以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる超音波診断装置について説明する。
図1Aは、本実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成図を示している。本超音波診断装置11は、超音波プローブ12、表示ユニット13、入力ユニット15、送信回路10、受信回路20、スイッチングデバイス21、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット25、信号処理ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、画像生成ユニット29、画像メモリ33、画像合成ユニット35、内部記憶ユニット37を具備している。以下、個々の構成要素の機能について説明する。
超音波プローブ12は、送信回路10からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の超音波振動子、当該超音波振動子に設けられる整合層、当該超音波振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
なお、本超音波装置が具備する超音波プローブ12は、超音波振動子が一次元に配列された一次元アレイプローブ、或いは超音波振動子が二次元マトリックス状に配列された二次元アレイプローブのいずれであってもよい。
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
表示ユニット13は、画像合成ユニット35からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(Bモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)、これらの組み合わせを画像として表示する。
送信回路10は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12の超音波振動子に駆動パルス(送信信号)を印加する。
スイッチングデバイス21は、低損失高電圧マルチプレクサとしての機能を有する超音波フロントエンド回路である。スイッチングデバイス21は、超音波送信時において、超音波振動子と送信回路或いは受信回路との電気的、磁気的な接続を制御する。当該スイッチングデバイス21の具体的な構成、動作については、後で詳しく説明する。
受信回路30は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
Bモード処理ユニット23は、受信回路20からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、スキャンコンバータ25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
ドプラ処理ユニット25は、受信回路20から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
信号処理ユニット27は、超音波送受信によって得られたエコー信号からのガイド波信号の抽出、DCハーモニック信号の除去等の種々の信号処理を実行する。
画像生成ユニット29は、信号処理ユニット27からの信号に基づいて、組織画像等の超音波画像を生成する。
制御プロセッサ31は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。また、制御プロセッサ31は、超音波送受信において、スイッチングユニット21における各種スイッチを制御する。
画像メモリ(シネメモリ)33は、例えばフリーズする直前の複数フレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。この画像メモリ33に記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
画像合成ユニット35は、画像生成ユニット29又から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号として表示ユニット13に出力する。
内部記憶ユニット37は、所定のスキャンシーケンス、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件その他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像メモリ26中の画像の保管などにも使用される。内部記憶ユニット37中のデータは、図示していないインターフェースユニットを経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
次に図面全体を通して類似の参照番号は対応する構造を指示する図面を参照すると、また特に図1Bを参照すると、1つの送信回路10と1つの受信回路20とが、本実施形態によるトランス上に実装される低損失高電圧マルチプレクサ30の一実施形態に接続されていることがわかる。第1のトランスデューサ素子40と第2のトランスデューサ素子50も、本実施形態において低損失高電圧マルチプレクサ30に接続されている。低損失高電圧マルチプレクサ30は、送信回路10と受信回路20との間で切り替えを行う。同様に、低損失高電圧マルチプレクサ30は、送信時と受信時とにおいて第1のトランスデューサ素子40と第2のトランスデューサ素子50との間で切り替えを行う。低損失高電圧マルチプレクサ30についてさらに詳しく説明し、またその代替的実施形態についても以下で取りあげる。
次に図2Aを参照すると、第1の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第1の極A上の第1のショート巻線Zp1も終端部Zp1aとZp1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられている。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有する。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有する。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図2Bを参照すると、第1の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1と第1のショート巻線ZP1とは、極A上で磁気的に結合されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。第1のショート巻線ZP1は、端子Zp1aとZp1bとを有し、これらはスイッチSWzp1aとSWzp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWzp1aとSWzp1bとを閉じることによって、一次側巻線P1は他の巻線に磁気的に結合されることはもはやないが、これについて後の方で詳しく説明する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1aは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1bは、インピーダンスZ31と受信回路20とに接続される。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz1aとSWz1bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz1aとSWz1bとを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、インピーダンスZ31に接続され、これはと受信回路20に接続される。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz2aとSWz2bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz2aとSWz2bとを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。送信/受信(TR)スイッチは、スイッチSWzp1aとSWzp1bとをインピーダンスZ31と組み合わせて使用して実装される。スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、第1のショート巻線Zp1は接地され、一次側巻線P1はもはや磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWzp1aとSWzp1bとのうちのいずれかが開いている場合、第1のショート巻線Zp1は接地されず、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、第1のショート巻線Zp1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。またTXモードのときに、二次側ショート巻線ZS1とZS2とを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側ショート巻線ZS1とZS2のうちのいずれか一方が、送信回路10からの送信信号に従ってスイッチSWz2a/SWz2bとスイッチSWz1a/SWz1bの対応する1つの対のみを閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側ショート巻線ZS1もしくはZS2が接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路20は、二次側巻線S1とS2とを介して2つの出力ノードの総和に選択的に接続される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じてスイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの対応する一方が閉じられる。つまり、二次側ショート巻線ZS1またはZS2をショートさせることによって、関連する接地された二次側巻線は、受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を構成する。それと同時に、スイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bとの2つの対のうちの他方を開いたままにし、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号が受信回路20への入力に干渉しないようにする。インピーダンスZ31は、選択された二次側巻線S1とS2のうちの一方に電圧が発生するように巻線の一方の側をショートさせるために使用される。インピーダンスZ31は、受信回路20の入力を保護するためにも使用される。
次に、図2Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。極A上で、一次側巻線P1と第1のショート巻線Zp1とは、所定の比で配置される。一次側巻線P1は、その終端部P1aとP1bとをそのタップ点P1cとともに有するが、第1のショート巻線Zp1は、その終端部Zp1aとZp1bを有する。同様に、極B上で、第1の二次側巻線S1と第1の二次側ショート巻線Zs1とは、所定の比で配置される。第1の二次側巻線S1は、その終端部S1aとS1bとを有するが、第1の二次側ショート巻線Zs1は、その終端部Z1aとZ1bとを有する。極C上で、第2の二次側巻線S2と第2の二次側ショート巻線Zs2とは、所定の比で配置される。第2の二次側巻線S2は、その終端部S2aとS2bとを有するが、第2の二次側ショート巻線Zs2は、その終端部Z2aとZ2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図3Aを参照すると、第2の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第1の極A上の第1のショート巻線Zp1も終端部Zp1aとZp1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられている。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有する。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有する。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図3Bを参照すると、第2の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1と第1のショート巻線ZP1とは、極A上で磁気的に結合されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1Cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。第1のショート巻線ZP1は、端子Zp1aとZp1bとを有し、これらはスイッチSWzp1aとSWzp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWzp1aとSWzp1bとを閉じることによって、一次側巻線P1は他の巻線に磁気的に結合されることはもはやないが、これについて後の方で詳しく説明する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1aは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1bは、インピーダンスZ31と第1の受信回路RX 20Aとに接続される。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz1aとSWz1bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz1aとSWz1bとを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、インピーダンスZ32と第2の受信回路RX 20Bとに接続される。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz2aとSWz2bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz2aとSWz2bとを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。送信/受信(TR)スイッチは、スイッチSWzp1aとSWzp1bとをインピーダンスユニットZ31とZ32とを組み合わせて使用して実装される。スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、第1のショート巻線Zp1は接地され、一次側巻線P1はもはや磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWzp1aとSWzp1bとのうちのいずれかが開いている場合、第1のショート巻線Zp1は接地されず、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、第1のショート巻線Zp1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路TX 10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。またTXモードのときに、二次側ショート巻線ZS1とZS2とを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側ショート巻線ZS1とZS2のうちのいずれか一方が、送信回路TX 10からの送信信号に従ってスイッチSWz2a/SWz2bとスイッチSWz1a/SWz1bの対応する1つの対のみを閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側ショート巻線ZS1もしくはZS2が接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路RX 20Aと20Bのうちのいずれか一方は、二次側巻線S1またはS2を介して2つの独立した出力ノードに選択的に接続される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じてスイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの対応する一方が閉じられる。つまり、二次側ショート巻線ZS1またはZS2をショートさせることによって、関連する接地された二次側巻線は、受信回路20Aまたは20Bへの入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を構成する。それと同時に、スイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの他方は、適宜開いたままにされる。受信回路20Aまたは20Bへの経路は独立しているので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。インピーダンスコンポーネントZ31とZ32は、選択された二次側巻線S1とS2のうちの一方に電圧が発生するように巻線の対応する側をショートさせるために使用される。インピーダンスコンポーネントZ31とZ32は、受信回路RX 20Aと20Bの入力を保護するためにも使用される。
次に、図3Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。極A上で、一次側巻線P1と第1のショート巻線Zp1とは、所定の比で配置される。一次側巻線P1は、その終端部P1aとP1bとをそのタップ点P1cとともに有するが、第1のショート巻線Zp1は、その終端部Zp1aとZp1bを有する。同様に、極B上で、第1の二次側巻線S1と第1の二次側ショート巻線Zs1とは、所定の比で配置される。第1の二次側巻線S1は、その終端部S1aとS1bとを有するが、第1の二次側ショート巻線Zs1は、その終端部Z1aとZ1bとを有する。極C上で、第2の二次側巻線S2と第2の二次側ショート巻線Zs2とは、所定の比で配置される。第2の二次側巻線S2は、その終端部S2aとS2bとを有するが、第2の二次側ショート巻線Zs2は、その終端部Z2aとZ2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図4Aを参照すると、第3の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第1の極A上の第1のショート巻線Zp1も終端部Zp1aとZp1bとを有し、一次側巻線P1に磁気的に関連付けられている。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有する。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有する。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図4Bを参照すると、第3の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1と第1のショート巻線ZP1とは、極A上で磁気的に結合されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。第1のショート巻線ZP1は、端子Zp1aとZp1bとを有し、これらはスイッチSWzp1aとSWzp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWzp1aとSWzp1bとを閉じることによって、一次側巻線P1は他の巻線に磁気的に結合されることはもはやないが、これについて後の方で詳しく説明する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1aは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1bは、インピーダンスコンポーネントZ31と受信回路20とに低電圧マルチプレクサ60を介して接続される。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz1aとSWz1bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz1aとSWz1bとを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、インピーダンスZ32と受信回路20とに共通の低電圧マルチプレクサ60を介して接続される。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz2aとSWz2bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz2aとSWz2bとを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。送信/受信(TR)スイッチは、スイッチSWzp1aとSWzp1bとをマルチプレクサ60とインピーダンスコンポーネントZ31とZ32とを組み合わせて使用して実装される。スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、第1のショート巻線Zp1は接地され、一次側巻線P1はもはや磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWzp1aとSWzp1bとのうちのいずれかが開いている場合、第1のショート巻線Zp1は接地されず、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、第1のショート巻線Zp1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。またTXモードのときに、二次側ショート巻線ZS1とZS2とを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側ショート巻線ZS1とZS2のうちのいずれか一方が、送信回路10からの送信信号に従ってスイッチSWz2a/SWz2bとスイッチSWz1a/SWz1bの対応する1つの対のみを閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側ショート巻線ZS1もしくはZS2が接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路20は、二次側巻線S1とS2とからマルチプレクサ60を介して2つの出力ノードのうちの選択されたノードに選択的に接続される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じてスイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの対応する一方が閉じられる。つまり、二次側ショート巻線ZS1またはZS2をショートさせることによって、関連する接地された二次側巻線は、受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を構成する。それと同時に、スイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの他方は、適宜開いたままにされる。マルチプレクサ60がインピーダンスコンポーネントZ31とZ32とともにある時点においてZprobe1またはZprobe2からエコー信号を選択するので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。インピーダンスコンポーネントZ31とZ32とは、選択された二次側巻線S1とS2のうちの一方に電圧が発生するように巻線の一方の側をショートさせるために使用される。インピーダンスコンポーネントZ31とZ32は、マルチプレクサ60とともに受信回路20の入力を保護するためにも使用される。
次に、図4Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。極A上で、一次側巻線P1と第1のショート巻線Zp1とは、所定の比で配置される。一次側巻線P1は、その終端部P1aとP1bとをそのタップ点P1cとともに有するが、第1のショート巻線Zp1は、その終端部Zp1aとZp1bを有する。同様に、極B上で、第1の二次側巻線S1と第1の二次側ショート巻線Zs1とは、所定の比で配置される。第1の二次側巻線S1は、その終端部S1aとS1bとを有するが、第1の二次側ショート巻線Zs1は、その終端部Z1aとZ1bとを有する。極C上で、第2の二次側巻線S2と第2の二次側ショート巻線Zs2とは、所定の比で配置される。第2の二次側巻線S2は、その終端部S2aとS2bとを有するが、第2の二次側ショート巻線Zs2は、その終端部Z2aとZ2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図5Aを参照すると、第4の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第1の極A上の第1のショート巻線Zp1も終端部Zp1aとZp1bとを有し、一次側巻線P1に磁気的に関連付けられている。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線TR1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部TR1aとTR1bとを有する。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線TR2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部TR2aとTR2bとを有する。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図5Bを参照すると、第4の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1と第1のショート巻線ZP1とは、極A上で磁気的に結合されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。第1のショート巻線ZP1は、端子Zp1aとZp1bとを有し、これらはスイッチSWzp1aとSWzp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWzp1aとSWzp1bとを閉じることによって、一次側巻線P1は他の巻線に磁気的に結合されることはもはやないが、これについて後の方で詳しく説明する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1aは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1bは、インピーダンスZ31と受信回路20とに低電圧マルチプレクサ60を介して接続される。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線TR1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部TR1aとTR1bとを有し、これらはそれぞれ、適宜低電圧である、能動スイッチTRSW1に接続される。スイッチTRSW1を閉じることによって、第1の二次側巻線S1は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、インピーダンスZ32と受信回路20とに共通のマルチプレクサ60を介して接続される。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線TR2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部TR2aとTR2bとを有する。これらはそれぞれ、適宜低電圧である、能動スイッチTRSW2に接続される。スイッチTRSW2を閉じることによって、第2の二次側巻線S2は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサの他の実施形態では、スイッチTRSW1とTRSW2とは、能動的もしくは受動的であり、半導体などのさまざまなタイプのものを含む。それに加えて、スイッチTRSW1とTRSW2とは、適宜、低電圧スイッチであり、印加する電圧が低いため電力と電圧の損失を最小に抑えるか、または低く保てるという利点を有する。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。送信/受信(TR)スイッチは、スイッチSWzp1aとSWzp1bとをマルチプレクサ60とインピーダンスコンポーネントZ31とZ32とを組み合わせて使用して実装される。スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、第1のショート巻線Zp1は接地され、一次側巻線P1はもはや磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWzp1aとSWzp1bとのうちのいずれかが開いている場合、第1のショート巻線Zp1は接地されず、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、第1のショート巻線Zp1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。またTXモードのときに、二次側ショート巻線TR1とTR2とを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側巻線TR1とTR2のうちのいずれか一方が、送信回路10からの送信信号に従ってスイッチTRSW1/TRSW2の一方のみを閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側ショートTR1もしくはTR2が接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路20は、二次側巻線S1とS2とからマルチプレクサ60を介して2つの出力ノードのうちの選択されたノードに選択的に接続される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じて2つのスイッチTRSW1とTRSW2のうちの対応する一方が閉じられる。つまり、二次側巻線TR1またはTR2をショートさせることによって、関連する接地された二次側巻線は、受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を構成する。それと同時に、2つのスイッチTRSW1とTRSW2のうちの他方は、適宜開いたままにされる。マルチプレクサ60がインピーダンスコンポーネントZ31とZ32とともにある時点においてZprobe1またはZprobe2からエコー信号を選択するので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。インピーダンスコンポーネントZ31とZ32とは、選択された二次側巻線S1とS2のうちの一方に電圧が発生するように巻線の一方の側をショートさせるために使用される。インピーダンスコンポーネントZ31とZ32は、マルチプレクサ60とともに受信回路20の入力を保護するためにも使用される。
次に、図5Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。極A上で、一次側巻線P1と第1のショート巻線Zp1とは、所定の比で配置される。一次側巻線P1は、その終端部P1aとP1bとをそのタップ点P1cとともに有するが、第1のショート巻線Zp1は、その終端部Zp1aとZp1bを有する。同様に、極B上で、第1の二次側巻線S1と第1の二次側ショート巻線TR1とは、所定の比で配置される。第1の二次側巻線S1は、その終端部S1aとS1bとを有するが、第1の二次側ショート巻線TR1は、その終端部TR1aとTR1bとを有する。極C上で、第2の二次側巻線S2と第2の二次側ショート巻線TR2とは、所定の比で配置される。第2の二次側巻線S2は、その終端部S2aとS2bとを有するが、第2の二次側ショート巻線TR2は、その終端部TR2aとTR2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図6Aを参照すると、第5の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第1の極A上の第1のショート巻線Zp1も終端部Zp1aとZp1bとを有し、一次側巻線P1に磁気的に関連付けられている。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線TR1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部TR1aとTR1bとを有する。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線TR2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部TR2aとTR2bとを有する。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図6Bを参照すると、第5の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1と第1のショート巻線ZP1とは、極A上で磁気的に結合されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。第1のショート巻線ZP1は、端子Zp1aとZp1bとを有し、これらはスイッチSWzp1aとSWzp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWzp1aとSWzp1bとを閉じることによって、一次側巻線P1は他の巻線に磁気的に結合されることはもはやないが、これについて後の方で詳しく説明する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1aは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1bは、インピーダンスZ31に高電圧マルチプレクサ70を介して、受信回路20に高電圧マルチプレクサ70を介して接続される。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線TR1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部TR1aとTR1bとを有し、これらはそれぞれ、適宜低電圧である、能動スイッチTRSW1に接続される。スイッチTRSW1を閉じることによって、第1の二次側巻線S1は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、インピーダンスZ31と受信回路20の両方に共通のマルチプレクサ70を介して接続される。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線TR2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部TR2aとTR2bとを有する。これらはそれぞれ、適宜低電圧である、能動スイッチTRSW2に接続される。スイッチTRSW2を閉じることによって、第2の二次側巻線S2は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサの他の実施形態では、スイッチTRSW1とTRSW2とは、能動的もしくは受動的であり、半導体などのさまざまなタイプのものを含む。それに加えて、スイッチTRSW1とTRSW2とは、適宜、低電圧スイッチであり、印加する電圧が低いため電力と電圧の損失を最小に抑えるか、または低く保てるという利点を有する。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。送信/受信(TR)スイッチは、スイッチSWzp1aとSWzp1bとをマルチプレクサ70とインピーダンスコンポーネントZ31とを組み合わせて使用して実装される。スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、第1のショート巻線Zp1は接地され、一次側巻線P1はもはや磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWzp1aとSWzp1bとのうちのいずれかが開いている場合、第1のショート巻線Zp1は接地されず、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、第1のショート巻線Zp1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。またTXモードのときに、二次側ショート巻線TR1とTR2とを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側巻線TR1とTR2のうちのいずれか一方が、送信回路10からの送信信号に従ってスイッチTRSW1/TRSW2の一方のみを閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側ショートTR1もしくはTR2が接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路20は、二次側巻線S1とS2とからマルチプレクサ70を介して2つの出力ノードのうちの選択されたノードに選択的に接続される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じて2つのスイッチTRSW1とTRSW2のうちの対応する一方が閉じられる。つまり、二次側巻線TR1またはTR2をショートさせることによって、関連する接地された二次側巻線は、受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を構成する。それと同時に、2つのスイッチTRSW1とTRSW2のうちの他方は、適宜開いたままにされる。マルチプレクサ70は、ある時点においてZprobe1またはZprobe2からエコー信号を選択するので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。インピーダンスコンポーネントZ31は、選択された二次側巻線S1とS2のうちの一方に電圧が発生するように巻線の一方の側をショートさせるために使用される。インピーダンスコンポーネントZ31は、マルチプレクサ70とともに受信回路20の入力を保護するためにも使用される。
次に、図6Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。極A上で、一次側巻線P1と第1のショート巻線Zp1とは、所定の比で配置される。一次側巻線P1は、その終端部P1aとP1bとをそのタップ点P1cとともに有するが、第1のショート巻線Zp1は、その終端部Zp1aとZp1bを有する。同様に、極B上で、第1の二次側巻線S1と第1の二次側ショート巻線TR1とは、所定の比で配置される。第1の二次側巻線S1は、その終端部S1aとS1bとを有するが、第1の二次側ショート巻線TR1は、その終端部TR1aとTR1bとを有する。極C上で、第2の二次側巻線S2と第2の二次側ショート巻線TR2とは、所定の比で配置される。第2の二次側巻線S2は、その終端部S2aとS2bとを有するが、第2の二次側ショート巻線TR2は、その終端部TR2aとTR2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図7Aを参照すると、第6の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図7Bを参照すると、第6の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。極A上の一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1Cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1bは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1aは、第1の送信/受信スイッチTRSW Aを介して、次いで接地される第1の二次側巻線スイッチSWs1aと、第1の受信回路RX 20Aとに接続される。第1の送信/受信スイッチTRSW Aによって動作可能に制御されるような送信モードのときに第1の二次側巻線スイッチSWs1aを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は、もはや、一次側巻線P1からトランスデューサ素子Z1にパルス波形を送ることがなくなるが、それは、第1の二次側巻線S1が一方の端部に接地されているからである。
第2の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、第2の送信/受信スイッチTRSW Bを介して、次いで接地される第2の二次側巻線スイッチSWs2aと、第2の受信回路RX 20Bとに接続される。第2の送信/受信スイッチTRSW Bによって動作可能に制御されるような送信モードのときに第1の二次側巻線スイッチSWs2aを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は、もはや、一次側巻線P1からトランスデューサ素子Z2にパルス波形を送ることがなくなるが、それは、第2の二次側巻線S2が一方の端部に接地されているからである。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信/受信(TR)スイッチTRSW AとTRSW Bとを使用する送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。スイッチSWp1aとSWp1bとが閉じられると、一次側巻線P1は、もはや、磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWp1aとSWp1bとのうちのいずれかが開いている場合、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、一次側巻線P1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWp1aとSWp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路TX 10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。TXモードのときに、TRスイッチTRSW AとTRSW Bとは、受信回路20Aと20Bとが入力を受け取るのを妨げるために使用される。またTXモードのときに、第1の二次側巻線スイッチSWp1aと第2の二次側巻線スイッチSWs2aとを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方が、送信回路TX 10からの送信信号に従って二次側巻線スイッチSWp1aとSWs2aの一方を閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側スイッチSWp1aとSWs2aが接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路RX 20Aと20Bのうちのいずれか一方は、二次側巻線S1またはS2を介して2つの独立した出力ノードに選択的に接続される。RXモードのときに、TRスイッチTRSW AとTRSW Bとは、受信回路20Aと20Bとを接続して入力を受け取るために使用される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じて二次側スイッチSWs1aとSWs2aのうちの対応する一方が開かれる。つまり、二次側スイッチSWs1aとSWs2aを開くことによって、関連する二次側巻線は、TRスイッチTRSW AとTRSW Bとを介して受信回路20Aまたは20Bへの入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を有する。それと同時に、2つのスイッチSWs1aとSWs2aのうちの他方は、適宜閉じたままにされる。受信回路20Aまたは20Bへの経路は独立しているので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20Aまたは20Bへの入力に干渉しない。
次に、図7Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。一次側巻線P1は極A上に配置され、終端部P1aとP1b、さらにはタップ点P1cを有する。同様に、第1の二次側巻線S1は極B上に配置され、その終端部S1aとS1bとを有する。第2の二次側巻線S2は極C上に配置され、その終端部S2aとS2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図8Aを参照すると、第7の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図8Bを参照すると、第7の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。極A上の一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1Cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1bは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1aは、送信/受信スイッチTRSWを介して、次いで接地される第1の二次側巻線スイッチSWs1aと、受信回路RX 20とに接続される。送信/受信スイッチTRSWによって動作可能に制御されるような送信モードのときに第1の二次側巻線スイッチSWs1aを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は、もはや、一次側巻線P1からトランスデューサ素子Z1にパルス波形を送ることがなくなるが、それは、第1の二次側巻線S1が一方の端部に接地されているからである。
第2の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、送信/受信スイッチTRSWを介して、次いで接地される第2の二次側巻線スイッチSWs2aと、受信回路RX 20とに接続される。送信/受信スイッチTRSWによって動作可能に制御されるような送信モードのときに第2の二次側巻線スイッチSWs2aを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は、もはや、一次側巻線P1からトランスデューサ素子Z2にパルス波形を送ることがなくなるが、それは、第2の二次側巻線S2が一方の端部に接地されているからである。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、スイッチSWp1aとSWp1bと送信/受信(TR)スイッチTRSWとを使用する送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。スイッチSWp1aとSWp1bとが閉じられると、一次側巻線P1は、もはや、磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWp1aとSWp1bとのうちのいずれかが開いている場合、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり二次側巻線S1と二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、一次側巻線P1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWp1aとSWp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1とS2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路TX 10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。TXモードのときに、TRスイッチTRSWは、受信回路20が入力を受け取るのを妨げるために使用される。またTXモードのときに、第1の二次側巻線スイッチSWs1aと第2の二次側巻線スイッチSWs2aとを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方が、送信回路TX 10からの送信信号に従って二次側巻線スイッチSWs1aとSWs2aの一方を閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側スイッチSWs1aとSWs2aが接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路RX 20は、二次側巻線S1またはS2を介して2つの独立した出力ノードに接続される。RXモードのときに、TRスイッチTRSWは、受信回路20を接続して入力を受け取るために使用される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じて二次側スイッチSWs1aとSWs2aのうちの対応する一方が開かれる。つまり、二次側スイッチSWs1aとSWs2aを開くことによって、関連する二次側巻線は、TRスイッチTRSWを介して受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を有する。それと同時に、2つのスイッチSWs1aとSWs2aのうちの他方は、適宜閉じたままにされる。受信回路20への経路は独立しているので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。
次に、図8Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。一次側巻線P1は極A上に配置され、終端部P1aとP1b、さらにはタップ点P1cを有する。同様に、第1の二次側巻線S1は極B上に配置され、その終端部S1aとS1bとを有する。第2の二次側巻線S2は極C上に配置され、その終端部S2aとS2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に、図9Aを参照すると、第8の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1Cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。
2つのショート巻線Z1およびZ2は、対応する細分された一次側巻線P1AとP1Bとに別々に磁気的に結合される。第1のショート巻線Z1は、終端部Z1aとZ1bとを有し、これらは送信/受信(TR)スイッチTRSW1に接続される。同様に、第2のショート巻線Z2は、終端部Z2aとZ2bとを有し、これらは送信/受信(TR)スイッチTRSW2に接続される。ショート巻線Z1とZ2は、一次側巻線P1AとP1Bとを独立して接地するようにTRスイッチTRSW1とTRSW2とによってそれぞれ制御される。
二次側巻線S1は、さらに、2つの細分されたS1AとS1Bとを有し、これらは、対応する形で一次側巻線部分P1AとP1Bとに磁気的に結合される。つまり、二次側巻線部分S1Aは、一次側巻線部分P1Aと磁気的に結合されるが、二次側巻線部分S1Bは、一次側巻線部分P1Bと磁気的に結合される。
さらに、二次側巻線S1は、受信回路RX 20用のタップ端子S1c、さらにはプローブトランスデューサ素子に接続される終端部S1aとS1bとを有する、終端部S1aは、トランスデューサ素子Z11などのZprobe1と、次いで接地される二次側巻線の第1のスイッチSWs1aとに接続される。終端部S1bは、トランスデューサ素子Z22などのZprobe2と、次いで接地される二次側巻線の第2のスイッチSWs1bとに接続される。それに加えて、二次側巻線S1は、二次側巻線S1上の所定の端子S1cのところで受信回路RX 20とインピーダンスコンポーネントZ31とによってタップされる。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。一次側巻線P1の第1の部分P1Aと第2の部分P1Bとは、二次側巻線S1に磁気的に関連付けられているけれども、第1の部分P1Aと第2の部分P1Bとは、互いに磁気的に結合されてはいない。同様に、二次側巻線S1の第1の部分S1Aと第2の部分S1Bとは、独立した方法で一次側巻線P1に磁気的に関連付けられているけれども、第1の部分S1Aと第2の部分S1Bとは、互いに磁気的に結合されてはいない。さらに、一次側巻線P1の第1の部分P1Aと第2の部分P1Bと、二次側巻線S1の第1の部分S1Aと第2の部分S1Bとは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するように互いに電気的に絶縁されている。同様に、第1のショート巻線Z1と第2のショート巻線Z2も、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、スイッチSWp1aとSWp1bと送信/受信(TR)スイッチTRSW1とTRSW2とを使用する送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。スイッチSWp1aとSWp1bとが閉じられると、一次側巻線P1は、もはや、磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWp1aとSWp1bとのうちのいずれかが開いている場合、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、一次側巻線P1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWp1aとSWp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路TX 10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1の対応する部分P1AとP1Bとに選択的に結合されている二次側巻線部分S1AとS1Bの両方のまたはいずれか一方のうちの1つ出力される。TXモードのときに、インピーダンスZ31は、受信回路20が入力を受け取るのを妨げるために使用される。またTXモードのときに、TRスイッチTRSW1とTRSW2とを使用して、Zprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが一次側巻線部分P1AとP1Bのうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。さらに、二次側巻線部分S1AとS1Bのうちのいずれか一方が、送信回路TX 10からの送信信号に従って二次側巻線スイッチSWs1aとSWs2aの一方を閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線部分P1AまたはP1Bからのパルス信号は、関連する二次側スイッチSWs1aとSWs2aが接地されていない二次側巻線部分S1AとS1Bのうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路RX 20は、二次側巻線S1上の出力ノードS1Cに接続される。RXモードのときに、TRスイッチTRSW1とTRSW2とは、適宜、一次側巻線部分P1AとP1Bの両方を接地するために使用される。代替的に、または組み合わせにより、信号がエコーに干渉するのを防ぐため、スイッチSWp1aとSWp1bとを閉じて一次側巻線P1を接地する。二次側巻線S1AとS1Bのうちのいずれか一方を介して1つのトランスデューサ素子からエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じて二次側スイッチSWs1aとSWs2aのうちの対応する一方が開かれる。つまり、二次側スイッチSWs1aまたはSWs2aを閉じることによって、関連する二次側巻線部分は、エコー信号が受信回路20への入力として伝えられることが防がれる。それと同時に、2つのスイッチSWs1aとSWs2aの他方は、エコー信号が受信回路20への入力として伝えられるように開かれたままにされる。1つのトランスデューサ素子Z11またはZ22から受信回路20への経路は独立して交互されるので、二次側巻線部分S1AとS1Bのうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。
次に、図9Bを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。一次側巻線P1は極A上に配置され、終端部P1aとP1b、さらにはタップ点P1cを有する。同様に、第1のショート巻線Z1は極B上に配置され、その終端部Z1aとZ1bとを有する。第2のショート巻線Z2は極C上に配置され、その終端部Z2aとZ2bとを有する。二次側巻線S1は極Aと、Bと、Cのうちの1つまたは複数上に配置され、終端部S1aとS1b、さらにはタップ点S1cを有する。極Aは、二次側巻線Z1とZ2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの上に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線Z1とZ2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを三角形のジオメトリに揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図10Aを参照すると、第9の実施形態によるマルチプレクサにおいて使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図10Bを参照すると、第9の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。極A上の一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。さらに、終端部P1aとP1bとは、送信/受信(TR)スイッチTRSWを介して受信回路RX 20に接続される。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1bは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1aは、次いで接地される第1の二次側巻線スイッチSWs1aに接続される。送信/受信スイッチTRSWによって動作可能に制御されるような送信モードのときに第1の二次側巻線スイッチSWs1aを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は、もはや、一次側巻線P1からトランスデューサ素子Z1にパルス波形を送ることがなくなるが、それは、第1の二次側巻線S1が一方の端部に接地されているからである。
第2の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S2bは、次いで接地される第2の二次側巻線スイッチSWs2aに接続される。送信/受信スイッチTRSWによって動作可能に制御されるような送信モードのときに第2の二次側巻線スイッチSWs2aを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は、もはや、一次側巻線P1からトランスデューサ素子Z2にパルス波形を送ることがなくなるが、それは、第2の二次側巻線S2が一方の端部に接地されているからである。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信/受信(TR)スイッチTRSWを使用する送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。スイッチSWp1aとSWp1bとが閉じられると、一次側巻線P1は、もはや、磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWp1aとSWp1bとのうちのいずれかが開いている場合、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり二次側巻線S1と二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、一次側巻線P1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。RXモードでは、スイッチSWp1aとSWp1bの両方が閉じられず、スイッチングデバイス21は、二次側巻線S1とS2のいずれかに出力するパルス信号を発生しない。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路TX 10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。TXモードのときに、TRスイッチTRSWは、受信回路20が入力を受け取るのを妨げるために使用される。またTXモードのときに、第1の二次側巻線スイッチSWp1aと第2の二次側巻線スイッチSWs2aとを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方が、送信回路TX 10からの送信信号に従って二次側巻線スイッチSWs1aとSWs2aの一方を閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側スイッチSWs1aとSWs2aが接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路RX 20は、一次側巻線P1を介し、二次側巻線S1またはS2を介して2つの独立した出力ノードに接続される。RXモードのときに、送信回路10からの送信信号に従って発生するパルス信号はなく、TRスイッチTRSWは、受信回路20を接続して入力を受け取るために使用される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じて二次側スイッチSWs1aとSWs2aのうちの対応する一方が開かれる。つまり、二次側スイッチSWs1aとSWs2aを開くことによって、関連する二次側巻線は、TRスイッチTRSWを介して受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を有する。それと同時に、2つのスイッチSWs1aとSWs2aのうちの他方は、適宜閉じたままにされる。受信回路20への経路は独立しているので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。
次に、図10Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。一次側巻線P1は極A上に配置され、終端部P1aとP1b、さらにはタップ点P1cを有する。同様に、第1の二次側巻線S1は極B上に配置され、その終端部S1aとS1bとを有する。第2の二次側巻線S2は極C上に配置され、その終端部S2aとS2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に図11Aを参照すると、本実施形態によるマルチプレクサの第10の実施形態において使用されるトランスの鉄心が図に例示されている。第1の極A上の一次側巻線P1は、終端部P1aとP1b、さらにはタップ端子P1cを有する。第1の極A上の第1のショート巻線Zp1も終端部Zp1aとZp1bとを有し、一次側巻線P1に磁気的に関連付けられている。第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有する。第3の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。第3の極C上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S2と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有する。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。極Aと、Bと、Cとの相対的物理的配置は、概念的なものにすぎず、例示されている関係に限定されない。
次に、図11Bを参照すると、第9の実施形態による超音波診断装置における、トランスベースのマルチプレクサ内の、関連するコンポーネントとの接続が図に例示されている。一次側巻線P1と第1のショート巻線ZP1とは、極A上で磁気的に結合されている。一次側巻線P1は、2つの部分セクションP1AとP1Bとを有し、送信回路TX 10は、2つの部分セクションP1AとP1Bとの間の端子P1cのところでタップインされる。一次側巻線P1は、端子P1aとP1bとを有し、これらはスイッチSWp1aとSWp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。SWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、送信回路TX 10からの送信信号に応じてパルスを発生する。第1のショート巻線ZP1は、端子Zp1aとZp1bとを有し、これらはスイッチSWzp1aとSWzp1bとにそれぞれ接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWzp1aとSWzp1bとを閉じることによって、一次側巻線P1は他の巻線に磁気的に結合されることはもはやないが、これについて後の方で詳しく説明する。さらに、終端部P1aとP1bとは、送信/受信(TR)スイッチTRSWを介して受信回路RX 20に接続される。
第2の極B上の第1の二次側巻線S1は、終端部S1aとS1bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S1aは、トランスデューサ素子Z1などのZprobe1に接続されるが、終端部S1bは、インピーダンスコンポーネントZ31に接続される。第2の極B上の第1の二次側ショート巻線Zs1も、第1の二次側巻線S1と磁気的に結合され、終端部Z1aとZ1bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz1aとSWz1bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz1aとSWz1bとを閉じることによって、第1の二次側巻線S1は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
第2の極C上の第2の二次側巻線S2は、終端部S2aとS2bとを有し、一次側巻線P1と磁気的に結合されている。終端部S2aは、トランスデューサ素子Z2などのZprobe2に接続されるが、終端部S1aは、共通のインピーダンスコンポーネントZ31に接続される。第2の極B上の第2の二次側ショート巻線Zs2も、第2の二次側巻線S12と磁気的に結合され、終端部Z2aとZ2bとを有し、これらはそれぞれスイッチSWz2aとSWz2bとに接続され、これらは次いで接地される。スイッチSWz2aとSWz2bとを閉じることによって、第2の二次側巻線S2は一次側巻線P1にもはや磁気的に結合されず、その結果、一次側巻線P1からパルス波形をいっさい受けない。
トランスベースのマルチプレクサの上記の実施形態では、これらの巻線は特定の方法で製作される。第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2は、独立した方法で一次側巻線P1と磁気的に関連付けられているけれども、第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2とは、極BとCとが磁気的結合を妨げるように備えられているので、互いに磁気的に結合されていない。さらに、二次側巻線S1とS2とは、高電圧(HV)マルチプレクサを実装するために互いから電気的に絶縁される。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信/受信(TR)スイッチTRSWを使用する送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。スイッチSWp1aとSWp1bとが閉じられると、一次側巻線P1は、もはや、磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWp1aとSWp1bとのうちのいずれかが開いている場合、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり二次側巻線S1と二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、一次側巻線P1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。RXモードでは、スイッチSWp1aとSWp1bの両方が閉じられず、スイッチングデバイス21は、二次側巻線S1とS2のいずれかに出力するパルス信号を発生しない。
トランスベースのマルチプレクサを収納する上述のスイッチングデバイス21は、送信(TX)と受信(RX)とを含む2つの所定の動作モードを有する。送信/受信(TR)スイッチは、スイッチSWzp1aとSWzp1bとをTRスイッチTRSW 60とインピーダンスコンポーネントZ31とを組み合わせて使用して実装される。スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、第1のショート巻線Zp1は接地され、一次側巻線P1はもはや磁気的に能動的でない。その一方で、スイッチSWzp1aとSWzp1bとのうちのいずれかが開いている場合、第1のショート巻線Zp1は接地されず、一次側巻線P1は磁気的に能動的であり第1の二次側巻線S1と第2の二次側巻線S2の両方またはいずれか一方と結合し、パルス信号をトランスデューサ素子に送信する。そのため、第1のショート巻線Zp1を接地しないことによって、一次側巻線P1は、フロントエンド回路をTXモードに機能的に切り替える。対照的に、スイッチSWzp1aとSWzp1bの両方が閉じられた場合、パルス信号が二次側巻線S1/S2のいずれにも出力されず、一次側巻線P1が磁気的に能動的でないため、スイッチングデバイス21は、RXモードに入る。
TXモードのとき、スイッチSWp1aとSWp1bとをオン、オフすることによって、パルス信号または波形が送信回路10からの送信信号に従って一次側巻線P1のところに生成され、一次側巻線P1を通して一次側巻線P1に選択的に結合されている二次側巻線S1とS2のうちの一方に出力される。またTXモードのときに、二次側ショート巻線Zs1とZs2とを使用して、パルス波形を受け取るためにZprobe1またはZprobe2のどちらのインピーダンスが二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して接続されているかを判定する。つまり、二次側ショート巻線Zs1とZs2のうちのいずれか一方が、送信回路10からの送信信号に従ってスイッチSWz2a/SWz2bとスイッチSWz1a/SWz1bの対応する1つの対のみを閉じることによって交互に接地される。その結果、一次側巻線P1からのパルス信号は、関連する二次側ショート巻線ZS1もしくはZS2が接地されていない二次側巻線S1とS2のうちの選択された巻線を介して1回でZprobe1またはZprobe2に出力される。
受信(RX)モードのときに、受信回路20は、二次側巻線S1とS2とからTRスイッチTRSWを介して2つの出力ノードのうちの選択されたノードに選択的に接続される。受信(RX)モードのときに、受信回路RX 20は、一次側巻線P1を介し、二次側巻線S1またはS2を介して2つの独立した出力ノードに接続される。それに加えて、RXモードのときに、送信回路10からの送信信号に従って発生するパルス信号はなく、TRスイッチTRSWは、受信回路20を接続して入力を受け取るために使用される。二次側巻線S1とS2のうちのいずれか一方を介してトランスデューサ素子から1つのエコー信号を受信するために、TXモードのときに選択されたプローブインピーダンスに応じてスイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの対応する一方が閉じられる。つまり、二次側ショート巻線ZS1またはZS2をショートさせることによって、関連する接地された二次側巻線は、受信回路20への入力として伝わるエコー信号のための低インピーダンス経路を構成する。それと同時に、スイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの他方は、適宜開いたままにされる。スイッチSWz1a/SWz1bとSWz2a/SWz2bの2つの対のうちの一方のみを閉じることによってインピーダンスコンポーネントZ31とZ32とともにある時点においてZprobe1またはZprobe2からのエコー信号が選択されるので、二次側巻線S1とS2のうちの他方からのエコー信号は、受信回路20への入力に干渉しない。インピーダンスコンポーネントZ31は、選択された二次側巻線S1とS2のうちの一方に電圧が発生するように巻線の一方の側をショートさせるために使用される。
次に、図11Cを参照すると、本発明の一実施形態におけるトランスベースのマルチプレクサの鉄心の断面が図に例示されている。極A上で、一次側巻線P1と第1のショート巻線Zp1とは、所定の比で配置される。一次側巻線P1は、その終端部P1aとP1bとをそのタップ点P1cとともに有するが、第1のショート巻線Zp1は、その終端部Zp1aとZp1bを有する。同様に、極B上で、第1の二次側巻線S1と第1の二次側ショート巻線Zs1とは、所定の比で配置される。第1の二次側巻線S1は、その終端部S1aとS1bとを有するが、第1の二次側ショート巻線Zs1は、その終端部Z1aとZ1bとを有する。極C上で、第2の二次側巻線S2と第2の二次側ショート巻線Zs2とは、所定の比で配置される。第2の二次側巻線S2は、その終端部S2aとS2bとを有するが、第2の二次側ショート巻線Zs2は、その終端部Z2aとZ2bとを有する。極Aは、二次側巻線S1とS2とが互いに磁気的に絶縁されるように極BとCとの間に配置される。その一方で、極BとCとは、二次側巻線S1とS2とが互いに一次側巻線P1に磁気的に結合されるように極Aに隣接する。この実施形態では、極Aと、Bと、Cとを直線上に揃えて並べるけれども、例示されている構成に限定されない。
次に、図12を参照すると、一実施形態に関わるステップもしくは活動、または本実施形態による超音波診断装置においてトランスベースのマルチプレクサを使用して少なくとも2つのトランスデューサ素子を多重化するプロセスがフロー図に示されている。この実施形態は、ステップS10で少なくとも2つのトランスデューサ素子に接続されている少なくとも1つのトランスベースのマルチプレクサを実現するステップもしくは活動を含む。トランスベースのマルチプレクサは、所定の信号のうちの1つを送るために送信回路に接続されている第1の、または一次側巻線を有する。第2の巻線は、第1の巻線と磁気的に結合され、少なくとも2つのトランスデューサ素子のうちの一方に接続される。第3の巻線は、第1の巻線と磁気的に結合され、少なくとも2つのトランスデューサ素子のうちの他方に接続される。第2の巻線と第3の巻線とは、上記のプロセスにおいて一次側巻線と磁気的に結合される二次側巻線である。
なおも図12を参照すると、上記のトランスベースのマルチプレクサは、以下のタスクもしくはステップを遂行することがわかる。つまり、ステップS20で、第2の巻線は、第1の巻線から電子的に絶縁されるが、第3の巻線は、第1の巻線から電子的に絶縁される。それと同時に、第3の巻線は、第2の巻線から磁気的に絶縁される。その後、上記のトランスベースのマルチプレクサは、ステップS30において、第2の巻線をショートさせるために第2の巻線に関連付けられている第2のショートデバイスと一度に2つのトランスデューサ素子のうちの一方が接続されるように第3の巻線をショートさせるために第3の巻線に関連付けられている第3のショートデバイスのうちの一方の活性化を遂行する。最後に、上記の例示的なプロセスがステップS50において完了しているかどうかが判定される。ステップS50において上記の例示的なプロセスが完了していると判定された場合、プロセスは終了する。その一方で、上記の例示的なプロセスは、ステップS50においてまだ完了していないと判定された場合、ステップS50Aにおいて、現在の動作モードを所定のモード間で変更すべきかどうかがさらに決定される。このモードを変更する必要がある場合、上記の例示的なプロセスは、モード変更ステップS40を実行し、その後、ステップS20に進む。その一方で、モードを変更する必要がない場合、上記の例示的なプロセスはステップS30に進む。
次に、図13を参照すると、一実施形態におけるモードの変更に関わる特定のステップもしくは活動、または本実施形態による超音波診断装置においてトランスベースのマルチプレクサを使用して少なくとも2つのトランスデューサ素子を多重化するプロセスがフロー図に示されている。この実施形態は、モードと、モードのそれぞれに関連するステップと活動とを決定するステップもしくは活動を含む。例えば、ステップS40Aでは、例示的なプロセスが送信または受信などのどのモードで動作するかを決定する。ステップS40Aにおいて、例示的なプロセスが送信モードで動作すると決定された場合、ステップ40Bと、40Cと、40Dとが実行される。つまり、ステップ40Bにおいて送信回路からの信号に従ってパルスが生成され、これは一次側巻線を伴う。ステップS40Cにおいて、生成されたパルスを送信するために二次側巻線が選択される。選択された二次側巻線は、トランスベースのマルチプレクサにおいて一次側巻線と磁気的に結合される。一次側巻線を通して、生成されたパルスが選択された二次側巻線に送られる。最後に、パルスは、送信モードで選択された二次側巻線に接続されているトランスデューサ素子から送信される。
なおも図13を参照すると、ステップS40Aにおいて、例示的なプロセスが受信モードで動作すると決定された場合、ステップ40Eと40Fとが実行される。つまり、ステップS40Eでは、トランスデューサ素子からのエコー信号の送り先となる二次側巻線を選択する。受信回路の構成に応じて、受信されたエコー信号は、所定の受信回路への選択された二次側巻線に送られる。例えば、受信回路が一次側巻線に接続されている場合、受信されたエコー信号は、選択された二次側巻線から一次側巻線を介して受信回路に送られる。その一方で、受信回路が二次側巻線に接続されている場合、受信されたエコー信号は、選択された二次側巻線から受信回路に送られる。いずれの場合も、エコー信号は、ステップS40Fにおいて受信回路で受信される。最後に、ステップS40Gにおいて、上記の例示的なプロセスが終了しているかどうかが判定される。終了していない場合、例示的なプロセスはステップS40Aに戻る。その一方で、終了している場合、例示的なプロセスは終了する。
以上述べた各実施形態に係る超音波診断装置によれば、トランスベースのマルチプレクサを使用して、選択した超音波振動子については送信回路の出力を直接供給する一方、選択されていない超音波振動子については、ショート巻線から構成されるショートデバイスにより磁気的結合を相殺させ、送信回路の出力が供給されないようにする。従って、高耐圧FETを用いたスイッチ回路、又はそれらをICとしたデバイスを用いる必要がなく、従来に比して、電圧損失又は電力損失を低減させることができる。
また、高耐圧FETを用いる必要がないため、送信回路と超音波振動子との接続切替時の負荷を低減できると共に、装置のコストを下げることができる。
上記の実施形態は、例示的なものにすぎず、図面中の一次側または二次側巻線の特定の数に限定されない。巻線の数は、二次側巻線と一次側巻線の両方において、NとMとを実数とするN:Mの所定の比に合わせて適宜増やされる。一般に、高電圧マルチプレクサの基本動作は、マルチプレクサへの入力が一次側巻線であり、マルチプレクサの出力が送信回路の二次側巻線であるような動作である。
同様に、上記のプロセスは、例示的なものにすぎず、図面中のステップもしくは活動の特定の数に限定されない。例示されているステップおよび活動は、組み合わせて実行することと、異なる順序で実行することの両方で、またはいずれか一方で、行うことができる。さらに、いくつかの目標を達成するためにいくつかの追加のステップが適宜実行される。
要約すると、上記の明細書では、本実施形態による高電圧のトランスベースのマルチプレクサの11個の実施形態を取りあげている。3つの実施形態では、結合された送信/受信(TR)スイッチまたは結合されたショート巻線を二次側巻線と組み合わせて使用する。他の3つの実施形態では、二次側巻線において結合された送信/受信(TR)スイッチまたは結合されたショート巻線を使用する代わりに二次側巻線において高電圧スイッチを使用する。それに加えて、3つの代替的実施形態は、ショートインピーダンスZ31の配置を変更する一実施形態と、ショート巻線を能動的TRスイッチで置き換えた別の実施形態と、受信回路(RX)の位置を変更し、RXブロックへの差動入力を生成する第3の実施形態とを含む。
しかし、本発明の多数の特性および利点は、本発明の構造および機能の詳細と併せて、前記の説明において述べられているとはいえ、本開示は例示しているにすぎないこと、また、部分の形状と、サイズと、配置構成の面で、さらにはソフトウェア、ハードウェア、またはこれらの両方の組み合わせにおける実装に関して、細部に変更を加えることが可能であるけれども、変更は付属の請求項を表現する用語の広い一般的な意味によって示される限り本発明の原理の範囲内にあることは理解されるであろう。