JP6249477B2 - 応力発光材料、応力発光体、及び、応力発光材料の製造方法 - Google Patents

応力発光材料、応力発光体、及び、応力発光材料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、近赤外領域において応力発光特性を示す応力発光材料、当該応力発光材料を含む応力発光体、及び、当該応力発光材料の製造方法に関する。
従来、紫外線、電子線、X線、電子線、放射線等の電磁気的な外部刺激、又は化学反応等の化学的な刺激を受けると可視光を発光する蛍光現象を示す物質が知られている。このような蛍光現象を示す物質は蛍光体と呼ばれ、ランプや照明灯、ブラウン管やプラズマディスプレイパネル等の各種ディスプレイ、顔料等の様々な分野で用いられている。
また、上述した電磁気的・化学的な外部刺激のみならず、圧縮、引っ張り、ねじれ、せん断等の機械的な外部刺激を受けると発光する蛍光現象を示す蛍光体も報告されている(下記特許文献1参照)。このような機械的な外部刺激によって発光する蛍光体を通常の電磁的な外部刺激によって発光する蛍光体と区別するべく、本願発明者らが応力発光材料と命名した。
応力発光材料は、機械的な外部刺激によって繰り返し発光するため、この特性を利用することで、材料中の微弱な弾性変形から塑性変形、破壊に至るまで、様々な力学現象を光の強度分布として可視化することができる。このため、応力発光材料は、幅広い分野での応用が期待されている。
特許文献1,2に記載されているSrAlは、実用レベルに達している代表的な応力発光材料である。SrAlは、高輝度の優れた応力発光特性を示し、可視光領域で吸収、発光スペクトルをもつという大きな特徴を有している。
特許文献3には、応力発光材料の応用技術として、例えば弾性を有する樹脂などに応力発光材料からなる微粒子を混入させたシート状の応力発光体が開示されている。
特開2001−49251号公報 国際公開WO2005/097946号公報 特開2006−22455号公報 国際公開WO2006/109704号公報 特開2004−43656号公報
X. Wang, C.N. Xu, H. Yamada, K. Nishikubo, X.G. Zheng, Adv. Mater. 17, 1254 (2005)
上述した従来の応力発光材料は、主に人間の目に見えることを目的としていたために、応力発光色は紫外〜可視光領域に限定されていた。しかしながら、応力発光を用いた計測という観点からは、波長領域が700〜2000nmの近赤外線の方が多くの利点を持つ。
例えば、近赤外の応力発光は、蛍光灯の照明環境下でも計測できるという利点がある。近赤外の応力発光は、蛍光灯の発光波長領域と波長領域が重ならないためである。すなわち、近赤外の応力発光が実現されれば、従来、暗室内で行われた可視光領域の応力発光材料を用いた計測を、蛍光灯等の照明環境下で行う事が出来るようになる。
また、例えば、近赤外の応力発光は、CCDカメラや光検出デバイス等の既存デバイスを用いて計測できるという利点がある。これら既存デバイスには、近赤外領域に高感度を持つ物が多いためである。
また、例えば、近赤外の応力発光材料は、生体光イメージングへの応用に対して非常に有効である。近赤外線は、生体透過性が良好だからである。
このような背景から、特許文献4,5や非特許文献1に示すように多くの応力発光材料が開発されているものの、応力発光材料の発光色は、産業上利用される波長域の全てを網羅するには至っていない。例えば、特許文献4には、波長が350nm〜400nmの紫外線を発光する応力発光材料が報告され、非特許文献1には、波長が600nm付近の赤色を発光する応力発光材料が報告されているものの、近赤外線を発光する応力発光材料は、未だ実現されていない。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、近赤外領域において応力発光特性を示す応力発光材料、当該応力発光材料を含む応力発光体、及び、当該応力発光材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様の1つは、SrSnにネオジムが固溶したことを特徴とする応力発光材料である。
本発明の選択的な態様の1つは、前記ネオジムが、Srと置換してSrSnに固溶していることを特徴とする応力発光材料である。
本発明の選択的な態様の1つは、前記ネオジムは、前記SrSnを構成するストロンチウムの含有量に対して0.1〜5mol%の範囲で固溶していることを特徴とする応力発光材料である。
本発明の選択的な態様の1つは、前記ネオジムに加えて、チタンとセリウムの少なくとも一方が固溶したSrSnであることを特徴とする応力発光材料である。
本発明の選択的な態様の1つは、近赤外領域に発光のピークを有することを特徴とする応力発光材料である。
本発明の選択的な態様の1つは、上述した応力発光材料のいずれかを含有することを特徴とする塗料である。
本発明の選択的な態様の1つは、上述した応力発光材料のいずれかを含有することを特徴とするインキである。
本発明の選択的な態様の1つは、上述した応力発光材料のいずれかで形成された膜を有することを特徴とする応力発光体である。
本発明の選択的な態様の1つは、上述した応力発光材料を高分子材料中に混合して成る応力発光体である。
本発明の他の態様の1つは、ストロンチウム化合物とスズ化合物に、ネオジム化合物を加えて焼成を行うことにより、SrSnにネオジムを固溶させて成る応力発光材料を製造することを特徴とする応力発光材料の製造方法である。
なお、本発明は、上述した応力発光体を製造する製造方法、上述した応力発光材料や応力発光体の製造方法の各工程に対応する機能をコンピュータに実現させるプログラム、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体、等としても実現可能である。
本発明によれば、近赤外領域において応力発光特性を示す応力発光材料、当該応力発光材料を含む応力発光体、及び、当該応力発光材料の製造方法を実現することができる。
SrSn:Nd3+のX線回折測定の結果である。 SrSn:Nd3+の結晶構造及び結晶構造解析の結果を示す図である。 SrSn:Nd3+の蛍光スペクトルである。 SrSn:Nd3+の励起スペクトルである。 荷重を変えつつ測定した応力発光の強度を示すグラフである。
以下、下記の順序に従って本発明を説明する。
(1)本実施形態の構成:
(2)他の実施形態:
(3)実施例:
(4)まとめ:
(1)本実施形態の構成:
本実施形態に係る応力発光材料は、SrSnを母体構造とし、このSrSnにネオジム(Nd3+)が固溶した構造を有する。以下では、SrSnにNd3+が固溶した応力発光材料を、SrSn:Nd3+と記載する。
SrSn:Nd3+は、結晶構造に異方的な歪みが生じると、強い応力発光を示す。なお、SrSn:Nd3+は、応力発光特性のみならず、応力発光以外の様式(例えば、蛍光特性や蓄光特性)での発光特性を有していてもよい。すなわち、本実施形態に係る応力発光材料は、少なくとも応力発光特性を有していればよく、他の発光特性を更に有していても構わない。
結晶構造の異方的な歪みは、外部から応力発光材料に歪みエネルギーを与えることにより生じる。歪みエネルギーは、摩擦力、剪断力、圧力、張力、衝撃力、振動、風力、超音波等の機械的な外力で与えられてもよいし、応力発光材料が強誘電体の場合は電場等の機械的でない外力(電歪力等)で与えられてもよく、これら外力の双方を用いて与えられてもよい。
SrSn:Nd3+は、母体構造中に固溶させたNd3+が発光中心として機能することで、従来得られなかった近赤外領域において、強い応力発光を示す。このように、Nd3+を単独で添加して発光特性が得られる物質は、応力発光特性の分野において報告が無く、極めて特異な物質である。
ここで、近赤外線は、紫外線や可視光線に比べて生体透過性が極めて強い。また、SrSn:Nd3+は生体親和性が高い。このため、SrSn:Nd3+は、歯科用インプラントや人工関節等のように人体内で利用する各種パーツに利用すると、生体内の応力発光分布の可視化に適用することができる。
また、近赤外線は、蛍光灯等の照明器具からの放出がほとんど無いため、応力発光の測定を照明環境下で行うことができる。また、既存の撮像デバイス(CCD(charge−coupled device)等)や光検出デバイスには赤外領域に感度を有するものも多く、本実施形態に係る応力発光材料の応力発光は、これらデバイスと近赤外線を選択的に通過させるフィルタを用いることにより、感度良く計測できる。従って、本実施形態に係る応力発光材料は、その応用分野の拡大が期待できる。
SrSn:Nd3+におけるNd3+の含有量は、Nd3+が母体構造中で応力発光中心として機能する範囲内で決定すればよい。ここで、SrSn:Nd3+の母体構造であるSrSnは、SnOの八面体が互いに頂点を共有した二次元シート状の構造体が複数積層した層状構造を有する。従って、SrSn:Nd3+は、母体構造の基本構造であるSrSnの層状構造が維持される範囲内で、Nd3+を含有することが好ましい。すなわち、Nd3+の含有量は、固溶するNd3+によって母体構造に加えられる応力が、母体構造の弾性限界以下の範囲内であることが好ましい。なお、母体構造は、負荷が弾性限界以下であれば、負荷が取り除かれると完全に元の寸法形状に復帰し、負荷が弾性限界を超えると、永久歪みが残ることとなる。
より具体的には、0.1〜5mol%の範囲でNd3+を含有するSrSn:Nd3+において、近赤外領域の強い応力発光が観測された。更に具体的には、0.1〜1mol%の範囲でNd3+を含有するSrSn:Nd3+において、特に強い近赤外領域の応力発光が観測された。ただし、このようなNd3+の含有量は一例であり、本発明は、これら含有量の範囲内に限定されるものではない。
SrSn:Nd3+の応力発光は、励起源となる機械的な外力の性質に依存するが、一般的には印加される応力が増大するほど強くなる傾向がある。すなわち、SrSn:Nd3+は、印加される応力に応じて異なる強度で発光する。このため、SrSn:Nd3+を1次元的、2次元的又は3次元的に配置し、発光強度分布を測定することにより、SrSn:Nd3+の配置範囲内における応力の強度分布を無接触で測定することができる。このような特性を利用すれば、本実施形態に係る応力発光材料は、応力検出器等のように、応力を検出・測定するあらゆる分野に応用することができる。
SrSn:Nd3+は、Nd3+を単独で含む構成であってもよいが、Nd3+以外のイオン、例えば、チタン(Ti)イオンやセリウム(Ce)イオンを共添加したものであってもいい。TiイオンとCeイオンの少なくとも一方を共添加したSrSn:Nd3+は、近赤外における応力発光特性が向上する。また、II族アルカリ土類金属イオンやI族アルカリ金属イオン等を共添加してもよい。
なお、SrSn:Nd3+にNd3+以外のイオンを共添加した場合も、Nd3+イオンとNd3+以外のイオンの含有量は、母体構造の基本構造(SrSnの層状構造)が維持される範囲内であることが好ましい。具体的には、Nd3+イオンとNd3+以外のイオンの含有量の合計が、上述したSrSn:Nd3+がNd3+を含有する数値範囲内であることが好ましい。
なお、SrSn:Nd3+において、Nd3+イオンやNd3+以外の共添加イオンは、母体構造中に略均等に分散して固溶していることが好ましい。これにより、Nd3+イオンが母体構造の中で応力発光中心として良好に機能する。
(2)他の実施形態:
以上説明した応力発光材料は、様々な態様で利用することが可能であり、応力発光材料に応力を加えて発光する現象を利用するあらゆる分野に応用可能である。以下に、その一例を説明する。
上述した応力発光材料は、応力発光材料を所定形状に成形した応力発光体として利用することができる。その一例として、応力発光材料を微粒子に成形したものがある。応力発光材料を微粒子に成形する方法は、公知の各種の方法を用いることができる。
また、上述した応力発光材料は、他の無機材料や有機材料と混合して成る応力発光体として利用することができる。無機材料としては、金属、ガラス、セラミック等が例示される。有機材料としては、繊維、ゴム、布、高分子材料等が例示される。高分子材料としては、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂が例示される。このような応力発光体は、応力によって応力発光体に歪みが生じると、応力発光体中の応力発光材料にも歪みが生じて発光する。
高分子材料に混合する場合、応力発光材料を高分子材料と混合して所定形状に成形した構成とすることができる。応力発光材料と高分子材料の混合比率は、特に限定される物ではないが、応力発光材料と高分子材料の混合物が所定の形状(平板状等)を維持できる程度とすればよい。高分子材料との混合条件は、公知の各種の方法を用いることができる。
また、上述した応力発光材料は、他の材料中に混合して成る応力発光体として利用することができる。他の材料としては、固体であってもよいし液体であってもよい。より具体的には、上述した応力発光材料を混合したインキや塗料等や、上述した応力発光材料を混合した高分子材料と混合して所定形状に成形した物が例示される。このような応力発光体においては、上述した応力発光材料は、他の材料の中で略均等に分散していることが好ましい。
また、上述した応力発光材料を他の材料の中に層状に積層した応力発光体、他の材料の表面に膜状に形成された応力発光体、等として利用することもできる。このような応力発光体においては、他の材料に印加された応力によって当該他の材料の内部や表面に歪みが生じると、当該歪みに応じた強度で応力発光材料が発光する。このとき、他の材料が近赤外線を透過する物質で作成されていれば、材料の外部で行う近赤外光の観測結果に基づいて材料内部の歪み度合いを測定することができる。
(3)実施例:
以下、本発明の1実施例を説明する。本実施例では、以下で説明する固相反応法でSrSn:Nd3+を合成した。ただし、SrSn:Nd3+の合成法は、これに限らず公知の各種の方法を採用することができる。
まず、各イオンが所望の比率となるように、出発原料としての炭酸ストロンチウム(SrCO)、酸化スズ(IV)(SnO)、酸化ネオジム(Nd)を所定量ずつ秤量する。Ndについては、母体構造であるSrSn中に含まれるSr3+対して、Nd3+が0.1mol%から5mol%の範囲で含まれるように秤量する。なお、出発原料として使用するストロンチウム化合物やスズ化合物、ネオジム化合物は、上述した例に限るものではなく、例えば、炭酸塩、硝酸塩、塩化物、硫化物、酸化物、シュウ酸塩、酢酸塩、水酸化物などを用いることができる。
次に、秤量したSrCO、SnO、Ndを混合した混合物を作成する。この混合を湿式混合で行うと混合性が良好となり、焼成後に得られる目的物(SrSn:Nd3+)の収率が向上する。具体的には、出発原料に少量のエタノールを加えてメノウ鉢等で混合する。
その後、試料を乾燥した後、混合物の仮焼成と本焼成を順に行う。仮焼成は、アルミナるつぼに入れた試料を、空気中で約1時間、400〜900℃の範囲で加熱することにより行う。仮焼成を行うことで、本焼成において、ガス放出等による試料の飛散が防止される。本焼成は、アルミナるつぼに入れた試料を、空気中で約5時間、1100〜1600℃の範囲で加熱することにより行う。これによりSrSn:Nd3+が作成される。なお、焼成雰囲気は、空気中に限るものではない。
図1は、このようにして作成したSrSn:Nd3+のX線回折測定の結果である。このX線回折測定における回折ピークは、無機結晶データベース(ICSD)により全てSrSnに帰属することが確認された(化合物ナンバー:00−025−0914)。すなわち、上述した製法により、SrSnの母体構造を損なわない範囲で、SrSn:Nd3+が作成されていることが確認された。
また、本実施例ではNd3+イオンを、母体構造に対して0.1mol%〜5mol%の濃度範囲で添加したが、最大の5mol%添加した場合でも、SrSn以外の回折ピークは観測されなかった。このことから、添加したNd3+イオンは、SrSnに置換型で固溶して結晶内に取り込まれていると推察される。
本実施例に係るSrSn:Nd3+は、Ndの添加量が少ない場合は、近赤外領域のみならず可視光領域でも発光するが、Nd3+の添加量が増えるにつれて、可視光領域での発光が無くなり、近赤外領域のみの発光となる。より具体的には、Nd3+の添加量が1mol%を超えると、可視光領域での発光が無くなり、近赤外領域のみの発光となる。すなわち、本実施例に係るSrSn:Nd3+は、Nd3+の添加量次第で、近赤外領域のみで応力発光特性を示す応力発光材料とするか、近赤外領域及び可視光領域で応力発光特性を示す応力発光材料とするかを、選択して作成可能である。
図2(a)は、SrSn:Nd3+の結晶構造を示している。同図に示すように、SrSnの結晶構造は、SnO八面体ユニットがa軸方向に積み重なった層状構造である。
図2(b)は、SrSn:Nd3+の結晶構造解析の結果を示している。結晶構造解析は、CuKα線を用いたXRD測定により得られた回折パターンを用いたRIETAN−FPによるリートベルト解析により行った。同図には、Nd3+イオンの添加量に対するSrSnの格子定数a,b,c,Vの相対変化を示しており、各格子定数はNd3+濃度が1mol%の値で規格化している。
同図において、格子定数aは、Nd3+濃度の増加に伴い減少するのに対し、層内(面内)の格子定数b,cは、Nd3+濃度の増加に伴い増大している。ここで、各イオンのイオン半径は、Nd3+:1.109Å(8配位)、1.27Å(12配位)、Sr2+:1.26Å(8配位)、1.44Å(12配位)、Sn4+:0.81Å(8配位)である。このことから、Nd3+は、SrSnのSr2+サイトに置換型で固溶していると推察される。ただし、図2に示す結果は、Nd3+がSn4+サイトに固溶して発光中心として機能する可能性を除外するものではない。
図3は、SrSn:Nd3+の蛍光スペクトルを示している。なお、励起光の波長は、特に限定される物ではないが、図3に示す例では、254nmの励起光を用いた。
同図には、(900nm,1079nm,1348nm)、(951nm,1142nm)にピークを持つ5本のシャープな蛍光スペクトルが観察される。前3つのスペクトルは、Nd3+の励起状態3/2から基底状態(J=9/2,11/2,13/2)への電子遷移に由来する赤外蛍光であり、後2つのスペクトルは、同じくNd3+の励起状態5/29/2から基底状態(J=9/2,11/2)の電子遷移に由来する赤外蛍光である。
図4(a)は、SrSn:Nd3+の励起スペクトルを示している。図4(b)は、母体構造であるSrSnの励起スペクトルを示している。なお、同図に示す測定結果は、特に限定される物ではないが、上述した蛍光スペクトルで最大ピークを示している1079nmの発光に対する励起スペクトルである。
同図に示すように、SrSn:Nd3+の励起スペクトルは、紫外光領域から近赤外領域にわたって幅広く存在している。また、可視光領域においては、596nm(矢印B)、750nm(矢印C)、800nm(矢印D)にピークを持つシャープな励起スペクトルが確認された。これらは、すべてNd3+の基底状態である9/2から、励起状態である5/29/25/2への電子遷移に由来する。また、紫外領域である254nm(矢印A)に大きくブロードな励起スペクトルが確認された。この短波長の大きなピークは、図4(b)に示す母体の吸収スペクトルと比較すると分かるように、母体構造の吸収に由来する。
図5は、SrSn:Nd3+をエポキシ系複合材料に混合して作成した応力発光体に加える荷重を変えつつ測定した応力発光の強度を示すグラフである。ここでは近赤外領域の発光のみ計測した。同図に示すように、応力発光体は、荷重の増大とともに近赤外領域の発光強度が増大する。すなわち、本実施例に係るSrSn:Nd3+は、加重に対して略比例する発光強度で近赤外領域で発光する非常に優れた応力発光材料であることが分かる。
(4)まとめ:
以上説明したように、本実施形態によれば、SrSnにネオジムが固溶したことを特徴とする応力発光材料、当該応力発光材料を含む応力発光体、及び、当該応力発光材料の製造方法を実現することができる。これにより、近赤外領域において極めて優れた応力発光特性を示す新規な応力発光材料、当該応力発光材料を含む応力発光体、及び、当該応力発光材料の製造方法を提供することができる。
なお、本発明は上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態や実施例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態や実施例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。また,本発明の技術的範囲は上述した実施形態や実施例に限定されず,特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。

Claims (10)

  1. SrSnにネオジムが固溶したことを特徴とする応力発光材料。
  2. 前記ネオジムは、Srと置換してSrSnに固溶していることを特徴とする請求項1に記載の応力発光材料。
  3. 前記ネオジムは、前記SrSnを構成するストロンチウムの含有量に対して0.1〜5mol%の範囲で固溶していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の応力発光材料。
  4. 前記ネオジムに加えて、チタンとセリウムの少なくとも一方が固溶したSrSnであることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の応力発光材料。
  5. 近赤外領域に発光のピークを有することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の応力発光材料。
  6. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の応力発光材料を含有することを特徴とする塗料。
  7. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の応力発光材料を含有することを特徴とするインキ。
  8. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の応力発光材料で形成された膜を有することを特徴とする応力発光体。
  9. 請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の応力発光材料を高分子材料中に混合して成る応力発光体。
  10. ストロンチウム化合物とスズ化合物に、ネオジム化合物を加えて焼成を行うことにより、SrSnにネオジムを固溶させて成る応力発光材料を製造することを特徴とする応力発光材料の製造方法。
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