以下、一実施形態の撮像装置、撮像装置の制御方法及び制御プログラムについて、添付図面を参照して説明する。
<撮像装置の構成>
まず、図1を用いて、一実施形態の撮像装置の全体的な構成について説明する。図1に示す一実施形態の撮像装置は、昼間等の可視光が十分に存在する環境下に適した通常モードと、夜間等の可視光がほとんどない環境下に適した暗視モードと、可視光がわずかに存在する環境下に適した中間モードとの3つのモードで撮像可能な撮像装置である。
暗視モードと中間モードとはいずれも可視光が少ない環境下で、赤外線を投光しながら撮像する赤外光投光モードである。赤外光投光モードは暗視モードのみであってもよい。本実施形態では、好ましい構成として、中間モードを含む3つのモードで撮像可能な撮像装置を例とする。
図1において、被写体から反射した一点鎖線にて示す光は、光学レンズ1によって集光される。ここで、光学レンズ1には、可視光が十分に存在する環境下では可視光、可視光がほとんどない環境下では後述する赤外線投光器9より発せられた赤外光を被写体が反射した赤外光が入射される。
可視光がわずかに存在する環境下では、光学レンズ1には、可視光と赤外線投光器9より発せられた赤外光を被写体が反射した赤外光とが混在した光が入射される。
図1では簡略化のため、光学レンズ1を1つのみとしているが、実際には、撮像装置は複数の光学レンズを備える。
光学レンズ1と撮像部3との間には、光学フィルタ2が設けられている。光学フィルタ2は、赤外線カットフィルタ21とダミーガラス22との2つの部分を有する。光学フィルタ2は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間に赤外線カットフィルタ21を挿入した状態と、光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入した状態とのいずれかの状態に駆動される。
撮像部3は、水平方向及び垂直方向に複数の受光素子(画素)が配列した撮像素子31と、それぞれの受光素子に対応して赤色(R),緑色(G),青色(B)のいずれかの色フィルタが配置されたカラーフィルタ32とを有する。撮像素子31は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)でよい。
カラーフィルタ32には、一例として、図2に示すように、R,G,Bの色フィルタがベイヤ配列と称される配列で並べられている。ベイヤ配列は、R,G,Bの色フィルタの所定の配列の一例である。図2において、各行のRの色フィルタに挟まれたGの色フィルタをGr、Bの色フィルタに挟まれたGの色フィルタをGbとしている。
ベイヤ配列では、Rの色フィルタとGrの色フィルタとが交互に配置された水平方向の行と、Bの色フィルタとGbの色フィルタとが交互に配置された水平方向の行とが、垂直方向に交互に配列されている。
図3は、撮像部3におけるR光,G光,B光の波長と相対感度との分光感度特性を示している。相対感度は、最大値が1に正規化されている。撮像装置を通常モードで動作させるとき、可視光による良好なカラー映像を撮像するには、波長700nm以上の赤外光をカットする必要がある。
そこで、駆動部8は、制御部7による制御に基づいて、光学レンズ1と撮像部3との間に赤外線カットフィルタ21を挿入するように光学フィルタ2を駆動する。
図3より分かるように、撮像部3は、波長700nm以上の赤外光の領域においても感度を有する。そこで、撮像装置を中間モードまたは暗視モードで動作させるときには、駆動部8は、制御部7による制御に基づいて、光学レンズ1と撮像部3との間の赤外線カットフィルタ21を外してダミーガラス22を挿入するように光学フィルタ2を駆動する。
光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入した状態では、波長700nm以上の赤外光はカットされない。よって、撮像装置は、図3に破線の楕円で囲んだ部分の感度を利用して、R,G,Bの各色情報を得ることが可能となる。ダミーガラス22を挿入するのは、光路長を、赤外線カットフィルタ21を挿入した場合の光路長と同じにするためである。
赤外線投光器9は、それぞれ、波長IR1,IR2,IR3の赤外光を投光する投光部91,92,93を有する。中間モードまたは暗視モードのとき、制御部7内の投光制御部71は、時分割で投光部91〜93より波長IR1〜IR3の赤外光を選択的に投光させるように制御する。
ところで、撮像素子31にはシリコンウェハが用いられている。図4は、R,G,Bそれぞれの色を呈する素材に白色光を照射した場合の各波長における反射率にシリコンの受光感度を乗じたときの、波長と相対検出率との関係を示している。図4においても、相対検出率は、最大値が1に正規化されている。
図4に示すように、赤外光の領域において、例えば、波長780nmにおける反射光はR色を呈する素材の反射光との相関性が高く、波長870nmにおける反射光はB色を呈する素材の反射光との相関性が高く、波長940nmにおける反射光はG色を呈する素材の反射光との相関性が高い。
そこで、本実施形態においては、投光部91,92,93が投光する赤外光の波長IR1,IR2,IR3を、780nm,940nm,870nmとする。これらの波長は、波長IR1〜IR3の一例であり、780nm,940nm,870nm以外でもよい。
投光部91が波長IR1の赤外光を被写体に照射し、被写体から反射した光を撮像した映像信号をR信号に割り当てる。投光部93が波長IR2の赤外光を被写体に照射し、被写体から反射した光を撮像した映像信号をG信号に割り当てる。投光部92が波長IR3の赤外光を被写体に照射し、被写体から反射した光を撮像した映像信号をB信号に割り当てる。
このようにすれば、原理的に、中間モードまたは暗視モードにおいても、通常モードにおいて可視光が存在する環境下で被写体を撮像した場合と同様の色を再現することができる。
色味が被写体の実際の色味と異なるカラー映像となるものの、780nmの波長IR1をR光、870nmの波長IR3をG光、940nmの波長IR2をB光に割り当ててもよい。波長IR1,IR2,IR3をR光,G光,B光に任意に割り当てることも可能である。
本実施形態においては、被写体の色味を最もよく再現する、波長IR1,IR2,IR3をそれぞれR光,G光,B光に割り当てることとする。
制御部7は、撮像部3における撮像と、映像処理部5内の各部と、映像出力部6とを制御する。
撮像素子31がCCDである場合を例として、撮像素子31の概略的な構成と、制御部7が撮像部3をどのように制御するかについて説明する。
図5に示すように、撮像素子31は水平方向及び垂直方向に配列した複数の受光素子Pxを備える。撮像素子31は、垂直方向に並んだ受光素子Pxのそれぞれの列に対応した垂直転送レジスタ3vrと、それぞれの垂直転送レジスタ3vrに接続された水平転送レジスタ3hrとを備える。
水平方向及び垂直方向に配列した複数の受光素子Pxそれぞれに、図2で説明したカラーフィルタ32のR,G,Bの色フィルタが対応付けられている。実際には、図5に示すように、互いに隣り合う受光素子Pxは水平方向及び垂直方向に離間した状態で配置されているが、図2では便宜上、カラーフィルタ32を互いに隣り合う色フィルタが密着している状態で示している。
図6において、(a)は撮像素子31の受光素子Pxの露光を示している。受光素子Pxの最大露光時間をtExmaxとする。最大露光時間tExmaxは、1フレーム期間に相当する。受光素子Pxの露光時間は、最大露光時間tExmaxを最大として、シャッタスピードに応じて増減する。
撮像素子31には、例えば1水平期間の間隔で露光により蓄積した電荷を排出するための抜き取りパルスPs1が供給される。制御部7が所定のタイミングで抜き取りパルスPs1の供給を停止させると、抜き取りパルスPs1の供給が停止された以降がハッチングで示す時間の露光Ex1,Ex2…となる。
撮像素子31には、最大露光時間tExmaxに達するタイミングで、読み出しパルスPs2が供給される。撮像素子31に読み出しパルスPs2が供給されると、図5におけるそれぞれの列の受光素子Pxに蓄積された電荷は、垂直転送レジスタ3vrへと一括して転送される。
垂直転送レジスタ3vrは、受光素子Pxより転送された電荷を垂直転送クロックによって水平転送レジスタ3hrへと順次転送する。水平転送レジスタ3hrは、それぞれの垂直転送レジスタ3vrより転送された電荷を水平転送クロックによって順次転送する。水平転送レジスタ3hrが転送する電荷は、出力アンプ3apによって増幅されて電圧信号に変換されて出力される。
図6において、(b)に示すように、撮像素子31は、読み出しパルスPs2が供給された以降の1フレーム期間に渡って、露光Ex1,Ex2…によって得られた電荷を電圧信号として読み出すことにより、撮像信号のフレームF1,F2…を出力する。フレームF1,F2…の撮像信号は、A/D変換器4に供給される。
A/D変換器4に入力された撮像信号はA/D変換され、映像処理部5に入力される。撮像部3とA/D変換器4とが一体化されていてもよい。
制御部7は、映像処理部5内に設けられたフレームバッファ50への映像データの書き込みとフレームバッファ50からの映像データの読み出しを制御する書込・読出制御部70と、通常モードと中間モードと暗視モードとを切り換えるモード切換部72を備える。書込・読出制御部70によって映像データがフレームバッファ50どのように書き込まれ、読み出されるかについては後述する。
モード切換部72は、通常モードと中間モードと暗視モードとに対応させて、映像処理部5内の動作を後述のように適宜切り換える。映像処理部5と制御部7とが一体化されていてもよい。
映像処理部5は、フレームバッファ50と、スイッチ51,53と、前信号処理部52と、デモザイク処理部54とを有する。フレームバッファ50は、それぞれ1フレーム分の容量のメモリ50a〜50fを有する。破線で示すように、フレームバッファ50が、合計6フレーム分の容量のメモリ50a〜50fに加えて、それぞれ1フレーム分の容量のメモリ50g〜50iを有する場合もある。
スイッチ51,53は物理的なスイッチであってもよく、前信号処理部52の動作と不動作とを切り換えるための概念的なスイッチであってもよい。制御部7には、撮像している映像の明るさを検出するために、映像処理部5から映像信号が入力される。
図7に示すように、前信号処理部52は、周囲画素加算部521と、同一位置画素加算部522と、合成部523とを有する。
映像処理部5は、R,G,Bの3原色データを生成して、映像出力部6に供給する。映像出力部6は、3原色データを所定の形式で図示していない表示部等へと出力する。
映像出力部6は、R,G,B信号をそのまま出力してもよいし、R,G,B信号を輝度信号と色信号(または色差信号)に変換して出力してもよい。映像出力部6は、コンポジット映像信号を出力してもよい。映像出力部6は、デジタル信号の映像信号を出力してもよいし、D/A変換器によってアナログ信号に変換した映像信号を出力してもよい。
本実施形態においては、映像出力部6はNTSCエンコーダ61を有し、制御部7による制御に基づいて、NTSC方式のインターレース方式の映像信号を出力するものとする。映像出力部6は、NTSCエンコーダ61の代わりに、PAL方式の映像信号を生成するためのPALエンコーダを有する構成とすることも可能である。また、HDTV(High-definition television)方式でもよく、映像出力部6は種々の方式に適用可能である。
以下、通常モードと中間モードと暗視モードとのそれぞれの具体的な動作について説明する。
<通常モード>
通常モードでは、制御部7は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間に赤外線カットフィルタ21を挿入させる。投光制御部71は、赤外線投光器9による赤外光の投光をオフにする。
撮像部3によって撮像された撮像信号は、A/D変換器4によってデジタル信号である映像データに変換されて、映像処理部5に入力される。通常モードでは、モード切換部72は、スイッチ51,53を端子Tbに接続するように制御する。
図6で説明したように、露光Ex1に基づいて、映像信号のフレームF1が得られる。露光Ex2に基づいて、映像信号のフレームF2が得られる。以降の露光でも同様である。映像信号のフレーム周波数を、例えば30フレーム/秒とする。
映像信号のフレーム周波数は、NTSC方式であれば30フレーム/秒または60フレーム/秒、PAL方式であれば25フレーム/秒または50フレーム/秒のように適宜設定すればよい。また、映像信号のフレーム周波数は、映画で使われている24フレーム/秒であってもよい。
A/D変換器4より出力された各フレームの映像データは、フレームバッファ50に一時的に保持される。フレームバッファ50より読み出された映像データは、スイッチ51,53を介してデモザイク処理部54に入力される。デモザイク処理部54は、入力された各フレームの映像データにデモザイク処理を施す。映像処理部5は、デモザイク処理の他、ホワイトバランス補正やゲイン補正等の各種の映像処理を施して、R,G,Bの3原色データを出力する。
図8を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図8において、(a)は映像データの任意のフレームFmを示している。フレームFmは、有効映像期間の画素によって構成されたフレームである。映像データの画素数は、例えばVGA規格では水平640画素、垂直480画素である。ここでは簡略化のため、フレームFmの画素数を大幅に少なくして、フレームFmを概念的に示している。
ベイヤ配列の撮像部3を用いて生成された映像データは、フレームFm内で、R,G,Bの画素データが混在したデータである。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて算出したRの補間画素データRiを生成する。デモザイク処理部54は、図8の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmRを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて算出したGの補間画素データGiを生成する。デモザイク処理部54は、図8の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmGを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて算出したBの補間画素データBiを生成する。デモザイク処理部54は、図8の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmBを生成する。
デモザイク処理部54は、Rの画素データを補間する際には少なくともRの画素データを用いればよく、Gの画素データを補間する際には少なくともGの画素データを用いればよく、Bの画素データを補間する際には少なくともBの画素データを用いればよい。デモザイク処理部54は、補間精度を向上させるために、R,G,Bの画素データを補間する際に、生成しようとする補間画素データの色とは異なる他の色の画素データを用いてもよい。
撮像部3には、有効映像期間より外側の画素も存在しているため、フレームFmの上下左右端部に位置する画素においても、R,G,Bの画素データを補間することができる。
デモザイク処理部54によって生成されたRフレームFmR,GフレームFmG,BフレームFmBがR,G,Bの3原色データとして出力される。図8では、理解を容易にするため、R,G,Bの画素データをフレーム単位で説明したが、実際には、R,G,Bの画素データは画素ごとに順次出力される。
<中間モード:中間第1モード>
中間モード(中間第1モード及び後述する中間第2モード)では、制御部7は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入させる。投光制御部71は、赤外線投光器9による赤外光の投光をオンにする。モード切換部72は、スイッチ51,53を端子Taに接続するように制御する。
図9の(a)は、赤外線投光器9による赤外光の投光の状態を示している。制御部7は、通常モードの1フレーム期間を1/3ずつに分け、例えば投光部91,92,93の順に赤外光を投光させるように制御する。
図9の(a)に示す例では、1フレームの最初の1/3の期間では、波長IR1(780nm)の赤外光が被写体に照射される。1フレームの次の1/3の期間では、波長IR2(940nm)の赤外光が被写体に照射される。1フレームの最後の1/3の期間では、波長IR3(870nm)の赤外光が被写体に照射される。波長IR1〜IR3の赤外光を投光する順番は任意である。
図9の(b)に示すように、波長IR1の赤外光を投光しているタイミングでは、撮像部3はR光との相関性が高い露光Ex1Rが行われる。波長IR2の赤外光を投光しているタイミングでは、撮像部3はG光との相関性が高い露光Ex1Gが行われる。波長IR3の赤外光を投光しているタイミングでは、撮像部3はB光との相関性が高い露光Ex1Bが行われる。
但し、中間モードでは、可視光がわずかに存在する環境下での撮像であるため、可視光と赤外線投光器9より投光された赤外光とが混在した状態である。よって、中間モードにおいては、露光Ex1R,Ex1G,Ex1B,Ex2R,Ex2G,Ex2B…は、可視光による露光と赤外光による露光とを合わせた露光となる。
図9の(c)に示すように、露光Ex1R,Ex1G,Ex1Bに基づいて、所定時間後に、露光Ex1Rに対応したフレームF1IR1、露光Ex1Gに対応したフレームF1IR3、露光Ex1Bに対応したフレームF1IR2が得られる。
また、露光Ex2R,Ex2G,Ex2Bに基づいて、所定時間後に、露光Ex2Rに対応したフレームF2IR1、露光Ex2Gに対応したフレームF2IR3、露光Ex2Bに対応したフレームF2IR2が得られる。露光Ex3R,Ex3G,Ex3B以降も同様である。
図9の(c)の撮像信号のフレーム周波数は、90フレーム/秒である。中間モードでは、通常モードにおける映像信号の1フレームを時分割して波長IR1〜IR3の赤外光を投光するため、通常モードと同じ形式の映像信号を出力するためには、図9の(c)の撮像信号のフレーム周波数は、通常モードにおけるフレーム周波数の3倍となる。
後述するように、図9の(c)の3フレームの撮像信号に基づいて、図9の(d)に示す30フレーム/秒のフレーム周波数を有する映像信号の1フレームが生成される。ここでは概略的にインターレース方式の映像信号ではなく、プログレッシブ方式の映像信号として説明する。例えば、フレームF1IR1,F1IR2,F1IR3に基づいてフレームF1IRが生成され、フレームF2IR1,F2IR2,F2IR3に基づいてフレームF2IRが生成される。
図9の(c)の3フレームの撮像信号に基づいて、図9の(d)の各フレームの映像信号を生成する中間モードでの動作を具体的に説明する。
A/D変換器4より出力された図9の(c)に示す撮像信号に対応する各フレームの映像データは、フレームバッファ50に一時的に保持される。フレームバッファ50より読み出された映像データは、スイッチ51を介して前信号処理部52に入力される。
図10を用いて、前信号処理部52における前信号処理について説明する。図10の(a)は、波長IR1の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR1を示している。フレームFmIR1内のR,B,Gr,Gbの画素データには、波長IR1の赤外光を投光した状態で生成されたことを示す添え字1を付している。
図10の(b)は、波長IR2の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR2を示している。フレームFmIR2内のR,B,Gr,Gbの画素データには、波長IR2の赤外光を投光した状態で生成されたことを示す添え字2を付している。
図10の(c)は、波長IR3の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR3を示している。フレームFmIR3内のR,B,Gr,Gbの画素データには、波長IR3の赤外光を投光した状態で生成されたことを示す添え字3を付している。
図10の(a)に示すフレームFmIR1は、R光との相関性が高い波長IR1の赤外光が投光された状態で生成された映像データであるので、Rの画素データは投光された赤外光と対応した画素データであり、B,Gの画素データは投光された赤外光と対応していない画素データである。B,Gr,Gbの画素データに付しているハッチングは、投光された赤外光と対応していない画素データであることを意味する。
図10の(b)に示すフレームFmIR2は、G光との相関性が高い波長IR2の赤外光が投光された状態で生成された映像データであるので、Gの画素データは投光された赤外光と対応した画素データであり、R,Bの画素データは投光された赤外光と対応していない画素データである。R,Bの画素データに付しているハッチングは、投光された赤外光と対応していない画素データであることを意味する。
図10の(c)に示すフレームFmIR3は、B光との相関性が高い波長IR3の赤外光が投光された状態で生成された映像データであるので、Bの画素データは投光された赤外光と対応した画素データであり、R,Gの画素データは投光された赤外光と対応していない画素データである。R,Gr,Gbの画素データに付しているハッチングは、投光された赤外光と対応していない画素データであることを意味する。
前信号処理部52内の同一位置画素加算部522は、互いに同じ画素位置のR,Gr,Gb,Bの画素データを以下の式(1)〜(3)に従って個別に加算して、画素データR123,Gr123,Gb123,B123を生成する。中間モードでは、前信号処理部52内の周囲画素加算部521は不動作である。
R123=ka×R1+kb×R2 +kc×R3 …(1)
G123=kd×G1+ke×G2+kf×G3 …(2)
B123=kg×B1+kh×B2+ki×B3 …(3)
式(1)〜(3)において、R1,G1,B1はフレームFmIR1におけるR,G,Bの画素データ、R2,G2,B2はフレームFmIR2におけるR,G,Bの画素データ、R3,G3,B3はフレームFmIR3におけるR,G,Bの画素データである。ka〜kiは所定の係数である。式(2)におけるG123はGr123またはGb123である。
このとき、同一位置画素加算部522は、ハッチングを付していないR,Gr,Gb,Bのそれぞれの画素データに、ハッチングを付した同じ画素位置のR,Gr,Gb,Bの画素データそれぞれを加算する。
即ち、同一位置画素加算部522は、式(1)に基づいて、フレームFmIR1におけるRの画素データに、フレームFmIR2,FmIR3における同じ画素位置のRの画素データを加算して、画素データR123を生成する。つまり、受光素子における赤色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いて赤色用の画素データR123を生成する。
同一位置画素加算部522は、式(2)に基づいて、フレームFmIR2におけるGr,Gbの画素データに、フレームFmIR1,FmIR3における同じ画素位置のGr,Gbの画素データを加算して、画素データG123を生成する。つまり、受光素子における緑色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いて緑色用の画素データG123を生成する。
同一位置画素加算部522は、式(3)に基づいて、フレームFmIR3におけるBの画素データに、フレームFmIR1,FmIR2における同じ画素位置のBの画素データを加算して、画素データB123を生成する。つまり、受光素子における青色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いて青色用の画素データB123を生成する。
前信号処理部52内の合成部523は、それぞれの画素位置において生成された画素データR123,Gr123,Gb123,B123に基づいて、図10の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123を生成する。
具体的には、合成部523は、フレームFmIR1における画素データR123と、フレームFmIR2における画素データGr123,Gb123と、フレームFmIR3における画素データB123とを選択して合成する。これによって合成部523は、合成映像信号のフレームFmIR123を生成する。
このように、合成部523は、カラーフィルタ32における色フィルタの配列と同じ配列となるように、画素データR123,Gr123,Gb123,B123を配列させたフレームFmIR123を生成する。
中間第1モードにおいては、ハッチングを付していない画素データと、ハッチングを付した画素データとを用いて、フレームFmIR123の映像データを生成する。
同一位置画素加算部522によって互いに同じ画素位置の画素データを加算するのは、次の理由による。中間モードではわずかではあるものの可視光が存在する環境下での撮像であるため、ハッチングを付した画素データは可視光による露光に基づくそれぞれの色の成分を含む。よって、同じ画素位置の画素データを加算することによって、それぞれの色の感度を上げることができる。
可視光と赤外光とが混在している状況で可視光が比較的多ければ、可視光による露光が支配的となる。この場合、フレームFmIR123の映像データは、可視光によって露光した映像信号に基づく成分が主となる。可視光と赤外光とが混在している状況で赤外光が比較的多ければ、赤外光による露光が支配的となる。この場合、フレームFmIR123の映像データは、赤外光によって露光した映像信号に基づく成分が主となる。
可視光が比較的少ない場合には、式(1)において、係数ka,kb,kcの大小関係を、ka>kb,kcとし、式(2)において、係数kd,ke,kfの大小関係を、kf>kd,keとし、式(3)において、係数kg,kh,kiの大小関係を、kh>kg,kiとするのがよい。これは、波長IR1はR光との相関性が高く、波長IR2はG光との相関性が高く、波長IR3はB光との相関性が高いからである。
このようにすれば、Rの画素データではフレームFmIR1におけるRの画素データ、Gの画素データではフレームFmIR2におけるGの画素データ、Bの画素データではフレームFmIR3におけるBの画素データを主とすることができる。
前信号処理部52より出力されたフレームFmIR123の映像データは、スイッチ53を介してデモザイク処理部54に入力される。デモザイク処理部54は、通常モードと同様に、入力されたフレームFmIR123の映像データにデモザイク処理を施す。映像処理部5は、デモザイク処理の他、ホワイトバランス補正やゲイン補正等の各種の映像処理を施して、R,G,Bの3原色データを出力する。
図11を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図11の(a)は、フレームFmIR123を示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR123iを生成する。デモザイク処理部54は、図11の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123Rを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG123iを生成する。デモザイク処理部54は、図11の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123Gを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて演算して、Bの補間画素データB123iを生成する。デモザイク処理部54は、図11の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123Bを生成する。
通常モードにおける図8に示すデモザイク処理部54の動作と、中間モードにおける図11に示すデモザイク処理部54の動作とを比較すれば分かるように、両者は実質的に同じである。デモザイク処理部54の動作は、通常モードであっても中間モードであっても変わらない。
通常モードでは前信号処理部52を不動作とし、中間モードでは、周囲画素加算部521を除き、前信号処理部52を動作させればよい。通常モードと中間モードとで、映像処理部5におけるデモザイク処理部54、及び、ホワイトバランス補正やゲイン補正等の信号処理部を共用させることができる。
<中間モード:中間第2モード>
図12及び図13を用いて、中間第2モードにおける動作を説明する。中間第2モードにおける動作において、中間第1モードにおける動作と同一部分は説明を省略する。図12の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR2,FmIR3は、図10の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR2,FmIR3と同じである。
合成部523は、フレームFmIR1におけるRの画素データであるR1と、フレームFmIR2におけるGの画素データであるGr2,Gb2と、フレームFmIR3におけるBの画素データであるB3とを選択して合成する。これによって合成部523は、図12の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123’を生成する。
即ち、フレームFmIR123’は、フレームFmIR1,FmIR3,FmIR2におけるハッチングを付していないR,Gr,Gb,Bの画素データを1フレームに集結させた映像データである。
つまり、フレームFmIR123’においては、波長IR1の赤外光を投光した状態における赤色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いた赤色用の画素データ、波長IR2の赤外光を投光した状態における緑色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いた緑色用の画素データ、波長IR3の赤外光を投光した状態における青色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いた青色用の画素データとなっている。
このように、合成部523は、カラーフィルタ32における色フィルタの配列と同じ配列となるように、画素データR1,Gr2,Gb2,B3を配列させたフレームFmIR123’を生成する。
中間第2モードでは、同一位置画素加算部522は、式(1)における係数kaを1、係数kb,kcを0とし、式(2)における係数keを1、係数kd,kfを0とし、式(3)における係数kiを1、係数kg,khを0とする。
これによって、フレームFmIR1におけるRの画素データと、フレームFmIR2におけるGr,Gbの画素データと、フレームFmIR3におけるBの画素データは、それぞれそのままの値となる。
よって、合成部523は、中間第1モードにおける動作と同様に、フレームFmIR1におけるRの画素データと、フレームFmIR2におけるGr,Gbの画素データと、フレームFmIR3におけるBの画素データを選択すれば、フレームFmIR123’を生成することができる。
中間第2モードにおいては、前信号処理部52は、画素データの色と同じ色の画素データを生成するための赤外光が投光された状態で生成された画素データ(ハッチングを付していない画素データ)のみ用いて、フレームFmIR123’の映像データを生成する。
中間第2モードによれば、中間第1モードよりも感度や色の再現性は低下するものの、演算処理を簡略化したり、フレームメモリを削減したりすることができる。
図13を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図13の(a)は、フレームFmIR123’を示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR1iを生成する。デモザイク処理部54は、図13の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123’Rを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG2iを生成する。デモザイク処理部54は、図13の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123’Gを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて演算して、Bの補間画素データB3iを生成する。デモザイク処理部54は、図13の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123’Bを生成する。
以上のように、中間モードにおいては、受光素子における赤色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから赤色用の画素データを生成し、受光素子における緑色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから緑色用の画素データを生成し、受光素子における青色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから青色用の画素データを生成する。
<暗視モード:暗視第1モード>
暗視モード(暗視第1モード及び後述する暗視第2モード)では、中間モードと同様、制御部7は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入させる。投光制御部71は、赤外線投光器9による赤外光の投光をオンにする。モード切換部72は、スイッチ51,53を端子Taに接続するように制御する。
暗視モードにおける概略的な動作は、図9と同じである。但し、暗視モードでは、可視光がほとんど存在しない環境下での撮像であるため、図9の(b)における露光Ex1R,Ex1G,Ex1B,Ex2R,Ex2G,Ex2B…は、赤外光のみによる露光を想定している。
可視光がほとんど存在せず赤外光のみが存在している環境下では、カラーフィルタ32におけるそれぞれの色フィルタの特性には差がなくなるため、撮像部3を単色の撮像素子とみなすことができる。
そこで、前信号処理部52内の周囲画素加算部521は、暗視モードでは、赤外光の感度を向上させるために、それぞれの画素データに対して、周囲に位置する画素データを加算する。
具体的には、図14の(a)に示すように、Rの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のRの画素データに対して周囲に位置するG及びBの8画素の画素データを加算する。
つまり、中間モードのときは、受光素子における赤色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから赤色用の画素データを生成していたが、暗視モードでは、中間モードのときよりも広い領域から得た画素データから赤色用の画素データを生成することとなる。図14の例では、各色とも注目画素を含む9画素分の領域から得た画素データを用いている。
図14の(b)に示すように、Gの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のGの画素データに対して周囲に位置するG及びBの8画素の画素データを加算する。図14の(b)におけるGの画素はGrまたはGbの画素である。
つまり、中間モードのときは、受光素子における緑色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから緑色用の画素データを生成していたが、暗視モードでは、中間モードのときよりも広い領域から得た画素データから緑色用の画素データを生成することとなる。
図14の(c)に示すように、Bの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のBの画素データに対して周囲に位置するR及びGの8画素の画素データを加算する。
つまり、中間モードのときは、受光素子における青色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから青色用の画素データを生成していたが、暗視モードでは、中間モードのときよりも広い領域から得た画素データから青色用の画素データを生成することとなる。
周囲画素加算部521は、注目画素の画素データと周囲の8画素の画素データとの9画素を単純に加算してもよいし、周囲の8画素の画素データに対して所定の重み付けをした上で注目画素の画素データに加算してもよい。
ところで、ビニングと称される複数の画素をまとめて1つの画素として読み出し可能な撮像素子が存在する。撮像素子31として、ビニング機能を有する撮像素子を用いる場合には、周囲画素加算部521による加算処理ではなく、ビニング機能を有する撮像素子による加算処理を行ってもよい。撮像素子によるビニングは、周囲画素加算部521による加算処理と実質的に等価である。
図15の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR3,FmIR2は、図10の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR3,FmIR2と同じである。図15の(d)〜(f)において、R1ad,Gr1ad,Gb1ad,B1ad,R2ad,Gr2ad,Gb2ad,B2ad,R3ad,Gr3ad,Gb3ad,B3adは、それぞれ、R,Gr,Gb,Bの画素データに対して周囲の8画素の画素データを加算した加算画素データである。
周囲画素加算部521は、フレームFmIR1,FmIR3,FmIR2のそれぞれの画素データに対して図14に示す加算処理を施すことにより、図15の(d)〜(f)に示すフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adを生成する。
図16の(a)〜(c)のフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adは、図15の(d)〜(f)のフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adと同じである。
同一位置画素加算部522は、中間第1モードと同様に、式(1)に基づいて、フレームFmIR1adにおけるR1adの画素データに、フレームFmIR2ad,FmIR3adにおける同じ画素位置のR2ad,R3adの画素データを加算して、画素データR123adを生成する。
同一位置画素加算部522は、式(2)に基づいて、フレームFmIR2adにおけるGr2ad,Gb2adの画素データに、フレームFmIR1ad,FmIR3adにおける同じ画素位置のGr1ad,Gb1ad,Gr3ad,Gb3adの画素データを加算して、画素データGr123ad,Gb123adを生成する。
同一位置画素加算部522は、式(3)に基づいて、フレームFmIR3adにおけるB3adの画素データに、フレームFmIR1ad,FmIR2adにおける同じ画素位置のB1ad,B2adの画素データを加算して、画素データB123adを生成する。
合成部523は、中間第1モードと同様に、フレームFmIR1adにおける画素データR123adと、フレームFmIR2adにおける画素データGr123ad,Gb123adと、フレームFmIR3adにおける画素データB123adとを選択して合成する。これによって合成部523は、図16の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123adを生成する。
合成部523は、カラーフィルタ32における色フィルタの配列と同じ配列となるように、画素データR123ad,Gr123ad,Gb123ad,B123adを配列させたフレームFmIR123adを生成する。
図17の(a)はフレームFmIR123adを示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR123adiを生成する。デモザイク処理部54は、図17の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123adRを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG123adiを生成する。デモザイク処理部54は、図17の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123adGを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて演算して、Bの補間画素データB123adiを生成する。デモザイク処理部54は、図17の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123adBを生成する。
中間第1モードと暗視第1モードとは、前者が周囲画素加算部521を不動作としている一方で、後者が周囲画素加算部521を動作させている点で異なる。モード切換部72は、暗視モードのとき、周囲画素加算部521を動作させればよい。
暗視モードにおけるデモザイク処理部54の動作は、通常モード及び中間モードにおけるデモザイク処理部54の動作と実質的に同じである。通常モードと中間モードと暗視モードとで、映像処理部5におけるデモザイク処理部54、及び、ホワイトバランス補正やゲイン補正等の信号処理部を共用させることができる。
<暗視モード:暗視第2モード>
図18及び図19を用いて、暗視第2モードにおける動作を説明する。暗視第2モードにおける動作において、暗視第1モードにおける動作と同一部分は説明を省略する。図18の(a)〜(c)のフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adは、図16の(a)〜(c)のFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adと同じである。
合成部523は、フレームFmIR1adにおけるRの画素データであるR1adと、フレームFmIR2におけるGの画素データであるGr2ad,Gb2adと、フレームFmIR3におけるBの画素データであるB3adとを選択して合成する。これによって合成部523は、図18の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123’adを生成する。
合成部523は、カラーフィルタ32における色フィルタの配列と同じ配列となるように、画素データR1ad,Gr2ad,Gb2ad,B3adを配列させたフレームFmIR123’adを生成する。
なお、図14を用いて説明したように、フレームFmIR123’adにおける赤色用の画素データR1adは、中間モードのときに赤色用の画素データを生成するために用いた領域よりも広い領域から得た画素データから生成されたものとなっている。
また、フレームFmIR123’adにおける緑色用の画素データGr2adは、中間モードのときに緑色用の画素データを生成するために用いた領域よりも広い領域から得た画素データから生成されたものとなっている。
さらに、フレームFmIR123’adにおける青色用の画素データB3adは、中間モードのときに青色用の画素データを生成するために用いた領域よりも広い領域から得た画素データから生成されたものとなっている。
暗視第2モードでは、中間第2モードと同様に、同一位置画素加算部522は、式(1)における係数kaを1、係数kb,kcを0とし、式(2)における係数keを1、係数kd,kfを0とし、式(3)における係数kiを1、係数kg,khを0とする。
これによって、フレームFmIR1adにおけるR1adの画素データと、フレームFmIR2adにおけるGr2ad,Gb2adの画素データと、フレームFmIR3adにおけるB3adの画素データは、それぞれそのままの値となる。
よって、合成部523は、暗視第1モードにおける動作と同様に、フレームFmIR1adにおけるR1adの画素データと、フレームFmIR2adにおけるGr2ad,Gb2adの画素データと、フレームFmIR3adにおけるB3adの画素データを選択すれば、フレームFmIR123’adを生成することができる。
図19を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図19の(a)は、フレームFmIR123’adを示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のR1adの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR1adiを生成する。デモザイク処理部54は、図19の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123’adRを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGr2ad,Gb2adの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG2adiを生成する。デモザイク処理部54は、補間して、図19の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123’adGを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のB3adの画素データを用いて算出したBの補間画素データB3adiを生成する。デモザイク処理部54は、図19の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123’adBを生成する。
中間第2モードと暗視第2モードとは、前者が周囲画素加算部521を不動作としている一方で、後者が周囲画素加算部521を動作させている点で異なる。
また、中間モードにおいては、受光素子における各色に対応する領域から得た画素データそれぞれから各色用の画素データを生成していたが、暗視モードにおいては、周囲画素を加算するため、中間モードにおける各色用の画素データを生成するための領域それぞれよりも広い領域から得た画素データから各色用の画素データを生成するとも言える。
<モード切換の例>
図20を用いて、モード切換部72によるモード切換の例を説明する。図20の(a)は、一例として、昼間の時間帯から夜の時間帯へと時間が経過していくとき、周囲環境の明るさが変化していく様子を概略的に示している。
図20の(a)に示すように、昼間から夕刻へと時間が経過していくに従って明るさが低下していき、時刻t3以降、ほぼ真っ暗の状態となる。図20の(a)に示す明るさは実質的に可視光の量を示しており、時刻t3以降、可視光がほとんどない状態である。
制御部7は、映像処理部5から入力される映像信号(映像データ)の輝度レベルに基づいて周囲環境の明るさを判断することができる。図20の(b)に示すように、モード切換部72は、明るさが所定の閾値Th1(第1の閾値)以上であるとき通常モードとし、明るさが閾値Th1未満で所定の閾値Th2(第2の閾値)以上であるとき中間モード、閾値Th2未満であるとき暗視モードとする。
本実施形態の撮像装置は、明るさが閾値Th1となる時刻t1までは通常モード、時刻t1から明るさが閾値Th2となる時刻t2まで中間モード、時刻t2以降は暗視モードに、モードを自動的に切り換える。図20の(b)において、中間モードは中間第1モードと中間第2モードとのいずれでもよく、暗視モードは暗視第1モードと暗視第2モードとのいずれでもよい。
図20の(a)では可視光がほとんどなくなる時刻t3の直前の明るさを閾値Th2としているが、時刻t3の明るさを閾値Th2としてもよい。
図20の(c)に示すように、モード切換部72は、中間モードの期間で、可視光が比較的多い時刻t1側の期間を中間第1モード、可視光が比較的少ない時刻t2側の期間を中間第2モードとしてもよい。図20の(c)において、暗視モードは暗視第1モードと暗視第2モードとのいずれでもよい。
本実施形態の撮像装置は、投光制御部71が赤外線投光器9のオン・オフを制御し、モード切換部72が映像処理部5内の各部の動作・不動作を切り換えることにより、それぞれのモードを実現することができる。
図21に示すように、通常モードは、赤外線投光器9がオフ、周囲画素加算部521と同一位置画素加算部522と合成部523がいずれも不動作、デモザイク処理部54が動作の状態である。
中間第1モードは、赤外線投光器9がオン、周囲画素加算部521が不動作、同一位置画素加算部522と合成部523とデモザイク処理部54とが動作の状態である。中間第2モードは、赤外線投光器9がオン、周囲画素加算部521と同一位置画素加算部522とが不動作、合成部523とデモザイク処理部54とが動作の状態である。
同一位置画素加算部522における動作と不動作とは、前述のように、式(1)〜(3)の係数ka〜kiの値を適宜に設定することによって容易に切り換えることができる。
暗視第1モードは、赤外線投光器9がオン、周囲画素加算部521と同一位置画素加算部522と合成部523とデモザイク処理部54との全てが動作の状態である。暗視第2モードは、赤外線投光器9がオン、同一位置画素加算部522が不動作、周囲画素加算部521と合成部523とデモザイク処理部54とが動作の状態である。
ところで、周囲画素加算部521は、注目画素の画素データに対して周囲の画素データを加算するための計算式において、周囲の画素データに乗じる係数を、0を超える係数(例えば1)とすれば、周囲画素の加算処理を動作の状態とすることができる。
また、周囲画素加算部521は、その計算式において、周囲の画素データに乗じる係数を0とすれば、周囲画素の加算処理を不動作の状態とすることができる。
周囲画素加算部521における動作と不動作も、係数の値を適宜に設定することによって容易に切り換えることができる。
<撮像装置の第1の変形例>
制御部7が周囲環境の明るさを検出する方法は、映像信号の輝度レベルに基づく方法に限定されない。
図22に示すように、明るさセンサ11によって周囲環境の明るさを検出してもよい。図20において、映像信号の輝度レベルと明るさセンサ11によって検出した明るさとの双方に基づいて、周囲環境の明るさを判断してもよい。
<撮像装置の第2の変形例>
制御部7は、周囲環境の明るさを直接的に検出せず、1年間における時期(日にち)及び時刻(時間帯)に基づいて周囲環境の明るさを概略的に想定して、モード切換部72が各モードに切り換えるようにしてもよい。
図23に示すように、モード設定テーブル12には、日にちと時間帯との組み合わせに対応して、通常モードと中間モードと暗視モードとのいずれかが設定されている。制御部7内の時計73は、日にちと時刻を管理している。制御部7は、時計73が示す日にちと時刻とを参照して、モード設定テーブル12より設定されているモードを読み出す。
投光制御部71とモード切換部72は、モード設定テーブル12より読み出されたモードとなるように、撮像装置を制御する。
<撮像装置の第3の変形例>
図24に示すように、操作部13によってユーザがモードを手動で選択して、投光制御部71とモード切換部72が選択されたモードとなるように撮像装置を制御してもよい。操作部13は、撮像装置の筐体に設けられている操作ボタンであってもよく、リモートコントローラであってもよい。
<映像信号処理方法>
図25を用いて、図1に示す撮像装置で実行される映像信号処理方法を改めて説明する。
図25において、撮像装置が動作を開始すると、制御部7は、ステップS1にて、周囲環境の明るさが閾値Th1以上であるか否かを判定する。閾値Th1以上であれば(YES)、制御部7は、ステップS3にて、通常モードでの処理を実行させる。閾値Th1以上でなければ(NO)、制御部7は、ステップS2にて、周囲環境の明るさが閾値Th2以上であるか否かを判定する。
閾値Th2以上であれば(YES)、制御部7は、ステップS4にて、中間モードでの処理を実行させる。閾値Th2以上でなければ(NO)、制御部7は、ステップS5にて、暗視モードでの処理を実行させる。
制御部7は、ステップS3〜S5の後、処理をステップS1に戻し、ステップS1以降を繰り返す。
図26は、ステップS3の通常モードの具体的な処理を示す。図26において、制御部7(投光制御部71)は、ステップS31にて、赤外線投光器9をオフにする。制御部7は、ステップS32にて、赤外線カットフィルタ21を挿入する。制御部7(モード切換部72)は、ステップS33にて、スイッチ51,53を端子Tbに接続させる。ステップS31〜S33の順番は任意であり、同時であってもよい。
制御部7は、ステップS34にて、撮像部3によって被写体を撮像させる。制御部7は、ステップS35にて、撮像部3が被写体を撮像することよって生成した映像信号を構成するフレームをデモザイク処理部54によってデモザイク処理させるよう、映像処理部5を制御する。
図27は、ステップS4の中間モードの具体的な処理を示す。図27において、制御部7(投光制御部71)は、ステップS41にて、投光部91〜93より波長IR1〜IR3の赤外光を時分割で投光させるよう、赤外線投光器9をオンにする。
制御部7は、ステップS42にて、ダミーガラス22を挿入する。制御部7(モード切換部72)は、ステップS43にて、スイッチ51,53を端子Taに接続させる。ステップS41〜S43の順番は任意であり、同時であってもよい。
制御部7は、ステップS44にて、撮像部3によって被写体を撮像させる。撮像部3は、Rに対応付けられた波長IR1の赤外光と、Gに対応付けられた波長IR2の赤外光と、Bに対応付けられた波長IR3の赤外光とがそれぞれ投光されている状態で被写体を撮像する。
制御部7(モード切換部72)は、ステップS45にて、周囲画素加算部521を不動作とし、合成部523を動作させて合成映像信号を生成させるよう、前信号処理部52を制御する。
波長IR1,IR2,IR3の赤外光がそれぞれ投光されている状態で撮像部3が被写体を撮像することよって生成された映像信号を構成するフレームを第1のフレーム,第2のフレーム,第3のフレームとする。
合成部523は、第1のフレーム内のRの画素データと、第2のフレーム内のGの画素データと、第3のフレーム内のBの画素データとに基づく3原色の画素データを、カラーフィルタ32における色フィルタの配列と同じ配列となるように配列させる。合成部523は、このようにして第1〜第3のフレームを1フレームに合成した合成映像信号を生成する。
制御部7は、ステップS46にて、合成映像信号のフレームをデモザイク処理部54によってデモザイク処理させるよう、映像処理部5を制御する。
デモザイク処理部54は、合成映像信号のフレームに基づいて、Rのフレームと、Gのフレームと、Bのフレームとを生成するデモザイク処理を施して、デモザイク処理された3原色のフレームを順次生成する。
デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置にRの画素データを補間することによって、Rのフレームを生成することができる。デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置にGの画素データを補間することによって、Gのフレームを生成することができる。デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置にBの画素データを補間することによって、Bのフレームとを生成することができる。
中間第1モードとする場合には、ステップS45にて、同一位置画素加算部522を動作させ、中間第2モードとする場合には、ステップS45にて、同一位置画素加算部522を不動作とすればよい。
図28は、ステップS5の暗視モードの具体的な処理を示す。図28において、制御部7(投光制御部71)は、ステップS51にて、投光部91〜93より波長IR1〜IR3の赤外光を時分割で投光させるよう、赤外線投光器9をオンにする。
制御部7は、ステップS52にて、ダミーガラス22を挿入する。制御部7(モード切換部72)は、ステップS53にて、スイッチ51,53を端子Taに接続させる。ステップS51〜S53の順番は任意であり、同時であってもよい。
制御部7は、ステップS54にて、撮像部3によって被写体を撮像させる。制御部7(モード切換部72)は、ステップS55にて、周囲画素加算部521と合成部523とを動作させて合成映像信号を生成させるよう、前信号処理部52を制御する。
制御部7は、ステップS56にて、合成映像信号のフレームをデモザイク処理部54によってデモザイク処理させるよう、映像処理部5を制御する。
暗視第1モードとする場合には、ステップS55にて、同一位置画素加算部522を動作させ、暗視第2モードとする場合には、ステップS55にて、同一位置画素加算部522を不動作とすればよい。
<映像信号処理プログラム>
図1において、制御部7、または、映像処理部5と制御部7との一体化部分をコンピュータ(マイクロコンピュータ)で構成し、映像信号処理プログラム(コンピュータプログラム)をコンピュータで実行させることによって、上述した本実施形態の撮像装置と同様の動作を実現させることも可能である。映像出力部6も含めてコンピュータで構成してもよい。
図29を用いて、図23のステップS4である中間モードにおける制御を映像信号処理プログラムで構成した場合にコンピュータに実行させる手順の例を説明する。図29は、映像信号処理プログラムがコンピュータに実行させる処理を示す。
図29において、映像信号処理プログラムは、ステップS401にて、コンピュータに、R,G,Bに対応付けられた波長IR1,IR2,IR3の赤外光をそれぞれ投光するように赤外線投光器9を制御するステップを実行させる。
ステップS401に示すステップを映像信号処理プログラムの外部にて実行させてもよい。図29では、ダミーガラス22を挿入させるステップを省略している。ダミーガラス22を挿入させるステップも映像信号処理プログラムの外部にて実行させてもよい。
映像信号処理プログラムは、ステップS402にて、コンピュータに、波長IR1の赤外光が投光されている状態で、撮像部3が被写体を撮像することによって生成された映像信号の第1のフレームを構成する画素データを取得するステップを実行させる。
映像信号処理プログラムは、ステップS403にて、コンピュータに、波長IR2の赤外光が投光されている状態で、撮像部3が被写体を撮像することによって生成された映像信号の第2のフレームを構成する画素データを取得するステップを実行させる。
映像信号処理プログラムは、ステップS404にて、コンピュータに、波長IR3の赤外光が投光されている状態で、撮像部3が被写体を撮像することによって生成された映像信号の第3のフレームを構成する画素データを取得するステップを実行させる。ステップS402〜S404の順番は任意である。
映像信号処理プログラムは、ステップS405にて、コンピュータに、R,G,Bの画素データを、カラーフィルタ32における色フィルタの配列と同じ配列となるように配列させて、1フレームに合成した合成映像信号を生成するステップを実行させる。
中間モードでは、映像信号処理プログラムは、ステップS405にて、コンピュータに、周囲画素の加算処理のステップを実行させない。
映像信号処理プログラムは、ステップS406にて、コンピュータに、合成映像信号のフレームにデモザイク処理を施して、R,G,Bのフレームを生成するステップを実行させる。
図示は省略するが、図25のステップS5である暗視モードにおける制御を映像信号処理プログラムで構成する場合には、図29のステップS405にて、コンピュータに、周囲画素の加算処理のステップを実行させればよい。
映像信号処理プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータプログラムであってよい。映像信号処理プログラムが記録媒体に記録された状態で提供されてもよいし、映像信号処理プログラムをコンピュータにダウンロードさせるよう、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、CD−ROM,DVD−ROM等の非一時的な任意の記録媒体でよい。
図1のように構成される本実施形態の撮像装置において、例えば、必要に応じて各部を複数設けたりして、中間モードと暗視モードとを同時に実行するようにしてもよい。その場合、映像出力部6が、中間モードによって生成された映像信号と、暗視モードによって生成された映像信号との両方を出力するようにしてもよい。
また、モード切換部72は、映像出力部6が中間モードによって生成された映像信号を出力する状態と、映像出力部6が暗視モードによって生成された映像信号を出力する状態とを切り換えるようにしてもよい。その際、前述のように、周囲環境の明るさや時刻等に応じて切り換えてもよい。また、映像処理部5(映像処理装置)を他の各部と別体にしてもよい。
さらに、また、中間モードを使用せずに、通常モードから暗視モードに切り換えたり、暗視モードから通常モードに切り換えたりするようにしてもよい。
通常モードや暗視モードは、可視光と暗視撮像用の赤外光とが混在した状態においては、中間モードよりも良好なカラー映像信号とはならない。しかしながら、通常モードや暗視モードであっても、可視光と暗視撮像用の赤外光とが混在した状態での撮像は可能であり、周囲の明るさが変わる場合(例えば監視カメラで終日撮影する場合など)であっても同じ撮像装置で撮像を可能にする、という効果を奏することができる。
さらにまた、暗視モードを使用せずに、通常モードから中間モードに切り換えたり、中間モードから通常モードに切り換えたりするようにしてもよい。その場合は、暗視モードを搭載しないようにしてもよい。
通常モードや中間モードは、可視光がほとんどない環境下においては、暗視モードよりも良好なカラー映像信号とはならないが、中間モードでも可視光がほとんどない環境下での撮像は可能であり、周囲の明るさが変わる場合(例えば監視カメラで終日撮影する場合など)であっても同じ撮像装置で撮像を可能にする、という効果を奏することができる。また、電灯がある場所などでは暗視モードを使用しなくてもよい場合がある。
次に、通常モードと赤外光投光モードとを、映像の乱れが発生せず各モードの映像を切り換える具体的なモード切換方法について説明する。
<モード切換方法の第1の例>
図30A及び図30Bは、モード切換方法の第1の例を示す。図30A及び図30Bは、映像出力部6がNTSCエンコーダ61によってインターレース方式の映像信号を出力する場合の撮像装置の各部の動作を示している。
また、図30A及び図30Bは、制御部7が撮像装置を、時刻t1にて赤外光投光モードから通常モードへと切り換え、時刻t2にて通常モードから赤外光投光モードへと切り換える場合のシーケンスを示している。赤外光投光モードは、中間モードと暗視モードとのいずれでもよい。
図30A及び図30Bは、シーケンスを2つに分断して示している。なお、図30Aと図30Bとは、一部が重複している。
図30A及び図30Bにおいて、(a)は赤外線投光器9による赤外光の投光の状態、(b)は撮像部3の露光を示している。図30A及び図30Bの(b)に示す撮像部3の露光は、図6の(a)で説明した最大露光時間tExmaxを示しており、実際の露光時間はシャッタスピードに応じて異なる。但し、赤外光投光モードでは、最大露光時間tExmaxが実際の露光時間となる可能性が高い。
図30A及び図30Bにおいて、(c)は、(b)のそれぞれの露光に基づき、撮像部3から読み出される撮像信号によって生成されるフレームを示している。図30Aに示すように、露光Ex1R,Ex1G,Ex1Bに基づいて、露光Ex1Rに対応したフレームF1R、露光Ex1Gに対応したフレームF1G、露光Ex1Bに対応したフレームF1Bが得られる。フレームF1R,F1G,F1Bは、図9の(c)のフレームF1IR1,F1IR2,F1IR3に相当する。
また、露光Ex2R,Ex2G,Ex2Bに基づいて、露光Ex2Rに対応したフレームF2R、露光Ex2Gに対応したフレームF2G、露光Ex2Bに対応したフレームF2Bが得られる。フレームF2R,F2G,F2Bは、図9の(c)のフレームF2IR1,F2IR2,F2IR3に相当する。露光Ex1R〜Ex2Bの最大露光時間tExmaxは1/90秒である。
時刻t1以前の赤外光投光モードの期間では、撮像部3より出力される撮像信号は、90フレーム/秒のプログレッシブ方式である。90フレーム/秒のプログレッシブ方式を90Pと称することとする。撮像装置は、後述のようにして、90Pの撮像信号に基づいて、60フィールド/秒のインターレース方式の映像信号を生成する。60フィールド/秒のインターレース方式を60iと称することとする。
投光制御部71は、時刻t1にて赤外線投光器9による赤外光の投光をオフにする。制御部7は、時刻t1以降、撮像装置を通常モードにて動作させる。
通常モードの期間で30フレーム/秒とすると、インターレース方式では60フィールド/秒である。そこで、通常モードでは、映像出力部6が最終的に60iの映像信号を生成して出力するよう、制御部7は、撮像部3が60Pの撮像信号を出力するように撮像部3を制御する。
具体的には、撮像部3は、最大露光時間tExmaxを1/60秒として、奇数フィールド用の露光と、偶数フィールド用の露光とを交互に繰り返す。図30A及び図30Bの(b)において、添え字oは奇数フィールド用の露光、添え字eは偶数フィールド用の露光であることを示す。
時刻t1以降の最初の露光のタイミングでは、図30Aの(c)に示すように、最大露光時間tExmaxが1/90秒であるフレームF2Bが生成される。そこで、時刻t1以降の最初の露光では、最大露光時間tExmaxを1/60秒とするのではなく、最大露光時間tExmaxを1/90秒とした奇数フィールド用の露光Ex3oとする。
図30Aに示すように、第1の例においては、撮像部3は、露光Ex3oが終了する時刻t11まで、90Pの撮像信号を出力するよう動作する。撮像部3は、時刻t11以降、60Pの撮像信号を出力するよう動作する。
時刻t11以降の最初の露光である偶数フィールド用の露光Ex3eは、奇数フィールド用の露光Ex3oと対となる露光であることから、最大露光時間tExmaxを1/60秒とするのではなく、露光Ex3oにおける最大露光時間tExmaxと同じ1/90秒とするのがよい。
そこで、制御部7は、1/60秒の最大露光時間tExmaxの先頭から1/180秒の期間だけ、図6で説明したように抜き取りパルスPs1によって蓄積した電荷を排出させるように撮像部3を制御する。これによって、露光Ex3oと露光Ex3eとの間には1/180秒の時間的な間隙が形成され、露光Ex3eの実質的な最大露光時間は1/90秒となる。
最大露光時間を1/90秒とした露光Ex3o,Ex3eによって蓄積した電荷を1/60秒の期間で読み出すことによって、露光Ex3oに対応したフレームF3oと、露光Ex3eに対応したフレームF3eが得られる。
露光Ex3e以降、最大露光時間tExmaxが1/60秒である露光Ex4o,Ex4e,Ex5o,Ex5eによって蓄積した電荷を1/60秒の期間で読み出すことによって、フレームF4o,F4e,F5o,F5eが得られる。
図30Bに示すように、投光制御部71は、時刻t2にて赤外線投光器9による赤外光の投光を再びオンにする。制御部7は、時刻t2以降、撮像装置を赤外光投光モードにて動作させる。
露光Ex5eに基づいたフレームF5eは、時刻t2を跨ぐ1/60秒の期間に発生する。時刻t2以降の赤外光投光モードでは、最大露光時間tExmaxを1/90秒とする必要がある。そこで、制御部7は、露光Ex5eに続く露光Ex6Rでは、1/60秒の最大露光時間tExmaxの先頭から1/180秒の期間だけ、抜き取りパルスPs1によって蓄積した電荷を排出させるよう撮像部3を制御する。
これによって、露光Ex5eと露光Ex6Rとの間には1/180秒の時間的な間隙が形成され、露光Ex6Rの実質的な最大露光時間を1/90秒となる。
露光Ex6R,Ex6G,Ex6Bに基づいて、露光Ex6Rに対応したフレームF6R、露光Ex6Gに対応したフレームF6G、露光Ex6Bに対応したフレームF6Bが得られる。フレームF6R,F6G,F6Bによって1フレームが形成されることから、露光Ex6R,Ex6G,Ex6Bの露光時間は同じでなければならない。露光Ex6Rの最大露光時間を1/90秒とすることによって、露光Ex6R,Ex6G,Ex6Bの露光時間を同じにすることができる。
露光Ex7R,Ex7G,Ex7Bに基づいて、露光Ex7Rに対応したフレームF7R、露光Ex7Gに対応したフレームF7G、露光Ex7Bに対応したフレームF7Bが得られる。露光Ex8R以降も同様である。
図30Bに示すように、第1の例においては、撮像部3は、露光Ex6Rが終了する時刻t21まで60Pの撮像信号を出力するよう動作しており、時刻t21以降、90Pの撮像信号を出力するよう動作する。
以上のように、図30A及び図30Bに示す第1の例においては、赤外光投光モードから通常モードへと切り換わる時刻t1以降の最初の露光で、最大露光時間tExmaxを1/60秒とするのではなく、1/90秒とした露光Ex3oとしている。
また、通常モードから赤外光投光モードへと切り換わる時刻t2を跨ぐ1/60秒の最大露光時間tExmaxの先頭から1/180秒の期間の電荷を排出させて、時刻t2以降の最初の露光の最大露光時間tExmaxを1/90秒としている。
これによって、撮像部3から読み出される撮像信号によって生成される撮像信号のフレームは、図30A及び図30Bの(c)に示すように、赤外光投光モードから通常モードへと切り換わるとき、通常モードから赤外光投光モードへと切り換わるときの双方で連続的となる。
図30A及び図30Bにおいて、(d)はA/D変換器4より出力された映像データのフレームのフレームバッファ50への書き込み、(e)はフレームバッファ50からのフレームの読み出しを示している。図30A及び図30Bの(d),(e)それぞれの区画内には書き込まれる、または、読み出されるメモリ50a〜50fの符号を記している。
A/D変換器4より出力された映像データのフレームも、図30A及び図30Bの(c)に示す撮像信号のフレームF1R,F1G,F1B,…と称することとする。フレームF1R,F1G,F1Bはそれぞれメモリ50a,50b,50cに書き込まれる。
フレームF1Bのメモリ50cへの書き込みが完了すると、メモリ50a〜50cから、フレームF1R,F1G,F1Bが同時に1/60秒の期間で読み出される。続く1/60秒の期間でも、メモリ50a〜50cから、フレームF1R,F1G,F1Bが同時に読み出される。即ち、フレームF1R,F1G,F1Bは、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。
フレームF1R,F1G,F1Bを読み出す期間に対応させて、フレームF2R,F2G,F2Bはそれぞれメモリ50d,50e,50fに書き込まれる。フレームF2R,F2G,F2Bも、フレームF2Bのメモリ50fへの書き込みが完了すると、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。
赤外光投光モードにおける1組のフレームを2度読み出すのは、読み出した一方の1組のフレームで奇数フィールドを生成し、もう一方の1組のフレームで偶数フィールドを生成するためである。
フレームF3o,F3eはメモリ50a,50bに書き込まれる。フレームF3eのメモリ50bへの書き込みが完了すると、フレームF3o,F3eがメモリ50a,50bから読み出される。フレームF4o,F4eはメモリ50d,50eに書き込まれる。フレームF4eのメモリ50eへの書き込みが完了すると、フレームF4o,F4eがメモリ50d,50eから読み出される。
る。
フレームF5o,F5eはメモリ50a,50bに書き込まれる。フレームF5eのメモリ50bへの書き込みが完了すると、フレームF5o,F5eがメモリ50a,50bから読み出される。
フレームF6R,F6G,F6Bはそれぞれメモリ50d,50e,50fに書き込まれる。フレームF6R,F6G,F6Bは、フレームF6Bのメモリ50fへの書き込みが完了すると、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。
フレームF7R,F7G,F7Bはそれぞれメモリ50a,50b,50cに書き込まれる。図30Bでは図示されていないが、フレームF7R,F7G,F7Bは、フレームF7Bのメモリ50fへの書き込みが完了すると、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。以降、同様の動作を繰り返す。
図30A及び図30Bにおいて、(f)は、上述した前信号処理部52における前信号処理を示している。前信号処理をP52と表す。メモリ50a〜50cから読み出したフレームF1R,F1G,F1Bの全体をフレームF1RGBと表す。例えば、P52(F1RGB)はフレームF1RGBに上述した前信号処理P52を施すことを示す。
図30A及び図30Bの(f)に示すように、それぞれ2つの1/60秒の期間連続して、フレームF0RGB,F1RGB,F2RGB,F6RGB…に前信号処理P52が施される。
図30A及び図30Bにおいて、(g)は、上述したデモザイク処理部54における前信号処理を示している。デモザイク処理をP54と表す。例えば、P54(F1RGB)はフレームF1RGBに上述したデモザイク処理P54を施すことを示す。
図30A及び図30Bの(g)に示すように、前信号処理P52が施されたフレームF0RGB,F1RGB,F2RGB,F6RGB…にデモザイク処理P54が施される。前信号処理P52が施されていないフレームF3o,F3e,F4o,F4e,F5o,F5eにデモザイク処理P54が施される。
図30A及び図30Bにおいて、(h)は、(g)に示す各フレームをNTSCエンコーダ61によってプログレッシブ−インターレース変換(PI変換)したインターレース方式の映像信号を示している。図30A及び図30Bの(h)において、添え字oは奇数フィールドの映像信号、添え字eは偶数フィールドの映像信号であることを示す。
図30Aの(h)に示すように、赤外光投光モードでは、デモザイク処理P54が施されたフレームF0RGB,F1RGB,F2RGBそれぞれの映像データに基づいて、インターレース方式の映像信号F0io,F0ie,F1io,F1ie,F2io,F2ieが順に生成されて出力される。添え字iは、PI変換によって水平ラインが間引かれて、インターレース方式の映像信号となっていることを示す。
図30A及び図30Bの(h)に示すように、通常モードに切り換わると、デモザイク処理P54が施されたフレームF3o,F3e,F4o,F4e,F5o,F5eそれぞれの映像データに基づいて、インターレース方式の映像信号F3io,F3ie,F4io,F4ie,F5io,F5ieが順に生成されて出力される。
図30Bの(h)に示すように、赤外光投光モードに切り換わると、デモザイク処理P54が施されたフレームF6RGB…それぞれの映像データに基づいて、インターレース方式の映像信号F6io,F6ie…が順に生成されて出力される。
図30A及び図30Bの(h)に示すように、第1の例によれば、60iの映像信号が、赤外光投光モードから通常モードへと切り換えられても、通常モードから赤外光投光モードへと切り換えられても、各フレーム(各フィールド)が連続的に出力される。
よって、第1の例によれば、映像の乱れが発生することなく、各モードの映像を切り換えることができる。
図30A及び図30Bに示す第1の例においては、通常モードの期間において、(b)に示す撮像部3の露光によって生成されるフレームの境界と、(g)に示す出力映像信号のフレーム(フィールド)の境界とが一致している。即ち、撮像部3の露光によって生成されるフレームと出力映像信号のフレームとは同期している。よって、出力映像信号にノイズが発生しにくい。
<モード切換方法の第2の例>
図31A及び図31Bは、モード切換方法の第2の例を示す。図31A及び図31Bも、映像出力部6がNTSCエンコーダ61によってインターレース方式の映像信号を出力する場合の撮像装置の各部の動作を示している。
図31A及び図31Bに示す第2の例では、図30A及び図30Bに示す第1の例と異なる部分を中心に説明する。図31A及び図31Bも、シーケンスを2つに分断して示しており、図31Aと図31Bとは一部が重複している。
図31A及び図31Bの(b)に示すように、第2の例においては、時刻t1〜t2の通常モードの期間では、撮像部3は、最大露光時間tExmaxを全て1/60秒として露光する。図31A及び図31Bの(c)に示すように、制御部7は、通常モードの期間の露光Ex3o,Ex3e,Ex4o,Ex4e,Ex5o,Ex5eに基づき、撮像部3より撮像信号を1/90秒で読み出すように制御して、フレームF3o,F3e,F4o,F4e,F5o,F5eを生成する。
露光Ex3oに対応したフレームF3oの読み出しは露光Ex3oが終了する時刻より開始されるので、フレームF3oは、フレームF2Bが終了した時刻から1/180秒経過した時刻より開始する。よって、フレームF2BとフレームF3oとの間には、1/180秒の時間的な間隙が形成される。以降同様に、フレームF3o,F3e,F4o,F4e,F5o,F5eの隣接するフレームの間には、1/180秒の時間的な間隙が形成される。
図31A及び図31Bの(d)〜(h)は、図30A及び図30Bの(d)〜(h)と同様である。但し、図31A及び図31Bの(d),(e)においては、フレームバッファ50に1/90秒の期間で書き込まれたフレームF3o〜F5eは、それぞれ1/60秒の期間で読み出される。
図31A及び図31Bの(g)に示すように、第2の例によれば、60iの映像信号が、赤外光投光モードから通常モードへと切り換えられても、通常モードから赤外光投光モードへと切り換えられても、各フレーム(各フィールド)が連続的に出力される。
よって、第2の例によれば、映像の乱れが発生することなく、各モードの映像を切り換えることができる。
図31A及び図31Bに示す第2の例においては、通常モードの期間において、(b)に示す撮像部3の露光よって生成されるフレームと(g)に示す出力映像信号のフレームとは同期しない。しかしながら、図31A及び図31Bに示す第2の例においては、通常モードの期間において、撮像部3の露光の奇数フィールド用のフレームと偶数フィールド用のフレームとの一対の期間が全て1/30秒に統一される。
<モード切換方法の第3の例>
図32A及び図32Bは、モード切換方法の第3の例を示す。図32A及び図32Bも、映像出力部6がNTSCエンコーダ61によってインターレース方式の映像信号を出力する場合の撮像装置の各部の動作を示している。
図32A及び図32Bに示す第3の例では、図30A及び図30Bに示す第1の例と異なる部分を中心に説明する。図32A及び図32Bも、シーケンスを2つに分断して示しており、図32Aと図32Bとは一部が重複している。
第3の例を実現するために、図1に示すように、フレームバッファ50を、合計9フレーム分の容量のメモリ50a〜50iを有する構成とする。なお、第3の例を実現するために、少なくとも7フレーム分の容量のメモリを有する構成であればよいが、メモリの書き込みや読み出しの制御を容易にするため、図1では9フレーム分の容量のメモリ50a〜50iを有する構成としている。
図32A及び図32Bの(b)に示すように、第3の例においては、時刻t1〜t2の通常モードの期間では、撮像部3は、最大露光時間tExmaxを全て1/60秒として露光する。
図32A及び図32Bの(c)に示すように、制御部7は、通常モードの期間の露光Ex3o,Ex3e,Ex4o,Ex4e,Ex5oに基づき、撮像部3より蓄積した電荷を1/60秒で読み出すように制御して、フレームF3o,F3e,F4o,F4e,F5oを生成する。
図32Aの(c)に示すように、制御部7は、赤外光投光モードにおける最後の露光Ex2Bのみ、撮像部3より蓄積した電荷を1/60秒で読み出すように制御して、フレームF2Bを生成する。
図32Bの(c)に示すように、制御部7は、通常モードの期間の最後の露光Ex5eのみ、撮像部3より蓄積した電荷を1/90秒で読み出すように制御して、フレームF5eを生成する。これによって、時刻t2以降の最初の露光Ex6Rの最大露光時間と、フレームF5eの期間とが同じとなる。
図32Aの(d)に示すように、フレームF1R,F1G,F1Bはそれぞれメモリ50a,50b,50cに書き込まれる。図32Aの(e)に示すように、フレームF1Bのメモリ50cへの書き込みが完了すると、フレームF1R,F1G,F1Bは、メモリ50a〜50cから、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。
フレームF2R,F2G,F2Bはそれぞれメモリ50d,50e,50fに書き込まれる。フレームF2Bのメモリ50fへの書き込みが完了すると、フレームF2R,F2G,F2Bも、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。
図32Aの(d),(e)を比較すれば分かるように、第3の例においては、例えば、フレームF2R,F2G,F2Bをメモリ50d〜50fに書き込むタイミングと、メモリ50a〜50cからフレームF1R,F1G,F1Bを読み出すタイミングとが一致していない。これは、フレームF2Bを1/60秒の期間で生成しているからである。
よって、図1に示す合計6フレーム分の容量のメモリ50a〜50fを有する構成のフレームバッファ50では、第3の例を実現することができないことになる。そこで、第3の例を実現するために、図34に示す合計9フレーム分の容量のメモリ50a〜50iを有する構成のフレームバッファ50としている。
図32A及び図32Bの(d),(e)に示すように、フレームF3o,F3eはメモリ50g,50hに書き込まれる。フレームF3eのメモリ50hへの書き込みが完了すると、フレームF3o,F3eがメモリ50g,50hから読み出される。フレームF4o,F4eはメモリ50a,50bに書き込まれる。フレームF4eのメモリ50bへの書き込みが完了すると、フレームF4o,F4eがメモリ50a,50bから読み出される。
フレームF5o,F5eはメモリ50d,50eに書き込まれる。フレームF5eのメモリ50eへの書き込みが完了すると、フレームF5o,F5eがメモリ50d,50eから読み出される。
フレームF6R,F6G,F6Bはそれぞれメモリ50g,50h,50iに書き込まれる。フレームF6R,F6G,F6Bは、フレームF6Bのメモリ50iへの書き込みが完了すると、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。
フレームF7R,F7G,F7Bはそれぞれメモリ50a,50b,50cに書き込まれる。図32Bでは図示されていないが、フレームF7R,F7G,F7Bは、フレームF7Bのメモリ50cへの書き込みが完了すると、2つの1/60秒の期間で連続的に読み出される。以降、同様の動作を繰り返す。
図32A及び図32Bの(f)〜(h)は、図30A及び図30Bの(g)〜(h)と同様である。
図32A及び図32Bの(h)に示すように、第3の例によれば、60iの映像信号が、赤外光投光モードから通常モードへと切り換えられても、通常モードから赤外光投光モードへと切り換えられても、各フレーム(各フィールド)が連続的に出力される。
よって、第3の例によれば、映像の乱れが発生することなく、各モードの映像を切り換えることができる。
図322A及び図32Bに示す第3の例においては、通常モードの期間において、(b)に示す撮像部3の露光の同期と(g)に示す出力映像信号の同期とが一致している。撮像部3の露光の同期と出力映像信号の同期とが一致していると、出力映像信号にノイズが発生しにくい。
上記のように、第3の例を実現するには、フレームバッファ50のメモリ容量を第1の例を実現する場合より多くすることが必要である。フレームバッファ50のメモリ容量をより少なくするという点では第1の例の方がよい。
しかしながら、メモリの書き込み及び読み出しの制御を工夫すれば、7フレーム分の容量のメモリを有する構成のフレームバッファ50で第3の例を実現することが可能である。よって、第3の例でも、フレームバッファ50のメモリ容量はさほど問題にはならない。
<撮像装置におけるモード切換方法のまとめ>
以上説明したモード切換方法の第1〜第3の例をまとめると、本実施形態の撮像装置は、次のように動作する。
撮像部3は被写体を撮像する。映像処理部5は、撮像部3より出力された撮像信号に基づいて第1の映像信号を生成する。第1の映像信号とは、A/D変換器4より出力された映像データに対して、前信号処理P52及びデモザイク処理P54の双方、または、デモザイク処理P54のみを施した映像信号である。
映像出力部6(NTSCエンコーダ61)は、第1の映像信号に基づいて所定の信号方式の第2の映像信号を生成して出力する。所定の信号方式とは例えばインターレース方式であり、プログレッシブ方式であってもよい。第2の映像信号とは、第1の映像信号に基づいて、最終的な信号方式に変換した映像信号である。
ここで、通常モードを第1のモード、赤外光投光モードを第2のモードと称する。撮像部3は、第1のモードでは、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間に対応させて露光して被写体を撮像する。撮像部3は、第2のモードでは、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を複数の区間に分割した各区間で互いに異なる撮像条件で露光して被写体を撮像する。
映像処理部5は、第1のモードでは、1フレーム期間に対応させた露光に対応して読み出された撮像信号に基づいて、第1の映像信号のそれぞれのフレームを生成し、第2のモードでは、各区間の露光に対応して読み出された撮像信号に基づいて、第1の映像信号のそれぞれのフレームを生成する。
映像出力部6は、第2の映像信号を、第1のモードと第2のモードとで共通の信号方式(例えば60i)とし、第2の映像信号のフレームを連続的に出力する。よって、映像の乱れが発生することなく、第1のモードと第2のモードの映像を互いに切り換えることができる。第2の映像信号を、第1のモードと第2のモードとで同じ水平及び垂直周波数にするとより好ましい。
可視光が少ない環境下で、赤外光を投光しながら被写体を撮像する第2のモードでは、撮像部3は次のように被写体を撮像する。
撮像部3は、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を3つの区間に分割して被写体を撮像する。撮像部3は、互いに異なる撮像条件として、3つの区間の各区間で、第1の赤外光が投光されている状態と、第2の赤外光が投光されている状態と、第3の赤外光が投光されている状態とのそれぞれで被写体を撮像する。第1の赤外光は、赤色に対応付けられた第1の波長を有する。第2の赤外光は、緑色に対応付けられた第2の波長を有する。第3の赤外光は、青色に対応付けられた第3の波長を有する。
映像出力部6が第2の映像信号としてインターレース方式の映像信号を出力する場合には、撮像部3と映像処理部5と映像出力部6は次のように動作すればよい。
撮像部3は、第1のモードでは、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を奇数フィールド期間と偶数フィールド期間との2つのフィールド期間に分けて被写体を撮像する。制御部7は、2つのフィールド期間の最大露光時間を互いに同じ時間に設定する。映像処理部5は、第1の映像信号として、奇数フィールド期間の映像信号と偶数フィールド期間の映像信号とを生成する。
映像出力部6は、第1のモードでは、映像処理部5で生成された奇数フィールド期間の映像信号に基づいて奇数フィールドの映像信号を生成し、偶数フィールド期間の映像信号に基づいて偶数フィールドの映像信号を生成する。映像出力部6は、第2のモードでは、映像処理部5で生成された第1の映像信号のそれぞれのフレームに基づいて、奇数フィールドの映像信号と偶数フィールドの映像信号とを生成する。
映像出力部6が、映像の乱れが発生しないよう、第2の映像信号のフレームを連続的に出力するために、撮像部3は具体的に次のように動作する。
図30A,図30Bで説明した第1の例では、次のとおりである。撮像部3は、第1のモードから第2のモードへと切り換えた最初の区間の露光では、第1のモードにおけるフィールド期間の最大露光時間の先頭から電荷を排出させて、最大露光時間を、第2のモードにおける1つの区間の最大露光時間と同じ時間とする。
撮像部3は、第2のモードから第1のモードへと切り換えた最初のフィールド期間の露光では、最大露光時間を、第2のモードにおける1つの区間の最大露光時間と同じ時間する。撮像部3は、第1のモードでは、それぞれのフィールド期間の露光により蓄積した電荷を1フィールド期間で撮像信号として読み出す。
図31A,図31Bで説明した第2の例では、次のとおりである。撮像部3は、第1のモードでは、1フィールド期間を最大露光時間とし、最大露光時間の露光を終了したら露光により蓄積した電荷を、第2のモードにおける1つの区間の最大露光時間と同じ時間で撮像信号として読み出す。
撮像部3は、撮像信号の読み出しの前に、1フィールド期間と、第2のモードにおける1つの区間の最大露光時間との差に相当する時間的な間隙を設ける。
図32A,図32Bで説明した第3の例では、次のとおりである。撮像部3は、第1のモードでは、1フィールド期間を最大露光時間として露光する。
撮像部3は、第2のモードにおける最後の1つの区間の露光により蓄積した電荷を1フィールド期間で撮像信号として読み出す。
撮像部3は、第1のモードにおける最後のフィールド期間の露光により蓄積した電荷を、1つの区間の最大露光時間と同じ時間で撮像信号として読み出す。
<撮像装置の制御方法>
制御部7は、撮像装置を次のように制御する。
制御部7は、撮像部3によって被写体を撮像させる。制御部7は、撮像部3が被写体を撮像した撮像信号に基づいて、映像処理部5によって第1の映像信号を生成させる。制御部7は、映像出力部6によって、第1の映像信号に基づいて所定の信号方式の第2の映像信号を生成させる。
制御部7が撮像装置を第1のモードに設定させたとき、撮像装置を次のように制御する。制御部7は、撮像部3によって、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間に対応させて露光して被写体を撮像させる。制御部7は、映像処理部5によって、1フレーム期間に対応させた露光に対応して読み出された撮像信号に基づいて、第1の映像信号のそれぞれのフレームを生成させる。
制御部7が撮像装置を第2のモードに設定させたとき、撮像装置を次のように制御する。制御部7は、撮像部3によって、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を複数の区間に分割した各区間で互いに異なる撮像条件で露光して被写体を撮像させる。制御部7は、映像処理部5によって、各区間の露光に対応して読み出された撮像信号に基づいて、第1の映像信号のそれぞれのフレームを生成させる。
制御部7は、映像出力部6によって、第2の映像信号を、第1のモードと第2のモードとで共通の信号方式とし、第2の映像信号のフレームを連続的に出力させる。第2の映像信号を、第1のモードと第2のモードとで同じ水平及び垂直周波数にするとより好ましい。
<撮像装置の制御プログラム>
上述したモード切換方法をコンピュータプログラムによる制御で実現する場合には、撮像装置に搭載されているコンピュータに、次の各ステップを有する制御プログラムを実行させればよい。
まず、コンピュータに、撮像部3によって被写体を撮像する第1のステップを実行させる。次に、コンピュータに、撮像部3が被写体を撮像した撮像信号に基づいて第1の映像信号を生成する第2のステップを実行させる。最後に、コンピュータに、第1の映像信号に基づいて所定の信号方式の第2の映像信号を生成する第3のステップを実行させる。
コンピュータが、撮像装置を第1のモードに設定させたとき、第1のステップと第2のステップは次のとおりである。第1のステップは、撮像部3によって、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間に対応させて露光して被写体を撮像するステップである。第2のステップは、1フレーム期間に対応させた露光に対応して読み出された撮像信号に基づいて、第1の映像信号のそれぞれのフレームを生成するステップである。
コンピュータが、撮像装置を第2のモードに設定させたとき、第1のステップと第2のステップは次のとおりである。第1のステップは、撮像部3によって、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を複数の区間に分割した各区間で互いに異なる撮像条件で露光して被写体を撮像するステップである。第2のステップは、各区間の露光に対応して読み出された撮像信号に基づいて、前記第1の映像信号のそれぞれのフレームを生成するステップである。
コンピュータが、撮像装置を第1のモードから第2のモードに移行させたとき、及び、第2のモードから第1のモードに移行させたとき、第3のステップは、第2の映像信号を、第1のモードと第2のモードとで共通の信号方式とし、第2の映像信号のフレームを連続的に出力するステップである。このステップにおいて、第2の映像信号を、第1のモードと第2のモードとで同じ水平及び垂直周波数にするとより好ましい。
撮像装置の制御プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータプログラムであってよい。制御プログラムが記録媒体に記録された状態で提供されてもよいし、制御プログラムをコンピュータにダウンロードさせるよう、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、CD−ROM,DVD−ROM等の非一時的な任意の記録媒体でよい。
<応用例>
ところで、以上説明した本実施形態の撮像装置の動作は、赤外光を投光しながら被写体を撮像する赤外光投光モードだけではなく、次のような場合にも応用が可能である。
可視光が存在する環境下で赤外光を投光しない状態であっても、第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を複数の区間に分割して、各区間で互いに異なる撮像条件(異なるシャッタスピード)で露光する、いわゆる多重露光を行う場合に応用することができる。
即ち、第2のモードは、赤外光投光モードに限定されず、多重露光のために第2の映像信号のそれぞれの1フレーム期間を例えば3つの区間に分割して露光して、3つの区間の撮像信号を合成して1つの映像信号を生成する場合に利用できる。
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。上述した発明が解決しようとする課題や目的及び効果の記載においては、本発明の理解を容易にするために、通常モードと赤外光投光モードとの切り換えについて記載した。
しかしながら、上述のように、本実施形態の撮像装置の動作は多重露光にも応用可能である。発明が解決しようとする課題、目的、効果の記載を根拠として、本発明が通常モードと赤外光投光モードとの切り換えのみに適用されると限定的に解釈されるものではない。