以下に、本技術の実施の形態について図面を参照して説明する。
[全体の構成の概要]
図1は、DVB-T.2においてM-PLP方式を用いた場合における送信装置(Tx)と受信機(Rx)の構成の概要を示す図である。図1に示すように、送信装置側では、複数のTS(図中のTS1乃至TSN)が一定のビットレートで入力された場合、それらのTSを構成するパケットの中から、共通のパケットを抜き出して、Common PLPと呼ばれるパケット系列(図中のTSPSC(CPLP))が生成される。また、共通のパケットが抜き出されたTSは、Data PLPと呼ばれるパケット系列(図中のTSPS1(PLP1)乃至TSPSN(PLPN))になる。
すなわち、送信装置側では、N個のTSから、N個のData PLPと、1個のCommon PLPが生成される。これにより、各PLPについて適応的に誤り訂正の符号化率や、OFDM等の変調方式を割り当てることができる。なお、本実施の形態において、単にPLPと記述した場合には、Common PLPとData PLPの両方を含むものとする。また、Common PLP,Data PLPと記述した場合には、Common PLP,Data PLPを構成する個々のパケットの意味を含むものとする。
例えば、MPEGのTS(Transport Stream)パケットの場合には、SDT(Service Description Table)やEIT(Event Information Table)等の制御情報のように、複数のData PLPで同じ情報を含んでいるものがあり、そのような共通の情報をCommon PLPとして切り出して伝送することで、伝送効率の低下を回避することができる。
一方、受信機側では、OFDM等の復調方式により、受信した複数のData PLP(図中のTSPS1(PLP1)乃至TSPSN(PLPN))とCommon PLP(図中のTSPSC(CPLP))を復調した後、所望のPLP(図中のTSPS2(PLP2))のみを抜き出して、誤り訂正処理を行うことで、所望のTSを復元することが可能となる。
例えば、図1に示すように、TSPS1(PLP1)乃至TSPSN(PLPN)の中からTSPS2(PLP2)が選択された場合、Data PLPとしてのTSPS2(PLP2)と、Common PLPとしてのTSPSC(CPLP)とを用いて、TS2が復元されることになる。これにより、1つのData PLPとCommon PLPを取り出せば、TSを復元できるので、受信機の動作効率が良くなるといったメリットがある。そして、受信機側で復元されたTSは、後段のデコーダに出力される。デコーダは、例えば、TSに含まれる符号化データをMPEGデコードし、その結果得られる画像や音声のデータを出力する。
以上のように、DVB-T.2においてM-PLP方式を用いた場合には、送信装置(Tx)側では、N個のTSから、N個のData PLPと1個のCommon PLPが生成されて伝送され、受信機(Rx)側では、所望のData PLPと1個のCommon PLPから、所望のTSが復元(再生成)される。
[送信装置の処理]
次に、図2乃至図4を参照して、送信装置で行われる処理について説明し、その後、図5乃至図8を参照して、受信機で行われる処理について説明する。なお、この送受信処理の説明では、説明を簡略化するため、送信装置には、TS1乃至TS4の4個のTSが入力され、それらのTSから生成されるPLPが、誤り訂正やOFDM変調などの処理が施された後、受信機に送信されるものとする。
図2に示すように、TS1乃至TS4に対応した5個の四角はパケットを表しており、本実施の形態では、これらのTSを構成するTSパケットは、それぞれ、TSパケット、Nullパケット、及び共通パケットの3種類のパケットに分類される。
ここで、TSパケットは、例えばMPEGエンコードデータなどの各サービス(図中のサービス1乃至4)を提供するためのデータを格納したパケットである。また、Nullパケットは、送信側において送信するデータがないときに、送信側から出力される情報量を一定に保つ目的で伝送される調整用のデータである。例えば、MPEGで規定されているNullパケットは、TSパケットの先頭の4バイトが、0x47,0x1F,0xFF,0x1Fになっているパケットであり、ペイロードのビットとしては、例えば、すべて、1が採用される。
共通パケットは、複数のTSにおいて、格納されているデータが共通となるパケットである。例えば、MPEGの場合には、上述したSDT,EIT等の制御情報などが、この共通パケットに該当する。すなわち、図2の例では、TS1乃至TS4のそれぞれを構成する5個のパケットのうちの図中左から3番目のパケットが共通パケットとなる。この共通パケットは、同じ情報を含んでいるので、図3に示すように、Common PLPとして抜き出すことになる。
具体的には、図2のTS1乃至TS4において、各TSで共通となる共通パケットが存在する場合、図3に示すように、その共通パケットがCommon PLPとして抜き出され、抜き出された共通パケットは、Nullパケットに置き換えられる。そして、共通パケットが抜き出された各TSは、Data PLPと呼ばれる系列、すなわち、Data PLP1乃至Data PLP4となる。
また、送信装置がNullパケットディレーション(Null Packet Deletion)と呼ばれるモードで動作している場合、Nullパケットは、1バイトのDNP(Deleted Null Packet)と呼ばれる信号(signaling)になって伝送されることになる。例えば、図3のData PLP1では、図中左から2番目と3番目のパケットがNullパケットとなっており、Nullパケットが2つ連続した場合には、図4に示すように、2である値を持った1バイトの信号に置き換えられる。つまり、DNPの値はNullパケットの連続数に対応しており、例えば、図3のData PLP3では、図中左から3番目と5番目のパケットが単独でNullパケットとなっているので、図4に示すように、それぞれ、1である値を持った1バイトの信号に置換される。
このようにして、Nullパケットを1バイトのDNPに置換すると、図3のData PLP1乃至Data PLP4,Common PLPは、それぞれ、図4に示すような状態となる。これにより、送信装置において、Data PLP1乃至Data PLP4,Common PLPが生成されたことになる。
以上のように、送信装置においては、4個のTSから、4個のData PLPと1個のCommon PLPが生成され、それらの信号に対して、誤り訂正やOFDM変調などの所定の処理が施され、それにより得られたOFDM信号が、所定の伝送路を介して受信機に送信される。
[受信機の処理]
次に、図5乃至図12を参照して、受信機の処理について説明する。なお、上述したように、受信機で受信されるOFDM信号は、送信装置の処理に合わせて、図4のData PLP1乃至Data PLP4,Common PLPに対して誤り訂正やOFDM変調などの処理が施されているものとする。まず図5、図6を参照し、上記したような送信装置側で生成され、送信されてくるOFDM信号を受信し、処理する受信装置の構成について説明する。
図5は、受信装置の一実施の形態の構成を示す図である。図5に示した受信装置10は、アンテナ11、取得部12、伝送路復号処理部13、デコーダ14、及び出力部15から構成される。アンテナ11は、送信装置から伝送路を介して送信されてくるOFDM信号を受信し、取得部12に供給する。取得部12は、例えばチューナやセットトップボックス(STB:Set Top Box)等から構成され、アンテナ11により受信されたOFDM信号(RF信号)をIF(Intermediate Frequency)信号に周波数変換し、伝送路復号処理部13に供給する。
伝送路復号処理部13は、取得部12からのOFDM信号に対して、復調や誤り訂正などの必要な処理を施して得られるPLPからTSを復元して、そのTSをデコーダ14に供給する。すなわち、伝送路復号処理部13は、復調部21、誤り訂正部22、及び出力I/F(インタフェース)23から構成される。
復調部21は、取得部12からのOFDM信号の復調処理を行い、その結果得られる復調信号として、所望のData PLPと1個のCommon PLPを誤り訂正部22に出力する。誤り訂正部22は、復調部21から得られる復調信号であるPLPに対して、所定の誤り訂正処理を施し、その結果得られるPLPを出力I/F23に出力する。
ここで、送信装置では、例えば、番組としての画像や音声などのデータが、MPEG(Moving Picture Experts Group)エンコードされ、そのMPEGエンコードデータが含まれるTSパケットで構成されるTSから生成されたPLPが、OFDM信号として送信される。また、送信装置では、伝送路上で生じる誤りに対する対策として、PLPが、例えば、RS(Reed Solomon)符号や、LDPC(Low Density Parity Check)符号などの符号に符号化される。したがって、誤り訂正部22においては、誤り訂正符号処理として、その符号を復号する処理が行われる。
出力I/F23は、誤り訂正部22から供給されるPLPからTSを復元し、復元されたTSを、所定の一定レート(以下、TSレートという)で外部に出力する出力処理を行う。具体的には、出力I/F23は、復調部21から供給される遅延時間演算情報及び誤り訂正部22から供給されるPLPに基づいて、Common PLPとData PLPとが同期してからTSの復元を開始するまでの所定の遅延時間を求める。そして、出力I/F23は、Common PLPとData PLPとが同期しても直ぐにはTSの復元は開始せず、所定の遅延時間が経過してからTSの復元を行い、TSレートに従って、デコーダ14に供給する。なお、出力I/F23の構成の詳細については、図6を参照して後述する。
デコーダ14は、出力I/F23から供給されるTSに含まれる符号化データをMPEGデコードし、その結果得られる画像や音声のデータを、出力部15に供給する。出力部15は、例えば、ディスプレイやスピーカなどで構成され、デコーダ14から供給される画像や音声のデータに対応して、画像を表示し、音声を出力する。
[出力I/Fの詳細な構成例]
図6は、図5の出力I/F23の構成例を示している。図6の例では、出力I/F23は、バッファ31、書き込み制御部32、読み出しレート演算部33、及び読み出し制御部34から構成される。誤り訂正部22から供給されるPLP(Common PLP,Data PLP)は、バッファ31、書き込み制御部32、読み出しレート演算部33、及び読み出し制御部34にそれぞれ供給される。
バッファ31は、書き込み制御部32による書き込み制御にしたがって、誤り訂正部22から供給されるPLPを順次蓄積する。また、バッファ31は、読み出し制御部34による読み出し制御にしたがって、蓄積しているPLPを読み出してTSを復元し、デコーダ14に出力する。書き込み制御部32は、誤り訂正部22から供給されるPLPに基づいて、バッファ31に対する書き込みアドレスの制御を行って、バッファ31にPLPを蓄積させる。
読み出しレート演算部33は、誤り訂正部22から供給されるPLPに基づいて、TSレートを演算し、読み出し制御部34に供給する。読み出しレート演算部33により行われるTSレートの演算処理の詳細については、図8を参照して後述する。また、演算により算出されるTSレートは、後述するようにアンダーフローやオーバーフローを引き起こす可能性がある。そのような演算により算出されるTSレートについて説明した後に、アンダーフローやオーバーフローを引き起こさないようにするのにシグナリングを用いた読み出しについて説明する。
読み出し制御部34は、読み出しレート演算部33から供給されるTSレートに従って、バッファ31から読み出されたPLPから復元されるTSが出力されるように、バッファ31に対する読み出しアドレスの制御を行う。
出力I/F23は、スムージングの機能も有する。図6に示したように、入力されるPLPが間欠的であっても、出力されるTSは、できる限り連続して出力する必要があり、そのように連続して出力されるように、バッファ31からの読み出しは行われる。
さらに受信装置10における処理について説明を加える。受信装置10においては、送信装置から所定の伝送路を介して送信されてくるOFDM信号が受信され、復調部21によって、OFDM復調などの所定の処理が施されることにより、図8のData PLP1乃至Data PLP4,Common PLPに対応する、図7のData PLP1乃至Data PLP4,Common PLPが取得される。そして、例えば、ユーザ操作によりサービス2が選択された場合、Data PLP1乃至Data PLP4のうちのData PLP2が取り出され、取り出されたData PLP2とCommon PLPは、誤り訂正部22によって誤り訂正などの所定の処理が施され、出力I/F23に入力される。
すなわち、出力I/F23には、図7の太枠で囲まれたData PLP2と、Data PLP2に対応するCommon PLPのみが入力されることになる。そして、出力I/F23は、図8に示すように、入力されたData PLP2,Common PLPについて、Data PLP2に配置されたNullパケットを、対応するCommon PLPに配置された共通パケットに置き換える。これにより、図8に示すように、図2のTS2と同様の元のTS2が復元されることになる。
図9は、出力I/F23に入力される所望のData PLP(Data PLP2),Common PLPと、出力I/F23から出力されるTSの詳細について説明するための図である。図9に示すように、出力I/F23に入力されるData PLPとCommon PLPには、DNPと、ISSY(Input Stream Synchronizer)と呼ばれる情報がTSパケット単位で付加される。
このISSYには、ISCR(Input Stream Time Reference)、BUFS(Buffer Size)、又はTTO(Time to Output)などの情報が含まれる。ISCRは、各TSパケットの送信時に、送信装置側で付加されるタイムスタンプを示す情報である。BUFSは、PLPの所要バッファ量を示す情報である。この情報を参照することで、受信装置10ではバッファ領域を確定することが可能となる。
TTOは、TSパケットに対する処理が行われているT2フレーム(T2 frame)に配置されるP1シンボルの先頭から、そのTSパケットを出力するまでの時間を示す情報である。また、DNPは、上記の通り、Nullパケットディレーションモードで動作している場合に付加される情報であって、連続したNullパケットは、その連続数を1バイトの信号として送信される。例えば、受信装置10では、DNP=3である場合、3個のNullパケットが連続しているとして、元のパケット系列を再現することが可能となる。
出力I/F23は、PLPから得られるこれらの情報を用いて、Data PLPとCommon PLPから同期した2パケットの組み合わせを検出し、Data PLPとCommon PLPとのタイミングを合わせて同期をとることになる。具体的には、出力I/F23において、読み出しレート演算部33は、Data PLPに付加されたDNPを用いて、Data PLPを元のパケット系列に復元し、TSパケットに付加されたISCRを読み取ることで、下記の式(1)により、TSを出力するレート(TSレート)を求めることができる。
なお、式(1)において、N_bitsは、1パケット当たりのビット数であり、例えば、1504(bit/packet)が代入される。また、Tは、エレメンタリーピリオド(Elementary Period)の単位であって、例えば、8MHz帯域であれば7/64usといった値が代入される。
図10は、読み出しレート演算部33で実行されるTSレートの演算例を説明する図である。なお、図10において、下方の矢印で示すように、時間の方向は図中左から右に向かう方向とされている。読み出しレート演算部33には、図10aに示すように、Data PLPとして、TSパケットと、各TSパケットに付加されたDNP及びISCRが入力される。この例の場合には、図中右から1個目のTSパケットに付加されたDNPが3を示し、ISCRが3000[T]を示している。同様にして、2個目のTSパケットのDNPは0、ISCRは1000[T]を示し、3個目のTSパケットのDNPは2、ISCRは500[T]を示している。
これらのDNPを用いて、Nullパケットを元の状態に戻すと、図10aのData PLPは、図10bに示すようになる。すなわち、1番目のTSパケットの後に3個のNullパケット(図中の“NP”)が配置され、2,3番目のTSパケットが続いた後、さらに2個のNullパケットが配置されることになる。したがって、パケットレート(Packet rate)をPtsとすれば、このPtsは次のようにして求められる。
Pts=(ISCR_b−ISCR_b)/(N_packets+ΣDNP)=(3000[T]−500[T])/5[packet]=500[T/packet]
そして、TSレート(TS rate)をRTSとすれば、このRTSは、式(1)と、上記のPtsから次のようにして求められる。
RTS=N_bits/Pts×T=1504[bit/packet]/500[T/packet]×(7/64[us])=27.5[Mbps]
このようにして演算されたRTS=27.5[Mbps]は、TSレートとして、読み出し制御部34に供給される。このTSレートに基づいてバッファ31からの読み出しが行われることで、図6を参照して説明したように、出力I/F23によるスムージングの機能により、入力されるPLPが間欠的であっても、出力されるTSは連続して出力される。
図11に、エラーが発生しないときの入力と出力との関係について説明する。図11において、上側の棒線は1フレーム分のデータが間欠的に入力されることを表し、その下側の棒線は、フレームが処理されることで生成されるTSが、連続して出力されることを表している。このように、連続してTSが出力される場合、図11の下側に示したタイミングチャートに示すようにバッファ31に対してデータの書き込みと読み出しが行われる。
図11のタイミングチャートにおいて、水平方向の軸は時間軸を表しており、時間の方向は図中左から右に向かう方向とされている。また、垂直方向の軸は、バッファ31に蓄積されるデータのアドレスを表しており、図中上にいくほど、アドレスが進んでいることを意味する。また、図11において、点線は書き込みアドレス、実線は読み出しアドレスをそれぞれ示している。
図11に示すように、出力I/F23においては、T2フレームのTSパケット(1フレーム分のデータ)が入力されると、書き込み制御部32によって、入力されたTSパケットのバッファ31への格納が開始され、読み出し制御部34によって、バッファ31に格納されたTSパケットの読み出しが開始される。この読み出しの開始は、TTOに基づき行われる。バッファ31に蓄積されるTSパケットは、ある程度たまってから、TTOで定められるタイミングで読み出しが開始され、その後、継続して、書き込みと読み出しが行われることになる。
図11に示すように、書き込みアドレスと、読み出しアドレスの速度を示す傾きは異なっており、読み出し制御部34は、TSパケットの書き込みとは非同期で、TSパケットの読み出しを行う。このような非同期で行われる書き込みと読み出しの関係が、何らかのエラーが発生したことにより、その関係が破綻してしまうと、アンダーフローやオーバーフローが発生する可能性がある。そのようなアンダーフローが発生した場合におけるタイミングチャートを図12に示す。
図12に示したタイミングチャートにおいて、時間t1の間に何らかのエラーが発生し、そのためにデータの欠損が発生している。また、時間t2においても、エラーが発生したことにより、データの欠損が発生している。データが欠損したことにより、バッファ31内のデータ量が少なくなったにも関わらずTSの出力が継続して行われ、さらに時間t2においてもデータの欠損が起きているため、バッファリング(蓄積)されず、結果として出力するTSがなくなり、アンダーフローが発生している。さらに時間t2の経過後も、データがバッファリングされているにも係わらず、十分なデータがバッファリングされず、再び、アンダーフローが発生している。
このような状態は、例えば、TSの出力開始のタイミング(図12において、時刻t0’)をTTOによって決定されている状態である。また、時刻t0’以降は、バッファ31に1パケット以上のデータが溜まった状態になるとTSが出力されるように読み出しが制御されている状態である。このような状態のときに、図12に示したように、TSの出力開始後に何らかのエラーが発生し、出力状態が不安定になったとき、DNP(Deleted Null Packet)の値がわからなくなる可能性がある。
DNPの値が分からなった場合、その解決方法として、例えば、DNPを0に置き換え、バッファを早く処理することが考えられる。このとき、バッファの消化速度が速くなり、そのタイミングでTSの無出力期間が発生する。この無出力期間は、好まし状態ではないが、不安定な受信状態により引き起こされ、復帰できない状態ではないため許容されるエラーとして処理することも可能である。
しかしながら、その後、エラーが発生しない状態に復帰した後、換言すれば、安定した受信状態に入り、バッファ31にTSが1パケット以上溜まった時点で、TSの出力が再開された後、TTOが含まれるパケットが、TTOが示すタイミングよりも早く出力され、それ以降のバッファ31がアンダーフローし、TSの無出力期間が発生する可能性がある。すなわち、図12に示したように、時間t2が経過した後の時点で、書き込みは正常に行われている状態であるが、アンダーフローが発生し続けるような状態は、許容できるエラーではなく、このような正常な状態に復帰できない可能性をなくす必要がある。
そこで、このようなTSの無出力期間、特に、エラー発生後に、復帰したにも関わらずアンダーフローやオーバーフローが発生するようなことがないように制御するために、TTOを用いて読み出しを行う場合について説明する。
TTOは、図13に示すように、Interleaving frame毎に挿入されている。TTOについては、図9を参照した説明においても説明したように、Time to Outputの略であり、ISCRに含まれ、各TSパケットの送信時に、送信装置側で付加されるタイムスタンプを示す情報である。またTTOは、TSパケットに対する処理が行われているT2フレーム(T2 frame)に配置されるP1シンボルの先頭から、そのTSパケットを出力するまでの時間(出力すべきタイミング)を示す情報である。受信側では、この時間に、受信機側特有の遅延分などを加えるなどの調整を行い、出力タイミングを設定する。
そのようなTTOという情報は、バッファ31に、PLPのバッファリングが開始され、TSの出力が開始されるタイミングを知るために用いられている。例えば、図12において、時刻t0の時点で、PLPのバッファリングが開始され、時刻t0’の時点で、TSの出力が開始される場合、この時刻t0’の時点で読み出しを開始するということを設定するための情報として、TTOが用いられる。なお、図中、黒点は、TTOが用いられて決定されたタイミングを示す。図12では、この黒点が1つしかなく、読み出しの開始の時点でしか用いられていないことがわかる。
そこで、読み出し制御部34は、図14に示すように、TTOを、読み出しの開始のタイミングを設定するだけに用いるのではなく、読み出しが開始され、継続して行われているときにも用いて読み出しを制御する。図14に示すように、まず、時刻t0’が、TTOに基づき設定され、TSの出力が開始される。次のフレームから読み出されるTTOに基づき、時刻t11が設定され、その時刻t11に基づき、TSが出力される。時間t1の間にエラーが発生するが、エラーが発生する前の時点で取得されていたフレームに含まれていたTTOから時刻t12が設定されており、その時刻t12に基づいて、TSの出力が行われる。
しかしながら、時間t2においてもエラーが発生し、アンダーフローが発生する。この状況は、図12を参照して上述した状態と同じ状態である。時間t2が経過した後、TTOが取得できない状態が続くと、アンダーフローが続く可能性がある。しかしながら、TTOが取得されると、そのTTOに基づく時刻t13が設定され、その時刻t13からTSの出力が再度開始される。その後、安定状態が続くと、TTOも安定して取得され、順次、TTOに基づく時刻が設定され、TSが設定された時刻に基づき出力される。
このように、安定状態に復帰した後には、TTOも安定して取得されるため、そのような安定して取得されるTTOに基づきTSが出力されるため、図12に示したように、安定状態に復帰した後の時点でも、アンダーフローが発生してしまうようなことを防ぐことが可能となる。
また、クロック周波数の誤差などにより、TSの出力レートがずれる可能性があり、その誤差を考慮し、TSの出力レートを計算値よりも大きめに調整して、その値に基づいて出力することが考えられる。しかしながら、このような早めのタイミングでの出力は、アンダーフローが発生する可能性があるが、上記したように、TTOに基づき、出力を制御することで、フレーム毎の細かい出力タイミングの調整を行うことが可能となる。もって、大きな出力タイミングのジッタを避けることが可能となる。
なお、上述した実施の形態においては、TTOに基づき、出力タイミングが制御される例を示したが、TTO以外の情報に基づき出力タイミングの制御が行われるようにしてもよい。TTOは、フレームに含まれるシグナリング(Signaling)であるが、このようなシグナリングを用いて、出力タイミングの制御が行われるようにしてもよい。
また本技術は、データに含まれ、そのデータの出力のタイミングを設定するための情報を、データの読み出しを行うときに、継続的に用いて読み出しのタイミングを設定、補正するような場合にも適用できる。また上述した実施の形態においては、DVB-T2を例に挙げて説明したが、他の放送方式、例えば、DVB-C2などにも本技術は適用できる。例えば、本技術を、DVB-C2に適用した場合、DVB-C2規格におけるC2フレームにシグナリングされているBUFSTATを用いることができる。また、この場合、BUFSTATで決定されるタイミングに従い、データが読み出される。
[記録媒体について]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどが含まれる。
図15は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203は、バス204により相互に接続されている。バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続されている。入出力インタフェース205には、入力部206、出力部207、記憶部208、通信部209、及びドライブ210が接続されている。
入力部206は、キーボード、マウス、マイクロフォンなどよりなる。出力部207は、ディスプレイ、スピーカなどよりなる。記憶部208は、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる。通信部209は、ネットワークインタフェースなどよりなる。ドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は半導体メモリなどのリムーバブルメディア211を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU201が、例えば、記憶部208に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース205及びバス204を介して、RAM203にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU201)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア211に記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することができる。
コンピュータでは、プログラムは、リムーバブルメディア211をドライブ210に装着することにより、入出力インタフェース205を介して、記憶部208にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部209で受信し、記憶部208にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
なお、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。