JP6260103B2 - 閉鎖形配電盤 - Google Patents

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この発明は、閉鎖された金属製筺体内に電気機器を収納して構成される閉鎖形配電盤に関する。
閉鎖形配電盤においては、外部から侵入した湿気が、盤内外の温度差によって導体や電気機器を支持する碍子等の絶縁物や、盤の内壁の表面に結露が生じることがある。絶縁物表面に結露が生じると、絶縁部の沿面で絶縁破壊が発生し、短絡事故に発展する危険がある。また、配電盤内の筺体内壁面に頻繁に結露が発生した場合、金属製筺体腐食が発生し、配電盤の寿命を低下させる可能性もある。配電盤が屋外に設置されている場合は、特に、冬季の積雪時には、配電盤の天井壁の温度低下が大きいため、天井壁に結露が発生しやすく、発生した結露水が内部の電気機器に付着して絶縁を阻害する危険もある。
このため、閉鎖形配電盤においては、内部で結露が発生するのを防止することが要求されている。
この要求に対して、従来は、一般に図3に示すように、配電盤1の筺体11内にスペースヒータ10を設置し、このヒータ10により配電盤1の筺体11の内室16を加熱して、筐体11内に設置された導体13やその他の図示しない電気機器およびこれらを支持する絶縁碍子14の表面並びに配電盤1の筺体11の壁面の温度を露点以下に低下しないようにすることにより結露の発生を防止している。
このような従来の配電盤においては、日照による輻射熱や、外気の温度上昇によって筺体11の内室16の温度が上昇するので、これが規定された温度以上になるのを防ぐために、配電盤の筺体11に通気口17、18を設け、内部に外気を通流して配電盤内部を冷却することが行われている。また、配電盤の定期的な点検のために、前面の扉12の開閉する際にも、盤内に多くの外気が進入し通流する。このように配電盤筺体内に通流する外気が多くの湿気を含んでいる場合は、配電盤筺体内の湿度が上昇し、露点が高くなるので設置したスペースヒータ12による加熱のみでは、配電盤の筺体内室16の全体の温度を露点以上に保つことが困難となり結露が発生するとい問題が生じる。
また、このような問題を解決するために、特許文献2に示されるように、配電盤内に吸湿剤を備えた吸湿装置を設け、これにより配電盤内を通流する外部から導入された空気中の水分(湿気)を吸収することにより配電盤内部の湿度を一定にして結露の発生を防止することも行われている。
しかし、このような吸湿装置は、吸湿剤の吸湿量が所定量に達すると、吸湿機能が低下するので、これを乾燥して吸湿機能を復活させるための装置やこれを制御する装置等を必要とするので構成が複雑で、価格も高くなるなどの不都合がある。
特開平10−215506号公報 特開平05‐336622号公報
前記のような不都合を解消するため、この発明は、構成が簡単で安価な手段では配電盤の内部の結露の発生を防止することのできる閉鎖形配電盤を提供することを課題とするものである。
この課題を解決するため、この発明は、閉鎖された筐体内に絶縁支持体を介して支持された電気導体や各種電気機器を収納してなる閉鎖型配電盤において、前記筐体に吸気口および排気口を設け、外気を冷却して除湿し、除湿し乾燥された外気を加熱して前記吸気口から前記筐体内に送る吸気路と、前記筐体内を通流する内気を前記排水口から外部へ排出する排気路とを有する除湿手段を設けたことを特徴とするものである。
この場合、除湿手段の冷却手段としては、ヒートポンプを使用し、このヒートポンプの吸熱端で外気を冷却して除湿を行い、放熱端で冷却除湿された外気の加熱を行うようにすることができる。
また、除湿手段により外気を除湿する際に生じる結露水の排出口を前記筺体の排気口付近に設けるのがよい。
この発明によれば、閉鎖形配電盤の筺体内に通流する外気を冷却することにより除湿して、乾燥させてから配電盤内に供給するだけの構成であるから、構成を簡単にすることができるとともに、配電盤の周囲の外気の湿度が高い場合でも配電盤の内室を通流する空気の湿度を低湿度に保つことができ、結露の発生を防止することができる。またこの時、除湿して温度の低下された外気を加熱して温度を高めてから配電盤内に供給するので、外気温度が低い場合でも、配電盤内が必要以上に冷却されて配電盤内温度が露点以下になることが防止されるので結露の発生を抑制することができる。
この発明の閉鎖形配電盤の実施例の構成を示す側面断面図である。 この発明に使用する除湿手段の構成を示すもので、図1II‐II線に沿う平面断面図である。 従来の閉鎖形配電盤の構成を示す側面断面図である。
この発明の実施の形態を図1および図2に示す実施例について説明する。
図1において、1は閉鎖された筐体11の内室に電気導体13および図示を省略している各種電気機器を収納して構成した閉鎖形配電盤である。電気導体13は、碍子などの絶縁支持物14を介して、取付板15に支持されている。筺体11の正面には、開閉可能に扉12が設けられ、背面には、外気を吸排しては筺体11の内室16内に外気を通流するための吸気口17および排気口18となる通気口が設けられている。これらの通気口17、18に連接して、外気を冷却して除湿する除湿装置2が設けられている。
除湿装置2は、上下に区分された吸気路21と排気路27を備える。吸気路21の入口21aは外気に開口し、出口21bは配電盤1の筺体11の吸気口17に連通されている。また、排気路27の入口27aは筺体11の排気口18に連通され、出口27bは外気に開口する。
除湿装置2の吸気路21内には、ヒートポンプを構成するペルチェ素子22が設けられている。このペルチェ素子22の吸熱端となる左端に冷却体23が結合され、放熱端となる右端に加熱体24が結合される。冷却体23および放熱体24は、図2に示すようにアルミニウム等の高熱伝導板に形成した多数の冷却フィン23aおよび加熱フィン24aを互いに通風路となる隙間をおいてに平行に配列して構成される。
冷却体23と加熱体24の間に、吸気路21の左端の入口21aから外気を吸い込んで、出口21bに連接された吸気口17から配電盤の筐体11の内室16に送り込む吸気ファン25を設置する。筐体11の排気口18に連接した排気路27内は、排気口18から筐体11の内室16の内気を吸い込んで外部へ排気する排気ファン28を設置する。
筺体11の吸気口17の内側に通風案内板26を設け、これによって、除湿装置2から吸気口17を通して筐体11の内室16に送風された外気が筐体の内室16の全体に還流されるように上方へ案内される。
除湿装置2の吸気路21と排気路27の間の仕切り壁の冷却体22の直下の部分を開口して、冷却体22で外気を冷却して除湿する際に外気中の湿気が凝縮されて発生する結露水を排気路27に排出すための結露水排出口29を形成する。さらに、この結露水排出口29の下方に結露水を排気路27の出口側へ案内する結露水案内板30が設ける。
次に、このように構成されたこの発明の閉鎖形配電盤の作用を説明する。
閉鎖形配電盤1の運転中は、吸湿装置2のヒートポンプとして設置されたペルチェ素子22の冷却体23結合された左端が吸熱端となり、加熱体24結合された右端が放熱端となる極性でこのペルチェ素子22に直流電力を供給するとともに、吸気ファン25および排気ファン28を駆動する。
これにより、吸気路21を通して外気が吸い込まれ、閉鎖形配電盤1の筺体11の吸気口17から筐体11の内室16へ送られる。この外気は、吸気路21を通過する過程で、ペルチェ素子22の吸熱端に結合された冷却体23の冷却フィン23a間の通風路を流れる際に、冷却フィン23aと接触することにより冷却される。外気がこのように冷却体23により冷却されると、外気中に含まれる湿気が凝縮されて結露することにより除去され、外気が乾燥される。冷却乾燥された外気は、矢印で示すように吸気ファン25を通してペルチェ素子22の放熱端に結合された加熱体24の多数の加熱フィン24aと接触しながら流れる際に加熱され、温度を外気温度程度まで上げて、吸気口17から筐体11の内室16へ送られる。筺体11の内室16に送られた外気は、外気温度と同程度の温度まで上昇しているが、湿気が除去され乾燥した空気となっているので、これが、この筺体11の内室全体を矢印で示すように還流して、排気口18から排気ファン28により吸引され外部へ排気されることにより、筐体11の内室16を通流する空気は、湿度が外気より低湿度の乾燥された空気となるとともに、温度が露点以上の温度に保たれることになる。したがって、筐体11の周囲の外気温度が低下しても筐体11の内室16に結露が発生することを防止することができる。
このように除湿装置2において、外気が冷却体23を通過する際に冷却されることにより外気中に含まれる湿気が凝縮して発生する結露水は冷却体23の冷却フィン23aの表面に付着する。冷却フィン23aの表面に付着した結露水は表面に沿って流下し、結露水排出口29から結露水案内板30を介して除湿装置2の排気路27へ流れ出す。排気路27へ流れ出した結露水は、排気ファン28によって形成される排気流に乗せて外部へ効果的に排出することができるので、結露水が筐体11の内室16へ送られたり、除湿装置2内に滞留したりすることを防止することができる。
ここでは、除湿装置20にヒートポンプとしてペルチェ素子を使用した例を示したが、このペルチェ素子の代わりヒートポンプ式冷凍機使用することもできる。
この発明によれば、外気を除湿手段により除湿してから配電盤の内室に供給する簡単な構成により、閉鎖形配電盤の筺体の内室での結露の発生を確実に防止することができるとともに、配電盤の収納電気機器の絶縁破壊や筺体の金属製壁板の腐食の発生を防止することができるので、配電盤の信頼性を高めることができる。
1:閉鎖形配電盤 12:扉 13:導体 14:絶縁支持物(碍子) 15:取付板 16:筺体内室 17:吸気口 18:排気口 2:除湿装置 21:吸気路 22:ヒートポンプ素子(ペルチェ素子) 23:冷却フィン 24:加熱フィン 25:吸気ファン 26:通風案内板 27:排気路 28:排気ファン 29:結露水排出口 20:結露水案内板

Claims (3)

  1. 閉鎖された筐体内に絶縁支持体を介して支持された電気導体や各種電気機器を収納してなる閉鎖型配電盤において、
    前記筐体に吸気口および排気口を設け、
    外気を冷却して除湿し、除湿して乾燥された外気を加熱して前記吸気口から前記筐体内に送る吸気路と、前記筐体内を通流する内気を前記排口から外部へ排出する排気路とを有する除湿手段を設けたことを特徴とする閉鎖形配電盤。
  2. 前記除湿手段の冷却手段としては、ヒートポンプを使用し、このヒートポンプの吸熱端で外気の冷却を行い、放熱端で冷却された外気の加熱を行うようにすることを特徴とする請求項1に記載の閉鎖形配電盤。
  3. 前記除湿手段により外気を除湿した際に生じる結露水の排出口を前記筐体の排気口付近に設けることを特徴とする請求項1または2に記載の閉鎖形配電盤。

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