JP6255738B2 - 運動解析装置および運動解析プログラム並びに表示方法 - Google Patents

運動解析装置および運動解析プログラム並びに表示方法 Download PDF

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Description

本発明は運動解析装置および運動解析プログラム並びに表示方法等に関する。
運動解析装置はスイング動作といった運動の解析にあたって用いられる。スイング時に運動具は振られる。振る際に運動具のグリップは手で握られる。振られると、運動具の姿勢は時間軸に従って変化する。運動具には慣性センサーが装着される。慣性センサーの出力に基づき視覚的にスイング動作が再現される。こうした運動解析装置の一具体例として、例えば特許文献1に開示されるようにゴルフスイング解析装置が挙げられる。
特開2008−73210号公報
ゴルフでは打球の方向はインパクトの瞬間のフェースの向きに大きく影響される。知られるように、インパクトの直前に手首を返してクラブヘッドのフェースを合わせ込もうとすると、合わせ込みが遅れ、手首を返すことで反対にインパクト時のフェースが乱れてスイングに悪影響を与えてしまう。ゴルフスイング中の手首の動きはカメラ等を用いた光学式モーションキャプチャーでは観察がし難く、微妙な手首の返しの動きまではトレースできない。精密にトレースする場合は、高精度なカメラを何台も用意する必要があり、大がかりな計測装置となってしまう。また、カメラ等を用いた光学式モーションキャプチャーでは屋内でしか計測ができず、一般的な屋外の練習の場で利用することができなかった。
本発明の少なくとも1つの態様によれば、スイング動作に関連づけて手首の動きを視覚的に容易に提示することができる運動解析装置および運動解析プログラム並びに表示方法を提供できる。
(1)本発明の一態様は、慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出する第1算出部と、前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角を算出する第2算出部と、を備え、前記第1算出部で得られた前記運動具の移動軌跡に、前記第2算出部で得られた前記回転角を関連付ける運動解析装置に関する。
スイング時に運動具は振られる。振られると、運動具の姿勢は時間軸に従って変化する。姿勢の変化は慣性センサーで検出される。こうして時間軸に従って運動具の移動軌跡は特定される。画面にはスイング動作が視覚的に提示される。このとき、手首の動きは同時に慣性センサーで検出される。こうしてスイング動作に関連づけられて視覚的に手首の動きは提示される。こうした手首の動きに応じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。カメラ等を用いて光学式モーションキャプチャーと比較して、大掛かりな装置を用いずとも手首の返しの微妙な動きをトレースでき、かつ、慣性センサーをゴルフクラブ等の運動具や被験者の手などに取り付けるだけでよいので、屋外でも容易に計測することができる。
(2)運動解析装置は、前記第1算出部の算出結果に前記前記第2算出部の算出結果を同期させることができる。第1算出部により算出した運動具の移動軌跡と、第2算出部により算出した運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角とを同期させることにより、より正確にスイング中の手首の返しのタイミングや打球面の角度の変化を計測することができる。
(3)運動解析装置は、前記第1算出部で得られた前記運動具の移動軌跡に前記第2算出部で得られた前記回転角を関連付けしたデータを表示する表示部を備えることができる。表示部により、被験者にスイング中の手首の返しのタイミングや打球面の角度の変化を運動上達の指標として表示することができる。
(4)前記表示部は、運動具の移動軌跡と併せてマーキングを表示させることができ、前記マーキングは、前記第2算出部で算出された前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角の変化に応じて向きを変えることができる。運動具のシャフトは棒状であるためシャフトの軸回りの回転を表示しても被験者はどのくらい回転しているのかを把握し辛いという問題があった。そこで、表示部により、運動具の移動軌跡と併せて、運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角の変化を表すマーキングを表示させることにより、手首の返しの状態や打球面の角度の変化を被験者に分かり易く表示することができる。
(5)前記マーキングは、前記運動具の打球面の動きに応じて向きを変える平面を備えることができる。グリップの回転すなわち手首の回転は平面の回転で表現される。こうして被験者は画像から明確に手首の回転を把握することができる。こうした把握に応じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。
(6)前記マーキングは立体形状で表示されることができる。その結果、被験者は手首の動きを観念的に明確に認識することができる。
(7)前記表示部は、前記運動具の前記移動軌跡に、前記運動具のシャフト部の軸回りで回転する面を表示することができる。こうして運動具そのもので手首の回転は表現される。被験者は運動具の動きを視覚的に確認することができる。こうした確認を通じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。
(8)前記慣性センサーは前記運動具のシャフト部の軸に並行な検出軸を備えることができ、前記検出軸回りに発生する角速度を検出することができる。こうして慣性センサーの1検出軸がグリップの軸に合わせ込まれると、軸回りの回転角の検出にあたって算出処理を簡略化できる。
(9)本発明の他の態様は、慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出する手段と、前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角を算出する手段と、を備え、前記運動具の移動軌跡に前記回転角を関連付ける運動解析装置に関する。
(10)本発明の他の態様は、慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出する手順と、前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する前記運動具の回転角を算出する手順と、前記第1算出部で得られた前記運動具の移動軌跡に、前記第2算出部で得られた前記回転角を関連付ける手順とをコンピューターに実行させる運動解析プログラムに関する。
スイング時に運動具は振られる。振られると、運動具の姿勢は時間軸に従って変化する。姿勢の変化は慣性センサーで検出される。こうして時間軸に従って運動具の移動軌跡は特定される。画面にはスイング動作が視覚的に提示される。このとき、手首の動きは同時に慣性センサーで検出される。こうしてスイング動作に関連づけられて視覚的に手首の動きは提示される。こうした手首の動きに応じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。カメラ等を用いて光学式モーションキャプチャーと比較して、大掛かりな装置を用いずとも手首の返しの微妙な動きをトレースでき、かつ、慣性センサーをゴルフクラブ等の運動具や被験者の手などに取り付けるだけで良いので、屋外でも容易に計測することができる。
本発明の一実施形態に係るゴルフスイング解析装置の構成を概略的に示す概念図である。 運動解析モデルとゴルファーおよびゴルフクラブとの関係を概略的に示す概念図である。 一実施形態に係る演算処理回路の構成を概略的に示すブロック図である。 ゴルフクラブの移動軌跡を視覚的に表現する画像の一具体例を示す図である。 ゴルフクラブの移動軌跡を視覚的に表現する画像の一具体例を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
(1)ゴルフクラブ解析装置の構成
図1は本発明の一実施形態に係るゴルフスイング解析装置(運動解析装置)11の構成を概略的に示す。ゴルフスイング解析装置11は例えば慣性センサー12を備える。慣性センサー12には例えば加速度センサーおよびジャイロセンサーが組み込まれる。加速度センサーは互いに直交する三軸方向に個々に加速度を検出することができる。ジャイロセンサーは互いに直交する三軸の各軸回りに個別に角速度を検出することができる。慣性センサー12は検出信号を出力する。検出信号で個々の軸ごとに加速度および角速度は特定される。加速度センサーおよびジャイロセンサーは比較的に精度よく加速度および角速度の情報を検出する。
慣性センサー12はゴルフクラブ(運動具)13に取り付けられる。ゴルフクラブ13はシャフト13aおよびグリップ13bを備える。グリップ13bが手で握られる。グリップ13bはシャフト13aの軸と同軸に形成される。シャフト13aの先端にはクラブヘッド13cが結合される。望ましくは、慣性センサー12はゴルフクラブ13のシャフト13aまたはグリップ13bに取り付けられる。シャフト13aはグリップ13bを含みクラブヘッド13cまでの棒状部分を指す。慣性センサー12はゴルフクラブ13に相対移動不能に固定されればよい。ここでは、慣性センサー12の取り付けにあたって慣性センサー12の検出軸の1つはシャフト13aの軸に合わせ込まれる。慣性センサー12の検出軸のもう1つはクラブヘッド13cのフェース(打球面)の向きに合わせ込まれる。
ゴルフスイング解析装置11は演算処理回路14を備える。演算処理回路14には慣性センサー12が接続される。接続にあたって演算処理回路14には所定のインターフェイス回路15が接続される。このインターフェイス回路15は有線で慣性センサー12に接続されてもよく無線で慣性センサー12に接続されてもよい。演算処理回路14には慣性センサー12から検出信号が供給される。
演算処理回路14には記憶装置16が接続される。記憶装置16には例えばゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム(運動解析プログラム)17および関連するデータが格納できる。演算処理回路14はゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム17を実行しゴルフスイング解析方法を実現する。記憶装置16にはDRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリー)や大容量記憶装置ユニット、不揮発性メモリー等が含まれることができる。例えばDRAMには、ゴルフスイング解析方法の実施にあたって一時的にゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム17が保持される。ハードディスク駆動装置(HDD)といった大容量記憶装置ユニットにはゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム17およびデータが保存される。不揮発性メモリーにはBIOS(基本入出力システム)といった比較的に小容量のプログラムやデータが格納される。
演算処理回路14には画像処理回路18が接続される。演算処理回路14は画像処理回路18に所定の画像データを送る。画像処理回路18には表示装置19が接続される。接続にあたって画像処理回路18には所定のインターフェイス回路(図示されず)が接続される。画像処理回路18は、入力される画像データに応じて表示装置19に画像信号を送る。表示装置19の画面には画像信号で特定される画像が表示される。表示装置19には液晶ディスプレイその他のフラットパネルディスプレイが利用される。ここでは、演算処理回路14、記憶装置16および画像処理回路18は例えばコンピューター装置として提供される。
演算処理回路14には入力装置21が接続される。入力装置21は少なくともアルファベットキーおよびテンキーを備える。入力装置21から文字情報や数値情報が演算処理回路14に入力される。入力装置21は例えばキーボードで構成されればよい。コンピューター装置およびキーボードの組み合わせは例えばスマートフォンや携帯電話端末、タブレットPC(パーソナルコンピューター)等に置き換えられてもよい。
(2)運動解析モデル
演算処理回路14は仮想空間を規定する。仮想空間は三次元空間で形成される。三次元空間は実空間を特定する。図2に示されるように、三次元空間は絶対基準座標系(全体座標系)Σxyzを有する。三次元空間には絶対基準座標系Σxyzに従って三次元運動解析モデル26が構築される。三次元運動解析モデル26の棒27は支点28(座標x)に点拘束される。棒27は支点28回りで三次元的に振子として動作する。支点28の位置は移動することができる。ここでは、絶対基準座標系Σxyzに従って、棒27の重心29の位置は座標xで特定され、クラブヘッド13cの位置は座標xで特定される。
三次元運動解析モデル26はスイング時のゴルフクラブ13をモデル化したものに相当する。振子の棒27はゴルフクラブ13のシャフト13aを投影する。棒27の支点28はグリップ13bを投影する。慣性センサー12は棒27に固定される。絶対基準座標系Σxyzに従って慣性センサー12の位置は座標xで特定される。慣性センサー12は加速度信号および角速度信号を出力する。加速度信号では、重力加速度gの影響が差し引かれた加速度
Figure 0006255738
が特定され、角速度信号では角速度ω、ωが特定される。
演算処理回路14は同様に慣性センサー12に局所座標系Σを固定する。局所座標系Σの原点は慣性センサー12の検出軸の原点に設定される。局所座標系Σのy軸はシャフト13aの軸心に一致する。局所座標系Σのx軸はフェースの向きで特定される打球方向に一致する。したがって、この局所座標系Σに従って支点の位置lsjは(0,lsjy,0)で特定される。同様に、この局所座標系Σ上では重心29の位置lsgは(0,lsgy,0)で特定され、クラブヘッド13cの位置lshは(0,lshy,0)で特定される。
(3)演算処理回路の構成
図3は一実施形態に係る演算処理回路14の構成を概略的に示す。演算処理回路14は第1算出部としてのスイング軌跡算出部31および第2算出部としての回転角算出部32を備える。スイング軌跡算出部31は慣性センサー12に接続される。スイング軌跡算出部31には慣性センサー12から出力信号が供給される。ここでは、慣性センサー12の出力に、直交3軸に沿ってそれぞれ検出される加速度および直交3軸回りでそれぞれ検出される角速度が含まれる。スイング軌跡算出部31は慣性センサー12の出力に基づきゴルフクラブ13の位置および姿勢を検出する。スイング軌跡算出部31は例えば運動中のグリップ13bおよびクラブヘッド13cの位置を検出する。検出にあたってスイング軌跡算出部31は例えば次式に従ってグリップ13bの加速度を算出する。こうした加速度の算出にあたってスイング軌跡算出部31は慣性センサー12の固有の局所座標系Σに従ってグリップ13bの位置lsjを特定する。特定にあたってスイング軌跡算出部31は記憶装置16から位置情報を取得する。記憶装置16には予めグリップ13bの位置lsjが格納される。グリップ13bの位置lsjは例えば入力装置21経由で指定されればよい。
Figure 0006255738
スイング軌跡算出部31は算出された加速度に基づきグリップ13bの移動速度を算出する。ここでは、次式に従って加速度に規定のサンプリング間隔dtで積分処理が施される。Nはサンプル数を示す(以下、同じ)。
Figure 0006255738
さらにスイング軌跡算出部31は算出された速度に基づきグリップ13bの位置を算出する。ここでは、次式に従って速度に規定のサンプリング間隔dtで積分処理が施される。
Figure 0006255738
スイング軌跡算出部31は予め仮想三次元空間内で局所座標系Σの位置(またはグリップ13bの位置)を特定する。局所座標系Σの変位またはグリップ13bの変位が仮想三次元空間内の座標系に変換されると、ゴルフクラブ13の位置が特定される。
同様に、スイング軌跡算出部31は次式に従ってクラブヘッド13cの位置を検出する。位置の検出にあたってスイング軌跡算出部31は慣性センサー12の固有の局所座標系Σに従ってクラブヘッド13cの位置lshを特定する。特定にあたってスイング軌跡算出部31は記憶装置16から位置情報を取得する。記憶装置16には予めクラブヘッド13cの位置lshが格納される。クラブヘッド13cの位置lshは例えば入力装置21経由で指定されればよい。
Figure 0006255738
Figure 0006255738
Figure 0006255738
回転角算出部32は慣性センサー12に接続される。回転角算出部32には慣性センサー12から出力が供給される。回転角算出部32は、慣性センサー12の出力に基づき角位置「0°」の初期位置から軸回りでグリップ13bの回転角θn(n=1,…,N)を検出する。検出にあたって回転角算出部32は単位時間当たりで回転角の変化量を算出する。次式に示されるように、算出された変化量は累積される。
Figure 0006255738
その結果、単位時間で累積される時刻ごとに初期位置からの変化量は算出される。こうして時間軸に従ってグリップ13bの回転角θnは特定される。
回転角θnの検出にあたって回転角算出部32は慣性センサー12の出力に基づきグリップ13bの軸(シャフト13aに同軸)回りでグリップ13bの初期位置を検出する。検出にあたって回転角算出部32は慣性センサー12でシャフト13aに平行な1検出軸回り(ここではy軸回り)にアドレス時の角速度を取得する。回転角算出部32は取得した角速度を初期値に据える。アドレス時にはy軸回りで角速度は生じないことから、角速度が「0(ゼロ)」で静止すると、角位置「0°(ゼロ度)」(=初期位置)が設定される。
図示しないが、演算処理回路14は、スイング軌跡算出部31からの算出結果と回転角算出部32からの算出結果を互いに同期させる同期化部を備えてもよい。同期化部はスイング軌跡算出部31および回転角算出部32に接続される。同期化部にはスイング軌跡算出部31および回転角算出部32から出力信号が供給される。同期化部は、スイング軌跡算出部31で算出されるゴルフクラブ13の位置および姿勢に、回転角算出部32で算出されるグリップ13bの回転角θnを同期させる。その結果、ゴルフクラブ13の個々の位置でグリップ13bの軸回りにグリップ13bの角位置は特定される。こういった特定にあたって、同時刻に慣性センサー12から出力される加速度および角速度に基づき算出されるゴルフクラブ13の位置およびグリップ13bの回転角が1対1で相互に結び付けられればよい。
演算処理回路14は表示部としての画像データ生成部34を備える。画像データ生成部34はスイング軌跡算出部31および回転角算出部32に接続される。画像データ生成部34にはスイング軌跡算出部31および回転角算出部32から出力信号が供給される。画像データ生成部34は移動軌跡画像生成部35、面回転画像生成部36および立方体画像生成部37を備える。移動軌跡画像生成部35はゴルフクラブ13の位置および姿勢に基づきゴルフクラブ13の移動軌跡を視覚的に表示する画像を生成する。面回転画像生成部36は、ゴルフクラブ13上に規定されてグリップ13bの軸回りで回転する面すなわちフェースを表示する画像(マーキング)を生成する。移動軌跡の個々の位置ごとに同時刻のフェースの向きは特定される。立方体画像生成部37はグリップ13bの軸に平行な稜線を有する立方体の画像を生成する。立方体には、グリップ13bの軸に平行に広がって幾何学形状の輪郭(ここでは正方形の輪郭)を有する1平面が規定される。立方体の平面は、グリップ13bの回転角θnの変化に応じてグリップ13bの軸回りに向きを変える。同時刻の画像は相互に関連づけられて1画像データとして画像データ生成部34から出力される。なお、マーキングは平面や立方体以外にも、曲面や、立方体以外の球体等の立体形状でも可能である。
演算処理回路14は描画部38を備える。描画部38は画像データ生成部34に接続される。描画部38には画像データ生成部34から画像データが供給される。描画部38は、移動軌跡画像生成部35の出力信号に基づき、ゴルフクラブ13の移動軌跡を視覚的に表示する画像を描画する。描画部38は、ゴルフクラブ13の移動軌跡の画像に、個々の位置ごとに、フェースの画像および立方体の画像を重ねる。その結果、仮想三次元空間内で、ゴルフクラブ13の移動軌跡にフェースの回転角および立方体の回転角を関連づけつつ視覚的に表示する画像は生成される。ここでは、描画部38は、時間軸に従って連続する画像データでアニメーションを描画する。
(4)ゴルフスイング解析装置の動作
ゴルフスイング解析装置11の動作を簡単に説明する。まず、ゴルファーのゴルフスイングは計測される。計測に先立って必要な情報が入力装置21から演算処理回路14に入力される。ここでは、三次元運動解析モデル26に従って、局所座標系Σに従った支点28の位置lsj、並びに、慣性センサー12の初期姿勢の回転行列Rの入力が促される。入力された情報は例えば特定の識別子の下で管理される。識別子は特定のゴルファーを識別すればよい。
計測に先立って慣性センサー12がゴルフクラブ13のシャフト13aに取り付けられる。慣性センサー12はゴルフクラブ13に相対変位不能に固定される。ここでは、慣性センサー12の検出軸の1つはシャフト13aの軸に合わせ込まれる。慣性センサー12の検出軸の1つはフェース(打球面)の向きで特定される打球方向に合わせ込まれる。
ゴルフスイングの実行に先立って慣性センサー12の計測は開始される。動作の開始時に慣性センサー12は所定の位置および姿勢に設定される。これらの位置および姿勢は初期姿勢の回転行列Rで特定されるものに相当する。慣性センサー12は特定のサンプリング間隔で継続的に加速度および角速度を計測する。サンプリング間隔は計測の解像度を規定する。慣性センサー12の検出信号はリアルタイムで演算処理回路14に送り込まれる。演算処理回路14は慣性センサー12の出力を特定する信号を受信する。
ゴルフスイングは、アドレスに始まって、テイクバック、ハーフウェイバック、トップからダウンスイング、インパクトを経て、フォロースルー、そしてフィニッシュに至る。ゴルフクラブ13が振られると、ゴルフクラブ13の姿勢は時間軸に従って変化する。慣性センサー12はゴルフクラブ13の姿勢に応じて検出信号を出力する。このとき、スイング軌跡算出部31は慣性センサー12の出力に基づきゴルフクラブ13の位置および姿勢を検出する。回転角算出部32は慣性センサー12の出力に基づきグリップ13bの軸回りでグリップ13bの角位置を検出する。画像データ生成部34は、個々の時刻ごとに、ゴルフクラブ13の移動軌跡に関連づけてフェースの画像および立方体の画像を特定する三次元画像データ(例えばポリゴンデータ)を生成する。描画部38は、三次元画像データに基づき、例えば図4および図5に示されるように、ゴルフクラブ13の移動軌跡Tに関連づけてフェース41の画像および立方体42の画像を描画する。フェース41の回転および立方体42の回転は手首の回転(返し)を表象する。こうして画像で視覚的にスイング動作および手首の返しは表現される。描画データは画像処理回路18に送られ、描画データに従って表示装置19の画面に画像は映し出される。その結果、スイング動作に関連づけられて視覚的に手首の動きは提示される。こうした手首の動きに応じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。しかも、描画部38は時間軸に従って連続する画像データでアニメーションを描画する。こうしてスイング動作は手首の動きとともに画面上で再現される。こうした再現の観察を通じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。運動具のシャフトは棒状であるためシャフトの軸回りの回転を表示しても被験者はどのくらい回転しているのかを把握し辛いため、運動具の移動軌跡と併せて、運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角の変化を表すマーキングを表示させることにより、手首の返しの状態や打球面の角度の変化を被験者に分かり易く表示することができる。
ゴルフスイングの計測にあたって被験者は最初にアドレスの姿勢をとる。このアドレス時に被験者はインパクトの瞬間の姿勢を再現する。その結果、「ゴルフスイング」という一連の動作の中からインパクトの瞬間の姿勢は抽出される。このとき、ゴルフクラブ13は静止姿勢で保持される。回転角算出部32は角位置「0°」の初期位置を設定し回転角の算出を開始する。
画像中で立方体42の平面43はグリップ13bの回転に応じて向きを変える。グリップ13bの回転すなわち手首の回転は平面43の回転で表現される。こうして被験者は画像から明確に手首の回転を把握することができる。こうした把握に応じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。特に、立方体42はグリップ13bの直交三軸を反映する。その結果、被験者は手首の動きを観念的に明確に認識することができる。
スイング動作の提示にあたって画像ではフェース41が特定される。こうしてゴルフクラブ13そのもので手首の回転は表現される。被験者はゴルフクラブ13の動きを視覚的に確認することができる。こうした確認を通じて被験者はスイングのフォームに改良を加えることができる。
慣性センサー12は直交3軸に沿ってそれぞれ加速度を検出し直交3軸回りでそれぞれ角速度を検出する。こうして1つの慣性センサー12でゴルフクラブ13の位置および姿勢並びにグリップ13bの回転角は検出される。しかも、慣性センサー12はグリップ13bの軸に平行な検出軸を有し当該検出軸回りで角速度を検出する。こうして慣性センサー12の1検出軸がグリップ13bの軸に合わせ込まれると、軸回りの回転角の検出にあたって算出処理は簡略化される。
なお、以上の実施形態では演算処理回路14の個々の機能ブロックはゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム17の実行に応じて実現される。ただし、個々の機能ブロックはソフトウェア処理に頼らずにハードウェアで実現されてもよい。その他、ゴルフスイング解析装置11は手で握られて振られる運動具(例えばテニスラケットや卓球ラケット、野球のバット)のスイング解析に応用されてもよい。また、図3のスイング軌跡算出部31と回転角算出部32とを分けて記載したが、併せて一つの算出部としてもよい。
上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、慣性センサー12やゴルフクラブ13、演算処理回路14、三次元運動解析モデル26、スイング軌跡算出部31、回転角算出部32等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。また、ゴルフ以外にもテニスや野球等のスイング動作を用いる運動に対しても本発明を適用することができる。
11 運動解析装置(ゴルフスイング解析装置)、12 慣性センサー、13 運動部(ゴルフクラブ)、13a シャフト部(シャフト)、14 コンピューター(演算処理回路)、17 運動解析プログラム(ゴルフスイング解析ソフトウェアプログラム)、31 第1検出部(スイング軌跡算出部)、32 第2検出部(回転角算出部)、34 表示部(画像データ生成部)、41 面(フェース)、42 マーキング(立方体)、43 平面、T 移動軌跡。

Claims (10)

  1. 慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出する第1算出部と、
    前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角を算出する第2算出部と、
    前記第1算出部で得られた前記運動具の移動軌跡に前記第2算出部で得られた前記回転角を関連付けしたデータを表示する表示部と、を備え、
    前記第1算出部で得られた前記運動具の移動軌跡に、前記第2算出部で得られた前記回転角を関連付けることを特徴とする運動解析装置。
  2. 請求項1に記載の運動解析装置において、
    前記第1算出部の算出結果に前記第2算出部の算出結果を同期させることを特徴とする運動解析装置。
  3. 請求項1または2に記載の運動解析装置において、
    前記表示部は、運動具の移動軌跡と併せてマーキングを表示させ、
    前記マーキングは、前記第2算出部で算出された前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角の変化に応じて向きを変えることを特徴とする運動解析装置。
  4. 請求項に記載の運動解析装置において、
    前記マーキングは、前記運動具の打球面の動きに応じて向きを変える平面を備えていることを特徴とする運動解析装置。
  5. 請求項またはに記載の運動解析装置において、
    前記マーキングは立体形状で表示されることを特徴とする運動解析装置。
  6. 請求項のいずれか1項に記載の運動解析装置において、
    前記表示部は、前記運動具の前記移動軌跡に、前記運動具のシャフト部の軸回りで回転
    する面を表示することを特徴とする運動解析装置。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の運動解析装置において、
    前記慣性センサーは前記運動具のシャフト部の軸に並行な検出軸を備え、前記検出軸回りに発生する角速度を検出することを特徴とする運動解析装置。
  8. 慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出する手段と、
    前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角を算出する手段と、
    前記移動軌跡に前記回転角を関連付けしたデータを表示する手段と、を備え、
    前記運動具の移動軌跡に前記回転角を関連付けることを特徴とする運動解析装置。
  9. 慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出する手順と、
    前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する前記運動具の回転角を算出する手順と、
    前記運動具の移動軌跡に前記回転角を関連付けしたデータを表示する手順と、
    をコンピューターに実行させることを特徴とする運動解析プログラム。
  10. 慣性センサーの出力を用いて、スイング中の運動具の移動軌跡を算出し、
    前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動具のシャフト部の軸回りに発生する回転角を算出し、
    前記移動軌跡前記回転角を関連付けしたデータを表示部に表示することを特徴とする表示方法。
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