JP6266914B2 - 蛍光x線分析装置を用いた貴金属製品の分析方法、及び、貴金属製品分析用のコンピュータプログラム - Google Patents

蛍光x線分析装置を用いた貴金属製品の分析方法、及び、貴金属製品分析用のコンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、蛍光X線分析装置を用いて貴金属製品を分析するための方法に関する。詳しくは、蛍光X線分析装置を適用し、貴金属製品の品位を簡易に判定するための方法、及び、この方法を基礎とする貴金属製品分析用のコンピュータプログラムに関する。
金、銀、プラチナ等の貴金属は、高い宝飾性から指輪・ネックレス等の貴金属ジュエリーに用いられている。また、工業用途でも貴金属の諸特性(耐久性や、電気的特性等)が活用されており、幅広い用途で貴金属の利用価値が高まっている。一方、貴金属の供給量は、埋蔵資源である鉱物の採掘・精製に依存するが、採掘可能量には限界があり上記のような貴金属の需要増大への対応にも限界がある。そこで、有用な貴金属資源を安定して確保すべく、使用済みの貴金属を精製回収するリサイクルシステムの構築が重要となっている。
このリサイクルシステムの一系統として、一般消費者が保有する指輪・ネックレス等の貴金属ジュエリー、メダル、コイン等の貴金属製品の買取システムがある。昨今は、貴金属の価格変動が激しく、一般消費者も貴金属価格に敏感になっており、使用しなくなった貴金属ジュエリーに一定の価値があることを知っている。そして、貴金属ジュエリー等の貴金属製品は、貴金属含有率も高いことから、良質の資源ともいえる。そこで、こういった使用済みの貴金属製品を買取、処理することで貴金属をリサイクルすることができる。例えば、本願出願人は、客観的な品位判定結果に基づき適正査定での買取を行い、顧客が安心・信頼できる貴金属製品買取システムを開発している(特許文献1)。
特許第4976563号明細書
上記のような貴金属製品買取システムにおいて必要なのは、対象となる貴金属製品の品位を正確に判定することである。この点、上記本願出願人の貴金属製品買取システムでは、品位判定の際に蛍光X線分析による検査を行うこととしている。蛍光X線分析は、適切な標準試料を用いることで貴金属製品の品位を正確に分析することができ、その再現性も良好である。また、蛍光X線分析は、分析対象である貴金属製品を非破壊で分析することができることから、買取が成立しなかった場合に貴金属製品をそのまま顧客に返却することができる点も有用である。
蛍光X線分析による分析方法は、上記の正確性、利便性から多種類の分析検体についての蓄積がある。しかし、貴金属ジュエリー等の貴金属製品ついてそれらをそのまま適用することはできない。これは、本願出願人による上記貴金属製品買取システムの運用において経験した事実であるが、顧客が持ち込んだ貴金属製品について分析を行ったところ、貴金属製品に表示された品位の規格と分析結果が合致しないことがある。この不合致については、貴金属製品に表示された品位の規格の間違いである場合も考えられ(分析結果は正しい)、常に生じるものではないが看過できるものではない。貴金属製品に表示された品位の規格が正しく分析結果に誤りがある可能性を完全に否定することはできないからである。そして、貴金属製品に表示された品位の規格と分析結果とが合致しない場合、顧客にとっては持ち込んだ貴金属製品の購入元に対して不信感を抱くようになる。また、貴金属製品買取システムに対する信頼性も揺らぐことになり、円滑な運用が困難となる。
更に、これまで知られている蛍光X線分析方法は、その正確性を追求すると分析作業が煩雑になる傾向がある。一般に蛍光X線分析による分析方法では、分析対象に組成が類似した複数の標準試料を用意し、それらの分析から作成される検量線を基に組成比を得ることが多いが、正確性を追及するならばより多くの標準試料の分析が必要となる。そのような多くの分析工程は、全体の分析時間を長くするものであり、大量の貴金属製品が持ち込まれたとき効率的な品位判定を阻害する。上述の通り、最近の一般消費者は、貴金属価格の変動に敏感であり、大きな価格上昇があると買取店舗に多数の顧客が殺到する傾向がある。そのような場合、一つ一つの貴金属製品を長時間分析することはできない。
そこで、本発明は、貴金属ジュエリー等の貴金属製品を蛍光X線分析方法により分析する方法であって、効率的にかつ適正な品位判定を行うことができるものを提供する。そして、これをより効率的に行うためのコンピュータプログラムも提示する。
本発明者等は、蛍光X線分析方法における効率化と正確性の両立という課題に対して、ファンダメンタルパラメータ法(以下、FP法と称する)を適用するのが好適であると考えた。FP法は、蛍光X線分析装置において照射する一次X線のスペクトル分布、質量吸収係数、蛍光収率等の物理定数を基に各分析元素のX線強度を理論的に計算すると共に、分析対象について測定された蛍光X線強度に対して逐次近似法によって最適値を計算し、組成比を算出する方法である。FP法では、分析装置固有の各元素に対する感度定数を予め求めておけば、多数の標準試料の分析を行う必要がないため、簡便に貴金属製品の品位判定を行うことができる。
このFP法を用いた蛍光X線分析が貴金属買取の際の分析に好適な理由としては、上記のような簡便性に加えて、分析精度が適度に正確であるという点がある。これは、貴金属買取においては貴金属品位についてppmオーダーの高精度の数値まで要求されないことによる。これは、金(Au)を主成分とする貴金属製品を例にとると、金製品は24金を純金として、金含有量に応じ24金、22金、20金、18金等の品位(カラット単位)が設定されているが、この場合の金含有量は%オーダーで判定される。例えば、貴金属ジュエリーでよく使用されている18金は、75%前後の金に銀(Ag)、銅(Cu)が添加された金合金である。そして、分析対象が18金であるかを判断するには、金が75%程度含まれているかを測定できれば足り、ppmオーダーの金濃度までは必要ではない。FP法を用いた蛍光X線分析は、上記の通り理論計算を基にした分析方法であり、ppmオーダーの組成判定に関しては常に正確であると断言はできないが、%オーダーでは正確であると断定可能である。即ち、FP法を用いた蛍光X線分析法は適度な正確性を有し、貴金属製品の品位判定に対して特に好適である。
以上の前提を受け、本発明者等は、FP法を適用した蛍光X線分析法により貴金属製品の適合性を更に検討したところ、一つの問題点に到達した。この問題点とは、複数種の貴金属製品を分析した際、真の組成と分析結果から導出される品位との間に乖離が生じることがある点である。そこで、本発明者等はこの問題点に関して集中的な検討を行ったところ、分析結果に乖離が生じるのは、ホワイトゴールドからなる貴金属製品を分析した場合に発生することを確認した。
ホワイトゴールド(以下、WGと称する)とは、カラット単位による品位では一般的に18金、14金、10金に属する貴金属製品が知られており、75%(18金)、58.5%(14金)、41.7%(10金)の金に、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)等を添加したものである。WGは、その発色(白色)から装飾品として広く利用されている金合金である。
ここで、本発明者等は、WGに対する分析について、真の組成と分析結果が相違する要因について検討したところ、WGからなる貴金属製品には、表面にロジウム(Rh)がめっきされている点に着目した。このRhめっきは、WGの表面の輝きをより鮮明にするためになされ極めて薄い付属的なものであり、本来は貴金属製品全体の地金としての価値を左右するものではない。しかし、蛍光X線分析においては、表面のめっきを無視した分析はできないため、貴金属製品全体についての分析結果に影響が生じ得る。これは、FP法という数学的計算を使用する分析方法において、特に顕著なものとなる。なぜならば、FP法による分析方法では、測定結果に対して「検出された元素の組成比の総和を100%にする」ことを前提として計算処理を行うため、Rhも貴金属製品の一部として評価せざるを得ないからである。
一方、Rhは、貴金属に属する金属であり、その希少性、工業的有用性は否定されるものではないが、貴金属製品(ジュエリー等の装飾品)のベース素材の構成金属としては利用されていない。つまり、貴金属製品を分析する際にRhが検出された場合、それがベース素材を構成している可能性を排除しても問題は無いと予測される。
以上の検討結果から、本発明者等は、貴金属製品の分析においては、WGのようなベース素材の表面にRhがめっきされたものが分析対象になる可能性が高いことを考慮すべきと考えた。そして、FP法に基づく蛍光X線分析方法について、Rhの検出の有無により分析結果の処理を調整することが好ましいと考えた。
ここで、FP法に基づく蛍光X線分析方法においては、分析対象の蛍光X線強度を測定した後、まず、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定する。そして、仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値と理論値とを対比して、両者が一致するまで仮想組成比を逐次近似的に修正していき、最終の修正結果に基づき分析対象の構成元素の組成比を決定する。これらの過程において、分析対象がRhを含むときに分析結果を調整する場合、2通りの方法がある。即ち、仮想組成比の初期値の設定の際Rhの存在を除外することで、以後の仮想組成比はRhを含有しない状態で修正され、最終の組成比が決定できる。また、他の方法として、仮想組成比の初期値についてはそのまま(Rhを含んだまま)設定・修正し、最終の修正後に組成比を決定する際にRhを除外しても良いと考えられる。
本発明者等は、以上の検討から、FP法による蛍光X線分析方法について、貴金属ジュエリー等の貴金属製品に特有の問題点を排除しつつ最適化を図ったものとして、上記2通りの処理内容を含む分析方法に想到した。
本願第1の発明は、貴金属製品を分析対象とし、ファンダメンタルパラメータ法を用いた蛍光X線分析法により、前記分析対象の構成元素の組成比を分析する方法であって、前記分析対象の蛍光X線強度を測定し、前記分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定し、前記仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を逐次近似的に修正し、分析対象の構成元素の組成比を決定する工程を有し、前記分析対象の蛍光X線強度の測定時にロジウムが検出された場合、前記仮想組成比を設定する際に、分析対象の構成元素からロジウムを除外して仮想組成比を設定することを特徴とする貴金属製品の蛍光X線分析方法である。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明に係る貴金属製品の分析方法は、基本的な工程は通常のFP法による蛍光X線分析方法に従うことから、これに沿いつつ説明する。
FP法による蛍光X線分析方法においては、蛍光X線分析装置にて分析対象を分析し、各構成元素の蛍光X線強度を測定する。このときの蛍光X線分析装置の構成に関しては特に制限はなく、市販の装置が使用できる。そのX線源も特に限定はない。また、本発明において貴金属製品とは、ジュエリー用貴金属及びその合金(金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)の4元素とその合金)からなり、指輪、ネックレス等の貴金属ジュエリー、貴金属工芸品、メダル、コインといった貴金属製品を対象とするのが好ましい。より具体的には、ネックレス、ブレスレット、リング、ペンダント、イヤリング、ピアス、ブローチ、バングル、アンクレット、ピンズ等の貴金属ジュエリーや貴金属素材を主成分として使用された小判、大判、金杯、銀杯、食器、置物、額縁、根付等の貴金属工芸品、記念メダル、外国記念コイン等のメダル、コイン等が対象となる。
分析対象の分析を行う一方で、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定する。この仮想組成比の設定方法については、好ましくは、上記で行った分析結果により得られた、各構成元素の蛍光X線強度の実測値を基に設定するのが好ましい。
ここで、本願第1の発明に係る分析方法は、最初の仮想組成比の設定段階において一般的なFP法と相違する。即ち、分析対象の分析の結果、Rhの蛍光X線が検出された場合、仮想組成比の設定の際に、Rhの存在を除外して計算する。これは、検出された元素についてそれらの組成の合計を100%とする、という一般的なFP法の前提を覆すものである。本発明では、検出された構成元素について、Rh以外の元素の組成の合計を100%とする。例えば、元素i、元素jからなる合金をベース素材とし、これにRhがめっきされた貴金属製品を分析対象としたとき、各構成元素の仮想組成比は以下のように算出され、Rhについての仮想組成比は計算されない。
Figure 0006266914
尚、仮想組成比の設定に関しては、上記の通り分析対象の実測値を基にする方法以外でも可能である。例えば、貴金属製品に表示された品位の規格を基に、任意の数値を振り分けて仮想組成比を設定しても良い。また、分析対象の実測値に加えて、過去の類似の分析例をライブラリーデータ化しておき、過去データと実測値とを対比して仮想組成比を設定しても良い。但し、いずれにせよ分析対象の分析によりRhの有無を判定し、Rhが存在すると判断した場合には、Rhの存在を除外することが必要である。
次に、この仮想組成比に基づき、FP法により各構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算する。この理論値の計算方法については公知であり、例えば、下記の非特許文献1に示されている。
杉山和正ら "ファンダメンタルパラメータ法による蛍光X線分析" 東北大学素材光学研究所彙報 48(1/2),1993,p.140−150.
そして、計算された理論値については、これに元素感度係数を乗じたものを以後の計算に使用するのが好ましい。蛍光X線装置のスリットの透過率、結晶反射率、検出器の検出率等の装置固有の因子による影響を排除し、組成比計算の効率化を図るためである。尚、このようにして元素感度係数を乗じた蛍光X線強度の理論値について、以下、推定測定強度と称することがある。
また、蛍光X線強度の理論値の算出については、分析対象からRhが検出された場合にはRhの理論値は算出されない。算出の基礎となる仮想組成比にはRhが含まれていないからである。
以上の工程で求めた、各構成元素の蛍光X線強度の理論値(推定測定強度)と、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように仮想組成比に対して修正のための計算処理を行う。この修正処理は、100%の規格化を行うものであり、例えば、ある元素(元素iとする)についてn回目に修正・設定された仮想組成比(含有量)をW とし、実測強度をIとし、(n+1)回目に修正された仮想組成比をW n+1とし、n回目の蛍光X線強度の理論値をR とする(元素感度係数をkとする)と、以下のようになり、これを各構成元素について行う。
Figure 0006266914
更に、次式により100%の規格化を行う(jは全ての元素を示す)。
Figure 0006266914
上記の仮想組成比に対する修正の例は、実測値と理論値との比率に基づき仮想組成比を調整するものであるが、上記の例の他、差分方程式による修正等も適用できる。
以上の理論値と実測値の対比、及び、これによる仮想組成比の修正は、修正結果が妥当であると判断されるまで逐次近似的になされる。ここで、修正結果の妥当性の判定方法としては、修正した仮想組成比について前回に修正した仮想組成比に対する変化率(修正幅)を算出し、それが所定の閾値以下であれば修正が妥当であるとするといった処理が挙げられる。例えば、上記の例に関していえば、下記条件式による。Qが判定の基礎となる閾値である。
Figure 0006266914
上記式で閾値Qについては、任意に設定することができ、要求する精度と収束に要する時間とのバランスを考慮して設定できる。一般的には、0.1%程度が好適な値といえる。
上記式に基づき妥当性が判断された仮想組成比は、当該分析対象(貴金属製品)の組成比として確定する。このとき、分析対象である貴金属製品にRhがめっきされていても、試料中にはRhがないとして各構成元素の組成が算定されており、ベース素材についての品位判定を行うことができる。
以上の本願第1の発明は、Rhの有無により仮想組成比の初期値を調整するものである。これに対し、本願第2の発明としては、仮想組成比の初期値の設定は分析結果をそのまま適用し、最終の修正後にRhを除外して組成比を調整する方法がある。
即ち、本願第2の発明は、貴金属製品を分析対象とし、ファンダメンタルパラメータ法を用いた蛍光X線分析法により、前記分析対象の構成元素の組成比を分析する方法であって、前記分析対象の蛍光X線強度を測定し、前記分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定し、前記仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を逐次近似的に修正し、分析対象の構成元素の組成比を決定する工程を有し、前記分析対象の蛍光X線強度の測定時にRhが検出された場合、分析対象の構成元素の組成比を決定する際に、最後に修正された仮想組成比についてRhを除外して構成元素の組成比を決定することを特徴とする貴金属製品の蛍光X線分析方法である。
この第2の分析方法では、分析対象の分析から、仮想組成比の設定及びその逐次近似的修正工程までは通常のFP法に従う。例えば、元素i、元素jからなる合金をベース素材とし、これにRhがめっきされた貴金属製品を分析対象としたとき、Rhについての仮想組成比も計算され、各構成元素の仮想組成比は以下のように算出される。
Figure 0006266914
仮想組成比の設定後は、FP法によりRhを含む各構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算する。この理論値の計算方法は第1の発明と同様である。また、計算された理論値は、第1の発明と同様、元素感度係数に基づく推定測定強度の計算を行うのが好ましい。尚、この発明では、蛍光X線強度の理論値の算出はRhについても行われる。
そして、各構成元素の蛍光X線強度の理論値(推定測定強度)と、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように仮想組成比に対して修正のための計算処理を行う(100%規格化)。この計算も第1の発明(数2、数3の式)と同様であり、また、差分方程式による修正等も適用できる。この理論値と実測値の対比、及び、これによる仮想組成比の修正は、修正結果が妥当であると判断されるまで逐次近似的になされる。これは本願第1の発明と同様であり、修正結果の妥当性の判定方法も同様のものを適用できる(数4)。
妥当性が判断された最後の修正による仮想組成比は、分析対象から測定された蛍光X線に基づく組成比であり、これはRhの組成比を含み合計で100%となる。本願第2の発明では、ここからの工程において特徴を有し、得られた最後の修正による仮想組成比について、Rhの組成比を除外して、これを分析対象の組成比とする。具体的には、Rhめっきされた元素i、元素jからなる合金をベース素材について、それぞれW、W、WRhの組成比(W+W+WRh=100)が得られた場合、下記のようにして元素i、元素jの組成比が決定される(W’、W’)。
Figure 0006266914
尚、18金のWGのように金の含有量が高いものについては、Rhめっきによるベース素材の組成比の数値変動が、金の組成比に偏重することがある。このような場合、上記式に替えて下記式で簡易に組成比を決定しても良い(下記式では元素jが金に該当する)。そして、これらの組成比調整に基づきベース素材についての品位判定を行うことができる
Figure 0006266914
尚、以上説明した本願第1、第2の発明に係る分析方法において、分析対象からRhの蛍光X線が検出されない場合、例えば、WGではない貴金属製品の品位判定を行う場合は、仮想組成比の設定から最終の修正まで通常のFP法に従う。
ところで、以上説明した第1、第2の分析方法については、仮想組成比の修正について妥当性を得るための繰返し計算(逐次近似計算)を行う必要があるが、これは極めて複雑な作業である。また、近年の蛍光X線分析装置は、コンピュータに接続され、分析装置の操作から分析結果の処理までプログラム化されたものが多い。上記2つの分析方法に関しては、プログラム化が可能であり、各計算ステップをコンピュータに実行させることができる。
このコンピュータプログラムは、第1の分析方法に対応するものとして、蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータに下記の各ステップを実行させることにより、分析対象である貴金属製品の構成元素の組成比を決定するための貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムであって、ステップ1の実行前に、蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線について、ロジウムの蛍光X線の有無を判定するステップ0を備え、ステップ0でロジウムの蛍光X線が検出された場合、ステップ1でロジウムを構成元素から除外して仮想組成比を設定するようになっている貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムである。
(ステップ1) 前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線強度に基づき、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定するステップ、
(ステップ2) 前記仮想組成比に基づき、構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算するステップ、
(ステップ3) 前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を修正するステップ、
(ステップ4) 修正された前記仮想組成比についてその妥当性を判定するステップ、
(ステップ5) 前記ステップ4で修正された前記仮想組成比が妥当と判定された場合、前記仮想組成比を前記貴金属製品の構成元素の組成比として決定する一方、妥当でない場合、修正された前記仮想組成比に基づき、前記ステップ2以降を実行して前記仮想組成比を逐次近似的に修正するステップ。
また、第2の分析方法に対応するものは、蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータに下記の各ステップを実行させることにより、分析対象である貴金属製品の構成元素の組成比を決定するための貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムであって、ステップ1の実行前に、蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線について、ロジウムの蛍光X線の有無を判定するステップ0を備え、ステップ0でロジウムの蛍光X線が検出された場合、ステップ5で逐次近似的に修正された仮想組成比の最終値について、ロジウムを構成元素から除外して仮想組成比を設定するようになっている貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムである。
(ステップ1) 前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線強度に基づき、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定するステップ、
(ステップ2) 前記仮想組成比に基づき、構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算するステップ、
(ステップ3) 前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を修正するステップ、
(ステップ4) 修正された前記仮想組成比についてその妥当性を判定するステップ、
(ステップ5) 前記ステップ4で修正された前記仮想組成比が妥当と判定された場合、前記仮想組成比を前記貴金属製品の構成元素の組成比として決定する一方、妥当でない場合、修正された前記仮想組成比に基づき、前記ステップ2以降を実行して前記仮想組成比を逐次近似的に修正するステップ。
これらの本発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータを上述した分析方法の各工程を行う手段として機能させるものである。尚、これらのプログラムは、分析対象としてRhを含まない貴金属製品に対しても品位判定を実行可能であり、分析対象によってプログラムを選定・変更する必要は無い。また、WG等の判定の際にかかる時間も、それ以外の貴金属の品位判定にかかる時間と比較しても劣ることはなく、数秒で実行可能である。
以上説明したように本発明は、FP法を適用して貴金属ジュエリー等の貴金属製品を蛍光X線分析方法で分析する方法である。本発明によれば、貴金属製品について効率的にかつ適正な品位判定を行うことができる。特に、WGのような表面にRhめっきがなされた貴金属製品に対してもベース素材の品位を正確に判定することができる。
本実施形態に係る貴金属製品分析のための蛍光X線分析システム。 第1実施形態に係る貴金属製品分析方法を実施するためのプログラムのフローチャート。 分析結果を印刷したレシートの表記例。 従来のFP法による蛍光X線分析の工程を説明するフローチャート。 第2実施形態に係る貴金属製品分析方法を実施するためのプログラムのフローチャート。
第1実施形態:以下、本発明における最良の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る貴金属製品分析方法を実施するための蛍光X線分析システムを示す。図1の蛍光X線分析システムは、蛍光X線分析装置100と、これに接続されたコンピュータ200と、コンピュータ200により計算された分析結果を表示するためのモニター300からなる。
蛍光X線分析装置100は、測定部101、測定制御部102、解析処理部103を含む。測定部101は、試料台、X線源、ミラー、コリメーター、検出器等を含む。そして、測定部101は、試料台に載置された試料に対して、所定の入射角でX線を照射し、検出器で試料に含まれる各元素特有に発生する蛍光X線を検出する。測定制御部102では、測定部101の測定条件等を制御すると共に、測定部101の検出器で検出されたX線蛍光スペクトルを取得する。解析処理部103は、取得したX線蛍光スペクトルについて、波形分離等の処理を必要に応じて行い、構成元素種の同定、そのX線蛍光強度の算出等を行う。尚、この解析処理部103は、機能的なブロックであり蛍光X線分析装置100に実装されることが必須ではなく、コンピュータ200に所定のプログラムを実装することでコンピュータ200に解析処理部103を設定することができる。
コンピュータ200は、蛍光X線分析装置100より得られた分析対象の構成元素の種類、それらのX線蛍光強度の値を入手し、それらから各構成元素の組成を算出する。そのため、本実施形態に係る貴金属製品の分析方法の各工程をコンピュータに機能させるためのプログラムが格納されている。コンピュータ200には、蛍光X線分析装置100の制御プログラムも格納されており、蛍光X線分析装置100内に貴金属製品を載置後の分析のスタート、組成計算のスタート等をワンクリックで行うことができ、以後の操作を必要とせず、1ステップの操作のみで自動的に品位判定結果が表示されるようになっている。
図2は、本実施形態に係る貴金属製品分析方法を実施するためのプログラムのフローチャートである。本実施形態では、Au75%、Pd15%、Ag10%の18金のWGであって、表面にRhめっきがなされた貴金属製品の分析を行い、その品位判定の工程を例として説明する。尚、Rhめっきの量は、蛍光X線分析装置の測定領域を基準として2%とする。
コンピュータ200に蛍光X線分析装置100で得られた各元素の実測強度が入力されると、まず、分析対象の定性分析(構成元素種類の判定)がなされる。このとき、Rhの蛍光X線の検出の有無が判定される(ステップ0)。
分析対象の定性分析後、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度から、各元素の組成比を仮定し仮想組成比の初期値を設定する(ステップ1)。このとき、Rhの蛍光X線の検出があったことから、仮想組成比の設定に当たってはRhを除外して行う。
ここで、本実施形態に係るシステムでは、過去の分析例が蓄積された貴金属ライブラリ登録データがコンピュータ200に格納されている。本実施形態ではこの登録データを参照し、組成比計算の効率化を図るため、下記式で仮想組成比を算出している。
Figure 0006266914
次に、この仮想組成比に基づき、FP法により各構成元素の蛍光X線強度の理論値(RAg、RPd、RAuとする)を計算する(ステップ2)。この理論値の計算方法は、上記した非特許文献記載の計算式を使用している。また、このステップ2では、算出した理論値について、元素感度係数(k)を乗じて、推定測定強度を計算している。尚、このときRhの理論値は算出していない。
そして、以上の各ステップで求めた、各構成元素の蛍光X線強度の理論値(推定測定強度)と、分析対象から各構成元素の蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように仮想組成比を修正する(ステップ3)。本実施形態における修正処理は、下記式による100%規格化に基づく計算を行っている。
Figure 0006266914
更に、次式により100%の規格化を行う。
Figure 0006266914
この蛍光X線強度の理論値と実測値の対比と仮想組成比の修正については、ステップ4にてその妥当性が判定される。ここでは、修正幅が0.1%以下であるか否かを判断することで妥当性判定を行う。この判断は全ての元素(Au、Ag、Pd)についてなされる。そして、修正が妥当でない場合、妥当性が得られるまで理論値(推定測定強度)の再計算、妥当性判断が逐次近似的に行われる(ステップ5)。
Figure 0006266914
妥当性が判断された仮想組成比は、当該分析対象(貴金属製品)の組成比として確定する。本実施形態では、確定値としてAu75%、Pd15%、Ag10%の値に収束するものと考えられる。
以上の通り、コンピュータ200により計算された組成比の結果は、図3のような品位判定結果がモニター300に表示される。本実施形態に係る分析システムが貴金属製品買取システムに組み込まれている場合、コンピュータ200を介して蛍光分析装置100に接続されたモニター300に表示された品位判定結果を顧客に通知することで品位判定の信頼性を認識させることができる。
以上の本実施形態に係る分析方法に対し、Rhの影響を考慮しない場合との対比を行う。図4は、一般的なFP法を適用した蛍光X線分析方法のフローチャートである。本実施形態と対比すると、定性分析によるRhの有無の判定がなされない点が相違する。
この一般的手法で、本実施形態と同じWGを分析した場合、ステップ1の仮想組成比の設定段階で相違が生じる。即ち、ステップ1で仮想組成比の初期値を設定する際、数5と同様にAuの仮想組成比の計算の際、Rhの組成比の分(正確には、Rhの蛍光X線強度から最初に推定される組成比の分)、Auの仮想組成比にずれが生じる。
そして、その後の理論強度値の計算工程及び実測値との対比工程でも、Rhについての計算がなされることとなる。Rhの組成についても計算がなされその濃度(2%)に収束することとなる。そうなった場合、Auの組成が、ベース素材中の真の組成からずれることになり75%未満とされることとなる。
この場合、貴金属製品の品位判定結果は18金であるとの評価を得ることができず、その買取価格は相応に低くせざるを得ない。顧客は、持ち込み時に18金と思っていたのに、期待通りの品位判定結果を得ることができず、望外の低額での買取に不満を感じるであろうし、その貴金属製品の購入元を疑うこととなる。更に、品位判定結果が誤りではないかとの疑念を有する。このように、貴金属製品の品位判定では数%であっても誤りがあると、顧客だけではなく購入元や買取先にも不利益を生じさせることとなることから、本発明に係る分析方法の有用性は高いといえる。
第2実施形態:本実施形態は、本願第2の方法に関するものである。ここで使用される蛍光X線分析システムは、第1実施形態(図1)と同様であり、蛍光X線分析装置100と、これに接続されたコンピュータ200と、コンピュータ200とモニター300からなる。これらの各機器の内容は第1実施形態と同様であり、コンピュータ200に格納されたプログラムのみが相違する。
図5は、本実施形態に係る貴金属製品分析方法を実施するためのプログラムのフローチャートである。本実施形態でも、Au75%、Pd15%、Ag10%の18金のWGであって、表面にRhめっきがなされた貴金属製品の分析を行い、その品位判定の工程を例として説明する。尚、Rhめっきの量は、蛍光X線分析装置の測定領域を基準として2%とする。
コンピュータ200に蛍光X線分析装置100で得られた各元素の実測強度が入力されると、まず、分析対象の定性分析(構成元素種類の判定)がなされる。このとき、Rhの蛍光X線の検出の有無が判定される(ステップ0)。
分析対象の定性分析後、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度から、各元素の組成比を仮定し仮想組成比の初期値を設定する(ステップ1)。本実施形態では、Rhの蛍光X線の検出があるが、この仮想組成比の設定段階ではRhを除外することなくAg、Pd、Rh、Auの仮想組成比が設定される。
Figure 0006266914
次に、この仮想組成比に基づき、FP法により各構成元素の蛍光X線強度の理論値(RAg、RPd、RAu、RRhとする)を計算する(ステップ2)。この理論値の計算方法は、上記した非特許文献記載の計算式を使用している。また、このステップ2では、算出した理論値について、元素感度係数(k)を乗じて、推定測定強度を計算している。
そして、以上の各ステップで求めた、各構成元素の蛍光X線強度の理論値(推定測定強度)と、分析対象の各構成元素の蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように仮想組成比を修正する(ステップ3)。本実施形態における修正処理でも下記式による100%規格化に基づく計算を行っている。
Figure 0006266914
Figure 0006266914
この蛍光X線強度の理論値と実測値の対比と仮想組成比の修正については、ステップ4にてその妥当性が判定される。ここでは、修正幅が0.1%以下であるか否かを判断することで妥当性判定を行う。この判断は全ての元素(Au、Ag、Pd)についてなされる。そして、修正が妥当でない場合、妥当性が得られるまで理論強度値(推定測定強度)の再計算、妥当性判断が逐次近似的に行われる(ステップ5)。
Figure 0006266914
妥当性が判断された仮想組成比は、Rhの組成比が2%であり、ベース材料の組成比がAu73%、Pd15%、Ag10%となった。そして、この結果についてRhを除外した最終の組成比が決定される。本実施形態では、簡易な調整式を採用しPd、Agの組成比はそのまま(Pd15%、Ag10%)としてAuの組成比を決定した。
Figure 0006266914
上記のようにしてコンピュータ200により計算された組成比の結果は、第1実施形態と同様、品位判定結果としてモニター300に表示される。表示された品位判定結果を顧客に通知することで品位判定の信頼性を認識させることができる。
本発明に係るFP法を適用した蛍光X線分析方法は、各種の貴金属製品を蛍光X線分析方法で分析する方法である。特に、WG等の表面にRhめっきが施されたものが持ち込まれる可能性がある場合に有用であり、客観的な品位判定により適正価格での貴金属製品買取を実現することができる。
そして、本発明は、貴金属ジュエリー等の貴金属製品の買取システムに有用である。かかる貴金属製品の買取システムでは、買取価格が貴金属相場に連動することから当日中の決済が必要である。また、相場が高騰すると多数の顧客が集中することが予測され、更に、顧客1人あたりの貴金属製品の持込数が1点とは限らず複数取扱う場合が多い。これらの理由から、1点あたりの測定時間を短縮することが極めて重要であり、本発明によれば簡易操作で短時間に適正な品位判定を行うことできる。

Claims (5)

  1. 貴金属製品を分析対象とし、ファンダメンタルパラメータ法を用いた蛍光X線分析法により、前記分析対象の構成元素の組成比を分析する方法であって、
    前記分析対象の蛍光X線強度を測定し、前記分析対象の定性分析をして構成元素種類を判定し、
    前記分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定し、
    前記仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、
    前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を逐次近似的に修正し、分析対象の構成元素の組成比を決定する工程を有し、
    前記分析対象の定性分析によりロジウムが検出された場合、前記仮想組成比を設定する際に、分析対象の構成元素からロジウムを除外して仮想組成比を設定することを特徴とする貴金属製品の蛍光X線分析方法。
  2. 貴金属製品を分析対象とし、ファンダメンタルパラメータ法を用いた蛍光X線分析法により、前記分析対象の構成元素の組成比を分析する方法であって、
    前記分析対象の蛍光X線強度を測定し、前記分析対象の定性分析をして構成元素種類を判定し、
    前記分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定し、
    前記仮想組成比に基づき構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算し、
    前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を逐次近似的に修正し、分析対象の構成元素の組成比を決定する工程を有し、
    前記分析対象の定性分析によりロジウムが検出された場合、分析対象の構成元素の組成比を決定する際に、最後に修正された仮想組成比についてロジウムを除外して構成元素の組成比を決定することを特徴とする貴金属製品の蛍光X線分析方法。
  3. 仮想組成比の最初の設定は、分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値を基に設定するものである請求項1又は請求項2記載の貴金属製品の蛍光X線分析方法。
  4. 蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータに下記の各ステップを実行させることにより、分析対象である貴金属製品の構成元素の組成比を決定するための貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムであって、
    (ステップ1) 前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線強度に基づき、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定するステップ、
    (ステップ2) 前記仮想組成比に基づき、構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算するステップ、
    (ステップ3) 前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を修正するステップ、
    (ステップ4) 修正された前記仮想組成比についてその妥当性を判定するステップ、
    (ステップ5) 前記ステップ4で修正された前記仮想組成比が妥当と判定された場合、前記仮想組成比を前記貴金属製品の構成元素の組成比として決定する一方、妥当でない場合、修正された前記仮想組成比に基づき、前記ステップ2以降を実行して前記仮想組成比を逐次近似的に修正するステップ、を有し、
    前記ステップ1の実行前に、前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線に基づいて定性分析をして、ロジウムの蛍光X線の有無を判定するステップ0を備え、
    前記ステップ0でロジウムの蛍光X線が検出された場合、前記ステップ1でロジウムを構成元素から除外して前記仮想組成比を設定するようになっている、貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラム。
  5. 蛍光X線分析装置に接続されたコンピュータに下記の各ステップを実行させることにより、分析対象である貴金属製品の構成元素の組成比を決定するための貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラムであって、
    (ステップ1) 前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線強度に基づき、分析対象の構成元素の組成比を仮定して仮想組成比を設定するステップ、
    (ステップ2) 前記仮想組成比に基づき、構成元素の蛍光X線強度の理論値を計算するステップ、
    (ステップ3) 前記理論値と、前記分析対象から測定された蛍光X線強度の実測値とを対比し、両者が一致するように前記仮想組成比を修正するステップ、
    (ステップ4) 修正された前記仮想組成比についてその妥当性を判定するステップ、
    (ステップ5) 前記ステップ4で修正された前記仮想組成比が妥当と判定された場合、前記仮想組成比を前記貴金属製品の構成元素の組成比として決定する一方、妥当でない場合、修正された前記仮想組成比に基づき、前記ステップ2以降を実行して前記仮想組成比を逐次近似的に修正するステップ、を有し、
    前記ステップ1の実行前に、前記蛍光X線分析装置により測定された蛍光X線に基づいて定性分析をして、ロジウムの蛍光X線の有無を判定するステップ0を備え、
    前記ステップ0でロジウムの蛍光X線が検出された場合、前記ステップ5で逐次近似的に修正された仮想組成比の最終値について、ロジウムを構成元素から除外して仮想組成比を設定するようになっている、貴金属製品の蛍光X線分析方法用のコンピュータプログラム。
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