JP6253572B2 - 超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラム - Google Patents

超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラム Download PDF

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本発明は、超音波を用いて観測対象の組織を観測する超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムに関する。
観測対象である生体組織または材料の特性を観測するために、超音波を適用することがある。具体的には、観測対象に超音波を送信し、その観測対象によって反射された超音波エコーに対して所定の信号処理を施すことにより、観測対象の特性に関する情報を取得する。
超音波の強度は、観測対象を伝播する際に減衰する。Bモード画像などの表示用の画像は、超音波の伝播に伴う減衰を補正した後に生成される。このため、減衰補正を行うための減衰量または減衰補正係数を知ることは検査を行う上でも重要である。この減衰補正に関して、取得した信号をもとに、複数の減衰係数を用いて補正処理をそれぞれ行って、該補正処理後の信号をパルス圧縮処理した後、複数のパルス圧縮処理結果から最良の減衰係数を推定する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2010−246640号公報
ところで、観測対象に応じて減衰率は異なる。また、観測対象の生体組織や材料は、均一であるとは限らず、例えば生体組織が不均一な組織を含む場合もある。最適な減衰補正を行うためには、このような不均一な組織を除いて減衰率の設定を行う必要がある。しかしながら、特許文献1が開示する技術では、例えば観測領域内に不均一な生体組織が存在する場合、該不均一な組織を含んだ処理によって減衰係数を求めることとなり、適切な減衰補正を行うことができない場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、超音波の減衰補正を適切に行うことができる超音波観測装置、超音波観測装置の作動方法および超音波観測装置の作動プログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る超音波観測装置は、観測対象に対して送信した超音波が前記観測対象によって反射された超音波エコーを電気信号に変換したエコー信号に基づいて生成される超音波画像、または該超音波画像内で設定される関心領域を分割して複数の分割領域を生成する分割部と、前記エコー信号に基づいて生成される信号の周波数を解析することによって複数の周波数スペクトルを算出する周波数解析部と、前記複数の周波数スペクトルの特徴量をそれぞれ算出し、前記超音波が前記観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、各周波数スペクトルの特徴量に対して前記超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって前記各周波数スペクトルの補正特徴量を算出する減衰補正部と、前記補正特徴量を用いて前記複数の減衰率候補値の中から前記観測対象に最適な部分減衰率を前記分割領域ごとに設定する最適部分減衰率設定部と、前記分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率をもとに、前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を設定する最適減衰率設定部と、前記最適減衰率設定部が特定した前記最適な減衰率に基づく前記補正特徴量を視覚情報と関連づけて前記超音波画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成部と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記最適減衰率設定部は、前記最適部分減衰率設定部が前記分割領域ごとに設定した複数の部分減衰率を母集団として計算した統計値に基づいて前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を特定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記最適減衰率設定部は、前記最適部分減衰率設定部が設定した前記複数の部分減衰率から、所定の閾値に基づき部分減衰率を抽出し、該抽出した部分減衰率を母集団として計算した統計値に基づいて前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を特定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記統計値は、最頻値、平均値または中央値のいずれかであることを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記最適減衰率設定部は、前記減衰率設定部が設定した前記複数の部分減衰率に対し、前記分割領域の配置に応じて重み付け処理を施し、該重み付け処理した部分減衰率を母集団として計算した統計値に基づいて前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を特定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記超音波画像または前記関心領域の分割にかかる設定入力を受け付ける入力部を備えたことを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記各周波数スペクトルをn次式(nは正の整数)で近似する近似部を備え、前記減衰補正部は、前記近似部の近似処理によって前記補正特徴量を算出し、前記最適部分減衰率設定部は、前記減衰率候補値ごとに前記補正特徴量の統計的なばらつきを算出し、該統計的なばらつきが最小である減衰率候補値を前記最適な部分減衰率として設定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記近似部は、前記周波数スペクトルにおける所定の周波数帯域を一次式で近似し、前記減衰補正部は、前記一次式の切片および傾き、ならびに前記周波数帯域の中間周波数における前記一次式の値であるミッドバンドフィットのうち、前記傾きおよび前記ミッドバンドフィットのいずれか一方を含む一つまたは複数を前記補正特徴量として算出し、前記最適部分減衰率設定部は、前記傾きおよび前記ミッドバンドフィットのいずれか一方に基づいて前記最適な部分減衰率を設定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記最適部分減衰率設定部は、前記減衰補正部が前記傾きを前記補正特徴量として算出する場合は前記傾きに基づいて前記最適な部分減衰率を設定し、前記ミッドバンドフィットを前記補正特徴量として算出する場合は前記ミッドバンドフィットに基づいて前記最適な部分減衰率を設定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記最適部分減衰率設定部は、前記統計的なばらつきを前記減衰率候補値の関数として求め、前記関数において前記統計的なばらつきが最小となる減衰率候補値を前記最適な部分減衰率として設定することを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記特徴量画像データは、前記最適な減衰率に関する情報を含むことを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置は、上記発明において、前記特徴量画像データに対応する特徴量画像を表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置の作動方法は、分割部が、観測対象に対して送信した超音波が前記観測対象によって反射された超音波エコーを電気信号に変換したエコー信号に基づいて生成される超音波画像、または該超音波画像内で設定される関心領域を分割して複数の分割領域を生成する分割ステップと、周波数解析部が、前記エコー信号に基づいて生成される信号の周波数を解析することによって複数の周波数スペクトルを算出する周波数解析ステップと、減衰補正部が、前記複数の周波数スペクトルの特徴量をそれぞれ算出し、前記超音波が前記観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、各周波数スペクトルの特徴量に対して前記超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって前記各周波数スペクトルの補正特徴量を算出する減衰補正ステップと、最適部分減衰率設定部が、前記補正特徴量を用いて前記複数の減衰率候補値の中から前記観測対象に最適な部分減衰率を前記分割領域ごとに設定する最適部分減衰率設定ステップと、最適減衰率設定部が、前記分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率をもとに、前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を設定する最適減衰率設定ステップと、特徴量画像データ生成部が、前記最適減衰率設定ステップで特定した前記最適な減衰率に基づく前記補正特徴量を視覚情報と関連づけて前記超音波画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る超音波観測装置の作動プログラムは、分割部が、観測対象に対して送信した超音波が前記観測対象によって反射された超音波エコーを電気信号に変換したエコー信号に基づいて生成される超音波画像、または該超音波画像内で設定される関心領域を分割して複数の分割領域を生成する分割手順と、周波数解析部が、前記エコー信号に基づいて生成される信号の周波数を解析することによって複数の周波数スペクトルを算出する周波数解析手順と、減衰補正部が、前記複数の周波数スペクトルの特徴量をそれぞれ算出し、前記超音波が前記観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、各周波数スペクトルの特徴量に対して前記超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって前記各周波数スペクトルの補正特徴量を算出する減衰補正手順と、最適部分減衰率設定部が、前記補正特徴量を用いて前記複数の減衰率候補値の中から前記観測対象に最適な部分減衰率を前記分割領域ごとに設定する最適部分減衰率設定手順と、最適減衰率設定部が、前記分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率をもとに、前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を設定する最適減衰率設定手順と、特徴量画像データ生成部が、前記最適減衰率設定手順で特定した前記最適な減衰率に基づく前記補正特徴量を視覚情報と関連づけて前記超音波画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成手順と、を超音波観測装置に実行させることを特徴とする。
本発明によれば、超音波の減衰補正を適切に行うことができるという効果を奏する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置を備えた超音波観測システムの構成を示すブロック図である。 図2は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の信号増幅部が行う増幅処理における受信深度と増幅率との関係を示す図である。 図3は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の増幅補正部が行う増幅補正処理における受信深度と増幅率との関係を示す図である。 図4は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の設定部が行う処理の概要を説明する図である。 図5は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の分割部が行う処理の概要を説明する図である。 図6は、超音波信号の1つの音線におけるデータ配列を模式的に示す図である。 図7は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の周波数解析部が算出する周波数スペクトルの例を示す図である。 図8は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の減衰補正部が補正した補正特徴量をパラメータとして有する直線を示す図である。 図9は、同じ観測対象に対して2つの異なる減衰率候補値に基づいてそれぞれ減衰補正された補正特徴量の分布例を模式的に示す図である。 図10は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。 図11は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の周波数解析部が実行する処理の概要を示すフローチャートである。 図12は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の最適減衰率設定部が行う処理の概要を示す図である。 図13は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置の表示部における特徴量画像の表示例を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る超音波観測装置を備えた超音波観測システムの構成を示すブロック図である。同図に示す超音波診断システム1は、観測対象である被検体へ超音波を送信し、該被検体で反射された超音波を受信する超音波内視鏡2と、超音波内視鏡2が取得した超音波信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置3と、超音波観測装置3が生成した超音波画像を表示する表示装置4と、を備える。
超音波内視鏡2は、その先端部に、超音波観測装置3から受信した電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する超音波振動子21を有する。超音波振動子21は、コンベックス振動子、リニア振動子およびラジアル振動子のいずれでも構わない。超音波内視鏡2は、超音波振動子21をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子21として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。
超音波内視鏡2は、通常は撮像光学系および撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、または呼吸器(気管・気管支)へ挿入され、消化管、呼吸器やその周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を撮像することが可能である。また、超音波内視鏡2は、撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置に接続されている。
超音波観測装置3は、超音波内視鏡2と電気的に接続され、所定の波形および送信タイミングに基づいて高電圧パルスからなる送信信号(パルス信号)を超音波振動子21へ送信するとともに、超音波振動子21から電気的な受信信号であるエコー信号を受信してデジタルの高周波(RF:Radio Frequency)信号のデータ(以下、RFデータという)を生成、出力する送受信部31と、送受信部31から受信したRFデータをもとにデジタルのBモード用受信データを生成する信号処理部32と、送受信部31から受信したRFデータに対して所定の演算を施す演算部33と、各種画像データを生成する画像処理部34と、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける入力部35と、超音波診断システム1全体を制御する制御部36と、超音波観測装置3の動作に必要な各種情報を記憶する記憶部37と、を備える。
送受信部31は、エコー信号を増幅する信号増幅部311を有する。信号増幅部311は、受信深度が大きいエコー信号ほど高い増幅率で増幅するSTC(Sensitivity Time Control)補正を行う。図2は、信号増幅部311が行う増幅処理における受信深度と増幅率との関係を示す図である。図2に示す受信深度zは、超音波の受信開始時点からの経過時間に基づいて算出される量である。図2に示すように、増幅率β(dB)は、受信深度zが閾値zthより小さい場合、受信深度zの増加に伴ってβからβth(>β0)へ線型に増加する。また、増幅率β(dB)は、受信深度zが閾値zth以上である場合、一定値βthをとる。閾値zthの値は、観測対象から受信する超音波信号がほとんど減衰してしまい、ノイズが支配的になるような値である。より一般に、増幅率βは、受信深度zが閾値zthより小さい場合、受信深度zの増加に伴って単調増加すればよい。なお、図2に示す関係は、予め記憶部37に記憶されている。
送受信部31は、信号増幅部311によって増幅されたエコー信号に対してフィルタリング等の処理を施した後、A/D変換することによって時間ドメインのRFデータを生成し、信号処理部32および演算部33へ出力する。なお、超音波内視鏡2が複数の素子をアレイ状に設けた超音波振動子21を電子的に走査させる構成を有する場合、送受信部31は、複数の素子に対応したビーム合成用の多チャンネル回路を有する。
送受信部31が送信するパルス信号の周波数帯域は、超音波振動子21におけるパルス信号の超音波パルスへの電気音響変換の線型応答周波数帯域をほぼカバーする広帯域にするとよい。また、信号増幅部311におけるエコー信号の各種処理周波数帯域は、超音波振動子21による超音波エコーのエコー信号への音響電気変換の線型応答周波数帯域をほぼカバーする広帯域にするとよい。これらにより、後述する周波数スペクトルの近似処理を実行する際、精度のよい近似を行うことが可能となる。
送受信部31は、制御部36が出力する各種制御信号を超音波内視鏡2に対して送信するとともに、超音波内視鏡2から識別用のIDを含む各種情報を受信して制御部36へ送信する機能も有する。
信号処理部32は、RFデータに対してバンドパスフィルタ、包絡線検波、対数変換など公知の処理を施し、デジタルのBモード用受信データを生成する。対数変換では、RFデータを基準電圧Vcで除した量の常用対数をとってデシベル値で表現する。信号処理部32は、生成したBモード用受信データを、画像処理部34へ出力する。信号処理部32は、CPU(Central Proccesing Unit)や各種演算回路等を用いて実現される。
演算部33は、送受信部3が生成したRFデータに対して受信深度によらず増幅率βを一定とするよう増幅補正を行う増幅補正部331と、特定の深度幅および音線幅で区切られる関心領域の設定を行う設定部332と、設定部332により設定された関心領域を所定のパターンで分割する分割部333と、増幅補正を行ったRFデータに高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transfom)を施して周波数解析を行うことにより周波数スペクトルを算出する周波数解析部334と、周波数スペクトルの特徴量を算出する特徴量算出部335と、を有する。演算部33は、CPU(Central Proccesing Unit)や各種演算回路等を用いて実現される。
図3は、増幅補正部331が行う増幅補正処理における受信深度と増幅率との関係を示す図である。図3に示すように、増幅補正部331が行う増幅処理における増幅率β(dB)は、受信深度zがゼロのとき最大値βth−β0をとり、受信深度zがゼロから閾値zthに達するまで線型に減少し、受信深度zが閾値zth以上のときゼロである。このように定められる増幅率によって増幅補正部331がデジタルRF信号を増幅補正することにより、受信信号処理部32におけるSTC補正の影響を相殺し、一定の増幅率βthの信号を出力することができる。なお、増幅補正部331が行う受信深度zと増幅率βの関係は、受信信号処理部32における受信深度と増幅率の関係に応じて異なることは勿論である。
このような増幅補正を行う理由を説明する。STC補正は、アナログ信号波形の振幅を全周波数帯域にわたって均一に、かつ、深度に対しては単調増加する増幅率で増幅させることで、アナログ信号波形の振幅から減衰の影響を排除する補正処理である。このため、エコー信号の振幅を輝度に変換して表示するBモード画像を生成する場合、かつ、一様な組織を走査した場合には、STC補正を行うことによって深度によらず輝度値が一定になる。すなわち、Bモード画像の輝度値から減衰の影響を排除する効果を得ることができる。
一方、本実施の形態のように超音波の周波数スペクトルを算出して解析した結果を利用する場合、STC補正でも超音波の伝播に伴う減衰の影響を正確に排除できるわけではない。なぜなら、一般に減衰量は周波数によって異なるが(後述する式(1)を参照)、STC補正の増幅率は距離だけに応じて変化し、周波数依存性がないためである。
上述した問題、すなわち、超音波の周波数スペクトルを算出して解析した結果を利用する場合、STC補正でも超音波の伝播に伴う減衰の影響を正確に排除できるわけではない、という問題を解決するには、Bモード画像を生成する際にSTC補正を施した受信信号を出力する一方、周波数スペクトルに基づいた画像を生成する際に、Bモード画像を生成するための送信とは異なる新たな送信を行い、STC補正を施していない受信信号を出力することが考えられる。ところがこの場合には、受信信号に基づいて生成される画像データのフレームレートが低下してしまうという問題がある。
そこで、本実施の形態では、生成される画像データのフレームレートを維持しつつ、Bモード画像用にSTC補正を施した信号に対してSTC補正の影響を排除するために、増幅補正部331によって増幅率の補正を行う。
設定部332は、特定の深度幅および音線幅で区切られる関心領域の設定を行う。図4は、設定部が行う処理の概要を説明する図である。設定部332は、図4に示すように、走査領域100に対して、計測などを行う部位(組織)を含む観測領域を関心領域101として設定する。設定部332は、入力部6が受け付けた設定入力に応じて関心領域101の設定を行う。
分割部333は、設定部332により設定された関心領域を所定のパターンで分割する。図5は、分割部が行う処理の概要を説明する図である。分割部333は、例えば図5に示すように、設定部332により設定された関心領域101を九分割する。分割部333の分割処理により、関心領域101は、九つの分割領域(分割領域101A〜101I)に分割される。分割部333は、入力部6が受け付けた設定入力に応じて関心領域101を分割してもよいし、予め記憶部37に記憶されている分割数や分割パターンに基づいて関心領域101を分割するものであってもよい。
周波数解析部334は、増幅補正部331が増幅補正した各音線のRFデータ(ラインデータ)を所定の時間間隔でサンプリングし、サンプルデータを生成する。周波数解析部334は、サンプルデータ群にFFT処理を施すことにより、RFデータ上の複数の箇所(データ位置)における周波数スペクトルを算出する。
図6は、超音波信号の1つの音線におけるデータ配列を模式的に示す図である。同図に示す音線SRkにおいて、白または黒の長方形は、1つのサンプル点におけるデータを意味している。また、音線SRkにおいて、右側に位置するデータほど、超音波振動子21から音線SRkに沿って計った場合の深い箇所からのサンプルデータである(図4の矢印を参照)。音線SRkは、送受信部31が行うA/D変換におけるサンプリング周波数(例えば50MHz)に対応した時間間隔で離散化されている。図6では、番号kの音線SRkの8番目のデータ位置を受信深度zの方向の初期値Z(k) 0として設定した場合を示しているが、初期値の位置は任意に設定することができる。周波数解析部334による算出結果は複素数で得られ、記憶部37に格納される。
図6に示すデータ群Fj(j=1、2、・・・、K)は、FFT処理の対象となるサンプルデータ群である。一般に、FFT処理を行うためには、サンプルデータ群が2のべき乗のデータ数を有している必要がある。この意味で、サンプルデータ群Fj(j=1、2、・・・、K−1)はデータ数が16(=24)で正常なデータ群である一方、サンプルデータ群FKは、データ数が12であるため異常なデータ群である。異常なデータ群に対してFFT処理を行う際には、不足分だけゼロデータを挿入することにより、正常なサンプルデータ群を生成する処理を行う。この点については、周波数解析部332の処理を説明する際に詳述する(図11を参照)。
図7は、周波数解析部334が算出する周波数スペクトルの例を示す図である。ここでいう「周波数スペクトル」とは、サンプルデータ群をFFT処理を施すことによって得られた「ある受信深度zにおける強度の周波数分布」を意味する。また、ここでいう「強度」とは、例えばエコー信号の電圧、エコー信号の電力、超音波エコーの音圧、超音波エコーの音響エネルギー等のパラメータ、これらパラメータの振幅や時間積分値やその組み合わせのいずれかを指す。
図7では、横軸が周波数fである。また、図7では、縦軸が、強度I0を基準強度Ic(定数)で除した量の常用対数(デシベル表現)I=10log10(I0/Ic)である。図7に示す直線L10については後述する。なお、本実施の形態において、曲線および直線は、離散的な点の集合からなる。
図7に示す周波数スペクトルC1において、以後の演算に使用する周波数帯域の下限周波数fLおよび上限周波数fHは、超音波振動子21の周波数帯域、送受信部31が送信するパルス信号の周波数帯域などをもとに決定されるパラメータである。以下、図7において、下限周波数fLおよび上限周波数fHによって定まる周波数帯域を「周波数帯域F」という。
一般に、周波数スペクトルは、観測対象が生体組織である場合、超音波が走査された生体組織の性状によって異なる傾向を示す。これは、周波数スペクトルが、超音波を散乱する散乱体の大きさ、数密度、音響インピーダンス等と相関を有しているためである。ここでいう「生体組織の性状」とは、例えば悪性腫瘍(癌)、良性腫瘍、内分泌腫瘍、粘液性腫瘍、正常組織、嚢胞、脈管などのことである。
特徴量算出部335は、関心領域101における複数の周波数スペクトルの特徴量をそれぞれ算出し、超音波が観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、各周波数スペクトルの特徴量(以下、補正前特徴量という)に対して超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって各周波数スペクトルの補正特徴量を算出し、該補正特徴量を用いて複数の減衰率候補値の中から最適な減衰率を分割領域101A〜101Iごとに設定し、設定された複数の減衰率から関心領域101に最適な減衰率を特定する。
特徴量算出部335は、関心領域101における周波数スペクトルを直線で近似することによって周波数スペクトルの補正前特徴量を算出する近似部335aと、近似部335aが算出した補正前特徴量に対し、複数の減衰率候補値の各々に基づいた減衰補正を行うことによって補正特徴量を算出する減衰補正部335bと、減衰補正部335bがすべての周波数スペクトルに対して算出した補正特徴量の統計的なばらつきに基づいて複数の減衰率候補値の中から最適な部分減衰率を分割領域101A〜101Iごとに設定する最適部分減衰率設定部335cと、分割領域101A〜101Iごとに設定された部分減衰率の中から観測対象(関心領域101)の最適な減衰率を設定する最適減衰率設定部335dと、を有する。
近似部335aは、所定周波数帯域における周波数スペクトルの回帰分析を行って周波数スペクトルを一次式(回帰直線)で近似することにより、この近似した一次式を特徴付ける補正前特徴量を算出する。例えば、図7に示す周波数スペクトルC1の場合、近似部335aは、周波数帯域Fで回帰分析を行い周波数スペクトルC1を一次式で近似することによって回帰直線L10を得る。換言すると、近似部335aは、回帰直線L10の傾きa0、切片b0、および周波数帯域Fの中心周波数fM=(fL+fH)/2の回帰直線上の値であるミッドバンドフィット(Mid-band fit)c0=a0M+b0を補正前特徴量として算出する。
3つの補正前特徴量のうち、傾きa0は、超音波の散乱体の大きさと相関を有し、一般に散乱体が大きいほど傾きが小さな値を有すると考えられる。また、切片b0は、散乱体の大きさ、音響インピーダンスの差、散乱体の数密度(濃度)等と相関を有している。具体的には、切片b0は、散乱体が大きいほど大きな値を有し、音響インピーダンスの差が大きいほど大きな値を有し、散乱体の数密度が大きいほど大きな値を有すると考えられる。ミッドバンドフィットc0は、傾きa0と切片b0から導出される間接的なパラメータであり、有効な周波数帯域内の中心におけるスペクトルの強度を与える。このため、ミッドバンドフィットc0は、散乱体の大きさ、音響インピーダンスの差、散乱体の数密度に加えて、Bモード画像の輝度とある程度の相関を有していると考えられる。なお、特徴量算出部335は、回帰分析によって二次以上の多項式で周波数スペクトルを近似するようにしてもよい。
減衰補正部335bが行う補正について説明する。一般に、超音波の減衰量A(f,z)は、超音波が受信深度0と受信深度zとの間を往復する間に生じる減衰であり、往復する前後の強度変化(デシベル表現での差)として定義される。減衰量A(f,z)は、一様な組織内では周波数に比例することが経験的に知られており、以下の式(1)で表現される。
A(f,z)=2αzf ・・・(1)
ここで、比例定数αは減衰率と呼ばれる量である。また、zは超音波の受信深度であり、fは周波数である。減衰率αの具体的な値は、観測対象が生体である場合、生体の部位に応じて定まる。減衰率αの単位は、例えばdB/cm/MHzである。本実施の形態において、減衰補正部335bは、分割領域101A〜101Iごとに最も適合する部分減衰率(最適な部分減衰率)をそれぞれ設定するために、複数の減衰率候補値に対してそれぞれ減衰補正を行う。複数の減衰率候補値の詳細については、図10および図12を参照して後述する。
減衰補正部335bは、近似部335aが抽出した補正前特徴量(傾きa0、切片b0、ミッドバンドフィットc0)に対し、以下に示す式(2)〜(4)にしたがって減衰補正を行うことにより、補正特徴量a、b、cを算出する。
a=a0+2αz ・・・(2)
b=b0 ・・・(3)
c=c0+A(fM,z)=c0+2αzfM(=afM+b) ・・・(4)
式(2)、(4)からも明らかなように、減衰補正部335bは、超音波の受信深度zが大きいほど、補正量が大きい補正を行う。また、式(3)によれば、切片に関する補正は恒等変換である。これは、切片が周波数0(Hz)に対応する周波数成分であって減衰の影響を受けないためである。
図8は、減衰補正部335bが補正した補正特徴量a、b、cをパラメータとして有する直線を示す図である。直線L1の式は、
I=af+b=(a0+2αz)f+b0 ・・・(5)
で表される。この式(5)からも明らかなように、直線L1は、減衰補正前の直線L10と比較して、傾きが大きく(a>a0)、かつ切片が同じ(b=b0)である。
最適部分減衰率設定部335cは、減衰補正部335bがすべての周波数スペクトルに対して減衰率候補値ごとに算出した補正特徴量の統計的なばらつきが最小である減衰率候補値を最適な部分減衰率として設定する。最適部分減衰率設定部335cは、分割領域101A〜101Iごとに最適な部分減衰率を設定する。本実施の形態では、統計的なばらつきを示す量として分散を適用する。この場合、最適部分減衰率設定部335cは、分散が最小となる減衰率候補値を最適な部分減衰率として設定する。上述した3つの補正特徴量a、b、cのうち独立なのは2つである。加えて、補正特徴量bは減衰率に依存しない。したがって、補正特徴量a、cに対して最適な部分減衰率を設定する場合、最適部分減衰率設定部335cは、補正特徴量aおよびcのいずれか一方の分散を算出すればよい。
ただし、最適部分減衰率設定部335cが、補正特徴量aを用いて最適な減衰率を設定する場合は補正特徴量aの分散を適用し、補正特徴量cを用いて最適な部分減衰率を設定する場合は補正特徴量cの分散を適用するのがより好ましい。これは、減衰量A(f,z)を与える式(1)があくまで理想的なものに過ぎず、現実には以下の式(6)の方が適切であることによる。
A(f,z)=2αzf+2α’z ・・・(6)
式(6)の右辺第2項のα’は、超音波の受信深度zに比例して信号強度が変化する大きさを表す係数であり、観測対象の組織が不均一であることや、ビーム合成時のチャンネル数の変更などに起因して発生する信号強度の変化を表す係数である。式(6)の右辺第2項が存在するため、補正特徴量cを用いて特徴量画像を生成する場合は、補正特徴量cの分散を適用した方が正確に減衰を補正することができる(式(4)を参照)。一方、周波数fに比例する係数である補正特徴量aを用いて特徴量画像を生成する場合は、補正特徴量aの分散を適用した方が、右辺第2項の影響を排除して正確に減衰を補正することができる。例えば、減衰率αの単位がdB/cm/MHzである場合、係数α’の単位はdB/cmである。
ここで、統計的なばらつきに基づいて最適な部分減衰率(減衰率)を設定することができる理由を説明する。観測対象に最適な減衰率を適用した場合、観測対象と超音波振動子21との距離に関わらず、特徴量は観測対象に固有の値へ収束し、統計的なばらつきが小さくなると考えられる。その一方で、観測対象に適合しない減衰率候補値を最適な部分減衰率とした場合、減衰補正が過剰であるかまたは不足するため、超音波振動子21との距離に応じて特徴量にずれが生じ、特徴量の統計的なばらつきが大きくなると考えられる。したがって、統計的なばらつきが最も小さい減衰率候補値が、観察対象にとって最適な部分減衰率であるということができる。
図9は、同じ観測対象に対して2つの異なる減衰率候補値に基づいてそれぞれ減衰補正された補正特徴量の分布例を模式的に示す図である。図9では、横軸を補正特徴量とし、縦軸を頻度としている。図9に示す2つの分布曲線N1、N2は、頻度の総和が同じである。図9に示す場合、分布曲線N1は、分布曲線N2と比較して特徴量の統計的なばらつきが小さく(分散が小さく)、山が急峻な形状をなす。したがって、最適部分減衰率設定部335cは、この2つの分布曲線N1、N2に対応する2つの減衰率候補値から最適な部分減衰率を設定する場合、分布曲線N1に対応する減衰率候補値を最適な部分減衰率として設定する。
最適減衰率設定部335dは、分割領域101A〜101Iごとに設定された部分減衰率の中から関心領域101の最適な減衰率を設定する。具体的には、最適減衰率設定部335dは、得られた複数の部分減衰率を母集団として該母集団の統計値である最頻値を抽出し、該最頻値を関心領域101の減衰率をして設定する。
画像処理部34は、エコー信号の振幅を輝度に変換して表示する超音波画像であるBモード画像データを生成するBモード画像データ生成部341と、最適部分減衰率設定部335cが設定した最適な減衰率に基づく特徴量を視覚情報と関連づけてBモード画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成部342と、を有する。
Bモード画像データ生成部341は、信号処理部32から受信したBモード用受信データに対してゲイン処理、コントラスト処理等の公知の技術を用いた信号処理を行うとともに、表示装置4における画像の表示レンジに応じて定まるデータステップ幅に応じたデータの間引き等を行うことによってBモード画像データを生成する。Bモード画像は、色空間としてRGB表色系を採用した場合の変数であるR(赤)、G(緑)、B(青)の値を一致させたグレースケール画像である。
Bモード画像データ生成部341は、信号処理部32からのBモード用受信データに走査範囲を空間的に正しく表現できるよう並べ直す座標変換を施した後、Bモード用受信データ間の補間処理を施すことによってBモード用受信データ間の空隙を埋め、Bモード画像データを生成する。Bモード画像データ生成部341は、生成したBモード画像データを特徴量画像データ生成部342へ出力する。
特徴量画像データ生成部342は、特徴量算出部335が算出した特徴量に関連する視覚情報をBモード画像データにおける画像の各画素に対して重畳することによって特徴量画像データを生成する。特徴量画像データ生成部342は、例えば図6に示す1つのサンプルデータ群Fj(j=1、2、・・・、K)のデータ量に対応する画素領域に対し、そのサンプルデータ群Fjから算出される周波数スペクトルの特徴量に対応する視覚情報を割り当てる。特徴量画像データ生成部342は、例えば上述した傾き、切片、ミッドバンドフィットのいずれか一つに視覚情報としての色相を対応付けることによって特徴量画像データを生成する。なお、特徴量画像データ生成部342が、傾き、切片、ミッドバンドフィットから選択される2つの特徴量の一方に色相を対応付けるとともに、他方に明暗を対応付けることによって特徴量画像データを生成するようにしてもよい。特徴量に関連する視覚情報としては、例えば色相、彩度、明度、輝度値、R(赤)、G(緑)、B(青)などの所定の表色系を構成する色空間の変数を挙げることができる。
制御部36は、演算および制御機能を有するCPU(Central Proccesing Unit)や各種演算回路等を用いて実現される。制御部36は、記憶部37が記憶、格納する情報を記憶部37から読み出し、超音波観測装置3の作動方法に関連した各種演算処理を実行することによって超音波観測装置3を統括して制御する。なお、制御部36を信号処理部32および演算部33と共通のCPU等を用いて構成することも可能である。
記憶部37は、減衰補正部335bが減衰率候補値に応じて周波数スペクトルごとに算出した複数の特徴量、および該複数の特徴量の統計的なばらつきを与える分散を減衰率候補値と対応づけて記憶する特徴量情報記憶部371を有する。
記憶部37は、上記以外にも、例えば増幅処理に必要な情報(図2に示す増幅率と受信深度との関係)、増幅補正処理に必要な情報(図3に示す増幅率と受信深度との関係)、減衰補正処理に必要な情報(式(1)参照)、周波数解析処理に必要な窓関数(Hamming、Hanning、Blackman等)の情報等を記憶する。
また、記憶部37は、超音波観測装置3の作動方法を実行するための作動プログラムを含む各種プログラムを記憶する。作動プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD−ROM、DVD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。なお、上述した各種プログラムは、通信ネットワークを介してダウンロードすることによって取得することも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などによって実現されるものであり、有線、無線を問わない。
以上の構成を有する記憶部37は、各種プログラム等が予めインストールされたROM(Read Only Memory)、および各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を用いて実現される。
図10は、以上の構成を有する超音波観測装置3が行う処理の概要を示すフローチャートである。まず、超音波観測装置3は、超音波内視鏡2から超音波振動子21による観測対象の測定結果としてのエコー信号を受信する(ステップS1)。
超音波振動子21からエコー信号を受信した信号増幅部311は、そのエコー信号の増幅を行う(ステップS2)。ここで、信号増幅部311は、例えば図2に示す増幅率と受信深度との関係に基づいてエコー信号の増幅(STC補正)を行う。
続いて、Bモード画像データ生成部341は、信号増幅部311が増幅したエコー信号を用いてBモード画像データを生成して、表示装置4へ出力する(ステップS3)。Bモード画像データを受信した表示装置4は、そのBモード画像データに対応するBモード画像を表示する(ステップS4)。
増幅補正部331は、送受信部3から出力された信号に対して受信深度によらず増幅率が一定となる増幅補正を行う(ステップS5)。ここで、増幅補正部331は、例えば図3に示す増幅率と受信深度との関係が成立するように増幅補正を行う。
増幅補正後、設定部332は、特定の深度幅および音線幅で区切られる関心領域の設定を行う(ステップS6)。設定部332は、例えば、図4に示す走査領域100に対し、入力部6からの設定入力などに応じて関心領域101を設定する。
設定部332により関心領域101が設定されると、分割部333は、関心領域を所定のパターンで分割する(ステップS7:分割ステップ)。分割部333は、例えば、図5に示すように、関心領域101を九つの領域に分割して分割領域101A〜101Iを生成する。
この後、周波数解析部334は、FFT演算による周波数解析を行うことによって関心領域100の全てのサンプルデータ群に対する周波数スペクトルを算出する(ステップS8:周波数解析ステップ)。図11は、ステップS8において周波数解析部334が実行する処理の概要を示すフローチャートである。以下、図11に示すフローチャートを参照して、周波数解析処理を詳細に説明する。
まず、周波数解析部334は、解析対象の音線を識別するカウンタkをk0とする(ステップS21)。
続いて、周波数解析部334は、FFT演算用に取得する一連のデータ群(サンプルデータ群)を代表するデータ位置(受信深度に相当)Z(k)の初期値Z(k) 0を設定する(ステップS22)。例えば、図6では、上述したように、音線SRkの8番目のデータ位置を初期値Z(k) 0として設定した場合を示している。
その後、周波数解析部334は、サンプルデータ群を取得し(ステップS23)、取得したサンプルデータ群に対し、記憶部37が記憶する窓関数を作用させる(ステップS24)。このようにサンプルデータ群に対して窓関数を作用させることにより、サンプルデータ群が境界で不連続になることを回避し、アーチファクトが発生するのを防止することができる。
続いて、周波数解析部334は、データ位置Z(k)のサンプルデータ群が正常なデータ群であるか否かを判定する(ステップS25)。図6を参照した際に説明したように、サンプルデータ群は、2のべき乗のデータ数を有している必要がある。以下、正常なサンプルデータ群のデータ数を2n(nは正の整数)とする。本実施の形態では、データ位置Z(k)が、できるだけZ(k)が属するサンプルデータ群の中心になるよう設定される。具体的には、サンプルデータ群のデータ数は2nであるので、Z(k)はそのサンプルデータ群の中心に近い2n/2(=2n-1)番目の位置に設定される。この場合、サンプルデータ群が正常であるとは、データ位置Z(k)の前方に2n-1−1(=Nとする)個のデータがあり、データ位置Z(k)の後方に2n-1(=Mとする)個のデータがあることを意味する。図6に示す場合、サンプルデータ群Fj(j=1、2、・・・、K−1)はともに正常である。なお、図6ではn=4(N=7,M=8)の場合を例示している。
ステップS25における判定の結果、データ位置Z(k)のサンプルデータ群が正常である場合(ステップS25:Yes)、周波数解析部334は、後述するステップS27へ移行する。
ステップS25における判定の結果、データ位置Z(k)のサンプルデータ群が正常でない場合(ステップS25:No)、周波数解析部334は、不足分だけゼロデータを挿入することによって正常なサンプルデータ群を生成する(ステップS26)。ステップS25において正常でないと判定されたサンプルデータ群(例えば図6のサンプルデータ群FK)は、ゼロデータを追加する前に窓関数が作用されている。このため、サンプルデータ群にゼロデータを挿入してもデータの不連続は生じない。ステップS26の後、周波数解析部334は、後述するステップS27へ移行する。
ステップS27において、周波数解析部334は、サンプルデータ群を用いてFFT演算を行うことにより、振幅の周波数分布である周波数スペクトルを得る(ステップS27)。図7に示す周波数スペクトルC1は、ステップS27の結果として得られる周波数スペクトルの一例である。
続いて、周波数解析部334は、データ位置Z(k)をステップ幅Dで変化させる(ステップS28)。ステップ幅Dは、記憶部37が予め記憶しているものとする。図6では、D=15の場合を例示している。ステップ幅Dは、Bモード画像データ生成部341がBモード画像データを生成する際に利用するデータステップ幅と一致させることが望ましいが、周波数解析部334における演算量を削減したい場合には、ステップ幅Dとしてデータステップ幅より大きい値を設定してもよい。
その後、周波数解析部334は、データ位置Z(k)が音線SRkにおける最大値Z(k) maxより大きいか否かを判定する(ステップS29)。データ位置Z(k)が最大値Z(k) maxより大きい場合(ステップS29:Yes)、周波数解析部334はカウンタkを1増加させる(ステップS30)。これは、処理をとなりの音線へ移すことを意味する。一方、データ位置Z(k)が最大値Z(k) max以下である場合(ステップS29:No)、周波数解析部334はステップS23へ戻る。このようにして、周波数解析部334は、音線SRkに対して、[(Z(k) max−Z(k) 0+1)/D+1]個のサンプルデータ群に対するFFT演算を行う。ここで、[X]は、Xを超えない最大の整数を表す。
ステップS30の後、周波数解析部334は、カウンタkが最大値kmaxより大きいか否かを判定する(ステップS31)。カウンタkがkmaxより大きい場合(ステップS31:Yes)、周波数解析部334は一連の周波数解析処理を終了する。一方、カウンタkがkmax以下である場合(ステップS31:No)、周波数解析部334はステップS22に戻る。この最大値kmaxは、術者等のユーザが入力部35を通じて任意に指示入力した値、もしくは、記憶部37にあらかじめ設定された値とする。
このようにして、周波数解析部334は、解析対象領域内の(kmax−k0+1)本の音線の各々について複数回のFFT演算を行う。FFT演算の結果は、受信深度および受信方向とともにスペクトル情報記憶部371に格納される。
なお、以上の説明では、設定された関心領域内においてのみ周波数解析処理を行うものとしたが、周波数解析部334が超音波信号を受信したすべての領域に対して周波数解析処理を行うようにすることも可能である。
以上説明したステップS8の周波数解析処理に続いて、特徴量算出部335は、複数の周波数スペクトルの補正前特徴量をそれぞれ算出し、超音波が観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、各周波数スペクトルの補正前特徴量に対して超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって各周波数スペクトルの補正特徴量を算出し、該補正特徴量を用いて複数の減衰率候補値の中から分割領域ごとの部分減衰率を設定し、分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率の中から観測対象に最適な減衰率を設定する(ステップS9〜S18)。以下、ステップS9〜S18の処理を詳細に説明する。
ステップS9において、近似部335aは、周波数解析部334が算出した複数の周波数スペクトルをそれぞれ回帰分析することにより、減衰率設定対象の分割領域の各周波数スペクトルに対応する補正前特徴量を算出する(ステップS9)。具体的には、近似部335aは、各周波数スペクトルを回帰分析することによって一次式で近似し、補正前特徴量として傾きa0、切片b0、ミッドバンドフィットc0を算出する。例えば、図7に示す直線L10は、近似部335aが周波数帯域Fの周波数スペクトルC1に対し回帰分析によって近似した回帰直線である。
この後、最適部分減衰率設定部335cは、後述する減衰補正を行う際に適用する減衰率候補値αの値を所定の初期値α0に設定する(ステップS10)。この初期値α0の値は、予め記憶部37が記憶しておき、最適部分減衰率設定部335cが記憶部37を参照するようにすればよい。
続いて、減衰補正部335bは、近似部335aが各周波数スペクトルに対して近似した補正前特徴量に対し、減衰率候補値をαとして減衰補正を行うことにより、補正特徴量を算出し、減衰率候補値αとともに特徴量情報記憶部371に格納する(ステップS11:減衰補正ステップ)。図8に示す直線L1は、減衰補正部335bが減衰補正処理を行うことによって得られる直線の例である。
ステップS11において、減衰補正部335bは、上述した式(2)、(4)における受信深度zに、超音波信号の音線のデータ配列を用いて得られるデータ位置Z=(fsp/2vs)Dnを代入することによって算出する。ここで、fspはデータのサンプリング周波数、vsは音速、Dはデータステップ幅、nは処理対象のサンプルデータ群のデータ位置までの音線の1番目のデータからのデータステップ数である。例えば、データのサンプリング周波数fspを50MHzとし、音速vsを1530m/secとし、図6に示すデータ配列を採用してステップ幅Dを15とすると、z=0.2295n(mm)となる。
最適部分減衰率設定部335cは、減衰補正部335bが各周波数スペクトルに対して減衰補正することによって得られた複数の補正特徴量のうち代表となる補正特徴量の分散を算出し、減衰率候補値αと対応づけて特徴量情報記憶部371へ格納する(ステップS12)。補正特徴量が傾きa、ミッドバンドフィットcである場合、上述したように、最適部分減衰率設定部335cは、補正特徴量aおよびcのいずれか一方の分散を算出する。このステップS10において、補正特徴量aを用いて特徴量画像を生成する場合は補正特徴量aの分散を適用し、補正特徴量cを用いて特徴量画像を生成する場合は補正特徴量cの分散を適用するのが好ましい。
この後、最適部分減衰率設定部335cは、減衰率候補値αの値をΔαだけ増加させ(ステップS13)、増加後の減衰率候補値αと所定の最大値αmaxとの大小を比較する(ステップS14)。ステップS14における比較の結果、減衰率候補値αが最大値αmaxより大きい場合(ステップS14:Yes)、超音波観測装置3はステップS15へ移行する。一方、ステップS14における比較の結果、減衰率候補値αが最大値αmax以下である場合(ステップS14:No)、超音波観測装置3はステップS11へ戻る。
ステップS15において、最適部分減衰率設定部335cは、特徴量情報記憶部371が記憶する減衰率候補値ごとの分散を参照し、分散が最小である減衰率候補値を分割領域における最適な部分減衰率として設定する(ステップS15:最適部分減衰率設定ステップ)。
図12は、最適部分減衰率設定部335cが行う処理の概要を示す図である。α0=0(dB/cm/MHz)、αmax=1.0(dB/cm/MHz)、Δα=0.2(dB/cm/MHz)とした場合の減衰率候補値αと分散S(α)との関係の例を示す図である。図12に示す場合、減衰率候補値αが0.2(dB/cm/MHz)のときに分散が最小値S(α)minをとる。したがって、図12に示す場合、最適部分減衰率設定部335cは、α=0.2(dB/cm/MHz)を最適な部分減衰率として設定する。
なお、最適部分減衰率設定部335cが最適な減衰率を設定する前に、近似部331aが回帰分析を行うことによって減衰率候補値αにおける分散S(α)の値を補間する曲線を算出し、その後、この曲線に対し、0(dB/cm/MHz)≦α≦1.0(dB/cm/MHz)における最小値S(α)’minを算出し、そのときの減衰率候補値の値α’を最適な部分減衰率として設定するものであってもよい。図12に示す場合、最適な部分減衰率α’は、0(dB/cm/MHz)と0.2(dB/cm/MHz)の間の値となる。
減衰率設定対象の分割領域における部分減衰率の設定後、特徴量算出部335は、次の部分減衰率設定対象の分割領域があるか否かを判断する(ステップS16)。特徴量算出部335は、次の部分減衰率設定対象の分割領域がある場合(ステップS16:Yes)、ステップS9に移行して、次の分割領域について部分減衰率の設定を行う。一方、特徴量算出部335は、次の部分減衰率設定対象の分割領域がない場合(ステップS16:No)、ステップS17に移行する。
ステップS17において、最適減衰率設定部335dは、分割領域101A〜101Iごとに設定された部分減衰率の中から関心領域101の最適な減衰率を設定する(ステップS17:最適減衰率設定ステップ)。本実施の形態では、最適減衰率設定部335dは、得られた複数の部分減衰率の最頻値を抽出し、該最頻値を関心領域101の減衰率をして特定する。
特徴量画像データ生成部342は、Bモード画像データ生成部341が生成したBモード画像データにおける各画素に対し、ステップS17で特定された最適な減衰率に基づく補正特徴量に関連づけた視覚情報(例えば色相)を重畳するとともに、最適な減衰率の情報を加えることによって特徴量画像データを生成する(ステップS18:特徴量画像データ生成ステップ)。
この後、表示部7は、制御部36の制御のもと、特徴量画像データ生成部342が生成した特徴量画像データに対応する特徴量画像を表示する(ステップS19)。図13は、表示部7における特徴量画像の表示例を模式的に示す図である。同図に示す特徴量画像201は、Bモード画像に特徴量に関する視覚情報が重畳された画像を表示する重畳画像表示部202と、観測対象の識別情報および最適な減衰率として設定された減衰率候補値の情報を表示する情報表示部203とを有する。なお、情報表示部203に、特徴量の情報、近似式の情報、ゲインやコントラスト等の画像情報等をさらに表示するようにしてもよい。また、特徴量画像に対応するBモード画像を特徴量画像と並べて表示してもよい。また、減衰率候補値の情報を表示するか否かの指示信号を入力部6が受け付け可能な構成としてもよい。
以上説明してきた一連の処理(ステップS1〜S19)において、ステップS4の処理とステップS5〜S17の処理とを並行して行うようにしてもよい。
以上説明した本発明の一実施の形態によれば、設定された関心領域を分割し、超音波が観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の中から観測対象に最適な部分減衰率を分割領域ごとに設定し、設定された複数の部分減衰率の最頻値を当該関心領域の減衰率として設定し、該設定した最適な減衰率を用いて減衰補正を行うことによって複数の周波数スペクトルの各々の特徴量を算出するため、超音波の減衰補正を適切に行うことができるとともに、その減衰特性を利用した観測を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、各周波数スペクトルを減衰補正した補正特徴量の統計的なばらつきに基づいて最適な部分減衰率を設定するため、複数の減衰モデルとフィッティングを行う従来技術と比較して、計算量を削減することができる。
また、本実施の形態によれば、観測対象に適合する減衰率が未知の場合であっても、最適な減衰率を設定することができる。
(実施の形態の変形例1)
上述した実施の形態では、最適減衰率設定部335dが、各分割領域で設定された部分減衰率のうち、最頻値を関心領域の減衰率として特定するものとして説明したが、各分割領域で設定された部分減衰率の平均値を算出し、該算出した平均値を関心領域の減衰率として設定するものであってもよい。
(実施の形態の変形例2)
上述した実施の形態では、最適減衰率設定部335dが、各分割領域で設定された部分減衰率のうち、最頻値を関心領域の減衰率として特定するものとして説明したが、各分割領域で設定された部分減衰率の中央値を関心領域の減衰率として設定するものであってもよい。
(実施の形態の変形例3)
上述した実施の形態では、最適減衰率設定部335dが、各分割領域で設定された部分減衰率のうち、最頻値を関心領域の減衰率として特定するものとして説明したが、関心領域の減衰率を選択するために用いる部分減衰率を判定するための閾値を設定し、各分割領域で設定された部分減衰率のうち閾値を超えた分割領域の部分減衰率を除外し、閾値以下の部分減衰率の最頻値や平均値、中央値を関心領域の減衰率として設定するものであってもよい。ここで、閾値は、特徴量(補正特徴量)に基づいて設定されるものであってもよいし、Bモード画像におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の値(輝度値)などの視覚情報に基づいて設定されるものであってもよい。また、例えば、特徴量に基づいて閾値が設定されている場合、分割領域に含まれる複数の特徴量(例えば最頻値)と閾値とを比較して、比較結果を出力するものであってもよいし、分割領域に含まれる全特徴量に対し、閾値を超えた特徴量の割合が、所定の割合以上であるか否かで、当該分割領域の部分減衰率を除外するか否かを判断するものであってもよい。
(実施の形態の変形例4)
上述した実施の形態では、最適減衰率設定部335dが、各分割領域で設定された部分減衰率のうち、最頻値を関心領域の減衰率として特定するものとして説明したが、複数の分割領域のうち中心近傍の分割領域を抽出し、抽出した分割領域の部分減衰率の最頻値や平均値、中央値を関心領域の減衰率として設定するものであってもよい。
(実施の形態の変形例5)
上述した実施の形態では、最適減衰率設定部335dが、各分割領域で設定された部分減衰率のうち、最頻値を関心領域の減衰率として特定するものとして説明したが、設定された複数の部分減衰率に対して各々重み付けを行って減衰率を算出し、算出した減衰率を関心領域の減衰率として設定するものであってもよい。
例えば、最適減衰率設定部335dが、分割された複数の分割領域のうち指定された分割領域の部分減衰率を中心に重み付けの係数を付与し、係数を乗じた部分減衰率を加算することで関心領域の減衰率の設定を行う。ここで、各係数は、すべての係数の和は1となるように設定される。具体的には、最適減衰率設定部335dは、例えば図5に示す各分割領域101A〜101Iの部分減衰率をα101A〜α101Iとし、分割領域101Eが指定されている場合、下式(7)により関心領域101の最適な減衰率α101を特定する。
α101=0.6×α101E+0.05×α101A+0.05×α101B
+0.05×α101C+0.05×α101D+0.05×α101F
+0.05×α101G+0.05×α101H+0.05×α101I
・・・(7)
上述した変形例3のように閾値を設定した場合は、各分割領域で設定された部分減衰率のうち閾値を超えた部分減衰率の係数を0としたり、当該部分減衰率を式(7)から除外するようにしてもよい。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、最適部分減衰率設定部335cは、超音波画像の全てのフレームで最適な減衰率に相当する最適減衰率相当値をそれぞれ算出し、最新のフレームにおける最適減衰率相当値を含む所定数の最適減衰率相当値の平均値、中央値または最頻値を最適な部分減衰率として設定してもよい。この場合には、各フレームで最適な部分減衰率を設定する場合と比較して、最適な部分減衰率の変化が少なくなってその値を安定させることができる。
また、最適部分減衰率設定部335cは、超音波画像の所定のフレーム間隔で最適な部分減衰率を設定するようにしてもよい。これにより、計算量を大幅に削減することができる。この場合には、次に最適な部分減衰率を設定するまでの間、最後に設定した最適な部分減衰率の値を使用すればよい。
また、統計的なばらつきを算出する対象領域を音線ごととしてもよいし、受信深度が所定値以上の領域としてもよい。これらの領域の設定を入力部6が受け付け可能な構成としてもよい。
また、関心領域に対して領域を分割して部分減衰率を設定し、複数の部分減衰率から関心領域の最適な減衰率を求めるものとしたが、画像全体に対して領域を分割して部分減衰率を設定し、複数の部分減衰率から画像全体の最適な減衰率を求めるものようにしてもよい。この場合、設定部332が関心領域を画像全体として設定するものであってもよい。また、特徴量算出部335が、設定された関心領域内とその関心領域外とで個別に最適な減衰率を設定するようにしてもよい。
また、入力部6が減衰率候補値の初期値α0の設定変更の入力を受け付け可能な構成としてもよい。
また、統計的なばらつきを与える量として、例えば標準偏差、母集団における特徴量の最大値と最小値の差、特徴量の分布の半値幅のいずれかを適用することも可能である。なお、統計的なばらつきを与える量として分散の逆数を適用する場合も考えられるが、この場合には、その値が最大となる減衰率候補値が最適な部分減衰率となることはいうまでもない。
また、最適部分減衰率設定部335cが、複数種類の補正特徴量の統計的なばらつきをそれぞれ算出し、統計的なばらつきが最小である場合の減衰率候補値を最適な部分減衰率として設定することも可能である。
また、減衰補正部335bが複数の減衰率候補値を用いて周波数スペクトルを減衰補正した後、近似部335aが減衰補正後の各周波数スペクトルに対して回帰分析を行うことによって補正特徴量を算出するようにしてもよい。
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。
1 超音波診断システム
2 超音波内視鏡
3 超音波観測装置
4 表示装置
21 超音波振動子
31 送受信部
32 信号処理部
33 演算部
34 画像処理部
35 入力部
36 制御部
37 記憶部
331 増幅補正部
332 設定部
333 分割部
334 周波数解析部
335 特徴量算出部
341 Bモード画像データ生成部
342 特徴量画像データ生成部
371 特徴量情報記憶部
100 走査領域
101 関心領域
101A〜101I 分割領域
201 特徴量画像
202 重畳画像表示部
203 情報表示部
335a 近似部
335b 減衰補正部
335c 最適部分減衰率設定部
335d 最適減衰率設定部
1 周波数スペクトル

Claims (13)

  1. 観測対象に対して送信した超音波が前記観測対象によって反射された超音波エコーを電気信号に変換したエコー信号に基づいて生成される超音波画像、または該超音波画像内で設定される関心領域を分割して複数の分割領域を生成する分割部と、
    前記エコー信号に基づいて生成される信号の周波数を解析することによって複数の周波数スペクトルを算出する周波数解析部と、
    前記複数の周波数スペクトルをn次式(nは正の整数)でそれぞれ近似する近似部と、
    記超音波が前記観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、前記n次式により抽出される各周波数スペクトルの特徴量に対して前記超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって前記各周波数スペクトルの補正特徴量を算出する減衰補正部と、
    各分割領域において、前記複数の減衰率候補値のそれぞれについて分割領域内の前記補正特徴量の統計的なばらつきを算出し、該統計的なばらつきが最小である減衰率候補値を前記観測対象に最適な部分減衰率設定する最適部分減衰率設定部と、
    前記分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率をもとに、前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を設定する最適減衰率設定部と、
    前記最適減衰率設定部が定した前記最適な減衰率に基づく前記補正特徴量を視覚情報と関連づけて前記超音波画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成部と、
    を備えたことを特徴とする超音波観測装置。
  2. 前記最適減衰率設定部は、前記最適部分減衰率設定部が前記分割領域ごとに設定した複数の部分減衰率を母集団として計算した統計値に基づいて前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を特定することを特徴とする請求項1に記載の超音波観測装置。
  3. 前記最適減衰率設定部は、前記最適部分減衰率設定部が設定した前記複数の部分減衰率から、所定の閾値に基づき部分減衰率を抽出し、該抽出した部分減衰率を母集団として計算した統計値に基づいて前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を特定することを特徴とする請求項2に記載の超音波観測装置。
  4. 前記統計値は、最頻値、平均値または中央値のいずれかであることを特徴とする請求項2または3に記載の超音波観測装置。
  5. 前記最適減衰率設定部は、前記最適部分減衰率設定部が設定した前記複数の部分減衰率に対し、前記分割領域の配置に応じて重み付け処理を施し、該重み付け処理した部分減衰率を母集団として計算した統計値に基づいて前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を特定することを特徴とする請求項2に記載の超音波観測装置。
  6. 前記超音波画像または前記関心領域の分割にかかる設定入力を受け付ける入力部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の超音波観測装置。
  7. 前記近似部は、前記周波数スペクトルにおける所定の周波数帯域を一次式で近似し、
    前記減衰補正部は、前記一次式の切片および傾き、ならびに前記周波数帯域の中間周波数における前記一次式の値であるミッドバンドフィットのうち、前記傾きおよび前記ミッドバンドフィットのいずれか一方を含む一つまたは複数を前記補正特徴量として算出し、
    前記最適部分減衰率設定部は、前記傾きおよび前記ミッドバンドフィットのいずれか一方に基づいて前記最適な部分減衰率を設定することを特徴とする請求項に記載の超音波観測装置。
  8. 前記最適部分減衰率設定部は、
    前記減衰補正部が前記傾きを前記補正特徴量として算出する場合は前記傾きに基づいて前記最適な部分減衰率を設定し、前記ミッドバンドフィットを前記補正特徴量として算出する場合は前記ミッドバンドフィットに基づいて前記最適な部分減衰率を設定することを特徴とする請求項に記載の超音波観測装置。
  9. 前記最適部分減衰率設定部は、
    前記統計的なばらつきを前記減衰率候補値の関数として求め、
    前記関数において前記統計的なばらつきが最小となる減衰率候補値を前記最適な部分減衰率として設定することを特徴とする請求項に記載の超音波観測装置。
  10. 前記特徴量画像データは、前記最適な減衰率に関する情報を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の超音波観測装置。
  11. 前記特徴量画像データに対応する特徴量画像を表示する表示部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の超音波観測装置。
  12. 分割部が、観測対象に対して送信した超音波が前記観測対象によって反射された超音波エコーを電気信号に変換したエコー信号に基づいて生成される超音波画像、または該超音波画像内で設定される関心領域を分割して複数の分割領域を生成する分割ステップと、
    周波数解析部が、前記エコー信号に基づいて生成される信号の周波数を解析することによって複数の周波数スペクトルを算出する周波数解析ステップと、
    近似部が、前記複数の周波数スペクトルをn次式(nは正の整数)でそれぞれ近似する近似ステップと、
    減衰補正部が、記超音波が前記観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、前記n次式により抽出される各周波数スペクトルの特徴量に対して前記超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって前記各周波数スペクトルの補正特徴量を算出する減衰補正ステップと、
    最適部分減衰率設定部が、各分割領域において、前記複数の減衰率候補値のそれぞれについて分割領域内の前記補正特徴量の統計的なばらつきを算出し、該統計的なばらつきが最小である減衰率候補値を前記観測対象に最適な部分減衰率設定する最適部分減衰率設定ステップと、
    最適減衰率設定部が、前記分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率をもとに、前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を設定する最適減衰率設定ステップと、
    特徴量画像データ生成部が、前記最適減衰率設定ステップで定した前記最適な減衰率に基づく前記補正特徴量を視覚情報と関連づけて前記超音波画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成ステップと、
    を含むことを特徴とする超音波観測装置の作動方法。
  13. 分割部が、観測対象に対して送信した超音波が前記観測対象によって反射された超音波エコーを電気信号に変換したエコー信号に基づいて生成される超音波画像、または該超音波画像内で設定される関心領域を分割して複数の分割領域を生成する分割手順と、
    周波数解析部が、前記エコー信号に基づいて生成される信号の周波数を解析することによって複数の周波数スペクトルを算出する周波数解析手順と、
    近似部が、前記複数の周波数スペクトルをn次式(nは正の整数)でそれぞれ近似する近似手順と、
    減衰補正部が、記超音波が前記観測対象を伝播する際の互いに異なる減衰特性を与える複数の減衰率候補値の各々において、前記n次式により抽出される各周波数スペクトルの特徴量に対して前記超音波の減衰の影響を排除する減衰補正を行うことによって前記各周波数スペクトルの補正特徴量を算出する減衰補正手順と、
    最適部分減衰率設定部が、各分割領域において、前記複数の減衰率候補値のそれぞれについて分割領域内の前記補正特徴量の統計的なばらつきを算出し、該統計的なばらつきが最小である減衰率候補値を前記観測対象に最適な部分減衰率設定する最適部分減衰率設定手順と、
    最適減衰率設定部が、前記分割領域ごとに設定された複数の部分減衰率をもとに、前記超音波画像または前記関心領域における最適な減衰率を設定する最適減衰率設定手順と、
    特徴量画像データ生成部が、前記最適減衰率設定手順で定した前記最適な減衰率に基づく前記補正特徴量を視覚情報と関連づけて前記超音波画像とともに表示する特徴量画像データを生成する特徴量画像データ生成手順と、
    を超音波観測装置に実行させることを特徴とする超音波観測装置の作動プログラム。
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