以下、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機を例に挙げて図面に基づき説明する。なお、説明の便宜上、パチンコ遊技機に対して遊技者側を「前」または「表」と称し、パチンコ遊技機を挟んで遊技者とは反対側を「後」または「裏」と称す。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、矩形状の機枠(外枠)2の一側(図1中、左側)に前面枠(内枠)3を開閉可能な状態で軸着し、該前面枠3内には、発射装置(図示せず)により発射された遊技球が流下可能な遊技領域5が表面に区画形成された矩形状の遊技盤6(図2参照)を収納可能としている。また、前面枠本体4の表面のうち機枠2への軸着側(図1中、左側)には透明部材保持枠8を開閉可能に設け、該透明部材保持枠8に透視可能な透明部材9を保持し、透明部材9を通して遊技領域5をパチンコ遊技機1の前方から透視できるように構成している。さらに、透明部材保持枠8の上部の左右両側には、効果音を発する上スピーカ11を備え、透明部材保持枠8の下部には上皿ユニット13を備え、透明部材保持枠8の下方には下皿ユニット14を配置している。また、下皿ユニット14の一側方(図1中、右側方)には、発射装置を操作するための発射操作ユニット(発射操作ハンドル)15を備え、下皿ユニット14の左右両側方には、効果音を発する下スピーカ16を備え、上皿ユニット13の前側には、遊技中に遊技者が操作するための遊技演出ボタン17を備えている。
遊技盤6は、図2および図3に示すように、遊技板19の表面に複数のサイドケース21を枠状に連結した状態で止着して遊技領域5を区画形成した遊技ベースユニット20を基部とし、遊技領域5には、中央部が大きく開口された前面構成体(センターケース)23、入賞装置(普図始動ゲート24、一般入賞装置25、大入賞装置26)等の遊技用部材、風車(図示せず)や障害釘(図示せず)を配設している。具体的には、遊技領域5の中央部分に前面構成体23を配設し、該前面構成体23の一側方(図2中、右側方)には普図始動ゲート24を配設し、遊技球の普図始動ゲート24への入賞(通過)を始動条件(普図始動条件)として普図変動表示ゲームを実行可能としている。また、前面構成体23の下方には始動入賞誘導ユニット(入賞誘導ユニット)28を配設している。さらに、始動入賞誘導ユニット28の一側方(図2中、右側方)には、大入賞口30および一般入賞口31が備えられた大入賞装置26を配設し、他側方(図2中、左側方)には、複数(本実施形態においては2つ)の一般入賞口32が備えられた一般入賞装置25を配設している。また、始動入賞誘導ユニット28の下方に位置する遊技領域5の下端には、入賞せずに流下してきた遊技球を回収するアウト口33を遊技盤6の板厚方向(表裏方向)に貫通して開設し、遊技領域5のうち遊技用部材の取付部分を除いた箇所には複数の障害釘(図示せず)を植設している。そして、サイドケース21の一側の下部(図2中、右下部)には一括表示装置35を備え、該一括表示装置35において普図変動表示ゲーム、特図変動表示ゲーム、遊技状態の表示等を行い、一括表示装置35の下方にはシール貼付部36を設けて、パチンコ遊技機1の機種情報が表示されたシールである証紙シール37を貼付している。
また、遊技ベースユニット20の裏面側には、中央部が大きく開口された裏面構成体40を装着し、該裏面構成体40の裏側には表示装置42を装着して裏面構成体40および前面構成体23の開口部分から表示装置42の表示部42aを前方へ臨ませ、複数の識別情報を変動表示させる飾り特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲームや第2特図変動表示ゲームに対応する演出表示)を表示装置42で表示可能としている。そして、図3および図4に示すように、遊技盤6の裏面のうち裏面構成体40の下方には、複数の入賞球流路43が内部に形成された入賞球回収ユニット(スイッチベースユニット)44を備え、入賞球流路43を一般入賞装置25や大入賞装置26等の入賞装置の後部へ接続し、遊技領域5を流下して入賞装置に入賞した遊技球(入賞球)を入賞球流路43へ回収可能としている。さらに、入賞球回収ユニット44の裏側には、遊技を統括的に制御する遊技制御装置45を配置している。
なお、入賞装置に進入した遊技球は、当該入賞装置または入賞球回収ユニット44に備えられた入賞球検出スイッチにより入賞球として検出される。具体的には、普図始動ゲート24に進入した遊技球は、当該普図始動ゲート24に備えられたゲートスイッチ47により検出され、一般入賞装置25の一般入賞口32および大入賞装置26の一般入賞口31に進入した遊技球は、入賞球回収ユニット44の入賞球流路43内に備えられた入賞口スイッチ48により検出される。また、大入賞装置26の大入賞口30に進入した遊技球は、当該大入賞装置26に備えられたカウントスイッチ49により大入賞球として検出され、後述する始動入賞誘導ユニット28内の第1始動入賞口53または第2始動入賞口54に入賞した遊技球は、入賞球回収ユニット44の入賞球流路43内に備えられた始動口スイッチ(第1始動口スイッチ51または第2始動口スイッチ52)により検出される。そして、第1始動口スイッチ51による遊技球の検出を始動条件(特図1始動条件)として第1特図変動表示ゲームを実行可能としている。さらに、第2始動口スイッチ52による遊技球の検出を始動条件(特図2始動条件)として第2特図変動表示ゲームを実行可能としている。
次に前面構成体23について説明する。
前面構成体23は、図5および図6に示すように、当該前面構成体23の基部となる枠状の前面構成ベース55を備え、該前面構成ベース55の中央部分には、表示装置42を視認可能とする前面窓部56を開設している。また、前面構成ベース55の周縁部にはフランジ状の取付基板57を設け、該取付基板57を遊技ベースユニット20の表面に止着して、当該前面構成体23を遊技盤6へ装着するように構成されている。そして、前面構成ベース55の上辺部の前面には、前面構成体23の前方へ向けて突出した庇状の鎧部58を前面構成体23の左右両側へ向けて下り傾斜した円弧状態で配置して、この鎧部58が前面構成体23の上部に設けられた枠状の流入阻止壁となって、遊技球(詳しくは、遊技領域5内を前面構成体23の上方に流下してくる遊技球)が前面構成体23の内部へ流入することを規制するように構成されている。さらに、鎧部58の下方には前面発光装飾部59を配置して前面構成体23の上部を発光により装飾可能としている。
また、前面構成ベース55の下辺部には、遊技球が横方向(前後方向および左右方向)へ転動可能なステージ部61を配置している。さらに、ステージ部61の左右方向の中央部の後方には、遊技球をステージ部61上からステージ部61の後方および下方へ案内する案内流路62を備え、該案内流路62の出口62aを取付基板57の下部のうち始動入賞誘導ユニット28の球入口の直上に開設している(図2参照)。また、ステージ部61の後方には、ステージ部61上の遊技球が後方の表示装置42側へ進入することを規制する進入規制壁63を配置し、ステージ部61の一側端(図6中、左側端)には、遊技球が流下可能な球導入路(ワープ流路)64を設けている。そして、球導入路64の入口64aを前面構成体23の側方(図2中、左側方)へ開放した状態で開設し、球導入路64の出口64bをステージ部61へ向けて開放し、遊技球が遊技領域5から球導入路64を通ってステージ部61上へ到達できるように構成されている。
さらに、前面構成ベース55のうちステージ部61を挟んで球導入路64とは反対側(図7(a)中、右側)には、上側の球当接突起66と下側の球転動棚67とを上下に離した状態で前方へ突設し、球転動棚67よりも上方の位置であり、且つステージ部61と球当接突起66との間の位置には、入賞装置の一種である第2始動入賞装置70を備えている。第2始動入賞装置70は、図8に示すように、前面構成ベース55の前面側に位置する始動フロントユニット71と、裏面側に位置する始動リアユニット72とを重合して構成され、始動フロントユニット71の側縁部と始動リアユニット72の側縁部との間には前面構成ベース55の一部を挟持している。
始動フロントユニット71は、図9および図10に示すように、透光性部材で構成されたフロントユニットベース74の前面に、遊技球を受け入れ可能な始動入賞流路(入賞空間)75を縦向きで備え、該始動入賞流路75の下部の前方に始動装飾パネル76を配置している。また、フロントユニットベース74の前面のうち始動入賞流路75の上方には、前面構成体23の側方(図9中、右側方)へ向けて下り傾斜した始動入賞庇部77を前方へ突設し、始動入賞流路75の下部(下流部)の側方(図9中、右側方)には球落下棚78を前方へ突設している。さらに、始動入賞流路75の上流端となる球受入口75aを前面構成体23の側方(図8中、右側方)に開設し、始動入賞流路75の下流端を後方の始動リアユニット72側に連通している。そして、始動装飾パネル76の上端を始動入賞流路75の下流側へ向けて切り欠くことで、後述する開閉部材91の閉状態において始動入賞流路75の前面に遊技球よりも広い開口空間部79を形成している(図10(a)参照)。
また、フロントユニットベース74の裏側には、第2始動入賞装置70を光により装飾する第2始動発光装飾部(装飾部)81を備えている。具体的には、複数の発光体(LED)82が実装された発光基板83を始動入賞流路75の下流部と重なる箇所が切り欠かれた形状に設定してフロントユニットベース74の後方に配置し、発光基板83とフロントユニットベース74との間には、前面構成体23の側方へ向かって円弧状に湾曲する拡散レンズ84をレンズホルダー85内に嵌めた状態で配置して始動入賞流路75の下流部との重合を避けている。そして、発光体82から発生した光が拡散レンズ84を透過することによりレンズホルダー85で区画された範囲内で拡散され、この拡散状態でフロントユニットベース74を透過するように構成されている。さらに、第2始動発光装飾部81の一部を開口空間部79から前方へ臨ませ、上記拡散状態でフロントユニットベース74を透過した光が開口空間部79を通って前面構成体23の前方へ照射されるように構成されている。
始動リアユニット72は、図9および図10(e)に示すように、発光基板83よりもひと回り大きなリアユニットベース87を備え、該リアユニットベース87のうち始動入賞流路75の下流部の後方に位置する箇所には始動入賞球回収路88を備えて始動入賞流路75の下流部へ連通し、始動入賞球回収路88の下流端を入賞球回収ユニット44へ接続している。また、始動入賞球回収路88の上流部(球入口)には、第2始動入賞装置70に進入した遊技球を入賞球として検出可能な第2始動口スイッチ89を配置し、第2始動口スイッチ89による遊技球の検出(言い換えると、第2始動入賞装置70への入賞)を始動条件(特図2始動条件)として第2特図変動表示ゲームを実行可能としている。したがって、パチンコ遊技機1における第2特図変動表示ゲームは、第2始動入賞装置70への遊技球の入賞、または始動入賞誘導ユニット28内の第2始動入賞口54への遊技球の入賞を始動条件として実行されるように構成されている。さらに、第2始動口スイッチ89の上方には磁気センサ90を配置し、遊技領域5内の遊技球を磁石で不正に操作しようとする不正行為を磁気センサ90により検知可能としている。
そして、始動フロントユニット71には、羽根状の開閉部材(普通電動役物)91を回動可能な状態で軸着して前面構成体23の側方(図2中、右側方)に位置する遊技領域5に臨ませ、リアユニットベース87の裏側に備えられた普電ソレノイド92(図10(e)参照)を駆動することにより開閉部材91を状態変換して球受入口75aを開閉できるように構成されている。詳しくは、第2始動入賞装置70内(始動入賞流路75内)への遊技球の進入(入賞)を阻止する閉状態においては、開閉部材91が縦向き姿勢となって球受入口75aを閉成し(図10(a)および(b)参照)、第2始動入賞装置70内(始動入賞流路75内)への遊技球の進入(入賞)を許容する開状態においては、開閉部材91が下端部を回動中心として回動して上端部を前面構成体23の側方へ移動し、当該開閉部材91と球受入口75aの開口上縁とを遊技球が通過可能な間隔で離間するように構成されている(図10(c)および(d)参照)。
このような構成の第2始動入賞装置70を備えた前面構成体23においては、図2に示すように、第2始動入賞装置70とサイドケース21との間に遊技球通路93を下流端(球出口)が大入賞装置26の上方へ向けて開放した状態で形成し、該遊技球通路93の左右両側に始動入賞庇部77、球当接突起66、球落下棚78、球転動棚67を交互に配置して遊技球通路93を左右方向へ蛇行させている。また、球当接突起66を開閉部材91の側方に配置し、開閉部材91を開状態に変換した場合には、始動入賞庇部77から落下したり球当接突起66に当接して弾んだ遊技球が第2始動入賞装置70へ入賞するようにしている。なお、開閉部材91を閉状態に変換した場合には、遊技球(遊技球通路93を流下する遊技球)の第2始動入賞装置70への入賞を阻止する。さらに、図7(a)に示すように、開状態の開閉部材91と球当接突起66との間を離間して遊技球を通過可能としており、開閉部材91が開状態であったとしても、遊技球通路93内の遊技球が第2始動入賞装置70へ入賞せずに開閉部材91と球当接突起66との間を通り、前面構成体23の下方へ流下し得るように構成されている。なお、第2始動入賞装置70の作用については、後で詳細に説明する。
次に、裏面構成体40について説明する。
裏面構成体40は、図11および図12に示すように、遊技ベースユニット20の裏面に止着される額縁状の裏面構成ケース101を前側が開放した状態で備え、該裏面構成ケース101の後部には矩形状の表示開口窓101aを前後方向へ貫通して開設し、図3に示すように、裏面構成ケース101の後方に装着された表示装置42の表示部42aを表示開口窓101aに臨ませている。さらに、裏面構成ケース101の下部の前側には下側役物ユニット102を備え、上部の前側には上側役物ユニット103を備えている。
下側役物ユニット102は、倒コ字状の下側ユニットベース105を備え、該下側ユニットベース105の左右両側には、刀形状を模した演出役物である回動演出役物(左側の第1回動演出役物106,右側の第2回動演出役物107)を下端部が軸着されて回動可能な状態で備え、裏面構成ケース101の側縁に沿って下隅部から起立する演出非実行状態と(図11(a)において実線で示す起立状態)、下端部を軸として回動して演出非実行状態よりも表示開口窓101aの下隅部から中央部に亘って延在する演出実行状態(図11(a)において二点鎖線で示す傾斜状態)とに変換できるように構成されている。また、下側ユニットベース105の左右方向の中央部分には、略円形状の演出役物である中央昇降演出役物108を上下動可能な状態で備え、裏面構成ケース101の下辺部の前方に位置する演出非実行状態(図11(a)において実線で示す下降状態)と、上昇して演出非実行状態よりも表示開口窓101a(表示装置42)の中央側の前方に位置する演出実行状態(図11(a)において二点鎖線で示す上昇状態)とに変換できるように構成されている。
上側役物ユニット103は、図13および図14に示すように、横長な上側ユニットベース110を備え、該上側ユニットベース110の裏面の左右両側部には、演出役物を左右方向へ移動することにより演出動作を実行する側部演出機構(左側の第1側部演出機構111,右側の第2側部演出機構112)をそれぞれ備え、上側ユニットベース110の前面のうち左右方向の中央部には、演出役物を上下動することにより演出動作を実行する中央演出機構114を備えている。さらに、上側ユニットベース110の前面の左右両側部には前面カバー部材115をそれぞれ装着し、該前面カバー部材115のうち裏面構成ケース101の側辺部の前方に位置する箇所を下方へ延出している。
第1側部演出機構111は、図13から図15に示すように、上側ユニットベース110の左側部の裏面側に第1側部回動アーム120の上端を回動可能な状態で軸着し、第1側部回動アーム120の下端には、蝶の左側の羽を模した枠状の演出役物である第1側部演出役物121を止着している。また、図14および図15(c)に示すように、第1側部回動アーム120の中間部分の前面から第1アームガイドピン122を前方の上側ユニットベース110へ向けて突設し、上側ユニットベース110の左側部に設けられた円弧状の第1回動ガイド溝123に第1アームガイドピン122を遊嵌し、第1アームガイドピン122を第1回動ガイド溝123に沿って移動させて第1側部回動アーム120および第1側部演出役物121を左右方向へ回動可能としている。さらに、第1側部回動アーム120の軸着部(上端部)の側方には第1側部演出駆動モータ124を備え、該第1側部演出駆動モータ124の出力軸には第1アーム駆動片125を共回り状態で装着している。そして、第1アーム駆動片125のうち回転中心から外れた位置からは第1駆動カムフォロワ126を突設し、第1側部回動アーム120の軸着部から第1側部演出駆動モータ124側へ延在する円弧状の第1アームカム溝127内に第1駆動カムフォロワ126を係合している(図15(b)参照)。
第2側部演出機構112は、図13および図14に示すように、上側ユニットベース110の右側部の裏面側に第2側部回動アーム130の上端を回動可能な状態で軸着し、第2側部回動アーム130の下端には、蝶の右側の羽を模した枠状の演出役物である第2側部演出役物131を止着している。また、第2側部回動アーム130の中間部分の前面から第2アームガイドピン132を前方の上側ユニットベース110へ向けて突設し、上側ユニットベース110の右側部に設けられた円弧状の第2回動ガイド溝133に第2アームガイドピン132を遊嵌し、第2アームガイドピン132を第2回動ガイド溝133に沿って移動させて第2側部回動アーム130および第2側部演出役物131を左右方向へ回動可能としている。さらに、第2側部回動アーム130の軸着部(上端部)の側方には第2側部演出駆動モータ134を備え、該第2側部演出駆動モータ134の出力軸には第2アーム駆動片135を共回り状態で装着している。そして、第2アーム駆動片135のうち回転中心から外れた位置からは第2駆動カムフォロワ136を突設し、第2側部回動アーム130の軸着部から第2側部演出駆動モータ134側へ延在する円弧状の第2アームカム溝137内に第2駆動カムフォロワ136を係合している。
このような構成を備えた第1側部演出機構111および第2側部演出機構112においては、第1側部演出駆動モータ124および第2側部演出駆動モータ134を駆動することにより第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を左右方向へ移動させて、表示開口窓101aの側方へ外して前面カバー部材115の後方へ隠す演出非実行状態(図13および図16参照)と、第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を表示開口窓101aの前方に配置する演出実行状態(図17参照)とに変換する。具体的には、第1側部演出駆動モータ124を駆動して第1アーム駆動片125を遊技盤6の正面から見て時計回りへ回動するとともに、第2側部演出駆動モータ134を駆動して第2アーム駆動片135を遊技盤6の正面から見て反時計回りへ回動すると(図16(a)参照)、第1駆動カムフォロワ126が第1アームカム溝127を押し上げて第1側部回動アーム120を回動し、第2駆動カムフォロワ136が第2アームカム溝137を押し上げて第2側部回動アーム130を回動する。この結果、第1側部演出役物121および第2側部演出役物131が表示開口窓101aの左右両側方から中央側へ移動し、表示開口窓101a(表示部42a)の前方において横に並ぶ状態で当接して演出実行状態に変換する。なお、第1側部演出役物121のうち第2側部演出役物131が当接可能な第1当接側部121a、および第2側部演出役物131のうち第1側部演出役物121が当接可能な第2当接側部131aには磁石140をそれぞれ収納している(図15(e)および図17(a)参照)。したがって、演出実行状態においては、磁石140同士が互いに吸引して第1側部演出役物121と第2側部演出役物131とが一つの装飾体(詳しくは、蝶の形状を呈する仮面を模した装飾体)を形成し、磁石140の間に発生する吸引力(磁力)により演出実行状態の第1側部演出役物121および第2側部演出役物131が不用意に離間することを阻止可能としている。
また、演出実行状態から第1側部演出駆動モータ124を駆動して第1アーム駆動片125を遊技盤6の正面から見て反時計回りへ回動するとともに、第2側部演出駆動モータ134を駆動して第2アーム駆動片135を遊技盤6の正面から見て時計回りへ回動すると(図17(a)参照)、第1駆動カムフォロワ126が第1アームカム溝127を押し下げて第1側部回動アーム120を回動し、第2駆動カムフォロワ136が第2アームカム溝137の縁部を押し下げて第2側部回動アーム130を回動する。この結果、第1側部演出役物121および第2側部演出役物131が離間して表示開口窓101aの中央側から左右両側方へ移動して表示開口窓101a(表示部42a)の前方から外れ、前面カバー部材115の下側延出部の後方に隠れて演出非実行状態に変換する(図13(b)参照)。
ここで、演出実行状態においては、図17(b)に示すように、円弧状の第1アームカム溝127が第1駆動カムフォロワ126の回動軌跡A1(図17(b)において二点鎖線で示す円弧線A1)から離れる方向へ反る姿勢となり、円弧状の第2アームカム溝137が第2駆動カムフォロワ136の回動軌跡A2(図17(b)において二点鎖線で示す円弧線A2)から離れる方向に反る姿勢となる。したがって、演出実行状態から演出非実行状態へ変換するとき(当接状態の第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を左右に離そうとするとき)には、第1駆動カムフォロワ126が第1アームカム溝127の縁部を十分に押圧することができるとともに、第2駆動カムフォロワ136が第2アームカム溝137の縁部を十分に押圧することができる。これにより、吸引状態の第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を簡単に離間させることができる。
また、演出非実行状態においては、図16(b)に示すように、円弧状の第1アームカム溝127が第1駆動カムフォロワ126の回動軌跡A1から第1側部回動アーム120の軸着部側(図16(b)中、右側)へ僅かに傾いて湾曲する姿勢となり、円弧状の第2アームカム溝137が第2駆動カムフォロワ136の回動軌跡A2から第2側部回動アーム130の軸着部側(図16(b)中、左側)へ僅かに傾いて湾曲する姿勢となる。したがって、演出非実行状態から演出実行状態へ変換するとき(左右に離れた第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を近づけようとするとき)には、第1駆動カムフォロワ126が第1アームカム溝127内をスムーズに摺動し始めることができるとともに、第2駆動カムフォロワ136が第2アームカム溝137内をスムーズに摺動し始めることができる。これにより、第1側部演出役物121の自重によって発生したトルクによって第1アームカム溝127の縁部が第1駆動カムフォロワ126を押圧したり、第2側部演出役物131の自重によって発生したトルクによって第2アームカム溝137の縁部が第2駆動カムフォロワ136を押圧したりしたとしても、第1駆動カムフォロワ126および第2駆動カムフォロワ136を支障なく移動させることができ、第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を簡単に離間させることができる。
中央演出機構114は、図18および図19に示すように、上側ユニットベース110の前面に上下移動可能な状態で装着された演出役物である中央演出役物141と、該中央演出役物141の駆動源となる中央演出駆動モータ142と、該中央演出駆動モータ142から出力される駆動力を中央演出役物141へ伝達する駆動伝達機構143とを備えて構成されている。そして、中央演出役物141が上下動する領域の側方(図18(a)中、右側方)に中央演出駆動モータ142を配置し、該中央演出駆動モータ142と中央演出役物141とを駆動伝達機構143により連結している。
中央演出役物141は、上側ユニットベース110の前面にスライドベース145(図18(b)参照)を介して装着されており、スライドベース145のスライド方向に沿って上下移動可能な状態で係合されており、当該中央演出役物141の上死点側に位置する第1移動領域F1と、該第1移動領域F1の下方に位置する第2移動領域F2と、該第2移動領域F2の下方である下死点側に位置する第3移動領域F3とに亘って上下動できるように構成されている(図19(d)および(h)参照)。さらに、当該中央演出役物141の上死点においては、表示開口窓101aよりも上方へ外れることで前面構成体23の前面発光装飾部59の後方に隠れて演出非実行状態となり、(図3および図19(d)参照)、下死点においては、表示開口窓101aの上部の前方に位置して演出実行状態となるように構成されている(図19(h)参照)。また、中央演出役物141の裏面には、駆動伝達機構143の一部が係合する突起状の役物係合部147を突設している(図18(b)参照)。
駆動伝達機構143は、先端部に中央演出役物141が連結された横長アーム状の役物連結部150と、中央演出駆動モータ142の出力軸に共回り状態で軸着された回動機構部151とを係合可能な状態で備えて構成されている。また、役物連結部150の基端部(図18(b)中、左端部)を上側ユニットベース110の前面のうち中央演出駆動モータ142の下方に位置する箇所へ回動可能な状態で軸着し、該基端部には略扇形状の係合受部152を上方の中央演出駆動モータ142側へ向けて延設し、係合受部152の延設端部(詳しくは、役物連結部150の回動軸を中心とする円弧状に形成された延設端部)には、回動機構部151の一部が嵌合可能な嵌合凹部153を切り欠いて形成している。さらに、役物連結部150の先端部には、中央演出役物141の役物係合部147を摺動可能な状態で係合する係合溝154を備えている。該係合溝154においては、図20に示すように、役物連結部150の先端側に位置する第1溝部154aと、該第1溝部154aよりも役物連結部150の回動軸側に位置する第2溝部154bとを連通して構成されており、第1溝部154aを第2溝部154bの延長線L2上から下方へ外れるように屈曲する状態に設定している。そして、中央演出役物141が第1移動領域F1または第3移動領域F3に位置するときには役物係合部147が第1溝部154aに係合し(図19(d),(h)、および図20(a)参照)、中央演出役物141が第2移動領域F2に位置するときには役物係合部147が第2溝部154bに係合するように構成されている(図19(a)〜(c)、および図20(b)参照)。
また、回動機構部151においては、中央演出駆動モータ142の駆動力により一方向(図18(b)中、太線の矢印で示す時計方向)へ回動可能とし、該回動機構部151の外周部には、係合受部152に係合可能な2つの係合突起(第1係合突起156および第2係合突起157)を回動機構部151の回動方向に沿って並ぶ状態で突設し、回動機構部151の外周部のうち回動中心を挟んで2つの係合突起156,157とは反対側に位置する円弧面を、係合受部152へ係合不能となる半径寸法に設定している。そして、回動方向の前側に位置する第1係合突起156の幅(回動機構部151の周方向に沿う幅)を回動方向の後側に位置する第2係合突起157の幅よりも狭く設定し、第2係合突起157の先端部には、回動機構部151の回動軸を中心とする円弧状の摺動部157aを形成して、該摺動部157aが役物連結部150の係合受部152の延設端部上を摺動できるように構成されている。
このような構成を備えた中央演出機構114において、当該中央演出機構114の演出非実行状態(中央演出役物141の演出非実行状態)では、図19(d)および図20(a)に示すように、回動機構部151の第2係合突起157の摺動部157aを役物連結部150の係合受部152のうち中央演出役物141側に臨ませた側部(図20(a)中、右側部)へ係合し、役物連結部150の先端部が下方へ回動することを阻止して中央演出役物141を上死点に維持する。この演出非実行状態から中央演出駆動モータ142を駆動して回動機構部151を一方向へ回動すると、図19(e)に示すように、第2係合突起157と係合受部152との係合が解除されて回動機構部151が役物連結部150から外れた状態(駆動伝達機構143の係合解除状態)となり、役物連結部150の回動および中央演出役物141の下降が許容される。この結果、中央演出役物141が上死点(第1移動領域F1)から下死点(第3移動領域F3)へ自重により落下し、演出実行状態に変換する(図19(f)〜(h)参照)。
引き続き中央演出駆動モータ142を駆動して回動機構部151を一方向へ回動し続けると、図19(a)に示すように、第1係合突起156が係合受部152の嵌合凹部153へ嵌合し、回動機構部151と役物連結部150とが係合して連動する状態(駆動伝達機構143の連動状態)となり、係合受部152を側方(図19(a)において、中央演出役物141から遠ざかる方向となる左側方)へ押圧する。この押圧力により役物連結部150の先端部が上方へ回動し、中央演出役物141が下死点から上昇する(図19(b)および(c)参照)。さらに中央演出駆動モータ142を駆動して回動機構部151を一方向へ回動し続けると、第1係合突起156が嵌合凹部153から外れるとともに第2係合突起157の側部(図19(c)中、第1係合突起156側に臨んだ左側部)が係合受部152の側部(図19(c)中、右側部)へ当接し、第2係合突起157が係合受部152を押圧して役物連結部150の回動および中央演出役物141の上昇が継続する。そして、回動機構部151がさらに回動して第2係合突起157が係合受部152を引き続き押圧すると、第2係合突起157の側部に代わって摺動部157aが係合受部152へ当接して、中央演出役物141が上死点に到達して演出非実行状態となる。ここで、摺動部157aが回動機構部151の回動軸を中心とする円弧状に形成されているため、引き続き回動機構部151を回動すると、摺動部157aが係合受部152上を摺動する状態(駆動伝達機構143の摺動状態)となり、係合受部152の姿勢、ひいては役物連結部150の姿勢が維持される。この結果、中央演出役物141が上死点に停留する(図19(d)参照)。そして、回動機構部151がさらに回動して第2係合突起157と係合受部152との係合が解除されると、中央演出役物141が自重により落下して再び演出実行状態に変換する
このようにして、回動機構部151の回動により駆動伝達機構143が連動状態と摺動状態と係合解除状態とに変換可能であり、連動状態では役物連結部150の動作により中央演出役物141が下死点から上死点まで上昇し、摺動状態では役物連結部150の姿勢が維持されて中央演出役物141が上死点に停留し、係合解除状態では中央演出役物141が上死点から下死点へ自重により落下するので、中央演出役物141の上昇、停留、落下の動作を単一の駆動源を利用して簡単に行わせることができる。したがって、中央演出役物141の動作のための構造や制御が複雑になることを抑制することができる。また、連動状態においては、回動機構部151の回動により係合突起156,157が係合受部152を押圧して回動機構部151と役物連結部150とが連動し、摺動状態においては、摺動部157aが役物連結部150上を摺動して役物連結部150の姿勢が維持されるように構成したので、中央演出役物141の上昇、停留、落下の動作を簡単に行わせる構成を容易に実現することができる。
そして、図20(a)に示すように、中央演出役物141が第1移動領域F1に位置して役物係合部147が第1溝部154aに係合した状態においては、中央演出役物141の移動方向とは直交する方向(図20(a)中、二点鎖線Hに沿う方向)と第1溝部154aの延在方向(第1溝部154aの延長線L1)とのなす角αを、中央演出役物141の移動方向とは直交する方向と第2溝部154bの延在方向(第2溝部154の延長線L2)とのなす角βよりも小さく設定している。これにより、役物係合部147を中央演出役物141の上死点側へ押し上げ易くすることができる。したがって、役物連結部150の回動力を効率よく伝達して中央演出役物141を安定して上死点へ上昇させることができる。また、中央演出役物141を上死点で停留させる場合には、役物係合部147を下方から安定して支持することができ、中央演出役物141が不用意に上死点から下降する不都合を避けることができる。
次に、始動入賞誘導ユニット28について説明する。
始動入賞誘導ユニット28は、第1始動入賞口53と、第2始動入賞口54と、遊技領域5を流下する遊技球を第1始動入賞口53または第2始動入賞口54のいずれかへ誘導するユニットと、を一体にした入賞装置である。具体的には、図21および図22に示すように、遊技ベースユニット20の表面に止着される誘導ユニット基部161と、該誘導ユニット基部161の前側に装着される誘導カバー162と、誘導ユニット基部161の裏側に装着される背面流路形成部163と、を備えて構成されている。また、図21(b)および図23(b),(c)に示すように、誘導カバー162の裏側を前方へ凹ませて誘導ユニット基部161と誘導カバー162との間にユニット空間部165を形成し、誘導カバー162の上部には、遊技球が1個ずつ進入可能な誘導受入口166を開設してユニット空間部165へ連通し、遊技領域5を流下する遊技球が誘導受入口166からユニット空間部165(始動入賞誘導ユニット28内)へ進入し得るが、誘導受入口166の左右両側方においてはユニット空間部165への進入を誘導カバー162の側壁部により阻止されるように構成されている。なお、誘導受入口166内には受入衝接阻止突起168を誘導ユニット基部161から突設し(図22および図24(c)参照)、誘導受入口166内を通過する遊技球を後述する振分部材173に誘導する際に振分基部201に当接しないように誘導ユニット基部161から離れるようにしている。
さらに、ユニット空間部165には、2つの入賞誘導路(第1入賞誘導路171および第2入賞誘導路172)を縦向き姿勢で左右方向に並べて配置(並列)して入賞誘導空間部180を構成し、誘導受入口166と入賞誘導路171,172との間には、誘導受入口166を通って始動入賞誘導ユニット28内に進入した遊技球を第1入賞誘導路171または第2入賞誘導路172へ振り分ける振分部材173を備えている。そして、ユニット空間部165の左右両側部のうち、第1入賞誘導路171と第1始動入賞口53との間、および第2入賞誘導路172と第2始動入賞口54との間には側部開口175をそれぞれ開設し、底部のうち第1始動入賞口53と第2始動入賞口54との間に臨む箇所には底部開口176を開設し、側部開口175および底部開口176を遊技球の直径よりも広く設定している(図23(b)および(c)参照)。したがって、第1入賞誘導路171または第2入賞誘導路172を流下した遊技球が第1始動入賞口53または第2始動入賞口54に入賞せずに、側部開口175または底部開口176から始動入賞誘導ユニット28の外方に排出されることが可能となっている。また、側部開口175から始動入賞誘導ユニット28に遊技球が進入し、第1始動入賞口53または第2始動入賞口54に入賞、あるいは底部開口176から始動入賞誘導ユニット28の外方に排出されることが可能となっている。
第1入賞誘導路171は、誘導受入口166から始動入賞誘導ユニット28内に進入して振分部材173により振り分けられた遊技球を第1始動入賞口53へ誘導可能とする誘導路であり、遊技球を誘導可能な入賞誘導空間部180を構成している。具体的に説明すると、図23(b)および(c)に示すように、ユニット空間部165の一側(図23(c)中、右側)の上部において、誘導カバー162の前側部の裏面から後方の誘導ユニット基部161側へ向けて一対の区画壁178を左右方向へ離間した状態で延設し、この離間距離を遊技球よりも広い寸法に設定して入賞誘導空間部180を区画形成している。
そして、第1入賞誘導路171の下流側には、突起182を誘導カバー162の前側部から突設して、第1入賞誘導路171の下流部を上流部よりも狭く設定している。また、第1入賞誘導路171の下側(下流側)に位置する第1始動入賞口53内には、突起183を左右両側の区画壁184からそれぞれ突設して、第1始動入賞口53内の球流路の下流部を上流部よりも狭く設定している。
さらに、第1始動入賞口53の底部を閉塞するとともに後部を開放して、誘導ユニット基部161に開設された第1連通開口185(図24参照)および背面流路形成部163に開設された第1連通路186(図25参照)を介して第1始動口スイッチ51へ連通している。そして、直列に並んだ第1入賞誘導路171と第1始動入賞口53とを上下に遊技球の直径よりも広く離間し、離間部分が側部開口175および底部開口176へ連通している。なお、誘導ユニット基部161の前面のうち第1入賞誘導路171と第1始動入賞口53との間に臨ませた箇所には第1衝接阻止突起187を突設し(図22および図24(c)参照)、第1入賞誘導路171から第1始動入賞口53にかけて流下する遊技球が前後方向にガタつかないようにしている。
第1入賞誘導路171とは別個に設けられた第2入賞誘導路172は、始動入賞誘導ユニット28内に進入して振分部材173により振り分けられた遊技球を第2始動入賞口54へ誘導可能とする誘導路であり、遊技球を誘導可能な入賞誘導空間部180を構成している。具体的に説明すると、図23(b)および(c)に示すように、ユニット空間部165の他側(図23(c)中、左側)の上部において、誘導カバー162の前側部の裏面から後方の誘導ユニット基部161側へ向けて一対の区画壁178を左右方向へ離間した状態で延設し、この離間距離を遊技球よりも広い寸法に設定して入賞誘導空間部180を区画形成している。
そして、第2入賞誘導路172の下流側には、突起192を誘導カバー162の前側部から突設して、第2入賞誘導路172の下流部を上流部よりも狭く設定している。また、第2入賞誘導路172の下側(下流側)に位置する第2始動入賞口54内には、突起193を左右両側の区画壁194からそれぞれ突設して、第2始動入賞口54内の球流路の下流部を上流部よりも狭く設定している。
さらに、第2始動入賞口54の底部を閉塞するとともに後部を開放して、誘導ユニット基部161に開設された第2連通開口195(図24参照)および背面流路形成部163に開設された第2連通路196(図25参照)を介して第2始動口スイッチ52へ連通している。そして、直列に並んだ第2入賞誘導路172と第2始動入賞口54とを上下に遊技球の直径よりも広く離間し、離間部分が側部開口175および底部開口176へ連通している。なお、誘導ユニット基部161の前面のうち第2入賞誘導路172と第2始動入賞口54との間に臨ませた箇所には第2衝接阻止突起197を突設し(図22および図24(c)参照)、第2入賞誘導路172から第2始動入賞口54にかけて流下する遊技球が前後方向にガタつかないようにしている。
振分部材173は、ユニット空間部165に揺動自在な状態で配置された部材であり、当該振分部材173の後部を誘導ユニット基部161の前面に形成された振分収納凹部199内に収納している。具体的に説明すると、図22および図26に示すように、略半円形状の振分基部201の下部に円筒状の揺動軸挿通部202を備えて揺動軸部材203を挿通し、該揺動軸部材203を誘導カバー162に設けられたカバー側軸受205(図23(c)参照)と振分収納凹部199内に設けられた基部側軸受206(図24(a)参照)との間に軸着している。また、揺動軸挿通部202のうち振分基部201よりも前方に位置する箇所には、当該揺動軸挿通部202の上部から上方の誘導受入口166側へ向けて突設した振分起立壁210と、当該揺動軸挿通部202の第1入賞誘導路171側(図26(a)中、左側)から第1入賞誘導路171の球入口側へ向けて延設した第1振分案内部211と、当該揺動軸挿通部202の第2入賞誘導路172側(図26(a)中、右側)から第2入賞誘導路172の球入口側へ向けて延設した第2振分案内部212とを備えている。さらに、振分基部201の後面のうち揺動軸挿通部202よりも上方には錘213を装着し(図26(b)参照)、振分部材173が傾いて錘213が揺動軸部材203の直上から左右いずれかへずれて位置すると、振分部材173の姿勢が安定するように構成されている。
このような構成の振分部材173においては、揺動して傾くことにより、上方の誘導受入口166から流下してきた遊技球を第1入賞誘導路171へ案内しようとする第1振分準備状態と、第2入賞誘導路172へ案内しようとする第2振分準備状態とに変換するように構成されている。第1振分準備状態においては、図26(a)〜(c)に示すように、右側の第2入賞誘導路172側へ傾いて振分起立壁210と第1振分案内部211との間の空間部(第1球受空間部216)を上方の誘導受入口166側へ臨ませ、誘導受入口166から流下してきた遊技球を第1球受空間部216で受けるような姿勢に位置する。また、第2振分案内部212を第2入賞誘導路172の区画壁178の上端部に当接するとともに、錘213を揺動軸部材203の直上から第2入賞誘導路172側へずらして、当該振分部材173が第1振分準備状態から不用意に揺動することを阻止している。
また、第2振分準備状態においては、図26(d)に示すように、第1入賞誘導路171側(図26(d)中、右側)へ傾いて振分起立壁210と第2振分案内部212との間の空間部(第2球受空間部217)を上方の誘導受入口166側へ臨ませ、誘導受入口166から流下してきた遊技球を第2球受空間部217で受けるような姿勢に位置する。さらに、第1振分案内部211を第1入賞誘導路171の区画壁178の上端部に当接するとともに、錘213を揺動軸部材203の直上から第1入賞誘導路171側へずらして、当該振分部材173が第2振分準備状態から不用意に揺動することを阻止している。
そして、第1振分準備状態の振分部材173が第1球受空間部216に遊技球を受けると、この遊技球が第1振分案内部211を押圧して振分部材173を錘213による回転モーメントに抗して回動し、振分部材173が第2振分準備状態へ変換する。すると、第1振分案内部211が第1入賞誘導路171側へ向けて下り傾斜した姿勢となり、第1球受空間部216内の遊技球が第1振分案内部211上を転動して第1入賞誘導路171へ案内される。一方、第2振分準備状態の振分部材173が第2球受空間部217に遊技球を受けると、この遊技球が第2振分案内部212を押圧して振分部材173を錘213による回転モーメントに抗して回動し、振分部材173が第1振分準備状態へ変換する。すると、第2振分案内部212が第2入賞誘導路172側へ向けて下り傾斜した姿勢となり、第2球受空間部217内の遊技球が第2振分案内部212上を転動して第2入賞誘導路172へ案内される。したがって、始動入賞誘導ユニット28においては、誘導受入口166に進入した遊技球を振分部材173により第1入賞誘導路171または第2入賞誘導路172へ交互に振り分け、同じ入賞誘導路に遊技球が連続して流入することを避けるように構成されている。
なお、図27に示す振分部材173の変形例のように、各振分案内部211,212の延出幅(揺動軸挿通部202から各振分案内部211,212の側端部までの寸法)を図26に示す各振分案内部211,212よりも短く設定して、第1振分案内部211と第1入賞誘導路171の区画壁178との当接、および第2振分案内部212と第2入賞誘導路172の区画壁178との当接を避け、振分基部201の下縁部を振分収納凹部199の下部に当接して第1振分準備状態または第2振分準備状態を維持するようにしてもよい。このように設定すれば、第1振分準備状態および第2振分準備状態において傾斜が大きくなるため錘213を揺動軸部材203の直上から側方へ一層ずらすことができ、当該振分部材173が各振分準備状態から不用意に揺動することを更に阻止可能となる。
そして、始動入賞誘導ユニット28は、図25に示すように、背面流路形成部163のうち第1連通路186および第2連通路196から外れた箇所に拡散レンズ部220を形成している。さらに、誘導カバー162のうち前面に施された不透明の装飾突起162a(図21(c)および図22参照)から外れた箇所、および誘導ユニット基部161のうち少なくとも拡散レンズ部220の前方に位置する箇所をそれぞれ透光可能な状態に設定し、誘導カバー162の周囲から始動入賞誘導ユニット28内へ照射された光を拡散レンズ部220へ到達させて、遊技者からは始動入賞誘導ユニット28の内部が光って見えるように構成されている。
次に、パチンコ遊技機1の遊技進行等の制御を行う遊技制御装置45を中心とする制御系統について説明する。
遊技制御装置45は、図28に示すように、遊技制御を司るCPU、遊技制御のための制御プログラム等を記憶しているROM、および遊技制御時にワークエリアとして利用されるRAM、入力部(入力インターフェース)、出力部(出力インターフェース)等から構成されている。そして、各種検出装置(磁気センサ90、電波センサ224、第1始動口スイッチ51、第2始動口スイッチ52、ゲートスイッチ47、入賞口スイッチ48、カウントスイッチ49、前面枠開放検出スイッチ226、透明部材保持枠開放検出スイッチ227、電源装置228等)からの検出信号を受けて、特別遊技状態(大当り状態)、遊技者に対する報知、停電対応処理等、種々の処理を行う。さらに、演出制御装置230を介して各演出役物(第1回動演出役物106,第2回動演出役物107,中央昇降演出役物108,第1側部演出役物121,第2側部演出役物131,中央演出役物141)の移動を制御する制御手段として機能したり、あるいは、払出制御装置231、大入賞口30を開閉するための大入賞口ソレノイド233、開閉部材91を開閉駆動するための普電ソレノイド92、一括表示装置35、外部情報端子234等に指令信号を送信したりして、遊技を統括的に制御する。
次に、上記した構成を有する遊技盤6(パチンコ遊技機1)の動作、特に、遊技実行時における第2始動入賞装置70や始動入賞誘導ユニット28の作用、および電源をオフにする前の各演出役物の設定について説明する。
まず、遊技実行時においては、発射装置(図示せず)から発射された遊技球が遊技領域5へ飛入して流下し、普図始動ゲート24へ入賞(通過)すると、遊技制御装置45が普図変動表示ゲームを実行し、この普図変動表示ゲームの結果態様に応じて異なる制御信号を一括表示装置35へ送信し、結果態様を示す普通図柄を一括表示装置35で表示する制御を行う。そして、普図変動表示ゲームの結果態様が「当り」を示す状態になった場合には、第2始動入賞装置70の開閉部材91を常態の閉状態から開状態へ変換して、遊技球が第2始動入賞装置70へ入賞し易い状態に変換し、「はずれ」を示す状態になった場合には開閉部材91を閉状態に維持する。さらに、普図変動表示ゲームの実行中に遊技球が普図始動ゲート24へ入賞した場合には、遊技制御装置45は、この入賞に基づく普図変動表示ゲームの実行を予め設定された記憶上限数(例えば4個)まで記憶して保留し、実行中の普図変動表示ゲームの終了後に、保留分の普図変動表示ゲームを順次実行する。
また、遊技領域5を流下する遊技球が前面構成体23の側方から下方へ流下したり、あるいは球導入路64への進入後にステージ部61および案内流路62を通ったりして始動入賞誘導ユニット28の誘導受入口166へ流入すると、振分部材173がこの遊技球を第1入賞誘導路171または第2入賞誘導路172のいずれかへ案内する。そして、遊技球が第1入賞誘導路171を流下した場合には第1始動入賞口53へ入賞し、遊技制御装置45が第1始動入賞口53への入賞契機(始動条件)にして第1特図変動表示ゲームを実行する。また、遊技球が第2入賞誘導路172を流下した場合には第2始動入賞口54へ入賞し、遊技制御装置45が第2始動入賞口54への入賞を契機(始動条件)にして第2特図変動表示ゲームを実行する。
さらに、遊技球通路93を流下する遊技球が第2始動入賞装置70(詳しくは開閉部材91を開状態とした第2始動入賞装置70)へ流入(入賞)すると、遊技制御装置45が第2始動入賞装置70への入賞を契機(始動条件)にして第2特図変動表示ゲームを実行する。
そして、各特図変動表示ゲームの実行中においては、一括表示装置35が結果態様を示す特別図柄を表示し、演出制御装置230では、結果態様に対応する演出表示(具体的には、複数の識別図柄を変動表示した後に停止表示する演出表示)を表示装置42に実行させる制御を行う。さらに、各特図変動表示ゲームの結果態様が「大当り」であった場合には、遊技制御装置45は、予め設定された期間に亘って特別遊技状態を発生させて大入賞口30を開き、遊技球が大入賞口30に入賞し易い状態に変換する一方、「はずれ」であった場合には、大入賞口30を閉じた状態に維持して、遊技球の大入賞口30への入賞を規制する。そして、演出制御装置230は、特図変動表示ゲームの進行に基づいて、各演出役物を駆動して演出動作を実行する制御を行う。
さらに、特別遊技状態の発生中や各特図変動表示ゲームの実行中に遊技球が第1始動入賞口53、第2始動入賞口54、第2始動入賞装置70へ入賞した場合には、遊技制御装置45は、これらの入賞に基づく第1特図変動表示ゲームの実行または第2特図変動表示ゲームの実行を始動記憶としてそれぞれ予め設定された記憶上限数(例えば各4個)まで記憶して保留し、実行中の特図変動表示ゲームの終了後に、保留分の特図変動表示ゲームの実行を順次行う。
そして、第2始動入賞装置70においては、始動装飾パネル76の上端を始動入賞流路75の下流側へ向けて切り欠くことで、始動入賞流路75の前面に開口空間部79を形成しているので、開閉部材91が開状態の第2始動入賞装置70に遊技球が入賞しようとしたときに開閉部材91が閉状態へ変換したとしても、この遊技球が球受入口75aで開閉部材91と始動装飾パネル76との間に挟まれてしまう不都合を避けることができる。したがって、遊技を滞りなく進行させることができる。さらに、第2始動発光装飾部81の一部を開口空間部79の後方に臨ませているので、従来では始動装飾パネル76に遮られていた発光装飾を開口空間79から視認可能となり、第2始動入賞装置70の装飾効果を向上させることができる。
また、始動入賞誘導ユニット28においては、当該始動入賞誘導ユニット28の誘導受入口166に進入した遊技球を振分部材173により第1入賞誘導路171または第2入賞誘導路172へ交互に振り分けるので、始動入賞誘導ユニット28による遊技球の振分動作を遊技者に楽しませることができる。しかも、始動入賞誘導ユニット28に進入した遊技球が第1始動入賞口または第2始動入賞口のいずれかに偏って入賞してしまうこと、ひいては第1特図変動表示ゲームまたは第2特図変動表示ゲームのいずれかに偏ってゲームの実行や始動保留が行われることを避けることができる。さらに、入賞誘導空間部180を構成する第1入賞誘導路171と第2入賞誘導路172の各下流部に突起182,192をそれぞれ設けて上流部よりも狭く設定しているので、遊技球が第1入賞誘導路171および第2入賞誘導路172を円滑に流下することができ、始動入賞誘導ユニット28へ先に進入して一方の入賞誘導路へ振り分けられた遊技球(先行球)が、後に進入して他方の入賞誘導路へ振り分けられた遊技球(後続球)に追い越されてしまうこと、ひいては後続球が先行球よりも先に入賞すること(始動口スイッチを通過して検出されること)を抑制することができる。また、入賞誘導路を流下した遊技球が側方へ向けて乱れながら流下する不都合を抑制することができるので、遊技球を円滑に第1始動入賞口53または第2始動入賞口54へ誘導して入賞させることができ、側部開口175または底部開口176から始動入賞誘導ユニット28の外方に排出されることを防止すことが可能となる。これにより、始動入賞誘導ユニット28に進入した遊技球が第1始動入賞口53または第2始動入賞口54のいずれかに偏って入賞してしまう不都合(一方の始動口スイッチに連続して通過する不都合)を一層抑制することができる。
さらに、第1始動入賞口53および第2始動入賞口54の球流路の下流部に突起183,193を設けることで下流部を上流部よりも狭く設定しているので、第1始動入賞口53や第2始動入賞口54に入賞した遊技球を始動口スイッチまで円滑に流下可能とすることができ、後続球が先行球よりも先に始動口スイッチを通過することを抑制することができる。これにより、始動入賞誘導ユニット28に進入した遊技球が第1始動入賞口53または第2始動入賞口54のいずれかに偏って入賞してしまう(一方の始動口スイッチに連続して通過する)不都合を一層抑制することができる。したがって、遊技者が入賞誘導路171,172内の遊技球の挙動に注目しなくともよくなり、安心して遊技を行うことができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
また、図23(b)に示すように、球誘導空間部180を構成する入賞誘導路171,172の下流部の幅aを第1始動入賞口53や第2始動入賞口54の上流部の幅bよりも狭く設定し、第1始動入賞口53や第2始動入賞口54の上流部(入口)を入賞誘導路171,172の下流部よりも広く設定しているので、入賞誘導路171,172を流下した遊技球が円滑に第1始動入賞口53または第2始動入賞口54に入賞することができ、側部開口175または底部開口176から始動入賞誘導ユニット28の外方に排出されることを防止すことが可能となる。さらに、第1入賞誘導路171の中心と第1始動入賞口53の中心とを揃えるとともに、第2入賞誘導路172の中心と第2始動入賞口54の中心とを揃え、第1入賞誘導路171、第2入賞誘導路172、第2始動入賞口54と第2始動入賞口54を構成する部材を一体成型しているので、誘導装置と入賞装置とを別々の装置にして遊技盤に止着した場合や、1つの装置であっても別々の部材で誘導部と入賞口を構成した場合に比べて、それぞれの中心が組み付け等によりズレてしまうことがなく、球誘導空間部180を流下した遊技球が円滑に第1始動入賞口53または第2始動入賞口54に入賞することができる。
次に、パチンコ遊技機1の電源が遮断される前(具体的には、工場からパチンコ遊技機1や遊技盤6を搬送する準備作業や、遊技店の営業終了後の店内作業等において電源が遮断される(オフにする)前における各演出役物(詳しくは、可動して演出を行う各演出役物である第1回動演出役物106,第2回動演出役物107,中央昇降演出役物108,第1側部演出役物121,第2側部演出役物131,中央演出役物141)の動作について説明する。
パチンコ遊技機1の客待ち状態(パチンコ遊技機1の電源が投入されており(電源がオンであり)、遊技が行われていない状態)では、図2に示すように、各演出役物が初期位置に配置されることで演出非実行状態(第1状態)に設定され、遊技が行われると、各演出役物が遊技の進行に応じて可動して演出を行う演出実行状態(第1状態とは異なる第2状態)に適宜変換する。なお、少なくとも電源投入時には、遊技制御装置45が初期化手段として機能して、複数の演出役物を演出非実行状態に変換(初期位置に移動)する。そして、演出非実行状態の演出役物においては、必ずしも振動に対して強い状態(位置)とは限らず、この状態で遊技機を搬送した場合には破損する可能性がある。また、通常の電源投入でも演出役物の位置を初期化する(演出非実行状態の位置にする)ため可動するので、演出役物が1つであれば初期化中の所定の状態が振動に対して強い耐振モードの状態(耐振状態)となるので、その状態で電源を切断すれば搬送も可能となる。しかしながら、複数の演出役物がある場合には、電源投入時に演出役物がどの状態であるかは不定なので、演出役物毎に初期化するため、全ての演出役物が初期化中に同時に耐振モード(振動に耐え得る状態や位置)になることがない。そこで、本実施形態においては、所定条件(具体的には耐振モードスイッチの操作)を契機にして、各演出役物が耐振モードとなるように構成されている。なお、初期化はエラーが発生した場合にも行われることがある。また、上記所定条件の変形例については、後述する。
各演出役物を耐振モードにするため、電源投入時に電源装置228に設けられた耐振モードスイッチ(図示せず)を操作してオンにすると、電源装置228内の制御信号生成部から遊技制御装置45へ耐振モード信号が出力される(図28参照)。耐振モード信号を受信した遊技制御装置45は、耐振モード変換手段として機能して、演出制御装置230を介して各役物ユニット102,103へ指令信号を送信し、上側役物ユニット103においては、各演出役物121,131,141を互いに支持し合う役物支持状態へ変換させる。具体的に説明すると、上側役物ユニット103においては、まず中央演出役物141を下死点へ移動して演出実行状態とし、次に第1側部演出役物121および第2側部演出役物131を演出非実行状態から移動する。すると、図29に示すように、各側部演出役物121,131が中央演出役物141の左右両側にそれぞれ当接し、互いに支持し合う役物支持状態(耐振モード)に変換する。また、下側役物ユニット102においては、第1回動演出役物106、第2回動演出役物107、中央昇降演出役物108をそれぞれ移動して演出実行状態へ変換する。
このようにして各役物ユニット102,103の演出役物が演出実行状態(耐振モード(上側役物ユニット103の演出役物121,131,141においては上記した役物支持状態))に変換し、さらに電源装置228の電源スイッチが操作されてオフになると、遊技制御装置45が制御手段として機能して電源(詳しくは電源装置228からパチンコ遊技機1の各部への電源供給)を遮断する制御を行う。したがって、上側役物ユニット103においては耐振モードに変換しているので、遊技店の営業終了後に発生した地震やパチンコ遊技機1の搬送(あるいは遊技盤6をパチンコ遊技機1から外して単体で搬送)の際に演出役物121,131,141が振動することで破損したり、振動により他の部品と衝突して破損したりする不都合を、パチンコ遊技機1(詳しくは遊技盤6)とは別個の部材(搬送用緩衝材)を必要とせずに抑制することができる。なお、演出実行状態の第1回動演出役物106、第2回動演出役物107、中央昇降演出役物108を互いに当接可能となる位置に設定して、下側役物ユニット102の演出役物においても互いに支持し合う役物支持状態(耐振モード)となるように構成すれば、上側役物ユニット103だけではなく下側役物ユニット102に対しても、地震発生時や搬送時において、演出役物の振動をパチンコ遊技機1(詳しくは遊技盤6)とは別個の部材を必要とせずに抑制すること、あるいは振動しても他の部品に衝突することがなく、破損を防止することができて好適である。また、上側役物ユニット103の演出役物と下側役物ユニット102の演出役物とが互いに支持し合って役物支持状態に変換してもよい。例えば、図30に示すように、演出実行状態(左右に連結した状態)の第1側部演出役物121および第2側部演出役物131の前方に第1回動演出役物106および第2回動演出役物107を前後に重なる状態で当接して役物支持状態としてもよい。なお、上述の実施形態では演出役物の耐振モードが役物支持状態(演出実行状態)で設定されるが、耐振に適した演出役物の状態であれば演出実行状態に限らず、演出非実行状態で設定されてもよいし、通常の遊技では停止しない演出実行状態と演出非実行状態の中間の状態で設定されてもよいし、あるいは、演出実行状態や演出非実行状態を越えて移動した状態など通常の遊技では出現しない状態で設定されてもよい。また、全ての演出役物を同じ状態(演出実行状態または演出非実行状態)でなくとも、それぞれの演出役物の振動特性や配置箇所などにより各々の演出役物で個々に耐振モード(演出実行状態、演出非実行状態、中間の状態)を定めてもよい。
次に、上記した耐振モード信号の有無を判定する遊技制御装置45のメイン処理について説明する。なお、遊技制御装置45における制御処理は、電源投入時処理およびループ処理を含むメインルーチンであるメイン処理(主に図31及び図32参照)と、メイン処理中のループ処理に対する割り込みルーチンとして、所定時間周期(例えば4ms)で行われるタイマ割込み処理とからなるが、ここでは、メイン処理についてのみ説明する。
メイン処理は、パチンコ遊技機1の電源が投入されることで開始される。このメイン処理においては、図31に示すように、まず、割込みを禁止する処理(ステップS1)を行ってから、割込みが発生したときに実行するジャンプ先のベクタアドレスを設定する割込みベクタ設定処理(ステップS2)、割込みが発生したときにレジスタ等の値を退避する領域の先頭アドレスであるスタックポインタを設定するスタックポインタ設定処理(ステップS3)、遊技制御装置45の入力ポートの状態を読み込む処理(ステップS4)、割込み処理のモードを設定する割込みモード設定処理(ステップS5)を行う。
次に、電源投入ディレイタイマの設定(ステップS6)、および停電監視信号のチェック回数の設定(ステップS7)を行い、停電監視信号がオンであるか否かを判定する(ステップS8)。停電監視信号がオンである場合には、ステップS7で設定したチェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS8)。そして、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続している場合、すなわち、停電が発生していると判定された場合には待機し、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続していない場合には、ステップS8に戻って停電監視信号の判定を再び実行する。また、ステップS8において停電監視信号がオンではない場合、すなわち、停電が発生していないと判定された場合には、電源投入ディレイタイマを−1更新し(ステップS10)、電源投入ディレイタイマが0になったか否かを判定し(ステップS11)、0でない場合にはステップS7に戻る。そして、ステップS11において電源投入ディレイタイマが0である場合には、読出し書込み可能なRAMのアクセスを許可し(ステップS12)、出力部の全ポートをオフ(出力が無い状態)に設定し(ステップS13)、シリアルポートを設定する処理を行う(ステップS14)。さらに、耐振モードスイッチがオンになっているか否かを判定し(ステップS15)、耐振モードスイッチがオンであると判定された場合には耐振モード開始処理を実行して(ステップS16)、各演出役物を演出実行状態に変換する(図29参照)。
また、ステップS15において耐振モードスイッチがオンではないと判定された場合には、電源装置228に設けられた初期化スイッチがONになっているか否かを判定し(ステップS17)、初期化スイッチがONでないと判定された場合には、RAM内の停電検査領域1の値が正常な停電検査領域チェックデータ1であるかをチェックし(ステップS18)、停電検査領域1の値が正常であれば、RAM内の停電検査領域2の値が正常な停電検査領域チェックデータ2であるかをチェックし(ステップS19)、停電検査領域2の値が正常であれば、RAMに記憶されているデータが正常なものであるか否かを判定するために、チェックサムが正常であるか否か調べる。具体的には、RAM内の領域のチェックサムを算出し(ステップS20)、算出されたチェックサムと、停電があった際にRAMに記憶されていたチェックサムとが一致するか否かを判定する(ステップS21)。そして、チェックサムが正常であると判定された場合、すなわちRAMに記憶されているデータが正常であると判定された場合には、初期化すべき領域に停電復旧時の初期値をセーブし(ステップS22)、RAM内の遊技状態を記憶する領域を調べて遊技状態が高確率状態(詳しくは、特図変動表示ゲームの結果態様が大当りとなる確率が通常の遊技進行時よりも高く設定された状態)であるか否かを判定し(ステップS23)、高確率状態であると判定された場合には、高確率報知フラグ領域にオン情報をセーブし(ステップS24)、一括表示装置35に設けられる高確率報知LEDを点灯させるオンデータをセグメント領域に設定する(ステップS25)。そして、ステップS23において高確率状態ではないと判定された場合、またはステップS25において高確率報知LEDを点灯させる準備を行った場合には、特図ゲーム処理を合理的に実行するために用意されている処理番号に対応する停電復旧時のコマンドを演出制御装置230へ送信する(ステップS26)。
一方、ステップS17にて初期化スイッチがオンであると判定された場合、またはステップS18,S19にて停電検査領域の値が異常であると判定された場合、またはステップS21にてチェックサムが異常であると判断された場合には、アクセス禁止領域より前の全作業領域のクリア(ステップS27)、およびアクセス禁止領域より後の全スタック領域のクリア(ステップS28)を実行し、初期化すべき領域に電源投入時の初期値をセーブする(ステップS29)。さらに、点灯確認実行フラグ領域に実行フラグをセーブし(ステップS30)、電源投入時のコマンドを演出制御装置230へ送信する(ステップS31)。
そして、ステップS26にて停電復旧時のコマンドを演出制御装置230に送信した後、またはステップS31にて電源投入時のコマンドを演出制御装置230に送信した後には、タイマ割込み信号および乱数更新トリガ信号を発生するCTC(Counter/Timer Circuit)回路を起動し(ステップS32)、乱数生成回路を起動設定する(ステップS33)。さらに、電源投入時の乱数生成回路内のソフト乱数レジスタの値を抽出して各種初期値乱数(特図変動表示ゲームにおける大当り図柄を決定する乱数の初期値、または普図変動表示ゲームにおける当たり図柄を決定する乱数の初期値)としてRAMにセーブし(ステップS34)、ステップS1で禁止された割込みを許可し(ステップS35)、各種初期値乱数の値を更新して乱数の規則性を崩すための初期値乱数更新処理を行う(ステップS36)。
ステップS36にて初期値乱数更新処理を実行したならば、停電が発生したか否かを判定するために、電源装置228から入力されている停電監視信号をポート及びデータバスを介して読み込んでチェックする回数を設定し(ステップS37)、停電監視信号がONであるか否かを判定する(ステップS38)。停電監視信号がオンではない場合、すなわち、停電が発生していないと判定された場合にはステップS36に戻り、上記初期値乱数更新処理(ステップS36)、停電監視信号のチェック回数の設定(ステップS37)、停電監視信号の判定(ステップS38)を繰り返し行う。一方、停電監視信号がオンである場合には、ステップS37で設定したチェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続しているか否かを判定する(ステップS39)。そして、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続していない場合には、ステップS38に戻って停電監視信号の判定を再び実行し、チェック回数分の停電監視信号のオン状態が継続している場合、すなわち、停電が発生していると判定された場合は、一旦割込みを禁止する処理(ステップS40)、全出力ポートにオフデータを出力する処理(ステップS41)を行う。さらに、各停電検査領域に停電検査領域チェックデータをセーブする処理(ステップS42,S43)、電源遮断時におけるRAMのチェックサムを算出する処理(ステップS44)を行った後、チェックサムをセーブし(ステップS45)、RAMへのアクセスを禁止する処理(ステップS46)を行ってから、パチンコ遊技機1の電源が遮断されるまで待機する。
なお、上記実施形態では、耐振モードスイッチのオン操作により電源装置228内の制御信号生成部にて耐振モード信号を生成して出力するように構成したが(図28参照)、本発明はこれに限定されない。要は、耐振モードスイッチのオン操作に基づいて遊技制御装置45が耐振モード信号を受信できれば、耐振モード信号を電源装置228に限らずどの構成要素から出力してもよい。また、遊技制御装置45ではなく、演出制御装置230に耐振モード信号を出力してもよい。その場合には、演出制御装置230に耐振モードスイッチを設けてもよい。さらに、耐振モードスイッチではなく、遊技演出ボタン17を演出制御装置230に接続し、電源投入時に遊技演出ボタン17がオンであることを条件(所定条件)に耐振モードにすることとしてもよい。その場合には耐振モードスイッチが不要となり、コストダウンが図れる。
また、電源投入後の初期化後(所定条件の成立後)に、所定時間(例えば30秒間)に亘って耐振モードに設定し、所定時間経過後に、演出非実行状態(初期化後の状態)にすることとしてもよい。この場合には、電源投入すれば初期化後に耐振モードになるので、耐振モードスイッチが不要となり、コストダウンが図れる。遊技機を搬送する場合には耐振モード中に電源をオフすればよいし、そのまま放置すれば30秒後には耐振モードから演出非実行状態(初期化後の状態)に戻るので、通常の営業の場合には朝電源投入してから遊技者が遊技店に入場するまでに演出非実行状態になり、営業に支障が生じることがない。なお、耐振モード中に遊技が進行した場合(例えば、始動入賞口に遊技球が入賞した場合や変動表示ゲームが開始した場合)には耐振モードを中止して、演出役物を演出非実行状態(初期化後の状態)にすればよい。そして、上記の実施形態では、移動で演出を行う演出役物の位置について耐振モードとしたが、物理的な可動により演出動作を実行する演出役物を振動に耐え得る状態にするものであれば、円形や球状の演出役物が回動する場合に所定角度で回動した状態や、拡縮する演出役物の拡縮実行状態を耐振モードに設定してもよい。
ところで、上記実施形態では、電源投入時に耐振モードスイッチを操作することで演出役物を耐振モードに変換するように構成したが、本発明は電源投入時に限定されない。例えば、遊技店に設置されているパチンコ遊技機1の遊技制御装置45においては、パチンコ遊技機1の電源が投入されてから遊技店の営業が終了することとなる所定時間(例えば15時間)が経過したことを条件(所定条件)として、各演出役物を移動して役物支持状態(耐振モード)へ変換する制御を行うように設定してもよい。そして、遊技店の営業終了後に所定時間の経過が到来するように設定すれば、営業終了後に演出役物の振動対策を忘れずに行うことができる。
なお、所定時間経過後に演出役物を役物支持状態へ変換する場合には、遊技制御装置45で行われるタイマ割込み処理内において耐振モード設定処理を実行することが好適である。タイマ割込み処理について図33に示すフローチャートを用いて説明すると、まず、所定のレジスタに保持されている値をRAMに移してレジスタ退避の処理を行い(ステップS51)、各種センサ(第1始動口スイッチ51、第2始動口スイッチ52、ゲートスイッチ47等)からの入力を取込む入力処理(ステップS52)、各種処理でセットされた出力データに基づいてソレノイド(大入賞口ソレノイド233、普電ソレノイド92)等のアクチュエータを駆動制御する出力処理(ステップS53)を行う。
次に、各種処理で送信バッファにセットされたコマンドを払出制御装置231に出力する払出コマンド送信処理(ステップS54)、乱数更新処理1(ステップS55)、乱数更新処理2(ステップS56)を行う。その後、第1始動口スイッチ51、第2始動口スイッチ52、入賞口スイッチ48等の遊技球検出用センサから正常な信号の入力があるか否かの監視や、前面枠3や透明部材保持枠8が開放されていないか等のエラーの監視を行う入賞口スイッチ/エラー監視処理(ステップS57)を行う。また、振分状態更新処理(ステップS58)、特図変動表示ゲームに関する処理を行う特図ゲーム処理(ステップS59)、普図変動表示ゲームに関する処理を行う普図ゲーム処理(ステップS60)を行う。
各変動表示ゲームの処理を実行したならば、一括表示装置35における各変動表示ゲームの表示内容や遊技に関する各種情報の表示内容を編集するセグメントLED編集処理(ステップS61)、演出役物を移動して役物支持状態へ変化する耐振モード設定処理(ステップS62)、磁気センサ90からの検出信号をチェックして異常がないか判定する磁気不正監視処理(ステップS63)、電波センサ224からの検出信号をチェックして異常がないか判定する電波不正監視処理(ステップS64)、外部の各種装置に出力する信号を出力バッファにセットする外部情報編集処理(ステップS65)を行う。そして、割込み要求をクリアして割込みの終了を宣言し(ステップS66)、ステップS51で退避したレジスタのデータを復帰し(ステップS67)、割込みを許可(ステップS68)してタイマ割込み処理を終了する。
タイマ割込み処理にて行われる耐振モード設定処理(ステップS62)においては、図34に示すように、パチンコ遊技機1への電源の投入から予め設定された所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS71)。なお、所定時間経過の判定は、タイマ割込み処理の実行回数や時計の時刻表示に基づいて行われる。そして、所定時間が経過していなければ直ちに耐振モード設定処理を終了する。一方、所定時間が経過していれば、耐振モード開始処理を実行して各演出役物を演出実行状態に変換し(ステップS72)、耐振モード設定処理を終了する。
なお、遊技店の営業中に上記所定時間が到来するように設定し、且つ上記所定時間到来時に遊技が実行されていない客待ち状態であることを条件として、各演出役物を演出実行状態(耐振モード)に変換してもよい。
また、工場からパチンコ遊技機1または単体の遊技盤6を出荷する準備の段階においては、遊技盤6が収納されたパチンコ遊技機1の動作を検査する作業の終了時に遊技球を入賞装置へ所定の順序で入賞させたことを条件として、演出役物を役物支持状態(耐振モード)に変換するように設定してもよい。例えば、図35に示すフローチャートで実行される耐振モード設定処理においては、一般入賞口31、普図始動ゲート24の順序で遊技球が入賞したことを条件として、耐振モード開始処理を実行するように設定されている。具体的に説明すると、まず、電源投入から予め設定された所定時間(言い換えると、製品の検査作業に要する時間(例えば5分))が経過する前であるか否かを判定し(ステップS81)、時間経過前であれば、入賞口スイッチ48が遊技球を検出したか否かを判定し(ステップS82)、入賞口スイッチ48が遊技球を検出していれば、ゲートスイッチ47が遊技球を検出したか否かの判定(ステップS83)を行う。さらに、ゲートスイッチ47が遊技球を検出していれば、入賞口スイッチ48における遊技球の検出からゲートスイッチ47における遊技球の検出までの間隔が予め設定された設定時間(例えば5秒)以内であるか否かを判定し(ステップS84)、設定時間以内であれば、耐振モード開始処理を実行して(ステップS85)、耐振モード設定処理を終了する。一方、ステップS81〜ステップS84において判定内容が成立していない場合には、直ちに耐振モード設定処理を終了する。
このような耐振モード設定処理をタイマ割込み処理中に実行することにより、遊技制御装置45が遊技球の所定順序の入賞を条件として演出役物を役物支持状態へ変換する制御を行えば、パチンコ遊技機1や単体の遊技盤6を工場から出荷する準備を、遊技球を用いて行うことができる。また、遊技者が遊技を実行している最中に偶然耐振モードが開始されることがない。なお、遊技球を入賞させる入賞装置の組み合わせや順序はどのように設定してもよい。
また、製品検査においてパチンコ遊技機1内に遊技球を貯留し、検査終了時には遊技球をパチンコ遊技機1内から抜き出す場合には、球抜き操作の実行を条件として演出役物を役物支持状態へ変換するように設定してもよい。例えば、図36に示すフローチャートで実行される耐振モード設定処理においては、パチンコ遊技機1に設けられた球抜きスイッチ(図示せず)の操作や、操作後の経過時間を判定して耐振モード開始処理を実行するように構成されている。具体的に説明すると、まず、球抜きスイッチが操作されたことを検出したか否かを判定し(ステップS91)、球抜きスイッチの操作が検出されれば、この操作から予め設定された所定時間(例えば1分)が経過したか否かを判定し(ステップS92)、所定時間経過が成立していれば、球不足エラー状態(パチンコ遊技機1内での貯留球の不足が検出された状態)が発生してから予め設定されたエラー検出時間(例えば1分)が経過したか否かの判定を行う(ステップS93)。そして、球不足エラー状態でエラー検出時間が経過していれば、耐振モード開始処理を実行して(ステップS94)、耐振モード設定処理を終了する。一方、ステップS91〜ステップS93において判定内容が成立していない場合には、直ちに耐振モード設定処理を終了する。
このような耐振モード設定処理をタイマ割込み処理中に実行することにより、遊技制御装置45が製品検査の作業中の操作を条件として演出役物を役物支持状態へ変換する制御を行えば、パチンコ遊技機1や単体の遊技盤6を工場から出荷する準備を検査作業の段階で行うことができる。なお、ステップS92およびステップS93を省略してもよい。また、球抜きスイッチを備えていないパチンコ遊技機1においては、球抜きスイッチが操作されたか否かを判定する代わりに、パチンコ遊技機1から抜き出された遊技球の数を球抜流路内の球検出センサでカウントし、このカウント数が所定の個数に到達したことを条件として演出役物を役物支持状態へ変換するように設定してもよい。さらに、上記実施形態では、遊技制御装置45が耐振モードの設定を実行したが、演出制御装置230が耐振モードの設定を実行してもよい。
ところで、上記実施形態における中央演出機構114では、回動機構部151の回動により駆動伝達機構143を連動状態と摺動状態と係合解除状態とに変換可能としたが、本発明はこれに限定されない。例えば、図37に示す中央演出機構114の変形例は、基本的には上記実施形態と同じであるが、駆動伝達機構143が摺動状態には変換しない構成である点で異なる。具体的に説明すると、変形例である中央演出機構114の駆動伝達機構143においては、図37に示すように、円板状を呈する回動機構部151の外周の一部には円弧状の回動ギア237を形成し、役物連結部150のうち回動機構部151に係合し得る箇所である係合受部152の延設端部には、回動ギア237に噛合可能な連結ギア238を形成している。
そして、回動機構部151を回動すると、回動ギア237と連結ギア238とが噛合して回動機構部151と役物連結部150とが連動する連動状態と、回動ギア237と連結ギア238との噛合が解除されて回動機構部151が役物連結部150から外れる係合解除状態と、に変換するように構成されている。このような構成を備えた中央演出機構114においては、駆動伝達機構143が連動状態に変換すると、役物連結部150の動作により中央演出役物141が下死点から上死点まで上昇する。一方、駆動伝達機構143が連動状態から係合解除状態に変換すると、役物連結部150および中央演出役物141の動作が回動機構部151によって規制されなくなり、中央演出役物141が上死点から下死点へ自重により落下する。したがって、上死点で停留しない中央演出役物141の上昇、落下の動作を単一の駆動源を利用して行わせることができる。したがって、中央演出役物141の動作のための構造や制御が複雑になることを抑制することができる。
ところで、上記実施形態では、入賞誘導ユニットの例示として、遊技球を第1始動入賞口または第2始動入賞口へ誘導する始動入賞誘導ユニット28を挙げたが、本発明はこれに限定されない。要は、遊技領域5を流下する遊技球を入賞口へ誘導する機能を備えていれば、どのような入賞誘導ユニットであってもよい。例えば、入賞誘導空間部を2つの入賞誘導路でなく3つ以上の入賞誘導路で構成してもよい。
ところで、遊技盤6のシール貼付部36には証紙シール37を貼付して、遊技盤6に装着されているが、この証紙シール37を剥がし易くする構成を備えてもよい。例えば、図38に示すシール貼付部36においては、当該シール貼付部36のうち証紙シール37と重合する部分に、当該シール貼付部36の他の部分よりも強度が低い脆弱部241を形成し、該脆弱部241を破断して当該シール貼付部36から一部(切除片244)を切り離し可能としている。具体的には、シール貼付部36のうち証紙シール37と重合する部分の裏側に溝を設けて他の部分よりも薄肉となる脆弱部241をシール貼付部36の上端部から下端部に亘る直線状に形成し、この脆弱部241を破断する(言い換えると、脆弱部241を境にしてシール貼付部36を折り割る)ことができるように構成されている(図38(d),(e)参照)。そして、脆弱部241の破断後にパチンコ遊技機1側(遊技盤6側)に残される部分を貼付基部243とする一方、遊技盤6から取り除かれる部分を切除片244とし、該切除片244を貼付基部243から前方へ離せば、図38(f)に示すように、証紙シール37を貼付基部243から剥がすことができる。このようにして、切り離したシール貼付部36の一部(切除片244)を持って証紙シール37を剥がし易くすることができる。したがって、パチンコ遊技機1(遊技盤6)のリサイクルや廃棄の際に不要な証紙シール37を剥がす場合には、リサイクル作業や廃棄作業の効率を向上させることができる。なお、脆弱部は、溝を設けて形成されることに限定されない。要は、シール貼付部36の他の部分よりも強度が低くなれば、どのような構成の脆弱部であってもよい。例えば、ミシン目状のスリットを開設したり、あるいは複数の小さな孔を貫通したりして脆弱部を形成してもよい。さらに、溝は凹形状に限らずV形状であってもよい。また、脆弱部をシール貼付部36の一端部から他端部に亘って形成することに限らず、シール貼付部36の端部まで脆弱部を形成しなくてもよい。そして、脆弱部をシール貼付部36の裏側に形成することに限らず、シール貼付部36の表側(証紙シール37が貼付される側)に形成してもよい。また、脆弱部を証紙シール37と重合する部分のうち、切除片244側に形成したが、証紙シール37と重合する部分の中央や、貼付基部243側に形成してもよい。また、脆弱部を複数本形成してもよい。
なお、シール貼付部36の貼付基部243には第1係合部36aと補助係合部36bとを備え、切除片244には第2係合部36cを備えている。第1係合部36a、第2係合部36c、補助係合部36bは、シール貼付部36を遊技盤6に装着するための係合部であり、遊技盤6にはそれぞれの係合部と係合する第1被係合部(図示せず)、第2被係合部(図示せず)、補助被係合部(図示せず)を設けている。シール貼付部36を遊技盤6に装着する場合は、第2係合部36cを第2被係合部に係合させた後、第2係合部36cを中心軸にしてシール貼付部36を回動(言い換えると、第2係合部36c上に脆弱部241と平行に延在して仮想される回動中心軸C2(図38(a)参照)を中心にしてシール貼付部36を回動)して、第1係合部36aを第1被係合部へ係合させるとともに、補助係合部36bを補助被係合部へ係合させる。一方、シール貼付部36を取り外す場合には、第1係合部36aと第1被係合部の係合を解除した後、第2係合部36cを中心軸にしてシール貼付部36を回動して、補助係合部36bと補助被係合部との係合、および第2係合部36cと第2被係合部との係合を解除する。ここで、切除片244には補助被係合部がないので、第2係合部36cを中心軸としてシール貼付部36を容易に回動することができ、このため脆弱部241には負荷がかからず破断することはない。
また、上記したシール貼付部36の取り外し手順とは異なる手順として、先に第2係合部36cと第2被係合部の係合を解除してから、第1係合部36aを中心軸にして回動(言い換えると、第1係合部36a上に脆弱部241と平行に延在して仮想される回動中心軸C1(図38(a)参照)を中心にしてシール貼付部36を回動)させようとした場合には、貼付基部243の補助係合部36bと補助被係合部との係合により、第1係合部36aを中心軸とする回動が阻害される。このとき、脆弱部241が第1係合部36a上に仮想される回動中心軸C1と平行に延在しているために脆弱部241に負荷がかかり、図38(e)のように脆弱部241が破断することとなる。このように通常の着脱では第2係合部36cを中心軸としてシール貼付部36を回動すれば脆弱部241が破断することなくシール貼付部36を遊技盤6から着脱可能となり、リサイクル作業や廃棄などの場合には、第1係合部36aを中心軸としてシール貼付部36を回動すれば、脆弱部241が破断して証紙シール37をシール貼付部36から容易に剥がすことができる。
そして、図39に示すように、貼付基部243のうち証紙シール37が貼付される箇所には、複数の凹凸245を形成して証紙シール37の貼付基部243への密着を避ける一方、切除片244のうち証紙シール37が貼付される箇所には、平滑面を形成して切除片244と証紙シール37とを密着させてもよい。このような構成を備えれば、シール貼付部36から証紙シール37を一層剥がし易くすることができる。なお、凹凸245は凹部のみとしてもよいし、凸部のみとしてもよい。またそれらを混在させてもよい。
なお、証紙シール37を剥がし易くする構成は、上記した脆弱部に限らない。例えば、図40(a)に示すように、シール貼付部36のうち証紙シール37の縁部と重合する箇所に、証紙シール37が貼付不能となる剥離用凹部246を形成し、該剥離用凹部246の一部を証紙シール37の側方に露出させてもよい。このような構成のシール貼付部36においては、剥離用凹部246内に指や工具等を差し入れて証紙シール37の縁部をつまめば、証紙シール37を簡単に剥がし易い。また、図40(b)に示すように、シール貼付部36のうち証紙シール37が重合する箇所の全体に亘って複数の凹凸247を形成して、証紙シール37の全体がシール貼付部36への密着を避ければ、シール貼付部36を折り割らずに証紙シール37を簡単に剥がすことができる。さらに、図40(c)に示すように、証紙シール37の縁部に、シール貼付部36へ貼付不能なつまみ片248を突設し、このつまみ片248をつまんで証紙シール37を剥がせるように構成すれば、シール貼付部36に加工を施さなくても証紙シール37を簡単に剥がすことができる。
また、上記実施形態では、証紙シール37をパチンコ遊技機1(遊技盤6)から剥がし易くすることを説明したが、本発明はこれに限定されない。要は、パチンコ遊技機1に設けられたシール貼付部から剥離する必要があれば、シールの種類やシール貼付部の配置箇所は問わない。例えば、図41に示すように、第2始動入賞装置70の始動装飾パネル76の前面にシール貼付部249を形成し、該シール貼付部249に貼付された装飾シール250を剥がす必要がある場合には、シール貼付部249のうち装飾シール250と重合する部分に、当該シール貼付部249の他の部分よりも強度が低い脆弱部251を形成し、該脆弱部251を破断して当該シール貼付部249から一部を切り離し可能としてもよい。
そして、上記実施形態では、代表的な遊技機であるパチンコ遊技機1を例にして説明したが、本発明はこれに限らず、可動により演出動作を実行する複数の演出役物と、該演出役物の可動状態を制御する制御手段とを備えた遊技機であればどのような遊技機でもよい。例えば、封入球式パチンコ機、アレンジボール式遊技機、雀球式遊技機等の遊技機であってもよい。また、遊技球の取り扱いが必須ではない構成に関する発明においては、回動式遊技機に適用してもよい。例えば、耐振モードや証紙シールや演出役物の構造に関する発明については、回動式遊技機に適用してもよい。
なお、前記した実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は、上記した説明に限らず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれるものである。