JP6268447B2 - ヘッドフォン - Google Patents

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本発明は、音声信号を電気音響変換して音声を再生するスピーカーユニットと、スピーカーユニットを取り付けるハウジングと、を備えるヘッドフォンに関する。
ヘッドフォンは、ユーザーの耳に当接するように近接配置されるスピーカーユニットに音声信号を印加することにより音を再生する。ヘッドフォンは、スピーカーユニットを取り付けるハウジングを備える。左右の両耳に配置されるハウジングを連結するヘッドバンドをさらに備えてオーバーヘッドタイプのヘッドフォンを構成する場合と、ヘッドバンドをさらに備えないイヤホンタイプのヘッドフォンを構成する場合がある。
印加された音声信号によりスピーカーユニットが駆動されると、スピーカーユニットの駆動の反作用により、ハウジングを構成する部材が振動し、各部材から音が放射される。ヘッドフォンのハウジングは、スピーカーシステムにおける木質製のスピーカーキャビネットの場合と同様に、ハウジングを構成する材料、寸法・厚み等に依存して特定の固有振動数で振動するので、ハウジングの構成により特有の音色を有する。
スピーカーユニットから再生される音に比べて、ハウジングを構成するそれぞれの部位から放射される音は音圧レベルが低いが、ヘッドフォン全体の再生音質に与える影響は大きいので、従来からハウジングを構成する材料の選定もしくはハウジングの形状等に工夫がなされている。
従来には、ヘッドフォンのハウジングには、多くの場合にはABS等の樹脂成形品、または、アルミ等の金属成形品が使用される一方で、一部の場合には天然木質材料の板材が用いられることがある(特許文献1)。また、従来には、天然木材を用いて空気室を有する円筒形状部を内部に一体的に形成したヘッドフォンハウジングと、前記円筒形状部の前面に取り付けられ、且つ、再生音を出力するスピーカーユニットとを少なくとも備えたことを特徴とするヘッドフォンがある(特許文献2)。
特開平1−144892号公報 特開2006−86960号公報
しかしながら、特許文献1または2において記載されている天然木材(欅材(ケヤキ)、紫檀材(シタン、ローズウッド)、楓材(カエデ、メイプル)、 桜材( チェリー))は、いずれも硬く、強度があり、密度が高くて重たい天然木材であって、ユーザーの頭部に載置する、あるいは、耳に装着して使用するヘッドフォン、イヤホンのハウジングには適さない側面がある、という問題がある。さらに、ヘッドフォンのハウジングからの放射音の音圧レベルをさらに高めるようにする場合であっても、楽器用木質材料の板材をヘッドフォンのハウジングに用いようとすると、再生音質の改善および製造コストの低減を両立させるには、従来技術では不十分な点がある。
本発明は、上記の従来技術が有する問題を解決するためになされたものであり、その目的は、楽器用木質材料の板材をハウジングに用いるヘッドフォンに関し、軽量で、製造が容易で、かつ、振動するハウジングからの放射音の音圧レベルをさらに高めたヘッドフォンを提供することにある。
本発明のヘッドフォンは、音声信号を電気音響変換して音声を再生するスピーカーユニットと、スピーカーユニットを取り付けるハウジングと、を備えるヘッドフォンであって、ハウジングが、スピーカーユニットを取り付ける取付孔を有するバッフル部材と、バッフル部材とともにスピーカーユニットの振動板の背面側に背面空間を規定するハウジング部材と、を備え、バッフル部材またはハウジング部材の少なくともいずれか一方が、桐材で形成されている。
好ましくは、本発明のヘッドフォンは、バッフル部材またはハウジング部材と連結してハウジングを構成するベース部材をさらに備える。
また、本発明のヘッドフォンは、ベース部材が、ハウジング部材を取り付けおよび取り外しが可能な交換機構を有する。
また、好ましくは、本発明のヘッドフォンは、桐材で形成されるハウジング部材が、ベース部材またはバッフル部材と連結する連結部と、連結部の内側に連結部の板厚よりも薄く形成される響板部と、を含み、響板部が連結部の板厚に対して平均板厚が薄くなるように彫られて形成されている。
また、好ましくは、本発明のヘッドフォンは、ハウジング部材の響板部が、背面空間側を規定する内面に複数の曲面を彫られて形成された鱗状表面を有する。
また、本発明のヘッドフォンは、ハウジング部材の背面空間側を規定する内面が、表面処理を施されずに塗膜層を有さない。
また、本発明のヘッドフォンは、桐材で形成されるバッフル部材が、ベース部材またはハウジング部材と連結する連結部と、連結部の内側に連結部の板厚よりも薄く形成される響板部と、を含み、響板部が連結部の板厚に対して平均板厚が薄くなるように彫られて形成されている。
また、本発明のヘッドフォンは、バッフル部材の響板部が、背面空間側を規定する内面に複数の曲面を彫られて形成された鱗状表面を有する。
以下、本発明の作用について説明する。
本発明のヘッドフォンは、音声信号を電気音響変換して音声を再生するスピーカーユニットと、スピーカーユニットを取り付けるハウジングと、を備える。ハウジングは、スピーカーユニットを取り付ける取付孔を有するバッフル部材と、バッフル部材とともにスピーカーユニットの振動板の背面側に背面空間を規定するハウジング部材と、を備え、バッフル部材またはハウジング部材の少なくともいずれか一方が、桐材で形成されている。スピーカーユニットの駆動の反作用により、ハウジングを構成する桐材が振動して放射音が再生されて、ヘッドフォン全体の再生音質に好ましい影響を与えることができる。桐材は、木材の中では密度が低く、音響変換効率が高くて響きを出しやすい楽器用木質材料であるので、桐材をヘッドフォンのハウジングを構成する部材に用いることで、ヘッドフォンを軽量にすることができ、かつ、ヘッドフォンの好ましい再生音質を実現することができる。
好ましくは、本発明のヘッドフォンは、バッフル部材またはハウジング部材と連結してハウジングを構成するベース部材をさらに備える。ベース部材は、桐材とは異なる、金属材料、または、樹脂材料、等から構成するのが好ましい。桐材は、比較的に柔らかい木質材料であるので、ヘッドフォンのハウジングに用いようとすると、ユーザーが取り扱うときに高い応力が掛かるオーバーヘッドタイプのヘッドフォンのヘッドバンド、または、ハンガーとの連結部、あるいは、イヤホンタイプのヘッドフォンの耳掛との連結部、などを構成するのに適さない。したがって、ベース部材をさらに備えることで、ヘッドフォンのハウジングに桐材を用いるのに適する構造を実現することができる。また、ベース部材が、ハウジング部材を取り付けおよび取り外しが可能な交換機構を有する場合には、ユーザーは、交換するハウジング部材によって異なる好みの再生音質のヘッドフォンを楽しむことができる。
本発明のヘッドフォンは、桐材で形成されるハウジング部材またはバッフル部材が、ベース部材またはバッフル部材またはハウジング部材と連結する連結部と、連結部の内側に連結部の板厚よりも薄く形成される響板部と、を含むようにするのが好ましい。桐材の響板部は、連結部の板厚に対して平均板厚が薄くなるように彫られて形成されており、背面空間側を規定する内面に複数の曲面を彫られて形成された鱗状表面を有するように加工されているのがよい。響板部の振動の基本モードに対し、高次振動が極端なピークを持たず、周波数軸に対して素直に右下がりになる美しい音色を有する響きの放射音が再生可能になる。
バッフル部材またはハウジング部材に用いる桐材は、桐の無垢材または集成材であればよい。桐は、楽器用木質材料の板材としては、密度が低くて軽量であり、ヤング率が高くて音響変換効率がかなり高いという利点があり、ハウジングからの美しい音色を有する響きの放射音の放射音圧を高くできる部材である。
桐材は微細な孔を含む多孔質の材料であるので、ハウジングの内部において反響する音を吸音する効果、あるいは、反響を抑制する効果が発揮され易いようにするように、ハウジング部材の内部側の表面には、桐材の微細な孔を塞ぐような塗装などの表面処理を施さないようにするのがより好ましい。ハウジング部材の響板部が、彫り加工されて鱗状の表面を有するように形成されている場合には、上記の効果を発揮する桐材の表面積が増加するという利点がある。
本発明のヘッドフォンは、楽器用木質材料である桐材をハウジングに用いて、軽量で、製造が容易で、かつ、ハウジングに用いる桐材の特質を引き出したうえで、振動するハウジングからの放射音の音圧レベルをさらに高め、美しい音色を有する響きの放射音を再生することができ、好ましい音声・音場再生が可能になる。
本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンについて説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンのハウジングの内部構造について説明する図である。(実施例1) 本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンのハウジングの内部構造について説明する図である。(実施例2) 本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンの音圧周波数特性について説明するグラフである。 本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンの音圧周波数特性について説明するグラフである。 本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンの音圧周波数特性について説明するグラフである。
以下、本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォンについて説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態によるヘッドフォン1について説明する図である。具体的には、図1の右半分は、ヘッドフォン1の正面図を示し、図1の左半分は、ヘッドフォン1のハウジング10の内部構造を示す一部断面図である。また、図2および図3は、ヘッドフォン1のハウジング10の内部構造を説明する図である。具体的には、図2(a)は後述するスピーカーユニット4およびバッフル部材14の正面図であり、図2(b)および図2(c)は後述するハウジング部材11の正面図および背面図である。また、図3(a)および図3(b)はハウジング部材11x、11yの背面図であり、図3(c)はハウジング部材11xの一部断面図であり、図3(d)はハウジング部材11yの一部拡大図である。
本実施例のヘッドフォン1は、ユーザーの頭部に載置するヘッドバンド3を備えるオーバーヘッドタイプのステレオヘッドフォンである。ヘッドバンド3の両端には、左右のハウジング10を少なくとも2軸方向でそれぞれ所定の範囲内で回動させて、ユーザーの両耳にそれぞれ当接するように調整可能な機構を有するハンガー2が備えられている。左右のハウジング10には、それぞれ音声信号を供給することにより音を再生するスピーカーユニット4が取り付けられている。左右のハウジング10の構成はほぼ共通するので、以下では一方のみについて説明する。もちろん、ヘッドフォン1の形態は、本実施例の場合に限定されない。
ハウジング10は、スピーカーユニット4の振動板の背面側に背面空間15を規定するハウジング部材11と、ハンガー2と連結するベース部材12と、スピーカーユニット4の前側を囲むようにハウジング10の前面に設けられるパッド13と、スピーカーユニット4を取り付けるバッフル部材14を備えている。なお、スピーカーユニット4への配線コードなど、本発明の説明に不要な構成については、図示及び説明を省略する。
ハウジング部材11は、スピーカーユニット4が取り付けられる内部側から見ると、外縁部が反り上がった皿形状の部材であり、後述するように、楽器用木質材料である桐材で形成されている。ハウジング部材11は、ハウジング10のユーザーの頭部から最も遠いスピーカーユニット4の背面側を構成する部材であり、体積及び表面積が大きく、ヘッドフォン1の重量、ならびに、その外観の美観に影響が大きい部材である。本実施例のハウジング部材11は、後述するバッフル部材14に連結している。本実施例の場合には、ハウジング10は、クローズドタイプの背面空間15を構成する。
ベース部材12は、外周部にハンガー2との可動連結機構を有する略環状の部材であって、アルミニウム素材で形成されている。ベース部材12は、その中央にスピーカーユニット4から再生された音波を通過させる開口を有する。ベース部材12は、ハンガー2の他に、後述するパッド13並びにバッフル部材14に連結している。
パッド13は、ユーザーの耳あるいは耳の周囲の頭部に当接する耳当てであって、ウレタンなどの材料を含んで形成された柔軟な略環状の部材である。パッド13は、スピーカーユニット4の前側を囲むように、一方の面がベース部材12に連結されている。
バッフル部材14は、スピーカーユニット4を取り付ける取付孔を中央付近に有する略環状の部材であって、ハウジング部材11と同様に、楽器用木質材料である桐材で形成されている。スピーカーユニット4のバッフル部材14への固定には、木ねじやボルト/ナット等の固定手段が用いられ、取付孔の周囲には必要な下穴が設けられる。また、バッフル部材14の基体14aには、背面空間15に連通する複数の音孔14bを設けて、音質調整に必要な音響フィルタを構成してもよい。なお、バッフル部材14には少なくとも一つのスピーカーユニット4が取り付けられればよく、取り付けられるスピーカーユニットの個数および種類に限定されない。
バッフル部材14は、ハウジング部材11とともにスピーカーユニット4の振動板の背面側に背面空間15を規定する。バッフル部材14はベース部材12に連結されており、ハウジング部材11はバッフル部材14に連結されている。ハウジング部材11の外周端部に相当する連結部11aは、バッフル部材14の外周端部に相当する連結部14aに当接する。バッフル部材14は、(図示しない)ねじが挿通されるネジ孔14cと、(図示しない)木ねじが挿通されるネジ孔14dと、をそれぞれ4カ所に備える。また、ベース部材12は、ネジ孔14cに対応してねじが螺合する(図示しない)ネジ孔を4カ所に備える。同様に、ハウジング部材11は、ネジ孔14dに対応して木ねじが螺合するネジ孔11dを4カ所に備える。
桐材であるハウジング部材11およびバッフル部材14は、所定の板厚の集成材を切削加工して形成した部材である。具体的には、ハウジング部材11の原材料の板厚は20mm、バッフル部材14の原材料の板厚は10mmである。なお、本実施例のこれらのハウジング部材11およびバッフル部材14では、塗装などの表面処理を施していない。
表1は、木質材料であるMDF、または、桐、または、スプルースの板材の密度(D)[g/cm]、ヤング率(E)[Gpa]、音速(=伝搬速度)(C)[m/sec]、音響放射比(C/D)[m/kgsec]を示す。なお、板材の比較例として、パーティクルボード、バルサ、を挙げている。接着剤等を用いて形成されるMDFまたはパーティクルボードが異方性の無い木質材料であるのに対して、天然木材である桐、スプルースまたはバルサは、木目方向によってヤング率が異なり、木目方向に沿った方向の方が木目を横切る方向に対して硬く、ヤング率が高くなる。したがって、これらの天然木材の場合には、ヤング率、音速、音響放射比の値には幅がある。
楽器用木質材料である桐、または、スプルースは、MDFまたはパーティクルボードよりも密度が低く、ヤング率が高く、木目方向の音速が格段に早い。特に、桐は、木材の中ではバルサに次いで密度が低くて軽く、多孔質の材料であるので、音響変換効率が高くて響きを出しやすい楽器用木質材料である。したがって、スピーカーユニット4の駆動の反作用で生じる振動に起因する放射音は、MDFの板材を用いる場合に比較して、桐、または、スプルースでは、比較的に大きくなる。一方で、バルサは、非常に軽い木質材料であるが、厚みのある板材にしても十分な強度を保てないので、本発明のハウジング部材11またはバッフル部材14には適さない。桐は、比較的軟らかいので、厚みを持たせた無垢材、集成材を板材に用いるのが好ましい。
本実施例のヘッドフォン1におけるハウジング部材11は、図2(b)に図示するように、その外観視される表面側は、半径の大きな球の一部を切り取ったような曲面を有し、その周縁部が立ち下がった皿状の形状を有する。ハウジング部材11の連結部11aは、この外周周縁部の裏側に形成される。図2(c)に図示するように、ハウジング部材11は、その内部に規定する背面空間15の内面側に、バッフル部材14の連結部14aに当接する連結部11aと、連結部11aの内側に連結部11aの板厚よりも薄く形成される響板部11bと、を含む。振動モード分散の効果および、内部定在波の影響を軽減するように、響板部11bは、略楕円形の曲線11cにより非矩形状が規定されている。
さらに、ハウジング部材11の響板部11bは、連結部11aの板厚Taに対して平均板厚Tbが薄くなるように彫られて形成されている。平均板厚Tbは、響板部11bを規定する非矩形状の内部において、薄く彫られたところの平均的な板厚として定義される。響板部11bの板厚は、音響放射効率を高めるためには彫加工の深さ(最深部)が板厚の10%以上50%未満になるのが好ましいので、連結部11aの板厚Taに対して50%以上90%未満程度に収まるのが好ましい。
図2(c)に図示するハウジング部材11では、背面空間15を規定する内面に、響板部11bが綾杉彫りで彫られて、連結部11aの板厚Taに対して平均板厚Tbが薄くなるように彫られて形成されている。綾杉彫りは、略V字状の直線的な溝が、ジグザグに曲がりながら連なるように形成されている彫り加工である。具体的には、断面形状R1.0mm、刃長10mmのエンドミルを、切削ピッチ0.1mmで繰り返し彫り加工することで、鱗状の表面を有するように形成されている。本実施例の場合には、響板部11bの板厚は、連結部11aの板厚Taに対してその平均板厚Tbが約75%になっている。
ハウジング部材11は、図3(a)に図示する他のハウジング部材11xまたは図3(b)に図示するハウジング部材11yに置き換えてもよい。ハウジング部材11xまたは11yでは、背面空間15を規定する内面に、響板部11bがそれぞれ亀甲彫りまたは鱗彫りで彫られている。亀甲彫りは、亀の甲羅のような略六角形の浅い穴が、次々に連なるように形成されている彫り加工である。また、鱗彫りも同様に、略楕円形状の浅い穴が、次々に連なるように形成されている彫り加工である。具体的には、断面形状R1.0mm、刃長10mmのエンドミルを、切削ピッチ0.1mmで繰り返し彫り加工することで、鱗状の表面を有するように形成されている。ハウジング部材11、11x、または、11yの響板部11bに施す彫り加工は、筝または和太鼓といった和楽器の胴部に用いられるような彫り加工が好ましく、これらに類するような網状鱗彫、波動扇状彫、槍形綾彫、などで彫り加工された面であってもよい。なお、響板部11bの板厚は、連結部11aの板厚Taに対して50%以上90%未満程度に収まればよいが、最も浅いところは連結部13aの板厚Taとほぼ等しくてもよい。
なお、バッフル部材14についても、ハウジング部材11、11x、または、11yと同様に、ベース部材12またはハウジング部材11と連結する連結部14aと、連結部14aの内側に連結部14aの板厚よりも薄く形成される響板部と、を含むように、構成してもよい。響板部は、連結部14aの板厚に対して平均板厚が薄くなるように、上記の様な彫り方に類するような網状鱗彫、綾杉彫、波動扇状彫、亀甲彫、槍形綾彫、などで彫り加工された面であってもよい。
ヘッドフォン1は、桐材で形成されるハウジング部材11またはバッフル部材14の少なくともいずれか一方を備え、それぞれの部材が、ベース部材12等と連結する連結部(11a、14a)と、連結部の内側に連結部の板厚よりも薄く形成される響板部(11b、14b)と、を含むようにすればよい。響板部(11b、14b)の振動の基本モードに対し、高次振動が極端なピークを持たず、周波数軸に対して素直に右下がりになる美しい音色を有する響きの放射音が再生可能になる。
図4は、ヘッドフォン1の音圧周波数特性について説明するグラフであり、横軸は入力音声信号の周波数を示し、縦軸は音圧レベルを示し、バッフル部材14を形成する材料の相違を示している。図4では、図4(a):本実施例に相当する桐材で形成されたバッフル部材14を用いるハウジング10を備えたヘッドフォン1の場合と、図4(b):ABS樹脂で形成された(図示しない)バッフル部材を用いるハウジングを備えた(図示しない)比較例のヘッドフォンの場合と、を示している。
図4に示すように、バッフル部材14の材料の相違により、ヘッドフォン1の音圧周波数特性は変化する。図4(a):本実施例のバッフル部材14が桐材の場合には、バッフル部材14の音響変換効率が高くなって、その結果振動放射音が約100Hz〜1kHzの広い周波数帯域において相対的に大きくなり、また、桐材の内部損失は大きいのでピーク・ディップが抑えられている。本実施例では、響板部が曲線により非矩形状に形成されているので、振動の高次モードが集中しないようになる。
スピーカーユニット4から再生される音に比べて、振動するハウジング10を構成するそれぞれの部位から放射される音は音圧レベルが低いが、ヘッドフォン1全体の再生音質に与える影響は大きい。本実施例のようにバッフル部材14が桐材の場合には、これを備えるハウジング10を含むヘッドフォン1では、良く響く楽器用木質材料の板材の特質をバランス良く引き出した音声・音場再生が可能になる。
バッフル部材14またはハウジング部材11に用いる桐材は、桐の無垢材または集成材であればよい。例えば、上記の桐材で形成されたバッフル部材14の重量は4.02gであり、比較例の樹脂で形成されたバッフル部材の重量13.15gよりも軽量である。また、上記の桐材で形成されたハウジング部材11の重量は12.13gであり、これと同形状の樹脂で形成されたハウジング部材の重量25.10gよりも軽量である。したがって、ユーザーの頭部に載置して使用するヘッドフォン1の重量を、より軽くしてユーザーの負担を軽減することができる。加えて、バッフル部材14の響板部の板厚が、連結部14aの板厚に対して薄くなるように彫り加工されて鱗状の表面を有するように形成されていれば、板材がコストの安い量産に適する無垢材であっても、音響変換効率が高くて響きを出しやすくすることができる。
図5は、ヘッドフォン1の音圧周波数特性について説明するグラフであり、桐材のハウジング部材11の響板部11bの有無および彫り方の相違を示している。本実施例に相当する桐材で形成されたハウジング部材11を用いるハウジング10を備えたヘッドフォン1の場合であって、図5(a)では背面空間側を規定する内面を彫らずに響板部を設けていない。また、図5(b)は、響板部11bを形成する彫り方を鱗彫りとした場合であり、図5(c)は、響板部11bを形成する彫り方を亀甲彫りとした場合であり、図5(d)は、響板部11bを形成する彫り方を綾杉彫りとした場合である。
図5に示すように、ハウジング部材11の響板部11bの有無および彫り方の相違により、ヘッドフォン1の音圧周波数特性は変化する。ハウジング部材11に響板部11bを設けて、連結部11aの板厚に対して平均板厚が薄くなるように、鱗彫り、亀甲彫り、または、綾杉彫りといった彫り加工を施すと、スピーカーユニット4の振動板の背面側の背面空間15が大きくなるが、その体積変化が反映する範囲を超えて低音域の再生音圧レベルを向上させることができる。また、ハウジング部材11の振動モードが分散し、振動の高次モードが集中しないようになり、美しい音色を有する響きの放射音が再生可能になる。
図6は、ヘッドフォン1の音圧周波数特性について説明するグラフであり、桐材のハウジング部材11の背面空間15を規定する内部側の表面処理の有無の相違を示している。図6(a)は、上記実施例の図5(a):背面空間側を規定する内面を彫らずに響板部を設けていない場合に一致する。また、図6(b)は、上記実施例の図5(d):響板部11bを形成する彫り方を綾杉彫りとした場合に一致する。そして、図6(c)は、響板部11bを形成する彫り方を綾杉彫りとし、さらに、その響板部11bを含むハウジング部材11の全体にオイルを塗布するオイル仕上げを施した場合である。
図6に示すように、ハウジング部材11の響板部11bの有無およびハウジング部材11の表面処理の相違により、ヘッドフォン1の音圧周波数特性は変化する。ハウジング部材11に響板部11bを設けて、連結部11aの板厚に対して平均板厚が薄くなるように綾杉彫りの彫り加工を施すと、スピーカーユニット4の振動板の背面側の背面空間15が大きくなり、低音域の再生音圧レベルを向上させることができるが、図6(c)に示すようにハウジング部材11にさらに表面処理を施すと、上記の効果は無くなってしまう。
ハウジング部材11を構成する桐材は、微細な孔を含む多孔質の材料であるので、ハウジング部材11の内面が、スピーカーユニット4の振動板の背面側の背面空間15において反響する音波を吸音する効果、あるいは、反響を抑制する効果が発揮され易いように、桐材の微細な孔を塞ぐような塗装などの表面処理を施さないようにするのがより好ましい。つまり、ハウジング部材11の内面は、無垢材のままであるのが好ましい。ハウジング部材11が、内面側に響板部11bを備え、彫り加工されて鱗状の表面を有するように形成されている場合には、上記の効果を発揮する桐材の表面積がさらに増加する。したがって、ハウジング部材11の響板部11bにも、桐材の微細な孔を塞ぐような塗装などの表面処理を施さないようにするのがよい。
さらに、ハウジング部材11における響板部11bが、彫り加工されて鱗状の表面を有するように形成されている場合には、背面空間15において上記の効果を発揮する桐の表面積が増加するという利点がある。図5のハウジング部材11の響板部11bの有無および彫り方の相違を示す音圧周波数特性のグラフは、この効果を示している。彫り加工により桐の表面積が増加すると、背面空間15の空気が多孔質の桐の微細な孔に連通することになり、実質的にハウジング10の内部の体積を増加させるように作用する。その結果、スピーカーユニット4を取り付けたハウジング10を備えるヘッドフォン1では、同じ外形寸法であっても、音声再生周波数帯域の下限を規定する最低共振周波数f0が低くさせることができる利点がある。
なお、桐材のバッフル部材14についても、桐材のハウジング部材11と同様に桐材の微細な孔を塞ぐような塗装などの表面処理を施さないようにするのがよく、無垢材のままであるのが好ましい。一方で、ハウジング部材11のユーザーが手で触る可能性が高い外面側は、比較的に柔らかい木質材料である桐材の表面を保護し、または美観を改善する塗装などの表面処理を施してもかまわない。
本実施例のヘッドフォン1のハウジング10は、外形が矩形状の厚みのある桐の無垢材または集成材をハウジング部材11および/またはバッフル部材14に用いることができるので、従来の天然木材を用いたハウジングを有するヘッドフォンよりも軽量化を実現でき、製造コストを低減できる。ハウジング10は、少なくともハウジング部材11またはバッフル部材14のいずれか一方が、桐材で形成されていればよい。
桐材は、比較的に柔らかい木質材料であるので、ハウジング部材11およびバッフル部材14と連結する桐材とは異なる固い材料で形成するベース部材12を設けて、ベース部材12にユーザーが取り扱うときに高い応力が掛かるハンガー2との連結部を設けるのが好ましい。ベース部材12をさらに備えることで、ヘッドフォン1のハウジング10に桐材を用いるのに適する構造を実現することができる。ベース部材12には、スピーカーユニット4への配線コードなどを固定する構造、あるいは、配線コードを抜き差しするジャックなどを設けてもよい。
ヘッドフォン1のハウジング10の構成は、上記実施例の場合に限られない。上記実施例の場合には、バッフル部材14はベース部材12に連結されており、ハウジング部材11はバッフル部材14に連結されているが、ベース部材12にハウジング部材11とバッフル部材14とがそれぞれ連結し、スピーカーユニット4の振動板の背面側に背面空間15を規定するものであってもよい。また、例えば、ヘッドフォンが、(図示しない)耳掛け部を備えるイヤホンタイプの場合には、この耳掛け部との連結部を桐材とは異なる固い材料で形成するベース部材12に設けてもよい。
また、ハウジング10の構成を変えて、ベース部材12にハウジング部材11を取り付けおよび取り外しが可能な(図示しない)交換機構を設けてもよい。交換機構は、ハウジング部材11をベース部材12に連結するネジなどの固定部材を取り外し可能にする、あるいは、スナップ構造などによりハウジング部材11をベース部材12にはめ込むようにしてもよい。ベース部材12が、ユーザーが取り替え可能な交換機構を有する場合には、交換するハウジング部材(例えば、上述のハウジング部材11、11x、11y、後述する11zなど)によって異なる好みの再生音質のヘッドフォン1を楽しむことができるという利点がある。
本発明のヘッドフォンは、オーバーヘッドタイプに限らず、イヤホンタイプのヘッドフォンであってもよい。ヘッドフォンは、上記実施例のようなハウジングが規定するスピーカー振動板の背面側空間が閉じられたクローズドタイプに限らず、オープンタイプのヘッドフォンであってもよい。家庭用のステレオ再生、もしくはマルチチャンネルサラウンド再生に限られず、車載用のオーディオ機器や、映画館等の音響再生設備にも適用が可能である。
1 ヘッドフォン
2 ハンガー
3 ヘッドバンド
4 スピーカーユニット
10 ハウジング
11 ハウジング部材
12 ベース部材
13 パッド
14 バッフル部材
15 背面空間

Claims (8)

  1. 音声信号を電気音響変換して音声を再生するスピーカーユニットと、該スピーカーユニットを取り付けるハウジングと、を備えるヘッドフォンであって、
    該ハウジングが、該スピーカーユニットを取り付ける取付孔を有するバッフル部材と、該バッフル部材とともに該スピーカーユニットの振動板の背面側に背面空間を規定するハウジング部材と、を備え、
    該バッフル部材または該ハウジング部材の少なくともいずれか一方が、桐材で形成されている、
    ヘッドフォン。
  2. 前記バッフル部材または前記ハウジング部材と連結して前記ハウジングを構成するベース部材をさらに備える、
    請求項1に記載のヘッドフォン。
  3. 前記ベース部材が、前記ハウジング部材を取り付けおよび取り外しが可能な交換機構を有する、
    請求項2に記載のヘッドフォン。
  4. 前記桐材で形成される前記ハウジング部材が、前記ベース部材または前記バッフル部材と連結する連結部と、該連結部の内側に該連結部の板厚よりも薄く形成される響板部と、を含み、該響板部が該連結部の板厚に対して平均板厚が薄くなるように彫られて形成されている、
    請求項2または3に記載のヘッドフォン。
  5. 前記ハウジング部材の前記響板部が、前記背面空間側を規定する内面に複数の曲面を彫られて形成された鱗状表面を有する、
    請求項4に記載のヘッドフォン。
  6. 前記ハウジング部材の前記背面空間側を規定する内面が、面処理を施されずに膜層を有さない、
    請求項4または5に記載のヘッドフォン。
  7. 前記桐材で形成される前記バッフル部材が、前記ベース部材または前記ハウジング部材と連結する連結部と、該連結部の内側に該連結部の板厚よりも薄く形成される響板部と、を含み、該響板部が該連結部の板厚に対して平均板厚が薄くなるように彫られて形成されている、
    請求項2または3に記載のヘッドフォン。
  8. 前記バッフル部材の前記響板部が、前記背面空間側を規定する内面に複数の曲面を彫られて形成された鱗状表面を有する、
    請求項7に記載のヘッドフォン。
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