JP6254185B2 - 硬化性組成物、硬化膜の製造方法、硬化膜、及び、表示装置 - Google Patents

硬化性組成物、硬化膜の製造方法、硬化膜、及び、表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物、硬化膜の製造方法、硬化膜、並びに、上記硬化膜を用いた有機EL表示装置及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置、有機EL表示装置等のフラットパネルディスプレイが広く使用されている。従来、液晶表示素子、集積回路素子、固体撮像素子、有機ELなどの電子部品においては、一般に、電子部品表面の平坦性を付与するための平坦化膜、電子部品の劣化や損傷を防ぐための保護膜や絶縁性を保つための層間絶縁膜を形成する際に硬化性組成物が使用される。例えば、TFT型液晶表示素子は、ガラス基板上に偏光板を設け、酸化インジウムスズ(ITO)等の透明導電回路層及び薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、層間絶縁膜で被覆して背面板とする一方、ガラス基板上に偏光板を設け、必要に応じてブラックマトリックス層及びカラーフィルタ層のパターンを形成し、更に透明導電回路層、層間絶縁膜を順次形成して上面板とし、この背面板と上面板とをスペーサーを介して対向させて両板間に液晶を封入して製造される。
従来の硬化性組成物としては、特許文献1又は2に記載された組成物が知られている。
特開2011−126921号公報 特開2010−39475号公報
本発明が解決しようとする課題は、基板に対する密着性、膜表面の表面あれ、及び、高温高湿下でのタッチパネル特性に優れた硬化膜を得ることができる硬化性組成物、上記硬化性組成物を硬化させた硬化膜及びその製造方法、並びに、上記硬化膜を有する有機EL表示装置及び液晶表示装置を提供することである。
本発明の上記課題は、以下の<1>、<7>、<9>、<11>又は<12>に記載の手段により解決された。好ましい実施態様である<2>〜<6>、<8>及び<10>と共に以下に記載する。
<1>成分Aとして、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、成分Bとして、重合開始剤、成分Cとして、ブロックイソシアネート化合物、及び、成分Dとして、有機溶剤、を含有し、成分Aが、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含み、成分A中の上記6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの割合が、70〜100質量%であり、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量が硬化性組成物の全有機固形分に対し85質量%以上であることを特徴とする硬化性組成物、
<2>成分Bが、オキシムエステル化合物を含む、<1>に記載の硬化性組成物、
<3>成分Cが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び、これらの多量体よりなる群から選ばれた化合物を保護したブロックイソシアネート化合物である、<1>又は<2>に記載の硬化性組成物、
<4>成分Cが、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、又は、ピラゾール化合物のいずれかによりブロック構造が形成された化合物である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<5>成分Aと成分Cの重量比率が、100:1〜10:1である、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<6>無機粒子を更に含有する、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の硬化性組成物、
<7>工程1として、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を基板上に塗布する工程、工程2として、塗布された硬化性組成物から有機溶剤を除去する溶剤除去工程、及び、工程3として、有機溶剤が除去された硬化性組成物を光及び/又は熱により硬化する硬化工程、を含むことを特徴とする硬化膜の製造方法、
<8>上記硬化工程が、有機溶剤が除去された硬化性組成物を光により硬化する工程であり、上記硬化工程後、硬化性組成物を光により硬化した硬化膜を熱処理する熱処理工程を更に含む、<7>に記載の硬化膜の製造方法、
<9><1>〜<6>のいずれか1つに記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜、
<10>保護膜である、<9>に記載の硬化膜、
<11><9>又は<10>に記載の硬化膜を有する、有機EL表示装置、
<12><9>又は<10>に記載の硬化膜を有する、液晶表示装置。
本発明によれば、基板に対する密着性、膜表面の表面あれ、及び、高温高湿下でのタッチパネル特性に優れた硬化膜を得ることができる硬化性組成物、上記硬化性組成物を硬化させた硬化膜及びその製造方法、並びに、上記硬化膜を有する有機EL表示装置及び液晶表示装置を提供することができた。
有機EL表示装置の一例の構成概念図を示す。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。 液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。液晶表示装置におけるアクティブマトリックス基板の模式的断面図を示し、層間絶縁膜である硬化膜17を有している。 タッチパネルの機能を有する液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。 タッチパネルの機能を有する液晶表示装置の他の一例の構成概念図を示す。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明における有機EL素子とは、有機エレクトロルミネッセンス素子のことをいう。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
なお、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレート及びメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリル及びメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイル及びメタクリロイルを表す。
本発明において、「エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物」等を、単に「成分A」等ともいう。
また、本発明において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい。
本発明では、(成分A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の分子量はESI−MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析法)により測定するものとする。また、ポリマー成分については、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
なお、(A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物であっても、分子量5,001以上の化合物については、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(硬化性組成物)
本発明の硬化性組成物(以下、単に「組成物」ともいう。)は、(成分A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、(成分B)重合開始剤、(成分C)ブロックイソシアネート化合物、及び、(成分D)有機溶剤、を含有し、成分Aが、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含み、成分A中の上記6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの割合が、70〜100質量%であり、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量が硬化性組成物の全有機固形分中の85質量%以上であることを特徴とする。
本発明の硬化性組成物は、更に、(成分E)アルコキシシラン化合物、(成分F)無機粒子、(成分G)(メタ)アクリル共重合体、(成分H)メルカプト化合物、(成分W)界面活性剤等、の他の成分を含んでいてもよい。
本発明の硬化性組成物は、重合後、又は、重合に続けて、得られた硬化膜等の硬化物を熱処理することにより、硬化物の強度がより高くなる組成物であることが好ましく、成分Bとして光重合開始剤を含有し、光による重合後、得られた硬化物を熱処理することにより、硬化物の強度がより高くなる組成物であることがより好ましい。
(成分A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物
本発明の硬化性組成物は、(成分A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含有する。
成分Aは、エチレン性不飽和結合を有していればよく、低分子の化合物であっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよい。
また、成分Aの含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが更に好ましく、70質量%以上であることが特に好ましい。上限は特に定めるものではないが、例えば、99質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。また、組成物が後述する無機粒子を配合する場合、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましい。なお、硬化性組成物における「固形分」とは、有機溶剤等の揮発性成分を除いた成分を表す。
<6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート>
成分Aは、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含み、成分A中の上記6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの割合が、70〜100質量%であり、75〜100質量%であることが好ましく、90〜100質量%であることがより好ましく、95〜100質量%であることが更に好ましい。上記態様であると、本発明の効果がより効果的に発揮される。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましく、また、上限は特に定めるものではないが、95質量%以下であることが好ましい。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、硬化性組成物の全有機固形分に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることが更に好ましく、80〜95質量%であることが特に好ましい。なお、全有機固形分とは硬化性組成物の全固形分中から無機物(無機粒子等)を除いた固形分のことをいう。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、硬化性組成物の有機固形分の、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が最も好ましい。なお、ここでいう有機固形分とは、組成物の固形分中からポリマー粒子などの有機粒子、金属酸化物粒子などの無機粒子、および有機無機顔料などの顔料成分を除いた、有機物の固形分を意味する。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロキシ基の数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、12以上であることが更に好ましい。上記態様であると、本発明の効果がより効果的に発揮される。
また、上記(メタ)アクリロキシ基の数の上限は特に制限はないが、50以下であることが好ましく、30以下であることがより好ましく、20以下であることが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、硬化膜硬度の観点から、500〜20,000が好ましく、650〜6,000がより好ましく、800〜3,000が更に好ましい。上記態様であると、本発明の効果がより効果的に発揮される。なお、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの分子量は、分子量が1,000以上の場合は、GPCのポリスチレン換算数平均分子量である。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートにおける(メタ)アクリロキシ基は、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のいずれであっても、両方であってもよいが、アクリロキシ基であることが好ましい。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートにおけるウレタン結合の数は、特に制限はないが、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、2〜10であることが更に好ましく、2〜5であることが特に好ましく、2又は3であることが最も好ましい。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、6官能以上の脂肪族ウレタン(メタ)アクリレートであることが好ましい。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、イソシアヌル環構造を有することが好ましい。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、1以上のウレタン結合を有するコア部分と、コア部分に結合し、かつ1以上の(メタ)アクリロキシ基を有する末端部分からなる化合物であることが好ましく、上記コア部分に、2個以上の上記末端部分が結合した化合物であることがより好ましく、上記コア部分に、2〜5個の上記末端部分が結合した化合物であることが更に好ましく、上記コア部分に、2又は3個の上記末端部分が結合した化合物であることが特に好ましい。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(Ae−1)又は式(Ae−2)で表される基を少なくとも有する化合物であることが好ましく、下記式(Ae−1)で表される基を少なくとも有する化合物であることがより好ましい。また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(Ae−1)で表される基及び式(Ae−2)で表される基よりなる群から選ばれた基を2以上有する化合物であることがより好ましい。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートにおける上記末端部分は、下記式(Ae−1)又は式(Ae−2)で表される基であることが好ましい。
式(Ae−1)及び式(Ae−2)中、Rはそれぞれ独立に、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表し、波線部分は他の構造との結合位置を表す。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、下記式(Ac−1)又は式(Ac−2)で表される基を少なくとも有する化合物であることが好ましく、下記式(Ac−1)で表される基を少なくとも有する化合物であることがより好ましい。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートにおける上記コア部分は、硬度、低温硬化性、密着性、溶剤耐性、塗布性の観点で、下記式(Ac−1)又は式(Ac−2)で表される基であることが好ましい。
式(Ac−1)及び式(Ac−2)中、L1〜L4はそれぞれ独立に、炭素数2〜20の二価の炭化水素基を表し、波線部分は他の構造との結合位置を表す。
1〜L4はそれぞれ独立に、炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数4〜8のアルキレン基であることが更に好ましい。また、上記アルキレン基は、分岐や環構造を有していてもよいが、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
また、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、式(Ac−1)又は式(Ac−2)で表される基と、式(Ae−1)及び式(Ae−2)で表される基より成る群から選ばれた2又は3個の基とが結合した化合物であることが特に好ましい。
以下に、本発明で好ましく用いられる、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを例示するが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
また、本発明で用いることができる6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートとしては、イソシアネートと水酸基との付加反応を用いて製造されるウレタン付加重合性化合物が例示され、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報に記載されているようなウレタンアクリレート類が例示され、これらの記載は本願明細書に組み込まれる。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの市販品としては、新中村化学工業(株)から入手可能なU−6HA、UA−1100H、U−6LPA、U−15HA、U−6H、U−10HA、U−10PA、UA−53H、UA−33H(いずれも登録商標)や、共栄社化学(株)から入手可能なUA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、BASF社から入手可能なLaromer UA−9048、UA−9050、PR9052、ダイセルオルネクス(株)から入手可能なEBECRYL 220、5129、8301、KRM8200、8200AE、8452などが例示される。
<その他のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物>
本発明の硬化性組成物は、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物(「その他のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物」ともいう。)を含んでいてもよいが、含まないことが好ましい。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、高分子(例えば、分子量2,000以上)であっても、単量体(例えば、分子量2,000未満、好ましくは、分子量100以上2,000未満)であってもよく、単量体が好ましい。
その他のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。(メタ)アクリレート化合物の官能基の数は、2〜6が好ましく、3〜6がより好ましい。このような構成とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
具体的には、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートエチレンオキサイド(EO)変性体、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートEO変性体などが挙げられる。
また、その他のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、5官能以下のウレタン(メタ)アクリレートを含んでいてもよい。5官能以下のウレタン(メタ)アクリレートとしては、下記化合物が例示される。
本発明の硬化性組成物は、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を含む場合、硬化性組成物の全固形分の0.1〜20質量%の範囲で含むことが好ましく、0.5〜10質量%の範囲で含むことがより好ましく、1〜5質量%の範囲で含むことが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート以外のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(成分B)重合開始剤
本発明の硬化性組成物は、(成分B)重合開始剤を含有する。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
本発明に用いることができるラジカル重合開始剤は、光及び/又は熱により6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物の重合を開始、促進可能な化合物である。中でも、光重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤がより好ましい。
「光」とは、その照射により成分Bより開始種を発生させることができるエネルギーを付与することができる活性エネルギー線であれば、特に制限はなく、広くα線、γ線、X線、紫外線(UV)、可視光線、電子線などを包含するものである。これらの中でも、紫外線を少なくとも含む光が好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル化合物、有機ハロゲン化化合物、オキシジアゾール化合物、カルボニル化合物、ケタール化合物、ベンゾイン化合物、アクリジン化合物、有機過酸化化合物、アゾ化合物、クマリン化合物、アジド化合物、メタロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、有機ホウ酸化合物、ジスルホン酸化合物、オニウム塩化合物、アシルホスフィン(オキシド)化合物が挙げられる。これらの中でも、感度の点から、オキシムエステル化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物が好ましく、オキシムエステル化合物がより好ましい。
オキシムエステル化合物としては、特開2000−80068号公報、特開2001−233842号公報、特表2004−534797号公報、特開2007−231000号公報、特開2009−134289号公報に記載の化合物を使用できる。
オキシムエステル化合物は、下記式(1)又は式(2)で表される化合物であることが好ましい。
式(1)又は式(2)中、Arは芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、R1はアルキル基、芳香族基又はアルキルオキシ基を表し、R2は水素原子又はアルキル基を表し、更にR2はAr基と結合し環を形成してもよい。
Arは、芳香族基又はヘテロ芳香族基を表し、ベンゼン環、ナフタレン環又はカルバゾール環から水素原子を1つ除いた基であることが好ましく、R2と共に環を形成したナフタレニル基、カルバゾイル基がより好ましい。
1は、アルキル基、芳香族基又はアルキルオキシ基を表し、メチル基、エチル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、フェニル基又はメトキシ基がより好ましい。
2は、水素原子又はアルキル基を表し、水素原子又は置換アルキル基が好ましく、水素原子、Arと共に環を形成する置換アルキル基又はトルエンチオアルキル基がより好ましい。
オキシムエステル化合物は、下記式(3)、式(4)又は式(5)で表される化合物であることが更に好ましい。
式(3)〜式(5)中、R1はアルキル基、芳香族基又はアルコキシ基を表し、Xは−CH2−、−C24−、−O−又は−S−を表し、R3はそれぞれ独立に、ハロゲン原子を表し、R4はそれぞれ独立に、アルキル基、フェニル基、アルキル置換アミノ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を表し、R5は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R6はアルキル基を表し、n1及びn2はそれぞれ独立に、0〜6の整数を表し、n3は0〜5の整数を表す。
1はアルキル基、芳香族基又はアルコキシ基を表し、R11−X’−アルキレン基−で表される基(R11はアルキル基又はアリール基を表し、X’は硫黄原子又は酸素原子を表す。)が好ましい。R11はアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。R11としての、アルキル基及びアリール基は、ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、塩素原子若しくは臭素原子)又はアルキル基で置換されていてもよい。
Xは硫黄原子が好ましい。
3及びR4は、芳香環上の任意の位置で結合することができる。
4はアルキル基、フェニル基、アルキル置換アミノ基、アリールチオ基、アルキルチオ基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はハロゲン原子を表し、アルキル基、フェニル基、アリールチオ基又はハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アリールチオ基又はハロゲン原子がより好ましく、アルキル基又はハロゲン原子が更に好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子又はフッ素原子が好ましい。
また、R4の炭素数は、0〜50であることが好ましく、0〜20であることがより好ましい。
5は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、アルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。アリール基としては、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。
6はアルキル基を表し、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
n1及びn2はそれぞれ、式(3)又は式(4)における芳香環上のR3の置換数を表し、n3は式(5)における芳香環上のR4の置換数を表す。
n1〜n3はそれぞれ独立に、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
以下に、本発明で好ましく用いられるオキシムエステル化合物の例を示す。しかしながら、本発明で用いられるオキシムエステル化合物がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。なお、Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
有機ハロゲン化化合物の例としては、具体的には、若林等、「Bull Chem. Soc. Japan」42、2924(1969)、米国特許第3,905,815号明細書、特公昭46−4605号公報、特開昭48−36281号公報、特開昭55−32070号公報、特開昭60−239736号公報、特開昭61−169835号公報、特開昭61−169837号公報、特開昭62−58241号公報、特開昭62−212401号公報、特開昭63−70243号公報、特開昭63−298339号公報、M.P.Hutt“Journal of Heterocyclic Chemistry”1(No3),(1970)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物、s−トリアジン化合物が挙げられる。
ヘキサアリールビイミダゾール化合物の例としては、例えば、特公平6−29285号公報、米国特許第3,479,185号、同第4,311,783号、同第4,622,286号等の各明細書に記載の種々の化合物が挙げられる。
アシルホスフィン(オキシド)化合物としては、モノアシルホスフィンオキサイド化合物、及び、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物が例示でき、具体的には例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア819、ダロキュア4265、ダロキュアTPOなどが挙げられる。
重合開始剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の硬化性組成物における重合開始剤の総量は、組成物中の全固形分に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましく、2〜5質量%であることが特に好ましい。
また、組成物が後述する無機粒子を含有する場合、本発明の硬化性組成物における重合開始剤の総量は、組成物中の全固形分に対して、0.5〜30質量%であることが好ましく、1〜20質量%であることがより好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましく、2〜5質量%であることが特に好ましい。
<増感剤>
本発明の硬化性組成物には、重合開始剤の他に、増感剤を加えることもできる。
本発明において用いることができる典型的な増感剤としては、クリベロ〔J. V. Crivello, Adv. in Polymer Sci., 62, 1 (1984)〕に開示しているものが挙げられ、具体的には、ピレン、ペリレン、アクリジンオレンジ、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、ベンゾフラビン、N−ビニルカルバゾール、9,10−ジブトキシアントラセン、アントラキノン、クマリン、ケトクマリン、フェナントレン、カンファーキノン、フェノチアジン誘導体などを挙げることができる。増感剤は、重合開始剤に対し、50〜200質量%の割合で添加することが好ましい。
(成分C)ブロックイソシアネート化合物
本発明の硬化性組成物は、(成分C)ブロックイソシアネート化合物を含有する。
成分Cを含有することにより、高温高湿下でのタッチパネル特性に優れた硬化膜を得ることができる硬化性組成物が得られる。
ブロックイソシアネート化合物としては、ブロックイソシアネート基を有する化合物であれば特に制限はないが、硬化性の観点から、1分子内に2以上のブロックイソシアネート基を有する化合物であることが好ましい。ブロックイソシアネート基の数の上限は、特に定めるものではないが、6以下が好ましい。
また、ブロックイソシアネート化合物としては、その骨格は特に限定されるものではなく、1分子中にイソシアネート基を2個有するものであればどのようなものでもよく、脂肪族、脂環族又は芳香族のポリイソシアネートであってよいが、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,9−ノナメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,2’−ジエチルエーテルジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,3−ジメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジメチレレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−メチレンジトリレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、テトラクロロフェニレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素化1,3−キシリレンジイソシアネート、水素化1,4−キシリレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物、並びに、これらの多量体、及び、これらの化合物から派生するプレポリマー型の骨格の化合物を好適に用いることができる。これらの中でも、トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、及び、これらの多量体よりなる群から選ばれた化合物を保護したブロックイソシアネート化合物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び、これらの多量体よりなる群から選ばれた化合物を保護したブロックイソシアネート化合物がより好ましい。
イソシアネート化合物の多量体としては、2量体以上の多量体であれば特に制限はなく、ビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等を例示することができ、ビウレット体が好ましい。
本発明の硬化性組成物におけるブロックイソシアネート化合物の母構造としては、ビウレット型、イソシアヌレート型、アダクト型、2官能プレポリマー型等を挙げることができる。
上記ブロックイソシアネート化合物のブロック構造を形成するブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。これらの中でも、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、又は、ピラゾール化合物が好ましく、オキシム化合物、及び、ラクタム化合物がより好ましく、オキシム化合物が更に好ましく、メチルエチルケトンオキシムが特に好ましい。
上記オキシム化合物としては、オキシム、及び、ケトオキシムが挙げられ、具体的には、アセトキシム、ホルムアルドキシム、シクロヘキサンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム等が例示できる。
上記ラクタム化合物としては、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等が例示できる。
上記フェノール化合物としては、フェノール、ナフトール、クレゾール、キシレノール、ハロゲン置換フェノール等が例示できる。
上記アルコール化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキル等が例示できる。
上記アミン化合物としては、第1級アミン及び第2級アミンが挙げられ、芳香族アミン、脂肪族アミン、脂環族アミンいずれでもよく、アニリン、ジフェニルアミン、エチレンイミン、ポリエチレンイミン等が例示できる。
前記活性メチレン化合物としては、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル等が例示できる。
上記ピラゾール化合物としては、ピラゾール、メチルピラゾール、ジメチルピラゾール等が例示できる、
上記メルカプタン化合物としては、アルキルメルカプタン、アリールメルカプタン等が例示できる。
本発明の硬化性組成物に使用できるブロックイソシアネート化合物は、市販品として入手可能であり、例えば、コロネートAPステーブルM、コロネート2503、2515、2507、2513、2555、ミリオネートMS−50(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートB−830、B−815N、B−820NSU、B−842N、B−846N、B−870N、B−874N、B−882N(以上、三井化学(株)製)、デュラネート17B−60P、17B−60PX、17B−60P、TPA−B80X、TPA−B80E、MF−B60X、MF−B60B、MF−K60X、MF−K60B、E402−B80B、SBN−70D、SBB−70P、K6000(以上、旭化成ケミカルズ(株)製)、デスモジュールBL1100、BL1265 MPA/X、BL3575/1、BL3272MPA、BL3370MPA、BL3475BA/SN、BL5375MPA、VPLS2078/2、BL4265SN、PL340、PL350、スミジュールBL3175(以上、住化バイエルウレタン(株)製)等を好ましく使用することができる。
本発明の硬化性組成物におけるブロックイソシアネート化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対し、0.1〜20質量%の範囲で含むことが好ましく、0.5〜10質量%の範囲で含むことがより好ましく、1〜5質量%の範囲で含むことが更に好ましい。
また、本発明の硬化性組成物におけるブロックイソシアネート化合物の含有量は、硬化性組成物の全有機固形分に対し、0.1〜20質量%の範囲で含むことが好ましく、0.5〜10質量%の範囲で含むことがより好ましく、1〜5質量%の範囲で含むことが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物中の成分Aと成分Cの重量比率は、100:1〜10:1であることが好ましく、50:1〜10:1であることがより好ましく、20:1〜10:1であることが更に好ましい。
また、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量は、硬化性組成物の全有機固形分に対し85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物は、ブロックイソシアネート化合物を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(成分D)有機溶剤
本発明の硬化性組成物は、有機溶剤を含有する。本発明の硬化性組成物は、必須成分である成分A、成分B及び成分Cと、後述の任意成分とを、有機溶剤に溶解又は分散した溶液として調製されることが好ましい。
本発明の硬化性組成物に使用される有機溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ブチレングリコールジアセテート類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、アルコール類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。これらの溶剤の具体例としては、特開2009−098616号公報の段落0062を参照できる。
具体的には、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、1,3−ブチレングリコールジアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート、テトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
溶剤の沸点は、塗布性の観点から、100℃〜300℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましい。
本発明に用いることができる有機溶剤は、1種単独、又は、2種以上を併用することができる。沸点の異なる溶剤を併用することも好ましい。
本発明の硬化性組成物における有機溶剤の含有量は、塗布に適した粘度に調整するという観点から、硬化性組成物の全固形分100質量部あたり、100〜3,000質量部であることが好ましく、200〜2,000質量部であることがより好ましく、250〜1,000質量部であることが更に好ましい。
本発明の硬化性組成物における固形分濃度としては、3〜50質量%が好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
本発明の硬化性組成物の粘度は、1〜200mPa・sが好ましく、2〜100mPa・sがより好ましく、3〜80mPa・sが最も好ましい。粘度は、例えば、東機産業(株)製のRE−80L型回転粘度計を用いて、25±0.2℃で測定することが好ましい。測定時の回転速度は、5mPa・s未満は100rpm、5mPa・s以上10mPa・s未満は50rpm、10mPa・s以上30mPa・s未満は20rpm、30mPa・s以上は10rpmで、それぞれ行うことが好ましい。
(成分E)アルコキシシラン化合物
本発明の硬化性組成物は、(成分E)アルコキシシラン化合物を含有することが好ましい。アルコキシシラン化合物を含有すると、本発明の硬化性組成物により形成された膜と基板との密着性をより向上できる。
本発明の硬化性組成物に用いることができるアルコキシシラン化合物は、基材、例えば、シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン等のシリコン化合物、金、銅、モリブデン、チタン、アルミニウム等の金属と絶縁膜との密着性を向上させる化合物であることが好ましい。具体的には、公知のシランカップリング剤等も有効である。エチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、又は、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
市販品としては、信越化学工業(株)製KBM−403やKBM−5103が例示される。
本発明の硬化性組成物におけるアルコキシシラン化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分の合計100質量部に対し、0.1〜30質量部が好ましく、2〜20質量部がより好ましく、2〜15質量部が更に好ましい。
アルコキシシラン化合物は、1種類のみでもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(成分F)無機粒子
本発明の硬化性組成物は、無機粒子を含有することが好ましい。無機粒子を含有することにより、硬化膜の硬度(強度)がより優れたものとなる。また、無機粒子を含有することにより、基板への密着性を向上させることができる。
本発明で用いる無機粒子の平均粒径は、1〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、5〜50nmが最も好ましい。平均粒径は、電子顕微鏡により任意の粒子200個の粒子径を測定し、その算術平均をいう。また、粒子の形状が球形でない場合には、外径の最大径を粒子の粒子径とする。
また、硬化膜の硬度の観点から、無機粒子の空隙率は、10%未満が好ましく、3%未満がより好ましく、空隙が無いことが最も好ましい。粒子の空隙率は電子顕微鏡による断面画像の空隙部分と粒子全体との面積比の、200個の算術平均である。
無機粒子としては、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む金属酸化物粒子が好ましく、酸化ケイ素、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム/スズ酸化物、アンチモン/スズ酸化物がより好ましく、酸化ケイ素、酸化チタン、チタン複合酸化物、酸化ジルコニウムがより好ましく、酸化ケイ素又は酸化チタンが、粒子の安定性、入手しやすさ、硬化膜の硬度、透明性、屈折率調整等の観点から特に好ましい。
酸化ケイ素としては、シリカが好ましく挙げられ、シリカ粒子がより好ましく挙げられる。
シリカ粒子としては、二酸化ケイ素を含む無機酸化物の粒子であれば特に問題はなく、二酸化ケイ素又はその水和物を主成分(好ましくは80質量%以上)として含む粒子が好ましい。上記粒子は、少量成分(例えば、5質量%未満)としてアルミン酸塩を含んでいてもよい。少量成分として含まれることがあるアルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウムなどが挙げられる。また、シリカ粒子は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化アンモニウム等の無機塩類やテトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機塩類が含まれていてもよい。このような化合物の例として、コロイダルシリカが例示される。
コロイダルシリカの分散媒としては特に制限はなく、水、有機溶剤、及び、これらの混合物のいずれであってもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
本発明において、粒子は、適当な分散剤及び溶剤中でボールミル、ロッドミル等の混合装置を用いて混合・分散することにより調製された分散液として使用に供することもできる。なお、本発明の硬化性組成物において、コロイダルシリカがコロイド状態で存在していることを必須とするものではない。
無機粒子の含有量は、硬度の観点から、硬化性組成物の全固形分100質量部あたり、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましい。また、80質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下が更に好ましく、30質量部以下が特に好ましい。
無機粒子は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
(成分G)(メタ)アクリル共重合体
本発明の硬化性組成物は、(成分G)(メタ)アクリル共重合体を含んでもよい。
(メタ)アクリル酸と共重合させるモノマーとしては、スチレン及びα−メチルスチレン等のα位にアルキル基が置換していてもよいスチレン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸クロライド、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどのモノマーを共重合させた共重合体が挙げられる。これらのモノマーはアクリル酸と単独で共重合させてもよいし、2以上のモノマーを用いてもよい。
また、(メタ)アクリル酸及びα位にアルキル基が置換していてもよいスチレンを共重合成分として含有する共重合体が好ましい。
本発明の硬化性組成物の成分Gの含有量は、1〜20質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。
(成分H)メルカプト化合物
本発明の硬化性組成物は、(成分H)メルカプト化合物を含有することが好ましい。メルカプト化合物を含有することにより、得られる硬化膜の膜強度に優れる。
メルカプト化合物としては、単官能メルカプト化合物、多官能メルカプト化合物が好適に用いられる。
単官能メルカプト化合物としては、脂肪族メルカプト化合物、芳香族メルカプト化合物のどちらも用いることができるが、膜強度の観点では、芳香族メルカプト化合物が好ましい。
単官能脂肪族メルカプト化合物としては、具体的には、1−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、β−メルカプトプロピオン酸、メチル−3−メルカプトプロピオネート、2−エチルヘキシル−3−メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート、メトキシブチル−3−メルカプトプロピオネート、ステアリル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
単官能芳香族メルカプト化合物としては、下記式(I)で表されるものが好ましい。
式(I)中、XSは酸素原子、硫黄原子又はN−RSを表し、RSは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Aは、N=C−XSと共にヘテロ環を形成する原子団を表す。
式(I)において、RSは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
上記アルキル基としては、炭素数が1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を挙げることができ、炭素数1〜12の直鎖状、炭素数3〜12の分岐状又は炭素数5〜10の環状のアルキル基がより好ましい。その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基等を挙げることができる。
上記アリール基としては、単環構造のものに加え、1〜3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環とが縮合環を形成したものなどを挙げることができる。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基等を挙げることができる。これらの中では、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
これらのアルキル基やアリール基は、更に置換基を有していてもよく、導入しうる置換基としては、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシルオキシ基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルオキシ基、炭素数1〜20のカルバモイルオキシ基、炭素数1〜20のカルボンアミド基、炭素数1〜20のスルホンアミド基、炭素数1〜20のカルバモイル基、スルファモイル基、炭素数1〜20の置換スルファモイル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜20のN−アシルスルファモイル基、炭素数1〜20のN−スルファモイルカルバモイル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基、アミノ基、炭素原子数1〜20の置換アミノ基、炭素数1〜20のイミノ基、炭素数3〜20のアンモニオ基、カルボキシ基、スルホ基、オキシ基、メルカプト基、炭素数1〜20のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜20のアリールスルフィニル基、炭素数1〜20のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリールチオ基、炭素数1〜20のウレイド基、炭素数2〜20のヘテロ環基、炭素数1〜20のアシル基、スルファモイルアミノ基、炭素数1〜2の置換スルファモイルアミノ基、炭素数2〜20のシリル基、イソシアネート基、イソシアニド基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、シアノ基、ニトロ基、オニウム基、水酸基等が挙げられる。
また、式(I)において、Aは、N=C−XSと共にヘテロ環を形成する原子団を表す。
この原子団を構成する原子としては、炭素原子、窒素原子、水素原子、硫黄原子、セレン原子等が挙げられる。
なお、AとN=C−XSとで形成されるヘテロ環は、更に置換基を有していてもよく、導入しうる置換基としては、上記アルキル基やアリール基に導入可能な置換基と同様のものが挙げられる。
また、単官能芳香族メルカプト化合物は、下記式(II)〜式(V)で表される化合物であることがより好ましい。
式(II)〜式(V)中、RS1は、水素原子又はアリール基を表し、XS1はそれぞれ独立に、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキル基又はアリール基を表し、RS2は、アルキル基又はアリール基を表し、nは0〜4の整数を表し、mは0〜5の整数を表す。
式(II)〜式(V)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
式(II)〜式(V)におけるアルコキシ基及びアリーロキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、ベンジルオキシ基、アリルオキシ基、フェネチルオキシ基、カルボキシエチルオキシ基、メトキシカルボニルエチルオキシ基、エトキシカルボニルエチルオキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、モルホリノエトキシ基、モルホリノプロピルオキシ基、アリロキシエトキシエトキシ基、フェノキシ基、トリルオキシ基、キシリルオキシ基、メシチルオキシ基、クメチルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、エトキシフェニルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、ブロモフェニルオキシ基、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
式(II)〜式(V)におけるアルキル基は、式(I)のRSで表されるアルキル基と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
また、式(II)〜式(V)におけるアリール基は、式(I)のRSで表されるアリール基と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
式(II)〜式(V)における各基は、更に置換基を有していてもよく、その置換基としては、式(I)のRSで表されるアルキル基やアリール基に導入可能な置換基として挙げられているものと同様である。
式(II)〜式(V)中、n及びmが0であることが、有機溶剤への溶解性の観点でより好ましい。
式(II)〜式(V)の化合物のうち、より好ましいのは以下の化合物である。これらの化合物を用いると膜強度が高まり、更に保存安定性も良好である。
成分Hは、基板に対する密着性の観点では、多官能メルカプト化合物が好ましい。
本発明において多官能メルカプト化合物とは、メルカプト基(チオール基)を分子内に2個以上有する化合物を意味する。多官能メルカプト化合物としては、分子量100以上の低分子化合物が好ましく、具体的には、分子量100〜1,500であることがより好ましく、150〜1,000が更に好ましい。
多官能メルカプト化合物の官能基数としては、2〜10官能が好ましく、2〜8官能がより好ましく、2〜4官能が更に好ましい。官能基数が大きくなると膜強度に優れる一方、官能基数が小さいと保存安定性に優れる。上記範囲の場合、これらを両立することができる。
脂肪族多官能メルカプト化合物としては、下記式(S−1)で表される基を2個以上有する化合物が好ましい。
式(S−1)中、R1Sは水素原子又はアルキル基を表し、A1Sは−CO−又は−CH2−を表し、波線部分は他の構造との結合位置を表す。
多官能メルカプト化合物としては、式(S−1)で表される基を2以上6以下有する化合物が好ましく、式(S−1)で表される基を2以上4以下有する化合物が更に好ましい。
式(S−1)中のR1Sにおけるアルキル基としては、直鎖、分岐、及び環状のアルキル基であり、炭素数の範囲としては1〜16が好ましく、1〜10がより好ましい。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、2−エチルへキシル基等であり、メチル基、エチル基、プロピル基又はi−プロピル基が好ましい。
1Sとしては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基が特に好ましく、メチル基又はエチル基が最も好ましい。
本発明において、多官能メルカプト化合物としては、上記式(S−1)で表される基を複数個有する下記式(S−2)で表される化合物であることが特に好ましい。
式(S−2)中、R1Sはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、A1Sはそれぞれ独立に、−CO−又は−CH2−を表し、L1SはnS価の連結基を表し、nSは2〜6の整数を表す。合成上の観点からは、R1Sは全て同じ基であることが好ましく、また、A1Sは全て同じ基であることが好ましい。
式(S−2)中のR1Sは、上記式(S−1)中のR1Sと同義であり、好ましい範囲も同様である。nSは2〜4の整数が好ましい。
式(S−2)中のnS価の連結基であるL1Sとしては、例えば−(CH2mS−(mSは2〜6の整数を表す。)などの二価の連結基、トリメチロールプロパン残基、−(CH2pS−(pSは2〜6の整数を表す。)を3個有するイソシアヌル環などの三価の連結基、ペンタエリスリトール残基などの四価の連結基又は五価の連結基、ジペンタエリスリトール残基などの六価の連結基が挙げられる。
更に、多官能メルカプト化合物としては、第二級チオールがより好ましい。
多官能メルカプト化合物として具体的には、エチレングリコールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,6−ヘキサメチレンジチオール、2,2’−(エチレンジチオ)ジエタンチオール、meso−2,3−ジメルカプトコハク酸、p−キシレンジチオール、m−キシレンジチオール、ジ(メルカプトエチル)エーテル等を例示することができる。
多官能メルカプト化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチリルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオンが好ましく挙げられ、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)がより好ましく挙げられる。
本発明において、メルカプト化合物は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、メルカプト化合物の含有量は、硬化性組成物の全固形分に対して、0.1〜15質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、膜強度と保存安定性との両立の点で優れる。
(成分W)界面活性剤
本発明の硬化性組成物は、界面活性剤を含有してもよい。
界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。界面活性剤は、ノニオン系界面活性剤が好ましく、フッ素系界面活性剤がより好ましい。
本発明に用いることができる界面活性剤としては、例えば、市販品である、メガファックF142D、同F172、同F173、同F176、同F177、同F183、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781、同F781−F、同R30、同R08、同F−472SF、同BL20、同R−61、同R−90(DIC(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431、Novec FC−4430(住友スリーエム(株)製)、アサヒガードAG7105,7000,950,7600、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145、同S−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(旭硝子(株)製)、エフトップEF351、同352、同801、同802(三菱マテリアル電子化成(株)製)、フタージェント250(ネオス(株)製)が挙げられる。また、上記以外にも、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(三菱マテリアル電子化成(株)製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤としては、下記式(W)で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフランを溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
式(W)中、RW1及びRW3はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、RW2は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、RW4は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、LWは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表す。
上記LWは、下記式(W−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(W−2)におけるRW5は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。
式(W)におけるpとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
上記共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
本発明の硬化性組成物における界面活性剤の含有量は、配合する場合、硬化性組成物の全固形分中100質量部に対して、0.001〜5.0質量部が好ましく、0.01〜2.0質量部がより好ましい。
界面活性剤は、1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。2種類以上含む場合は、その合計量が上記範囲となることが好ましい。
<その他の成分>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、可塑剤、重合禁止剤、熱酸発生剤、酸増殖剤、酸化防止剤、エポキシ化合物、オキセタン化合物等のその他の成分を添加することができる。これらの成分については、例えば、特開2009−98616号公報、特開2009−244801号公報に記載のもの、その他公知のものを用いることができる。また、“高分子添加剤の新展開((株)日刊工業新聞社)”に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を本発明の硬化性組成物に添加してもよい。
<<酸化防止剤>>
本発明の硬化性樹脂組成物は、酸化防止剤を含有してもよい。酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を添加することにより、硬化膜の着色を防止できる、又は、分解による膜厚減少を低減でき、また、耐熱透明性に優れるという利点がある。
このような酸化防止剤としては、例えば、リン系酸化防止剤、アミド類、ヒドラジド類、ヒンダードアミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、糖類、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体などを挙げることができる。これらの中では、硬化膜の着色、膜厚減少の観点から特にフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤が好ましく、フェノール系酸化防止剤が最も好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合してもよい。
具体例としては、特開2005−29515号公報の段落0026〜0031に記載の化合物、特開2011−227106号公報の段落0106〜0116に記載の化合物を挙げる事ができ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
好ましい市販品として、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−412S(以上、(株)ADEKA製)、イルガノックス1035、イルガノックス1098(以上、BASF社製)を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性組成物の全固形分に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.02〜5質量%であることがより好ましく、0.05〜4質量%であることが更に好ましい。
<<重合禁止剤>>
本発明の硬化性樹脂組成物は、重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤とは、露光により重合開始剤から発生した重合開始ラジカル成分に対して水素供与(又は、水素授与)、エネルギー供与(又は、エネルギー授与)、電子供与(又は、電子授与)などを実施し、重合開始ラジカルを失活させ、重合開始を禁止する役割をはたす物質である。例えば、特開2007−334322号公報の段落0154〜0173に記載の化合物などを用いることができる。
好ましい化合物として、フェノチアジン、フェノキサジン、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、3,5−ジブチル−4−ヒドロキシトルエンを挙げることができる。
重合禁止剤の含有量は、特に制限はないが、硬化性組成物の全固形分に対して、0.0001〜5質量%であることが好ましい。
<各成分の含有量>
本発明の硬化性組成物の全固形分に対し、成分Aの総含有量は、40〜99質量%であることが好ましく、成分Bの含有量は0.5〜30質量%であることが好ましく、成分Cの含有量は0.1〜20質量%であることが好ましく、成分Eの含有量は0〜30質量%であることが好ましく、成分Fの含有量は0〜50質量%であることが好ましく、成分Gの含有量は0〜20質量%であることが好ましく、成分Hの含有量は0〜15質量%であることが好ましく、成分Wの含有量は0〜5質量%であることが好ましい。
また、成分Dの含有量は硬化性組成物の全固形分100質量部あたり、100〜3,000質量部であることが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物の全有機固形分に対し、成分Aの含有量は40〜80質量%であることが好ましく、成分Bの含有量は0.5〜30質量%であることが好ましく、成分Cの含有量は0.1〜20質量%であることが好ましい。
また、成分Aと成分Bと成分Cとの合計量は、硬化性組成物の全有機固形分に対し85質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。
<その他の成分>
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、可塑剤、熱酸発生剤、酸増殖剤等のその他の成分を添加することができる。これらの成分については、例えば、特開2009−98616号公報、特開2009−244801号公報に記載のもの、その他公知のものを用いることができる。また、“高分子添加剤の新展開((株)日刊工業新聞社)”に記載の各種紫外線吸収剤や、金属不活性化剤等を本発明の硬化性組成物に添加してもよい。また、本発明の硬化性組成物はポリマー粒子を含まない方が好ましい。
(硬化物及びその製造方法)
本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物を硬化させた硬化物である。上記硬化物としては、硬化膜であることが好ましい。また、本発明の硬化物は、本発明の硬化物の製造方法により得られた硬化物であることが好ましい。
本発明の硬化物の製造方法は、本発明の硬化性組成物を硬化させ硬化物を製造する方法であれば、特に制限はないが、以下の1〜3の工程を含むことが好ましい。
工程1として、本発明の硬化性組成物を基板上に塗布する塗布工程
工程2として、塗布された硬化性組成物から溶剤を除去する溶剤除去工程
工程3として、有機溶剤が除去された硬化性組成物を光及び/又は熱により硬化する硬化工程
また、本発明の硬化物の製造方法は、以下の1〜4の工程を含むことがより好ましい。
工程1として、本発明の硬化性組成物を基板上に塗布する塗布工程
工程2として、塗布された硬化性組成物から有機溶剤を除去する溶剤除去工程
工程3として、有機溶剤が除去された硬化性組成物を光により硬化する硬化工程
工程4として、光により硬化した硬化物を熱処理する熱処理工程
また、上記本発明の硬化物の製造方法は、硬化膜の製造方法であることが好ましい。
(1)の塗布工程では、本発明の硬化性組成物を基板上に塗布して溶剤を含む湿潤膜とすることが好ましい。硬化性組成物を基板へ塗布する前にアルカリ洗浄やプラズマ洗浄といった基板の洗浄を行うことができる。更に基板洗浄後にヘキサメチルジシラザン等で基板表面を処理することができる。この処理を行うことにより、硬化性組成物の基板への密着性が向上する傾向にある。
上記の基板としては、無機基板、樹脂、樹脂複合材料などが挙げられる。
無機基板としては、例えば、ガラス、石英、シリコン、シリコンナイトライド、及び、それらのような基板上にモリブデン、チタン、アルミ、銅などを蒸着した複合基板が挙げられる。
樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、アリルジグリコールカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリベンズアゾール、ポリフェニレンサルファイド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、液晶ポリマー、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アイオノマー樹脂、シアネート樹脂、架橋フマル酸ジエステル、環状ポリオレフィン、芳香族エーテル、マレイミドーオレフィン、セルロース、エピスルフィド樹脂等の合成樹脂からなる基板が挙げられる。これらの基板は、上記の形態のまま用いられる場合は少なく、通常、最終製品の形態によって、例えば、TFT素子のような多層積層構造が形成されている。
本発明の硬化性組成物は、スパッタリングにより製膜された金属膜や金属酸化物に対する密着がよいため、基板としては、スパッタリングにより製膜された金属膜を含むことが好ましい。金属としては、チタン、銅、アルミニウム、インジウム、スズ、マンガン、ニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン、クロム、銀、ネオジウム及びこれらの酸化物又は合金であることが好ましく、モリブデン、チタン、アルミニウム、銅及びこれらの合金であることが更に好ましい。なお、金属や金属酸化物は1種単独で用いても、複数種を併用してもよい。
基板への塗布方法は特に限定されず、例えば、インクジェット法、スリットコート法、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、流延塗布法、スリットアンドスピン法、印刷法等の方法を用いることができる。
(2)の溶剤除去工程では、塗布された上記の膜から、減圧(バキューム)及び/又は加熱等により、溶剤を除去して基板上に乾燥塗膜を形成させることが好ましい。溶剤除去工程の加熱条件は、好ましくは70〜130℃で30〜300秒間程度である。
また、上記溶剤除去工程においては、硬化性組成物中の有機溶剤を完全に除去する必要がなく、少なくとも一部が除去されればよい。
(3)の硬化工程では、光及び/又は熱により、重合開始剤より重合開始種を発生させ、重合を行い、有機溶剤が除去された硬化性組成物を硬化する工程である。工程(3)においては、光により少なくとも硬化する工程であることが好ましい。
工程(3)に用いることができる光照射手段としては、硬化可能であれば特に制限はないが、水銀ランプ、メタルハライドランプ、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、ガス・固体レーザー等が挙げられる。
また、工程(3)における露光量としても、特に制限はないが、50〜3,000mJ/cm2であることが好ましい。
更に本発明では、(2)溶剤を除去する工程後、(3)熱硬化する工程前に、膜硬度向上の観点から全面露光する工程を含んでいてもよい。この場合水銀灯やLEDランプなどで50〜3,000mJ/cm程度のエネルギー露光することが好ましい。
また、パターン形成のために、(3)硬化工程において、パターン露光を行うこともでき、また、(3)硬化工程後、現像の工程を行うこともできる。パターン露光の方法はマスクを用いる方法や、レーザーなどによる直接描画などの方法が好ましい。
工程(3)におけるこれら全面露光やパターン露光等の光照射は、酸素遮断された状態で行うことが、硬化促進の観点から好ましい。酸素を遮断する手段としては、窒素雰囲気下で露光したり、酸素遮断膜を設けることが例示される。
パターン露光及び現像については、公知の方法や公知の現像液を用いることができる。例えば、特開2011−186398号公報、特開2013−83937号公報に記載のパターン露光方法及び現像方法を好適に用いることができる。
工程(3)において、熱により硬化を行う場合の加熱温度としては、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、130℃以下が更に好ましい。下限値は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。
加熱の方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ホットプレート、オーブン、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
また、加熱時間としては、ホットプレートの場合は1分〜30分程度が好ましく、それ以外の場合は20分〜120分程度が好ましい。この範囲で基板、装置へのダメージ無く硬化することができる。加熱後の形状調整の観点から、加熱を、初めはより低温で、後により高温で行うこともできる(ミドルベーク工程の追加。例えば、初めに90℃30分加熱し、後に120℃30分加熱)。
本発明の硬化物の製造方法は、上記硬化工程後、硬化物を熱処理する工程(熱処理工程、ポストベーク工程)を含むことが好ましく、上記(4)光により硬化した硬化物を熱処理する工程を含むことがより好ましい。本発明の硬化製組成物を硬化して得られた硬化物は、熱処理を行うことにより、より強度に優れた硬化物を得ることができる。
上記熱処理の温度としては、100℃〜180℃であることが好ましく、110℃〜150℃であることがより好ましい。
また、上記熱処理の時間としては、特に制限はないが、1分〜360分が好ましく、10分〜240分がより好ましく、30分〜120分が更に好ましい。
また、上記熱処理は、光及び/又は熱により硬化に連続して行ってもよいし、逐次に行ってもよい。
本発明の硬化膜は、保護膜や層間絶縁膜として好適に用いることができる。
本発明の硬化性組成物により、充分な硬度のある硬化膜が得られ、例えば、鉛筆硬度が2H以上である硬化膜が得られる。本発明の硬化性組成物を硬化して形成された保護膜は、硬化膜物性に優れるため、有機EL表示装置や液晶表示装置の用途に有用である。
本発明の硬化性組成物は、硬化性及び硬化膜特性に優れるため、MEMSデバイスの構造部材として、本発明の硬化性組成物を用いて形成されたレジストパターンを隔壁としたり、機械駆動部品の一部として組み込んで使用される。このようなMEMS用デバイスとしては、例えば、SAWフィルター、BAWフィルター、ジャイロセンサー、ディスプレイ用マイクロシャッター、イメージセンサー、電子ペーパー、インクジェットヘッド、バイオチップ、封止剤等の部品が挙げられる。より具体的な例は、特表2007−522531号公報、特開2008−250200号公報、特開2009−263544号公報等に例示されている。
本発明の硬化性組成物は、平坦性や透明性に優れるため、例えば、特開2011−107476号公報の図2に記載のバンク層(16)及び平坦化膜(57)、特開2010−9793号公報の図4(a)に記載の隔壁(12)及び平坦化膜(102)、特開2010−27591号公報の図10に記載のバンク層(221)及び第3層間絶縁膜(216b)、特開2009−128577号公報の図4(a)に記載の第2層間絶縁膜(125)及び第3層間絶縁膜(126)、特開2010−182638号公報の図3に記載の平坦化膜(12)及び画素分離絶縁膜(14)などの形成に用いることもできる。この他、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサー、液晶表示装置のカラーフィルタやカラーフィルタ保護膜、ファクシミリ、電子複写機、固体撮像素子等のオンチップカラーフィルタの結像光学系あるいは光ファイバコネクタのマイクロレンズにも好適に用いることができる。
<有機EL表示装置>
本発明の有機EL表示装置は、本発明の硬化膜を有することを特徴とする。
本発明の有機EL表示装置としては、上記本発明の硬化性組成物を用いて形成される平坦化膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の各種有機EL表示装置や液晶表示装置を挙げることができる。
例えば、本発明の有機EL表示装置が有するTFT(Thin−Film Transistor)の具体例としては、アモルファスシリコン−TFT、低温ポリシリコンーTFT、酸化物半導体TFT等が挙げられる。本発明の硬化膜は電気特性に優れるため、これらのTFTに組み合わせて好ましく用いることができる。
図1は、有機EL表示装置の一例の構成概念図である。ボトムエミッション型の有機EL表示装置における基板の模式的断面図を示し、平坦化膜4を有している。
ガラス基板6上にボトムゲート型のTFT1を形成し、このTFT1を覆う状態でSi34から成る絶縁膜3が形成されている。絶縁膜3に、ここでは図示を省略したコンタクトホールを形成した後、このコンタクトホールを介してTFT1に接続される配線2(高さ1.0μm)が絶縁膜3上に形成されている。配線2は、TFT1間、又は、後の工程で形成される有機EL素子とTFT1とを接続するためのものである。
更に、配線2の形成による凹凸を平坦化するために、配線2による凹凸を埋め込む状態で絶縁膜3上に平坦化膜4が形成されている。
平坦化膜4上には、ボトムエミッション型の有機EL素子が形成されている。すなわち、平坦化膜4上に、ITOからなる第一電極5が、コンタクトホール7を介して配線2に接続させて形成されている。また、第一電極5は、有機EL素子の陽極に相当する。
第一電極5の周縁を覆う形状の絶縁膜8が形成されており、この絶縁膜8を設けることによって、第一電極5とこの後の工程で形成する第二電極との間のショートを防止することができる。
更に、図1には図示していないが、所望のパターンマスクを介して、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層を順次蒸着して設け、次いで、基板上方の全面にAlから成る第二電極を形成し、封止用ガラス板と紫外線硬化型エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることで封止し、各有機EL素子にこれを駆動するためのTFT1が接続されてなるアクティブマトリックス型の有機EL表示装置が得られる。
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、本発明の硬化膜を有することを特徴とする。
本発明の液晶表示装置としては、上記本発明の硬化性組成物を用いて形成される保護膜、平坦化膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとる公知の液晶表示装置を挙げることができる。
例えば、本発明の液晶表示装置が有するTFT(Thin−Film Transistor)の具体例としては、アモルファスシリコン−TFT、低温ポリシリコンーTFT、酸化物半導体TFT等が挙げられる。本発明の硬化膜は電気特性に優れるため、これらのTFTに組み合わせて好ましく用いることができる。
また、本発明の液晶表示装置が取りうる液晶駆動方式としてはTN(Twisted Nematic)方式、VA(Virtical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式、OCB(Optically Compensated Bend)方式などが挙げられる。
パネル構成においては、COA(Color Filter on Array)方式の液晶表示装置でも本発明の硬化膜を用いることができ、例えば、特開2005−284291号公報の有機絶縁膜(115)や、特開2005−346054号公報の有機絶縁膜(212)として用いることができる。また、本発明の液晶表示装置が取りうる液晶配向膜の具体的な配向方式としてはラビング配向法、光配向方などが挙げられる。また、特開2003−149647号公報や特開2011−257734号公報に記載のPSA(Polymer Sustained Alignment)技術によってポリマー配向支持されていてもよい。
また、本発明の硬化性組成物及び本発明の硬化膜は、上記用途に限定されず種々の用途に使用することができる。例えば、平坦化膜や層間絶縁膜以外にも、保護膜や、液晶表示装置における液晶層の厚みを一定に保持するためのスペーサーや固体撮像素子においてカラーフィルタ上に設けられるマイクロレンズ等に好適に用いることができる。
図2は、アクティブマトリックス方式の液晶表示装置10の一例を示す概念的断面図である。このカラー液晶表示装置10は、背面にバックライトユニット12を有する液晶パネルであって、液晶パネルは、偏光フィルムが貼り付けられた2枚のガラス基板14,15の間に配置されたすべての画素に対応するTFT16の素子が配置されている。ガラス基板上に形成された各素子には、硬化膜17中に形成されたコンタクトホール18を通して、画素電極を形成するITO透明電極19が配線されている。ITO透明電極19の上には、液晶20の層とブラックマトリックスを配置したRGBカラーフィルタ22が設けられている。
バックライトの光源としては、特に限定されず公知の光源を用いることができる。例えば、白色LED、青色・赤色・緑色などの多色LED、蛍光灯(冷陰極管)、有機ELなどを挙げることができる。
また、液晶表示装置は、3D(立体視)型のものとしたり、タッチパネル型のものとしたりすることも可能である。更にフレキシブル型にすることも可能であり、特開2011−145686号公報に記載の第2層間絶縁膜(48)や、特開2009−258758号公報に記載の層間絶縁膜(520)として用いることができる。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2012−43394号公報の図14、国際公開第2012/141148号の図2(b))、OGS型、TOL型、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6)を挙げることができる。
また、図3は、タッチパネルの機能を有する液晶表示装置の一例の構成概念図を示す。
例えば、本発明の硬化膜は、図3における、各層の間に保護膜に適用することが好適であり、また、タッチパネルの検出電極間を隔てる層間絶縁膜に適用することも好適である。なお、タッチパネルの検出電極としては、銀、銅、アルミニウム、チタン、モリブデン、これらの合金であることが好ましい。
図3において、110は画素基板を、140は液晶層を、120は対向基板を、130はセンサ部をそれぞれ示している。画素基板110は、図3の下側から順に、偏光板111、透明基板112、共通電極113、絶縁層114、画素電極115、配向膜116を有している。対向基板120は、図3の下側から順に、配向膜121、カラーフィルタ122、透明基板123を有している。センサ部130は、位相差フィルム124、接着層126、偏光板127をそれぞれ有している。また、図3中、125は、センサ用検出電極である。本発明の硬化膜は、画素基板部分の絶縁層(114)(層間絶縁膜ともいう。)や各種保護膜(図示せず)、画素基板部分の各種保護膜(図示せず)、対向基板部分の各種保護膜(図示せず)、センサ部分の各種保護膜(図示せず)等に使用できる。
更に、スタティック駆動方式の液晶表示装置でも、本発明を適用することで意匠性の高いパターンを表示させることも可能である。例として、特開2001−125086号公報に記載されているようなポリマーネットワーク型液晶の絶縁膜として本発明を適用することができる。
また、図4は、タッチパネルの機能を有する液晶表示装置の他の一例の構成概念図である。
薄膜トランジスタ(TFT)440が具備された薄膜トランジスタ表示板に相当する下部表示板200、下部表示板200と対向して下部表示板200と対向する面に複数のカラーフィルタ330が具備されたカラーフィルタ表示板に相当する上部表示板300、及び下部表示板200と上部表示板300の間に形成された液晶層400を含む。液晶層400は液晶分子(図示せず)を含む。
下部表示板200は、第1絶縁基板210、第1絶縁基板210の上に配置する薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜トランジスタ(TFT)の上面に形成された絶縁膜280、及び絶縁膜280の上に配置する画素電極290を含む。薄膜トランジスタ(TFT)は、ゲート電極220、ゲート電極220を覆うゲート絶縁膜240、半導体層250、オーミックコンタクト層260、262、ソース電極270、及び、ドレイン電極272を含むことができる。
絶縁膜280には薄膜トランジスタ(TFT)のドレイン電極272が露出するようにコンタクトホール282が形成されている。
上部表示板300は、第2絶縁基板310の一面の上に配置して、マトリックス状に配列された遮光部材320、第2絶縁基板310の上に配置するカラーフィルタ330、及びカラーフィルタ330の上に配置し、下部表示板200の画素電極290と対応して、液晶層400に電圧を印加する共通電極370を含む。
図4に示す液晶表示装置において、第2絶縁基板310の他の一面にはセンシング電極410、絶縁膜420、駆動電極430、及び、保護膜280を配置する。このように、図4に示す液晶表示装置の製造においては、上部表示板300を形成する時に、タッチスクリーンの構成要素であるセンシング電極410、絶縁膜420、及び、駆動電極430などを共に形成することができる。特に、本発明の硬化性組成物を硬化した硬化膜は、絶縁膜420に好適に用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<合成例1>A−8の合成
ヘキサメチレンジイソシアネート三量体(旭化成(株)製 TPA−100)50.4gとジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Aldrich社製をカラム精製して得た)157.4gをトルエン溶媒中で混合し、硬化触媒としてU−CAT SA 102(サンアプロ(株)製)0.2gを添加して、窒素雰囲気下60℃で6時間加熱した。
放冷後、反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製、分取して15官能のウレタンアクリレートA−8を得た。
<合成例2>A−9の合成
合成例1におけるヘキサメチレンジイソシアネート三量体をヘキサメチレンジイソシアネート(東京化成工業(株)製)に変更した以外は、合成例1と同様に合成、精製して10官能のウレタンアクリレートA−9を得た。
<(成分A)エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物>
〔6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート〕
A−1:NKオリゴ U−15HA (新中村化学工業(株)製、官能基数15)
A−2:UA−306H (共栄社化学(株)製、官能基数6)
A−3:Laromer UA−9050 (BASF社製、官能基数8)
A−4:NKオリゴ U−10HA (新中村化学工業(株)製、官能基数10)
A−5:NKオリゴ U−10PA (新中村化学工業(株)製、官能基数10)
A−6:NKオリゴ U−2PPA (新中村化学工業(株)製、官能基数2)
A−8:合成例1に従って合成した化合物 (合成品、官能基数15)
A−9:合成例2に従って合成した化合物 (合成品、官能基数10)
〔その他のエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物〕
A−7:A−DPH (新中村化学工業(株)製、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、官能基数6)
<(成分B)ラジカル重合開始剤>
B−1:下記化合物B−1 (合成品、オキシムエステル化合物)
B−2:Irgacure379 (BASF社製)、アセトフェノン化合物
<(成分C)ブロックイソシアネート化合物>
C−1:下記化合物C−1 (合成品、イソホロンジイソシアネートのメチルエチルケトンオキシム保護化合物)
C−2:下記化合物C−2 (合成品、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体のメチルエチルケトンオキシム保護化合物)
C−3:下記化合物C−3 (合成品、ジフェニルメタンジイソシアネートのメチルエチルケトンオキシム保護化合物)
C−4:下記化合物C−4 (合成品、ヘキサメチレンジイソシアネート3量体のεカプロラクタム保護化合物)
<(成分D)有機溶剤>
D−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ((株)ダイセル製)
D−2:メチルエチルジグリコール ((株)ダイセル製)
<(成分E)アルコキシシラン化合物>
E−1:KBM−403 (3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)
E−2:KBM−5103 (3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製)
<(成分F)無機粒子>
F−1:PMA−ST (日産化学(株)製、シリカ微粒子、平均粒子径10〜15nm)
F−2:MIBK−ST−L (日産化学(株)製、シリカ微粒子、平均粒子径40〜50nm)
<(成分G)(メタ)アクリル共重合体>
G−1: Joncryl 67 (BASF社製、スチレン−アクリル酸共重合体)
<(成分H)メルカプト化合物>
H−1:カレンズMT−PE1 (昭和電工(株)製)
H−2:メルカプトベンゾチアゾール (東京化成工業(株)製)
<(成分I)その他添加剤>
I−1:イルガノックス1035 (BASF社製)
I−2:ヒドロキノンモノメチルエーテル(東京化成工業(株)製)
<(成分W)界面活性剤>
W−1:メガファックF554 (DIC(株)製)、フッ素系界面活性剤
W−2:FTX-218((株)ネオス製)、界面活性剤
<化合物B−1の合成>
<<化合物Aの合成>>
エチルカルバゾール(100.0g、0.512mol)をクロロベンゼン260mlに溶解し、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(70.3g、0.527mol)を加えた。続いてo−トルオイルクロリド(81.5g、0.527mol)を40分かけて滴下し、室温(25℃、以下同様)に昇温して3時間撹拌した。次に、0℃に冷却後、塩化アルミニウム(75.1g、0.563mol)を加えた。4−クロロブチリルクロリド(79.4g、0.563mol)を40分かけて滴下し、室温に昇温して3時間撹拌した。35質量%塩酸水溶液156mlと蒸留水392mlとの混合溶液を0℃に冷却し、反応溶液を滴下した。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水とメタノールとで洗浄し、アセトニトリルで再結晶後、下記構造の化合物A(収量164.4g、収率77%)を得た。
<<化合物Bの合成>>
上記で得られた化合物A(20.0g、47.9mmol)をテトラヒドロフラン(THF)64mlに溶解し、4−クロロベンゼンチオール(7.27g、50.2mmol)とヨウ化ナトリウム(0.7g、4.79mmol)とを加えた。続いて反応液に水酸化ナトリウム(2.0g、50.2mmol)を加え、2時間還流した。次に、0℃に冷却後、SM−28(11.1g、57.4mmol、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液、和光純薬工業(株)製)を20分かけて滴下し、室温に昇温して2時間撹拌した。次に、0℃に冷却後、亜硝酸イソペンチル(6.73g、57.4mmol)を20分かけて滴下し、室温に昇温して3時間撹拌した。反応液をアセトン120mlに希釈し、0℃に冷却した0.1N塩酸水溶液に滴下した。析出した固体を吸引濾過後、蒸留水で洗浄した。続いてアセトニトリルで再結晶し、下記構造の化合物B(収量17.0g、収率64%)を得た。
<<化合物B−1の合成>>
化合物B(18.0g、32.4mmol)を90mlのN−メチルピロリドン(NMP)に溶解し、トリエチルアミン(Et3N、3.94g、38.9mmol)を加えた。次に、0℃に冷却後、アセチルクロライド(AcCl、3.05g、38.9mmol)を20分かけて滴下後、室温に昇温して2時間撹拌した。反応液を0℃に冷却した蒸留水150mlに滴下し、析出した固体を吸引濾過後、0℃に冷却したイソプロピルアルコール200mlで洗浄し、乾燥後、化合物B−1(収量19.5g、収率99%)を得た。
また、得られた化合物B−1の構造はNMRにて同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3)δ=8.86(s,1H),8.60(s,1H),8.31(d,1H,J=8.0Hz),8.81(d,1H,J=8.0Hz),7.51−7.24(m,10H),7.36(q,2H,7.4Hz),3.24−3.13(m,4H),2.36(s,3H),2.21(s,3H),1.50(t,3H,7.4Hz)。
(実施例1〜41、及び、比較例1〜8)
<硬化性組成物の調製>
下記表1〜表4に記載のように各成分を配合・撹拌して溶剤溶液とし、孔径0.3μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して、実施例1〜41、及び、比較例1〜8の硬化性組成物をそれぞれ得た。下記表1〜表4の各成分の単位は、有機固形分中の成分A+成分B+成分Cの比率を除き、質量部である。また、有機溶剤以外は、固形分換算の質量部を示す。
〔膜特性評価〕
<密着性の評価>
上記で調合された各組成物を、銅が蒸着された基板上にスピンコートし、100℃、120秒のプリベークを行い、膜厚2.0μmの塗布膜を得た。次に高圧水銀灯により500mJ/cm(i線換算)の光照射を行い、更にオーブンで125℃、60分間ベークを行うことにより硬化膜を作成した。得られた硬化膜について、JIS K5600に準拠した方法で100マスのクロスカット試験を行い、密着性を評価した。
また、上記で調合された各組成物を、ITOが蒸着された基板上にスピンコートし、上記と同条件にて作製された硬化膜についても、JIS K5600に準拠した方法で100マスのクロスカット試験を行い、密着性を評価した。以下の評価は、条件1、2、3が実用範囲である。評価結果を表5〜表6に示す。
1: 全くはがれが見られない。
2: わずかにはがれるが、はがれる割合が2%未満である。
3: はがれる割合が2%以上5%未満である。
4: はがれる割合が5%以上15%未満である。
5: はがれる割合が15%以上である。
<表面あれの評価>
上記で調合された各組成物を、銅基板上にスピンコートし、100℃、120秒のプリベークを行い、膜厚2.0μmの塗布膜を得た。次に高圧水銀灯により500mJ/cm2(i線換算)の光照射を行い、更にオーブンで125℃、60分間ベークを行うことにより硬化膜を作成した。硬化膜表面を光学顕微鏡(オリンパス(株)製)500倍にて観察し、面状を評価した。以下の評価は、1、2、3が実用範囲である。評価結果を表5〜表6に示す。
1:表面あれが全く見られない。
2:ごく一部に表面あれが見られる。
3:表面あれが点在して見られる。
4:表面あれが全体に渡って見られる。
5:表面あれ及び皺が全体に渡って見られる。
〔タッチパネル特性評価〕
<高温高湿下でのタッチ検出能の評価>
各実施例及び比較例の組成物を保護膜として用いて、図4に概略図を示す液晶表示装置を作成した。具体的には、保護膜(絶縁膜、420)は、本発明の各実施例で得られた硬化性組成物をインクジェット塗布し、100℃、120秒のプリベークを行い、高圧水銀灯により500mJ/cm2(i線換算)の光照射を行い、更にオーブンで125℃、60分間ベークを行うことにより形成した。表示装置のその他の部分は特開2013−168125号公報に従って作製した。60℃、85%条件下、1,000時間点灯させた後に画面内各所をタッチし、タッチ検出能を評価した。1、2、3が実用範囲である。評価結果を表5〜表6に示す。
1:画面内いずれの場所でも感度・精度よく検出できる。
2:画面端部でのみ、ごくまれに検出できないことがある。
3:画面端部及び端部以外の部分で、ごくまれに検出できないことがある。
4:画面端部で、検出できないことがときどきある。
5:画面端部及び端部以外の部分で、検出できないことがときどきある。
上記表1〜表6より明らかなように、本発明の硬化性組成物を硬化して得られた硬化膜は、基板に対する密着性、膜表面の表面あれ、及び、高温高湿下でのタッチパネル特性に優れたものであった。
1:TFT(薄膜トランジスタ)、2:配線、3:絶縁膜、4:平坦化膜、5:第一電極、6:ガラス基板、7:コンタクトホール、8:絶縁膜、10:液晶表示装置、12:バックライトユニット、14,15:ガラス基板、16:TFT、17:硬化膜、18:コンタクトホール、19:ITO透明電極、20:液晶、22:カラーフィルタ、110:画素基板、111:偏光板、112:透明基板、113:共通電極、114:絶縁層、115:画素電極、116:配向膜、120:対向基板、121:配向膜、122:カラーフィルタ、123:透明基板、124:位相差フィルム、126:接着層、127:偏光板、130:センサ部、140:液晶層、200:下部表示板、210:第1絶縁基板、220:ゲート電極、240:ゲート絶縁膜、250:半導体層、260,262:オーミックコンタクト層、270:ソース電極、272:ドレイン電極、280:絶縁膜、282:コンタクトホール、290:画像電極、300:上部表示板、310:第2絶縁基板、320:遮光部材、330:カラーフィルタ、370:共通電極、400:液晶層、410:センシング電極、420:絶縁膜、430:駆動電極、440:TFT

Claims (15)

  1. 成分Aとして、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、
    成分Bとして、重合開始剤、
    成分Cとして、ブロックイソシアネート化合物、及び、
    成分Dとして、有機溶剤、を含有し、
    成分Aが、6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートを含み、
    成分A中の前記6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートの割合が、90〜100質量%であり、
    前記6官能以上のウレタン(メタ)アクリレートが、15官能のウレタン(メタ)アクリレートを含み、
    成分Aと成分Bと成分Cとの合計量が硬化性組成物の全有機固形分に対し85質量%以上であることを特徴とする
    硬化性組成物。
  2. 成分Bが、オキシムエステル化合物を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 成分Cが、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及び、これらの多量体よりなる群から選ばれた化合物を保護したブロックイソシアネート化合物である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 成分Cが、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、又は、ピラゾール化合物のいずれかによりブロック構造が形成された化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 成分Aと成分Cの重量比率が、100:1〜10:1である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 無機粒子を更に含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 成分Eとして、アルコキシシラン化合物を含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 成分Eが、エチレン性不飽和結合を有するシランカップリング剤を含む、請求項に記載の硬化性組成物。
  9. 成分Eの含有量が、硬化性組成物の全固形分の合計100質量部に対し、2〜20質量部である、請求項又はに記載の硬化性組成物。
  10. 工程1として、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を基板上に塗布する工程、
    工程2として、塗布された硬化性組成物から有機溶剤を除去する溶剤除去工程、及び、
    工程3として、有機溶剤が除去された硬化性組成物を光及び/又は熱により硬化する硬化工程、を含むことを特徴とする
    硬化膜の製造方法。
  11. 前記硬化工程が、有機溶剤が除去された硬化性組成物を光により硬化する工程であり、
    前記硬化工程後、硬化性組成物を光により硬化した硬化膜を熱処理する熱処理工程を更に含む、請求項10に記載の硬化膜の製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化してなる硬化膜。
  13. 保護膜である、請求項12に記載の硬化膜。
  14. 請求項12又は13に記載の硬化膜を有する、有機EL表示装置。
  15. 請求項12又は13に記載の硬化膜を有する、液晶表示装置。
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