以下、一実施形態の撮像装置、映像信号処理方法及び映像信号処理プログラムについて、添付図面を参照して説明する。
<撮像装置の構成>
まず、図1を用いて、一実施形態の撮像装置の全体的な構成について説明する。図1に示す一実施形態の撮像装置は、昼間等の可視光が十分に存在する環境下に適した通常モードと、夜間等の可視光がほとんどない環境下に適した暗視モードと、可視光がわずかに存在する環境下に適した中間モードとの3つのモードで撮像可能な撮像装置である。
中間モードは、可視光が少ない環境下で、赤外線を投光しながら撮像する第1の赤外光投光モードである。暗視モードは、可視光がさらに少ない(ほとんどない)環境下で、赤外線を投光しながら撮像する第2の赤外光投光モードである。
図1において、被写体から反射した一点鎖線にて示す光は、光学レンズ1によって集光される。ここで、光学レンズ1には、可視光が十分に存在する環境下では可視光、可視光がほとんどない環境下では後述する赤外線投光器9より発せられた赤外光を被写体が反射した赤外光が入射される。
可視光がわずかに存在する環境下では、光学レンズ1には、可視光と赤外線投光器9より発せられた赤外光を被写体が反射した赤外光とが混在した光が入射される。
図1では簡略化のため、光学レンズ1を1つのみとしているが、実際には、撮像装置は複数の光学レンズを備える。
光学レンズ1と撮像部3との間には、光学フィルタ2が設けられている。光学フィルタ2は、赤外線カットフィルタ21とダミーガラス22との2つの部分を有する。光学フィルタ2は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間に赤外線カットフィルタ21を挿入した状態と、光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入した状態とのいずれかの状態に駆動される。
撮像部3は、水平方向及び垂直方向に複数の受光素子(画素)が配列した撮像素子31と、それぞれの受光素子に対応して赤色(R),緑色(G),青色(B)のいずれかの色のフィルタエレメントが配置されたカラーフィルタ32とを有する。撮像素子31は、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)でよい。
カラーフィルタ32には、一例として、図2に示すように、R,G,Bの各色のフィルタエレメントがベイヤ配列と称される配列で並べられている。ベイヤ配列は、R,G,Bのフィルタエレメントの所定の配列の一例である。図2において、各行のRのフィルタエレメントに挟まれたGのフィルタエレメントをGr、Bのフィルタエレメントに挟まれたGのフィルタエレメントをGbとしている。
ベイヤ配列では、RのフィルタエレメントとGrのフィルタエレメントとが交互に配置された水平方向の行と、BのフィルタエレメントとGbのフィルタエレメントとが交互に配置された水平方向の行とが、垂直方向に交互に配列されている。
図3は、撮像部3におけるR光,G光,B光の波長と相対感度との分光感度特性を示している。相対感度は、最大値が1に正規化されている。撮像装置を通常モードで動作させるとき、可視光による良好なカラー映像を撮像するには、波長700nm以上の赤外光をカットする必要がある。
そこで、駆動部8は、制御部7による制御に基づいて、光学レンズ1と撮像部3との間に赤外線カットフィルタ21を挿入するように光学フィルタ2を駆動する。
図3より分かるように、撮像部3は、波長700nm以上の赤外光の領域においても感度を有する。そこで、撮像装置を中間モードまたは暗視モードで動作させるときには、駆動部8は、制御部7による制御に基づいて、光学レンズ1と撮像部3との間の赤外線カットフィルタ21を外してダミーガラス22を挿入するように光学フィルタ2を駆動する。
光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入した状態では、波長700nm以上の赤外光はカットされない。よって、撮像装置は、図3に破線の楕円で囲んだ部分の感度を利用して、R,G,Bの各色情報を得ることが可能となる。ダミーガラス22を挿入するのは、光路長を、赤外線カットフィルタ21を挿入した場合の光路長と同じにするためである。
赤外線投光器9は、それぞれ、波長IR1,IR2,IR3の赤外光を投光する投光部91,92,93を有する。中間モードまたは暗視モードのとき、制御部7内の投光制御部71は、時分割で投光部91〜93より波長IR1〜IR3の赤外光を選択的に投光させるように制御する。
ところで、撮像素子31にはシリコンウェハが用いられている。図4は、R,G,Bそれぞれの色を呈する素材に白色光を照射した場合の各波長における反射率にシリコンの受光感度を乗じたときの、波長と相対検出率との関係を示している。図4においても、相対検出率は、最大値が1に正規化されている。
図4に示すように、赤外光の領域において、例えば、波長780nmにおける反射光はR色を呈する素材の反射光との相関性が高く、波長870nmにおける反射光はB色を呈する素材の反射光との相関性が高く、波長940nmにおける反射光はG色を呈する素材の反射光との相関性が高い。
そこで、本実施形態においては、投光部91,92,93が投光する赤外光の波長IR1,IR2,IR3を、780nm,940nm,870nmとする。これらの波長は、波長IR1〜IR3の一例であり、780nm,940nm,870nm以外でもよい。
投光部91が波長IR1の赤外光を被写体に照射し、被写体から反射した光を撮像した映像信号をR信号に割り当てる。投光部93が波長IR2の赤外光を被写体に照射し、被写体から反射した光を撮像した映像信号をG信号に割り当てる。投光部92が波長IR3の赤外光を被写体に照射し、被写体から反射した光を撮像した映像信号をB信号に割り当てる。
このようにすれば、原理的に、中間モードまたは暗視モードにおいても、通常モードにおいて可視光が存在する環境下で被写体を撮像した場合と同様の色を再現することができる。
色味が被写体の実際の色味と異なるカラー映像となるものの、780nmの波長IR1をR光、870nmの波長IR3をG光、940nmの波長IR2をB光に割り当ててもよい。波長IR1,IR2,IR3をR光,G光,B光に任意に割り当てることも可能である。
本実施形態においては、被写体の色味を最もよく再現する、波長IR1,IR2,IR3をそれぞれR光,G光,B光に割り当てることとする。
制御部7は、撮像部3における撮像と、映像処理部5内の各部と、映像出力部6とを制御する。撮像部3によって撮像された撮像信号はA/D変換器4によってA/D変換され、映像処理部5に入力される。映像処理部5の内部構成及び動作は後述する。
映像出力部6は、後述するR,G,Bの3原色データのそれぞれに所定の色ゲインを乗じる色ゲイン設定部62を有する。色ゲイン設定部62の詳細な動作は後述する。色ゲイン設定部62を映像処理部5内に設けてもよい。
撮像部3とA/D変換器4とが一体化されていてもよい。映像処理部5と制御部7とが一体化されていてもよい。
制御部7は、通常モードと中間モードと暗視モードとを切り換えるモード切換部72を備える。モード切換部72は、通常モードと中間モードと暗視モードとに対応させて、映像処理部5内の動作を後述のように適宜切り換える。
制御部7は、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係を判定する判定部78と、色ゲイン設定部62によって3原色データに乗じる色ゲインを異ならせるように制御する色ゲイン制御部79とを備える。ここでいう赤外光とは、赤外線投光器9によって投光され、それが被写体によって反射されたものが大部分である。
判定部78は、例えば、可視光の量が赤外光の量と比較して多く、可視光が主で赤外光が従ある状態と、赤外光の量が可視光の量と比較して多く、赤外光が主で可視光が従ある状態とのいずれであるかを判定すればよい。判定部78は、可視光の量と赤外光の量との関係を具体的な光量の比を算出することによって、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係を判定してもよい。
ここでいう光量の比とは、可視光の量と赤外光の量との比そのものでなくてもよく、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係(比率等)に応じて変化する数値であればよい。
このような数値を算出することで周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係を判定する場合は、必ずしもどちらが主でどちらが従であるかということまで判定しなくてもよい。以下、便宜的に、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係のことを単に「主従関係」と称する場合がある。
色ゲイン制御部79は、判定部78によって判定された、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係に従って、色ゲイン設定部62によって3原色データに乗じる色ゲインを異ならせるように制御する。
映像処理部5は、スイッチ51,53と、前信号処理部52と、デモザイク処理部54とを有する。スイッチ51,53は物理的なスイッチであってもよく、前信号処理部52の動作と不動作とを切り換えるための概念的なスイッチであってもよい。制御部7には、撮像している映像の明るさを検出するために、映像処理部5から映像信号が入力される。
前信号処理部52に入力される映像データは判定部78にも入力される。判定部78は、前信号処理部52に入力される映像データに基づいて光量の主従関係を判定する。
判定部78の機能を前信号処理部52に設けてもよい。この場合、判定部78の機能を有する前信号処理部52は、光量の主従関係の判定結果を色ゲイン制御部79に伝える。
図5に示すように、前信号処理部52は、周囲画素加算部521と、同一位置画素加算部522と、合成部523とを有する。
映像処理部5は、R,G,Bの3原色データを生成して、映像出力部6に供給する。映像出力部6は、3原色データを所定の形式で図示していない表示部等へと出力する。
映像出力部6は、R,G,B信号をそのまま出力してもよいし、R,G,B信号を輝度信号と色信号(または色差信号)に変換して出力してもよい。映像出力部6は、コンポジット映像信号を出力してもよい。映像出力部6は、デジタル信号の映像信号を出力してもよいし、D/A変換器によってアナログ信号に変換した映像信号を出力してもよい。
色ゲイン設定部62は、映像処理部5より所定の形式の映像信号を出力する際、ホワイトバランスを調整するために、R,G,Bの3原色データのそれぞれに所定の色ゲインを乗じる。ここではホワイトバランスを調整するために3原色データに色ゲインを乗じるとしたが、所定の色温度の映像を再現するために色ゲインを乗じてもよい。
色ゲイン設定部62は、R,G,Bの3原色データに乗じる色ゲインの組を少なくとも2組保持している。1つの組の色ゲインともう1つの組の色ゲインとは、R,G,Bのデータに対する色ゲインが全て異なっている。
色ゲイン設定部62は、モード切換部72によって撮像装置が中間モードに設定されているとき、色ゲイン制御部79による制御によって、3原色データに乗じる色ゲインの組を選択する。色ゲイン設定部62は、選択した組の色ゲインを3原色データに乗じる。
色ゲイン設定部62は、モード切換部72によって撮像装置が通常モードと暗視モードに設定されているとき、通常モードと暗視モードとで異なるそれぞれ固定の組の色ゲインを3原色データに乗じる。
以下、通常モードと中間モードと暗視モードとのそれぞれの具体的な動作について説明する。
<通常モード>
通常モードでは、制御部7は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間に赤外線カットフィルタ21を挿入させる。投光制御部71は、赤外線投光器9による赤外光の投光をオフにする。
撮像部3によって撮像された撮像信号は、A/D変換器4によってデジタル信号である映像データに変換されて、映像処理部5に入力される。通常モードでは、モード切換部72は、スイッチ51,53を端子Tbに接続するように制御する。
図6の(a)は、撮像部3の露光Ex1,Ex2,Ex3…を示している。実際には露光時間はシャッタスピード等の条件によって変化するが、ここでは露光Ex1,Ex2,Ex3は最大露光時間を示している。
図6の(b)は、それぞれの映像信号のフレームが得られるタイミングを示している。露光Ex1の前の図示していない露光に基づいて、所定時間後に映像信号のフレームF0が得られる。露光Ex1に基づいて、所定時間後に映像信号のフレームF1が得られる。露光Ex2に基づいて、所定時間後に映像信号のフレームF2が得られる。露光Ex3以降も同様である。映像信号のフレーム周波数を、例えば30フレーム/秒とする。
映像信号のフレーム周波数は、NTSC方式であれば30フレーム/秒または60フレーム/秒、PAL方式であれば25フレーム/秒または50フレーム/秒のように適宜設定すればよい。また、映像信号のフレーム周波数は、映画で使われている24フレーム/秒であってもよい。
A/D変換器4より出力された各フレームの映像データは、スイッチ51,53を介してデモザイク処理部54に入力される。デモザイク処理部54は、入力された各フレームの映像データにデモザイク処理を施す。映像処理部5は、デモザイク処理の他の各種の映像処理を施して、R,G,Bの3原色データを出力する。
図7を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図7において、(a)は映像データの任意のフレームFmを示している。フレームFmは、有効映像期間の画素によって構成されたフレームである。映像データの画素数は、例えばVGA規格では水平640画素、垂直480画素である。ここでは簡略化のため、フレームFmの画素数を大幅に少なくして、フレームFmを概念的に示している。
ベイヤ配列の撮像部3を用いて生成された映像データは、フレームFm内で、R,G,Bの画素データが混在したデータである。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて算出したRの補間画素データRiを生成する。デモザイク処理部54は、図7の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmRを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて算出したGの補間画素データGiを生成する。デモザイク処理部54は、図7の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmGを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて算出したBの補間画素データBiを生成する。デモザイク処理部54は、図7の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmBを生成する。
デモザイク処理部54は、Rの画素データを補間する際には少なくともRの画素データを用いればよく、Gの画素データを補間する際には少なくともGの画素データを用いればよく、Bの画素データを補間する際には少なくともBの画素データを用いればよい。デモザイク処理部54は、補間精度を向上させるために、R,G,Bの画素データを補間する際に、生成しようとする補間画素データの色とは異なる他の色の画素データを用いてもよい。
撮像部3には、有効映像期間より外側の画素も存在しているため、フレームFmの上下左右端部に位置する画素においても、R,G,Bの画素データを補間することができる。
デモザイク処理部54によって生成されたRフレームFmR,GフレームFmG,BフレームFmBがR,G,Bの3原色データとして出力される。図7では、理解を容易にするため、R,G,Bの画素データをフレーム単位で説明したが、実際には、R,G,Bの画素データは画素ごとに順次出力される。
<中間モード:第1中間モード>
中間モード(第1中間モード及び後述する第2中間モード)では、制御部7は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入させる。投光制御部71は、赤外線投光器9による赤外光の投光をオンにする。モード切換部72は、スイッチ51,53を端子Taに接続するように制御する。
図8の(a)は、赤外線投光器9による赤外光の投光の状態を示している。制御部7は、通常モードの1フレーム期間を1/3ずつに分け、例えば投光部91,92,93の順に赤外光を投光させるように制御する。
図8の(a)に示す例では、1フレームの最初の1/3の期間では、波長IR1(780nm)の赤外光が被写体に照射される。1フレームの次の1/3の期間では、波長IR2(940nm)の赤外光が被写体に照射される。1フレームの最後の1/3の期間では、波長IR3(870nm)の赤外光が被写体に照射される。波長IR1〜IR3の赤外光を投光する順番は任意である。但し、次の理由により、波長IR2が中央である、例えば波長IR1,IR2,IR3の順が最もよい。
中間モード及び暗視モードでは、後に詳述するように、波長IR1,IR2,IR3それぞれの赤外光を投光した状態で撮像部3が生成した3回の撮像信号に基づいて、1フレームの映像信号が生成される。よって、動きのある被写体を撮像したときには、色ずれや輪郭ぼけが発生する場合がある。
一般的に、R,G,B信号においては、G信号が輝度信号に対する影響度が最も大きい。そこで、G信号に割り当てた映像信号(撮像信号)を生成するための波長IR2の赤外光を中央として、その前後に波長IR1,IR3の赤外光を投光する順番とするのがよい。
図8の(b)に示すように、波長IR1の赤外光を投光しているタイミングでは、撮像部3はR光との相関性が高い露光Ex1Rが行われる。波長IR2の赤外光を投光しているタイミングでは、撮像部3はG光との相関性が高い露光Ex1Gが行われる。波長IR3の赤外光を投光しているタイミングでは、撮像部3はB光との相関性が高い露光Ex1Bが行われる。
但し、中間モードでは、可視光がわずかに存在する環境下での撮像であるため、可視光と赤外線投光器9より投光された赤外光とが混在した状態である。よって、中間モードにおいては、露光Ex1R,Ex1G,Ex1B,Ex2R,Ex2G,Ex2B…は、可視光による露光と赤外光による露光とを合わせた露光となる。
図8の(c)に示すように、露光Ex1R,Ex1G,Ex1Bに基づいて、所定時間後に、露光Ex1Rに対応したフレームF1IR1、露光Ex1Gに対応したフレームF1IR2、露光Ex1Bに対応したフレームF1IR3が得られる。
また、露光Ex2R,Ex2G,Ex2Bに基づいて、所定時間後に、露光Ex2Rに対応したフレームF2IR1、露光Ex2Gに対応したフレームF2IR3、露光Ex2Bに対応したフレームF2IR2が得られる。露光Ex3R,Ex3G,Ex3B以降も同様である。
図8の(c)の撮像信号のフレーム周波数は、90フレーム/秒である。中間モードでは、通常モードにおける映像信号の1フレームを時分割して波長IR1〜IR3の赤外光を投光するため、通常モードと同じ形式の映像信号を出力するためには、図8の(c)の撮像信号のフレーム周波数は、通常モードにおけるフレーム周波数の3倍となる。
後述するように、図8の(c)の3フレームの撮像信号に基づいて、図8の(d)に示す30フレーム/秒のフレーム周波数を有する映像信号の1フレームが生成される。例えば、フレームF1IR1,F1IR2,F1IR3に基づいてフレームF1IRが生成され、フレームF2IR1,F2IR2,F2IR3に基づいてフレームF2IRが生成される。
図8の(c)の3フレームの撮像信号に基づいて、図8の(d)の各フレームの映像信号を生成する中間モードでの動作を具体的に説明する。
A/D変換器4より出力された図8の(c)に示す撮像信号に対応する各フレームの映像データは、スイッチ51を介して前信号処理部52に入力される。
図9を用いて、前信号処理部52における前信号処理について説明する。図9の(a)は、波長IR1の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR1を示している。フレームFmIR1内のR,B,Gr,Gbの画素データには、波長IR1の赤外光を投光した状態で生成されたことを示す添え字1を付している。
図9の(b)は、波長IR2の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR2を示している。フレームFmIR2内のR,B,Gr,Gbの画素データには、波長IR2の赤外光を投光した状態で生成されたことを示す添え字2を付している。
図9の(c)は、波長IR3の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR3を示している。フレームFmIR3内のR,B,Gr,Gbの画素データには、波長IR3の赤外光を投光した状態で生成されたことを示す添え字3を付している。
図9の(a)に示すフレームFmIR1は、R光との相関性が高い波長IR1の赤外光が投光された状態で生成された映像データであるので、Rの画素データは投光された赤外光と対応した画素データであり、B,Gの画素データは投光された赤外光と対応していない画素データである。B,Gr,Gbの画素データに付しているハッチングは、投光された赤外光と対応していない画素データであることを意味する。
図9の(b)に示すフレームFmIR2は、G光との相関性が高い波長IR2の赤外光が投光された状態で生成された映像データであるので、Gの画素データは投光された赤外光と対応した画素データであり、R,Bの画素データは投光された赤外光と対応していない画素データである。R,Bの画素データに付しているハッチングは、投光された赤外光と対応していない画素データであることを意味する。
図9の(c)に示すフレームFmIR3は、B光との相関性が高い波長IR3の赤外光が投光された状態で生成された映像データであるので、Bの画素データは投光された赤外光と対応した画素データであり、R,Gの画素データは投光された赤外光と対応していない画素データである。R,Gr,Gbの画素データに付しているハッチングは、投光された赤外光と対応していない画素データであることを意味する。
前信号処理部52内の同一位置画素加算部522は、互いに同じ画素位置のR,Gr,Gb,Bの画素データを以下の式(1)〜(3)に従って個別に加算して、加算画素データR123,Gr123,Gb123,B123を生成する。中間モードでは、前信号処理部52内の周囲画素加算部521は不動作である。
R123=ka×R1+kb×R2 +kc×R3 …(1)
G123=kd×G1+ke×G2+kf×G3 …(2)
B123=kg×B1+kh×B2+ki×B3 …(3)
式(1)〜(3)において、R1,G1,B1はフレームFmIR1におけるR,G,Bの画素データ、R2,G2,B2はフレームFmIR2におけるR,G,Bの画素データ、R3,G3,B3はフレームFmIR3におけるR,G,Bの画素データである。ka〜kiは所定の係数である。式(2)におけるG123はGr123またはGb123である。
このとき、同一位置画素加算部522は、ハッチングを付していないR,Gr,Gb,Bのそれぞれの画素データに、ハッチングを付した同じ画素位置のR,Gr,Gb,Bの画素データそれぞれを加算する。
即ち、同一位置画素加算部522は、式(1)に基づいて、フレームFmIR1におけるRの画素データに、フレームFmIR2,FmIR3における同じ画素位置のRの画素データを加算して、加算画素データR123を生成する。つまり、受光素子における赤色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いて赤色用の加算画素データR123を生成する。
同一位置画素加算部522は、式(2)に基づいて、フレームFmIR2におけるGr,Gbの画素データに、フレームFmIR1,FmIR3における同じ画素位置のGr,Gbの画素データを加算して、加算画素データG123を生成する。つまり、受光素子における緑色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いて緑色用の加算画素データG123を生成する。
同一位置画素加算部522は、式(3)に基づいて、フレームFmIR3におけるBの画素データに、フレームFmIR1,FmIR2における同じ画素位置のBの画素データを加算して、加算画素データB123を生成する。つまり、受光素子における青色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いて青色用の加算画素データB123を生成する。
前信号処理部52内の合成部523は、それぞれの画素位置において生成された加算画素データR123,Gr123,Gb123,B123に基づいて、図9の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123を生成する。
具体的には、合成部523は、フレームFmIR1における加算画素データR123と、フレームFmIR2における加算画素データGr123,Gb123と、フレームFmIR3における加算画素データB123とを選択して合成する。これによって合成部523は、合成映像信号のフレームFmIR123を生成する。
このように、合成部523は、カラーフィルタ32におけるフィルタエレメントの配列と同じ配列となるように、加算画素データR123,Gr123,Gb123,B123を配列させたフレームFmIR123を生成する。
第1中間モードにおいては、ハッチングを付していない画素データと、ハッチングを付した画素データとを用いて、フレームFmIR123の映像データを生成する。
同一位置画素加算部522によって互いに同じ画素位置の画素データを加算するのは、次の理由による。中間モードではわずかではあるものの可視光が存在する環境下での撮像であるため、ハッチングを付した画素データは可視光による露光に基づくそれぞれの色の成分を含む。よって、同じ画素位置の画素データを加算することによって、それぞれの色の感度を上げることができる。
可視光と赤外光とが混在している状況で可視光が比較的多ければ、可視光による露光が支配的となる。この場合、フレームFmIR123の映像データは、可視光によって露光した映像信号に基づく成分が主となる。可視光と赤外光とが混在している状況で赤外光が比較的多ければ、赤外光による露光が支配的となる。この場合、フレームFmIR123の映像データは、赤外光によって露光した映像信号に基づく成分が主となる。
可視光が比較的少ない場合には、式(1)において、係数ka,kb,kcの大小関係を、ka>kb,kcとし、式(2)において、係数kd,ke,kfの大小関係を、kf>kd,keとし、式(3)において、係数kg,kh,kiの大小関係を、kh>kg,kiとするのがよい。これは、波長IR1はR光との相関性が高く、波長IR2はG光との相関性が高く、波長IR3はB光との相関性が高いからである。
このようにすれば、Rの画素データではフレームFmIR1におけるRの画素データ、Gの画素データではフレームFmIR2におけるGの画素データ、Bの画素データではフレームFmIR3におけるBの画素データを主とすることができる。
前信号処理部52より出力されたフレームFmIR123の映像データは、スイッチ53を介してデモザイク処理部54に入力される。デモザイク処理部54は、通常モードと同様に、入力されたフレームFmIR123の映像データにデモザイク処理を施す。映像処理部5は、デモザイク処理の他の各種の映像処理を施して、R,G,Bの3原色データを出力する。
図10を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図10の(a)は、フレームFmIR123を示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR123iを生成する。デモザイク処理部54は、図10の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123Rを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG123iを生成する。デモザイク処理部54は、図10の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123Gを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて演算して、Bの補間画素データB123iを生成する。デモザイク処理部54は、図10の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123Bを生成する。
通常モードにおける図7に示すデモザイク処理部54の動作と、中間モードにおける図10に示すデモザイク処理部54の動作とを比較すれば分かるように、両者は実質的に同じである。デモザイク処理部54の動作は、通常モードであっても中間モードであっても変わらない。
通常モードでは前信号処理部52を不動作とし、中間モードでは、周囲画素加算部521を除き、前信号処理部52を動作させればよい。通常モードと中間モードとで、映像処理部5におけるデモザイク処理部54等の信号処理部を共用させることができる。
<中間モード:第2中間モード>
図11及び図12を用いて、第2中間モードにおける動作を説明する。第2中間モードにおける動作において、第1中間モードにおける動作と同一部分は説明を省略する。図11の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR2,FmIR3は、図9の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR2,FmIR3と同じである。
合成部523は、フレームFmIR1におけるRの画素データであるR1と、フレームFmIR2におけるGの画素データであるGr2,Gb2と、フレームFmIR3におけるBの画素データであるB3とを選択して合成する。これによって合成部523は、図11の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123’を生成する。
即ち、フレームFmIR123’は、フレームFmIR1,FmIR2,FmIR3におけるハッチングを付していないR,Gr,Gb,Bの画素データを1フレームに集結させた映像データである。
つまり、フレームFmIR123’においては、波長IR1の赤外光を投光した状態における赤色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いた赤色用の画素データ、波長IR2の赤外光を投光した状態における緑色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いた緑色用の画素データ、波長IR3の赤外光を投光した状態における青色のカラーフィルタに対応する領域の画素データだけを用いた青色用の画素データとなっている。
このように、合成部523は、カラーフィルタ32におけるフィルタエレメントの配列と同じ配列となるように、画素データR1,Gr2,Gb2,B3を配列させたフレームFmIR123’を生成する。
第2中間モードでは、同一位置画素加算部522は、式(1)における係数kaを1、係数kb,kcを0とし、式(2)における係数keを1、係数kd,kfを0とし、式(3)における係数kiを1、係数kg,khを0とする。
これによって、フレームFmIR1におけるRの画素データと、フレームFmIR2におけるGr,Gbの画素データと、フレームFmIR3におけるBの画素データは、それぞれそのままの値となる。
よって、合成部523は、第1中間モードにおける動作と同様に、フレームFmIR1におけるRの画素データと、フレームFmIR2におけるGr,Gbの画素データと、フレームFmIR3におけるBの画素データを選択すれば、フレームFmIR123’を生成することができる。
第2中間モードにおいては、前信号処理部52は、画素データの色と同じ色の画素データを生成するための赤外光が投光された状態で生成された画素データ(ハッチングを付していない画素データ)のみ用いて、フレームFmIR123’の映像データを生成する。
第2中間モードによれば、第1中間モードよりも感度や色の再現性は低下するものの、演算処理を簡略化したり、フレームメモリを削減したりすることができる。
図12を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図12の(a)は、フレームFmIR123’を示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR1iを生成する。デモザイク処理部54は、図12の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123’Rを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG2iを生成する。デモザイク処理部54は、図12の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123’Gを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて演算して、Bの補間画素データB3iを生成する。デモザイク処理部54は、図12の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123’Bを生成する。
以上のように、中間モードにおいては、受光素子における赤色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから赤色用の画素データを生成し、受光素子における緑色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから緑色用の画素データを生成し、受光素子における青色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから青色用の画素データを生成する。
<暗視モード:第1暗視モード>
暗視モード(第1暗視モード及び後述する第2暗視モード)では、中間モードと同様、制御部7は、駆動部8によって、光学レンズ1と撮像部3との間にダミーガラス22を挿入させる。投光制御部71は、赤外線投光器9による赤外光の投光をオンにする。モード切換部72は、スイッチ51,53を端子Taに接続するように制御する。
暗視モードにおける概略的な動作は、図8と同じである。但し、暗視モードでは、可視光がほとんど存在しない環境下での撮像であるため、図8の(b)における露光Ex1R,Ex1G,Ex1B,Ex2R,Ex2G,Ex2B…は、赤外光のみによる露光を想定している。
可視光がほとんど存在せず赤外光のみが存在している環境下では、カラーフィルタ32におけるそれぞれのフィルタエレメントの特性には差がなくなるため、撮像部3を単色の撮像素子とみなすことができる。
そこで、前信号処理部52内の周囲画素加算部521は、暗視モードでは、赤外光の感度を向上させるために、それぞれの画素データに対して、周囲に位置する画素データを加算する。
具体的には、図13の(a)に示すように、Rの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のRの画素データに対して周囲に位置するG(Gr,Gb)及びBの8画素の画素データを加算する。
つまり、中間モードのときは、受光素子における赤色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから赤色用の画素データを生成していたが、暗視モードでは、中間モードのときよりも広い領域から得た画素データから赤色用の画素データを生成することとなる。図13の(a)〜(c)に示す例では、各色とも注目画素を含む9画素分の領域から得た画素データを用いている。
図13の(b)に示すように、Grの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のGrの画素データに対して周囲に位置するR,Gb,Bの8画素の画素データを加算する。図13の(c)に示すように、Gbの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のGbの画素データに対して周囲に位置するR,Gr,Bの8画素の画素データを加算する。
つまり、中間モードのときは、受光素子における緑色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから緑色用の画素データを生成していたが、暗視モードでは、中間モードのときよりも広い領域から得た画素データから緑色用の画素データを生成することとなる。
図13の(d)に示すように、Bの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521は、注目画素のBの画素データに対して周囲に位置するR及びGの8画素の画素データを加算する。
つまり、中間モードのときは、受光素子における青色のカラーフィルタに対応する領域から得た画素データから青色用の画素データを生成していたが、暗視モードでは、中間モードのときよりも広い領域から得た画素データから青色用の画素データを生成することとなる。
周囲画素加算部521は、注目画素の画素データと周囲の8画素の画素データとの9画素を単純に加算してもよいし、周囲の8画素の画素データに対して所定の重み付けをした上で注目画素の画素データに加算してもよい。
ここで、周囲の8画素の画素データに対する重み付けの例を説明する。図3または後述する図32より分かるように、G光に割り当てた波長IR2と、B光に割り当てた波長IR3では、R,G,Bの感度はほぼ同じである。
従って、図13の(b)〜(d)に示すように、GまたはBの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521が、GまたはBの画素データに周囲に位置する8画素の画素データを重み付けなしで加算すると、感度はほぼ9倍になる。
ところが、図3または後述する図32より分かるように、Rに割り当てた波長IR1では、R,G,Bの感度は大きく異なる。
従って、図13の(a)に示すように、Rの画素が注目画素であるとき、周囲画素加算部521が、Rの画素データに周囲に位置する8画素の画素データを重み付けなしで加算すると、感度はほぼ9倍とはならず、9倍より小さい倍数となる。
周囲画素加算部521が、注目画素の画素データに対して、周囲に位置する8画素の画素データを重み付けなしで加算したとすると、R信号とG,B信号とでは感度が異なるため、色バランスがずれることになる。
よって、周囲画素加算部521は、周囲の8画素の画素データに対して所定の重み付けをした上で注目画素の画素データに加算するのがよい。周囲画素加算部521は、Rの画素が注目画素であるときと、G,Bの画素が注目画素であるときとで、重み付けを異ならせるのがよい。Gの画素が注目画素であるときと、Bの画素が注目画素であるときとで、重み付けを異ならせる場合があってもよい。
図14は、重み付けの第1の例を示している。図14に示すR,Gb,Gr,Bの各画素の下に付している数字は、重み付け係数である。
撮像部3におけるR,G,Bの分光感度の比が、波長IR1では、R:G:B=1:0.8:0.5、波長IR2及びIR3では、R:G:B=1:1:1であるとする。基本の重み付け係数を、一例として、注目画素:上下左右の画素:斜め方向の画素=100:70:50とする。
この場合、図14に示すように、Gr,Gb,Bの画素が注目画素であるときには、周囲の8画素の画素データに対して、基本の重み付け係数を乗じればよい。
Rの画素が注目画素であるときには、波長IR1の赤外光が投光されるので、上記のR,G,Bの分光感度の比を考慮した重み付け係数とするのがよい。波長IR1では、Rの分光感度/Gの分光感度が1/0.8より1.25であり、Rの分光感度/Bの分光感度が1/0.5より2.0である。
よって、図14に示すように、Rの画素が注目画素であるときには、上下左右のGの画素データに対して、70×1.25より87を重み付け係数とし、斜め方向のBの画素データに対して、50×2.0より100を重み付け係数とするのがよい。
撮像部3におけるR,G,Bの分光感度の比は、使用する撮像素子31の種類や製造会社によって異なる。それぞれの撮像素子31に対応させて、重み付け係数を設定するのがよい。
図15は、重み付けの第2の例を示している。撮像部3におけるR,G,Bの分光感度の比が、波長IR1では、R:G:B=1:0.8:0.5、波長IR2では、R:G:B=1:1:1、波長IR3では、R:G:B=1:0.95:1であるとする。基本の重み付け係数は、第1の例と同じとする。
この場合、図15に示すように、Gr,Gbの画素が注目画素であるときには、周囲の8画素の画素データに対して、基本の重み付け係数を乗じればよい。
Rの画素が注目画素であるときには、第1の例と同様に、R,G,Bの分光感度の比を考慮した重み付け係数とするのがよい。図15に示すように、Rの画素が注目画素であるときの重み付け係数は、第1の例と同じである。
Bの画素が注目画素であるときには、波長IR3の赤外光が投光されるので、上記のR,G,Bの分光感度の比を考慮した重み付け係数とするのがよい。波長IR3では、Bの分光感度/Gの分光感度が1/0.95より1.05である。
よって、図15に示すように、Bの画素が注目画素であるときには、上下左右のGの画素データに対して、70×1.05より73を重み付け係数とするのがよい。Rの画素データに対する重み付け係数は、基本の重み付け係数の50でよい。
周囲の8画素の画素データに対する重み付けは、部分的に0であってもよい。即ち、周囲画素加算部521における注目画素の画素データに対する周囲画素の画素データの加算とは、8画素の画素データの全てを加算することに限定されない。
例えば、周囲画素加算部521は、注目画素の画素データに対して上下及び左右に位置する画素の画素データのみを加算し、斜め方向に位置する画素の画素データを加算しなくてもよい。
図16は、重み付けの第3の例であり、斜め方向の画素に対する重み付け係数を0とした例を示している。基本の重み付け係数を、一例として、注目画素:上下左右の画素:斜め方向の画素=100:50:0とする。
撮像部3におけるR,G,Bの分光感度の比を第1の例と同じとする。この場合、図16に示すように、Rの画素が注目画素であるときには、上下左右のGの画素データに対して、50×1.25より62を重み付け係数とするのがよい。
図14〜図16に示す重み付け係数の数値は、周囲画素に対する重み付けの理解を容易にするための単なる例である。実際の重み付け係数は、映像出力部6より出力される映像信号のダイナミックレンジ等を考慮して適宜設定すればよい。
ところで、ビニングと称される複数の画素をまとめて1つの画素として読み出し可能な撮像素子が存在する。撮像素子31として、ビニング機能を有する撮像素子を用いる場合には、周囲画素加算部521による加算処理ではなく、ビニング機能を有する撮像素子による加算処理を行ってもよい。撮像素子によるビニングは、周囲画素加算部521による加算処理と実質的に等価である。
図17の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR2,FmIR3は、図9の(a)〜(c)のフレームFmIR1,FmIR2,FmIR3と同じである。図17の(d)〜(f)において、R1ad,Gr1ad,Gb1ad,B1ad,R2ad,Gr2ad,Gb2ad,B2ad,R3ad,Gr3ad,Gb3ad,B3adは、それぞれ、R,Gr,Gb,Bの画素データに対して周囲の8画素の画素データを加算した加算画素データである。
周囲画素加算部521は、フレームFmIR1,FmIR2,FmIR3のそれぞれの画素データに対して図13に示す加算処理を施すことにより、図17の(d)〜(f)に示すフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adを生成する。
図18の(a)〜(c)のフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adは、図17の(d)〜(f)のフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adと同じである。
同一位置画素加算部522は、第1中間モードと同様に、式(1)に基づいて、フレームFmIR1adにおけるR1adの画素データに、フレームFmIR2ad,FmIR3adにおける同じ画素位置のR2ad,R3adの画素データを加算して、加算画素データR123adを生成する。
同一位置画素加算部522は、式(2)に基づいて、フレームFmIR2adにおけるGr2ad,Gb2adの画素データに、フレームFmIR1ad,FmIR3adにおける同じ画素位置のGr1ad,Gb1ad,Gr3ad,Gb3adの画素データを加算して、加算画素データGr123ad,Gb123adを生成する。
同一位置画素加算部522は、式(3)に基づいて、フレームFmIR3adにおけるB3adの画素データに、フレームFmIR1ad,FmIR2adにおける同じ画素位置のB1ad,B2adの画素データを加算して、加算画素データB123adを生成する。
合成部523は、第1中間モードと同様に、フレームFmIR1adにおける加算画素データR123adと、フレームFmIR2adにおける加算画素データGr123ad,Gb123adと、フレームFmIR3adにおける加算画素データB123adとを選択して合成する。これによって合成部523は、図18の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123adを生成する。
合成部523は、カラーフィルタ32におけるフィルタエレメントの配列と同じ配列となるように、加算画素データR123ad,Gr123ad,Gb123ad,B123adを配列させたフレームFmIR123adを生成する。
図19の(a)はフレームFmIR123adを示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のRの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR123adiを生成する。デモザイク処理部54は、図19の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123adRを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG123adiを生成する。デモザイク処理部54は、図19の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123adGを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のBの画素データを用いて演算して、Bの補間画素データB123adiを生成する。デモザイク処理部54は、図19の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123adBを生成する。
第1中間モードと第1暗視モードとは、前者が周囲画素加算部521を不動作としている一方で、後者が周囲画素加算部521を動作させている点で異なる。モード切換部72は、暗視モードのとき、周囲画素加算部521を動作させればよい。
暗視モードにおけるデモザイク処理部54の動作は、通常モード及び中間モードにおけるデモザイク処理部54の動作と実質的に同じである。通常モードと中間モードと暗視モードとで、映像処理部5におけるデモザイク処理部54等の信号処理部を共用させることができる。
<暗視モード:第2暗視モード>
図20及び図21を用いて、第2暗視モードにおける動作を説明する。第2暗視モードにおける動作において、第1暗視モードにおける動作と同一部分は説明を省略する。図20の(a)〜(c)のフレームFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adは、図18の(a)〜(c)のFmIR1ad,FmIR2ad,FmIR3adと同じである。
合成部523は、フレームFmIR1adにおけるRの画素データであるR1adと、フレームFmIR2におけるGの画素データであるGr2ad,Gb2adと、フレームFmIR3におけるBの画素データであるB3adとを選択して合成する。これによって合成部523は、図20の(d)に示す合成映像信号のフレームFmIR123’adを生成する。
合成部523は、カラーフィルタ32におけるフィルタエレメントの配列と同じ配列となるように、画素データR1ad,Gr2ad,Gb2ad,B3adを配列させたフレームFmIR123’adを生成する。
なお、図13を用いて説明したように、フレームFmIR123’adにおける赤色用の画素データR1adは、中間モードのときに赤色用の画素データを生成するために用いた領域よりも広い領域から得た画素データから生成されたものとなっている。
また、フレームFmIR123’adにおける緑色用の加算画素データGr2adは、中間モードのときに緑色用の画素データを生成するために用いた領域よりも広い領域から得た画素データから生成されたものとなっている。
さらに、フレームFmIR123’adにおける青色用の加算画素データB3adは、中間モードのときに青色用の画素データを生成するために用いた領域よりも広い領域から得た画素データから生成されたものとなっている。
第2暗視モードでは、第2中間モードと同様に、同一位置画素加算部522は、式(1)における係数kaを1、係数kb,kcを0とし、式(2)における係数keを1、係数kd,kfを0とし、式(3)における係数kiを1、係数kg,khを0とする。
これによって、フレームFmIR1adにおけるR1adの画素データと、フレームFmIR2adにおけるGr2ad,Gb2adの画素データと、フレームFmIR3adにおけるB3adの画素データは、それぞれそのままの値となる。
よって、合成部523は、第1暗視モードにおける動作と同様に、フレームFmIR1adにおけるR1adの画素データと、フレームFmIR2adにおけるGr2ad,Gb2adの画素データと、フレームFmIR3adにおけるB3adの画素データを選択すれば、フレームFmIR123’adを生成することができる。
図21を用いて、デモザイク処理部54におけるデモザイク処理について説明する。図21の(a)は、フレームFmIR123’adを示している。デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置のRの画素データを周囲のR1adの画素データを用いて演算して、Rの補間画素データR1adiを生成する。デモザイク処理部54は、図21の(b)に示す1フレームの全画素がRの画素データよりなるRフレームFmIR123’adRを生成する。
デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置のGの画素データを周囲のGr2ad,Gb2adの画素データを用いて演算して、Gの補間画素データG2adiを生成する。デモザイク処理部54は、補間して、図21の(c)に示す1フレームの全画素がGの画素データよりなるGフレームFmIR123’adGを生成する。
デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置のBの画素データを周囲のB3adの画素データを用いて算出したBの補間画素データB3adiを生成する。デモザイク処理部54は、図21の(d)に示す1フレームの全画素がBの画素データよりなるBフレームFmIR123’adBを生成する。
第2中間モードと第2暗視モードとは、前者が周囲画素加算部521を不動作としている一方で、後者が周囲画素加算部521を動作させている点で異なる。
また、中間モードにおいては、受光素子における各色に対応する領域から得た画素データそれぞれから各色用の画素データを生成していたが、暗視モードにおいては、周囲画素を加算するため、中間モードにおける各色用の画素データを生成するための領域それぞれよりも広い領域から得た画素データから各色用の画素データを生成するとも言える。
<モード切換の例>
図22を用いて、モード切換部72によるモード切換の例を説明する。図22の(a)は、一例として、昼間の時間帯から夜の時間帯へと時間が経過していくとき、周囲環境の明るさが変化していく様子を概略的に示している。
図22の(a)に示すように、昼間から夕刻へと時間が経過していくに従って明るさが低下していき、時刻t3以降、ほぼ真っ暗の状態となる。図22の(a)に示す明るさは実質的に可視光の量を示しており、時刻t3以降、可視光がほとんどない状態である。
制御部7は、映像処理部5から入力される映像信号(映像データ)の輝度レベルに基づいて周囲環境の明るさを判断することができる。図22の(b)に示すように、モード切換部72は、明るさが所定の閾値Th1(第1の閾値)以上であるとき通常モードとし、明るさが閾値Th1未満で所定の閾値Th2(第2の閾値)以上であるとき中間モード、閾値Th2未満であるとき暗視モードとする。
本実施形態の撮像装置は、明るさが閾値Th1となる時刻t1までは通常モード、時刻t1から明るさが閾値Th2となる時刻t2まで中間モード、時刻t2以降は暗視モードに、モードを自動的に切り換える。図22の(b)において、中間モードは第1中間モードと第2中間モードとのいずれでもよく、暗視モードは第1暗視モードと第2暗視モードとのいずれでもよい。
図22の(a)では可視光がほとんどなくなる時刻t3の直前の明るさを閾値Th2としているが、時刻t3の明るさを閾値Th2としてもよい。
図22の(c)に示すように、モード切換部72は、中間モードの期間で、可視光が比較的多い時刻t1側の期間を第1中間モード、可視光が比較的少ない時刻t2側の期間を第2中間モードとしてもよい。図22の(c)において、暗視モードは第1暗視モードと第2暗視モードとのいずれでもよい。
本実施形態の撮像装置は、投光制御部71が赤外線投光器9のオン・オフを制御し、モード切換部72が映像処理部5内の各部の動作・不動作を切り換えることにより、それぞれのモードを実現することができる。
図23に示すように、通常モードは、赤外線投光器9がオフ、周囲画素加算部521と同一位置画素加算部522と合成部523がいずれも不動作、デモザイク処理部54が動作の状態である。
第1中間モードは、赤外線投光器9がオン、周囲画素加算部521が不動作、同一位置画素加算部522と合成部523とデモザイク処理部54とが動作の状態である。第2中間モードは、赤外線投光器9がオン、周囲画素加算部521と同一位置画素加算部522とが不動作、合成部523とデモザイク処理部54とが動作の状態である。
同一位置画素加算部522における動作と不動作とは、前述のように、式(1)〜(3)の係数ka〜kiの値を適宜に設定することによって容易に切り換えることができる。
第1暗視モードは、赤外線投光器9がオン、周囲画素加算部521と同一位置画素加算部522と合成部523とデモザイク処理部54との全てが動作の状態である。第2暗視モードは、赤外線投光器9がオン、同一位置画素加算部522が不動作、周囲画素加算部521と合成部523とデモザイク処理部54とが動作の状態である。
ところで、周囲画素加算部521は、注目画素の画素データに対して周囲の画素データを加算するための計算式において、周囲の画素データに乗じる係数を、0を超える係数(例えば1)とすれば、周囲画素の加算処理を動作の状態とすることができる。
また、周囲画素加算部521は、その計算式において、周囲の画素データに乗じる係数を0とすれば、周囲画素の加算処理を不動作の状態とすることができる。
周囲画素加算部521における動作と不動作も、係数の値を適宜に設定することによって容易に切り換えることができる。
<撮像装置の第1の変形例>
制御部7が周囲環境の明るさを検出する方法は、映像信号の輝度レベルに基づく方法に限定されない。
図24に示すように、明るさセンサ11によって周囲環境の明るさを検出してもよい。図24において、映像信号の輝度レベルと明るさセンサ11によって検出した明るさとの双方に基づいて、周囲環境の明るさを判断してもよい。
<撮像装置の第2の変形例>
制御部7は、周囲環境の明るさを直接的に検出せず、1年間における時期(日にち)及び時刻(時間帯)に基づいて周囲環境の明るさを概略的に想定して、モード切換部72が各モードに切り換えるようにしてもよい。
図25に示すように、モード設定テーブル12には、日にちと時間帯との組み合わせに対応して、通常モードと中間モードと暗視モードとのいずれかが設定されている。制御部7内の時計73は、日にちと時刻を管理している。制御部7は、時計73が示す日にちと時刻とを参照して、モード設定テーブル12より設定されているモードを読み出す。
投光制御部71とモード切換部72は、モード設定テーブル12より読み出されたモードとなるように、撮像装置を制御する。
<撮像装置の第3の変形例>
図26に示すように、操作部13によってユーザがモードを手動で選択して、投光制御部71とモード切換部72が選択されたモードとなるように撮像装置を制御してもよい。操作部13は、撮像装置の筐体に設けられている操作ボタンであってもよく、リモートコントローラであってもよい。
<モード切換に関する映像信号処理方法>
図27を用いて、図1に示す撮像装置で実行されるモード切換に関する映像信号処理方法を改めて説明する。
図27において、撮像装置が動作を開始すると、制御部7は、ステップS1にて、周囲環境の明るさが閾値Th1以上であるか否かを判定する。閾値Th1以上であれば(YES)、制御部7は、ステップS3にて、通常モードでの処理を実行させる。閾値Th1以上でなければ(NO)、制御部7は、ステップS2にて、周囲環境の明るさが閾値Th2以上であるか否かを判定する。
閾値Th2以上であれば(YES)、制御部7は、ステップS4にて、中間モードでの処理を実行させる。閾値Th2以上でなければ(NO)、制御部7は、ステップS5にて、暗視モードでの処理を実行させる。
制御部7は、ステップS3〜S5の後、処理をステップS1に戻し、ステップS1以降を繰り返す。
図28は、ステップS3の通常モードの具体的な処理を示す。図28において、制御部7(投光制御部71)は、ステップS31にて、赤外線投光器9をオフにする。制御部7は、ステップS32にて、赤外線カットフィルタ21を挿入する。制御部7(モード切換部72)は、ステップS33にて、スイッチ51,53を端子Tbに接続させる。ステップS31〜S33の順番は任意であり、同時であってもよい。
制御部7は、ステップS34にて、撮像部3によって被写体を撮像させる。制御部7は、ステップS35にて、撮像部3が被写体を撮像することよって生成した映像信号を構成するフレームをデモザイク処理部54によってデモザイク処理させるよう、映像処理部5を制御する。
図29は、ステップS4の中間モードの具体的な処理を示す。図29において、制御部7(投光制御部71)は、ステップS41にて、投光部91〜93より波長IR1〜IR3の赤外光を時分割で投光させるよう、赤外線投光器9をオンにする。
制御部7は、ステップS42にて、ダミーガラス22を挿入する。制御部7(モード切換部72)は、ステップS43にて、スイッチ51,53を端子Taに接続させる。ステップS41〜S43の順番は任意であり、同時であってもよい。
制御部7は、ステップS44にて、撮像部3によって被写体を撮像させる。撮像部3は、Rに対応付けられた波長IR1の赤外光と、Gに対応付けられた波長IR2の赤外光と、Bに対応付けられた波長IR3の赤外光とがそれぞれ投光されている状態で被写体を撮像する。
制御部7(モード切換部72)は、ステップS45にて、周囲画素加算部521を不動作とし、合成部523を動作させて合成映像信号を生成させるよう、前信号処理部52を制御する。
波長IR1,IR2,IR3の赤外光がそれぞれ投光されている状態で撮像部3が被写体を撮像することよって生成された映像信号を構成するフレームを第1のフレーム,第2のフレーム,第3のフレームとする。
合成部523は、第1のフレーム内のRの画素データと、第2のフレーム内のGの画素データと、第3のフレーム内のBの画素データとに基づく3原色の画素データを、カラーフィルタ32におけるフィルタエレメントの配列と同じ配列となるように配列させる。合成部523は、このようにして第1〜第3のフレームを1フレームに合成した合成映像信号を生成する。
制御部7は、ステップS46にて、合成映像信号のフレームをデモザイク処理部54によってデモザイク処理させるよう、映像処理部5を制御する。
デモザイク処理部54は、合成映像信号のフレームに基づいて、Rのフレームと、Gのフレームと、Bのフレームとを生成するデモザイク処理を施して、デモザイク処理された3原色のフレームを順次生成する。
デモザイク処理部54は、Rの画素データが存在しない画素位置にRの画素データを補間することによって、Rのフレームを生成することができる。デモザイク処理部54は、Gの画素データが存在しない画素位置にGの画素データを補間することによって、Gのフレームを生成することができる。デモザイク処理部54は、Bの画素データが存在しない画素位置にBの画素データを補間することによって、Bのフレームとを生成することができる。
第1中間モードとする場合には、ステップS45にて、同一位置画素加算部522を動作させ、第2中間モードとする場合には、ステップS45にて、同一位置画素加算部522を不動作とすればよい。
図30は、ステップS5の暗視モードの具体的な処理を示す。図30において、制御部7(投光制御部71)は、ステップS51にて、投光部91〜93より波長IR1〜IR3の赤外光を時分割で投光させるよう、赤外線投光器9をオンにする。
制御部7は、ステップS52にて、ダミーガラス22を挿入する。制御部7(モード切換部72)は、ステップS53にて、スイッチ51,53を端子Taに接続させる。ステップS51〜S53の順番は任意であり、同時であってもよい。
制御部7は、ステップS54にて、撮像部3によって被写体を撮像させる。制御部7(モード切換部72)は、ステップS55にて、周囲画素加算部521と合成部523とを動作させて合成映像信号を生成させるよう、前信号処理部52を制御する。
制御部7は、ステップS56にて、合成映像信号のフレームをデモザイク処理部54によってデモザイク処理させるよう、映像処理部5を制御する。
第1暗視モードとする場合には、ステップS55にて、同一位置画素加算部522を動作させ、第2暗視モードとする場合には、ステップS55にて、同一位置画素加算部522を不動作とすればよい。
<モード切換に関する映像信号処理プログラム>
図1において、制御部7、または、映像処理部5と制御部7との一体化部分をコンピュータ(マイクロコンピュータ)で構成し、映像信号処理プログラム(コンピュータプログラム)をコンピュータで実行させることによって、上述した撮像装置と同様の動作を実現させることも可能である。映像出力部6も含めてコンピュータで構成してもよい。
図31を用いて、図27のステップS4である中間モードにおける制御を映像信号処理プログラムで構成した場合にコンピュータに実行させる手順の例を説明する。図31は、モード切換に関する映像信号処理プログラムがコンピュータに実行させる処理を示す。
図31において、映像信号処理プログラムは、ステップS401にて、コンピュータに、R,G,Bに対応付けられた波長IR1,IR2,IR3の赤外光をそれぞれ投光するように赤外線投光器9を制御する処理を実行させる。
ステップS401に示すステップを映像信号処理プログラムの外部にて実行させてもよい。図31では、ダミーガラス22を挿入させるステップを省略している。ダミーガラス22を挿入させるステップも映像信号処理プログラムの外部にて実行させてもよい。
映像信号処理プログラムは、ステップS402にて、コンピュータに、波長IR1の赤外光が投光されている状態で、撮像部3が被写体を撮像することによって生成された映像信号の第1のフレームを構成する画素データを取得する処理を実行させる。
映像信号処理プログラムは、ステップS403にて、コンピュータに、波長IR2の赤外光が投光されている状態で、撮像部3が被写体を撮像することによって生成された映像信号の第2のフレームを構成する画素データを取得する処理を実行させる。
映像信号処理プログラムは、ステップS404にて、コンピュータに、波長IR3の赤外光が投光されている状態で、撮像部3が被写体を撮像することによって生成された映像信号の第3のフレームを構成する画素データを取得する処理を実行させる。ステップS402〜S404の順番は任意である。
映像信号処理プログラムは、ステップS405にて、コンピュータに、R,G,Bの画素データを、カラーフィルタ32におけるフィルタエレメントの配列と同じ配列となるように配列させて、1フレームに合成した合成映像信号を生成する処理を実行させる。
中間モードでは、映像信号処理プログラムは、ステップS405にて、コンピュータに、周囲画素の加算処理の処理を実行させない。
映像信号処理プログラムは、ステップS406にて、コンピュータに、合成映像信号のフレームにデモザイク処理を施して、R,G,Bのフレームを生成する処理を実行させる。
図示は省略するが、図27のステップS5である暗視モードにおける制御を映像信号処理プログラムで構成する場合には、図31のステップS405にて、コンピュータに、周囲画素の加算処理の処理を実行させればよい。
映像信号処理プログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたコンピュータプログラムであってよい。映像信号処理プログラムが記録媒体に記録された状態で提供されてもよいし、映像信号処理プログラムをコンピュータにダウンロードさせるよう、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、CD−ROM,DVD−ROM等の非一時的な任意の記録媒体でよい。
図1のように構成される撮像装置において、例えば、必要に応じて各部を複数設けたりして、中間モードと暗視モードとを同時に実行するようにしてもよい。その場合、映像出力部6が、中間モードによって生成された映像信号と、暗視モードによって生成された映像信号との両方を出力するようにしてもよい。
また、モード切換部72は、映像出力部6が中間モードによって生成された映像信号を出力する状態と、映像出力部6が暗視モードによって生成された映像信号を出力する状態とを切り換えるようにしてもよい。その際、前述のように、周囲環境の明るさや時刻等に応じて切り換えてもよい。また、映像処理部5(映像処理装置)を他の各部と別体にしてもよい。
さらに、中間モードを使用せずに、通常モードから暗視モードに切り換えたり、暗視モードから通常モードに切り換えたりする場合があってもよい。
中間モードを使用しない場合には、上述した中間モードの使用が適した環境下では、通常モードと暗視モードとのいずれかを選択して使用すればよい。この場合、中間モードを使用する場合と比較して良好なカラー映像信号とはならないが、撮像は可能である。
しかしながら、通常モードと暗視モードのみを搭載した撮像装置であっても、例えば監視カメラで被写体を終日撮影する場合のような周囲の明るさが変化する状況で、1つの撮像装置で被写体を撮影することができる、という効果を奏する。
さらにまた、暗視モードを使用せずに、通常モードから中間モードに切り換え、中間モードから通常モードに切り換える場合があってもよい。暗視モードを常時使用しない場合は、暗視モードを搭載しないようにしてもよい。
電灯がある場所等では暗視モードを使用しなくてもよい場合がある。通常モードと中間モードのみを搭載した撮像装置は、暗視モードを使用しなくてもよい場合に利用できる。
暗視モードを使用しない場合には、上述した暗視モードの使用が適した環境下では、中間モードを使用すればよい。この場合、暗視モードを使用する場合と比較して良好なカラー映像信号とはならないが、撮像は可能である。
通常モードと中間モードのみを搭載した撮像装置であっても、同様に、周囲の明るさが変化する状況で、1つの撮像装置で被写体を撮影することができる、という効果を奏する。
<可視光の量と赤外光の量との関係の判定方法>
前述のように、周囲環境によって可視光の量と赤外光の量との関係は異なる。可視光の量と赤外光の量との関係がある特定の状態で映像信号のホワイトバランスを調整したとすると、可視光の量と赤外光の量との関係がその特定の状態とは異なった状態では、ホワイトバランスが崩れてしまう。即ち、光量の関係が異なれば、それぞれの状態で被写体の色を高画質に再現することができないということになる。
そこで、判定部78は後述する判定方法の第1の例または第2の例によって、光量の主従関係を判定する。まず、図32を用いて、図3で説明した撮像部3における分光感度特性の特徴について考察する。
前述のように、波長IR1,IR2,IR3を、780nm,940nm,870nmとする。図32に示すように、Rに対応付けられた波長IR1におけるRの感度をStr、Gに対応付けられた波長IR2におけるGの感度をStg、Bに対応付けられた波長IR3におけるBの感度をStbとする。
図32より分かるように、感度Str,Stg,Stbの値は大きく異なる。よって、波長IR1〜IR3の赤外光の発光パワーが同一であれば、撮像部3の露光量は波長IR1,IR2,IR3のいずれの赤外光を投光したかによって異なることになる。
<判定方法の第1の例>
図33〜図36,図38を用いて、判定方法の第1の例を説明する。波長IR1〜IR3の赤外光の発光パワーは同一であるとする。判定部78は、判定方法の第1の例として、波長IR1,IR2,IR3の赤外光が所定の期間ごとに選択的に投光されている状態における撮像部3の露光量のうち、少なくとも2つの期間の露光量を比較することによって、光量の主従関係を判定する。
図33は、可視光の量が赤外光の量と比較して十分に多く、可視光が主の状態を示している。図33の(a),(b)は、図8の(a),(b)を部分的に示している。赤外線投光器9は、図32の(a)のように、波長IR1〜IR3の赤外光を選択的に投光し、撮像部3は、図32の(b)に示すように露光する。
波長IR1の赤外光が投光されている期間での露光量をAepR、波長IR2の赤外光が投光されている期間での露光量をAepG、波長IR3の赤外光が投光されている期間での露光量をAepBとする。
可視光が主の状態であれば、撮像部3の露光量は、赤外線投光器9により投光された赤外光にほとんど影響を受けない。よって、撮像部3の露光量AepR,AepG,AepBは、図33の(c)に示すように、波長IR1〜IR3のうちのどの赤外光が投光されてもほぼ同じ値となる。可視光が主の状態のとき、撮像部3の露光量AepR,AepG,AepBは、常時ほぼ一定の値となる。
図34は、赤外光の量が可視光の量と比較して十分に多く、赤外光が主の状態を示している。図34の(a),(b)は、図33の(a),(b)と同じである。赤外光が主の状態であれば、撮像部3の露光量は、赤外線投光器9により投光された赤外光の影響を受ける。
よって、撮像部3の露光量は、図34の(c)に示すように、波長IR1〜IR3のうちのどの赤外光が投光されているかによって値が異なることになる。露光量AepR,AepG,AepBは、図32で説明した感度Str,Stg,Stbの違いを反映して、AepR>AepB>AepGの関係となる。
図33の(c)と図34の(c)とを比較すれば分かるように、判定部78は、撮像部3の露光量が1フレームを3分割した期間でほぼ一定であれば可視光が主、撮像部3の露光量が3分割した期間でばらつけば赤外光が主と判定する。
具体的には、露光量AepR,AepG,AepBのうちの少なくとも2つを比較して、所定の閾値以下の差しかなければ可視光が主、所定の閾値を超える差があれば赤外光が主であると判定することができる。露光量AepR,AepG,AepBの3つを互いに比較することによって判定精度を高めることも可能である。
露光量AepR,AepG,AepBのうちの2つを比較する場合には、最も差が大きい露光量AepRと露光量AepGとを比較するのがよい。
図35を用いて、判定方法の第1の例を実現する判定部78のさらに具体的な構成及び動作を説明する。図35は、露光量AepRと露光量AepGとを比較して光量の主従関係を判定する概念的な説明図である。
図35の(a)は、図9の(a)と同じ、波長IR1の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR1である。図35の(b)は、図9の(b)と同じ、波長IR2の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR2である。ここでは、Gr,Gbの画素データをGとし、図9で付した添え字を省略している。
図35の(c)は、第1の例における判定部78の概念的なブロック図である。図35の(c)に示すように、判定部78は、平均値化部781と差分演算部782と比較部783とを有する。
2つの平均値化部781は、フレームFmIR1の画素データが入力されるタイミングでの平均値化部781と、フレームFmIR2の画素データが入力されるタイミングでの平均値化部781とを別々に図示したものである。
平均値化部781は、フレームFmIR1の所定の領域内における画素データを平均値化して平均値Fave(IR1)を生成する。平均値化部781は、フレームFmIR2の所定の領域内における画素データを平均値化して平均値Fave(IR2)を生成する。平均値Fave(IR1),Fave(IR2)は、差分演算部782に入力される。
所定の領域とは1フレームの全体でもよいし、1フレームの端部を除いた中央部等の部分でもよい。所定の領域とは、複数フレームであってもよい。以下、所定の領域を1フレームとする。
差分演算部782は、平均値Fave(IR1)と平均値Fave(IR2)との差分を演算して差分値Vdfを生成する。図示していないが、差分値Vdfは絶対値回路によって絶対化されて、比較部783に入力される。
比較部783は、差分値Vdfと閾値Th10とを比較して、差分値Vdfが閾値Th10以下であれば可視光が主であることを示し、差分値Vdfが閾値Th10を超えれば赤外光が主であることを示す判定データDdet1を生成する。
判定データDdet1は、例えば、可視光が主であるときに0、赤外光が主であるときに1の2値データでよい。判定データDdet1は、色ゲイン制御部79へと入力される。なお、判定データDdet1を差分値Vdfに応じて変化する値として、その値に応じて色ゲインを適応的に変化させてもよい。
図36のフローチャートを用いて、判定部78の動作をさらに説明する。図36において、判定部78は、ステップS101にて、フレームFmIR1の生成タイミングであるか否かを判定する。フレームFmIR1の生成タイミングであれば(YES)、判定部78は、ステップS102にて、フレームFmIR1の画素データを平均値化して平均値Fave(IR1)を生成する。
フレームFmIR1の生成タイミングでなければ(NO)、判定部78は、ステップS103にて、フレームFmIR2の生成タイミングであるか否かを判定する。フレームFmIR2の生成タイミングであれば(YES)、判定部78は、ステップS104にて、フレームFmIR2の画素データを平均値化して平均値Fave(IR2)を生成する。フレームFmIR2の生成タイミングでなければ(NO)、判定部78は、処理をステップS101に戻す。
判定部78は、ステップS105にて、平均値Fave(IR1)と平均値Fave(IR2)との差分を演算して差分値Vdfを生成する。判定部78は、ステップS106にて、差分値Vdfが閾値Th10以下であるか否かを判定する。
差分値Vdfが閾値Th10以下であれば(YES)、判定部78は、ステップS107にて、可視光が主であると判定して、処理をステップS101に戻す。差分値Vdfが閾値Th10以下でなければ(NO)、判定部78は、ステップS108にて赤外光が主である判定して、処理をステップS101に戻す。以下、同様の処理を繰り返す。
このように、判定方法の第1の例では、制御部7に入力される映像信号(映像データ)の信号レベル、詳細には、1フレームの画素信号(画素データ)の平均値を比較することによって、実質的に露光量AepRと露光量AepGとを比較している。
図37に示すように、色ゲイン制御部79は、ステップS201にて、入力された判定データDdet1に基づいて可視光が主であるか否かを判定する。可視光が主であれば(YES)、色ゲイン制御部79は、第1の組の色ゲインを選択するよう色ゲイン設定部62を制御して、処理をステップS201に戻す。
可視光が主でなければ(NO)、色ゲイン制御部79は、第2の組の色ゲインを選択するよう色ゲイン設定部62を制御して、処理をステップS201に戻す。以下、同様の処理を繰り返す。
図34及び図35は、波長IR1〜IR3の赤外光の発光パワーが同一である場合を示している。波長IR1〜IR3の赤外光の発光パワーを意図的に異ならせた上で、露光量AepR,AepG,AepBに基づいて光量の主従関係を判定することも可能である。
図38は、図34と同様、赤外光が主の状態を示している。図38の(a),(c)は、図34の(a),(b)と同じである。図38の(b)に示すように、例えば波長IR3の赤外光の発光パワーを波長IR1,IR2の赤外光の発光パワーよりも大きくしたとする。
この場合の露光量AepR,AepG,AepBは、図38の(d)に示すようになる。判定部78は、露光量AepRと露光量AepBとを比較して光量の主従関係を判定してもよいし、露光量AepGと露光量AepBとを比較して光量の主従関係を判定してもよい。判定部78は、露光量AepR,AepG,AepBの大小関係の特有のパターンの有無を認識して、特有のパターンがなければ可視光が主、特有のパターンがあれば赤外光が主と判定してもよい。
<判定方法の第2の例>
図39〜図42を用いて、判定方法の第2の例を説明する。波長IR1〜IR3の赤外光の発光パワーは同一であるとする。判定部78は、判定方法の第2の例として、波長IR1の赤外光が投光されている状態で生成された撮像信号に基づく画素信号と、他の赤外光が投光されている状態で生成された撮像信号に基づく画素信号とを用いることによって、光量の主従関係を判定する。
判定部78は、画素信号として、Rの画素信号と、GまたはBの画素信号とを用いる。他の赤外光は、波長IR2の赤外光と波長IR3の赤外光とのいずれでもよい。
図32に示すように、波長IR1では、Rの感度StrとG,Bの感度とは大きな感度差がある。Rの感度StrとBの感度Stb1との感度差が特に大きい。波長IR2では、R,Bの感度Str2,Stb2は、Gの感度Stgとほぼ同じで両者の感度差はほとんどない。波長IR3でも、Bの感度StbとR,Gの感度との違いはわずかである。
判定方法の第2の例は、波長IR1〜IR3で、R,G,Bの感度差が異なることを利用して、光量の主従関係を判定する。
波長IR1では、Rの感度StrとBの感度Stb1との感度差が最も大きいため、Rの画素信号と比較する画素信号としては、Gの画素信号を用いるよりもBの画素信号を用いる方が好ましい。そこで、判定部78は、波長IR1の赤外光が投光されている状態におけるRの画素信号とBの画素信号とを用いることとする。
波長IR2の赤外光が投光されている状態におけるR,Bの画素信号と、波長IR3の赤外光が投光されている状態におけるR,Bの画素信号とはいずれでもよいが、判定部78は、前者を用いることとする。
図39を用いて、判定方法の第2の例を実現する判定部78の具体的な構成及び動作を説明する。図39も、図35と同様、光量の主従関係を判定する概念的な説明図である。
図39の(a)は、図35の(a)と同じ、波長IR1の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR1である。図39の(b)は、図35の(b)と同じ、波長IR2の赤外光を投光しているタイミングで生成された映像データの任意のフレームFmIR2である。
図39の(c)は、フレームFmIR1内のRの画素のみを抽出した状態を概念的に示している。図39の(d)は、フレームFmIR1内のBの画素のみを抽出した状態を概念的に示している。
図39の(e)は、フレームFmIR2内のRの画素のみを抽出した状態を概念的に示している。図39の(f)は、フレームFmIR2内のBの画素のみを抽出した状態を概念的に示している。
図39の(g)は、第2の例における判定部78の概念的なブロック図である。図39の(g)に示すように、判定部78は、平均値化部784,785と差分演算部786,787と比較部788とを有する。
それぞれ2つの平均値化部784,785は、フレームFmIR1のR,Bの画素データが入力されるタイミングでの平均値化部784,785と、フレームFmIR2のR,Bの画素データが入力されるタイミングでの平均値化部784,785とを別々に図示したものである。
平均値化部784は、フレームFmIR1の1フレーム内のRの画素データを平均値化して平均値Rave(IR1)を生成する。平均値化部785は、フレームFmIR1の1フレーム内のBの画素データを平均値化して平均値Bave(IR1)を生成する。
平均値化部784は、フレームFmIR2の1フレーム内のRの画素データを平均値化して平均値Rave(IR2)を生成する。平均値化部785は、フレームFmIR2の1フレーム内のBの画素データを平均値化して平均値Bave(IR2)を生成する。
Rの画素データの平均値Rave(IR1),Rave(IR2)を生成するタイミングと、Bの画素データの平均値Bave(IR1),Bave(IR2)を生成するタイミングとをずらすことにより、平均値化部を1つのみとしてもよい。この場合、先に生成した平均値を一時的に保持しておく。
平均値Rave(IR1),Bave(IR1)と平均値Rave(IR2),Bave(IR2)とは、差分演算部786に入力される。2つの差分演算部786は、平均値Rave(IR1),Bave(IR1)が入力されるタイミングでの差分演算部786と、平均値Rave(IR2),Bave(IR2)が入力されるタイミングでの差分演算部786とを別々に図示したものである。
差分演算部786は、平均値Rave(IR1)と平均値Bave(IR1)との差分を演算して差分値Vdf1を生成する。差分演算部786は、平均値Rave(IR2)と平均値Bave(IR2)との差分を演算して差分値Vdf2を生成する。図示していないが、差分値Vdf1,Vdf2は絶対値回路によって絶対化されて、差分演算部787に入力される。
差分演算部787は、差分値Vdf1と差分値Vdf2との差分を演算して差分値Vdf12を生成する。図示していないが、差分値Vdf12は絶対値回路によって絶対化されて、比較部788に入力される。
比較部788は、差分値Vdf12と閾値Th20とを比較して、差分値Vdf12が閾値Th20以下であれば可視光が主であることを示し、差分値Vdf12が閾値Th20を超えれば赤外光が主であることを示す判定データDdet2を生成する。判定データDdet2も2値データでよい。判定データDdet2は、色ゲイン制御部79へと入力される。
図40は、可視光が主の状態を示している。図40の(a),(b)は、図33の(a),(b)と同じである。図40の(c)は、図40の(b)に示す露光に基づいて生成されるフレームを示している。図8で説明したように、図40の(b)の露光と図40の(c)に示すフレームとのタイミングはずれるが、ここでは、タイミングの違いを無視して時間方向(左右方向)の位置を一致させた状態を図示している。
可視光が主の状態では図33で説明したように撮像部3の露光量AepR,AepG,AepBはほぼ一定の値であり、波長IR1〜IR3におけるR,G,Bの感度差の影響をほとんど受けない。
よって、図40の(d)に示すように、フレームFmIR1のタイミングで生成される差分値Vdf1とフレームFmIR2のタイミングで生成される差分値Vdf2とはほぼ同じ値となる。従って、差分値Vdf12は小さな値となる。
図40の(d)では、差分値Vdf1,Vdf2を、便宜上、フレームFmIR1,FmIR2のそれぞれのフレーム期間に渡るように記載している。実際には、差分値Vdf1,Vdf2は、判定部78にフレームFmIR1,FmIR2の画素データが入力された後の所定のタイミングで生成される。
図41は、赤外光が主の状態を示している。図41の(a)〜(c)は、図40の(a)〜(c)と同じである。赤外光が主の状態では、波長IR1〜IR3におけるR,G,Bの感度差の影響を受ける。
よって、図41の(d)に示すように、フレームFmIR1のタイミングで生成される差分値Vdf1とフレームFmIR2のタイミングで生成される差分値Vdf2とは値が大きく異なる。従って、差分値Vdf12は大きな値となる。
図42のフローチャートを用いて、判定部78の動作をさらに説明する。図42において、判定部78は、ステップS301にて、フレームFmIR1の生成タイミングであるか否かを判定する。
フレームFmIR1の生成タイミングであれば(YES)、判定部78は、ステップS302にて、フレームFmIR1のRの画素データを平均値化して平均値Rave(IR1)を生成する。判定部78は、ステップS303にて、フレームFmIR1のBの画素データを平均値化して平均値Bave(IR1)を生成する。
判定部78は、ステップS304にて、平均値Rave(IR1)と平均値Bave(IR1)との差分を演算して差分値Vdf1を生成する。
一方、ステップS301にてフレームFmIR1の生成タイミングでなければ(NO)、判定部78は、ステップS305にて、フレームFmIR2の生成タイミングであるか否かを判定する。
フレームFmIR2の生成タイミングであれば(YES)、判定部78は、ステップS306にて、フレームFmIR2のRの画素データを平均値化して平均値Rave(IR2)を生成する。判定部78は、ステップS307にて、フレームFmIR2のBの画素データを平均値化して平均値Bave(IR2)を生成する。
判定部78は、ステップS308にて、平均値Rave(IR2)と平均値Bave(IR2)との差分を演算して差分値Vdf2を生成する。
ステップS305にてフレームFmIR2の生成タイミングでなければ(NO)、判定部78は、処理をステップS301に戻す。
判定部78は、ステップS309にて、差分値Vdf1と差分値Vdf2との差分を演算して差分値Vdf12を生成する。判定部78は、ステップS310にて、差分値Vdf12が閾値Th20以下であるか否かを判定する。
差分値Vdf12が閾値Th20以下であれば(YES)、判定部78は、ステップS311にて、可視光が主であると判定して、処理をステップS301に戻す。差分値Vdf12が閾値Th20以下でなければ(NO)、判定部78は、ステップS312にて赤外光が主である判定して、処理をステップS101に戻す。以下、同様の処理を繰り返す。
色ゲイン制御部79は、図37のステップS201にて、入力された判定データDdet2に基づいて可視光が主であるか否かを判定する。
可視光が主であれば(YES)、色ゲイン制御部79は、第1の組の色ゲインを選択するよう色ゲイン設定部62を制御して、処理をステップS201に戻す。
可視光が主でなければ(NO)、色ゲイン制御部79は、第2の組の色ゲインを選択するよう色ゲイン設定部62を制御して、処理をステップS201に戻す。以下、同様の処理を繰り返す。
<光量の主従関係の判定に応じた映像信号処理方法>
図43を用いて、図1に示す撮像装置で実行される光量の主従関係の判定に応じた映像信号処理方法を改めて説明する。
図43において、撮像部3は、ステップS501にて、赤外線投光器9によって波長IR1,IR2,IR3の赤外光が選択的に投光されている状態で被写体を撮像して、R,G,Bのそれぞれに対応した撮像信号を生成する。
映像処理部5は、ステップS502にて、撮像信号に基づいて、R,G,Bの3原色データを生成する。判定部78は、ステップS503にて、周囲環境の可視光の量と赤外線投光器9によって投光される赤外光の量との主従関係を判定する。
色ゲイン制御部79は、ステップS504にて、可視光が主であれば(YES)、第1の組の色ゲインを選択するよう色ゲイン設定部62を制御する。よって、映像出力部6は、ステップS505にて、3原色データに第1の組の色ゲインを乗じた映像信号を出力する。
色ゲイン制御部79は、ステップS504にて、可視光が主でなければ(NO)、第2の組の色ゲインを選択するよう色ゲイン設定部62を制御する。よって、映像出力部6は、ステップS506にて、3原色データに第2の組の色ゲインを乗じた映像信号を出力する。
ステップS504〜S506の処理によって、撮像装置は、判定された主従関係に従って、3原色データに乗じる色ゲインの複数の組のうちのいずれかの組を選択し、選択された組の色ゲインを前記3原色データに乗じた映像信号を出力する。
撮像装置が中間モードに設定されているとき、ステップS501〜S506の処理が繰り返される。
<光量の主従関係の判定を含む撮像装置の動作を制御する映像信号処理プログラム>
図44を用いて、光量の主従関係の判定を含む撮像装置の動作をコンピュータプログラムによって制御する場合の映像信号処理プログラムを説明する。
図44において、映像信号処理プログラムは、ステップS601にて、コンピュータに、赤外線投光器9によって波長IR1,IR2,IR3の赤外光が選択的に投光されている状態で被写体を撮像することによって生成されたR,G,Bのそれぞれに対応した撮像信号に基づく映像データを取得する処理を実行させる。
映像信号処理プログラムは、ステップS602にて、コンピュータに、映像データに基づいて、周囲環境の可視光の量と赤外線投光器9によって投光される赤外光の量との関係を判定する処理を実行させる。図示していないが、判定結果はコンピュータに一時的に保持される。
映像信号処理プログラムは、ステップS603にて、コンピュータに、保持された判定結果を確認する処理を実行させる。
可視光が主であれば(YES)、映像信号処理プログラムは、ステップS604にて、コンピュータに、色ゲイン設定部62が映像データに基づいて生成される3原色データに乗じる色ゲインの組を第1の組とするよう、色ゲイン設定部62を制御する処理を実行させる。
可視光が主でなければ(NO)、映像信号処理プログラムは、ステップS605にて、コンピュータに、色ゲイン設定部62が映像データに基づいて生成される3原色データに乗じる色ゲインの組を第2の組とするよう、色ゲイン設定部62を制御する処理を実行させる。
ステップS603〜S605によって、映像信号処理プログラムは、コンピュータに、色ゲイン設定部62が3原色データに乗じる色ゲインの組を、判定された主従関係に従って、色ゲインの複数の組のうちからいずれかを選択するよう、色ゲイン設定部62を制御する処理を実行させている。
撮像装置が中間モードに制御されているとき、映像信号処理プログラムは、コンピュータに、ステップS601〜S605の処理が繰り返し実行させる。
光量の主従関係の判定を含む撮像装置の動作を制御する映像信号処理プログラムも同様に、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されたコンピュータプログラムであってよい。この映像信号処理プログラムも記録媒体に記録された状態で提供されてもよいし、ネットワークを介して提供されてもよい。
<色ゲインの組の切換例>
図45を用いて、色ゲイン設定部62が用いる色ゲインの組がどのように切り換えられるかについて説明する。図45の(a),(b)は、図22の(a),(b)と同じである。
通常モードでは可視光が主であるので、色ゲイン設定部62が用いる色ゲインの組は第1の組で固定である。暗視モードでは赤外光が主であるので、色ゲイン設定部62が用いる色ゲインの組は第2の組で固定である。色ゲイン設定部62は、モード切換部72によるモード切換の状態に応じて、第1の組と第2の組とを選択すればよい。
中間モードでは、上述した判定方法の第1または第2の例による判定結果に従って、可視光が比較的多い状態では第1の組が選択され、赤外光が比較的多い状態では第2の組が選択される。
よって、色ゲイン設定部62は、通常モードから中間モードへ、中間モードから暗視モードへと移行したとき、中間モードの途中まで第1の組を用い、中間モードの途中以降、第2の組を用いることになる。
図45の(c)では、便宜的に、中間モードの期間を2分割して、通常モード側を第1の組、暗視モードを第2の組としている。実際に、第1の組が選択する状態から第2の組を選択する状態へと切り換わるタイミングは、閾値Th10,Th20の値の設定の仕方やその他の各種の条件に応じて決まる。
色ゲイン設定部62に色ゲインの組を少なくとも3組保持させておき、暗視モードで用いる色ゲインの組を、中間モードで用いる第2の組とは異なる第3の組としてもよい。
以上説明した光量の主従関係の判定結果を用いて、中間モードと暗視モードとを切り換えるように構成することも可能である。可視光が主である図33,図40の状態では中間モードとし、赤外光が主である図34,図40の状態では暗視モードとしてもよい。
ところで、可視光が主で、赤外光が従である状態とは、必ずしも可視光が赤外光よりも多い状態とは限らない。赤外光が主で、可視光が従である状態とは、必ずしも赤外光が可視光も多い状態とは限らない。可視光と赤外光との関係は、可視光と赤外光との特定の比率を基準して決定する必要はない。例えば、生成される映像信号がより高画質となるように可視光と赤外光との関係を決定すればよい。
本発明は以上説明した本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、図1に示す撮像装置において、赤外線投光器9を撮像装置の筐体と着脱自在にしてもよい。赤外線投光器9を、撮像装置外部の構成としてもよい。撮像装置は、赤外線投光器9を装着したときに、赤外線投光器9を制御する構成を有すればよい。
可視光と赤外光との関係をそれぞれの光量を測定してもよい。判定部78による主従関係の判定とは、光量を測定した測定結果に基づく場合を含む。上述した映像信号に基づく主従関係の判定では、被写体付近の可視光と赤外光との関係を反映しやすい。よって、映像信号に基づく主従関係の判定の方が光量の測定結果に基づく主従関係の判定よりもよい。
また、制御部7は、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係に応じて種々のパラメータを変化させてもよい。本実施形態は、色ゲインに限らず、撮像部3によって撮像した撮像信号を画像処理するための種々のパラメータを変化させる技術に適応可能である。
制御部7は、周囲環境の可視光の量と赤外光の量との関係に応じて、種々の撮影モード間の切換を行ってもよい。本実施形態は、中間モードや暗視モードに限らず公知の種々の撮影モード間の切換制御に適応可能である。本実施形態は、赤外光を用いた他の撮像技術にも適用可能である。
さらに、制御部7や映像処理部5は、1または複数のハードウェアのプロセッサ(CPU)を用いて実現することができる。ハードウェアとソフトウェアとの使い分けは任意である。ハードウェアのみで撮像装置を構成してもよいし、一部の構成をソフトウェアで実現してもよい。