JP6249447B2 - 癌治療用ペプチド剤 - Google Patents

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Description

本発明は、癌細胞の成長及び/又は増殖を阻害する薬剤に関する。
インテグリンは細胞接着受容体ファミリーに含まれ、細胞外マトリックスと細胞内シグナル伝達分子との間の機能的及び構造的な架橋を提供するα/βヘテロ二量体サブユニットから構成される(非特許文献1)。卵巣癌におけるαvβ6インテグリンの発現は、卵巣癌の浸潤能に寄与することができ(非特許文献2;非特許文献3)、結腸癌におけるαvβ6インテグリンの発現は、この疾患に罹患している患者の転帰の悪化に関する独立した予後指標として同定されている(非特許文献4)。β6インテグリンサブユニットの細胞質テール内に位置する15merのアミノ酸配列RSKAKWQTGTNPLYR(配列番号1)は細胞外シグナル調節キナーゼ2(ERK2)と結合し、これが腫瘍成長に寄与することが提唱されている(非特許文献3)。
また、β6結合配列に由来する天然に存在しないペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)が、癌細胞成長を阻害することも報告されており、この阻害は、少なくとも一部には、このペプチドによるc−Src活性の阻害に起因し得る(非特許文献5)。
特に、この配列内には、βインテグリン細胞質ドメインに共通するNPxY/F(配列番号3)モチーフがあり、このモチーフはホスホチロシン結合(PTB)ドメインのカノニカルな認識配列の一部をなす。実際、NPxY/F(配列番号3)モチーフは、RSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチドに対応するβ2、β3及びβ5インテグリンサブユニット由来のアミノ酸配列に存在し、これらのインテグリンサブユニットもまた、全て、抗癌ペプチドであってERK2に結合することが示されており((特許文献1)を参照)、このモチーフの明らかな重要性を反映している。PTBドメインは、多種多様なシグナル伝達及び細胞骨格タンパク質に存在するタンパク質モジュールである。例えば、NPxY(配列番号4)モチーフ中のチロシン(Y)残基のリン酸化が、形質膜の細胞質表面における他のタンパク質とのインテグリン相互作用の調節様式を表し得ることが示唆されている(非特許文献6)。インテグリン介在機能の調節における高度に保存されたNPxY(配列番号4)モチーフの基本的な役割が、Filardo及び共同研究者によって強調されており、彼らは、β3細胞質テール内のNPxY(配列番号4)モチーフが、メラノーマ細胞の細胞遊走及び転移性表現型に関わるαvβ3依存性リガンド結合後イベントにとって必須であることを示した(非特許文献7)。
国際公開第2005/037308号パンフレット
Hynes RO,1992 Ahmed N.et al.,2001 Ahmed N.et al.,2002 Bates RC.et al.,2005 Agrez MV.et al.,2011 Takada Y.et al.,2007 Filardo EJ,1995
本発明は、β6インテグリンサブユニットに由来するペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)内のNPxY(配列番号4)モチーフが癌細胞成長の阻害活性に必須であるなか、NPxY(配列番号4)モチーフ並びに荷電アミノ酸アルギニン(R)及びリジン(K)を除く他のアミノ酸残基が別のアミノ酸に置換されている修飾形態のペプチドが、本質的に、RSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチドそれ自体と同程度に癌細胞増殖の阻害に有効であることが予想外にも見出されたことに関する。この驚くべき知見により、本発明の少なくとも一部の実施形態において、細胞活性化経路に関与する複数のキナーゼ酵素の活性を阻害することのできる様々なペプチドの合成をもたらすことが可能となり、癌の予防又は治療に新しい選択肢が提供される。
詳細には、本発明のある態様では、癌細胞の成長を阻害するための単離又は精製されたペプチドが提供され、このペプチドは、アミノ酸配列RxKxKxxxxR(配列番号5)を含み(式中、K及びRはそれぞれリジン及びアルギニンアミノ酸残基であり、各xは独立してアミノ酸である)、且つこのペプチドはアミノ酸配列RSKAKNPLYR(配列番号2)と50%以下のアミノ酸配列同一性を有する。
少なくとも一部の実施形態において、ペプチドはアミノ酸配列RSKAKNPLYR(配列番号2)と50%の配列同一性を有する。他の実施形態において、ペプチドはRSKAKNPLYR(配列番号2)と40%のアミノ酸配列同一性を有する。
本発明により具体化されるペプチド中のxアミノ酸は、互いに同じであっても又は異なってもよい。
典型的には、各xアミノ酸は、独立して、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、スレオニン(T)、及びセリン(S)アミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基である。
典型的には、各xは、独立して非極性アミノ酸である。さらに典型的には、各xアミノ酸は、独立してアラニン(A)又はバリン(V)である。
別の態様では、本発明により具体化されるペプチドをコードする単離核酸が提供される。
別の態様では、細胞においてペプチドを発現させるための、本発明により具体化されるペプチドをコードする核酸を含む発現ベクターが提供される。
本発明により具体化されるペプチド又は核酸は、癌細胞の外側細胞膜を越えて細胞内に入るペプチド又は核酸の通過を促進するための促進部分とカップリングすることができる。しかしながら、これは必須ではなく、様々な他の方法を用いてペプチド又は核酸の細胞内への通過を促進することができる。或いは、本発明により具体化されるペプチドは、癌細胞の外側細胞膜を通り越えて細胞質内に入る固有の能力を有してもよい。
別の態様では、癌細胞の成長を阻害するための薬剤が提供され、この薬剤は、癌細胞の外側細胞膜を越えて細胞内に入るペプチド又は核酸(nucleic)の通過を促進するための促進部分とカップリングされた、本発明により具体化されるペプチド又は核酸を含む。
別の態様では、本発明により具体化されるペプチド、核酸又は薬剤を、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と共に含む医薬組成物が提供される。
別の態様では、癌細胞の成長又は増殖を阻害する方法が提供され、この方法は、本発明により具体化されるペプチド、核酸又は薬剤の有効量に細胞を接触させる工程を含む。
本発明の別の態様では、哺乳動物において癌を予防又は治療する方法が提供され、この方法は、本発明により具体化されるペプチド、核酸又は薬剤の有効量を哺乳動物に投与する工程を含む。
本発明の別の態様では、哺乳動物において癌を予防又は治療する方法が提供され、この方法は、本発明により具体化されるペプチド又は薬剤の有効量で哺乳動物を治療する工程を含む。この治療が、哺乳動物の癌細胞でこのペプチドを発現させるためペプチドをコードする核酸の有効量を投与する工程を含み得ることは理解されるであろう。
別の態様では、細胞における少なくとも1つのプロテインキナーゼの活性を阻害する方法が提供され、この方法は、本発明により具体化される少なくとも1つのペプチド、核酸又は薬剤で細胞を治療する工程を含む。
典型的には、このキナーゼは、c−Src及びAkt非特異的セリン/スレオニンプロテインキナーゼファミリーの少なくとも1つのキナーゼからなる群から選択される。
典型的には、ペプチドは、細胞におけるAkt2及びAkt3の少なくとも1つの活性を阻害する。
別の態様では、哺乳動物における癌の予防又は治療に使用される、本発明により具体化されるペプチド、核酸又は薬剤が提供される。
本発明のさらに別の態様では、哺乳動物における癌の予防又は治療用医薬の製造における、本発明により具体化されるペプチド、核酸又は薬剤の使用が提供される。
用語「ペプチド」は、本明細書では「ポリペプチド」と同義的に使用される。
用語「抗癌ペプチド」とは、癌細胞の成長及び/又は増殖を阻害することができるペプチドを意味する。一部の実施形態では、ペプチドは、癌細胞へのペプチドの侵入を促進するため、本明細書に記載されるとおりの促進部分とカップリングされて投与され得る。
用語「癌」とは、任意の種類の悪性で制御されない細胞増殖を意味する。癌は、限定はされないが、上皮細胞癌、癌腫、肉腫、リンパ腫、並びに骨髄性白血病、好酸球性白血病及び顆粒球性白血病などの白血病を含む血液細胞癌からなる群から選択され得る。
本発明の特徴及び利点が、以下の非限定的な実施形態の詳細な説明からさらに明らかとなる。
無血清条件下で培養され、且つペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)に72時間曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドRKKR(配列番号6)、ASAAANPLYA(配列番号7)及びRKRK(配列番号8)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)に72時間曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドRSKAKR(配列番号9)、RSKAKNPLAR(配列番号10)及びRSKAKNALYR(配列番号11)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)に72時間曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドRAKAKAAAAR(10Ala)(配列番号12)及びRAAKAARAAK(スクランブル10Ala)(配列番号13)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRAKAKAAAAR(10Ala)(配列番号12)に72時間ペプチドに曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドKAKAKAAAAK(配列番号14)、RARAKAAAAK(配列番号15)及びRARARAAAAR(配列番号16)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRAKAKAAAAR(10Ala)(配列番号12)に72時間曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドRAKARAAAAK(配列番号17)、KARARAAAAK(配列番号18)及びRβAKβAKβAβAβAβAR)(配列番号12)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRAKAKAAAAR(10Ala)(配列番号12)に72時間曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドRAKAK(配列番号19)、RAKAKAAAR(配列番号20)及びRAKAKAAAAAR(配列番号21)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRAKAKAAAAR(10Ala)(配列番号12)に72時間曝露されたHT29結腸癌細胞を、ペプチドRSKSKSSSSR(配列番号22)、RGKGKGGGGR(配列番号23)及びRVKVKVVVVR(配列番号24)と比較して示すグラフ。 無血清条件下で培養され、且つペプチドRAKAKAAAAR(10 Ala)(配列番号12)に72時間曝露された前立腺癌(DU145)、乳癌(MCF−7)及び卵巣癌(A2780)細胞株を示すグラフ。 癌細胞によるFITC標識ペプチドFITC−KRAKAKAAAAR(FITC−K10(4)Ala)(配列番号25)のインターナリゼーションを示す顕微鏡写真。 5%血清含有培地で培養され、且つペプチドRVKVKVVVVRRRRRRRRR(10 RVK Arg)(配列番号26)に48時間曝露されたMDA468乳癌細胞を、8merのポリアルギニンペプチドと比べて示すグラフ。 5%血清含有培地で培養され、且つペプチドRVKVKVVVVRRRRRRRRR(10 RVK Arg;塗り潰した菱形)(配列番号26)、RVKVKVVVVRRRRRRRR(10 RVK 7Arg;塗り潰した四角形)(配列番号27)、又はRRRRRRRRRVKVKVVVVR(Arg 10 RVK;塗り潰した三角形)(配列番号28)に48時間曝露されたMDA468乳癌細胞を示すグラフ。 5%血清含有培地で培養され、且つペプチドRVKVKVVVVRRRRRRRRR(10 RVK Arg;塗り潰した菱形)(配列番号26)、RVKVKVVVVRRRRRRRR(10 RVK 7Arg;塗り潰した四角形)(配列番号27)、又はRRRRRRRRRVKVKVVVVR(Arg 10 RVK;塗り潰した三角形)(配列番号28)に48時間曝露されたDU145前立腺癌細胞を示すグラフ。
細胞膜でチロシンキナーゼ受容体を介して活性化される主要な成長シグナル伝達経路の一つは、PI3キナーゼ/Akt/mTOR経路である。
セリン/スレオニンAkt(プロテインキナーゼB(PKB)としても知られる)サブファミリーは、3つの哺乳類アイソフォームAkt1、Akt2及びAkt3(それぞれPKBα、PKBβ及びPKBγ)を含む。Aktは、細胞外(成長因子及びインスリン)及び細胞内(受容体チロシンキナーゼRas及びSrc)発癌シグナルを伝達する基本的なノード点として機能する。さらに、Akt、特に構成的に活性化したAktの異所性発現は、トランスジェニックマウスにおける細胞の発癌性形質転換及び腫瘍形成並びに化学療法抵抗性を誘導するのに十分である(Cheng JQ.et al.,2005)。活性化したAktは検出可能であり、多くの種類の癌について予後不良因子であることが報告されている(Dennis PA,2008)。また、Akt3が、エストロゲン受容体陰性乳癌及びアンドロゲン非感受性前立腺癌によって特徴付けられる高侵襲性の臨床表現型に寄与し得ることも示唆されている(Nakatani K.et al.,1999)。実際、Akt2は、細胞生存にとって必須で、且つ悪性形質転換において重要であると考えられ、80例中32例の原発性乳癌でAkt2レベルの上昇が同定されている(Sun M.et al.,2001)。さらに、Akt2推定癌遺伝子がある種のヒト卵巣癌及び膵癌で増幅されて過剰発現することが分かっている(Cheng JQ.et al.,1996)。
理論により制約するものではないが、本発明により具体化されるペプチドの抗癌活性は、少なくとも部分的に、癌細胞における少なくとも一部のプロテインキナーゼを阻害する能力に起因し得る。このペプチドは、キナーゼとのペプチドの直接的な相互作用を介するか、又は間接的な機序を通じてキナーゼの活性を阻害し得る。しかしながら、本発明は、任意の特定の種類の癌の治療に対するペプチドの使用に限定されず、且つ癌の細胞がキナーゼの活性レベルの上方制御を呈するかどうかに関わらない。
アミノ酸配列RxKxKxxxxR(配列番号5)のアミノ酸の1つ以上は、β−アミノ酸、D−アミノ酸、又は合成アミノ酸であってよい。
さらに、アミノ酸配列RxKxKxxxxR(配列番号5)における各xアミノ酸は、独立して選択することができ、この遺伝コードに包含されないアミノ酸であってもよい。
典型的には、各xアミノ酸は、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、スレオニン(T)及びセリン(S)アミノ酸残基からなる群から選択され得るが、これらに限定されるものではない。
典型的には、各xアミノ酸は、独立して、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)又はスレオニン(T)残基など、側鎖の末端メチル基がアミノ酸残基のα炭素(Cα)に結合しているものである。
典型的には、RxKxKxxxxRペプチド(配列番号5)(RxKxKxRと表記され得る)は、x位にセリン(S)又はスレオニン(T)(これらはいずれも極性アミノ酸である)を有しない。
典型的には、RxKxKxxxxRペプチド(配列番号5)のx位のアミノ酸は、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、又はイソロイシン(I)から選択される非極性アミノ酸である。
最も典型的には、各xアミノ酸は、独立して、上記の群から選択される「非極性」アミノ酸である。
少なくとも一部の実施形態において、式RxKxKxxxxR(配列番号5)のペプチドは僅か3種のアミノ酸、すなわちアルギニン(R)、リジン(K)及びもう一つのアミノ酸のみを含む。
特に好ましい実施形態において、各xアミノ酸は、独立してアラニン(A)又はバリン(V)である。一部の実施形態では、xアミノ酸の全てがアラニン(A)残基であり、一方、他の実施形態では、xアミノ酸は全てバリン(V)残基である。さらに別の実施形態において、xアミノ酸はアラニン(A)及びバリン(V)アミノ酸の混合である。
RxKxKxxxxR(配列番号5)アミノ酸配列の各xアミノ酸がアラニン残基である場合、このペプチドはRSKKNPLYR(配列番号2)ペプチドと(このペプチドが既にアラニンアミノ酸(下線)を含むことを考慮すれば)50%の配列同一性を有し得る。xアミノ酸が全てバリンである場合など、他の場合には、本発明により具体化されるペプチドはRSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチドと40%のアミノ酸配列同一性を有し得る。ひいては、本明細書に記載されるとおりのペプチドは、RSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチドと40%又は50%の配列同一性を有し得る。
少なくとも一部の実施形態において、本発明により具体化されるペプチドは、RxKxKxxxxR(配列番号5)配列の二量体を含み得る。一部のかかる実施形態において、二量体は、各RxKxKxxxxR(配列番号5)配列のN端側末端に付加されたそれぞれのシステイン(C)残基間にジスルフィド架橋を形成することにより提供されてもよく、これにより二量体は、全アミノ酸配列RxxxxKxKxRC−s−s−CRxKxKxxxxR(配列番号29)を有する(ジスルフィド架橋(bringe)は−s−s−により示される)。
さらに、少なくとも一部の実施形態において、本発明におけるペプチドは、ペプチドのN端側及び/又はC端側末端にカップリングされた1つ以上の正電荷アミノ酸残基を有し得る。例えば、以下でさらに考察するとおりRxKxKxxxxR(配列番号5)ペプチドのN端側及び/又はC端側末端に1〜8個又はそれを超えるさらなる正電荷アミノ酸が提供されてもよい。正電荷アミノ酸は、例えば、リジン、アルギニン及びヒスチジンから独立して選択され得る。少なくとも一部の実施形態において、さらなる正電荷アミノ酸の各々は各々リジン(K)残基である。他の実施形態では、単一のかかる正電荷アミノ酸を、ペプチドのN端側及び/又はC端側末端それぞれにカップリングすることができる。正電荷アミノ酸(例えばリジン)を付加することにより、フルオロイソチオシアネート(FITC)又は他の標識とペプチドとの結合を促進し得る。
本明細書に記載されるとおりのアミノ酸配列間の配列同一性は、比較を目的として配列を最適にアラインメントしたときの配列中の各位置のアミノ酸を比較することにより決定することができる。配列のアラインメントは、例えば、ニードルマン及びヴンシュのアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970)などの任意の好適なプログラム又はアルゴリズムを使用して実施することができる。コンピュータ支援による配列アラインメントは、ウィスコンシンパッケージ(Wisconsin Package)バージョン10.1(Genetics Computer Group,米国ウィスコンシン州マディソン)の一部であるGAPなどの標準ソフトウェアプログラムを使用して、デフォルトのスコアリング行列を使用することによりギャップ挿入ペナルティを50及びギャップ伸長ペナルティを3として、好都合に実行することができる。比較のため配列をアラインメントする他の方法もまた、限定はされないが、Smith and Waterman(1981)及びPearson and Lipman(1988)のアルゴリズム、かかるアルゴリズムのコンピュータ化された実装(例えば、BESTFIT、FASTA及びBLAST)、並びに手動による配列のアラインメント及び検査によるなど、周知されている。
本発明により具体化されるペプチドは、当業者に周知されている合成又は組換え技術によって提供されてもよい。さらに、本明細書に記載されるとおりのペプチドは、遺伝子コードによりコードされない1つ又は複数のアミノ酸、すなわちアミノ酸類似体を組み込んでもよい。例えば、本発明により具体化されるペプチドは、L−アミノ酸よりむしろ1つ以上のD−アミノ酸を含み得る。実際、本発明におけるペプチドは、部分的又は全体的にDアミノ酸からなってもよい。従って、一部の実施形態においてペプチドには、L−アミノ酸、D−アミノ酸又はL−アミノ酸とD−アミノ酸との混合物が含まれ得る。D−アミノ酸を含むペプチドを合成すると、ペプチダーゼ活性(例えばエンドペプチターゼ)が阻害され、それにより対応するL−ペプチドと比較して生体内でのペプチドの安定性が高まり、半減期が増加し得る。
同様に、本発明により具体化されるペプチドのN端側及び/又はC端側末端は、ペプチダーゼによる生体内分解を保護又は阻害するように修飾することができる。例えば、ペプチドのC末端をアミド化してペプチダーゼ分解を保護することができる。本明細書に記載されるとおりのポリペプチドのN端側又はC端側末端は、或いは(又はさらに)、複数のエチレングリコール単量体単位とペグ化することにより、生体内でのプロテアーゼによる分解に対する耐性を高め、又は腎臓を介した循環からのそのクリアランスを阻害することができる。ペプチドのペグ化方法は当該技術分野において公知であり、かかる方法は全て明示的に包含される。典型的には、本発明により具体化される方法に使用されるペグ化ペプチドは、2個以上の単量体単位のポリエチレングリコール(PEG)、概して約2〜約11個のPEG単量体(すなわち(PEG)n(式中nは2〜11に等しい))とカップリングされ得る。最も通常は、nは2であり得る。
本発明により具体化されるペプチドは、高い剛性が提供され、それにより生体内での安定性が提供されるように環化されてもよく、及び/又は溶解性、親油特性を改良して細胞による取込み、安定性又は生物学的半減期を増強する、細胞毒性を低下させる、又は例えば続く検出のための標識として働くなどする1つ以上の部分とカップリングされてもよい。本明細書に記載されるとおりのペプチドはまた、翻訳後又は合成後修飾、例えば炭水化物部分の結合か、又は構造変化をもたらす化学反応、例えばアミノ酸残基のアルキル化若しくはアセチル化又は化学結合の形成が関わる他の変化により得られてもよい。
一部の実施形態では、本発明の方法においてペプチドを癌細胞に送達するため、ペプチドデンドリマーが用いられ得る。本発明の少なくとも一部の実施形態におけるペプチドデンドリマーは、分枝状ポリアミノ酸骨格(典型的にはリジン分枝単位)にカップリングされた本発明によるペプチドの単位を呈する。デンドリマーは、典型的には少なくとも3層/世代のアミノ酸分枝単位を有することができ、本発明により具体化されるペプチドの単位は最も外側の層/世代のアミノ酸分枝単位にカップリングされ、従ってデンドリマーは少なくとも8単位以上のペプチド(例えば、8、9又は10又は12単位)を呈する。デンドリマーが呈する本発明のペプチド活性の単位は、ペプチドの単量体単位、多量体単位及び/又は単量体及び多量体単位の混合物であってよい。さらに、デンドリマーは、細胞質において本発明により具体化される1つ又は複数のペプチドを放出するように設計されてもよい。例えば、デンドリマー骨格が、本発明のペプチドを放出するため細胞内でプロテアーゼ酵素によって切断又は加水分解される部位を含んでもよい。
本発明により具体化されるペプチドは、デンドリマーの骨格を形成するポリアミノ酸分枝単位の最も外側の層/世代に結合させてもよく、又はデンドリマーのポリアミノ酸分枝単位上に合成的に構築されてもよい。本発明により具体化される1つ以上の方法において有用なデンドリマーの合成は、ダイバージェント又はコンバージェント合成戦略により達成することができる。本明細書に記載されるとおりのポリペプチドをカップリングすることができる好適なペプチドデンドリマー骨格、及びペプチドデンドリマーの提供方法は、例えばLee et al,2005;Sadler and Tam,2002;及びCloninger,2002(これらの内容全てが全体として相互参照により本明細書に援用される)に記載されている。本発明により具体化される方法で用いられるデンドリマーが呈するペプチドはまた、タンパク質分解から(例えば、アミド化、ペグ化などにより)保護されたN末端又はC末端であってもよい。
本発明により具体化されるペプチドのペプチドミメティクスは、本明細書に明示的に包含される。ペプチドミメティクスは、例えば、本発明により具体化されるペプチドのアミノ酸の1つ以上の、アミノ酸類似体による置換を含んでもよく、このようなアミノ酸類似体は、本質的に、MTTアッセイなどにより評価され得るとき本発明の親ペプチドの抗癌活性を減弱させるものではない。
典型的には、本発明により具体化されるペプチドは、約60アミノ酸以下の長さを有し得る。通常、ペプチドは、最大約50アミノ酸、45、40、35、30、25、20又は15アミノ酸の長さを有し得る。例えば、ペプチドは、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25アミノ酸以上、例えば、最大30、35、40、45、50又は60アミノ酸の長さを有してもよい。しかしながら、上記に特定される範囲内の全ての具体的な長さ及び長さ範囲のペプチドが、明示的に包含されることは理解されるであろう(例えば、10〜12アミノ酸、10〜13アミノ酸、10〜14アミノ酸、10〜15アミノ酸、10〜16アミノ酸、10〜17アミノ酸、10〜18アミノ酸、10〜19アミノ酸、10〜20アミノ酸、10〜21アミノ酸、10〜22アミノ酸、10〜22アミノ酸、10〜23アミノ酸、10〜24アミノ酸、10〜25アミノ酸など)。
10アミノ酸より長い本発明におけるペプチド又は本発明により具体化される方法で有用なペプチドは、細胞内で切断されてRxKxKxxxxR(配列番号5)アミノ酸配列を含むより短いペプチドを放出するように構成することができる。例えば、より長いペプチドが、宿主又は癌細胞内で切断されてより短いRxKxKxxxxR(配列番号5)配列又はRxKxKxxxxR(配列番号5)配列を含むアミノ酸配列を放出するように、酵素切断部位を含み得る。細胞において、又は細胞内でペプチドを放出するための酵素切断部位を有する/有しない本発明により具体化されるペプチドを含むキメラタンパク質/ポリペプチド(すなわち、融合タンパク質)は、本発明により明示的に提供される。
本発明により具体化されるペプチド及び融合タンパク質は、化学的に合成されてもよく、又は従来の組換え技術を使用して作製されてもよい。融合タンパク質をコードする核酸は、例えば、平滑断端化された末端及びオリゴヌクレオチドリンカー、必要に応じてスタッガード末端を提供する消化、及び付着末端のライゲーションを用いることにより、所望のアミノ酸配列を有するペプチドをコードする別個のcDNA断片をつなぎ合わせることにより提供されてもよい。或いは、続いて互いにライゲートすることができる相補的な末端を有するアンプリコンを生じるプライマーを用いたDNA断片のPCR増幅を利用することができる。
本発明におけるペプチド及び融合タンパク質は、哺乳類対象への投与用にインビトロで発現させて細胞培養物から精製してもよく、又は宿主細胞の細胞転写エレメント及び翻訳リボソーム複合体を利用して核酸をインビボで発現させるため、ペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸を対象の標的細胞(例えば癌細胞)にトランスフェクトしてもよい。
本発明により具体化されるペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸を発現させるには、典型的には核酸が初めにクローニングベクターに導入され、宿主細胞で増幅された後、核酸が切り出されて、細胞のトランスフェクションに好適な発現ベクターに導入される。発現ベクターは、宿主細胞のゲノムDNAとは独立した核酸インサートの発現用に設計されても、又は宿主細胞のゲノムDNA中への部位特異的、相同、又は非相同組換え用に、続いて宿主細胞で核酸インサートが発現するように設計されてもよい。
典型的なクローニングベクター(例えばコスミド)は、ベクターの効率的な複製を可能にする複製起点(ori)、ベクターで形質転換された宿主細胞の選択を可能にするレポーター又はマーカー遺伝子、並びに目的の核酸配列の挿入及び続く切出しを促進する制限酵素切断部位を組み込む。好ましくは、クローニングベクターは、一連の制限部位を組み込むポリリンカー配列を有する。マーカー遺伝子は、薬物耐性遺伝子(例えばアンピシリン耐性のAmp)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β−ラクタマーゼ、アデノシンデアミナーゼ(ADA)、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(APH)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)、ハイグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ(HPH)、チミジンキナーゼ(TK)、又は例えば大腸菌(E.coli)lacZ遺伝子によりコードされるβ−ガラクトシダーゼ(LacZ’)などの酵素をコードする遺伝子であってもよい。酵母レポーター遺伝子としては、イミダゾールグリセロールリン酸デヒドラターゼ(HIS3)、N−(5’−ホスホリボシル)−アントラニル酸イソメラーゼ(TRP1)及びβ−イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ(LEU2)が挙げられる。理解されるであろうとおり、本発明の発現ベクターはまた、かかるマーカー遺伝子も組み込み得る。
用いられ得るクローニングベクターとしては、哺乳類細胞、酵母細胞及び昆虫細胞用のクローニングベクターが挙げられる。適用が見出され得る特定のベクターとしては、pBR322ベースのベクター及びpUCベクター、例えばpUC118及びpUC119が挙げられる。
好適な発現ベクターには、DNA(例えば、ゲノムDNA又はcDNA)インサートの発現能を有するプラスミドが含まれる。発現ベクターは、典型的には、挿入された核酸配列が作動可能に連結される転写調節制御配列を含み得る。「作動可能に連結された」とは、核酸インサートが、そのインサートのリーディングフレームのシフトなしに挿入配列の転写が可能となるように転写調節制御配列に連結されていることを意味する。かかる転写調節制御配列には、RNAポリメラーゼの結合による転写開始を促進するプロモーター、リボソームと転写されたmRNAとの結合を可能にする発現制御エレメント、及びプロモーター活性を調節するエンハンサーが含まれる。プロモーターは組織特異的プロモーターであってもよく、これは核酸インサートの転写を特異的な細胞系統においてのみ促進し、他の細胞型では促進しないか、又はかかる他の細胞型では比較的低レベルに促進するにとどまる。発現ベクターの設計は、トランスフェクトされる宿主細胞、トランスフェクション方式、及び核酸インサートの所望の転写レベルに依存し得る。
原核生物(例えば、細菌)又は真核生物(例えば、酵母、昆虫又は哺乳類細胞)のトランスフェクションに好適な多数の発現ベクターが、当該技術分野において公知である。真核細胞のトランスフェクションに好適な発現ベクターとしては、pSV2neo、pEF.PGK.puro、pTk2、pRc/CNV、pcDNAI/neo、ポリアデニル化部位及び伸長因子1−αプロモーターを組み込む非複製アデノウイルスシャトルベクター、及びサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを最も好ましくは組み込むpAdEasyベースの発現ベクターが挙げられる。昆虫細胞での発現には、バキュロウイルス発現ベクターを利用してもよく、その例としては、pVLベースのベクター、例えばpVL1392、及びpVL941、及びpAcUWベースのベクター、例えばpAcUW1が挙げられる。本発明の実施形態における哺乳類細胞における核酸インサートの発現に好ましい発現ベクターとしては、CMV又は伸長因子1αプロモーターを含むプラスミド、例えばpEF.PGK.puro(Huang,David C.S.et al.,1997)が挙げられる。pEF.PGK.puroプラスミドは、SV40起点、EF−1αプロモーター、ポリクローニング部位及びポリA領域を含み、本発明におけるペプチド又はキメラタンパク質をコードする核酸インサートの発現に特に好ましい。
本明細書に記載されるとおり癌を予防又は治療するための、本発明により具体化されるペプチド及び核酸の細胞内送達は、外側細胞膜/形質膜を越えて細胞の細胞質内及び/又は核内に入るペプチド又は核酸の通過又は移行を促進する「促進部分」、例えばキャリアペプチドを利用して達成することができる。本明細書に記載されるとおりの促進部分は、本発明により具体化されるペプチド、薬剤又は核酸が癌細胞に侵入するのを数多くの方法のいずれによって促進してもよく、本発明は任意の特定の機構に限定されない。関与する機構は、例えば、細胞への直接的な透過(例えば、細胞膜溶解性の増強又は細胞膜における一過性の孔の形成による)、エンドサイトーシス媒介性の細胞侵入(例えば、細胞表面発現受容体との相互作用、又はマクロピノサイトーシスによる)、及び細胞膜上の一過性構造の形成による細胞侵入を含み得る。用語「キャリアペプチド」には、その範囲内に細胞透過性ペプチド(CPP)が含まれる。当該技術分野において公知のキャリアペプチドとしては、ペネトラチン及びその変異体又は断片、ヒト免疫不全ウイルスTat由来ペプチド、トランスポータン由来ペプチド、カチオン性ペプチド(例えば、ポリアルギニン)(さらには以下参照)、両親媒性ペプチド、例えばMPG及びPEP−1(例えば、米国特許第6,841,535号明細書を参照)、シグナルペプチドが挙げられ、任意の好適なかかるペプチド促進部分を用いることができる。特に好適なシグナルペプチドが、米国特許第5,807,746号明細書(その内容は全体として本明細書に援用される)に記載される。アミノ酸配列AAVALLPAVLLALLA(配列番号30)又はAAVALLPAVLLALLAP(配列番号31)からなる、又はそれを組み込むカポジ線維芽細胞成長因子(K−FGF)のシグナルペプチドは、用いられ得るキャリアペプチドの特定の例である。同様に、少なくとも一部の実施形態において、PEP−1ペプチドを利用することができる。本発明の方法で用いられるキャリアペプチドは完全なペプチドである必要はなく、標的細胞内へと外側細胞膜を越えて通過し又は他の方法で移行することによる、細胞の細胞質内又は核内への結合したカーゴペプチド、核酸又は核酸コンストラクトの送達を達成する能力を保持するその活性断片又は修飾若しくは変異形態を利用してもよい。
促進部分はキャリアペプチドよりむしろ、脂質部分又は他の非ペプチド部分(例えば、炭水化物部分)であってもよく、これは標的細胞の外側細胞膜を越えて通過するための本発明における抗癌ペプチドの細胞膜溶解性を増進し、又はそれにより細胞へのペプチドの侵入が促進されるものである。脂質部分は、例えば、混合トリグリセリド類を含むトリグリセリド類から選択され得る。脂肪酸、特にC16〜C20脂肪酸もまた用いることができる。典型的には、脂肪酸は飽和脂肪酸であり、最も通常はステアリン酸である。本発明はいかなるかかる非ペプチド促進分子の使用にも限定されず、所望の細胞膜溶解性を提供する、且つ生理学的に許容可能な任意の分子を使用することができる。
なお別の実施形態において、本発明により具体化されるペプチドは、ペプチド検出用の標識分子、シグナル伝達分子、又は他の分子(例えば、造影剤、イメージング剤、ビオチン、ストレプトアビジン、放射性同位体、蛍光色素、化学発光剤、化学発光団、生物発光剤、酵素又はその結合断片(例えば、Fab及びF(ab)断片)、磁性粒子等)との複合体を形成するためのコンジュゲーション剤とコンジュゲートされてもよい。理解されるであろうとおり、本発明により具体化されるペプチドは、標的細胞へのペプチドの通過を促進するための促進部分と、好適なイメージング技術(例えば磁気共鳴画像法(MRI))を利用した細胞内のペプチドの検出(dedetection)用の標識、シグナル伝達分子、放射性同位体などと複合体化された、又はそれと複合体化するためのコンジュゲーション剤と共にカップリングすることができる。DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロデカン−1,4,7,10−四酢酸)は、用いられ得るコンジュゲーション剤の例であり、モノクローナル抗体、放射性同位元素、及び金属カチオン(例えば、カルシウム及びガドリニウム)などの、癌の治療及び診断に使用される様々な化合物と複合体化することができる。特に好ましい実施形態において、本発明により具体化されるペプチドは、標的細胞のイメージング用造影剤としてのガドリニウムと錯体化されたDOTA(Sturzu A et al,2008)とコンジュゲートすることができる。
別の実施形態において、本発明によるペプチドは、イメージングのため、又は分岐金粒子のレーザー照射による標的細胞の細胞死支援のため、典型的には1〜30nm径の金ナノ粒子とコンジュゲートすることができる。原形質及び核膜を越える金ナノ粒子の移行が報告されている(de la Fuente J.M.and Berry C.C.,2005)。しかしながら、本発明により具体化されるペプチドは、ペプチドを検出するため、又は標的癌細胞に治療効果(例えば細胞傷害性)を及ぼすための標識分子、シグナル伝達分子又は他の分子(例えば放射性同位体)で直接タグ標識されてもよい。
本発明により具体化されるペプチド又は核酸は、促進部分(例えば、ペプチド又はデンドリマー/デンドリマー骨格)及び/又はコンジュゲーション剤と、それぞれのリンカーによるなど、任意の従来公知の方法で連結することができる。例えば、ペプチドは、アミノ酸リンカー配列によってペプチド結合によるか、又は架橋試薬を使用した非ペプチド共有結合を介して、キャリアペプチド又はデンドリマーと直接連結されてもよい。本発明により具体化されるペプチド又は核酸はまた、促進部分と静電相互作用又は疎水性相互作用によってカップリングされてもよい。例えば、本明細書に記載されるとおりの核酸などの負電荷を持つ「カーゴ」分子を、核酸の負電荷基とキャリアペプチド又はアミノ酸リンカー配列の正電荷アミノ酸との間の電荷会合により、キャリアペプチド又はデンドリマーと連結してもよい。また、化学的ライゲーション方法を用いて、キャリアペプチド又はリンカー配列のカルボキシ末端アミノ酸と本発明により具体化されるペプチドとの間に共有結合を生じさせてもよい。薬剤が、本発明のペプチドをコードする核酸を含む場合、本明細書に記載されるとおりの促進部分はまた、真核細胞の核膜を通って細胞の核に入る核酸の通過も促進し得る。例えば、哺乳類細胞へのDNAの送達が、細胞透過性ペプチド(CPP)と複合体化されると増強されることが報告されている(Kim,H.H.et al.,Int.J.,2007)。急速に増殖する癌細胞では、一般に癌特異的受容体が過剰発現して栄養素又はビタミンの取込みが増進し、正常細胞と癌細胞との間のかかる内因性の形態学的及び生理学的違いが、本発明により具体化されるペプチド、核酸及び薬剤を癌細胞に標的化して送達する手段を提供する。詳細には、細胞の表面上で発現する分子(例えばEGFRなどの受容体)に結合するリガンド、結合ペプチド、又は抗体若しくはその結合断片(Fab及びF(ab)断片など)の標的化部分を、促進部分(例えば、キャリアペプチド、デンドリマー等)とカップリングするか、又は本発明により具体化されるペプチド、核酸又は薬剤(例えば、融合タンパク質、デンドリマー等)と直接カップリングすることにより、癌細胞の標的化を達成してもよい。利用し得る標的化部分としてはまた、とりわけ、多価不飽和脂肪酸、トランスフェリン、ビオチン、葉酸、及びヒアルロン酸も挙げられ、例えば、Ojima I.et al.,2012(その内容全てが相互参照によって本明細書に援用される)を参照のこと。
本発明における一つの標的化手法は、促進部分−ペプチド複合体と、細胞外インテグリンドメインを標的化するインテグリン受容体標的化ペプチドとのカップリングを用いる。例えば、配列DLXXL(配列番号32)を含むペプチドリンカーを使用して、β6インテグリンサブユニットの細胞外ドメインを標的化することができる。β6発現がマトリックスメタロプロテアーゼ−9(MMP−9)による細胞表面での有効なタンパク質分解を増進させることを考えると(Agrez MV et al,1999)、かかる標的化手法には、細胞膜で複合体を放出させて複合体をインターナライズさせるためMMP−9又は標的化部分と促進部分との間のMMP−9又は他のMMP切断部位を改変することが含まれ得る。別の例として、αVβ6インテグリンに対するリガンド認識モチーフRTDLDSLRTYTL(配列番号33)を、改変したMMP(例えば、MMP−9)切断部位と併せて、又はそれなしに使用して、本明細書に記載されるとおりの促進部分−ペプチド複合体を標的細胞の表面に送達してもよい。NAVPNLRGDLQVLAQKVART(配列番号34)(Howard M.et al.,2007)などの、インテグリンαvβ6に対して高い親和性及び選択性を有する他の標的化ペプチドを利用してもまたよく、これは本明細書に記載されるペプチドと直接、ここでもMMP切断部位の提供を伴い又は伴わず、カップリングされ得る。
促進部分が、本発明における癌細胞への標的化した送達を提供する働きとともに、結合したカーゴの細胞内への侵入を促進する働きもまたし得ることは理解されるであろう。すなわち、同じ部分が両方の役割を果たし得る。従って、本発明は、促進部分のみを含むか又は標的化部分及び促進部分の両方を含む複合体にまで及ぶ。
細胞への複合体の侵入は、上記に記載したとおりいくつかの機構を介して起こることができ、例えばカテプシンリッチであるリソソームによるものが挙げられる。この場合、複合体はカテプシン切断部位を含むことにより、複合体からカーゴ(例えば、本発明により具体化されるペプチド、核酸又はデンドリマー)を細胞内放出して細胞の治療を達成し得る。様々な酵素的に切断可能及び切断不可能なリンカーが当該技術分野において公知であり、1つ以上の好適な独立して選択されるかかるリンカーを、本発明における標的化部分及び/又は促進部分との連結を生じさせるため複合体中に利用し得る。カテプシンにより切断可能なもの以外の好適なリンカーとしては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの細胞内酵素により切断可能なジスルフィド(−S−S−)結合を提供するシステイン残基を含むリンカーが挙げられる。特に好ましい実施形態において、複合体は、細胞内で切断又は分解されることによって本発明により具体化されるカーゴペプチド、核酸又は薬剤を癌細胞内に放出させるリンカーを含む。
別の手法として、細菌由来のミニ細胞(例えば、De Boer PA,1989)、リポソーム、幽霊細菌細胞、カベオスフェア(caveosphere)、合成高分子剤、超遠心された(ultracentifuged)ナノ粒子及び他の無核ナノ粒子に、本発明におけるデンドリマー、ペプチド、核酸又は発現ベクター(例えば、プラスミド)を負荷し、癌細胞へのカーゴの(例えば、ミニ細胞又はリポソーム等にある二重特異性抗体、標的化ペプチドなどを介した)標的化した送達に使用してもよい(例えば、MacDiarmid J.A.et al.,2007も参照)。かかるシャトルは、注射用に製剤化されても、又は胃の酸環境を通過し、小腸でペプチド、デンドリマーなどが放出されて取り込まれる経口摂取用に製剤化されてもよい。本発明により具体化されるペプチドが負荷された細菌由来のミニ細胞が、本明細書に記載される方法での使用に特に好ましい。
ミニ細胞は、正常な細胞分裂を制御する遺伝子の突然変異により産生され得るナノサイズの細胞であり、細胞質を含み、従って親細胞のタンパク質発現のための細胞質成分を含むが、非染色体性で、自己複製能を有しない。細胞分裂を制御する遺伝子の抑制解除(又は上方制御)によるミニ細胞の生成が、静脈内注入で通常用いられ得るより大幅に少ない用量で腫瘍に薬物送達する解決法を提供することが示されている(MacDiarmid,J.A.,et al.,2007)。本発明との関連におけるミニ細胞は、関与する細胞成分の1つ又は複数の遺伝子突然変異及び/又は阻害によるなど、細胞分裂プロセス(例えば二分裂)の撹乱(pertubation)又は妨害により生じ得るとおりの、親細胞の異常な細胞分裂により産生される任意の非染色体性細胞であってよい。
本明細書に記載されるとおりの方法で使用されるミニ細胞は、国際公開第03/033519号パンフレット、米国特許第7,183,105号明細書、及びMacDiarmid,J.A.,et al.,2007(これらの全ての内容が、相互参照により全体として本明細書に明示的に援用される)に記載されるような、任意の従来公知の方法によって調製することができる。細胞分裂を制御する細菌遺伝子を不活性化することによる細菌ミニ細胞の生成は、例えば、De Boer,P.A.,et al.,「ミニ細胞遺伝子座によりコードされる分裂阻害因子及びトポロジー特異性因子が大腸菌(E.coli)における分裂隔壁の配置を決定する(A division inhibitor and a topological specificity factor coded for by the minicell locus determine placement of the division septum in E.coli)」.Cell 56,1989,pp.641−649にさらに記載される。密度勾配遠心法(例えば、OptiPrep(商標)、Axis−Shield PLC,Dundee,Scotland)及びクロスフローろ過を利用するインタクトなミニ細胞の精製方法が、米国特許第7,611,885号明細書及び米国特許第8,003,091号明細書(これらの両方の内容もまた、相互参照により全体として本明細書に明示的に援用される)に記載される。
ミニ細胞は、細胞分裂に関与する遺伝子の発現の下方制御により得ることができるが、ある種の遺伝子の過剰発現もまた、ミニ細胞の産生をもたらし得る。本明細書で有用なミニ細胞を得ることのできる細菌細胞の例としては、細菌、例えば、大腸菌(Eschererichia coli)(E.coli)(例えば、MinA、MinB、cya、crp、MukA1、又はMukeEに突然変異を含むか、又はminB、minE、flsZ、sdiを過剰発現するもの)、枯草菌種(Bacillus subtilis spp.)(例えば、minC、minD、ripXに突然変異を含むか、又はsmc突然変異若しくはOriC欠失を有するもの)、乳酸桿菌種(Lactobacillus spp.)、淋菌種(Neisseria gonorrhoeae spp.)、サルモネラ菌種(Salmonella spp.)(例えば、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium))、ヘリコバクター種(Helicobacter spp);シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、(例えば、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa))、リステリア菌種(Lysteria spp.)(例えば、リステリア菌(Lysteria monocytogenes))及びカンピロバクター菌種(Campylobacter spp.)が挙げられる。細菌はグラム陽性であっても(例えば、リステリア菌(L.monocytogenes))又はグラム陰性であってもよい(例えば、緑膿菌(P.aeruginosa))。その外膜にポーリンを有する細菌から分離されたミニ細胞(mincell)(すなわち、通常はグラム陰性菌だが、ある種のグラム陽性菌もまたポーリンを有する)が、標的細胞に送達しようとする本発明におけるペプチド、核酸、発現ベクター又は他の薬剤(又は前述のものの混合物)のミニ細胞への負荷を促進するのに特に好ましい。ミニ細胞はまた、古細菌又は真核細胞から得られてもよく、例えば米国特許第7,183,105号明細書を参照のこと。しかしながら典型的には、細菌由来のミニ細胞、すなわち細菌親細胞から得られたミニ細胞が利用され得る。
ミニ細胞の癌細胞標的化は、任意の好適な標的化部分の使用により達成されてもよい。標的化部分はミニ細胞の表面上に発現させることができ、又は例えば、ミニ細胞を1つ以上の選択された標的化部分でタグ化又は標識してもよい。特に好ましい実施形態において、当該の報告にあるミニ細胞の腫瘍細胞標的化が、ミニ細胞表面リポ多糖のO抗原成分と、標的とする哺乳類細胞に特異的な細胞表面受容体(例えばEFGR)とを認識する二重特異性抗体複合体の形態の標的化部分を使用して実現されてもよく、この複合体の2つの抗体は、プロテインA/Gの使用によりそれらのFc領域を介して共に連結される(MacDiarmid,J.A.,et al.,2007及び国際公開第03/033519号パンフレットを参照。しかしながら、本発明はそれに限定されるものでなく、ミニ細胞上で他の標的化部分を用いてもよい。例えば、標的化部分は、上記に記載したとおりのインタクトな抗体よりむしろ、抗体結合断片を含み得る。他の実施形態では、標的細胞上の結合パートナーに特異的なリガンド、結合ペプチド又は受容体がミニ細胞の外表面上に発現してもよく、全ての好適なかかる別法が可能である。標的細胞が発現する受容体は、数多くある中でもとりわけ、ホルモン受容体、神経伝達物質受容体、受容体チロシンキナーゼ受容体、及びGタンパク連結型受容体から選択されてもよい。ミニ細胞へのペプチド又は核酸(又は他の薬剤、例えば、本発明における発現ベクター、デンドリマー等)の負荷は、ペプチド、核酸又は他の薬剤を含有するインキュベーション培地でミニ細胞をインキュベートすることによる受動拡散によってもよい。負荷を促進するため、ミニ細胞を薬剤に対して透過性にしてもよく(例えばミニ細胞を穿孔処理することによる)、又はその他、従来技術を使用して薬剤に対するミニ細胞の透過性を増加若しくは増強させてもよい。標的癌細胞へのミニ細胞の内容物の侵入は、ミニ細胞が標的細胞上に発現する細胞表面受容体と相互作用して生じる(例えば好中球及びマクロファージによる)食作用によるか、又はエンドサイトーシス(クラスリン媒介性又はクラスリン非依存性エンドサイトーシスのいずれか)により標的細胞内にミニ細胞が移行し、続いてミニ細胞が分解され、ミニ細胞の内容物が標的細胞の細胞質内へと(例えば、細胞内コンパートメント、例えばエンドソーム及び/又はリソソームから)放出されることによってもよい。
少なくとも一部の実施形態において、本発明により具体化されるペプチドはまた、細菌由来のミニ細胞上に存在するLamBポーリンによる輸送を目的として、炭水化物部分、例えばグルコース(D又はL異性体)に連結することもできる。ポーリンスーパーファミリーは、グラム陰性菌の細胞外膜を横切る水で満たされた孔を形成する複数のホモ三量体膜貫通タンパク質を含有する。ほとんどのポーリンが、環境変化により調節される一般的な(genaral)非特異的チャネルを形成する。LamBポーリンとしても知られるマルトポーリンは、大腸菌(E.coli)細胞へのマルトース及びマルトデキストリンの誘導拡散に関与する。詳細には、LamBタンパク質はまた、グルコースの拡散を促進することもでき(von Meyerburg K and Nikaido H,1977)、試験した広範囲の糖類から、グルコースがインビトロでLamBタンパク質を越える最も速い拡散率を有することが分かっている(Luckey M and Nikaido H,1980)。
カチオン性ペプチドの使用もまた、DNA及びアミノ酸配列などの巨大分子を生細胞中に移行させることに成功している。本発明における実施形態において、カチオン性ペプチド及び本明細書に記載されるとおりの他の促進部分はまた、ペプチド、核酸及び他の薬剤によるミニ細胞への侵入、及び例えば核酸の場合、核膜を越えた侵入を促進するために利用することもできる。カチオン性ペプチドの例としては、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、及びポリリジンペプチド、並びにアルギニン、ヒスチジン及びリジンアミノ酸残基のうち少なくとも2つの混合物からなるペプチドが挙げられる。例えば、15merのアルギニンペプチドが、癌細胞株において緑色蛍光タンパク質及びβ−ガラクトシダーゼ遺伝子をコードするDNAの発現を媒介するのに好ましいアミノ酸残基数であることが報告されている(Choi HS.et al.,2003)。また、9〜35merのカチオン性及び/又は両親媒性ペプチドが、細胞外膜(outyer cell membrane)を越えて迅速にインターナライズされることも報告されている(Bitler B.G.and Schroeder J.A.,2010)。本発明は、本発明により具体化されるペプチド又は細胞内でペプチドを発現させるためそのペプチドをコードする核酸(例えばDNA)を標的癌細胞内に通過させるように促進する促進部分としてのかかるカチオン性ペプチドの使用にまで及ぶ。カチオン性ペプチドは、本発明により具体化される方法における標的細胞へのペプチド又は核酸の侵入を促進する任意の好適な長さであってよい。概して、カチオン性ペプチドは20アミノ酸長未満であり、より通常は15アミノ酸長以下であり得る。典型的には、本発明により具体化されるペプチドの細胞への侵入を促進するためのカチオン性ペプチド(例えば、ペプチドRVKVKVVVVR(配列番号24)は、2〜10アミノ酸長、より一般的には5〜8アミノ酸長であり得る。カチオン性ペプチドがポリアルギニン又はポリリジンである場合、それは好ましくは約8アミノ酸長であり得るが、ポリヒスチジンペプチドは、概して約5アミノ酸長であり得る。カチオン性ペプチドはL−及び/又はD−アミノ酸を含んでもよく、概してポリアルギニンペプチド(すなわち、完全にアルギニン残基から構成されるペプチド)であり得る。カチオン性ペプチドはまた、RxKxKxxxxR(配列番号5)の「x」アミノ酸が非極性アミノ酸(例えば、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)及びイソロイシン(I)から選択される)であるか、又は主としてそれである場合に、本発明のペプチドの溶解性を増加させることができる。
それぞれ独立して選択されるカチオン性ペプチドは、本発明により具体化されるペプチドのC端側及び/又はN端側末端又は核酸と、例えばペプチド結合によるなど共有結合的に、又はリンカーを介して、カップリングすることができる。リンカーを利用してカチオン性ペプチドがペプチド又は核酸と連結される場合、リンカーは、上記に記載したとおり酵素的に切断可能なリンカーであってよい。ポリヒスチジンペプチドを、さらなる促進部分又はキャリアペプチド、例えばポリアルギニンペプチド、PEP−1又はTATペプチドと共に又はそれ無しに使用してもよく、ヒスチジンのイミダゾール基がエンドソームに対するプロトン流入を促進し、エンドソームの破裂及び標的細胞の細胞質内へのカーゴペプチド若しくは核酸の放出をもたらし得る。すなわち、ヒスチジン残基がエンドソームエスケープ剤として働き得る(Liu,B.R.et al.,2011)。これは、上記に記載したとおりの細菌由来のミニ細胞を利用した標的細胞へのペプチド及び核酸の送達、又は標的細胞が発現するEGFRに特異的なモノクローナル抗体などの標的化部分を利用する標的細胞への直接(非封入)送達による送達に適用性を有する。
様々な形態の発現ベクターが、上記に記載されるとおり当該技術分野において公知であり、任意の好適なかかる発現コンストラクトが、本発明においてこの目的に用いられ得る。ウイルス移入方法もまた、本発明により具体化されるペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸の、インビトロ或いはインビボでの標的細胞(例えば癌細胞)への導入を達成するために用いることができる。標的細胞に送達するため発現ベクターをパッケージングし得る好適なウイルスとしては、アデノウイルス、ワクチニアウイルス、鳥類、マウス及びヒト起源のレトロウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びEBVを含むヘルペスウイルス、SV40などのパポバウイルス、及びアデノ随伴ウイルスが挙げられる。本明細書に記載される方法において有用な特に好ましいウイルスとしては、複製欠損組換えアデノウイルスが挙げられる。組換えウイルスは、局所投与又は全身投与することにより、ペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸の標的細胞内への送達を達成し得る。本発明におけるペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸はまた、従来の低温ショック若しくは熱ショック技法、又は例えば、当該技術分野において公知のとおりのリン酸カルシウム共沈殿法若しくは電気穿孔プロトコルを用いて、インビトロで細胞内送達されてもよい。
トランスフェクト細胞をスクリーニングすることにより、核酸インサートの安定した再現性のある発現及び付随する本発明のペプチド又は融合タンパク質の産生を呈する培養物又は細胞株を同定することができる。様々な宿主細胞内での核酸の安定した組込み及び発現が、当該技術分野において周知されている。ポリペプチド又は融合タンパク質の発現に使用することのできる宿主細胞としては、細菌及びプロバイオティクス細菌、例えば、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ストレプトミセス属(Streptomyces)及びシュードモナス属(Pseudomonas)、ブレビバクテリウム属(Brevibacterium)及び特にB.リンネス(B.linens)の細菌株、酵母、例えばサッカロミセス属(Sacchromyces)及びピキア属(Pichia)、昆虫細胞、鳥類細胞及び哺乳類細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)、COS、HeLa、HaRas、WI38、SW480、及びNIH3T3細胞が挙げられる。宿主細胞は、導入された核酸の発現を促進する条件下で好適な培養培地において培養された後、宿主細胞、及び/又は場合によっては上清から、標準的な精製技法を使用して発現産物が精製される。
本発明により具体化されるペプチド及び融合タンパク質は、音波処理又はデタージェントを使用した細胞膜の破壊、遠心による膜及び固形断片の除去、及び当該技術分野において公知の方法によるアフィニティー又はイムノアフィニティークロマトグラフィーによる溶液又は該当する場合上清からの精製によって細胞培養物から精製することができる。用いられ得る好適なかかる固体担体及び支持体としては、限定はされないが、アガロース、セファロース及び他の市販の支持体(例えば、ラテックス、ポリスチレン、又はデキストラン等のビーズ)が挙げられる。続く固体支持体からの溶出及び濃縮のため、本発明のペプチド又は融合タンパク質を固体支持体に固定化するための抗体、その結合断片又は他の好適な結合分子は、共有結合的に一般に用いられるアミド又はエステルリンカーを利用して、又は吸着により、固体担体に結合させることができる。本発明におけるペプチド及び融合タンパク質は、例えば、その精製を補助するための当該技術分野において公知のとおりのタグ(例えば、ポリ−His(例えばヘキサヒスチジン)タグ)を伴い宿主細胞で発現させることができる。ポリ−Hisなどのタグが利用される場合、コードされるペプチド又は融合タンパク質は、エンドペプチターゼを使用したタグの除去を促進する好適なアミノ酸配列をさらに含み得る(N末端His−タグが使用される場合には、かかるさらなるアミノ酸配列は提供されなくてもよい)。同様に、本発明におけるペプチド又は融合タンパク質をコードする核酸は、上記に記載したとおりアフィニティークロマトグラフィーによるペプチド又は融合タンパク質の精製用に、宿主細胞からのペプチド又は融合タンパク質の分泌を促進するためのシグナルペプチド配列をさらに含み得る。イムノアフィニティークロマトグラフィー及びアフィニティークロマトグラフィープロトコル用の固体担体の調製プロトコルは、例えば、Current Protocols in Molecular Biology−Ausubel FM.et al,Wiley−Interscience,1988及びその後続の改訂版に記載される。
従って、本発明におけるペプチド、融合タンパク質、及び核酸は、単離又は精製された形態で提供され得る。用語「精製された」は、本明細書で使用されるとき、本発明のペプチド、核酸又は薬剤の部分的な精製、例えば、電気泳動及び/又は他の技法により評価し得るときに80%純度又はそれを超える、又は少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又はそれを超える(例えば、99%又はそれを超える)のレベルまでの精製を包含する。
本発明により具体化されるペプチド又は薬剤の毒性プロファイルは、細胞に対する細胞形態評価、トリパンブルー排除法、アポトーシス評価及び細胞増殖検査(例えば、細胞カウント、H−チミジン取込み及びMTTアッセイ)によって決定することができる。
本発明における1つ又は複数のペプチド(例えば、デンドリマー形態のものを含む)、核酸又は他の薬剤は、アンチセンス療法又は1つ以上の従来の抗癌化合物若しくは薬物と共投与することができる。「共投与される」とは、同じ又は異なる経路による同じ製剤又は2つの異なる製剤での同時的な投与か、或いは同じ又は異なる経路による逐次的な投与であって、それによりペプチド及び薬物が重複する治療有効時間域にわたりそれらの効果を及ぼす投与を意味する。
本発明の1つ以上の実施形態において用いられ得る従来の化学療法薬は、金属系及び非金属系薬物からなる群から選択することができる。金属錯体は、有機、無機、又は混合リガンド配位化合物又はキレートであってもよい。遷移金属錯体には、例えば白金、パラジウム、銅、亜鉛、ロジウム及びルテニウムの錯体が含まれる。白金系化学療法薬の例には、シスプラチン(cis−ジアンミンジクロロ白金(II))、オキサリプラチン、([Pt(1)キサルト(xalto)(1R),(2R)−ジアミノシクロヘキサン]錯体)、カルボプラチン(cis−ジアンミン(1,1−シクロブタンジカルボキシラト)白金(II)、及びブレオマイシンが含まれる。非金属化学療法薬の例には、パクリタキセル、グリベック(Gleevec)、ドセタキセル、タキソール(Taxol)、5−フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin))、ビンブラスチン、ビンデシン、カンプトテシン(Camplothecin)、ゲムシタビン、アドリアマイシン、及びトポイソメラーゼ阻害薬、例えばイリノテカン(CPT−11)が含まれる。従って、本発明により具体化されるペプチドは、かかる従来の抗癌薬又は他の薬物の1つ以上と共投与することができる。
薬剤耐性癌が治療されている場合に、本発明により具体化されるペプチド又は核酸が、哺乳類対象に対し、癌の細胞が本来耐性を示す化学療法薬と組み合わせて、又はそれと併せて共投与されてもよい。例えば、Srcチロシンキナーゼの阻害は、薬剤感受性卵巣癌細胞におけるシスプラチンなどの化学療法剤の細胞傷害性を増進し、且つ薬物耐性細胞における感受性を回復することが示されている。
細胞質膜結合型非受容体チロシンキナーゼのSrcファミリーは、細胞活性の調節において重要な役割を果たす。このキナーゼファミリーは、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼの上流にその効果を及ぼし、ひいてはERKを活性化する。標的のc−Srcによるリン酸化は一方向性の様式で起こり、c−Srcと、多くの膜結合型受容体及び上記に記載したとおりの形質膜近傍の細胞因子との間の相互作用により惹起される。このように、c−Src及びSrcファミリーメンバーは、複数の細胞型であらゆる癌進行ステージ(発生から転移まで)を制御する複数のシグナル伝達経路の重要なメディエーターである。本発明における併用療法で用いられ得るc−Srcの阻害薬としては、国際特許出願第PCT/AU2010/000203号明細書(その内容全てが相互参照によって本明細書に援用される)に記載されるポリペプチド、デンドリマーなどが挙げられる。利用し得るかかるc−Src阻害薬の例としては、ペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)が挙げられる。
本発明の方法により治療される癌は、例えば、癌腫、肉腫、リンパ腫、固形腫瘍、頭頸部癌、血液細胞癌、白血病、骨髄性白血病、好酸球性白血病、顆粒球性白血病、並びに肝癌、舌癌、唾液腺癌、歯肉癌、口腔底癌及び他の口領域の癌、中咽頭癌、鼻咽頭癌、下咽頭癌及び他の口腔癌、食道癌、消化管癌、胃癌、小腸癌、十二指腸癌、結腸癌、結腸直腸(colonrectum)癌、直腸癌、胆嚢癌、膵癌、喉頭癌、気管癌、気管支癌、肺癌(非小細胞肺癌を含む)、乳癌、子宮癌、子宮頸癌、卵巣癌、腟癌、外陰癌、前立腺癌、精巣癌、陰茎癌、膀胱癌、腎癌、甲状腺癌、骨髄癌、及び皮膚癌(メラノーマを含む)からなる群から選択され得る。典型的には、癌は上皮癌であり、最も通常は非皮膚癌であり得る。最も通常は、癌は、肺癌、結腸癌、膵癌、乳癌、結腸腺癌及び卵巣癌からなる群から選択され得る。
本発明により具体化されるペプチド、核酸(例えば、発現ベクター)又は他の薬剤(例えば、融合タンパク質)は、典型的には、目的とする対象に投与するための薬学的に許容可能な担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物で提供され得る。少なくとも一部の実施形態において、ペプチド又は他の薬剤は、細菌由来のミニ細胞に負荷され得る。ペプチド、薬剤又は医薬組成物は、経口的に、静脈内に、非経口的に、直腸内に、皮下に、注入により、皮膚癌の治療などのように局所的に、筋肉内に、腹腔内に、鼻腔内に、又は適切であると見なされる任意の他の経路で投与することができる。医薬組成物は、例えば、液体、懸濁液、エマルション、シロップ、クリーム、経口摂取可能な錠剤、カプセル、丸薬、坐薬、散剤、トローチ、エリキシル剤、又は選択された投与経路に適切な他の形態であってもよい。
本発明により具体化される医薬組成物には、水溶液が含まれる。注射用組成物は、注射針通過性がある点で流体であり、典型的に、通常は所定の期間にわたり安定しており、製造後の保管を可能にする。さらに、薬学的に許容可能な担体は、任意の好適な従来公知の溶媒、分散媒、生理食塩水及び等張性の調製液若しくは溶液、並びに界面活性剤を含み得る。好適な分散媒は、例えば、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油及びこれらの混合物の1つ以上を含有し得る。経口投与用には、任意の経口的に許容可能な担体を使用することができる。詳細には、ポリペプチドは、不活性希釈剤、吸収可能な食用担体と共に製剤化することができ、又はそれは、硬質若しくは軟質シェルゼラチンカプセルに封入されてもよい。内用又は外用のクリーム、ローション又は軟膏を形成するために従来使用される局所的に許容可能な担体を用いることもできる。かかる組成物は、治療部位に直接適用してもよく、又は組成物を含浸させた包帯などを介して適用してもよい。
本明細書に記載されるとおりの医薬組成物はまた、インビボ投与及び/又は局所投与に好適な1つ以上の保存剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールなどを含むこともできる。加えて、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの、吸収を遅延させる薬剤を組成物中に使用することにより、組成物の持続的な吸収がもたらされ得る。本発明により具体化されるペプチドを含有する錠剤、トローチ、丸薬、カプセルなどは、以下の1つ以上もまた含有することができる:結合剤、例えば、トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン;崩壊剤、例えば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン又はアルギン酸;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム;甘味剤、例えば、スクロース、ラクトース又はサッカリン;及び香味剤。
医薬組成物中における上記に記載したとおりの成分及び媒体の使用は公知である。任意の従来の媒体又は成分がデンドリマーと適合しない場合を除き、本明細書に記載されるとおりの治療及び予防組成物中でのそれらの使用は包含される。
簡便な投与及び投薬量の均一化のため、投薬量単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に好ましい。投薬量単位形態とは、本明細書で使用されるとき、治療する対象の単位投薬量として適した物理的に個別の単位を意味するものと解釈されるべきであり、各単位は、使用される関係のある担体及び/又は賦形剤に関連した、所望の治療的又は予防的効果を生じるように計算された所定量の本発明により具体化される少なくとも1つのペプチドを含有する。投薬量単位形態が、例えばカプセル、錠剤又は丸薬である場合、様々な成分をコーティングとして用いることで(例えば、シェラック、糖類又はその両方)、投薬量単位の物理的形態を別様に改良し、又は対象への投与を促進してもよい。
医薬組成物は、概して、少なくとも約1重量%のペプチドを含有し得る。この割合は当然ながら異なることもあり、従来、約5%〜約80%w/wの組成物又は製剤であり得る。理解されるであろうとおり、組成物中における本発明により具体化されるペプチド又は他の薬剤の量は、計画された投与経路を考慮して好適な有効投薬量が対象に送達され得るような量であり得る。本発明により具体化される好ましい経口組成物は、約0.1μg〜15gのペプチドを含有し得る。
ペプチド又は他の薬剤の投薬量は、ペプチドが予防用途で投与されるのか、それとも治療用途で投与されるのか、ペプチド又は薬剤の投与が意図される病態、病態の重症度、対象の年齢、並びに対象の体重及び全般的な健康状態を含む関係要因を含め、一般に認められた原則に従い医師又は看護人により決定され得るとおり多くの要因に依存し得る。例えば、当初は低投薬量を与え、続いて個体の反応を評価した後、投与毎に増加させてもよい。同様に、投与頻度を同じようにして、すなわち各投薬の合間に個体の反応を継続的にモニタし、必要であれば投与頻度を増加させるか、或いは投与頻度を低下させることにより、決定してもよい。
典型的には、本発明により具体化されるペプチドは、本明細書に記載される方法により、最大約100mg/kg個体体重、さらに通常は最大約50mg/kg体重までの範囲、最も通常は約5mg/kg〜40mg/kg体重の範囲のポリペプチドの投薬量を提供するように投与され得る。少なくとも一部の実施形態において、ペプチドは、約5〜25mg/kg体重の範囲、通常は約5mg/kg〜約20mg/kgの範囲、さらに通常は10mg/kg〜約20mg/kgの範囲のペプチドの投薬量を提供するように投与され得る。デンドリマー形態で経口投与される場合、最大約20gのデンドリマーが1日当たりに投与され得る(例えば、1日4経口用量で、各用量が5gのデンドリマーを含む)。
静脈内経路に関して、特に好適な経路は、特定の臓器において治療する腫瘍又は癌に供給する血管への注射によるものである。詳細には、ペプチド、デンドリマー、融合タンパク質などは、任意の好適な注入法又は灌流法により摘出臓器、肢及び組織に送達することができる。ペプチド又は他の薬剤(例えば、ミニ細胞に負荷される発現ベクター)はまた、例えば胸膜腔若しくは腹膜腔などの空洞に送達してもよく、又は腫瘍組織に直接注入してもよい。
本発明の方法において有用な好適なクローニング及び発現ベクター並びにそれらの調製及び送達方法は、当業者に周知されているマニュアル及びハンドブックに記載されており、例えば、Ausubel et al.(1994)Current Protocols in Molecular Biology,USA,Vol.1 and 2,John Wiley & Sons,1992;Sambrook et al(1998)Molecular cloning:A Laboratory Manual,Second Ed.,Cold Spring Harbour Laboratory Press 1989,New York並びにそれらの再版及び改訂版(これらの内容は全体として相互参照により本明細書に援用される)を参照のこと。同様に、本発明の組成物に有用な好適な薬学的に許容可能な担体及び製剤は、例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Mack Publishing Co.,1995)」、並びにその任意の再版及び改訂版などの当業者に周知されているハンドブック及びテキストを参照することができる。細胞のトランスフェクション及び核酸インサートのインビボ発現の方法及びプロトコルは、例えば、国際公開第200631996号パンフレット、国際公開第200631689号パンフレット、国際公開第200629981号パンフレット、国際公開第200629005号パンフレット、米国特許出願公開第20060063731号明細書、及び米国特許出願公開第20060063924号明細書に記載されている(上記に列挙する前述の刊行物、マニュアル及びハンドブックの全ての内容が、全体として相互参照により本明細書に援用される)。
哺乳動物は、本発明の方法により治療可能な任意の哺乳動物であってよい。例えば、哺乳動物は、ウシ科、ブタ科、ヒツジ科又はウマ科のメンバー、実験動物、例えばマウス、ウサギ、モルモット、ネコ又はイヌ、又は霊長類又はヒトであり得る。典型的には、哺乳動物はヒトである。
以下に、いくつかの非限定的な実施例を参照して本発明を説明する。
実施例1:癌細胞成長阻害試験
1.方法
1.1 細胞株及び培養条件
ヒト結腸癌細胞株HT29、卵巣癌細胞株A2780、乳癌細胞株MCF−7及びMDA468、並びに前立腺癌細胞株(DU145)をインビトロ研究に使用した。細胞株は、5%COを含む空気の下、37℃で培養し、至適成長となるよう定期的に継代した。細胞は、10%ウシ胎仔血清を含有するDMEM培地に維持した。全ての培養培地調製物にペニシリン/ストレプトマイシン(100μg/ml)をさらに補足し、及び
1.2 インビトロ成長阻害MTTアッセイ
対数増殖期の細胞を96ウェルプレートにおける100μlの血清含有培地中に、ウェル当たり4000細胞の密度で移した。24時間後、先に加えた血清含有培地を除去し、ペプチドを含む又は含まない200μl無血清培地(SFM)をトリプリケートウェルの各々に加えた。細胞株に対し、種々の濃度のペプチド(50nM〜100μM)を使用して薬物曝露実験を実施し、細胞を無血清培養培地中のペプチドに72時間曝露した。成長阻害効果をMTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]2,5−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド)細胞成長アッセイにより評価し、540nmで吸光度を読み取った。対照細胞の成長は全インキュベーション期間にわたり指数関数的であった。各ペプチド/シスプラチン濃度について平均生存率±SEM値(最低3件の別個の実験)を求めた。
1.3 c−Srcキナーゼ活性アッセイ
製造者の指示どおりインビトロc−Srcキナーゼ活性アッセイを実施した。簡潔に言えば、25μLの最終反応容量中で、c−Src(h)(5〜10mU)を8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、250μM KVEKIGEGTYGVVYK(配列番号35)(Cdc2ペプチド)、10mM 酢酸Mg及び[γ−33P−ATP](比活性約500cpm/pmol)と共にインキュベートした。MgATPミックスを添加することにより反応を開始させた。室温で40分間インキュベートした後、5μLの3%リン酸溶液を添加することにより反応を停止させた。次に10μLの反応液をP30 filtermatにスポッティングし、75mMリン酸中で5分間3回、及びメタノール中で1回洗浄した後、乾燥させてシンチレーション計数した。
1.4 Aktキナーゼ活性アッセイ
インビトロPKBキナーゼ活性アッセイを製造者の指示どおり実施した。簡潔に言えば、25uLの最終反応容量中で、PKB(h)(5〜10mU)を8mM MOPS pH7.0、0.2mM EDTA、30uMのGRPRTSSFAEGKK(配列番号36)、10mM 酢酸Mg及び[γ33P−ATP](比活性約500cpm/pmol、必要に応じた濃度)と共にインキュベートした。MgATPミックスを添加することにより反応を開始させた。室温で40分間インキュベートした後、5uLの3%リン酸溶液を添加することにより反応を停止させた。次に10uLの反応混合液をP30 filtermatにスポッティングし、75mMリン酸中で5分間3回、及びメタノール中で1回洗浄した後、乾燥させてシンチレーション計数した。
2.結果
2.1 インビトロ細胞増殖に対するペプチド修飾の効果
RSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチド配列中のNPLY(配列番号37)モチーフの欠損又は荷電アミノ酸残基(すなわち、RKKR)の欠損(例えば、ペプチド配列ASAAANPLYA)(配列番号7)が、HT29細胞の増殖に対する完全長RSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチドの細胞成長阻害効果(Agrez et al.,2011)を無効にしたかどうかを決定する試験を行った。
図1に示されるとおり、NPLY(配列番号37)モチーフ及び荷電残基RKKR(配列番号6)の両方とも、細胞成長阻害効果に必須であり、しかしながら各々単独ではインビトロ癌細胞増殖を完全長10merペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)と同程度まで阻害するのに不十分であることが分かった。100uMの最も高いペプチド濃度では、スクランブル型のRKKR(配列番号6)(すなわち、RKRK)(配列番号8)は細胞成長の阻害効果が著しく低かった(図1)。
HT29細胞の増殖の阻害におけるNPLY(配列番号37)モチーフの必要性をさらに調べるため、細胞を10mer RSKAKNPLYR(配列番号2)の短い変異体、すなわちNPLY(配列番号37)モチーフが欠損しているRSKAKR(配列番号9)に曝露した。図2に示されるとおり、RSKAKR(配列番号9)ペプチドは、100uMの最も高い濃度であってもHT29細胞の増殖を阻害することができなかった。さらに、NPLY(配列番号37)モチーフ中の特定の残基プロリン及びチロシンをアラニンに置換すると、親の10mer RSKAKNPLYR(配列番号2)(図2)の存在下で認められた成長阻害効果が消失した。
NPLY(配列番号37)モチーフが癌細胞成長の阻害に必要であったことをさらに確認するため、RSKAKNPLYR(配列番号2)中の全ての非荷電残基をアラニンに置き換え、得られたペプチドRAKAKAAAAR(10Alaと命名される)(配列番号12)を、HT29細胞の増殖に対するその効果について試験した。意外にも、図3で分かるとおり、両ペプチドの細胞成長を阻害する能力は同程度であったが、一方、スクランブルしたアラニン置換ペプチドRAAKAARAAK(Scram 10Ala)(配列番号13)は効果を有しなかった。
β6由来ペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)の成長阻害効果は、血清の存在下ではインビトロで悪影響を受けることが以前に示されている。これは、RSKAKNPLYR(配列番号2)のアミノ末端からのアミノ酸の切断に起因すると考えられる(Agrez et al.,2011)。本研究では、10Alaが同様に、血清含有培地中で試験したときに悪影響を受けることが見出された(データは示さず)。
β6由来のペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)と有意な相同性を有するβ2(すなわち、KEKLKNPLFK)(配列番号38)、β3(すなわち、RARAKNPLYK)(配列番号39)、及びβ5(すなわち、RSRARNPLYR)(配列番号40)インテグリン細胞質ドメインに由来する10merのペプチドもまた、インビトロで結腸癌細胞の増殖の阻害に有効であることが以前に報告されている(例えば、PCT/AU2010/000203号明細書)。10Alaの成長阻害効果が、これらのペプチドのアラニン置換相同体によってもまた反映され得るかどうかを決定するため、β2、β3及びβ5由来ペプチドの非荷電残基をアラニンに置換し、HT29細胞の成長に対するそれらの効果について調べた。得られたアラニン(A)置換ペプチドは、以下のとおりであった:
・KAKAKAAAAK(配列番号14)(β2由来アラニン置換ペプチド)
・RARAKAAAAK(配列番号15)(β3由来アラニン置換ペプチド)
・RARARAAAAR(配列番号16)(β5由来アラニン置換ペプチド)
図4に示されるとおり、10Alaは、β2、β3又はβ5インテグリン細胞質(cytplasmic)ドメインに由来する3つのアラニン置換ペプチドのいずれと比べても、インビトロ細胞増殖の阻害効果が著しく高かった。
10Ala内でのアルギニン及びリジンの位置が、癌細胞成長を阻害する10Alaの能力に影響を及ぼしたかどうかを決定するため、一方又は両方のアルギニン及びリジン残基の位置を逆にした10Alaペプチド(それぞれRAKARAAAAK(配列番号17)及びKARARAAAAK(配列番号18))の存在下でHT29細胞を培養した。図5に示されるとおり、ペプチドが細胞成長を阻害する能力は、これにより著しく低下した。さらに、全てのアラニン残基を異性体形態のβ−アラニンに変換すると、図5に示されるとおり、ペプチドがHT29細胞の成長を阻害する能力は同様に低下した。
図6に示されるとおり、10Alaのより短い変異体、すなわちRAKAK(配列番号19)及びRAKAKAAAR(配列番号20)は、HT29細胞の増殖に対して最小限の効果しか有しなかった一方、カルボキシ末端にもう1つ追加のアラニン残基を含んだ11merのペプチドは、より短い変異体と比べると高い有効性であり、しかしなお、細胞成長の阻害において10Alaほどの有効性はなかった(図6)。
アラニンの存在が成長阻害効果に特別な要件であったかどうかを決定するため、10Ala中のアラニン残基を、バリン(別の非極性アミノ酸)又はセリン及びグリシン(いずれも極性アミノ酸)のいずれかに置き換えた。図7に示されるとおり、アラニンをグリシンに置き換えると、最も高い濃度を除いてペプチドは有効性を失った一方、セリン置換はより有効性が高く、とはいえ10 Alaと比べると著しく低かった。しかしながら、アラニン残基をバリンに置き換えると、10Alaについて観察されるのと同程度のHT29結腸癌細胞の成長阻害がもたらされた。細胞成長に対する10Alaの阻害効果を、他の癌細胞型についても調べた。図8に示されるとおり、10 Alaは、インビトロでのヒト前立腺癌(DU145)、乳癌(MCF−7)及び卵巣癌(A2780)細胞株の成長の阻害において等しく有効であった。
2.2 癌細胞による10Alaの取込み
10 AlaがHT29細胞の形質膜を通過する能力を、無血清培養条件下でフルオレセインイソチオシアネート(fluorosceine isothiocyanate)(FITC)とコンジュゲートした10Alaに曝露された細胞の共焦点顕微鏡法を用いて評価した。この研究で使用したペプチドは、アミノ末端に追加のリジン残基(これにFITC標識が付加される)を含む配列KRAKAKAAAAR(配列番号25)(FITC−K10(4)Alaと特定される)を含んだ。培養下24時間後、細胞の多くがペプチドの細胞質内局在を呈した。細胞の細胞質に対するFITC標識ペプチドの局在を示す顕微鏡写真を、FITC単独で処理した細胞と比較して図9に示す。
2.3 タンパク質キナーゼ活性の効果
β6由来のペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)、RAKAKAAAAR(10Ala)(配列番号12)、RAAKAARAAK(Scram 10Ala)(配列番号13)、及び10merバリン置換ペプチドRVKVKVVVVR(配列番号24)がタンパク質キナーゼ活性を阻害する能力を、無細胞インビトロキナーゼアッセイを用いて決定した。表1に示されるとおり、RAKAKAAAAR(配列番号12)及びRVKVKVVVVR(配列番号24)は、c−Src活性に対してRSKAKNPLYR(配列番号2)と同程度の効果を有し、しかしこのペプチドとは対照的に、Akt2(PKBβ)及びAtk3(PKBγ)活性の阻害において著しく有効性が高かった一方、スクランブル型(srambled version)の10Alaは本質的に効果がなかった。
3.考察
RSKAKNPLYR(配列番号2)アミノ酸配列を癌細胞増殖の阻害に有効なものとするために、β6由来ペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)中のNPLY(配列番号37)モチーフ、詳細にはチロシン(Y)及びプロリン(P)残基が必須であることを考えると、NPLY(配列番号37)モチーフが欠損したRSKAKNPLYR(配列番号2)の欠失変異体(すなわち、RSKAKR)(配列番号9)又はNPLY(配列番号37)モチーフ中のプロリン若しくはチロシン残基のいずれかに単一のアラニン置換を有する変異体(すなわち、それぞれRSKAKNPLAR(配列番号41)及びRSKAKNALYR(配列番号42))に細胞を曝露したときには認められなかった細胞増殖に対する阻害効果が、アミノ末端セリンを含むアラニン残基によるNPLY(配列番号37)モチーフの置換(RAKAKAAAAR;10Alaと命名される)(配列番号12))によって回復するという発見は、全く予想外であった。
これは、アラニンが静電相互作用する可能性のない非極性の疎水性アミノ酸であることを考えると、アラニンは受容体とは強力に結合しそうにないだけに、なおさら意外である。対照的に、スクランブル型の10Alaは、図3に示されるとおり効果を有しなかったことから、10Ala化合物の阻害効果が2つのアルギニン残基及び2つのリジン残基の間隔及び並び方によって決定されたことが示唆される。
さらに、β−アラニンはアラニンと同じ四面体構造を保持するが、10Alaにβ−アラニンを挿入する効果はペプチドの骨格を延ばすことであり、これにより癌細胞成長の阻害におけるペプチドの有効性が低下する。これに加え、リジンとC末端アルギニンとの間にそれぞれ3個或いは5個のアラニン残基を含有するペプチドRAKAKAAAR(配列番号20)(9mer)及びRAKAKAAAAAR(配列番号21)(11mer)が、両方とも、図6に示されるとおり10Alaと比較して結腸癌細胞の成長を阻害する効果が著しく低いことが分かり、成長阻害効果に長さが関係することが確認された。
β6由来配列RSKAKNPLYR(配列番号2)中のNPxY(配列番号4)モチーフをアラニン残基に置き換えると、有効な抗癌化合物が得られた一方、β2、β3及びβ5のそれぞれのインテグリン細胞質ドメインにおけるこのモチーフのアラニン置換は、細胞成長の阻害に比較的効果がない化合物を生じたという知見により、インテグリン構造とは関係がないことがさらに浮かび上がった。加えて、10Alaは、実質的な抗Src活性はなお保持しながらも、RSKAKNPLYR(配列番号2)とは異なり、成長促進キナーゼAkt3を阻害する(表1を参照)。さらに、10RVK(RVKVKVVVVR)(配列番号24)はc−Src活性を阻害するのみならず、表1に示されるとおり、RSKAKNPLYR(配列番号2)ペプチドとは異なり、Akt2及びAkt3の両方の阻害においても極めて有効である。まとめると、これらの知見が示すところによれば、10Ala及びその関連ペプチドをβインテグリン細胞質ドメインの誘導体に分類することはできない。
癌療法の主要な課題は、単一のキナーゼを標的化する場合に、腫瘍細胞が細胞に課された成長上の制約を逃れる能力である。多種多様なシグナルに応答するシグナル伝達タンパク質の中でも、Akt3は、細胞生存及び増殖の調節において中心的役割を担うものと思われ、癌の治療に魅力的な治療標的となっている。例えば、Akt3は乳癌及び前立腺癌で過剰発現することが分かっており(Anderson et al.,1998)、前立腺癌では、Akt3の基礎酵素活性が構成的に上昇することが分かっており、主要なAktアイソフォームに相当する(Nakatani et al.,1999)。関連して、Akt3の阻害が卵巣異種移植片マウスモデルにおいてVEGFの減少をもたらし、それにより血管新生化が乏しい腫瘍をもたらすことも、最近になって示されている(Liby et al.,2011)。
Srcファミリーキナーゼが成長促進性Ras−MAPK経路の細胞内膜活性化に必要であり、且つ結腸、肝臓、肺、乳房及び膵臓に由来する腫瘍の50%以上でc−Src活性化が報告されていることを考えると、Srcキナーゼの標的化もまた癌療法において重要性がある(Bivona T.G et al.,2003)。従って、本発明により具体化されるペプチドと、c−Src阻害薬、例えばβ6インテグリン由来のペプチドRSKAKNPLYR(配列番号2)とによる治療は、有効な併用癌治療を提供し得る。
要約すれば、本明細書には新規抗癌ペプチドが提供され、これは、好ましい実施形態では僅か3種のアミノ酸のみを含むもので、これまでに癌細胞成長を阻害することが報告されているインテグリンベースのペプチドとはユニークに異なっている。
実施例2:MDA468乳癌細胞の阻害
8merのポリアルギニン配列がそのC端側末端にカップリングされた10 RVKペプチド(RVKVKVVVVR)(配列番号24)(すなわち、RVKVKVVVVRRRRRRRRR(配列番号26)、本明細書において10 RVK Argと称される)の様々な濃度でのMDA468乳癌細胞に対する成長阻害活性を、実施例1.2に記載されるMTTアッセイの変法により評価し、ここではウェル当たり3000細胞を5%血清を含有する培養培地で48時間培養した。陰性対照は、8merのポリアルギニン(polyargine)ペプチド(8 Arg)を使用した。図10に示す結果は、各投薬量につき3つのレプリケートウェルの平均である。見て分かるとおり、10 RVK Argペプチド(塗り潰した菱形)は、5μM〜50μMの濃度で癌細胞の成長を完全に阻害したが、8mer Argペプチドそれ自体(塗り潰した四角形)は、この濃度範囲では何ら効果を示さなかった。
別の試験では、10 RVK Argペプチドは、ペネトラチンをそのN末端にカップリングした10 RVKペプチド(すなわち、RQIKIWFQNRRMKWKKRVKVKVVVVR)(配列番号43)と比較して、5μM〜10μMの濃度でのMDA468乳癌細胞の治療、及び10μM〜50μMの濃度でのDU145前立腺癌細胞の治療において、MTTアッセイによりアッセイするとき細胞成長阻害活性の増強を示した(結果は図示せず)。
実施例3:MDA468乳癌細胞及びDU145前立腺癌細胞の阻害
MDA468乳癌細胞及びDU145前立腺癌細胞に対する種々の濃度の10 RVK Argペプチドの成長阻害活性を、実施例2に記載されるとおり細胞を5%血清含有培地で48時間インキュベートすることを含むMTTアッセイにより評価した。比較として、7merのポリアルギニン配列がそのC端側末端にカップリングされた10 RVKペプチド(すなわち、RVKVKVVVVRRRRRRRR(配列番号27)、本明細書において10 RVK 7Argと称される)及び8merポリアルギニン(polyargine)配列がそのN端側末端にカップリングされた10 RVKペプチド(すなわち、RRRRRRRRRVKVKVVVVR(配列番号28)、本明細書においてArg 10 RVKと称される)による細胞の成長阻害を評価した。乳癌細胞の阻害結果を図11に示し、一方、前立腺癌細胞の治療結果を図12に示す。見て分かるとおり、これらのペプチドは、乳癌細胞及び前立腺癌細胞の両方の成長を0.5μM以上の濃度で顕著に阻害し、互いに同様の活性プロファイルを示した。
好ましい実施形態をいくつか記載したが、当業者は、本発明から逸脱することなく多数のさらなる実施形態が提供され得ることを理解するであろう。従って、記載される本実施形態は、あらゆる点で例示的なものであり、限定するものではないと見なされるべきである。
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Claims (19)

  1. 癌細胞の成長を阻害するための単離又は精製されたペプチドであって、アミノ酸配列RxKxKxxxxR(配列番号5)を含み(式中、K及びRはそれぞれリジン及びアルギニンアミノ酸残基であり、各xは、独立して、アラニン(A)、バリン(V)、及びセリン(S)からなる群から選択されるアミノ酸である)、且つ10〜40アミノ酸の長さを有するペプチド。
  2. 各xアミノ酸が、独立してアラニン(A)又はバリン(V)である、請求項1に記載のペプチド。
  3. 各xアミノ酸がアラニン(A)である、請求項1に記載のペプチド。
  4. 各xアミノ酸がバリン(V)である、請求項1に記載のペプチド。
  5. アミノ酸配列RSKAKNPLYR(配列番号2)と50%の配列同一性を有する請求項1に記載のペプチド。
  6. 各xアミノ酸がセリンである、請求項1に記載のペプチド。
  7. アミノ酸配列RxKxKxxxxR(配列番号5)からなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド。
  8. 10〜25アミノ酸の長さを有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド。
  9. c−Src及びAkt非特異的セリン/スレオニンプロテインキナーゼからなる群から選択されるキナーゼを阻害する、請求項1〜8のいずれか一項に記載のペプチド。
  10. 癌細胞の成長及び/又は増殖を阻害する薬剤であって、前記癌細胞の外側細胞膜を越えて前記細胞の細胞質内に入る前記ペプチドの通過を促進するための促進部分とカップリングされた請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチドを含む薬剤。
  11. キメラペプチドである、請求項10に記載の薬剤。
  12. 前記ペプチド又は薬剤を発現させるための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド又は請求項10又は11に記載の薬剤をコードする単離核酸。
  13. 細胞において前記ペプチドを発現させるための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸インサートを含む発現ベクター。
  14. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド、請求項10又は11に記載の薬剤、又は請求項13に記載の発現ベクターを、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤と共に含む医薬組成物。
  15. 細胞における少なくとも1つのプロテインキナーゼの活性の阻害における使用のための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
  16. 前記キナーゼが、c−Src及びAkt非特異的セリン/スレオニンプロテインキナーゼファミリーの少なくとも1つのキナーゼからなる群から選択される、請求項15に記載のペプチド。
  17. 前記ペプチドが、Akt2及びAkt3の少なくとも一方の活性を阻害する、請求項16に記載のペプチド。
  18. 哺乳動物における癌の予防又は治療に使用するための、請求項1〜9のいずれか一項に記載のペプチド。
  19. 前記ペプチドが、癌の癌細胞の外側に配置された全ての膜を超えて前記細胞の細胞質内に入る前記ペプチドの通過を促進する促進部分とカップリングされている、請求項18に記載のペプチド。
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