JP6260186B2 - 安全運転度判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、安全運転度判定装置に関するものである。
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この文献には、交差点進入時の加速度等を計測し、計測したデータと安全基準データとの比較から運転技術を診断するものが開示されている。
特許第3593502号公報
上記特許文献1に記載の技術では、交差点を右左折するときの運転診断を、全ての交差点の走行データを用いて行っているため、走行データのばらつきが大きくなり、精度の高い運転診断を行うことができなかった。
本発明は、上記問題に着目されたもので、その目的とするところは、交差点における運転者の安全運転度の診断を精度良く行うことができる安全運転度判定装置を提供することである。
上記課題を解決するために本発明では、自車両の交差点の通過特性値を交差点の曲率半径と対応付けて記録し、記録している設定期間の交差点の通過特性値に基づき、交差点の曲率半径の分類ごとに運転者の安全運転度を判定するようにした。
よって、交差点における運転者の安全運転度の診断の精度を高めることができる。
実施例1の安全運転度判定装置のブロック図である。 実施例1のコントローラにおいて実行される交差点安全運転度判定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1の交差点の曲率半径の特定方法を説明する図である。 実施例1の交差点通過特性値の計算方法を示す図である。 実施例1の交差点通過特性値の頻度分布を示すグラフである。 実施例1の交差点通過特性値代表値と安全運転度との関係を示すグラフである。 実施例2の交差点通過特性値の計算方法を示す図である。 実施例3のコントローラにおいて実行される交差点安全運転度判定処理の流れを示すフローチャートである。 実施例3の特異性の高い交差点の特定方法を示す図である。 実施例4の交差点曲率半径の平均値と標準偏差の関係を示した図である。
〔実施例1〕
実施例1の安全運転度判定装置20について説明する。
[全体構成]
図1は安全運転度判定装置20のブロック図である。
安全運転度判定装置20は、速度検出部1、ヨーレート検出部2、加速度検出部3、車両位置検出部4、地図データベース5、コントローラ6、報知部12、Read OnlY MemorY(以下、ROM)13、Random Access MemorY(以下、RAM)14を有している。これらは自車両に搭載されている。
速度検出部1は、自車両の現在の速度Vを検出し、検出した現在の速度Vの情報をコントローラ6に出力する。速度検出部1としては、例えば、自車両の車輪の回転数等を基に車速を検出する車速センサを採用する。
ヨーレート検出部2は、自車両の現在のヨーレートYを検出し、検出した現在のヨーレートYの情報をコントローラ6に出力する。ヨーレート検出部2としては、例えば、自車両の旋回方向への挙動を検出するヨーレートセンサを採用する。
加速度検出部3は、自車両の現在の加速度aを検出し、検出した現在の加速度aの情報をコントローラ6に出力する。加速度検出部3としては、例えば車両にかかる前後加速度、減速度、横加速度を検出することができる加速度センサを用いている。
車両位置検出部4は、自車両の現在位置を検出し、検出した自車両の現在位置情報をコントローラ6に出力する。車両位置検出部4としては、例えば、Global Positioning SYstem(以下、GPS)受信機を用いている。
地図データベース5は、道路情報、交差点等の地図情報を記録している。道路情報としては、例えば、道幅、車線数、交差道路との交差角度、道路線形(カーブ等)の情報を含む。
[コントローラの構成]
コントローラ6は、交差点安全運転度判定部として構成され、交差点右左折進入判定部7、交差点曲率半径判定部8、交差点通過特性値演算部9、交差点通過特性値記録部10、安全運転度判定部11を有している。
交差点右左折進入判定部7は、ヨーレート検出部2で検出した自車両のヨーレートYと、車両位置検出部4で検出した自車両の現在位置の情報と、地図データベース5の交差点情報とに基づき、交差点への右左折進入を判定し、その情報を交差点曲率半径判定部8に出力する。
交差点曲率半径判定部8は、地図データベース5の情報に基づき、右左折進入した交差点の曲率半径を判定し、その情報を交差点通過特性値演算部9に出力する。
交差点通過特性値演算部9は、交差点への右左折進入の情報を受けて、速度、ヨーレート、加速度等の交差点通過特性値Iaの演算を行い、演算された交差点通過特性値Iaの情報を、交差点の曲率半径と対応付けて、交差点通過特性値記録部10に出力する。
交差点通過特性値記録部10は、交差点通過特性値Iaの情報を、交差点の曲率半径と対応付けて記録する。交差点通過特性値記録部10としては、例えば、ハードディスクやRAMを用いる。
安全運転度判定部11は、交差点通過特性値記録部10に交差点の曲率半径と対応付けて記録された交差点通過特性値Iaを設定期間分読み出し、交差点の曲率半径の分類ごとに運転者の安全運転度の判定を行う。また、判定された安全運転度の情報に基づき、自車両の運転者の安全運転度の判定結果を報知させる報知指令を報知部12に出力する。
報知部12は、安全運転度判定部11から出力された、報知指令に基づき、自車両の運転者の安全運転度の判定結果を報知する。報知部12は、例えば、モニタやスピーカを用いて信号音、音声、映像等で報知を行う。
[交差点安全運転度判定処理]
図2は、コントローラ6において実行される交差点安全運転度判定処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1では、交差点右左折進入判定部7において、車両位置検出部4で検出した自車両の現在位置と、地図データベース5の交差点情報に基づき、自車両が交差点に接近進入したか否かを判定する。具体的には、自車両が交差点の予め設定した範囲内(例えば、交差点中心から半径30[m]の範囲内)に入ったか否かで交差点への接近進入を判定する。自車両が交差点の設定範囲内に入ったと判定した場合には(Yes)、ステップS2に移行する。自車両が交差点の設定範囲外にいると判定した場合(No)には、交差点に接近していないと判定し、この判定を再度実行する。
ステップS2では、交差点曲率半径判定部8において、自車両が交差点に進入する際の速度の時系列データV(t)、ヨーレートYの時系列データY(t)および加速度aの時系列データa(t)を記録して、ステップS3に移行する。具体的には、交差点曲率半径判定部8は、まず、ステップS1で自車両が交差点に接近したと判定された時刻t1から、時系列データV(t)、時系列データY(t)および時系列データa(t)の記録を開始する。時系列データV(t)、時系列データY(t)および時系列データa(t)のサンプリング時間は、例えば、10[msec]とする。続いて、交差点曲率半径判定部8は、自車両が交差点を通過し終えたか否かを判定し、通過し終えたと判定した時刻t2において時系列データV(t)、時系列データY(t)および時系列データa(t)の記録を終了し、ステップS3に移行する。自車両が交差点を通過し終えていないと判定した場合には、この判定を再度実行する。
ステップS3では、交差点曲率半径判定部8において、自車両が交差点に進入した時刻t1から通過した時刻t2までのヨーレートYの時系列データY(t)の記録から、自車両が交差点において右左折を行ったか否かを判定する。具体的には、時刻tにおける時系列データY(t)の絶対値が設定値Ys以上か否かを判定する。時系列データY(t)の絶対値のうち、いずれかの値が設定値Ys以上であるとき(Yes)には、ステップS4に移行する。時系列データY(t)の絶対値の全ての値が設定値Ys未満のとき(No)には、ステップS1に移行し、最初から処理を実行する。また時系列データY(t)の符号(+,-)で右折または左折の区別を行う。
ステップS4では、交差点曲率半径判定部8において、交差点の曲率半径Rnを特定して、ステップS5に移行する。実施例1では、地図データベース5の道路幅と車線数の情報を用いて、右折または左折を区別し、交差点の曲率半径Rnを特定する。
図3は交差点の曲率半径Rnの特定方法を説明する図である。図3(a)は車線区分のない道路同士の交差点に右左折進入する状況を示す。図3(b)は片側1車線の道路同士の交差点に右左折進入する状況を示す。図3(c)は片側2車線の道路同士の交差点にそれぞれ右左折進入する状況を示す。ここで自車両が走行してきた道路を流入側道路、右左折後に走行する道路を流出側道路と定義する。流入側道路の道幅をdin、流出側道路の道幅をdoutとすると、車線区分なし道路(A)、片側1車線道路(B)、片側2車線道路(C)における、左折または右折時の曲率半径はそれぞれ以下のように求めることができる。
(A) 車線区分なしの道路の左折時曲率半径Rh/右折時曲率半径Rm
Figure 0006260186
(B) 片側1車線道路の左折時曲率半径Rh1/右折時曲率半径Rm1
Figure 0006260186
Figure 0006260186
(C) 片側2車線道路の左折時曲率半径Rh2/右折時曲率半径Rm2
Figure 0006260186
Figure 0006260186
ステップS5では、交差点通過特性演算部9において、自車両が交差点に接近した時刻t1から通過し終えた時刻t2までの速度V、ヨーレートYおよび加速度a(走行情報)の時系列データV(t)、時系列データY(t)、時系列データa(t)の記録から交差点通過特性値Iaを計算してステップS6へ移行する。
図4は交差点通過特性値Iaの計算方法を示す図である。図4(a)は自車両が交差点に右左折進入する状況を示す図である。図4(b)は交差点進入時のヨーレートYの時系列グラフである。図4(c)は交差点進入時の速度Vの時系列グラフをである。
図4(d)は交差点進入時の加速度aの時系列グラフをである。ヨーレートYについては、図4(b)に示すように、時刻t1から時刻t2までの間の最大ヨーレートYmaxを交差点通過特性値として求める。速度Vについては、図4(c)に示すように、右左折時(ヨーレート発生区間)の最低速度Vmin、またはヨーレート最大時の速度Vを交差点通過特性値として求める。加速度については、図4(d)に示すように、右左折時(ヨーレート発生区間)の最大加速度Gmax、時刻t1から時刻t2までの間の最大減速度-Gmax、または絶対値が所定値as以上の加速度となっている部分の加速度積分値を交差点通過特性値として求める。
ステップS6では、ステップS4で計算した交差点曲率半径Rnと対応付けて、ステップS5で計算した交差点通過特性値Iaを、交差点通過特性値記録部10に記録して、ステップS7へ移行する。
ステップS7〜ステップS10の処理は、安全運転度判定部11において行われる。
ステップS7では、交差点通過特性値記録部10に記録された設定期間の交差点通過特性値Iaのデータを抽出して、ステップS8へ移行する。設定期間とは、予め決められた期間であり、例えば、自車両を運転し始めて終るまでを設定期間としても良いし、自車両を運転し始めて終るまでの一部の時間を設定期間としても良いし、予め決めた時間、日数を設定期間としても良い。つまり、設定期間は交差点通過ごとの交差点通過特性値Iaのデータ数をある程度、収集するために設定した期間である。
ステップS8では、交差点曲率半径Rnに対応付けられている交差点通過特性値Iaのデータのから交差点曲率半径Rnの分類ごとの分布を求め、この分布から自車両の運転者の交差点通過特性値Iaの代表値として75%タイル値IAを抽出してステップS9へ移行する。
図5は交差点通過特性値Iaの頻度分布を示すグラフである。具体的には、図5に示すように、交差点曲率半径Rnの分類ごとに交差点通過特性値Ia(ヨーレートY、速度V、加速度aなど)を集計し、頻度分布を求める。交差点通過特性値Iaの頻度分布から、危険側の75%タイルに位置する交差点通過特性値Iaを運転者の運転行動指標とする。
ステップS9では、交差点通過特性値Ia代表値IA(交差点通過特性値代表値IA)に基づき、運転者の安全運転度を判定して、ステップS10に移行する。図6は交差点通過特性値代表値IAと安全運転度との関係を示すグラフである。図6の関係図に、運転者ごとの交差点通過特性値代表値IAを当てはめ、運転者の安全運転度を判定する。
ステップS10では、報知部12において、安全運転度の判定結果を運転者に報知する。
[交差点安全運転度判定動作]
自車両が交差点に接近していないときには、ステップS1の処理を繰り返す。
自車両が交差点に接近したときには、ステップS1→ステップS2へと進む。自車両が交差点に接近したと判定された時刻t1から、交差点を通過し終えたと判定した時刻t2までの間、速度の時系列データV(t)、ヨーレートYの時系列データY(t)および加速度aの時系列データa(t)を記録する。
自車両が右左折したと判定されるとステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6へと進み、交差点曲率半径Rnと対応付けて交差点通過特性値Iaを記録する。設定期間において交差点通過特性値Iaを記録すると、ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS10へと進む。設定期間の交差点通過特性値Iaから求めた交差点通過特性値代表値IAに基づいて運転者の安全度を判定し、判定結果を報知部12により報知する。
[作用]
交差点における右左折時の走行状態は、車線数、道路の交差角度、交通量などに影響を受ける。交差点の状況に関わらず、交差点の走行状態を用いて安全運転度を判定しようとすると精度の高い判定を行うことができなかった。また、運転者が特定の状況の交差点を多く通行する場合には検出できる走行状態が偏り、安全運転度が高い運転者に対して安全運転度が低いと判定するなど誤判定するおそれがあった。
そこで実施例1では、右左折する交差点の曲率半径を交差点曲率半径判定部8において判定し、交差点通過時の自車両の走行状態に基づき、右左折する交差点通過特性値Iaを交差点通過特性演算部9において演算し、交差点通過特性値Iaを、交差点の曲率半径と対応付けて交差点通過特性値記録部10に記録し、安全運転度判定部11において、設定期間の交差点通過特性値に基づき、交差点の曲率半径の分類ごとに運転者の安全運転度を判定するようにした。これにより、交差点の曲率半径による交差点通過特性の違いを考慮して交差点右左折時の運転者の安全運転度を判定することができ、判定精度を高めることができる。
また実施例1では、交差点の曲率半径を地図データベース5の情報(道幅や車線数)に基づいて判定するようにした。これにより、交差点の曲率半径を高精度に特定することができる。
[効果]
(1) 自車両の走行状態を検出する速度検出部1、ヨーレート検出部2、加速度検出部3(走行状態検出部)と、自車両位置の情報を検出する車両位置検出部4と、車両位置検出部が検出した自車両位置に基づき、自車両が交差点に進入し、右左折したか否かを判定する交差点右左折進入判定部7と、交差点右左折進入判定部7が自車両が交差点を右左折すると判定した際に、右左折する交差点の曲率半径を判定する交差点曲率半径判定部8と、速度検出部1、ヨーレート検出部2、加速度検出部3が検出した自車両の走行状態に基づき、右左折する交差点通過特性値Iaを演算する交差点通過特性値演算部9と、交差点通過特性値Iaを、交差点の曲率半径と対応付けて記録する交差点通過特性値記録部10と、交差点通過特性値記録部10で記録している設定期間の交差点通過特性値Iaに基づき、交差点の曲率半径の分類ごとに運転者の安全運転度を判定する安全運転度判定部11と、を備えた。
よって、交差点の曲率半径による交差点通過特性の違いを考慮して交差点右左折時の運転者の安全運転度を判定することができ、判定精度を高めることができる。
(2) 道路地図情報を有する地図データベース5を備え、交差点曲率半径判定部8は、地図データベース5の情報に基づいて、右左折する交差点の曲率半径Rnを判定するようにした。
よって、交差点の曲率半径を高精度に特定することができる。
〔実施例2〕
実施例2の安全運転度判定装置20について説明する。実施例2は交差点曲率半径判定部8における交差点の曲率半径Rnの特定方法が実施例1と異なる。実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図7は交差点の曲率半径Rnの特定方法を説明する図である。図7(a)は自車両が交差点に右左折進入する状況を示す図である。図7(b)は交差点進入時のヨーレートYの時系列グラフである。図7(c)は交差点進入時の速度Vの時系列グラフである。ヨーレートについては、図7(b)に示すように、自車両が交差点に進入した時刻t1から通過した時刻t2までの間の最大ヨーレートYmax[rad/s]を求める。速度については、図7(c)に示すように、ヨーレート最大時の速度V(Ymax)[m/s]を求める。これらの値を用いて、右折時または左折時の交差点の曲率半径Rnは、次の式(6)により求めることができる。
Figure 0006260186
[作用]
実施例2では、ヨーレートYと自車両の速度Vとに基づいて、右左折する交差点の曲率半径を判定するようにした。これにより、自車両の実際の走行状態に基づいて交差点の曲率半径を特定することができるため、交差点の曲率半径を高精度に特定することができる。
[効果]
(3) 交差点曲率半径判定部8は、ヨーレート検出部2で検出されたヨーレートYと速度検出部1で検出された自車両の速度Vとに基づいて、右左折する交差点の曲率半径Rnを判定するようにした。
よって、交差点の曲率半径を高精度に特定することができる。
〔実施例3〕
実施例3の安全運転度判定装置20について説明する。実施例3はコントローラ6において実行される交差点安全運転度判定処理が実施例1と異なる。実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
[交差点安全運転度判定処理]
図8は、コントローラ6において実行される交差点安全運転度判定処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS11では、交差点右左折進入判定部7において、車両位置検出部4で検出した自車両の現在位置と、地図データベース5の交差点情報に基づき、自車両が交差点に接近進入したか否かを判定する。具体的には、自車両が交差点の予め設定した範囲内(例えば、交差点中心から半径30[m]の範囲内)に入ったか否かで交差点への接近進入を判定する。自車両が交差点の設定範囲内に入ったと判定した場合には(Yes)、ステップS12に移行する。自車両が交差点の設定範囲外にいると判定した場合(No)には、交差点に接近していないと判定し、この判定を再度実行する。
ステップS12では、交差点曲率半径判定部8において、自車両が交差点に進入する際の速度の時系列データV(t)、ヨーレートYの時系列データY(t)および加速度aの時系列データa(t)を記録して、ステップS13に移行する。具体的には、交差点曲率半径判定部8は、まず、ステップS11で自車両が交差点に接近したと判定された時刻t1から、時系列データV(t)、時系列データY(t)および時系列データa(t)の記録を開始する。時系列データV(t)、時系列データY(t)および時系列データa(t)のサンプリング時間は、例えば、10[msec]とする。続いて、交差点曲率半径判定部8は、自車両が交差点を通過し終えたか否かを判定し、通過し終えたと判定した時刻t2において時系列データV(t)、時系列データY(t)および時系列データa(t)の記録を終了し、ステップS13に移行する。自車両が交差点を通過し終えていないと判定した場合には、この判定を再度実行する。
ステップS13では、交差点曲率半径判定部8において、自車両が交差点に進入した時刻t1から通過した時刻t2までのヨーレートYの時系列データY(t)の記録から、自車両が交差点において右左折を行ったか否かを判定する。具体的には、時刻tにおける時系列データY(t)の絶対値が設定値Ys以上か否かを判定する。時系列データY(t)の絶対値のうち、いずれかの値が設定値Ys以上であるとき(Yes)には、ステップS14に移行する。時系列データY(t)の絶対値の全ての値が設定値Ys未満のとき(No)には、ステップS11に移行し、最初から処理を実行する。また時系列データY(t)の符号(+,-)で右折または左折の区別を行う。
ステップS14では、交差点曲率半径判定部8において、交差点の曲率半径Rnを特定と特異性の高い交差点を特定して、ステップS15に移行する。特異性の高い交差点とは、交差する道路の角度が鈍角である交差点(鈍角交差点)、カーブに近接する交差点(カーブ近接交差点)など、出現率の低い特異な交差点のことを示す。交差点の曲率半径Rnの特定は実施例1または実施例2の特定方法を用いる。
実施例3では、地図データベース5の交差する道路の交差角度と交差点周囲の道路線形状の情報を用いて特異性の高い交差点を特定する。図9は特異性の高い交差点の特定方法を示す図である。図9(a)は自車両が鈍角交差点に右折進入する状況を示す図である。図9(b)は自車両がカーブ近接交差点に右折進入する状況を示す図である。ここで、自車両が走行してきた道路を流入側道路、右折後に走行する道路を流出側道路と定義する。
図9(a)に示すように、流入側道路の交差点に対する方位角と、流出側道路の交差点に対する方位角から、右折時の交差角度θが求められる。交差角度θが所定値以上であるとき、右折時の鈍角交差点と判定される。また図9(b)に示すように、流入側道路または流出側道路の交差点付近の道路線形が、直線でないとき、具体的には所定の半径以上の道路であるときカーブ近接交差点と判定される。
ステップS15では、交差点通過特性演算部9において、自車両が交差点に接近した時刻t1から通過し終えた時刻t2までの速度V、ヨーレートYおよび加速度a(走行情報)の時系列データV(t)、時系列データY(t)、時系列データa(t)の記録から交差点通過特性値Iaを計算してステップS16へ移行する。
ステップS16では、ステップS14で計算した交差点曲率半径Rnと特定した特異性の高い交差点の情報とを対応付けて、ステップS15で計算した交差点通過特性値Iaを、交差点通過特性値記録部10に記録して、ステップS17へ移行する。
ステップS17〜ステップS20の処理は、安全運転度判定部11において行われる。
ステップS17では、交差点通過特性値記録部10に記録された設定期間の交差点通過特性値Iaのデータを抽出して、ステップS18へ移行する。このとき、特異性の高い交差点と対応付けられた交差点通過特性値Iaは除外する。
ステップS18では、交差点曲率半径Rnに対応付けられている交差点通過特性値Iaのデータのから交差点曲率半径Rnの分類ごとの分布を求め、この分布から自車両の運転者の交差点通過特性値Iaの代表値として75%タイル値IAを抽出してステップS19へ移行する。
ステップS19では、交差点通過特性値Ia代表値IA(交差点通過特性値代表値IA)に基づき、運転者の安全運転度を判定して、ステップS20に移行する。
ステップS20では、報知部12において、安全運転度の判定結果を運転者に報知する。
[交差点安全運転度判定動作]
自車両が交差点に接近していないときには、ステップS11の処理を繰り返す。
自車両が交差点に接近したときには、ステップS11→ステップS12へと進む。自車両が交差点に接近したと判定された時刻t1から、交差点を通過し終えたと判定した時刻t2までの間、速度の時系列データV(t)、ヨーレートYの時系列データY(t)および加速度aの時系列データa(t)を記録する。
自車両が右左折したと判定されるとステップS13→ステップS14→ステップS15→ステップS16へと進み、交差点曲率半径Rnと特異性の高い交差点の情報とを対応付けて交差点通過特性値Iaを記録する。設定期間において交差点通過特性値Iaを記録すると、ステップS17→ステップS18→ステップS19→ステップS20へと進む。設定期間の交差点通過特性値Ia(特異性の高い交差点と対応付けられたものを除く)から求めた交差点通過特性値代表値IAに基づいて運転者の安全度を判定し、判定結果を報知部12により報知する。
[作用]
実施例3では、特異性の高い交差点に対応付けられたものを除いた交差点通過特性値Iaから交差点通過特性値代表値IAを求めるようにした。鈍角交差点やカーブ近接交差点のように特異性の高い交差点での走行パターンは、他の交差点の走行パターンと極端に異なる、または走行パターンが安定しない。つまり、特異性の高い交差点では同じ運転者であっても交差点通過特性値Iaのばらつきが生じやすい。特異性の高い交差点に対応付けられた交差点通過特性値Iaを除外することで、ばらつきの少ないデータから交差点通過特性値代表値IAを求めることができ、安全運転度判定の精度を高めることができる。
また実施例3では、特異性の高い交差点を地図データベース5の情報(交差する道路の交差角度と交差点周囲の道路線形)に基づいて判定するようにした。これにより、特異性の高い交差点を高精度に特定することができる。
[効果]
(4) 交差点曲率半径判定部8は、特異性の高い交差点を特定し、安全運転度判定部11で、特異性の高い交差点を排除して、運転者の安全運転度を判定するようにした。
よって、ばらつきの少ないデータから安全運転度判定を行うことができ、判定精度を高めることができる。
(5) 交差点曲率半径判定部8は、特異性の高い交差点を地図データベース5の交差角度と交差点周囲の道路線形の情報とを用いて特定するようにした。
よって、特異性の高い交差点を高精度に特定することができる。
〔実施例4〕
実施例4の安全運転度判定装置20について説明する。実施例4は特異性の高い交差点を特定方法が実施例3と異なる。実施例1、実施例3と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図10は交差点進入時のヨーレートYと速度Vから求めた交差点曲率半径Rnの複数データ用い、交差点曲率半径Rnの平均値と標準偏差の関係を示した図である。図10に示すように、交差点曲率半径Rn平均値が所定値R2以上、または標準偏差が所定値Rσ以上となっている交差点は、特異性の高い交差点(鈍角交差点、カーブ近接交差点)であると判定することができる。実施例4では、交差点曲率半径Rn平均値と標準偏差とを用い特異性の高い交差点を特定する。
[作用]
実施例4では、交差点曲率半径Rn平均値と標準偏差とに基づいて、特異性の高い交差点を判定するようにした。これにより、自車両の実際の走行状態に基づいて特異性の高い交差点を特定することができるため、特異性の高い交差点を高精度に特定することができる。
[効果]
(6) 交差点曲率半径判定部8は、特異性の高い交差点を、ヨーレートYと速度Vとに基づいて判定される交差点曲率半径Rnの平均値とばらつきを用いて特定するようにした。
よって、特異性の高い交差点を高精度に特定することができる。
〔他の実施例〕
以上、本発明は上記実施例の構成に限らず、他の構成であっても構わない。
運転者の安全運転判定方法は、実施例1ないし実施例4で示した各方法を組み合わせて行っても良い。
実施例1ないし実施例4では、安全運転度判定部11を車両に搭載されたコントローラ6内部に設置したが、交差点通過特性値記憶部10を取り外し可能なハードディスクなどにすることで、安全運転度判定部11を車両の外部に設置することも可能である。この場合、管理者が、運転者の安全運転度の判定結果を把握し、運転者の安全運転教育に活用することもできる。
また、交差点通過特性値記憶部10と安全運転度判定部11を、データセンタに設置することも可能である。この場合、交差点通過特性値演算部9の演算結果は、通信手段を介して、車両からデータセンタに送信する。データセンタに設置された安全運転度判定部11で判定された運転者の安全運転度判定結果は、再び通信手段を介して、他の運転者と比較した位置づけとともに、データセンタから車両に送信する。
安全運転度の判定結果および他の運転者と比較した位置づけは、運転者自身に報知することも可能だが、管理者またはデータセンタが、これを保険会社に提供し、契約車両の保険料率の設定、割引に活用することも可能である。
実施例1ないし実施例4に記載した交差点通過特性値Iaは、独立行政法人産業技術総合研究所が提供する日本最大規模の運転行動データベースを使い、運転者のヒヤリハット発生率(相手がいるときの急ブレーキ頻度)と高い相関のあること、また特異性の高い交差点のデータを除くことで交差点全体のデータを用いて求めた交差点通過特性値Iaと比べて、相関が高いことが確認されている。
1 速度検出部(走行状態検出部)
2 ヨーレート検出部(走行状態検出部)
3 加速度検出部(走行状態検出部)
4 車両位置検出部
7 交差点右左折進入判定部
8 交差点曲率半径判定部
9 交差点通過特性値演算部
10 交差点通過特性値記録部

Claims (6)

  1. 自車両の走行状態を検出する走行状態検出部と、
    自車両位置の情報を検出する車両位置検出部と、
    前記車両位置検出部が検出した前記自車両位置に基づき、前記自車両が交差点に進入し、右左折したか否かを判定する交差点右左折進入判定部と、
    前記交差点右左折進入判定部が前記自車両が前記交差点を右左折すると判定した際に、右左折する前記交差点の曲率半径を判定する交差点曲率半径判定部と、
    前記走行状態検出部が検出した前記自車両の前記走行状態に基づき、前記右左折する交差点の通過特性値を演算する交差点通過特性値演算部と、
    前記交差点の通過特性値を、前記交差点の前記曲率半径と対応付けて記録する交差点通過特性値記録部と、
    前記交差点通過特性値記録部で記録している設定期間の交差点の通過特性値に基づき、前記交差点の前記曲率半径の分類ごとに運転者の安全運転度を判定する安全運転度判定部と、を備えたことを特徴とする安全運転度判定装置。
  2. 請求項1に記載の安全運転度判定装置において、
    道路地図情報を有する地図データベースを備え、
    前記交差点曲率半径判定部は、地図データベースの情報に基づいて、右左折する前記交差点の前記曲率半径を判定することを特徴とする安全運転度判定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の安全運転度判定装置において、
    前記走行状態検出部は、車両のヨーレートと速度とを検出する手段であり、
    前記交差点曲率半径判定部は、前記走行状態検出部で検出された前記ヨーレートと前記速度とに基づいて、右左折する前記交差点の前記曲率半径を判定することを特徴とする安全運転度判定装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の安全運転度判定装置において、
    前記交差点曲率半径判定部は、特異性の高い交差点を特定し、
    前記安全運転度判定部で、前記特異性の高い交差点を排除して、運転者の安全運転度を判定することを特徴とする安全運転度判定装置。
  5. 請求項4に記載の安全運転度判定装置において、
    前記交差点曲率半径判定部は、前記特異性の高い交差点を地図データベースの交差角度と交差点周囲の道路線形の情報とを用いて特定することを特徴とする安全運転度判定装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の安全運転度判定装置において、
    前記走行状態検出部は、車両のヨーレートと速度とを検出する手段であり、
    前記交差点曲率半径判定部は、前記特異性の高い交差点を、前記走行状態検出部で検出された前記ヨーレートと前記速度とに基づいて判定される交差点曲率半径の平均値とばらつきを用いて特定することを特徴とする安全運転度判定装置。
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