共通するものである。そのため、特に、「第1実施形態」あるいは「第2実施形態」と断らずに、「本実施形態」として説明している内容は、第1実施形態と第2実施形態において共通する説明である。
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、透明樹脂からなる基材フィルム4の室内側に、近赤外線を吸収する金属化合物を含有する赤外線吸収層3を有している(構成1、図1(a)参照)。また、基材フィルム4の室外側には、窓板1に密着させるための粘着層2を有している。
一方、第2実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、透明樹脂からなる基材フィルム4の室外側には、近赤外線を吸収する金属化合物を含有する赤外線吸収層3を有している。基材フィルム4の室内側には、導電性高分子を含有する導電層5を有している(構成2、図1(b)参照)。また、赤外線吸収層3の室外側には、窓板1に密着させるための粘着層2を有している。
熱線遮蔽フィルム6は、窓板1の室内側に設置されているため、雨風等による劣化を低減できる。なお、熱線遮蔽フィルム6は、窓板1の室外側に設置することもできる。その場合、粘着層2は、室内側の最外層に設けられることとなる。このときは、天井や屋根に設けられた採光用窓に貼付する際の作業性に優れた形態である。
本実施形態の熱線遮蔽フィルムを構成する各材料について以下、詳細に説明する。
(窓板1)
本実施形態において、窓板1とは、外界から建築物や交通車輛や船舶等の内部に太陽光を取り込むための透明な板である。一般的には、透明ガラス板や透明樹脂板が窓板1として使われる。透明樹脂には、アクリル系、スチレン系、水添環状樹脂、ポリカーボネート系、ポリエステル系など種々の樹脂を使用することができる。
(可視光線、近赤外線、遠赤外線)
本実施形態において、可視光線とは、電磁波のうち肉眼で認識することができる光のことであり、一般に380〜780nmの波長の電磁波のことを指している。近赤外線とは、およそ800〜2500nmの波長の電磁波であり、赤色の可視光線に近い波長を持つ。近赤外線は、太陽光の中に含まれており、物体を加熱する作用がある。これに対して、遠赤外線は、およそ5〜20μm(5000〜20000nm)の波長の電磁波であり、太陽光の中には含まれず、室温付近の物体から放射される波長に近いものである。
本実施形態において、熱線とは、近赤外線のことを意味する。
熱線遮蔽フィルム6は、この3つの波長の光を意識して扱う構成となっている。すなわち、可視光線は、室外から室内に透過させるようにして室内を明るく保つようにする。近赤外線は、夏季に室内が暑くならないように、吸収または反射させることによって、室外から室内に入らないように遮蔽する。遠赤外線は、室内から発せられるものであり、後記する導電層5を有しているときは、冬季に室内の熱が室外へ出ていかないように反射する。
(基材フィルム4)
基材フィルム4は、熱線遮蔽フィルム6としての形態を維持するための基材であり、表面に形成される赤外線吸収層3、粘着層2、導電層5等を保持する機能を有している。基材フィルム4は、可視光線を透過させるように透明樹脂から製造されている。基材フィルム4は、機械的強度、可視光線透過率、取扱性等に優れていることが好ましい。基材フィルム4として使用される透明樹脂としては、アクリル系、ポリカーボネート系、スチレン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、水添環状樹脂、フッ素系、シリコーン系、ウレタン系など種々の樹脂が使用でき、用途や目的に応じて、使い分けることができる。これらの透明樹脂の中では、耐候性の観点から、ポリエステル系が好ましい。
基材フィルム4は、透明樹脂の機械的物性等にも因るが、厚さは、8〜800μmであることが好ましい。より好ましくは12〜400μmである。
(赤外線吸収層3)
赤外線吸収層3は、基材フィルム4の少なくとも片面に形成され、近赤外線を吸収する金属化合物を含有している。赤外線吸収層3は、近赤外線を吸収または反射させることによって、近赤外線が室外から室内に入らないように遮蔽する機能を有する層である。すなわち、赤外線吸収層3が近赤外線を吸収する金属化合物を含有していることによって、室外から照射される近赤外線を吸収または反射させて、室内に入らないように遮蔽し、後記する遮蔽係数を1未満の低い値とすることができる。
赤外線吸収層3の厚さは、近赤外線を吸収する金属化合物の種類にもよるが、好ましくは0.1〜30μmであり、より好ましくは1〜10μmである。
(近赤外線を吸収する金属化合物)
本実施形態において、近赤外線を吸収する金属化合物とは、800〜2500nmに最大吸収波長ピークを有する金属化合物である。
近赤外線を吸収する金属化合物の具体例としては、セシウム含有酸化タングステン、六ホウ化ランタン、アンチモン含有酸化錫、スズ含有酸化インジウム、ガリウム含有酸化亜鉛などを挙げることができる。中でも、セシウム含有酸化タングステン、六ホウ化ランタンおよびアンチモン含有酸化錫から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい。さらに、近赤外線を吸収する能力に優れたセシウム含有酸化タングステンが、特に好ましい。
近赤外線を吸収する金属化合物は、通常は微粒子である。赤外線吸収層3を形成するときは、微粒子状の金属化合物をバインダー樹脂に適当量添加して、基材フィルム4にコーティングすればよい。近赤外線を吸収する金属化合物の平均粒径は、透明性の観点から、1〜200nmであることが好ましい。より好ましくは、5〜100nmである。
バインダー樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、シリコーン系、ウレタン系などを挙げることができる。
また、赤外線吸収層3中の近赤外線を吸収する金属化合物の含有量は、形成された赤外線吸収層3に対して、0.05〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.1〜20質量%である。
(着色顔料)
近赤外線を吸収する金属化合物は、一般に、有彩色であるものが多い。そのため、近赤外線を吸収する金属化合物を含有する赤外線吸収層3を透過した光は、有彩色の光となるため、演色性を引き起こし、室内の物品の外観色に影響を及ぼすこととなる。そこで、着色顔料を適切に選択して、熱線遮蔽フィルム6に含有させることによって、有彩色の透過光を無彩色にすることが必要となる。
着色顔料の選択方法は、基本的には以下のようにして行う。
(1)近赤外線を吸収する金属化合物の単独の色相を測定して、L表色系の色度図におけるaの値とbの値を求める。
(2)aの値とbの値から、当該金属化合物が、L表色系の色度図において、第1象限〜第4象限のうち、どの象限に所属しているかを判定する。
(3)その象限と点対称の関係にある象限に所属する着色顔料を選択する。
例えば、当該金属化合物が、第3象限に所属しているときは、第1象限に所属する着色顔料から選択して使用することができる。但し、金属化合物および着色顔料はそれぞれ、複雑な吸収スペクトルを有しているため、単純な加成性は成立しない。そのため、着色顔料の添加量を決めるときは、適宜試験を行うことによって、特定していく。
着色顔料としては、化学的に安定で、耐熱性に優れ、経時的に変化しにくく、光透過性を高めるために微細な粒子とすることが可能であるものが好ましい。具体的には、キナクリドン系顔料、ジクロロキナクリドン系顔料、ジメチルキナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、酸化鉄系顔料、アンスラキノン系顔料等を挙げることができる。
着色顔料は、近赤外線を吸収する金属化合物に対応して選択されるものである。1種類の着色顔料を用いてもよいし、複数種の着色顔料を併用することもできる。但し、複数種の着色顔料を併用すると、一般に可視光線透過率が低下することが多いため、使用する種類は少ない方が好ましい。
着色顔料は、熱線遮蔽フィルム6を構成するいずれの層に含有されていてもよい。すなわち、熱線遮蔽フィルム6を構成する赤外線吸収層3、基材フィルム4、粘着層2、導電層5等のいずれかの層に含有させることができる。また、単一の層に含有させてもよいし、複数の層に含有させてもよい。
着色顔料は、通常は、微粒子である。平均粒径は、1〜200nmが好ましく、より好ましくは5〜100nmである。また、着色顔料の含有量は、添加する材料に対して、0.01〜2質量%であることが好ましく、より好ましくは0.02〜1質量%である。
(色度、彩度)
熱線遮蔽フィルム6は、JIS Z8729に記載のL表色系の色度図において、彩度Cが3以内である。彩度Cが3以内であるとき、通常の肉眼判定において演色性を引き起こすレベルにはないと考えられることから、本実施形態においては、彩度Cが3以内であるときに、無彩色であると判定する。彩度Cは色度a、bから、以下の式を用いて算出される。
={(a+(b1/2
彩度Cの測定は、光源D65を使用して、熱線遮蔽フィルム6を透過した光について行う。また、導電層5が着色している場合もあるので、その場合には、導電層5も含めた熱線遮蔽フィルム6を透過した光について測定する。
図2は、後記する本実施形態の熱線遮蔽フィルム6の実施例、比較例、参考例の色相を示す色度図である。E1〜E5は、それぞれ実施例1〜5の熱線遮蔽フィルム6を示している。また、C1、C2は、それぞれ比較例1、比較例2の熱線遮蔽フィルム6を示している。参考例1〜6の熱線遮蔽フィルム6は、図2において、熱線遮蔽フィルム6に含まれる金属化合物または着色顔料の物質名で示されている。破線の円は、彩度Cが3である円である。図2(a)は、近赤外線を吸収する金属化合物として、セシウム含有酸化タングステンを含有するものである。着色顔料として、ジケトピロロピロールやジクロロキナクリドンを使用したときに、彩度Cが3以内の熱線遮蔽フィルム6を得ることが可能となっている。着色顔料として、酸化鉄やキナクリドンを使用したときに、彩度Cが3以内の熱線遮蔽フィルム6を得ることができていない。図2(b)は、近赤外線を吸収する金属化合物として、六ホウ化ランタンを含有するものである。着色顔料として、キナクリドンを使用したときに、彩度Cが3以内の熱線遮蔽フィルム6を得ることが可能となっている。
(導電層5)
導電層5は、導電性高分子を含有する層であり、室内から発せられる遠赤外線が室内から室外へ出ていかないように反射する層である。導電性高分子は、遠赤外線を反射する能力に優れている。これは、導電性高分子では、金属と同様に、多数の自由電子が電磁波の振動電場に合わせて集団振動するために起きると考えられている。
第2実施形態の熱線遮蔽フィルム6の各層の相互の位置関係としては、基材フィルム4の室内側に導電層5を設け、基材フィルム4の室外側に赤外線吸収層3を設けることが好ましい(図1(b)参照)。
(表面抵抗値)
導電性高分子の遠赤外線を反射する能力は、導電層5の導電性能に依存している。導電層5の表面付近の導電性能は、表面抵抗値として定量化することができる。表面抵抗値は、JIS K7194に準拠して、4端子4探針法によって測定することができる。本実施形態においては、導電層5の表面抵抗値が、400Ω/□以下であることが好ましい。さらに好ましくは300Ω/□以下である。導電層5の表面抵抗値が、400Ω/□以下であることによって、遠赤外線を反射する能力が優れたものとなり、熱貫流率が低い熱線遮蔽フィルム6を得ることができる。表面抵抗値の数値は、導電性高分子の種類や導電層5の厚さ等によって調整することができる。
遠赤外線を反射する能力は、後記する熱貫流率によって、直接的に定量化することができる。
(導電性高分子)
導電層5に使用される導電性高分子は、遠赤外線を反射する能力に優れていることが好ましい。このような導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリ(p-フェニレンスルフィド)などを挙げることができる。中でも、遠赤外線の反射性能の観点から、ポリチオフェンが特に好ましい。
これらの導電性高分子には、導電性を向上させるために、ドーパントを少量添加することができる。ドーパントの具体例としては、ポリスチレンスルホン酸や硝酸カリウム、ハロゲン類(Br、I、Clなど)、ルイス酸(BF、PFなど)、プロトン酸(HNO、HSOなど)、遷移金属ハライド(FeCl、MoClなど)、アルカリ金属(Li、Naなど)、有機物質(アミノ酸、核酸、界面活性剤、色素、アルキルアンモニウムイオン、クロラニル、テトラシアノエチレン、7,7,8,8-テトラシアノキノジメタンなど)などが挙げられる。
導電層5の厚さは、導電性高分子の種類にもよるが、0.05〜1μmが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5μmである。
(可視光線透過率)
本実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、熱的な影響を与えにくく、室内を明るくするためにも、波長380〜780nmの可視光線を透過させる能力に優れている。具体的には、熱線遮蔽フィルム6の可視光線透過率は、65%以上である。熱線遮蔽フィルム6の可視光線透過率は、70%以上が好ましく、75%以上がより好ましい。可視光線透過率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を用いて測定することができる。可視光線透過率の数値は、基材フィルム4の素材や厚さ、赤外線吸収層3と導電層5の種類や厚さ等によって調整することができる。
(紫外線吸収剤)
本実施形態の熱線遮蔽フィルム6を構成する各部材のうち、導電層5は、導電性高分子を主成分とするため、必ずしも耐候性に優れているわけではない。特に、太陽光線に含まれる紫外線によって劣化が促進される場合がある。そのため、導電層5の室外側に存在する各層のいずれか1つ以上に紫外線吸収剤を含有させて、導電層5への紫外線の侵入を阻止・抑制することが好ましい。尚、導電層5に紫外線吸収剤を含有させてもよい。
具体的には、第2実施形態の場合は、導電層5の室外側に存在する赤外線吸収層3、粘着層2および基材フィルム4のいずれか1つ以上が紫外線吸収剤を含有することが好ましい。さらに、窓板1を構成する透明ガラス板や透明樹脂板に紫外線吸収剤を含有させることも好ましい方法である。
紫外線吸収剤としては、公知のものを適宜選択して、使用することができる。
(紫外線透過率)
本実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、上記のように、基材フィルム4や導電層5を有機系の素材にて形成していることから、耐久性の向上のためには、上記のように、紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。さらに、本実施形態の熱線遮蔽フィルム6を透過した可視光線は、室内の物品に照射されることとなるが、室内の物品が紫外線によって経時的に劣化を引き起こすことのないように、紫外線透過率を低減させることは好ましいことである。本実施形態では、紫外線透過率の目安として、波長が380nmの光を用いて、紫外線透過率を評価する。紫外線透過率(380nm透過率)は、JIS A5759に準拠して、分光光度計を用いて測定することができる。
熱線遮蔽フィルム6の紫外線透過率(380nm透過率)は5%以下であることが好ましい。熱線遮蔽フィルム6の紫外線透過率の制御は、紫外線吸収剤の種類、添加量、添加する層の種類や数、等を変更することによって、適宜調整することができる。
(粘着層2)
第1実施形態では、窓板1の室内側に密着して設置させるため、基材フィルム4の室外側に粘着層2を設けている。第2実施形態では、窓板1の室内側に密着して設置させるため、赤外線吸収層3の室外側に粘着層2を設けている。
粘着層に用いられる材料としては、一般にガラス貼着用に使用されている粘着剤や接着剤を使用することができる。例えば、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ブタジエン系、天然ゴム系等が挙げられる。これらの中では、耐久性の観点から、アクリル系およびシリコーン系が好ましい。
粘着層の厚さは、通常、5〜50μmであることが好ましい。
(表面保護層)
第1実施形態の熱線遮蔽フィルム6においては、室内側の最外層である赤外線吸収層3が物理的に傷付かないようにするために、赤外線吸収層3の上にさらに表面保護層を設けてもよい。但し、赤外線吸収層3の本来の機能を損なわない範囲のものに限られる。
同様に、第2実施形態の熱線遮蔽フィルム6においては、室内側の最外層である導電層5が物理的に傷付かないようにするために、導電層5の上にさらに表面保護層を設けてもよい。但し、導電層5の本来の機能を損なわない範囲のものに限られる。
表面保護層は、アクリル系、ポリカーボネート系、スチレン系、ポリエステル系、ポリオレフィン系、水添環状樹脂、フッ素系、シリコーン系、ウレタン系等の樹脂を溶剤に溶かして溶液とし、公知の方法でコーティングする方法や上記樹脂のフィルムをラミネートする方法等の方法で設置することができる。
本実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、「赤外線吸収層/基材フィルム」または「赤外線吸収層/基材フィルム/導電層」という層構成であるときは、厚さは10〜800μmであることが好ましい。より好ましくは、16〜500μmである。
また、これらの層構成に、粘着層を加えた構成とする場合には、製造時や設置時の取扱性を向上させるために、粘着層の外側に、必要に応じて剥離可能な剥離シートを設けておくことが好ましい。
(遮蔽係数)
本実施形態では、赤外線吸収層3による近赤外線の遮蔽効率を定量化して評価するために、遮蔽係数という指標を用いている。遮蔽係数は、JIS A5759に準拠して、(i)分光光度計と(ii)赤外反射測定機とを用いて測定される。
遮蔽係数は、0.8以下であることが必要である。0.8を超えると、近赤外線の遮蔽効率が環境省のグリーン購入法基準等に照らして、不十分となる。好ましくは0.7以下である。
(熱貫流率)
本実施形態では、導電層5による遠赤外線の反射効率を定量化して評価するために、熱貫流率という指標を用いている。熱貫流率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を使用して、測定することができる。
熱貫流率が、5.9未満のとき、遠赤外線の反射効率は優れており、好ましい。
熱貫流率は、一般に、表面抵抗値とある程度相関している。すなわち、遠赤外線の反射効率に優れた熱貫流率が低い熱線遮蔽フィルムは、導電性に優れ、導電層の表面抵抗値が低い傾向にある。
(製造方法)
本実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、基材フィルム4上に熱線遮蔽フィルム6を構成する各層を順次形成することによって、製造することができる。
赤外線吸収層3を形成する方法について説明する。まず、近赤外線を吸収する金属化合物の微粒子をバインダー樹脂に適当量混合し、溶剤や温度を調整して、適切な溶液粘度とする。その溶液を基材フィルム4上にコーティングする。その後乾燥させることによって、赤外線吸収層3を形成することができる。
コーティングの方法は、公知の方法を必要に応じて、適宜選択して用いることができる。バインダー樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、シリコーン系、ウレタン系などから、適宜選択して使用することができる。溶剤についてもバインダー樹脂の種類に応じて、適切なものを適宜選択することができる。
導電層5を形成する方法について説明する。まず、導電性高分子を、バインダー樹脂や溶剤に適当量混合して、適切な粘度の溶液を調整する。その溶液を基材フィルム4上にコーティングする。その後乾燥させることによって、導電層5を形成することができる。
コーティングの方法は、公知の方法を必要に応じて、適宜選択して用いることができる。バインダー樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ウレタン系などから、適宜選択して使用することができる。溶剤についても、導電性高分子やバインダー樹脂の種類に応じて、適切なものを適宜選択することができる。
粘着層2も同様に、粘着剤高分子を溶剤に適当量混合し、適切な粘度の溶液を調整する。その溶液を基材フィルム4上や基材フィルム4上に形成された赤外線吸収層3等の上にコーティングする。その後乾燥させることによって、粘着層2を形成することができる。
本実施形態の熱線遮蔽フィルム6は、屋外から照射される可視光線は透過させて、室内を明るく、演色性の生じない空間に保つことができ、近赤外線は遮蔽して室内の気温の上昇を抑制することができる。さらに導電層5を設けることによって、室内から放射される遠赤外線は室外へ逃げないようにすることができる。
また、従来の製品で使用されていた真空蒸着装置等の高価な装置を使用せずに、コーティング法といった比較的安価な装置を用いて、簡便に製造することが可能なものである。
本実施形態を下記の実施例によって、さらに具体的に説明する。
(実施例1)
下記配合の組成物Aを易接着PETフィルム(東レ社製、U40、100μm厚さ)の一方の面にバーコーターを用いて塗工し、100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させた。その後、塗工面に高圧水銀灯にて紫外線(積算光量300mJ/cm)を照射することで硬化させ、約2μm厚さの赤外線吸収層を形成した。
<組成物A>
ジペンタエリスリトールポリアクレート系紫外線硬化型樹脂(荒川化学社製、ビームセット700) 83.3質量部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 1質量部
Cs0.33WO(住友金属鉱山社製、YMF−02A、平均粒径20nm)の固形分20質量%トルエン分散液 固形分として16.7質量部
ジケトピロロピロール赤顔料(御国色素社製、HTPレッド#B025M(pig no PR−254))の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.1質量部
トルエン 320質量部
シリコーンで処理されたセパレータ(三菱樹脂社製、MRQ#38、38μm厚さ)上に下記配合の組成物Bをアプリケータを用いて塗工し、100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させて、約22μm厚さの粘着層を形成した。
<組成物B>
アクリル系中性粘着剤(綜研化学社製、SKダイン2975) 100質量部
硬化剤(綜研化学社製、Y−75) 0.2質量部
トリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製、Tinuvin477) 3質量部
トルエン 100質量部
さらに、上記粘着層を、上記易接着PETフィルムの他方の面(赤外線吸収層の反対側の面)にラミネートして、粘着層付き熱線遮蔽フィルムを作製した。7日間放置後、セパレータを剥離し、粘着層を3mm厚のアルカリガラス板に貼り合せて、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(実施例2)
赤外線吸収層の厚さを約3.3μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(実施例3)
組成物Aを易接着PETフィルム(東レ社製、U40、100μm厚さ)の一方の面にバーコーターを用いて塗工し、100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させた。その後、塗工面に高圧水銀灯にて紫外線(積算光量300mJ/cm)を照射することで硬化させ、約2μm厚さの赤外線吸収層を形成した。
上記易接着PETフィルムの他方の面に、下記配合の組成物Cをバーコーターを用いて塗工し、100℃の熱風オーブン中で2分間乾燥させて、約0.35μm厚さの導電層を形成し、赤外線吸収層と導電層を有する易接着PETフィルムを作製した。
<組成物C>
(3,4−エチレンジオキシチオフェン)をポリスチレンスルフォン酸の存在下で重合させた導電性物質(以下、PEDOT−PSSと略す)を含む水分散液、
バインダー成分となるポリステル樹脂(東洋紡株式会社製、バイロナールMD1200)、
フッ素系界面活性剤(DIC株式会社製、メガファックF−556)、
を、固形分(質量比)として1:1:1の割合で混合し、メタノールで希釈して固形分濃度1質量%の混合液とした。
この混合液に対して、シランカップリング剤(信越化学工業社製、KBM−403)を水/メタノール=50/50(質量比)混合液で希釈して1質量%溶液としたものを、100:30(質量比)の割合で混合して、組成物Cとした。
さらに、上記粘着層を、上記赤外線吸収層と導電層を有する易接着PETフィルムの赤外線吸収層の面にラミネートして、粘着層付き熱線遮蔽フィルムを作製した。7日間放置後、セパレータを剥離し、粘着層を3mm厚のアルカリガラス板に貼り合せて、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(実施例4)
組成物Aのジケトピロロピロール赤顔料を、
ジクロロキナクリドン赤顔料(御国色素社製、pig no PR−209)の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.1質量部
に変更した以外は、実施例1と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(実施例5)
組成物Aを下記配合の組成物Dに変更し、赤外線吸収層の厚さを約8μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
<組成物D>
ジペンタエリスリトールポリアクレート系紫外線硬化型樹脂(荒川化学社製、ビームセット700) 95.2質量部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 1質量部
LaB(六ホウ化ランタン、住友金属鉱山社製、KHF−7AH)の固形分20質量%トルエン分散液 固形分として4質量部
キナクリドン赤顔料(御国色素社製、HTPマゼンタ#B020M(pig no PR−122))の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.8質量部
トルエン 320質量部
(比較例1)
組成物Aのジケトピロロピロール赤顔料を、
キナクリドン赤顔料(御国色素社製、HTPマゼンタ#B020M(pig no PR−122))の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.1質量部
に変更した以外は、実施例2と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(比較例2)
組成物Aのジケトピロロピロール赤顔料を、
酸化鉄赤顔料(CIKナノテック社製、AFEMIBK15WT%−R03)の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.1質量部
に変更した以外は、実施例2と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(参考例1)
組成物Aのジケトピロロピロール赤顔料を添加しない以外は、実施例2と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(参考例2)
組成物Aのジペンタエリスリトールポリアクレート系紫外線硬化型樹脂(荒川化学社製、ビームセット700)を97質量%に変更し、Cs0.33WO
LaB(六ホウ化ランタン、住友金属鉱山社製、KHF−7AH)の固形分20質量%トルエン分散液 固形分として3質量部
に変更し、ジケトピロロピロール赤顔料を添加しない組成物を用い、赤外線吸収層の厚さを約2μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(参考例3)
組成物Aを下記配合の組成物Eに変更し、樹脂層の厚さを約6μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
<組成物E>
ジペンタエリスリトールポリアクレート系紫外線硬化型樹脂(荒川化学社製、ビームセット700) 99.4質量部
光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 1質量部
ジケトピロロピロール赤顔料(御国色素社製、HTPレッド#B025M(pig no PR−254))の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.6質量部
トルエン 320質量部
(参考例4)
組成物Eのジケトピロロピロール赤顔料を、
ジクロロキナクリドン赤顔料(御国色素社製、pig no PR−209)の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.6質量部
に変更した以外は、参考例3と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(参考例5)
組成物Eのジケトピロロピロール赤顔料を、
キナクリドン赤顔料(御国色素社製、HTPマゼンタ#B020M(pig no PR−122))の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.6質量部
に変更した以外は、参考例3と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
(参考例6)
組成物Eのジケトピロロピロール赤顔料を、
酸化鉄赤顔料(CIKナノテック社製、AFEMIBK15WT%−R03)の固形分15質量%トルエン分散液 固形分として0.6質量部
に変更した以外は、参考例3と同様にして、熱線遮蔽フィルムを作製した。
<評価方法>
(可視光線透過率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
(色度、彩度)
JIS Z8729に記載のL表色系の色度図から、色度a、b、彩度Cを算出した。彩度Cは、下記式によって算出される。
={(a+(b1/2
JIS Z8722に準拠して、光源D65を使用して、熱線遮蔽フィルムを透過した光について測定を行った。本実施例では、測定装置として、日本電色社製、SE2000を使用した。
(遮蔽係数)
遮蔽係数は、JIS A5759に準拠して、(i)分光光度計と(ii)赤外反射測定機とを用いて測定される。遮蔽係数が、0.8以下のとき、近赤外線の遮蔽効率は優れていると判定される。好ましくは0.7以下である。
本実施例では、(i)分光光度計(島津製作所社製、UV3160)および(ii)赤外反射測定機(島津製作所社製、FTIR8700)を使用した。
(熱貫流率)
熱貫流率は、JIS A5759に準拠して、赤外反射測定機を使用して測定する。熱貫流率が、5.9未満のとき、遠赤外線の反射効率は優れていると判定される。本実施例では、赤外反射測定機(島津製作所社製、FTIR8700)を使用した。
(380nm透過率)
JIS A5759に準拠する。本実施例では、(i)分光光度計(島津製作所社製、UV3160)を使用した。
実施例、比較例および参考例で得られた結果を表1に示す。さらに、アルカリガラス板単体の性能を最下段に示した。
Figure 0006268785
表1において、実施例1〜4の熱線遮蔽フィルムは、近赤外線を吸収する金属化合物としてセシウム含有酸化タングステンを使用したものである。着色顔料として、ジケトピロロピロール赤顔料またはジクロロキナクリドン赤顔料を用いることによって、彩度が3未満の無彩色であって、可視光線透過率、遮蔽係数、熱貫流率、380nm透過率に優れた熱線遮蔽フィルムとすることができた。実施例5の熱線遮蔽フィルムは、近赤外線を吸収する金属化合物として六ホウ化ランタンを使用したものである。着色顔料として、キナクリドン赤顔料を用いることによって、彩度が3未満の無彩色であって、可視光線透過率、遮蔽係数、熱貫流率、380nm透過率に優れた熱線遮蔽フィルムとすることができた。
比較例1と比較例2の熱線遮蔽フィルムは、近赤外線を吸収する金属化合物としてセシウム含有酸化タングステンを使用したものである。比較例1の熱線遮蔽フィルムは、着色顔料として、キナクリドン赤顔料を用いたものであるが、可視光線透過率、遮蔽係数、熱貫流率、380nm透過率に優れているものの、彩度が3未満の無彩色とすることができなかった。比較例2の熱線遮蔽フィルムは、着色顔料として、酸化鉄赤顔料を用いたものであるが、可視光線透過率、遮蔽係数、熱貫流率、380nm透過率に優れているものの、彩度が3未満の無彩色とすることができなかった。
参考例1〜6において、各金属化合物または各着色顔料の単独での性能を評価した。また、アルカリガラス板単体の性能を参考までに評価した。
1; 窓板
2; 粘着層
3; 赤外線吸収層
4; 基材フィルム
5; 導電層
6; 熱線遮蔽フィルム

Claims (5)

  1. 窓板に設置することによって、熱線を遮蔽するフィルムであって、
    透明樹脂からなる基材フィルムと、
    前記基材フィルムの少なくとも片面に設けられた赤外線吸収層とを有し、
    前記赤外線吸収層が近赤外線を吸収する金属化合物を含有し、
    前記熱線を遮蔽するフィルムが着色顔料を含有し、
    前記金属化合物が、セシウム含有酸化タングステンおよび六ホウ化ランタンから選ばれるいずれか1種以上であり、
    前記着色顔料が、キナクリドン系顔料、ジクロロキナクリドン系顔料、ジメチルキナクリドン系顔料およびジケトピロロピロール系顔料から選ばれるいずれかであり、
    可視光線透過率が65%以上であり、
    遮蔽係数が0.8以下であり、
    表色系の色度図において彩度Cが3以内であることを特徴とする熱線遮蔽フィルム。
  2. 前記可視光線透過率が70%以上である請求項1に記載の熱線遮蔽フィルム。
  3. 窓板に密着させるための粘着層を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱線遮蔽フィルム。
  4. 導電性高分子を含有する導電層を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の熱線遮蔽フィルム。
  5. 前記導電性高分子が、ポリチオフェンを含有することを特徴とする請求項に記載の熱線遮蔽フィルム。
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