JP6264047B2 - 車体制振制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、走行中における車体の振動を抑制可能な車体制振制御装置に関する。
従来の車体制振制御装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の従来の車体制振制御装置は、車両のピッチ・バウンスの振動を抑制するよう車輪トルクを補償するための補償成分を算出する補償成分決定部と、補償成分を車輪トルク制御手段へ与える際の補償成分の制御ゲインを調整制御する制御ゲイン調整部とを備え、補償成分、車両の前後方向若しくは上下方向振動又はピッチ・バウンス振動の振動振幅が所定幅以上となる状態が所定時間にわたって継続したときは、制御ゲインを低減して、車輪と路面間で発生する車輪トルクを制御するようにしている。
特開2009−127456号公報
しかしながら、特許文献1に記載の従来の車体制振制御装置にあっては、その電子制御装置に、各輪の車速センサからの車輪速信号、変速機の回転速度、アクセルペダル踏み込み量、ブレーキペダル踏み込み量、Gセンサからの車両の前後方向加速度、サスペンションのストロークセンサからのストローク量、サスペンションの上下方向Gセンサからのサスペンションにおける上下方向加速度等の信号が入力される。このようにサスペンションのストロークセンサを用いると、装置が高価なものになってしまうといった問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、装置を安価にしながら、車体の制振効果を得ることができるようにした車体制振制御装置を提供することにある。
この目的のため、本発明による車体制振制御装置は、サスペンションジオメトリに基づくタイヤの変位特性を用いて、車輪速変動に基づき路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出手段と、この上下力に基づいて車体の挙動を推定するバネ上挙動推定手段と、タイヤの変位特性を表すサスペンションジオメトリ定数を車両の旋回状況に応じて変更し、直進状況のサスペンションジオメトリ定数とは異ならせるサスペンションジオメトリ定数算出手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の車体制振制御装置にあっては、装置を安くしながら、車輪に付与する駆動力を制御することで車体の制振効果を得ることができる。
本発明の実施例1の車体制振制御装置が搭載される車両を模式的に示す側面図である。 図1の車両に搭載されている機器の関係を模式的に示す斜視図である。 図2の機器のうちエンジンコントロールユニッ(ECM)の車体制振制御に係る部分の機能ブロック図である。 図3のECMで実行される車体制振制御のフローチャートを示す図である。 車体制振制御で用いる、横加速度とサウジオ定数との関係を表すマップを説明する図である。 サスペンション特性としてのホイールセンタ軌跡を説明する図で、(a)は直進状態、(b)は旋回状態をそれぞれ示す図である。 図4のフローチャートにおけるサブルーチンのサスジオ定数算出処理のフローチャートを示す図である。 実施例1の車体制振制御装置の効果を確認するシミュレーション結果を示す図であり、(a)は直進走行時、(b)は旋回時の結果をそれぞれ示す図である。 上記シミュレーション結果の結果を比較した図である。 本発明の実施例2に係る車体制振制御装置で実行される車体制振制御に係る部分の機能ブロック図である。 実施例2に係る車体制振制御装置で用いられる、横加速度と図である。 サスペンション特性を説明する図で、(a)はホイールセンタの軌跡を、また(b)はキャスタ角変化をそれぞれ説明する図である。 本発明の実施例3に係る車体制振制御装置で実行される車体制振制御に係る部分の機能ブロック図である。 実施例3に係る車体制振制御装置で実行される車輪速補正処理のフローチャートを示す図である 旋回中の内外輪の車輪速を示す図であり、(a)は車輪速補正処理を行わない場合、(b)は車輪速補正処理を行わない場合の車輪速を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
まず、実施例1の車体制振制御装置を搭載した車両について説明する。
図1に示すように、車両は、バネ上荷重としての車体100が、バネ下荷重としての車輪(左右前輪102FL、102FRおよび左右の後輪102RL、102RR)にそれぞれ並列配置したバネSF、SRおよびショクアブソーバAF、ARを介して支持されている。なお、各車輪は図示しない複数のアームあるいはリンクにより車体100に上下方向に揺動可能に支持されている。
なお、本実施例では、後輪102RL、102RRは駆動輪としてあるが、前輪102FL、102FRのみを駆動輪としたり、あるいは全輪を駆動輪としたりしてもよい。
上記車両は、図2に示すように、エンジン106と、エンジン出力の回転速度およびトルクをギヤで変換するマニュアル変速機107と、この変速機107の出力を車両後方へ伝えるプロペラシャフト108と、このプロペラシャフト108から伝えられた駆動力を減速して増大する減速ギヤ(図示せず)およびこの減速した駆動力を左右の後輪102RL、102RRに分配するディファレンシャルギヤ109を備えた終減速機とを搭載している。
エンジン106は、エンジンコントロールモジュール(ECM)101によりその出力が制御される。
このECM101には、通常のエンジン制御の場合のように、アクセル開度センサ105の他、エンジン回転数センサ、エンジン水温センサ、排気温度センサなどの種々のセンサからの信号が入力されるが、図2ではこれらのセンサの図示は省略している。
また、ECM101には、前輪102FL、102FRおよび後輪102RL、102RRにそれぞれ設けられた車輪速センサ103FL、103FR、103RL、103RRから各車輪の車輪速に関する信号が入力される。さらに、マニュアル変速機107の変速段の信号、ステアリングホイール110の操舵角を検出する操舵角センサ111からの操舵角信号、および図示しないブレーキペダルの操作量(踏み込み量)を検出するブレーキストロークセンサ104からのブレーキ操作量信号が入力される。また、車体の重心点M(図1を参照)に作用する前後加速度および横加速度に加え、ヨーレイトを検出する一体型センサ112からは、前後加速度、横加速度、ヨーレイトといった車両挙動信号が入力される。
ECM101は、上記入力された各種信号に基づいてエンジン106の出力制御を行うが、その中には車体の振動を抑制するようにエンジン106の出力(駆動力)を制御して車輪と路面Gとの間の制駆動トルクTwを制御して車体の振動を抑制する車体制振制御も併せて実行する。
図3は、そのECM101の車体制振制御を行う制御部分を示す。
すなわち、同図に示すように、ECM101は、要求制駆動トルク算出部1と、上下力算出部2と、車輪速変動補正部3と、横加速度推定部4と、サスジオ定数算出部5と、旋回抵抗算出部6と、バネ上挙動推定部7と、荷重安定化制駆動力指令値算出部8と、荷重付加制駆動力指令値算出部9と、補正トルク指令値算出部10と、トルク指令値演算部11とを備えている。
なお、ここで「サスジオ」とは、サスペンションジオメトリを略記したもので、サスペンションのアームやリンクの長さおよびそれらの取付け位置の幾何学的関係を決めるものであり、各車輪を車体に対して所望の動きをさせるためのものである。
以下、上記各部につき、説明する。
要求制駆動トルク算出部1は、アクセル開度センサ105から入力されたアクセル開度信号とブレーキストロークセンサ104から入力されたブレーキ操作量信号とに基づいてエンジン106の要求制駆動トルクを算出し、これを要求制駆動トルク信号としてバネ上挙動推定部6へ出力する。なお、要求制駆動トルク算出部1は、本発明の要求制駆動トルク算出手段に相当する。
上下力算出部2は、車輪速変動補正部3から入力された補正車輪速信号とサスジオ定数算部5から入力されたサスジオ定数とに基づき、各車輪102FL、102FR、102RL、102RR側から車体100が受ける上下力Ff、Fr(図1を参照)を算出し、これを上下力信号としてバネ上挙動推定部6へ出力する。なお、この上下力の算出方法については、後で説明する。また、上下力算出部2は、本発明の上下力算出手段に相当する。
車輪速変動補正部3は、各車輪速センサ103FL、103FR、103RL、103RRから入力された車輪速信号から車輪速変動に含まれるノイズを除去して各輪102FL、102FR、102RL、102RRの補正車輪速を求め、これらを補正車輪速信号として上下力算出部2へ出力する。
横加速度推定部4は、一体型センサ112から入力された車両挙動信号に基づいて車体100に作用する横加速度を推定し、これを横加速度信号としてサスジオ定数算出部5へ出力する。なお、横加速度推定部4は、本発明の横加速度推定手段および旋回検出手段に相当する。
サスジオ定数算出部5は、横加速度推定部4から入力された横加速度信号に基づき、横加速度と各車輪のサスジオ定数との関係(図5に示し、後で説明する)を記憶したサスジオ定数マップを用いて、各車輪のサスジオ定数を算出し、これをサスジオ定数信号として上下力算出部2へ出力する。
なお、ここで、サスジオ定数とは、車輪の前後位置から車輪の上下変位を求めるために用いるもので、この詳細については後で説明する。サスジオ定数算出部5は、本発明のサスジオ定数算出手段に相当する。
旋回抵抗算出部6は、一体型センサ112から入力されたヨーレイトと操舵角セン111から入力された操舵角信号とに基づき旋回抵抗を算出し、これを旋回抵抗信号としてバネ上挙動推定部7へ出力する。
バネ上挙動推定部7は、要求制駆動トルク算出部1から入力された要求制駆動トルク信号と上下力算出部2から入力された上下力信号とから、車体100すなわちバネ上の挙動を推定し、これをバネ上挙動推定信号として荷重安定化制駆動力指令値算出部8および荷重付加制駆動力指令値算出部9へ出力する。
ここで、バネ上挙動としては、車体100のピッチ、バウンス、およびこれらの速度(レイト)等を算出するが、詳しい算出方法は後で説明する。
なお、バネ上挙動推定部7は、本発明のバネ上挙動推定手段に相当する。
荷重安定化制駆動力指令値算出部8は、バネ上挙動推定部7から入力されたバネ上挙動推定信号に基づいて荷重安定化制駆動力指令値を算出し、これを荷重安定化制駆動力指令値信号として補正トルク指令値算出部10へ出力する。ここで、荷重安定化制駆動力指令値を求めるのは、バネ上挙動推定部7で推定した車体100の挙動(ピッチングやバウンシング)に応じて車体100の振動を抑えるようにエンジン106の出力を制御するためである。
荷重付加制駆動力指令値算出部9は、バネ上挙動推定部7から入力されたバネ上挙動推定信号に基づいて荷重付加制駆動力指令値を算出し、これを荷重付加制駆動力指令値信号として補正トルク指令値算出部10へ出力する。ここで、荷重付加制駆動力指令値を求めるのは、たとえば急制動時や横加速度が大きい旋回時などにあって、荷重安定化制駆動力制御だけを行った場合の車体姿勢に対し、車体をノーズダイブ気味として前方視界の確保やドライバーの安心感の向上を行うための荷重を付加するためである。
補正トルク指令値算出部10は、荷重安定化制駆動力指令値算出部8から入力された荷重安定化制駆動力指令値信号と荷重付加制駆動力指令値算出部9から入力された荷重付加制駆動力指令値信号とに基づいて補正トルク指令値を算出し、これを補正トルク指令値信号としてトルク指令値演算部11へ出力する。なお、補正トルク指令値算出部10は、本発明の補正トルク指令値算出手段に相当する。
トルク指令値演算部11は、要求制駆動トルク算出部1から入力された要求制駆動トルク信号と、補正トルク指令値算出部10から入力された補正トルク指令値信号と、他のシステム(補機類など)から入力されたトルク要求信号とに基づいて、要求制駆動トルク値と補正トルク指令値とトルク要求値とを加算してトルク指令値を得、これをトルク指令値信号として出力し、エンジン106の出力を制御する。なお、トルク指令値演算部11は、本発明のトルク指令値演算手段に相当する。
以上の構成を有するECM101では、図4に示すフローチャートに従って、制駆動力による車体制振制御を実行する。
すなわち、図4に示すように、イグニッションキーをオンにしてECM1010を稼働させると、ECM101は初期化の後、ステップS1で車両の走行状態の読み込みを行う。
すなわち、ステップS1では、ECM101が、各車輪速センサ103FL、103FR、103RL、103RRから各車輪の車輪速信号を、ブレーキストロークセンサ104からブレーキ操作量信号を、アクセル開度センサ105からアクセル開度信号を、また操舵角センサ111から操舵角信号を、と制御に必要な種々の信号をそれぞれ読み込む。続いて、ステップS2へ進む。
ステップS2では、要求制駆動トルク算出部1にて要求駆動トルク算出処理を実行する。
すなわち、要求制駆動トルク算出部1は、アクセル開度センサ105から入力されたアクセル開度信号とブレーキストロークセンサ104から入力されたブレーキ操作量信号とに基づき、要求制駆動トルクを算出する。このため、要求制駆動トルク算出部1は、アクセル開度と要求制駆動トルクとの関係を記憶したマップ(アクセル開度が大きくなるほど要求制駆動トルクが大きくなる)と、ブレーキ操作量と要求制駆動トルクとの関係を記憶したマップ(ブレーキ操作量が大きくなるほど要求制駆動トルクが小さくなる)とを有している。続いて、ステップS3へ進む。
ステップS3では、横加速度推定部4にて横加速度推定処理を実行する。
すなわち、横加速度推定部4は、一体型センサ112から入力された車両挙動信号に基づいて横加速度を算出し、これを横加速度信号としてサスジオ定数算出部5へ出力する。続いて、ステップS4へ進む。
ステップS4では、サスジオ算出部5がサスジオ定数算出処理を実行する。
すなわち、サスジオ算出部5では、横加速度推定部4から入力された横加速度に応じて、図5に示す横加速度と各輪のサスジオ定数との関係を記憶したマップを用いることで、各輪のサスジオ定数を算出する。
ここで、横加速度と各輪のサスジオ定数との関係を記憶した図5に示す上記マップについて説明すると、同図おいて、横軸は横加速度(横G)であって同図中右側に行くほど横加速度の大きさAyが大きくなる。一方、縦軸はサスジオ定数であって上方に行くほど大きくなる。
Nはノミナルな状態でのホイールセンタ位置を示し、この近くの左右の範囲、すなわち横加速度の絶対値が閾値以下の場合(略直進走行状態の場合に相当)には、前輪102FL、102FR側のサスジオ定数KgeoF'および後輪102RL、102RR側のサスジオ定数KgeoF'は、ともに一定の固有値となる不感帯として、無意味にサスジオ定数を変更しないようにしている。なお、図5では図中左側に、左側前輪のサスジオ定数KgeoFL'(Ay)を、また右側に右側前輪のサスジオ常数KgeoFR'(Ay)を描いているが、左右後輪側のサスジオ定数も上記同様の特性となる。
一方、横加速度が上記不感帯より外にある車両旋回中では、横加速度により外輪側、すなわち旋回外側の前輪側および後輪側ではバネが圧縮されるが、内輪側、すなわち旋回内側の前輪側および後輪側はバネが伸張するようになる。そこで、前輪側および後輪側のサスジオ定数KgeoFL'(Ay)、KgeoFR'(Ay)を、左右一方の側への旋回では図5に実線で示すように、また左右の他方側への旋回では図5の破線で示すように直線近似にて設定する。このようにして算出して得られたサスジオ定数は、サスジオ定数信号として出力される。
図6(a)は直進状態でのサスペンションの特性、同図(b)は旋回状態でのサスペンションの特性をそれぞれ示す。横軸は、ホイールセンタのノミナル状態位置からの前後方向の変位で図中、左側が車両前方側への変位Xtf、右側が車両後方側への変位Xtrを示す。縦軸は上方がバウンド側、下方がリバウンド側である。
両図において、破線で示す曲線は、車輪がバウンド、リバウンドしたときのホイールセンタの軌跡を示す。図6(a)に示すように、直進状態では左右輪のバウンド量が同じであり(同図ではノミナル状態位置が示されている)、左右輪は同じバウンド・リバウンド位置かつ前後位置にあるものの、図6(b)に示すように、旋回状態では左右輪のバウンド・リバウンド量が異なり、外輪はバンドし、内輪はリバウンドし、このとき前後方向位置も異なることになる。そして、図6(b)に例として示す、ホイールセンタの軌跡上の外輪、内輪の位置における接線の傾きがKgeoとなる(図6(b)の例では、左後輪側がKgeoRL、右後輪側がKgeoRR)。
ここで、サスジオ算出処理のフローチャートを図6に示す。
同図において、ステップS20では、サスジオ定数算出部5が横加速度推定部4から横加速度を読み込む。続いて、ステップS21に進む。
ステップS21では、読み込んだ横加速度から車体100のロール量を推定する。この推定にあたっては、横加速度とロール量との関係を記憶したマップを用いる。続いて、前輪側の算出にあってはステップS22へ、また後輪側の算出にあってはステップS25に進む。
まず前輪側であれば、ステップS22で図5に示すホイールセンタ軌跡特性図からその傾きKgeoFL、KgeoFRを算出し、ステップS23に進む。
ステップS23では、図示しないがキャスタ角変化特性図からその傾きKgeowFL、KgeowFRを算出し、ステップS23に進む。
ステップS24ではステップS22、S23でそれぞれ求めたKgeoとKgeowとから次式を用いて前輪側のサスジオ定数KgeoFL'とKgeoFR'とを算出する。
Figure 0006264047
ここで、Rtはタイヤの半径である。
後輪側についても、上記ステップS22〜S24と同様にしてステップS25〜S27で後輪側のサスジオ定数KgeoRL'とKgeoRR'とを算出する。
ステップS4を終了したら、ステップS5へ進む。
ステップS5では、車輪速変動補正部3が、各輪の車輪速信号から車輪速変動を求め、これらがサスジオノイズ閾値より大きいか否かを判定し、この判定結果がサスジオ閾値より大きいときは閾値判定ゲインを1とし、サスジオ閾値以下の場合には閾値判定ゲインを0とする。なお、この閾値判定には一定の遅れ時間を持たせる。
そして、上記車輪速変動と閾値判定ゲインとを乗算することで、車輪速変動に含まれるノイズを除去して補正車輪速を得る補正を行う。このようにして得られた補正車輪速は、補正車速信号として出力される。
続いて、ステップS6へ進む。
ステップS6では、上下力算出部2が上下力算出処理を実行する。
すなわち、上下力算出部2では、車輪速補正部3から入力された補正車輪速信号とサスジオ定数算出部5から入力されたサスジオ定数とに基づいて、以下のようにして前輪上下力Ffと後輪上下力Frとを算出するが、そのためには補正車輪速に基づいてサスペンションストローク速度とサスペンションストローク量とを算出し、これらの算出値にバネSF、SRのバネ係数とショックアブソーバAF、ARの減衰係数をそれぞれ積算し、それらの和を取る。
ここで、サスペンションストローク速度とサスペンションストローク量を算出するには、車輪102FL、102FR、102RL、102RRは、上下方向に変位する場合これに応じて前後方向にも変位し、これらの変位の関係はサスペンションジオメトリによって決まる。これらは非線形の特性(たとえば、図6(a)中の実線)を示すが、本実施例では演算を簡単にするため直線近似(同図中の破線)による特性としている。そして、車輪の前後変位に対する上下変位の傾きを上記サスジオ係数KgeoFL'、 KgeoFR'、KgeoRL'、 KgeoRR'としている。
したがって、左右の前後輪の上下変位ZFL、XFR、ZRL、ZRRは、車輪の前後位置Xtf、Xtrに関して次式の関係となる。
Figure 0006264047
ここで、車輪の前後位置Xtf、Xtrは、車輪速変動を表す車輪速微分値により推定される。すなわち、たとえば路面外乱である凹凸路の走行時において車輪が凸部に乗り上げると車輪速が減速し、車輪は車体に対して車両後方へ変位する。一方、車輪が凸部を乗り越えると車輪速が加速し、車輪は車体に対して車両前方へ変位する。このことから、車輪速微分値の正負により車輪の加減速を判別すると、車輪速微分値の絶対値の大きさから車輪前後位置Xtf、Xtrを推定することができる。
このようにしてサスジオ定数KgeoF〜KgeoRと車輪の前後位置Xtf、Xtrとが決まると、上記のように両者を掛け合わせることで、前後輪の上下変位ZFL〜ZRRを求めることができる。
そして、これらの前後輪の上下変位ZFL〜ZRRに関する上記両式を時間微分すると、車輪の前後方向速度と上下方向速度との関係式となる。したがって、これらの関係からサスペンションストローク速度とサスペンションストローク量とが算出されるので、上記説明のようにして上下力を得ることが可能となる。このようにして求めた上下力は、上下力信号として出力される。
続いて、ステップS7へ進む。
ステップS7では、旋回抵抗算出部6が旋回抵抗算出処理を実行する。
すなわち、旋回抵抗算出部6では、一体型センサ112から入力されたヨーレイトγと操舵角センサ111から入力された操舵角信号に基づいて、タイヤ転舵角δおよび車体スリップ角βvを算出する。そして、ヨーレイトγ、タイヤ転舵角δ、車体スリップ角βvから前後輪のタイヤ横滑り角βf、βrを、次式からそれぞれ算出する。
βf=βv+lf・γ/V−δ
βr=βv−Lr・γ/V
ここで、lfおよびLrは、図1に示すように、それぞれ車体重心Mから前後車軸までの車両前後方向の距離である。なお、ホイールベースl=Lf+Lrである。
これらの前後輪のタイヤ横滑り角βf、βrと前後輪のコーナリングパワーCpf,Cprとの乗算から、前後輪のタイヤ横力Fyf、Fyrを算出する。さらにこれらの、前後輪のタイヤ横力Fyf、Fyrに前後輪のタイヤスリップ角βf、βrを乗算すると、前輪旋回抵抗力Fcfと後輪旋回抵抗力Fcrが算出される。これらは、旋回抵抗信号として出力される。
続いて、ステップS8に進む。
ステップS8では、バネ上挙動推定部7がバネ上挙動算出処理を実行する。
すなわち、バネ上挙動推定部7では、上下力算出部2から入力された上下力信号と旋回抵抗算出部6から入力された旋回抵抗信号から、バネ上である車体100の挙動を、次式を用いて算定する。なお、次式において、最初の式はピッチ速度を、また後の式はバウンス速度をそれぞれ表す。
Figure 0006264047
ここで、θpは図1に示すように車体100の重心周りのピッチ角であり、またZvは図1に示すように重心Mの上下変位(バンス)であり、これらの記号の上の「・」はそれらの時間微分を表す。また、WspLfは左前輪荷重、Wspfrは右前輪荷重、Wsprlは左後輪荷重、Wsprrは右後輪荷重、Rtは車軸の半径である。Gは、地上を示す。
続いて、ステップS9に進む。
ステップS9では、荷重安定化制駆動力指令値算出部8および荷重付加制駆動力指令値算出部9が制駆動力指令値算出処理を実施する。
すなわち、荷重安定化制駆動力指令値算出部8では、バネ上挙動推定部7で推定した車体100の挙動を表すバネ上挙動推定信号に基づいて、大きなピッチングや大きなバウンシングを抑えることが可能な荷重安定化制駆動力を算出し、これを荷重安定化制駆動力指令値信号として補正トルク指令値算出部10へ出力する。
また、上記と併せて、荷重付加制駆動力指令値算出部9が制駆動力指令値算出処理を実行する。
すなわち、荷重付加制駆動力指令値算出部9では、バネ上挙動推定部7で推定した車体100の挙動を表すバネ上挙動推定信号に基づいて、たとえば急ブレーキ時や横加速度が大きい旋回時などにあって、ステップS9での荷重安定化制駆動力制御だけを行った場合の車体姿勢に対し、荷重付加を行って車体をノーズダイブ気味とすることで、前方視界の確保やドライバーの安心感向上を行うように制御する荷重付加制駆動力指令値を算出し、これを荷重付加制駆動力指令値信号として補正トルク指令値算出部10へ出力する。
続いて、ステップS10に進む。
ステップS10では、補正トルク指令値算出部10が補正トルク指令値算出処理を実行する。
すなわち、補正トルク指令値算出部10では、荷重安定化制駆動力指令値算出部8から入力された荷重安定化制駆動力指令値信号と荷重付加制駆動力指令値算出部9から入力された荷重付加制駆動力指令値信号とに基づいて、荷重安定化制駆動力指令値と荷重付加制駆動力指令値とを加算し、これを補正トルク指令値信号としてトルク指令値算出部11へ出力する。
続いて、ステップS11に進む。
ステップS11では、トルク指令値演算部11がトルク指令値を算出・出力する。
すなわち、トルク指令値演算部11にて、要求制駆動トルク算出部1から入力された要求制駆動トルク算出信号と、補正トルク指令値算出部10から入力された補正トルク指令値信号と、他システムから入力されたトルク要求信号とに基づいて、要求制駆動トルク値と補正トルク指令値とトルク要求とを加算し、これをトルク指令値信号として出力し、エンジン106の出力制御に用いる。
次いで、ステップS1へ戻る。
上記のように構成した実施例1の車体制振制御装置においては、以下のように作用する。
車両を発進させて走行すると、車体制振制御が実行される。
ECM101は、各輪の車速センサ103FL、103FR、103RL、103RR、ブレーキストロークセンサ104、アクセル開度センサ105、操舵角センサ111、一体型センサ112等から各種信号を受け取り(ステップS1)、これらに基づいて車体100の挙動、すなわちピッチングやバウンシングによる車体100の振動を抑えるようにエンジン106の出力を制御する。
このため、ドライバーが要求する制駆動トルクを検出するため、アクセル開度センサ105から得たアクセル開度、またブレーキストロークセンサ104から得たブレーキ操作量に基づいて、要求制駆動トルク算出部1にて制駆動トルクを決定する(ステップS2)。制駆動トルクは、バネ上挙動推定部7とトルク指令値算出部11に入力する。
一方、横加速度推定部4では一体型センサ112から得た挙動信号から横加速度を推定し(ステップS3)、サスジオ定数算出部5に入力する。
サスジオ定数算出部5では、横加速度推定部4から入力された横加速度の大きさAyに応じて図5に示したマップに基づき、対応するサスジオ定数を算出する(ステップS4)。ここで算出したサスジオ定数は、上下力算出部2に入力する。
たとえば、入力された横加速度の絶対値の大きさ(|Ay|)が閾値以下の範囲にあると判定された場合には、車両が略直線路を走行しているとして、この場合のサスジオ定数は、一定の固定値(図5中、Nで示すノミナル値)とする。
これに対し、入力された横加速度の絶対値の大きさ(|Ay|)が閾値より大きいと判定された場合には、旋回走行中であるとして、横加速度が発生するので、サスペンションジオメトリでの車軸等の位置変化が大きくなり、この場合のサスジオ定数は、上記固定値より大きくなるか小さくなるように設定する。
すなわち、Ayに対応するサスジオ定数の値は、図5中の実線(右前輪102FRのサスジオ定数KgeoFR'(Ay))または破線(左前輪102FLのサスジオ定数KgeoFL'(Ay))で表した斜線部分上の、入力されたAy対応するサスジオ定数をそれぞれ車輪ごとに求め、これらを各輪のサスジオ定数とする。
図5から分かるように、旋回中は、左旋回の場合、Ayがプラスの値をとり、サスジオ定数は、図5で中央の不感帯より右側部分となって、外輪となる右前輪では固有値より大きくなり、内輪となる左前輪では固有値より小さくなる。
これに対し、右旋回の場合、Ayがマイナスの値をとり、サスジオ定数は、図5で不感帯の左側の部分となって、外輪となる左前輪では固有値より大きくなり、内輪となる右前輪では固有値より小さくなる。
なお、左右の後輪についても、上記同様にしてそれらのサスジオ定数を求める。
このように、横加速度とサスジオ定数との関係は、略直進時と旋回時とでそれらの値を異ならせて旋回時のサスジオ定数が旋回時におけるサスペンションジオメトリの変動での直線近似にて一定の固有値の場合に比べて精度よく近似できるようになる。
次いで、車輪速変動補正部3が、車速センサ103FL、103FR、103RL、103RRから得た各輪の車輪速に基づいて車輪速変動に含まれるノイズを除去して補正車輪速を得(ステップS5)、これらを上下力算出部2に入力する。
上下力算出部2では、車輪速変動補正部3から入力された各輪の補正車輪速と、サスジオ定数算出部5で算出した各輪のサスジオ定数に基づいてサスペンションストローク速度やサスペンションストローク量を算出し、これらを用いて各輪に作用する上下力を算出する(ステップS6)。ここで算出された上下力は、バネ上挙動推定部7に入力する。
一方、旋回抵抗算出部6では、操舵角センサ111から得た操舵角および一体型センサ112から得たヨーレイトに基づいて、タイヤ転舵角δおよび車体スリップ角βvを算出し、これらから前後輪のタイヤ横滑り角βf、βrを求めて前後輪のタイヤ横力Fyf、Fyrを、次いで前輪旋回抵抗力Fcfおよび後輪旋回抵抗力Fcrを算出する(ステップS7)。ここで算出された旋回抵抗は、バネ上挙動推定部7に入力する。
バネ上挙動推定部7では、要求制駆動力トルク算出部1で得た要求制駆動力トルクと、上下力算出部2で得た上下力と、旋回抵抗算出部6で得た旋回抵抗とに基づいて、ピッチ速度、バウンス速度等といった車体100の挙動を表す物理量を求める(ステップS8)。
ここで得た挙動を表す物理量に基づいて、荷重安定化制駆動力指令値算出部8で車体の振動を抑えるための荷重安定化制駆動力指令値を算出するとともに、荷重付加制駆動力指令値算出部9で急ブレーキ時や横加速度が大きい旋回時には車体がノーズダイブ気味になるようにするための荷重付加制駆動力指令値を算出する(ステップS9)。
補正トルク指令値演算部10では、荷重安定化制駆動力指令値算出部8で得た荷重安定化制駆動力指令値と、荷重付加制駆動力指令値算出部9で得た荷重付加制駆動力指令値とを加算して補正トルク指令値を算出する(ステップS10)。この補正トルク指令値は、トルク指令値算出部11に入力する。
トルク指令値算出部11では、要求制駆動トルク算出部1で得た要求制駆動トルク値に、補正トルク指令値演算部10で得た補正トルク指令値と他システムからの要求トルク値とを加算してトルク指令値を得て(ステップS11)、エンジン106の出力制御を行う。
ここで、本実施例1の効果を確認するため、シミュレーションを行った。
図8は、その結果を示し、図8(a)は直進時の場合、図8(b)は旋回時の場合を示す。これらの図において、横軸に時間を、また縦軸の上方部分に走行中における路面変位を、縦軸の下方部分にピッチレイトをそれぞれ示す。
また、ピッチレイトを示す部分にあって、本実施例の場合は実線で、車体制振制御を実行しない場合(制御OFF)は破線で、また車体制振制御を実行するもののサスジオ定数を横加速度にかかわらず一定値とした場合(Kgeo'一定)は一点鎖線でそれぞれ示してある。
まず、直進時に路面が図8(a)の上方部分に示すように凸部を乗り上げ乗り越す場合には、同図の下方部分に示すように、本実施例の場合と車体制振制御を実行するもののサスジオ定数を横加速度にかかわらず一定値とした場合とは同じ制御となるので、それらのピッチレイトは同じとなり、制御OFFの場合よりも大きさが低減され、車体のピッチングは抑えられていることが分かる。
一方、旋回時に、図8(b)の上方部分に示すように図8(a)の場合と同様に凸部を乗り上げ乗り越す場合には、車体制振制御を実行するもののサスジオ定数を横加速度にかかわらず一定値とした場合では制御OFFの場合よりピッチレイトが小さくなるものの、本実施例の場合は、車体制振制御を実行するもののサスジオ定数を横加速度にかかわらず一定値とした場合よりピッチレイトがさらに小さくなることが分かる。これは、図5のサスジオ定数の特性の効果である。
上記3つの場合について、図9(a)に直進走行時の、また図9(b)に旋回時における制御効果(うねり)を示す。なお、同図において高さが低いほど制御効果が良くなる、すなわちピッチングが抑制されていることを示す。
本実施例の場合と車体制振制御を実行するもののサスジオ定数を横加速度にかかわらず一定値とした場合とは、制御OFFの場合よりも、直進走行時も旋回時でもより制振効果が大きい。また、本実施例の場合、直進走行時ではサスジオ定数を常時一定にした場合と同じであるが、旋回時ではサスジオ定数を常時一定にした場合よりも20%以上も制御効果が良くなることが分かる。
以上、説明したように、実施例1の車体制振制御装置は、以下の効果を得ることができる。
実施例1の車体制振制御装置では、高価なサスペンションストロークを用いることなく、車輪速からバネ上荷重である車体100の挙動(ピッチング変動やバウンス変動など)を推測して、車体100の振動を抑制可能にエンジン106の出力を制御するトルク指令値を最適に設定することができる。
また、この場合、横加速度に応じてサスペンションの特性によって算出されるサスジオ定数を用いて直線近似するようにしたので、簡単な算出方法で上記挙動を推定することが可能となる。しかも、本実施例にあっては、サスジオ定数を、横加速度が閾値より小さい範囲では一定の固有値としたので、略直進走行時にあっては無意味にサスジオ定数や車体制振制御を変更することがない。また、横加速の絶対値が閾値より大きい範囲ではサスジオ定数を斜線で直線近似するようにしたので、旋回時における内輪、外輪のサスペンションの挙動、したがって車体100の挙動をより精度よく推測することが可能となる。
次に、実施例2について説明する。実施例2の説明にあたっては、実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
実施例2にあっては、実施例1では車両挙動信号を入力して横加速度推定部4で横加速度を推定し、この横加速度に応じてサスジオ定数算出部5でサスジオ定数を算出しているのに対し、横加速度推定部4に代えて旋回挙動算出部12を用いるようにしている。
すなわち、旋回挙動算出部12は、操舵角センサ111から入力された操舵角に基づいて、周知の車両モデルによって旋回挙動(横加速度)を推測し、これを横加速度信号としてサスジオ定数算出部5へ出力する。したがって、実施例2で算出した横加速度には、実施例1の場合とは異なり、路面不整による変動(外乱)が含まれない。なお、旋回挙動算出部12は、本発明の旋回検出手段および横加速度推定手段に相当する。
サスジオ定数算出部5は、横加速度とサスジオとの関係のマップを有するが、ここでは図11に示すように実施例1の場合と異なり、不感帯を設けておらず、またその特性線も直線近似ではなく非線形で、横加速度の大きさAyの絶対が大きいほどノミナル点Nから図11中上下方向へ伸びていく形状としてある。
この場合も、図11の下方側に示しているように、横加速度から車両特性としてのロール特性を算出する。この場合、周知の静的モデルあるいは動的モデルを用い、または横加速度に対するロール角(サスペンションストローク)の特性を記憶したマップを用いても良い。
ここで得られたサスペンションストロークに基づいて、サスペンション特性を次式で算出する。
Figure 0006264047
すなわち、サスペンションストロークに対するホイールセンタの前後方向変化(Kgeow)を算出し、サスペンションストロークに対するキャスタ角の変化(Kgeo)を算出し、上式(数4)から各輪のサスジオ定数(Kgeo')を算出する。
図12にサスペンション特性として、ホイールセンタ軌跡を同図(a)に示し、キャスタ角変化を同図(b)に示す。同図(a)に示すように、ホイール前後方向変化を表す傾きKgeoはz/xtgとなり、キャスタ角変化を表す傾きKgeowはz/ωである。
ここで、zはホイールセンタの上方変位量、xtgはその後方変位量、ωはキャスタ角である。一般的なサスペンションにあっては、同図のようにホイールセンタが上下方向に変位する。すなわち、サスペンションが車体100に対しストロークするとホイールセンタは前後方向に移動し、キャスタ角も変化する特性を有してので、サスペンションストロークによって車輪速が変化する。したがって、この特性を逆に利用して、車輪速の変化からサスペンションストロークを推測し、これからさらに上屋(車体100などバネ上側)の挙動を推測することが可能となる。
なお、その他の構成は実施例1と同じであるので、それらの説明は省略する。
以上のように構成した実施例2の車体制振制御装置にあっても、実施例1の場合と同様に作用し、実施例1の効果と同様の効果を得ることができるのに加えて、一体型センサが不要となりさらに安価にすることが可能となる。
次に、実施例3について説明する。実施例3の説明にあたっては、実施例2と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
実施例3にあっては、図13に示すように、実施例2における操舵角に基づいて横加速度を算出する旋回挙動算出部12から出力する横加速度を、これからサスジオ定数を算出するサスジオ算出部5に加え、車輪速補正部13に入力するようにするとともに、この車輪速補正部13で操舵に伴う左右輪間の車輪速差を補正する車輪速補正量を算出し、上下力算出部2に入力する車輪速に加算器14で加算するようにした。車輪速補正部13は、本発明の車輪速補正手段に相当する。
その他の構成は、実施例2と同じであるので、それらの説明は省略する。
車輪速補正部13では、図14に示すフローチャートにしたがって車輪速補正処理を実行する。
すなわち、ステップS30では、車輪速補正部13が、旋回挙動算出部12から横加速度を読み込む。続いて、ステップS31に進む。
ステップS31では、読み込んだ横加速度に応じて、旋回中の外輪は車輪速を減らす側に補正し、旋回中の内輪は車輪速を増やす側に補正するように、その補正量を算出する。
旋回時は、外輪は内輪より車輪速が高くなる。したがって、上記車輪速補正処理を実行しない場合は、図15(a)に示すように、旋回中は直進時と異なり左右輪で車輪速に差が出てしまうことになる。そうすると、上下力算出部2での上下力算出の精度が悪化する。前述のとおり、本実施例でも車輪速の変化を利用し、サスペンションストロークを推定し、さらには上屋挙動(上下力)の推定をしているため、このようなシーンでは、上下力算出部2での上下力算出の精度が悪化する。そこで、同図(b)に示すように、上記車輪速補正処理を実行し、旋回によって生じる内輪と外輪の車輪速差を補正し、内外輪が同じ車輪速となるように補正して上下力算出に用いれば、旋回時であっても、上下力をより精度よく算出すること可能となる。
なお、この車輪速補正処理は、図4のフローチャートでステップS4とステップS5との間で実行する。
実施例3の車体制振制御装置にあっても、実施例2と同様の効果に加え、内外輪の車輪速差を無くすことで上下力をさらに精度よく推測することが可能となる。
以上、本発明を上記各実施例に基づき説明してきたが、本発明はこれらの実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
たとえば、横加速度等の算出、検出は実施例以外のものであってもよい。また、エンジンに代えて電気モータを用いるようにしても良い。
1 要求制駆動トルク算出部(要求制駆動トルク算出手段)
2 上下力算出部(上下力算出手段)
3 車輪速変動補正部
4 横加速度推定部(横加速度推定手段、旋回検出手段)
5 サスジオ定数算出部(サスジオ定数算出手段)
6 旋回抵抗算出部
7 バネ上挙動推定部(バネ上挙動推定手段)
8 荷重安定化制駆動力指令値算出部
9 荷重付加制駆動指令値算出部
10 補正トルク指令値算出部(補正トルク指令値算出手段)
11 トルク指令値算出部
12 旋回挙動算出部(旋回検出手段、横加速度推測手段)
13 車輪速補正部(車輪速補正手段)
14 加算器
100 車体
101 エンジンコントロールモジュール
103FL、103FR、103RL、103RR 車輪速センサ
104 ブレーキストロークセンサ
105 アクセル開度センサ
106 エンジン
111 操舵角センサ
112 一体型センサ
SF、SR バネ
AF、AR ショックアブソーバ

Claims (5)

  1. ドライバーの操作に基づき、原動機の要求制駆動トルクを算出する要求制駆動トルク算出手段と、
    車両の旋回を検出する旋回検出手段と、
    サスペンションジオメトリに基づくタイヤの変位特性を示すサスペンションジオメトリ定数の大きさを車両の旋回状況に応じて変更し、旋回状況と直進状況とで前記サスペンションジオメトリ定数を異ならせるサスペンションジオメトリ定数算出手段と、
    該サスペンションジオメトリ定数算出手段で得たサスペンションジオメトリ定数を用いて、車輪速変動に基づき路面からタイヤに加わる上下力を算出する上下力算出手段と、
    該上下力に基づいて車体の挙動を推定するバネ上挙動推定手段と、
    該バネ上挙動推定手段推定した車体の挙動情報に基づき前記車体の振動を抑えるための補正トルクを算出する補正トルク指令値算出手段と、
    前記要求制駆動トルク算出手段で得た要求制駆動トルクと前記補正トルク指令値算出手段で得た補正トルクとから前記原動機が出力するトルクを算出するトルク指令値算出手段と、
    を備えたことを特徴とする車体制振制御装置。
  2. 請求項1に記載の車体制振制御装置において、
    前記旋回検出手段は、前記車体に作用する横加速度を推定する横加速度推定手段であり、
    前記サスペンションジオメトリ定数算出手段は、前記横加速度と前記サスペンションジオメトリ定数との関係を記憶したサスペンションジオメトリ定数マップを有することを特徴とする車体制振制御装置。
  3. 請求項2に記載の車体制振制御装置において、
    前記サスペンションジオメトリ定数マップは、前記横加速度が閾値以下の領域ではサスペンションジオメトリ定数が一定であることを特徴とする車体制振制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車体制振制御装置において、
    前記サスペンションジオメトリ定数は、車両の横加速度に応じたホイールセンタ軌跡の傾きとキャスタ角変化の傾きから算出されることを特徴とする車体制振制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車体制振制御装置において、
    旋回により生じる左右輪の車輪速差を補正する車輪速補正手段を備え、
    前記上下力算出手段は、前記車輪速補正手段で補正した車輪速を用いて上下力を算出することを特徴とする車体制振制御装置。
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