JP6257054B2 - ヘテロ環を含む化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヘテロ環を含む化合物の製造方法等に関する。
近年、様々なペプチドが医薬品候補や研究用ツールとして注目されており、ペプチドライブラリを開発し、標的物質に親和性を有するペプチドをスクリーニングしようとする様々な試みがなされている。
人工的にペプチドライブラリを作製する方法としては、従来、化学合成による方法、二次代謝産物の生合成酵素を用いる方法、翻訳合成系などが用いられている。
しかしながら、化学合成による方法では、ライブラリの多様性を大きくするのが困難である。また、スクリーニングや、化合物の構造と活性の相関解析にも時間を要する。
これに対し、二次代謝産物の生合成酵素を用いる方法によれば、迅速かつ簡便に、有機化学的手法では得られないような精巧な骨格の構築や化学変換が可能となる。しかしながら、酵素には基質特異性があるため、合成できる化合物の種類が限られ、大規模な化合物ライブラリの構築に適用するのは難しい。
翻訳合成系によれば、mRNAライブラリを作製し、これをワンポットで翻訳することによって短時間で多様性に富んだペプチドライブラリを構築することができる。また、mRNAディスプレイ法等と組み合わせることにより、遺伝子型である核酸分子と表現型であるペプチドとを関連づけることができるため、所望の標的分子に結合するペプチドをライブラリの中から迅速かつ簡便に探索・濃縮することができる。このように、翻訳系によるペプチドライブラリの合成には優れた点が多いが、産生できるのは、ほぼペプチド性の化合物に限られる。
ライブラリを用いたスクリーニングでは、プロテアーゼ活性を有する標的物質を阻害する化合物を同定することもしばしば必要とされる。しかしながら、ペプチド性化合物のライブラリは、プロテアーゼによって切断されてしまうので、標的物質の活性を阻害する化合物を効率よくスクリーニングすることができない。
翻訳後修飾酵素により、in vitroでペプチドライブラリの各ペプチドを修飾することも考えられるが、所望の活性を有する酵素がin vitroで活性を有するとは限らない。また、酵素と反応させる前に、発現させたペプチドライブラリを精製しなければならず、酵素の基質特異性も検討しなければならないので、所望の構造のペプチドで構成されるライブラリを得ることは容易ではない。
修飾の有無や程度が特定できないライブラリは、結局、化学合成系と同様に構造と活性の相関解析が必要となるため、有用性に劣るという問題がある。
ところで、ホヤの共生藻Prochloron didemniが産生するpatellamideは、様々な生理活性を有すると考えられる低分子環状ペプチドであり、patA〜Gからなるpat遺伝子群の産物によるユニークな経路で生合成される。pat遺伝子群と、この生合成経路の概略を図6に示す。
この生合成において前駆体となるのは、patE遺伝子産物のPatEペプチドである。patE遺伝子は超可変領域(カセット領域)を有するため、その産物は天然のコンビナトリアルライブラリを構築する。
PatEペプチドは、カセット領域の両側に、翻訳後修飾酵素による認識配列を有する。翻訳後修飾酵素として働くのは、PatA、PatD及びPatGである。PatDは、PatEのカセットにおけるCys、Ser、及びThrにアゾリン骨格を導入し、Cysをチアゾリン骨格に、Ser及びThrをオキサゾリン骨格に変換する。
PatAは、PatEのカセット領域のN末端側の認識配列を切断する。
PatGは、2つのドメインからなり、N末端のオキシダーゼドメインは、PatDにより導入されたアゾリン骨格をアゾール骨格に、即ちチアゾリン骨格をチアゾール骨格に変換する。C末端側のペプチダーゼドメインは、PatEのカセット領域のC末端側の認識配列を切断しながら大環状化する。
上述した天然のPatEのカセット領域については、(i) 7又は8残基である、(ii) カセット領域のN末端から2、4、6、8番目に、修飾を受けるSer/Thr/Cysが位置することが多い、(iii) 修飾を受ける残基(Ser/Thr/Cys)は並ぶことが少ない、(iv) Ser/Thr/Cys以外の残基には、Val、Ala、Ile、Phe、Leuなどの疎水性残基が多い、などの共通点がある(M.S. Donia et al.;非特許文献1)。
従って、これらの共通点は、翻訳後修飾酵素であるPatD及びPatGの基質となるために必要であるようにも考えられた。しかしながら、これらのSer/Thr/Cysのうち、どれが修飾されているのか、されていないのかも不明であり、PatD及びPatGの基質特異性についてはこれまで明らかとなっていなかった。
本発明者らは、この点について、ある種のアゾリン骨格導入酵素はin vitroでもアゾリン骨格形成活性を有すること;かかるアゾリン骨格導入酵素の基質となるカセット領域の配列は、非特許文献1に記載されたものに限られず、多様な配列にできること;したがって、PatEライブラリを無細胞翻訳系により発現させ、これをアゾリン骨格導入酵素で修飾してアゾリン化合物ライブラリをワンポットで効率よく行うことができること;かかるライブラリは、プロテアーゼ活性を有する標的物質を用いるスクリーニングにも利用できることを見出した。この種の、リーダー配列を有する基質に対するアゾリン骨格形成反応の概念図を図1Aに示す。
さらに、PatEのリーダー配列や、認識配列を、天然の配列とは異なる所定の配列にしても、アゾリン骨格導入酵素の基質となり得ること;図1Bに示すように、リーダー配列部分を、カセット領域を含むペプチドとは別個のペプチドとしても、当該ペプチドがアゾリン骨格導入酵素を含む反応系に存在すれば、カセット領域にアゾリン骨格が導入されることを確認した(以上、特許文献1)。
国際公開第2012/121392号
Donia, M.S. et al., Nat. Chem. Biol., 2006, 2:729-735.
基質ペプチドから、リーダー配列をはずすことによって、当該基質ペプチドのN末端に任意のアミノ酸又はそのアナログを配することができるようになるので、特許文献1の方法は、ペプチドの環状化等のために非常に有用であった。
しかしながら、基質ペプチドとは別のペプチドとしてリーダー配列を反応系に加える必要があることから、得られるライブラリが複雑となる。また、リーダー配列を別ペプチドとして加えた場合、アゾリン骨格が常に十分に導入されるとは限らなかった。
そこで、本発明は、基質ペプチドに安定的にアゾリン骨格を導入することができることを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために研究を重ねた結果、基質のリーダー配列はアゾリン骨格導入酵素の活性化に寄与していることを見出した。
そして、この知見に基づいて、リーダー配列をアゾリン骨格導入酵素に結合させたところ、図1Cに示すように、アゾリン骨格導入酵素が常時十分に活性化され、リーダー配列を持たない基質ペプチドにもアゾリン環等のヘテロ環を導入できることを見出した。また、リーダー配列は、アゾリン骨格導入酵素のN末端に結合させた場合に特に高く活性化されること、及び、リーダー配列は、ある程度の長さを有するスペーサを介してアゾリン骨格導入酵素に結合させるとより効果的であることを確認した。
さらに、リーダー配列を結合させたアゾリン骨格導入酵素を用いたときには、基質ペプチドにおいて、カセット配列を挟む2つの認識配列をかなり短くできる一方、カセット配列は多様な配列とすることができること;基質ペプチドのN末端に環状化に必要なアミノ酸又はアミノ酸アナログを配して、ヘテロ環が導入されたペプチドを効率よく環状化できること;及び、リーダー配列を結合させたアゾリン骨格導入酵素を用いて得られるライブラリは扱いやすい簡略な構成であることを確認し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は
〔1〕アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法であって:
下記式(I)
(Xaa2)m-(Xaa3)n-(Xaa4)o (I)
〔式中、
(Xaa2)mは、m個の任意のアミノ酸を示し、mは0から10より選択される整数を示し;
(Xaa3)nは、n個の任意のアミノ酸を示すが、少なくとも1つは、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸であり、nは2から40から選択される整数を示し;
(Xaa4)oは、o個の任意のアミノ酸を示し、oは0から10より選択される整数を示す。〕で表されるペプチドを調製する工程と、
前記ペプチドと、基質のリーダー配列又はその部分配列が結合したアゾリン骨格導入酵素とを反応させて、(Xaa3)nのCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの少なくとも1つにヘテロ環を導入する工程と、を含む方法;
〔2〕前記アゾリン骨格導入酵素には、そのN末端に、基質のリーダー配列又はその部分配列が結合している、上記〔1〕に記載の方法;
〔3〕前記リーダー配列又はその部分配列は、以下の配列又はその部分配列からなる、上記〔1〕又は〔2〕に記載の方法;
MNKKNILPQQGQPVIRLTAGQLSSQLAELSEEALGDA(配列番号:1)
MKEQNSFNLLQEVTESELDLILGA(配列番号:2)
MILASLSTFQQMWISKQEYDEAGDA(配列番号:3)
MELQLRPSGLEKKQAPISELNIAQTQGGDSQVLALNA(配列番号:4)
〔4〕前記リーダー配列は、スペーサを介して前記アゾリン骨格導入酵素に結合している、上記〔1〕から〔3〕のいずれか1項に記載の方法;
〔5〕前記(Xaa3)nは、(Xaa5-Xaa6)pである、上記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の方法:
〔式中、p個のXaa5は、それぞれ独立に任意のアミノ酸を示し、p個のXaa6は、それぞれ独立にCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、
及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸を示し、pは1から20から選択される。〕;
〔6〕Xaa6がCysである、上記〔5〕に記載の方法;
〔7〕前記(Xaa4)oが、N末端にAla-Tyr-Aspを含む、上記〔1〕から〔6〕のいずれか1項に記載の方法;
〔8〕式(I)で表されるペプチドを調製する工程は、
式(I)で表されるペプチドをコードする核酸を調製する工程と、
前記核酸を、無細胞翻訳系で翻訳する工程と、を含む、上記〔1〕から〔7〕のいずれか1項に記載の方法;
〔9〕式(I)で表されるペプチドが、環状化に用いられるアミノ酸を含む、上記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の方法;
〔10〕式(I)で表されるペプチドが、以下のいずれかの官能基1を有するアミノ酸と、対応する官能基2を有するアミノ酸を含む、上記〔9〕に記載の方法:

〔式中、X1はCl、BrまたはIであり、Arは置換基を有していてもよい芳香環である。〕。
〔11〕前記ヘテロ環を導入する工程の後、ヘテロ環を含む化合物を環状化する工程をさらに含む、上記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の方法;
〔12〕アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法であって、
上記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載の方法において、前記ヘテロ環の導入工程の後、ヘテロ環が導入されたペプチドとアゾール骨格導入酵素とを反応させ、アゾリン骨格導入酵素によって導入されたヘテロ環の少なくとも1つを、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環に変換する工程を含む、方法;
〔13〕上記〔1〕から〔12〕のいずれか1項に記載の方法で製造されたヘテロ環を含む化合物;
〔14〕以下のいずれかのアゾリン骨格導入酵素。
(i) 配列番号:5〜15のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなる酵素、
(ii) 配列番号:5〜15のいずれか1つと80%以上の同一性を有する配列からなる、アゾリン骨格導入活性を有する酵素、及び
(iii) 配列番号:5〜15のいずれか1つにおいて、1又は数個のアミノ酸が、欠失、付加又は置換した配列からなる、アゾリン骨格導入活性を有する酵素。
〔15〕アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリの製造方法であって:
上記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載の方法において、ペプチドを調製する工程で、式(I)で表されるペプチドにおいて(Xaa3)nが異なる2種以上のペプチドを含むペプチドライブラリを調製し、アゾリン骨格導入酵素でヘテロ環を導入する工程で、前記ペプチドライブラリにヘテロ環を導入する方法であり、
前記ペプチドライブラリを調製する工程は、該ペプチドライブラリをコードする核酸ライブラリを製造する工程と、前記核酸ライブラリを無細胞翻訳系によって翻訳し、ペプチドライブラリを製造する工程と、を含む方法;
〔16〕アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリの製造方法であって:
上記〔1〕から〔11〕のいずれか1項に記載の方法において、ペプチドを調製する工程で、式(I)で表されるペプチドにおいて(Xaa3)nが異なる2種以上のペプチドと該ペプチドをコードするmRNAとの複合体を含むペプチドライブラリを調製し、アゾリン骨格導入酵素でヘテロ環を導入する工程で、前記ペプチドライブラリにヘテロ環を導入する方法であり、
前記ペプチドライブラリを調製する工程は、該ペプチドライブラリをコードするmRNAライブラリを製造する工程と、各mRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させ、ピューロマイシン結合mRNAライブラリを製造する工程と、前記ピューロマイシン結合mRNAライブラリを無細胞翻訳系によって翻訳し、ペプチド−mRNA複合体ライブラリを製造する工程と、を含む方法。
〔17〕アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリの製造方法であって:
上記〔15〕又は〔16〕に記載された方法によって、アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリを製造する工程と、
前記ライブラリを、アゾール骨格導入酵素と反応させて、アゾリン骨格導入酵素によって導入されたヘテロ環の少なくとも1つを、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環に変換する工程と、を含む方法;
〔18〕標的物質に結合するヘテロ環を含む化合物を同定するスクリーニング方法であって、
上記〔15〕から〔17〕のいずれか1項に記載の方法で製造された化合物ライブラリと、標的物質とを接触させてインキュベートする工程と、
前記標的物質に結合した化合物を選択する工程と、を含む方法;及び
〔19〕標的物質に結合するヘテロ環を含む化合物を同定するためのスクリーニング用キットであって、
上記〔15〕から〔17〕のいずれか1項に記載の方法で製造された化合物ライブラリを含む、キット、
に関する。
本発明の方法によれば、アゾリン骨格導入酵素を常時活性化することができるので、リーダー配列を持たない基質ペプチドにも、効率よくアゾリン環等のヘテロ環を導入することができる。このため、ヘテロ環導入後に余分なリーダー配列を除去するなどの操作をせずとも、目的のヘテロ環を含む化合物を得ることができる。
また、リーダー配列を結合させたアゾリン骨格導入酵素を用いてヘテロ環を含む化合物ライブラリを構築する場合、リーダー配列を独立したペプチドとして加えないためライブラリ構築の反応条件を簡略化でき、また、ヘテロ環を含む化合物にリーダー配列がないことから、余分なリーダー配列を除去すること無しに活性種のスクリーニングを行うことが出来る。さらに、ヘテロ環を含む化合物にリーダー配列がないことから、大環状骨格を形成する配列デザインを行いやすい。かかるヘテロ環を含む化合物のライブラリをスクリーニングに用いれば、標的物質がプロテアーゼ活性を有する場合であっても、当該標的物質に結合する化合物を探索することができる。
また、ヘテロ環を含む化合物のライブラリは、mRNAディスプレイ法に応用できるので、標的物質に結合活性を有する化合物を濃縮し、得られた化合物のペプチド部分をコードする核酸配列を容易に同定できる。
図1Aは、野生型のアゾリン骨格導入酵素にリーダー配列を有する野生型の基質を加えた際の、骨格変換反応を示す。 図1Bは、野生型のアゾリン骨格導入酵素にリーダ配列を加えた際の、リーダー配列を有さない基質に対する骨格変換反応を示す。 図1Cは、野生型のアゾリン骨格導入酵素にリーダ配列を融合させ作製した、リーダー配列融合アゾリン骨格導入酵素の、リーダー配列を有さない基質に対する骨格変換反応を示す。 図2Aは、LS融合PatDの例(NdeI-LS-GS15-PatD(配列番号:5)、及びNdeI-LS-GS35-PatD(配列番号:6))のアミノ酸配列を示す。 図2Bは、LS融合PatDの例(NheI-LS-GS5-PatD(配列番号:7)、及びNheI-LS-GS15-PatD(配列番号:8))のアミノ酸配列を示す。 図2Cは、LS融合PatDの例(NheI-LS-GS25-PatD(配列番号:9)、及びNheI-LS-GS35-PatD(配列番号:10))のアミノ酸配列を示す。 図2Dは、LS融合PatDの例(NheI-LS-RS-GS35-PatD(配列番号:11))のアミノ酸配列を示す。 図2Eは、LS融合PatDの例(PatD-GS5-LS(配列番号:12)、及びPatD-GS15-LS(配列番号:13))のアミノ酸配列を示す。 図2Fは、LS融合PatDの例(PatD-GS25-LS(配列番号:14)、及びPatD-GS35-LS(配列番号:15))のアミノ酸配列を示す。 図3Aは、図2A〜Dに示すLS融合PatDで、PatEと同じ認識配列及びカセット配列を有する基質ペプチドを修飾した結果を示す。 図3Bは、図2E及びFに示すLS融合PatDで、PatEと同じ認識配列及びカセット配列を有する基質ペプチドを修飾した結果を示す。 図4Aは、認識配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4B−1は、認識配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4B−2は、異なるカセット配列及び基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4B−3は、異なるカセット配列及び基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4Cは、カセット配列の長さの異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4D−1は、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4D−2は、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4D−3は、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4D−4は、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4Eは、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4Fは、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4G−1は、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4G−2は、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4Hは、カセット配列の異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図4Iは、カセット配列に非タンパク質性アミノ酸を含む基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた結果を示す。 図5Aは、AMBFとWOHによる環状化反応を示す。 図5B−1は、環状化された化合物におけるアゾリン環の数を調べた結果を示す。 図5B−2は、環状化された化合物におけるアゾリン環の数を調べた結果を示す。 図5Cは、環状化されたアゾリン化合物の構造を示す。 図6は、pat遺伝子群と、この生合成経路の概略を示す。
(ヘテロ環を含む化合物の製造方法〔1〕)
本発明は、アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法を提供する。
本明細書において「アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物」とは、下記式(I)で示されるペプチドにおいて、(Xaa3)nに含まれる、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの少なくとも1つに、アゾリン骨格導入酵素によってヘテロ環が導入されている化合物をいう。
(Xaa2)m-(Xaa3)n-(Xaa4)o (I)
〔式中、
(Xaa2)mは、m個の任意のアミノ酸を示し、mは0から10より選択される整数を示し;
(Xaa3)nは、n個の任意のアミノ酸を示すが、少なくとも1つは、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸であり、nは2から40から選択される整数を示し;
(Xaa4)oは、o個の任意のアミノ酸を示し、oは0から10より選択される整数を示す。〕
本明細書において「アミノ酸」は、その最も広い意味で用いられ、天然アミノ酸に加え、その誘導体や人工のアミノ酸を含む。本明細書においてアミノ酸としては、天然タンパク性L-アミノ酸;非天然アミノ酸;アミノ酸の特徴である当業界で公知の特性を有する化学的に合成された化合物などが挙げられる。非天然アミノ酸の例として、主鎖の構造が天然型と異なる、α,α-二置換アミノ酸(α-メチルアラニンなど)、N-アルキル-α-アミノ酸、D-アミノ酸、β-アミノ酸、α-ヒドロキシ酸や、側鎖の構造が天然型と異なるアミノ酸(ノルロイシン、ホモヒスチジンなど)、側鎖に余分のメチレンを有するアミノ酸(「ホモ」アミノ酸、ホモフェニルアラニン、ホモヒスチジンなど)及び側鎖中のカルボン酸官能基アミノ酸がスルホン酸基で置換されるアミノ酸(システイン酸など)が挙げられるがこれに限定しない。
本明細書においてアミノ酸は、慣用的な一文字表記又は三文字表記で示される場合もある。一文字表記又は三文字表記で表されたアミノ酸は、それぞれの変異体や誘導体を含む場合もある。
式(I)において、n個のXaa3は、少なくとも1つのCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログを含む限り、それぞれ独立に任意のアミノ酸を示す。
nは、2から40から選択される整数である。nは特に限定されないが、2〜30、4〜26等であってもよい。
(Xaa3)nを構成するアミノ酸は、天然アミノ酸に加え、その誘導体や人工のアミノ酸であってもよい。天然アミノ酸の誘導体や人工のアミノ酸を含むペプチドの製造方法は特に限定されないが、例えば、再構成型の翻訳系と本発明者らが開発した人工アミノアシル化RNA触媒フレキシザイム(Flexizyme)を利用した遺伝暗号のリプログラミングを行うことで、天然アミノ酸に加え、その誘導体や人工のアミノ酸をペプチドに導入することが出来る(WO2007/066627、WO2012/026566)。
(Xaa3)nは、(Xaa5-Xaa6)pであってもよい。ここで、p個のXaa5、それぞれ独立に任意のアミノ酸を示し、p個のXaa6は、それぞれ独立にCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸を示し、pはnの2分の1の数値を示し、1から20の整数から選択される。
このような構成とすることにより、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログが、(Xaa3)nの偶数番目にくるので、アゾリン骨格導入酵素の性質上、アゾリン環等のヘテロ環が導入されやすくなる。なお、Xaa5が、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、又はこれらのアナログであってもよい。
Xaa6は、特にアゾリン骨格が導入されやすいCysのみとしてもよい。
Thrのアナログとしては、例えば以下の式で表されるものが挙げられるがこれに限定されない。

[式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1−10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。]
Cysのアナログとしては、例えば以下の式で表されるものが挙げられるがこれに限定されない。

[式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1−10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。]
Ser、Thrのアナログとしては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
2,3-ジアミノ酸及びそのアナログとしては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。

[式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1−10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。]
ホモシステイン及びそのアナログとしては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。

[式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1−10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。]
ホモセリン及びそのアナログとしては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。

[式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1−10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。]
また、2,4-ジアミノ酸及びそのアナログとしては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。

[式中、Rは、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1−10のアルキル基又は置換基を有していてもよい芳香族基を示す。]
本明細書において、「Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの少なくとも1つにヘテロ環が導入されている」とは、アゾリン骨格導入酵素との反応によって、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸において脱水反応が生じ、下記式で示されるアゾリン環・ジヒドロチアジン環・ジヒドロオキサジン環・ジヒドロピリミジン環が導入されることを意味する。
Ser、Thr、Cys、2,3-ジアミノプロピオン酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,3-ジアミノ酪酸にヘテロ環を導入すると、それぞれ以下のようなオキサゾリン、チアゾリン骨格、またはイミダゾリン骨格を生じる。
Ser:

Thr:

Cys:

2,3-ジアミノプロピオン酸:

ホモシステイン:

ホモセリン:

2,3-ジアミノ酪酸:

また、例えば、上述したThrのアナログ残基にヘテロ環を導入すると以下に示すオキサゾリン骨格を生じる。

上述したCysのアナログ残基にヘテロ環を導入すると以下に示すチアゾリン骨格を生じる。

上述した2,3-ジアミノ酸のアナログ残基にヘテロ環を導入すると以下に示すイミダゾリン骨格を生じる。

上述したホモシステインのアナログ残基にヘテロ環を導入すると以下に示すジヒドロチアジン骨格を生じる。

上述したホモセリンのアナログ残基にヘテロ環を導入すると以下に示すジヒドロオキサジン骨格を生じる。

上述した2,4-ジアミノ酸のアナログ残基にヘテロ環を導入すると以下に示すジヒドロピリミジン骨格を生じる。
(Xaa3)nにおいては、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログのN末端側に親水性アミノ酸が隣接していないことも好ましい。後述する実施例に示されるとおり、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログのN末端側には親水性アミノ酸が接していない方が、ヘテロ環が導入されやすい傾向がある。
ここでいう親水性アミノ酸は、Asp、Glu、Arg、Lys、Asn、Gln又はこれらの親水性誘導体をいうが、これらに限定しない。
式(I)において、o個のXaa4は、それぞれ独立に任意のアミノ酸を示し、式(I)で表されるペプチドがアゾリン骨格導入酵素の基質となる限り、どのような配列であってもよい。oは、0から10より選択される任意の整数を示すが、例えば、1〜5、1〜3としてもよい。(Xaa4)oは、N末端にAla-Tyr-Aspを含んでもよい。(Xaa4)oは、Ala-Tyr-Aspのみであってもよい。また、(Xaa4)oには、天然アミノ酸に加え、その誘導体や人工のアミノ酸が含まれていてもよい。天然アミノ酸の誘導体や人工のアミノ酸を含むペプチドの製造方法は特に限定されないが、遺伝暗号の拡張やリプログラミン.グを施した翻訳系を使用することができ、一例として、無細胞翻訳系と本発明者らが開発した人工アミノアシル化RNA触媒フレキシザイム(Flexizyme)を利用して遺伝暗号を拡張/リプログラミングする手法を利用することが出来る(WO2007/066627、WO2012/026566)。
式(I)において、m個のXaa2は、それぞれ独立に任意のアミノ酸を示し、式(I)で表されるペプチドがアゾリン骨格導入酵素の基質となる限り、どのような配列であってもよい。mは0から10より選択される任意の整数を示す。mは、例えば0又は1であってもよい。また、(Xaa2)mには、天然アミノ酸に加え、その誘導体や人工のアミノ酸が含まれていても宵。天然アミノ酸の誘導体や人工のアミノ酸を含むペプチドの製造方法は特に限定されないが、遺伝暗号の拡張やリプログラミン.グを施した翻訳系を使用することができ、一例として、無細胞翻訳系と本発明者らが開発した人工アミノアシル化RNA触媒フレキシザイム(Flexizyme)を利用して遺伝暗号を拡張/リプログラミングする手法を利用することが出来る(WO2007/066627、WO2012/026566)。
式(I)のペプチドを調製する方法は特に限定されず、液相法、固相法、液相法と固相法を組み合わせたハイブリッド法等の化学合成法、遺伝子組み換え法、無細胞翻訳系による合成等、公知の方法又はそれに準ずる方法によって調製することができる。
この中で、無細胞翻訳系を用いる場合、式(I)のペプチドは、これをコードする核酸を調製し、当該核酸を無細胞翻訳系で翻訳することによって得ることができる。式(I)で表されるペプチドをコードする核酸は、生体の翻訳系で用いられる遺伝暗号、リプログラミングした遺伝暗号、又はこれらの組み合わせを用いて、当業者が適宜設計することができる。なお、核酸は、DNAであってもRNAであってもよい。
無細胞翻訳系を用いる方法によれば、非天然アミノアシルtRNAを使用することで、天然アミノ酸に加え、その誘導体や人工のアミノ酸を使用することが出来る。例えば、本発明者らが開発した人工アミノアシル化RNA触媒フレキシザイム(Flexizyme)を利用できる。
無細胞翻訳系を用いる場合、式(I)の(Xaa2)mのN末端のアミノ酸(以下「Xaa1」という。)を、開始コドンでコードするアミノ酸とする。生体の翻訳系においては、開始コドンAUGは、原核細胞・真核細胞それぞれにおいては、fMet・Metをコードする。一方、非天然アミノアシル開始tRNAを利用することで、任意の開始アミノ酸を使用することができる。例えば、無細胞翻訳系と本発明者らが開発した人工アミノアシル化RNA触媒フレキシザイム(Flexizyme)を利用することで、mRNAのトリプレットからなる遺伝暗号が、生体の翻訳系とは異なるアミノ酸をコードするように、リプログラミングすることができる(WO2008/059823)。
ここで、無細胞翻訳系としては、大腸菌抽出液や小麦胚芽抽出液を用いることができる。他に、ウサギ赤血球抽出液や昆虫細胞抽出液を用いてもよい。また、それぞれ精製したリボソームタンパク質、アミノアシルtRNA合成酵素(ARS)、リボソームRNA、アミノ酸、rRNA、GTP、ATP、翻訳開始因子(IF)伸長因子(EF)、終結因子(RF)、およびリボソーム再生因子(RRF)、ならびに翻訳に必要なその他の因子を再構成することで構築した、再構成型の無細胞翻訳系を用いても良い。
これらを含む系に、透析を用いて連続的にエネルギーを供給することで、数100μgから数mg/mLのタンパク質を生産することができる。DNAからの転写を併せて行うためにRNAポリメラーゼを含む系としてもよい。市販されている無細胞翻訳系として、大腸菌由来の系としてはロシュ・ダイアグノスティックス社のRTS-100(登録商標)、再構成型翻訳系としてはPGI社のPURESYSTEM(登録商標)やNew England BioLabs社のPURExpressR In Vitro Protein Synthesis Kit等、小麦胚芽抽出液を用いた系としてはゾイジーン社やセルフリーサイエンス社のもの等を使用できる。
また、大腸菌のリボソームを用いる系として、例えば次の文献に記載された技術が公知である:H. F. Kung et al., 1977. The Journal of Biological Chemistry Vol. 252, No. 19, 6889-6894; M. C. Gonza et al., 1985, Proceeding of National Academy of Sciences of the United States of America Vol. 82, 1648-1652; M. Y. Pavlov and M. Ehrenberg, 1996, Archives of Biochemistry and Biophysics Vol. 328, No. 1, 9-16; Y. Shimizu et al., 2001, Nature Biotechnology Vol. 19, No. 8, 751-755; H. Ohashi et al., 2007, Biochemical and Biophysical Research Communications Vol. 352, No. 1, 270-276。
無細胞翻訳系によれば、発現産物を精製することなく純度の高い形で得ることができる。
一方、フレキシザイム(Flexizyme)は、任意のtRNAに任意のアミノ酸またはヒドロキシ酸を連結(アシル化)することのできる人工RNA触媒(アシルtRNA合成酵素様活性を持つRNA触媒)である。再構成型の翻訳系において、天然のアミノアシルtRNA合成酵素に合成されるアミノアシルtRNAに代えて、フレキシザイムを用いれば、天然の遺伝暗号とは異なる、所望のアミノ酸又はヒドロキシ酸を任意のコドンと対応させることができる。
フレキシザイムとしては、例えば、以下の文献に記載されたものが公知である:H. Murakami, H. Saito, and H. Suga, (2003), Chemistry & Biology, Vol. 10, 655-662; H. Murakami, D. Kourouklis, and H. Suga, (2003), Chemistry & Biology, Vol. 10, 1077-1084; H. Murakami, A. Ohta, H. Ashigai, H. Suga (2006) Nature Methods 3, 357-359;N. Niwa, Y. Yamagishi, H. Murakami, H. Suga (2009) Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 19, 3892-3894;及びWO2007/066627「多目的化アシル化触媒とその用途」)。フレキシザイムは、原型のフレキシザイム(Fx)、及び、これから改変されたジニトロベンジルフレキシザイム(dFx)、エンハンスドフレキシザイム(eFx)、アミノフレキシザイム(aFx)等の呼称でも知られる。
なお、任意のtRNAに任意のアミノ酸を連結する方法は、フレキシザイムを用いる方法に限られず、その他の方法も本発明に適用可能である。
遺伝暗号のリプログラミングには、翻訳系の構成因子を目的に合わせて自由に取り除き、必要な成分だけを再構成してできる翻訳系を利用できる。例えば、特定のアミノ酸を除去した翻訳系を再構成すると、当該アミノ酸に対応するコドンが空きコドンになる。そこで、フレキシザイム等を利用して、その空きコドンに相補的なアンチコドンを有するtRNAに任意のアミノ酸を連結し、これを加えて翻訳を行う。これによって、当該任意のアミノ酸がそのコドンでコードされることになり、除去したアミノ酸の代わりに当該任意のアミノ酸が導入されたペプチドが翻訳される。
この方法により、式(I)で表されるペプチドのいずれかのアミノ酸を、ペプチドの大環状化に用いられるものとすることができる。この方法では、Xaa1もMetではなく任意のアミノ酸とすることができるので、環状化に用いるアミノ酸をXaa1としてもよい。
大環状化に用いられるアミノ酸は、(Xaa2)m、(Xaa3)n、(Xaa4)oのいずれに含まれていてもよい。ヘテロ環が導入されたアミノ酸が、大環状を構成するアミノ酸の1つとなっていてもよいし、大環状を構成しないアミノ酸の1つとなっていてもよい。
大環状化の方法は特に限定されないが、例えば、式(I)で表されるペプチドに、以下の官能基1を有するアミノ酸と、対応する官能基2を有するアミノ酸を含めることにより、大環状化してもよい。官能基1と官能基2は、どちらがN末端側にきてもよい。
例えば、Xaa2のいずれかのアミノ酸を、下記の官能基1を有するものとすることができ、対応する官能基2を有するアミノ酸を(Xaa4)oに含めることにより、式(I)で表されるペプチドを発現させた後、環状化反応を実施できる。また、Xaa2のいずれかのアミノ酸を、官能基2を有するものとし、対応する官能基1を有するアミノ酸を(Xaa4)oに含めても良い。

式中、X1はCl、Br又はIであり、Arは置換基を有していてもよい芳香環である。
(A−1)のアミノ酸としては、例えば、クロロアセチル化したアミノ酸を用いることができる。クロロアセチル化アミノ酸としては、N-chloroacetyl-L-alanine、N-chloroacetyl-L-phenylalanine、N-chloroacetyl-L-tyrosine、N-chloroacetyl-L-tryptophan、N-3-(2-chloroacetamido)benzoyl-L-phenylalanine、N-3-(2-chloroacetamido)benzoyl-L-tyrosine、N-3-(2-chloroacetamido)benzoyl-L-tryptophane、β-N-chloroacetyl-L-diaminopropanoic acid、γ-N-chloroacetyl-L-diaminobutyric acid、σ-N-chloroacetyl-L-ornithine、ε-N-chloroacetyl-L-lysine、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
(A−2)のアミノ酸としては、例えばcysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、 mercaptonorleucine、2-amino-7-mercaptoheptanoic acid、2-amino-8- mercaptooctanoic acid、およびこれらのアミノ酸のSH基をいったん保護しておいた後に保護基を脱保護したアミノ酸、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
環状化方法は、例えば、Kawakami, T. et al., Nature Chemical Biology 5, 888-890 (2009);Yamagishi, Y. et al., ChemBioChem 10, 1469-1472 (2009);Sako, Y. et al., Journal of American Chemical Society 130, 7932-7934 (2008);Goto, Y. et al., ACS Chemical Biology 3, 120-129 (2008);Kawakami T. et al, Chemistry & Biology 15, 32-42 (2008)、WO2008/117833に記載された方法に従って行うことができる。
(B−1)のアミノ酸としては、例えば、propargylglycine、homopropargylglycine、2-amino-6-heptynoic acid、2-amino-7-octynoic acid、2-amino-8-nonynoic acidを用いることができる。また、4-pentynoyl化や5-hexynoyl化したアミノ酸を用いることもできる。4-pentynoyl化アミノ酸としては、N-(4-pentenoyl)-L-alanine、N-(4-pentenoyl)-L-phenylalanine、N-(4-pentenoyl)-L-tyrosine、N-(4-pentenoyl)-L-tryptophan、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-phenylalanine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tyrosine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tryptophane、β-N-(4-pentenoyl)-L-diaminopropanoic acid、γ-N-(4-pentenoyl)-L-diaminobutyric acid、σ-N-(4-pentenoyl)-L-ornithine、ε-N-(4-pentenoyl)-L-lysine、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
(B−2)のアミノ酸としては、例えば、azidoalanine、2-amino-4-azidobutanoic acid、azidoptonorvaline、 azidonorleucine、2-amino-7-azidoheptanoic acid、2-amino-8- azidooctanoic acidを用いることができる。また、azidoacetyl化や3-azidopentanoyl化したアミノ酸を用いることもできる。azidoacetyl化アミノ酸としては、N-azidoacetyl-L-alanine、N-azidoacetyl-L-phenylalanine、N-azidoacetyl-L-tyrosine、N-azidoacetyl-L-tryptophan、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-phenylalanine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tyrosine、N-3-(4-pentynoylamido)benzoyl-L-tryptophane、β-N-azidoacetyl-L-diaminopropanoic acid、γ-N-azidoacetyl-L-diaminobutyric acid、σ-N-azidoacetyl-L-ornithine、ε-N-azidoacetyl-L-lysine、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
環状化方法は、例えば、Sako, Y. et al., Journal of American Chemical Society 130, 7932-7934 (2008)、WO2008/117833に記載された方法に従って行うことができる。
(C−1)のアミノ酸としては、N-(4-aminomethyl-benzoyl)-phenylalanine (AMBF)、4-3-aminomethyltyrosineが挙げられる。
(C−2)のアミノ酸としては、5-hydroxytryptophan (WOH)が挙げられる。
環状化方法は、例えば、Yamagishi, Y. et al., ChemBioChem 10, 1469-1472 (2009)、WO2008/117833に記載された方法に従って行うことができる。
(D−1)のアミノ酸としては、例えば、2-amino-6-chloro-hexynoic acid、2-amino-7-chloro-heptynoic acid、2-amino-8-chloro-octynoic acid、などが挙げられる。
(D−2)のアミノ酸としては、例えばcysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、 mercaptonorleucine、2-amino-7-mercaptoheptanoic acid、2-amino-8- mercaptooctanoic acid、およびこれらのアミノ酸のSH基をいったん保護しておいた後に保護基を脱保護したアミノ酸、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
環状化方法は、例えば、WO2012/074129に記載された方法に従って行うことができる。
(E−1)のアミノ酸としては、例えば、N-3-chloromethylbenzoyl-L-phenylalanine、N-3-chloromethylbenzoyl-L-tyrosine、N-3-chloromethylbenzoyl-L-tryptophane、が挙げられる。
(E−2)のアミノ酸としては、例えばcysteine、homocysteine、mercaptonorvaline、 mercaptonorleucine、2-amino-7-mercaptoheptanoic acid、2-amino-8- mercaptooctanoic acid、およびこれらのアミノ酸のSH基をいったん保護しておいた後に保護基を脱保護したアミノ酸、およびこれらに対応するD-アミノ酸誘導体などが挙げられる。
(アゾリン骨格導入酵素)
本発明に係る方法に用いられるアゾリン骨格導入酵素には、アゾリン骨格導入酵素の基質のリーダー配列又はその部分配列が結合している。
本明細書において「アゾリン骨格導入酵素」は、PatD及びこれと相同性を有する酵素を含む。PatDと相同性を有する酵素としては、例えば、Leeらの報告(Lee, S. W. et al., PNAS vol.105, No.15, 5879-5884, 2008)に含まれるものを用いることができるが、これらに限定されない。また、アゾリン骨格導入酵素は、アゾリン骨格導入活性を有する限り、変異体であってもよい。なお、本明細書においては、「ヘテロ環状化酵素」もアゾリン骨格導入酵素と同義で用いられる。
本明細書において「アゾリン骨格導入酵素の基質のリーダー配列」は、アゾリン骨格導入酵素の天然又は非天然の基質のリーダー配列を意味する。アゾリン骨格導入酵素がPatDの場合、天然の基質のリーダー配列は、以下のとおりである。
MNKKNILPQQGQPVIRLTAGQLSSQLAELSEEALGDA(配列番号:1)
また、特許文献1に示すとおり、PatDは、従来リーダー配列として知られるPatEのリーダー配列とは異なる配列を用いても、基質ペプチドにアゾリン骨格を導入しうる。本発明の「アゾリン骨格導入酵素の基質のリーダー配列」には、かかる配列が含まれる。PatEと異なるリーダー配列としては、別のペプチド由来(Lacticin481前駆体)のMKEQNSFNLLQEVTESELDLILGA(配列番号:2)、ヒトアクチン由来のMILASLSTFQQMWISKQEYDEAGDA(配列番号:3)、PatEのリーダー配列をシャッフルしたMELQLRPSGLEKKQAPISELNIAQTQGGDSQVLALNA(配列番号:4)などが挙げられる。
リーダー配列として、alpha helicityの高い配列を用いてもよい。
本明細書において、「アゾリン骨格導入酵素の基質のリーダー配列の部分配列」は、この配列番号:1〜4で表されるアミノ酸配列の連続した4アミノ酸以上、5アミノ酸以上、または6アミノ酸以上の配列を含むものであって、アゾリン骨格導入酵素の活性化能を有するものとすることができる。
配列番号:1〜4のどこに位置する部分であるかは、特に限定されない。例えば、アゾリン骨格導入酵素の活性化能を有する限り、配列番号:1〜4のアミノ酸配列のうちC末端の4アミノ酸、5アミノ酸、又は6アミノ酸を含むものとしてもよいし、N末端の4アミノ酸、5アミノ酸、又は6アミノ酸を含むものとしてもよく、N末端もC末端も含まない4アミノ酸、5アミノ酸、又は6アミノ酸を含むものしてもよい。
このようなリーダー配列の部分配列が、アゾリン骨格導入酵素活性化能を有するか否かは、例えば、リーダー配列の存在下で、アゾリン骨格導入酵素と基質ペプチドを結合させるなど、公知の方法で確認することができる。
上記リーダー配列又はその部分配列は、アゾリン骨格導入酵素のどこに結合してもよいが、N末端に結合させることが特に望ましい。実施例に示されるとおり、N末端に結合させると、アゾリン骨格導入酵素が常時活性化され、基質ペプチドに効率よくアゾリン骨格が導入される。リーダー配列が融合したアゾリン骨格導入酵素による、骨格形成反応の概念図を図1Cに示す。
上記リーダー配列又はその部分配列は、アゾリン骨格導入酵素に、スペーサを介して結合していてもよい。スペーサは、当業者が適宜選択することができるが、例えば、1〜50アミノ酸のペプチド、2〜40アミノ酸のペプチド、5〜35アミノ酸のペプチド等とすることができる。
スペーサペプチドのアミノ酸配列は、アゾリン骨格導入酵素と基質ペプチドとの反応に悪影響を及ぼさない限り、どのような配列であってもよい。
リーダー配列が結合したアゾリン骨格導入酵素は、公知の方法又はそれに準ずる方法で作製することができるが、例えば、これをコードする核酸を合成し、融合ペプチドとして大腸菌等で発現させて得ることができる。リーダー配列とアゾリン骨格導入酵素の間にスペーサペプチドが配置される場合も、同様に得ることができる。
本発明に係るアゾリン骨格導入酵素の具体例としては図2A〜F(配列番号:5〜15)に示すものが挙げられる。図中、枠で囲まれた部分がリーダー配列、網掛け部分がスペーサペプチド、下線部分がアゾリン骨格導入酵素の配列である。
また、本発明に係るアゾリン骨格導入酵素は、図2A〜Fに示すアミノ酸配列からなるものに加え、これらの配列のいずれか1つと80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、又は98%以上の配列同一性を有し、アゾリン骨格導入活性を有するもの、及び、これらの配列のいずれか1つにおいて、1個、2個、3個、4個、5個〜10個程度のアミノ酸が、欠失、付加又は置換した配列からなり、アゾリン骨格導入活性を有するものも含まれる。
アゾリン骨格導入酵素とペプチドライブラリとの反応は、ペプチドを発現させたのと同じ容器内で、即ちワンポットで、ペプチドを精製することなく、リーダー配列結合アゾリン骨格導入酵素を添加して行うことができる。アゾリン骨格導入酵素とペプチドライブラリとの反応は、例えば、アゾリン骨格導入酵素がPatDの場合、終濃度0.1μM〜50μM、反応温度4℃〜45℃、反応時間5分〜100時間等の範囲において、当業者が適宜条件を選択して行うことができる。
反応の確認は、例えば、MALDI-TOF-MSを用いて質量変化を測定することにより行うことができる。
また、本発明は、本発明に係るアゾリン骨格導入酵素をコードする核酸も包含する。
(ヘテロ環を含む化合物の製造方法〔2〕)
本発明は、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法も包含する。
なお、本明細書においては、アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物と、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物とを、総称して「ヘテロ環化合物」と呼ぶ場合もある。
本発明に係るアゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法は、上述したアゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法において、ヘテロ環の導入工程の後、ヘテロ環が導入されたペプチドと、アゾール骨格導入酵素とを反応させ、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログにアゾリン骨格導入酵素によって導入されたヘテロ環を、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環に変換する工程を含む。
本明細書において「アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物」とは、アゾリン骨格導入酵素によって、上記式(I)で示されるペプチドの、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの脱水反応で生じたヘテロ環において、アゾール骨格導入酵素による酸化反応が進行し、下記式で表されるアゾール骨格等のヘテロ環が導入されることを意味する。
例えば、Ser、Thr、Cys、2,3-ジアミノ酸にアゾール骨格を導入すると、それぞれ以下のようなオキサゾール又はチアゾール又はイミダゾール骨格を生じる。
Ser:

Thr:

Cys:

Dap:
例えば、上述したThrの人工アナログ残基にアゾール骨格を導入すると以下に示すオキサゾール骨格を生じる。
また、上述したCysの人工アナログ残基にアゾール骨格を導入すると以下に示すチアゾール骨格を生じる。
また、上述したジアミノ酸の人工アナログ残基にアゾール骨格を導入すると以下に示すイミダゾール骨格を生じる。
アゾール骨格導入酵素としては、PatG及びこれと相同性を有する酵素が挙げられる。PatGと相同性を有する酵素としては、例えば、Leeらの報告(Lee, S. W. et al., PNAS vol.105, No.15, 5879-5884, 2008)に含まれるものを用いることができるがこれらに限定されない。
アゾール骨格導入酵素として、その基質のリーダー配列又はその部分配列を結合させたものを用いてもよい。あるいは、反応容器内に、独立したペプチドとして、基質のリーダー配列又はその部分配列を加えて、反応を行ってもよい。アゾール骨格導入酵素の基質のリーダー配列又はその部分配列は、アゾリン骨格導入酵素の基質のリーダー配列又はその部分配列と同一としてもよい。
アゾール骨格導入酵素としては、PatGのペプチダーゼドメインを欠損した変異体もしくは点変異によりペプチダーゼ活性を無くした変異体を用いてもよい。PatGは、2つのドメインからなり、天然においては、N末端のオキシダーゼドメインがPatDで構築されたアゾリン骨格をアゾール骨格に変換し、C末端のペプチダーゼドメインが、修飾後のペプチド部位の切り出し、大環状化を行っている。従って、本発明においては、ペプチダーゼドメインを欠損した変異体もしくは点変異によりペプチダーゼ活性を無くした変異体を用いてもよい。
(ヘテロ環含有化合物ライブラリの製造方法〔1〕)
本発明は、アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリ(以下「アゾリン系化合物ライブラリ」という。)の製造方法も包含する。
かかるライブラリの製造方法は、上述したアゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法において、(Xaa3)nが異なるペプチドを2種以上含むペプチドライブラリを調製し、このペプチドライブラリをアゾリン骨格導入酵素で修飾する工程を含む。
ペプチドライブラリを調製する工程は、ペプチドライブラリをコードするmRNAライブラリを調製し、これを再構成型翻訳系で翻訳することによって行うことができる。
すなわち、このmRNAライブラリは、(Xaa3)nが異なる多数のペプチドをコードするmRNAを含むものであり、例えば、(Xaa3)nに当たる部分をコードするものとして(NNN)n、(NNK)n、(NNT)n、(NNG)n、などの配列を含むDNAを合成し、これを転写することによって作製することができる。ここで、NはA/C/G/Tのうち任意の一つ、KはG/Tのうち任意の一つを意味し、NNN及びNNKは20種類のタンパク質性アミノ酸のうちの任意の一つを、NNU及びNNGはそれぞれ15及び13種類のタンパク質性アミノ酸のうちの任意の一つをコードする。
(Xaa3)nが(Xaa5-Xaa6)pである場合、(Xaa5-Xaa6)pをコードする部分のmRNAは、例えば、(NNK-WST)n、(NNK-TGT)nなどの配列を含むDNAを合成し、これを転写することによって作製することができる。ここで、NはA/C/G/Tのうち任意の一つ、KはG/Tのうち任意の一つ、WはA/Tのうち任意の一つ、SはC/Gのうち任意の一つを意味し、NNN及びNNKは20種類のタンパク質性アミノ酸のうちの任意の一つ、WSTはSer/Thr/Cysのうちの任意の一つ、TGTはCysをコードする。
このような構成とすることで、例えば、(Xaa3)nにおいて、n=10の場合、天然のアミノ酸20種のみ使用することを想定しても、理論的に2010種類のペプチドを作製することができ、(Xaa5-Xaa6)nを(NNK-WSU)nとする場合、n=5とすれば、205×35種類の変異体を作製することができるので、ライブラリとしては十分なサイズとなる。
(Xaa3)mをコードする核酸の5'末端に、開始コドンを含む(Xaa2)mをコードする核酸を連結し、3'末端側に(Xaa4)oをコードする核酸を連結した核酸を合成し、これを翻訳すれば式(I)で表されるペプチドライブラリをコードする核酸ライブラリを得ることができる。
式(I)で表されるペプチドをコードする核酸の一態様として、以下のものが挙げられる。
ATG-GGN-(NNK)x-NYK-TGC-NYK-(NNK)x-NYK-TGC-NYK-(NNK)x
式中、NはA、C、G又はTを表し、KはG又はTを表し、YはC又はTを表し、WはA又はTを表し、SはC又はGを表す。
この核酸によれば、(Xaa2)mがATG-GGNでコードされ、(Xaa3)nが(NNK)x-NYK-TGC-NYK-(NNK)x-NYK-TGC-NYKでコードされ、(Xaa4)oが(NNK)xでコードされる。
このような構成によれば、TGCでコードされるCysの両側が、非親水性アミノ酸となる。
式(I)で表されるペプチドをコードする核酸の別の態様として、以下のものが挙げられる。
ATG-(NNK)m-[(NYK)- (WST)]n-(NNK)o
式中、NはA、C、G又はTを表し、KはG又はTを表し、YはC又はTを表し、WはA又はTを表し、SはC又はGを表す。
このような核酸を用いれば、WSTは、Ser、Thr及びCysのいずれかを表し、NYKは、非親水性アミノ酸を表すので、(Xaa3)nの偶数番目にSer、Thr又はCysを配し、CysのN末端側に親水性アミノ酸が隣接するのを防ぐことができるので、アゾリン骨格導入酵素による修飾を受けやすいペプチドとすることができる。
(Xaa4)oをコードする核酸として、(NNK)oに代えて、NYK-(NNK)xを用いれば、CysのC末端側にも親水性アミノ酸が隣接するのを防ぐことができる。
また、上記の例において、(Xaa4)oをコードする核酸として、(NNK)oに代えて、GCG-TAC-GAT-(NNK)xを用いれば、カセット下流の配列をAla-Tyr-Aspに固定することができる。これによりアゾリン骨格導入酵素による修飾を受けやすいペプチドとすることができる。
本発明のアゾリン系化合物ライブラリの製造方法の一態様は、アゾリン骨格導入酵素で修飾された式(I)で表されるペプチドと、当該ペプチドをコードするmRNAとの複合体を、2種以上含むライブラリを製造するものである。これにより、アゾリン系化合物ライブラリを、mRNAディスプレイ(Nemoto, N. et al., FEBS Lett. 1997, 405−408; Roberts, R.W. and Szostak, J.W. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94,12297−12302)に応用することができる。
このようなペプチド−mRNA複合体ライブラリを用いて、標的物質に結合するペプチドのスクリーニングを行えば、選択されたペプチド−mRNA複合体に対して逆転写反応を行うことにより、cDNAを含む複合体が得られるので、その塩基配列を常法により決定することができる。
ペプチド−mRNA複合体の作製は、例えば、公知の方法でmRNAライブラリの各mRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させ、ピューロマイシン結合mRNAライブラリを作製し、このピューロマイシン結合mRNAライブラリを無細胞翻訳系で発現させることにより行うことができる。
こうして、ペプチド−mRNA複合体ライブラリを得た後、アゾリン骨格導入酵素と反応させ、アゾリン系化合物ライブラリを得ることができる。
(ヘテロ環化合物ライブラリの製造方法〔2〕)
本発明は、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリ(以下「アゾール系化合物ライブラリ」といい、アゾリン系化合物ライブラリとアゾール系化合物ライブラリを総称して「ヘテロ環化合物ライブラリ」という。)の製造方法も包含する。
当該方法は、上述したアゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物ライブラリの製造方法において、ヘテロ環の導入されたペプチドライブラリとアゾール骨格導入酵素とを反応させ、アゾリン骨格導入酵素によって導入されたヘテロ環の少なくとも1つを、アゾール骨格導入酵素で導入されるヘテロ環に変換する工程を含む。
本発明のアゾール系化合物ライブラリの製造方法の一態様は、上述したアゾリン系化合物ライブラリの製造方法において、アゾリン骨格を導入する工程の後、アゾリン骨格が導入されたライブラリと、アゾール骨格導入酵素とを反応させ、アゾリン骨格の少なくとも1つをアゾール骨格に変換する工程を含む。
アゾール骨格導入の反応は、アゾリン骨格導入酵素による反応を行ったのと同じ容器内に、アゾール骨格導入酵素を添加することによって行うことができる。
(ヘテロ環化合物ライブラリ〔1〕)
本発明は、アゾリン骨格導入酵素でヘテロ環が導入されたペプチドを2種以上含む新規なアゾリン化合物系ライブラリも包含する。
リーダー配列を結合させることによって、アゾリン骨格導入酵素を活性化させた場合、ライブラリ部分(カセット領域)に当たる(Xaa3)rを挟む認識配列は、今まで考えられていたよりも短い配列で足り、且つ短い配列である場合に、効率よくアゾリン骨格が導入されることが判明した。
よって、本発明に係るアゾリン系化合物ライブラリは、
下記式(II)
Xaa1-(Xaa2)q-(Xaa3)r-(Xaa4)s (II)
〔式中、
Xaa1は開始コドンでコードされる任意のアミノ酸を示し;
(Xaa2)qは、q個の任意のアミノ酸を示し、qは0から3より選択される整数を示し;
(Xaa3)rは、r個の任意のアミノ酸を示すが、少なくとも1つは、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸であり、rは2から40から選択される整数を示し;
(Xaa4)sは、s個の任意のアミノ酸を示し、oは1から3より選択される整数を示す。〕
で表されるペプチドにおいて、(Xaa3)nのCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの少なくとも1つに、アゾリン骨格導入酵素によってヘテロ環が導入されている化合物を2種以上含む。
(Xaa2)qは、特に限定されないが、例えば、Gly1残基のみとしてもよい。また、(Xaa4)sも特に限定されないが、例えば、Ala-Tyr-Aspとしてもよい。
アゾリン系化合物ライブラリにおいては、アゾリン骨格導入酵素で修飾されたペプチドのそれぞれが、そのペプチド部分をコードするmRNAと複合体を形成していることも望ましい。この構成により、mRNAディスプレイに応用可能となる。
(ヘテロ環化合物ライブラリ〔2〕)
本発明は、アゾール骨格導入酵素でヘテロ環が導入されたペプチドを2種以上含む新規なアゾール系化合物ライブラリも包含する。
本発明に係るアゾール系化合物ライブラリは、
下記式(II)
Xaa1-(Xaa2)q-(Xaa3)r-(Xaa4)s (II)
で表されるペプチドにおいて、(Xaa3)nのCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの少なくとも1つに、アゾール骨格導入酵素によってヘテロ環が導入された化合物を2種以上含む。
アゾール系化合物ライブラリにおいては、アゾール骨格導入酵素で修飾されたペプチドのそれぞれが、そのペプチド部分をコードするmRNAと複合体を形成していることも望ましい。この構成により、mRNAディスプレイに応用可能となる。
(スクリーニング方法)
本発明は、標的物質に結合する化合物を同定するスクリーニング方法も包含する。
本発明のスクリーニング方法の一態様は、本発明に係る方法で製造されたヘテロ環化合物ライブラリと、標的物質を接触させてインキュベートする工程を含む。
本明細書において、標的物質は特に限定されず、低分子化合物、高分子化合物、核酸、ペプチド、タンパク質、糖、脂質等とすることができる。特に、本発明のライブラリによれば、標的物質がプロテアーゼ活性を有する場合にも用いることができる。
標的物質は、例えば、固相担体に固定して、本発明のライブラリと接触させることができる。本明細書において、「固相担体」は、標的物質を固定できる担体であれば特に限定されず、ガラス製、金属性、樹脂製等のマイクロタイタープレート、基板、ビーズ、ニトロセルロースメンブレン、ナイロンメンブレン、PVDFメンブレン等が挙げられ、標的物質は、これらの固相担体に公知の方法に従って固定することができる。
標的物質と、ライブラリは、適宜選択された緩衝液中で接触させ、pH、温度、時間等を調節して相互作用させる。
本発明のスクリーニング方法の一態様は、標的物質と結合したヘテロ環を含む化合物を選択する工程をさらに含む。標的物質への結合は、例えば、ペプチドを検出可能に標識する公知の方法に従って標識しておき、上記接触工程の後、緩衝液で固相担体表面を洗浄し、標的物質に結合している化合物を検出して行う。
検出可能な標識としては、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ等の酵素、125I、131I、35S、3H等の放射性物質、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ダンシルクロリド、フィコエリトリン、テトラメチルローダミンイソチオシアネート、近赤外蛍光材料等の蛍光物質、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、エクオリン等の発光物質、金コロイド、量子ドットなどのナノ粒子が挙げられる。酵素の場合、酵素の基質を加えて発色させ、検出することもできる。また、ペプチドにビオチンを結合させ、酵素等で標識したアビジン又はストレプトアビジンを結合させて検出することもできる。
単に結合の有無又は程度を検出・測定するのみでなく、標的物質の活性の亢進又は阻害を測定し、かかる亢進活性又は阻害活性を有するヘテロ環化合物を同定することも可能である。このような方法により、生理活性を有し、医薬として有用なヘテロ環化合物の同定も可能となる。
ヘテロ環化合物ライブラリが、ペプチド−mRNA複合体で構成される場合、mRNAディスプレイ法を応用してスクリーニングを行うことができる。
この場合、例えば、ヘテロ環化合物−mRNA複合体ライブラリに対して逆転写反応を行った後、当該ライブラリと固相単体に固定した標的物質とを接触させる。標的物質に結合する複合体を選択し、このDNAをPCRで増幅する。このDNAを用いて、再度ヘテロ環化合物−mRNA複合体ライブラリを作製し、同様の操作を繰り返す。
これにより、標的物質に高い親和性を有するヘテロ環化合物−mRNA複合体が濃縮されるので、濃縮された複合体のmRNAの配列を解析して、標的物質に結合するヘテロ環化合物を効率よく同定することができる。
(スクリーニング用キット)
本発明は、ヘテロ環化合物のスクリーニング用キットを提供する。
本発明のスクリーニング用キットの一態様は、本発明に係る製造方法で製造されたヘテロ環化合物ライブラリ、又は、本発明に係るヘテロ環化合物ライブラリを含む。
本発明のスクリーニング用キットは、他に、標的物質とヘテロ環化合物との結合を検出するのに必要な試薬及び装置を含む。かかる試薬及び装置としては、例えば、固相担体、緩衝液、標識用試薬、酵素、酵素反応停止液、マイクロプレートリーダーが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書において引用されるすべての特許文献及び非特許文献の開示は、全体として本明細書に参照により組み込まれる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。当業者は、本発明の意義を逸脱することなく様々な態様に本発明を変更することができ、かかる変更も本発明の範囲に含まれる。
[1]リーダー配列結合PatD(LS融合PatD)の発現・精製
N末端側、及びC末端側にリーダー配列を結合させたLS融合PatD を発現・精製した。
N末端側の発現に関して、pET16bのプラスミドにPatDの遺伝子を導入し、N末端に10xHisタグが付与されたコンストラクトのプラスミドを用意した。そしてPatD遺伝子のN末端領域をNdeIもしくは、NdeI及びNheIを用いて切断し、リーダー配列、及び長さの異なるGSリンカー領域をコードしたDNAを導入して、リーダー配列、及びGSリンカーがPatDのN末端に結合したLS融合PatDのプラスミドを作製した。
C末端側に関しては、初めにPatD遺伝子のC末端側のストップコドンを消去した後、XhoI及びBamHIを用いて切断し、長さの異なるGSリンカー領域、リーダー配列、及びストップコドンをコードしたDNAを導入して、GSリンカー及びリーダー配列がPatDのC末端に結合したLS融合PatDのプラスミドを作製した。
続いて、これらのプラスミドを大腸菌BL21(DE3)pLysS株に形質転換し、30℃で培養した。O.D.が0.4に達した所でIPTG 0.1mMを添加し、大量発現を誘導した後、15℃でオーバーナイトで培養した。回収した菌体をLysis Buffer(1M NaCl, 25mM Imidazole, 50mM HEPES-Na(pH7.7))で懸濁した後、超音波で破砕した。フィルターで濾過したサンプルを、His-Trap HPカラムを用いて精製した。カラムはあらかじめ17CVのBuffer A(500mM NaCl, 25mM Imidazole, 50mM HEPES-Na(pH7.7))で平衡化し、サンプル注入後、Buffer B(500mM NaCl, 1M Imidazole, 50mM HEPES-Na(pH7.7))濃度を徐々に上げることによって、サンプル中のタンパク質を分離し、純粋なLS融合PatDフラクションを得た。
得たサンプルを、Amicon Ultra(Millipore) 30kDaを用いて約4倍に濃縮した。その後PD-10(GE lifescience)を用いてStore Buffer(200mM NaCl,25mM HEPES(pH7.7), 10% glycerol)にバッファ交換し、Amicon Ultra(Millipore) 30kDaを用いて更に約4倍に濃縮した後、-80℃で保存した。
[2]基質ペプチドをコードするDNAの作製
特許文献1と同様の方法で、以下のアミノ酸配列を有する基質ペプチドをコードするDNAを作製した。






[3]PatD酵素反応
[2]で調製したDNAを、Kawakamiらの方法(Kawakami et al., Chemistry & Biology 15, 32-42 (2008))に従って5.0μlスケールの無細胞タンパク質発現系で転写・翻訳した後(37℃、1時間)、45 mM HEPES-K (pH 8.4), 7.5 mM DTT, 0.5 mM ATP(それぞれ終濃度)を加えて溶液条件を整えた後、[1]で調製したLS融合PatDを加えた。
LS融合PatDの終濃度は6μMとし、反応温度25℃、反応時間16時間とした。
[4]MALDI-TOF-MSによるペプチドの質量測定
c-18 tip(Thermo Scientific)を用いて、Wash Buffer (4% MeCN, 0.5% AcOH, 95.5%H2O) にてペプチドの脱塩を行い、Elute Buffer(80% MeCN, 0.5% AcOH, 19.5%H2O)にて脱塩後のペプチドを抽出した。
抽出したペプチドは、Matrixとしてα-cyano-4-hydroxycinnamic acid もしくはsinapinic acidを用いて、MALDI-TOF-MSによってペプチドの質量を測定し、LS融合PatD添加による質量変化の有無を確認した。質量変化により、導入されたアゾリン環の個数がわかる。
[5]LS融合PatDの検討
[1]で調製した各種LS融合PatDを用いて、PatEと同じ配列を有する基質ペプチドM-GLEAS-VTACITFC-AYDGVEPSと反応させ、[4]の方法で、アゾリン環の個数を求めた。
結果を図3A及びBに示す。いずれのLS融合PatDも、基質ペプチドにアゾリン骨格を導入したが、PatDのN末端にリーダー配列を結合させた酵素は、より導入効率が高かった。以降の実験では、LS-(GS)15-PatDを用いた。
[6]各種基質に対するLS融合PatD酵素反応
[3]の方法でLS融合PatDと各種基質ペプチドとを反応させ、[4]の方法でアゾリン環の個数を求めた。
[6−1]認識配列の検討(1)
カセット配列(CS)のN末端側の認識配列(uRS、本発明の(Xaa2)mに相当)と、C末端側の認識配列(dRS、本発明の(Xaa4)oに相当)が異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた。
結果を図4Aに示す。C末端側の認識配列は3残基程度にしても、反応性は変化しなかった。N末端側の認識配列はなくて問題がなかった。Glyが5残基以上連続した認識配列では、反応性が低下する傾向が見られた。
[6−2]認識配列の検討(2)
CysのN末端側に親水性アミノ酸(Glu)が隣接しているために反応性が低くなったカセット配列を用いて、認識配列による反応性の違いを調べた。
結果を図4B−1に示す。uRSをGly、又はGly-Gly-Gly、dRSをAla-Tyr-Asp、Ala-Tyr-Asp-Gly-Val、又はAla-Tyr-Asp-Gly-Val-Glu-Pro-Serとした場合に反応性が高い傾向が見られた。
[6−3]認識配列の検討(3)
dRSをAla-Tyr-Asp、又はAla-Tyr-Asp-Gly-Ser-Glyとし、6種類のカセット配列に対するLS融合PatDの反応性の違いを調べた。
結果を図4B−2に示す。いずれの場合もLS融合PatDによる修飾を受けた。
[6−4]認識配列の検討(4)
dRSをAla-Tyr-Asp、又はAla-Tyr-Asp-Gly-Ser-Glyとし、疎水性アミノ酸からなるカセット配列に対するLS融合PatDの反応性の違いを調べた。
結果を図4B−3に示す。いずれの場合もLS融合PatDによる修飾を受けた。
以降の実験は、uRSをGly、dRSをAla-Tyr-Asp又はGly-Gly-Glyとして行った。
[6−5]カセット配列の長さの検討(1)
カセット配列の長さが異なる基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた。
結果を図4Cに示す。カセット配列の長さを変えても、反応性への影響は少ないことが確認された。
[6−6]カセット配列の検討(1)
カセット配列において、CysのN末端側に親水性アミノ酸を隣接させ、LS融合PatDによる修飾を調べた。野生型PatDについては、親水性残基が反応性を低下させることが知られている。
結果を図4D−1に示す。親水性残基が隣接していても、Cysの修飾は十分に進行することが示された。AspがCysに隣接している場合には、若干反応性が低下する傾向が見られた。
[6−6]カセット配列の検討(2)
IleとAsnからなるカセット配列で、2つのAsnの位置を変えて、LS融合PatDによる修飾に対する、カセット配列中の親水性アミノ酸の影響を調べた。
結果を図4D−2に示す。CysのN末端側にAsnが隣接すると修飾効率が低下したが、C末端側にAsnが隣接しても問題なく修飾された。
[6−7]カセット配列の検討(3)
カセット配列におけるCysのC末端側の隣接アミノ酸を各種親水性アミノ酸に変えて、LS融合PatDによる修飾に対する影響を調べた。
結果を図4D−3に示す。いずれの場合も効率よく修飾された。
[6−8]カセット配列の検討(4)
カセット配列におけるCysのN末端側の隣接アミノ酸を各種親水性アミノ酸に変えて、LS融合PatDによる修飾に対する影響を調べた。
結果を図4D−4に示す。Asn、塩基性アミノ酸、及び酸性アミノ酸以外の場合に効率よく修飾がおきた。
[6−9]カセット配列の検討(5)
カセット配列をさらに様々な変化させてPatEとは大きく異なるものとし、LS融合PatDによる修飾を調べた。具体的には、Cys以外のアミノ酸を、すべて疎水性アミノ酸とした場合、すべて親水性アミノ酸とした場合、すべて芳香族アミノ酸とした場合、また、Cysが奇数番目に配置された場合について調べた。結果を図4Eに示す。疎水性アミノ酸、又は芳香族アミノ酸を多く含む場合は、Cysの位置にかかわらず、ほぼすべてのCysにアゾリン環が導入されていた。一方、親水性アミノ酸を多く含む場合、修飾されたCysはわずかであった。
また、Cys以外のアミノ酸を、疎水性アミノ酸+親水性アミノ酸、親水性アミノ酸+芳香族アミノ酸、疎水性アミノ酸+芳香族アミノ酸、疎水性アミノ酸+芳香族アミノ酸+親水性アミノ酸とした場合について調べた。結果を図4Fに示す。親水性アミノ酸は、反応を低下させる傾向が見られた。一方で、st125とst126、st119とst122、st121とst123の比較から、親水性アミノ酸が含まれていても、修飾されるCysに隣接していない場合には、反応は大きくは阻害されないことが示唆された。
[6−10]カセット配列の検討(6)
[6−9]と同様に、PatEとは大きく異なる配列を用いて、カセット配列の長さを変えてLS融合PatDによる修飾を調べた。
結果を図4G−1に示す。カセット配列の長さを変えても、反応性への影響は少ないことが確認された。
[6−11]カセット配列の検討(7)
より多様なバリエーションのカセット配列についてLS融合PatDによる修飾を調べるために、芳香族アミノ酸からなるカセット配列を用いた。
結果を図4G−2に示す。カセット配列が芳香族アミノ酸を含んでいても、効率よく修飾された。
[6−12]カセット配列の検討(8)
天然型のカセット配列であるVal-Thr-Ala-Cys-Ile-Thr-Phe-Cys、又はその後半部分Ile-Thr-Phe-Cysを基にして、(i)Cys、Thr、又はSerの被修飾残基は1残基のみとする、(ii) Cys、Thr、又はSerを他のアミノ酸に置き換える際、芳香族アミノ酸(Phe又はTrp)にする、とのルールに従ったカセット配列に対するLS融合PatDによる修飾を調べた。
結果を図4Hに示す。いずれのカセット配列も効率よく修飾された。
[6−13]カセット配列の検討(9)
カセット配列に非タンパク質性アミノ酸である2,3-ジアミノ酸(Dap)を含む基質ペプチドに対する、LS融合PatDによる修飾を調べた。基質ペプチドの配列は、fMGI-Dap-FWAYDとした。
結果を図4Iに示す。Dapはイミダゾリン環に修飾されたことが確認された。
[7−1]アゾリン骨格を有するペプチドの大環状化(1)
LS融合PatDで修飾した後のペプチドを大環状化した。大環状化するペプチドには、N末端をAMBFとし、dRSにWOHを入れた。AMBFとWOHによる大環状化反応を図5Aに示す。
大環状化する場合も、まずペプチドをコードするDNAを用意し、[3]の方法で転写、翻訳した後、LS融合PatDと反応させた。LS融合PatDの終濃度は6μM、反応温度は25℃、反応時間は16時間とした。その後、Sephadex G-10を用いた脱塩カラムにて、溶液条件を167 mM ホウ酸-K(pH 9.0), 100 mM NaClへと変換した。その後、K3Fe(CN)6を加え、終濃度125 mM ホウ酸-K(pH 9.0), 75 mM NaCl, 1 mM K3Fe(CN)6、反応温度37℃の条件で30分反応させ、大環状化させた。
得られたペプチドを、[4]の方法で解析した。
結果を図5B−1及び図5B−2に示す。各基質において、Cysにアゾリン骨格が導入されたうえで、環状化されたことが確認された。st146とst149の構造を図5Cに示す。
本発明の方法によれば、基質ペプチドにリーダー配列を含める必要がないため、N末端に環状化に必要なアミノ酸を配置することができ、アゾリン骨格導入後、そのまま環状化できることが確認された。

Claims (17)

  1. アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法であって:
    下記式(I)
    (Xaa2)m-(Xaa3)n-(Xaa4)o (I)
    〔式中、
    (Xaa2)mは、m個の任意のアミノ酸を示し、mは0から10より選択される整数を示し;
    (Xaa3)nは、n個の任意のアミノ酸を示すが、少なくとも1つは、Cys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸であり、nは2から40から選択される整数を示し;
    (Xaa4)oは、o個の任意のアミノ酸を示し、oは0から10より選択される整数を示す。〕
    で表されるペプチドを調製する工程と、
    前記ペプチドと、基質のリーダー配列又はその部分配列が結合したアゾリン骨格導入酵素とを反応させて、(Xaa3)nのCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログの少なくとも1つにヘテロ環を導入する工程と、を含む方法。
  2. 前記アゾリン骨格導入酵素には、そのN末端に、基質のリーダー配列又はその部分配列が結合している、請求項1に記載の方法。
  3. 前記リーダー配列又はその部分配列は、以下の配列又はその部分配列からなる、請求項1又は2に記載の方法。
    MNKKNILPQQGQPVIRLTAGQLSSQLAELSEEALGDA(配列番号:1)
    MKEQNSFNLLQEVTESELDLILGA(配列番号:2)
    MILASLSTFQQMWISKQEYDEAGDA(配列番号:3)
    MELQLRPSGLEKKQAPISELNIAQTQGGDSQVLALNA(配列番号:4)
  4. 前記リーダー配列は、スペーサを介して前記アゾリン骨格導入酵素に結合している、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記(Xaa3)nは、(Xaa5-Xaa6)pである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法:
    〔式中、p個のXaa5は、それぞれ独立に任意のアミノ酸を示し、p個のXaa6は、それぞれ独立にCys、Ser、Thr、2,3-ジアミノ酸、ホモシステイン、ホモセリン、2,4-ジアミノ酸、及びこれらのアナログからなる群より選択されるアミノ酸を示し、pは1から20から選択される。〕。
  6. Xaa6がCysである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記(Xaa4)oが、N末端にAla-Tyr-Aspを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 式(I)で表されるペプチドを調製する工程は、
    式(I)で表されるペプチドをコードする核酸を調製する工程と、
    前記核酸を、無細胞翻訳系で翻訳する工程と、を含む、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 式(I)で表されるペプチドが、環状化に用いられるアミノ酸を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 式(I)で表されるペプチドが、以下のいずれかの官能基1を有するアミノ酸と、対応する官能基2を有するアミノ酸を含む、請求項9に記載の方法:
    〔式中、X1はCl、BrまたはIであり、そして、Arは置換基を有していてもよい芳香環である。〕。
  11. 前記ヘテロ環を導入する工程の後、ヘテロ環を含む化合物を環状化する工程をさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物の製造方法であって、
    請求項1から11のいずれか1項に記載の方法において、前記ヘテロ環の導入工程の後、ヘテロ環が導入されたペプチドとアゾール骨格導入酵素とを反応させ、アゾリン骨格導入酵素によって導入されたヘテロ環の少なくとも1つを、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環に変換する工程を含む、方法。
  13. 以下のいずれかのアゾリン骨格導入酵素。
    (i) 配列番号:5〜15のいずれか1つで表されるアミノ酸配列からなる酵素、
    (ii) 配列番号:5〜15のいずれか1つと90%以上の同一性を有する配列からなる、アゾリン骨格導入酵素の基質のリーダー配列又はその部分配列が結合したアゾリン骨格導入活性を有する酵素、及び
    (iii) 配列番号:5〜15のいずれか1つにおいて、1又は数個のアミノ酸が、欠失、付加又は置換した配列からなる、アゾリン骨格導入活性を有する酵素。
  14. アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリの製造方法であって:
    請求項1から11のいずれか1項に記載の方法において、ペプチドを調製する工程で、式(I)で表されるペプチドにおいて(Xaa3)nが異なる2種以上のペプチドを含むペプチドライブラリを調製し、アゾリン骨格導入酵素でヘテロ環を導入する工程で、前記ペプチドライブラリにヘテロ環を導入する方法であり、
    前記ペプチドライブラリを調製する工程は、該ペプチドライブラリをコードする核酸ライブラリを製造する工程と、前記核酸ライブラリを無細胞翻訳系によって翻訳し、ペプチドライブラリを製造する工程と、を含む方法。
  15. アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリの製造方法であって:
    請求項1から11のいずれか1項に記載の方法において、ペプチドを調製する工程で、式(I)で表されるペプチドにおいて(Xaa3)nが異なる2種以上のペプチドと該ペプチドをコードするmRNAとの複合体を含むペプチドライブラリを調製し、アゾリン骨格導入酵素でヘテロ環を導入する工程で、前記ペプチドライブラリにヘテロ環を導入する方法であり、
    前記ペプチドライブラリを調製する工程は、該ペプチドライブラリをコードするmRNAライブラリを製造する工程と、各mRNAの3'末端にピューロマイシンを結合させ、ピューロマイシン結合mRNAライブラリを製造する工程と、前記ピューロマイシン結合mRNAライブラリを無細胞翻訳系によって翻訳し、ペプチド−mRNA複合体ライブラリを製造する工程と、を含む方法。
  16. アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリの製造方法であって:
    請求項14又は15に記載された方法によって、アゾリン骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環を含む化合物を2種以上含むライブラリを製造する工程と、
    前記ライブラリを、アゾール骨格導入酵素と反応させて、アゾリン骨格導入酵素によって導入されたヘテロ環の少なくとも1つを、アゾール骨格導入酵素によって導入されるヘテロ環に変換する工程と、を含む方法。
  17. 標的物質に結合するヘテロ環を含む化合物を同定するスクリーニング方法であって、
    請求項14から16のいずれか1項に記載の方法で化合物ライブラリを製造する工程と、
    前記化合物ライブラリと標的物質とを接触させてインキュベートする工程と、
    前記標的物質に結合した化合物を選択する工程と、を含む方法。
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