JP6251935B2 - 接合方法 - Google Patents

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Description

本発明は、接合方法に関する。
材料同士を低温で接合する接合方法として、接合する材料の表面の構造を、高速原子ビームなどの物理的衝撃によって変化させて接合する方法が知られている(例えば、非特許文献1)。材料の表面の構造の変化としては、具体的には、例えば、材料の表面に付着している有機汚染物質の除去等が挙げられる。
A.Shigetou, T.Suga, "Vapor-Assisted Surface Activation Method for Homo- and Heterogeneous Bonding of Cu, SiO2, and Polyimide at 150 C and Atmospheric Pressure", Journal of Electronic Materials, August 2012, Volume 41, Issue 8, pp-2274-2280.
しかし、上記のような接合方法においては、材料の表面処理を高真空雰囲気下で行う必要があった。そのため、高真空雰囲気を作り出すための大型ターボ分子真空ポンプ等の設備の設置や、高真空雰囲気に対応した装置構成を必要とし、接合装置の製造に手間とコストがかかるという問題があった。
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、大気圧下において材料同士を低温で接合することが可能な接合方法及び接合装置を提供することを目的の一つとする。
本発明の接合方法の一つの態様は、第1材料と第2材料とを離間させた状態で、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とに、紫外線を照射する照射工程を含む洗浄工程と、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とを、架橋物質に曝露する曝露工程と、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とを当接させる当接工程と、を備え、前記第1材料は、水和物を形成可能な金属であり、前記第2材料は、Si−O結合を有する材料であり、前記曝露工程において、前記第1材料の接合面には、前記第1材料と前記架橋物質とが反応して前記金属の水和物を含む架橋性被膜が形成され、かつ、前記第2材料の接合面には、前記第2材料と前記架橋物質とが反応してシラノール構造を含む架橋性被膜が形成され、前記当接工程において、前記第1材料の接合面に形成された前記架橋性被膜と前記第2材料の接合面に形成された前記架橋性被膜とが当接されて、架橋層が形成され、前記架橋性被膜を縮合させて、前記第1材料と前記第2材料とを接合する工程をさらに備えることを特徴とする接合方法。
前記曝露工程において、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面との両方を、前記架橋物質に曝露する方法としてもよい。
前記当接工程の後に、前記第1材料と前記第2材料とを加熱する加熱工程を備える方法としてもよい。
前記架橋物質は、水であり、前記第1材料と前記第2材料とは、それぞれSi−O結合を有する材料または水和物を形成可能な金属を形成材料とする方法としてもよい。
前記紫外線は、真空紫外線である方法としてもよい。
前記洗浄工程は、前記照射工程の前に、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とを、置換物質に置換する置換工程を含む方法としてもよい。
本発明の接合装置の一つの態様は、水和物を形成可能な金属である第1材料を保持する第1ホルダーと、前記第1ホルダーに対向して設けられ、Si−O結合を有する材料である第2材料を保持する第2ホルダーと、前記第1材料と前記第2材料とに紫外線を照射する照射部と、前記第1材料と前記第2材料とを、架橋物質に曝露させ、前記第1材料と前記架橋物質とを反応させて前記金属の水和物を含む架橋性被膜を前記第1材料の接合面に形成し、かつ、前記第2材料と前記架橋物質とを反応させてシラノール構造を含む架橋性被膜を前記第2材料の接合面に形成する曝露部と、前記第1材料と前記第2材料とが離間する状態と、前記第1材料と前記第2材料とが当接する状態との間で、前記第1ホルダーと前記第2ホルダーとのうちの少なくとも一方を移動させる移動部と、前記照射部から前記第1材料と前記第2材料とに前記紫外線を照射した後、前記紫外線が照射された前記第1材料と前記第2材料とのうちの少なくとも一方を前記曝露部によって前記架橋物質に曝露させ、前記移動部によって前記第1材料の接合面に形成された前記架橋性被膜と前記第2材料の接合面に形成された前記架橋性被膜とを当接させるように各部を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
前記制御部は、前記曝露部の制御において、前記紫外線が照射された前記第1材料と前記第2材料とのうちの両方を前記架橋物質に曝露させる構成としてもよい。
前記第1材料と前記第2材料とを加熱する加熱部を備え、前記制御部は、前記第1材料と前記第2材料とを当接させた後、前記第1材料と前記第2材料とを加熱するように前記加熱部を制御する構成としてもよい。
本発明の一つの態様によれば、大気圧下において材料同士を低温で接合することが可能な接合方法及び接合装置が提供される。これにより、本発明の一つの態様によれば、接合装置を製造する手間やコストを低減できる。
本実施形態の接合方法を示すフローチャートである。 本実施形態の接合方法の手順を示す断面図である。 本実施形態の接合装置を示す正面図である。 本実施形態の接合装置を示す左側面図である。 本実施形態の接合装置を示す右側面図である。 本実施形態の接合装置を示す平面図である。 本実施形態の接合装置を示す図であって、図4におけるVII−VII断面図である。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例1の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示すグラフである。 実施例2の結果を示すグラフである。 実施例3の結果を示す電子顕微鏡写真である。 実施例3の結果を示す電子顕微鏡写真である。 実施例3の結果を示す電子顕微鏡写真である。 実施例3の結果を示す電子顕微鏡写真である。 実施例3の結果を示す光学顕微鏡写真である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る接合方法および接合装置について説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
なお、本実施形態は、後述する第1材料11の形成材料を銅(Cu)、第2材料14の形成材料をポリジメチルシロキサン(PDMS)、架橋物質Cを水(HO)とした場合を例示するものである。PDMSは、シロキサン結合を表面に有する樹脂である。
図1は、本実施形態の接合方法を示すフローチャートである。図2(A)から図2(D)は、本実施形態の接合方法の手順を示す断面図である。本実施形態の接合方法は、図1に示すフローチャートに従って、第1材料11と第2材料14と(図2(A)参照)を接合する。本実施形態においては、図3から図7に示す接合装置1を用いて接合する場合について説明する。
(接合装置)
まず、本実施形態において用いる接合装置1について説明する。
図3から図7は、本実施形態の接合装置1を示す図である。図3は、正面図である。図4は、左側面図である。図5は、右側面図である。図6は、平面図である。図7は、図4におけるVII−VII断面図である。
なお、以下の説明においてはXYZ座標系を設定し、このXYZ座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。この際、鉛直方向をZ軸方向、水平方向をX軸方向及びY軸方向とする。
本実施形態の接合装置1は、図3から図7に示すように、第1ホルダー20と、第2ホルダー21と、チャンバー30と、移動機構(移動部)40と、第1紫外線照射装置(照射部)50と、第2紫外線照射装置(照射部)51と、第1噴射装置(曝露部)70と、第2噴射装置(曝露部)71と、制御装置110とを備える。
[ホルダー]
第1ホルダー20は、図7に示すように、上面20aに第1材料11を保持するホルダーである。第1ホルダー20は、チャンバー30における後述する本体部31の底面31aの中央に設けられている。第1ホルダー20には、加熱機構(加熱部)100が設けられている。
加熱機構100は、第1ホルダー20を加熱することにより、間接的に、第1材料11及び第1材料11と当接した状態の第2材料14を加熱する。本実施形態の接合方法は、低温で接合することが可能であるため、加熱機構100としては、例えば、150℃程度の加熱ができるものであればよい。
第2ホルダー21は、下面21aに第2材料14を保持するホルダーである。第2ホルダー21は、移動機構40の後述する軸体41の下方側(−Z側)の端部に設けられている。第2ホルダー21は、下面21aが第1ホルダー20の上面20aと対向するように設けられている。
[チャンバー]
チャンバー30は、図3,4に示すように、本体部31と、蓋部32と、第1照射管部35と、第2照射管部36とを備える。
本体部31は、略円筒形状である。本体部31の側面には、図3に示すように、チャンバー30内を目視するための窓部34が設けられている。窓部34は、本実施形態においては、正面視(ZX面視)円形状である。窓部34は、例えば、ガラス等の透光性材料で構成されている。
また、本体部31の側面の下方側(−Z側)には、チャンバー30内に不活性ガスを導入する不活性ガス導入管60と、チャンバー30内の温度及び湿度を調整する温湿度調整機構80とが設けられている。不活性ガスとしては、例えば、窒素(N)や、希ガス等である。
図7に示すように、本体部31の側面には、第1照射用孔35aと、第2照射用孔36aとが形成されている。第1照射用孔35aは、第1ホルダー20よりも上方側(+Z側)となるように設けられている。第1照射用孔35aには、第1照射管部35が接続されている。第2照射用孔36aは、後述する離間状態ST1において、第2ホルダー21よりも下方側(−Z側)となるように設けられている。第2照射用孔36aには、第2照射管部36が接続されている。
本体部31の内部における底面31aには、図7に示すように、チャンバー30内の気体を排出する排出口90が設けられている。本体部31の底面31aの中央には、前述したように、第1ホルダー20が設置されている。
蓋部32は、図6に示すように、蝶番部37を備えている。蓋部32は、本体部31の上端に設けられ、蝶番部37を通る開閉軸CAの軸回りに可動することで開閉する。蓋部32が閉じられた状態、すなわち、図3から図7に示す状態においては、チャンバー30内は密閉される。
蓋部32の中央には、図7に示すように、貫通孔32aが形成されている。貫通孔32aの内側には、ダンパー44が設けられており、移動機構40の後述する軸体41がダンパー44を介して貫通孔32aに挿入されている。
蓋部32の上面32bには、移動機構40を支持する支持部33a,33bが設けられている。支持部33a,33bは、貫通孔32aを挟んで両側にそれぞれ設けられている。支持部33a,33bは、上面32bから上方側(+Z側)に突出している。
第1照射管部35は、管の内部が第1照射用孔35aと連通するように設けられている。第1照射管部35は、図3に示すように、本体部31の側面から、斜め上方側に突出して設けられている。第1照射管部35の本体部31の側面に対する角度θ1は、例えば、45°である。第1照射管部35の突出する側の端部には、第1紫外線照射装置50が設けられている。
第2照射管部36は、図7に示すように、管の内部が第2照射用孔36aと連通するように設けられている。第2照射管部36は、図4に示すように、本体部31の側面から、斜め下方側に突出して設けられている。第2照射管部36の本体部31の側面に対する角度θ2は、例えば、45°である。第2照射管部36の突出する側の端部には、第2紫外線照射装置51が設けられている。
[移動機構]
移動機構40は、図7に示すように、軸体41と、ハンドル部42,43と、駆動部(図示せず)とを備える。軸体41は、鉛直方向(Z軸方向)に延在する円筒状の軸体である。軸体41は、蓋部32の貫通孔32aに設けられたダンパー44を介して、チャンバー30内に挿入されている。軸体41は、軸回りに回転可能に設けられている。軸体41の下方側(−Z側)の端部には、前述したように、第2ホルダー21が設置されている。
ハンドル部42,43は、軸体41における蓋部32よりも上方側(+Z側)に、それぞれ軸体41から水平方向(図7の状態においては、X軸方向)に突出して設けられている。ハンドル部42,43は、軸体41の軸に対して左右対称に設けられている。
移動機構40は、駆動部によって軸体41を、ダンパー44を介して上下動させることにより、軸体41の下方側(−Z側)端部に設けられた第2ホルダー21の位置を移動させる。移動機構40におけるハンドル部42,43が支持部33a,33bによって支持された状態、すなわち、図7に示す状態においては、第1ホルダー20に設けられた第1材料11と第2ホルダー21に設けられた第2材料14とが、離間した離間状態ST1となる。
一方、駆動部によってハンドル部42,43を、図6の矢印に示すように、軸体41の軸回りに回転させ、ハンドル部42,43が支持部33a,33bから外れた状態(図6二点鎖線参照)とした場合では、軸体41は下方側(−Z側)に移動可能となる。そして、駆動部によって第1材料11と第2材料14とが当接するまで軸体41が下方側(−Z側)に移動させられることにより、図7に二点鎖線で示すように、第1材料11と第2材料14とが当接した当接状態ST2となる。
すなわち、移動機構40は、第1材料11と第2材料14とが離間する離間状態ST1と、第1材料11と第2材料14とが当接する当接状態ST2との間で、第2ホルダー21を移動させる。
軸体41の下方側(−Z側)への移動は、駆動部によらず、移動機構40の自重による落下を用いることができる。この場合において、軸体41は、軸体41がダンパー44によって抵抗力を受けるため、自由落下する速度に比べて遅い速度で移動する。
当接状態ST2においては、第1材料11と第2材料14とが当接している状態である範囲内において、第1材料11と第2材料14とを互いに押し付けるように加圧することを要しない。上記のようにして、軸体41の下方側(−Z側)への移動に、移動機構40の自重による落下を用いるような場合においては、第1材料11と第2材料14とには移動機構40の自重のみがかけられる。
[紫外線照射装置]
第1紫外線照射装置50及び第2紫外線照射装置51は、図7に示すように、紫外線Uを射出する装置である。第1紫外線照射装置50から射出された紫外線Uは、第1照射管部35と、第1照射用孔35aとを介して、第1ホルダー20上に設置された第1材料11に照射される。第2紫外線照射装置51から射出された紫外線Uは、第2照射管部36と、第2照射用孔36aとを介して、第2ホルダー21上に設置された第2材料14に照射される。第1紫外線照射装置50及び第2紫外線照射装置51から射出される紫外線Uは、例えば、真空紫外線(VUV:Vacuum Ultra Violet)である。本明細書において、真空紫外線とは、波長が200nm以下の紫外線を意味する。
[噴射装置]
第1噴射装置70及び第2噴射装置71は、図7に示すように、チャンバー30の本体部31を挟むようにして、それぞれ本体部31の側面に設けられている。
第1噴射装置70は、圧縮した空気を流入する空気流入管72と、架橋物質Cを流入する架橋物質流入管73と、第1噴射ノズル76とを備える。空気流入管72と架橋物質流入管73とは、共に第1噴射ノズル76に接続されている。これにより、圧縮した空気と架橋物質Cとが混ぜられ、第1噴射ノズル76から架橋物質Cが霧状となって噴射される。第1噴射ノズル76は、本体部31の内部に設けられており、第1噴射ノズル76の角度は、噴射した霧状の架橋物質Cが、第1材料11に噴霧されるように設定されている。本実施形態においては、第1噴射ノズル76は、第1ホルダー20よりも上方側(+Z側)に設けられているため、第1ホルダー20に向かうように斜め下方側を向いている。
第2噴射装置71は、圧縮した空気を流入する空気流入管74と、架橋物質Cを流入する架橋物質流入管75と、第2噴射ノズル77とを備える。空気流入管74と架橋物質流入管75とは、共に第2噴射ノズル77に接続されている。これにより、圧縮した空気と架橋物質Cとが混ぜられ、第2噴射ノズル77から架橋物質Cが霧状となって噴射される。第2噴射ノズル77は、本体部31の内部に設けられており、第2噴射ノズル77の角度は、噴射した霧状の架橋物質Cが、第2材料14に噴霧されるように設定されている。本実施形態においては、第2噴射ノズル77は、離間状態ST1における第2ホルダー21よりも下方側(−Z側)に設けられているため、第2ホルダー21に向かうように斜め上方側を向いている。
本実施形態においては、架橋物質Cは、水であるため、第1噴射ノズル76及び第2噴射ノズル77からは、水蒸気が噴射される。
なお、本明細書において、「架橋物質」とは、紫外線が照射された状態の第1材料11と第2材料14との形成材料と反応して、架橋性被膜を形成する性質を有する物質を意味する。例えば、本実施形態のように接合材料の形成材料をPDMSとCuとする場合においては、架橋物質Cとして、水、アンモニア等を選択できる。
[制御装置]
制御装置110は、上述した各部を、後述する接合方法を実施するように制御する装置である。すなわち、制御装置110は、チャンバー30内の雰囲気を不活性ガスに置換し、第1紫外線照射装置50及び第2紫外線照射装置51から第1材料11と第2材料14とに紫外線Uを照射した後、紫外線が照射された第1材料11と第2材料14とを第1噴射装置70及び第2噴射装置71によって架橋物質Cに曝露させ、移動機構40によって第1材料11と第2材料14とを当接させ、加熱機構100によって第1材料11と第2材料14とを加熱するように各部を制御する。
(接合方法)
次に、上述した接合装置1を用いて、本実施形態の接合方法について説明する。
本実施形態の接合方法は、図1に示すように、雰囲気置換工程S1と、照射工程(洗浄工程)S2と、曝露工程S3と、当接工程S4と、加熱工程S5とを有する。以下、各工程について詳細に説明する。
なお、説明は省略するが、本実施形態において、下記の工程は、制御装置110によって各部が制御されることによって行われる。
雰囲気置換工程S1は、チャンバー30内の雰囲気を置換する工程である。まず、排出口90を介して、チャンバー30内の気体を排出する。そして、不活性ガス導入管60から、チャンバー30内に不活性ガスを導入し、チャンバー30内を大気圧不活性ガス雰囲気とする。不活性ガスは、例えば、窒素である。
排出口90からチャンバー30内の気体を排出する方法は、特に限定されず、例えば、小型の真空ポンプ等を用いることができる。排出口90からチャンバー30内の気体を排出する方法は、チャンバー30内の酸素を十分に排出できる方法であることが好ましい。照射工程S2において用いる紫外線Uとして、例えば、真空紫外線を用いるような場合では、チャンバー30内に酸素が多量に残留していると、酸素に紫外線Uが照射されることによってオゾンが形成されてしまうことがあるためである。
チャンバー30内の気体の排出と、不活性ガスの導入とは、それぞれ同時に行ってもよい。
次に、照射工程S2は、図2(A)に示すように、第1材料11と第2材料14とに紫外線Uを照射する工程である。
第1材料11は、支持基板10上に設けられた状態で、図7に示す第1ホルダー20に設けられている。第1材料11の接合面11aには、図2(A)に示すように、有機汚染物質12が形成されている。
第2材料14は、支持基板13上に設けられた状態で、図7に示す第2ホルダー21に設けられている。第2材料14の接合面14aには、第1材料11と同様に、有機汚染物質12が形成されている。
図2(A)に示すように、第1材料11の接合面11aに、第1紫外線照射装置50によって、紫外線Uを所定時間照射する。また、第2材料14の接合面14aに、第2紫外線照射装置51によって、紫外線Uを所定時間照射する。紫外線Uが照射されることにより、有機汚染物質12が除去されると共に、第1材料11の接合面11a及び第2材料14の接合面14aにおいて、第1材料11及び第2材料14を形成する材料の一部の構造が変化する。
紫外線Uを照射する時間は、有機汚染物質12の性質に応じて決められ、予め実験的に求めておくことができる。
第1紫外線照射装置50から射出される紫外線Uの波長と、第2紫外線照射装置51から射出される紫外線Uの波長とは、同じであっても、異なっていてもよい。
本実施形態においては、第1材料11の形成材料としてCuを用いているため、紫外線Uによって表面に形成されているCu酸化物が一部還元され、Cu単体が露出する。Cu単体は、Cu酸化物に比べて水分子の吸着性(反応性)が高いため、第1材料11(Cu)の表面は、水分子、すなわち、本実施形態における架橋物質Cを吸着しやすい状態となる。
また、本実施形態においては、第2材料14の形成材料としてPDMSを用いているため、紫外線Uが照射されることでPDMSのメチル基(−CH)の一部が脱離する。第2材料14(PDMS)においては、メチル基が脱離した箇所に、チャンバー30内にわずかに残留する酸素が反応し、Si−O結合が形成される。すなわち、第2材料14(PDMS)の表面は、SiOの構造に近い構造となり、水分子(架橋物質C)が吸着しやすい状態となる。
この工程により、第1材料11及び第2材料14の表面が、架橋物質Cを吸着させやすい構造に変化する。
次に、曝露工程S3は、図2(B)に示すように、第1材料11と第2材料14とを架橋物質Cに曝露する工程である。
第1噴射装置70によって架橋物質Cを第1材料11に噴霧することで、第1材料11の接合面11aを架橋物質Cに曝露する。同様にして、第2噴射装置71によって架橋物質Cを第2材料14に噴霧することで、第2材料14の接合面14aを架橋物質Cに曝露する。
架橋物質Cの噴霧する量及び噴霧する時間は、第1材料11の接合面11a及び第2材料14の接合面14aの全体に架橋物質Cが曝露される範囲において、特に限定されない。架橋物質Cの曝露量は、温湿度調整機構80によって、チャンバー30内の温度及び湿度を監視されることで調整される。
この工程により、噴霧された架橋物質Cが、照射工程S2によって構造が変化した第1材料11の形成材料及び第2材料14の形成材料とそれぞれ反応し、架橋性被膜15,16が形成される(図2(C)参照)。
本実施形態においては、第1材料11の形成材料はCuであるため、架橋性被膜15は、Cu水和物を含んで構成される。また、第2材料14の形成材料はPDMSであるため、架橋性被膜16は、シラノール構造(−SiOH)を含んで構成される。
次に、当接工程S4は、図2(C),(D)に示すように、第1材料11と第2材料14とを当接させる工程である。
移動機構40の軸体41を、図6の矢印に示す方向に回転させ、軸体41を下方側(−Z側)へと移動させることで、第2ホルダー21を下方側(−Z側)に移動させる。これにより、第2ホルダー21に設置された第2材料14が、第1ホルダー20に設置された第1材料11へと接近し、第1材料11の接合面11aと第2材料14の接合面14aとが当接する。より詳細には、第1材料11の接合面11aに形成された架橋性被膜15と、第2材料14の接合面14aに形成された架橋性被膜16とが当接される。
ここで、本実施形態においては、第1材料11と第2材料14とは当接していればよく、第1材料11と第2材料14とが互いに押し付けられるように加圧されている必要はない。
この工程により、第1材料11と第2材料14とが当接した当接状態ST2となる。
次に、加熱工程は、加熱機構100によって第1材料11及び第2材料14を所定時間加熱する工程である。図7に示すように、第1ホルダー20に設けられた加熱機構100を用いて、第1材料11及び第2材料14を加熱する。第1材料11及び第2材料14が加熱されることで、架橋物質Cが蒸発し、架橋性被膜15,16の縮合が促進される。本実施形態においては、架橋物質Cが水であるため、架橋性被膜15,16は脱水縮合される。
ここで、第1材料11及び第2材料14の少なくとも一方の形成材料を金属とした場合においては、各架橋性被膜15,16を介して他方の材料に金属原子が拡散することが促進される。本実施形態においては、第1材料11の形成材料がCuであるため、Cu原子が、第2材料14(PDMS)に拡散する。
架橋性被膜15,16が脱水縮合され、かつ、本実施形態においては第1材料11の形成材料が第2材料14に拡散することで、第1材料11と第2材料14とが接合される。第1材料11と第2材料14の縮合・拡散が進行する程、第1材料11と第2材料14との接合強度は大きくなる。
加熱機構100によって加熱する温度は、架橋物質Cが蒸発して架橋性被膜15,16が縮合する範囲において、特に限定されない。そのため、本実施形態のように架橋物質Cが水である場合には、加熱温度は、例えば、80℃以上とすることにより、縮合反応を効果的に促進できる。加熱機構100による加熱温度を高くすることにより、縮合反応及び拡散の進行速度を向上させ、第1材料11と第2材料14との接合強度を短時間で向上させることができる。
加熱時間は、上記反応が促進され、第1材料11と第2材料14とが十分な結合強度を持って接合される時間に設定される。加熱時間は、予め実験的に求めておくことができる。
この工程により、図2(D)に示すように、第1材料11と第2材料14とが結合する。第1材料11と第2材料14との間には、架橋性被膜15と架橋性被膜16とが接合されることによって境界面を含む架橋層17が形成される。
以上の工程により、本実施形態の接合方法が終了し、第1材料11と第2材料14とは、強固に接合される。
本実施形態によれば、第1材料11の接合面11aと第2材料14の接合面14aとに紫外線Uを照射することによって、有機汚染物質12を除去し、各接合面11a,14aにおける架橋物質Cとの反応活性を高めることができる。これにより、各接合面11a,14aを架橋物質Cに曝露することにより、各接合面11a,14aに架橋性被膜15,16が形成される。そして、各接合面11a,14a同士を当接させて、架橋物質Cが蒸発して架橋性被膜15,16が縮合される程度の低温で加熱することにより、第1材料11と第2材料14とを接合することができる。
したがって、本実施形態によれば、接合過程において、チャンバー30内を高真空とする必要がないため、大気圧下において材料同士を低温で接合することが可能な接合方法が実現できる。
また、これにより、大型ターボ分子真空ポンプのような高真空雰囲気を作るための設備を設置する必要がなく、また、接合装置1の各部を高真空雰囲気に対応した装置構成とする必要もない。その結果、本実施形態によれば、接合装置が大型化・複雑化することを抑制でき、接合装置の製造コスト及び製造する手間を低減できる。
また、本実施形態によれば、第1材料11と第2材料14とを当接させて接合する際に、第1材料11と第2材料14とを互いに押し付けるように加圧する必要がなく、簡便である。
また、本実施形態によれば、各材料の表面に形成されている有機汚染物質12の性質等に応じて、紫外線Uの波長を選択すればよく、架橋物質Cによって接合される材料同士であれば、架橋物質Cを曝露させる量や、加熱する時間等の接合条件を変える必要がない。したがって、本実施形態によれば、材料によって接合条件を変える手間が少なく、簡便な接合方法が実現できる。
また、本実施形態によれば、架橋物質Cを第1噴射装置70及び第2噴射装置71とから噴射して、第1材料11及び第2材料14に噴霧する構成であるため、チャンバー30内の第1材料11及び第2材料14以外の部分に架橋物質Cが付着することを抑制できる。また、使用する架橋物質Cの量を必要最小限に抑えることが容易である。
なお、本実施形態においては、下記の方法及び構成を採用することもできる。
本実施形態においては、照射工程S2の前に、第1材料11と第2材料14との表面に形成された有機汚染物質を置換物質によって置換する置換工程(洗浄工程)を設けてもよい。この工程を設けることにより、第1材料11と第2材料14との表面を変化させることができ、照射工程S2において用いることができる紫外線Uの波長の幅を広げることができる。置換物質としては、例えば、アンモニアを用いることができる。
本実施形態においては、曝露工程S3において、第1材料11の接合面11aと第2材料14の接合面14aとのうちいずれか一方のみを架橋物質Cに曝露させてもよい。
上記説明した本実施形態においては、曝露工程S3において、第1噴射装置70及び第2噴射装置71によって、架橋物質Cを第1材料11及び第2材料14に噴霧することによって、第1材料11及び第2材料14を架橋物質Cに曝露したが、これに限られない。曝露する方法は、第1材料11及び第2材料14の紫外線Uが照射された接合面11a,14aに架橋物質Cが十分に付着する範囲において、どのような方法であってもよく、例えば、第1材料11及び第2材料14を架橋物質Cの液体中に沈めるような方法であってもよい。
本実施形態においては、加熱工程S5の代わりに、例えば、加圧工程を設けてもよい。第1材料11と第2材料14との周囲を加圧することにより、加熱した際と同様に、架橋性被膜15,16における縮合の反応速度を高めることができる。加熱工程S5の代わりに設ける工程は、架橋性被膜15,16における縮合の反応速度を高めることができるような範囲において、特に限定されない。
本実施形態においては、加熱工程S5を省略してもよい。この場合には、第1材料11と第2材料14とを所定時間放置することにより、架橋性被膜15,16における縮合が進行し、第1材料11と第2材料14とが強固に接合される。
本実施形態においては、第1噴射装置70及び第2噴射装置71として、超音波素子霧化装置を用いる構成としてもよい。また、本実施形態においては、上記実施形態において示した、第1噴射装置70及び第2噴射装置71の架橋物質流入管73,75に流入する架橋物質Cを予め超音波素子霧化装置を用いて霧状にする構成としてもよい。
上記説明した本実施形態においては、第1材料11及び第2材料14の形成材料をCu及びPDMS、架橋物質Cを水とした場合について例示したが、これに限られない。本実施形態においては、架橋物質Cとして水を用いる場合には、第1材料11及び第2材料14の形成材料として、それぞれシロキサン結合を有する樹脂や、Quartz(石英,SiO)等のSi−O結合を有する材料または水和物を形成可能な金属を用いることができる。水和物を形成可能な金属としては、例えば、Cu、Ti等である。
第1材料11及び第2材料14の形成材料としては、それぞれ無機材料を選択することもできる。
次に、実施例について説明する。
下記の実施例において、X線電子分光法を用いた計測は、PerkinElmer社製のX線電子分光分析装置(機種5400MC)を用いて行った。励起X線は、AlのKα線とし、1.0×10−7Pa以上、4.0×10−7Pa以下の雰囲気下において、出力400Wで照射した。
また、X線電子分光法を用いて計測したスペクトルを波形分離する際には、Ulvac社製の波形分離ソフト(Multipak)を使用した。スペクトルを分離する際には、実測されたスペクトルを、フィッティングされた滑らかなスペクトル曲線に変換し、フィッティングされたスペクトルを波形分離した。
また、下記の実施例においては、接合する2つの材料として、それぞれPDMSを形成材料とする試験片(以下、PDMS片)またはCuを形成材料とする試験片(以下、Cu片)を使用した。
(実施例1)
本実施例においては、PDMS片とCu片とにそれぞれ紫外線を照射した際の表面の結合状態の変化について計測を行った。
9.12×10Pa(0.9atm)の高純度窒素(99.999%)雰囲気中で、PDMS片とCu片のそれぞれに、波長が172nmのVUV(真空紫外線)を照射した。
VUVを照射する時間は、PDMS片においては、0秒(s)、60秒、300秒、600秒とし、Cu片においては、0秒、30秒、60秒、300秒とした。
それぞれの場合について、各材料の表面の結合状態を、上述したようにして、X線電子分光法を用いて計測した。そして、計測した結果を波形分離して、各ピークを表す波形に分離した。波形分離する波形としては、それぞれ表面の結合状態の違いが顕著に表れているスペクトル波形を選択した。
図8(A)は、本実施例における、VUVを照射した後のPDMS片の表面をX線電子分光法で計測したSi2Pスペクトル分析の結果を示すグラフである。図8(B)は、図8(A)におけるVUVの照射時間が0秒のときのスペクトル波形を波形分離した結果を示すグラフである。
図8(A),(B)において、横軸は、光電子の結合エネルギー(単位:eV)を示しており、縦軸は計測された光電子の個数(単位:c/s)を示している。以下に説明する図9(A)から図12(B)においても同様である。図8(A),(B)において、縦軸は、規格化して示している。
図8(B)から、PDMS片の表面をX線電子分光法で計測した場合のSi2Pスペクトルには、結合エネルギーが約103.8eVの箇所に発現するピークP1を有する波形と、結合エネルギーが約105.2eVの箇所に発現するピークP2を有する波形とが含まれていることが確認できた。ピークP1は、Si−C結合を示すピークであり、ピークP2は、Si−O結合を示すピークであると考えられる。このことは、ピークP1の位置とピークP2の位置との結合エネルギー差Dが、Si−O結合の結合エネルギーとSi−C結合の結合エネルギーの差1.3eVとほぼ同等の値であることからも確かめられる。
図8(A)から、VUVを照射していない場合(照射時間0秒)と、VUVの照射時間が60秒である場合とにおいては、スペクトルのピークが、ピークP1の位置に発現していることが分かる。これに対して、VUVの照射時間が300秒である場合と、600秒である場合とにおいては、スペクトルのピークが、ピークP2の位置に発現していることが分かる。これは、VUVの照射によってPDMS中のSi−C結合が切断されることでメチル基が脱離し、そこにチャンバー内の残留酸素が一部結合することによって、Si−O結合のピークが支配的となったためと考えられる。
これにより、VUVを照射された後のPDMS片の表面においては、Si−C結合が切断され、そこに残留酸素等が結びつくことによってSi−O結合が形成されていることが確かめられた。すなわち、VUVの照射によって、PDMS片の表面をSiOと近い構造とすることができ、架橋物質、すなわち、水分子を吸着させやすい状態へと変化させることができることが確かめられた。
また、照射時間が300秒と600秒とでは、スペクトル形状にほぼ変化が見られないため、例えば、VUVを300秒以上照射することにより、PDMS片の表面を、十分に水分子が吸着しやすい状態とできることが分かった。
図9(A)は、VUVを照射した後のCu片の表面をX線電子分光法で計測したO1sのスペクトル分析結果を示すグラフである。図9(B)は、図9(A)におけるVUVの照射時間が0秒のときのスペクトル波形を波形分離した結果を示すグラフである。
図9(B)から、Cu片の表面をX線電子分光法で計測したO1sスペクトルには、結合エネルギーが約531.7eVの箇所に発現するピークP3を有する波形と、結合エネルギーが約532.2eVの箇所に発現するピークP4を有する波形とが含まれていることが確認できた。ピークP3は、有機汚染物質に由来するピークであり、ピークP4は、Cu酸化物に由来するピークであると考えられる。
図9(A)から、VUVを照射していない場合においては、スペクトルのピークが有機汚染物質に由来するピークP3の位置に発現しているのに対して、VUVを照射した場合においては、スペクトルのピークがCu酸化物に由来するピークP4の位置に発現していることが分かる。また、VUVの照射時間が30秒と60秒とである場合を比べると、計測された光電子の個数が大きくなっていることが確かめられる。これは、VUVの照射により、有機汚染物質が除去されることで、酸化しているCu片の表面が露出し、Cu酸化物が計測されたためと考えられる。
また、VUVの照射時間が60秒と300秒との場合を比べると、VUVを照射した時間が300秒である場合の方が、計測された光電子の個数が小さくなっている。これは、VUVの照射によって、表面に形成されていたCu酸化物が一部還元されたためと考えられる。
図10(A)は、VUVを照射した後のCu片の表面をX線電子分光法で計測したCu2p3/2のスペクトル分析の結果を示すグラフである。図10(B)は、図10(A)におけるVUVの照射時間が30秒のときのスペクトル波形を波形分離した結果を示すグラフである。
図10(B)から、Cu片の表面をX線電子分光法で計測したCu2p3/2スペクトルには、結合エネルギーが約935.3eVの箇所に発現するピークP5を有する波形と、結合エネルギーが約933.7eVの箇所に発現するピークP6を有する波形とが含まれていることが確認できた。ピークP5は、VUVによって分解された有機汚染物質とCuとの化合物に由来するものと考えられる。ピークP6は、Cu酸化物に由来するピークであると考えられる。
図10(A)から、VUVを照射しない場合においては、Cu片の表面が有機汚染物質で覆われているため、Cu2p3/2のスペクトルが計測される光電子の個数は少ないことが確かめられる。これに対して、VUVを照射した場合では、照射時間が長くなるほど、計測された光電子の個数が多くなっていることが確かめられる。また、VUVを照射した場合では、スペクトルのピークが、Cu酸化物に由来するピークP6の位置となっていることが確かめられる。
また、照射時間が60秒の場合では、ピークP6よりも結合エネルギーが高い側において、計測される光電子の個数が大きくなっていることが分かる。これは、ピークP5が発現していることによるものと考えられる。VUVの照射時間を300秒とした場合においては、ピークP5側の光電子の計測数は減少していることから、VUVの照射によって、有機汚染物質とCuとの化合物が一部還元されたことが確かめられた。
以上のことから、Cu片においても、例えば、紫外線を300秒照射することにより、Cu酸化物が還元され、Cu片の表面が、水分子(架橋物質)が吸着しやすい状態とできることが確かめられた。
(実施例2)
本実施例においては、紫外線を照射したPDMS片及びCu片を水蒸気に曝露した際の表面構造の変化について計測を行った。
紫外線(VUV)を照射する条件は、実施例1と同様とし、照射時間を300秒とした。VUVを照射した後の材料表面に曝露させる水蒸気の量を、2.9g/m、9.8g/m、13.8g/mとし、それぞれの場合について、各材料の表面の結合状態を、上述したX線電子分光法を用いて計測した。また、実施例1と同様にして、計測した結果を波形分離して、各ピークを表す波形に分離した。
図11(A)は、本実施例における、水蒸気に曝露させた後のPDMS片の表面をX線電子分光法で測定したSi2Pスペクトル分析の結果を示すグラフである。図11(B)は、図11(A)における曝露させる水蒸気の量が13.8g/mのときのスペクトル波形を波形分離した結果を示すグラフである。図11(A)においては、比較のためにSiOの薄膜を計測した結果(std SiO)を共に示す。また、図11(A),(B)の縦軸は、規格化して示している。
図11(B)から、PDMS片の表面をX線電子分光法で計測したSi2Pスペクトルには、結合エネルギーが約105.2eVの箇所に発現するピークP7を有する波形と、結合エネルギーが約104.7eVの箇所に発現するピークP8を有する波形とが含まれていることが確認できた。ピークP7は、Si−O結合を示すピークであると考えられる。ピークP8は、Si−O結合(ピークP7)の結合エネルギーよりも低く、かつ、水蒸気の曝露によって発現していることから、シラノール構造に由来するピークであると考えられる。
図11(A)から、水蒸気の曝露量が増加する程、スペクトルのピークがSiOのピークP7(Si−O結合のピーク)に近づいていることが分かる。これにより、水蒸気への曝露によって、PDMS片の表面が、より水分子が吸着しやすいSiOに似た構造に変化していることが確かめられた。
また、水蒸気の曝露量が増加するに伴って、ピークP7よりも低エネルギー側にピークP8が発現していることが確かめられた。これにより、PDMS片の表面に、シラノール構造を含む架橋性被膜が形成されていることが確かめられた。
図12(A)は、本実施例における、水蒸気に曝露させた後のCu片の表面をX線電子分光法で測定したO1sスペクトル分析の結果を示すグラフである。図12(B)は、図12(A)における曝露させる水蒸気の量が13.8g/mのときのスペクトル波形を波形分離した結果を示すグラフである。図12(A)においては、比較のためにVUVを照射した直後、すなわち、水蒸気に曝露する前の状態(曝露量0g/m)を計測した結果を共に示す。また、図12(A),(B)の縦軸は、規格化して示している。
図12(B)から、Cu片の表面をX線電子分光法で計測したO1sスペクトルには、結合エネルギーが約532.2eVの箇所に発現するピークP9を有する波形と、結合エネルギーが約533.7eVの箇所に発現するピークP10を有する波形とが含まれていることが確認できた。ピークP9は、Cu酸化物に由来するピークであると考えられる。ピークP10は、Cuと水蒸気とが反応してCu水和物が形成されたことに由来するものであると考えられる。
図12(A)から、水蒸気の曝露量が増加する程、Cu酸化物のピークP9よりも高エネルギー側の計測値が大きくなっていることが分かる。これは、ピークP10が発現しているためであると考えられる。これにより、Cu片の表面に、Cu水和物を含む架橋性被膜が形成されていることが確かめられた。
なお、PDMS片及びCu片の表面に吸着される水分子の量は、共に決まっており、本実施例においては、13.8g/mより水蒸気の量を増加させても、各ピークに変化は見られなかった。
(実施例3)
本実施例においては、PDMS片とCu片と、PDMS片とPDMS片と、Cu片とCu片とをそれぞれ接合させ、接合界面の観察を行った。また、Si−O結合を表面に有する無機材料の一例として、Quartz(石英,SiO)を形成材料とする試験片(Quartz片)同士を結合させ、接合界面の観察を行った。また、他の金属同士の結合の一例として、Siチップ上に形成されたTi薄膜(Ti thin film)同士を結合させ、接合界面の観察を行った。
VUVを実施例2と同様にして照射した後、各材料を水蒸気に曝露した。曝露する水蒸気の量は、実施例2において、明確に架橋性被膜が形成されたと考えられる量、すなわち、ピークP8及びピークP10が発現し、それ以上ピークの変化が見られなかった量である13.8g/mとした。各材料を当接させて、150℃で600秒加熱した。
接合させた材料の各接合界面を透過電子顕微鏡で観察した。結果を図13(A)から図16に示す。
図13(A),(B)は、PDMS片同士を接合させた場合を示す電子顕微鏡写真である。図14(A),(B)は、PDMS片とCu片とを接合させた場合を示す電子顕微鏡写真である。図15(A),(B)は、Cu片とCu片とを接合させた場合を示す電子顕微鏡写真である。図16は、Quartz片同士を接合させた場合を示す電子顕微鏡写真である。図17は、Ti薄膜同士を結合させた場合を示す光学顕微鏡写真である。各図において示す黒い三角形は、架橋層の位置を示すものである。すなわち、各図と接している黒い三角形の頂点同士を結ぶようにして、架橋層が形成されている。
図13(A)から図17のいずれにおいても、各図のそれぞれの縮尺で視認した範囲で、接合界面に空隙は確認できず、材料同士が強固に接合されていることが確かめられた。
また、図13(A),(B)、図14(A),(B)、図15(A),(B)及び図17から、各材料同士の間に、約10nm以下の厚みのアモルファス状の架橋層が形成されていることが確かめられた。
PDMS片同士の接合においては、図13(B)に示すように、架橋層には、照射された電子線の回折によって生じるスポット(ディフラクションスポット)が確認できた。電子線の回折は、周期的な原子配列(結晶構造)が存在することにより生じる。すなわち、架橋層にディフラクションスポットが確認できたことにより、PDMS片の表面に結晶構造(PDMS片の場合においては、SiOの結晶構造)が形成され、PDMS片同士が接合されたことが確認できた。
図14(A),(B)及び図15(A),(B)においては、Cuが拡散し、各材料と互いに混ざり合うことで架橋層が形成されていることが確認できた。
Quartz片同士の接合の場合においては、図16に示すように、形成される架橋層が薄く、図16における縮尺の範囲において、各材料の接合界面(架橋層)が視認できないことが分かった。
以上の結果から、接合する2つの材料の形成材料として、それぞれ無機材料を選択できることが確かめられた。
以上の結果から、架橋物質として水を用いる場合には、接合する2つの材料の形成材料として、それぞれSi−O結合を有する材料または水和物を形成可能な金属のうちから任意の材料を選択できることが確かめられた。
(実施例4)
本実施例においては、PDMS片同士を接合した接合材の光の透過性について計測した。
接合材としては、実施例3と同様にして接合させたPDMS−PDMSの接合材を用いた。比較例として、PDMSを形成材料とする厚みが接合材と同一であるバルク材を用いた。
各材料に可視光領域(波長が380nm以上、1000nm以下)の光を入射させ、光の透過性を計測した。
その結果、バルク材と比較して、接合材の光透過性は3%から5%程度しか損失しないことが確かめられた。すなわち、本実施例の接合方法によれば、接合層(架橋層)を薄くできるため、接合層によって光の透過性が低下することを抑制できることが分かった。
以上の実施例の結果から、本発明の接合方法が有用であることが確かめられた。
1…接合装置、11…第1材料、11a,14a…接合面、14…第2材料、20…第1ホルダー、21…第2ホルダー、40…移動機構(移動部)、50…第1紫外線照射装置(照射部)、51…第2紫外線照射装置(照射部)、70…第1噴射装置(曝露部)、71…第2噴射装置(曝露部)、100…加熱装置(加熱部)、C…架橋物質、S2…照射工程(洗浄工程)、S3…曝露工程、S4…当接工程、S5…加熱工程、U…紫外線

Claims (5)

  1. 第1材料と第2材料とを離間させた状態で、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とに、紫外線を照射する照射工程を含む洗浄工程と、
    前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とを、架橋物質に曝露する曝露工程と、
    前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とを当接させる当接工程と、
    を備え、
    前記第1材料は、水和物を形成可能な金属であり、
    前記第2材料は、Si−O結合を有する材料であり、
    前記曝露工程において、前記第1材料の接合面には、前記第1材料と前記架橋物質とが反応して前記金属の水和物を含む架橋性被膜が形成され、かつ、前記第2材料の接合面には、前記第2材料と前記架橋物質とが反応してシラノール構造を含む架橋性被膜が形成され、
    前記当接工程において、前記第1材料の接合面に形成された前記架橋性被膜と前記第2材料の接合面に形成された前記架橋性被膜とが当接されて、架橋層が形成され、
    前記架橋性被膜を縮合させて、前記第1材料と前記第2材料とを接合する工程をさらに備えることを特徴とする接合方法。
  2. 前記当接工程の後に、前記第1材料と前記第2材料とを加熱する加熱工程を備える、請求項1に記載の接合方法。
  3. 前記架橋物質は、水である、請求項1または2に記載の接合方法。
  4. 前記紫外線は、真空紫外線である、請求項1から3のいずれか一項に記載の接合方法。
  5. 前記洗浄工程は、前記照射工程の前に、前記第1材料の接合面と前記第2材料の接合面とを、置換物質に置換する置換工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の接合方法。
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