以下、本発明の一実施形態を、図1〜図16(B)を用いて説明する。
図1には、一実施形態に係る基板貼合装置100の構成が概略的に示されている。後述するように本実施形態では顕微鏡51,52が設けられており、それらの光軸(それぞれの検出中心を通る。)をZ軸、光軸に直交する面内で図1における紙面内左右方向をX軸方向、及び紙面垂直方向をY軸方向とし、X軸、Y軸、及びZ軸回りの回転(傾斜)方向をそれぞれθx、θy、及びθz方向とする。
基板貼合装置100は、枠体10、固定ステージ装置20、移動ステージ装置30、干渉計41,42、及び制御系(図2参照)を有する。
枠体10は、XY平面に平行な床面(不図示)の上方に水平(床面に平行)に配置された天板部と、天板部の±X端部を下方から支持する側壁部と、床面と平行な表面を有する底板部と、を有する。底板部上にステージ定盤11が設けられている。ステージ定盤11の上面には、後述する移動ステージ31の駆動のためのガイド面が形成されている。枠体10は、基板貼合装置100の他の構成各部を収容する。
固定ステージ装置20は、枠体10の天板部の下方(−Z側)に水平に配置された固定ステージ21と、固定ステージ21を天板部に吊り下げ支持する2つの支持部材22とを備える。
固定ステージ21は、静電チャック、真空チャック等の吸着装置(不図示)を有する。図1等では、固定ステージ21は、吸着装置を用いて基板1を保持した基板ホルダ3を吸着することで、基板1を−Z方向に向けて保持している。
なお、基板ホルダ3(及び後述する基板ホルダ4)は、基板を吸着する静電チャック等が埋設された保持面と、その保持面外に配置された磁石片5a(磁性体片5b)を有する。後述するように、基板ホルダ3,4は、磁石片5a及び磁性体片5bを用いて、それぞれが保持する基板1,2を貼り合わせた状態で結合する。
固定ステージ21の側部には、顕微鏡51が下向きに(−Z方向に向けて)固定されている。顕微鏡51は、後述する移動ステージ31に保持される基板2のアライメントマークを検出する。
固定ステージ21(本実施形態では顕微鏡51)の−X側面には、反射鏡23がその反射面を−X方向に向けて固定されている。また、固定ステージ21の−Y側面には、X軸方向を長手とする反射鏡(不図示)がその反射面を−Y方向に向けて固定されている。これらの反射鏡は、干渉計41を用いた固定ステージ21の位置計測の際に用いられる。なお、反射鏡に代えて、固定ステージ21の端面を鏡面加工して反射面を形成することとしてもよい。
2つの支持部材22は、固定ステージ21に保持される基板1に加わる負荷を検出するロードセル(不図示)を含む。ロードセルの検出結果は制御部60に送信される。
移動ステージ装置30は、例えばエアベアリングを介してステージ定盤11上に浮上支持されるX駆動部32a、その上に配置されたY駆動部32b、その上に配置された昇降部32c及び揺動部32d、並びにこれらによりほぼ水平に支持された移動ステージ31を備える。
X駆動部32a及びY駆動部32bは、例えばリニアモータ等を含み、移動ステージ31(これを支持する昇降部32c及び揺動部32d)をステージ定盤11のガイド面に沿ってそれぞれX軸方向及びY軸方向に所定ストロークで駆動する。
昇降部32cは、例えばボイスコイルモータ等のアクチュエータ(不図示)を含み、これを用いて移動ステージ31(揺動部32d)をZ軸方向に駆動する。なお、昇降部32cの上面には、凹球面が形成されている。
揺動部32dは、移動ステージ31を支持する。揺動部32dは、昇降部32cの凹球面に当接する凸球面が形成された球座を有し、凹球面の表面をガイドに球座を変位することで、移動ステージ31をθx及びθy方向に傾斜、並びにθz方向に回転する。
上述のX駆動部32a、Y駆動部32b、昇降部32c、及び揺動部32dから移動ステージ駆動部32が構成される(図2参照)。移動ステージ駆動部32を制御することにより、移動ステージ31、すなわちその上に支持される基板2を目標位置に向けて6自由度(X,Y,Z,θx,θy,θz)方向に駆動する。
移動ステージ31は、静電チャック、真空チャック等の吸着装置(不図示)を有する。図1等では、移動ステージ31は、吸着装置を用いて基板2を保持した基板ホルダ4を吸着することで、基板2を+Z方向に向けて保持している。
移動ステージ31の側部には、顕微鏡52が上向きに(+Z方向に向けて)固定されている。顕微鏡52は、固定ステージ21に保持される基板1のアライメントマークを検出する。
移動ステージ31の−X側面には、反射鏡33がその反射面を−X方向に向けて固定されている。また、移動ステージ31の−Y側面には、X軸方向を長手とする反射鏡(不図示)がその反射面を−Y方向に向けて固定されている。これらの反射鏡は、干渉計42を用いた移動ステージ31の位置計測の際に用いられる。なお、反射鏡に代えて、固定ステージ21の端面を鏡面加工して反射面を形成することとしてもよい。
干渉計41は、測長ビームをX軸に平行に反射鏡23に向けて射出し、反射鏡23からの反射光を受光する。また、干渉計41は、X軸方向に離間する2つの測長ビームをY軸に平行に固定ステージ21の−Y側面に固定された反射鏡(不図示)に向けて射出し、その反射鏡からの反射光を受光する。それにより、干渉計41は、固定ステージ21のXY平面内での位置(X,Y,θz)を計測する。また、干渉計41として2軸干渉計を採用することにより、固定ステージ21の傾き(θx,θy)を計測する。
干渉計42は、測長ビームをX軸に平行に反射鏡33に向けて射出し、反射鏡33からの反射光を受光する。また、干渉計42は、X軸方向に離間する2つの測長ビームをY軸に平行に移動ステージ31の−Y側面に固定された反射鏡(不図示)に向けて射出し、その反射鏡からの反射光を受光する。それにより、干渉計42は、移動ステージ31のXY平面内での位置(X,Y,θz)を計測する。また、干渉計42として2軸干渉計を採用することにより、移動ステージ31の傾き(θx,θy)を計測する。
干渉計41,42の計測結果は、制御部60に送信される。制御部60は、これらの計測結果に従って移動ステージ駆動部32(X駆動部32a、Y駆動部32b、昇降部32c、及び揺動部32d)を制御することで、移動ステージ31を駆動する。
図2には、基板貼合装置100の制御系の主要構成が示されている。この制御系は、構成各部を統括的に制御するマイクロコンピュータ(又はワークステーション)から成る制御部60を中心として構成されている。
上述の構成の基板貼合装置100における基板の貼合工程を説明する。
貼合工程の開始に先立って、図1に示されるように、移動ステージ31はステージ定盤11上の−X側の退避領域に退避している。また、基板1を保持した基板ホルダ3が固定ステージ21上に保持され、基板2を保持した基板ホルダ4が移動ステージ31上に保持されている。また、基板1,2のそれぞれについてサーチアライメントが実行されている。また、顕微鏡52(又は顕微鏡51)を用いて基板ホルダ3又は固定ステージ21(基板ホルダ4又は移動ステージ31)上に形成された基準マーク(不図示)を検出するベースライン計測が行われている。これらの詳細は省略する。
図3に示されるように、制御部60は、移動ステージ31を、黒塗り矢印の方向(+X方向)に駆動し、それに固定された顕微鏡52が固定ステージ21に保持された基板1に対向する位置に移動する。これにより、同時に、固定ステージ21に固定された顕微鏡51が移動ステージ31に保持された基板2に対向する。
制御部60は、顕微鏡52を用いて、固定ステージ21に保持された基板1のアライメント計測を行う。ここで、基板1の表面にはマトリクス状に多数のショット領域(回路パターン領域)が配置され、それぞれの領域内に露光により回路パターンが形成されるとともに、アライメントマークが付設されている。
具体的には、制御部60は、干渉計41,42の計測結果(固定ステージ21に対する移動ステージ31の位置)に従って移動ステージ31をX軸及びY軸方向に駆動し、基板1の表面上のアライメントマークを顕微鏡52の視野内に位置決めする。制御部60は、移動ステージ31の位置決め位置を計測するとともに、顕微鏡52を用いてアライメントマークを検出する。位置決め位置の計測結果とアライメントマークの検出結果とから、検出されたアライメントマークのXY位置が求められる。制御部60は、同様の計測を2つ以上のアライメントマークに対して実行する。
制御部60は、顕微鏡51を用いて、移動ステージ31に保持された基板2のアライメント計測を行う。ここで、基板1と同様に、基板2の表面にはマトリクス状に多数のショット領域(回路パターン領域)が配置され、それぞれの領域内に露光により回路パターンが形成されるとともに、アライメントマークが付設されている。
制御部60は、基板1のアライメント計測と同様に、干渉計41,42の計測結果(固定ステージ21に対する移動ステージ31の位置)に従って移動ステージ31をX軸及びY軸方向に駆動し、基板2の表面上のアライメントマークを顕微鏡51の視野内に位置決めする。制御部60は、移動ステージ31の位置決め位置を計測するとともに、顕微鏡51を用いてアライメントマークを検出する。位置決め位置の計測結果とアライメントマークの検出結果とから、検出されたアライメントマークのXY位置が求められる。制御部60は、同様の計測を2つ以上のアライメントマークに対して実行する。
制御部60は、基板1,2のアライメント計測の計測結果とベースライン計測(及びサーチアライメント)の計測結果とを用いて、基板1,2の貼り合わせ位置に対応する移動ステージ31の目標位置を求める。目標位置として、例えば、2つの基板1,2のそれぞれのアライメントマークの間において、対となるアライメントマーク間のXY平面内での相対距離の自乗和が最小となる位置が採用される。
目標位置を決定すると、図4に示されるように、制御部60は、移動ステージ駆動部32(X駆動部32a及びY駆動部32b)を制御して移動ステージ31を黒塗り矢印の方向(+X方向)に駆動して目標位置に位置決めするとともに、揺動部32dを制御して移動ステージ31を傾斜することで、移動ステージ31に保持された基板2を固定ステージ21に保持された基板1に位置合わせする。
図5に示されるように、制御部60は、昇降部32cを制御して移動ステージ31を黒塗り矢印の方向(+Z方向)に駆動することで、移動ステージ31を固定ステージ21に近接し、両ステージに保持された基板1,2を重ね合わせる。この時、基板ホルダ3上の磁石片5aと基板ホルダ4上の磁性体片5bとにより、基板ホルダ3,4が重ね合わされた基板1,2を間に挟んだ状態で固定される。
制御部60は、固定ステージ21による基板ホルダ3の吸着を解除し、移動ステージ31を下降する。それにより、固定された基板ホルダ3,4が固定ステージ21から離間する。さらに、制御部60は、移動ステージ31を退避領域に移動し、移動ステージ31による基板ホルダ4の吸着を解除し、固定された基板ホルダ3,4を搬送装置(不図示)を用いて基板貼合装置100外に搬出する。
基板貼合装置100から搬出された基板ホルダ3,4は、加熱装置(不図示)に搬送され、加熱工程等の処理が行われることで基板1,2が貼り合わせられ、3次元積層型の半導体デバイスが製造される。
上述の貼合工程において、制御部60は、干渉計41,42の計測結果(固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置の計測結果)に従って移動ステージ駆動部32を制御し、基板2を保持する移動ステージ31を固定ステージ21に保持される基板1に対して精密に駆動することで、基板1,2を位置合わせする。ここで、固定及び移動ステージ21,31にそれぞれ保持された基板1,2を貼り合わせるために移動ステージ31を駆動して基板2を基板1に圧接すると、すなわち移動ステージ31を基板1,2を介して固定ステージ21に接すると、移動ステージ31の駆動において共振(共振モード)が発生する。その共振は、基板1,2の材料、パターンの有無及び種類等による接合面の状態、基板1,2に加える圧接力(加圧力)等の接合状態により、様々な異なる振舞いを示す。そのような共振は移動ステージ31の精密且つ安定な制御の障害要因となり得る。
従来の1入力1出力系(SISO系)のフィードバック制御系(閉ループ制御系)を採用すると、制御部60は、干渉計41,42を用いて移動ステージ31(制御対象)の位置(制御量)を計測し、その計測結果と移動ステージ31の駆動目標とから駆動力F或いは励磁電流の量I等(操作量)を求め、求めた操作量を移動ステージ駆動部32へ送る。移動ステージ駆動部32は、受信した操作量に従って、例えば駆動力Fに等しい駆動力を発する或いは励磁電流の量Iに等しい量の電流をそれらを構成するリニアモータのコイルに供給する。それにより、移動ステージ31が駆動目標に向けて駆動される。
図6(A)及び図6(B)には、1入力1出力系(SISO系)のフィードバック制御系においてそれぞれ加圧力5N及び20Nで2つの基板(I社製)を圧接した場合の補感度関数T(s)(振幅(ゲイン)|T(s)|及び位相arg(T(s)))の周波数応答特性が示されている。ここで、s=jω=j2πf、j=√(−1)、fは周波数である。なお、実線は実測結果、破線は後述する数理モデルを用いて再現された結果を示す。
SISO系のフィードバック制御系の補感度関数T(s)は複雑な振舞いを示す。いずれの加圧力においても、20Hz、120Hz、及び130〜150Hz近傍にそれぞれ共振が現れている。(また、60Hz近傍に反共振が現れている。)これらのうち20Hz近傍に現れている共振は、2つの基板の加圧力によらずほぼ同様の振舞いを示している。従って、この共振は、固定ステージ21を支持する支持部材22のばね特性に由来するものであると考えられる。120Hz近傍に現れている共振は、本実施形態におけるフィードバック制御において特に重要でないためここでは考えないこととする。130〜150Hz近傍に現れている共振は、2つの基板の加圧力に対してその位置がシフトしていることが確認できる。従って、この共振は、2つの基板の接合に由来するものであると考えられる。
図7(A)〜図7(C)には、それぞれ異なる基板(その1〜その3)の貼り合わせに対して、後述する数理モデルを用いて再現された移動ステージ31の入出力応答を表現する伝達関数(振幅及び位相)の周波数応答特性が示されている。なお、実線は加圧力5N、破線は加圧力20Nで2つの基板を圧接した場合の特性を示す。
数理モデルを用いることにより、伝達関数の周波数応答特性において、20Hz近傍に現れる支持部材22のばね特性に由来する共振と、60〜90Hzに現れる反共振と、130〜150Hz近傍に現れる2つの基板の接合に由来する共振と、が再現されている。伝達関数は、20Hz以下の周波数帯域において振幅及び位相を一定に保ち、20Hz近傍において共振により振幅を急激に増加そして減少するとともに位相を180度に減少し、60〜90Hzにおいて反共振により振幅を急激に減少そして増加するとともに位相を180度に増加し、さらに130〜150Hz近傍において共振により振幅を急激に増加そして減少するとともに位相を180度に減少する。これらは、ゲイン線図及び位相線図において、それぞれ、連続する山と谷と山の形及び谷と山の形を示す。すなわち、伝達関数は、剛体モードに対して同相の共振モードを示す。
20Hz近傍に現れる共振は、貼り合わせる基板の種類及び加圧力に対して、ほぼ同様の振舞いを示している。これに対して、130〜150Hz近傍に現れる共振は、貼り合わせる基板の種類及び加圧力に対して、多様な振舞いを示している。特に、その位置がシフトしている。従って、特に130〜150Hz近傍の共振は2つの基板の接合状態により異なる振舞いを示すため、移動ステージ31の精密且つ安定な制御において特に深刻な障害要因となり得ることが予想される。
なお、図7(A)〜図7(C)の伝達関数の周波数応答特性において、高周波数域(2000Hz近傍)にも共振振舞いが見られるが、基板貼合装置100における移動ステージ31のフィードバック制御において高い周波数帯域に存在するうえに、基板の接合状態によらず常に同様の振舞いを示しているため、ここでは考えないこととする。
上述の共振モードを相殺し、移動ステージ31を精密かつ安定に駆動制御するために、干渉計42(第1計測器)に加えて干渉計41(第2計測器)を用いて、1入力2出力系(SIMO系)のフィードバック制御系を構築する。この制御系では、先述のSISO系のフィードバック制御系において用いられた干渉計41,42の計測結果から求められる固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置に加えて、干渉計41の計測結果から得られる固定ステージ21の位置が用いられる。
図8には、加圧力5Nによる基板(その1)の貼り合わせに対して、後述する数理モデルを用いて再現された移動ステージ31及び固定ステージ21の入出力応答を表現する伝達関数P2,P1(振幅及び位相)の周波数応答特性が示されている。ここで、伝達関数P2の振舞いは、図7(A)に示すそれに等しい。移動ステージ31を駆動してこれに保持された基板2を固定ステージ21に保持された基板1に圧接した際、固定ステージ21の入出力応答を表現する伝達関数P1は、移動ステージ31の入出力応答を表現する伝達関数P2が示す共振モードに対して逆相の共振モード(より正確には少なくとも逆相の共振モードを含む振舞い)を示している。本実施形態の基板貼合装置100では、その逆相の共振モード(を含む振舞い)を示す固定ステージ21に第2計測器(干渉計41(反射鏡23))が設置されている。
図9には、SIMO系のフィードバック制御系を示すブロック図が示されている。この制御系では、第1制御対象である移動ステージ31の位置(第1制御量X2)を計測する干渉計42(第1計測器)と、第2制御対象である固定ステージ21の位置(第2制御量X1)を計測する干渉計41(第2計測器)と、第1及び第2制御量(X2,X1)の計測結果を合成して合成制御量(Xmix)を生成する合成部62と、目標値Rと合成制御量(Xmix)の生成結果とを用いて操作量Uを演算し、その結果を移動ステージ駆動部32に送信して移動ステージ31を駆動制御する制御部60と、を含む。なお、移動ステージ駆動部32が受信した操作量U(例えば駆動力F)に従ってそれに等しい駆動力を移動ステージ31に加えることで、移動ステージ31が駆動される。
ここで、目標値(目標軌道)、制御量、操作量等は、時間の関数として定義されるが、図9及びそれを用いた説明ではそれらのラプラス変換を用いることとする。また、後述する演算式U(R−X1,R−X2)についても、ラプラス変換形においてその定義を与えるものとする。また、以降においても、特に断らない限り、ラプラス変換(ラプラス変換形)を用いて説明するものとする。
制御部60は、目標生成部60a、減算器60b、及び制御器60cを含む。これら各部は、制御部60を構成するマイクロコンピュータとソフトウェアにより構成してもよいし、ハードウェアにより構成してもよい。目標生成部60aは、移動ステージ31の目標値、ここでは目標位置(時々刻々変化する位置の目標値)Rを生成して、減算器60bに供給する。減算器60bは、目標値Rと合成部62からの合成制御量Xmixとの偏差(R−Xmix)を算出し、制御器60c(伝達関数C)に供給する。制御器60cは、偏差(R−Xmix)が零となるように、演算(制御演算)により操作量U=C(R−Xmix)を算出する。ここで、Cは、制御器60cの伝達関数である。伝達関数とは、入力信号r(t)と出力信号C(t)とのラプラス変換の比R(s)/C(s)、すなわちインパルス応答関数のラプラス変換関数である。算出された操作量Uは移動ステージ駆動部32に送信される。これにより、移動ステージ31が駆動制御される。
合成部62は、減算器62g、比例器62a,62b、加算器62c、ハイパスフィルタ62d、ローパスフィルタ62e、及び加算器62fを含む。減算器62gは、干渉計41の計測結果X1と干渉計42の計測結果X2との差分、すなわち固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置X21(=X2−X1)を生成し、比例器62b及びローパスフィルタ62eに供給する。比例器(比例ゲインβ)62aは、干渉計41の計測結果X1を比例ゲインβ倍して(βX1)、加算器62cに送る。比例器(比例ゲインα)62bは、減算器62gからの信号X21を比例ゲインα倍して(αX21)、加算器62cに送る。加算器62cは、比例器62a,62bからの出力の和(βX1+αX21)を生成し、ハイパスフィルタ62dに供給する。ハイパスフィルタ62d及びローパスフィルタ62eは、同じカットオフ周波数fcを有し、それぞれ、加算器62cからの信号(βX1+αX21)のうちのカットオフ周波数fcより高い周波数成分FH(βX1+αX21)及び減算器62gからの信号X21のうちのカットオフ周波数fcより低い周波数成分FL(X21)のみを通し、加算器62fに供給する。加算器62fは、ハイパスフィルタ62dとローパスフィルタ62eからの信号を合成して合成制御量(単に合成量とも呼ぶ)Xmix=FH(βX1+αX21)+FL(X21)を生成し、制御部60(減算器60b)に供給する。
ハイパスフィルタ62d及びローパスフィルタ62eの具体例として、次式(1a)により与えられる1次フィルタ、式(1b)により与えられる2次フィルタ、式(1c)により与えられる4次フィルタが挙げられる。
ただし、ωf=2πfcである。
上述の構成のフィードバック制御系において生成される合成量Xmixは、共振のない低周波数帯域では移動ステージ31の位置(第1制御量X2)から生成される固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置X21、共振が存在する中・高周波数帯域では共振に対して不可観測なβX1+αX21となる。これにより、操作量Uの入力から合成量Xmixの出力までの移動ステージ31と合成部62の伝達特性は、理想的な剛体モデルを用いて表現することができる。また、合成量Xmixは、低周波数帯域ではX21に等しいため、干渉計41,42の位置計測の基準位置(反射鏡23,33の設置位置)間のオフセットを取り除くために、制御器にハイパスフィルタを接続する必要もない。さらに、制御部60は、剛体モデルに基づいて設計した制御器60cのみを用いて構成することができる。
上述の構成の閉ループ制御系(フィードバック制御系)を、周波数分離SRC (FS-SRC)型制御系と呼ぶ。
本実施形態の周波数分離SRC (FS-SRC)型制御系を構成する比例器62a,62bを設計するために、すなわち比例ゲインβ,αを決定するために、簡素化された数理モデルを用いて固定ステージ21及び移動ステージ31の力学的運動を表現する。簡単のため、移動ステージ31及び固定ステージ21のY軸方向についての並進は考えないこととする。
図10に、固定ステージ21及び移動ステージ31の力学的運動を表現する数理モデルが示されている。図11に、図10の数理モデルにおける各種パラメータがまとめられている。
固定ステージ21は、2つの支持部材22を模擬する2つのばねにより枠体10の天板部に吊り下げ支持された質量m0及び慣性モーメントJ0を有する剛体として表現される。ここで、X0は固定ステージ21の重心のX軸方向の位置、2w0は2つの支持部材22(ばね)の間隔、LXUは固定ステージ21の重心と反射鏡23との距離、L0Uは固定ステージ21の重心から支持部材22までの距離、L0Lは固定ステージ21の重心から重ね合わせ面(固定ステージ21が支持する基板1の表面)までの距離である。
2つのばねは、それぞれが枠体10の天板部の1点で支持され、その支点を中心に振り子状に揺動する。そのため、固定ステージ21を表す剛体は、2つのばねに吊り下げ支持されることでZ軸方向だけでなくX軸方向にも運動する。これに対応して、2つのばねは、その特性としてZ軸方向の運動に関する摩擦剛性k0z及び摩擦粘性C0z、X軸方向の運動に関する摩擦剛性k0x及び摩擦粘性C0xを用いて表される。
移動ステージ31は、移動ステージ装置30を模擬する質量m1の可動ステージにより揺動部32eに対応する剛性kθ及び粘性μθのリンクを介して傾斜可能に支持された質量m2及び慣性モーメントJ2を有する剛体として表現される。ここで、X1は可動ステージ(揺動部32e)の重心のX軸方向の位置、θ2は移動ステージ31の傾斜(揺動部32eの倒れ角度)、Lx2は移動ステージ31の重心と揺動軸(リンクの中心)との距離、L2は移動ステージ31の重心から計測位置(移動ステージ31が保持する基板2の表面)までの距離、Lxは揺動軸(リンクの中心)と計測位置との距離である。なお、可動ステージ(揺動部32e)はX軸方向に移動し、その移動に対して粘性Cxが作用する。
移動ステージ装置30(昇降部32c)が移動ステージ31(揺動部32d)をZ軸方向に駆動することで、移動ステージ31に保持される基板2が固定ステージ21に保持される基板1に圧接され、移動ステージ31が基板1,2を介して固定ステージ21に接する。この状態は、固定ステージ21を模擬する剛体と移動ステージ31を模擬する剛体とがばねとダンパ(いずれも不図示)を介して結合したものとして表現される。このときの基板1,2間(固定ステージ21を模擬する剛体の下面と移動ステージ31を模擬する剛体の上面との間)に作用するX軸方向に関する摩擦剛性kwx及び摩擦粘性Cwxと表す。なお、固定ステージ21と移動ステージ31の合成体の重心の位置Lとする。
上述の数理モデルにおいて、基板2を保持する移動ステージ31は、駆動力(推力)FmによりX軸方向に駆動される。(また、揺動トルクTtyにより、揺動軸(リンクの中心)を中心に揺動される。)なお、dは移動ステージ31の重心と駆動位置(駆動力Fmが作用する位置)との高さの差、XU及びX2dはそれぞれ反射鏡23,33のX軸方向の位置である。
上記の各種パラメータの値は、例えば、数理モデルを用いて導出される補感度関数が図6(A)等に示される補感度関数の周波数応答特性の実測結果を再現するように、或いは、数理モデルを用いて導出される伝達関数が図7(A)等に示される伝達関数の周波数応答特性を再現するように、最小自乗法等を用いて決定される。
なお、図6(A)及び図6(B)にそれぞれ示される加圧力5N及び20Nで2つの基板を圧接した場合の補感度関数を再現することで、基板1,2間に作用する摩擦剛性kwx及び摩擦粘性Cwxが、それぞれ、kwx=4×107,Cwx=4500及びkwx=5×107,Cwx=5500と求められる。2つの基板に加える圧力により、数理モデルのパラメータ(摩擦剛性kwx及び摩擦粘性Cwx)が変動することがわかる。
上述の数理モデルを用いて、固定ステージ21及び移動ステージ31の入出力応答、すなわち、操作量である移動ステージ31に作用する推力Fmに対する制御量である固定ステージ21の位置X1及び移動ステージ31の位置X2の応答をそれぞれ表現する伝達関数P1,P2を導出する。なお、XU=X0−LXU・θ2,X2d=X1+Lx・θ2である(図10参照)。伝達関数P1,P2は、ラプラス変換形において、次の一般形において与えることができる。
係数b12,b11,b10,b22,b21,b20,a0,a1,a2,a3,a4は、ラグランジュ法を用いて運動方程式を導出することで、導かれる。
簡単に説明すると、一般化座標xとして固定ステージ21の位置X0と移動ステージ31の位置X2dをとる。これらを用いて、数理モデルに基づいて、ラグランジュ関数L(x,v)を導出する。ただし、vは一般化座標xの時間微分dx/dtである。ラグランジュ関数L(x,v)を下のラグランジュの方程式(3)に代入することにより、固定ステージ21と移動ステージ31の力学的運動を表現する運動方程式が求められる。
なお、係数の具体形は複雑ゆえ、本実施形態ではシミュレーション等により求めることとし、詳細は省略する。
また、上述の力学模型において共振(周波数fp1,fp2)は2つ存在する。
先述の通り、図7(A)〜図7(C)には、数理モデルを用いて再現された移動ステージ31の入出力応答を表現する伝達関数P2の周波数応答特性が示されている。詳細は先述の通りである。
伝達関数P1,P2を用いて、比例器62a,62bを設計する、すなわち比例ゲインβ,α(及び伝達関数C)を決定する。便宜のため、伝達関数P1,P2,Cを、分数式形P1=NP1/DPDR,P2=NP2/DPDR,C=1/DCにおいて表す。ただし、以下のとおりである。
NP1=b12s2+b11s+b10 …(4a)
NP2=b22s2+b21s+b20 …(4b)
DPDR=a4s4+a3s3+a2s2+a1s1+a0s0 …(4c)
この場合、Fm=1としたときのフィードバック制御系に対する閉ループ伝達関数の特性方程式ACLは、1+CβP1+CαP2の分数式の分子部分により与えられる。すなわち、
ACL=DCDPDR+βNP1+αNP2 …(5)
特性方程式ACLにおいて、任意の解析関数γを用いて、次式(6)を満たすようにβ,αを決定する。
βNP1+αNP2=γDR …(6)
これにより、開ループ伝達関数βP1+αP2=γ/DCDPが得られ、P1,P2のそれぞれに含まれる共振振舞いを与える極(すなわちP1,P2のそれぞれが示す共振モード)が極零相殺される。さらに、特性方程式ACLが安定な極(本説明では便宜上、重根となるようにする)を有するように、すなわち次式(7)を満たすように、DC,γを決定する。
ACL=(DCDP+γ)DR=(s+ω1)(s+ω2)…(s+ωn)DR …(7)
次に、比例ゲインβ,αが、特異点(極)を有するDRを含まないように、式(4a)〜式(4c)及び式(6)より決定される。
ここで、β=β1β2と与え、係数β1,αを条件β1+α=1(β2=1)を満たすように決定される。ただし、本実施形態において採用した数理モデル(図10参照)のように複雑なモデルに対して、係数β1,αの具体形を定めるのは容易ではない。かかる場合、例えば、係数β1,αに初期値として固定ステージ21及び移動ステージ31の質量比を与え(β1=M1/(M1+M2),α=M2/(M1+M2))、制御系の安定度が改善されるよう試行錯誤法により最適化することとしてもよい。
一方、本実施形態の基板貼合装置100では、移動ステージ31は移動ステージ装置30(X駆動部32a及びY駆動部32b)により並進運動するとともに揺動部32dにより傾斜する構成であるため、干渉計42の計測点(反射鏡33上の測長ビームの照射点)の傾斜の中心からの離間距離に応じて移動ステージ31の伝達関数P2の振幅(ゲイン)が変化する。そこで、係数β2(追加ゲインと呼ぶ)は、図8に示される伝達関数P2,P1のゲインの周波数応答特性において、特に10Hz以下の低周波帯域において移動ステージ31の伝達関数P2のゲインが固定ステージ21の伝達関数P1のゲインに一致するよう決定する。その効果については後述する。
残りのDC,γの決定において、幾らかの自由度が残る。そこで、例えば、比例器62a,62bと制御器60cとからPID制御器を設計することとする。
比例ゲインβ,αは、固定ステージ21の質量M0、移動ステージ31の質量M2等の固定パラメータのみに依存し、摩擦剛性kwx及び摩擦粘性Cwx等、固定ステージ21及び移動ステージ31の状態に応じて変化し得るパラメータに依存しない。これは、閉ループ伝達関数においてP1,P2の共振モードが相殺され、固定ステージ21及び移動ステージ31の状態の変化に対して不変であることを意味する。
図12には、加圧力5Nによる基板(その3)の貼り合わせに対して、上述の通り設計されたFS-SRC型制御系を適用した場合(FSSRC)と従来型の制御系を適用した場合(nonSRC)の移動ステージ31の入出力応答を表現する伝達関数(振幅及び位相)の周波数応答特性が示されている。FS-SRC型制御系を適用することにより、基板の貼り合わせに起因する130〜150Hz近傍に現れる共振及び60〜90Hzにおいて反共振がほとんど相殺されていることが確認できる。
上述の通り設計されたFS-SRC型制御系の安定度を、加圧力5N及び20Nによる基板(その1〜その3)の貼り合わせに対して、シミュレーションにより解析する。ここで、固定ステージ21及び移動ステージ31の力学的運動(応答特性)は、前述の数理モデルを用いて再現される。
図13(A)〜図13(C)には、それぞれ3つの基板(その1〜その3)の貼り合わせに対して従来型の制御系を適用した場合のナイキスト線図が示されている。いずれの条件(基板及び加圧力)に対しても、ナイキスト軌跡は共振に由来する2つのループを含んでいる。その1つは、図中にその一部のみを現し、いずれの条件についても、点(1,1)、点(0,0)、及び点(0,−1)の近傍を通り、ほぼ同じ軌跡を辿っていることから、20Hz近傍に現れる支持部材22のばね特性に由来する共振によるものと判別される。もう1つは、図中右下に現れ、特に加圧力によりそのループの大きさが著しく異なることから、2つの基板の接合に由来する共振によるものと判別される。
いずれの条件に対しても、ナイキスト軌跡は点(−1,0)を囲まず、その右側を通過しているため、ナイキストの安定条件を満たしている。しかし、ナイキスト軌跡は、条件により2つの基板の接合に由来する共振によるループの大きさが著しく変わり、特に基板その1又はその3については点(−1,0)から0.5の距離まで接近する。なお、図13(A)その他の図において、安定度の指標として点(−1,0)を中心とする半径0.5の円が描かれている。従って、従来型の制御系は安定ではあるもののその程度は低いと評価される。
図14(A)〜図14(C)には、それぞれ3つの基板(その1〜その3)の貼り合わせに対して本実施形態のFS-SRC型制御系を適用した場合のナイキスト線図が示されている。ただし、いずれの図においても、加圧力5N,20Nに対する2つのナイキスト軌跡はほとんど重なっている。いずれの条件(基板及び加圧力)に対しても、ナイキスト軌跡は点(−1,0)を囲まず、その右側を通過しているため、ナイキストの安定条件を満たしている。また、いずれの条件においても、2つの基板の接合に由来する共振によるループが現れず、ナイキスト軌跡は点(−1,0)から十分に離れてその右側を通過している。(言い換えると、ナイキスト軌跡が点(−1,0)に近接するまでゲインを上げることができる。)従って、安定度は十分に高いと評価される。
図15(A)及び図15(B)には、それぞれ加圧力5N及び20Nによる基板の貼り合わせに対して、本実施形態のFS−SRC型制御系及び従来型の制御系を適用した場合の補感度関数(振幅及び位相)の周波数応答特性が示されている。本実施形態のFS−SRC型制御系を適用することにより、いずれの加圧力に対しても補感度関数は緩やかな周波数応答特性を示し、約5倍ゲインが向上している。
図16(A)及び図16(B)には、それぞれ追加ゲインを設けなかった場合(β2=1)及び設けた場合(β2≠1)に対して、基板の貼り合わせにおいて本実施形態のFS−SRC型制御系を適用した場合のナイキスト線図が示されている。ただし、いずれの図においても、加圧力5N,20Nに対する2つのナイキスト軌跡はほとんど重なっている。いずれの場合ともに、ナイキスト軌跡は点(−1,0)を囲まず、その右側を通過しているため、ナイキストの安定条件を満たしている。しかし、追加ゲインを設けた場合(図16(B))に対して設けなかった場合(図16(A))、ナイキスト軌跡が点(−1,0)から半径0.5の円の極近傍まで接近している。換言すれば、追加ゲインを設けたことで、位相余裕が十分に向上し、高帯域加可能となっている。
以上説明したように、本実施形態に係る基板貼合装置100によると、2つの基板の一方を保持する固定ステージ21と、2つの基板の他方を一方の基板に対向して保持して移動するとともに、2つの基板を介して固定ステージ21に接触する移動ステージ31と、の位置にそれぞれ関連する第1及び第2制御量を計測し、これらの計測結果をフィルタ処理して第3制御量を求め、その第3制御量を用いて求められる操作量を移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)に与えることで移動ステージ31を駆動する。これにより、固定ステージ21及び移動ステージ31間の接触状態に拠らず、移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)を駆動制御(制御)することで、2つの基板を精度良く位置合わせて貼り合わせることが可能になる。
また、固定ステージ21及び移動ステージ31の位置(第2及び第1制御量)X1,X2の計測結果を用いて操作量を求めるために用いられる合成量Xmix=FH(βX1+αX21)+FL(X21)において、伝達関数β,αを、固定ステージ21及び移動ステージ31の応答を表現する伝達関数P1,P2のそれぞれに含まれる共振モードに対応する極が開ループ伝達関数βP1+αP2において相殺されるように決定する。さらに、伝達関数P1,P2の具体形を、固定ステージ21及び移動ステージ31の運動をばねとダンパにより連結された2つの剛体の運動として表現する力学模型(剛体模型)を用いて与える。これにより、閉ループ伝達関数においてP1,P2の共振振舞い(共振モード)が相殺され(P2の共振モードがP1の共振モードにより相殺され)、固定ステージ21及び移動ステージ31間の接触状態に拠らず、移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)を精密且つ安定に駆動制御(制御)することが可能となる。
また、移動ステージ31の位置(第1制御量)を計測するとともに、固定ステージ21及び移動ステージ31がそれぞれ保持する基板を貼り合わせるために固定ステージ21及び移動ステージ31を互いに接触した際に、移動ステージ31が示す剛体モードに対して逆相の共振モードを含む振舞いを示す固定ステージ21の部分の位置(第2制御量)を計測し、それらの計測結果と目標値とに基づいて制御演算を行って操作量を求め、得られた操作量を移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)に与えることにより、移動ステージ31を駆動制御する。これにより、固定ステージ21及び移動ステージ31間の接触状態に拠らず、移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)を精密且つ安定に駆動制御(制御)することが可能となる。
また、本実施形態に係る基板貼合装置100は、上述のように設計された移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)の駆動システムを備えるため、移動ステージ31を精密且つ安定に駆動することが可能となり、貼り合わせ精度の向上が可能となる。これにより、例えば、大直径のウエハを高精度、例えば100nmオーダーの精度で重ね合わせることが可能になり、ひいては実装面積効率の高い3次元積層型の半導体デバイスを効率良く製造することが可能になる。
なお、本実施形態の基板貼合装置100では、干渉計41,42を用いてそれぞれ独立に固定ステージ21及び移動ステージ31の位置X1,X2を計測する構成を採用したため、固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置X21を生成する減算器62gを用いて合成部62を構成した(図9参照)。これに代えて、例えば、固定ステージ21から移動ステージ31に設けられた反射鏡等に計測ビームを照射し、反射光を受光することで相対位置X21を計測する干渉計(エンコーダ、ギャップセンサ等)を採用し、その計測結果X21を直に比例器62b及びローパスフィルタ62eに供給するよう合成部62を構成することとしてもよい。また、干渉計41,42の計測結果X1,X2を処理して合成量Xmix=FH(βX1+αX21)+FL(X21)を生成するよう合成部62を構成してもよい。係る場合、例えば、干渉計41の計測結果X1を制御部60にフィードバックし、制御器60c内で固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置X21に対応する操作量=C(R−(Xmix−X1))を算出する。
また、合成部62(図9参照)に代えて図17に示されるフィードバック制御系の変形例における合成部62’を採用することとしてもよい。合成部62’は、比例器62a,62b、加算器62c、ハイパスフィルタ62d、ローパスフィルタ62e、及び加算器62fを含む。合成部62と比較すると、合成部62’は減算器62gを含まないで構成されている。この構成の合成部62’において、比例器(比例ゲインβ)62aは、干渉計41の計測結果X1を比例ゲインβ倍して(βX1)、加算器62cに送る。比例器(比例ゲインα)62bは、干渉計42の計測結果X2を比例ゲインα倍して(αX2)、加算器62cに送る。加算器62cは、比例器62a,62bからの出力の和(βX1+αX2)を生成し、ハイパスフィルタ62dに供給する。ハイパスフィルタ62d及びローパスフィルタ62eは、同じカットオフ周波数fcを有し、それぞれ、加算器62cからの信号(βX1+αX2)のうちのカットオフ周波数fcより高い周波数成分FH(βX1+αX2)及び干渉計42の計測結果X2のうちのカットオフ周波数fcより低い周波数成分FL(X2)のみを通し、加算器62fに供給する。加算器62fは、ハイパスフィルタ62dとローパスフィルタ62eからの信号を合成して合成量Xmix=FH(βX1+αX2)+FL(X2)を生成し、制御部60(減算器60b)に供給する。このように、固定ステージ21に対する移動ステージ31の相対位置X21を生成することなく干渉計41,42の計測結果X1,X2を用いる構成の合成部62’を採用した場合においても、合成部62を採用した場合と同様に、移動ステージ31(移動ステージ駆動部32)を精密且つ安定に駆動制御(制御)することのできるフィードバック制御系を構築することができる。
また、本実施形態の基板貼合装置100では、干渉計41,42として1つの測長ビームを射出する単軸干渉計を採用したが、これに限らず、Z軸方向に離間する2つ(又はそれ以上)の測長ビームを平行に射出する多軸干渉計を採用してもよい。それにより、さらに、固定ステージ21及び移動ステージ31のY軸周りの回転角(傾斜角)θyを計測することができる。これに対応して、移動ステージ31のY軸周りの揺動トルクTty(図10参照)を操作量として移動ステージ31を駆動制御することとしてもよい。
なお、本実施形態では、制御対象である固定ステージ21及び移動ステージ31の制御量として位置を選択したが、これに代えて速度、加速度等、位置に関連する計測量を制御量として選択しても良い。かかる場合、干渉計41,42の計測結果の1階差分または2階差分演算より、速度、加速度を算出して用いてもよい。あるいは、干渉計41,42と独立の速度計測器、加速度計測器等を設置し、それらを用いて速度、加速度等を計測することとする。
また、上記実施形態では、固定ステージ21及び移動ステージ31がそれぞれ保持する基板1,2を貼り合わせる基板貼合装置100において1入力2出力系(SIMO系)のフィードバック制御系を構築したが、基板貼合装置に限らず、制御対象が別部材に物理的に接触し(或いは連結し)、その状態が変わり得る装置についても本実施形態の1入力2出力系(SIMO系)のフィードバック制御系を構築することも可能である。これにより、制御対象の接触状態(或いは連結状態)に拠らず、高帯域でロバストな制御対象の駆動制御が可能となる。