以下、本発明に係る第1〜第9実施形態について図面を参照して説明する。各図中の同一又は相当する部分には同一の符号を付すことで重複説明を適宜に簡略化ないし省略することとする。
本発明のシート給送装置の特徴は、1)スペースに比較的余裕のあるシート給送方向と直交する方向に分離部材をスライドさせて省スペースで分離性を調整可能にしたこと、2)規制部材のスライド操作のみでシート分離性をユーザにより容易調整可能にしたことである。
以下の説明ではシート給送装置で給送するシート材を「用紙」と表記して説明するが、紙(用紙)に限らず、OHPシート、布帛なども含み、現像剤やインクを付着させることができる媒体、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものの給送にも適用可能である。また各構成部品の説明にある寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であって、特に特定的な記載がない限りこの発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
(レーザプリンタの構成)
図1Aは、本発明のシート給送装置を搭載する画像形成装置の一実施形態としてのカラーレーザプリンタの構成を概略的に示す構成図である。このカラーレーザプリンタ1(またはレーザプリンタ1)は、4つのプロセスユニット1K,1Y,1M,1Cを備えている。これらプロセスユニットは、カラー画像の色分解成分に対応するブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色の現像剤によって画像を形成する。
各プロセスユニット1K,1Y,1M,1Cは、互いに異なる色の未使用トナーを収容したトナーボトル6K,6Y,6M,6Cを有する以外は、同様の構成となっている。このため、1つのプロセスユニット1Kの構成を以下に説明し、他のプロセスユニット1Y,1M,1Cは、その構成の説明を省略する。
プロセスユニット1Kは、像担持体2K(例えば感光体ドラム)と、ドラムクリーニング装置3Kと、図示しない除電装置と、帯電装置4Kと、現像装置5K等を有している。そして、プロセスユニット1Kは、レーザプリンタ1の本体に対して着脱自在に装着され、消耗部品を同時に交換可能となっている。
露光器7は、このレーザプリンタ1に設置された各プロセスユニット1K,1Y,1M,1Cの上方に配設されている。そして、この露光器7は、画像データに基づいてレーザダイオードからレーザ光を発光するように構成されている。
転写装置15は、この実施形態では各プロセスユニット1K,1Y,1M,1Cの下方に配設されている。一次転写ローラ19K,19Y,19M,19Cは、各像担持体2K,2Y,2M,2Cに対向して中間転写ベルト16に当接して配置されている。
中間転写ベルト16は、各一次転写ローラ19K,19Y,19M,19C、駆動ローラ18、従動ローラ17に掛け渡された状態で循環走行するようになっている。
作像装置としての2次転写ローラ20は、駆動ローラ18に対向し中間転写ベルト16に当接して配置されている。なお、像担持体2K,2Y,2M,2Cが各色の第1の像担持体とすれば、中間転写ベルト16はそれらの像を合成した第2の像担持体である。
ベルトクリーニング装置21は、中間転写ベルト16の走行方向において、2次転写ローラ20より下流側に設置されている。また、図示しないクリーニングバックアップローラが中間転写ベルト16に対してベルトクリーニング装置21と反対側に設置されている。
給紙トレイ30は、レーザプリンタ1の下方に設置され、用紙Pを多数枚束状で収容可能となっている。そして、給紙トレイ30は、用紙の補給等のために、このレーザプリンタ1の本体に着脱可能となっている。給紙ローラ30aは、レーザプリンタ1に設置された状態の給紙トレイ30の上方に配置され、用紙Pを給紙トレイ30から給紙路31に向けて給紙するようになっている。
タイミングローラ対14は、2次転写ローラ20の直近上流側に配置され、給紙トレイ30から給紙された用紙Pを一旦停止させることができる。この一旦停止により用紙Pの先端側に弛みが形成される。
弛みが形成された用紙Pは、中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせ、2次転写ローラ20と駆動ローラ18との2次転写ニップ部に送り出される。そして、送り出された用紙Pは、2次転写ニップ部で中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が所望の転写位置に高精度に転写されるようになっている。
転写後搬送路33は、2次転写ローラ20と駆動ローラ18の2次転写ニップ部の上方に配設されている。定着装置34は、転写後搬送路33の上端近傍に設置されている。
定着装置34は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ34aと、この定着ローラ34aに対して所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ34bを備えている。定着後搬送路35は、定着装置34の上方に配設され、定着後搬送路35の上端で、排紙路36と反転搬送路41に分岐している。
この分岐部に切替部材42が配置され、切替部材42はその揺動軸42aを軸として揺動駆動するようになっている。また排紙路36の開口端近傍には排紙ローラ対37が配設されている。
反転搬送路41は、分岐部との他端で給紙路31に合流している。そして、反転搬送路41の途中には、反転搬送ローラ対43が配設されている。排紙トレイ44は、レーザプリンタ1の上部に、レーザプリンタ1の内側方向に凹形状を形成して、設置されている。
粉体収容器10(例えばトナー収容器)は、転写装置15と給紙トレイ30の間に配置されている。そして、粉体収容器10は、レーザプリンタ1の本体に対して着脱自在に装着されている。
本実施形態のレーザプリンタ1は、転写紙搬送の関係により給紙ローラ30aから2次転写ローラ20までの所定の距離が必要である。そして、この距離に生じたデッドスペースに粉体収容器10を設置し、レーザプリンタ全体の小型化を図っている。
保持部材としてのカバー8は、給紙トレイ30の上部で、給紙トレイの引出方向正面に設置されている。そして、このカバー8を開くことで、レーザプリンタ1の内部を点検可能にしている。
カバー8には、手差し給紙用の手差し給紙ローラ45、および手差し給紙用の手差し給紙トレイ46が設置されている。また、後述するフリクションパッドと、フリクションパッド受台と、フリクションパッド受台の付勢手段と、構造体が、この手差し給紙ローラ45の近傍に備わっている。
なお、本実施形態のレーザプリンタは、画像形成装置の一例であり、当該画像形成装置はレーザプリンタに限定されない。すなわち、画像形成装置は複写機、ファクシミリ、プリンタ、印刷機、及びインクジェット記録装置のいずれか一つ、またはこれらの少なくとも2つ以上を組み合わせた複合機として構成することも可能である。
(レーザプリンタの作動)
次に、本実施形態に係るレーザプリンタの基本的動作について図1Aを参照して以下に説明する。最初に、片面印刷を行う場合について説明する。給紙ローラ30aは、図1Aに示すように、レーザプリンタ1の制御部(図示せず)からの給紙信号によって回転する。そして、給紙ローラ30aは、給紙トレイ30に積載された束状用紙Pの最上位の用紙のみを分離し、給紙路31へ送り出す。
給紙ローラ30aによって送り出された用紙Pは、その先端がタイミングローラ対14のニップ部に到達すると、弛みを形成し、その状態で待機する。そして、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像をこの用紙に転写する最適なタイミング(同期)を図ると共に、用紙Pの先端スキューを補正する。
手差しによる給紙の場合は、手差し給紙トレイ46に積載された束状用紙が、最上位の用紙から一枚ずつ手差し給紙ローラ45によって反転搬送路41の一部を通り、タイミングローラ対14のニップ部まで搬送される。以後の動作は給紙トレイ30からの給紙と同一である。
ここで、作像動作については、1つのプロセスユニット1Kを説明し、他のプロセスユニット1Y,1M,1Cについてのその説明を省略する。まず、帯電装置4Kは、像担持体2Kの表面を高電位に均一に帯電する。
そして、露光器7は、画像データに基づいたレーザビームLを像担持体2Kの表面に照射する。そして、レーザビームLが照射された像担持体2Kの表面は、照射された部分の電位が低下して、静電潜像を形成する。
そして、現像装置5Kは、トナーボトル6Kから供給された未使用のブラックトナーを静電潜像が形成された像担持体2Kの表面部分に転移させる。そして、トナーが転移した像担持体2Kは、その表面にブラックトナー画像を形成(現像)する。そして、像担持体2K上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト16に転写する。
ドラムクリーニング装置3Kは、中間転写行程を経た後の像担持体2Kの表面に付着している残留トナーを除去する。除去された残留トナーは、廃トナー搬送手段(図示せず)によって、プロセスユニット1K内にある廃トナー収容部(図示せず)へ送られ回収される。また、除電装置(図示せず)は、クリーニング装置3Kによって残留トナーが除去された像担持体2Kの残留電荷を除電する。
各色のプロセスユニット1Y,1M,1Cにおいても、同様にして像担持体2Y,2M,2C上にトナー画像を形成し、各色トナー画像重なり合うように中間転写ベルト16に転写する。
各色トナー画像が重なり合うように転写された中間転写ベルト16は、2次転写ローラ20と駆動ローラ18の2次転写ニップ部まで走行した際に、中間転写ベルト16上のトナー画像をタイミングローラ対14によって送り出された用紙Pに転写する。
ここで、用紙Pは、中間転写ベルト16上に重畳転写して形成されたトナー像が好適に転写されるタイミングに合わせ、2次転写ニップ部に送り出される。そして、送り出された用紙Pは、2次転写ニップ部で中間転写ベルト16上に形成されたトナー像が所望の転写位置に高精度に転写される。
トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路33を通って定着装置34へと搬送される。そして、定着装置34に搬送された用紙Pは、定着ローラ34aと加圧ローラ34bによって挟まれ、加熱・加圧することで未定着トナー画像が定着される。トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置34から定着後搬送路35へ送り出される。
切替部材42は、定着装置34から用紙Pが送り出されたタイミングでは、図1Aの実線で示すように定着後搬送路35の上端近傍を開放している位置にある。そして、定着装置34から送り出された用紙Pは、定着後搬送路35を経由して排紙路36へ送り出される。排出装置としての排紙ローラ対37は、排紙路36へ送り出された用紙Pを挟み込み、回転駆動することで機外の排紙トレイ44に排出することで片面印刷を終了する。
次に、両面印刷を行う場合について説明する。片面印刷の場合と同様に、定着装置34は用紙Pを排紙路36へ送り出す。そして、両面印刷を行う場合、排紙ローラ対37は、回転駆動によって用紙Pの一部をレーザプリンタ1外に搬送する。
そして、用紙Pの後端が、排紙路36を通過すると、切替部材42は、図1Aの点線で示すように揺動軸42aを軸として揺動し、定着後搬送路35の上端を閉鎖する。そして、この定着後搬送路35の上端の閉鎖とほぼ同時に、排紙ローラ対37は、用紙Pをレーザプリンタ1外へ搬送する方向と逆の方向に回転し、反転搬送路41へ送り出す。
反転搬送路41へ送り出された用紙Pは、反転搬送ローラ対43を経て、タイミングローラ対14に至る。そして、タイミングローラ対14は、中間転写ベルト16上に形成されたトナー画像を用紙Pのトナー画像未転写面に転写する最適なタイミング(同期)を図り、用紙Pを2次転写ニップ部へ送り出す。
そして、2次転写ローラ20と駆動ローラ18は、用紙が2次転写ニップ部を通過する際に用紙Pのトナー画像未転写面にトナー画像を転写する。そして、トナー画像が転写された用紙Pは、転写後搬送路33を通って定着装置34へと搬送される。
定着装置34は、定着ローラ34aと加圧ローラ34bによって、搬送された用紙Pを挟み、加熱・加圧することで未定着トナー画像を用紙Pに定着する。そして、トナー画像が定着された用紙Pは、定着装置34から定着後搬送路35へ送り出される。
切替部材42は、定着装置34から用紙Pが送り出されたタイミングでは、図1Aの実線で示すように定着後搬送路35の上端近傍を開放している位置にある。そして、定着装置34から送り出された用紙Pは、定着搬送路を経由して排紙路36へ送り出される。排紙ローラ対37は、排紙路36へ送り出された用紙Pを挟み、回転駆動し排紙トレイ44に排出することで両面印刷を終了する。
また、中間転写ベルト16上のトナー画像を用紙Pに転写した後、中間転写ベルト16上には残留トナーが付着している。そして、ベルトクリーニング装置21は、この残留トナーを中間転写ベルト16から除去する。
また、中間転写ベルト16から除去されたトナーは、図示しない廃トナー搬送手段によって、粉体収容器10へと搬送され、粉体収容器10内に回収される。
次に、本実施形態に係るレーザプリンタの特徴的な構成である給紙部の具体的構成を図面に基づいて以下に説明する。なお、ここでは説明の都合上、手差し給紙に関して説明をするが、本発明の範囲を手差し給紙に関するものと限定する趣旨ではない。
図1Bは本発明の第1実施形態に係るレーザプリンタの手差し給紙部の構成の概略を示す構成図である。手差し給紙トレイ46(以下、給紙トレイ46とする)は、図示しないカバー8に開閉可能に取付けられており、手差し給紙を選択的に使用可能である。カバー8には手差し給紙ローラ45(以下、給紙ローラ45とする)が設置されており、給紙ローラ45が手差しトレイ46に積載された束状用紙(図示しない)の最上位の用紙に圧接することで当該用紙を一枚ずつ搬送する構成となっている。
図1Cは手差し給紙部の基本構成を示す要部斜視図である。給紙ローラ45と対向したフリクションパッド47を備えている。このフリクションパッド47と給紙ローラ45との間で、用紙Pを一枚ずつに分離するようにしている。フリクションパッド47は第1部材としてのフリクションパッド受台48(以下、「受台48」と略す)により保持され、構造体を兼ねる第2部材としての搬送ガイド50に保持された付勢手段としての分離バネ49により、受台48が給紙ローラ45方向(分離方向)に押し付けられる構成になっている。
(一般的なフリクションパッド方式の基本構造)
図1D(a)(b)はフリクションパッド方式を用いた一般的な給紙部の基本構成を示す概略図である。ここでは、受台48が回動軸48aを支点として回動する回動方式の構成を図示しているが、本発明はこれに限らず受台48が上下方向に平行移動するいわゆる直動式のフリクションパッド構成でも実施可能である。
受台48は、回動軸48aを支点として回動することで、給紙ローラ45に接近・離反方向へ移動可能に構成されている。
図示しない給紙トレイに積載された束状用紙Pは、その最上位の用紙上面が給紙ローラ45に押し付けられ、給紙ローラ45の駆動により最上位の用紙が一枚ずつ搬送される。用紙が複数枚送られた場合、当該複数枚の用紙は、給紙ローラ45とフリクションパッド47の間の分離ニップ部に挟み込まれる。
この分離ニップ部は分離バネ49により所定の圧力がかかった状態に維持されている。
このため、給紙ローラ45と用紙P間の摩擦係数をμr、用紙P相互間の摩擦係数をμp、用紙Pとフリクションパッド47間の摩擦係数をμfとすると、これら3つの摩擦係数の大小関係(μr>μf>μp)により、最上紙のみが摩擦分離されて給送される。
しかし、積載用紙の継ぎ足しや、重送しやすい用紙の使用などにより積載用紙が束状で分離部に突入することがある。その際には、束状になった用紙がフリクションパッド47を押下げる力が分離バネ49の付勢力より大きくなり、フリクションパッド47が給紙ローラ45から離れる方向(退避方向)に移動する。このように、フリクションパッド47は、用紙を分離するための分離位置と、用紙による押し下げる力等の分離バネ49の付勢方向と逆方向の力を受けた際に移動する退避位置の、少なくとも二つの位置をとることができる。
図1D(b)はこのような状態を示している。この状態では分離ニップが形成できなくなって用紙Pを摩擦分離することが出来ないため、重送の発生や連れ送りジャム等の原因となる。また、図1D(a)(b)に示すように搬送方向下流側に回動軸48aを持つフリクションパッド47の場合、受台48が押し下がるとフリクションパッド47の面と用紙Pの給送方向がなす角(以下、用紙突入角)が大きくなる。厚紙等の剛性のある用紙や、用紙先端のバリが大きい用紙などを給送する場合には、用紙突入角が大きいと用紙がフリクションパッド47から受ける抵抗力が大きくなり不送りの原因となることもある。
(シート給送装置の第1実施形態)
図2Aは本発明の第1実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す断面図である。第1実施形態では、前述図1Dの給紙部の基本構成に加え、第1部材としての受台48と第2部材としての搬送ガイド50の間において、規制部材51を備える。
この規制部材51は、シート分離部材としての分離バネ49の搬送方向下流側に配設され、受台48の付勢手段としての分離バネ49の付勢方向(第1方向)とは逆方向への移動を規制する。規制部材51を分離バネ49の搬送方向下流側(回動軸48aに近い側)に配設することで、受台48の角度をレバー比の関係で容易に高めることが可能である。従って、用紙進入方向に対して受台48の角度を大きくして用紙分離力を向上し、重送防止効果を容易に高めることができる。
受台48は、用紙の搬送方向下流側に回動軸48aを有し、用紙が束で分離部に突入すると分離バネ49に抗して回動軸48aを中心として時計方向に回動する。規制部材51は図2Bに示すように段差のある角棒状を成す。先端側の細い部分が、受台48と当接し前記時計方向の回動移動を規制する規制部51aである。この規制部51aの水平な上面で受台48の高さを規制する。
また、基端側の太い本体部分に噛合部51mを備えている。噛合部51mは、基端側の太い本体部分に歯切りしたラックで、噛合う相手方の機構から駆動力を伝達され、規制部材51を移動させる。
規制部材51は、図2C(a)(b)のように、給送手段としての給紙ローラ45による用紙の搬送方向(図に垂直な方向)と直交し、かつ、前記分離バネ49の付勢方向(第1方向、図の上下方向)と直交する第2方向へのスライド移動が可能なように設置されている。すなわち、規制部材51の本体部分が、図2Cで搬送ガイド50の左右方向に形成された図示しないガイド孔に、スライド可能に挿入されている。
従って、規制部材51の規制部51aを図2C(a)の位置に移動させることにより、受台48が給紙ローラ45から離れすぎた時に、受台48の当接部48bが規制部51aに当たる。すなわち、規制部材51の規制部51aが、受台48の図2Aで時計方向の移動を規制し、通紙中に給紙ローラ45とフリクションパッド47が離れすぎることが抑制できるため、重送発生の防止が可能となる。
また、規制部材51を図2C(b)のように矢印方向に操作して規制部51aを引っ込めることで、受台48の時計方向の移動を規制しないようにすることができる。つまり、規制部材51の移動により、受台48の移動を規制する/しないを、切り替える(選択する)ことができる。これによって、用紙の種類や使用状況に応じて、規制部材51の位置を切換えることで、使用可能な紙種が増え、機器自体の用紙対応力を向上することができる。
また、図2Dに示すように、搬送ガイド50は、規制部材51の、用紙の搬送方向と直交する方向への移動を案内する凹状の第1案内部50aを有する。従って、規制部材51の移動が第1案内部50aでガイドされることによりスムーズな操作が可能になり、操作性が向上する。
また、規制部材51は搬送ガイド50よりも低摩擦係数である材料により構成することができる。これにより、規制部材51と周辺の部品の摩擦抵抗が低減され、規制部材51の操作力量が低減してスムーズな操作感が確保される。
受台48の当接部48bは、受台48が分離バネ49の付勢方向とは逆方向(図2Dで時計方向)に移動したときに、規制部材51の規制部51aと当接するが、この当接部48bの先端は、規制部材51の規制部51aと点で接触するように凸曲面状または円弧状とするのがよい。これにより、当接部48bと規制部材51との接触点が一点に定まり、規制部分がどこにあるかを決めやすくなる。これにより、受台48の移動規制の精度が向上する。
図2E(a)はカバー8を内側の面から示した図で、図2E(b)は外側の面から示した図である。図2E(a)の拡大図に示すように、規制部材51の噛合部51mは、駆動伝達部70に当接する。駆動伝達部70は、噛合ギア70aと操作部材71に連結され、これらの回転軸をなす駆動軸70b、噛合部51mと噛み合い、回転可能に構成された噛合ギア70aからなる。
駆動軸70bは、噛合ギア70aが連結されている端部とは反対側の端部を円筒形状の操作部材71に連結されている。操作部材71は、連結された駆動軸70bを介して、カバー8に回転可能に保持されている。駆動軸70bは、噛合ギア70aおよび操作部材71の回転軸を成している。
規制部材51は、一端側に受台48の当接部48bと当接する規制部51aを有し、この一端側とは他端側に、駆動伝達部70の噛合ギア70aと噛み合う噛合部51mを有する。
操作部材71が操作されて回転することによる駆動力は、駆動軸70bを介して噛合ギア70aに伝わり、噛合ギア70aが同方向に回転する。噛合ギア70aの回転により、噛合ギア70aに噛み合う噛合部51mに駆動力が伝達され、規制部材51は図の左右方向に移動する。このように、操作部材71を操作することによる駆動力が、駆動伝達部70を介して規制部材51に伝えられる。
カバー8は、シート給送装置および画像形成装置の外装面の一部を成している。
図2E(b)に示すように、操作部材71はその一部分を、カバー8の開口部8aから外部に露出させており、カバー8を開けることなく、ユーザが操作部材71を操作して回転させることができるように構成されている。前述のように、操作部材71の回転操作によって、駆動伝達部70を介して駆動力を伝達され、規制部材51は移動する。具体的には、操作部材71を図2E(b)の矢印A方向に回転させることで、駆動軸70bは図2E(a)の矢印B方向に回転し、規制部材51は矢印C方向に移動する。
このように、操作部材71の操作による規制部材51の移動を、駆動伝達部70を介して行う事で、規制部材51や給紙部の位置の制約を受けることなく、操作部材71を配置できる。つまり、規制部材51に操作部材71を当接させる等して、操作部材71の操作により直接的に規制部材51を移動させる方式では、規制部材51付近に操作部材71を配置する必要がある。しかし、噛合ギア70aおよび駆動軸70bを介して規制部材51の移動をさせる事で、このような制約を受けることなく、ユーザの操作しやすい位置に操作部材71を配置することができる。
なお、ここでは規制部材51のラック部分である噛合部51mとギアの噛み合わせとしているが、摩擦車などの表面摩擦を利用して、操作部材71の操作力を規制部材51に伝達してもよい。
図2Fに示すように、開口部8a付近には、操作部材71の操作方向をユーザに対し明示する操作方向指示部8bを有しており、刻印や印刷またはデカル等によって明示される。これ以外に、カバー8の表面に操作方向指示部材を別個に設ける、操作部材71に操作方向指示部を設ける等することができる。
また、図2Gに示すように、カバー8の操作方向指示部8bに表示された記号に対応する、位置確認指標としての指示記号71aを、操作部材71の表面に表示し、ユーザが使用する紙種に合わせて操作部材71の位置合わせを促すようにすることもできる。指示記号71aは、図2Gの例に限らず、操作部材71のカバー8に対する相対位置を確認し、使用する紙種に合わせて操作部材71の位置合わせをできるものであれば、なんでもよい。
ユーザの操作による操作部材71の回転方向は、規制部材51の移動方向と同一あるいは垂直にすることが好ましい。これにより、ユーザが操作方法を直感的に理解しやすくなる。
操作部材71は実施形態に示すような円筒形状にする、多角形状として角部分を鈍角にする、あるいは角形状の表面を面取りする、等してユーザが操作部材71の表面に触れて操作する際に、安全な形状とすることができる。
また、操作部材71の表面に小さな凹凸形状を連続的に設けて、ユーザが操作時に操作部材71を確実に保持するようにすることができる。
操作部材71にカバー8と異なる着色をすることで、操作部材71を目立たせ、ユーザに操作部であることをはっきり明示することもできる。
(シート給送装置の第2実施形態)
図3Aは、本発明の第2実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す斜視図である。第1実施形態と同様、駆動伝達部70は、噛合ギア70aおよび駆動軸70bからなり、駆動軸70bはその一端を操作部材71に連結されている。駆動伝達部70は、操作部材71が操作されることによる駆動力を、規制部材51の噛合部51mに伝達する。
第2実施形態の操作部材71には、位置決め部材72が当接している。操作部材71は、円筒形状をしており、位置決め部材72に当接する面に、複数の位置決め溝が角度θ間隔で設けられている。
付勢された操作部材71は、位置決め溝71bの壁面に位置決め部材72が当接することで、所定の位置で停止する。これにより、ユーザが操作部材71を操作する際に角度θ毎に段階的に操作部材71を動かすことができ、規制部材51を段階的に、所定の位置へ移動させ、操作部材71による位置合わせを容易に行うことができる。
また、図3Bに示すように、位置決め部材72を、操作部材71の側面に当接させ、位置決め溝71aを操作部材71の側面に間隔θごとに複数設ける構成にすることも可能である。
(シート給送装置の第3実施形態)
図4Aは、本発明の第3実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図で、(a)図はカバー8の裏面から見た図、(b)図は表面から見た図である。
図4A(a)に示すように、規制部材51の噛合部51nには、駆動伝達部70が当接している。駆動伝達部70は、動力伝達部材70c、第一駆動軸70d、第一連結部70e、動力伝達ベルト70f、第二駆動軸70g、第二連結部70hからなる。
動力伝達部材70cは、噛合部51nに当接し、これに噛み合っている。第一駆動軸70dは、動力伝達部材70cおよび第一連結部70eに連結され、動力伝達部材70cおよび第一連結部70eの軸部分を成している。
動力伝達ベルト70fは、第一連結部70eおよび第二連結部70hによって、それぞれ両方向から張架されている。第二駆動軸70gは、操作部材71および第二連結部70hに連結され、操作部材71および第二連結部70hの軸部分を成している。
動力伝達部材70cおよび第一連結部70eは第一駆動軸70dを回転軸として、また、操作部材71および第二連結部70hは第二駆動軸70gを回転軸として、それぞれカバー8に回転可能に保持されている。
操作部材71が回転することによる駆動力は、第二駆動軸70gを介して第二連結部70hに伝達される。第二連結部70hが回転することにより、動力伝達ベルト70fは周回動作をし、駆動力を第一連結部70eに伝える。
駆動力を伝達された第一連結部70eは、第一駆動軸70dを軸にして回転し、第一駆動軸70dを介して、その駆動力を動力伝達部材70cに伝える。動力伝達部材70cの回転により、これに噛み合っている噛合部51nに駆動力が伝達され、規制部材51が図の左右方向に移動される。
このように、ユーザが操作部材71を操作することで、操作による駆動力が駆動伝達部70を介して規制部材51に伝わり、規制部材51が図の左右方向に移動される。
図4A(b)に示すように、第3実施形態のシート給送装置においても、操作部材71はその一部を外部に露出させ、外部から操作できるようになっている。操作部材71を図の矢印Eの方向へ動かすと、第二駆動軸70gおよび第二連結部70hは、図4A(a)の矢印Fの方向へ回転し、動力伝達ベルト70fは矢印Gの方向へ周回動作を開始する。
動力伝達ベルト70fが周回動作をすると、第一駆動軸70dおよび第一連結部70eを介して、駆動伝達部70cは矢印Hの方向へ回転される。
駆動伝達部70cが矢印Hの方向へ回転すると、これに噛み合う噛合部51nに駆動力が伝達され、規制部材51は矢印Jの方向へ移動する。
図4Bは第3実施形態の噛合部を真上から見た模式図で、(a)図は駆動伝達部70c、(b)図は規制部材51の噛合部51nを示している。
図4B(a)のa1〜a5は、駆動伝達部70cの凸部分である。そして、図4B(b)のb1〜b5はこれに噛み合う凹部分である。図4Bでは、a1とb1、a3とb2、a5とb3が噛み合った状態にある。駆動伝達部70cが矢印H方向に回転することで、規制部材51は、矢印Jの方向へ移動する。
このように第3実施形態の規制部材51は、噛合部51nの凹部分が斜め方向に配置されており、同じく駆動伝達部70cの凸部分も、これに噛み合うように斜め方向に配置されている。なお、噛合部51nの凹部分と駆動伝達部70cの凸部分は、凹部分と凸部分が逆であってもよい。
(シート給送装置の第4実施形態)
図5Aは、本発明の第4実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図で、(a)図はカバー8の裏面から見た図、(b)図は表面から見た図である。
図5A(a)に示すように、第4実施形態の規制部材51は、これまでの噛合部51m、51nに相当する部分に、駆動伝達部70を嵌め込むための嵌合部51pを有する。駆動伝達部70は、嵌合部51pに嵌め込まれるリンク部70jと、リンク部70jに連結される連結軸70kからなる。連結軸70kは、リンク部70jに連結される端部とは反対側の端部を操作部材71に連結されている。
図5A(b)に示すように、棒状の操作部材71は、連結軸70kに連結されている端部とは反対側の端部を、外部に露出させている。操作部材71の露出部分を操作することで、連結軸70kによって操作部材71と連結されたリンク部70j、およびリンク部70jが嵌合された規制部材51は、操作部材71の動きに連動して動作する。具体的には、図5Bに示すように、操作部材71を矢印Kの方向に動かすと、リンク部70jはLの方向に移動し、規制部材51はMの方向へ移動する。
(シート給送装置の第5実施形態)
図6Aは本発明の第5実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図である。第5実施形態では規制部材51の規制部51dが、規制部材51の移動方向に対して傾斜している。
この傾斜した規制部51dは、拡大図に示すように、複数の平面部51fと斜面部51gが交互に階段状につながって構成されている。平面部51fと斜面部51gとは曲面状の面で接続されている。すなわち、複数の斜面部51gの相互間を平面部51fと曲面状の面で接続する構成である。
平面部51fは規制部材51の移動方向(第2方向)に対して平行であるが、斜面部51gは当該第2方向に対して所定の角度で傾斜している。これによって、規制部材51を図6Aで左右方向に移動することで、受台48の当接部48bと規制部51dとの距離を段階的に調節することができ、用紙の分離性を調節することができる。また、平面部51fがあるため受台48が左右に動く力を発生させず、受台48の左右位置の偏差が生じにくくなる。
また、平面部51fと斜面部51gが曲面で接続されているため、規制部材51の左右方向の移動に際して、規制部51dが受台48の当接部48bなどと引っ掛かることを防止でき、滑らかでスムーズな操作感を確保することができる。平面部51fと斜面部51gは等間隔ΔLで配置されており、一定のΔhずつ受台48の当接部48bとの距離が段階的に小さく(又は大きく)なるように配置される。
なお、平面部51fと斜面部51gは、規制部材51の移動方向(第2方向)から見て凸曲面状または円弧状に形成することができる。これにより、規制部材51の移動操作に伴う規制部51dのエッジの引っかかりをなくすことで操作性を向上することができる。
前記ΔLは、規制部材51の移動可能範囲内で、できるだけ大きく設定するのが望ましい。ΔLを大きくとることで平面部51fを大きくすることができ、規制部材51の操作による調節が容易になる。受台48の当接部48bと規制部51dとの間の隙間は、互いの間に介在する図示しない部品などの部品公差により変動する可能性がある。このため、Δhは例えば0.1〜0.3mm程度で設定し、隙間の微妙な調節を可能にするのが好ましい。
また、図6Bのように、本実施形態では規制部材51が搬送ガイド50と係合する第1係合部51eを備えている。この第1係合部51eの形は上凸半円状で、規制部材51の移動方向に延びるように形成された長孔状の切欠き52に隣接する薄肉部51cの中央に形成されている。
規制部材51を樹脂等で構成した場合、薄肉部51cが図6Bで上下方向に適度の弾性を有する。このため、第1係合部51eは、薄肉部51cの下方向弾性変形で下方に移動した退避状態と、薄肉部の復元による図6Bの係合状態に変位することができる。一方、図6Bに示すように搬送ガイド50は規制部材51の第1係合部51eと係合する複数の第2係合部50bを備えている。
第2係合部50bは下凹半円状を直線状に複数形成した構成であり、上凸半円状の第1係合部51eと複数の位置で係合可能である。第2係合部50bの下凹半円状相互間は滑らかな凸状とされ、第1係合部51eが弾性変形により無理なく移動係合可能とされている。
なお、第1係合部51eを下凹半円状とし、第2係合部50bを上凸半円状にしてもよい。また、第1係合部51eを上凸半円状又は下凹半円状を直線状に複数形成した構成とし、第2係合部50bをそれに係合可能な一つの上凸半円状又は下凹半円状に形成してもよい。
複数の係合位置は、前述の規制部材51の平面部51fの間隔ΔLと同じ間隔で設定されている。さらに、規制部材51が、第1係合部51eと第2係合部50bとが互いに係合する位置で、規制部51dの平面部51fが受台48の当接部48bの真下に位置するように設定されている。
これにより、規制部材51と搬送ガイド50とが互いに係合する位置では、確実に平面部51fで受台48を規制することができ、規制時の受台48の姿勢を安定させることができる。この構成により、ユーザはクリック感がある位置で規制部材51を止める操作が可能となり、分離性の調整操作が簡単に行えるようになる。
(シート給送装置の第6実施形態)
図7は本発明の第6実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図である。本実施形態では、図7に示すように規制部が単一の斜面部51g’のみで形成される。斜面部51g’は先端側(左側)から基端側(右側)まで一定傾斜の平面で構成される。当該斜面部51g’によって、受台48の規制位置を無段階で容易に調整でき、用紙分離性の微妙な調整を行うことができる。この場合、もし必要であれば、図6Bの第1係合部51eと第2係合部50bに代えて、規制部材51と搬送ガイド50とが無段階で適度に摩擦係合し合う部分を設けてもよい。
(シート給送装置の第7実施形態)
図8は本発明の第7実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図である。本実施形態では、規制部材51が、規制部51d1と規制部51d2の二つの規制部を有している。
また同様に、受台48は、幅方向中心に対して対称位置に当接部48b1と当接部48b2の二つの当接部を有している。其々の規制部及び当接部は、同じ間隔で配置されており、受台48の幅方向2ヶ所で、受台48の動きを左右同じ高さで規制するように構成されている。つまり、図6A、図6Bの規制部51dをダブルで備えた形である。
この構成により、受台48が移動した際に、当該受台48がその幅方向2点で支えられるため、受台48が傾くことが防止される。受台48の傾き防止により、給紙ローラ45とフリクションパッド47の距離が幅方向で略一定となり、用紙に対する分離力の用紙幅方向偏差の発生を抑制することができる。これにより、受台48の位置決め精度向上、分離性確保による給紙性能の安定化、受台48のがたつき等による異常音の発生防止、さらには受台48の位置決め精度向上による用紙スキュー発生の抑制も可能である。
(シート給送装置の第8実施形態)
図9Aは本発明の第8実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図である。本実施形態では、規制部材51の規制部51hが、分離バネ49よりも、用紙の搬送方向において上流に配置されている。また同様に、受台48の当接部48cが、分離バネ49よりも用紙の搬送方向において上流に配置されている。このように当接部48cを上流に配置することにより受台48の用紙突入側の移動を直接的に規制することができ、重送防止効果を高めることができる。
また、図9Bに示すように搬送ガイド50は、規制部51hを支持する支持部50cを備えている。本実施形態のように、受台48が、用紙の搬送方向下流側に回動軸48aを持つ場合、受台48は搬送方向上流側の変位が大きくなる。
したがって、本実施形態のように、搬送方向上流側に規制部51hを設けることで、受台48の規制がし易くなる。本実施形態で説明した上流/下流の説明はあくまで一例であり、図示しない搬送方向の上流に回動軸を持つフリクションパッド方式の場合は、上下流の説明が逆になる。
(シート給送装置の第9実施形態)
図10Aおよび図10Bは本発明の第9実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図である。本実施形態では、規制部材51の規制部51d, 51hが、分離バネ49をはさみ、用紙の搬送方向において上下流両側にほぼ対称位置に配置される。
また同様に、受台48の当接部48b,48cが、分離バネ49をはさみ、用紙の搬送方向において上下流両側に配置される。これにより、受台48は、搬送方向上下流の両方とも押し下がることがなくなり位置決め精度が向上することから、搬送方向上下流の両方で安定して分離ニップを確保することができ、がたつきによる異音の発生も防止することができる。
本実施形態は、図10Cのような構成において、回動軸48a側が押し下がることを防止することができる。すなわち、図10Cの受台48の回動軸48aを支持する搬送ガイド50の支持部50dにおいて、分離バネ49の付勢方向(上方向)の支持は軸受50fで確保されている。
しかし、逆方向(下方向)は回動軸48aの挿入用として開放されている。このため、規制部51d,51hを設けない場合、回動軸48a側の押し下がり量が大きいと、回動軸48aが軸受50fから外れる可能性がある。本実施形態は、図10Cのような構成において、回動軸48a側の押し下がり量が大きい場合でも、回動軸48aが軸受50fから外れるのを防止することができる。
また、図示しない搬送方向の上流側に回動軸を持つフリクションパッド方式の場合や、直動式(上下平行移動式)のフリクションパッド構成においても、上下流の押し下がりを防止することができるため、同様の効果を得ることができる。
(シート給送装置の第10実施形態)
図11A、図11Bは本発明の第7実施形態に係るレーザプリンタの給紙部の構成を示す図である。本実施形態では、搬送ガイド50は規制部材51を用紙の搬送方向と直交した方向への移動を案内する直線凸状の第2案内部50eを備えている。
また、規制部材51は前記案内部50eと合わさる位置に、直線凹状の第3案内部51iを有している。この構成により、第1実施形態と同様に、規制部材51が案内部50eによって直線状にガイドされることにより、規制部材51のスムーズな操作が可能となり操作性が向上する。案内部50eと第3案内部51iは、1つだけでなく2以上設けてもよい。2以上設けることで規制部材51の移動時の安定性が高まり操作性が向上する。
さらに、本実施形態では円筒状体としてのコロ部材54が、規制部材51のコロ部材取り付け部51jに回転自在に組付けられている。これにより、規制部材51と搬送ガイド50との間の摩擦抵抗が低減し、規制部材51のスムーズな操作感を確保することができる。なお、円筒状体としてのコロ部材54を搬送ガイド50側に設け、このコロ部材54の上を規制部材51が移動する構成としてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば図5の第4実施形態と図7A〜図7Cの第6実施形態とを組み合わせて、受台48の当接部と当該当接部に対応する規制部を、分離バネ49の上下流側に各2つ配設してもよい。
或いは、受台48の当接部と、当該当接部に対応する規制部材51の規制部を、分離バネ49の上流側に2つ、下流側に1つ、或いはその反対に、分離バネ49の上流側に1つ、下流側に2つ配設する構成としてもよい。このように受台48を4点又は3点支持とすることで、受台48の移動機構の種類に関わらず、分離ニップをより安定的に確保することができる。