JP6251492B2 - 香辛料の自己水分加熱殺菌方法及びそれによって得ることのできる香辛料 - Google Patents

香辛料の自己水分加熱殺菌方法及びそれによって得ることのできる香辛料 Download PDF

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Description

本発明は、香辛料の自己水分加熱殺菌方法及びそれによって得ることのできる香辛料に関する。本発明によれば、保存期間における香辛料の色調の退色を防止することができる。
食中毒の原因として、肉及び魚などの病原大腸菌などによる微生物汚染が問題となっている。また、加工食品による食中毒の場合、肉及び魚などの生鮮食品の汚染以外に、香辛料の微生物により、菌が持ち込まれる可能性もある。
ソーセージやハムなどの加工食品に用いられる香辛料は、多いものでは10〜10CFU/g程度の微生物が含まれていることがある。このような香辛料を加工食品に用いた場合、加工食品中で微生物が繁殖し、食中毒や腐敗の原因となる可能性がある。
前記香辛料などの粉体材料に含まれる微生物を減少させる殺菌方法としては、エチレンオキサイドガスを用いたガス殺菌、放射線殺菌、又は気流式殺菌(過熱水蒸気殺菌)などを用いることができる。ガス殺菌は、粉体の隅々まで殺菌することが可能である。しかしながら、エチレンオキサイドガスが有害であることから、食品へのエチレンオキサイドガスを用いたガス殺菌は禁止されている。また、放射線殺菌は温度が上昇しないため、タンパク質の変性がなく優れた殺菌法である。しかしながら、食品に対する放射線殺菌は、日本では許可されていない。
従って、日本においては、香辛料などの粉体材料の殺菌方法としては、過熱水蒸気による気流式殺菌が用いられている。気流式殺菌は、ある一定の圧における飽和水蒸気を、更に加熱した過熱水蒸気を用いる殺菌法であり、乾熱殺菌と湿熱殺菌との長所を併せ持ち、殺菌される粉体材料を必要以上に濡らすことなく、殺菌できる方法である(非特許文献1)。
カタログ「粉粒体殺菌装置」(日本)株式会社大川原製作所、2002年6月、p.11〜12
具体的な気流式殺菌は、以下のように行うことができる。例えば0.2MPa・Gの圧力下で水を加熱していくと133℃で飽和水蒸気となるが、更に加熱を行い150〜200℃(加熱度17℃〜67℃)の過熱水蒸気とする。この過熱水蒸気を気流管に通し、この気流管中に粉体材料を投入することにより、数秒で殺菌できる。
本発明者らは、赤唐辛子などの色素を有する香辛料に気流式殺菌を行ったところ、大腸菌群などの微生物を減少させることができるが、保存期間の経過にしたがって赤唐辛子などの香辛料の色調が退色してしまい、香辛料の商品価値が低下することがわかった。
従って、本発明の目的は、香辛料の色調の退色を防止することのできる殺菌方法を提供することである。また本発明の別の目的は、微生物が減少し且つ退色しにくい香辛料を提供することである。
本発明者は、香辛料の退色を防止することのできる殺菌方法について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、水分を含有する香辛料などを半密閉式の容器に充填し、香辛料から蒸発した水分を含む雰囲気、そして65〜130℃の品温で加熱処理することにより、保存期間における香辛料の色調の退色を防ぐことができることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](1)水分を含有する香辛料を半密閉式の容器に充填する工程、及び(2)香辛料から蒸発した水分を含む雰囲気、そして65〜130℃の品温で加熱処理する工程、を含む香辛料の自己水分加熱殺菌方法、
[2]加熱処理後の香辛料の含水率が1〜12重量%である、[1]に記載の自己水分加熱殺菌方法、
[3]前記香辛料が、カプサンチンを含む、[1]又は[2]に記載の自己水分加熱殺菌方法、
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の自己水分加熱殺菌方法を用いた、香辛料の製造方法、
[5](A)殺菌により大腸菌群が減少しており、且つ(B)40℃及び酸素濃度80%の退色加速試験における7日経過後のASTA値の低下率が30%以下である、香辛料、及び
[6]前記香辛料がカプサンチンを含む、[5]に記載の香辛料、
に関する。
本発明の自己水分加熱殺菌方法によれば、赤唐辛子などの色素を有する香辛料において、微生物を減少させ、且つ香辛料の色調の退色を防止することができる。また、本発明の自己水分加熱殺菌方法によって得られた香辛料は、保存期間における色調の退色が抑えられるため、商品価値が高い。更に、香辛料において大腸菌群に殺菌効果があることは、食品の品質において重要である。
本発明の自己水分加熱殺菌法(実施例1)、及び従来の気流式殺菌法(比較例1)により殺菌された赤唐辛子の退色加速試験の結果を示すグラフである。色調はASTA値で測定した。 本発明の自己水分加熱殺菌法(実施例1)、及び従来の気流式殺菌法(比較例1)により殺菌された赤唐辛子の退色加速試験の結果を示す写真である。
[1]香辛料の自己水分加熱殺菌方法
本発明の自己水分加熱殺菌方法は(1)水分を含有する香辛料を半密閉式の容器に充填する工程、及び(2)65〜130℃香辛料から蒸発した水分を含む雰囲気、そして65〜130℃の品温で加熱処理する工程、を含む。
本発明の自己水分加熱殺菌方法は、水分を含有する香辛料を加熱して、香辛料から蒸発した自己の水分の蒸気下において殺菌することを特徴とするものである。自己の水分の蒸気を含む雰囲気中で加熱することにより、開放式で加熱を行った場合と比較して、半密閉容器中の水蒸気が多く残り、湿熱状態が維持される。
従って、開放式で加熱行った場合と比較して、効率よく殺菌することができる。
本明細書において「自己の水分」とは、香辛料に含まれている水分、及び付着している水分を意味する。また、採取されたときに香辛料に含まれていた水分のみでなく、採取後に香辛料が自然に吸着した水分、又は香辛料を水に浸漬すること又は水分を噴霧することなどにより、香辛料に含有された水分又は付着した水分を含む意味である。
加熱処理前の香辛料の含水率は特に限定されるものではないが、下限は2重量%以上が好ましく、6重量%以上がより好ましく、7重量%以上が更に好ましく、8重量%以上が最も好ましい。上限も限定されるものではないが、15重量%以下が好ましく、13重量%がより好ましい。2重量%以上の水分を含むことにより、加熱処理工程において、殺菌に十分な水蒸気が発生し、適当な時間の加熱処理により、最適な含水率の殺菌された香辛料を得ることができるからである。
加熱処理後の香辛料の含水率も特に限定されるものでないが、加熱処理後の香辛料が過加熱による品質低下を生じさせないで、香辛料特有の特徴を維持するために、下限は1重量%以上が好ましく、2重量%以上がより好ましく、3重量%以上が更に好ましく、4重量%以上が更に好ましく、5重量%以上が最も好ましい。加熱処理後の香辛料に含まれる水分の影響を受けないで品質を維持させるために、上限は12重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましく、8重量%以下が更に好ましく、7重量%以下が更に好ましく、6重量%以下が最も好ましい。含水率が1〜12重量%であることにより、香辛料の色素の退色が抑えられ、2〜8重量%であることで、より殺菌効果を高めるとともに、より香辛料の色素の退色が抑えられるからである。
《充填工程(1)》
(半密閉式容器)
本発明の自己水分加熱殺菌方法において用いられる半密閉式の容器は、開放式の容器ではなく密閉容器である。しかしながら、半密閉式の容器は、完全密閉式の容器ではなく、加熱により内部の圧力が上昇する場合に、例えば内部の圧力を逃がす圧力逃がしバルブ、又は圧力逃がし弁などを備え、水蒸気などによる内部の圧力の上昇を抑えることができるものである。すなわち、半密閉式容器は、加熱時においても本質的に大気圧で使用されるものである。また、前記圧力逃がしバルブ、又は圧力逃がし弁などの気体の流路は、比較的狭い。従って、容器中の水蒸気が拡散しない限りにおいて、圧力逃がしバルブ、又は圧力逃がし弁などを開放状態として、大気圧で、本発明の自己水分加熱殺菌方法を行ってもよい。
また、半密閉式容器は、加熱処理工程において、香辛料の品温を65〜130℃にするために、加熱機能を備えているものが好ましい。加熱機能としては、電力又は火力によるものが挙げられるが、例えば半密閉式容器の容器外周のジャケットを電力又は火力により熱することもできる。更に、半密閉式容器の容器外周ジャケットに温水、蒸気、又は熱媒等を流すことにより、加熱処理することも可能である。
更に、半密閉式容器は、香辛料の均一な加熱のために、攪拌機能を備えるものが好ましい。攪拌機能としては、香辛料が攪拌される限りにおいて限定されないが、例えば容器中の攪拌翼(回転翼)でもよい。また、半密閉式容器自体を回転させる、例えばドラムミキサー、タンブラーミキサー、又はリフターミキサーなどにより、香辛料を攪拌するものでもよい。
半密閉式容器への香辛料の充填量は、容器中で香辛料が攪拌される限りにおいて、限定されるものではないが、十分な攪拌を行うためには、充填される香辛料の充填量は、容器容量の20〜90容量%が好ましく、50〜85容量%が更に好ましく、65〜80容量%が最も好ましい。
《加熱処理工程(2)》
本発明の自己水分加熱殺菌方法における加熱処理工程(2)は、65〜130℃の温度で香辛料から蒸発した水分中で加熱処理する工程である。加熱処理温度は65〜130℃であれば、限定されるものではないが、下限は好ましくは70℃以上であり、より好ましくは72℃以上であり、更に好ましくは75℃以上である。上限は好ましくは110℃以下であり、より好ましくは100℃以下であり、更に好ましくは90℃以下であり、もっとも好ましくは80℃以下である。処理温度が65℃以上であることによって水蒸気存在下での十分な殺菌を行うことが出来る。また、130℃以下であることによって、過剰な熱量による香辛料の色素の退色を防ぐことができる。
また、加熱処理時間も特に限定されるものではないが、好ましくは5〜60分であり、より好ましくは7〜45分であり、更に好ましくは10〜30分である。
加熱処理温度と加熱処理時間との組み合わせは、加熱処理後の香辛料の水分含有量が、1重量%〜12重量%となる加熱処理時間及び加熱処理時間との組み合わせである限りにおいて限定されない。すなわち、例えば12重量%以上の水分を含む香辛料を、半密閉容器において、香辛料の水分含有量が1重量%〜12重量%となるように加熱処理することにより、十分な殺菌が行われ、且つ香辛料の保存に最適な水分含有量となる。
なお、本発明の自己水分加熱殺菌方法における加熱処理工程(2)は、油分で炒めるものではない。
本発明に用いる半密閉式容器は、加熱時に内部の圧力を逃がすことができるものであり、従って加熱処理工程における圧力は、およそ大気圧である。従って、例えば加熱処理工程における圧力は、0.95〜1.1atmでよく、0.97〜1.05atmでよく、0.98〜1.02atmでもよく、0.99〜1.01atmでもよく、1atmでもよい。なお、1atmは101325Paであり、前記圧力はPaで表すことも可能である。
本発明の自己水分加熱殺菌方法において、霧吹き等により、香辛料の自己水分以外の水分の添加を行なった場合、得られた香辛料が水分で必要以上に濡れていることがある。その場合、更に熱風乾燥又は加熱乾燥を行うことがあり、工程が増えるため好ましくない。しかしながら、微生物を減少させ、且つ香辛料の色調の退色を防止するという本発明の効果が得られる限りにおいて、自己水分加熱殺菌方法における自己水分以外の水分の添加を排除するものではない。
加熱時の半密閉式容器の雰囲気の水蒸気分圧は、特に限定されるものではないが、加熱時の雰囲気の温度における飽和水上気圧以下でもよく、飽和水蒸気圧を超えるものでもよい。すなわち、水蒸気分圧を飽和水蒸気圧で割った湿度としては、例えば30%以上でもよく、50%以上でもよく、80%以上でもよく、100%でもよく、そして100%を超えるものでもよい。
《香辛料》
本発明の自己水分加熱殺菌方法に用いる香辛料は、色素を有するものであれば、特に限定されるものではない。色素としては、赤色系、黄色系、又は緑色系の色素を挙げることができる。また、これらの色素を含む香辛料としては、例えば唐辛子、パプリカ、又はピーマンを挙げることができるが、好ましくはカプサンチンを含む香辛料であり、例えば赤唐辛子、赤色系のパプリカ、又は赤ピーマンである。カプサンチンを含む香辛料は、温度による退色が起こりやすく、本発明の自己水分加熱殺菌方法による効果が得られやすいからである。
本発明に用いる香辛料の加熱処理前の含水率が、例えば1重量%未満である場合は、水に浸漬させることにより、香辛料に水分を含浸させ、1重量%以上として本発明の自己水分加熱殺菌方法を実施することができる。また、香辛料の加熱処理前の含水率の上限は限定されるものではないが、自己水分加熱殺菌方法の時間を短縮させるためには、含水率が15重量%以下であることが好ましい。従って、香辛料の含水率が15重量%を超えている場合には、予め乾燥させ含水率を15重量%以下とすることができる。
また、本発明の香辛料の自己水分加熱殺菌方法によって、香辛料の大腸菌群は殺菌され、香辛料の大腸菌群の菌数を落とす。大腸菌群の菌数を、効果があるレベルまで落とすことによって、本発明の香辛料を用いた加工食品は、香辛料由来による大腸菌群の増殖が抑えられる。また、香辛料を用いた加工食品において大腸菌群の増殖がない事は、食品の品質において非常に重要である。
《作用》
本発明の自己水分加熱殺菌方法によって、色素を有する香辛料の殺菌後の退色のスピードを遅くすることができる理由は、明確ではないが、以下のように推定することができる。しかしながら、本願発明は以下の記載によって、限定されるものではない。
従来の、香辛料などの粉体材料の殺菌方法は、過熱水蒸気を用いた気流式殺菌法であり、粉体材料を乾燥したまま効率よく殺菌することができる。しかしながら、過熱水蒸気を用いると殺菌時の過剰な熱量の影響により、色素の退色が起きるものと考えられる。
一方、本発明の自己水分加熱殺菌法は、半密閉式の容器で加熱することにより、容器内に香辛料に含まれている水分が蒸発する。この蒸発した水分により、65〜130℃の加熱であっても、効率よく十分な殺菌を行うことができる。また、加熱温度が低いために殺菌の温度によるダメージが少ない。更に殺菌後に香辛料に含まれる含水率が適当であるため、色素の退色が起こりにくいと考えられる。
[2]香辛料の製造方法
本発明の香辛料の製造方法は、本発明の香辛料の自己水分加熱殺菌方法を用いる限り限定されるものではない。従って、本発明の香辛料の自己水分加熱殺菌方法を用いること以外は、従来公知の香辛料の製造方法を用いることができる。
[3](殺菌)香辛料
本発明の香辛料は(A)殺菌により大腸菌群が減少しており、且つ(B)40℃及び酸素濃度80%の退色加速試験における7日経過後のASTA値の低下率が30%以下である。
本発明の香辛料は、限定されるものではないが、本発明の自己水分加熱殺菌方法により得ることのできるものである。
《大腸菌群》
本発明は香辛料の殺菌に効果がある。大腸菌群の菌数を落とすことによって、本発明の香辛料を用いた加工食品や、混合香辛料において、本発明品に用いる香辛料由来の微生物の増殖を抑えることができる。
本明細書において、「殺菌により大腸菌群が減少している」とは、対象となる加熱殺菌前の香辛料の大腸菌群の菌数に対して、加熱殺菌後の香辛料の大腸菌群の菌数が10^3乗以上落ちていることを意味する。
(大腸菌群の測定)
大腸菌群の殺菌の効果の確認は、「食品衛生検査指針微生物編2004」のデソキシコレート寒天培地を使用した大腸菌群数試験に準じて行った。
(一般細菌の測定)
また、前記大腸菌群の試験において、デソキシコレート寒天培地に代えて、標準寒天培地を用いることによって、一般細菌の菌数を測定することができる。
本発明の香辛料に含まれる一般細菌数は、特に限定されるものではない。
《退色加速試験》
本発明の香辛料は、退色加速試験における7日経過後のASTA値の低下率が30%以下である。香辛料の色調は酸化によって退色するため、退色加速試験においては、保存時の酸素含有量を高く設定して行う。また、酸化には温度も影響するため、温度も高く設定する。前記退色加速試験は、温度40℃±2℃及び酸素濃度80%±5%で行う。
「7日経過後のASTA値の低下率(R)」は、以下のように計算することができる。
R=100−(A/A)×100
[式中、Rは7日経過後のASTA値の低下率を表し、Aは退色加速試験開始7日後のASTA値を、Aは退色加速試験開始時のASTA値を表す]
前記式中のAは、退色試験開始時のASTA値であるが、これは殺菌直後のASTA値でなくてもよい。すなわち、自己水分加熱殺菌を行い、一定期間保存された後に、退色加速試験を開始する場合に測定されたASTA値でもよい。ここで、退色加速試験を行う前の一定期間の保存条件は、特に限定されるものではなく、通常の室温及び空気存在下における保存でよく、退色加速試験の条件での保存でもよい。
本明細書における「7日経過後のASTA値の低下率」は、例えば退色試験開始5日経過後のASTA値の低下率から、7日後の低下率を外挿によって計算することによって得ることもできる。すなわち、7日未満の試験により「7日経過後のASTA値の低下率」を計算することが可能であるが、3日以上の試験が好ましく、4日以上の試験がより好ましく、5日以上の試験が更に好ましく、6日以上の試験が最も好ましい。
(ASTA値の計算方法)
本発明において、退色の判定にはASTA値を用いる。ASTA値は、例えば以下のextractable colorbを測定することによって得ることができる。
サンプルを粉砕し、1mmの篩(メッシュ)を通過したサンプルを70〜100mg調製する。得られたサンプルを100mL容量のフラスコに入れる。アセトンを100mL添加し、攪拌し、暗所で16〜24時間放置する。測定前に軽く攪拌し、液を均一にする。サンプル液をろ過し、吸光度計を用いて460nmの波長で測定する。ASTA Color値は、以下の式(1)によって計算する

ASTA Color値=〔吸光度(460nm)×16.4〕/サンプル量(g) (1)
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
本実施例では、香辛料として、加熱殺菌前のASTA値が86で、大腸菌群数を測定した結果が、10^3乗〜10^4乗と検出された赤唐辛子を自己水分加熱殺菌法により殺菌した。
半密封式の加熱機((株)大川原製作所)の側面(ジャケット)に120℃の蒸気を注入し続け、30秒経過した後、赤唐辛子200kgを加熱機に投入した。加熱機の側壁に蒸気を注入し続け、赤唐辛子の加熱を行った。赤唐辛子の品温が達温目標85℃に到達時点で、加熱機の側面に蒸気の注入を取りやめ、そのまま10分間撹拌を継続し、赤唐辛子を排出した。排出時点での赤唐辛子の品温は90℃であった。
加熱処理前の赤唐辛子の含水率は7.8重量%であり、加熱処理後の赤唐辛子の含水率は6.4重量%であった。
《実施例2》
達温目標85℃を、達温目標75℃とした以外は、実施例1の操作を繰り返した。最終品温が80℃となり、赤唐辛子を排出した。加熱処理前の赤唐辛子の含水率は7.8重量%であり、加熱処理後の赤唐辛子の含水率は6.7重量%であった。
《実施例3》
達温目標85℃を、達温目標95℃とした以外は、実施例1の操作を繰り返した。最終品温が98℃となり、赤唐辛子を排出した。加熱処理前の赤唐辛子の含水率は7.8重量%であり、加熱処理後の赤唐辛子の含水率は5.8重量%であった。
《比較例1》
本実施例では、赤唐辛子を気流式殺菌法により殺菌した。
気流式殺菌機((株)大川原製作所)を、殺菌蒸気圧力0.10Mpa、過熱度+20℃、過熱度蒸気入口温度141℃に設定した。赤唐辛子を200kg/hの速度で投入し殺菌を行った。殺菌時間は3〜4秒であった。
加熱処理前の赤唐辛子の含水率は7.3重量%であり、加熱処理後の赤唐辛子の含水率は3.8重量%であった。
《比較例2》
達温目標85℃を、達温目標58℃とした以外は、実施例1の操作を繰り返した。最終品温は63℃であった。加熱処理前の赤唐辛子の含水率は7.8重量%であり、加熱処理後の赤唐辛子の含水率は7.1重量%であった。
《大腸菌群の測定》
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られた赤唐辛子の大腸菌群の測定は、「食品衛生検査指針微生物編2004」のデソキシコレート寒天培地を使用した大腸菌群数試験に準じて行った。
実施例1〜3及び比較例1で、殺菌された赤唐辛子からは、測定の結果大腸菌群が検出されなかった(表1)。比較例2で殺菌された赤唐辛子からは、測定の結果大腸菌群が10^2乗検出された。なお、実験に用いた赤唐辛子は、殺菌を行う前の測定で10^3乗〜10^4乗検出されるものであったため、本明細書において、大腸菌群が10^2乗が検出された比較例2は、殺菌効果があるとはいえなかった。
《退色加速試験》
退色加速試験は、実施例1及び比較例1の唐辛子について、インキュベーターを用い、温度40℃±2℃及び酸素濃度80%±5%で行った。結果を表1及び図1に示す。
表1から、実施例1で得られた赤唐辛子の加速退色試験「7日経過後のASTA値の低下率(R)」を計算すると以下のとおりである。
R=100−(66/78)×100=15.4%
実施例1の赤唐辛子のR値は15.4%である。
一方、比較例1で得られた赤唐辛子の加速退色試験「7日経過後のASTA値の低下率(R)」を計算すると以下のとおりである。
R=100−(36/82)×100=56.1%
比較例1の赤唐辛子のR値は56.1%である。
本発明の自己水分加熱殺菌方法は、赤唐辛子などの色素を有する香辛料において、大腸菌群を中心とした微生物を減少させ、且つ香辛料の色調の退色を防止することができる。また、本発明の香辛料は、色調の退色が抑えられるため、商品価値が高く、更に加工食品に用いた場合に、香辛料由来の大腸菌群が殺菌により減少しているため、香辛料由来による食中毒などを抑えることができる。

Claims (4)

  1. (1)水分を含有する、カプサンチンを含む香辛料を半密閉式の容器に充填する工程、及び
    (2)前記カプサンチンを含む香辛料から蒸発した水分を含む実質的な大気圧雰囲気下、そして65〜130℃の品温で、5〜60分間加熱処理する工程、
    を含む、カプサンチンを含む香辛料の自己水分加熱殺菌方法。
  2. 加熱処理後のカプサンチンを含む香辛料の含水率が1〜12重量%である、請求項1に記載の自己水分加熱殺菌方法。
  3. 請求項1又は2に記載の自己水分加熱殺菌方法を用いた、カプサンチンを含む香辛料の製造方法。
  4. (1)水分を含有する、カプサンチンを含む香辛料を半密閉式の容器に充填する工程、及び
    (2)前記カプサンチンを含む香辛料から蒸発した水分を含む実質的な大気圧雰囲気下、そして65〜130℃の品温で、5〜60分間加熱処理する工程、
    を含前記香辛料が40℃及び酸素濃度80%の退色加速試験における7日経過後のASTA値の低下率が30%以下である、カプサンチンを含む香辛料の製造方法。
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