JP6253442B2 - 生物処理用リアクター、水処理設備、及び生物処理用リアクターの運転方法 - Google Patents

生物処理用リアクター、水処理設備、及び生物処理用リアクターの運転方法 Download PDF

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本発明は、有機性排水を生物処理する汚泥に特定微生物群を優占化する生物処理助剤を接触させる生物処理用リアクター、水処理設備、及び生物処理用リアクターの運転方法に関する。
有機性排水を生物処理する水処理設備に搬入されたし尿や浄化槽汚泥等の汚水は、汚水に混入するし渣等の処理不適物を除去する前処理が行なわれた後に、一旦貯留槽に貯留され、貯留槽から生物処理槽に定量的に送水される。生物処理された被処理水は固液分離され、液体成分は活性炭ろ過等の高度処理が行なわれた後に河川等に放流され、固体成分はフィルタプレス脱水機等で脱水された後に焼却等処理される。
このような従来の水処理設備では、生物処理の過程で発生する悪臭の対策や余剰汚泥の処理等に多大なコストと設備が必要になるという問題があった。
そこで、本願発明者らは、活性汚泥法を採用する水処理装置の処理槽に生物処理助剤を供給することで、特定の微生物叢を汚泥中で優占化させ、汚水処理能力を向上させる技術を研究開発しつつあり、このような微生物叢による生物処理によって悪臭発生の軽減や、余剰汚泥の発生量の低減が見込まれている。
ところで、特許文献1には、生物処理助剤の一例として、腐植物及び活性化状態ないしは不安定な状態にある安山岩又は流紋岩質の組成を有する物質を含む微生物代謝回路誘導材を、汚泥中の土壌細菌群に供給することにより、土壌細菌群のフェノール系代謝機能を顕在化させる種汚泥の簡易製造装置が開示されている。
当該種汚泥の簡易製造装置は、微生物代謝回路誘導材が充填され上面及び底面が金網或いはパンチングメタル等で構成された容器を生物処理槽の内部に浸漬させて、容器の下方に設置した曝気ノズルから曝気し、容器内に上向流を発生させて被処理水を通流させることで被処理水中に生物処理助剤を溶出させる装置である。
特公平5−10999号公報
しかし、し尿等の有機性排水を生物処理する水処理設備では、悪臭の拡散を回避する等の観点で生物処理槽や固液分離槽等の各処理槽が密閉状態に維持され、メンテナンス用の小さな蓋体が設けられているに過ぎないため、そのような処理槽に特許文献1に記載されたような生物処理助剤が充填されたある程度の大きさの容器を浸漬したりメンテナンスのために出し入れしたりするのは困難であり、処理槽の大掛かりな改造が必要になるという問題があった。
また、汚水中の夾雑物は上述したように前処理設備で除去されるのであるが、一部は除去されずに各処理槽へ流入するため、金網やパンチングメタル等の汚水の通流口に夾雑物が絡まって閉塞され、生物処理助剤の円滑な溶出が妨げられる虞があり、また生物処理の過程で発生する硫化水素等の腐食性物質によって金網やパンチングメタル等が腐食される虞もあり、処理槽に長期間浸漬配置するのは困難であった。
本発明の目的は、上述した問題点に鑑み、処理槽に大きな開口を備えていない、し尿や浄化槽汚泥等の有機性排水を処理する水処理設備であっても容易に設置でき、長期に亘りメンテナンスしなくても夾雑物によって生物処理助剤収容部が閉塞することが防止される生物処理用リアクター、水処理設備、及び生物処理用リアクターの運転方法を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による生物処理用リアクターの第一の特徴構成は、汚泥中の特定微生物群を優占化する生物処理助剤が充填された生物処理助剤保持部と、前記生物処理助剤保持部が収容された汚泥滞留槽と、水処理設備の汚泥返送経路の汚泥を前記汚泥滞留槽に受け入れる流入部と、受け入れた汚泥を前記水処理設備に返送する排出部と、前記流入部から流入した汚泥を前記汚泥滞留槽内で前記生物処理助剤保持部に循環供給する循環機構と、前記循環機構によって前記生物処理助剤保持部に循環供給される汚泥から夾雑物を捕捉するべく前記循環機構によって形成される循環流の前記生物処理助剤保持部よりも上流側に配置されているフィルタ機構と、を備える点にある。
上述の構成によれば、流入部から汚泥滞留槽に流入した汚泥が槽内で滞留する間に、循環機構によって生物処理助剤保持部に汚泥が循環供給されると、生物処理助剤との接触頻度が増して効率的に生物処理助剤が溶出し、そのような汚泥が排出部から排出されて水処理設備に返送され、汚泥滞留槽及び/または水処理設備内で汚泥に含まれる特定微生物群が優占化されるようになる。
そして、夾雑物がフィルタ機構によって捕捉された汚泥が生物処理助剤保持部に循環供給されるので、生物処理助剤保持部が夾雑物で目詰まりするようなことが無い。
例えば、水処理設備に汚泥を返送する汚泥返送経路に上述の生物処理用リアクターが配置される場合には、既存の各処理槽に対して大掛かりな改造を施す必要もなく、生物処理後の汚泥に含まれる硫化水素等の腐食性物質の濃度も極めて低いため、生物処理助剤保持部等が腐食するようなこともない。
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一の特徴構成に加えて、前記排出部は前記生物処理助剤保持部より低い位置に設けられ、前記フィルタ機構により捕捉した夾雑物が前記排出部から前記水処理設備に返送される汚泥に同伴して排出されるように、前記フィルタ機構は前記生物処理助剤保持部より低い位置に配置されている点にある。
フィルタ機構によって捕捉された夾雑物は生物処理助剤保持部より低い位置に設けられた排出部から汚泥が排出される際に汚泥に同伴して排出されるので、フィルタ機構をクリーニングするメンテナンス作業も軽減される。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一または第二の特徴構成に加えて、前記生物処理助剤保持部は、生物処理助剤を収容する収容部と、前記収容部に収容された生物処理助剤を保持するとともに汚泥を通流させる一対の汚泥通流面が設けられ、前記汚泥通流面を介して前記収容部に汚泥が循環するように構成され、前記汚泥通流面のうち汚泥の流入側よりも上流に前記フィルタ機構が配置されている点にある。
上述の構成によれば、汚泥は一方の汚泥通流面から生物処理助剤保持部に流入し、他方の汚泥通流面から流出するように生物処理助剤保持部に循環供給され、その過程で生物処理助剤が溶出する。このとき、汚泥が流入する一方の汚泥通流面の上流側にフィルタ機構が配置され、汚泥に含まれている夾雑物が事前にフィルタ機構に捕捉されるため、汚泥通流面が夾雑物によって閉塞するようなことが効果的に回避されるようになる。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第の特徴構成に加えて、平面視矩形に形成された前記生物処理助剤保持部の三つの側面が前記汚泥滞留槽の各内壁面と当接するとともに他の一つの側面が前記汚泥滞留槽の他の内壁面と離隔するように前記汚泥滞留槽に収容され、前記一対の汚泥通流面を通流した汚泥が前記汚泥滞留槽の内壁面と前記生物処理助剤保持部の側面との離隔領域を流れる汚泥の循環流が形成されている点にある。
上述の構成によれば、生物処理助剤保持部の三つの側面を汚泥滞留槽の壁面と共有化でき、また生物処理助剤保持部に循環供給される汚泥の循環流路が、汚泥滞留槽の内壁面と生物処理助剤保持部の側面との離隔領域のみに形成されるので、その離隔領域に形成される循環流路のうち生物処理助剤保持部の上流側にのみフィルタ機構を設置すればよいので、簡素な構造が実現できる。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記排出部に開閉機構が設けられ、前記フィルタ機構は前記排出部の閉塞時に前記生物処理助剤保持部への汚泥の循環流から夾雑物を捕捉し、捕捉した夾雑物が前記排出部の開放時に前記排出部に流れ出す汚泥に同伴して排出されるように、前記生物処理助剤保持部と前記排出部との間に配置されている点にある。
上述の構成によれば、循環機構によって生物処理助剤保持部に向けて汚泥が循環供給されている状態で、開閉機構によって排出部が開放されると、汚泥滞留槽内の汚泥が排出部から排出されるように流れるようになる。生物処理助剤保持部と排出部との間に配置されフィルタ機構に捕捉されている夾雑物は、このとき、循環流とは逆方向に流れる汚泥の流れによってフィルタ機構から離脱し、そのまま汚泥の流れに同伴して排出部から排出されるので、フィルタ機構を人為的にクリーニングする必要がなくなる。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、少なくとも前記循環機構が作動しているときに前記排出部が開放されるように構成されている点にある。
循環機構が作動することにより汚泥滞留槽内の汚泥が生物処理助剤保持部に向けて循環し、効率的に汚泥に生物処理助剤が溶出する。そして、排出部の開放時に循環機構が作動していれば、汚泥中の夾雑物の生物処理助剤保持部や循環機構への汚泥の逆流が回避でき、従って生物処理助剤保持部や循環機構の詰まりが回避できる。例えば、汚泥の水位が生物処理助剤保持部の上面より低下するまでの間、循環機構が作動していればよい。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記循環機構が汚泥に上向流を発生させて前記生物処理助剤保持部に導く散気機構で構成されている点にある。
生物処理助剤保持部の下方に配置された散気機構から供給される散気によって、汚泥に生物処理助剤保持部の下方から上方へ向かう上向流が発生する。この上向流によって、生物処理助剤保持部の下方から上方に汚泥が通流する循環流が形成されるようになる。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記汚泥滞留槽は前記排出部の設置位置及び前記生物処理助剤保持部の上面より高い位置に汚泥を流出させる流出部が設けられている点にある。
生物処理助剤が溶出した汚泥を連続的に生物処理槽に返送する必要がある場合には、汚泥滞留槽の汚泥水位を流出部及び生物処理助剤保持部の上面より高所に設けることにより、汚泥を生物処理助剤保持部に安定的に循環させることができ、生物処理助剤が溶出した汚泥を流出部から流出させて生物処理槽へ返送することが可能になる。
同第の特徴構成は、同請求項に記載した通り、上述の第一から第の何れかの特徴構成に加えて、前記フィルタ機構は耐腐食性の金属材料、樹脂材料またはセラミック材料で構成されている点にある。
汚泥に腐食性物質が含まれていてもフィルタ機構が耐腐食性の金属材料、樹脂材料またはセラミック材料で構成されていれば腐食を回避することができる。
本発明による水処理設備の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、有機性排水から固形異物を除去する前処理設備と、前記前処理設備で固形異物が除去された有機性排水を生物処理する単一または複数の生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水を固液分離する固液分離槽とを備えている水処理設備であって、前記水処理設備から引き抜いた汚泥の一部を前記水処理設備へ返送する汚泥返送経路に上述した第一から第の何れかの特徴構成を備えた生物処理用リアクターが組み込まれている点にある。
生物処理用リアクターによって汚泥中の特定微生物群が優占化されるようになるので、このような微生物叢による生物処理によって悪臭発生の軽減や、余剰汚泥の発生量の低減が可能な水処理設備を実現することができるようになる。
本発明による生物処理用リアクターの運転方法の第一の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、生物処理助剤に汚泥を接触させて特定微生物群を優占化する生物処理用リアクターの運転方法であって、有機性排水を生物処理する水処理設備から汚泥滞留槽に所定量の汚泥を流入させた後に汚泥の流入を停止する汚泥流入ステップと、前記汚泥流入ステップで流入した汚泥を前記汚泥滞留槽に収容された生物処理助剤保持部に循環供給するとともに、前記生物処理助剤保持部よりも汚泥循環流の上流側に備えたフィルタ機構で夾雑物を捕捉する汚泥循環ステップと、前記汚泥循環ステップで前記フィルタ機構に捕捉された夾雑物とともに前記汚泥滞留槽に貯留された汚泥を前記水処理設備に返送する汚泥排出ステップと、を含む点にある。
汚泥流入ステップで汚泥滞留槽に流入した汚泥は、汚泥循環ステップで生物処理助剤と接触することにより生物処理助剤が溶出する。その際汚泥循環流の上流側でフィルタ機構によって夾雑物が捕捉されるので生物処理助剤保持部に夾雑物が絡まったり詰まったりすることが無く、効率的に生物処理助剤が溶出するようになる。フィルタ機構によって捕捉された夾雑物は汚泥排出ステップで汚泥に同伴して排出されるので、フィルタ機構をクリーニングするメンテナンス作業も軽減される。そして、汚泥排出ステップで生物処理助剤が溶出した汚泥が夾雑物とともに生物処理槽に返送されて特定微生物群が優占化されるようになる。その結果、臭気ガスの発生が抑制され、余剰汚泥の発生も効果的に低減されるようになる。
同第二の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、生物処理助剤に汚泥を接触させて特定微生物群を優占化する生物処理用リアクターの運転方法であって、有機性排水を生物処理する水処理設備から汚泥滞留槽に汚泥を流入させる汚泥流入ステップと、前記汚泥流入ステップの実行中に、流入した汚泥を前記汚泥滞留槽に収容された生物処理助剤保持部に循環供給するとともに、前記生物処理助剤保持部よりも汚泥循環流の上流側で夾雑物を捕捉する汚泥循環ステップと、前記汚泥循環ステップの実行中に、前記生物処理助剤保持部に循環供給された汚泥の一部を前記汚泥滞留槽から継続的に流出させる汚泥流出ステップと、前記汚泥流出ステップの実行中に、前記汚泥循環ステップで捕捉された夾雑物とともに汚泥を前記汚泥滞留槽の下部から間歇的に排出する汚泥排出ステップと、を含む点にある。
汚泥流入ステップで汚泥滞留槽に流入した汚泥は、汚泥循環ステップで生物処理助剤と接触することにより生物処理助剤が溶出する。その際汚泥循環流の上流側で夾雑物が捕捉されるので生物処理助剤保持部に夾雑物が絡まったり詰まったりすることが無く、効率的に生物処理助剤が溶出するようになる。生物処理助剤が溶出した汚泥は汚泥流出ステップで継続的に流出して、例えば水処理設備に返送されるので水処理設備では臭気ガスの発生が抑制され、余剰汚泥の発生も効果的に低減されるようになる。しかも、汚泥滞留槽で捕捉された夾雑物は所定インタバルで繰り返される汚泥排出ステップで汚泥滞留槽の下部から汚泥とともに排出されるので、長期に渡り安定的に生物処理用リアクターを稼働させることができるようになる。
同第三の特徴構成は、同請求項13に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記汚泥排出ステップは、少なくとも汚泥循環流を維持した状態で汚泥の排出を開始する点にある。
例えば、汚泥の水位が生物処理助剤保持部の上面より低下するまでの間、汚泥循環流が維持されていれば、汚泥中の夾雑物が生物処理助剤に絡みつくようなことが回避できる。
以上説明した通り、本発明によれば、処理槽に大きな開口を備えていない、し尿や浄化槽汚泥等の有機性排水を処理する水処理設備であっても容易に設置でき、長期に亘りメンテナンスしなくても夾雑物によって生物処理助剤収容部が閉塞することが防止できる生物処理用リアクター、水処理設備、及び生物処理用リアクターの運転方法を提供することができるようになった。
本発明による生物処理用リアクターが設置される水処理設備の概略図 生物処理用リアクターの斜視図 生物処理用リアクターの生物処理助剤保持部の拡大図 生物処理用リアクターの運転方法を示す説明図であって、(a)は汚泥流入ステップの説明図、(b)は汚泥循環ステップの説明図、(c),(d)は汚泥排出ステップの説明図 生物処理用リアクターのフィルタ機構による夾雑物の捕捉及び排出の説明図であって、(a),(b)は夾雑物の捕捉、(c)は夾雑物の排出を示す説明図 生物処理用リアクターの循環機構、流入管バルブ、及び排出管バルブの制御状態を示すタイムチャート (a),(b),(c),(d)は生物処理用リアクターの別実施形態の説明図 (a),(b)は生物処理用リアクターの別実施形態の説明図 別実施形態の生物処理用リアクターの運転方法を示す説明図であって、(a)は汚泥流入ステップの説明図、(b)は汚泥循環ステップの説明図、(c)は汚泥排出ステップの説明図 生物処理用リアクターの別実施形態の説明図
以下、本発明による生物処理用リアクター、水処理設備、及び生物処理用リアクターの運転方法を説明する。
図1に示すように、生物処理用リアクター(以下、単に「リアクター」と記す。)が設置される水処理設備では、し尿収集車両等によって搬入されたし尿や浄化槽汚泥等の有機性排水が先ず受入槽に投入され、生物処理に適さないし渣等の固形異物が前処理設備で除去された有機性排水が貯留槽に貯留された後、深層反応槽、硝化槽、脱窒槽及び再曝気槽等の生物処理槽で生物処理される。
深層反応槽は無酸素状態と好気状態とが数時間間隔で切り替え可能に構成されており、1つの槽で2通りの生物処理が行える。また、通常の生物処理槽よりも深い10m程度の深さを有するため、槽底付近では水圧が高く酸素の溶存効率が高くなり、高効率の好気性処理ができる。
硝化槽は散気装置によって好気状態に維持され、好気性微生物によってアンモニアが硝化、つまり硝酸イオン及び亜硝酸イオンに分解されるとともに、正リン酸が取り込まれる。硝化槽で生物処理された有機性排水は嫌気状態に維持される脱窒素槽に移送されて脱窒素処理され、その後再曝気槽で再度好気状態にされた後に固液分離槽の一例である沈殿槽で固液分離される。
固液分離された液体成分は分離液貯留槽、凝集分離設備、高度処理設備、消毒設備を経て放流される。一方、固体成分は濃縮槽、汚泥貯留槽、汚泥脱水機を経て、最終的に場外へ搬出されて処理される。尚、脱水機で発生した液体成分は雑排水槽を経由して生物処理槽へと戻される。沈殿槽に流入した汚泥の一部は返送汚泥として汚泥返送経路を通じて深層反応槽へ返送される。
本発明によるリアクターは、このような水処理設備において、再曝気槽から沈殿槽へと引き抜いた余剰汚泥の一部を深層反応槽へと返送する汚泥返送経路の分岐路に設置される。
図2に示すように、本発明によるリアクター10は、生物処理助剤保持部11と、汚泥滞留槽12と、流入部としての流入管13と、排出部としての排出管14と、流出部としての流出管15と、循環機構16と、フィルタ機構17を備えている。
生物処理助剤保持部11は、返送汚泥中の特定微生物群を優占化する生物処理助剤が充填されている。汚泥滞留槽12は内部に生物処理助剤保持部11を収容し、返送汚泥と生物処理助剤とを接触させて生物処理助剤を返送汚泥に溶出させる槽である。循環機構16は汚泥滞留槽12内の汚泥を生物処理助剤保持部11に循環供給して積極的に生物処理助剤を返送汚泥に溶出させる機構であり、フィルタ機構17は生物処理助剤保持部11に流入する汚泥に含まれる夾雑物を捕捉する機構である。
流入管13は、汚泥返送経路の汚泥の一部を汚泥滞留槽12へ受け入れる管で開閉バルブ(図1参照)が設けられている。排出管14は汚泥滞留槽12内の汚泥を排出し、深層反応槽へ返送する管で、同様に開閉バルブ(図1参照)が設けられている。流出管15は生物処理助剤が溶出した汚泥を汚泥滞留槽12から溢流させ、深層反応槽へと返送する管である。
本実施形態では、生物処理助剤保持部11及び汚泥滞留槽12は何れも直方体の槽である。また、生物処理助剤保持部11の側面のうちで、図2手前側以外の面は汚泥滞留槽12に接している。
上述したように流入管13及び排出管14にはそれぞれ開閉機構を構成するバルブが設けられている。流入管13のバルブが開いて汚泥滞留槽12へ流入した汚泥は、循環機構16により槽内を循環しながらフィルタ機構17により夾雑物が捕捉されて生物処理助剤保持部11へ循環供給され、排出管14に設けられたバルブが開いたときに排出される。また、排出管14の取付位置及び生物処理助剤保持部11の上面11bより高い位置に流出管15が設けられ、流出管15の高さに到達した汚泥を溢流させるように構成されている。
循環機構16は、生物処理助剤保持部11の下方に配置され、上向流を発生させる散気機構で構成されている。このため返送汚泥には生物処理助剤保持部11の底面11aから収容部へ流入し、上面11bから流出し、生物処理助剤保持部11の側部を通過する経路に沿って下降する循環流が形成される。
即ち、平面視矩形に形成された生物処理助剤保持部11の三つの側面が汚泥滞留槽12の各内壁面と当接するとともに他の一つの側面が汚泥滞留槽12の他の内壁面と離隔するように汚泥滞留槽12に収容され、一対の汚泥通流面を通流した汚泥が汚泥滞留槽12の内壁面と生物処理助剤保持部11の側面との離隔領域R(図4参照)を流れるように汚泥の循環流が形成されている。
フィルタ機構17は耐腐食性を有するSUS304のパンチングメタルで構成され、生物処理助剤保持部11に返送汚泥が流入する底面11aの上流側に設けられている。
汚泥に含まれる夾雑物は生物処理槽で処理される前に前処理設備で大半が除去されるが、全てを除去することは不可能であり、除去されずに残った夾雑物が返送汚泥にも含まれている。フィルタ機構17は、夾雑物が底面11aに絡まって閉塞したり、循環流の流れを阻害したりすることによって、生物処理助剤の溶出が妨げられないように、そのような夾雑物を事前に捕捉する。
当該フィルタ機構17は生物処理助剤保持部11と排出管14の間に設置されている。そのため、排出管14のバルブを開いて汚泥を排出する際に、汚泥が循環流の通流方向とは逆方向にフィルタ機構17を通流して、フィルタ機構17に捕捉された夾雑物が離脱して汚泥とともに排出管14から排出されるように構成されている。尚、フィルタ機構17を構成するパンチングメタルの孔の形状は、例えば円形や矩形、多角形、スリット形状、或いはそれらの組み合わせ等であってもよい。
図3に示すように、生物処理助剤保持部11の底面11a及び上面11bは返送汚泥が通流可能な汚泥通流面としてフィルタ機構17と同様の開孔を有するパンチングメタルで構成されるとともに、内部に生物処理助剤11dが収容される収容部11cが設けられている。汚泥は底面11aを介して収容部11cに流入し、上面11bを介して収容部11cから流出する。その際に生物処理助剤11dが汚泥に溶出する。尚、生物処理助剤保持部11の側面には開孔が形成されておらず、汚泥が通流することはない。
排出管14から汚泥を排出する際に排出管14の開放と同時に循環機構16を停止させると、上面11bより上方の夾雑物を含む汚泥が生物処理助剤保持部11に流入するため、上面11b側がそのような夾雑物で閉塞する虞がある。そのため、少なくとも循環機構16が作動しているときに排出管14が開放されるように構成されていることが好ましく、排出管14の開放より遅れて、例えば汚泥の高さが上面11bより低くなってから循環機構16を停止させることが好ましい。
生物処理槽から引き抜かれた余剰汚泥の一部を返送汚泥として生物処理槽に返送する汚泥返送経路にリアクター10が配置されるので、既存の各処理槽に対して大掛かりな改造を施す必要もなく、生物処理後の返送汚泥に含まれる硫化水素等の腐食性物質の濃度も極めて低いため、生物処理助剤保持部等が腐食するようなこともない。
尚、本実施形態で説明した生物処理助剤保持部11、汚泥滞留槽12、フィルタ機構17の寸法は、一例であり、本発明がこれらの数値に制限されるものではない。
このようなリアクター10の運転方法は、汚泥流入ステップ、汚泥循環ステップ、及び汚泥排出ステップから成る。以下に、本発明によるリアクター10の運転方法を説明する。
図4(a)に示すように、汚泥流入ステップでは排出管14に設けられたバルブを閉じ、循環機構16を作動させた状態で流入管13のバルブを開放し、汚泥滞留槽12に所定量の返送汚泥を流入させる。
図4(b)に示すように、汚泥循環ステップでは流入管13のバルブを閉じ、返送汚泥が流入しない状態で循環機構16は継続して作動させ、返送汚泥を汚泥滞留槽12内で循環させて生物処理助剤保持部11内の生物処理助剤に循環供給する。この時、返送汚泥に含まれる夾雑物はフィルタ機構17に捕捉されるため、生物処理助剤保持部11へは侵入しない。
図4(c)に示すように、汚泥排出ステップでは循環機構16を停止させ、排出管14のバルブを開放して返送汚泥を排出管14から排出する。この時、フィルタ機構17に捕捉されていた夾雑物は返送汚泥とともに排出される。尚、返送汚泥が生物処理助剤保持部11の上面11bより高い間は循環機構16を停止させず、生物処理助剤保持部11の上方に存在する汚泥が上面11bから逆流することを防止してもよい。
このようなステップにより、生物処理助剤保持部11に充填された生物処理助剤11dが汚泥中に溶出し、その汚泥が深層反応槽へ返送されることで、深層反応槽及びその下流の生物処理槽で特定微生物群が優占化される。
その結果、汚泥の腐敗が抑制され生物処理槽での汚泥の濃縮性及び沈殿性が改善して悪臭を防除するとともに、汚泥発生量を低減することができ、且つ返送汚泥に含まれる夾雑物によるリアクター10の閉塞を回避することができる。
即ち、本発明によるリアクターの運転方法は、有機性排水を生物処理する水処理設備から汚泥滞留槽に所定量の汚泥を流入させた後に汚泥の流入を停止する汚泥流入ステップと、汚泥流入ステップで流入した汚泥を汚泥滞留槽に収容された生物処理助剤保持部に循環供給するとともに、生物処理助剤保持部への汚泥循環流の上流側で夾雑物を捕捉する汚泥循環ステップと、汚泥循環ステップで捕捉された夾雑物とともに汚泥を汚泥滞留槽から排出する汚泥排出ステップとを備えて構成されている。尚、汚泥排出ステップは、少なくとも汚泥循環流を維持した状態で汚泥の排出を開始することが好ましい。
本実施形態では生物処理助剤11dとして、ペレット状に成形した腐植成分やミネラル塊、詳しくは腐植、腐植抽出物、フミン酸、フルボ酸、珪砂、珪石等のうちの一種または複数種が用いられている。このような成分からなる生物処理助剤を用いると通性嫌気性菌である土壌微生物群が優占化され、例えばバチルス属細菌のような土壌微生物群が優占化される。
尚、上述した通りリアクター10は汚泥返送経路の分岐路に設置されているため、リアクター10とは並行して汚泥返送経路から常時汚泥は返送されている。生物処理助剤が溶出した返送汚泥を連続的に生物処理槽に返送する必要がある場合には、排出管14の取付位置及び生物処理助剤保持部11の上面11bより高い位置に返送汚泥を溢流させる流出管15を設け、流入管13のバルブを解放状態に維持して汚泥滞留槽12の汚泥水位を流出管15の高さ以上に維持することにより、流出管15から溢流した返送汚泥を生物処理槽へ返送することが可能になる。
即ち、生物処理助剤が溶出した返送汚泥を連続的に生物処理槽に返送する場合における本発明によるリアクターの運転方法は、有機性排水を生物処理する水処理設備から汚泥滞留槽に汚泥を流入させる汚泥流入ステップと、汚泥流入ステップの実行中に、流入した汚泥を汚泥滞留槽に収容された生物処理助剤保持部に循環供給するとともに、生物処理助剤保持部への汚泥循環流の上流側で夾雑物を捕捉する汚泥循環ステップと、汚泥循環ステップの実行中に、生物処理助剤保持部に循環供給された汚泥の一部を汚泥滞留槽の上部から溢流させる汚泥流出ステップと、汚泥流出ステップの実行中に所定インタバルで繰り返され、汚泥循環ステップで捕捉された夾雑物とともに汚泥を汚泥滞留槽の下部から排出する汚泥排出ステップとを備えて構成することが好ましい。
上述の構成によれば、汚泥滞留槽で捕捉された夾雑物は所定インタバルで繰り返される汚泥排出ステップで汚泥滞留槽の下部から汚泥とともに排出されるので、生物処理助剤が溶出した返送汚泥を連続的に生物処理槽12に返送しながらも、長期に渡り安定的に生物処理用リアクターを稼働させることができるようになる。
図5(a)〜(c)を用いてリアクター10の運転時におけるフィルタ機構17の作用について説明する。汚泥の循環に伴い、生物処理助剤保持部11の上流側に配置されたフィルタ機構17によって汚泥に含まれる夾雑物が捕捉される(図5(a))。汚泥の循環が継続すると、より多くの夾雑物がフィルタ機構17に捕捉されることとなる(図5(b))。排出管14のバルブを開いて返送汚泥を排出すると、返送汚泥はフィルタ機構17を循環流とは逆方向に通流するため、フィルタ機構17に捕捉されていた夾雑物はフィルタ機構17を離れ(図5(c))、返送汚泥とともに排出管14から排出される。
図6を用いてリアクターの運転における循環機構16、流入管13のバルブ、及び排出管14のバルブの制御について説明する。時刻t0に汚泥流入ステップが開始されると、排出管14のバルブを閉じた状態で流入管13のバルブを開くとともに循環機構16を作動させる。
時刻t1で所定量の汚泥が汚泥滞留槽12に流入し、汚泥流入ステップから汚泥循環ステップへ移行すると、流入管13のバルブは閉じられるが循環機構16は引き続き作動させ、汚泥を汚泥滞留槽12内で循環させる。
時刻t2で汚泥循環ステップが終了し、汚泥排出ステップが開始されると排出管14のバルブを開いて汚泥の排出を開始する。この際、循環機構16は即座に停止させるのではなく、汚泥が排出されて汚泥の高さが生物処理助剤保持部11の上面11bより低くなった時刻t3で停止するように制御する。このように制御することによって、排出管14のバルブを開くことによる、生物処理助剤保持部11への夾雑物の吸込みを防止することができる。時刻t4(=t0)において所定量の汚泥を排出した後は排出管14のバルブを閉じ、流入管13のバルブを開くとともに循環機構16を作動させ、再度汚泥流入ステップが開始される。汚泥排出ステップは所定のインタバルで繰り返され、フィルタ機構17に捕捉されていた夾雑物が返送汚泥とともに排出管14から排出される。
尚、上述の実施形態では汚泥流入ステップの開始時点から循環機構16を作動させたが、汚泥流入ステップ開始時点では循環機構16を停止させておいて、汚泥循環ステップの開始時までの任意のタイミングで作動を開始させるように制御してもよい。
また、流入管13のバルブを閉じずに、或いはバルブを設けずに汚泥を常に汚泥滞留槽12に流入させ続け、汚泥滞留槽12の容量を超えた汚泥は流出管15から溢流させるようにすることもできる。そのような場合には、汚泥返送経路を2つに分岐させずに単一の汚泥返送経路の一部として設置することもできる。
本発明は、生物処理槽へ返送される汚泥量に対して、80%以上をリアクターへ流入させるように運転するのが好ましい。尚、返送される汚泥量は通常、有機性排水の投入量Qに対して3Q〜5Qである。
以下に、本発明によるリアクターの別実施形態を示す。
上述した実施形態では、汚泥汚泥滞留槽12に設置された生物処理助剤保持部11の直上から汚泥が落水するように流入管13が配置されているが、夾雑物が混入した汚泥が生物処理助剤保持部11に直接落水しないように、生物処理助剤保持部11の上方にガイド板を設けて、汚泥滞留槽12の内壁面と生物処理助剤保持部11の側面との離隔領域Rに案内するように構成してもよい。
また、図9(a)から(c)に示すように、流入管13と流出管15の取付位置を逆にしてもよい。このように構成すれば、流入管13から流入する汚泥が離隔領域Rに落水し、生物処理助剤保持部11の直上から汚泥が落水することがないので、生物処理助剤保持部11に直接夾雑物が侵入することが回避できる。
図7(a)に示すように、流出管15(図4参照)を設けず、汚泥滞留槽12に流入した汚泥を全て排出管14から排出するように構成してもよい。
また図7(b)に示すように、流入管13を汚泥滞留槽12の中で排出管14及び流出管15と同じ面に設けてもよい。
フィルタ機構17のフィルタ面の設置姿勢は垂直に限定されるものではなく、例えば図7(c)に示すように水平に設けることもできる。ただし、そのような場合であってもフィルタ機構17が生物処理助剤保持部11と排出管14との間に配置され、捕捉した夾雑物が排出管から汚泥が排出される際に汚泥に同伴して排出されるように構成されていることが必要である点に留意する必要がある。例えば図7(c)の場合は排出管14を他の実施形態と比較してフィルタ機構17よりも高い位置に設けることで、汚泥の排出時にフィルタ機構17に捕捉された夾雑物が汚泥とともに排出されるように構成している。
図7(d)に示すように、生物処理助剤保持部11を汚泥滞留槽12の2つの側壁から離隔した位置に設置してもよい。この場合にも図7(b)に示した態様と同様、空の汚泥滞留槽12に流入管13から汚泥を流入させる場合に汚泥が生物処理助剤保持部11に直接落水しないため、生物処理助剤保持部11の上面11bが夾雑物により閉塞する虞を低減できる。この場合、汚泥滞留槽12から離隔した生物処理助剤保持部11の側面夫々の下方にフィルタ機構17を設けるとともに、フィルタ機構17の夫々に対応する汚泥滞留槽12の側壁に排出管14を設けることが望ましい。また、生物処理助剤保持部11を汚泥滞留槽12の3つ以上の側壁から離隔した位置に設置してもよく、その場合もフィルタ機構17及び排出管14を、汚泥滞留槽12の側壁と離隔している生物処理助剤保持部11の側面毎に設けることが望ましい。
図8(a)に示すように、循環機構16として散気機構ではなく回転翼を用いることもできる。回転翼は散気機構とは異なり、設置位置の両側に一方向流を発生させることができるため、図8(b)に示すように循環機構16を生物処理助剤保持部11の上方に設置しても生物処理助剤保持部11内に上向流を発生させることができる。またこの場合、排出管14のバルブを開放して汚泥を排出する際に回転翼を停止させるのではなく、逆回転させて下降流を発生させ、汚泥の排出を促すように構成してもよい。
フィルタ機構17及び生物処理助剤保持部11の底面11a及び上面11bとしてパンチングメタルの他にメッシュやグレーチング、不織布等を用いてもよく、要は夾雑物を捕捉しながら汚泥を通流させることができればどのようなものであっても構わない。更に、フィルタ機構17、底面11a及び上面11bが同種の部材に統一される必要はない。
尚、フィルタ機構17によっても汚泥中の夾雑物を完全に除去することは困難であり、生物処理助剤保持部11へ流入する夾雑物が存在することが想定される。そのような夾雑物が生物処理助剤保持部11の底面11a等の汚泥通流面に捕捉されると、上述の通り循環経路の閉塞や設備の損傷に至る虞があるため、汚泥通流面はフィルタ機構17より夾雑物を捕捉しにくいように構成することが好ましい。
例えばフィルタ機構17及び汚泥通流面が何れもパンチングメタルで構成されている場合、フィルタ機構17に形成された孔部のサイズが汚泥通流面の孔部のサイズより小さく、フィルタ機構17に形成された孔部の密度が汚泥通流面の孔部の密度より大きければ、フィルタ機構17で捕捉されなかった夾雑物が汚泥通流面に捕捉される虞が小さくなる。
フィルタ機構17を構成する素材は耐腐食性を有するのであればSUS304に限らず、例えばSUS316等の耐腐食性を有する別の金属素材やFRPのような樹脂素材、或いはセラミック素材であってもよい。
また、フィルタ機構17をネジ留め等の取外し及び取付けが可能な手段で固定すれば、メンテナンス等のために汚泥を排出した際に容易に交換できるため好ましい。フィルタ機構17は生物処理助剤11dを支持する機能を持たないため、交換時に一時的に取り外しても生物処理助剤11dが落下する等の問題は発生しない。
流入管13及び排出管14に設ける開閉機構としてのバルブは閉止時に汚泥の流れを遮断できるものであればどのようなものでも良く、例えば電磁弁、電動弁や圧空式、手動式等のバルブを好適に用いることができる。また、流入管13及び排出管14に設けるバルブの種類は必ずしも一致させる必要はない。さらに開閉機構としてポンプを採用することも可能であり、当該ポンプによって汚泥を吸引または排出し、或いは汚泥の吸引または排出を停止することができる。
上述の実施形態では流出管15を排出管14の取付位置及び生物処理助剤保持部11の上面11bより高い位置に流出管15を設け、汚泥を溢流させる汚泥流出ステップを実行したが、例えば図10に示すように、生物処理助剤保持部11の上面11bより低い位置に流出管15をバルブとともに設け、所定のタイミングでバルブを開放して汚泥を流出させる汚泥流出ステップを実行するように構成してもよい。
上述の実施形態では汚泥循環ステップから汚泥排出ステップへ移行する際、循環機構16を排出管14のバルブの開放後、汚泥が排出されて汚泥の高さが生物処理助剤保持部11の上面11bより低くなったときに停止させたが、そのようなタイミングに限定されるものではなく、例えば循環機構16が散気機構である場合に図4(c)に示すような水位では循環機構16を停止させず、図4(d)に示すように、汚泥の水位が上面の散気孔より低くなってから停止すれば、汚泥が散気孔に詰まる虞を回避できる。または、汚泥滞留槽12内の汚泥を全て排出してから停止させてもよい。
上述の実施形態では、本発明によるリアクターを深層反応槽、硝化槽、脱窒槽、及び再曝気槽を備えた水処理設備に設置したが、有機性排水を生物処理する水処理設備で、余剰汚泥の一部を生物処理槽に返送する汚泥返送経路があれば上述の実施形態に関わらず本発明によるリアクターを設置することが可能である。また当該水処理設備での処理対象も、有機性排水であればし尿や浄化槽汚泥等に限定されず、例えば食品工場等の排水を処理する水処理設備にも適用できる。
上述した実施形態ではリアクター10を汚泥返送経路の分岐路に設置し、汚泥の一部がリアクター10を経由せずに生物処理槽に返送されていたが、汚泥返送経路を分岐させず、全量の汚泥がリアクターを通るように構成してもよい。
上述した実施形態は本発明の一態様であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成や制御態様は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
10:リアクター
11:生物処理助剤保持部
12:汚泥滞留槽
13:流入部(流入管)
14:排出部(排出管)
15:流出部(流出管)
16:循環機構
17:フィルタ機構
R:離隔領域

Claims (13)

  1. 汚泥中の特定微生物群を優占化する生物処理助剤が充填された生物処理助剤保持部と、前記生物処理助剤保持部が収容された汚泥滞留槽と、水処理設備の汚泥返送経路の汚泥を前記汚泥滞留槽に受け入れる流入部と、受け入れた汚泥を前記水処理設備に返送する排出部と、前記流入部から流入した汚泥を前記汚泥滞留槽内で前記生物処理助剤保持部に循環供給する循環機構と、前記循環機構によって前記生物処理助剤保持部に循環供給される汚泥から夾雑物を捕捉するべく前記循環機構によって形成される循環流の前記生物処理助剤保持部よりも上流側に配置されているフィルタ機構と、を備える生物処理用リアクター。
  2. 前記排出部は前記生物処理助剤保持部より低い位置に設けられ、前記フィルタ機構により捕捉した夾雑物が前記排出部から前記水処理設備に返送される汚泥に同伴して排出されるように、前記フィルタ機構は前記生物処理助剤保持部より低い位置に配置されている請求項1記載の生物処理用リアクター。
  3. 前記生物処理助剤保持部は、生物処理助剤を収容する収容部と、前記収容部に収容された生物処理助剤を保持するとともに汚泥を通流させる一対の汚泥通流面が設けられ、前記汚泥通流面を介して前記収容部に汚泥が循環するように構成され、前記汚泥通流面のうち汚泥の流入側よりも上流に前記フィルタ機構が配置されている請求項1または2記載の生物処理用リアクター。
  4. 平面視矩形に形成された前記生物処理助剤保持部の三つの側面が前記汚泥滞留槽の各内壁面と当接するとともに他の一つの側面が前記汚泥滞留槽の他の内壁面と離隔するように前記汚泥滞留槽に収容され、前記一対の汚泥通流面を通流した汚泥が前記汚泥滞留槽の内壁面と前記生物処理助剤保持部の側面との離隔領域を流れる汚泥の循環流が形成されている請求項記載の生物処理用リアクター。
  5. 前記排出部に開閉機構が設けられ、前記フィルタ機構は前記排出部の閉塞時に前記生物処理助剤保持部への汚泥の循環流から夾雑物を捕捉し、捕捉した夾雑物が前記排出部の開放時に前記排出部に流れ出す汚泥に同伴して排出されるように、前記生物処理助剤保持部と前記排出部との間に配置されている請求項1からの何れかに記載の生物処理用リアクター。
  6. 少なくとも前記循環機構が作動しているときに前記排出部が開放されるように構成されている請求項1からの何れかに記載の生物処理用リアクター。
  7. 前記循環機構が汚泥に上向流を発生させて前記生物処理助剤保持部に導く散気機構で構成されている請求項1からの何れかに記載の生物処理用リアクター。
  8. 前記汚泥滞留槽は前記排出部の設置位置及び前記生物処理助剤保持部の上面より高い位置に汚泥を流出させる流出部が設けられている請求項1からの何れかに記載の生物処理用リアクター。
  9. 前記フィルタ機構は耐腐食性の金属材料、樹脂材料またはセラミック材料で構成されている請求項1からの何れかに記載の生物処理用リアクター。
  10. 有機性排水から固形異物を除去する前処理設備と、前記前処理設備で固形異物が除去された有機性排水を生物処理する単一または複数の生物処理槽と、前記生物処理槽で生物処理された有機性排水を固液分離する固液分離槽とを備えている水処理設備であって、
    前記水処理設備から引き抜いた汚泥の一部を前記水処理設備へ返送する汚泥返送経路に請求項1からの何れかに記載の生物処理用リアクターが組み込まれている水処理設備。
  11. 生物処理助剤に汚泥を接触させて特定微生物群を優占化する生物処理用リアクターの運転方法であって、
    有機性排水を生物処理する水処理設備から汚泥滞留槽に所定量の汚泥を流入させた後に汚泥の流入を停止する汚泥流入ステップと、
    前記汚泥流入ステップで流入した汚泥を前記汚泥滞留槽に収容された生物処理助剤保持部に循環供給するとともに、前記生物処理助剤保持部よりも汚泥循環流の上流側に備えたフィルタ機構で夾雑物を捕捉する汚泥循環ステップと、
    前記汚泥循環ステップで前記フィルタ機構に捕捉された夾雑物とともに前記汚泥滞留槽に貯留された汚泥を前記水処理設備に返送する汚泥排出ステップと、
    を含む生物処理用リアクターの運転方法。
  12. 生物処理助剤に汚泥を接触させて特定微生物群を優占化する生物処理用リアクターの運転方法であって、
    有機性排水を生物処理する水処理設備から汚泥滞留槽に汚泥を流入させる汚泥流入ステップと、
    前記汚泥流入ステップの実行中に、流入した汚泥を前記汚泥滞留槽に収容された生物処理助剤保持部に循環供給するとともに、前記生物処理助剤保持部よりも汚泥循環流の上流側で夾雑物を捕捉する汚泥循環ステップと、
    前記汚泥循環ステップの実行中に、前記生物処理助剤保持部に循環供給された汚泥の一部を前記汚泥滞留槽から継続的に流出させる汚泥流出ステップと、
    前記汚泥流出ステップの実行中に、前記汚泥循環ステップで捕捉された夾雑物とともに汚泥を前記汚泥滞留槽の下部から間歇的に排出する汚泥排出ステップと、
    を含む生物処理用リアクターの運転方法。
  13. 前記汚泥排出ステップは、少なくとも汚泥循環流を維持した状態で汚泥の排出を開始する請求項11または12記載の生物処理用リアクターの運転方法。
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